説明

レオロジー調整剤として有用なポリマー組成物およびこのような組成物の製造方法

開示されているのは、潤滑流体のレオロジー特性を調整するのに有用であり得る、組成分散ポリマー組成物および/または結晶度分散ポリマー組成物を含むレオロジー調整剤、ならびにこのような組成物の製造方法である。組成分散ポリマー組成物は、少なくとも2つの区別できる組成の複数のエチレンコポリマーから生成される。結晶度分散ポリマー組成物は、少なくとも2つの区別できる残留結晶度値を有する複数のエチレンコポリマーから生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年4月28日に出願されたUSSN 61/173,528(出願人整理番号2009EM079)、2009年4月28日に出願されたUSSN 61/173,501(出願人整理番号2009EM082)、および、2009年9月29日に出願されたUSSN 12/569,009(出願人整理番号2009EM210)に対する優先権を、またこれらによる特典を主張し、これらの全ては、それらの全体が、参照として本明細書に組み込まれる。
本出願は、2010年1月29日に出願されたUSSN 61/299,816(出願人整理番号2010EM023)、および、2010年1月22日に出願されたUSSN 61/297,621(出願人整理番号2010EM012)に関連し、これらは、それらの全体が、参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、レオロジー調整剤(rheology modifier)として有用なポリマー組成物、およびこのような組成物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、流体のレオロジー特性を調整するのに有用である、組成分散(compositionally disperse)ポリマー組成物および/または結晶度分散(crystallinity disperse)ポリマー組成物、ならびに、このような組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
潤滑流体は、動いている表面の間に、このような表面の間の摩擦を減らすことによって効率を向上させ、また摩耗を減らすために付けられる。潤滑流体は、また、しばしば、動いている表面によって発生する熱を散逸させる働きもする。
潤滑流体の1つの種類は、内燃機関に用いられる石油系の潤滑油である。潤滑油は、潤滑油が所定の温度で特定の粘度を有することを助ける添加剤を含む。一般に、潤滑油および潤滑流体の粘度は、温度により逆に変化する。潤滑流体の温度が上昇すると、このような流体の粘度は一般に低下し、温度が低下すると、このような流体の粘度は一般に増加する。例えば、内燃機関では、寒い時候に、エンジンの開始を容易にするために、低温で、より低い粘度を、また、潤滑特性が通常低下する、より高い環境温度では、より高い粘度を有することが望ましい。
潤滑流体および潤滑油のためのこのような添加剤には、粘度指数(VI)向上剤を含めて、レオロジー調整剤が含まれる。VI向上成分(エチレン−アルファ−オレフィンコポリマーから誘導される)は、レオロジー的挙動を調整して、潤滑剤の粘度を増し、また潤滑剤が用いられる温度範囲に渡り、粘度を、より一定にすることを促進する。高エチレン含有量コポリマーは、オイルの増粘および剪断安定性を効率的に促進する。しかし、高エチレン含有量コポリマーは、オイル配合物から凝結または凝集して、極度に高粘性で、極端な場合には固体の配合物に至る傾向がある。通常、これは、環境条件、または制御された静止状態での冷却による周囲温度以下の(subambient)条件で起こる。他の点では利点のある高エチレン含有量粘度向上剤のこの有害な特性は、低温溶液レオロジーによって評価される。これらの高エチレン含有量コポリマー配合物に対して、高粘度凝固物質の生成に向かうこの傾向を克服または緩和するための様々な改善策が提案されてきた。
【0004】
従来のバナジウム系チーグラー−ナッタ触媒は、エチレンとプロピレンだけを構成要素とするコポリマーを重合するのに、通常、最も有用である。エチレンと高級アルファ−オレフィン、例えばブテンとのコポリマーが製造され得るが、このようなコポリマーは、比較的高いエチレン含有量を有するものに限られる。
米国特許第6525007号および米国特許第5446221号(これらは、参照として本明細書に組み込まれる)に記載されているように、VI向上剤に高いアルファ−オレフィン含有量を生じるように、メタロセン系触媒を使用し得る。
VI向上剤の性能は、増粘効率(thickening efficiency、TE)および剪断安定性指数(SSI)によって評価した場合に、VI向上剤の構造の適切で入念な操作によって、かなり改善され得る。本発明者等は、モノマーの分布および鎖の構築を制御し、少なくとも2つの組成分散および/または結晶度分散ポリマー集団に差別化すると、このような性能が向上することを見出した。これらの分散ポリマー集団は、重合法にメタロセン系触媒を用いる特別な合成法の使用によって実現され得る。
【0005】
連続フィード撹拌槽反応器において用いられるメタロセン系触媒は、組成範囲が狭く、分子量が狭い最確分布を有するエチレンコポリマーに導く。分子量および組成のこのような相伴う分布は、VI向上剤の区別できる成分として特徴付けられ得る。
提案された1つの解決策は、潤滑油配合物に、アモルファスおよび半結晶性エチレンコポリマーのブレンドを使用することである。このような2種のエチレン−プロピレンコポリマーの組合せは、TE、SSI、低温粘度性能および流動点を向上させる。米国特許第7402235号、および米国特許第5391617号、ならびに欧州特許第0638611号(これらの開示は参照として本明細書に組み込まれる)を参照。
本発明者等は、当技術分野における教示とは対照的に、VI向上剤のためのポリマーブレンドに用いられるエチレン系アルファ−オレフィンコポリマーの区別できる分布の量、組成および分子量の間に好ましい関係が存在することを見出した。この関係により、制御されたモノマー集団を有するエチレン系アルファ−オレフィンコポリマーに導かれるので、それは、予め決められたSSIで、TEにおける優れた性能を有する。アルファ−オレフィン(例えば、プロピレンまたはブテン)の選択は、溶解度パラメータ、TEおよびSSIのような、レオロジー調整剤の他の特性に影響を及ぼし得る。加えて、アルファ−オレフィンの添加は、ポリマー鎖におけるさらなる制御段階に導き得るので、結晶度レベルは低下し、そのポリマーを含む溶液の流動性が向上し得ると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の組成物に比べて予想外に高いTEを有するが、それでも尚、それらの有益な低温溶液レオロジー特性においては同等であるVI向上剤に用いられるのに適する、エチレンおよびアルファ−オレフィン系コモノマーから構成される新規レオロジー調整剤組成物が依然として求められている。本発明は、この要求および他の要求を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、
(a)
i.35以上で60以下の範囲のEA;および
ii.130,000以下のMwA
を有する第1のエチレンコポリマー;
(b)
i.35以上で85以下の範囲のEB;および
ii.70,000未満のMwB
を有する第2のエチレンコポリマー
を含むポリマー組成物に関する。
【0008】
別の態様において、本発明は、
(a)
i.0以上で30以下の範囲のHA;および
ii.130,000未満のMwA
を有する第1のエチレンコポリマー;
(b)
i.30を超え60以下の範囲のHB;および
ii.70,000以下のMwB
を有する第2のエチレンコポリマー
を含むポリマー組成物に関する。
【0009】
ある実施形態において、本発明のポリマー組成物は、次の特性の1つまたは複数を有する:
i.EB未満のEA
ii.HB未満のHA
iii.3.0以下のMIA/MIB;および
iv.ポリマー組成物において、第1のエチレンコポリマーの質量パーセントは、第2のエチレンコポリマーの質量パーセントを超える。
ポリマー組成物のある実施形態において、第1および第2のエチレンコポリマーは、それぞれ、エチレンと1種または複数のコモノマーを含む。コモノマーは、アルファ−オレフィンおよびこれらの混合物からなる群から独立に選択される。アルファ−オレフィンは、C3からC20のアルファ−オレフィンおよびこれらの混合物からなる群から独立に選択され得る。
【0010】
別の態様において、本発明は、
(a)潤滑油基油、および
(b)本発明のポリマー組成物のいずれか1つ
を含む潤滑油組成物に関する。
別の態様において、本発明は、(a)本発明の第1のエチレンコポリマーを含む第1の流出物を生じるように、エチレンおよび第1のコモノマー成分を、第1のメタロセン触媒の存在下に、第1の重合反応ゾーンにおいて、第1の重合条件下に、共重合するステップ;(b)本発明の第2のエチレンコポリマーを含む第2の流出物を生じるように、エチレンおよび第2のコモノマー成分を、第2のメタロセン触媒の存在下に、第2の重合反応ゾーンにおいて、第2の重合条件下に、共重合するステップ;および(c)本発明のポリマー組成物を生成するステップを含み、第1および第2の重合条件が、スラリー相、溶液相および塊状相からなる群から独立に選択され、また、第1および第2の重合反応ゾーンが、直列、並列または同一である、ポリマー組成物の製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】PAO−4潤滑基油中2.5wt%の濃度の本発明および比較のポリマー組成物について、Anton−Parrレオメータによる、温度の関数としての複素粘性率を示す。
【図2】PAO−4潤滑基油中2.5wt%の濃度の本発明および比較のポリマー組成物について、−15℃で、歪みの関数として剪断応力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、これらに限らないが、潤滑流体のレオロジー特性を調整するのに有用である、組成分散ポリマー組成物および/または結晶度分散ポリマー組成物を含めて、ポリマー組成物を含むレオロジー調整剤として有用なポリマー組成物に関する。組成分散ポリマー組成物は、少なくとも2つの区別できる組成のエチレンコポリマーから生成される。結晶度分散ポリマー組成物は、少なくとも2つの区別できる残留結晶度値を有するエチレンコポリマーから生成される。本発明は、また、このような組成物の製造方法に関する。
【0013】
VI向上剤としてのエチレン系レオロジー調整剤の性能は、TEとSSIの比によって評価される。所定のSSIでは、オレフィンコポリマーの組成がTEを主に決め、より大きなエチレン含有量がそのTEのゆえに好ましいと一般に考えられている。レオロジー調整剤のエチレン含有量を増すことにより、TE/SSIの比は向上するが、それは、また、オレフィンコポリマーの結晶度を増すことに繋がる。しかし、結晶度の増加は、結晶性ポリマーが、それ自体でか、または潤滑油の他の成分と結び付いてかのいずれかで、凝結し、潤滑油から析出する傾向があるという理由で、性能またはVI向上剤としてのレオロジー調整剤を損ねる。これらの析出物は、高粘度の区域(例えば、「塊」)、または、本質的に完全な固化(例えば、「ゲル」)として、容易に認められ、潤滑流体のためのポンプまたは他の通路の障害物および遮断に繋がることがあり、また、動いている機械装置の傷害、および何らかの原因で故障に繋がり得る。
【0014】
何らかの特定の理論によっては拘束されないが、組成分散および/または結晶度分散しているポリマー組成物を含む、潤滑流体のためのこれらのレオロジー調整剤は、流体溶液のレオロジーにおける変化によって測定した場合、希薄溶液における巨視的な晶析の有害な作用が、組成分散ブレンドと同じ平均組成の等量の単一エチレンコポリマーに比べて、より少ない傾向があり得ると考えられる。また、これらの組成分散および/または結晶度分散ポリマーは、環境温度から、環境温度より低い温度へ冷却された時に、晶析がより少なく、結果的に、類似の分子量およびTEの組成的に一様な等量のポリマーに比べた場合、溶液として、より良好な低温流動特性を生じ得るとも考えられる。これらのポリマー組成物、および基油を含む潤滑油組成物におけるそれらの使用は、成分への組成分散ポリマーの物理的分離によって、さらには、同じ平均エチレン含有量、溶融粘度および組成の単分散ポリマーで観察され得るより大きい、DSCによる融点と融解熱の比によって、他の組成単分散オレフィンコポリマーから識別できる。
【0015】
本発明のこれらのレオロジー調整剤の希薄溶液は、本発明の方法に従わない同様の平均組成のそれらの比較品より、大きなTEおよび小さい剪断安定性を示す。本発明のレオロジー調整剤は、低温で溶液の還元粘度によって評価した場合に、はるかに優れた低温性能を有する。
エチレンコポリマー成分のそれぞれにおける内部オレフィンの量が等しくなく、高エチレンコポリマー成分において内部オレフィンが多く存在することは、本発明の範囲内である。極端な場合には、本発明では、内部オレフィンは低エチレンコポリマー成分においては無視できる量になり、内部オレフィンのほとんど全てが高エチレンコポリマー成分中にあり得る。
定義
本発明およびその特許請求の範囲の目的に対しては、下に記載される定義が用いられる。
本明細書で用いられる場合、用語「複素粘性率」は、剪断応力の小さな振幅の強制調和振動の間に求められる、パスカル−秒の単位の周波数依存性粘性率関数を意味し、動的粘性率(dynamic viscosity)とアウトオブフェース粘性率(out−of−phase viscosity)(複素粘性率の虚数部)との間の差である。
【0016】
本明細書で用いられる場合、用語「組成分布幅指数(Composition Distribution Breadth Index、CDBI)は、米国特許第5382630号に定義されており、これによって、この特許は、参照として組み込まれる。CDBIは、全コモノマーモル含有量中央値の50%の範囲内のコモノマー含有量を有するコポリマー分子の質量パーセントとして定義される。コポリマーのCBDIは、コポリマー試料の個々のフラクションを分離するためのよく知られた技法を用いて容易に求められる。このような技法の1つは、L. Wild, et al., “Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers,” Journal of Polymer Science: Polymer Physics Edition, Vol. 20, pp. 441 (1982)、および米国特許第5008204号(これらは、参照として本明細書に組み込まれる)に記載の昇温溶離分別(Temperature Rising Elution Fraction、TREF)である。
【0017】
本明細書で用いられる場合、用語「組成分散」は、少なくとも2つの区別できる組成のエチレン系コポリマーからなるポリマー組成物を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「コポリマー」は、2種以上のモノマーを有する任意のポリマーを含む。
本明細書で用いられる場合、用語「結晶度分散」は、2つの区別できる残留結晶度値を有する少なくとも2種のエチレン系コポリマーからなるポリマー組成物を意味する。
【0018】
本明細書で用いられる場合、用語「分散」は、組成物が、異なる組成、ならびに/あるいは、異なる分子量分布、および/または異なるモノマー組成もしくは配列分布に、ある程度は帰因する、異なる結晶度を有する構成ポリマーフラクションを含むことを意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「EA」は、第1のエチレンコポリマーのエチレン由来単位の、ポリマー組成物の質量に対する質量パーセントを意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「EB」は、第2のエチレンコポリマーのエチレン由来単位の、ポリマー組成物の質量に対する質量パーセントを意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「エチレンコポリマー」は、エチレンおよび1種または複数のコモノマーを構成要素とするエチレン系コポリマーを意味する。
【0019】
本明細書で用いられる場合、用語「HA」は、第1のエチレンコポリマーの1回目の融解での融解熱(単位はジュール/グラム)を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「HB」は、第2のエチレンコポリマーの1回目の融解での融解熱(単位はジュール/グラム)を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「分子間組成分布(intermolecular composition distribution、InterCDまたは分子間CD)、すなわち、組成の不均一性の尺度は、エチレン含有量の点から見た、ポリマー鎖の間の組成の不均一性を定める。それは、標準偏差と同様に、分布の両端から等しい質量フラクションを除くことによって得られる、全コポリマー試料の所定の質量フラクションを含めるのに必要とされる、所定のコポリマー試料に対する平均エチレン組成からの、エチレン質量パーセントによる、最小の偏差として表される。偏差は対称である必要はない。例えば、単一の数として表される場合、15wt%の分子間組成分布は、正または負の偏差の大きい方を意味する。例えば、50wt%の分子間組成分布で、その測定値は、通常の組成分布幅指数に似ている。
【0020】
本明細書で用いられる場合、用語「分子内組成分布」(IntraCD、または分子間CD)は、エチレンの点から見た、コポリマー鎖内の組成変化を定める。それは、同一の鎖のセグメントに沿う、アルファ−オレフィンとエチレンの比として表される。
本明細書で用いられる場合、用語「MIA」は、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックス(単位は、g/10分またはdg/分)を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「MIB」は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス(単位は、g/10分またはdg/分)を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「MnA」は、GPCによって求めた、第1のエチレンコポリマーの数平均分子量を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「MnB」は、GPCによって求めた、第2のエチレンコポリマーの数平均分子量を意味する。
【0021】
本明細書で用いられる場合、用語「MwA」は、GPCによって求めた、第1のエチレンコポリマーの質量平均分子量(単位は、ポリスチレン換算の、グラム/モル)を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「MwB」は、GPCによって求めた、第2のエチレンコポリマーの質量平均分子量(単位は、ポリスチレン換算の、グラム/モル)を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「MWD」は、MwとMnの比を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「融点」は、本明細書に記載されるように、DSCによって2回目の融解の間に決定される主および副融解ピークの中で、最も高いピークを意味する。
本明細書で用いられる場合、内部オレフィンの「ほとんど全て」という用語は、高エチレンコポリマー成分に含まれる、内部オレフィンの全量の90wt%を超えるもの、および、高エチレンコポリマー成分に含まれる、内部オレフィンの全量の5wt%を超えるものを意味しようとするものである。
本明細書で用いられる場合、「無視できる量」は、ポリマー組成物に含まれる内部オレフィンの全量の10wt%未満、および、低エチレンコポリマー成分に含まれる、内部オレフィンの全量の2wt%未満を意味しようとするものである。
【0022】
本明細書で用いられる場合、用語「ポリエン」は、2つ以上の不飽和を有するモノマーまたはポリマー、すなわち、ジエン、トリエンなどを意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「ポリプロピレン」は、少なくとも50%のプロピレン単位、好ましくは少なくとも70%のプロピレン単位、より好ましくは少なくとも80%のプロピレン単位、より一層好ましくは少なくとも90%のプロピレン単位、より一層好ましくは少なくとも95%のプロピレン単位から、または100%のプロピレン単位からなるポリマーを意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「実質的に線状の構造」は、第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、骨格に沿う200個の炭素原子当たり、19個の炭素原子より長い炭素鎖がぶら下がった、1つ未満の分岐点を有するとして特徴付けられることを意味する。
【0023】
ポリマーまたはコポリマーが、これらに限らないが、エチレン、プロピレン、およびブテンを含めて、オレフィンを含むと言われる場合、このようなポリマーまたはコポリマー中に存在するオレフィンは、オレフィンの重合した形である。
ポリマー組成物
本発明の一態様において、潤滑流体のためのレオロジー調整剤には、組成分散ポリマー組成物、および結晶度分散ポリマー組成物が含まれる。これらのポリマー組成物は、第2のエチレンコポリマーとブレンドされた第1のエチレンコポリマーを含む。特に断らなければ、第1のエチレンコポリマーおよび第2のエチレンコポリマーへの全ての言及は、組成分散ポリマー組成物および結晶度分散ポリマー組成物の両方に関連する。
相対的に低いエチレン含有量を有する第1のエチレンコポリマーは、エチレン、アルファ−オレフィンコモノマー、ならびに任意選択の内部オレフィンおよび任意選択のポリエン(例えば、ジエン)のコポリマーである。
相対的に高いエチレン含有量を有する第2のエチレンコポリマーは、エチレン、内部オレフィン、アルファ−オレフィン、および任意選択のポリエン(例えば、ジエン)のコポリマーである。
【0024】
参照されているポリマー組成物は、第1のエチレンコポリマー(ポリマー組成物の質量に対して、好ましくは少なくとも51wt%の第1のエチレンコポリマー)、および第2のエチレンコポリマー(ポリマー組成物の質量に対して、好ましくは49wt%以下の第2のエチレンコポリマー)を含む。ある実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、ポリマー組成物の60wt%の第1のエチレンコポリマーおよび40wt%の第2のエチレンコポリマーを含み、別の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、ポリマー組成物の70wt%の第1のエチレンコポリマーおよび30wt%の第2のエチレンコポリマーを含み、さらに別の実施形態において、第1のエチレンコポリマーは、ポリマー組成物の80wt%の第1のエチレンコポリマーおよび20wt%の第2のエチレンコポリマーを含み、さらに別の実施形態において、第1のエチレンコポリマーは、ポリマー組成物の90wt%の第1のエチレンコポリマーおよび10wt%の第2のエチレンコポリマーを含む。
【0025】
組成分散および/または結晶度分散ポリマー組成物のある実施形態では、ポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの質量パーセントは、ポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの質量パーセントを超える。
組成分散ポリマー組成物では、第1のエチレンコポリマーは、エチレンの質量パーセント(EA)によって特徴付けられる。
結晶度分散ポリマー組成物では、第1のエチレンコポリマーは、融解熱(HA)によって特徴付けられる。
第1のエチレンコポリマーは、メルトインデックス(MIA)、数平均分子量(MnA)、および質量平均分子量(MwA)によってさらに特徴付けられ得る。
第1のエチレンコポリマーのEAは、35≦EA≦65の範囲に、ある実施形態では、40≦EA≦60の範囲に、別の実施形態では、45≦EA≦55の範囲にあり、さらに別の実施形態では、EAは約50である。
【0026】
第1のエチレンコポリマーのHAは、0≦HA≦30の範囲に、ある実施形態では、0≦HA≦15の範囲に、別の実施形態では、0≦HA≦10の範囲に、さらに別の実施形態では、0≦HA≦5の範囲にあり、さらに別の実施形態では、HAは約2である。
第1のエチレンコポリマーは、130,000以下、または120,000未満、または110,000未満、または100,000未満、または90,000未満、または80,000未満、または70,000未満の質量平均分子量(MwA)によって特徴付けられ得る。好ましくは、MwAは、70,000から95,000である。
第1および/または第2のエチレンコポリマーは、分子量分布(MWD)によって特徴付けられ得る。第1および/または第2のエチレンコポリマーは、3.0未満、または2.4未満、または2.2未満、または2.0未満のMWDを有する。好ましくは、第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーのMWDは、1.80以上で1.95以下の範囲にある。
【0027】
組成分散ポリマー組成物では、第2のエチレンコポリマーは、エチレンの質量パーセント(EB)によって特徴付けられる。
結晶度分散ポリマー組成物では、第2のエチレンコポリマーは、融解熱(HB)によって特徴付けられる。
第2のエチレンコポリマーのEBは、35≦EB≦85の範囲に、ある実施形態では、40≦EB≦80の範囲に、別の実施形態では、45≦EB≦75の範囲に、さらに別の実施形態では、50≦EB≦70の範囲に、さらに別の実施形態では、55≦EB≦65の範囲にあり、さらに別の実施形態では、EBは約60である。
第2のエチレンコポリマーのHBは、30<HB≦60の範囲に、ある実施形態では、35<HB≦55の範囲にあり、別の実施形態では、40<HB≦0の範囲に、さらに別の実施形態では、HBは45である。
【0028】
第2のエチレンコポリマーは、75,000以下、または70,000未満、または65,000未満の質量平均分子量(MwB)によって特徴付けられ得る。好ましくは、MwAは、65,000から75,000である。
組成分散ポリマー組成物のある実施形態において、ポリマー組成物の第1のエチレンコポリマーのエチレン質量パーセントEAは、第2のエチレンコポリマーのエチレン質量パーセントEB未満であり得る。
【0029】
ある実施形態では、組成分散ポリマー組成物は、エチレン質量パーセント、EBおよびEAにおける差によって特徴付けられ得る。ある実施形態では、EB−EA≧5、別の実施形態では、EB−EA≧10、さらに別の実施形態では、EB−EA≧15、さらに別の実施形態では、EB−EA≧20である。ある実施形態において、エチレン質量パーセント、EBおよびEAにおける差は、8≦EB−EA≦10の範囲にあり、別の実施形態では、EBおよびEAにおける差は9である。
結晶度分散ポリマー組成物のある実施形態において、第1のエチレンコポリマーの融解熱HAは、第2のエチレンコポリマーの融解熱HB未満であり得る。
ある実施形態において、結晶度分散ポリマー組成物は、融解熱、HBおよびHAにおける差によって特徴付けられ得る。ある実施形態では、HB−HA≧4、別の実施形態では、HB−HA≧8、さらに別の実施形態では、HB−HA≧12、さらに別の実施形態では、HB−HA≧16である。ある実施形態では、融解熱、HBおよびHAにおける差は、8≦HB−HA≦10の範囲にあり、別の実施形態では、HBおよびHAにおける差は9である。
【0030】
組成分散および/または結晶度分散ポリマー組成物は、MIA/MIBの比によってさらに特徴付けられ得る。ある実施形態では、MIA/MIBは、3以下、2以下、1以下である。
組成分散および/または結晶度分散ポリマー組成物は、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックス(MIA)と第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス(MIB)における差の絶対値によってさらに特徴付けられ得る。ある実施形態では、|MIA−MIB|≦3.0、別の実施形態では、|MIA−MIB|≦2.5、さらに別の実施形態では、|MIA−MIB|≦2.0、さらに別の実施形態では、|MIA−MIB|≦1.5、さらに別の実施形態では、|MIA−MIB|≦1.1、さらに別の実施形態では、|MIA−MIB|≦1.0である。
【0031】
組成分散および/または結晶度分散ポリマー組成物のMFRは、低および高エチレン含有量コポリマーが異なるMFRを有する場合、これらのコポリマーのMFRの中間であり得る。低エチレン含有量コポリマーは、0.2から25のMFRを有し得る。高エチレン含有量コポリマーは、0.2から25のMFRを有し得る。
第1および/または第2のエチレンコポリマーは、それぞれ、エチレンおよび1種または複数のコモノマーを含む。好ましくは、コモノマーは、アルファ−オレフィンおよびこれらの混合物からなる群から独立に選択される。好ましくは、アルファ−オレフィンは、C3からC20のアルファ−オレフィンおよびこれらの混合物からなる群から独立に選択される。好ましくは、コモノマーは、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、またはこれらの混合物である。
ある実施形態において、第1および/または第2のエチレンコポリマーのコモノマーは、ポリエンモノマーをさらに含む。このような実施形態では、組成分散および結晶度分散ポリマー組成物は、5モル%まで、4モル%まで、3モル%まで、2モル%まで、1モル%までのポリエン由来単位をさらに含む。
【0032】
ある実施形態において、第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーは、異なるMnA、異なるMwA、または異なるMwA/MnAの分布を有する1つまたは複数のポリマーフラクションを含む。MnAは、第1のエチレンコポリマーの数平均分子量であり、MwAは、第1のエチレンコポリマーの質量平均分子量である。
ある実施形態において、レオロジー調整剤は、異なるコモノマー挿入配列を有する、第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーフラクションを含む。
ある実施形態において、組成分散ポリマー組成物の第1のまたは第2のエチレンコポリマーは、実質的に線状の構造を有する。
第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーの実質的に線状の構造は、コモノマーの組入れに帰因する分岐点の存在にもかかわらず、骨格に沿う200個の炭素原子当たり、19個の炭素原子より長い炭素鎖がぶら下がった1つ未満の分岐点を、骨格に沿う300個の炭素原子当たり、19個の炭素原子より長い炭素鎖がぶら下がった1つ未満の分岐点を、骨格に沿う500個の炭素原子当たり、19個の炭素原子より長い炭素鎖がぶら下がった1つ未満の分岐点を、好ましくは、骨格に沿う1000個の炭素原子当たり、19個の炭素原子より長い炭素鎖がぶら下がった1つ未満の分岐点を有する。
【0033】
コモノマー成分
本発明の実施形態において、適切なコモノマーには、これらに限らないが、プロピレン(C3)、および他のアルファ−オレフィン、例えば、C4からC20のアルファ−オレフィン(本明細書では、「α−オレフィン」とも記される)が含まれ、好ましくは、プロピレンおよびC4からC12のα−オレフィンが含まれる。このα−オレフィンコモノマーは、線状または分岐状であってよく、望まれる場合、2種以上のコモノマーが用いられ得る。このため、本明細書において「アルファ−オレフィンコモノマー」の表す指示内容は、1種、2種、またはより多くのアルファ−オレフィンコモノマーを含む。
【0034】
適切なコモノマーの例には、プロピレン、C4からC12の線状α−オレフィン、および1つまたは複数のC1からC3のアルキル分岐を有するα−オレフィンが含まれる。具体例には、プロピレン;1−ブテン;3−メチル−1−ブテン;3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ペンテン;1つまたは複数のメチル、エチル、もしくはプロピル置換基を有する1−ペンテン;1つまたは複数のメチル、エチル、もしくはプロピル置換基を有する1−ヘキセン;1つまたは複数のメチル、エチル、もしくはプロピル置換基を有する1−ヘプテン;1つまたは複数のメチル、エチル、もしくはプロピル置換基を有する1−オクテン;1つまたは複数のメチル、エチル、もしくはプロピル置換基を有する1−ノネン;エチル、メチル、もしくはジメチル置換1−デセン、または1−ドデセンが含まれる。好ましいコモノマーには、プロピレン;1−ブテン;1−ペンテン;3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン;3−メチル−1−ペンテン;4−メチル−1−ペンテン;3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン;C3からC5のいずれかにメチル置換基を有する1−ヘキセン;化学量論的に許容される組合せのいずれかでC3もしくはC4に2個のメチル置換基を有する1−ペンテン;3−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、C3もしくはC4のいずれかにメチル置換基を有する1−ペンテン;化学量論的に許容される組合せのいずれかでC3からC5に2個のメチル置換基を有する1−ヘキセン;化学量論的に許容される組合せのいずれかでC3もしくはC4に3個のメチル置換基を有する1−ペンテン;C3もしくはC4にエチル置換基を有する1−ヘキセン;C3にエチル置換基を、またC3もしくはC4の化学量論的に許容される位置にメチル置換基を有する1−ペンテン;1−デセン、1−ノネン、C3からC9のいずれかにメチル置換基を有する1−ノネン;化学量論的に許容される組合せのいずれかでC3からC7に2個のメチル置換基を有する1−オクテン;化学量論的に許容される組合せのいずれかでC3からC6に3個のメチル置換基を有する1−ヘプテン;C3からC7のいずれかにエチル置換基を有する1−オクテン;化学量論的に許容される組合せのいずれかでC3もしくはC4に2個のエチル置換基を有する1−ヘキセン;および1−ドデセンが含まれる。
【0035】
ポリエン成分
コモノマーとして特に有用なポリエンは、非共役ジエンであり、好ましくは、それらは、約6から約15個の炭素原子を有する、直鎖炭化水素ジ−オレフィン、またはシクロアルケニル置換アルケンであり、例えば、(a)直鎖非環状ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエンおよび1,6−オクタジエン;(b)分岐鎖非環状ジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6;(c)単環脂環式ジエン、例えば、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロ−オクタジエンおよび1,7−シクロドデカジエン;(d)多環脂環式縮合および架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、ノルボルナジエン、メチル−テトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ビシクロ−(2.2.1)−ヘプタ−2,5−ジエン、アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、および5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB);ならびに(e)シクロアルケニル置換アルケン、例えば、ビニルシクロヘキセン、アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、4−ビニルシクロヘキセン、アリルシクロデセン、およびビニルシクロデセンである。通常用いられる非共役ジエンの中で、好ましいジエンは、ジシクロペンタジエン(DCPD)、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、および、テトラシクロ(Δ−11,12)5,8ドデセンである。長鎖分岐の生成に繋がらないジエンを用いることが好ましい。VI向上剤のようなレオロジー調整剤として成功裏に用いるためには、無分岐または低分岐ポリマー鎖が好ましい。用いられ得る他のポリエンには、シクロペンタジエンおよびオクタテトラエンなどが含まれる。
【0036】
重合法
別の態様において、本発明は、組成分散ポリマー組成物および/または結晶度分散ポリマー組成物を含むレオロジー調整剤を製造するための重合法を対象とする。
【0037】
本発明のある実施形態において、組成分散ポリマー組成物または結晶度分散ポリマー組成物を含む、潤滑流体のためのレオロジー調整剤組成物の製造方法は、
(a)本発明の第1のエチレンコポリマーのいずれか1つを含む第1の流出物を生じるように、エチレンおよび第1のコモノマー成分を、第1のメタロセン触媒の存在下に、第1の重合反応ゾーンにおいて、第1の重合条件下に、共重合するステップ;
(b)本発明の第2のエチレンコポリマーのいずれか1つを含む第2の流出物を生じるように、エチレンおよび第2のコモノマー成分を、第2のメタロセン触媒の存在下に、第2の重合反応ゾーンにおいて、第2の重合条件下に、共重合するステップ;および
(c)本発明のポリマー組成物のいずれか1つを生成するステップ;
を含む。
【0038】
1つまたは複数の実施形態において、本発明の第1および第2の重合条件は、スラリー相、溶液相および塊状相からなる群から独立に選択される。第1および第2の重合条件が溶液相である場合、生成ステップ(c)は、第2の流出物から溶媒を実質的に除去して、固体ポリマー組成物を生成することを含む。
一実施形態において、別個の重合が並列で実施されてもよく、2つの反応器からの流出ポリマー溶液は、仕上げの前に、下流で一緒にされる。別の実施形態において、別個の重合が直列で実施されてもよく、この場合、1つの反応器からの流出物が、次の反応器に供給される。さらに別の実施形態において、別個の重合が、同一の反応器において、好ましくは逐次重合として実施されてもよい。
【0039】
好ましい実施形態において、エチレンコポリマーは、1つの反応器において第1のエチレンコポリマーを、また別の反応器において第2のエチレンコポリマーを生成するように、メタロセン触媒によって重合される。これらのエチレンコポリマーは、一緒にされ、次いで、仕上げのステップに従って、固体のポリマー組成物を生成する。直列の反応器配置構成において、第1のエチレンコポリマーが、最初に製造され得る;代わりに、第2のエチレンコポリマーが最初に製造されてもよい、あるいは、両方のエチレンコポリマーは、平列反応器配置構成において、同時に製造されてもよい。
それぞれの重合反応は、好ましくは、連続流撹拌槽反応器において実施される。直列の反応器配置において重合する場合、第2の反応器から出て来るポリマー生成物は、第1のエチレンコポリマーと第2のエチレンコポリマーのよく混ざったブレンドである。
本発明の方法における使用に適する特定の反応器配置構成および方法は、米国特許第6319998号、および米国特許第6881800号に詳細に記載されており、これらの開示は、参照として本明細書に組み込まれる。一般的手法のより最近の発展は、アルカン溶媒(溶液法におけるヘキサン、またはスラリー法におけるプロピレンのいずれか)中で、2つのコポリマーを別々に重合し、ポリマーを仕上げて溶媒を除去することである。
【0040】
重合プロセスにおいて用いられる、メタロセン触媒、ならびに非配位性イオンおよび非イオン性活性化剤を伴うそれらの使用は、米国特許仮出願第61/173528号(参照として本明細書に組み込まれる)に教示されている。
適切なビス−シクロペンタジエニルメタロセンの例には、これらに限らないが、米国特許第5324800号、米国特許第5198401号、米国特許第5278119号、米国特許第5387568号、米国特許第5120867号、米国特許第5017714号、米国特許第4871705号、米国特許第4542199号、米国特許第4752597号、米国特許第5132262号、米国特許第5391629号、米国特許第5243001号、米国特許第5278264号、米国特許第5296434号、および米国特許第5304614号に開示されている種類が含まれ、これら特許の全ては、参照として組み込まれる。
【0041】
潤滑油組成物
本発明による潤滑油組成物は、潤滑油基油と、本発明の組成分散ポリマー組成物のいずれか1つおよび/または本発明の結晶度分散ポリマー組成物のいずれか1つとを含み、流動点降下剤を含んでいてもよい。ある実施形態において、このような潤滑油組成物は、次の特性を有する:
(a)1.5を超える、または1.7を超える、または1.9を超える、または2.2を超える、または2.4を超える、または2.6を超える増粘効率;
(b)55未満、または45未満、または35未満、または30未満、または25未満、または20未満、または15未満の剪断安定性指数;および/または
(c)500未満、または450未満、または300未満、または100未満、または50未満、または20未満、または10センチストークス(cSt)未満の、−35℃での複素粘性率。
【0042】
潤滑油組成物は、好ましくは、2.5wt%、または1.5wt%、または1.0wt%、または0.5wt%の組成分散および/または結晶度分散ポリマー組成物を含む。
潤滑油基油をなす成分が、下に記載される。
潤滑油基油
本発明において用いられる潤滑油ベースの例には、これらに限らないが、鉱油、ならびに合成油、例えば、ポリ−α−オレフィン、ポリオールエステルおよびポリアルキレングリコールが含まれる。鉱油、または鉱油と合成油のブレンドが、好ましく用いられる。一般に、鉱油は、脱蝋のような精製を経た後で用いられる。鉱油は、精製法に従って、いくつかの種類に分けられ、通常用いられるのは、0.5から10%のワックス含有量を有する鉱油である。さらに、10から200cStの動粘性率(kinematic viscosity)を有する鉱油が、通常用いられる。
【0043】
潤滑油配合物
一実施形態において、本発明のポリマー組成物は、オイル組成物のVI向上剤として用いられる。ポリマー組成物は、オイルに、少なくとも10wt%の溶解性を有する。0.001から49wt%のこの組成物が、望みの製品が最終製品であるか、添加剤濃厚液であるかどうかに応じて、基油、例えば、潤滑油または炭化水素燃料に組み入れられる。VI向上剤の量は、基油のVIを向上させる、または変更するのに有効な量、すなわち、粘度向上有効量である。通常、この量は、最終製品(例えば、完全に配合された潤滑油組成物)に対して、0.001から20wt%であり、別の実施形態において、代わりとなる下限は、0.01、0.1%、または1%であり、代わりとなる上限は、15%または10%である。列挙された下限のいずれかから、列挙された上限のいずれかまでのVI向上剤の濃度範囲は、本発明の範囲内であり、当業者は、最終的な溶液の特性に基づいて、適切な濃度範囲を容易に決定できる。
【0044】
本発明の潤滑組成物を製造するのに用いられる適切な基油には、スパーク点火および圧縮点火内燃機関、例えば、自動車およびトラックのエンジン、船舶および鉄道のディーゼルエンジンなどのためのクランクケース潤滑油として通常用いられるものが含まれる。利点のある結果は、また、本発明のVI向上剤組成物を、自動変速機流体、トラクター流体、汎用トラクター流体および油圧用作動流体(hydraulic fluid)、酷使に耐える(heavy duty)油圧用作動流体、パワーステアリング流体などのような動力伝達流体に通常用いられる基油および/または動力伝達流体としての使用に適する基油に用いることによっても達成される。ギア潤滑油、産業用オイル、ポンプ用オイル、および他の潤滑油組成物もまた、本発明の添加剤をそれらに組み入れることによる利点を有し得る。
【0045】
本発明の生成物が添加され得る潤滑油には、石油から誘導される炭化水素オイルが含まれるだけでなく、2塩基酸のエステル;1塩基酸、ポリグリコール、2塩基酸およびアルコールのエステル交換によって製造される複合エステル;ポリオレフィン油などのような合成潤滑油もまた含まれる。このように、本発明のVI向上剤は、合成基油、例えば、ジカルボン酸、ポリグリコールおよびアルコールのアルキルエステル;ポリアルファ−オレフィン;ポリブテン;アルキルベンゼン;リン酸の有機エステル;ポリシリコーンオイルなどに適切に組み入れられ得る。本発明のVI組成物は、また、取り扱い易いように、オイル(例えば、潤滑鉱油)中1wt%から49wt%のような、濃厚液の状態で利用されてもよく、先に記載されたように、本発明の反応をオイル中で実施することによって、この状態に製造され得る。
上のオイル組成物は、他の通常の添加剤、例えば、流動点降下剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、他の粘度指数向上剤、分散剤、腐食防止剤、消泡剤、清浄剤、防錆剤、摩擦調整剤などを含んでいてもよい。
【0046】
これらの一般的な添加剤を含む場合の組成物は、通常、それらの正規の付随機能を発揮するのに有効な量で基油にブレンドされる。こうして、典型的な配合物は、質量による量として、本発明のVI向上剤(0.01〜12%);腐食防止剤(0.01〜5%);酸化防止剤(0.01〜5%);降下剤(0.01〜5%);消泡剤(0.001〜3%);耐摩耗剤(0.001〜5%);摩擦調整剤(0.01〜5%);清浄剤/防錆剤(0.01〜10%);および基油を含み得る。
他の添加剤が用いられる場合、必要ではないが、1種または複数の他の添加剤と一緒に、VI向上剤の濃厚溶液もしくは分散体を(上で記載された濃厚液の量で)含む、「添加剤パッケージ」と表示される濃厚液のような、添加剤濃厚液を調製することによって、いくつかの添加剤を基油に同時に添加して潤滑油組成物を生成できることが望ましいことであり得る。潤滑油への添加剤濃厚液の溶解は、溶媒によって、また、温和な加熱を伴うかき混ぜによって、容易になり得るが、これは必須ではない。通常、添加剤パッケージは、予め決められた量のベース潤滑油と添加剤パッケージが一緒にされた時の最終配合物において望みの濃度となるような適正な量で、VI向上剤および任意選択のさらなる添加剤を含むように配合され得る。こうして、本発明の生成物は、他の望ましい添加剤と共に、少量の基油または他の適合する溶媒に添加されて、通常、2.5から90wt%、好ましくは5から75wt%、より一層好ましくは8から50wt%の添加剤合計量で活性成分を適切な比率で含み、残りの部分は基油である添加剤パッケージが生成される。
最終配合物は、通常、約10wt%の添加剤パッケージを用い、残りの部分は基油であり得る。
【0047】
基油とのブレンド
従来のブレンド方法は、米国特許第4464493号に記載されており、この開示は、参照として本明細書に組み込まれる。この従来の方法は、ポリマーの分解のために高温でポリマーを押出機に通すこと、および押出機のダイの面を横切って高温オイルを循環させると同時に、分解したポリマーを、押出機から、この高温オイルへ放出する際に、粒子サイズに小さくすることを必要とする。ペレット化された本発明の固体ポリマー組成物は、前記のように、VI向上剤に粘性を直ちに発生させるように、基油と直接ブレンドすることによって添加でき、そのため、前記従来技術の複雑な複数ステップの方法は必要でない。固体ポリマー組成物は、さらなる剪断および劣化処理の必要なしに、基油に溶かすことができる。
【0048】
本発明のポリマー組成物は、粘度調整剤濃厚液を調製するために、潤滑油に、10パーセントの濃度まで、室温で可溶であり得る。このような濃厚液は、前記のように潤滑油用途に用いられる通常の添加剤を含む追加の添加剤パッケージを最終的には含み、最終濃度(通常、約1%)に、多品種潤滑油製造業者によって、通常、さらに希釈される。この場合、濃厚液は、注ぐことができ、均質で、固体を含まない溶液であり得る。
ポリマー組成物は、好ましくは、10から50のSSI(ASTM D97に従って求めて)を有する。
【0049】
具体的実施形態
本発明の番号付きの具体的実施形態には、以下のものがさらに含まれ得る。
実施形態1:(a)(i)50、40、30、20、10または5wt%以上の分子間組成分布、および(ii)実質的に線状の構造、を有する第1のエチレンコポリマー;ならびに(b)(i)50、40、30、20、10または5wt%以下の分子間組成分布、および(ii)実質的に線状の構造、を有する第2のエチレンコポリマー;を含むポリマー組成物。
実施形態2:(a)(i)50、40、30、20、10または5wt%以上の分子間組成分布、(ii)実質的に線状の構造、を有する第1のエチレンコポリマー;ならびに(b)(i)50、40、30、20、10または5wt%以下の分子内組成分布、および(ii)実質的に線状の構造、を有する第2のエチレンコポリマー;を含む、潤滑流体のためのポリマー組成物。
実施形態3:(a)(i)50、40、30、20、10または5wt%以上の分子内組成分布、(ii)実質的に線状の構造、を有する第1のエチレンコポリマー;ならびに(b)(i)50、40、30、20、10または5wt%以下の分子間組成分布、および(ii)実質的に線状の構造、を有する第2のエチレンコポリマー;を含むポリマー組成物。
実施形態4:(a)(i)50、40、30、20、10または5wt%以上の分子内組成分布、(ii)実質的に線状の構造、を有する第1のエチレンコポリマー;ならびに(b)(i)50、40、30、20、10または5wt%以下の分子内組成分布、および(ii)実質的に線状の構造、を有する第2のエチレンコポリマー;を含むポリマー組成物。
実施形態5:第1のエチレンコポリマーのエチレン含有量(EA)または第2のエチレンコポリマーのエチレン含有量(EB)が、ポリマー組成物の質量に対して、35以上で、85以下の範囲にある、実施形態1から4までのポリマー組成物。
実施形態6:EBとEAの間の差の絶対値が5wt%以上である、実施形態1から4までのポリマー組成物。
実施形態7:第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、それぞれ、エチレンおよびコモノマーを含む、実施形態1から4までのポリマー組成物。前記コモノマーは、アルファ−オレフィンおよびこれらの混合物からなる群から独立に選択される。アルファ−オレフィンは、C3からC20のアルファ−オレフィンおよびこれらの混合物からなる群から独立に選択される。アルファ−オレフィンは、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンまたはこれらの混合物である。
実施形態8:第1および/または第2のエチレンコポリマーのコモノマーがポリエンモノマーをさらに含み、ポリマー組成物が5モル%までのポリエン由来単位をさらに含む、実施形態1から4までのポリマー組成物。
実施形態9:(a)潤滑油基油;および(b)ポリマー組成物の実施形態1から4までのいずれか1つ;を含む潤滑油組成物。この潤滑油組成物は、(i)1.5以上のTE;(ii)55未満のSSI;および(iii)500cSt以下の、−31℃での複素粘性率;からなる群から選択される物理的特性を有する。
【0050】
ポリマーの分析
エチレンコポリマーのエチレン質量パーセント(C2のwt%)としてのエチレン含有量は、ASTM D1903に従って求めた。
【0051】
エチレンコポリマーの結晶化温度(Tc)、および融解温度(Tm)のDSC測定は、TA Instruments Model 2910 DSCを用いて測定した。通常、6〜10mgのポリマーを、気密性の蓋でパン内に密封し、装置に入れた。窒素環境下に、最初、試料を、20℃/minで、−100℃に冷却した。それを、10℃/minで220℃まで加熱し、融解データ(1回目の加熱)を得た。これは、受入れたままの状態(as−received conditions)での融解挙動についての情報を与え、この挙動は、熱履歴、さらには試料の準備方法によって影響され得る。次いで、試料を、その熱履歴を消すために、220℃で平衡状態に置いた。結晶化データ(1回目の冷却)を、10℃/minで、溶融状態から−100℃まで試料を冷却することによって得て、−100℃で平衡状態に置いた。最後に、それを、再び、10℃/minで220℃まで加熱して、さらなる融解データ(2回目の加熱)を得た。吸熱融解転移(1回目および2回目の加熱)ならびに発熱結晶化転移(1回目の冷却)を、ピーク温度およびピークの下の面積を求めるために解析した。本明細書で用いられる場合、用語「融点」は、上に記載したように、2回目の融解の間に、DSCによって決められる主および副融解ピークの中で最も高いピークである。熱出力は、試料の融解ピークの下の面積として記録され、この融解ピークは、通常、約30℃から約175℃での最高ピークであり、約0℃と約200℃の温度の間で現れる。熱出力は、融解熱の尺度としてジュールで測られる。融点は、試料の融解範囲内における最大熱吸収の温度として記録される。
【0052】
分子量(質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/MnまたはMWD))は、示差屈折率検出器(DRI)、オンライン光散乱(LS)検出器、および粘度計を装備した、高温サイズ排除クロマトグラフ(Water Corporation、またはPolymer Laboratoriesのいずれかによる)を用いて求めた。検出器をどのようにして較正したかを含めて、下に記載しない実験の詳細は、T. Sun et al., “Effect of Short Chain Branching on the Coil Dimensions of Polyolefins in Dilute Solution,” Macromolecules, Volume 34, Issue 19, pp. 6812-6820, (2001)に記載されている。
【0053】
Polymer Laboratoriesの3本のPLgel 10mm Mixed−Bカラムを用いた。公称流量は、0.5cm3/minであり、公称注入容積は300μLであった。様々な移送ライン、カラムおよび示差屈折計(DRI検出器)は、145℃に保ったオーブン中に入れた。SEC実験のための溶媒は、酸化防止剤として6グラムのブチル化ヒドロキシトルエンを、4リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)(Aldrichの試薬グレード)に溶かすことによって準備した。次いで、TCB混合物を、0.7μmのガラスプレフィルターを通し、次に、0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターを通して濾過した。次いで、TCBを、SECに入れる前に、オンラオン脱気装置により脱気した。ポリマー溶液は、乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、望みの量のTCBを加え、次いで、混合物を160℃で約2時間、振盪しながら加熱することによって準備した。全ての量は、質量測定で求めた。質量/容積の単位で、ポリマー濃度を表すのに用いた、TCBの密度は、室温で1.463g/ml、145℃で1.324g/mlであった。注入濃度は、1.0から2.0mg/mlの範囲であり、低濃度を、高分子量試料で用いた。各試料を流す前に、DRI検出器およびインジェクターをパージした。次いで、装置における流量を、0.5ml/minに増やし、その状態で8〜9時間、DRIを安定化させ、その後、最初の試料を注入した。LSのレーザーは、試料を流す1から1.5時間前に点灯した。
クロマトグラムにおける各点での濃度(c)は、ベースラインを差し引いたDRIシグナル(IDRI)から、次の式:
c=KDRIDRI/(dn/dc)
を用いて計算し、ここで、KDRIは、DRIを較正することによって決まる定数であり、(dn/dc)は、光散乱(LS)分析に対して下で記載されるものと同じである。SEC法のこの説明全体を通して、パラメータの単位は、次の通りである:濃度は、g/cm3で表され、分子量は、g/モルで表され、また固有粘度は、dL/gで表される。
【0054】
用いた光散乱検出器は、Wyatt TechnologyのHigh Temperature mini−DAWNであった。クロマトグラムにおける各点でのポリマーの分子量(M)は、静的光散乱に対するZimmモデルを用いて、LS出力を解析することによって求められる(M.B. Huglin, Light Scattering from Polymer Solutions, Academic Press, 1971)。
【数1】

ここで、ΔR(θ)は、散乱角θで測定された剰余(excess)レイリー散乱強度であり、cは、DRI分析から求めたポリマー濃度であり、A2は、第2のビリアル係数であり[本発明およびその特許請求の範囲の目的に対しては、プロピレンポリマーでは、A2=0.0006であり、それ以外では0.001である]、P(θ)は、単分散ランダムコイルに対する形状因子であり(M.B. Huglin, Light Scattering from Polymer Solutions, Academic Press, 1971)、またK0は、系に対する光学定数である。
【数2】

式中、NAは、アヴォガドロ数であり、また、(dn/dc)は、系に対する屈折率増分である。λ=690nmで、145℃のTCBに対して、屈折率n=1.500である。本発明およびその特許請求の範囲の目的に対しては、プロピレンポリマーでは、(dn/dc)=0.104、その他の場合には0.1である。
【0055】
Viscotek Corporationの高温粘度計(これは、2つの圧力トランスデューサーを有するホイートストンブリッジ構成に配置された4つのキャピラリーを有する)を、比粘度を求めるために用いた。1つのトランスデューサーは、検出器の両端間の全圧力降下を測定し、他方は、ブリッジの2つの辺の間に位置し、差圧を測定する。粘度計を通して流れる溶液に対する比粘度(ηs)は、それらの出力から計算される。クロマトグラムの各点での固有粘度([η])は、次の式:
ηs=c[η]+0.3(c[η])2
から計算され、ここで、cは濃度であり、DRIの出力から求めた。
【0056】
分岐指数(g’)は、SEC−DRI−LS−VIS法の出力を用い、次のように計算される。試料の平均固有粘度([η]avg)が、次の式によって計算される。
【数3】

ここで、和は、積分区間の間のクロマトグラフの小区間(i)に渡る。分岐指数(g’)は、次のように定義される。
【数4】

ここで、本発明およびその特許請求の範囲の目的に対しては、エチレン、プロピレン、およびブテンのポリマーに対して、α=0.695であり;また、エチレンポリマーに対して、k=0.000579、プロピレンポリマーに対して、k=0.000228、またブテンポリマーに対して、k=0.000181である。Mvは、LS分析によって求められる分子量に基づく粘度平均分子量である。
【0057】
Anton−Parr Low Temperature Solution Rheology(低温レオロジー)実験を、Anton−Parr Model MCR501レオメータで、1度のコーンおよびプレートの構成を用いて行った。コーンは、公称角度1度および50μmの間隙を有する。約100マイクロリットルの試料が、シリンジ−ピペットを用い、ボトムプレート上に置かれる。次いで、コーンとプレートの間の容積が溶液によって完全に占められるように、プレート上にコーンが下げられる。次に、温度が、1.5℃/minの冷却速度で下げられ、その間に、0.1ラジアン/secの角振動数で、10%の歪みを加え、複素粘性率が測定され、毎分、値が記録される。次いで、0.1rad/secでの粘度が、ゲル化の影響を見るために、温度の関数としてプロットされる。
【0058】
メルトインデックス(MI)は、ASTM D1238に従って、2.16キログラムの荷重下に190℃で測定した。
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に従って、2.16キログラムの荷重または21.6キログラム荷重下に230℃で測定した。
増粘効率(TE)は、ASTM D445に従って求めた。
剪断安定性指数(SSI)は、ASTM D6278に従って、Kurt Ohban装置を用い、30および90回通しで求めた。
剪断応力データは、試料を、最初に−15℃に加熱し、15分間待つことによって実施した。次いで、剪断応力を測定しながら、20点/各桁、1点当たり1秒で、剪断速度を対数的に10-3から10まで変えることによって、対数的に増加する歪みを加える。
分岐点の数は、レーザー光散乱によって増強されたサイズ排除クロマトグラフィーの方法によって、分子量の関数としてポリマーの慣性半径を測定することによって求めた。これらの手順は、出版物、“A Study of the Separation Principle in Size Exclusion Chromatography,” T. Sun et al., 雑誌Macromolecules, Volume 37, Issue 11, pp. 4304-4312, (2004)、および“Effect of Short Chain Branching on the Coil Dimensions of Polyolefins in Dilute Solution” T. Sun et al., 雑誌Macromolecules, Volume 34, Issue 19, pp. 6812-6820, (2001)に記載されており、これらは、いずれも、参照として組み込まれる。
本質的に均一な分子内および分子間組成分布を有し、狭く、ほぼ確実に、小さい多分散性指数を有するポリマーにおける分岐は、また、TEと、2.16kgの荷重で測定されたMFR@230℃との比によっても表すことができる。高い値のこのパラメータは、低レベルの分岐を示すのに対して、低い値は、かなりのレベルの分岐を示す。
分子間組成分布は、CDBIとは異なり、全コモノマーモル含有量の中央値から、より小さい範囲内に、例えば、中央値の25wt%の範囲内のコポリマー含有量の質量パーセントを考慮する。例えば、ガウス型組成分布では、「ポリマーフラクション」としてこの例のために本明細書で用いられるポリマーの95.5%は、標準偏差が10%である場合、エチレンは平均値の20wt%の範囲内にある。前記ポリマーフラクションに対する分子間組成分布は、このような試料では20wt%エチレンである、すなわち、10%の標準偏差は、20wt%の分子間組成分布を生じる。
【0059】
組成の不均一性は、分子間−CDも分子内−CDも、炭素−13NMRによって求めることができる。分子間−CDおよび分子内−CDを求めるための通常の技法は、Macromolecules, H. N. Cheng et al., “13C NMR Analysis of Compositional Heterogeneity in Ethylene-Propylene Copolymers,” Volume 24, Issue 8, pp. 1724-1726, (1991)、および出版物、Macromolecules, C. Cozewith, “Interpretation of 13C NMR Sequence Distribution for Ethylene-Propylene Copolymers Made with Heterogeneous Catalysts”, Volume 20, Issue 6, pp. 1237-1244, (1987)に記載されている。
【0060】
一般に、ダイアド(diad)およびトリアド(triad)分布についての通常の炭素−13NMR測定が、エチレン系コポリマーを特徴付けるために用いられる。炭素−13NMRを測定するためのどのような通常の技法も用いられ得る。例えば、エチレン系コポリマー試料が、溶媒、例えば、トリクロロベンゼンに、4.5wt%の濃度で溶かされる。炭素−13NMRスペクトルは、NMRスペクトロメータで、100MHzで、高温で、例えば140℃で、得られる。例示的なスペクトロメータは、パルスフーリエ変換Varian XL−400 NMRスペクトロメータである。重水素化o−ジクロロベンゼンが、内部ロック信号を維持するために、同軸管に入れられる。次の装置条件が用いられる:パルス角、75°;パルス遅延、25秒;取得時間、0.5秒;掃引幅、16000Hz。炭素−13NMRピーク面積測定は、スペクトル積分によって求めた。ダイアドおよびトリアドの濃度は、Macromolecules, Kakugo et al., “13C NMR Determination of Monomer Sequence Distribution in Ethylene-Propylene Copolymers Prepared with δ-TiCl3-Al(C2H5)2Cl,” Volume 15, Issue 4, pp. 1150-1152, (1982)に記載されている式から計算した。この場合、ダイアドおよびトリアドの濃度は、モル分率分布を与えるように規格化した。ポリマーの組成は、メタンピーク、メチレンピーク、およびダイアドバランスから計算した。これらの値は、個々に考慮され得る、または、3つの値による平均が用いられ得る。特に断らなければ、本出願では、これらの3つの値による平均が用いられる。次いで、結果が、上の参考文献に開示されている通常のモデル式と比較される。
【0061】
これらの測定の一態様は、出版物の手順に従う、エチレン系ポリマーの重合系の反応性比(r12)の決定を含む。分子内または分子間のいずれであっても、組成の不均一性を有するポリマーは、僅かな、または無視できる量を有するにすぎないポリマーよりもずっと大きな反応性比を有する。
【0062】
理論または1つの計算法に限定されることなく、いわゆる理想共重合に対する1つの例示的モデルは、末端共重合モデルによって記述されると考えられる。
m=M(r1M+I)/(r2+M) (1)
式中、r1およびr2は、反応性比であり、mは、コポリマーにおけるモノマーの比(m1/m2)であり、Mは、反応器におけるモノマーの比(M1/M2)であり、ダイアドおよびトリアドの濃度は、一次のマルコフ統計に従う。このモデルでは、ダイアドおよびトリアドの濃度P12およびP21、エチレン末端鎖へのプロピレンの付加確率、およびプロピレン末端鎖へのプロピレンの付加確率に、それぞれ関連する9個の式が、誘導される。こうして、これらの式に、炭素−13NMRデータをフィッティングすることにより、モデルパラメータとしてのP12およびP21が得られ、これらから、r1およびr2を、次の関係式から得ることができる。
1M=(1−P12)/P12
2/M=(1−P21)/P21
12=1であるランダム共重合に対する対応する式は、また、上の式(1)を、m=r1Mへと簡単にするために用いることができる。ポリマーにおけるエチレンフラクション(E)は、1−P12に等しい。これにより、ダイアドおよびトリアドの式が、ポリマーの組成によって書ける。
EE=E2
EE=2E(1−E)
PP=(1−E)2
EEE=E3
EEP=2E2(1−E)
EPE=E2(1−E)
PEP=E(1−E)2
PPE=2E(1−E)2
PPP=(1−E)3
【0063】
これらの式の変形および拡張は、異なる活性部位を有する触媒の使用、存在する触媒化学種の数を見積もるための式、または3種以上の化学種が存在するもののような複雑なモデル、その他を含めて、本明細書に組み込まれている参考文献に与えられている。
これらのモデル式、および、Macromolecules, C. Cozewith et al., “Ethylene-Propylene Copolymers. Reactivity Ratios, Evaluation, and Significance,” Volume 4, Issue 4, pp. 482-489, (1971)によって与えられるモデル式から、共重合反応速度論から生じる
【数5】

および
【数6】

の平均値が、次の式によって与えられる。
【数7】

これらの式、および上で列挙された参考文献に記載されているモデルは、エチレン系コポリマーの組成分布を特徴付けるために、当業者によって利用され得る。
【0064】
分子内−CDを求めるためのさらなる情報および教示は、Macromolecules, Randell, James C., “Methylene Sequence Distributions and Number Average Sequence Lengths in Ethylene-Propylene Copolymers,” Volume 11, Issue 1, pp. 33-36, (1978)、Macromolecules, Cheng, H.N., “13C NMR Analysis of Ethylene-Propylene Rubbers,” Volume 17, Issue 10, pp. 1950-1955, (1984)、およびMacromolecules, Ray, G. Joseph et al., “Carbon-13 Nuclear Magnetic Resonance Determination of Monomer Composition and Sequence Distributions in Ethylene-Propylene Copolymers Prepared with a Stereoregular Catalyst System,” Volume 10, Issue 4, pp. 773-778, (1977)に見出され、これらの各々は、その全体が、参照として本明細書に組み込まれる。このような教示は、オレフィンポリマーを分析し、特性評価をする当業者に、容易に知られる。
【0065】
昇温溶離分別(TREF)。分子間組成不均一性の定量は、半結晶性コポリマーの溶解性は温度に強く依存する関数であるというよく知られた原理に基づいて、Polymer Char TREF 200によって実施される、EPコポリマーの分別によって行われる。対応する方法は、米国特許第5008204号に記載されている。器具は、ステンレス鋼中実ビーズを詰めたカラムである。関心のあるコポリマーを、1,2 オルト−ジクロロベンゼン(oDCB)に、160℃、60分間で溶かした。0.5ミリリットル(ml)のポリマー溶液(濃度=4〜5mg/ml)を、カラムに注入し、そこで、それを、140℃、45分間で安定させた。溶液を、140℃から−15℃まで、1℃/minで冷却し、10分間、この温度で平衡状態に置いた。これにより、静止した溶液からコポリマーが、ビーズの表面上に、結晶度が低下する順に層を成して晶析した。純粋な溶媒(oDCB)を、赤外検出器を通して、1ml/minの流量で、−15℃で5分間、ポンプで送った。次いで、バルブを切り換えて、この冷却oDCBが、−15℃で10分間、同じ流量で、カラムを通して流れるようにした。溶離した材料は、コポリマーの可溶フラクションと呼んだ。この時点で、ヒーターをオンにし、溶媒は、カラムおよび赤外検出器の両方を通して流れ続け、この間、温度を、2℃/minの制御された速度で、140℃まで上昇するようにセットした。赤外検出器は、カラムからの流出物中のコポリマーの濃度を連続的に測定し、連続溶解分布曲線を得た。
【実施例】
【0066】
(実施例1)
実施例1および2のエチレンプロピレンコポリマーの製造
実施例1の全てのポリマー組成物は、1つの連続攪拌槽反応器で合成した。重合は、ヘキサンを溶媒として用い、溶液中で実施した。反応器において、重合を、110℃〜115℃の温度、20barの全圧力、ならびに、それぞれ1.3kg/hrおよび2kg/hrのエチレンおよびプロピレンのフィード速度で実施した。触媒として、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロンを、ジ(p−トリエチルシリルフェニル)メテニル[(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)]ハフニウムジメチルを活性化するために用いた。このプロセスにおいて、望みのMFRを実現するために、水素添加および温度制御を用いた。触媒は、反応器の外で活性化し、目標とする重合温度を維持するのに効果のある量で、必要なときに添加した。
【0067】
反応器から出て来るコポリマー溶液は、水を添加することによって、さらに重合することを止め、次いで、フラッシングまたは液相分離のような、一般的に知られている揮発分除去方法を用いて、最後には溶媒および他の揮発分を0.5wt%未満含む溶融ポリマー組成物となるように、最初に、大部分のヘキサンを除去して濃厚溶液とし、次に、残りの溶媒を、揮発分除去装置もしくは揮発分除去用2軸押出機を用いて無水条件下にストリッピングすることによって、揮発分を除去した。溶融ポリマーは、固体になるまで冷却した。
【0068】
実施例1のエチレンコポリマーの組成、溶融粘度および分子量特性を、表1に示す。
表1
【表1】

【0069】
実施例1のエチレンコポリマーに対する融解温度のデータおよび融解熱を、表2に示す。
表2
【表2】

【0070】
表3
【表3】

表3におけるTE*およびSSI*の値は、次の潤滑油特性:ASTM D445−5、動粘性率@100℃=5.189cSt;ASTM D445−3、動粘性率@40℃=29cSt min.;ASTM D2270 粘度指数=95 min.;ASTM D92 引火点(COC)=210℃ min.;ASTM D97 流動点=−15℃ max.;および、ASTM D5800 ノアック(Noack)揮発性=20wt% max;を有するExxonMobilのグループI基油原料を用いるAmericas Core 150中、1wt%のポリマー濃度の実施例1のエチレンコポリマーについて測定した。
【0071】
(実施例2)
表4は、実施例1のエチレンコポリマーの組成分散および結晶度分散ブレンドを示す。これらの分散ブレンドは、多数のバッチとして、様々なポリマーの分取試料を用いて、120℃から150℃の温度で3から5分間、250mlの内部空間を有するブラベンダーミキサーで、15から20rpmの速度で回転する低剪断ブレードを用い、溶融ブレンドによって製造した。混合操作の間、窒素シール層流(nitrogen blanket)を用いることによって、また、3:1のIrganox 1076とIrgafos 168の混合物を、混合操作の前に1000ppm添加することによって、エチレンコポリマーを保護した。
【0072】
表4
【表4】

【0073】
実施例2において製造した組成分散および結晶度分散ブレンドの特性を、表5に示す。
表5
【表5】

【0074】
実施例2の組成分散および結晶度分散ブレンドの溶融温度および融解熱を、表2に示す。
表6
【表6】

【0075】
表7
【表7】

【0076】
表7におけるSSI*およびTE*の値は、次の潤滑油特性:ASTM D445−5 動粘性率@100℃=4.14cSt;ASTM D445−3 動粘性率@40℃=19cSt;ASTM D2270 粘度指数=126;ASTM D92 引火点(COC)=220℃ min.;ASTM D97 流動点=−66℃;および、ASTM D1298、比重@15.6/15.6℃=0.820;を有するExxonMobil Chemicalの合成基油原料(SpectraSyn)であるPAO−4中、1wt%のポリマー濃度の実施例2の組成および結晶度分散ブレンドについて測定した。
【0077】
表8
【表8】

【0078】
表8におけるSSI*およびTE*の値は、次の潤滑油特性:ASTM D445−5、動粘性率@100℃=5.189cSt;ASTM D445−3、動粘性率@40℃=29cSt min.;ASTM D2270 粘度指数=95 min.;ASTM D92 引火点(COC)=210℃ min.;ASTM D97 流動点=−15℃ max.;および、ASTM D5800 ノアック揮発性=20wt% max;を有するExxonMobilのグループI基油であるAmericas Core 150中、1wt%のポリマー濃度の実施例2の組成および結晶度分散ブレンドについて測定した。
【0079】
組成および結晶度分散ブレンドの試料を、PAO−4に、2.5wt%の濃度で溶かし、20℃から−35℃の温度で、上に記載したAnton−Parrレオメータでレオロジーについて試験した。分散ブレンドおよび比較のチーグラー−ナッタに基づくポリマー組成物に対する複素粘性率のデータを、表9〜13に示す。分散ブレンドおよびメタロセンに基づくポリマー組成物に対する複素粘性率のデータを、図1に温度の関数として示す。
【0080】
表9
【表9】

【0081】
表10
【表10】

【0082】
表11
【表11】

*PAO-4中、1.0wt%の濃度で測定した複素粘性率
【0083】
表12
【表12】

【0084】
表13
【表13】

*PAO-4中、1.0wt%の濃度で測定した複素粘性率。
【0085】
組成分散および結晶度分散ブレンド、ならびにチーグラー−ナッタに基づくポリマー組成物の試料は、また、表14〜18に示すように、剪断応力および歪みについても調べた。
分散ブレンド、およびメタロセンに基づくポリマー組成物について、歪みの関数としての剪断応力を、図2に示す。
【0086】
表14
【表14】

【0087】
表15
【表15】

【0088】
表16
【表16】

*PAO-4中、1.0wt%の濃度で測定した剪断応力および歪み。
【0089】
表17
【表17】

【0090】
表18
【表18】

*PAO-4中、1.0wt%の濃度で測定した剪断応力および歪み。
【0091】
上のこれらのデータは、本発明のポリマー組成物が、より複雑で、より費用の掛かる複数ステップの方法によって準備される成分から製造される配合物の特性と同様の特性を有する潤滑油配合物に調製できることを例示する。
【0092】
本発明の例示的実施形態は、次のように提供される。
(1)
(a)
i.35以上で60以下の範囲のEA;および
ii.130,000未満のMwA
を有する第1のエチレンコポリマー;
(b)
i.35以上で85以下の範囲のEB;および
ii.70,000未満のMwB
を有する第2のエチレンコポリマー
を含むポリマー組成物。
(2)第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、実質的に線状の構造を有する、実施形態(1)のポリマー組成物。
(3)第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、約2.4以下のMWDを有する、実施形態(1)または(2)のポリマー組成物。
(4)第1のエチレンコポリマーのMWDが、1.80以上で1.95以下の範囲にあり、および/または、第2のエチレンコポリマーのMWDが、1.80以上で1.95以下の範囲にある、実施形態(1)〜(3)のいずれか1つのポリマー組成物。
(5)ポリマー組成物について、EAがEB未満であり、および/または、EBとEAの差が5以上である、実施形態(1)〜(4)のいずれか1つのポリマー組成物。
(6)ポリマー組成物について、MIA/MIBが、3.0以下である、実施形態(1)〜(5)のいずれか1つのポリマー組成物。
(7)ポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの質量パーセントが、ポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの質量パーセントを超える、実施形態(1)〜(6)のいずれか1つのポリマー組成物。
(8)MwAが90,000未満であり、および/または、MwBが60,000未満である、実施形態(1)〜(7)のいずれか1つのポリマー組成物。
(9)第1および/または第2のエチレンコポリマーが、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるコモノマーとを含む、実施形態(1)〜(8)のいずれか1つのポリマー組成物。
(10)第1および/または第2のエチレンコポリマーのコモノマーが、ポリエンモノマーをさらに含み、ポリマー組成物が、5モル%までのポリエン由来単位をさらに含む、実施形態(9)のポリマー組成物。
(11)
(a)潤滑油基油;および
(b)先の実施形態のいずれか1つのポリマー組成物
を含む潤滑油組成物。
(12)(a)1.5以上のTE;(b)55未満のSSI;および(c)500cSt以下の、−31℃での複素粘性率;の少なくとも1つを有する、実施形態(11)の潤滑油組成物。
(13)
(a)先の実施形態のいずれかの1つの第1のエチレンコポリマーを含む第1の流出物を生じるように、エチレンおよび第1のコモノマー成分を、第1のメタロセン触媒の存在下に、第1の重合反応ゾーンにおいて、第1の重合条件下に、共重合するステップ;
(b)先の実施形態のいずれかの1つの第2のエチレンコポリマーを含む第2の流出物を生じるように、エチレンおよび第2のコモノマー成分を、第2のメタロセン触媒の存在下に、第2の重合反応ゾーンにおいて、第2の重合条件下に、共重合するステップ;および
(c)先の実施形態のいずれかの1つのポリマー組成物を生成するステップ;
を含み、
第1および第2の重合条件が、スラリー相、溶液相および塊状相からなる群から独立に選択され;また、
第1および第2の重合反応ゾーンが、直列、並列または同一である
ポリマー組成物の製造方法。
(14)
(a)
i.0以上で30以下の範囲のHA;および
ii.130,000未満のMwA
を有する第1のエチレンコポリマー;
(b)
i.30を超え60以下の範囲のHB;および
ii.70,000未満のMwB
を有する第2のエチレンコポリマー
を含むポリマー組成物。
(15)第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、実質的に線状の構造を有する、実施形態(14)のポリマー組成物。
(16)第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、約2.4以下のMWDを有する、実施形態(14)または(15)のポリマー組成物。
(17)第1のエチレンコポリマーのMWDが、1.80以上で1.95以下の範囲にあり、および/または、第2のエチレンコポリマーのMWDが、1.80以上で1.95以下の範囲にある、実施形態(14)〜(16)のいずれか1つのポリマー組成物。
(18)ポリマー組成物について、HAがHB未満である、実施形態(14)〜(17)のいずれか1つのポリマー組成物。
(19)HAが0以上で10以下の範囲にある、実施形態(14)〜(18)のいずれか1つのポリマー組成物。
(20)MIA/MIBが3.0以下である、実施形態(14)〜(19)のいずれか1つのポリマー組成物。
(21)ポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの質量パーセントが、ポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの質量パーセントを超える、実施形態(14)〜(20)のいずれか1つのポリマー組成物。
(22)MwAが90,000未満であり、および/または、MwBが60,000未満である、実施形態(14)〜(21)のいずれか1つのポリマー組成物。
(23)第1および/または第2のエチレンコポリマーが、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるコモノマーとを含む、実施形態(14)〜(22)のいずれか1つのポリマー組成物。
(24)
(a)潤滑油基油;および
(b)実施形態(14)〜(23)のいずれか1つのポリマー組成物
を含む潤滑油組成物。
(25)
(a)実施形態(14)〜(23)のいずれかの1つの第1のエチレンコポリマーを含む第1の流出物を生じるように、エチレンおよび第1のコモノマー成分を、第1のメタロセン触媒の存在下に、第1の重合反応ゾーンにおいて、第1の重合条件下に、共重合するステップ;
(b)実施形態(14)〜(23)のいずれかの1つの第2のエチレンコポリマーを含む第2の流出物を生じるように、エチレンおよび第2のコモノマー成分を、第2のメタロセン触媒の存在下に、第2の重合反応ゾーンにおいて、第2の重合条件下に、共重合するステップ;および
(c)実施形態(14)〜(23)のいずれかの1つのポリマー組成物を生成するステップ
を含み、
第1および第2の重合条件が、スラリー相、溶液相および塊状相からなる群から独立に選択され;
第1および第2の重合反応ゾーンが、直列、並列または同一である
ポリマー組成物の製造方法。
【0093】
数値の下限および数値の上限が本明細書において列挙されている場合、任意の下限から任意の上限までの範囲が想定されている。
本明細書に記載されている全ての参考文献、特許および文書は、本文と矛盾しない範囲で、如何なる優先権文献および/または試験手順も含めて、参照として本明細書に組み込まれ、前述の一般的説明および具体的実施形態から明らかであるように、本発明の形態が、例示され、説明されたが、様々な改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得る。したがって、それによって本発明を限定しようとするものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
i.35以上で60以下の範囲のEA;および
ii.130,000未満のMwA
を有する第1のエチレンコポリマー;
(b)
i.35以上で85以下の範囲のEB;および
ii.70,000未満のMwB
を有する第2のエチレンコポリマー
を含むポリマー組成物。
【請求項2】
第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、実質的に線状の構造を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、約2.4以下のMWDを有する、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
第1のエチレンコポリマーのMWDが、1.80以上で1.95以下の範囲にあり、および/または、第2のエチレンコポリマーのMWDが、1.80以上で1.95以下の範囲にある、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
ポリマー組成物について、EAがEB未満であり、および/または、EBとEAの差が5以上である、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
ポリマー組成物について、MIA/MIBが3.0以下である、請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
ポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの質量パーセントが、ポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの質量パーセントを超える、請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
MwAが90,000未満であり、および/または、MwBが60,000未満である、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
第1および/または第2のエチレンコポリマーが、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるコモノマーとを含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
第1および/または第2のエチレンコポリマーのコモノマーが、ポリエンモノマーをさらに含み、ポリマー組成物が、5モル%までのポリエン由来単位をさらに含む、請求項9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
(a)潤滑油基油;および
(b)請求項1から10までのいずれか1項に記載のポリマー組成物
を含む潤滑油組成物。
【請求項12】
(a)1.5以上のTE;(b)55未満のSSI;および(c)500cSt以下の、−31℃での複素粘性率の少なくとも1つを有する、請求項11に記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
(a)請求項1から12までのいずれか1項に記載の第1のエチレンコポリマーを含む第1の流出物を生じるように、エチレンおよび第1のコモノマー成分を、第1のメタロセン触媒の存在下に、第1の重合反応ゾーンにおいて、第1の重合条件下に、共重合するステップ;
(b)請求項1から12までのいずれか1項に記載の第2のエチレンコポリマーを含む第2の流出物を生じるように、エチレンおよび第2のコモノマー成分を、第2のメタロセン触媒の存在下に、第2の重合反応ゾーンにおいて、第2の重合条件下に、共重合するステップ;および
(c)請求項1から12までのいずれか1項に記載のポリマー組成物を生成するステップ
を含み、
第1および第2の重合条件が、スラリー相、溶液相および塊状相からなる群から独立に選択され;
第1および第2の重合反応ゾーンが、直列、並列または同一である
ポリマー組成物の製造方法。
【請求項14】
(a)
i.0以上で30以下の範囲のHA;および
ii.130,000未満のMwA
を有する第1のエチレンコポリマー;
(b)
i.30を超え60以下の範囲のHB;および
ii.70,000未満のMwB
を有する第2のエチレンコポリマー
を含むポリマー組成物。
【請求項15】
第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、実質的に線状の構造を有する、請求項14に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
第1のエチレンコポリマーおよび/または第2のエチレンコポリマーが、約2.4以下のMWDを有する、請求項14または15に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
第1のエチレンコポリマーのMWDが、1.80以上で1.95以下の範囲にあり、および/または、第2のエチレンコポリマーのMWDが、1.80以上で1.95以下の範囲にある、請求項14から16までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
ポリマー組成物について、HAがHB未満である、請求項14から17までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
Aが0以上で10以下の範囲にある、請求項14から18までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
MIA/MIBが3.0以下である、請求項14から19までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
ポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの質量パーセントが、ポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの質量パーセントを超える、請求項14から20までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項22】
MwAが90,000未満であり、および/または、MwBが60,000未満である、請求項14から21までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
第1および/または第2のエチレンコポリマーが、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるコモノマーとを含む、請求項14から22までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項24】
(a)潤滑油基油;および
(b)請求項14から23までのいずれか1項に記載のポリマー組成物
を含む潤滑油組成物。
【請求項25】
(a)請求項14から23までのいずれか1項に記載の第1のエチレンコポリマーを含む第1の流出物を生じるように、エチレンおよび第1のコモノマー成分を、第1のメタロセン触媒の存在下に、第1の重合反応ゾーンにおいて、第1の重合条件下に、共重合するステップ;
(b)請求項14から23までのいずれか1項に記載の第2のエチレンコポリマーを含む第2の流出物を生じるように、エチレンおよび第2のコモノマー成分を、第2のメタロセン触媒の存在下に、第2の重合反応ゾーンにおいて、第2の重合条件下に、共重合するステップ;および
(c)請求項14から23までのいずれか1項に記載のポリマー組成物を生成するステップ
を含み、
第1および第2の重合条件が、スラリー相、溶液相および塊状相からなる群から独立に選択され;
第1および第2の重合反応ゾーンが、直列、並列または同一である
ポリマー組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−525471(P2012−525471A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508523(P2012−508523)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031301
【国際公開番号】WO2010/126721
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】