説明

レジストインキおよびそれを用いたレジストパターンの形成方法

【課題】微細なレジストパターンを反転印刷法により形成するのに適した性質を備えたレジストインキならびにそのようなレジストインキを用いたレジストパターンの形成方法を提供すること。
【解決手段】熱溶融型樹脂からなる樹脂微粒子と、前記樹脂微粒子を溶解せずかつ前記樹脂微粒子を分散可能である溶媒とを含むレジストインキ。このようなレジストインキは、粘度や表面エネルギーなどの面において、反転印刷法に用いるのに適した性質を有する。また、前記樹脂微粒子は熱溶融型樹脂からなるため、レジストインキパターンを被エッチング材上に転写した後に加熱することで前記樹脂微粒子は溶融し、形成されるレジストパターンのエッチング耐性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレジストインキに関し、特に反転印刷法により微細なレジストパターンを形成するのに適したレジストインキに関する。また、本発明はそのようなレジストインキを用いたレジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板やプラスチック基板などの被印刷基材上に微細な印刷パターンを形成する従来法として、特許文献1に記載されているような、ブランケット上に均一な厚みの樹脂塗面を形成し、凸版に樹脂塗面を接触・押圧させ、凸版で押圧された樹脂塗面の一部をブランケット上から除去し、ブランケット上に形成された樹脂パターンを被印刷基材上に転写する方法が知られている(図1を参照)。このような印刷法は反転印刷法と呼ばれており、従来の他の印刷法よりも微細な印刷パターンを形成するのに適した印刷法として知られている。
【0003】
またそのような反転印刷法に好適なインキ組成物として、例えば特許文献2および3には、速乾性溶剤と遅乾性溶剤の混合物である揮発性溶剤、前記揮発性溶剤に可溶な樹脂および前記揮発性溶剤に不溶な固形物とを含有するインキ組成物が開示されており、そのようなインキ組成物はTFT型カラー液晶表示装置のカラーフィルタを製造する際、あるいはガラスやプラスチックなどからなる基板上に微細な導電体回路を印刷して配線板や印刷回路を形成する際などに好適である旨が記載されている。特許文献2および3に記載のインキ組成物は、ブランケット上に均一なインキ塗面を形成することができるような粘度、表面エネルギーを有し、凸版との接触によって完全な印刷パターンがブランケット上に形成できるような乾燥性、付着力、凝集力が発現され、さらにブランケット上のインキ塗膜が完全に被印刷基材上に転写できるような付着力、凝集力を備えたことを特徴とする。これらの特徴は、主に揮発性溶剤に不溶な固形物を含有させて粘度、表面エネルギーあるいは凝集力といったインキ組成物の特性を制御することにより得られたものと考えられる。特許文献2および3において、揮発性溶剤に不溶な固形物とは樹脂とは異なる成分であり、顔料等の着色剤、粉末状の導電性材料あるいは蛍光発色剤などがこれに該当するとしている。
【0004】
一方、微細な回路を製造するためのレジストパターンの形成方法としては、現在フォトリソグラフィ(フォトリソ)が主流であるが、レジストパターンの形成をフォトリソグラフィに代えて反転印刷法により行うことができれば、露光や現像などの工程を省略することが可能となり工程の簡素化に有利である。しかしながら、特許文献2および3に記載されているようなインキ組成物を応用したレジストインキを用いて反転印刷法によりレジストパターンを形成しようとすると、特許文献2および3に記載のインキ組成物は揮発性溶剤に不溶な固形物を必須の成分とするため、そのような固形物がエッチング処理時及びレジスト剥離処理時に残渣となり、その残渣による不良品の発生が懸念される。また、上述のように反転印刷法に利用可能なインキ組成物は所定の特性を有するものでなくてはならないため、そのような特性を有し、かつエッチング耐性が高く剥離時に残渣が生じないレジストパターンを形成することができるレジストインキを調製することは非常に困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−56405号公報
【特許文献2】特開2005−126608号公報
【特許文献3】特開2005−128346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不良品を発生させるような固形物を含まず、かつ高いエッチング耐性を備えた微細なレジストパターンを反転印刷法により形成するのに適した性質を備えたレジストインキ、ならびにそのようなレジストインキを用いたレジストパターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは検討の結果、反転印刷法により微細なレジストパターンを形成するのに適した新規なレジストインキ、およびそのレジストインキを用いた新規なレジストパターンの形成方法を見出した。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)熱溶融型樹脂からなる樹脂微粒子と、前記樹脂微粒子を溶解せずかつ前記樹脂微粒子を分散可能である溶媒とを含む、レジストインキ。
(2)反転印刷法により被エッチング材上にレジストパターンを形成するための、(1)に記載のレジストインキ。
(3)前記樹脂微粒子と前記溶媒との溶解度パラメータの差が2.5(cal/cm1/2以上である、(1)または(2)に記載のレジストインキ。
【0008】
(4)前記樹脂微粒子と前記溶媒との密度の差が±0.05g/cm以内である、(1)〜(3)のいずれかに記載のレジストインキ。
(5)前記樹脂微粒子が0.01〜20μmの平均粒径を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載のレジストインキ。
【0009】
(6)前記熱溶融型樹脂が1000〜10000の重量平均分子量を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載のレジストインキ。
(7)前記熱溶融型樹脂がフェノール系樹脂である、(1)〜(6)のいずれかに記載のレジストインキ。
(8)前記溶媒が、少なくとも1種の高密度溶媒と、少なくとも1種の低密度溶媒とを含む、2種以上の溶媒の混合物である、(1)〜(7)のいずれかに記載のレジストインキ。
【0010】
(9)粘度が0.5〜15.0mPa・sであり、かつ表面張力が12.0〜27.0dyn/cmである、(1)〜(8)のいずれかに記載のレジストインキ。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載のレジストインキを用いて反転印刷法により被エッチング材上にレジストインキパターンを印刷し、前記パターンを加熱することにより前記レジストインキに含まれる樹脂微粒子を溶融させてレジストパターンを形成することを含む、レジストパターンの形成方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレジストインキは、樹脂微粒子と、前記樹脂微粒子を溶解せずかつ前記樹脂微粒子を分散可能である溶媒とを含む構成としたことにより、反転印刷法によりレジストパターンを形成するのに特に適した性質(すなわちブランケット上に均一な塗面を形成することができる粘度および表面エネルギー(表面張力)、ならびに凸版との接触によってブランケット上にレジストインキパターンを形成することができ、かつ被エッチング材上に前記パターンを転写することができる付着力および凝集力)を備える。さらに、前記樹脂微粒子は熱溶融型樹脂からなるため、レジストインキパターンを被エッチング材上に転写した後に加熱することで前記樹脂微粒子は溶融し、形成されるレジストパターンのエッチング耐性を高めることが可能となる。そして、このようなレジストインキによれば、フォトリソグラフィに代わる、微細な回路を製造するためのレジストパターンの形成方法を提供することができる。本発明のレジストインキを用いたレジストパターンの形成方法は、フォトリソグラフィと異なり露光および現像の工程が不要であるため、工程の簡素化において有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】反転印刷法の一例を模式的に示す概略図である。
【図2】本発明のレジストインキを用いた反転印刷法によるレジストパターン形成プロセスの一部を模式的に示す図である。
【図3】本発明のレジストインキを用いた反転印刷法によるレジストパターン形成プロセスの一部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明のレジストインキを用いてレジストインキパターンを印刷するための反転印刷法について説明する。反転印刷法とは、ブランケット表面に形成された均一なインキ塗膜を凸版により画像化し、これを被印刷基材上に転写してインキパターンを被印刷基材上に印刷する凸版反転印刷法のことである。
【0014】
図1は反転印刷法の一例を模式的に示す概略図である。図1(a)に示すように、まず塗布装置3は毛細管現象を利用してインキ4を吸い上げ、回転胴1上のブランケット2の表面に均一な厚みのインキベタ膜5を形成する。次に、図1(b)に示すように、表面に均一なインキベタ膜5が形成されたブランケット2の表面を凸版である印刷版6に押圧・接触させ、印刷版6の凸部の表面にブランケット2表面上のインキベタ膜5の一部を付着・転移させる。印刷版6の凸部の表面には除去インキ7が残る。これによりブランケット2の表面にはインキパターン8が形成される。次に、図1(c)に示すように、この状態のブランケット2を被印刷基材9の表面に押圧することにより、ブランケット2上のインキパターン8が被印刷基材9上に転写される。
【0015】
これを応用したレジストパターンの形成における反転印刷法とは、ブランケット表面に形成された均一なレジストインキ塗膜を凸版により画像化し、これを被エッチング材上に転写してレジストインキパターンを被エッチング材上に印刷する凸版反転印刷法を意味する。以下、反転印刷法による本発明のレジストパターンの形成方法について説明する。
【0016】
図2は本発明のレジストインキを用いた反転印刷法によるレジストパターン形成プロセスを模式的に示す図である。図2(a)に示すように、まず塗布装置3は毛細管現象を利用してレジストインキ10を吸い上げ、回転胴1上のブランケット2の表面に均一な厚みのレジストインキ膜11を形成する。次に、図2(b)に示すように、表面に均一なレジストインキ膜11が形成されたブランケット2の表面を凸版である印刷版6に押圧・接触させ、印刷版6の凸部の表面にブランケット2表面上のレジストインキ膜11の一部を付着・転移させる。印刷版6の凸部の表面には除去レジストインキ12が残る。これによりブランケット2の表面にはレジストインキパターン13が形成される。次に、図2(c)に示すように、この状態のブランケット2を被エッチング材14の表面に押圧することにより、ブランケット2上のレジストインキパターン13が被エッチング材14上に転写される。次に、図2(d)に示すように、被エッチング材14上に転写されたレジストインキパターン13を、必要に応じて乾燥させた後、加熱することで、レジストインキパターン13はレジストパターン15となる。
【0017】
図3は、レジストインキ10、レジストインキパターン13およびレジストパターン15の一部を拡大した模式図である。図3(a)に示すように、レジストインキ11は熱溶融型樹脂微粒子16が溶媒17中に分散した組成を有する。図3(b)に示すように、被エッチング材14上に転写されたレジストインキパターン13は、レジストインキ10に含まれていた熱溶融型樹脂微粒子16が凝集したものである。そして図3(c)に示すように、レジストインキパターン13を加熱すると、熱溶融型樹脂微粒子16は熱により溶融し、レジストパターン15となる。加熱後のレジストパターン15は、熱溶融型樹脂微粒子16が溶融したことにより、加熱前のレジストインキパターン13と比較してレジストとして必要な密着力およびエッチング耐性が高まったものとなる。また、熱溶融型樹脂微粒子16が溶融することにより相互に接着することで、レジスト剥離時にも残渣が生じにくくなる。
【0018】
このような反転印刷法を利用して微細で精密なレジストパターンを形成する際、これに使用されるレジストインキは、塗布装置3によるブランケット2への塗布、ブランケット2から印刷版6へのレジストインキ膜11の転移、ブランケット2から被エッチング材14へのレジストインキパターン13の転写の各プロセスにおいて、適切なインキ転移性を保持する必要がある。塗布装置3によるブランケット2への塗布の際にレジストインキ膜11を薄膜で平滑かつ均一に形成するためには、レジストインキの粘度と表面エネルギーを適切にコントロールする必要がある。また、ブランケット2から印刷版6へのレジストインキ膜11の転移の際およびブランケット2から被エッチング材14へのレジストインキパターン13の転写の際に転移および転写を完全に行うためには、レジストインキの付着力と凝集力を適切にコントロールする必要がある。
【0019】
次に、本発明のレジストインキについて説明する。本発明は、熱溶融型樹脂からなる樹脂微粒子と、前記樹脂微粒子を溶解せずかつ前記樹脂微粒子を分散可能である溶媒とを含むレジストインキに関する。本発明のレジストインキは、(a)ブランケット表面に均一かつ一定以上の厚みの塗面を形成することができるような粘度および表面エネルギー、(b)凸版を接触・押圧させて不要な部分を除去することによりレジストインキパターンを形成可能な付着力および凝集力、ならびに(c)ブランケット面上に形成されたレジストインキパターンを完全に被エッチング材上に転写できるような付着力および凝集力を備え、反転印刷法により被エッチング材上にレジストパターンを形成することに適している。この本発明のレジストインキの性質は、樹脂微粒子が溶媒中に溶解せずに分散していることにより実現される。
【0020】
特に、レジストとして好ましい厚さ(例えば2μm以上)のレジストパターン得るために、本発明のレジストインキの樹脂微粒子が溶媒に分散しているという構成が大きく貢献する。例えば、樹脂が溶媒に溶解しているようなレジストインキであっても、使用する樹脂と溶媒との選択により表面エネルギー等を調整することによって反転印刷法に使用可能とすることはできる。しかし、そのようなレジストインキでは、必要な厚さのレジストパターンを一度に形成することは非常に難しく、レジストインキの塗布を数回繰り返すなどの工程が必要となる。その一方、本発明の樹脂微粒子が溶媒に分散している構成を有するレジストインキによれば、反転印刷法によって十分な厚さのレジストインキパターンを一度で形成することができる。また、形成したレジストインキパターンを加熱して樹脂微粒子を溶解させることにより、形成されたレジストパターンは十分なエッチング耐性を備えたものとなる。
【0021】
上述した本発明のレジストインキの特性は、前記樹脂微粒子の材質、分子量および平均粒径、ならびに前記溶媒の溶解度パラメータおよび密度を調整することでより優れたものとなる。
【0022】
本発明のレジストインキに用いる樹脂微粒子は熱溶融型樹脂からなる。熱溶融型樹脂としては、加熱により溶融するものであれば制限されないが、例えばフェノール系樹脂、特にノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型ビスフェノール樹脂、ノボラック型エチルフェノール樹脂、ノボラック型ブチルフェノール樹脂およびノボラック型オクチルフェノール樹脂などのノボラック型フェノール系樹脂、とりわけノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂が好適に用いることができる。また、上記のフェノール系樹脂の2つ以上からなる混合物も好適に用いることができる。具体的には、エア・ウォーター社から市販されているノボラック型フェノール系樹脂である熱溶融型のベルパール(登録商標)を好適に用いることができる。特にノボラック型フェノール系樹脂は従来のフォトリソグラフィ法においてもレジスト材料として用いられているため、本発明で用いる樹脂をノボラック型フェノール系樹脂とすると、エッチング以降の工程を従来の装置および材料をそのまま用いて行うことができるため有利である。
【0023】
本発明のレジストインキに用いる樹脂微粒子を構成する熱溶融型樹脂は、重量平均分子量が1000〜10000程度、特に2000〜8000、とりわけ4000〜8000程度であることが好ましい。熱溶融型樹脂の重量平均分子量が大きすぎると熱で溶融しにくくなる一方、重量平均分子量が小さすぎてもレジストパターンを形成した際のエッチング耐性が低下してしまうおそれがある。しかし、熱溶融型樹脂の重量平均分子量が上述の範囲内であれば、好ましい熱溶融性およびエッチング耐性が実現される。特に熱溶融性樹脂は、その熱溶融性樹脂からなる樹脂微粒子を含むレジストインキで印刷したパターンを80〜150℃で1〜2分程度加熱することにより、溶融および硬化して十分なエッチング耐性を備えたレジストパターンとなるようなものが好ましく、さらにエッチング後は剥離剤によって被エッチング剤から容易に剥離可能であるものが好ましい。
【0024】
本発明のレジストインキに用いる樹脂微粒子の平均粒径は、0.01〜20μm、特に0.05〜1.0μmであることが好ましい。樹脂微粒子の平均粒径が大きすぎると、前述の特許文献2および3に記載のインキ組成物と同様に、エッチング処理時及びレジスト剥離処理時にその粒子が残渣となり、その残渣による不良品の発生が懸念される。一方、樹脂微粒子の平均粒径が小さすぎると樹脂微粒子の凝集が起こりやすく、均一なレジストインキパターンを形成することが困難となるおそれがある。しかし、樹脂微粒子の平均粒径が上述の範囲内であれば、樹脂微粒子が均一に分散したレジストインキを得ることができる。なお、より微細なレジストパターンを形成する必要がある場合は、樹脂微粒子の平均粒径はより小さいほうが好ましい。例えば線幅が10μm以下の微細なレジストパターンを形成する必要がある場合は、樹脂微粒子の平均粒径は0.1μm(100nm)以下であることが好ましい。
【0025】
本発明のレジストインキに用いる溶媒は、熱溶融型樹脂からなる樹脂微粒子を溶解せずかつ前記樹脂微粒子を分散可能である溶媒であれば特に限定されない。しかしながら、樹脂微粒子を溶解しないという要件においては、樹脂微粒子と溶媒との溶解度パラメータの差は2.5(cal/cm1/2以上、特に3.1(cal/cm1/2以上であることが好ましい。溶媒の溶解度パラメータは樹脂微粒子よりも低いほうがより好ましい。樹脂微粒子がノボラック型フェノール系樹脂である場合、溶媒の溶解度パラメータは6.0〜8.6(cal/cm1/2の範囲、特に6.5〜8.2(cal/cm1/2、とりわけ6.5〜7.6(cal/cm1/2の範囲であると好ましい。なお溶媒が混合溶媒である場合は、ここでいう溶解度パラメータは混合後のもの示す。また、樹脂微粒子を分散可能であるという要件においては、樹脂微粒子と溶媒との密度の差は±0.05g/cm以内、特に±0.02g/cm以内であることが好ましい。この程度の密度の差であれば、樹脂微粒子は溶媒中に均一に分散することができる。
【0026】
ここで溶解度パラメータ(SP値:Solubility Parameter)とは、液体のモル蒸発熱をΔH、モル体積をVとしたとき、δ=(ΔH/V)1/2により定義される量δのことであり、溶質と溶媒の溶解度パラメータの差が小さいほど溶解度が大となることが経験的に知られている。表1に代表的な高分子材料および有機溶媒の溶解度パラメータを示す。
【0027】
【表1】

【0028】
溶媒は、上述の要件を満たせば特に限定されないが、有機溶媒を好適に用いることができる。本発明で用いることができる有機溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素類(ハイドロクロロカーボン(ジクロロメタン、クロロホルムなど)、ならびにハイドロフルオロエーテル、あるいはハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、およびペルフルオロカーボンのようなフッ素系溶媒[具体的にはHCFC-225(CHCl)、ゼオローラH(C、日本ゼオン)、アサヒクリンAK−225(CFCFCHCl/CClFCFCHClF、旭硝子)、バートレルXF(C10、三井・デュポンフロロケミカル)などが挙げられる]、など)、炭化水素類(ペンタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなど)、ケトン類(ジイソブチルケトン、メチルエチルケトン(MEK)など)、エステル類(酢酸イソプロピル、酢酸イソアミルなど)、アミン類(ジエチルアミンなど)およびそれらの誘導体(1−ニトリルオクタン、シクロヘキサンs−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)など)が挙げられる。
【0029】
溶媒は1種のみでもよく、2種以上の溶媒を混合した混合物であってもよい。2種以上の溶媒を混合した混合物は、複数の溶媒の混合比を調整することで上述の溶解度パラメータあるいは密度の要件を満たすことが容易となるため有利である。特に少なくとも1種の高密度溶媒と少なくとも1種の低密度溶媒を含む2種以上の溶媒の混合物である溶媒は、密度の調整において有利である。ここで高密度溶媒とは、密度が1.0g/cm以上、特に1.3g/cm以上の溶媒を意味し、低密度溶媒とは高密度溶媒に該当しない溶媒を意味する。上述の有機溶媒の具体例のうち、高密度溶媒には上述したハロゲン化炭化水素類が、低密度溶媒にはその他の溶媒がそれぞれ該当する。なお低密度溶媒としては、溶解度パラメータが低くかつ沸点(または蒸気圧)の高いもの(例えば炭素水素類、ケトン類およびエーテル類)から選択するのがより好ましい。
【0030】
ハイドロフルオロエーテルとは、エーテル結合を有するハイドロフルオロカーボンのことであり、分離型ハイドロフルオロエーテルと非分離型ハイドロフルオロエーテルが存在する。分離型ハイドロフルオロエーテルとは、エーテル性酸素原子を介してぺルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルキレン基とアルキル基またはアルキレン基が結合した化合物である。非分離型ハイドロフルオロエーテルとは、部分的にフッ素化されたアルキル基またはアルキレン基を含むハイドロフルオロエーテルである。
【0031】
分離型ハイドロフルオロエーテルとしては、例えばCOCH、(CFCFOCH、COC、COCH[3M社から市販されているノベックHFE−7100]、(CFCFCFOCH、(CFCOCH、COC[3M社から市販されているノベックHFE−7200]、(CF)CFCFOC、(CFCOC、CFCF(OCH)CF(CF、CFCF(OC)CF(CF、C11OCH、C11OC、C13OCH[3M社から市販されているノベックHFE−7300]、C13OC、CCF(OC)CF(CF[3M社から市販されているノベックHFE−7500]、CHO(CFOCH、CHOCFCFOCおよびCOCF(CF)CFOCHなどが挙げられる。
【0032】
非分離型ハイドロフルオロエーテルとしては、例えばCHFOCFOCHF、CHFCFOCHF、COCHF、COCHCHF、CHFCFCHOCF、CFCFCHOCHF、CHFCFOCHCHF、CFCHOCFCHF、CFCHOCFCHF、CHFCFCFOCH、HFCFCHOCH、COCHCF、CFCFCHOCFCF、COCHCHF、CFCFCHOCFCHF、CHFCFCHOC、CHFCFCHOCFCHF、CFCHFCFCHOCF、CFCHFCFCHOCHF、CCHOCH、(CFCHCFOCH、COCH、COCHCFCHF、COCFCHF、CF(CFOCHF、CHFCH(CH)OCHF[3M社から市販されているノベックHFE−7600]、CHFOCFCFOCHF、CHFOCFOCFCFOCHFおよびCHFOCFOCFOCFOCHFなどが挙げられる。
【0033】
本発明のレジストインキにおいて好ましい高密度溶媒は、ハイドロフルオロエーテル[特に式:COCH、COC、C13OCH、CCF(OC)CF(CFまたはCHFCH(CH)OCHFで表される、密度が1.43〜1.66g/cmの範囲であるハイドロフルオロエーテル]であり、好ましい低密度溶媒はヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ジイソブチルケトン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、トルエンおよびメチルエチルケトン(MEK)を含む、密度が0.65〜0.97g/cmの範囲である有機溶媒である。本発明のレジストインキにおいて最も好ましい溶媒は、これらの高密度溶媒から選択される1種と、これらの低密度溶媒から選択される1種を含む混合溶媒である。また最も好ましい混合溶媒は、式:COCH、COC、C13OCH、CCF(OC)CF(CFおよびCHFCH(CH)OCHFから選択される1種のハイドロフルオロエーテルと、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ジイソブチルケトン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、トルエンおよびメチルエチルケトン(MEK)から選択される1種の有機溶媒からなる混合溶媒である。そのような混合溶媒における混合比は、樹脂微粒子と溶媒との密度の差が±0.05g/cm以内、特に±0.02g/cm以内となるように決定する。例えば樹脂微粒子の密度が1.25g/cmである場合、式:COCH、COC、C13OCH、CCF(OC)CF(CFおよびCHFCH(CH)OCHFから選択される1種のハイドロフルオロエーテルと、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ジイソブチルケトン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、トルエンおよびメチルエチルケトン(MEK)から選択される1種の有機溶媒の混合比は、重量比で55:45〜95:5、特に60:40〜90:10、とりわけ65:35〜85:15の範囲とするのが好ましい。
【0034】
また、溶媒はブランケット表面に均一かつ一定以上の厚みの塗面を形成することができ、凸版を接触・押圧させて不要な部分を除去することによりレジストインキパターンを形成することができ、そしてブランケット面上に形成されたレジストインキパターンを完全に被エッチング材上に転写できるよう、ブランケットの材質に応じた溶解度パラメータを備えていることが好ましい。レジストインキ中の溶媒がブランケットに吸収される量はブランケット上のレジストインキパターンの剥離性や転移性に影響し、またレジストインキの乾燥状態はレジストインキパターンの精度に影響する。例えばブランケットとして溶解度パラメータが7.3〜7.6(cal/cm1/2程度のシリコーンブランケットを用いる場合、溶媒の溶解度パラメータは6.0〜8.0(cal/cm1/2程度、好ましくは6.5〜7.6(cal/cm1/2程度であると、レジストインキはシリコーンブランケットを適度に膨潤させて、その表面に力学的に弱い層(WBL:Weak Boundary Layer)を発現させることができる。
【0035】
凸版である印刷版としては、ブランケット上のレジストインキ膜を凸部に付着・転移させることができるものであれば限定されないが、具体的にはシリコンウエハにドライエッチング法によりパターンを形成したもの、石英基板、白板ガラス及び青板ガラス基板にウェットエッチング法によりパターンを形成したもの、低熱膨張係数の金属板(例えば、銅合金、ニッケル合金等)に機械加工によりパターンを形成したものなどが挙げられる。また被エッチング材としては、フォトリソグラフィ法にも用いられる被エッチング材が利用可能であり、例えばガラス、シリコンウエハ、セラミック、石英、サファイアまたはポリイミドフィルムなどからなる基板に、金属(銅、銀、あるいはクロムとモリブデンの合金など)または金属酸化物の薄膜を真空蒸着やスパッタ法により形成したものが挙げられる。
【0036】
本発明のレジストインキは、粘度が0.5〜15.0mPa・s程度、特に0.8〜3.0mPa・s程度であることが好ましく、かつ表面張力が12.0〜27.0dyn/cm程度、特に14.0〜24.0dyn/cm程度であることが好ましい。そのような粘度や表面張力を有するレジストインキであれば、毛細管現象を利用してブランケット上にレジストインキ膜を形成することができ、かつ膜はじき等の現象を発生させずにブランケット上に均一な厚みのレジストインキ膜を形成することができる。また本発明のレジストインキは、溶媒の含有量がレジストインキ全体に対して10〜90重量%、特に40〜80重量%の範囲内であると好ましい。この範囲内であればインキ溶媒としての基本物性である粘度、表面張力及び蒸気圧等の調整が容易であるという面において好ましい。また本発明のレジストインキは、樹脂微粒子の濃度がレジストインキ全体に対して10〜60重量%、特に10〜30重量%、とりわけ15重量%であると好ましい。この範囲内であれば樹脂微粒子が凝集せずに均一な分散状態が得られるという面において好ましい。
【0037】
本発明のレジストインキには、必要に応じて表面エネルギー調整剤(分散剤)を加えてもよい。表面エネルギー調整剤は、樹脂微粒子が凝集せずに均一な厚みの塗面がブランケット上に形成できるよう、また溶媒中に樹脂微粒子が均一かつ安定にに分散するよう、必要に応じて適宜使用することができる。本発明のレジストインキに好適な表面エネルギー調整剤としてはフッ素系界面活性剤などが挙げられる。表面エネルギー調整剤はレジストインキ中に0.1〜1.0重量%程度含有させれば、ブランケット表面に形成される塗面の平滑性が向上し、より均一な塗膜が得られるようになる。ただし、樹脂微粒子と溶媒とで所定の要件を満たしたレジストインキが得られる場合は、表面エネルギー調整剤は必ずしも加える必要はない。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子および各種溶媒を用い、スターラ及び超音波装置を使用して溶媒に樹脂微粒子を分散させてレジストインキとした。樹脂微粒子の濃度が10〜50重量%となるよう調整した。上記レジストインキの物性及び印刷適正評価を通して、エッチングレジストインキとしての仕様導出及び新規なエッチングレジストパターン形成原理の成立性の検証を行った。
【0040】
レジストインキの物性評価は粘度と表面張力とし、粘度測定には東京計器製のVISCONIC ED形粘度計、表面張力測定には協和界面科学製の表面張力計(型式:CBVP−Z)を使用した。なお、粘度は回転数が50rpmで、各10回測定し、その平均値を採用し、同様に、表面張力は10回測定し、その平均値を採用した。
【0041】
次に、調製したレジストインキを用いて、反転印刷法における最適な樹脂微粒子の重量平均分子量を明らかにするための印刷適正評価を行った。この印刷適正評価は特許文献1(特開2001−56405号公報)の図2及び特許文献3(特開2005−128346号公報)の図10に開示されている基本的な工程に準じた方法で行った。
【0042】
まず、2枚の薄いステンレス板(板厚:0.5mm、間隙:0.5mm)からなる毛細管現象を利用したコーターを用いて特開2005−125664号公報に開示されているシリコーンブランケットを装着した直径140mmのアルミ製回転ドラム表面にレジストインキを塗布し、レジストインキ膜の膜厚の均一性や膜はじき、ピンホール及びクラック等の発生の有無を評価した。なお、このコーティング法でのレジストインキ膜の厚みの制御はアルミ製ドラムの回転数を変えることにより行った。これは、回転数を高くすれば厚膜になり、回転数を低くすれば薄膜になるものである。上記レジストインキでのレジストインキ膜の形成実験結果から、粘度が0.1〜15mPa・s、表面張力が13.0〜30.0dyn/cmの範囲で膜はじき等の現象が発生せずに、均一な厚みのレジストインキ膜が形成できることが明らかになった。
【0043】
次に、調製したレジストインキのパターニング性を評価した。なお、このパターニング評価に用いた画像形成用印刷凸版は、シリコンウエハにドライエッチング法により線幅3〜10μm、溝深さ5μmの直線及び四角形パターンを形成したものである。この実験結果から、パターニング可能な線幅は樹脂微粒子の重量平均分子量には依存せず、線幅3〜10μmのパターニングを例にとると、1μmの膜厚でフォトリソ並の直線性、断面形状を有するパターンが形成できることを確認した。ただし、フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子の平均粒径がパターニング性能に影響を及ぼすことは明らかであり、より小さな平均粒径の樹脂微粒子の使用と、かつ均一な分散が可能であればよく、本実施例に限定されるものではない。また、フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子は熱溶融型であることが必須であるが、できるだけ低温で溶融し、かつ硬化するするものが望ましいことは明らかであり、本実施例に限定されるものではない。
【0044】
次に、調製したレジストインキの転写性について評価した。レジストインキパターンの膜厚が厚くなるにつれて、レジストインキパターンの乾燥時間が長くなる傾向があるものの、クロム等の金属皮膜はじめガラス基板、プラスチックフィルムに対しても良好な転写性を有していることが確認できた。
【0045】
次に、本実施例のレジストインキのエッチング液に対する耐性について評価した。なお、エッチング耐性評価法はスパッタ法によりクロムとモリブデンの合金膜(膜厚:100nm)を形成したガラス基板上に線幅10〜100μmのレジストインキパターンを印刷した後、オーブンで130℃/3分間の条件で溶融、硬化することにより、密着力の高いレジストパターンにした後、エッチング液(エッチング液:硝酸第二セリウムアンモニウム/加塩素酸/水、液温:35℃)に5分間浸漬してクロムとモリブデンの合金膜をエッチングし、流水で5分間水洗した後、エッチング前後の膜厚差から減少量を測定して耐性の優劣を評価した。その結果、重量平均分子量Mwが4000よりも大きな樹脂微粒子を使用したものでは、特にエッチングプロセスにおいて線幅10〜100μmのレジストパターンでの膜減り及び膜剥れが発生せず、フォトリソ並の高品質でクロムとモリブデンの合金膜のパターニングができることを確認した。また、線幅5μm以下のレジストパターンにおいても膜減り及び膜剥れが発生せず、フォトリソ並の高品質でクロムとモリブデンの合金膜のパターニングができることも確認した。
【0046】
最後に、エッチングされたクロムとモリブデンの合金膜上に残ったレジスト膜を剥離液(剥離液:モノエタノールアミン等、液温:60℃)に5分間浸漬して剥離性を評価した。その結果、重量平均分子量Mwが1000〜10000のフェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を用いたレジストインキでは残渣等の不具合も発生せず、完璧に除去できることを確認する共に、重量平均分子量Mwが4000〜8000のフェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を用いたレジストインキではフォトリソ並の品質のクロムとモリブデンの合金膜のパターンが形成できることを確認した。
【0047】
本実施例のフェノール系樹脂からなる樹脂微粒子と樹脂微粒子を溶かさない溶媒を主体としたレジストインキにおいて、塗布膜形成性、パターニング性、転写性、エッチング耐性及び剥離性等の総合的な評価から、フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として重量平均分子量Mwが1000〜10000、好ましくは4000〜8000のものを使用すると反転印刷法に好適になることを見出した。また、重量平均分子量Mwが4000〜8000のフェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を使用すると、エッチング耐性及び密着性等の不具合発生のない反転印刷法に好適なレジストインキになることを見出した。反転印刷法に好適な本実施例のレジストインキの樹脂微粒子濃度が10〜60重量%、粘度が0.5〜15.0mPa・s、好ましくは0.8〜3.0mPa・s、表面張力が12.0〜27.0dyn/cm、好ましくは14.0〜24.0dyn/cmであることを見出した。
【0048】
なお、本実施例のレジストインキでは表面エネルギー調整剤、レベリング剤等を使用しなかったが、表面張力が27.0dyn/cmを超える場合や塗面膜厚が0.2μm以下の場合にはフッ素系等の表面エネルギー調整剤等を適量添加することで膜はじき等の不具合が解消できることを確認している。これらの添加剤についてはパターニング性に影響を及ぼさない範囲内で適宜使用するべきであり、本実施例に限定されるものではない。また、溶媒についてもレジストインキの粘度及び表面張力が所定の範囲内であって、樹脂微粒子を溶かさず、レジストインキ膜の乾燥状態が所期の条件に適するものであればよく、本実施例に限定されるものではない。
【0049】
以下の実施例1〜16は、具体的なレジストインキの組成とそのレジストインキの評価結果を示したものである。表2〜4は実施例1〜16の結果をまとめたものである。
【0050】
(実施例1)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7200(3M製)、分子量:264、密度:1.43g/cm、沸点:76℃、表面張力:13.6dyn/cm、SP値:6.3)が76.5重量%、ヘキサン(分子量:86.18、密度:0.6548g/cm、沸点:68.93℃、表面張力:18.4dyn/cm、SP値:7.4)が8.5重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。上記混合溶媒の表面張力は14.8dyn/cmであった。
【0051】
なお、密度の測定には日本シイベルヘグナー製のハンドヘルド密度計(型式:DMA35n)を使用し、5回測定してその平均値を採用した(実施例2〜16においても同様)。また、表面張力の測定には協和界面科学製の表面張力計(型式:CBVP−Z)を使用し、10回測定してその平均値を採用した(実施例2〜16においても同様)。
【0052】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
【0053】
(実施例2)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7300(3M製)、分子量:350、密度:1.66g/cm、沸点:98℃、SP値:6.2)が68重量%、ヘキサン(分子量:86.18、密度:0.6548g/cm、沸点:68.93℃、表面張力:18.4dyn/cm、SP値:7.4)が17重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は16.8dyn/cmであった。
【0054】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
【0055】
(実施例3)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7500(3M製)、分子量:414、密度:1.61g/cm、沸点:130℃、SP値:6.1)が68.85重量%、ヘキサン(分子量:86.18、密度:0.6548g/cm、沸点:68.93℃、表面張力:18.4dyn/cm、SP値:7.4)が16.15重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は16.8dyn/cmであった。
【0056】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
【0057】
(実施例4)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が70.55重量%、ヘキサン(分子量:86.18、密度:0.6548g/cm、沸点:68.93℃、表面張力:18.4dyn/cm、SP値:7.4)が14.45重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は17.1dyn/cmであった。
【0058】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
【0059】
(実施例5)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7100(3M製)、分子量:250、密度:1.52g/cm、沸点:61℃、SP値:6.5)が72.25重量%、ヘキサン(分子量:86.18、密度:0.6548g/cm、沸点:68.93℃、表面張力:18.4dyn/cm、SP値:7.4)が12.75重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は15.2dyn/cmであった。
【0060】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
【0061】
(実施例6)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が69.4重量%、オクタン(分子量:114.23、密度:0.7028g/cm、沸点:125℃、表面張力:21.8dyn/cm、SP値:7.5)が15.6重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は19.3dyn/cmであった。
【0062】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
【0063】
(実施例7)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が62.3重量%、デカン(分子量:142.28、密度:0.70g/cm、沸点:174.2℃、表面張力:23.9dyn/cm、SP値:7.4)が22.7重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は20.4dyn/cmであった。
【0064】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
【0065】
(実施例8)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が67.1重量%、ドデカン(分子量:170.34、密度:0.75g/cm、沸点:215℃、表面張力:25.4dyn/cm、SP値:7.4)が17.9重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は20.0dyn/cmであった。
【0066】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。本実施例のレジストインキは、形成したパターンの品質の面において特に優れていた。
【0067】
(実施例9)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が66.6重量%、テトラデカン(分子量:198.39、密度:0.7645g/cm、沸点:253.57℃、表面張力:26.7dyn/cm、SP値:7.6)が18.4重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は20.0dyn/cmであった。
【0068】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。本実施例のレジストインキは、形成したパターンの品質の面において特に優れていた。
【0069】
(実施例10)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が63.8重量%、ジイソブチルケトン(分子量:142.2、密度:0.81g/cm、沸点:163℃、表面張力:23.9dyn/cm、SP値:7.8)が21.2重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は20.2dyn/cmであった。
【0070】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。本実施例のレジストインキは、形成したパターンの品質の面において特に優れていた。
【0071】
(実施例11)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が58.1重量%、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(分子量:162、密度:0.901g/cm、沸点:171℃、表面張力:24.7dyn/cm、SP値:7.9)が26.9重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は20.8dyn/cmであった。
【0072】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。本実施例のレジストインキは、形成したパターンの品質の面において特に優れていた。
【0073】
(実施例12)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が60.9重量%、酢酸イソプロピル(分子量:102.13、密度:0.868g/cm、沸点:85℃、表面張力:21.0dyn/cm、SP値:8.1)が24.1重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は19.6dyn/cmであった。
【0074】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。本実施例のレジストインキは、形成したパターンの品質の面において特に優れていた。
【0075】
(実施例13)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が60.1重量%、酢酸イソアミル(分子量:130.2、密度:0.875g/cm、沸点:142℃、表面張力:24.6dyn/cm、SP値:8.2)が24.9重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は21.0dyn/cmであった。
【0076】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。本実施例のレジストインキは、形成したパターンの品質の面において特に優れていた。
【0077】
(実施例14)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が53.3重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(分子量:132.16、密度:0.967g/cm、沸点:146℃、表面張力:26.7dyn/cm、SP値:8.6)が31.7重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は22.6dyn/cmであった。
【0078】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
【0079】
(実施例15)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:1.0μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が60.9重量%、トルエン(分子量:92.14、密度:0.864g/cm、沸点:110.6℃、表面張力:28.4dyn/cm、SP値:9.0)が24.1重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は23.3dyn/cmであった。
【0080】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
(実施例16)
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子として、熱溶融型のベルパール(平均粒径:0.1μm、重量平均分子量:約6000、密度:1.25g/cm、メタノール溶解度:95%、エア・ウォーター製)を15重量%用いた。また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル(ノベック:HFE−7600(3M製)、分子量:346、密度:1.54g/cm、沸点:131℃、SP値:6.5)が64.6重量%、メチルエチルケトン(MEK)(分子量:72.12、密度:0.806g/cm、沸点:79.6℃、表面張力:24.6dyn/cm、SP値:9.2)が20.4重量%の混合溶媒(樹脂微粒子の密度1.25g/cmとほぼ同じ密度を有する)を用いた。なお、上記混合溶媒の表面張力は21.6dyn/cmであった。
【0081】
フェノール系樹脂からなる樹脂微粒子を、スターラ及び超音波装置を使用して上記の溶媒に分散させてレジストインキとし、塗布性、印刷適正、エッチング耐性、剥離性を評価した。その結果、膜はじきのない均一厚みの塗膜が形成でき、10〜100μm線幅のパターン形成において、エッチングレジストとして必須となる1μm以上の膜厚でもフォトリソ並の直線性と断面形状を有するレジストパターンが形成できた。また、クロム・モリブデン薄膜のエッチングパターン形成において、膜剥れやレジスト残渣等の発生もなくエッチング耐性及びレジスト剥離特性も良好なことを確認すると共に、フォトリソ並の品質で10〜100μm線幅のクロム・モリブデン薄膜のエッチングパターンが形成できた。
【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、微細な金属配線等が小型かつ安価な装置で簡単に形成できるだけでなく、安価な配線部品を提供することができる。
【符号の説明】
【0086】
1…回転胴、2…ブランケット、3…塗布装置、4…インキ、5…インキベタ膜、6…印刷版、7…除去インキ、8…インキパターン、9…被印刷基材、10…レジストインキ、11…レジストインキ膜、12…除去レジストインキ、13…レジストインキパターン、14…被エッチング材、15…レジストパターン、16…熱溶融型樹脂微粒子、17…溶媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱溶融型樹脂からなる樹脂微粒子と、前記樹脂微粒子を溶解せずかつ前記樹脂微粒子を分散可能である溶媒とを含む、レジストインキ。
【請求項2】
反転印刷法により被エッチング材上にレジストパターンを形成するための、請求項1に記載のレジストインキ。
【請求項3】
前記樹脂微粒子と前記溶媒との溶解度パラメータの差が2.5(cal/cm1/2以上である、請求項1または2に記載のレジストインキ。
【請求項4】
前記樹脂微粒子と前記溶媒との密度の差が±0.05g/cm以内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレジストインキ。
【請求項5】
前記樹脂微粒子が0.01〜20μmの平均粒径を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレジストインキ。
【請求項6】
前記熱溶融型樹脂が1000〜10000の重量平均分子量を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレジストインキ。
【請求項7】
前記熱溶融型樹脂がフェノール系樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレジストインキ。
【請求項8】
前記溶媒が、少なくとも1種の高密度溶媒と、少なくとも1種の低密度溶媒とを含む、2種以上の溶媒の混合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のレジストインキ。
【請求項9】
粘度が0.5〜15.0mPa・sであり、かつ表面張力が12.0〜27.0dyn/cmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のレジストインキ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレジストインキを用いて反転印刷法により被エッチング材上にパターンを印刷し、前記パターンを加熱することにより前記レジストインキに含まれる樹脂微粒子を溶融させることを含む、レジストパターンの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−254917(P2010−254917A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109643(P2009−109643)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】