説明

レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法

【課題】優れたCD均一性を有し、かつ欠陥が少ないレジストパターンを得ることができるレジスト組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A1)式(I)で表される構造単位を有する樹脂、(A2)アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂及び(B)アルカリ現像液の作用により開裂する構造を有する酸発生剤を含有するレジスト組成物。


[式(I)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。A1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。R2は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及び該レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、式(u−A)で表される構造単位及び式(u−B)で表される構造単位からなる樹脂と、式(u−C)で表される構造単位、式(u−D)で表される構造単位及び式(u−B)で表される構造単位からなる樹脂と、酸発生剤と、溶剤とを含有するレジスト組成物が記載されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−197413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレジスト組成物から製造されるレジストパターンは、CD均一性が必ずしも満足できない場合や、欠陥が多く発生する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1](A1)式(I)で表される構造単位を有する樹脂、
(A2)アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂及び、
(B)アルカリ現像液の作用により開裂する構造を有する酸発生剤を含有するレジスト組成物。

[式(I)中、
1は、水素原子又はメチル基を表す。
1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
2は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]
[2]R2が、炭素数1〜6のフッ化アルキル基である[1]記載のレジスト組成物。
[3]式(I)において、A1が、炭素数2〜4のアルカンジイル基である[1]又は[2]記載のレジスト組成物。
[4]酸発生剤において、アルカリ現像液の作用により開裂する構造が、式(Ba)で表される基又は式(Bb)で表される基である[1]〜[3]のいずれか記載のレジスト組成物。

[式(Ba)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。]

[式(Bb)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。]
[5]酸発生剤が、式(II−a)で表される酸発生剤又は式(II−b)で表される酸発生剤である[4]記載のレジスト組成物。

[式(II−a)又は式(II−b)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜17のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
Yは、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
〜Rは、上記と同じ意味を表す。
は、有機カチオンを表す。]
[6]さらに溶剤を含有する[1]〜[5]のいずれか記載のレジスト組成物。
[7](1)[1]〜[6]のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含むレジストパターンの製造方法。
【0006】
本発明は、以下の発明をも含む。
[8]式(I)において、A1が、エチレン基である[1]又は[2]記載のレジスト組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明のレジスト組成物によれば、優れたCD均一性を有し、且つ、欠陥の発生が少ないレジストパターンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0009】
〈レジスト組成物〉
本発明のレジスト組成物は、
(A)樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある)及び、
(B)アルカリ現像液の作用により開裂する構造を有する酸発生剤(以下「酸発生剤(B)」という場合がある)を含有する。
ここで、樹脂(A)は以下の樹脂を含む。
(A1)式(I)で表される構造単位を有する樹脂(以下「樹脂(A1)」という場合がある)及び
(A2)アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂(以下「樹脂(A2)」という場合がある)。
本発明のレジスト組成物は、さらに、溶剤(以下「溶剤(E)」という場合がある)及び/又は塩基性化合物(以下「塩基性化合物(C)」という場合がある)を含有していることが好ましい。
【0010】
〈樹脂(A)〉
本発明のレジスト組成物に含有されている樹脂(A)は、上述した樹脂(A1)及び(A2)を含む。また、後述するような、樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂が含まれていてもよい。
【0011】
〈樹脂(A1)〉
樹脂(A1)は、式(I)で表される構造単位(以下「構造単位(I)」という)を有する。

[式(I)中、
1は、水素原子又はメチル基を表す。
1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
2は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]
【0012】
式(I)では、A1のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;1−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、1−メチルブタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基が挙げられる。
【0013】
2の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含し、脂肪族炭化水素基は、鎖式、環式及びこれらの組み合わせを含む。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、脂環式炭化水素基が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及びイソボルニル基が挙げられる。
【0014】
フッ素原子を有する炭化水素基としては、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有する脂環式炭化水素基等が好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基及びペルフルオロヘキシル基等のフッ化アルキル基が挙げられる。
フッ素原子を有する脂環式炭化水素基としては、ペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロアダマンチル基等のフッ化シクロアルキル基が挙げられる。
【0015】
式(I)においては、A1としては、炭素数2〜4のアルカンジイル基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
2としては、フッ化アルキル基が好ましく、なかでも、炭素数1〜6のフッ化アルキル基が好ましい。
構造単位(I)としては、以下のものが挙げられる。

【0016】

【0017】
上記の構造単位において、Rに相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(I)の具体例として挙げることができる。
【0018】
構造単位(I)は、式(I’)で表される化合物(以下、「化合物(I’)」という場合がある。)から誘導される。

[式(I’)中、R1、A1及びR2は、上記と同じ意味を表す。]
【0019】
化合物(I’)は、例えば以下の反応により製造することができる。

[式中、R1、A1及びR2は、上記と同じ意味を表す。]
式(I’−1)で表される化合物と式(I’−2)で表される化合物とを、塩基性触媒の存在下で反応させることにより、化合物(I’)が得られる。この反応は、通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては、テトラヒドロフランなどが用いられる。塩基性触媒としては、ピリジンなどを用いればよい。
式(I’−1)で表される化合物としては、市販品が挙げられる。市販品としては、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
式(I’−2)で表される化合物は、Rの種類に応じて、対応するカルボン酸を無水物へと変換することで得ることができる。市販品としては、ヘプタフルオロ酪酸無水物などが挙げられる。
【0020】
樹脂(A1)は、構造単位(I)とは異なる構造単位を有していてもよい。
構造単位(I)とは異なる構造単位としては、後述する酸に不安定な基(以下「酸不安定基」という場合がある)を有するモノマー(以下「酸不安定モノマー(a1)」という場合がある)に由来する構造単位、後述する酸不安定基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある)に由来する構造単位、当該分野で公知のモノマーに由来する構造単位、後述する式(IIIA)で表される構造単位が挙げられる。
なかでも、好ましくは式(IIIA)で表される構造単位である。

[式(IIIA)中、
11は、水素原子又はメチル基を表す。
環Wは、炭素数6〜10の炭化水素環を表す。
12は、−O−、−CO−O−又は−O−CO−(は環Wとの結合手を表す)を表す。
12は、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0021】
環Wの炭化水素環としては、芳香族炭化水素環及び脂環式炭化水素環が挙げられる。好ましくは、飽和の脂環式炭化水素環である。
飽和の脂環式炭化水素環としては、以下の環が挙げられる。

環Wとしては、アダマンタン環又はシクロヘキサン環が好ましく、アダマンタン環がより好ましい。
12としては、下記の基が挙げられる。

式(IIIA)で表される構造単位としては、以下で表される構造単位が好ましい。

上記の構造単位において、R11に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(IIIA)の具体例として挙げることができる。
中でも、式(IIIA−1)で表される構造単位又はR11に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位が特に好ましい。
【0022】
樹脂(A1)中の構造単位(I)の含有割合は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、5〜100モル%の範囲が好ましく、10〜100モル%の範囲がより好ましく、50〜100モル%の範囲がさらに好ましく、80〜100モル%の範囲がとりわけ好ましく、実質的に構造単位(I)のみであることが特に好ましい。構造単位(I)の含有割合が前記の範囲内であると、優れたCD均一性を有するとともに、特に、欠陥の発生が少ないレジストパターンを製造できる。
樹脂(A1)が構造単位(IIIA)を有する場合、樹脂(A1)中の構造単位(IIIA)の含有割合は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、1〜95モル%の範囲が好ましく、2〜80モル%の範囲がより好ましく、5〜70モル%の範囲がさらに好ましく、5〜50モル%の範囲がとりわけ好ましく、5〜30モル%の範囲が特に好ましい。
【0023】
このような含有割合で構造単位(I)及び/又は(IIIA)を有する樹脂(A1)は、樹脂(A1)製造時に用いる全モノマーの総モル量に対する化合物(I’)、構造単位(IIIA)を誘導するモノマーの使用モル量を調節することにより製造することができる。
【0024】
樹脂(A1)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて、さらに、任意に、後述する、酸不安定モノマー(a1)、酸安定モノマー、当該分野で公知のモノマーの1種以上を組み合わせて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A1)の重量平均分子量は、好ましくは、5,000以上(より好ましくは7,000以上、さらに好ましくは10,000以上)、80,000以下(より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは30,000以下)である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものであり、該分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で詳述する。
【0025】
〈樹脂(A2)〉
樹脂(A2)は、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る。ここで、「酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る」とは、酸に不安定な基を有し、酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にアルカリ水溶液に可溶となることを意味する。
従って、樹脂(A2)は、後述する酸に不安定な基を有するモノマー(a1)に由来する構造単位の1種又は2種以上を有している。
また、樹脂(A2)は、上述した性質を備える限り、後述する酸安定モノマーに由来する構造単位、当該分野で公知のモノマーに由来する構造単位、上述した構造単位(I)及び式(IIIA)で表される構造単位を含んでいてもよい。
つまり、樹脂(A2)は、樹脂(A1)と互いに異なる別個の樹脂であってもよいし、式(I)で表される構造単位及び式(IIIA)で表される構造単位を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂であってもよい。
【0026】
〈酸に不安定な基を有するモノマー(a1)〉
「酸に不安定な基」とは、酸と接触すると脱離基が開裂して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸に不安定な基としては、例えば、式(1)で表される基、式(2)で表される基などが挙げられる。
【0027】

[式(1)中、Ra1〜Ra3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]

[式(2)中、Ra1’及びRa2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成し、前記炭化水素基及び前記2価の炭化水素基に含まれる−CH−は、−O―又は―S−で置き換わってもよい。
【0028】
式(1)におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、下記のような基等が挙げられる。

【0029】
a1及びRa2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合の−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)基としては、下記の基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜12である。

【0030】
式(1)においては、脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜16である。
式(1)で表される酸に不安定な基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1、Ra2及び炭素原子がアダマンチル基を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0031】
式(2)における炭化水素基としては、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
a2'及びRa3'が互いに結合して形成する2価の炭化水素基としては、式(I)のRの炭化水素から水素原子を1つ取り去った基が挙げられる。
【0032】
式(2)においては、Ra1’及びRa2’のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
式(2)で表される基の具体例としては、以下の基が挙げられる。

【0033】
酸に不安定な基を有するモノマー(a1)は、好ましくは、酸に不安定な基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマー、より好ましくは酸に不安定な基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0034】
酸に不安定な基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、好ましくは、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有するモノマー(a1)を重合して得られる樹脂を使用すれば、レジストの解像度を向上させることができる。
【0035】
酸に不安定な基と脂環式炭化水素基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位として、好ましくは式(a1−1)で表されるモノマー又は式(a1−2)で表されるモノマーに由来する構造単位が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】

[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1及びLa2は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−を表し、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
a4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0037】
a1及びLa2は、好ましくは、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−であり、より好ましくは−O−である。k1は、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。Ra6及びRa7のアルキル基は、好ましくは炭素数6以下である。
a6及びRa7の脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の飽和炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、下記のような基等が挙げられる。

脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数8以下、より好ましくは6以下である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は好ましくは0又は1である。
【0038】
式(a1−1)で表されるモノマーとしては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a1−1−1)〜(a1−1−8)で表されるモノマーが好ましく、下式(a1−1−1)〜(a1−1−4)で表されるモノマーがより好ましい。

【0039】
式(a1−2)で表されるモノマーとしては、例えば、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート等が挙げられる。下式(a1−2−1)〜(a1−2−6)で表されるモノマーが好ましく、下式(a1−2−3)〜(a1−2−4)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a1−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。

【0040】
樹脂(A2)が式(a1−1)で表されるモノマー及び/又は式(a1−2)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0041】
他のモノマー(a1)としては、例えば、酸不安定基(2)を有する(メタ)アクリル系モノマーである式(a1−5)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−5)」という場合がある)を用いてもよい。本発明のレジスト組成物に、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する樹脂(A2)を用いると、得られるレジストパターンは、欠陥の発生が少ない傾向がある。

式(a1−5)中、
31は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
〜Lは、オキシ基、チオキシ基又は−O−(CH2k1−CO−O−で表される基を表す。ここで、k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基中に含まれるメチレン基は、オキシ基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
s1及びs1’は、それぞれ独立して、0〜4の整数を表す。
【0042】
式(a1−5)においては、R31は、水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基が好ましい。
は、酸素原子が好ましい。
及びLは、一方が酸素原子、他方が硫黄原子であると好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
は、単結合又は−CH−CO−O−が好ましい。
【0043】
モノマー(a1−5)としては、以下のモノマーが挙げられる。

【0044】

【0045】

【0046】

【0047】

【0048】

【0049】
樹脂(A2)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有率は、樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜50モル%の範囲が好ましく、3〜45モル%の範囲がより好ましく、5〜40モル%の範囲がさらに好ましい。
【0050】
〈酸安定モノマー〉
酸安定モノマーとしては、好ましくは、ヒドロキシ基又はラクトン環を有するモノマーが挙げられる。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下「ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)」という場合がある)又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下「ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂を使用すれば、レジストの解像度及び基板への密着性を向上させることができる。
【0051】
〈ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)〉
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV光などの高エネルギー線露光に用いる場合、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、ヒドロキシスチレン類であるフェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーを使用する。短波長のArFエキシマレーザ露光(193nm)などを用いる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、式(a2−1)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーを使用する。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーとして、式(a2−1)で表されるモノマーが挙げられる。

式(a2−1)中、
a3は、−O−又は−O−(CH2k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0053】
式(a2−1)では、La3は、好ましくは、−O−、−O−(CH2f1−CO−O−であり(前記f1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0054】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a2−1−1)〜(a2−1−6)で表されるモノマーが好ましく、下式(a2−1−1)〜(a2−1−4)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a2−1−1)又は(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。

【0055】
樹脂(A2)が式(a2−1)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、通常3〜40モル%であり、好ましくは5〜35モル%であり、より好ましくは5〜30モル%であり、さらに好ましくは5〜20モル%である。
【0056】
〈ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)〉
酸安定モノマー(a3)が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、好ましくは、γ−ブチロラクトン環、又は、γ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が挙げられる。
【0057】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】

式(a3−1)〜式(a3−3)中、
a4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−を表す。
k3は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a18〜Ra20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a21は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。p1が2以上のとき、複数のRa21は同一又は相異なり、q1が2以上のとき、複数のRa22は同一又は相異なり、r1が2以上のとき、複数のRa23は、同一又は相異なる。
【0059】
式(a3−1)〜式(a3−3)では、La4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−であることが好ましく、より好ましくは−O−である。k3は、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1〜r1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0060】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)としては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a3−1−1)〜(a3−1−4)、(a3−2−1)〜(a3−2−4)、(a3−3−1)〜(a3−3−4)で表されるモノマーが好ましく、下式(a3−1−1)〜(a3−1−2)、(a3−2−3)〜(a3−2−4)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a3−1−1)又は(a3−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0061】

【0062】

【0063】
樹脂(A2)がラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、通常5〜70モル%であり、好ましくは10〜65モル%であり、より好ましくは15〜60モル%である。
【0064】
樹脂(A2)が、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体である場合、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)に由来する構造単位は、全構造単位100モル%に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜60モル%である。
アダマンチル基を有するモノマー(特に酸に不安定な基を有するモノマー(a1−1))に由来する構造単位の含有率は、好ましくは酸に不安定な基を有するモノマー(a1)に対して15モル%以上である。アダマンチル基を有するモノマーの比率が増えると、レジストのドライエッチング耐性が向上する。
【0065】
樹脂(A2)は、好ましくは、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と、酸安定モノマーとの共重合体である。この共重合体において、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)は、より好ましくはアダマンチル基を有するモノマー(a1−1)及びシクロへキシル基を有するモノマー(a1−2)の少なくとも1種(さらに好ましくはアダマンチル基を有するモノマー(a1−1))である。また、酸安定モノマーは、好ましくは、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)及び/又はラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)である。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、好ましくはヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)であり、ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、より好ましくはγ−ブチロラクトン環を有する酸安定モノマー(a3−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定モノマー(a3−2)の少なくとも1種である。
【0066】
樹脂(A2)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、これら構造単位を誘導するモノマーを用いて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A2)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは15,000以下)である。
樹脂(A1)及び樹脂(A2)は、樹脂(A)において、例えば、0.01:10〜5:10、好ましくは0.05:10〜3:10、より好ましくは0.1:10〜2:10、特に好ましくは0.2:10〜1:10(質量比)で含有されていることが好ましい。
【0067】
〈樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂〉
本発明のレジスト組成物の樹脂(A)としては、上述した樹脂(A1)及び(A2)以外の樹脂(以下「樹脂(X)」という場合がある)、例えば、上述した酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位、酸安定モノマーに由来する構造単位の他、当該分野で用いられる公知のモノマーに由来する構造単位からなる樹脂等が含有されていてもよい。
本発明のレジスト組成物が、樹脂(X)を含む場合、これらの含有率は、本発明のレジスト組成物に含まれる樹脂(A)の合計量に対して、通常0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。
【0068】
本発明のレジスト組成物においては、樹脂(A)の含有率は、好ましくは、レジスト組成物の固形分中80質量%以上である。本明細書において「組成物中の固形分」とは、後述する溶剤(E)を除いたレジスト組成物成分の合計を意味する。組成物中の固形分及びこれに対する樹脂(A)の含有率は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0069】
〈酸発生剤(B)〉
酸発生剤(B)は、アルカリ現像液の作用により開裂する構造を有する。
アルカリ現像液の作用により開裂する構造とは、レジストパターンを製造するための現像工程において、アルカリ現像液の作用により開裂する構造をいう。言い換えると、アルカリの作用により分解し、アルカリ可溶性基に変換される塩基解離性基をいう。
このような酸発生剤(B)は、現像工程において、アルカリ現像液と接触すると、この構造が開裂して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する。
なお、本願でいう「開裂」とは、結合が切断されて複数の分子に分かれることを意味し、開環反応は含まれない。
【0070】
アルカリ現像液の作用により開裂する構造は、以下の式(Ba)で表される基又は式(Bb)で表される基であることが好ましい。

[式(Ba)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。]

[式(Bb)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。]
【0071】
式(Ba)及び式(Bb)においては、フッ素原子を有するアルキル基は、上述したフッ化アルキル基と同様のものが挙げられ、例えば、1,1,1−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3−ペプタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等が好ましい。
【0072】
例えば、式(Ba)で表される基は、アルカリの作用により開裂してヒドロキシ基を発生する。また、式(Bb)で表される基は、アルカリの作用により開裂してカルボキシル基を発生する。

このような構造(塩基解離性基)を有する酸発生剤(B)は、以下の方法で、開裂したことを確認できる。
例えば、塩基解離性基を有する酸発生剤を、溶剤に溶解させ、ここにアルカリ現像液を添加し、混合する。これによって、塩基解離性基を、ヒドロキシ基又はカルボキシ基に変換させることができる。ヒドロキシ基又はカルボキシ基の確認方法としては、生成した化合物の酸性度測定、NMR測定及びMS測定などが挙げられる。
溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが好ましい。
アルカリとしては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
【0073】
酸発生剤(B)は、式(Ba)で表される基又は式(Bb)で表される基をそれぞれ含む、以下の式(II−a)又は式(II−b)で表される酸発生剤であることが好ましい。

[式(II−a)又は式(II−b)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜17のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
Yは、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
〜Rは、上記と同じ意味を表す。
は、有機カチオンを表す。]
【0074】
式(II−a)及び式(II−b)では、Q1及びQ2のペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
1及びQ2は、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0075】
で表されるアルカンジイル基に含まれる−CH−が−O−又は−CO−で置き換わった基としては、例えば、以下の式(b1−1)〜式(b1−7)のいずれかで示される基が挙げられる。なお、式(b1−1)〜式(b1−7)は、その左右を式(I)に合わせて記載しており、それぞれ*で示される2つの結合手のうち、左側の結合手はC(Q1)(Q2)の炭素原子と結合している。以下の式(b1−1)〜式(b1−7)の具体例も同様である。
【0076】

式(b1−1)〜式(b1−7)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜15のアルカンジイル基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。
b4は、炭素数1〜13のアルカンジイル基を表す。但しLb3及びLb4の合計炭素数の上限は13である。
b5は、炭素数1〜15のアルカンジイル基を表す。
b6は、単結合又は炭素数1〜15のアルカンジイル基を表す。
b7は、炭素数1〜15のアルカンジイル基を表す。但しLb6及びLb7の合計炭素数の上限は16である。
b8は、炭素数1〜14のアルカンジイル基を表す。
b9及びLb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜11のアルカンジイル基を表す。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は12である。
b11は、単結合又は炭素数1〜13のアルカンジイル基を表す。
b12は、炭素数1〜14のアルカンジイル基を表す。但しLb11及びLb12の合計炭素数の上限は14である。
【0077】
中でも、L1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで示される基であり、より好ましくは式(b1−1)又は式(b1−3)で示される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)で表される基である。特に、Lb2が単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基である式(b1−1)で表される基、即ち*−CO−O−(CH−(uは0〜6の整数を表し、*は、−C(Q)(Q)−との結合手を表す)であることがより好ましく、単結合又はメチレン基である式(b1−1)で表される2価の基、即ち*−CO−O−、*−CO−O−CH−がさらに好ましい。
【0078】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0079】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0080】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0081】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0082】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0083】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0084】
式(b1−7)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0085】
Yの2価の脂環式炭化水素基としては、以下で表される基が好ましい。

【0086】
2価の脂環式炭化水素基に含まれる−CH−が−O−又は−CO−で置き換わった基としては、以下で表される基が挙げられる。

【0087】
式(II−a)で表される塩としては、例えば、以下の塩が挙げられる。

【0088】

【0089】
式(II−b)で表される塩としては、例えば、以下の塩が挙げられる。

【0090】
酸発生剤(B)に含まれるカチオンZは、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられ、好ましくは、有機スルホニウムカチオン又は有機ヨードニウムカチオンであり、より好ましくは、アリールスルホニウムカチオンである。
【0091】
式(II−a)及び式(II−b)中のZ+は、例えば、有機オニウムカチオン、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、有機ベンゾチアゾリウムカチオン及び有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、有機スルホニウムカチオン及び有機ヨードニウムカチオンが好ましく、より好ましくは、以下の式(b2−1)、式(b2−2)、式(b2−3)及び式(b2−4)のいずれかで表される有機カチオンである。

【0092】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4、Rb5及びRb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、この炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましい。前記アルキル基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよく、前記脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよく、前記芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を含む基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよく、該脂環式炭化水素基を含む基に含まれる−CH−は−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。m2が2以上であるとき、複数のRb7は同一又は相異なり、n2が2以上であるとき、複数のRb8は同一又は相異なる。
【0093】
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表すか、Rb9とRb10とは、それらが結合する硫黄原子とともに互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成する。該環に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
b11は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
b12は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
b11とRb12とは、それらが結合する−CH−CO−とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよい。該環に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
【0094】
b13、Rb14、Rb15、Rb16、Rb17及びRb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上であるとき、複数のRb13は同一又は相異なり、p2が2以上であるとき、複数のRb14は同一又は相異なり、s2が2以上であるとき、複数のRb15は同一又は相異なり、t2が2以上であるとき、複数のRb18は同一又は相異なる。
【0095】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基などが挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
脂環式炭化水素としては、シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,5−シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式炭化水素基;ノルボルナン−1,4−ジイル基、2,5−ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0096】
b9〜Rb12のアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基などが好ましい。
b9〜Rb11の脂環式炭化水素基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基などが好ましい。
b12の芳香族炭化水素基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基などが好ましい。
b12の芳香族炭化水素基とアルキル基が結合したものは、典型的にはアラルキル基である。
b9とRb10とが結合して形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
b11とRb12とが結合して形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0097】
式(b2−1)〜式(b2−4)で表される有機カチオンの具体例は、特開2010−204646号公報に記載されたものを挙げることができる。
【0098】
例示した有機カチオンの中でも、カチオン(b2−1)が好ましく、以下の式(b2−1−1)で表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1−1)」という場合がある。〕がより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0である)、ジフェニルトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=0、x2=1であり、Rb21がメチル基である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、Rb19、Rb20及びRb21がいずれもメチル基である)がさらに好ましい。

式(b2−1−1)中、
b19〜Rb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該アルキル基、アルコキシ基及び脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は同一又は相異なり、w2が2以上のとき、複数のRb20は同一又は相異なり、x2が2以上のとき、複数のRb21は同一又は相異なる。
【0099】
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜18の脂環式炭化水素基を含む基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0100】
カチオン(b2−1−1)としては、以下のカチオンが挙げられる。

【0101】

【0102】

【0103】
カチオン(b2−3)としては、以下のカチオンが挙げられる。

【0104】
また、カチオンとして、特開2010−204646号公報に記載されたカチオンであってもよい。
【0105】
酸発生剤(B)は、スルホン酸アニオン及び有機カチオンの組合せである。これらスルホン酸アニオンと有機カチオンとは任意に組み合わせることができる。スルホン酸アニオン及び有機カチオンの組み合わせを以下の表1に示す。なお、以下の表1において、式(b1−s−1)で表されるスルホン酸アニオンなどを、その式番号に応じて、「(b1−s−1)」などと表し、式(b2−c−1)で表される有機カチオンなどを、その式番号に応じて、「(b2−c−1)」などと表す。
【0106】
【表1−1】

【0107】
【表1−2】

【0108】
さらに好ましい酸発生剤(B)としては、以下の塩が挙げられる。

【0109】
酸発生剤(B)は、以下の製造方法又はこれに準じた方法によって製造することができる。
例えば、式(II−a)で表される塩は、式(II−a−a)で表される化合物と式(II−a−b)で表される化合物とを、塩基性触媒下で反応させることにより、製造することができる。溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。塩基触媒としては、N−メチルピロリジン等が挙げられる。

[式中、X1は、ハロゲン原子又は−O−CO−Rを表す。
、Q、Y、R及びZは、上記と同じ意味を表す。]
【0110】
式(II−a−a)で表される化合物としては、特開2006−257078号公報に記載された化合物などが挙げられる。
式(II−a−b)で表される化合物としては、ヘプタフルオロブチリルクロリドなどが挙げられる。
【0111】
式(II−a)で表される酸発生剤又は式(II−b)で表される酸発生剤は、それぞれ単独でも複数種を組み合わせてもよいし、双方を同時に用いてもよい。
【0112】
本発明のレジスト組成物は、酸発生剤(B)のほかに、公知の酸発生剤(以下「その他の酸発生剤」という場合がある)を含んでいてもよい。
その他の酸発生剤としては、非イオン系とイオン系とに分類されるが、本発明のレジスト組成物においては、いずれを用いてもよい。
非イオン系酸発生剤には、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が含まれる。イオン系酸発生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等がある。
【0113】
酸発生剤としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号や、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用することができる。
また、公知の方法によって得られる化合物を使用してもよい。
【0114】
酸発生剤は、好ましくはフッ素含有酸発生剤であり、より好ましくは式(B1)で表されるスルホン酸塩(以下「酸発生剤(B1)」という場合がある)である。
【0115】

[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、単結合又は2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、前記2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
Y’は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、前記アルキル基及び前記脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−SO−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
【0116】
式(B1)では、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、好ましくはペルフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0117】
b1の2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の2価の脂環式炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
直鎖状アルカンジイルに、アルキル基(特に、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を有したもの、例えば、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0118】
b1の飽和炭化水素基に含まれる−CH−が−O−又は−CO−で置き換わった基としては、例えば、式(b1−1’)〜式(b1−6’)が挙げられる。なお、式(b1−1’)〜式(b1−6’)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、左側でC(Q1)(Q2)−と結合し、右側で−Y’と結合する。以下の式(b1−1’)〜式(b1−6’)の具体例も同様である。
【0119】

式(b1−1’)〜式(b1−6’)中、
b2’は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
b3’は、単結合又は炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。
b4’は、炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb3’及びLb4’の炭素数上限は13である。
b5’は、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
b6’及びLb7’は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb6’及びLb7’の炭素数上限は16である。
b8’は、炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。
b9’及びLb10’は、それぞれ独立に、炭素数1〜11の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb9’及びLb10’の炭素数上限は12である。
中でも、Lb1は、好ましくは式(b1−1’)〜式(b1−4’)のいずれか、より好ましくは式(b1−1’)又は式(b1−2’)、さらに好ましくは式(b1−1’)で表される2価の基であり、特に好ましくは、Lb2’が単結合又は−CH−である式(b1−1’)で表される2価の基である。
【0120】
式(b1−1’)〜式(b1−5’)で表される2価の基としては、上述した式(b1−1)〜式(b1−5)の2価の基と同様のものが挙げられる。
式(b1−6’)で表される2価の基としては、式(b1−6)で表される2価の基に加え、例えば以下のものが挙げられる。

【0121】
Y’のアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
アルキル基及び脂環式炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基、炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシ基含有炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す)などが挙げられる。Y’の置換基であるアルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びアラルキル基等は、さらに置換基を有していてもよい。ここでの置換基は、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基等が挙げられる。
【0122】
ヒドロキシ基含有アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、トリチル、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
【0123】
Y’の脂環式炭化水素基としては、式(Y1)〜式(Y26)で表される基が挙げられる。

【0124】
なかでも、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である。
【0125】
Y’としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0126】
なお、Y’がアルキル基であり、かつLb1が炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基である場合、Y’と結合する該2価の脂肪族炭化水素基のメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていることが好ましい。この場合、Y’のアルキル基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わらない。
【0127】
Y’は、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは置換基(例えば、オキソ基等)を有していてもよいアダマンチル基であり、さらに好ましくはアダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基又はオキソアダマンチル基である。
【0128】
式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、好ましくは、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるアニオンが挙げられる。以下の式においては、符号の定義は上記と同じ意味であり、置換基Rb2及びRb3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、メチル基)を表す。
また、式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、特開2010−204646号公報に記載されたアニオンであってもよい。
【0129】

【0130】
酸発生剤(B1)に含まれるカチオンは、上述した式(II−a)又は式(II−b)に含まれるカチオンと同様のものが挙げられる。
【0131】
酸発生剤(B1)は、上述のスルホン酸アニオン及び有機カチオンの組合せである。上述のアニオンとカチオンとは任意に組み合わせることができ、好ましくは、アニオン(b1−1−1)〜アニオン(b1−1−9)のいずれかとカチオン(b2−1−1)との組合せ並びにアニオン(b1−1−3)〜(b1−1−5)のいずれかとカチオン(b2−3)との組合せが挙げられる。
【0132】
酸発生剤(B1)としては、好ましくは、式(B1−1)〜式(B1−17)で表される塩が挙げられ、より好ましくは、トリフェニルスルホニウムカチオン又はトリトリルスルホニウムカチオンを含む酸発生剤(B1−1)、(B1−2)、式(B1−3)、(B1−6)、式(B1−7)、(B1−11)、(B1−12)、(B1−13)及び(B1−14)が挙げられる。
【0133】

【0134】

【0135】

【0136】

【0137】
酸発生剤(B)の含有率は、樹脂(A2)に対して、好ましくは1質量%以上(より好ましくは3質量%以上)、好ましくは40質量%以下(より好ましくは35質量%以下)である。
また、酸発生剤(B1)等のその他の酸発生剤を含有する場合には、酸発生剤(B)とその他の酸発生剤との合計含有率は、樹脂(A2)に対して、好ましくは1質量%以上(より好ましくは3質量%以上)、好ましくは40質量%以下(より好ましくは35質量%以下)である。
レジスト組成物が酸発生剤(B)及びその他の酸発生剤を含有する場合、酸発生剤(B)とその他の酸発生剤との含有量の比(質量)は、例えば、5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは15:85〜85:15である。
【0138】
〈溶剤(E)〉
本発明のレジスト組成物に含有される溶剤(E)の含有率は、例えばレジスト組成物中90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。溶剤(E)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0139】
溶剤(E)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類;等を挙げることができる。溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0140】
〈塩基性化合物(以下「塩基性化合物(C)」という場合がある)〉
塩基性化合物(C)はクエンチャーとして作用する化合物である。
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0141】

[式(C1)中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0142】

[式(C1−1)中、Rc2及びRc3は、上記と同じ意味を表す。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は同一又は相異なる。]
【0143】

[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、Rc5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は同一又は相異なる。]
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0144】

[式(C5)及び式(C6)中、Rc10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のRc14は同一又は相異なり、p3が2以上であるとき、複数のRc15は、同一又は相異なる。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0145】

[式(C7)及び式(C8)中、Rc18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18は同一又は相異なり、r3が2以上であるとき、複数のRc19は同一又は相異なり、及びs3が2以上であるとき、複数のRc20は同一又は相異なる。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0146】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0147】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジン等が挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられる。
【0148】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0149】
塩基性化合物(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分量を基準に、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0150】
〈その他の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
【0151】
<レジスト組成物の調製>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A1)及び樹脂(A2)を含む樹脂(A)及び酸発生剤(B)、並びに必要に応じて用いられる溶剤(E)、塩基性化合物(C)及びその他の成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂などの種類や樹脂等の溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0152】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含む。
【0153】
レジスト組成物の基体上への塗布は、スピンコーター等、通常、用いられる装置によって行うことができる。
【0154】
塗布後の組成物を乾燥することにより、溶剤を除去し、組成物層を形成する。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させること(いわゆるプリベーク)により行うか、あるいは減圧装置を用いて行い、溶剤が除去された組成物層を形成する。この場合の温度は、例えば、50〜200℃程度が好ましい。また、圧力は、1〜1.0×10Pa程度が好ましい。
【0155】
得られた組成物層は、通常、露光機を用いて露光する。露光機は、液浸露光機であってもよい。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)等、種々のものを用いることができる。該露光機は液浸露光機であってもよい。
【0156】
露光後の組成物層を、脱保護基反応を促進するために加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)する。加熱温度としては、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
加熱後の組成物層を、現像装置を用いて、通常、アルカリ現像液を利用して現像する。
ここで用いられるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水でリンスし、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0157】
〈用途〉
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)露光用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物、特に液浸露光用のレジスト組成物として好適である。
【実施例】
【0158】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。
樹脂(A)の組成比(樹脂(A)製造に用いた各モノマーに由来する構造単位の、樹脂(A)に対する共重合比)は、重合終了後の反応液における未反応モノマー量を、液体クロマトグラフィーを用いて測定し、得られた結果から重合に用いられたモノマー量を求めることにより算出した。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの分析条件は下記のとおりである。
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0159】
合成例1:式(II−1)で表される塩の合成

【0160】
式(II−1−a)で表される塩を特開2006−257078号公報の実施例2に記載された方法で合成した。式(II−1−a)で表される塩3.00部、クロロホルム30.00部及びN−メチルピロリジン0.85部を仕込み、0℃で30分間攪拌した。その後、ここに、式(II−1−b)で表される化合物1.74部を仕込み、0℃で3時間攪拌した。得られた反応物に、クロロホルム150部及び5%シュウ酸水溶液40部を仕込み、攪拌、分液を行った。回収された有機層に、イオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。この水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル10部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して、式(II−1)で表される塩2.19部を得た。
【0161】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 535.1
【0162】
合成例2:式(II−9)で表される塩の合成

【0163】
式(II−9−a)で表される塩を特開2006−257078号公報の実施例2に記載された方法で合成した。式(II−9−a)で表される塩3.00部、クロロホルム30.00部及びN−メチルピロリジン0.85部を仕込み、0℃で30分間攪拌した。その後、ここに、式(II−9−b)で表される化合物1.57部を仕込み、0℃で3時間攪拌した。得られた反応物に、クロロホルム150部及び5%シュウ酸水溶液40部を仕込み、攪拌、分液を行った。回収された有機層に、イオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。この水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、アセトニトリル10部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して、式(II−9)で表される塩1.84部を得た。
【0164】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 435.1
【0165】
合成例3:式(II−45)で表される塩の合成

式(II−45−a)で表される塩10.00部及びクロロホルム80.00部を仕込み、これを攪拌して溶解させた。これに式(II−45−b)で表される化合物7.97部(純度97.1%)を仕込み、次いで、リチウムアミド0.15部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。さらに、モレキュラーシーブ(5A;和光純薬工業(株)製)13.00部を添加し、60℃で8時間加熱攪拌した。23℃まで冷却し、濾過して、濾液を取り出した。濾液にイオン交換水24.53部を添加、攪拌し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層を、水洗する操作を2回行った。水洗後の有機層に活性炭1.33部を添加、攪拌し、濾過して濾液を回収し、該濾液を濃縮することにより、淡黄色オイル20.20部を得た。得られた淡黄色オイル20.20部にアセトニトリル60.60部を添加して溶解し、濃縮し、更に酢酸エチル81.80部を添加した。得られた溶液を濃縮した。その後、これにメチル−tert−ブチルエーテル76.60部を添加し、これを攪拌し、2層に分離したので上澄み液を除去して下層を取り出し、これを濃縮した。得られた濃縮液に、酢酸エチル66.00部を添加して、攪拌し、2層に分離したので上澄み液を除去し、下層を取り出してこれを濃縮することにより、式(II−45ーc)で表される塩11.96部を得た。

式(II−45ーc)で表される塩6.60部、クロロホルム40.00部、1N塩酸水溶液7.70部とメタノール7.70部の混合溶液を仕込み、23℃で15時間撹拌した。その後、1N炭酸水素ナトリウム水溶液40.00部を仕込み、これを攪拌し、分液した。イオン交換水40.00部を仕込み、これを攪拌し、分液した。有機層を、水洗する操作を3回行った。水洗後の有機層に活性炭1.00部を添加、攪拌し、濾過して濾液を回収し、該濾液を濃縮することにより、淡黄色オイルとして、式(II−45ーd)で表される塩7.71部を得た。

式(II−45ーd)で表される塩3.09部、アセトニトリル15.50部及びカルボニルジイミダゾール0.89部を仕込み、50℃で2時間攪拌した。その後40℃まで冷却し、式(II−45ーe)で表される化合物1.00部をアセトニトリル9.00部に溶解した溶液を滴下し、40℃で3時間反応させた。その後冷却し、クロロホルム30部、イオン交換水30部を加えて攪拌し、分離した。有機層をイオン交換水30部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。有機層に活性炭1.00部を加えて攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して、式(II−45)で表される塩 2.24部を得た。
【0166】
MS(ESI(+)Spectrum):M+ 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M− 535.1
【0167】
合成例4:〔式(K)で表される化合物の合成〕

式(K−2)で表される化合物10.00部、テトラヒドロフラン40.00部及びピリジン7.29部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(K−1)で表される化合物33.08部を、1時間かけて添加し、更に、温度を上げ、23℃に到達した時点で、同温度で3時間攪拌した。得られた反応物に、酢酸エチル361.51部及び5%塩酸水溶液20.19部を加え、23℃で30分間攪拌した。攪拌後、静置し、分液した。回収された有機層に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液81.42部を加え、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水90.38部を加え、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。この水洗操作を5回繰り返した。水洗後の有機層を濃縮し、式(K)で表される化合物23.40部を得た。
MS(質量分析):326.0(分子イオンピーク)
【0168】
合成例5:〔式(H)で表される化合物の合成〕

式(H−2)で表される化合物88.00部、メチルイソブチルケトン616.00部及びピリジン60.98部を、23℃で30分間攪拌混合し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(H−1)で表される化合物199.17部を、1時間かけて添加し、更に、10℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物に、n−へプタン1446.22部及び2%塩酸水溶液703.41部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより回収された有機層に、2%塩酸水溶液337.64部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。これを静置、分液することにより有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水361.56部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。回収された有機層に、10%炭酸カリウム水溶液443.92部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を回収した。このような洗浄操作を2回繰り返した。回収された有機層に、イオン交換水361.56部を仕込み、23℃で30分間攪拌、静置し、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。回収された有機層を濃縮し、式(H)で表される化合物163.65部を得た。
MS(質量分析):276.0(分子イオンピーク)
【0169】
合成例6:〔式(L)で表される化合物の合成〕

式(L−2)で表される化合物30.00部、メチルイソブチルケトン210.00部及びピリジン18.00部を、23℃で30分間攪拌混合し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(L−1)で表される化合物48.50部を、1時間かけて添加し、更に、5℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物を、酢酸エチル630部、5%塩酸水溶液99.68部及びイオン交換水126部に添加し、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより回収された有機層に、10%炭酸カリウム水溶液86.50部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を洗浄した。このような洗浄操作を2回繰り返した。回収された有機層に、イオン交換水157.50部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。水洗後の有機層を濃縮し式(L)で表される化合物27.61部を得た。
MS(質量分析):354.1(分子イオンピーク)
【0170】
合成例7:〔式(M)で表される化合物の合成〕

式(M−2)で表される化合物27.34部、メチルイソブチルケトン190.00部及びピリジン18.00部を、23℃で30分間攪拌混合し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(M−1)で表される化合物48.50部を、1時間かけて添加した。更に、5℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物を、酢酸エチル570部、5%塩酸水溶液99.68部及びイオン交換水126部に添加し、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより回収された有機層に、10%炭酸カリウム水溶液86.50部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を洗浄した。このような洗浄操作を2回繰り返した。回収された有機層に、イオン交換水150部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。水洗後の有機層を濃縮し式(M)で表される化合物23.89部を得た。
MS(質量分析):340.1(分子イオンピーク)
【0171】
樹脂の合成
樹脂の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。


【0172】
合成例8〔樹脂A1−1の合成〕
モノマーとして、モノマー(H)を用い、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.8×10の樹脂A1−1(共重合体)を収率77%で得た。この樹脂A1−1は、以下の構造単位を有する。

【0173】
合成例9〔樹脂A1−2の合成〕
モノマーとして、モノマー(K)及びモノマー(I)を用い、そのモル比(モノマー(K):モノマー(I))が90:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.3×10の樹脂A1−2(共重合体)を収率70%で得た。この樹脂A1−2は、以下の構造単位を有する。

【0174】
合成例10:〔樹脂A1−3の合成〕
モノマーとして、モノマー(L)を用い、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.9×10の樹脂A1−3(共重合体)を収率73%で得た。この樹脂A1−3は、以下の構造単位を有するものである。

【0175】
合成例11:〔樹脂A1−4の合成〕
モノマーとして、モノマー(M)を用い、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.8×10の樹脂A1−4(共重合体)を収率76%で得た。この樹脂A1−4は、以下の構造単位を有するものである。

【0176】
合成例12:〔樹脂A2−1の合成〕
モノマー(D)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)を、そのモル比〔モノマー(D):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)〕が50:5:4:33:8となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.8mol%及び5.4mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量4.7×10の樹脂A2−1(共重合体)を収率71%で得た。この樹脂A2−1は、以下の構造単位を有する。各構造単位のモル比は、モノマー(D):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)=40.6:5.1:4.8:39.7:9.8であった。

【0177】
合成例13:〔樹脂A2−2の合成〕
モノマー(A)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)を、そのモル比〔モノマー(A):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)〕が45:5:9:33:8となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、2.0mol%及び6.0mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量4.2×10の樹脂A2−2(共重合体)を収率80%で得た。この樹脂A2−2は、以下の構造単位を有する。各構造単位のモル比は、モノマー(A):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)=35.2:5.4:9.8:39.8:9.8であった。
【0178】
合成例14:〔樹脂A2−3の合成〕
モノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)を、そのモル比〔モノマー(A):モノマー(B):モノマー(C)〕が、50:25:25となるように混合し、さらに、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%との割合で添加し、これを80℃で約8時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収した。再度、この樹脂をジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで、樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を3回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が約9.2×10である共重合体を収率60%で得た。この共重合体は、モノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)に各々由来する、以下の各モノマーから導かれる構造単位を有し、これを樹脂A2−3とする。

【0179】
合成例15〔樹脂A2−4の合成〕
モノマー(D)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(F)及びモノマー(C)を、そのモル比〔モノマー(D):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(F):モノマー(C)〕が、30:14:6:20:30となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.0×10の共重合体を収率60%で得た。この共重合体は、モノマー(D)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(F)及びモノマー(C)に各々由来する、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2−4とする。

【0180】
合成例16〔樹脂A2−5の合成〕
モノマー(D)、モノマー(N)、モノマー(B)、モノマー(F)及びモノマー(C)を、そのモル比〔モノマー(D):モノマー(N):モノマー(B):モノマー(F):モノマー(C)〕が、30:14:6:20:30となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.4×10の共重合体を収率62%で得た。この共重合体は、モノマー(D)、モノマー(N)、モノマー(B)、モノマー(F)及びモノマー(C)に各々由来する、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2−5とする。

【0181】
合成例17:〔樹脂X1の合成〕
モノマーとして、モノマー(G)、モノマー(C)及びモノマー(B)を用い、そのモル比(モノマー(G):モノマー(C):モノマー(B))が35:45:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.0mol%及び3.0mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.0×10の樹脂X1(共重合体)を収率75%で得た。この樹脂X1は、以下の構造単位を有する。各構造単位のモル比は、構造単位(G):構造単位(C):構造単位(B)=34.7:45.4:19.9。

【0182】
合成例18:〔樹脂X2の合成〕
モノマーとして、モノマー(J)及びモノマー(G)を用い、そのモル比(モノマー(J):モノマー(G))が80:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.5mol%及び1.5mol%添加し、これらを70℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量2.8×10の樹脂X2(共重合体)を収率70%で得た。この樹脂X2は、以下の構造単位を有する。各構造単位のモル比は、構造単位(J):構造単位(G)=80.2:19.8であった。

【0183】
<レジスト組成物の調製>
表2に示す成分を、以下に示す質量部で、以下に示す溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0184】
【表2】

【0185】
<樹脂>
上述した合成例で合成した樹脂
【0186】
<酸発生剤>
II−1:

酸発生剤II−1の50mgをジメチルスルホキシド0.7924gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、23℃で1時間攪拌したあと、酸発生剤II−1の分解物を確認したところ、塩基解離性基が開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。

【0187】
II−9:

酸発生剤II−9の50mgをジメチルスルホキシド0.7924gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、23℃で1時間攪拌したあと、酸発生剤II−9の分解物を確認したところ、塩基解離性基が開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。

【0188】
II−45:

酸発生剤II−45の50mgをジメチルスルホキシド0.7924gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、23℃で1時間攪拌したあと、酸発生剤II−45の分解物を確認したところ、塩基解離性基が開裂して以下の化合物が生成されていることを確認した。

【0189】
B1:特開2010−152341号公報の実施例に従って合成
酸発生剤B1の50mgをジメチルスルホキシド0.7966gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、23℃で1時間攪拌したあと、この溶液を確認したが、酸発生剤B1の分解物は確認できなかった。

【0190】
B2:WO2008/99869号の実施例及び、特開2010−26478の実施例に従って合成
酸発生剤B2の50mgをジメチルスルホキシド0.7998gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、23℃で1時間攪拌したあと、この溶液を確認したが、酸発生剤B2の分解は確認物できなかった。

【0191】
B3:特開2005−221721の実施例に従って合成
酸発生剤B3の50mgをジメチルスルホキシド0.7981gに溶解し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.25gを添加し、23℃で1時間攪拌したあと、この溶液を確認したが、酸発生剤B3の分解物は確認できなかった。

【0192】
<塩基性化合物>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成工業(株)製)
【0193】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
2−ヘプタノン 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0194】
<レジスト組成物の液浸露光後のCD均一性(Critical Dimension Uniformity)評価>
シリコンウェハに、有機反射防止膜用組成物(ARC−29;日産化学(株)製)を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、ウェハ上に膜厚78nmの有機反射防止膜を形成した。
次いで、この有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるように塗布(スピンコート)した。塗布後、シリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表2の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークし、組成物層を形成した。
組成物層が形成されたシリコンウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー(XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光)で、コンタクトホールパターン(ホールピッチ100nm/ホール径70nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、前記シリコンウェハを、ホットプレート上にて、表2の「PEB」欄に記載された温度で60秒間、加熱(ポストエキスポジャーベーク処理)した。
次いで、このシリコンウェハを、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0195】
現像後に得られたレジストパターンにおいて、前記マスクを用いて形成したホール径が55nmとなる露光量を実効感度とした。
【0196】
実効感度において、ホール径70nmのマスクで形成したパターンのホール径を、一つのホールにつき24回測定し、その平均値を一つのホールの平均ホール径とした。同一ウェハ内の、ホール径70nmのマスクで形成したパターンの平均ホール径を400箇所測定したものを母集団として標準偏差を求め、
標準偏差が1.85nm未満の場合を「◎」、
標準偏差が1.85nm以上2.00nm未満の場合を「○」、
標準偏差が2.00nm以上を「×」として判断した。
その結果を表3に示す。なお、括弧内の数値は標準偏差(nm)を示す。
【0197】
<レジスト組成物の欠陥評価>
12インチのシリコン製ウェハ(基板)に、レジスト組成物を、乾燥後の膜厚が0.15μmとなるように塗布(スピンコート)した。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表2のPB欄に示す温度で60秒間プリベーク(PB)し、ウェハ上に組成物層を形成した。
このようにして組成物層を形成したウェハに、現像機[ACT−12;東京エレクトロン(株)製]を用いて、60秒間、水リンスを行った。
その後、欠陥検査装置[KLA−2360;KLAテンコール製]を用いて、ウェハ上の欠陥数を測定した。その結果を表3に示す。
【0198】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明のレジスト組成物によれば、優れたCD均一性を有し、且つ、欠陥の発生が少ないレジストパターンを製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)式(I)で表される構造単位を有する樹脂、
(A2)アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂及び、
(B)アルカリ現像液の作用により開裂する構造を有する酸発生剤を含有するレジスト組成物。

[式(I)中、
1は、水素原子又はメチル基を表す。
1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
2は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]
【請求項2】
2が、炭素数1〜6のフッ化アルキル基である請求項1記載のレジスト組成物。
【請求項3】
式(I)において、A1が、炭素数2〜4のアルカンジイル基である請求項1又は2記載のレジスト組成物。
【請求項4】
酸発生剤において、アルカリ現像液の作用により開裂する構造が、式(Ba)で表される基又は式(Bb)で表される基である請求項1〜3のいずれか記載のレジスト組成物。

[式(Ba)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。]

[式(Bb)中、Rは、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。]
【請求項5】
酸発生剤が、式(II−a)で表される酸発生剤又は式(II−b)で表される酸発生剤である請求項4記載のレジスト組成物。

[式(II−a)又は式(II−b)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜17のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
Yは、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
〜Rは、上記と同じ意味を表す。
は、有機カチオンを表す。]
【請求項6】
さらに溶剤を含有する請求項1〜5のいずれか記載のレジスト組成物。
【請求項7】
(1)請求項1〜6のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。

【公開番号】特開2012−190002(P2012−190002A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33536(P2012−33536)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】