説明

レニン阻害剤としての3,4−置換ピペリジン誘導体

本発明は、4位にオキソピリジンまたはイソキノロンを有し、Sが式(IIa)
または式(IIb)である式(I)を有する、3,4−置換ピペリジニルをベースとする
レニン阻害剤化合物に関する。本発明はさらに、前記化合物を含有する医薬組成物、なら
びに心血管系事象および腎機能不全の治療におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(共同研究契約: 本発明は、Merck&Co.,Inc.とActelion Ph
armaceuticals Ltd.との間の共同研究契約の範囲内で進められた活動
の結果としてなされたものである。本契約は2003年12月4日に締結された。本発明
の分野は以下に記載する。)
(関連出願の相互参照: 本出願は、2008年12月10日に出願された米国特許仮出
願第61/201,367号の利益を主張する。)
本発明は、一般式(I)の新規レニン阻害剤に関する。本発明はまた、それらの化合物
を調製する方法、式(I)の1種以上の化合物を含有する医薬組成物、ならびに特に心血
管系事象および腎機能不全におけるレニン阻害剤としてのそれらの使用を含む関連する態
様に関する。
【背景技術】
【0002】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)において、生物学的に活性なアンジオテンシン
II(AngII)は、2段階の機序により産生される。高度に特異的な酵素であるレニ
ンは、アンジオテンシノゲンをアンジオテンシンI(AngI)に開裂し、次いでこれは
さらに、特異性の低いアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってAngIIに処理さ
れる。AngIIは、ATおよびATと称される少なくとも2種の受容体サブタイプ
に作用することが知られている。ATは、AngIIの既知の機能のほとんどを伝達す
ると考えられているが、ATの役割はまだ知られていない。
【0003】
RASの調節は、心血管疾患の治療における大きな進歩を意味する。ACE阻害剤およ
びAT遮断剤は、高血圧を治療することが認められている(Waeber B.ら、「
The renin−angiotensin system:role in exp
erimental and human hypertension」、Birken
hager W.H.、Reid J.L.(編):Hypertension、Ams
terdam、Elsevier Science Publishing Co、19
86、489〜519;Weber M.A.、Am.J.Hypertens.、19
92、5、247S)。さらに、ACE阻害剤は、腎臓保護(Rosenberg M.
E.ら、Kidney International、1994、45、403;Bre
yer J.A.ら、Kidney International、1994、45、S
156)、鬱血性心不全(Vaughan D.E.ら、Cardiovasc.Res
.、1994、28、159;Fouad−Tarazi F.ら、Am.J.Med.
、1988、84(補遺3A)、83)および心筋梗塞(Pfeffer M.A.ら、
N.Engl.J.Med.1992、327、669)の予防に用いられる。
【0004】
レニン阻害剤開発の理論的根拠は、レニンの特異性である(Kleinert H.D
.、Cardiovasc.Drugs、1995、9、645)。レニンの知られてい
る唯一の基質はアンジオテンシノゲンであり、これは(生理的条件下で)レニンによって
のみプロセシングされ得る。対照的に、ACEはまたAngIの他にブラジキニンを開裂
することができ、セリンプロテアーゼであるキマーゼによって迂回され得る(Husai
n A.、J.Hypertens.、1993、11、1155)。したがって患者に
おいて、ACEの阻害はブラジキニンの蓄積をもたらし、咳(5〜20%)および生命を
脅かす可能性のある血管神経性浮腫(0.1〜0.2%)の原因となる(Israili
Z.H.ら、Annals of Internal Medicine、1992、
117、234)。キマーゼは、ACE阻害剤によって阻害されない。したがって、AC
E阻害剤で処置された患者において、AngIIの形成は依然として可能である。他方、
AT受容体が遮断されると(たとえば、ロサルタンによる)、AT受容体の遮断によ
り濃度が著しく増大したAngIIに、他のAT受容体サブタイプ(たとえば、AT
が過剰に暴露される。要約すると、レニン阻害剤は、RAS遮断および安全性面での有効
性に関して、ACE阻害剤およびAT遮断剤とは異なる医薬的プロファイルを示すこと
が予期される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Waeber B.ら、「The renin−angiotensin system:role in experimental and human hypertension」、Birkenhager W.H.、Reid J.L.(編):Hypertension、Amsterdam、Elsevier Science Publishing Co、1986、489〜519
【非特許文献2】Weber M.A.、Am.J.Hypertens.、1992、5、247S
【非特許文献3】Rosenberg M.E.ら、Kidney International、1994、45、403
【非特許文献4】Breyer J.A.ら、Kidney International、1994、45、S156
【非特許文献5】Vaughan D.E.ら、Cardiovasc.Res.、1994、28、159
【非特許文献6】Fouad−Tarazi F.ら、Am.J.Med.、1988、84(補遺3A)、83
【非特許文献7】Pfeffer M.A.ら、N.Engl.J.Med.1992、327、669
【非特許文献8】Kleinert H.D.、Cardiovasc.Drugs、1995、9、645
【非特許文献9】Husain A.、J.Hypertens.、1993、11、1155
【非特許文献10】Israili Z.H.ら、Annals of Internal Medicine、1992、117、234
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、非ペプチド性であり、低分子量のレニン阻害剤の同定に関する。組織のレニ
ン−キマーゼ系が活性化され、腎臓、心臓、および血管リモデリング、アテローム性動脈
硬化症、ならびに場合により再狭窄などの局所機能の病態生理学的変化をもたらす可能性
のある血圧調節の範囲を越える適応症に活性である、長時間作用性の経口活性レニン阻害
剤が記載される。本発明に記載される化合物は、新規な構造分類のレニン阻害剤である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特定の化合物、および、レニン系に関連することが知られている状態の治療
を含む、レニン酵素の阻害におけるそれらの使用に関する。
【0008】
本発明は、具体的には、式Iの化合物
【化1】

ならびにそれらの光学的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体などのエナンチオマーの混合
物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアス
テレオマーラセミ体の混合物、メソ体、塩、溶媒和物、および形態学的形態(morph
ologicalform)に関し、それら構成員は本明細書に示される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、式Iを有する化合物
【化2】

または医薬的に許容されるその塩、またはその光学異性体を提供し、式中、
Sは、下記式であり、
【化3】

上記式IIaおよびIIbにおいて、窒素原子はTに結合しており、
Tは、結合、−(CH−、−(CH−A−(CH−、または−(C
−A−(CH−B−であり、
AおよびBは、−O−、−S−、−S(O)−、および−S(O)−からなる群から
独立して選択され、
rは、整数2、3、4、または5であり、
sは、整数0、1、または2であり、
Uは、非置換アリール;一、二、三、もしくは四置換アリール(置換基は、ハロゲン、
アルキル、アルコキシ、シアノ、および−CFからなる群から独立して選択される);
または、一、二、もしくは三置換ヘテロアリール(置換基は、ハロゲン、アルキル、アル
コキシ、シアノ、および−CFからなる群から独立して選択される)であり、
Vは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C
アルケニル、C−Cシクロアルケニル、C−Cアルキニル、シアノ、およびC
−Cアルコキシからなる群から選択され、
前記アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、および
アルコキシは、1〜3個の置換基で場合により置換されており、当該置換基はそれぞれ、
ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、シアノ、およびC−Cアル
コキシからなる群から独立して選択され、前述のアルキル、アルケニル、およびアルコキ
シ置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
QおよびRは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、
−Cアルケニル、C−Cシクロアルケニル、C−Cアルキニル、シアノ、
およびC−Cアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して
選択され、
前記アリールおよびヘテロアリールは、1〜4個のハロゲンで場合により置換されてお
り、
前記アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、および
アルコキシは、1〜3個の置換基で場合により置換されており、当該置換基はそれぞれ、
ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、シアノ、およびC−Cアル
コキシからなる群から独立して選択され、前述のアルキル、アルケニル、およびアルコキ
シ置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
Wは、非置換またはハロゲン(特定の実施形態でハロゲンはフッ素である)で一、二、
三、四、もしくは五置換されているシクロプロピルであり、
Xは、OR、R、−(C−Cアルキレン)−(O)0−1−アリール、および
−(C−Cアルキレン)−(O)0−1−ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニ
ル、C−Cシクロアルケニル、C−Cアルキニル、C−C−シアノ、−(C
−Cアルキレン)−O−R、−(C−Cアルキレン)−N(−R)−C(=
O)−(C−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−C(=O)−N(−R
)−(C−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−N(−R)−C(=O)
−O−(C−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−O−C(=O)−N(−
)−(C−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−N(−R)−(C
−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−S−(C−Cアルキル)、−(C
−Cアルキレン)−S−(=O)−(C−Cアルキル)、および−(C−C
アルキレン)−S−(=O)−(C−Cアルキル)からなる群から選択され、
は、水素の場合を除いて、ハロゲン、C(=O)OH、C−Cアルキル、C
−Cアルケニル、およびC−Cアルコキシからなる群から独立して選択された、1
〜3個の置換基で場合により置換されており、ここで、アルキル、アルケニル、およびア
ルコキシ置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
−(C−Cアルキレン)−(O)0−1−ヘテロアリールのヘテロアリールは、N
、O、およびSからなる群から独立して選択された、1〜3個のヘテロ原子を含有し、各
Nは場合により酸化物の形態であり、各Sは場合により、S(=O)およびS(=O)
からなる群から選択された酸化物の形態であり、
それぞれ−(C−Cアルキレン)−(O)0−1−アリールおよび−(C−C
アルキレン)−(O)0−1−ヘテロアリールのアリールおよびヘテロアリールは、1〜
4個のハロゲンで場合により置換されており、
は、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニ
ル、C−Cシクロアルケニル、およびC−Cアルキニルからなる群から選択され
、前述のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニル
置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
Zは、ハロゲン、C−Cアルキル、およびCシクロアルキルからなる群から独立
して選択された、1〜2個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキレンで
あり、前述のアルキルおよびシクロアルキル置換基は、1〜3個のハロゲンで場合により
置換されており、
n1は、0または1であり、
Yは、(i)5もしくは6員飽和もしくは不飽和複素環もしくは炭素環単環式環(「単
環式環」)、または(ii)5もしくは6員飽和もしくは不飽和複素環もしくは炭素環が
5もしくは6員飽和もしくは不飽和複素環もしくは炭素環に縮合している縮合環系(「縮
合環」)であり、
(i)または(ii)の複素環は、N、O、およびSから独立して選択された、1〜3
個のヘテロ原子を含有し、各Nは場合により酸化物の形態であり、各Sは場合により、S
(=O)およびS(=O)からなる群から選択された酸化物の形態であり、
(i)または(ii)の複素環または炭素環は、場合により一、二、三、四、五、また
は六置換されており、各置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)−OH、
(3)−NH(R)、
(4)オキソ、
(5)−C(=O)−R
(6)−O−C(=O)−R
(7)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキル、
(8)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cシクロアルキル、
(9)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキル、
(10)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cシクロアルケニル、
(11)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキニル、
(12)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルコキシ、
(13)シアノ、
(14)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cシアノ、
(15)−OCF
(16)−C(R
(17)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
OR
(18)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−N(R)−(C−C
ルキレン)−OR
(19)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−O−(C−Cアルキレン
)−OR
(20)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−S−(C−Cアルキレン
)−OR
(21)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−S(=O)−(C−C
ルキレン)−OR
(22)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−S(=O)−(C−C
アルキレン)−OR
(23)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
N(R)−C(=O)−(C−Cアルキレン)−R
(24)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
N(R)−C(=O)−OR
(25)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
N(R)(R)、
(26)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−O−(C−Cアルキレン
)−C(R−C(=O)−OR
(27)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
C(R−C(=O)−OR
(28)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−O−(C−Cアルキレン
)−モルホリン、
(29)−OC(=O)−モルホリン、
(30)−SR
(31)−S(=O)−R
(32)−S(=O)−R
(33)−N(R)(R)、
(34)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
C(R−(R)、
(35)−(R0−1
(36)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルケニル−OR

(37)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキニル−OR

(38)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
C(=O)−(C−Cアルキレン)−R
(39)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
O−C(=O)−(C−Cアルキレン)−R
(40)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
C(=O)−N(R)(R)、
(41)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
O−C(=O)−N(R)(R)、
(42)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
SR
(43)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
S(=O)−R
(44)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
S(=O)−Rからなる群から独立して選択され、
は、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニ
ル、C−Cシクロアルケニル、およびC−Cアルキニルからなる群から選択され
、前述のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニル
置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
は、ハロゲンであり、
は、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニ
ル、C−Cシクロアルケニル、およびC−Cアルキニルからなる群から選択され
、前述のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニル
置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
は、−C(H)(OH)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)O
−、−O−、−OC(=O)O−、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、−
N(R)−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−N(R)−C(=O)
−、−C(=O)−N(R)−、−OC(=O)−N(R)−、−N(R)−C(
=O)O−、−N(R)−S(=O)−、および−S(=O)−N(R)−から
なる群から選択され、前述のアルキレンおよびアルケニレン置換基はそれぞれ、1〜3個
のハロゲンで場合により置換されており、Rは、上に定義されたとおりであり、
は、場合により一、二、三、四、または五置換されている、5または6員飽和また
は不飽和複素環または炭素環であり、各置換基は、ハロゲン、−OH、−SR、−N(
)(R)、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニ
ル、C−Cシクロアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、シア
ノ、およびC−C−シアノからなる群から独立して選択され、前記複素環は、N、O
、およびSから独立して選択された、1から3個のヘテロ原子を含有し、各Nは場合によ
り酸化物の形態であり、各Sは場合により、S(=O)およびS(=O)からなる群か
ら選択された酸化物の形態であり、RおよびRは、上に定義されたとおりである。
【0010】
一実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、ま
たはその光学異性体を提供し、式中、それぞれY(i)または(ii)の単環式環または
縮合環は、以下の表から選択され、これらは式Iに関して上述したとおり、場合により一
、二、三、四、または五置換される。
【表1】

別の実施形態において、Tは、−CHCHO−または−CHCHCHO−で
あり、当該二価の基は、酸素原子を介して式(I)の基Uに結合している。
【0011】
本発明の別の実施形態において、Uは、一、二、三、または四置換アリールである。特
定の実施形態において、Uは、一、二、または三置換フェニルであり、当該置換基は、ハ
ロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、および−CFからなる群から独
立して選択される。特定の実施形態において、前記置換基は、ハロゲンおよびC−C
アルキルからなる群から独立して選択される。特定の実施形態において、Uは、2,6−
ジクロロ−4−メチル−フェニルを表わし、他のすべての可変記号は前に定義されたとお
りである。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、
またはその光学異性体を提供し、式中、QおよびRは、H、−OCHOCH、およ
び−CHからなる群から独立して選択される。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、
またはその光学異性体を提供し、式中、Vは、水素またはハロゲンである。特定の実施形
態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、またはその光
学異性体を提供し、式中、Vは、HまたはClである。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、
またはその光学異性体を提供し、式中、Wは、シクロプロピルである。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、
またはその光学異性体を提供し、式中、Xは、H、−OH、または−OCHである。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、
またはその光学異性体を提供し、式中、(Z)n1は、−CH−または結合である。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、
またはその光学異性体を提供し、式中、Yは、下記式であって、
【化4】

これは、式Iに記載のとおり場合により一、二、三、四、または五置換されている。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、
またはその光学異性体を提供し、式中、
Sは、下記式であり、
【化5】

上記式Sの窒素原子は、Tに結合しており、
Uは、場合により一、二、三、四、または五置換されている、フェニル環であり、置換
基は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、およびCFからなる群から独立して選択され

Wは、シクロプロピルであり、
Xは、水素、OH、またはメトキシであり、
Zは、−CH−であり、
n1は、1であり、
Yは、下記式であって、
【化6】

これは、式Iに記載のとおり場合により一、二、三、四、または五置換されており、
ここで、他のすべての可変記号は、式Iに関して上に定義されたとおりである。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、
またはその光学異性体を提供し、式中、Sは、下記式であり、
【化7】

上記式Sの窒素原子は、Tに結合しており、
Tは、−(CH−O−であり、
Uは、場合により一、二、三、四、または五置換されている、フェニル環であり、置換
基は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、およびCFからなる群から独立して選択され

Wは、シクロプロピルであり、
Xは、水素、OH、またはメトキシであり、
Zは、−CH−であり、
n1は、1であり、
Yは、下記式であり、
【化8】

式中、
Aは、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)C−Cアルキル、
(4)C−Cアルコキシ、および
(5)−S−(CH0−3−CHからなる群から選択され、
(3)および(4)は、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
Bは、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)C−Cアルキル、
(4)C−Cアルコキシ、
(5)−OH、
(6)−CF
(7)−C(=O)−CH
(8)−O−(C−Cアルキレン)−O−シクロプロピル、
(9)−O−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH
(10)−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH
(11)−OC(=O)−モルホリン、
(12)−O−(C−Cアルキレン)−モルホリン、
(13)−O−(C−Cアルキレン)−C(CH−C(=O)OH、
(14)−O−(C−Cアルキレン)−C(CH−C(=O)OCH
(15)
【化9】

および
(16)
【化10】

からなる群から選択され、
(3)、(4)、(8)、(9)、(10)、(12)、(13)、(14)、(15
)、および(16)は、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
Cは、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキル、および
(4)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルコキシからなる群
から選択され、
Dは、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)C−Cアルキル、
(4)C−Cアルコキシ、
(5)C−C−シアノ、
(6)C−Cアルケニレン−O−(CH0−2−CH
(7)−(C−Cアルキレン)−N(H)−C(=O)−O−(CH0−2−C

(8)−(C−Cアルキレン)−N(H)−C(=O)−(CH0−2−CH

(9)−(C−Cアルキレン)−O−CHF
(10)−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH
(11)−O−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH
(12)−(C−Cアルキレン)−OH、
(13)−S−(C−Cアルキレン)−OH、
(14)−SCF
(15)−N(H)−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH、およ

(16)
【化11】

からなる群から選択され、
F、G、およびHは、水素、ハロゲン、および1〜3個のハロゲンで場合により置換さ
れているC−Cアルキルからなる群から独立して選択され、
は、−CH−、−C(H)(OH)−、および−C(=O)−からなる群から選
択され、
(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(
12)、(13)、および(15)は、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており

ここで、他のすべての可変記号は、式Iに関して上に記載されたとおりである。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、または医薬的に許容されるその塩、
またはその光学異性体を提供し、式中、
Sは、下記式であり、
【化12】

上記式Sの窒素原子は、Tに結合しており、
Tは、−(CH−O−であり、
Uは、場合により一、二、三、四、または五置換されている、フェニル環であり、置換
基は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、およびCFからなる群から独立して選択され

Wは、シクロプロピルであり、
Xは、水素、OH、またはメトキシであり、
Zは、−CH−であり、
n1は、1であり、
Yは、下記式であり、
【化13】

式中、
Aは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、およびC−Cアルコキシからなる群
から選択され、
Bは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、および−O−(
−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CHからなる群から選択され、
Cは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、およびC−Cアルコキシからなる群
から選択され、
Dは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、および−(C
−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CHからなる群から選択され、
A〜Dのアルキルまたはアルコキシ基は、1〜3個のハロゲンで場合により置換されて
おり、
ここで、他のすべての可変記号は式1に関して上に記載されたとおりである。
【0021】
上記式Iの化合物、および医薬的に許容されるその塩は、レニン阻害剤である。これら
の化合物は、レニンの阻害および高血圧などの状態の治療に有用である。
【0022】
式(I)の化合物への任意の言及は、必要に応じて便宜的に、そのような化合物の光学
的に純粋なエナンチオマー、ラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオマー
、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の
混合物、メソ体、ならびに塩(特に医薬的に許容される塩)および溶媒和物(水和物を含
む)、さらに形態学的形態も言及するものとして理解される。本発明はこれらのすべての
形態を包含する。混合物は、それ自体が知られている方法、たとえばカラムクロマトグラ
フィ、薄層クロマトグラフィ(TLC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、また
は結晶化によって分離される。本発明の化合物は、キラル中心、たとえば1つのキラル中
心(2種の立体異性体(R)および(S)を提供する)、または2つのキラル中心(4種
までの立体異性体(R,R)、(S,S)、(R,S)、および(S,R)を提供する)
を有することができる。本発明は、これらの光学異性体およびその混合物のすべてを含む
。明確に別段の記載のないかぎり、1種の異性体への言及は、可能な任意の異性体に適用
される。異性体組成物が明示されていない場合、たとえばキラル炭素への結合が直線で示
されている場合であっても、そのキラル炭素の(R)および(S)両方の立体配置、した
がって、両方のエナンチオマーおよびそれらの混合物を表わすものとして理解される。
【0023】
さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物は、Z体およびE体として生じる可能性が
あり、これらの化合物のすべての異性体が本発明に含まれる。
【0024】
本発明の化合物はまた、酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)、お
よび/または窒素などの1つ以上の位置によってニトロソ化されている式(I)のニトロ
ソ化化合物も含む。本発明のニトロソ化化合物は、当業者に知られている通常の方法を用
いて調製することができる。たとえば、化合物をニトロソ化するための既知の方法は、米
国特許第5,380,758号、第5,703,073号、第5,994,294号、第
6,242,432号、および第6,218,417号、WO98/19672、ならび
にOaeら、Org.Prep.Proc.Int.、15(3):165〜198(1
983)に記載されている。
【0025】
塩は、好ましくは式(I)の化合物の医薬的に許容される塩である。「医薬的に許容さ
れる塩」という語句は、生体に非毒性である、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、
スルファミン酸、リン酸、硝酸、亜リン酸、亜硝酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、
マレイン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、安息香酸、マンデル酸、桂皮酸、パモ酸、ステア
リン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタン
ジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸など
のような無機酸もしくは有機酸との塩、または式(I)の化合物が酸性である場合、アル
カリもしくはアルカリ土類塩基、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カ
ルシウムなどのような無機塩基との塩を包含する。他の医薬的に許容される塩の例に関し
ては、特に「Salt selection for basic drugs」、In
t.J.Pharm.(1986)、33、201〜217を参照することができる。
【0026】
本発明はまた、プロドラッグとして作用する、式Iの化合物の誘導体を含む。これらの
プロドラッグは、患者に投与された後、体内で通常の代謝過程によって式Iの化合物に変
換される。そのようなプロドラッグには、式Iの化合物の薬物吸収を改善するために、向
上したバイオアベイラビリティ(下記の表4参照)、組織特異性、および/または細胞送
達を示すものが含まれる。そのようなプロドラッグの効果は、物理化学的特性、たとえば
親油性、分子量、電荷、および薬物の浸透特性を決定する他の物理化学的特性などを改変
することによって得ることができる。
【0027】
式Iにおいて上記および以下に用いられる一般用語は、本開示において好ましくは、別
段の指示のないかぎり以下の意味を有する。化合物、塩、医薬組成物、疾患などに関して
複数形が用いられる場合、単数の化合物、塩なども意味することが意図される。
【0028】
用語「アルキル」は、単独でまたは他の基との組み合わせにおいて、別段の指示のない
かぎり、1から6個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐鎖基を意味する(「C1−6
アルキル」または「C−Cアルキル」で表わすことができる)。意図される意味がこ
れ以外であるとき、たとえば、炭素原子数が1から4個の炭素原子の範囲内であるとき、
この意味は「C1−4アルキル」または「C−Cアルキル」のような形式で表わされ
る。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イ
ソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルで
ある。メチル、エチル、およびイソプロピル基が好ましい。
【0029】
化合物の構造的な表示は、末端メチル基を「−CH」、「CH」、「−Me」、「
Me」、または
【化14】

として示すことができる(すなわち、これらは等価の意味を有する)。末端エチル基は、
「−CHCH」、「CHCH」、「−Et」、「Et」、または
【化15】

として表示することができる(すなわち、これらは等価の意味を有する)。
【0030】
用語「アルキレン」は、指定された範囲内の炭素原子数を有する、任意の二価の直鎖ま
たは分岐鎖脂肪族炭化水素基を指す。したがって、たとえば、「−C−Cアルキレン
−」は、CからC直鎖または分岐鎖アルキレンのいずれかを指し、「−C−C
ルキレン−」は、CからC直鎖または分岐鎖アルキレンのいずれかを指す。本発明に
関して特に対象となるアルキレンのクラスは−(CH1−6−であり、特に対象とな
るサブクラスには−(CH1−4−、−(CH1−3−、−(CH1−2
、および−CH−が含まれる。対象となる別のサブクラスは、−CH−、−CH(C
)−、および−C(CH−からなる群から選択されたアルキレンである。「−
−Cアルキレン−フェニル」および「フェニルで置換された−C−Cアルキレ
ン−」などの語句は同じ意味を有し、交換可能に用いられる。
【0031】
用語「アルケニル」は、単独でまたは他の基との組み合わせにおいて、別段の指示のな
いかぎり、2から6個の炭素原子を有する不飽和(すなわち、少なくとも1つの二重結合
を有する)直鎖および分岐鎖基を意味する(「C2−6アルケニル」または「C−C
アルケニル」で表わすことができる)。意図される意味がこれ以外であるとき、たとえば
、炭素原子数が2から4個の炭素原子の範囲内であるとき、この意味は「C2−4アルケ
ニル」または「C−Cアルケニル」のような形式で表わされる。
【0032】
用語「アルケニレン」は、指定された範囲内の炭素原子数を有する、任意の二価の直鎖
または分岐鎖脂肪族モノ不飽和炭化水素基を指す。
【0033】
用語「アルキニル」は、単独でまたは他の基との組み合わせにおいて、別段の指示のな
いかぎり、2から6個の炭素原子を有する不飽和(すなわち、少なくとも1つの三重結合
を有する)直鎖および分岐鎖基を意味する(「C2−6アルキニル」または「C−C
アルキニル」で表わすことができる)。意図される意味がこれ以外であるとき、たとえば
、炭素原子数が2から4個の炭素原子の範囲内であるとき、この意味は「C2−4アルキ
ニル」または「C−Cアルキニル」のような形式で表わされる。
【0034】
用語「アルコキシ」は、単独でまたは他の基との組み合わせにおいて、R−O−基を指
し、式中、Rはアルキル基である。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、およびtert−ブトキシであ
る。
【0035】
用語「ヒドロキシ−アルキル」は、単独でまたは他の基との組み合わせにおいて、HO
−R−基を指し、式中、Rはアルキル基である。ヒドロキシ−アルキル基の例は、HO−
CH−、HO−CHCH−、HO−CHCHCH−、およびCHCH(O
H)−である。
【0036】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素、
または臭素、特にフッ素または塩素を意味する。
【0037】
用語「シクロアルキル」は、単独でまたは他の基との組み合わせにおいて、別段の指示
のないかぎり、3から8個の炭素原子を有する飽和環式炭化水素環系、たとえばシクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシク
ロオクチルを意味する。これは「C3−8シクロアルキル」または「C−Cシクロア
ルキル」で表わすことができる。意図される意味がこれ以外であるとき、たとえば、炭素
原子数が3から6個の炭素原子の範囲内であるとき、この意味は「C3−6シクロアルキ
ル」または「C−Cシクロアルキル」のような形式で表わされる。
【0038】
本明細書では、用語「炭素環」(および「炭素環式」または「カルボシクリル」などの
その変形)は、別段の指示のないかぎり、CからC単環式飽和または不飽和環を指す
。炭素環は、安定な化合物を生じる任意の炭素原子で分子の残部に結合することができる
。飽和炭素環式環は、シクロアルキル環、たとえばシクロプロピル、シクロブチルなどと
も称される。
【0039】
用語「複素環」(および「複素環式」または「ヘテロシクリル」などのその変形)は広
範に、N、O、およびSから選択された1つ以上のヘテロ原子(たとえば、1から6個の
ヘテロ原子、または1から4個のヘテロ原子)と残余の炭素原子(典型的には少なくとも
1つの炭素原子)を含有し、任意の1つ以上の窒素および硫黄ヘテロ原子が場合により酸
化されており、任意の1つ以上の窒素ヘテロ原子が場合により四級化されている、安定な
4から8員飽和または不飽和単環式環を指す。別段の指示のないかぎり、複素環式環は、
その結合によって安定な構造が作られるならば、任意のヘテロ原子または炭素原子におい
て結合することができる。別段の指示のないかぎり、複素環式環が置換基を有するとき、
安定な化学構造が得られるならば、それらの置換基は、ヘテロ原子であっても炭素原子で
あっても、環中の任意の原子に結合してよいことが理解される。
【0040】
用語「アリール」は、単独でまたは組み合わせにおいて、フェニル、ナフチル、または
インダニル基、好ましくはフェニル基に関する。略語「Ph」は、フェニルを表わす。
【0041】
用語「ヘテロアリール」は、単独でまたは組み合わせにおいて、1から4個の窒素原子
を含有する6員芳香環;1から3個の窒素原子を含有するベンゾ縮合6員芳香環;1つの
酸素、1つの窒素、または1つの硫黄原子を含有する5員芳香環;1つの酸素、1つの窒
素、または1つの硫黄原子を含有するベンゾ縮合5員芳香環;酸素、窒素、および硫黄か
ら独立して選択された2つのヘテロ原子を含有する5員芳香環、およびそのような環のベ
ンゾ縮合誘導体;3個の窒素原子を含有する5員芳香環、およびそのベンゾ縮合誘導体;
テトラゾリル環;チアジニル環;またはクマリニルを意味する。そのような環系の例は、
フラニル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリニル、
イソキノリニル、イミダゾリル、トリアジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジ
ニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾチエニル、キナゾリニル、
およびキノキサリニルである。
【0042】
式Iの化合物および医薬的に許容されるその塩の特定の例には、以下に挙げるものが含
まれる:
・トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフ
ェノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−ヒドロキ
シ−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−
3−ピペリジンカルボキサミド
・トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフ
ェノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−メトキシ
−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−3
−ピペリジンカルボキサミド
・トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフ
ェノキシ)プロピル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−ヒドロ
キシ−N−[3−(2−メトキエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−
3−ピペリジンカルボキサミド
・トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフ
ェノキシ)プロピル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−メトキ
シ−N−[3−(2−メトキエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−3
−ピペリジンカルボキサミド
・トランス−N−[2−クロロ−5−(2−メトキシエチル)ベンジル]−N−シクロプ
ロピル−4−{1−[3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)プロピル]−2
−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−ヒドロキシ−3−ピペリジンカル
ボキサミド。
【0043】
本発明はまた、医薬的に許容される担体、および式Iの化合物または医薬的に許容され
るその結晶形態もしくは水和物を含む医薬製剤も包含する。好ましい実施形態は、さらに
第2の作用剤を含む式Iの化合物の医薬組成物である。
【0044】
[略語リスト]
BINAP: 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
BOC: t−ブチルオキシカルボニル
BSA: ウシ血清アルブミン
COD: 1,5−シクロオクタジエン
DBU: 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DCM: ジクロロメタン
DIBAl−H: 水素化ジイソブチルアルミニウム
DMAP: 4−ジメチルアミノピリジン
DME: 1,2−ジメトキシエタン
DMF: N,N−ジメチルホルムアミド
DMP: デス・マーチンペルヨージナン
DMSO: ジメチルスルホキシド
DPPB: 1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン
DPPF: 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EDTA: エチレンジアミン四酢酸
EIA: 酵素免疫測定法
EtO: ジエチルエーテル
EtOAc: 酢酸エチル
HATU: O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テ
トラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
Hex: ヘキサン
KHMDS: カリウムヘキサメチルジシラジド
mCPBA: メタクロロ過安息香酸
MeOH: メタノール
NBS: N−ブロモスクシンイミド
NMO: N−メチルモルホリン−N−オキシド
n−PrOH: n−プロパノール
PBS: リン酸緩衝生理食塩水
PG: 保護基
PPh3: トリフェニルホスフィン
RT: 室温
TBAF: テトラブチルアンモニウムフルオリド
TFA: トリフルオロ酢酸
THF: テトラヒドロフラン
TMEDA: N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
Tol: トルエン
反対のことが明確に記載されていないかぎり、本明細書で言及されるすべての範囲は包
括的である。たとえば、C−Cアルキルとして記載されるアルキル基は、1、2、3
、4、5、または6個の炭素原子を含有することのできるアルキル基を意味する。
【0045】
所与の範囲が0を含むとき(たとえば、(CH0−3)、0は直接共有結合してい
ることを意味する。
【0046】
任意の可変記号が、本発明の化合物を表示および記載する任意の構成要素または任意の
式に複数回出現するとき、それぞれの出現時の定義は、他のすべての出現時の定義から独
立している。
【0047】
また、置換基および/または可変記号の組み合わせは、そのような組み合わせによって
安定な化合物が生じる場合にかぎり許容される。
【0048】
用語「置換されている」(たとえば「1つ以上の置換基で場合により置換されているア
リール……」など)には、そのような単一および複数の置換(同じ場所での複数の置換を
含む)が化学的に許容され、安定な化合物を生じる範囲内の指定された置換基による一置
換および多置換が含まれる。
【0049】
「安定な」化合物とは、調製および単離が可能であり、本明細書に記載の目的(たとえ
ば、患者への治療的または予防的投与)で化合物を使用できる十分な期間、その構造およ
び特性が変わらないか、本質的に変わらないままであり得る化合物である。
【0050】
ピリジルN−オキシド部分を有する本発明の化合物において、ピリジル−N−オキシド
部分は、等価の意味を有する下記式などの通常の表記を用いて、構造的に示される。
【化16】

本発明は、高血圧、鬱血性心不全、肺高血圧、収縮期高血圧、腎機能不全、腎虚血、腎
不全、腎線維症、心機能不全、心臓肥大、心筋線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、
腎仙痛、糖尿病に起因する合併症、たとえば腎症、血管症、およびニューロパシーなど、
緑内障、眼内圧上昇、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管または心臓
手術後の合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害
、免疫抑制剤による治療の合併症に関連する疾患、ならびにレニン−アンジオテンシン系
に関連することが知られている他の疾患を治療および/または予防する方法に関し、当該
方法は上に定義された化合物をヒトまたは動物に投与することを含む。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、高血圧、鬱血性心不全、肺高血圧、腎機能不全、腎
虚血、腎不全、腎線維症、心機能不全、心臓肥大、心筋線維症、心筋虚血、心筋症、糖尿
病に起因する合併症、たとえば腎症、血管症、およびニューロパシーなどに関連する疾患
を治療および/または予防する方法に関する。
【0052】
別の実施形態において、本発明は、レニン−アンジオテンシン系の調節不全に関連する
疾患を治療および/または予防する方法、ならびに上記疾患を治療する方法に関する。
【0053】
本発明はまた、上記疾患を治療および/または予防する薬剤を調製するための、式(I
)の化合物の使用に関する。
【0054】
式(I)の化合物または上記医薬組成物はまた、ACE阻害剤、中性エンドペプチダー
ゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニ
スト、血管拡張剤、カルシウムアンタゴニスト、カリウム活性剤、利尿剤、交感神経遮断
剤(sympatholitic)、βアドレナリンアンタゴニスト、αアドレナリンア
ンタゴニストを含む他の薬理活性化合物、または上記疾患の治療もしくは予防に有益な他
の薬物との併用においても有用である。
【0055】
式Iの化合物に関して、用語「投与」およびその変形(たとえば、化合物を「投与する
」)は、治療または予防を必要としている個体に、化合物または化合物のプロドラッグを
提供することを意味する。本発明の化合物またはそのプロドラッグが1種以上の他の活性
剤(たとえば、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、ACE阻害剤などの作用剤
、または血圧を下げることが知られている他の活性剤)と組み合わせて提供されるとき、
「投与」およびその変形はそれぞれ、化合物またはプロドラッグと他の作用剤を同時にま
たは異なる時点に提供することを含むものと理解される。ある組み合わせの作用剤が同時
に投与されるとき、それらの作用剤は単一の組成物として一緒に投与することができ、ま
たは個別に投与することもできる。
【0056】
本明細書では、「組成物」という用語は、指定量の指定成分を含む生成物、ならびに指
定量の指定成分を合わせることによって直接または間接的に得られる任意の生成物を包含
することが意図される。
【0057】
「医薬的に許容される」とは、医薬組成物の成分が互いに適合性でなければならず、そ
の受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0058】
本明細書では、「患者」という用語は、治療、観察、または実験の対象となった動物、
好ましくは哺乳動物、もっとも好ましくはヒトを指す。
【0059】
本明細書では、「有効量」という用語は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医によ
って探索される、組織、系、動物、またはヒトにおける生物学的または医薬的応答を誘出
する活性化合物または医薬作用剤の量を意味する。一実施形態において、有効量は、治療
される疾患または状態の症状を緩和するための「治療有効量」である。別の実施形態にお
いて、有効量は、予防される疾患または状態の症状を予防するための「予防有効量」であ
る。本明細書では、この用語はさらに、レニンを阻害し、それによって求められる応答を
誘出するのに十分な活性化合物の量(すなわち、「阻害有効量」)も含む。活性化合物(
すなわち、活性成分)が塩として投与される場合、活性成分の量に関する言及は、化合物
の遊離形態(すなわち、非塩形態)に関するものである。
【0060】
好ましい実施形態において、この量は、1日当たり1mgから1000mgである。特
に好ましい実施形態において、この量は、1日当たり1mgから500mgである。さら
に特に好ましい実施形態において、この量は、1日当たり1mgから200mgである。
【0061】
本発明の方法(すなわち、レニンの阻害)において、場合により塩の形態である式Iの
化合物は、活性剤とその剤の作用部位とを接触させる任意の手段によって投与することが
できる。それらの化合物は個々の治療剤として、または治療剤の組み合わせとして、医薬
品と併せて用いるために利用可能な通常の任意の手段によって投与することができる。化
合物は、単独で投与することができるが、典型的には選択された投与経路および標準的な
医薬上の慣例に基づいて選択される医薬担体と共に投与される。たとえば、本発明の化合
物は、有効量の本化合物と医薬的に許容される通常の非毒性の担体、補助剤、およびビヒ
クルを含有する医薬組成物の単位用量の形態で、経口、経粘膜(舌下、口腔、直腸、鼻、
または膣投与を含む)、非経口(皮下注射、ボーラス注入、動脈内、静脈内、筋内、胸骨
内注射または輸液投与技法を含む)、吸入噴霧、経皮、たとえば受動的またはイオン導入
送達、または局所投与によって投与することができる。投与形態の例には、これに限定さ
れるものではないが、錠剤、カプレット、カプセル剤、たとえば軟質弾性ゼラチンカプセ
ルなど、カシェ剤、トローチ剤、ロゼンジ、分散剤、坐剤、軟膏、パップ剤(湿布)、パ
スタ剤、粉剤、包帯剤、クリーム、硬膏、液剤、パッチ剤、エアロゾル(たとえば、鼻腔
用噴霧剤または吸入剤)、ゲル、患者への経口または粘膜投与に適した液体投与形態(懸
濁剤(たとえば、水性または非水性液体懸濁剤、水中油型エマルション、または油中水型
エマルション)、液剤、およびエリキシル剤を含む)、患者への非経口投与に適した液体
投与形態、ならびに再構成して患者への非経口投与に適した液体投与形態を提供すること
のできる滅菌固体(たとえば、結晶性または非晶質固体)が含まれる。経口投与に適した
液体調剤(たとえば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤など)は、当分野で知られてい
る技法に従って調製することができ、水、グリコール、油、アルコールなど通常の任意の
媒質を用いることができる。経口投与に適した固体調剤(たとえば、粉剤、丸剤、カプセ
ル剤、および錠剤)は、当分野で知られている技法に従って調製することができ、デンプ
ン、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの固体賦形剤を用いることができる。非
経口組成物は、当分野で知られている技法に従って調製することができ、典型的には、担
体として滅菌水を用い、場合により溶解補助剤などの他の成分を用いる。注射液は、当分
野で知られている方法に従って調製することができ、担体は、生理食塩溶液、グルコース
溶液、または生理食塩水とグルコースの混合物を含有する溶液を含む。本発明に使用する
医薬組成物の調製に用いるのに適した方法、および前記組成物に用いるのに適した成分に
関するさらなる説明は、Remington’s Pharmaceutical Sc
iences、第18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing
Co.,1990に記載されている。
【実施例】
【0062】
[合成方法]
本発明の化合物は、以下に示し記載する例示的な合成反応スキームに図示される様々な
方法によって製造することができる。これらの化合物の調製に用いる出発材料および試薬
は一般に、Aldrich Chemical Co.などの市販品供給業者から入手可
能であるか、またはFieser and Fierser’s Reagents f
or Organic Synthesis;Wiley&Sons:New York
、1〜21巻;R.C.LaRock、Comprehensive Organic
Transformations、第2版sup.Wiley−VCH、New Yor
k 1999;Comprehensive Organic Synthesis、B
.TrostおよびI.Fleming(編)1〜9巻、Pergamon、Oxfor
d、1991;Comprehensive Heterocyclic Chemis
try、A.R.KatritzkyおよびC.W.Rees(編)Pergamon、
Oxford、1984、1〜9巻;Comprehensive Heterocyc
lic ChemistryII、A.R.KatritzkyおよびC.W.Rees
(編)Pergamon、Oxford、1996、1〜11巻;ならびにOrgani
c Reactions、Wiley&Sons:New York、1991、1〜4
0巻などの参考文献に記載されている手順に従い当業者に知られている方法によって調製
される。以下の合成反応スキームおよび実施例は、単に本発明の化合物を合成できるいく
つかの方法の例示に過ぎず、これらの合成反応スキームには種々の変更が可能であり、そ
れらの変更は本出願に含まれる開示を参照することにより当業者に想到される。
【0063】
合成反応スキームの出発材料および中間体は、所望であれば、これに限定されるもので
はないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィなどの通常の技法を用いて単離および
精製することができる。そのような材料は、物理定数およびスペクトルデータを含む通常
の手段を用いて特性決定できる。
【0064】
明確に別段の指示のないかぎり、実験手順は以下の条件下で行った。溶媒の蒸発は、6
0℃までの浴温で減圧下(600〜4000パスカル:4.5〜30mmHg)、ロータ
リエバポレータを用いて行った。別段の記載のないかぎり、反応は典型的に窒素雰囲気下
、周囲温度で行う。THF、DMF、EtO、DME、およびトルエンなどの無水溶媒
は商用グレードである。試薬は商用グレードであり、さらに精製することなく用いた。フ
ラッシュクロマトグラフィは、シリカゲル(230〜400メッシュ)で行う。反応の進
行は薄層クロマトグラフィ(TLC)または核磁気共鳴(NMR)スペクトロメトリによ
って追跡し、示される反応時間は単に例示のためである。すべての最終生成物の構造およ
び純度を、TLC、質量分析、H NMR、および高圧液体クロマトグラフィ(HPL
C)によって確認した。化学記号は通常の意味を有する。以下の略語も用いられる:v(
体積)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミ
リリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモ
ル)、eq.(当量)。別段の指示のないかぎり、下記の可変記号はすべて、上に記載し
た意味を有する。
【0065】
一般に、本発明の化合物は、適切に置換されたピリドンIと適切に官能化されたアミン
IIをカップリングし、その後、アミドIIIからBOC保護基を除去することによって
調製できる(スキーム1)。
【化17】

必要なピリドンIの合成は、たとえば、スキーム2に例示のとおり実行できる。典型的
には、既知のトリフラートVから調製されたボロン酸エステルVIとハロゲン化物VII
との金属触媒による鈴木カップリングによって、α,β−不飽和エステルVIIIを得る
ことができる。もっとも好都合にはヨウ化マグネシウムまたはサマリウムを用いて達成さ
れる二重結合の還元、それに続く塩基を介する平衡化によって、単一のジアステレオマー
として飽和エステルIXが得られる。対応するピリドンXへの変換は、mCPBAまたは
等価の酸化剤で最初にエステルIXを処理し、続いて得られたピリジンN−オキシドをト
リエチルアミン中TFAA、または等価の転位促進剤と反応させる2つのステップによっ
て実行できる。または、エステルIXのV基がOBnである場合、典型的な条件下での単
純な水素添加によって直接ピリドンXが得られる。実際には、適切な試薬によるピリドン
XのN−アルキル化によって、XIを得ることもできる。最後に、ピリドンXIを鹸化し
て、ピリドンIを得る。
【化18】

VがOBnであるIの調製に用いられるハロゲン化物VIIの場合、それらの合成は、
たとえば、炭酸銀の存在下、ハロゲン化ベンジルを用いて、対応するピリドンXIVから
もっとも容易に達成することができる(スキーム3)。ピリドンXIVが市販されておら
ず、文献で知られてもいない場合、必要な化合物は、ピリジンN−オキシドXIIIを中
間体として、対応するピリジンXIIから調製することができた。
【化19】

ピペリジン環の4位にアルコキシ基を有する本発明の化合物の場合、もっとも好都合に
は、最初にアミンIIとβ−ケトエステルXVとの間でアミドを形成し、その後、適切に
保護され、適切に置換されたヒドロキシピリジンから誘導されたグリニャール(Gign
ard)試薬を付加することによって得られる。必要であれば、得られたアルコールXV
IIを先に官能化し、上記の化学を用いて、保護ヒドロキシピリジンXXVIIIを所望
のピリドンXIXに変換する。最後に、典型的な条件下でBOCの除去を達成できる(ス
キーム4)。
【化20】

代表的なシクロプロピルアミン構成ブロックを表1に示す。
【表2】

[アミン1]
N−({2−クロロ−5−[2−(メチルオキシ)エチル]フェニル}メチル)シクロプ
ロパンアミン
アミン1は、WO2007/009250A1特許に記載の手順に従って調製した。
【0066】
[アミン2]
N−({3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[3−(メチルオキシ)
プロピル]フェニル}メチル)シクロプロパンアミン
ステップ1:3−ブロモ−5−ヒドロキシベンズアルデヒド
n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、2.1当量)のトルエン溶液(1.6M)
に、−10℃でn−ブチルマグネシウムクロリド(THF中2.0M、0.6当量)を添
加した。反応混合物を−10℃で30分間攪拌し、その後、3,5−ジブロモフェノール
(1当量)のトルエン溶液(0.7M)を−10℃で35分かけて滴加した。−10℃で
さらに30分間攪拌した後、反応混合物を−40℃に冷却し、その後、DMF(20当量
)を20分かけて滴加した。次いで反応混合物をゆっくりと室温に温め、室温で1時間攪
拌した。反応を0℃で、HCl1N水溶液を用いて注意深くクエンチし、エーテルで抽出
した。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過した
。濾液を真空で濃縮して、黄色の固体を得た。このようにして得られた粗生成物をエーテ
ル−ヘキサンから再結晶して、ベージュ色の粉末として表題化合物を得た。
【0067】
ステップ2:3−ヒドロキシ−5−[(1E)−3−(メチルオキシ)−1−プロペン−
1−イル]ベンズアルデヒド
前ステップの3−ブロモ−5−ヒドロキシベンズアルデヒド(1当量)および2−[(
1E)−3−メトキシプロプ−1−エン−1−イル]−4,4,5,5−テトラメチル−
1,3,2−ジオキサボロラン(1当量)をDMF(0.05M)中で合わせた。次いで
この溶液に、酢酸パラジウム(0.1当量)、トリフェニルホスフィン(0.2当量)、
および炭酸ナトリウム2M水溶液(4当量)を添加した。得られた懸濁液を80℃で16
時間加熱した。反応混合物をHCl1N水溶液でクエンチし、エーテルで抽出した。合わ
せた有機抽出物を水、NaHCO飽和水溶液、およびブラインで洗浄した。MgSO
で乾燥し、濾過し、濾液を真空で濃縮して、褐色のタールとして粗生成物を得た。フラッ
シュクロマトグラフィ(SiO、4:1(v/v)Hex:EtOAc→2:1(v/
v)Hex:EtOAc)によってさらに精製して、黄色の油として表題化合物を得た。
【0068】
ステップ3:3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[(1E)−3−(
メチルオキシ)−1−プロプ−1−エン−1−イル]ベンズアルデヒド
前ステップの3−ヒドロキシ−5−[(1E)−3−(メチルオキシ)−1−プロペン
−1−イル]ベンズアルデヒド(1当量)および2−ブロモエチルメチルエーテル(2.
2当量)をDMF中で合わせた。次いで、この溶液に炭酸セシウム(2当量)を添加し、
反応懸濁液を100℃で16時間加熱した。得られた反応混合物を水でクエンチし、エー
テルで逆抽出した。合わせた有機抽出物をさらに水およびブラインで洗浄し、MgSO
で乾燥し、濾過し、濾液を真空で濃縮した。このようにして得られた粗生成物をフラッシ
ュクロマトグラフィ(SiO、19:1(v/v)Hex:EtOAc→1:1(v/
v)Hex:EtOAc)によってさらに精製して、黄色の油として表題化合物を得た。
【0069】
ステップ4:N−({3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[(1E)
−3−(メチルオキシ)−1−プロペン−1−イル]フェニル}メチル)シ[クロプロパ
ンアミン]
前ステップ(1当量)の3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[(1
E)−3−(メチルオキシ)−1−プロプ−1−エン−1−イル]ベンズアルデヒド(1
当量)のジクロロメタン(0.5M)溶液に、シクロプロピルアミン(2当量)および硫
酸マグネシウム(1.5当量)を添加した。得られた懸濁液を室温で12時間攪拌した。
不溶性物質を濾過によって除去した。濾液を真空で濃縮して、黄色の油として粗製イミン
を得た。次いで、これをメタノール(0.3M)に溶解した後、0℃で水素化ホウ素ナト
リウム(1.5当量)を5分かけて少しずつ添加した。反応混合物を1時間かけてゆっく
りと室温に温め、その後、室温で2時間攪拌した。NaHCO飽和水溶液で注意深くク
エンチした後、得られた混合物をエーテルで抽出した。合わせた有機抽出物を水およびブ
ラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過した。濾液を真空で濃縮して、明るい黄色(
golden、yellow)の油として表題化合物を得た。
【0070】
ステップ5:アミン2
前ステップのN−({3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[(1E
)−3−(メチルオキシ)−1−プロペン−1−イル]フェニル}メチル)シクロプロパ
ンアミン(1当量)のEtOAc(0.04M)溶液に、パラジウム(活性炭上10%w
/w、0.1当量)を添加した。容器を排気し、水素を再充填した。その後、反応懸濁液
を水素バルーン雰囲気下で1.5時間攪拌した。反応をジクロロメタンでクエンチし、セ
ライト層を通して濾過した。不溶性物質をさらにEtOAcおよびメタノールで洗浄した
。濾液を真空で濃縮して、無色の油として表題化合物を得た。
【0071】
表2のアレーン構成ブロックは、以下のとおり合成した。
【表3】

[アレーン1]
2−(ベンジルオキシ)−4−ブロモピリジン
4−ブロモ−2−フルオロピリジン(1当量)、ベンジルアルコール(1.2当量)、
およびジベンゾ−18−クラウン−6(0.05当量)のトルエン(0.4M)溶液に、
水酸化カリウム(2当量)を添加した。その後、ディーンスターク装置を取り付け、反応
懸濁液を3時間加熱還流した。室温に冷却した後、反応混合物をヘキサンで希釈し、次い
でセライト層を通して濾過した。濾液を真空で濃縮して、黄色の油を得た。このようにし
て得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(SiO、97:3(v/v)Hex:
EtO)によって精製して、無色の油として表題化合物を得た。
【0072】
代表的なアルキル化構成ブロックを表3に示す。
【表4】

[メシラート1]
2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エチルメタンスルホナート
ステップ1:2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エタノール
2,6−ジクロロ−4−メチルフェノール(1当量)、エチレンカルボナート(1当量
)、およびイミダゾール(0.5%充填)を合わせ、150℃で4時間加熱して、褐色の
油として表題化合物を得た。
【0073】
ステップ2:メシラート1
前ステップの2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エタノール(1当量)
のジクロロメタン溶液(0.18M)に、−40℃でメタンスルホニルクロリド(1.5
当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。次いで、得られた混合物を1.5
時間かけてゆっくりと5℃に温めた。反応混合物をNHCl飽和水溶液でクエンチし、
ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄した。MgS
で乾燥し、濾過し、濾液を真空で濃縮して、フラッシュクロマトグラフィ(SiO
、4:1(v/v)Hex:EtOAc→2:1(v/v)Hex:EtOAc)によっ
てさらに精製することのできる粗生成物を得た。表題化合物を淡黄色の油として得た。
【0074】
[メシラート2]
3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)プロピルメタンスルホナート
ステップ1:tert−ブチル[3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)プロ
ポキシ]ジメチルシラン
2,6−ジクロロ−4−メチルフェノール(1当量)、3−{[tert−ブチル(ジ
メチル)シリル]オキシ}−1−プロパノール(1当量)、およびジ−tert−ブチル
アゾジカルボキシラート(1.3当量)のTHF溶液(0.23M)に、トリ−n−ブチ
ルホスフィン(1.5当量)を添加した。得られた懸濁液を室温で16時間攪拌した。反
応混合物をエーテルで希釈し、HCl10%水溶液、NaOH1N水溶液、水、およびブ
ラインで連続して洗浄した。MgSOで乾燥し、濾過し、濾液を真空で濃縮して、フラ
ッシュクロマトグラフィ(SiO、99:1(v/v)Hex:EtO→97:3(
v/v)Hex:EtO)によってさらに精製することのできる粗生成物を得た。表題
化合物を無色の油として得た。
【0075】
ステップ2:3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−1−プロパノール
前ステップのtert−ブチル[3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)プ
ロポキシ]ジメチルシラン(1当量)のTHF溶液(0.25M)に、テトラブチルアン
モニウムフルオリド(1.0M THF溶液、1.1当量)を添加した。得られた混合物
を室温で4時間攪拌した。その後、反応混合物をNHCl飽和水溶液でクエンチし、エ
ーテルで抽出した。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄した。MgSOで乾
燥し、濾過し、濾液を真空で濃縮して、フラッシュクロマトグラフィ(SiO、4:1
(v/v)Hex:EtOAc→2:1(v/v)Hex:EtOAc)によってさらに
精製することのできる粗生成物を得て、無色の油として表題化合物を得た。
【0076】
ステップ3:メシラート2
前ステップの3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−1−プロパノール(
1当量)のジクロロメタン溶液(0.15M)溶液に、−40℃でメタンスルホニルクロ
リド(1.5当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。次いで、得られた混
合物を1時間かけてゆっくりと5℃に温めた。反応混合物をNHCl飽和水溶液でクエ
ンチし、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄した
。MgSOで乾燥し、濾過し、濾液を真空で濃縮して、フラッシュクロマトグラフィ(
SiO、4:1(v/v)Hex:EtOAc→2:1(v/v)Hex:EtOAc
)によってさらに精製することのできる粗生成物を得た。表題化合物を淡黄色の油として
得た。
【実施例1】
【0077】
トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェ
ノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−ヒドロキシ
−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−3
−ピペリジンカルボキサミド
【化21】

ステップ1:tert−ブチル3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシエトキシ)
−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−オキソ−1−ピ
ペリジンカルボキシラート
1−tert−ブチル3−エチル4−オキソ−1,3−ピペリジンジカルボキシラート
(1当量)、アミン2(1当量)、およびDMAP(0.2当量)を140℃で5時間加
熱した。このようにして得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(SiO、95:
5→3:7(v/v)Hex:EtOAc)によって精製し、続いて9:1(v/v)H
ex:EtO中で振とう(swish)することによって、白色の固体として表題化合
物を得た。
【0078】
ステップ2:tert−ブチルトランス−4−[2−(ベンジルオキシ)−4−ピリジニ
ル]−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプ
ロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシ
ラート
アレーン1のTHF溶液(0.08M)に、−78℃でn−ブチルリチウム(2.5M
ヘキサン溶液、2.1当量)を添加した。−78℃で30分間攪拌した後、固体マグネシ
ウムブロミド(2.5当量)を素早く一度に添加し、得られた混合物を−78℃で20分
間攪拌した。次いで、反応混合物を30分かけてゆっくりと0℃に温め、前ステップのt
ert−ブチル3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メ
トキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−オキソ−1−ピペリジンカルボ
キシラート(1当量)をTHF溶液として添加した。その後、反応混合物を0℃で1時間
、室温で30分間攪拌した。次いで、NHCl飽和水溶液およびエーテルを添加して、
反応をクエンチした。水層を分離し、エーテルで逆抽出した。合わせた有機抽出物をさら
にブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濾液を真空で濃縮した。このように
して得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(SiO、96:4→93:7(v/
v)アセトン:トルエン)によって精製して、表題化合物を得た。
【0079】
ステップ3:tert−ブチルトランス−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシ
エトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−ヒド
ロキシ−4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル)−1−ピペリジンカル
ボキシラート
前ステップのtert−ブチルトランス−4−[2−(ベンジルオキシ)−4−ピリジ
ニル]−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシ
プロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキ
シラート(1当量)のEtOAc(0.1M)溶液に、パラジウム(炭素上10%w/w
、0.5当量)および酢酸(1.1当量)を添加した。得られた懸濁液を水素バルーン雰
囲気下で4時間攪拌した。反応をジクロロメタンでクエンチし、不溶性物質をセライト層
による濾過によって除去した。このようにして得られた濾液を濃縮して、表題化合物を得
た。
【0080】
ステップ4:tert−ブチルトランス−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシ
エトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{1
−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2−
ジヒドロ−4−ピリジニル}4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシラート
前ステップのtert−ブチルトランス−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキ
シエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−ヒ
ドロキシ−4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル)−1−ピペリジンカ
ルボキシラート(1当量)のメタノール溶液(0.07M)に、NaOH(2N水溶液、
3当量)およびメシラート1(3当量)を添加した。次いで、得られた混合物を60℃で
16時間攪拌した。その後、揮発性物質を真空で除去し、このようにして得られた残留物
をそのまま、分取HPLC−MS(C−18逆相カラム、15mL/分、70:30(v
/v)HO:CHCN→5:95(v/v)HO:CHCN)による精製に供し
た。
【0081】
ステップ5:トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[2−(2,6−ジクロロ−4
−メチルフェノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4
−ヒドロキシ−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベ
ンジル]−3−ピペリジンカルボキサミド
前ステップのtert−ブチルトランス−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキ
シエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{
1−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2
−ジヒドロ−4−ピリジニル}4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシラート(1当
量)のCHCl溶液(0.05M)に、HCl(4.0Mジオキサン溶液、30当量
)を添加した。得られた溶液を室温で3時間攪拌した。揮発性物質を真空で除去した後、
得られた残留物をそのまま、94:6(v/v)CHCl:MeOH中2.0M N
を充填したSiOカラムに負荷した。同じ溶媒系で溶離して、表題化合物を得た。
MS(ESI+,M+H):716.H NMR(アセトン−d):δ(ppm)0
.75−1.04(m,4H),1.74−1.83(m,3H),2.29(s,3H
),2.57(t,d=7.5Hz,2H),2.66−2.73(m,1H),2.8
5−2.87(br m,2H),3.13−3.18(br m,3H),3.28(
s,3H),3.32−3.36(br m,3H),3.39(s,3H),3.69
(t,d=6.8Hz,2H),3.84−3.90(m,1H),4.08(t,d=
6.8Hz,2H),4.22−4.34(m,4H),4.34(d,J=13.4H
z,1H),4.56(d,J=13.4Hz,1H),6.37−6.39(br m
,2H),6.51−6.58(m,3H),6.63(s,1H),7.22(s,2
H),7.58(d,J=7.0Hz,1H).
【実施例2】
【0082】
トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェ
ノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−メトキシ−
N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−3−
ピペリジンカルボキサミド
【化22】

ステップ1:tert−ブチルトランス−4−[2−(ベンジルオキシ)−4−ピリジニ
ル]−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプ
ロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−メトキシ−1−1−ピペリジンカルボキ
シラート
tert−ブチルトランス−4−[2−(ベンジルオキシ)−4−ピリジニル]−3−
({シクロプロピル[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベ
ンジル]アミノ}カルボニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシラート(1
当量、実施例1、ステップ2)のDMF溶液(0.15M)溶液に、水素化ナトリウム(
1.2当量)およびヨードメタン(1.2当量)を添加した。反応混合物を室温で30分
間攪拌し、その後、エーテルおよび水で希釈した。有機層を分離し、さらに水およびブラ
インで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濾液を真空で濃縮した。このようにして得
られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(SiO、3:2(v/v)Hex:EtO
Ac→EtOAc)によって精製して、表題化合物を得た。
【0083】
ステップ2:tert−ブチルトランス−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシ
エトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−メト
キシ−4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル)−1−ピペリジンカルボ
キシラート
前ステップのtert−ブチルトランス−4−[2−(ベンジルオキシ)−4−ピリジ
ニル]−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシ
プロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−メトキシ−1−1−ピペリジンカルボ
キシラート(1当量)のEtOAc(0.08M)溶液に、パラジウム(炭素上10%w
/w、0.5当量)および酢酸(1.1当量)を添加した。得られた懸濁液を水素バルー
ン雰囲気下で4時間攪拌した。反応をジクロロメタンでクエンチし、不溶性物質をセライ
ト層による濾過によって除去した。このようにして得られた濾液を濃縮して、表題化合物
を得た。
【0084】
ステップ3:tert−ブチルトランス−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシ
エトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{1
−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2−
ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−メトキシ−1−ピペリジンカルボキシラート
前ステップのtert−ブチルトランス−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキ
シエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−メ
トキシ−4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル)−1−ピペリジンカル
ボキシラート(1当量)のメタノール溶液(0.1M)に、NaOH(2N水溶液、3当
量)およびメシラート1(3当量)を添加した。次いで、得られた混合物を60℃で16
時間攪拌した。その後、揮発性物質を真空で除去し、このようにして得られた残留物をそ
のまま、分取HPLC−MS(C−18逆相カラム、15mL/分、70:30(v/v
)HO:CHCN→5:95(v/v)HO:CHCN)による精製に供した。
【0085】
ステップ4:トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[2−(2,6−ジクロロ−4
−メチルフェノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4
−メトキシ−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベン
ジル]−3−ピペリジンカルボキサミド
前ステップのtert−ブチルトランス−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキ
シエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{
1−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エチル]−2−オキソ−1,2
−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−メトキシ−1−ピペリジンカルボキシラート(1当
量)のCHCl溶液(0.06M)に、HCl(4.0Mジオキサン溶液、30当量
)を添加した。得られた溶液を室温で3時間攪拌した。揮発性物質を真空で除去した後、
得られた残留物をそのまま、94:6(v/v)CHCl:MeOH中2.0M N
を充填したSiOカラムに負荷した。同じ溶媒系で溶離して、表題化合物を得た。
MS(ESI+,M+H):730.H NMR(アセトン−d):δ(ppm)0
.75−1.03(m,4H),1.78−1.84(m,2H),2.26−2.47
(m,5H),2.52−2.64(m,3H),2.72(br s,1H),3.0
2(s,3H),3.11−3.23(br m,4H),3.26(s,3H),3.
33−3.35(m,5H),3.68(t,d=6.9Hz,2H),3.92(br
s,1H),4.13(t,d=6.9Hz,2H),4.19−4.39(m,5H
),4.93(br d,J=13.0Hz,1H),6.39(d,J=6.8Hz,
1H),6.53(s,1H),6.69(s,1H),6.74(s,1H),6.7
6(s,1H),7.22(s,2H),7.59(d,J=6.8Hz,1H).
【実施例3】
【0086】
トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェ
ノキシ)プロピル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−ヒドロキ
シ−N−[3−(2−メトキエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−3
−ピペリジンカルボキサミド
【化23】

実施例1に記載の手順に従ったが、ステップ4でアルキル化試薬として代わりにメシラ
ート2を用いて調製した。MS(ESI+,M+H):730.
【実施例4】
【0087】
トランス−N−シクロプロピル−4−{1−[3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェ
ノキシ)プロピル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−メトキシ
−N−[3−(2−メトキエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−3−
ピペリジンカルボキサミド
【化24】

実施例2に記載の手順に従ったが、ステップ3でアルキル化試薬として代わりにメシラ
ート2を用いて調製した。MS(ESI+,M+H):744.
【実施例5】
【0088】
トランス−N−[2−クロロ−5−(2−メトキシエチル)ベンジル]−N−シクロプロ
ピル−4−{1−[3−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)プロピル]−2−
オキソ−1,2−ジヒドロ−4−ピリジニル}−4−ヒドロキシ−3−ピペリジンカルボ
キサミド
【化25】

実施例1に記載の手順に従ったが、ステップ1で出発材料として代わりにアミン2を用
い、ステップ4でアルキル化試薬としてメシラート2を用いて調製した。MS(ESI+
,M+H):676.H NMR(アセトン−d):δ(ppm)0.75−1.0
2(m,4H),1.48−1.52(br m,1H),1.79−1.84(m,1
H),2.23−2.28(m,3H),2.31(s,3H),2.72(t,d=7
.3Hz,2H),2.75−2.90(m,5H),3.14−3.28(m,7H)
,3.51(t,d=7.3Hz,2H),3.92−4.28(m,5H),4.49
(d,J=13.1Hz,1H),4.55(d,J=13.1Hz,1H),6.42
(d,J=6.8Hz,1H),6.53(s,1H),6.72(s,1H),7.1
1(d,J=6.8Hz,1H),7.25−7.27(m,3H),7.58(d,J
=7.0Hz,1H).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物、または医薬的に許容されるその塩:
【化1】

[式中、
Sは、下記式であり、
【化2】

上記式IIaおよびIIbにおいて、窒素原子はTに結合しており、
Tは、結合、−(CH−、−(CH−A−(CH−、または−(C
−A−(CH−B−であり、
AおよびBは、−O−、−S−、−S(O)−、および−S(O)−からなる群から
独立して選択され、
rは、整数2、3、4、または5であり、
sは、整数0、1、または2であり、
Uは、非置換アリール;一、二、三、もしくは四置換アリール(置換基は、ハロゲン、
アルキル、アルコキシ、シアノ、および−CFからなる群から独立して選択される);
または、一、二、もしくは三置換ヘテロアリール(置換基は、ハロゲン、アルキル、アル
コキシ、シアノ、および−CFからなる群から独立して選択される)であり、
Vは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C
アルケニル、C−Cシクロアルケニル、C−Cアルキニル、シアノ、およびC
−Cアルコキシからなる群から選択され、
前記アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、および
アルコキシは、1〜3個の置換基で場合により置換されており、当該置換基はそれぞれ、
ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、シアノ、およびC−Cアル
コキシからなる群から独立して選択され、当該アルキル、アルケニル、およびアルコキシ
置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
QおよびRは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、
−Cアルケニル、C−Cシクロアルケニル、C−Cアルキニル、シアノ、
およびC−Cアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して
選択され、
前記アリールおよびヘテロアリールは、1〜4個のハロゲンで場合により置換されてお
り、
前記アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、および
アルコキシは、1〜3個の置換基で場合により置換されており、当該置換基はそれぞれ、
ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、シアノ、およびC−Cアル
コキシからなる群から独立して選択され、当該アルキル、アルケニル、およびアルコキシ
置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
Wは、非置換またはハロゲンで一、二、三、四、もしくは五置換されているシクロプロ
ピルであり、
Xは、OR、R、−(C−Cアルキレン)−(O)0−1−アリール、および
−(C−Cアルキレン)−(O)0−1−ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニ
ル、C−Cシクロアルケニル、C−Cアルキニル、C−C−シアノ、−(C
−Cアルキレン)−O−R、−(C−Cアルキレン)−N(−R)−C(=
O)−(C−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−C(=O)−N(−R
)−(C−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−N(−R)−C(=O)
−O−(C−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−O−C(=O)−N(−
)−(C−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−N(−R)−(C
−Cアルキル)、−(C−Cアルキレン)−S−(C−Cアルキル)、−(C
−Cアルキレン)−S−(=O)−(C−Cアルキル)、および−(C−C
アルキレン)−S−(=O)−(C−Cアルキル)からなる群から選択され、
は、水素の場合を除いて、ハロゲン、C(=O)OH、C−Cアルキル、C
−Cアルケニル、およびC−Cアルコキシからなる群から独立して選択された、1
〜3個の置換基で場合により置換されており、ここで、アルキル、アルケニル、およびア
ルコキシ置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
−(C−Cアルキレン)−(O)0−1−ヘテロアリールのヘテロアリールは、N
、O、およびSからなる群から独立して選択された、1〜3個のヘテロ原子を含有し、こ
こで、各Nは場合により酸化物の形態であり、各Sは場合により、S(=O)およびS(
=O)からなる群から選択された酸化物の形態であり、
−(C−Cアルキレン)−(O)0−1−アリールおよび−(C−Cアルキレ
ン)−(O)0−1−ヘテロアリールのアリールおよびヘテロアリールのそれぞれは、1
〜4個のハロゲンで場合により置換されており、
は、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニ
ル、C−Cシクロアルケニル、およびC−Cアルキニルからなる群から選択され
、当該アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニル置
換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
Zは、ハロゲン、C−Cアルキル、およびCシクロアルキルからなる群から独立
して選択された、1〜2個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキレンで
あり、当該アルキルおよびシクロアルキル置換基は、1〜3個のハロゲンで場合により置
換されており、
n1は、0または1であり、
Yは、(i)5もしくは6員飽和もしくは不飽和複素環もしくは炭素環単環式環(「単
環式環」)、または(ii)5もしくは6員飽和もしくは不飽和複素環もしくは炭素環が
5もしくは6員飽和もしくは不飽和複素環もしくは炭素環に縮合している縮合環系(「縮
合環」)であり、
前記(i)または(ii)の複素環は、N、O、およびSから独立して選択された、1
〜3個のヘテロ原子を含有し、ここで、各Nは場合により酸化物の形態であり、各Sは場
合により、S(=O)およびS(=O)からなる群から選択された酸化物の形態であり

前記(i)または(ii)の複素環または炭素環は、場合により一、二、三、四、五、
または六置換されており、各置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)−OH、
(3)−NH(R)、
(4)オキソ、
(5)−C(=O)−R
(6)−O−C(=O)−R
(7)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキル、
(8)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cシクロアルキル、
(9)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキル、
(10)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cシクロアルケニル、
(11)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキニル、
(12)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルコキシ、
(13)シアノ、
(14)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cシアノ、
(15)−OCF
(16)−C(R
(17)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
OR
(18)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−N(R)−(C−C
ルキレン)−OR
(19)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−O−(C−Cアルキレン
)−OR
(20)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−S−(C−Cアルキレン
)−OR
(21)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−S(=O)−(C−C
ルキレン)−OR
(22)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−S(=O)−(C−C
アルキレン)−OR
(23)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
N(R)−C(=O)−(C−Cアルキレン)−R
(24)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
N(R)−C(=O)−OR
(25)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
N(R)(R)、
(26)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−O−(C−Cアルキレン
)−C(R−C(=O)−OR
(27)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
C(R−C(=O)−OR
(28)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−O−(C−Cアルキレン
)−モルホリン、
(29)−OC(=O)−モルホリン、
(30)−SR
(31)−S(=O)−R
(32)−S(=O)−R
(33)−N(R)(R)、
(34)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
C(R−(R)、
(35)−(R0−1
(36)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルケニル−OR

(37)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキニル−OR

(38)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
C(=O)−(C−Cアルキレン)−R
(39)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
O−C(=O)−(C−Cアルキレン)−R
(40)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
C(=O)−N(R)(R)、
(41)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
O−C(=O)−N(R)(R)、
(42)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
SR
(43)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
S(=O)−R、および
(44)1〜3個のハロゲンで場合により置換されている−(C−Cアルキレン)−
S(=O)−Rからなる群から独立して選択され、
ここで、Rは、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C
アルケニル、C−Cシクロアルケニル、およびC−Cアルキニルからなる群から
選択され、当該アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアル
キニル置換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
は、ハロゲンであり、
は、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニ
ル、C−Cシクロアルケニル、およびC−Cアルキニルからなる群から選択され
、当該アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニル置
換基はそれぞれ、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
は、−C(H)(OH)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)O
−、−O−、−OC(=O)O−、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、−
N(R)−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−N(R)−C(=O)
−、−C(=O)−N(R)−、−OC(=O)−N(R)−、−N(R)−C(
=O)O−、−N(R)−S(=O)−、および−S(=O)−N(R)−から
なる群から選択され、ここで、当該アルキレンおよびアルケニレン置換基はそれぞれ、1
〜3個のハロゲンで場合により置換されており、Rは、前記に定義されたとおりであり

は、場合により一、二、三、四、または五置換されている、5または6員飽和また
は不飽和複素環または炭素環であり、各置換基は、ハロゲン、−OH、−SR、−N(
)(R)、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニ
ル、C−Cシクロアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、シア
ノ、およびC−C−シアノからなる群から独立して選択され、前記複素環は、N、O
、およびSから独立して選択された、1から3個のヘテロ原子を含有し、ここで、各Nは
場合により酸化物の形態であり、各Sは場合により、S(=O)およびS(=O)から
なる群から選択された酸化物の形態であり、RおよびRは、前記に定義されたとおり
である]。
【請求項2】
Sが、下記式であり、
【化3】

上記式Sの窒素原子は、Tに結合しており、
QおよびR1は、請求項1に定義されたとおりである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが、請求項1に記載のとおり場合により一、二、三、四、または五置換されている、
下記式である、
【化4】

請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Sが、下記式であり、
【化5】

上記式Sの窒素原子は、Tに結合しており、
QおよびR1は、請求項1に定義されたとおりであり、
Yは、請求項1に記載のとおり場合により一、二、三、四、または五置換されている、下
記式である、
【化6】

請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Tが、−CH−CH−O−または−CH−CH−CH−O−である、請求項
1に記載の化合物。
【請求項6】
Uが、一、二、三、または四置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Uが、一、二、三、または四置換フェニルであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、および−CFからなる群から独立し
て選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Uが、2,6−ジクロロ−4−メチル−フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
QおよびRが、H、−OCHOCH−、および−CHからなる群から独立して
選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Vが、水素またはハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Wが、非置換シクロプロピルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Xが、−H、−OH、または−OCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
(Z)n1が、−CH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Sが、下記式であり、
【化7】

上記式Sの窒素原子は、Tに結合しており、
Uは、場合により一、二、三、または四置換されているフェニル環であり、ここで、置
換基は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、および−CFからなる群から独立
して選択され、
Wは、非置換またはハロゲンで一、二、三、四、もしくは五置換されているシクロプロ
ピルであり、
Xは、水素、OH、またはメトキシであり、
(Z)n1は、−CH−であり、
Yは、請求項1に記載のとおり場合により一、二、三、四、または五置換されている、
下記式である、
【化8】

請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Sが、下記式であり、
【化9】

上記式Sの窒素原子は、Tに結合しており、
Tは、−(CH−O−であり、
Uは、場合により一、二、三、または四置換されているフェニル環であり、ここで、置
換基は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、および−CFからなる群から独立
して選択され、
Wは、非置換またはハロゲンで一、二、三、四、もしくは五置換されているシクロプロ
ピルであり、
Xは、水素、OH、またはメトキシであり、
(Z)n1は、−CH−であり、
Yは、下記式であり、
【化10】

式中、
Aは、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)C−Cアルキル、
(4)C−Cアルコキシ、および
(5)−S−(CH0−3−CHからなる群から選択され、
ここで、(3)および(4)は、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
Bは、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)C−Cアルキル、
(4)C−Cアルコキシ、
(5)−OH、
(6)−CF
(7)−C(=O)−CH
(8)−O−(C−Cアルキレン)−O−シクロプロピル、
(9)−O−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH
(10)−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH
(11)−OC(=O)−モルホリン、
(12)−O−(C−Cアルキレン)−モルホリン、
(13)−O−(C−Cアルキレン)−C(CH−C(=O)OH、
(14)−O−(C−Cアルキレン)−C(CH−C(=O)OCH
(15)
【化11】

および
(16)
【化12】

からなる群から選択され、
ここで、(3)、(4)、(8)、(9)、(10)、(12)、(13)、(14)
、(15)、および(16)は、1〜3個のハロゲンで場合により置換されており、
Cは、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルキル、および
(4)1〜3個のハロゲンで場合により置換されているC−Cアルコキシからなる群
から選択され、
Dは、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)C−Cアルキル、
(4)C−Cアルコキシ、
(5)C−C−シアノ、
(6)C−Cアルケニレン−O−(CH0−2−CH
(7)−(C−Cアルキレン)−N(H)−C(=O)−O−(CH0−2−C

(8)−(C−Cアルキレン)−N(H)−C(=O)−(CH0−2−CH

(9)−(C−Cアルキレン)−O−CHF
(10)−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH
(11)−O−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH
(12)−(C−Cアルキレン)−OH、
(13)−S−(C−Cアルキレン)−OH、
(14)−SCF
(15)−N(H)−(C−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CH、およ

(16)
【化13】

からなる群から選択され、
F、G、およびHは、水素、ハロゲン、および1〜3個のハロゲンで場合により置換さ
れているC−Cアルキルからなる群から独立して選択され、
は、−CH−、−C(H)(OH)−、および−C(=O)−からなる群から選
択され、
ここで、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(1
1)、(12)、(13)、および(15)は、1〜3個のハロゲンで場合により置換さ
れている、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
Sが、下記式であり、
【化14】

上記式Sの窒素原子は、Tに結合しており、
Tは、−CH−CH−O−または−CH−CH−CH−O−であり、
Uは、2,6−ジクロロ−4−メチル−フェニルであり、
QおよびRは、−H、−OCHOCH−、および−CHからなる群から独立し
て選択され、
Wは、非置換シクロプロピルであり、
Xは、水素、OH、またはメトキシであり、
(Z)n1は、−CH−であり、
Yは、下記式であり、
【化15】

式中、
Aは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、およびC−Cアルコキシからなる群
から選択され、
Bは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、および−O−(
−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CHからなる群から選択され、
Cは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、およびC−Cアルコキシからなる群
から選択され、
Dは、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、および−(C
−Cアルキレン)−O−(CH0−2−CHからなる群から選択され、
ここで、A〜Dのアルキルまたはアルコキシ基は、1〜3個のハロゲンで場合により置
換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
以下からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、
【化16】


またはその立体異性体、または医薬的に許容されるその塩、またはその立体異性体の医薬
的に許容される塩。
【請求項18】
有効量の請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容されるその塩、および医薬的に
許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
高血圧、鬱血性心不全、肺高血圧、腎機能不全、腎虚血、腎不全、腎線維症、心機能不
全、心臓肥大、心筋線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎仙痛、糖尿病に起因する
合併症、たとえば腎症、血管症、およびニューロパシーなど、緑内障、眼内圧上昇、アテ
ローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管または心臓手術後の合併症、勃起不全
、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害、免疫抑制剤による治療の
合併症に関連する疾患、ならびにレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られて
いる他の疾患を治療または予防する薬剤を製造するための、請求項1に記載の化合物の使
用。
【請求項20】
高血圧、鬱血性心不全、肺高血圧、腎機能不全、腎虚血、腎不全、腎線維症、心機能不
全、心臓肥大、心筋線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎仙痛、糖尿病に起因する
合併症、たとえば腎症、血管症、およびニューロパシーなど、緑内障、眼内圧上昇、アテ
ローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管または心臓手術後の合併症、勃起不全
、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害、免疫抑制剤による治療の
合併症に関連する疾患、ならびにレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られて
いる他の疾患を治療および/または予防する方法であって、医薬的に活性な量の請求項1
に記載の化合物を患者に投与することを含む方法。


【公表番号】特表2012−511514(P2012−511514A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539857(P2011−539857)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001758
【国際公開番号】WO2010/066028
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511124965)メルク・カナダ・インコーポレイテツド (3)
【Fターム(参考)】