説明

レバー式コネクタ

【課題】工具等を使用せずに簡単にカバーを取り外すことができて保守時等における取り扱い性に優れたレバー式コネクタを提供すること。
【解決手段】レバー式コネクタ1において、ハウジング本体10に嵌合操作レバー20を回動可能に連結する軸係合穴24を、嵌合操作レバー20の嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置において当該嵌合操作レバー20が所定方向にスライド移動可能なように、所定方向に長い長円形に形成し、且つ、嵌合操作レバー20には、嵌合操作レバー20を所定方向にスライド移動させたときに、カバー30の他端側をハウジング本体10に係合している弾性係合片32を係合解除方向に弾性変形させて、カバー30の他端側とハウジング本体10との係合を解除する係合解除部25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図20は、下記特許文献1に開示されたレバー式コネクタを示したものである。
このレバー式コネクタ100は、相手コネクタハウジングに嵌合接続されるハウジング本体110と、嵌合操作レバー120と、カバー130と、を備える。
【0003】
ハウジング本体110は、対向する一対の側壁111に形成された不図示のレバー支持部と、一対の側壁111の一端(図20では左端)側に形成された第1のカバー係止部114と、一対の側壁111の他端(図20では右端)側に形成された第2のカバー係止部115と、を備えている。
【0004】
図示例の場合、第1のカバー係止部114は、側壁111の外面に突設された突起である。また、第2のカバー係止部115は、側壁111の内面に形成された係止用の凹みである。
【0005】
嵌合操作レバー120は、前記レバー支持部に回動可能に係合する不図示の回動用連結部を備えていて、前記回動用連結部を前記レバー支持部に係合させることにより、一対の側壁111に回動可能に結合される。この嵌合操作レバー120は、ハウジング本体110に対して、規定の嵌合開始位置から嵌合完了位置に回動操作することによって、ハウジング本体110を相手のコネクタハウジングに嵌合させることができる。
【0006】
カバー130は、第1のカバー係止部114に係合可能な第1のハウジング係合部134と、第2のカバー係止部115に係合可能な第2のハウジング係合部135と、を備えている。カバー130は、上記のハウジング係合部134,135を、ハウジング本体110の対応するカバー係止部114,115に係合させることでハウジング本体110の後端に固定される。このカバー130は、ハウジング本体110の後端に固定されることで、図示のようにハウジング本体110の後方に引き出される電線140の引き出し方向を規制する。
【0007】
このようにハウジング本体110に嵌合操作レバー120とカバー130とが装着されるレバー式コネクタ100では、組立を完了した状態では、カバー130の第2のハウジング係合部135とハウジング本体110の第2のカバー係止部115との係合部は、嵌合操作レバー120の内側に隠れてしまう。
【0008】
そのため、保守等のためにカバー130を取り外す必要が生じても、嵌合操作レバー120が邪魔となって、素手では簡単に第2のカバー係止部115と第1のカバー係止部114との係合部にアクセスすることができず、簡単にカバーを取り外すことができないという問題が生じた。
【0009】
そこで、下記特許文献2には、嵌合操作レバーの内側に隠れてしまうハウジング本体とカバーとの係合を解除させる方法として、ハウジング本体とカバーとの係合部の間に専用の工具(係合解除用治具)等を差し込んで、ハウジング本体とカバーとの係合を解除させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−64571号公報
【特許文献2】特開2001−326022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、特許文献2のように専用の工具等を用いてカバーをハウジング本体から取り外すレバー式コネクタの場合は、当該レバー式コネクタの保守作業を行う作業者がその専用の工具を常備しておかねばならず、保守時等における取り扱い性が優れているとは言い難い。
【0012】
また、上記の特許文献1や特許文献2に開示のレバー式コネクタの場合、嵌合操作レバーの内側に隠れるハウジング本体の他端側の係合部と、嵌合操作レバーによって隠れていないハウジング本体の一端側の係合部は、何れも、一方の部材に形成された突起を他方の部材に形成された凹部に係合させる同様な係合構造であるため、係合を解除する際の優先度が分かり難い。
【0013】
そのため、作業者によっては、係合解除作業が容易なハウジング本体の一端側の係合部から先に係合解除を実施して、その後で、ハウジング本体の他端側の係合部の係合解除を実施することが起こり得る。そして、その場合に、ハウジング本体の一端側の係合部の係合を解除した時点では、カバーが離脱方向に大きく動くことがなく、作業者にカバーの脱落防止を意識させることが難しい。従って、作業者がカバーの脱落を意識せずに、カバーを支えずにハウジング本体の他端側の係合部の係合を解除してしまうと、カバーが脱落して、カバーの破損を招くおそれがあった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、工具等を使用せずに簡単にカバーを取り外すことができて保守時等における取り扱い性に優れたレバー式コネクタを提供することを目的とする。更に、ハウジング本体に対するカバーの着脱時にカバーが不用意に脱落することがなく、取り扱い性に優れたレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)対向する一対の側壁に形成されたレバー支持部と前記一対の側壁に形成されたカバー係止部とを備え、相手のコネクタハウジングに嵌合接続されるハウジング本体と、
前記レバー支持部に回動可能に係合する回動用連結部を備え、前記回動用連結部を前記レバー支持部に係合させることにより前記一対の側壁に回動可能に結合されて規定の嵌合開始位置から嵌合完了位置に回動操作することによって前記相手のコネクタハウジングと前記ハウジング本体とを嵌合させる嵌合操作レバーと、
前記カバー係止部に係合可能なハウジング係合部を備えて前記ハウジング係合部を前記カバー係止部に係合させることで前記ハウジング本体の後端に固定されて前記ハウジング本体の後方に引き出される電線の引き出し方向を規制するカバーと、
を備えると共に、
前記レバー支持部及び前記回動用連結部の何れか一方は略円柱状の軸部に、他方は前記軸部に回動可能に嵌合する軸嵌合穴に形成されるレバー式コネクタであって、
前記嵌合操作レバーが前記嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置において当該嵌合操作レバーが所定方向にスライド移動可能なように、前記軸係合穴が前記所定方向に長い長円形に形成されると共に、前記嵌合操作レバーを前記所定方向にスライド移動させたときに前記カバー係止部又は前記ハウジング係合部の何れか一方を係合解除方向に弾性変形させて前記カバー係止部と前記ハウジング係合部との係合を解除する係合解除部を備えたことを特徴とするレバー式コネクタ。
【0016】
(2)前記カバーは、前記ハウジング係合部として、前記カバー係止部との係脱時に弾性変形する弾性係合片を備え、
前記係合解除部は、前記嵌合操作レバーのスライド移動時に、前記弾性係合片を係合解除方向に弾性変形させることで、前記カバー係止部と前記ハウジング係合部との係合を解除することを特徴とする上記(1)に記載のレバー式コネクタ。
【0017】
(3)前記カバーは、前記ハウジング本体へ固定するための手段として、当該カバーの一端側に装備されて前記ハウジング本体に装備されたカバー回動支持部へ引っ掛けることによって当該カバーの一端側を回動可能にハウジング本体に連結する引っ掛け部と、当該カバーの他端側に装備された前記弾性係合片とを備え、
当該カバーの一端側を回動可能にハウジング本体に連結した状態で当該カバーを回動させて当該カバーの他端側を前記ハウジング本体の対応位置に突き合わせると、前記弾性係合片が前記カバー係止部に係合して、当該カバーがハウジング本体に固定されることを特徴とする上記(2)に記載のレバー式コネクタ。
【0018】
上記(1)の構成によれば、ハウジング本体に嵌合操作レバーとカバーとの組み付けが完了した組立状態において、例えば保守等のために、カバーを取り外す必要が生じた場合には、嵌合操作レバーを嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置に回動させ、更に、当該嵌合操作レバーを所定方向にスライド移動させる。すると、嵌合操作レバーに装備されている係合解除部が、ハウジング本体上のカバー係止部とカバー上のハウジング係合部との係合を解除するため、専用の工具等を使用せずに、簡単にカバーを取り外すことができて、保守時等にいて優れた取り扱い性を確保することができる。
【0019】
上記(2)の構成によれば、嵌合操作レバーを嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置に回動させたときに、嵌合操作レバー上の係合解除部とカバー上のハウジング係合部としての弾性係合片とが対向するように、上記の係合解除部及び弾性係合片の配置を設定し、更に、嵌合操作レバー20をハウジング本体に回動可能に連結する軸嵌合穴は、上記の係合解除部と弾性係合片との対向方向に長い長円形に形成しておくだけで、上記(1)に記載したレバーのスライド操作による係合解除動作を実現することができ、ハウジング本体やレバーの構造の繁雑化を招かずに、本発明の目的を達成するレバー式コネクタを提供することができる。
【0020】
上記(3)の構成によれば、カバーをハウジング本体に固定する際には、カバーの一端側から先にハウジング本体に取り付け、ハウジング本体からカバーを取り外す際には、嵌合操作レバーのスライド操作により、カバーの他端側の係合部から係合解除することになる。言い換えると、カバーを取り外す際の係合解除操作は、カバーの他端側が優先されることが明確なため、作業者が誤ってカバーの他端側から係合解除操作を行うような誤操作が生じない。
【0021】
そして、カバーの他端側の係合を解除すると、カバーの一端側をハウジング本体に連結する引っ掛け部を支点とする回動挙動により大きく動くため、作業者にカバーの脱落防止を意識させることができる。そのため、作業者がカバーの脱落を意識せずに、カバーを支えずにカバーの一端側の係合部の係合を解除することを回避することができる。
【0022】
従って、ハウジング本体に対するカバーの着脱時にカバーが不用意に脱落することがなく、取り扱い性に優れたレバー式コネクタを提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるレバー式コネクタによれば、ハウジング本体に嵌合操作レバーとカバーとの組み付けが完了したレバー式コネクタの組立状態において、例えば保守等のために、カバーを取り外す必要が生じた場合には、嵌合操作レバーを嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置に回動させ、更に、当該嵌合操作レバーを所定方向にスライド移動させる。すると、嵌合操作レバーに装備されている係合解除部が、ハウジング本体上のカバー係止部とカバー上のハウジング係合部との係合を解除するため、専用の工具等を使用せずに、簡単にカバーを取り外すことができて、保守時等にいて優れた取り扱い性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1のカバーを内面側から視た斜視図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】図1の嵌合操作レバーが装着されたハウジング本体にカバーの一端側の引っ掛け部をハウジング本体のカバー回動支持部に引っ掛けた状態の外観側面図である。
【図5】図4に示したカバーの取り付け状態を示す縦断面図である。
【図6】図5に示したカバーの他端側のハウジング係合部をハウジング本体のカバー係止部に係合させて、カバーのハウジング本体への取り付けが完了した状態の外観側面図である。
【図7】図6に示したカバーの取り付け状態を示す縦断面図である。
【図8】ハウジング本体を相手のコネクタハウジングに嵌合させるために、嵌合操作レバーを嵌合開始位置に位置させた状態の外観側面図である。
【図9】ハウジング本体上の嵌合操作レバーを嵌合開始位置から嵌合完了位置に移動させた状態の外観側面図である。
【図10】カバーをハウジング本体から取り外すために嵌合操作レバーを嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置に移動させた状態の説明図である。
【図11】図10の状態におけるカバーの他端側のハウジング本体との係合部と嵌合操作レバーの係合解除部との位置関係を示す縦断面図である。
【図12】図10のB−B断面図である。
【図13】図12のC部拡大図である。
【図14】図11のD部拡大図である。
【図15】図10の状態から嵌合操作レバーを矢印P1方向にスライド移動させて、カバーの他端側のハウジング本体との係合を解除した状態の嵌合操作レバーの位置を示す側面図である。
【図16】図15のE−E断面図である。
【図17】図16のF拡大図である。
【図18】カバーの他端側のハウジング本体との係合を解除している状態における嵌合操作レバーの係合解除部の位置を示す縦断面図である。
【図19】図18のG部拡大図である。
【図20】従来のレバー式コネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るレバー式コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図19は本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態の説明図で、図1は本発明の一実施形態のレバー式コネクタの分解斜視図、図2は図1のカバーを内面側から視た斜視図、図3は図2のA部拡大図、図4は図1の嵌合操作レバーが装着されたハウジング本体にカバーの一端側の引っ掛け部をハウジング本体のカバー回動支持部に引っ掛けた状態の外観側面図、図5は図4に示したカバーの取り付け状態を示す縦断面図、図6は図5に示したカバーの他端側のハウジング係合部をハウジング本体のカバー係止部に係合させて、カバーのハウジング本体への取り付けが完了した状態の外観側面図、図7は図6に示したカバーの取り付け状態を示す縦断面図、図8はハウジング本体を相手のコネクタハウジングに嵌合させるために、嵌合操作レバーを嵌合開始位置に位置させた状態の外観側面図、図9はハウジング本体上の嵌合操作レバーを嵌合開始位置から嵌合完了位置に移動させた状態の外観側面図、図10はカバーをハウジング本体から取り外すために嵌合操作レバーを嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置に移動させた状態の説明図、図11は図10の状態におけるカバーの他端側のハウジング本体との係合部と嵌合操作レバーの係合解除部との位置関係を示す縦断面図で、図12は図10のB−B断面図、図13は図12のC部拡大図で、図14は図11のD部拡大図、図15は図10の状態から嵌合操作レバーを矢印P1方向にスライド移動させて、カバーの他端側のハウジング本体との係合を解除した状態の嵌合操作レバーの位置を示す側面図、図16は図15のE−E断面図、図17は図16のF部拡大図、図18はカバーの他端側のハウジング本体との係合を解除している状態における嵌合操作レバーの係合解除部の位置を示す縦断面図、図19は図18のG部拡大図である。
【0026】
この一実施形態のレバー式コネクタ1は、図1に示すように、ハウジング本体10と、嵌合操作レバー20と、カバー30と、を備える。
【0027】
ハウジング本体10は、相手のコネクタハウジング40に嵌合接続されるコネクタハウジングで、対向する一対の側壁11に形成されたレバー支持部12と、カバー係止部として一対の側壁11の一端側に形成されたカバー回動支持部13と、カバー係止部として一対の側壁11の他端側に形成されたカバー固定部14と、を備える。このハウジング本体10は、その内部に、接続端子を収容保持するインナーハウジング50が嵌合装着される。
【0028】
レバー支持部12は、嵌合操作レバー20を回動可能に支持する部位で、本実施形態の場合は、略円柱状の軸部に形成されている。
【0029】
カバー回動支持部13は、図5に示すように、一対の側壁11の外面に突設された突起で、後述のカバー30の一端側に形成された引っ掛け部31が回動可能に引っ掛けられる。
【0030】
カバー固定部14は、図5に示すように、ハウジングの後端側に位置する弾性片部14aに隣接して、係止用の溝部14bを形成した構造である。このカバー固定部14は、後述のカバー30の他端側に形成されたハウジング係合部としての弾性係合片32を前記溝部14bにより係止することで、カバー30の他端側を固定する。
【0031】
嵌合操作レバー20は、ハウジング本体10の一対の側壁11の外面に回動可能に連結される一対のレバー本体21と、これらの一対のレバー本体21相互の一端側を連結した連結壁22とを備える。一対のレバー本体21は、レバー支持部12に回動可能に係合する回動用連結部24と、カバー30の他端側の弾性係合片32とハウジング本体10のカバー固定部14との係合を解除するための係合解除部25と、を備える。
【0032】
レバー本体21に装備された回動用連結部24は、本実施形態の場合、略円柱状の軸部であるレバー支持部12に回動可能に嵌合する軸嵌合穴である。また、本実施形態の場合、回動用連結部24としての軸嵌合穴は、図4に示すように、軸線J1の延在する方向(後述の所定方向)に沿って長い長円形に形成されている。この長円形の回動用連結部24は、レバー支持部12に対して嵌合操作レバー20を穴の長手方向にスライド可能にする。
【0033】
レバー本体21に装備された係合解除部25については、カバー30のハウジング本体10への固定構造を説明した後で、前述の回動用連結部24と共に補足説明する。
【0034】
本実施形態の嵌合操作レバー20は、回動用連結部24をレバー支持部12に係合させることにより一対の側壁11に回動可能に結合されて、規定の嵌合開始位置(図8に示す嵌合操作レバー20の位置)から嵌合完了位置(図9に示す嵌合操作レバー20の位置)に回動操作することによって相手のコネクタハウジング40とハウジング本体10とを嵌合させる。
【0035】
カバー30は、ハウジング本体10の後端側を覆うカバーである。このカバー30は、ハウジング本体10へ固定するための手段として、図2及び図3に示すように、一端側に配置された引っ掛け部31と、他端側に配置された弾性係合片32と、を備える。
【0036】
引っ掛け部31は、ハウジング本体10の一端側に配置されたカバー回動支持部13に係合可能なハウジング係合部として、カバー30の一端側に配置されている。この引っ掛け部31は、図3に示すように、L字側の隆起部31aによって、カバー回動支持部13が係合する凹部31bを形成したものである。引っ掛け部31は、図5に示すように、L字側の隆起部31aをカバー回動支持部13の外周に引っ掛けることで、カバー30の一端側を回動可能にハウジング本体10の一端側に連結する。
【0037】
弾性係合片32は、ハウジング本体10の他端側に配置されたカバー固定部14に係合可能なハウジング係合部として、カバー30の一端側に配置されている。この弾性係合片32は、図2に示すように、カバー固定部14の溝部14bに係合するハウジング係合突起32bを弾性片32a上に形成している。弾性片32aは、カバー固定部14との係脱時に弾性変形して、ハウジング係合突起32bの溝部14bへの係脱を可能にする。
【0038】
本実施形態のカバー30は、上記の引っ掛け部31及び弾性係合片32を、ハウジング本体10のカバー回動支持部13及びカバー固定部14に係合させることでハウジング本体10の後端に固定される。
【0039】
カバー30をハウジング本体10の後端に固定する際の操作は、次のようになる。まず、図5に示したようにカバー30の一端側を回動可能にハウジング本体10に連結した状態にする。次いで、当該カバー30を図5の矢印R1方向に回動させて、当該カバー30の他端側をハウジング本体10の対応位置に突き合わせると、弾性係合片32がカバー固定部14に係合して、ハウジング本体10に固定された状態になる。
【0040】
カバー30は、ハウジング本体10の後端に固定されることで、ハウジング本体10の後方に引き出される電線の引き出し方向を規制する。
【0041】
カバー30のハウジング本体10への装着は、嵌合操作レバー20をハウジング本体10に装着した後で行われる。
【0042】
カバー30のハウジング本体10への装着は、図4及び図5に示すように、まず一端側の引っ掛け部31をハウジング本体10のカバー回動支持部13に引っ掛けて、カバー30の一端側を回動可能にハウジング本体10に連結する。次いで、図5に矢印R1で示すようにカバー30の他端側をハウジング本体10側に回動させ、図6及び図7に示すように、カバー30の他端側のハウジング係合突起32bに係合させると、カバー30の他端側もハウジング本体10に連結されて、カバー30がハウジング本体10の後端に固定された状態になる。
【0043】
ハウジング本体10へのカバー30の装着が完了したハウジング本体10は、図8に示すように、嵌合操作レバー20を嵌合開始位置に位置決めした状態で、相手のコネクタハウジング40と突き合わせて、嵌合操作レバー20が相手のコネクタハウジング40を引き込み可能にする。
【0044】
次いで、図8に矢印R2で示すように、嵌合操作レバー20を嵌合完了側に回動させると、嵌合操作レバー20の回動に伴い、相手のコネクタハウジング40がハウジング本体10側に引き込まれて、ハウジング本体10と相手のコネクタハウジング40との嵌合が進む。そして、図9に示すように、嵌合操作レバー20が嵌合完了位置に到達すると、ハウジング本体10と相手のコネクタハウジング40との嵌合が完了した状態になる。
【0045】
本実施形態において、嵌合操作レバー20のレバー本体21に装備された回動用連結部24としての軸嵌合穴は、図10に示すように嵌合操作レバー20が嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置に移動したとき、嵌合操作レバー20が所定方向にスライド移動可能なように、所定方向(図4の軸線J1方向)に長い長円形に形成されている。
【0046】
嵌合操作レバー20が、図10に示す所定の回動位置にあるとき、嵌合操作レバー20に装備された係合解除部25は、図11〜図14に示すように、カバー固定部14の溝部14bに係合しているハウジング係合突起32bに近接した位置で、溝部14bと対向する位置に位置している。
【0047】
図15に示すように、所定の回動位置に位置している嵌合操作レバー20を、矢印P1方向に押すことによって、嵌合操作レバー20は回動用連結部24の長手方向にスライド移動し、係合解除部25がハウジング係合突起32bを押圧する。
【0048】
ハウジング係合突起32bの係合解除部25により押圧される部分は、図14に示すように、係合解除部25からの押圧によって係合解除方向への付勢力を発生させる面取り32cが形成されている。そのため、嵌合操作レバー20のスライド移動が進むと、図17に示すように、係合解除部25の押圧によって、弾性係合片32の弾性片32aが係合解除方向(図17の矢印K方向)に弾性変形して、カバー固定部14と弾性係合片32との係合が解除される。即ち、係合解除部25は、嵌合操作レバー20のスライド移動時に、弾性係合片32を係合解除方向に弾性変形させることで、カバー固定部14と弾性係合片32との係合を解除する。
【0049】
以上に説明した本実施形態のレバー式コネクタ1によれば、ハウジング本体10に嵌合操作レバー20とカバー30との組み付けが完了した組立状態において、例えば保守等のために、カバー30を取り外す必要が生じた場合には、図10に示すように嵌合操作レバー20を嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置に回動させ、更に、図15に示すように当該嵌合操作レバー20を所定方向にスライド移動させる。すると、嵌合操作レバー20に装備されている係合解除部25が、ハウジング本体10上のカバー固定部14とカバー30上の弾性係合片32との係合を解除するため、専用の工具等を使用せずに、簡単にカバー30を取り外すことができて、保守時等にいて優れた取り扱い性を確保することができる。
【0050】
また、以上に説明した本実施形態のレバー式コネクタ1によれば、嵌合操作レバー20を嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置に回動させたときに、嵌合操作レバー20上の係合解除部25とカバー30上の弾性係合片32としての弾性係合片32とが対向するように、上記の係合解除部25及び弾性係合片32の配置を設定し、更に、嵌合操作レバー20をハウジング本体10に回動可能に連結する軸嵌合穴は、上記の係合解除部25と弾性係合片32との対向方向に長い長円形に形成しておくだけで、上記(1)に記載したレバーのスライド操作による係合解除動作を実現することができ、ハウジング本体10やレバーの構造の繁雑化を招かずに、本発明の目的を達成するレバー式コネクタ1を提供することができる。
【0051】
また、以上に説明した本実施形態のレバー式コネクタ1によれば、カバー30をハウジング本体10に固定する際には、カバー30の一端側から先にハウジング本体10に取り付け、ハウジング本体10からカバー30を取り外す際には、嵌合操作レバー20のスライド操作により、カバー30の他端側の係合部から係合解除することになる。言い換えると、カバー30を取り外す際の係合解除操作は、カバー30の他端側が優先されることが明確なため、作業者が誤ってカバー30の一端側から係合解除操作を行うような誤操作が生じない。
【0052】
そして、カバー30の他端側の係合を解除すると、カバー30の一端側をハウジング本体10に連結する引っ掛け部31を支点とする回動挙動により大きく動くため、作業者にカバー30の脱落防止を意識させることができる。そのため、作業者がカバー30の脱落を意識せずに、カバー30を支えずにカバー30の一端側の係合部の係合を解除することを回避することができる。
【0053】
従って、ハウジング本体10に対するカバー30の着脱時にカバー30が不用意に脱落することがなく、取り扱い性に優れたレバー式コネクタ1を提供することができる。
【0054】
なお、本発明のレバー式コネクタは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0055】
例えば、嵌合操作レバーを回動可能にハウジング本体に連結する機構は、嵌合操作レバー側に軸部を設け、ハウジング本体側に前記軸部を回動可能に支持する軸係合穴を設けるようにしても良い。
【0056】
また、上記実施形態では、嵌合操作レバーに装備した係合解除部は、カバーのハウジング係合部を弾性変形させることでカバー係止部とハウジング係合部との係合を解除しているが、代わりに、カバー係止部を弾性変形可能に形成しておいて、前記係合解除部がカバー係止部を弾性変形させることでカバー係止部とハウジング係合部との係合を解除しているようにしても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 レバー式コネクタ
10 ハウジング本体
12 レバー支持部
13 カバー回動支持部(カバー係止部)
14 カバー固定部(カバー係止部)
20 嵌合操作レバー
24 回動用連結部(軸係合穴)
30 カバー
31 引っ掛け部(ハウジング係合部)
32 弾性係合片(ハウジング係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の側壁に形成されたレバー支持部と前記一対の側壁に形成されたカバー係止部とを備え、相手のコネクタハウジングに嵌合接続されるハウジング本体と、
前記レバー支持部に回動可能に係合する回動用連結部を備え、前記回動用連結部を前記レバー支持部に係合させることにより前記一対の側壁に回動可能に結合されて規定の嵌合開始位置から嵌合完了位置に回動操作することによって前記相手のコネクタハウジングと前記ハウジング本体とを嵌合させる嵌合操作レバーと、
前記カバー係止部に係合可能なハウジング係合部を備えて前記ハウジング係合部を前記カバー係止部に係合させることで前記ハウジング本体の後端に固定されて前記ハウジング本体の後方に引き出される電線の引き出し方向を規制するカバーと、
を備えると共に、
前記レバー支持部及び前記回動用連結部の何れか一方は略円柱状の軸部に、他方は前記軸部に回動可能に嵌合する軸嵌合穴に形成されるレバー式コネクタであって、
前記嵌合操作レバーが前記嵌合開始位置と嵌合完了位置との中間の所定の回動位置において当該嵌合操作レバーが所定方向にスライド移動可能なように、前記軸係合穴が前記所定方向に長い長円形に形成されると共に、前記嵌合操作レバーを前記所定方向にスライド移動させたときに前記カバー係止部又は前記ハウジング係合部の何れか一方を係合解除方向に弾性変形させて前記カバー係止部と前記ハウジング係合部との係合を解除する係合解除部を備えたことを特徴とするレバー式コネクタ。
【請求項2】
前記カバーは、前記ハウジング係合部として、前記カバー係止部との係脱時に弾性変形する弾性係合片を備え、
前記係合解除部は、前記嵌合操作レバーのスライド移動時に、前記弾性係合片を係合解除方向に弾性変形させることで、前記カバー係止部と前記ハウジング係合部との係合を解除することを特徴とする請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【請求項3】
前記カバーは、前記ハウジング本体へ固定するための手段として、当該カバーの一端側に装備されて前記ハウジング本体に装備されたカバー回動支持部へ引っ掛けることによって当該カバーの一端側を回動可能にハウジング本体に連結する引っ掛け部と、当該カバーの他端側に装備された前記弾性係合片とを備え、
当該カバーの一端側を回動可能にハウジング本体に連結した状態で当該カバーを回動させて当該カバーの他端側を前記ハウジング本体の対応位置に突き合わせると、前記弾性係合片が前記カバー係止部に係合して、当該カバーがハウジング本体に固定されることを特徴とする請求項2に記載のレバー式コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−93185(P2013−93185A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234022(P2011−234022)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】