説明

レボドパプロドラッグの医薬組成物及び経口剤形並びに使用方法

(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの医薬組成物及び経口剤形、並びにかかる医薬組成物及び剤形を経口投与するステップを含む、疾患を治療する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レボドパプロドラッグの医薬組成物及び経口剤形、並びにかかる医薬組成物及び剤形を経口投与するステップを含む、疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病は、1,000人に1人に影響を及ぼす身体障害性の進行性疾病であり、一般に50歳を超えるヒトに生じる。パーキンソン病の患者は、黒質の変性によって引き起こされる黒質線条体路の撹乱の結果として、脳内の神経伝達物質であるドパミンが欠損している。ドパミンの直接前駆体であるレボドパ(Lドパ又はL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)は、この疾患の治療で最も一般的に処方される薬物である。
【0003】
レボドパは、経口投与後に、小腸上部に存在するアミノ酸輸送体を介して急速に吸収される。この輸送体系の分布は狭いので、レボドパの吸収に利用可能な窓は限定されており、吸収度は、上部胃腸管を薬物が通過する速度に応じて変わり得る。
【0004】
レボドパの腸管代謝は、薬物が初回通過によって喪失する主な原因である。レボドパの投与用量の約35%は、患者への経口投与後に無傷レボドパとして全身循環に到達する(Sasahara、J. Pharm. Sci 1990年、69、261頁)。レボドパは、吸収されると末梢組織(例えば、腸及び肝臓)のL-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)酵素によって、ドパミンに急速に代謝される。この理由のために、レボドパは、普通はカルビドパ又はベンセラジドなどのデカルボキシラーゼ酵素阻害剤と併用投与される。カルビドパと併用投与されると、無傷レボドパの血漿濃度は上昇し、したがってレボドパがドパミンに変換される中枢神経系への輸送に利用可能になるレボドパが増大する。カルビドパ及びベンセラジドは、血液脳関門を大幅には横断せず、したがって脳内でのレボドパからドパミンへの必須の変換は阻害されない。
【0005】
小腸及び大腸から吸収されるように設計されたレボドパプロドラッグは、米国特許第7,323,585号、米国特許第7,342,131号、米国特許出願第2008/0103200号(米国特許第7,671,089号として発行済み)、米国特許第7,534,813号、米国特許出願第2008/0171789号(米国特許第7,709,527号として発行済み)、米国特許出願第2008/0214663号及び米国特許出願第2009/0137834号に記載されている。これらのレボドパプロドラッグは、当モルベースで経口投与される場合、レボドパの経口生体利用能の少なくとも二倍以上の、レボドパの経口生体利用能を達成することができる。より具体的には、米国特許第7,342,131号及び米国特許第7,534,813号は、非晶質又は結晶形の化合物(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエート塩酸塩を開示している。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート1
【化1】

【0006】
は、米国特許第7,563,821号に記載されている。これらのレボドパプロドラッグは、徐放製剤に組み込まれると、患者への経口投与時にレボドパの持続的な全身曝露をもたらすことができる。
【0007】
2009年10月19日出願の米国特許出願第12/581,810号(米国特許出願第2010/0099761号)は、(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの結晶性水和物、特に(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートセスキ水和物を開示している。(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの水和物は、環境の水量の特定条件下で形成されることが見出された。化合物の様々な結晶形及び水和物により、例えば、化合物の加工性、剤形から化合物が溶解する速度、及び化合物の安定性に影響を与え得る、様々な固体状態の物理的特性を得ることができる。したがって、水和物の形成を制御することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの水和物の形成が制御される医薬組成物及び経口剤形を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の態様では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を提供する。
【0010】
第二の態様では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む経口用錠剤を提供する。
【0011】
第三の態様では、パーキンソン病、統合失調症、認知機能障害、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、高血圧及び日中の過剰な眠気などの疾患の治療を必要としている患者に、治療有効量の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を投与するステップを含む、患者のかかる疾患を治療する方法を提供する。
【0012】
第四の態様では、パーキンソン病、統合失調症、認知機能障害、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、高血圧及び日中の過剰な眠気などの疾患の治療を必要としている患者に、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む経口剤形を投与するステップを含む、患者のかかる疾患を治療する方法を提供する。
【0013】
当業者は、本明細書に記載の図が、単に例示目的であることを理解されよう。図は、本開示の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例5に従って調製したSR4及びSR5錠剤に関する溶解プロファイルを示す。
【図2】40℃/相対湿度(RH)75%に最大4週間曝露した後の、実施例5に従って調製した、粉砕したSR5錠剤に関するPXRDパターンを示す。
【図3】(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートのPXRDパターン、及び高せん断湿式造粒中に異なる含水量を使用して調製した(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含む顆粒のPXRDパターンを示す。
【図4】絶食対象にSR4又はSR5錠剤を経口投与した後のレボドパ薬物動態プロファイルを示す。
【図5】摂食対象にSR4又はSR5錠剤を経口投与した後のレボドパ薬物動態プロファイルを示す。
【図6】実施例9に従って調製され、表5に記載の組成物を有する二重層錠剤のレボドパプロドラッグ溶解プロファイルを示す。
【図7】実施例9に従って調製され、表7に記載の製剤e、f、g及びhの組成物を有する二重層錠剤のレボドパプロドラッグ溶解プロファイルを示す。
【図8】実施例9に従って調製され、表8〜11に記載の組成物を有する二重層錠剤のレボドパプロドラッグ溶解プロファイルを示す。
【図9】実施例9に従って調製され、表8〜11に記載の組成物を有する二重層錠剤のカルビドパ溶解プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「患者」又は「対象」には、例えばヒトなどの哺乳動物が含まれる。
【0016】
「薬学的に許容されるビヒクル」は、レボドパプロドラッグと共に患者に投与することができ、レボドパプロドラッグの薬理活性を破壊せず、治療有効量のレボドパをもたらすのに十分な用量で投与される場合に非毒性である、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される添加剤、薬学的に許容される担体、又はこれらのいずれかの組合せを指す。
【0017】
「(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート(1)」は、以下の構造を有する。
【化2】

【0018】
「プロドラッグ」は、体内などの使用条件下で変形して活性薬物を放出する、活性化合物(薬物)の誘導体を指す。プロドラッグは、活性薬物に変換されるまでは、しばしば薬理学的に不活性であるが、このことは必ずしも必要ではない。プロドラッグは、プロ部分(promoiety)(本明細書に定義)を、一般に官能基を介して薬物に結合させることによって得ることができる。例えば、(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、患者の体内で代謝されて、親薬物であるレボドパを形成する。
【0019】
「プロ部分」は、特定の使用条件下で切断可能な結合(複数可)を介して薬物に結合している基、一般に薬物の官能基を指す。薬物とプロ部分との結合(複数可)は、酵素的又は非酵素的手段によって切断することができる。薬物とプロ部分との結合(複数可)は、使用条件下で、例えば患者への投与後に切断されて、親薬物を放出することができる。プロ部分の切断は、加水分解反応などを介して自然に進行することができ、或いは酵素、光、酸によって、又は温度、pH等の変化などの物理的若しくは環境パラメータの変化若しくはそれへの曝露などの別の作用因子によって触媒又は誘発され得る。作用因子は、プロドラッグが投与される患者の全身循環に存在する酵素又は胃の酸性条件などの使用条件に対して内因的なものであってよく、作用因子は、外因的に供給することもできる。例えば、(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートについては、薬物はレボドパであり、そのプロ部分は、以下の構造を有する。
【化3】

【0020】
「治療有効量」は、疾患若しくは障害、又は疾患若しくは障害の臨床症状の少なくとも一つを治療するために対象に投与される場合、かかる疾患、障害又は症状の治療に影響を及ぼすのに十分な化合物の量を指す。治療有効量は、例えば化合物、疾患、障害及び/又は疾患の症状、疾患又は障害の重症度、及び/又は疾患の症状、治療を受ける患者の年齢、体重及び/又は健康、並びに担当医の判断に応じて変わり得る。適切な量は、当業者によって確認され、又は日常的な実験方法によって決定することができる。
【0021】
疾患を「治療する」又は疾患の「治療」は、疾患、障害、又は疾患若しくは障害の臨床症状の少なくとも一つを阻止又は緩和することを指す。特定の実施形態では、「治療する」又は「治療」は、患者によって識別可能又は識別不可能な疾患又は障害の少なくとも一つの身体的パラメータを阻止又は緩和することを指す。特定の実施形態では、「治療する」又は「治療」は、身体的(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理的(例えば、身体的パラメータの安定化)又はその両方により、疾患又は障害を阻害又は制御することを指す。特定の実施形態では、「治療する」又は「治療」は、ある場合には無制限に疾患又は障害の発症を遅延させることを指す。
【0022】
ここで、医薬組成物、剤形及び方法の特定の実施形態を詳細に参照する。開示の実施形態は、特許請求の範囲を制限するものではない。それとは反対に、特許請求の範囲は、すべての代替、改変及び等価物を包含するものとする。
【0023】
本開示によって提供される医薬組成物は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0024】
レボドパプロドラッグは、米国特許第7,323,585号、米国特許第7,342,131号、米国特許出願第2008/0171789号及び米国特許出願第2008/0214663号(米国特許第7,709,527号として発行済み)に開示されている。レボドパプロドラッグである(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート1
【化4】

【0025】
及びその結晶形、並びに合成法は、米国特許第7,563,821号に開示されている。合成法は、2009年10月19日出願の米国特許出願第12/581,808号(米国特許出願第2010/0099907号)にも開示されている。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの水和物は、2009年10月19日出願の米国特許出願第12/581,810号(米国特許出願第2010/0099761号)に開示されている。
【0026】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを開示しているが、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの試料は、様々な組成純度及びジアステレオマー純度を有し得ることを、当業者は理解されよう。特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の組成純度を示し、特定の実施形態では、少なくとも約99%の過剰の組成純度を示し得る。特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%のジアステレオマー純度を示し、特定の実施形態では、少なくとも約99%の過剰のジアステレオマー純度を示し得る。
【0027】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、いくつかの互変異性体の形態で存在し得る。したがって別段特定されない限り、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートのあらゆる可能な互変異性体の形態が包含される。別段特定されない限り、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートのあらゆる同位体標識形態も包含される。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートに組み込むことができる同位体の例には、それに限定されるものではないが、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O及び17Oが含まれる。
【0028】
特定の実施形態では、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの粉末X線回折(PXRD)パターンは、4.7°±0.2°、5.0°±0.2°、8.5°±0.2°、9.6°±0.2°、13.6°±0.2°、15.0°±0.2°、17.0°±0.2°、17.4°±0.2°、17.7°±0.2°、19.1°±0.2°、19.5°±0.2°、20.0°±0.2°、20.4°±0.2°、21.1°±0.2°、22.3°±0.2°、22.9°±0.2°、23.1°±0.2°、23.3°±0.2°、24.3°±0.2°、25.0°±0.2°、25.3°±0.2°、25.7°±0.2°、25.8°±0.2°、26.9°±0.2°、27.3°±0.2°、28.2°±0.2°、30.10±0.2°、30.5°±0.2、32.0°±0.2°、33.8°±0.2°、34.3°±0.2°、37.6°±0.2°及び38.4°±0.2°において、特徴的な回折ピーク(°2θ)を示す。無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートのPXRDパターンを、図2(パターンA〜C)及び図3(パターンA)に示す。
【0029】
当業者は、観測される°2θ回折角のわずかな変化が、例えば使用する具体的な回折計、分析者、及び試料の調製技術に基づいて予期され得ることを認識されよう。相対的なピーク強度については、より大きい変化が予期され得る。回折パターンの比較は、主に、観測される°2θ回折角に基づいて行うことができ、相対的なピーク強度に起因する重要性はより低い。無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの粉末X線回折パターンでは、一般に最大強度を示すピークは、5.0°±0.2°、8.5°±0.2°、13.6°±0.2°、15.0°±0.2°、17.0°±0.2°、17.7°±0.2°、20.4°±0.2°、21.1°±0.2°、25.0°±0.2°、25.8°±0.2°、28.2°±0.2、30.1°±0.2°及び37.6°±0.2°の°2θ回折角に位置する。5.0°±0.2°、8.5°±0.2°、13.6°±0.2°、15.0°±0.2°、17.0°±0.2°、17.7°±0.2°、20.4°±0.2°、21.1°±0.2°、25.0°±0.2°、25.8°±0.2°、28.2°±0.2°、30.1°±0.2°及び37.6°±0.2°において特徴的な回折ピーク(°2θ)を示す粉末X線回折パターンは、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートのX線粉末回折パターンと実質的に同じになる。
【0030】
特定の実施形態では、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、約157℃〜約162℃の融点を示す。
【0031】
特定の実施形態では、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、約164.5℃で吸熱ピークを有し、特定の実施形態では約164.5±2.5℃で吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。
【0032】
特定の実施形態では、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、典型的な医薬品の処理条件及び/又は保存条件下で安定であり、例えば湿気を吸収せず、且つ/又は別の同形に変換されない。
【0033】
米国特許第7,563,821号に開示の方法によって調製される結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの物理的な特性及び特徴は、単一同形の特性及び特徴と一致する。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの単一同形の環境安定性により、医薬組成物におけるその使用が促進される。
【0034】
2009年10月19日出願の米国特許出願第12/581,810号(米国特許出願第2010/0099761号)に開示の水分活性の特定の条件下では、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、結晶性水和物に変換される。
【0035】
特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート水和物は、Cu-Kα放射線(°2θ)を使用して測定して、少なくとも6.0°±0.2°、9.1°±0.2°、9.6°±0.2°、12.0°±0.2°、13.8°±0.2°、14.6°±0.2°、15.1°±0.2°、15.6°±0.2°、16.1°±0.2°、16.6°±0.2°、17.6°±0.2°、18.5°±0.2°及び19.2°±0.2°において特徴的な散乱角を有する粉末X線粉末回折パターンを特徴とする。特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート水和物は、Cu-Kα放射線(°2θ)を使用して測定して、少なくとも6.0°±0.2°、9.1°±0.2°、9.6°±0.2°、12.0°±0.2°、13.8°±0.2°、14.6°±0.2°、15.1°±0.2°、15.6°±0.2°、16.1°±0.2°、16.6°±0.2°、17.6°±0.2°、18.5°±0.2°、19.2°±0.2°、20.8°±0.2°、21.9°±0.2°、22.8°±0.2°、23.4°±0.2°、23.7°±0.2°、23.9°±0.2°及び26.5°±0.2°において特徴的な散乱角を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート水和物は、Cu-Kα放射線(°2θ)を使用して測定して、少なくとも6.0°±0.2°、9.1°±0.2°、9.6°±0.2°、11.2°±0.2°、12.0°±0.2°、12.8°±0.2°、13.8°±0.2°、14.3°±0.2°、14.6°±0.2°、15.1°±0.2°、15.6°±0.2°、16.1°±0.2°、16.6°±0.2°、17.6°±0.2°、18.5°±0.2°、18.7°±0.2°、19.2°±0.2°、20.5°±0.2°、20.8°±0.2°、21.1°±0.2°、21.9°±0.2°、22.8°±0.2°、23.4°±0.2°、23.7°±0.2°、23.9°±0.2°、24.7°±0.2°、26.5°±0.2°、28.2°±0.2°、28.3°±0.2°及び29.5°±0.2°において特徴的な散乱角を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート水和物のPXRDパターンを、図3に示す(パターンC)。結晶性水和物は、高せん断湿式造粒の最中、又は特定の温度及び湿度条件への曝露の最中などの処理中に形成され得る。
【0036】
少量のアルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を医薬組成物に添加することによって、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートが水和形態に変換されるのを制御又は予防できることが決定付けられている。したがって、本開示によって提供される医薬組成物及び経口剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートに加えて、C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む。特定の実施形態では、C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩は、C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩であり、特定の実施形態では、C10〜14アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩である。特定の実施形態では、C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩は、ラウリルスルフェート(C12アルキルスルフェート)の塩であり、特定の実施形態では、ラウリル硫酸ナトリウムである。特定の実施形態では、医薬組成物におけるC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩の量は、約0.5wt%を超える(wt%は、組成物の全乾燥重量に基づく)。特定の実施形態では、医薬組成物又は経口剤形におけるC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩の量は、約0.5wt%〜約2.0wt%、約0.5wt%〜約1.5wt%の範囲であり得、特定の実施形態では、約0.6wt%〜約0.9wt%である。C6〜18のアルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩の量は、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートが水和形態に変換されるのを制御又は予防するのに十分な量である。
【0037】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物及び経口剤形は、一つ又は複数の薬学的に許容される添加剤をさらに含むことができる。
【0038】
特定の実施形態では、医薬組成物は、約50wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、約0.5wt%〜約2.0wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩、約6wt%〜約20wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び約0.5wt%〜約2.0wt%のステアリン酸マグネシウムを含む(wt%は、組成物の全乾燥重量に基づく)。特定の実施形態では、医薬組成物は、約80wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、約0.5wt%〜約1.0wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩、約6wt%〜約10wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び約0.5wt%〜約2.0wt%のステアリン酸マグネシウムを含む(wt%は、組成物の全乾燥重量に基づく)。
【0039】
2009年10月19日出願の米国特許出願第12/581,810号(米国特許出願第2010/0099761号)及び本明細書の実施例3に開示の通り、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを高せん断湿式造粒処理にかけると、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート水和物に変換される。実施例6で実証されている通り、少量のラウリル硫酸ナトリウムを高せん断湿式造粒による製剤に添加すると、無水結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの水和形態への変換が制御又は予防される。一般に固体状態の相転移を制御するために、アニオン性界面活性剤を使用すること(Daveyら、J Am Chem Soc 1997年、119、1767〜1772頁、及びAtaabら、Adv Mater 1990年、2(1)、40〜43頁)、及び高せん断湿式造粒の最中にアニオン性界面活性剤を使用すること(Airaksinenら、AAPS PharmSciTech 2005年、6(2)、E311〜E322頁、及びWikstromら、Pharmaceutical Research 2008年、25(4)、923〜935頁)が、当技術分野で公知である。
【0040】
本開示によって提供される経口剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む。特定の実施形態では、剤形は、カプセル剤又は錠剤であってよい。特定の実施形態では、経口剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む顆粒を含む。経口剤形及び顆粒の特定の実施形態では、C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩は、C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩であり、特定の実施形態では、C10〜14アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩である。特定の実施形態では、C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩は、ラウリルスルフェート(C12アルキルスルフェート)の塩であり、特定の実施形態では、ラウリル硫酸ナトリウムである。特定の実施形態では、顆粒は、約90wt%〜約99wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、及び約0.5wt%〜約2wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む(wt%は、顆粒の全乾燥重量に基づく)。特定の実施形態では、顆粒は、約90wt%〜約99wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、及び約0.5wt%〜約1wt%のラウリル硫酸ナトリウムを含む(wt%は、顆粒の全乾燥重量に基づく)。
【0041】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む顆粒は、高せん断湿式造粒を使用して調製することができる。顆粒を調製するために、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩は、水と組み合わされる。特定の実施形態では、高せん断湿式造粒の最中に添加される水量は、約6wt%〜約10wt%、特定の実施形態では、約7wt%〜約10wt%、特定の実施形態では、約7wt%〜約9wt%である(wt%は、高せん断湿式造粒の最中に添加される水及び乾燥材料の全重量に基づく)。
【0042】
顆粒を含む剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含む顆粒が、薬学的に許容される溶媒製剤に分散している懸濁液を含むことができる。溶媒製剤は、水、エタノール、香味剤、着色剤、又はそれらのいずれかの組合せを含むことができる。液体経口剤形は、適切な溶媒、乳化剤、懸濁化剤、賦形剤、甘味剤、着色剤及び香味剤、保存剤、並びにそれらのいずれかの組合せを含有する、水性及び非水性溶液、エマルション、懸濁液及び溶液、並びに/又は非発泡性顆粒から再構成された懸濁液を含むことができる。経口に許容される水性系の医薬担体の溶媒は、完全に又は主に水であり、懸濁化剤を含むことができる。担体の例には、水溶液、シロップ、エリキシル、分散液、懸濁液、水中油エマルション及びマイクロエマルションなどのエマルションが含まれる。懸濁化剤の例には、微結晶性セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム、グアーガム等が含まれる。水不溶性成分を懸濁液に可溶化し、組み込むのに有用な共溶媒には、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール溶液等が含まれる。さらに、液体製剤は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、賦香剤、並びに保存剤などのビヒクルを含むことができる。有用な懸濁化剤の例には、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、トラガント、並びにそれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0043】
特定の実施形態では、経口剤形は、約50wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、約0.5wt%〜約2.0wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩、約6wt%〜約20wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び約0.5wt%〜約2.0wt%のステアリン酸マグネシウムを含む(wt%は、剤形の全乾燥重量に基づく)。特定の実施形態では、経口剤形は、約80wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、約0.5wt%〜約1.0wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩、約6wt%〜約10wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び約0.5wt%〜約2.0wt%のステアリン酸マグネシウムを含む(wt%は、剤形の全乾燥重量に基づく)。
【0044】
特定の実施形態では、経口剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含む層が、約50wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、約0.5wt%〜約2.0wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩、約6wt%〜約20wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び約0.5wt%〜約2.0wt%のステアリン酸マグネシウムを含む(wt%は、層組成物の全乾燥重量に基づく)、二重層錠剤などの多層錠剤である。特定の実施形態では、経口剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含む層が、約80wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、約0.5wt%〜約1.0wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩、約6wt%〜約0wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び約0.5wt%〜約2.0wt%のステアリン酸マグネシウムを含む(wt%は、層組成物の全乾燥重量に基づく)、二重層錠剤などの多層錠剤である。
【0045】
特定の実施形態では、剤形は、錠剤の形態であり得る。特定の実施形態では、顆粒及び任意選択のビヒクルは、従来の打錠装置及び標準技術を使用して、錠剤に圧縮することができる。錠剤(圧縮し、成型された)、カプセル剤(硬質及び軟質ゼラチン)、及び丸剤を製造するための技術及び組成物は、当技術分野で公知である。顆粒が錠剤に組み込まれる場合、顆粒は、崩壊しないように圧縮され得る。崩壊剤を、制御放出粒子を含む錠剤に入れて、摂取後に錠剤から顆粒が放出及び/又は溶解するのを容易にすることができる。錠剤は、球状、立方体型の卵形、又は楕円体などの、薬物の経口投与に適した任意の形状であってよい。特定の実施形態では、本開示によって提供される錠剤は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩が、少なくとも一つの放出速度改変化合物を含むマトリックスに分散しているマトリックス系である。マトリックス系は、当技術分野で周知である。錠剤は、第一の層が、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含み、第二の層が、カルビドパなどのL-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、又はL-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤とカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤の組合せなどの、薬学的に有用な別の化合物を含む二重層錠剤であってもよい。
【0046】
放出速度改変化合物は、剤形からの医薬組成物の放出を遅延させることができる。放出速度改変化合物の例には、それに限定されるものではないが、pH依存性放出ポリマー、pH非依存性放出ポリマー、水又は水性媒体と接触すると高度に膨潤する親水性ポリマー、水又は水性媒体と接触するとゲルを形成するポリマー、水又は水性媒体と接触すると膨潤及びゲル化の両方の特徴を示すポリマー、ワックスなどの脂肪化合物、並びに生分解性ポリマーが含まれる。
【0047】
本開示によって提供される錠剤において有用な、pH依存性の放出速度改変ポリマーの例には、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、グリシジルメタクリレートコポリマー、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。特定の実施形態では、pH依存性ポリマーは、Eudragit(登録商標)(Rohm Pharma)として市販されている、メタクリル酸コポリマー又はメタクリル酸ポリマーとしても公知の、ジエチルアミノエチルメタクリレート及び他の中性メタクリル酸エステルから合成されたコポリマーであり得る。
【0048】
本開示によって提供される錠剤において有用なpH非依存性放出ポリマーの例には、低含量の第四級アンモニウム基を有するアクリル酸及びメタクリル酸エステルのコポリマーを含むアクリル樹脂である、Eudragit(登録商標)RS及びEudragit(登録商標)RLなどのアンモニオアルキルメタクリレートコポリマーが含まれる。
【0049】
本開示によって提供される錠剤において有用な、高度な膨潤を示す親水性の放出速度改変ポリマーの例には、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、高分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルアミド、カリウムメタクリレートジビニルベンゼンコポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、高分子量ポリビニルアルコール、メチルセルロース、酢酸ビニルコポリマー、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。本開示によって提供される錠剤の特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む組成物は、約6wt%〜約10wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、特定の実施形態では、約7wt%〜約9wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、特定の実施形態では、約8wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。特定の実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、HPMC K100Mを含む。
【0050】
本開示によって提供される錠剤において有用な、水と接触するとゲル状になる放出速度改変ポリマーの例には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低分子量ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレングリコール、非架橋ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0051】
本開示によって提供される錠剤において有用な、膨潤及びゲル化の両方の特性を示す放出速度改変ポリマーの例には、中間粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び中間粘度のポリビニルアルコールが含まれる。
【0052】
特定の実施形態では、本開示によって提供される錠剤において有用な放出速度改変化合物は、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ラウロイルマクロゴールグリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド、及びそれらのいずれかの組合せなどのグリセリルエステルから選択することができる。他の脂肪及び/又はワックス状の放出速度改変化合物には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、パルミトイルアルコール、オウリキュリー(ouricury)ワックス、水素化植物油、カンデリラワックス、エスパルトワックス、ステアリン酸、パラフィンワックス、蜜蝋、グリコワックス(glycowax)、ヒマシワックス、カルナウバワックス、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0053】
生体侵食性(bioerodible)ポリマーの例には、コラーゲン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオルトエステル、ポリアセチル、ポリオルトカーボネート、ポリアミド、ポリアミノ酸、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、多糖(polycarbohydrate)、ポリオルトエステル、ポリオルトカーボネート、ポリアセチル、ポリ酸無水物、ポリデヒドロピラン、ポリジオキシノン、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0054】
本開示によって提供される錠剤に組み込むことができる、他の有用な放出速度改変化合物には、天然又は合成ガムなどの親水コロイド、アカシア、トラガントガム、ローカストビーンガム、グアーガム、寒天、ペクチン、カラゲニン(carageenin)、可溶性及び不溶性アルギネート、カルボキシポリメチレン、カゼイン、ゼイン、ポリエチレンオキシド、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマーなどの炭水化物系物質、並びにゼラチンなどのタンパク性物質が含まれる。
【0055】
放出速度改変ポリマー又は化合物は、単独で使用することができ、又は一つ若しくは複数の他の放出速度改変ポリマー若しくは化合物と併用することができ、且つ/或いは二つ以上の放出速度改変ポリマーのコポリマーであってもよい。
【0056】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩、並びに一つ又は複数の放出速度改変化合物を含む錠剤は、高せん断湿式造粒、流動床造粒、乾式造粒及び直接圧縮などの当技術分野で周知の標準技術を使用して調製することができる。湿式造粒では、特定量の薬物及び一つ又は複数のビヒクルを、均一になるまで機械的な粉末ブレンダー又はミキサーを使用して混合する。液体結合剤を粉末混合物に添加すると、粉末粒子の接着が容易になる。湿潤塊を、ふるいを介して圧縮して顆粒を得、次にそれを乾燥させる。乾燥させた顆粒を、スクリーンに通過させて、粒径を小さくする。乾燥滑沢剤を、乾燥させた顆粒に添加し、得られたブレンドを錠剤に圧縮する。流動床造粒では、薬物を含む粒子を気流に懸濁させる。造粒用材料を含む溶液を、その気流に噴霧して、粒子をコーティングする。乾燥させ、ビヒクルを添加した後、造粒した材料を錠剤に圧縮する。乾式造粒では、結合剤、賦形剤及び/又は滑沢剤などの薬物及びビヒクルをブレンドし、ローラー圧縮又はスラッギングによって圧縮する。圧縮された材料を、メッシュスクリーンを介してふるいにかけて、顆粒を得る。追加のビヒクルを、顆粒とブレンドすることもでき、そのブレンドを錠剤に圧縮する。錠剤は、十分な相互接着(coadhesive)特性を有する化合物を直接圧縮することによって形成することもできる。
【0057】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩が、少なくとも一つの放出速度改変化合物を含むマトリックスに分散しているマトリックス系は、放出を改変するポリマー、充填剤、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びビヒクルを乾燥ブレンドした後、適切な顆粒が得られるまで、アルコールを使用して混合物を造粒することによって調製することができる。造粒は、当技術分野で公知の方法によって達成することができる。湿潤顆粒は、流動床乾燥機に入れて乾燥させ、ふるいにかけ、適切なサイズに粉砕することができる。滑沢剤を、乾燥させた顆粒と混合して、最終的な製剤を得ることができる。特定の実施形態では、かかる製剤は、当技術分野で周知の方法によって錠剤に圧縮することができる。
【0058】
特定の実施形態では、剤形における結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの量は、約1mg〜約400mg、特定の実施形態では、約1mg〜約200mg、特定の実施形態では、約50mg〜約100mgの範囲である。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含む剤形におけるレボドパの量は、剤形における等質量のレボドパに相当する。参考までに、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート1.00mgは、レボドパ約0.43mg当量を含有する。特定の実施形態では、錠剤は、治療有効量の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含むことができる。錠剤が治療有効量未満の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含む特定の実施形態では、複数の錠剤を同時に、又はある期間にわたって患者に投与して、治療有効量の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを提供することができる。
【0059】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩に加えて、錠剤は、界面活性剤、滑沢剤、結合剤、賦形剤、接着防止剤、流動促進剤、緩衝液、色素、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、増粘剤、崩壊剤及び着色剤などの一つ又は複数の薬学的に許容されるビヒクルを含むこともできる。
【0060】
賦形剤又は充填剤を添加して、嵩を増して、剤形を圧縮に実用的なサイズにすることができる。本開示によって提供される錠剤において有用な賦形剤の例には、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、ラクトース、微結晶性セルロースを含むセルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、アルファ化デンプン、圧縮性糖類、Pearlitol(登録商標)100SD及びPerlitol(登録商標)50℃などのマンニトール、並びにそれらのいずれかの組合せが含まれる。特定の実施形態では、賦形剤は、リン酸水素カルシウム及び微結晶性セルロースから選択される。充填剤は、水不溶性、水溶性又はその組合せであってよい。有用な水不溶性充填剤の例には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリリンカリウム、粉末化セルロース、微結晶性セルロース、ヒュームドシリカ、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイドシリカ、微粒子化シリカ、三ケイ酸マグネシウム、石膏、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。水溶性充填剤の例には、ラクトース、グルコース、フルクトース、スクロース、マンノース、デキストロース、ガラクトース、対応する糖アルコール及びマンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの他の糖アルコール、並びにそれらのいずれかの組合せなどの水溶性糖類及び糖アルコールが含まれる。特定の実施形態では、剤形は、Avicel(登録商標)MCC PH200(FMC Biopolymer、Newark DE)などの微結晶性セルロースを含む。賦形剤が微結晶性セルロースである特定の実施形態では、錠剤は、約1%w/w〜約60%w/wの範囲の量の賦形剤を含むことができる。
【0061】
流動促進剤を、本開示によって提供される剤形に入れて、処理、フィルム形成及び/又は乾燥中の固着効果を低減することができる。有用な流動促進剤の例には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、グリセロールモノステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、沈殿二酸化ケイ素、ヒュームド二酸化ケイ素、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。特定の実施形態では、流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。剤形は、約2%w/w未満の流動促進剤を含み、特定の実施形態では、約1%w/wの流動促進剤を含むことができる。
【0062】
結合剤を剤形に入れて、構成成分の接着を容易にすることができる。本開示によって提供される錠剤において有用な結合剤の例には、ポリ酢酸ビニルフタレート、糖蜜、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。本開示によって提供される特定の実施形態では、結合剤は、Avicel(登録商標)MCC PH200(FMC Biopolymer、Newark、DE)などの微結晶性セルロースである。特定の実施形態では、結合剤は、Methocel(商標)HPMC K4、Methocel(商標)HPMC K15M、Methocel(商標)HPMC K100M、Methocel(商標)HPMC E4M、又はその組合せ(Dow Chemical、Midland、MI)などのヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0063】
滑沢剤及び接着防止剤を、本開示によって提供される錠剤に入れて、処理の補助にすることができる。本開示によって提供される滑沢剤及び/又は接着防止剤の例には、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、水素化植物油、ステアリン酸亜鉛、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。特定の実施形態では、滑沢剤は、モノステアリン酸グリセリルである。特定の実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムNFなどのステアリン酸マグネシウム、EP Hyqual(登録商標)、植物供給源(Mallinckrodt)である。剤形は、約0.1%w/w〜約5%w/w、特定の実施形態では、約0.1%w/w〜約2%w/w、特定の実施形態では、約0.1%w/w〜約1%w/wの範囲の量の滑沢剤及び/又は接着防止剤を含むことができる。
【0064】
本開示によって提供される錠剤において有用な界面活性剤の例には、薬学的に許容されるアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性(両親媒性(amphiphatic)/両親媒性(amphiphilic))界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコールエステル又はエーテル、及びそれらのいずれかの組合せが含まれる。有用な薬学的に許容されるアニオン性界面活性剤の例には、一価のアルキルカルボキシレート、乳酸アシル、アルキルエーテルカルボキシレート、N-アシルサルコシネート、多価のアルキルカーボネート、N-アシルグルタミン酸塩、脂肪酸ポリペプチド縮合物、硫酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、エトキシ化アルキル硫酸塩、ドクサートナトリウム及びジオクチルコハク酸ナトリウムなどのエステル結合したスルホネート、アルファオレフィンスルホネート、リン酸化エトキシ化アルコール、並びにそれらのいずれかの組合せが含まれる。有用な薬学的に許容されるカチオン性界面活性剤の例には、モノアルキル第四級アンモニウム塩、ジアルキル第四級アンモニウム化合物、アミドアミン及びアミンイミドが含まれる。有用な薬学的に許容される両性界面活性剤の例には、N置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン、スルホベタイン及びN-アルキル-6-アミノプロピオネートが含まれる。有用な薬学的に許容されるポリエチレングリコールエステル又はエーテルの例には、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリエトキシ化水素化ヒマシ油、及び水素化ヒマシ油が含まれる。特定の実施形態では、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。特定の実施形態では、剤形は、約3%w/w未満の界面活性剤を含み、特定の実施形態では、約2%w/w未満の界面活性剤を含むことができる。特定の実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。特定の実施形態では、界面活性剤は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである。
【0065】
崩壊剤を錠剤の製剤に入れて、例えば水への曝露時に、崩壊剤の膨張によって錠剤を分解させることができる。有用な崩壊剤の例には、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、イオン交換樹脂、微結晶性セルロース、ポビドン、クロスポビドン及びPolyplasdone(登録商標)XL-10などの架橋ポリビニルピロリドン、デンプン及びアルファ化デンプン、ホルマリン-カゼイン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、並びにそれらのいずれかの組合せなどの水膨潤性の物質が含まれる。
【0066】
本開示によって提供される錠剤は、錠剤を部分的又は完全に被覆し得る一つ又は複数のコーティングをさらに含むことができる。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートが剤形から胃腸管に放出されるように改変し、又はそれに影響を及ぼすために、いくつかのコーティングを適用することができるが、他のコーティングはかかる効果を有していないことがある。例えば、一つ又は複数のさらなるコーティングは、物理的保護、審美的考察、嚥下しやすさ、識別のためのものであり得、且つ/又は粒子のさらなる処理を容易にすることができる。コーティングは、湿気不透過性又は湿気透過性であり得る。湿気透過性の外部錠剤コーティングは、乾燥剤の存在下でパッケージされている剤形に低含水量を保持するのに有用となり得、それにより例えば剤形の保存安定性を強化することができる。物理的保護のためのコーティングにおいて有用な材料の例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース及びキサンタンガムなどの透過性又は可溶性材料が含まれる。さらなる処理を容易にするための外部錠剤コーティングにおいて有用な材料の例には、タルク、コロイドシリカ、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、微粒子化シリカ、ヒュームドシリカ、グリセロールモノステアレート、三ケイ酸マグネシウム及びステアリン酸マグネシウムが含まれる。外部錠剤コーティングはさらに、可塑剤、結合剤、充填剤、滑沢剤、圧縮助剤、及びそれらのいずれかの組合せなどの一つ又は複数のビヒクルを含むことができる。一つ又は複数のさらなるコーティングは、本明細書に開示のもののいずれかを含む、単一材料又は二つ以上の材料の組合せを含むことができる。これらの追加のコーティングは、当業者に公知の方法によって錠剤に適用することができる。
【0067】
商業的に許容される錠剤は、USP試験番号1216に従って決定して、約1wt%未満の脆弱性を有していることが一般に認められている。特定の実施形態では、本開示によって提供される錠剤は、約1wt%未満、特定の実施形態では、約0.5wt%未満、特定の実施形態では、約0.3wt%未満、特定の実施形態では、約0.2wt%未満の脆弱性を有する。
【0068】
特定の実施形態では、本開示によって提供される剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び/又はレボドパの分子内環化によって形成されるラクタム副生成物を実質的に含まない。剤形は、0.5重量%未満のラクタム、0.2重量%未満のラクタム、又は0.1重量%未満のラクタムなど、実質的にラクタムを形成することなく、例えば1年超などの長期保存に対して安定であり得る。
【0069】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む徐放剤形は、レボドパ及び/又はラセミ体の等価な剤形で投与した場合のレボドパの経口生体利用能と比較して、レボドパとしての経口生体利用能の強化を示す。レボドパプロドラッグの経口生体利用能の強化は、能動及び/又は受動輸送機構を介して、結腸を含む胃腸管すべてを通じてレボドパプロドラッグが効率的に吸収されることに起因すると考えられる。本開示によって提供される剤形は、剤形が胃腸管にわたって通過する最中に、剤形から結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを放出させる。
【0070】
患者への経口投与後に、本開示によって提供される徐放剤形は、患者の全身循環にレボドパを提供する。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、胃腸管から吸収され、全身循環に入ることができ、そこでプロ部分が切断されて、レボドパを放出する。プロ部分は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートから切断されて、胃腸管でレボドパを放出することができ、その後、レボドパが全身循環に吸収され得る。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートのプロ部分は、化学的及び/又は酵素的に切断され得る。例えば、哺乳動物の腸管腔、腸管組織、血液、肝臓、脳又は任意の他の適切な組織に存在するエステラーゼなどの一つ又は複数の酵素は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートのプロ部分を酵素的に切断することができる。
【0071】
患者に経口投与する場合、すなわち本開示によって提供される剤形が患者によって嚥下される場合の、長期間にわたる、患者の血中のレボドパの持続的な治療上有効な濃度。特定の実施形態では、剤形は、患者の血中のレボドパの治療上有効な最小濃度を超え、最小有害濃度未満である、患者の血中のレボドパ濃度を提供することができる。特定の実施形態では、本開示によって提供される剤形は、長期間にわたってレボドパの最小有害濃度を超えずに、患者の血中のレボドパの治療上有効な濃度を提供する。特定の実施形態では、患者の血中のレボドパ濃度は、剤形が患者に経口投与された後、どんなときも最小有害濃度を超えることはない。本開示によって提供される剤形は、長期間にわたって患者の血中のレボドパの治療上有効な濃度を提供すると同時に、レボドパの高い血中濃度、例えばレボドパ剤形の経口投与後に観測される最小有害濃度を超える濃度に関連する有害な薬物効果を、低減又は排除することができる。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含む剤形を使用して達成することができるレボドパの生体利用能は高いので、レボドパを含む経口剤形中のレボドパの量と比較して、より低い等質量のレボドパを、患者の血中のレボドパの持続的な治療上有効な濃度を達成する用量で、容易に使用することができる。
【0072】
本開示によって提供される剤形は、経口投与後に、患者の血中のレボドパの持続的な治療上有効な濃度を提供することができる。例えば、剤形は、患者への経口投与後に、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約16時間、少なくとも約20時間又は少なくとも約24時間から選択される長期間にわたって、患者の血中のレボドパの持続的な治療上有効な濃度を提供することができる。特定の実施形態では、患者の血中のレボドパ濃度は、剤形が患者に経口投与された後、どんなときも最小有害濃度を超えることはなく、例えば、特定の患者に有害事象を引き起こす濃度に達することはない。患者の血中のレボドパの治療上有効な濃度は、約1〜約100μg/mL、約1μg/mL〜約50μg/mL、特定の実施形態では、約1μg/mL〜約10μg/mLの範囲であり得る。
【0073】
血液又は血漿のレボドパ濃度の薬物動態プロファイルは、レボドパの即時放出剤形と比較し、また類似のレボドパ血中AUCinfをもたらすレボドパを含む他のいくつかの制御放出型の経口製剤と比較して、低いレボドパCmax/C4比、低いレボドパCmax/C2比(Cmaxは、投与後の最大レボドパ濃度を指し、C2及びC4は、それぞれ投与の2時間及び4時間後のレボドパ濃度を指す)及び/又は低いCmax/用量を特徴とし得る。特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物及び経口剤形は、サルに経口投与した後、約0.25以上、約0.5以上、特定の実施形態では、約1.0以上のレボドパC4/C2値を提供する。
【0074】
本開示によって提供される剤形の経口投与を用いる投与レジメンは、治療上有効な最小濃度を超え、最小有害濃度未満である、患者の血中のレボドパ濃度を、長期間にわたって維持するように開発され得る。特定の実施形態では、レボドパの治療上有効な最小濃度は、約1μg/mL〜約100μg/mL、約1μg/m〜約50μg/mL、特定の実施形態では、約1μg/m〜約10μg/mLの範囲であり得る。最小治療濃度及び最小有害濃度は、治療を受ける疾患、疾患の重症度、所期の臨床転帰、治療を受ける患者の状態などのいくつかの因子に応じて変わる。かかるレジメンは、本開示によって提供される一つ又は複数の剤形の反復投与を用いることができる。適切な投与間隔は、例えば、剤形に含有される結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの量、剤形の組成、剤形からのレボドパプロドラッグの放出の特徴、治療を受ける疾患、患者の状態、潜在的な有害作用、及び担当医の判断に応じて決まり得る。投与レジメンは、同じ剤形をそれぞれの間隔で、又は異なる剤形を異なる間隔で反復投与することを含み得る。例えば、一日二回の投与レジメンは、第一の剤形を朝に投与し、第二の剤形を夜に投与することを含み得る。
【0075】
本開示によって提供される剤形には、例えば米国食品医薬局によって定義され、「Guidance for Industry - Bioavailability and Bioequivalence Studies for Orally Administered Drug Products」2003年)に論じられている通り、吸収の速度及び程度の両方に関して、本明細書に開示の剤形と生物学的同等性がある剤形が含まれる。生物学的同等性とは、当用量のレボドパ又は結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを患者に投与した後の、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの吸収の速度及び程度と等しいことを指す。本明細書で使用される場合、二つの薬物動態プロファイルは、二つのプロファイルの平均応答の比の90%信頼区間が0.8及び1.25の上下限以内である場合に、生物学的同等性がある。平均応答は、Cmax、Tmax及びAUCなどのプロファイルの特徴的なパラメータの少なくとも一つを含む。
【0076】
特定の実施形態では、本開示によって提供される経口用錠剤の単回用量は、表3、表4、図4及び/又は図5に示す通りの血中のレボドパ血中濃度をもたらす。特定の実施形態では、一つ又は複数のSR4又はSR5錠剤は、摂食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、Cmax約0.8±0.3μg/mL、Tmax約4.5±1.1時間、C8約0.38±0.15μg/mL、T1/2約2.5±0.9時間、及びAUCinf約5.2±1.5μg・時間/mLによって特徴付けられる平均レボドパ血液薬物動態プロファイルが得られる。特定の実施形態では、一つ又は複数のSR4又はSR5錠剤は、絶食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、Cmax約0.73±0.18μg/mL、Tmax約2.3±1.1時間、C8約0.15±0.08μg/mL、T1/2約2.7±0.6時間、及びAUCinf約3.8±0.9μg・時間/mLによって特徴付けられる平均レボドパ血液薬物動態プロファイルが得られる。
【0077】
特定の実施形態では、一つ又は複数のSR5錠剤は、摂食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、C1が約0.14μg/mL、C2が約0.33μg/mL、C4が約0.56μg/mL、C6が約0.55μg/mL、C8が約0.34μg/mL、C12が約0.13μg/mLである平均レボドパ血液薬物動態プロファイルが得られる。
【0078】
特定の実施形態では、一つ又は複数のSR5錠剤は、摂食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、C1が約0.12μg/mL〜約0.18μg/mL、C2が約0.26μg/mL〜約0.41μg/mL、C4が約0.45μg/mL〜約0.70μg/mL、C6が約0.44μg/mL〜約0.69μg/mL、C8が約0.28μg/mL〜約0.43μg/mL、C12が約0.10μg/mL〜約0.16μg/mLである平均レボドパ血液薬物動態プロファイルが得られる。
【0079】
特定の実施形態では、一つ又は複数のSR4錠剤は、摂食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、C1が約0.18μg/mL、C2が約0.36μg/mL、C4が約0.65μg/mL、C6が約0.57μg/mL、C8が約0.38μg/mL、C12が約0.09μg/mLである平均レボドパ血液薬物動態プロファイルをもたらす(C1、C2、C4、C6、C8及びC12は、それぞれ投与の1、2、4、6、8及び12時間後の血中濃度である)。
【0080】
特定の実施形態では、一つ又は複数のSR4錠剤は、摂食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、C1が約0.14μg/mL〜約0.23μg/mL、C2が約0.28μg/mL〜約0.44μg/mL、C4が約0.52μg/mL〜約0.81μg/mL、C6が約0.46μg/mL〜約0.72μg/mL、C8が約0.31μg/mL〜約0.48μg/mL、C12が約0.07μg/mL〜約0.11μg/mLである平均レボドパ血液薬物動態プロファイルが得られる。
【0081】
特定の実施形態では、一つ又は複数のSR5錠剤は、絶食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、C1が約0.39μg/mL、C2が約0.54μg/mL、C4が約0.54μg/mL、C6が約0.31μg/mL、C8が約0.16μg/mL、C12が約0.05μg/mLである平均レボドパ血液薬物動態プロファイルが得られる。
【0082】
特定の実施形態では、一つ又は複数のSR5錠剤は、絶食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、C1が約0.31μgmL〜約0.48μg/mL、C2が約0.43μg/mL〜約0.68μg/mL、C4が約0.43μg/mL〜約0.68μg/mL、C6が約0.25μg/mL〜約0.39μg/mL、C8が約0.13μg/mL〜約0.21μg/mL、C12が約0.04〜約0.06μgmLである平均レボドパ血液薬物動態プロファイルが得られる。
【0083】
特定の実施形態では、一つ又は複数のSR4錠剤は、絶食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、C1が約0.62μg/mL、C2が約0.69μg/mL、C4が約0.50μg/mL、C6が約0.24μg/mL、C8が約0.14μg/mL、C12が約0.04μg/mLである平均レボドパ血液薬物動態プロファイルが得られる。
【0084】
特定の実施形態では、一つ又は複数のSR4錠剤は、絶食状態にある健康な成人対象(12人)に経口投与すると、レボドパプロドラッグ総用量360mg(レボドパ当量208mg)では、C1が約0.50μg/mL〜約0.78μg/mL、C2が約0.55μg/mL〜約0.86μg/mL、C4が約0.40μg/mL〜約0.63μg/mL、C6が約0.19μg/〜約0.30μg/mL、C8が約0.11μg/mL〜約0.17μg/mL、C12が約0.03μg/mL〜約0.05μg/mLである平均レボドパ血液薬物動態プロファイルが得られる。
【0085】
本開示によって提供される剤形は、それらのインビトロ溶解プロファイルによって部分的に特徴付けることができる。剤形の溶解プロファイルを決定するための方法は、調剤分野の技術者に周知である。米国薬局方に記載の標準法を使用することができる。例えば、溶解プロファイルは、米国薬局方装置I型(バスケット)又は米国薬局方装置II型(パドル)のいずれかで測定することができる。
【0086】
後者の方法を使用すると、本開示によって提供される剤形の溶解又は放出プロファイルは、pH1.2、pH5又は他のpHの0.1NのHClに温度37℃で剤形を浸漬させ、溶出溶媒を50rpm(USP、II型)で撹拌することによって決定され得る。試料を、間隔を置いて溶出溶媒から取り出し、溶出溶媒中の(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び他の化合物の含量を、逆相HPLCを使用して決定することができる。
【0087】
特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む錠剤からの結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの放出は、0.1NのHCl中、pH1.2、37℃において50rpmで撹拌すると(USP、II型)、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約37%〜約47%が約2.5時間以内に放出され、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約54%〜約64%が約5時間以内に放出され、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約79%〜約89%が約10時間以内に放出され、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約90%〜約100%が約15時間以内に放出されるインビトロ溶解プロファイルを示す。特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む錠剤からの結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの放出は、0.1NのHCl中、pH1.2、37℃において50rpmで撹拌すると(USP、II型)、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約42%が約2.5時間以内に放出され、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約59%が約5時間以内に放出され、レボドパプロドラッグの約84%が約10時間以内に放出され、レボドパプロドラッグの約95%が約15時間以内に放出されるインビトロ溶解プロファイルを示す。特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む錠剤からの結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの放出は、0.1NのHCl中、pH1.2、37℃において50rpmで撹拌すると、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約28%〜約58%が約2時間以内に放出され、約40%〜約70%が約4時間以内、約67%〜約97%が約9時間以内、約80%超が約18時間以内に放出されるインビトロ溶解プロファイルを示す。
【0088】
特定の実施形態では、溶解プロファイルは、実質的には図1に示す通りである。
【0089】
特定の実施形態では、経口剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む第一の層と、カルビドパを含む第二の層とを含む二重層錠剤である。二重層錠剤の特定の実施形態では、第一の層は、約70wt%〜約90%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含み、特定の実施形態では、約85wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含み、特定の実施形態では、約88wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含む。二重層錠剤の特定の実施形態では、第一の層は、約0.5wt%〜約3wt%のラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含み、特定の実施形態では、約0.7wt%〜約1.1wt%のラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含み、特定の実施形態では、約0.9wt%のラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む。二重層錠剤の特定の実施形態では、第一の層は、約70wt%〜約90%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び約0.5wt%〜約3wt%のラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含み、特定の実施形態では、約85wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び約0.7wt%〜約1.1wt%のラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む。二重層錠剤の特定の実施形態では、第二の層は、約15wt%〜約30wt%のカルビドパを含み、特定の実施形態では、約15wt%〜約25wt%のカルビドパを含み、特定の実施形態では、約20wt%のカルビドパを含む。二重層錠剤の特定の実施形態では、第一の層は、約70wt%〜約90%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び約0.5wt%〜約3wt%のラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含み、第二の層は、約15wt%〜約30wt%のカルビドパを含み、特定の実施形態では、第一の層は、約85wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び約0.7wt%〜約1.1wt%のラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含み、第二の層は、約15wt%〜約25wt%のカルビドパを含む。先の実施形態のいくつかでは、第一の層は、約90wt%〜約99wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び約0.5wt%〜約2wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む顆粒を含む(wt%は、顆粒の全乾燥重量に基づく)。二重層錠剤の特定の実施形態では、第二の層は、カルビドパの即時放出製剤を含む。
【0090】
二重層錠剤の特定の実施形態では、二重層錠剤からの結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの放出は、0.1NのHCl中、pH1.2又はpH5.0、37℃において50rpm(USP、II型)で撹拌すると、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約34%〜約50%が約2時間以内に放出され、約55%〜約75%が約4時間以内、約71%〜約91%が約6時間以内、約86%〜約100%が約9時間以内に放出されるインビトロ溶解プロファイルを示す。二重層錠剤の特定の実施形態では、二重層錠剤からの結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの放出は、0.1NのHCl中、pH1.2又はpH5.0、37℃において50rpm(USP、II型)で撹拌すると、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約38%〜約46%が約2時間以内に放出され、約60%〜約70%が約4時間以内、約76%〜約86%が約6時間以内、約91%〜約100%が約9時間以内に放出されるインビトロ溶解プロファイルを示す。二重層錠剤の特定の実施形態では、二重層錠剤からの結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの放出は、0.1NのHCl中、pH1.2又はpH5.0、37℃において50rpm(USP、II型)で撹拌すると、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約42%が約2時間以内に放出され、約65%が約4時間以内、約81%が約6時間以内、約96%が約9時間以内に放出されるインビトロ溶解プロファイルを示す。二重層錠剤の特定の実施形態では、二重層錠剤からの結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの放出は、0.1NのHCl中、pH1.2又はpH5.0、37℃において50rpmで撹拌すると、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約28%〜約58%が約2時間以内に放出され、約50%〜約80%が約4時間以内、約80%超が約12時間以内に放出されるインビトロ溶解プロファイルを示す。
【0091】
特定の実施形態では、二重層錠剤の溶解プロファイルは、実質的には図6に示す通りである。
【0092】
特定の実施形態では、二重層錠剤は、実施例8、実施例10、図4、図7、図8又は図9に記載のプロファイルのいずれかに類似の放出プロファイルを示す。
【0093】
特定の実施形態では、本開示によって提供される錠剤は、本明細書に開示の溶解プロファイルのいずれか一つに等しい溶解プロファイルを示す。溶解プロファイルは、「Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms - Guidance for Industry」、FDA-CDER、1997年8月に一致する場合、差異因子(f1)及び類似因子(f2)に基づいて類似しているとみなすことができる。類似しているとみなされる溶解プロファイルでは、f1値は0に近く、f2値は100に近いはずである。一般に、15までのf1値(0〜15)及び50を超えるf2値(50〜100)によって、二つの溶解プロファイルの同一性又は等価性が保証される。f1及びf2を算出するための手段は、先の参考文献に記載されている。特定の実施形態では、本開示によって提供される経口用錠剤は、先の溶解プロファイルのいずれか一つ、又は図1、図4、図7、図8若しくは図9に提示の溶解プロファイルのいずれかと比較して、15未満のf1差異因子及び50〜100のf2類似因子をもたらす溶解プロファイルを示す。
【0094】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートはレボドパの前駆体であり、レボドパはドパミンの前駆体である。したがって、本開示によって提供される結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、並びに結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む経口剤形は、親薬物であるレボドパ又はドパミンが、治療上有効であることが公知であり、有効であると考えられており、又は有効であることが今後発見される任意の疾患又は障害に罹患している患者に投与することができる。レボドパが既に処方されており、したがって本開示の剤形も有効となる適応症には、パーキンソン病、うつ病、注意欠陥障害、統合失調症、躁うつ病、認知機能障害、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、トゥーレット症候群、高血圧、嗜癖障害、うっ血性心不全又は日中の過剰な眠気が含まれる。
【0095】
本開示によって提供される治療方法では、治療有効量の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、パーキンソン病、うつ病、注意欠陥障害、統合失調症、躁うつ病、認知機能障害、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、トゥーレット症候群、高血圧、嗜癖障害、うっ血性心不全又は日中の過剰な眠気などの疾患に罹患している患者に投与することができる。
【0096】
パーキンソン病(PD)は、55歳を超える集団の約1%に影響を及ぼす進行性の神経変性障害である。PDの病理学的な徴候は、黒質緻密部のドパミン作用性の神経細胞が喪失し、主にα-シヌクレイン及びユビキチンによって形成されるレビー小体と呼ばれる細胞質内封入体が存在することである。PDの主症状は、振戦、動作緩慢、運動低下、並びに平衡感覚及び協調運動の障害である。ドパミン代替療法は、PDの症状を緩和することができるが、疾患が進行するにつれて、薬物関連の副作用、並びに治療に応答しない身体障害の症状が現れる。PDの原因は未知であるが、ドパミン作用性の細胞の喪失は、興奮毒性、カルシウム恒常性の妨害、炎症、アポトーシス、エネルギー代謝障害、及びタンパク質凝集を含む細胞損傷のいくつかの機構に関連するとされてきた。PDを有する患者は、正常な寿命を有するので、患者は生活に重大な影響を与える深刻な症状に、何年も耐えなければならない。したがって、ドパミン作用性の神経細胞の継続的な喪失を停止又は低減することができる神経保護療法が必要である。
【0097】
パーキンソン病は、動作緩慢(運動の緩慢及び欠乏)、筋硬直、静止時振戦(通常、随意運動中は弱まる)、並びに歩行の障害及び転倒をもたらす姿勢バランスの機能障害を含む、臨床的な症候群である。他の症状には、引きずり、腕振りの不足、「ブロックのような(en bloc)」方向回転、前かがみの前屈(forward-reflexed)姿勢、加速歩行、すくみ足歩行及びジストニアなどの歩行及び姿勢障害;発声不全、発話の加速、流涎、非運動性原因による表出言語及び受容言語の両方の発話/言語障害、並びに嚥下障害などの発話及び嚥下障害;並びに疲労、仮面状顔貌、小書症(micorpgraphia)、器用な細かい運動及び協調性の障害、全体的な運動協調性の障害、並びに運動の欠乏が含まれる。パーキンソン病に関連する非運動性の気分障害には、うつ病などの気分障害;反応時間の緩慢、実行機能障害、認知症、記憶喪失及び薬物効果などの認知障害;過度の日中傾眠、不眠症及びREM睡眠障害などの睡眠障害;視覚認知障害、浮動性めまい及び失神、自己受容障害、嗅覚の低下又は喪失、並びに疼痛などの感覚障害;並びに脂性肌及び脂漏性皮膚炎、尿失禁、便秘及び胃の運動障害、性機能変化、並びに体重減少などの自律神経性障害が含まれる。
【0098】
統一パーキンソン病評価尺度は、パーキンソン病の診断に使用される主要な臨床ツールである。
【0099】
レボドパは、パーキンソン病の治療に有効であることが示されている(Olanowら、Nat Clin Pract Neurol 2006年、2、382〜92頁)。
【0100】
パーキンソン病の治療における結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの化合物の効率は、パーキンソン病の動物モデルを使用して、臨床研究で評価することができる。
【0101】
統合失調症には、妄想、幻覚及び他者からの関心を極度に避ける引きこもりなどの思考過程の機能障害を特徴とする精神神経系の障害の群が含まれる。統合失調症には、妄想又は幻聴への拘泥を特徴とする妄想型統合失調症、発話混乱、挙動混乱及び平坦な又は不適切な感情を特徴とする破瓜病(hebephrenic)又は破瓜型統合失調症;不動、過度の運動活性又は奇異な姿勢をとるなどの身体症状に支配される緊張型統合失調症;他のサブタイプに特徴的な症状の組合せを特徴とする未分化型統合失調症;並びにヒトが現在は陽性症状に罹患していないが、統合失調症の陰性症状及び/又は認知症状を現している残遺型統合失調症のサブタイプが含まれる(DSM-IV-TR分類295.30(妄想型)、295.10(破瓜型)、295.20(緊張型)、295.90(未分化型)、及び295.60(残遺型);Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、4th Edition, American Psychiatric Association、297〜319頁、2005年)。統合失調症には、これらの統合失調症、並びに統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想障害、短期間の精神障害、共有精神障害、一般的な病状に起因する精神障害、物質誘発性の精神障害、及び不特定の精神障害などの他の密接に関連する精神障害が含まれる。統合失調症の症状、並びに大うつ病、双極性躁病又は混合性躁病などの気分障害を特徴とする統合失調性感情障害は、統合失調症のサブタイプとして含まれる。
【0102】
統合失調症の症状は、陽性、陰性又は認知性として分類され得る。統合失調症の陽性症状には、妄想及び幻覚が含まれ、それらは、例えば陽性及び陰性症状評価尺度(PANSS)を使用して測定することができる。統合失調症の陰性症状には、情動鈍麻、アレルギー、失語症及び社会的引きこもりが含まれ、それらは、例えば陰性症状評価尺度(SANS)を使用して測定することができる。統合失調症の認知症状には、知的知識の獲得、組織化及び使用における機能障害が含まれ、それらは、陽性及び陰性症状評価尺度-認知下位尺度(PANSS-認知下位尺度)を使用して、又は認知タスクの実施能力を評価することによって測定することができる。
【0103】
統合失調症の治療は、統合失調症の一つ又は複数の症状、陽性、陰性、認知性及び他の関連する特徴の治療を包含する。統合失調症の症状の例には、妄想、幻覚、発話混乱、情動の平坦化、失語症、無快感症、不適切な情動、不快な気分(例えば、うつ、不安及び/又は怒りの形態)、及び認知機能障害のいくつかの適応症が含まれる。
【0104】
高用量のドパミンD2受容体作動薬又はレボドパなどのその前駆体の投与は、単独でも、又は抗精神病剤との併用でも、精神病を悪化させ、又は精神病でない患者において精神病を誘発することも示されている。しかし、典型的な抗精神病剤と共に、相対的に低用量のレボドパが補助的な治療として与えられる場合には、統合失調症の臨床転帰が改善され(Jaskiw及びPopli、Psychopharmacology 2004年、171、365〜374頁参照)、精神病の症状を悪化させることなく、陰性症状及び認知機能障害に対する効果が強化されることが示唆されている(Alpert及びFriedhoff、Am J Psychiatry 1980年、135、1329〜32頁;Bruno及びBruno、Acta Psychiatr Scand、1966年、42、264〜71頁;Buchananら、Aust N Z J Psychiatry 1975年、9、269〜71頁;Gerlach及びLuhdorf、Psychopharmacologia 1975年、44、105〜110頁;Inanagaら、Folia Psychiatr Neurol Jpn 1975年、29、123〜43頁;並びにKay及びOpler、Int J Psychiat Med 1985〜86年、15、293〜98頁)。これらの研究結果は、低用量の従来の抗精神病剤と一緒に投与される補助的な低用量のレボドパが、統合失調症における陰性症状及び認知機能障害に対する治療効率の強化を含む、非定型抗精神病薬の治療プロファイルに類似の治療プロファイルを生じることができ、陽性症状に対する治療効果を保持し、同時に錐体外路症状の傾向を増大しないと期待できることを示唆している。認知機能障害の重症度は、治療転帰に対して重大な影響を与えるので、補助的な低用量のレボドパを選択的ドパミンD2アンタゴニストと併用することは、統合失調症の陽性及び陰性症状の両方又は認知症状の治療に有用であることも証明されると思われる(Tran、米国特許出願第2008/0070984号)。
【0105】
レボドパプロドラッグを含む経口剤形を使用して、患者の統合失調症の陽性症状、統合失調症の陰性症状若しくは認知症状、統合失調症の陽性及び陰性症状の両方若しくは認知症状、並びに/又は統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想障害、短期間の精神障害、共有精神障害、一般的な病状に起因する精神障害、物質誘発性の精神障害、及び/若しくは不特定の精神障害などの密接に関連する精神障害を治療することができる。統合失調症の陽性症状には、妄想及び幻覚が含まれる。統合失調症の陰性症状には、情動の平坦化、アレルギー、失語症及び社会的引きこもりが含まれる。統合失調症の認知症状には、知的知識の獲得、組織化及び使用における機能障害が含まれる。特定の実施形態では、レボドパプロドラッグを使用して、統合失調症の陽性及び陰性症状の両方又は認知症状を、かかる治療を必要としている患者にレボドパプロドラッグを経口投与することによって治療することができる。
【0106】
統合失調症の治療におけるレボドパプロドラッグ及びその経口剤形の効率は、当業者に公知の方法によって決定することができる。例えば、統合失調症の陰性、陽性及び/又は認知症状(複数可)は、患者の治療前及び治療後に測定することができる。かかる症状(複数可)の低減は、患者の状態が改善されていることを示す。統合失調症の症状の改善は、例えば、陰性症状評価尺度(SANS)、陽性及び陰性症状評価尺度(PANSS)、並びに/又はウィスコンシンカード分類試験(WCST)などの認知障害試験及び他の認知機能の測定法を使用して評価することができる。
【0107】
レボドパプロドラッグの効率は、統合失調症の動物モデルを使用して評価することもできる。
【0108】
下肢静止不能症候群(RLS)は、一般集団の5〜10%が罹患している強烈に不快な感覚-運動障害である。RLSの特徴的な症状には、下肢感覚異常又は知覚異常、運動性不穏状態、夜間の知覚異常及び運動性不穏状態の増大、並びに静止状態にあるとき、すなわち座っている又は横臥しているときに増大する症状が含まれる。一般に、症状は夜間に増大する(Garcia-Borregueroら、Neurol. 2002年、11(2)、1573〜79頁)。RLSは、任意の年齢で発症し、小児期にも発症し得るが、通常は成体に観測される。臨床経過は、一般に経時的に変化するが、加齢と共により顕著になる傾向があり、65歳を超えるヒトの最大28%が影響を受けている。
【0109】
四肢を動かしたい衝動が伴う、知覚麻痺、ピリピリ感、熱傷又は疼痛の感覚である知覚異常などの感覚症状に加えて、患者には、運動症状も生じる。覚醒時及び座っている又は横臥しているときに、患者は、脚の律動性又は半律動性運動(すなわち、感覚異常)を有する。睡眠時に、患者は、周期性四肢運動障害(PLMS)と呼ばれている類似の半律動性の脚の運動を頻繁に示す。これらの痙攣性の脚の運動は、反復性があり、高度に常同的であり、母趾の伸長と共に足首、膝及び時に臀部の屈曲を特徴とする。RLSの罹患者の約85〜90%は、PLMSも示し、これらの患者は、日中の疲労、作業能力の低下、並びに社会生活及び/又は家庭生活の妨害を含む、生活の質に顕著な負の影響を及ぼす日中の疲労及び眠気又は不眠症を訴える。RLSの診断基準には、脚又は頻度は低下するが他の身体部分における知覚異常又は自発性痙攣が原因となる、四肢を動かしたい苦痛を伴う衝動、静止時のこれらの症状の悪化、運動活性による一時的な解放、及び夕方又は夜間の症状の悪化が含まれる。
【0110】
レボドパは、RLSの治療に有用であることが示されている(Ondo及びJankovic、Neurology 1996年、47、1435〜41頁)。
【0111】
RLSの治療におけるレボドパプロドラッグの化合物の効率は、RLSの動物及びヒトモデルを使用して、臨床研究で評価することができる。
【0112】
ハンチントン病は、新線条体及び皮質において特異的な細胞死が生じる、常染色体優性の神経変性障害である。その発症は、通常は40代又は50代に生じ、平均生存年数は発症後14〜20年である。ハンチントン病は、普遍的に致死的であり、有効な治療は存在しない。その症状には、特徴的な運動障害(ハンチントン舞踏病)、認知機能障害及び精神症状が含まれる。この疾患は、タンパク質であるハンチンチンにおける、CAGでコードされたポリグルタミン反復の異常な拡大をコードする変異によって引き起こされる。いくつかの研究は、フリーラジカル発生の結果として酸化ストレスによって引き起こされるミトコンドリアの損傷から生じる可能性が高い、エネルギー代謝の進行性機能障害が存在することを示唆している。
【0113】
レボドパは、ハンチントン病に関連する硬直の治療に有効であることが示されている(Bonelli及びWenning、Current Pharmaceutical Design 2006年、12(21)、2701〜2720頁)。
【0114】
ハンチントン病の治療に関する結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの効率は、ハンチントン病及び臨床研究の動物及びヒトモデルを使用して評価することができる。
【0115】
ジストニアは、動作の最中のすくみ、並びに体躯、全身又は身体の一部のねじれ又は歪みを引き起こし得る、不随意性の緩慢な反復性持続性の筋肉収縮である。
【0116】
ジストニアは、ねじれ運動及び異常な姿勢を引き起こす、対立筋の不随意性のパターン化された持続性又は反復性の筋肉の収縮を特徴とする、神経学的な症候群である。ジストニアの原因には、出生時又は高齢期に生じる重症の脳内酸素欠乏、パーキンソン病、多発性硬化症、ウィルソン病における銅などの特定の金属の蓄積に起因する毒性、脳卒中、及び抗精神病薬に対する副作用が含まれる。慢性ジストニアは、通常は遺伝的である。ジストニアの種類及び症状には、眼瞼痙攣、顎口腔ジストニア、痙攣性発声障害、頸部ジストニア及び動作特異性ジストニアなどの、特定の筋肉又は筋肉群に限局される限局性ジストニア、身体の特定部分が影響を受ける分節性ジストニア、並びに体中の筋肉が影響を受ける全身性ジストニアが含まれる。小児期における発症、パーキンソン病の特徴、歩行及び姿勢異常、日周変動、並びに常染色体優性遺伝を特徴とするドパ反応性ジストニアは遺伝的障害であり、このジストニアは小児期のジストニアの約5%に上る。
【0117】
レボドパは、このタイプのジストニアを実質的に改善し、又は完全に回復させることができる(Jankovic、Lancet Neurol 2006年、5、864〜72頁、及びSchneiderら、Neurology 2006年、66(4)、599〜601頁)。
【0118】
ジストニアの治療におけるレボドパプロドラッグの化合物の効率は、ジストニアの動物及びヒトモデルを使用して、臨床研究で評価することができる。
【0119】
遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬などのドパミンアンタゴニストを長期間使用し、又は高用量で使用することによって引き起こされる神経学的障害である。遅発性ジスキネジアは、しかめ面、舌突出症、唇鳴らし、唇をすぼめ尖らせること、及び急速な目の瞬きなどの、反復性の不随意性の目的のない運動を特徴とし、腕、脚及び体躯の急速な運動を伴うこともある。
【0120】
いくつかの研究は、レボドパが、遅発性ジスキネジアなどの、神経遮断薬によって誘発される運動障害を治療するのに有効となり得ることを示唆している(Rascol及びFabre、Clinical Neuropharmacology 2001年、24(6)、313〜323頁、Soares及びMcGrath、Schizophr Res 1999年、39(1)、1〜16頁、並びにEbadi及びSrnivasan、Pharmacological Reviews 1996年、47(4)、575〜604頁)。
【0121】
遅発性ジスキネジアの治療効率は、動物モデルを使用して、臨床試験で評価することができる。
【0122】
レボドパを理学療法と組み合わせると、脳卒中後の運動回復が改善されることが示されている(Scheidtmannら、The Lancet、2001年、358、787〜790頁、及びFloelら、Neurology 2005年、65(3)、472〜4頁)。
【0123】
脳卒中の治療におけるレボドパプロドラッグの化合物の効率は、脳卒中の動物及びヒトモデルを使用して、臨床試験で評価することができる。
【0124】
レボドパは、パーキンソン病の患者における認知機能障害の治療に有用であり(Cools、Neuroscience Biobehavioral Rev 2006年、30、1〜23頁、及びKulisevsky、Drugs Aging 2000年、16(5)、365〜79頁)、高齢者の運動の記憶形成において練習効果を強化し(Floelら、Neurobiology of Aging 2006年、PMID 17098831)、健康な患者の単語学習を改善する(Knechtら、Ann. Neurol 2004年、56(1)、20〜6頁)ことが示されている。
【0125】
学習及び記憶障害の治療におけるレボドパプロドラッグの化合物の効率は、学習及び記憶障害の動物及びヒトモデルを使用して、臨床研究で評価することができる。
【0126】
過眠症としても公知の日中の過剰な眠気(EDS)は、日中の過剰な眠気又は夜間睡眠の延長の再発エピソードを特徴とする。過眠症は、遺伝、脳損傷、並びに臨床的なうつ病及び線維筋痛などの障害によって引き起こされることがあり、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸及び下肢静止不能症候群などの他の睡眠障害の症状でもあり得る。過眠症は、エプワース眠気試験を使用して診断することができる。レボドパは、過眠症の治療において効率を示している(Silber、Neurologic Clinics 2001年、19(1)、173〜86頁)。
【0127】
日中の過剰な眠気の治療におけるレボドパプロドラッグの化合物の効率は、日中の過剰な眠気の動物及びヒトモデルを使用して、臨床研究で評価することができる。
【0128】
うつ病障害には、大うつ病性障害、気分変調性障害、月経前不快気分障害、小うつ病性障害、再発性軽度うつ病性障害及び統合失調症の精神病後抑うつ障害が含まれる(DSM IV参照)。
【0129】
うつ病の治療における本開示によって提供される化合物の効率は、強制水泳試験などのうつ病の動物モデルで評価することができる。
【0130】
本明細書に開示の特定の疾患の治療に有効な結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの量は、少なくとも部分的に疾患の性質に応じて決まり、前述の通り、当技術分野で公知の標準の臨床的な技術によって決定することができる。さらに、インビトロ又はインビボアッセイを任意選択により使用して、最適な用量範囲を同定する一助にすることができる。投与レジメン及び投与間隔は、当業者に公知の方法によって決定することもできる。投与される結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの量は、他の因子の中でも、治療を受ける対象、対象の体重、疾患又は障害の重症度、投与方式、及び担当医の判断に応じて決まり得る。経口投与されるレボドパの適切な用量は、一般に約0.1mg/日〜約2グラム/日である。
【0131】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの用量を調節して、当モル量又は等質量のレボドパ(mg当量のレボドパとして表す)を提供することができる。治療上有効な用量のレボドパは、一般に、一日当たり約0.15mg〜約2.5mg/キログラムである。特定の実施形態では、用量は、約0.1mg〜約2グラム、特定の実施形態では、約10mg〜約1グラム、特定の実施形態では、約50mg〜約500mg、特定の実施形態では、約100mg〜約250mg、特定の実施形態では、約2mg〜約40mgの範囲の等質量のレボドパを含むことができる。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの用量及び適切な投与間隔は、患者の血中の持続的な治療上有効な濃度のレボドパを維持するように、特定の実施形態では、最小有害濃度を超えずに維持するように選択することができる。
【0132】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む経口剤形は、レボドパについて当技術分野で説明されているものと類似の量で、類似のスケジュールを使用して投与することができる。例えば、本開示によって提供される経口剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを、カルビドパ若しくはカルビドパのプロドラッグなどのデカルボキシラーゼ阻害剤、及び/又はエンタカポン若しくはトルカポン(tolecapone)などのCOMT阻害剤と一緒に投与することによって、特定の実施形態では経口経路によって治療を必要としている哺乳動物対象に投与することによって、パーキンソン病の治療において有用となり得る。体重約70kgのヒト対象では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、約10mg〜約10g/日、約10mg〜約1グラム/日、約50mg〜約500mg/日、約100mg〜約250mg/日の等質量のレボドパ、特定の実施形態では、約100mg〜約3g/日の等質量のレボドパを有する用量を、経時的に投与することができる。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの用量は、どの時点に摂取する場合でも、約10mg〜約3g、約50mg〜約1グラム、約100mg〜約500mg、特定の実施形態では、約100mg〜約250mgの等質量のレボドパを有することができる。用量は、例えば、治療を受ける対象の体重及び/又は状態、投与されるデカルボキシラーゼ阻害剤又はデカルボキシラーゼ阻害剤のプロドラッグの用量、治療を受ける疾患の重症度、副作用の発生率、投与方式、並びに担当医の判断を含むいくつかの因子に基づいて当業者によって調節され得る。用量範囲は、当業者に公知の方法によって決定され得る。
【0133】
特定の実施形態では、治療上有効な用量の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、実質的な毒性を引き起こすことなく、治療上の利益をもたらすことができる。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの毒性は、標準の製薬手順を使用して決定することができ、当業者によって確認され得る。毒性効果と治療効果の用量比は、治療指数である。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの用量は、毒性をほとんど示さず、又は全く示さない、レボドパの治療上有効な循環血漿及び/又は血中濃度を確立し、維持することができる範囲内であり得る。
【0134】
特定の実施形態では、本開示によって提供される剤形は、一日一回、一日二回投与することができ、特定の実施形態では一日二回以上の間隔で投与することができる。投与は、単独で、又は他の薬物と組み合わせて行うことができ、疾患の有効な治療に必要な限り継続することができる。投与は、摂食状態又は絶食状態にあるヒトなどの哺乳動物への剤形の投与を含む。
【0135】
特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、少なくとも一つの他の治療剤との併用療法で使用することができる。本開示によって提供される医薬組成物及び経口剤形は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートに加えて、同じ又は異なる疾患、障害又は状態の治療に有効な一つ又は複数の治療剤を含むことができる。
【0136】
本開示によって提供される方法には、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート又は本開示によって提供される医薬組成物及び経口剤形並びに一つ又は複数の他の治療剤の投与が含まれ、ただし、投与の組合せは、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート若しくはレボドパの治療効率を阻害せず、且つ/又は有害な組合せ効果をもたらさないものとする。
【0137】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び一つ又は複数の別の治療剤は、相加的又は相乗的に作用することができる。特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物及び経口剤形は、別の治療剤の投与と同時に投与することができ、この別の治療剤は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含有するものと同じ医薬組成物若しくは剤形に含有されていてよく、又はそれとは異なる組成物若しくは剤形に含有されていてもよい。特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、別の治療剤の投与の前又は後に投与することができる。併用療法の特定の実施形態では、併用療法は、本開示によって提供される組成物と、別の治療剤を含む組成物の投与を交互に使用して、例えば特定の薬物に関連する有害な副作用を最小限に抑えることを含むことができる。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートが、それに限定されるものではないが毒性を含む有害な副作用を潜在的にもたらすおそれがある別の治療剤と同時に投与される場合、治療剤は、有利には、有害な副作用が誘起される閾値未満の低用量で投与することができる。
【0138】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、さらに、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び/又はレボドパの放出、生体利用能、治療効率、治療上の効力及び/又は安定性を、強化し、モジュレートし、且つ/又は制御する一つ又は複数の化合物と一緒に投与することができる。例えば、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの治療効率を強化するために、レボドパプロドラッグを一つ又は複数の活性剤と併用投与して、胃腸管を介する結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び/若しくはレボドパの吸収若しくは拡散を増大し、又は全身循環における結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び/若しくはレボドパの分解を改変することができる。特定の実施形態では、レボドパプロドラッグは、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートから放出された後のレボドパの治療効率を強化する薬理効果を有する活性剤と併用投与することができる。特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、レボドパから放出された後のドパミンの治療効率を強化する薬理効果を有する活性剤と併用投与することができる。
【0139】
特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び/又はレボドパ代謝産物の早計の脱炭酸を阻害又は予防する保護剤として作用することができるデカルボキシラーゼ阻害剤などの別の治療剤又は薬物と併用投与することができる。デカルボキシラーゼ阻害剤の例には、カルビドパ及びベンセラジドが含まれる。
【0140】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、L-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤と同じ剤形又は異なる剤形から送達され得る。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、デカルボキシラーゼ阻害剤の投与と同時、その前又は後に投与することができる。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを、デカルボキシラーゼ阻害剤又はデカルボキシラーゼ阻害剤プロドラッグ又は誘導体と一緒に、ヒトなどの患者に投与して、パーキンソン病などの疾患又は障害を治療することができる。
【0141】
特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、エンタカポン及び/又はトルカポンなどのカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤と併用投与することができる。特定の実施形態では、レボドパプロドラッグは、カルビドパ、カルビドパプロドラッグ、ベンセラジド又はベンセラジドプロドラッグなどのデカルボキシラーゼ阻害剤、及びCOMT阻害剤又はそのプロドラッグなどの薬学的に活性な薬剤と一緒に、ヒトなどの患者に投与して、パーキンソン病などの疾患又は障害を治療することができる。
【0142】
特定の実施形態では、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは、L-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤及びカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤と一緒に併用投与することができ、これらの阻害剤は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートと同じ医薬組成物若しくは剤形に含まれていてよく、又は別個の医薬組成物に含有されるか、若しくは別個の剤形として投与することもできる。例えば、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、並びにカルビドパなどのL-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤は、二重層錠剤などの単一剤形に含有され得る。二重層錠剤は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを含む一層と、カルビドパなどのL-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む第二の層とを含有することができる。二重層錠剤の特定の実施形態では、二重層錠剤は、約1対4の比のカルビドパ当量とレボドパ当量を含む。特定の実施形態では、二重層錠剤は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート約200mg〜約300mg及びカルビドパ約17mg〜約37mgを含む。特定の実施形態では、二重層錠剤は、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート約225mg〜約275mg及びカルビドパ約22mg〜約32mgを含む。
【0143】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、パーキンソン病、うつ病、注意欠陥障害、統合失調症、躁うつ病、認知機能障害、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、トゥーレット症候群、高血圧、嗜癖障害、うっ血性心不全、脳卒中、日中の過剰な眠気、ジストニア、記憶及び学習の障害又は喪失、並びにレビー小体病を治療するための別の化合物と一緒に患者に投与することができる。
【0144】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、パーキンソン病の治療のために、パーキンソン病の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。パーキンソン病の治療に有用な薬物の例には、アマンタジン、バクロフェン、ビペリデン、ベンズトロピン、オルフェナドリン、プロシクリジン、トリヘキシフェニジル、レボドパ、カルビドパ、アンドロピニロール(andropinirole)、アポモルヒネ、ベンセラジド、ブロモクリプチン、ブジピン、カベルゴリン、エリプロジル、エプタスチグミン、エルゴリン、ガランタミン、ラザベミド、リスリド、マジンドール、メマンチン、モフェジリン(mofegiline)、ペルゴリド、ピリベジル、プラミペキソール、プロペントフィリン、ラサギリン、レマセミド、ロピニロール、セレギリン、スフェラミン、テルグリド、エンタカポン及びトルカポンが含まれる。
【0145】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、うつ病の治療のために、うつ病の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。うつ病などの気分障害の治療に有用な薬物の例には、アミトリプチリン、アモキサピン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン及びトリミプラミンなどの三環系抗うつ薬;シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリンなどの選択的セロトニン再取込み阻害薬;ベンラファキシン、デュロキセチン、シブトラミン及びミルナシプランなどのセロトニン-ノルアドレナリン再取込み阻害剤;フェネルジン及びトラニルシプロミンなどのモノアミン酸化酵素阻害薬;並びにデキストロアンフェタミン及びメチルフェニデートなどの覚醒剤が含まれる。他の抗うつ剤には、ベンモキシン(benmoxine)、ブトリプチリン、ドスレピン、イミプラミン、ケタンセリン(kitanserin)、ロフェプラミン、メジホキサミン、ミアンセリン、ミルタザピン、ビロキサジン、コチニン、ニソキセチン、レボキセチン、チアネプチン、アセトフェナジン(acetaphenazine)、ビネダリン、ブロファロミン、セリクラミン、クロボキサミン、イプロニアジド、イソカルボキサジド、モクロベミド、フェニルヒドラジン(phenyhydrazine)、セレギリン、シブトラミン、アデメチオニン、アドラフィニル、アメセルギド、アミスルプリド、アムペロジド、ベナクチジン、ブプロピオン、カロキサゾン、ジェピロン、イダゾキサン、メトラリンドール、ミナプリン、ネファゾドン、ノミフェンシン、リタンセリン、ロキシンドール、S-アデノシルメチオニン、エスシタロプラム、トフェナシン、トラゾドン、トリプトファン、ザロスピロン及びセイヨウオトギリソウが含まれる。本開示によって提供される経口剤形は、心理療法又は電撃療法と併用して、うつ病などの気分障害を治療することもできる。
【0146】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、注意欠陥障害の治療のために、注意欠陥障害の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。注意欠陥障害の治療に有用な薬物の例には、アトモキセチン、ブプロピオン、デクスメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メタンフェタミン(metamphetamine)、メチルフェニデート及びペモリンが含まれる。
【0147】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、統合失調症の治療のために、統合失調症の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。統合失調症を治療するための薬物の例には、アリピプラゾール、ロキサピン、メソリダジン、クエチアピン、レセルピン、チオリダジン、トリフロペラジン及びジプラシドンが含まれる。
【0148】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、躁うつ病の治療のために、躁うつ病の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。躁うつ病の治療に有用な薬物の例には、カルバマゼピン、クロナゼパム、クロニジン、バルプロ酸、ベラパミル、ラモトリギン、ギャバペンチン、トピラマート、リチウム、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、クロナゼパム、ロラゼパム、ゾルピデム(zolipidem)、セイヨウオトギリソウ及びオメガ-3脂肪酸が含まれる。
【0149】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、認知又は記憶障害の治療のために、認知又は記憶障害の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。認知又は記憶障害の治療に有用な薬物の例には、クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、アリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン及びジプラシドンなどの抗精神病剤;ジアゼパム及びロラゼパムなどの鎮静剤;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ロラゼパム及びオキサゼパムなどのベンゾジアゼピン;アセクロフェナク、アセトアミノフェン、アルミノプロフェン、アンフェナク、アミノプロピロン、アミキセトリン、アスピリン、ベノキサプロフェン、ブロムフェナク、ブフェキサマク、カルプロフェン、セレコキシブ、コリン、サリチル酸、シンコフェン、シンメタシン、クロプリアク(clopriac)、クロメタシン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、マジプレドン、メクロフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、パレコキシブ、ピロキシカム、ピルプロフェン、ロフェコキシブ、スリンダク、トルフェナメート(tolfenamate)、トルメチン及びバルデコキシブなどの非ステロイド系抗炎症薬;ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、フィゾスチグミン及びタクリンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤;並びにメマンチンなどのN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体遮断薬が含まれる。
【0150】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、下肢静止不能症候群の治療のために、下肢静止不能症候群の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。下肢静止不能症候群の治療に有用な薬物の例には、レボドパ、ペルゴリドメシレート、プラミペキソール及び塩酸リニプロール(riniprole)などのドパミン作用薬、クロナゼパム及びジアゼパムなどのベンゾジアゼピン、コデイン、プロポキシフェン及びオキシコドンなどのオピオイド、並びにギャバペンチン、プレガバリン及びカルバマゼピンなどの抗痙攣剤が含まれる。
【0151】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、運動障害の治療のために、運動障害の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。遅発性ジスキネジアなどの運動障害の治療に有用な薬物の例には、レセルピン、テトラベナジン及びビタミンEが含まれる。
【0152】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、ハンチントン病の治療のために、ハンチントン病の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。ハンチントン病の治療に有用な薬物の例には、ハロペリドール、クロルプロマジン及びオランザピンなどの抗精神病薬;フルオキセチン、塩酸セルトラリン及びノルトリプチリンなどの抗うつ剤;ベンゾジアゼピン、パロキセチン、ベンラファキシン及びベータ遮断薬などのトランキライザー;リチウム、バルプロエート及びカルバマゼピンなどの気分安定剤;並びにボツリヌス毒素が含まれる。
【0153】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、トゥーレット症候群の治療のために、トゥーレット症候群の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。トゥーレット症候群の治療に有用な薬物の例には、ハロペリドール、ペルゴリド及びピモジドが含まれる。
【0154】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、高血圧の治療のために、高血圧の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。高血圧の治療に有用な薬物の例には、アセブトロール、アミロライド、アムロジピン、アテノロール、ベナゼプリル、ベタキソロール、ビソプロロール、カンデサルタン カプトプリル、カルテオロール(careolol)、カルベジロール、クロロチアジド、クロルタリドン、クロニジン、ジルチアゼム、ドキサゾシン、エナラプリル、エプレレノン、エプロサルタン、フェロジピン、ホシノプリル、フロセミド、グアナベンズ、グアネチジン、グアンファシン、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、イルベサルタン、イスラジピン、ラベタロール、リシノプリル、ロサルタン、メチルドパ、メトラゾン、メトプロロール、ミノキシジル、モエキシプリル、ナドロール、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトログリセリン、オルメサルタン、ペリンドプリル、ピンドロール、プラゾシン、プロプラノロール、キナプリル、ラミプリル、レセルピン、スピロノラクトン、テルミサルタン、テラゾシン、チモロール、トルセミド、トランドラプリル、バルサルタン及びベラパミルが含まれる。
【0155】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、アルコール嗜癖及び乱用の治療のために、アルコール嗜癖及び乱用の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。アルコール嗜癖又は乱用の治療に有用な薬物の例には、ジスルフィラム、ナルトレキソン、クロニジン、メタドン、1-α-アセチルメタドール、ブプレノルフィン及びブプロピオンが含まれる。
【0156】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、麻薬性嗜癖及び乱用の治療のために、麻薬性嗜癖及び乱用の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。麻薬性嗜癖又は乱用の治療に有用な薬物の例には、ブプレノルフィン、トラマドール、メタドン及びナルトレキソンが含まれる。
【0157】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、ニコチン嗜癖及び乱用の治療のために、ニコチン嗜癖及び乱用の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。ニコチン嗜癖又は乱用の治療に有用な薬物の例には、ブプロピオン、クロニジン及びニコチンが含まれる。
【0158】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、うっ血性心不全の治療のために、うっ血性心不全の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。うっ血性心不全の治療に有用な薬物の例には、アロプリノール、アミロライド、アムロジピン、ベナゼプリル、ビソプロロール、カルベジロール、ジゴキシン、エナラプリル、エプレレノン、ホシノプリル、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、ヒドララジン、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、リシノプリル、メトプロロール、モエキシプリル、ネシリチド、ニカルジピン、ニフェジピン、ニトログリセリン、ペリンドプリル、プラゾシン、キナプリル、ラミプリル、スピロノラクトン、トルセミド、トランドラプリル、トリアムシノロン及びバルサルタンが含まれる。
【0159】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、日中の過剰な眠気の治療のために、日中の過剰な眠気の治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。日中の過剰な眠気の治療に有用な薬物の例には、デキストロアンフェタミン、メチルフェニデート、モダフィニル、シュウ酸ナトリウム、クロニジン、ブロモクリプチン、抗うつ剤及びモノアミン酸化酵素阻害薬が含まれる。
【0160】
特定の実施形態では、本開示によって提供される医薬組成物又は経口剤形は、ジストニアの治療のために、ジストニアの治療に有効であることが公知であるか、又は有効であると考えられている療法又は別の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。ジストニアの治療に有用な薬物の例には、ボツリヌス毒素、クロナゼパム、ロラゼパム、トリヘキシフェニジル、バクロフェン、ジアゼパム、テトラベナジン、シクロベンザプリン、カルバマゼピン及びベンザトロピンが含まれる。
【実施例】
【0161】
以下の実施例によって、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びラウリル硫酸ナトリウムなどのC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物及び経口剤形を詳説する。材料及び方法の両方に対して、本開示の範囲から逸脱することなく、多くの改変を加え得ることを当業者は理解されよう。
【実施例1】
【0162】
(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート無水物(1)
ステップA:(2S)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]プロパン酸、テトラブチルアンモニウム塩(1a)の合成
N-Boc-(L)-ドパ(175g、0.59mol)のメタノール(1L)溶液を、水酸化テトラブチルアンモニウムのメタノール溶液(1.0M、0.55L)と0℃で30分間、注意深く混合した。次に、混合物を減圧下で濃縮し、トルエンと二回共沸させることによって乾燥させた。残渣は、4℃で16時間冷却した後に結晶化した。得られた結晶固体を、アセトン(400mL×3)で洗浄し、ブフナー漏斗上に収集し、次に高真空下で乾燥させて、標題化合物1a245g(収率83%)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 0.94 (t, J = 7.6 Hz, 12H), 1.30 (m, 17H), 1.60 (m, 8H), 3.18 (m, 8H), 4.58 (m, 1H), 5.68 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 6.30 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.46 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.51 (s, 1H), 8.85 (s, 1H); 8.94 (s, 1H).
ステップB:(1R)-2-ブロモ-1-メチルエチル安息香酸塩(lb)
(2R)-プロピレングリコール(20.0g、262.8mmol)、ベンズアルデヒド(33.4mL、328.6mmol、1.25当量)及びp-トルエンスルホン酸(2.5g、0.05当量)のベンゼン(200mL)溶液を、8時間還流した後、ディーンスターク装置を使用して水を除去した。冷却した溶液を、ジエチルエーテル(100mL)で希釈し、NaOH水溶液(15%、100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で除去すると、粗ベンズアルデヒド(2R)-プロピレングリコールアセタール44gが油として得られた。
【0163】
先の粗ベンズアルデヒド(2R)-プロピレングリコールアセタール(10.0g、60.9mmol)のヘキサン(100mL)溶液に、N-ブロモスクシンアミド(NBS)(11.9g、67mmol、1.1当量)を添加した。得られた混合物を、終夜室温で撹拌した。懸濁液を、セライトを介して濾過し、濾液をヘキサン(300mL)で希釈し、飽和NaHCO3(100mL)及びブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で除去すると、標題化合物1bが油として得られた(定量的収率)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.48 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 3.58 (m, 2H), 5.31 (m, 1H), 7.43 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.53 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 7.2 Hz, 2H).
ステップC:(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエート(1c)
(1R)-2-ブロモ-1-メチルエチル安息香酸塩1b(4.98g、20.6mmol)、(2S)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]プロパン酸、テトラブチルアンモニウム塩1a(7.3g、25mmol)及び重炭酸セシウム(4.85g、25mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(100mL)懸濁液を、55℃で16時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた。酢酸エチルを残渣に添加し、得られた溶液を水で洗浄し、次に5%NaHCO3及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中30%酢酸エチル)にかけると、標題化合物1c6.3g(収率68%)が白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 1.25 (s, 9H), 1.40 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.99 (dd, J = 7.6, 14.4 Hz, 1H), 3.10 (dd, J = 5.6, 14.4 Hz, 1H), 4.24 (dd, J = 5.6, 7.4 Hz, 1H), 4.38 (dd, J = 6.8, 11.6 Hz, 1H), 4.52 (dd, J = 3.2, 11.6 Hz, 1H), 5.40 (m, 1H), 6.53 (dd, J = 2.2, 8.4 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.60 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 8.02 (d, J = 7.6 Hz, 2H). MS (ESI) m/z 360.15 (M+H)+及び358.09 (M-H)-.
方法1
ステップD:(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエート塩酸塩(1d)
(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエート1c(6.3g、13.7mmol)の、ジオキサン中4NのHC1溶液50mLを、室温で30分間撹拌した。混合物を、減圧下で濃縮して乾燥させた。得られた残渣を、無水アセトニトリル約20mL及びエーテル4mLに溶解した。溶液を冷蔵し、得られた白色沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、塩酸塩1d4.7g(収率87%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 1.40 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.99 (dd, J = 7.6, 14.4 Hz, 1H), 3.10 (dd, J = 5.6, 14.4 Hz, 1H), 4.24 (dd, J = 6, 8 Hz, 1H), 4.38 (dd, J = 6.8, 11.6 Hz, 1H), 4.52 (dd, J = 3.2, 11.6 Hz, 1H), 5.40 (m, 1H), 6.52 (dd, J = 2.2, 8.4 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.60 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 8.02 (d, J = 7.6 Hz, 2H). MS (ESI) m/z 360.15 (M+H)+及び358.09 (M-H)-.
ステップE:(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート無水物(1)
NaHCO3(9.87g、117.5mmol)の水(80mL)溶液を、塩酸塩1d(31.0g、78.3mmol)の水(300mL)溶液にゆっくり添加した。得られた水性懸濁液を、酢酸エチル(EtOAc)(2×400mL)で抽出した。混合したEtOAc抽出物を、水で洗浄し、次にブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。メタンスルホン酸(6.04mL、93.12mmol)を、撹拌しながら酢酸エチル(EtOAc)溶液にゆっくり添加した。メタンスルホン酸の添加が完了するとすぐに、白色沈殿物が形成した。懸濁液をさらに30分間撹拌し、次に濾過した。濾過ケーキを酢酸エチル(EtOAc)で3回洗浄し、終夜真空乾燥させて、35.4g(定量的収率)の無水メシル酸塩1を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 1.40 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.70 (s, 3H), 2.98 (dd, J = 7.8, 14.6 Hz, 1H), 3.10 (dd, J = 5.6, 14.4 Hz, 1H), 4.24 (dd, J = 5.8, 7.8 Hz, 1H), 4.38 (dd, J = 6.8, 12.0 Hz, 1H), 4.52 (dd, J = 3.4, 11.8 Hz, 1H), 5.40 (dp, J = 3.2, 6.4 Hz, 1H), 6.52 (dd, J = 2.2, 8.2 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.60 (br t, J = 7.4 Hz, 1H), 8.01 (d, J = 7.6 Hz, 2H). MS (ESI) m/z 360.07 (M+H)+及び358.01 (M-H)-.
方法2
メタンスルホン酸(3.9mL、60.1mmol)を、(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエート1c(11.0g、22.1mmol)の1,4-ジオキサン(30mL)溶液に、室温で撹拌しながらゆっくり添加した。混合物を2時間撹拌した。溶液を、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(600mL)に、激しく撹拌しながらゆっくり添加した。得られた懸濁液を濾過した。濾過ケーキをメチルtert-ブチルエーテルで3回洗浄し、風乾させて、5.48g(収率54%)の無水メシル酸塩1をオフホワイト色の固体として得た。
【0164】
方法3
(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエート1c(10.5g、21.1mmol)の、4.0NのHC1/1,4-ジオキサン34mL(6.0当量)溶液を、室温で1時間撹拌した。メタンスルホン酸(1.48mL、22.8mmol)を、室温で撹拌しながら反応混合物にゆっくり添加した。溶液を真空下で濃縮して、無水メシル酸塩1を褐色固体として得た。
【実施例2】
【0165】
結晶性無水(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート(1)の調製
無水メシル酸塩1(10.0g、22.0mmol)を、イソプロパノール200mLに70℃で溶解し、得られた溶液を室温に冷却した。濾過すると、5.8g(収率58%)の結晶性無水メシル酸塩1が白色結晶固体として得られた(m.p.160.5〜161.3℃)。無水(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート1を結晶化するのに有用な他の溶媒及び方法は、米国特許第7,563,821号に開示されている。
【実施例3】
【0166】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート水和物の調製
方法1-高せん断湿式造粒
無水(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート(138.6g)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(1.4g)(Methocel(商標)HPMC E4M、Dow Chemical)を秤量し、18メッシュスクリーンを介してふるいにかけた。ふるいにかけた材料を、高せん断湿式造粒機(KG-5高せん断ブレンダー、5Lのボウル、Key International)に入れ、2分間プレブレンドした。水を秤量した(USP、9.8g、7wt%)。材料を、羽根車速度250rpm及びチョッパー速度2,000rpm、並びに水の噴霧速度2g/分で、約10〜20分間ブレンドした。造粒後、湿潤顆粒を、ブラシを用いて16メッシュスクリーンを介して製粉した。製粉した湿潤顆粒を、乾燥機(UniGlatt Fluid Bed Dryer、Glatt GmbH)に入れ、気流を8〜10SCFMに調節して、注入口温度65℃で24分間乾燥させた。乾燥させた顆粒を、スクリーンを介して手動で圧迫することによって製粉した。粉末X線回折分析によって示される通り、顆粒は、(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの無水形態及び水和形態の組合せを含んでいた。
【0167】
類似の処理条件及び15wt%の水を使用すると、顆粒は主に結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート水和物を含有する。
【0168】
方法2-アルコール/水からの結晶化
無水(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート(1g)を、イソプロパノール/水混合物(40/60v/v)約1mLに懸濁させた。懸濁液を25℃において700rpmで撹拌した。固体は、経時的に(約2時間)完全に溶解し、次に徐々に沈殿したものをPXRD分析によって決定すると、(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート水和物であった。
【実施例4】
【0169】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び界面活性剤を含む顆粒の調製
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートを、まず16メッシュスクリーンを介してふるいにかけた。ふるいにかけた結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート(98wt%)、ラウリル硫酸ナトリウム(1wt%、Fischer Scientific)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(1wt%、Methocel(商標)E4M、Dow Chemical、Midland、MI)を、KG-5高せん断湿式造粒機の1Lボウル内で混合した。乾燥ブレンドを、2分間プレミックスし、総量7wt%〜9wt%の水を、0.8mmノズル及びL/S14チューブを使用して約12〜13分間(約1rpm)、造粒機内に噴霧した。羽根車の速度は約325rpm、チョッパーの速度は約1990rpm、電流は約70Amps〜約120Ampsであった。次に、顆粒を、0.079G(おろし目(grated))スクリーンを使用してCoMilを通過させ、又はサイズ16メッシュのハンドスクリーンを通過させた。次に、製粉した顆粒を、約55℃の注入口温度で、GPCG2流動床乾燥機(Glatt、GmbH)を使用して約15分間乾燥させた。乾燥させた顆粒を、0.05G(おろし目)スクリーンを使用してCoMilを1500rpmで通過させた。異なるロットでは、顆粒は、約0.55g/mL〜約0.59g/mLの密度、約0.63g/mL〜約0.68g/mLのタップ密度、約13%〜約14%の圧縮性指数、約1.15〜約1.16のHausner比、約6mm〜約9mmのFlodex値を示した。
【0170】
より多量の顆粒を、例えば、以下の手順を使用して調製した。結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート(452.9g、98wt%)を、16メッシュを介してふるいにかけ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(4.62g、1wt%、Methocel(商標)E4M、Dow Chemical、Midland、MI)及びラウリル硫酸ナトリウム(4.62g、1wt%)を、16メッシュのハンドスクリーンを介してふるいにかけた。ふるいにかけた材料を、KG-5造粒機に入れ、羽根車の速度約250rpm及びチョッパーの速度約2,000rpmで、2分間プレブレンドした。羽根車の速度約240〜260rpm及びチョッパーの速度約1,900〜2,100rpmで、精製水23.1g(5wt%)を、1分当たり約2.6gの噴霧速度で添加して、造粒過程を開始した。追加の水(例えば、17g)を、必要に応じて添加して、造粒を容易にした。次に、湿潤顆粒を、16メッシュのハンドスクリーンを介してふるいにかけた。湿潤顆粒を、UniGlatt流動床乾燥機に入れ、顆粒を、注入口温度の設定点を55℃にして、LOD<1%になるまで乾燥させた(約20分)。乾燥させた顆粒を取り出し、20メッシュのスクリーンを介してふるいにかけた。
【実施例5】
【0171】
錠剤
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び界面活性剤を含む経口用錠剤を、以下の手順に従って調製した。
【0172】
SR4錠剤
実施例4に従って調製した顆粒(168g)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(30g、Methocel(商標)K100M、Colorcon)を、Vブレンダーシェルに添加し、10分間混合した。ステアリン酸マグネシウム(2g、Mallinckrodt、Philipsburg、NJ)を添加し、その組合せを、さらに3分間ブレンドした。錠剤を、Korsch Model XL100打錠プレスを使用して調製して、平均重量299mg及び8kp〜15kpの範囲の硬度を有する錠剤を得た。
【0173】
より大きいロットでは、実施例4に従って調製した顆粒(462.14g)を、2クオートV-シェルブレンダーに移した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(82.52g、Methocel(商標)K100M、Dow Chemical、Midland、MI)を、20メッシュのスクリーンを介してふるいにかけ、2クオートブレンダーに添加し、その組合せを15分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウム(5.502g、Mallinckrodt、Philipsburg、NJ)を、20メッシュのスクリーンを介してふるいにかけ、2クオートV−シェルブレンダーに添加し、その組合せを約4分間ブレンドした。錠剤を調製するために、ブレンドを、2ステーションの13/32標準凹面工具(平面/平面)を備えたGlobe Pharma Mini Press(GlobePharma、New Brunswick、NJ)に入れた。レボドパ約190mg当量に相当する結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート約241mgを含有する、秤量約246mgの錠剤を調製した。
【表1】

【0174】
SR5錠剤
実施例4に従って調製した顆粒(134g)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(30g、Methocel(商標)K100M、Colorcon)及びフマル酸(34g、顆粒、Spectrum Laboratory Products、Gardena、CA)を、Vブレンダーシェル(2クオート、Model MaxiBlend-1、GlobePharma、New Brunswick、NJ)に添加し、10分間混合した。ステアリン酸マグネシウム(2g、Mallinckrodt、Philipsburg、NJ)をブレンドに添加し、さらに3分間混合した。錠剤を、Korsch Model XL100打錠プレスを使用してブレンドから調製して、平均重量375mg(±5%)及び8kp〜10kpの範囲の硬度を有する錠剤を得た。
【0175】
より大きいロットでは、実施例4に従って調製した顆粒(462.14g、67wt%)を、2クオートV-シェルブレンダーに移した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(103.5g、15wt%、Methocel(商標)K100M、Colorcon)及びフマル酸(117.2g、17wt%、Spectrum Laboratory Products、Gardena、CA)を、20メッシュのスクリーンを介してふるいにかけ、2クオートブレンダーに添加し、その組合せを15分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウム(6.9g、1.0wt%、Mallinckrodt、Philipsburg、NJ)を、20メッシュのスクリーンを介してふるいにかけ、2クオートV-シェルブレンダーに添加し、その組合せを約4分間ブレンドした。錠剤を調製するために、ブレンドを、2ステーションの13/32標準凹面工具(平面/平面)を備えたGlobePharma Mini Press(GlobePharma、New Brunswick、NJ)に入れた。レボドパ約190mg当量に相当する結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート約241mgを含有する、秤量約246mgの錠剤を調製した。
【表2】

【0176】
SR4及びSR5錠剤の溶解プロファイルを、USP装置II(パドル)を使用して、撹拌速度50rpm、温度37℃±0.5℃において、900mLの0.1NのHC1中、pH1.2で決定した。先の手順に従って調製したSR4及びSR5錠剤の溶解プロファイル(平均±SD)を、図1に示す。
【実施例6】
【0177】
顆粒の粉末X線回折分析
粉末X線回折(PXRD)分析を、PANalytical X'Pert Pro X線回折計を使用して実施した。X線供給源はCukα1であり、出力電位は45kVであり、電流は40mAであった。機器については、入射発散及び散乱スリットをそれぞれ1/16°及び1/8°に設定したパラ集束Bragg-Brentano geometryを用いた。半径0.04mmを有するソーラースリットを、入射ビーム及び回折ビームの両方に使用して、軸発散を除去した。粉末試料(9〜12mg)を、単一の結晶ケイ素試料ホルダー上に穏やかに押圧して、平坦な表面を形成し、データ取得過程の間中、試料を8秒/回転で回転させた。試料を、ステップサイズ0.017°(2θ角)及び走査速度0.067°/秒を用いて2°〜40°(2θ°)で走査した。データ取得は、それぞれX'Pert Data Collector Software(バージョン2.2d)及びX'Pert Data Viewer(バージョン1.2c)で制御し、分析した。
【0178】
ラウリル硫酸ナトリウムなしに調製した顆粒(実施例3)のPXRDパターンにより、水量9wt%及び15wt%を使用する高せん断湿式造粒中に、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの無水形態が水和物に変形したことが確認される(図3)。無水(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートのPXRDパターンを、図3のパターンAに示す。パターンB及びCに示されている、ラウリル硫酸ナトリウムなしに水量9wt%及び15wt%を使用して得られた(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート水和物のPXRDパターンは、水和形態に特徴的である。
【0179】
図2に示す通り、1%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を用いて同様に造粒すると、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートは水和物に変形しなかった(1%SLSを含むSR5錠剤のPXRD及び図3のPXRDパターンを比較)。1wt%ラウリル硫酸ナトリウムを含有する顆粒から生成された錠剤の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートも、40℃及び75%RHの応力条件下で、少なくとも4週間、変換されなかった(図2)。
【実施例7】
【0180】
錠剤のオープンディッシュ安定性
実施例5に従って調製したSR4及びSR5錠剤のオープンディッシュ安定性を決定した。外観、アッセイ、不純物/分解物、溶解プロファイル、含水量及びPXRDを、(a)2℃〜8℃、(b)25℃/60%RH、及び(c)40℃/20%RHで保存した後に評価した。
【0181】
保存条件(a)では、4週間後に著しい変化は観測されなかった。保存条件(b)及び(c)では、3カ月後も著しい変化は観測されなかった。
【実施例8】
【0182】
SR4又はSR5錠剤の投与後のレボドパ薬物動態プロファイル
12人の摂食又は絶食状態にある健康なヒト対象に、二種類のSR4又はSR5錠剤(実施例5参照)を投与した後、レボドパ薬物動態を測定した。用量は、レボドパ208mgに相当する。
【0183】
摂食条件下で投与される対象には、投与の約30分前に、朝食として高脂肪(食事の総カロリー含量の約50パーセント)且つ高カロリー(約800〜1000カロリー)食が出された。食事は、タンパク質、炭水化物及び脂肪がそれぞれ約150、250及び500〜600カロリーであった。高脂肪の朝食を消費してから10分以内に、対象は、非炭酸水240mLと共に、レボドパプロドラッグ用量をSR4又はSR5錠剤として摂取した。
【0184】
血液試料(5mL)を、カリウムK2-EDTAを入れたVacutainers(登録商標)又はMonovette(登録商標)管に収集した。10%メタ重亜硫酸ナトリウム650μLを、採血後1分以内に管に添加し、その管を穏やかに10〜15回反転させた。採血後2分以内に、冷却剤(chilled quenching media)3mLを入れたNalgene Cryovial管に、全血1mLを移した。これらの管を、10〜15回穏やかに反転させ、30秒間逆さまにし、30秒間正位置にしてボルテックスした。クエンチ後30秒以内に、血液試料を-70±10℃で保存した後、分析した。
【0185】
血液試料のレボドパ濃度を、高感度の特異的LC-MS/MS法を使用して決定した。濃度データを、ソフトウェアプログラムWinNonlin(商標)(Pharsight Corporation、Mountain View、CA)を使用して、非コンパートメント法によって分析した。以下の薬物動態パラメータを決定した。Cmax(最大濃度)、Tmax(最大濃度までの時間)、C8(8時間における濃度)、Kel(終末相の消失速度定数)、T1/2(見かけの消失半減期(0.693/Kelとして算出))、AUCinf(無限まで外挿した血中濃度-時間曲線下面積、AUCinf=AUClast+Ct/Kelとして算出(Ctは、数量化できる最後の濃度であり、Kelは、終末相の消失速度定数である))、及びFrel(%)(レボドパの相対的な経口利用能)。
【0186】
摂食又は絶食対象にSR4又はSR5錠剤を経口投与した後のレボドパ薬物動態プロファイル(平均±SD)を、それぞれ図4及び図5に示す。SR4又はSR5錠剤を経口投与した後のレボドパ薬物動態パラメータを、それぞれ表3及び表4に提示する。
【表3】

【表4】

【実施例9】
【0187】
二重層錠剤
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート(レボドパプロドラッグ)及びカルビドパを含有する二重層錠剤を、以下の手順に従って調製した。ヒプロメロース2910、ヒプロメロース2208、ラウリル硫酸ナトリウム、マンニトール(例えば、Pearlitol(登録商標)100SD、Pearlitol(登録商標)200SD及びPearlitor(登録商標)50C)、微結晶性セルロース(E4M Premium、Dow Chemical)及びクロスポビドン(例えば、Polyplasdone(登録商標)XL-10)を、30番メッシュスクリーンを介してふるいにかけた。ステアリン酸マグネシウム(2257非ウシ、Mallickrodt)を、60番メッシュスクリーンを介してふるいにかけた。マンニトール(Pearlitol(登録商標)100 SD、Roquette)、カルビドパ(Sochinaz)、クロスポビドン(Polyplasdone(登録商標)XL-10、ISP Technologies)及び微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH-101、FMC BioPolymer)を、高せん断造粒機に入れ、羽根車をオンにし、チョッパーをオフにしてブレンドした。カルビドパを含有する高せん断したブレンド及びふるいにかけたステアリン酸マグネシウムを、Vブレンダーに入れ、ブレンドした。最終的なカルビドパブレンドを、Vブレンダーから取り出し、打錠するまで、密封した二重のポリエチレンバッグ内で保存した。
【0188】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、ヒプロメロース2910及びラウリル硫酸ナトリウム(SLS)(S529、Fisher Scientific)を、高せん断造粒機に入れ、7.2wt%〜9.7wt%の水を添加し、羽根車及びチョッパーの両方をオンにして顆粒を生成した。レボドパプロドラッグを含有する湿潤顆粒を、Quadro Comilに通過させた。次に、製粉した顆粒を、LOD<1.0%になるまで流動床乾燥機で乾燥させた。レボドパプロドラッグを含有する乾燥顆粒を、Quadro Comilに通過させた。ヒプロメロース2208(K100M Premium CR、Dow Chemical)を、Vブレンダー内で、乾燥させ製粉した顆粒の二等分の間に挟み、その組合せをブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを、レボドパプロドラッグ顆粒を含有するブレンドに添加し、ブレンドした。レボドパプロドラッグ顆粒を含有する最終的なブレンドを取り出し、打錠するまで、密封した二重のポリエチレンバッグ内で保存した。
【0189】
二重層錠剤を、3/8インチの円形標準凹面工具を使用して、レボドパプロドラッグ及びカルビドパブレンドを圧縮することによって調製した。コーティング用懸濁液を調製するために、まず、精製水を秤量し、撹拌しながらその水にOpadryを添加した。約1.5時間混合した後、懸濁液を、30番メッシュスクリーンを介してふるいにかけた。標的のコーティング重量が達成されるまで、二重層錠剤を、フィルムコーティングした。
【0190】
類似の構成成分及び量を含む二重層錠剤も、類似の手順を使用して調製した。
【0191】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート(レボドパプロドラッグ)及びカルビドパを含む様々な二重層錠剤の組成を、表5〜11に提示する。表5及び7〜11に示す組成物を使用して錠剤を生成したが、表6に示した組成は、様々な用量のレボドパプロドラッグについて提案される範囲を表す。レボドパプロドラッグ(遊離形態)は、(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートの量を指し、メシル酸塩の重量を含んでいない。(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの重量は、遊離形態の(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートの重量の1.268倍高い。
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【実施例10】
【0192】
二重層錠剤の溶解プロファイル
二重層錠剤の溶解プロファイルは、シンカーを備えたUSPパドル装置(II型)を使用して、900mLの0.1Nの塩酸中、pH1.2又はpH5.0において温度37℃で得た。溶出溶媒を50rpmで撹拌した。試料を、カルビドパについては15、30及び45分において、レボドパプロドラッグについては0.5、0.75、2、4、6、9及び12時間において回収し、濾過した。試料を、HPLCによって、カルビドパ及びレボドパプロドラッグの外部標準に対して280nmでUV検出して分析した。
【0193】
実施例9に従って調製し、表5に記載の組成物を有するコーティングされた二重層錠剤の、pH1.2又はpH5.0における代表的なレボドパプロドラッグ溶解プロファイル(平均±SD)を、図6に示す。
【0194】
実施例9に従って調製し、15kNで圧縮し、表7の製剤-136、-137、-138、-144に記載の組成物を有する、コーティングしていない二重層錠剤の、pH1.2における代表的なレボドパプロドラッグ溶解プロファイル(平均±SD)(12時間において100%放出されるように正規化した)を、図7に示す。
【0195】
実施例9に従って調製し、表8〜11に記載の組成物を有するコーティングされた二重層錠剤の、pH1.2における代表的なレボドパプロドラッグ及びカルビドパ溶解プロファイル(平均±SD)を、それぞれ図8及び図9に示す。
【実施例11】
【0196】
パーキンソン病の対象における臨床試験
カルビドパを含むBL2の二重層錠剤として投与されるレボドパプロドラッグの効率は、パーキンソン病の対象で、現在、第2相の無作為化二重盲検ダブルダミークロスオーバー研究で評価される。研究治療では、各治療につきBL2錠剤(レボドパプロドラッグ(遊離形態)190mg/カルビドパ25mgの二重層錠剤)、過度被包性(over-encapsulated)(O/E)Sinemet(登録商標)(レボドパ100mg/カルビドパ25mg錠剤)及び対応するプラセボを利用する。対象を、四つの治療順序の一つに1:1:1:1の分配比で無作為化する。
【0197】
効率は、研究中に間隔を置いて統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)を使用して評価する。対象によって維持されるオン/オフ日誌を使用して、以下を含む様々な運動状態に対して薬効が切れるかどうかをキャプチャーする。「オフ」-医薬品の薬効が切れ、可動性、緩慢及びこわばり感に対してそれ以上利益をもたらさない場合;「オンでジスキネジアなし」-医薬品が、可動性、緩慢及びこわばり感に関して利益をもたらし、対象にはジスキネジア(不随意性のねじれ、歪み運動)が生じていない場合;「オンだが厄介でないジスキネジアがある」-医薬品が、可動性、緩慢及びこわばり感に関して利益をもたらしている場合。対象には、ジスキネジア(不随意性のねじれ、歪み運動)が生じているが、そのジスキネジアは、機能を妨害し、又は大きな不快感を引き起すものではない;並びに「オンだが厄介なジスキネジアがある」-医薬品が、可動性、緩慢及びこわばり感に関して利益をもたらしている場合。対象には、機能を妨害し、大きな不快感を引き起こすジスキネジア(不随意性のねじれ、歪み運動)が生じている。パーキンソン病の症状におけるベースラインからの全体的な変化を、研究者の評価及び患者の評価の両方による臨床全般印象改善尺度(CGI-I)を使用して評価する。
【0198】
二重盲検治療期間の最後に、日内平均「オフ」タイムのベースラインからの変化を、決定する。日内平均「オン」タイム、厄介なジスキネジアがない日内平均「オン」タイム、ジスキネジア(厄介な又は厄介でない)がある日内平均「オン」タイム、厄介なジスキネジアがある日内平均「オン」タイムの変化、覚醒時の「オフ」の百分率、覚醒時の「オン」の百分率、UPDRS II(ADL)及びIII(運動)下位尺度スコア及びPDQ-39下位尺度スコアも評価する。日内平均「オフ」タイムにおいてベースラインから≧30%低減を達成した対象の割合、厄介なジスキネジアがない日内平均「オン」タイムにおいてベースラインから≧30%低減を達成した対象の割合、並びに研究者の評価及び患者の評価によるCGI-Iに基づいて、「かなり改善された」又は「非常に改善された」レスポンダーの割合も分析する。有害事象を記録する。ジスキネジアを伴う日数の中央値及びジスキネジアを伴う日内オンタイムの期間の中央値を、各相の治療によって決定される、種類ごと(厄介な及び厄介でない)のオン/オフ日誌データから調査する。
【0199】
効率の研究に加えて、数人の対象が、薬物動態評価に参加する。薬物動態研究に参加した対象について、BL2又はSinemet(登録商標)錠剤の投与後に、K2-EDTAを入れたVacutainers(登録商標)又はMonovette(登録商標)管に、間隔を置いて血液試料を収集する。血液試料を、投与後の名目上の特定のサンプリング時点、例えば投与の0、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14及び16時間後の約5分位内に採血する。試料を、1分位内にクエンチし、15分以内に遠心分離機にかける。血液試料を、レボドパ、3-O-メチルドパ、カルビドパ及び他の可能な代謝産物の濃度を決定するために、高感度の特異的LC-MS/MS法を使用して分析する。
【0200】
最後に、本明細書に開示の実施形態を実施する代替法があることに留意されたい。したがって、本発明の実施形態は、例示的であり、限定的ではないとみなされるべきであり、特許請求の範囲は、本明細書に記載の詳細に限定されないが、特許請求の範囲及びその等価物の範囲内で改変することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、及び
C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
約90wt%〜約99wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、及び
約0.5wt%〜約2wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩(wt%は、顆粒の全乾燥重量に基づく)
を含む顆粒を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
一つ又は複数の薬学的に許容される添加剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
約50wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、
約0.5wt%〜約2.0wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩、
約6wt%〜約20wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び
約0.5wt%〜約2.0wt%のステアリン酸マグネシウム(wt%は、組成物の全乾燥重量に基づく)
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
L-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、又はL-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤とカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤の組合せを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、及び
C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩
を含む、経口用錠剤。
【請求項8】
約90wt%〜約99wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、及び
約0.5wt%〜約2wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩(wt%は、顆粒の全乾燥重量に基づく)
を含む顆粒を含む、請求項7に記載の剤形。
【請求項9】
C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項7に記載の剤形。
【請求項10】
一つ又は複数の薬学的に許容される添加剤を含む、請求項7に記載の剤形。
【請求項11】
約50wt%〜約90wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、
約0.5wt%〜約2.0wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩、
約6wt%〜約20wt%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び
約0.5wt%〜約2wt%のステアリン酸マグネシウム(wt%は、剤形の全乾燥重量に基づく)
を含む、請求項7に記載の剤形。
【請求項12】
L-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、又はL-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤とカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤の組合せを含む、請求項7に記載の剤形。
【請求項13】
C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項8に記載の剤形。
【請求項14】
0.1NのHCl中、pH1.2で37℃に置かれ、50rpmで撹拌されると、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約28%〜約58%が約2時間以内、約40%〜約70%が約4時間以内、約67%〜約97%が約9時間以内、約80%超が約18時間以内に放出される、請求項7に記載の剤形。
【請求項15】
結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及びC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含む第一の層と、
L-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤を含む第二の層と
を含む二重層錠剤である、請求項7に記載の剤形。
【請求項16】
C6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩が、ラウリル硫酸ナトリウムであり、L-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤が、カルビドパである、請求項15に記載の剤形。
【請求項17】
第一の層が、約70wt%〜約95wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート及び約0.5wt%〜約3wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩を含み、
第二の層が、約15wt%〜約30wt%のL-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤を含む、請求項15に記載の剤形。
【請求項18】
第一の層が、約90wt%〜約99wt%の結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレート、及び
約0.5wt%〜約2wt%のC6〜18アルキルスルフェート又は薬学的に許容されるその塩(wt%は、顆粒の全乾燥重量に基づく)を含む顆粒を含む、請求項15に記載の剤形。
【請求項19】
0.1NのHCl中、pH1.2又はpH5.0で37℃に置かれ、50rpmで撹拌されると、結晶性(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノエートメシレートの約28%〜約58%が約2時間以内、約50%〜約80%が約4時間以内、約80%超が約12時間以内に放出される、請求項15に記載の剤形。
【請求項20】
統合失調症、認知機能障害、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、高血圧及び日中の過剰な眠気から選択される疾患の治療を必要としている患者に、治療有効量の請求項1に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、患者の前記疾患を治療する方法。
【請求項21】
パーキンソン病の治療を必要としている患者に、治療有効量の請求項1に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、患者のパーキンソン病を治療する方法。
【請求項22】
統合失調症、認知機能障害、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、高血圧及び日中の過剰な眠気から選択される疾患の治療を必要としている患者に、請求項7及び15のいずれか一項に記載の錠剤を投与するステップを含む、患者の前記疾患を治療する方法。
【請求項23】
パーキンソン病の治療を必要としている患者に、請求項7及び15のいずれか一項に記載の錠剤を投与するステップを含む、患者のパーキンソン病を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−520521(P2013−520521A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−511131(P2013−511131)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/002937
【国際公開番号】WO2011/056240
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(506400373)ゼノポート,インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】