説明

レンズにドリル作業する装置及びその方法

レンズを保持するシステムによって保持されたレンズにドリルで穴開けするためのレンズにドリルで作業する装置であって、土台と、旋回式ドリル支持アームを備え、前記旋回式ドリル支持アームは、ドリルが作業領域から離れている引っ込んだ位置から、レンズ表面の法線に適切な角度で、レンズに作業するための伸ばした位置まで旋回することを特徴とする。ドリルモータが旋回式ドリル支持アームに取り付けられ、ドリルモータから離れ、旋回式ドリル支持アームに取り付けられたドリルを駆動する。ドリルは、伸ばした位置でドリル作業を行なう間、同じ状態を保っている。好ましい態様においては、ドリル機は、レンズ切削機にボルト付けされたモジュール式ユニットであり、ドリル作業能力を備えたパターンのない切削機の技術の無駄のない合理化されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁なしフレームに用いるための未処理眼鏡レンズを加工するためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、縁なしフレームを屈曲したレンズに通すための決められた穴をドリルで開けるためのシステム及び方法を提供する。ドリル作業するシステム及び手順はレンズ切削機にまとめられる。
【背景技術】
【0002】
患者の目の網膜上に光の焦点を合わせ、視力を向上させるために、屈曲した眼鏡レンズが処方される。そのようなレンズは、患者へ正しい処方が提供されるための望ましい性質を備えた未処理のガラス製又はプラスチック製のレンズから形成される。未処理レンズは通常円形で、眼鏡フレームに組み合わせる完成されたレンズが比較的小さいものであるのに較べ、より大きな寸法であり、例えば、直径4インチで厚さ0.5インチまでの大きさである。それゆえ、未処理レンズは患者が選んだ眼鏡フレームに合わせるため、縁を切削しなくてはならない。
【0003】
眼科研究所の技術者は、眼鏡技師、検眼医又は眼科医によって処方された処方箋に従って、レンズを用意する。処方箋には患者のすべての処方が以下の通り含まれている:1)完成されたレンズが有さなくてはならない総倍率;2)必要な場合(例えば、多焦点レンズ)すべてのセグメントの強度とサイズ;3)すべてのシリンダーカーブの倍率及び方向;4)光学中心及び必要なすべてのプリズムの位置。縁なしフレームに対しては、技術者が縁なしレンズに取り付け穴をドリルで開けなければならない。
【0004】
眼鏡レンズを未処理のレンズから加工する過程は、非常に注意と精度を必要とする。特に未処理レンズを上述の削る作業の前に正しい位置に置くときに精密に正確に行なうことが、適切な屈曲、光学中心、形状が達成される結果となる。もし未処理レンズが適切に調整されないと、そのレンズは処方された仕様ではなくなる。また、穴開け作業をフレームを取り付けるための異なったサイズの穴に精確で順応できるものとすることも特に重要である。未処理レンズが不適切に調整されると、技術者の要する時間とともに材料も無駄になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズの縁に閉鎖式穴、小さな穴又は刻みをドリルで精確に効率よく穴開けするためのドリル作業システム又は方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レンズを保持するシステムによって保持されたレンズにドリルで穴開けするためのレンズにドリルで作業する装置であって、土台と、旋回式ドリル支持アームを備え、前記旋回式ドリル支持アームは、ドリルが作業領域から離れている引っ込んだ位置から、レンズに作業するための伸ばした位置まで旋回することを特徴とする。ドリルモータが旋回式ドリル支持アームに取り付けられ、ドリルモータから離れたドリルを駆動する。ドリルは、伸ばした位置でドリル作業を行なう間、同じ状態を保っている。
【0007】
好ましい態様においては、レンズにドリル作業する装置は、モジュール式ユニットであって、レンズの周囲の縁を削るのに適したレンズ加工装置(例えば、切削機)に選択的に取り付けられていてもよい。モジュール式ドリルユニットは、レンズ切削機にボルト付けするボルト締めユニットであってもよい。
【0008】
本発明は、切削機とドリル機を備えたレンズ加工装置もまた提供する。前記装置は、主装置と主装置中で回転及び平行移動するために備えられた少なくとも1つのレンズ回転軸を備える。駆動装置は少なくとも1つのレンズ回転軸を直線及び回転方向に駆動する。レンズは、レンズ回転軸上に備えられたレンズを保持するシステムに保持される。レンズにドリルで穴を開ける装置が、レンズを保持するシステムによって保持されたレンズにドリルで穴を開け、又その他の処理をするために備えられている。レンズにドリルで穴を開ける装置は、土台と、ドリルが作業領域から離れている引っ込んだ位置から、レンズに作業するための伸ばした位置まで旋回する旋回式ドリル支持アームを備える。ドリルモータが、旋回式ドリル支持アームに取り付けられドリルモータから離れたドリルを駆動する。
本発明の特徴は、以下の図を用いた説明により明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、ドリル穴開け能力を備えたパターンのない切削機であって、ハウジング12に格納されている切削機とドリル機を備え、未処理レンズを機械に及び機械から運ぶ関連付けられた運搬装置14と削り操作及び穴開け操作により生じた粉塵、破片を吸い取るための真空装置16を備えた切削機の概略図である。さらに図1の切削機にはディスプレイ18(例えば、15”カラーフラットパネルLCD)が多方面から視覚に対し調節可能なヒンジの上に備えられている。ディスプレイ18により、ドリル作業されるレンズの穴開け位置が、見る及び/又は調節するために表示される。モジュール式デザインにより、ハウジング12の中で電子機器とカッターモータは切削チャンバーから分離される。
【0010】
好ましい態様においては、オートメーション化された加工システムは、自動のロード、専用のピック及び各々の切削機のための組み立てユニットの空間を用いて設計されている。この点で、切削機の特有のバック−ローディングの特徴により、メンテナンス及びトラブルシューティングのためのユニットの正面に非常にアクセスしやすくなっている。ピックと空間のメカニズムは、先端技術を盛り込んだものであって、空気カップ、トレイからレンズをつまみ上げ切削機/ドリル機の組み合わせに置くアームが備えられている。一度レンズが完成すると、そのメカニズムは逆転し、そのサイクルを繰り返す前にレンズを取り去り、運搬装置14のトレイに置く。切削機/ドリル機のシステムは、多目的であり、トレイスタッカー又は運搬装置14のいずれかを通してロード/アンロードするための研究上の選択物に対応することができる。
【0011】
好ましい態様においては、Windows(登録商標)様のフォーマットを容易に使用することができ、パソコンのソフトウェアが顧客のための信頼できる正確なデータを蓄積する。さらに、本発明のシステムは、フレームの情報を加え、変更することができる切削機専属のデータベースを蓄積するよう設計されている。好ましくは、本発明のシステムは、経験のない操作者にメンテナンス機能と操作手引きを与えるための「ヘルプ」画面を備える。
【0012】
本発明のデータベースの特徴に関しては、切削機/ドリル機の組み合わせは、ドリル作業についてのデータ(穴、溝又は刻みのタイプ、位置、サイズなど)を内蔵データベースに蓄積する能力を提供する。この情報は、切削の目的のレンズについてのドリル作業の情報を素早く引き出すのに用いることができる。
【0013】
情報はデータベースから様々な方法で取り出すことができる。
最初に第三者のソフトウェアパッケージから、作業情報をダウンロード後、切削機はフレーム製造業者の名前、フレームモデルの名前、フレームの目のサイズを用い、独自のキーを与え、データベースからドリル作業情報を検索する。この情報は引き出され、自動的に作業に加えられる。操作者は、レンズに正しい特性でドリル作業するために、それ以上のドリル作業情報を入力する必要はない。
【0014】
交互に、操作者は手動で内蔵のドリル作業データベースを検索し、ドリル作業のための作業情報を得ることができる。データベースはフレーム製造業者の名前、フレームモデルの名前、フレームの目のサイズを用いて検索される。
【0015】
操作者は、入力手段(例えば、キーボード19)によって、新たなドリル作業の記録をデータベースに加えるオプションも用いることができる。これらの記録は、入力された切削機/ドリル機システム内に蓄積される。データベースは、データベースをフレキシブルディスクにバックアップすることにより1つの切削機から他の切削機に容易に移動することができ、それからデータベースを他の切削機にインポートすることができる。
【0016】
モジュール式ドリル機が、切削機及びドリル機の組み合わせのハウジング12の中に入っている。一方、本発明の切削機は、分離したモジュール式ドリル機を取り付けるために特有な設計がなされており、以下はドリル機の中心となる説明である。
【0017】
図2及び図3を参照すると、モジュール式、ボルト付けドリル機20が引っ込んだ位置(図2)及び伸ばした位置(図3)で、カバーとハウジングのいくつかは取り除かれ、配線は表されていない状態で表されている。ドリル機20は、ドリル作業が望まれるときに選択的に切削機の作業領域に入ることによって、このシステムに多様性を加えている。同様に、ドリル機20は、切削過程において接触しないように、作業領域の外で旋回することができる。
【0018】
ドリル機20は、平板22dから3つの壁22a−22cが上方へ伸びることにより形成されるドリルの土台22を介して、切削ユニット(表されていない)に取り付けられている。ドリル30は、適切な軸受けシステム(図7参照)により後壁22bに取り付けられた旋回式ドリル支持アーム40を介して、土台22に取り付けられている。この配置により、ドリル30は旋回式ドリル支持アーム40の末端に取り外し可能に配置され、ドリル30が必要なときに適切に使用されるようにドリルモータ32から離れている。
【0019】
ドリル土台22により、ドリル機20は当業者に知られている切削機(例えば、ナショナルオプトロニクスモデル7Eパターンのない切削機)にボルト付けその他で取り付けられている。ドリル機20は、ドリル30が作業領域から離れている引っ込んだ位置(図2)から、ドリル30がレンズに作業するための伸ばした位置(図3)まで旋回するように取り付けられている。ドリルモータ32もまた旋回式ドリル支持アーム40に取り付けられていて、ドリル30を歯付きベルト又はその他の適切な駆動システム34(例えばギアリング又はチェーン駆動システム)を介してを駆動する。通常は、ドリルは18000―20000rpmの速度で駆動される。当業者には分かることであるが、ドリルモータ32が離れた位置にあることは、ドリル機20の多様性及び有用性を増大する、なぜならドリルモータとその他のドリル部品に影響を与えることなくチャックとドリルを使用し、交換することが可能になるからである。
【0020】
図4a,4bに示された回転式駆動機構は旋回式ドリル支持アーム40を引っ込んだ位置から伸ばした位置まで旋回させるために用いられる。回転式駆動機構は、好ましくは土台22の後壁22bに固定されたギアモータ50と旋回式ドリル支持アーム40に固定されたウォームギア52を含む。ギアモータ50はピニオンギア51を駆動し、順にウォームギア52を駆動し、その結果、ギアモータ50から供給されたトルクが旋回式ドリル支持アーム40を引っ込んだ位置(図2)から伸ばした位置(図3)まで旋回させる。適切な移動式リミットスイッチにより旋回式ドリル支持アーム40の動きを制御する、特に旋回式ドリル支持アーム40の動きは、引っ込んだ位置及び伸ばした位置の両位置において移動式リミットスイッチ(図5,6,7参照)を駆動し、そうしてギアモータ50にエネルギーを与える。
【0021】
ドリル機20の更なる構造を図5及び図6に表す、図5はドリル機20が引っ込んだ位置にある図であり、図6はドリル機20が伸ばした位置にある図であり、いずれも回転式駆動機構のカバーが取り除かれて表されている。すでに述べたように、回転式駆動機構は旋回式ドリル支持アーム40をピニオンギア51とウォームギア52を介して駆動するギアモータ50を含む。
【0022】
好ましい態様においては、移動式リミットスイッチ56、58は、後壁22の隣接した窓22b’に取り付けられ、回転式駆動機構によって提供される駆動トルクを制限する。ギアモータ50が旋回式ドリル支持アーム40を伸ばした位置(図6)から引っ込んだ位置(図5)まで駆動するとき、作動フィンガー66が移動式リミットスイッチ68(図7参照)をギアモータ50にエネルギーを与えるために作動する。交互にギアモータ50が旋回式ドリル支持アーム40を引っ込んだ位置から伸ばした位置まで駆動するとき、作動フィンガー68が移動式リミットスイッチ58(図6及び図7参照)を作動し、ギアモータ50にエネルギーを与える。
【0023】
ドリル機20の電気的接続は表されていないが、当業者には様々な電源及び制御信号が、図2、図3、図4a及び図6に要素70として表されているモジュール式ピン配列を介してドリル機20に備えられていることが理解されるであろう。
【0024】
図7は、ドリル機20の主要部品の分解図であり、図8は、切削機に取り付けられたドリル機20を表す透視図である。切削機は、ドリル機20が図5に示された引っ込んだ位置から図8に示された伸ばした位置まで旋回する前に、退いた位置(図8の矢印‘R’の方向)に移動することがわかる。それから、切削機は図8に表された作業位置に戻り、切削機及び/又はドリル機がレンズ100に作業できるようにする。ドリル作業が完了した後、切削機は再び退いた位置に移動し、ドリルが引っ込んだ位置に旋回することができる(図2及び図5参照)。この配置において、ドリルは使用されない時は、作業領域の外にある。明らかに、図1を参照してわかる小型の配置は、ドリル機が切削機の作業領域を出入りする多様性を有していても、保持されている。
【0025】
好ましい態様において、ドリル30は、図3に示される伸ばした位置においてドリル作業が行なわれている間、実質的に同じ状態を保っている。ドリルが同じ状態を保っているので、ドリル作業に対する制御プロセスおよびアルゴリズムは、第一に切削機(図8参照)により定められるレンズを保持するシステムの動きによって制御される。穴、溝又は刻みのための具体的なドリルアルゴリズムについて以下に詳述する。
【0026】
本発明のドリル機は、側削りと円形切りを組み合わせた機能の単一のドリルミルを用いて様々なサイズの穴、溝又は刻みを生成する能力がある。1つのアルゴリズムで単一のドリルミルを用いて様々なサイズのこれらの穴、溝又は刻みを切ることができる。
【0027】
一般に、ドリルミルは、切削機に取り付けられると、レンズの回転軸に対して10°の角度に置かれる。そうしてドリルミルとレンズを接触させたり、引っ込めたりするときに、サイズと斜面キャリッジ間の動きを協調させることが必要とされる。この協調された動きは、ドリルが10°の位置となることによる穴の拡大を防ぐ。当業者には分かることであるが、ドリルミルは、レンズ又はシステムがドリルミルに対して調節可能な処理角度を有するように設計されている場合は、異なった角度に位置していてもよい。
【0028】
ドリルミルより大きい穴、溝又は刻みは、2つの経路を用いて切削される。それぞれの経路で切削する前に、切削機は、確実に軸の緩みをシステムから軽減する。図9a−9fを参照し、以下にドリルミルより大きい穴がいかにレンズ100に切り込むことができるかを詳述する。特に、ドリルはレンズ100が切削機によって動かされ、回転させられている間、同じ状態を保っている。図9a−9fは、切削機のレンズ保持部と穴が開けられるレンズの一部が表されているのみである。図9a−9fは、穴を開ける際のレンズ100の動きに連動して、レンズ100に対するドリルミル200の位置を表す。
【0029】
最初に、穴の頂上(ドリルミル200によって表されている)が、ギアボックスの緩みを軽減するのに十分な4gradの距離ドリルミルの下に回転する。もちろん、当業者は、個々の機械の詳細及び耐久力を詳細に知っているので、ギアボックスの緩みを軽減するための適切な前もったドリル回転を決めることができる。
【0030】
次に、切削機はレンズ100を上方に回転させ、切削される穴の頂上が、切削に適した位置となるようにする。すべてのドリル作業は、上方への軸の動きを用いて行なわれ、軸ギアボックス緩みからのどのような負の影響も防止する。
【0031】
ドリルミルは、ドリルで穴開けした穴を拡大するための第一経路に備え、次にレンズに接触する(図9a)。
【0032】
図9bに表されるように、ドリルミルは、レンズ100の穴の内側の縁を切削するための経路をたどる。再び、この段階の切削の間、軸は上方へのみ動く。ドリルミル200(レンズ100によって表されている)のおおよその経路は、図9bに表された矢印‘A’で示される。
【0033】
図9cで表される段階の後、切削機はドリルミル200をレンズ100から引っ込める、そうして穴の頂上(ドリルミル200によって表されている)が、4gradの距離ドリルミル200の下に回転する(反時計回り)ことができるように、軸とレンズ100を回転させる。この操作は、どのような軸ギアボックス緩みも減少させるようもう1回繰り返される。
【0034】
その後、軸は上方に回転され(時計回り)、こうして、穴の頂上が前と全く同じ位置となり(すなわち図9aと図9bに表される時計の12時の位置)、切削を始めるのに適切な位置になる。
【0035】
第二及び最終経路に備え、時計の12時の位置で、ドリルミル200は再びレンズ100に接触する。
【0036】
ドリルミル200は、次に矢印Bで表される経路をたどって、レンズ100の外側の縁を切削する。この切削の動きの間、軸は上方にのみ動き、軸の緩みが生じないようにする。ドリルミル200(レンズ100によって表されている)のおおよその経路は、図9eに表された矢印‘B’で示され,図9fに示された6時の位置まで至る。
【0037】
ドリルミル200が穴から引っ込み、この穴をドリル開けする作業は完了する。
【0038】
ドリル機20は、ドリルミル200より大きい穴を切削するのに用いられた方法で溝又は刻みもまた切削する。溝及び/又は刻みを切削する間、レンズの回転軸は常に同じ方向で、ギアボックス緩みの効果を減少させるのに役立つ。
【0039】
図10の表は、異なったレンズの溝又は刻み及び位置に供する切削経路の詳細である。実線は、第一の経路で切削される経路を示す、また点線は、第二の経路で切削される経路を示す。これらの経路を特定の位置で用いることは、切削の間、回転の軸が一方向に回転することのみが要求されることを保証する。
【0040】
図10を参照して、溝又は刻みを切削する際に用いられる一般的な手順を以下のステップで概説する。再び、溝又は刻みの頂上(ドリルミル200によって表されている)が、4grad(緩みを軽減するのに十分な量以上)の距離ドリルミルの下に回転する。軸は上方に動き、溝又は刻みの頂上が切削に適切な位置となるようにする。全てのドリル作業は、軸の上方への動きを用いて行なわれ、軸ギアボックス緩みからのどのような負の影響も防止する。
【0041】
溝又は刻みをドリルで作業するための第一経路に備え、ドリルミル200は次にレンズに接触する。ドリルミル200はレンズ100の溝又は刻みの第一経路(図10に実線で表されている)を切削する経路をたどる。再び、軸は、この切削の段階の間、上方へのみ動く。切削機は、ドリルミルをレンズから引っ込め、軸を回転させ、溝又は刻みの頂上(ドリルミルによって表されている)が4grad(緩みを軽減するのに十分な量以上)の距離ドリルミルの下に回転するようにする。この操作は、どのような軸ギアボックス緩みも減少させるようもう1回繰り返される。
【0042】
軸はそれから上方へ回転し、こうして、溝又は刻みの頂上が前と全く同じ位置であって、切削を始めるのに適切な位置、すなわち図10における実線と点線の接点になる。第2及び最終経路に備え、ドリルミル200は再びレンズ100に接触する。ドリルミル200は、次にレンズ100に溝又は刻みを切り入れる第二経路(図10に点線で表されている)を切削する経路をたどる。この切削の動きの間、軸は上方にのみ動き、軸の緩みが生じない(若しくは実質的に生じない)ようにする。ドリルミル200がレンズ100から引っ込む。この溝又は刻みをドリル開けする主要なものは完了する。
【0043】
図11は、本発明に用いられるドリルミル200の好ましい例であって、京セラ株式会社製である。1インチ(25.4mm)のドリルミルに対して、切削直径は、約1mmで溝の深さは10mmである。図11に表されたドリルミルは、右側から30°切り入れられたらせん角度の右巻きらせんである。溝と先端の幾何学は、眼鏡レンズに典型的な熱硬化性及び熱可塑性の高分子のいずれの切削に対しても最適化されている。
【0044】
前述の説明から、本発明の全体のシステムは、ドリル作業能力を備えたパターンのない切削機の技術の無駄のない合理化されたものであることが明らかになった。ドリルの角度は、レンズの表面に垂直に切削できるように設計されている。この技術は、フィット性に優れたフレームと美的にも満足できる製品を提供する。好ましい態様において、本システムはそれぞれのレンズに穴の直径又は溝の幅が1mmから5mmである6つまでの穴、溝又は刻みを切削することができる。切削機は、速く、ドリルミルの交換をすることなく、全てのレンズ素材に精密で傷がなくがたつきのない穴をドリルで開けることができる。
【0045】
前述の発明は、好ましい態様を参照して表し説明した。当業者にとって特許請求の範囲の記載の精神や範囲から逸脱することなく形式や細部に様々な変更を加えることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ドリル作業能力を備えた切削機であって、切削機とドリル機が、未処理レンズを機械に運び及び機械から運ぶ運搬装置と任意に真空装置を備えたハウジングに格納されている切削機の概略図である。
【図2】ドリルが引っ込んだ位置で表されている本発明のドリル機の透視図である。
【図3】ドリルが伸ばした位置で表されている本発明のドリル機の透視図である。
【図4a】伸ばした位置のドリル機の透視図であって、ハードウェアをいくつか省略して旋回式ドリル支持アームのための回転式駆動機構を露出したものである。
【図4b】本発明の回転式駆動機構の部分拡大図である。
【図5】引っ込んだ位置のドリル機を表す透視図である。
【図6】図5と同じ角度からの伸ばした位置のドリル機を表す透視図であって、ハードウェアをいくつか省略して旋回式ドリル支持アームのための回転式駆動機構を露出したものである。
【図7】本発明のドリル機の主要な部品を表した分解図である。
【図8】切削機に取り付けられた本発明のドリル機を表す透視図である。
【図9】本発明のドリル機によるドリル作業操作の異なった場面を表している。
【図10】異なったレンズの溝又は刻み及び位置に対する切削経路を列挙した表である。
【図11】本発明に用いられるドリルミルの好ましい例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するシステムによって保持されたレンズに、ドリルで穴開けするためのレンズにドリル作業する装置であって、
土台と、
ドリルと、
旋回式ドリル支持アームを有し、
前記旋回式ドリル支持アームは、ドリルが作業領域から離れている引っ込んだ位置から、前記ドリルがレンズに作業するための伸ばした位置まで旋回するように設計され、
さらに、前記旋回式ドリル支持アームに取り付けられたドリルモータを有し、
前記ドリルは、前記ドリルモータから離れて、前記旋回式ドリル支持アームに取り付けられ、
前記ドリルは、前記伸ばした位置でドリル作業を行なう間、同じ状態を保つことを特徴とするレンズにドリル作業する装置。
【請求項2】
前記レンズにドリル作業する装置が、モジュール式ユニットであって、前記レンズの切削面を加工するためのレンズ加工装置に選択的に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のレンズにドリル作業する装置。
【請求項3】
前記モジュール式ユニットが、レンズ切削機にボルト付けされるボルト締めユニットであることを特徴とする請求項2記載のレンズにドリル作業する装置。
【請求項4】
前記旋回式ドリル支持アームを、引っ込んだ位置と伸ばした位置の間を旋回させるための回転式駆動機構を更に有することを特徴とする請求項1記載のレンズにドリル作業する装置。
【請求項5】
前記回転式駆動機構が、前記土台と前記旋回式ドリル支持アームとの間に取り付けられたウォームギアとピニオンギアを有することを特徴とする請求項4記載のレンズにドリル作業する装置。
【請求項6】
前記ドリルモータから前記ドリルへのトルクを供給する更なる駆動システムを有することを特徴とする請求項1記載のレンズにドリル作業する装置。
【請求項7】
前記駆動システムが前記ドリルモータから前記ドリルへのトルクを供給する歯付きベルトを有することを特徴とする請求項6記載のレンズにドリル作業する装置。
【請求項8】
内蔵データベースを更に有し、前記内蔵データベース中にドリル作業データに関する情報を蓄積することを特徴とする請求項1記載のレンズにドリル作業する装置。
【請求項9】
レンズにドリルで穴開けするためのパラメータが、内蔵データベース又は第三者のソフトウェアパッケージの中の1つに由来することによりドリル作業過程を制御するコンピューターを更に有することを特徴とする請求項1記載のレンズにドリル作業する装置。
【請求項10】
レンズ加工装置であって、
主装置と、
前記主装置中で回転及び平行移動するための少なくとも1つのレンズ回転軸と、
前記少なくとも1つのレンズ回転軸を駆動するための軸回転駆動装置と、
前記少なくとも1つのレンズ回転軸上に配置されたレンズを保持するためのレンズ保持システムと、
前記レンズを保持するシステムによって保持されたレンズにドリルで穴開けするための、レンズにドリル作業する装置であって、
土台と、
ドリルと、
旋回式ドリル支持アームを有し、
前記旋回式ドリル支持アームは、ドリルが作業領域から離れている引っ込んだ位置から、前記ドリルがレンズに作業するための伸ばした位置まで旋回するように設計され、
前記旋回式ドリル支持アームに取り付けられたドリルモータを有し、
前記ドリルは、前記ドリルモータから離れて、前記旋回式ドリル支持アームに取り付けられ、
前記ドリルは、前記伸ばした位置でドリル作業を行なう間、同じ状態を保つことを特徴とするレンズにドリル作業する装置とを有することを特徴とするレンズ加工装置。
【請求項11】
前記レンズにドリル作業する装置が、モジュール式ユニットであって、前記レンズの切削面を加工するためのレンズ加工装置に選択的に取り付けられていることを特徴とする請求項10記載のレンズ加工装置。
【請求項12】
前記ドリル中に配置されたドリルミルを更に有し、前記ドリルミルは、ドリル作業の間、前記レンズの表面の法線方向を向いていることを特徴とする請求項10記載のレンズ加工装置。
【請求項13】
前記レンズ加工装置が前記レンズの切断縁を切削するための切削機であることを特徴とする請求項10記載のレンズ加工装置。
【請求項14】
レンズにドリルで穴、溝又は刻みを入れる方法であって、
前記レンズを軸に対して回転させ、及び前記軸に対して少なくとも一方向に平行移動させるように設計された機構によりレンズを保持するステップと、
ドリル機を前記レンズに関して固定された位置に配置するステップと、
前記ドリル機に取り付けられたドリルミルを回転するステップと、
前記レンズ上でドリル作業を行なうために、前記レンズを前記ドリルミルに接触させるために、前記ドリル機に対する前記レンズの位置を調節するステップと、
第一の位置から第二の位置へ前記レンズに第一経路を切削するステップと、
前記第二の位置において、前記ドリルミルを前記レンズから引っ込めるステップと、
前記レンズに第二経路の切削をするため、前記第一の位置で前記レンズを前記ドリルミルに再び接触させるステップとを有することを特徴とするレンズにドリルで穴、溝又は刻みを入れる方法。
【請求項15】
前記第一経路の切削作業のステップの前に前記レンズをあらかじめ定められた量回転させることにより、軸ギアボックスの緩みを償うステップを更に有することを特徴とする請求項14記載のレンズにドリルで穴、溝又は刻みを入れる方法。
【請求項16】
前記第二経路の切削作業のステップの前に前記レンズをあらかじめ定められた量回転させることにより、軸ギアボックスの緩みを償うステップを更に有することを特徴とする請求項14記載のレンズにドリルで穴、溝又は刻みを入れる方法。
【請求項17】
前記第一経路の切削を行なう前記ステップが、前記第一経路の切削の間、軸ギアボックスの緩みを軽減させるために、前記レンズを上方向へ動かすことを含むことを特徴とする請求項14記載のレンズにドリルで穴、溝又は刻みを入れる方法。
【請求項18】
前記第二経路の切削を行なう前記ステップが、前記第二経路の切削の間、軸ギアボックスの緩みを軽減させるために、前記レンズを上方向へ動かすことを含むことを特徴とする請求項14記載のレンズにドリルで穴、溝又は刻みを入れる方法。
【請求項19】
前記ドリル機の前記旋回式支持アームを前記レンズから離れている引っ込んだ位置から、ドリル作業の行なわれる作業領域内の伸ばした位置まで旋回させるステップを更に有することを特徴とする請求項14記載のレンズにドリルで穴、溝又は刻みを入れる方法。
【請求項20】
第三者のソフトウェアパッケージ、内蔵データベース及び入力操作マニュアルの中の1つからの作業情報を得るステップを更に有し、前記ドリル機が前記レンズに所望のドリル穴、溝又は刻みを生成するのに前記作業情報を用いることを特徴とする請求項14記載のレンズにドリルで穴、溝又は刻みを入れる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図9e】
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【図9f】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−512266(P2008−512266A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531315(P2007−531315)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/031914
【国際公開番号】WO2006/029229
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(506339800)ナショナル オプトロニクス インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】