説明

レンズシステム

【課題】外部機器からのレンズ装置に対する設定変更を正確にかつ効率的に行う。
【解決手段】レンズ本体20は外部機器とを無線接続で繋ぐ無線通信手段35を有し、外部機器であるコンピュータ40の無線通信手段41を介して、ズームレンズ21の制御パラメータの設定変更を可能にする。更に、レンズ本体20はそれぞれ固有識別情報を有し、この固有識別情報を用いて1台のコンピュータ40と複数のレンズ本体20との無線接続を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の指令装置からズームレンズ、フォーカスレンズ、絞り、エクステンダレンズ、光学防振ユニットを駆動、制御し、レンズ装置をテレビカメラに対して着脱可能なレンズシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、テレビレンズにおけるズームレンズ、フォーカスレンズ等の可動光学部材の制御システムが示されている。特許文献1では、レンズ本体に設けた表示手段と十字スイッチによる指示手段とから、レンズ本体に対して各種の設定が行えるレンズ装置が開示されている。
【0003】
レンズ本体に対する各種の設定は、ズームレンズ、フォーカスレンズ、絞り等の可動光学部材の制御駆動特性があり、具体的には最高速度の設定、駆動応答性の設定、駆動分解能の設定、指示入力に対する不感帯の設定、指示入力の変換設定などである。この他に、レンズ本体に付加されたスイッチに対する機能割付けなどができる。また、2台のレンズ装置間を専用ケーブルで接続し、一方から他方に設定内容をコピー可能なレンズ装置が開示されている。
【0004】
また特許文献2では、コンピュータ等の外部機器を専用ケーブルで接続し、可動光学部材の制御駆動特性を変更可能とするレンズ装置を示している。
【0005】
これらの設定変更は、スポーツ中継、ドラマ撮影、ニュース番組等の撮影状況に応じて変更したり、カメラマンの好みに応じて変更することで、操作性、運用性の良いレンズ装置とされている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−297547号公報
【特許文献2】特開2000−115623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術では、レンズ装置の駆動制御やスイッチ機能に対する設定を行う際には、人手によりレンズ装置ごとに設定する必要がある。特に、1つのスタジオ内に複数台のレンズ装置がある場合に、撮影状況や担当するカメラマンの変更に対応して、スタジオ内のレンズ装置の全てについて、順次に設定を変えてゆく必要があり、時間と労力が必要である。また、人手により1台ずつ行うために、設定間違いが発生する危険があり、更に専用ケーブルを必要とすることがあって、準備に手間取ることがある。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、複数台のレンズ装置に対する設定変更を、撮影状況や担当する操作者の変更に対応して、各レンズ装置毎の設定を無線通信により瞬時に間違いがなく効率的に行い得るレンズシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るレンズシステムの技術的特徴は、表示手段とスイッチによる設定指示手段と、該設定指示手段による設定指示に従い可動光学部材の駆動制御パラメータの設定変更を行うレンズ装置において、外部機器とを無線で接続する無線通信手段を有し、前記外部機器から前記無線通信手段を介して前記可動光学部材の駆動制御パラメータの設定を変更することにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るレンズシステムによれば、無線通信手段によりレンズ装置と外部機器に接続が専用ケーブルを用いることなく接続でき、外部機器を操作することでレンズ装置の設定値変更が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は実施例のブロック回路構成図を示し、概略的にカメラ本体10と、このカメラ本体10に着脱自在のレンズ装置であるレンズ本体20と、外部機器であるコンピュータ40とから成っている。
【0013】
カメラ本体10にはCCDから成る撮像素子11が設けられ、レンズ本体20の同一の光軸上には、可動光学部材としてズームレンズ21及び必要に応じて図示しないフォーカスレンズ、絞り、エクステンダレンズ、光学防振レンズが設けられている。なお本実施例では、主としてズームレンズ21について説明するが、フォーカスレンズ、絞り、エクステンダレンズ、光学防振レンズであっても、或いはこれらの可動光学部材を併用した場合であっても、その作用効果はほぼ同様である。
【0014】
ズームレンズ21には、このズームレンズ21を駆動するズームモータ22、位置を検出するポテンショメータ23が設けられている。ポテンショメータ23の出力は増幅器24、A/D変換器25を経てCPU26に接続され、CPU26の出力はD/A変換器27、増幅器28を経てズームモータ22に接続されている。
【0015】
CPU26には更に、操作者のズームレンズ21を駆動するために操作するズームリングの操作量を検出するポテンショメータ29の出力が、増幅器30、A/D変換器31を介して接続されている。更に、CPU26に設定手段32が内蔵され、CPU26には液晶等の表示手段33、複数のスイッチによる設定指示手段34、無線通信手段35、レンズ固有識別情報を記憶した記憶回路36が接続されている。
【0016】
なお、コンピュータ40は一般的なものであり、本体とキーボード、マウス、ディスプレイ等から構成され、コンピュータ40にはレンズ本体20の無線通信手段35と無線通信を可能とする無線通信手段41が接続されている。
【0017】
レンズ本体20のD/A変換器27は、CPU26からのデジタル値であるズームレンズ駆動信号aをアナログ値に変換し、増幅器28はこのアナログ駆動信号aを電力増幅しズームモータ22を駆動しズームレンズ21を作動させる。
【0018】
また、ポテンショメータ23の信号は増幅器24により増幅し、A/D変換器25はアナログ電圧をデジタル値に変換し、CPU26はズームレンズ位置信号bとして読み込む。なお、位置検出手段としてポテンショメータ23の代りにエンコーダが使用されることもある。
【0019】
ポテンショメータ29はカメラマン等の操作者がズームリングを用いて、ズームリングの操作量に応じた信号を出力し、増幅器30はこの信号を増幅する。A/D変換器31はこのズームレンズ指令信号cをデジタル化してCPU26に出力する。
【0020】
表示手段33と設定指示手段34とを使用して、レンズ本体20単体でズームレンズ21の駆動制御パラメータの設定変更を行う。また、レンズ本体20の無線通信手段35は、コンピュータ40に接続された無線通信手段41との間で、ズームレンズ21の各種設定値変更を行うための無線通信を行う。無線化の方式として、無線LAN、Bluetooth、Zigbee等の規格化された通信方式を利用することができる。
【0021】
上述の構成において、操作者はズームリングを動かすと、ズームリングに連結されたポテンショメータ29は増幅器30、A/D変換器31を通してデジタル化されたズームレンズ指令信号cをCPU26に送信する。CPU26は後述する処理フローチャート図に従って、ズームレンズ駆動信号aを出力することにより、ズームモータ22が駆動されズームレンズ21が可動する。
【0022】
CPU26はレンズ本体20の制御を行い、設定手段32はコンピュータ40又は表示手段33と設定指示手段34とによるズームレンズ21の駆動制御パラメータ等の設定指示に対して、実際に設定変更を実行する。
【0023】
図1の実施例においては、1台のレンズ本体20と、1台のコンピュータ40との間を無線通信接続することを示したが、レンズ本体20は複数台あってもよい。複数台のレンズ本体20の場合には、コンピュータ40は個々のレンズが持つ個別の固有識別情報を基に、個々のレンズ本体20を識別、管理し、個々のレンズ本体20に対する各種設定値の読み出しや書き換えの指示を実行する。固有識別情報としては、記憶回路36に記憶した製品名、シリアルナンバ、バージョンナンバを使用したり、個々のレンズ本体20に対して任意に設定可能とすることができる。
【0024】
図2はコンピュータ40での処理フローチャート図である。ステップS100は処理のスタートであり、ステップS101に移行し、1つのスタジオ内など、無線通信が可能なエリアにある全レンズ本体20を探索し、探したレンズ本体20のレンズ固有識別情報を使用して管理する。
【0025】
コンピュータ40から特定のレンズ本体20を指定する際に、認識情報(ID)を送出するが、認識情報としてレンズ固有識別情報を使用する。ステップS101の対象レンズ探索ルーチンでは、コンピュータ40は先ず不特定多数のレンズ本体20に対し探索コマンドを送出する。レンズ本体20側は探索コマンドを受信すると、それぞれの記憶回路36に記憶したレンズ固有識別情報を送出する。
【0026】
次に、コンピュータ40はそれぞれのレンズ固有識別情報を受信すると、受信したレンズ本体20毎に通信確立をしたことを通知するため、認識情報(ID)と共に、通信確立コマンドを返信する。
【0027】
これにより、対象レンズ探索ルーチンでの処理が完了し、ステップS102に移行する。ステップS102は対象となるレンズ本体20に対して、順次に各設定値の読み出しを行う設定値読み出しルーチンである。この処理では、先ずコンピュータ40からステップS101で通信確立したレンズ本体20に対して認識情報(ID)と共に、設定読み出しコマンドを送出する。レンズ本体20は受信した認識情報(ID)が自己のものと同じ場合に、指示された設定値を送出する。
【0028】
その後に、コンピュータ40はレンズ本体20から返送される設定値の読み込みを行う。コンピュータ40はこの一連の処理を通信確立した全てのレンズ本体20に対して行い、ステップS102の対象レンズ設定値読み出しルーチンを終了し、ステップS103に移行する。
【0029】
ステップS103はステップS102で読み出した各レンズ本体20の設定値を表示手段33に一覧表示する設定値表示ルーチンであり、表示完了後にステップS104に移行する。ステップS104では、コンピュータ40のキーボードやマウスを使用して、表示手段33上の表示内容に対してどのような処理を行うかを選択する。表示された設定内容を変更する入力があればステップS105に移行し、表示された設定内容を個々のレンズ本体20に書き戻す場合はステップS106に移行し、処理を終了する場合はステップS107に移行する。
【0030】
ステップS105は設定値変更ルーチンであり、表示されている各設定値をコンピュータ40により任意の値に変更処理を行い、変更が完了するとステップS104に戻る。
【0031】
また、ステップS106は設定値書き戻しルーチンで、表示又は選択された各設定値をレンズ本体20に書き戻す処理を行う。この設定値書き戻しルーチンでは、先ずレンズ本体20に書き戻す対象のレンズ本体20と設定値項目とを選択し、その後に対象レンズ本体20の識別情報(ID)を送出した後に、書き込みコマンドを送出し、続いて各設定値を順次に送出する。レンズ本体20側では、自己の識別情報(ID)と書き込みコマンドを受信すると、各設定値を順次に設定してゆく。書き込み対象のレンズ本体20が複数ある場合には、この一連の処理をレンズ本体20毎に繰り返す。設定値書き戻しルーチンの処理が完了するとステップS104に戻り、ステップS107では終了のための処理を行い、ステップS108に移行し終了する。
【0032】
図3はレンズ本体20側での処理フローチャート図である。ステップS200は処理のスタートであり、ステップS201に移行する。ステップS201では、コンピュータ40から無線通信手段35、41を経由して受信されるID、コマンド、データの読み込みを行い、ステップS202に移行する。
【0033】
ステップS202では、受信IDが自己の固定識別情報と等しいか、或いは全てのレンズ本体20を指定する全体IDであるか判断し、全てのレンズ本体20を指定する場合はステップS203に移行し、そうでない場合はステップS201に戻る。ステップS203では、受信したコマンドを判別し、各処理ルーチンに移行する。読み出しコマンドの場合はステップS204に、書き込みコマンドの場合はステップS205に、探索コマンドの場合はステップS206に移行する。
【0034】
ステップS204は設定値読み出しルーチンであり、指定された設定項目の設定値を読み出してコンピュータ40に送出し、完了後にステップS201に戻る。また、ステップS205は設定値書き込みルーチンであり、指定された設定項目に対し、指定された設定値をレンズ本体20の設定手段32により書き込み及び設定を行う。ステップS205の設定値書き込みルーチンの完了後にステップS201に戻る。また、ステップS206は探索コマンド応答ルーチンであり、コンピュータ40との接続確立のため、固有識別情報等をコンピュータ40に送信する。ステップS206の探索コマンド応答ルーチンの完了後に、ステップS201に戻る。
【0035】
表1はレンズ本体20の記憶手段に記憶されている各設定値の構成例を示す。設定項目を大きく分けると、ズームレンズ関連、フォーカスレンズ関連、絞り関連とがある。この他に図示は省略しているが、スイッチ機能の割当てを変えるスイッチ関連や、その他の設定を行うための区分けがある。
【0036】
ズームレンズ関連の設定項目はパラメータP1〜P7まであり、パラメータP1:速度、P2:応答性、P3:再現性、P4:フィルタ、P5:ゲイン、P6:入力特性、P7:不感帯に割当てられている。
【0037】
B0 B1 B2
実行エリア 記憶エリア 記憶エリア
ズーム関連 P1 速度 速度 速度
P2 応答性 応答性 応答性
P3 再現性 再現性 再現性
P4 フィルタ フィルタ フィルタ
P5 ゲイン ゲイン ゲイン
P6 入力特性 入力特性 入力特性
P7 不感帯 不感帯 不感帯

フォーカス関連 P8 速度 速度 速度
P9 応答性 応答性 応答性
P10 再現性 再現性 再現性
P11 フィルタ フィルタ フィルタ
P12 ゲイン ゲイン ゲイン
P13 入力特性 入力特性 入力特性
P14 不感帯 不感帯 不感帯

絞り関連 P15 速度 速度 速度
P16 応答性 応答性 応答性
P17 再現性 再現性 再現性
【0038】
P1(速度):ズームレンズの望遠端から広角端、又は広角端から望遠端の最高移動時間を設定する項目。
P2(応答性):ステップ的な入力指令を与えた場合の応答性を設定する項目。
P3(再現性):指令値に対する停止精度を設定する項目。
P4(フィルタ):指示手段からの指令信号をフィルタリング処理により滑らかにする際に設定される項目。
P5(ゲイン):CPU26で演算処理してズームレンズ駆動信号aを作り出す際の乗算係数。
P6(入力特性):指示手段からの指令信号を関数変換等使用し、特有な指令信号に変換する際に設定される項目。
P7(不感帯):指示手段の不感帯幅を変更する際に設定される項目。
【0039】
この他にも、表1のP8〜P17のようにフォーカスレンズ、絞り等の光学可動部材の駆動制御に関する設定項目を設けることもできる。また、この他にエクステンダレンズや光学防振レンズに関する設定項目を設けることもできる。
【0040】
また、全設定項目を1つのブロックとして、複数のブロックを有している。表1の場合は3つのブロックB0〜B2まで記してある。そして、ブロックB0は実際にCPU26で可動光学部材の駆動制御に使用される実行エリアである。その他のブロックB1、B2は記憶エリアであり、撮影状況や操作者であるカメラマンの変化に応じて、ブロックB0に書き換えることで、全設定項目の設定値を瞬時に切換えることができる。
【0041】
また、図4は表1で示した各設定値の構成を持つレンズ本体20により、ズームレンズ駆動を行う場合のCPU26による処理フローチャート図である。ステップS300は処理のスタートであり、ステップS301に移行し、ズームレンズ指令信号cを読み込み、ステップS302に移行する。ステップS302では不感帯処理を行う。
【0042】
具体的には、ブロックB0、パラメータP7の不感帯設定値fを読み込み、ズームレンズ指令信号cの絶対値が不感帯設定値fよりも小さいときは、ズームレンズ指令信号cは0とする処理を行う。更に、ズームレンズ指令信号cの絶対値が不感帯設定値fよりも大きければズームレンズ指令信号cをa−fと変更する。次に、ステップS303に移行し入力特性の変更を行う。具体的にはブロックB0、パラメータP6の入力特性番号を読み込む。
【0043】
変換前の入力をX、変換後の出力をYとした場合に、入力特性番号が0の場合は変換を行わないとして、Y=Xの処理となる。また、入力特性番号が1のときはY=X2、入力特性番号が2のときはY=X3、入力特性番号が3のときはY=1/X、入力特性番号が4のときはY=1/X2というように、設定値に対応した変換式又はテーブルを使用して、入力特性の変更を行う。
【0044】
次に、ステップS304に移行しフィルタ処理を実行する。具体的には、ブロックB0、パラメータP4のフィルタ設定値を読み出し、このフィルタ設定値に対応したフィルタ定数を用いてデジタルフィルタ処理を行い、指令値の加工処理を行う。このように、ステップS301〜ステップS304により、ズームレンズ入力指令信号cに対する処理を行うことができる。
【0045】
次にステップS305で、ステップS304でのズームレンズ入力指令信号cと、ポテンショメータ23からのズームレンズ位置信号bとを読み込み、ズームレンズ駆動信号aを生成するための演算処理を行う。このためステップS305では、ブロックB0、パラメータP1の速度設定値、ブロックB0、パラメータP2の応答性の設定値、ブロックB0、パラメータP3の再現性の設定値、ブロックB0、パラメータP5のゲイン設定値を読み込む。そして、それぞれの設定値に対応した演算定数を使用して演算処理を行い、ズームレンズ駆動信号aを算出する。その後にステップS306に移行し、ズームレンズ駆動信号aを出力しステップS301に戻る。
【0046】
この図4のフローチャート図に従い、レンズ本体20は表1に示す各設定値を使用して、ズームレンズ21の駆動制御を行うことで、撮影状況やカメラマンの好みに応じた操作性、運用性を実現できるようになる。
【0047】
図1に示した構成と、図2〜図4に示した処理フローチャート図により、コンピュータ40とレンズ本体20間で行う各種設定値の読み出し、変更、書き込みにより専用ケーブルを必要とせず、無線通信で可能となる。更に、1つのスタジオ内にある複数のレンズ本体20を探索し、表示手段33上に一覧表示でき、レンズ本体20毎に必要な項目のみ設定値を変更し、一斉にかつ瞬時に全てのレンズ本体20に設定値を書き戻すことが可能となる。これにより、複数台のレンズ本体20に対する設定変更を正確にかつ、効率的に行うことができる。
【0048】
本実施例においては、コンピュータ40から複数台のレンズ本体20に対し、各種設定値の書き込みを行う際に、対象のレンズ本体20や設定項目に応じて、全レンズ本体20に対する一斉に書込むことができる。或いは、指定のレンズ本体20を指定して指定した設定項目を順次に書き換えることもできる。
【0049】
これにより、例えば1つのスタジオ内で同一の特性が要求される絞りに関連する項目については、全レンズ本体20に対して同一の設定値による書き換えの指示が行えるようになる。また、カメラマンごとに異なる特性を要求されるズームレンズとフォーカスレンズに関連する項目については、個々のレンズ本体20毎に設定値を書き換えてゆくことが可能となる。そして、一斉書き込み方式と順次書き換え方式とを上記の関連項目毎に使い分けることで、設定を短い時間で自在に行えることになる。
【0050】
また本実施例において、各レンズ本体20から各種設定値をコンピュータ40に読み込み、レンズ固有識別情報と共にコンピュータ40側の記憶手段に保管することで、1つのスタジオ内にレンズ設定値の一元管理が可能である。また、コンピュータ40上でのデータ変更はキーボードやマウスだけでなく、予め設定された設定ファイルを読み込んでも、インタネット経由で他のコンピュータから行っても同様の効果が得られる。
【0051】
なお、図1で示したコンピュータ40の代りに、図示しない第2のレンズ本体を使用することもできる。この第2のレンズ本体は図1のレンズ本体20と同一の構成であり、第2のレンズ本体の表示手段はコンピュータ40のディスプレイ、第2のレンズ本体の指示手段はコンピュータ40のキーボードに相当する。
【0052】
これにより、第2のレンズ本体と複数のレンズ本体20間とを無線通信手段で接続することが可能になる。更に、第2のレンズ本体の表示手段と指示手段を使用して、その他の複数のレンズ本体20が持っている設定値情報を表示、編集、書き戻し等の処理の他に、上述の実施例に記載したことが同様に実施できるようになる。
【0053】
この場合には、コンピュータ40などの特別な外部機器を必要とせず、スタジオ内にある複数のレンズ本体20同士を使用することで実施可能となり、実施例に示した効果に加えて、更に利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例のブロック回路構成図である。
【図2】コンピュータでの処理フローチャート図である。
【図3】レンズ本体での処理フローチャート図である。
【図4】ズームレンズ駆動の処理フローチャート図である。
【符号の説明】
【0055】
10 カメラ本体
11 撮像素子
20 レンズ本体
21 ズームレンズ
22 ズームモータ
23、29 ポテンショメータ
24、28、30 増幅器
25、31 A/D変換器
26 CPU
27 D/A変換器
32 設定指示手段
33 表示手段
34 設定指示手段
35、41 無線通信手段
36 記憶回路
40 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段とスイッチによる設定指示手段と、該設定指示手段による設定指示に従い可動光学部材の駆動制御パラメータの設定変更を行うレンズ装置において、外部機器とを無線で接続する無線通信手段を有し、前記外部機器から前記無線通信手段を介して前記可動光学部材の駆動制御パラメータの設定を変更することを特徴とするレンズシステム。
【請求項2】
前記レンズ装置は個別の固有識別情報を有し、該固有識別情報を基に1台の前記外部機器と複数の前記レンズ装置との間の無線通信を可能とすることを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項3】
前記外部機器は無線通信が可能なエリアにある全ての前記レンズ装置を探索し、該探索に基づいて前記外部機器は複数の前記レンズ装置との間の無線通信を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズシステム。
【請求項4】
前記外部機器と前記レンズ装置との間の無線通信を行う際に、前記レンズ装置から設定されている前記駆動制御パラメータの読み出しを行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載のレンズシステム。
【請求項5】
前記外部機器は記憶手段を有し、前記レンズ装置から読み込んだ前記駆動制御パラメータを前記記憶手段に前記レンズ装置の固有識別情報と共に記憶することを特徴とする請求項1〜4の何れか1つの請求項に記載のレンズシステム。
【請求項6】
前記外部機器は前記レンズ装置から読み込んだ前記駆動制御パラメータを変更する変更手段を有し、変更した前記駆動制御パラメータを前記レンズ装置に書き戻すことを特徴とする請求項1〜5の何れか1つの請求項に記載のレンズシステム。
【請求項7】
前記外部機器から前記レンズ装置に前記駆動制御パラメータを書き戻す際に、無線通信による前記全レンズ装置に対して一斉に書き換えを行う方式と、個々の前記レンズ装置に順次に書き換えを行う方式とを有することを特徴とする請求項6に記載のレンズシステム。
【請求項8】
前記可動光学部材はズームレンズ、フォーカスレンズ、絞り、エクステンダレンズ、光学防振レンズの少なくとも1つであり、前記外部機器はコンピュータであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1つの請求項に記載のレンズシステム。
【請求項9】
前記可動光学部材はズームレンズ、フォーカスレンズ、絞り、エクステンダレンズ、光学防振レンズの少なくとも1つであり、前記外部機器は表示手段とスイッチによる設定指示手段を備えた第2のレンズ装置であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1つの請求項に記載のレンズシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−310095(P2008−310095A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158336(P2007−158336)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】