説明

レンズ内蔵シャッタ装置およびこれを用いた撮像装置

【課題】所望する露出開口を有して小型化できるレンズ内蔵シャッタ装置およびこれを用いた撮像装置を提供する。
【解決手段】光軸110Aを中心として第2レンズ群600が収容される開口部と、セクタ部500が収容される空間部とが形成された基板300と、開口部に収容される第2レンズ群600と、コイル311と、ヨーク312と、からなる駆動手段310と、駆動手段310の駆動により回動するロータ320と、ロータ320の回動により開口部を開閉するセクタ部500と、光軸110A上に所定の露出開口径の露出開口部351Aを有する第1のシート部材351と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルカメラなどの撮像装置に備えられるレンズ内蔵シャッタ装置およびこれを用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラ付携帯電話やデジタルカメラなどの撮像装置に搭載されるカメラモジュールの中には、セクタ(シャッタの羽根)を開閉させることによって、CCDなどの受光素子に導入される光量を調整する機械式のシャッタ装置を備えたものがある。そして、上記のシャッタ装置においては、ヨークの途中に設けられたコイルに通電することよりヨークを励磁させ、これによって生じた磁力を利用してロータを回動させることによって、ロータと連結されたセクタを開閉させるアクチュエータが多く用いられている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
図23は、レンズおよびシャッタを一体化したシャッタ装置を示す側面図である。シャッタユニット1700、およびレンズユニット1900は、それぞれが別工程において組み立てられる。そして、シャッタユニット1700の面1710Aと、レンズユニット1900の面1910Bとが当接して図示のように組み立てられ、一体化される。1920はレンズである。このシャッタ装置の光軸C方向に沿った外形寸法(厚さ寸法)はW4となる。
【0004】
上記のシャッタユニット1700に設けられるシャッタは、2枚のシャッタ羽根(セクタ)を有し、このセクタは閉じた状態のとき、互いの厚みを有して重なり、光軸を中心とする開口部を閉塞する。これらセクタは、シャッタユニット1700のケースの一面に接しており、開閉動作のときにこの面を摺りながら移動(摺動)する。そして、シャッタユニット内部にセクタに接する所定形状の摺動案内部を設けることにより、セクタ移動時の摺動抵抗を軽減させる構成のものがある(たとえば、下記特許文献2参照。)。このほか、同様に摺動抵抗を低減させるとともに、2枚のセクタの隙間から開口部へ漏光を遮光する遮光壁を備えたもの(たとえば、下記特許文献3参照。)、セクタを収容する羽根室を構成する2つの地板の外周部から光軸に向けて進行してくる光を遮断する遮光壁を備えたもの(たとえば、下記特許文献4参照。)等がある。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−235125号公報
【特許文献2】特開平8−152667号公報
【特許文献3】特開2002−14387号公報
【特許文献4】特開2002−107793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来は、上述したように、レンズユニットとシャッタユニットとがそれぞれ独立したユニットとなっており、これらを組み立てて構成されるため、組み立て後は、上記厚さ寸法W4を有する大きさとなり、小型化できなかった。
【0007】
これを解消するために、レンズユニットとシャッタユニットとを一体化したレンズ枠に、レンズとシャッタとを組み込むことが考えられる。レンズは調芯が必要であるから、この一体化されたレンズ枠におけるレンズ収容部の収容径(光軸と直交する方向の径)は、レンズ径よりも若干大きく設けておく必要が生じる。これに伴い、レンズを挿入するためのレンズ枠の開口部は、その径が必然的に収容径に合わせて大きく形成しなければならない。これにより、レンズ枠の開口部側にセクタを配置するように構成した場合には、所望する露出開口径よりも開口部の径が大きくなる問題が生じる。このように、レンズユニットとシャッタユニットの一つのレンズ枠に一体化して大きさ(厚さ寸法W4)を小型化できたとしても、所望する露出開口径を得ることができない。
【0008】
また、セクタ部分の大きさ、すなわち、光軸C方向と直交する外形寸法(幅および長さ)の小型化が制限されていた。セクタを開閉させる駆動機構の一部を構成している上記ヨークは、このヨークの一端部と他端部との間にロータを収めることが可能な形状に形成されている。一般的には、コイルを設けることが可能な略U字状の形状となっている。このような略U字状のヨークの場合、光軸から離れた位置にヨークおよびコイルを配置するための十分なスペースを確保しなければならず、レンズ枠の幅および長さが大きくなり、シャッタ装置を容易に小型化することができなかった。
【0009】
特に、近年においては、カメラ付携帯電話やデジタルカメラなどの小型化に伴い、より小型なカメラモジュールが求められており、シャッタ装置の小型化が、カメラモジュール開発において要望されている。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、所望する露出開口を有して小型化できるレンズ内蔵シャッタ装置およびこれを用いた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるレンズ内蔵シャッタ装置は、光軸を中心としてレンズが収容される開口部と、セクタ部が収容される空間部とが形成された基板と、前記開口部に収容されるレンズと、コイルと、ヨークと、からなる駆動手段と、前記駆動手段の駆動により回動するロータと、前記ロータの回動により前記開口部を開閉するセクタ部と、前記光軸上に所定の露出開口径の露出開口部を有するシート部材と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、基板には、レンズが収容される開口部とセクタ部が収容される空間部とが形成されており、レンズ内蔵シャッタ装置の全体寸法を小型化できる。開口部の開口径は、レンズの調芯のために広くなるが、シート部材には露出開口部が形成されており、所定の露出開口径を得ることができる。
【0013】
また、請求項2の発明にかかるレンズ内蔵シャッタ装置は、請求項1に記載の発明において、前記シート部材は、前記空間部の前記基板と前記セクタ部との間に配置され、当該セクタ部に接することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、セクタ部を露出開口部を有するシート部材に近接して配置されることにより、光束が絞られた位置でセクタ部による遮光動作を行えるため、シャッタ秒時を短くすることができる。
【0015】
また、請求項3の発明にかかるレンズ内蔵シャッタ装置は、請求項1または2に記載の発明において、前記シート部材は、前記セクタ部と対向する面に、当該セクタと部分的に接触しない非摺動部を有することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、シート部材に設けた非摺動部により、セクタ部の開閉動作を円滑に行え、摺動抵抗をより軽減できる。
【0017】
また、請求項4の発明にかかるレンズ内蔵シャッタ装置は、請求項3に記載の発明において、前記シート部材に設けられる前記非摺動部は、前記セクタ部の開閉方向に沿った形状であることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、シート部材に設けた非摺動部の形状がセクタ部の開閉方向に沿った形状であるため、セクタ部の開閉動作を円滑に行え、摺動抵抗をより軽減できる。
【0019】
また、請求項5の発明にかかるレンズ内蔵シャッタ装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記セクタ部は、一対のセクタの開閉により前記露出開口部を開閉するものであり、前記シート部材は、一方のセクタに接し、前記露出開口部が形成された第1のシート部材と、前記第1のシート部材に重ねられるとともに、前記露出開口部および前記一方のセクタから離れた位置に配置され、他方のセクタに接する第2のシート部材と、からなることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、互いに重なり開閉する一対のセクタ間の段差を、2つのシート部材を重ねることにより埋めることができるため、セクタのそれぞれを安定して開閉できる。
【0021】
また、請求項6の発明にかかるレンズ内蔵シャッタ装置は、請求項5に記載の発明において、前記第2のシート部材の厚さは、前記一方のセクタの厚さ以上の厚さであることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、一方のセクタと同じ高さ位置に、第2のシート部材が面するので、第2のシート部材は、他方のセクタを安定して開閉できるようになる。同時にセクタとの開閉動作において重なり合うときに、互いが交差することがなくなり、摺動抵抗が軽減でき円滑に開閉できる。
【0023】
また、請求項7の発明にかかる撮像装置は、請求項1〜6のいずれか一つに記載のレンズ内蔵シャッタ装置を備えたことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、装置全体の小型化を達成しつつ、所定の露出開口径を有するレンズ内蔵シャッタ装置を簡単な構成で安価に得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、所望する露出開口を有して小型化できるレンズ内蔵シャッタ装置およびこれを用いた撮像装置を提供することができるという効果を奏する。さらには、セクタ部の開閉動作を円滑に行え、摺動抵抗が少なく、シャッタの高速動作が実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるレンズ内蔵シャッタ装置およびこれを用いた撮像装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
(実施の形態1)
(シャッタユニットの構成)
まず、実施の形態1について説明する。実施の形態1は、この発明にかかるシャッタ装置を用いた携帯電話の構成例である。まず、この発明にかかるレンズ内蔵シャッタ装置を備えたシャッタユニット112の構成について説明する。図1は、この発明にかかるシャッタユニット112の部品構成を示す説明図である。また、図2、図3および図4は、この発明にかかるシャッタユニット112の外観を示す斜視図である。
【0028】
図1は、シャッタユニット112の部品構成を示したものである。図1に示すように、レンズ枠300Cの内部には、光軸110A方向の物体側から順に第2レンズ群600(レンズ600A、レンズスペーサ600B、レンズ600C)が配設され、レンズ600Cの周囲に接着剤を塗布することで、接着固定される。
【0029】
また、図1に示されるように、シャッタユニット112の組み立て時には、まず、光軸110Aの物体側から駆動手段310がレンズ枠300Cに挿嵌され、当該レンズ枠300C、および軸受部300Bに備えられた位置決め部300Sによって位置決め固定され、係止ツメ300D(図2参照)によって係止される。
【0030】
そして、光軸110Aの像面側から、第2レンズ群600がレンズ枠300Cの内部に挿嵌される。さらに、光軸110Aの像面側から、ロータ320がロータ収容部300Jに挿入され、軸受部300Bによって軸受けされる。
【0031】
さらに、第1のシート部材351と、第2のシート部材352とは、互いに重ねた状態で空間部300G(図4参照)に配置される。これら第1のシート部材351と、第2のシート部材352の上にセクタ部500がロータ320と係合するように空間部300G(図4参照)に配置される。これら第1、第2のシート部材351、352と、セクタ部500の位置関係の詳細は後述する。最後に、裏板400が、空間部300Gを閉塞するように、螺子401によって螺着されることによって、ロータ320およびセクタ部500が支持される。
【0032】
図2は、シャッタユニット112の光軸110A方向の物体側を示したものである。図2に示すように、シャッタユニット112は、基板300を備え、当該基板300の光軸110A方向の物体側に形成された面300Aにおいては、ヨーク312と、ヨーク312の途中に設けられ、通電されることによってヨーク312を励磁するコイル311とからなる駆動手段310が配設されている。
【0033】
また、基板300における、ヨーク312の一端部と他端部との間には、基板300の面300Aから、光軸110A方向の反対側(像面側)の面300F(図3参照)へ向かって貫通するようにロータ320が収容されるロータ収容部300J(図1参照)が形成されている。そして、ロータ収容部300Jに収容されたロータ320は、基板300から突出するように形成された軸受部300Bによって軸320Aが軸受けされ、光軸110A方向への移動が係止される。
【0034】
ここで軸受部300Bは、その柱部において、ヨーク312の一端部と他端部との間に挟まれるように、ヨーク312の一端部と他端部とを位置決め固定し、ヨーク312の一端部および他端部と、ロータ320の側面部との間隔を所定の間隔に保持する所定の幅を有する位置決め部300S(図1参照)を備える。
【0035】
また、基板300には、円形かつ光軸110Aと同軸の開口部300Eが形成された円筒状のレンズ枠(枠部)300Cが、基板300の面300Aから突出するように形成されている。このレンズ枠300Cに形成された開口部300Eの内部には、第2レンズ群600(図1参照)が配設される。
【0036】
ここで、ヨーク312は、図2に示すように、円環状に形成されたレンズ枠300Cのレンズ枠300Cの外周形状に対応する係合可能な形状に形成されている。また、ヨーク312は、レンズ枠300Cの外周部に沿った略円環状(略環状)の円環部312Aと、コイル311が設けられる直線状の直線部312Sとからなる。また、ヨーク312は、レンズ枠300Cの外周面を取り囲むように基板300上に配置される。そして、ヨーク312は、レンズ枠300Cの外周面に嵌合して位置決め固定される。
【0037】
また、ヨーク312の円環部312Aは、その内周面においてレンズ枠300Cの外周面に当接しつつ軽圧入可能な内径寸法を有する。これにより、レンズ枠300Cに対してヨーク312を軽圧入することで、コイル311およびヨーク312を容易かつ確実に位置決め固定することが可能となっている。ここで、ヨーク312は、略円環状に限らず、たとえばレンズ枠300Cが円環状に形成されていない場合であっても、レンズ枠300Cを取り囲むようにレンズ枠300Cの外周部に沿った形状であって、かつレンズ枠300Cの外周形状に対応する係合可能な形状であればよい。
【0038】
なお、本実施の形態におけるシャッタユニット112は、図2に示すように、基板300上の複数箇所に形成された係止ツメ(嵌合部)300Dによって、レンズ枠300Cの外周面に嵌合して位置決め固定されたヨーク312を係止する構成を用いている。これにより、コイル311およびヨーク312をより容易かつ確実に位置決め固定することが可能となっているだけでなく、コイル311およびヨーク312の容易な着脱を可能としている。
【0039】
また、図3は、シャッタユニット112の光軸110A方向の像面側を示したものである。図3に示すように、基板300の面300Fには、レンズ枠300Cに形成された開口部300E(図2参照)とつながる円形かつ光軸110Aと同軸の開口部300Iが形成されている。
【0040】
また、基板300の面300Fにおいては、セクタ部500が収容される凹状の空間部300G(図4参照)が形成されており、当該空間部300Gは、板状の部材からなる裏板400によって閉塞される。この裏板400は、螺子401によって、基板300に螺着される。また、裏板400にはロータ320に形成された軸320Aを軸支する開口部400Aが形成されている。
【0041】
また、図4は、裏板400を外した状態のシャッタユニット112の光軸110A方向の像面側を示したものである。図4に示すように、基板300の面300Fにおいては、空間部300Gが形成されている。そして、この空間部300Gには、基板300の面300A(図2参照)から面300Fに向かって貫設されたロータ320と係合し、当該ロータ320の回動に伴って開閉するセクタA501とセクタB502とからなるセクタ部500が配設されている。
【0042】
このうち、セクタA501は、当該セクタA501に形成された開口部501Aを貫通するロータ320に形成された軸320Aによって軸支される。また、セクタB502は、当該セクタB502に形成された開口部502Aを貫通する面300Fに形成された突起部300Hによって軸支される。またセクタA501には、図5を用いて説明する突起部320Eが貫通する長穴状の開口部501Bが形成されている。また、セクタB502には、同じく突起部320Eが貫通する長穴状の開口部502Bが形成されている。
【0043】
(駆動手段310の構成)
つぎに、駆動手段310の構成について説明する。図5は、駆動手段310およびロータ320の外観を示す斜視図である。
【0044】
図5において、コイル311は、ボビン311Aと、銅線311Bとによって構成されている。ボビン311Aは、ポリカーボネートやフェライトなどの材質からなる筒状である。また、ボビン311Aには、銅線311Bが多重に巻きつけられる。そして、ボビン311Aの内部空間には、ヨーク312が貫入される。また、ヨーク312は、コイル311が通電されることによって励磁される端部312Bと端部312Cとを備える。
【0045】
一方、ロータ320には、N極に着磁された永久磁石320BとS極に着磁された永久磁石320Cとが軸320Aの外周部に固着されたことによって、2極に着磁された外周面が形成されている。そして、ロータ320において、2極に着磁された外周面を有する部分は、ヨーク312の端部312Bとヨークの端部312Cとの間の空間312D内において回動自在となるように、空間312Dよりも所定量小さい外径を有する。
【0046】
また、ロータ320には、軸320Aとともに回動するアーム320Dが形成されている。そして、アーム320Dの先端付近には、ロータ320がシャッタユニット112に組み込まれたときに、セクタA501およびセクタB502に形成された開口部501Bおよび開口部502Bを貫通する突起部320Eが形成されている。
【0047】
(シャッタユニット112の動作)
(セクタ部500が全閉状態のとき)
つぎに、上述した構成によるシャッタユニット112の動作について、図6〜図11を用いて説明する。まず、たとえば撮影待機中など、セクタ部500が全閉状態のときのロータ320およびセクタ部500の状態について説明する。
【0048】
図6は、セクタ部500が全閉状態のときのロータ320の状態の概要を示す説明図である。図6に示すように、セクタ部500が全閉状態のときにおいては、コイル311に通電されておらず、ヨーク312の端部312Bおよび端部312Cが励磁されている状態ではないため、ロータ320は所定の位置に停止した状態のままである。
【0049】
このように、ロータ320が所定の位置に停止している状態から、コイル311に通電されることによって、ヨーク312の端部312BがS極に励磁され、ヨーク312の端部312CがN極に励磁される。
【0050】
これにより、ロータ320に設けられN極に着磁された永久磁石320Bにおいて、S極に励磁されたヨーク312の端部312B方向(図6に示す方向B)に向かって磁力(吸引力)が生じる。同じくロータ320に設けられS極に着磁された永久磁石320Cにおいて、N極に励磁されたヨーク312の端部312C方向(図6に示す方向A)に向かって磁力(吸引力)が生じる。
【0051】
そして、永久磁石320Bおよび永久磁石320Cにおいて生じた所定方向への磁力によって、ロータ320は、軸320Aを軸に時計回りに回動を始める。
【0052】
また、図7は、セクタ部500が全閉状態のときのセクタ部500の状態の概要を示す説明図である。図7に示すように、セクタ部500の全閉状態においては、セクタA501およびセクタB502によって開口部300Iが閉塞される。また、セクタ部500は、ロータ320の回動と連動して開閉するため、図6に示したようにロータ320が停止した状態を維持している限り、セクタ部500は全閉状態を維持する。このように開口部300Iが閉塞された状態においては、当該開口部300I内部を通過した後にCCD114(図15参照)に向かう被写体の反射光は、開口部300Iを閉塞するセクタ部500によって遮断される。
【0053】
このように、セクタ部500が全閉状態のときのセクタ部500の状態から、図6を用いて説明したように、ロータ320が軸320Aを軸に時計回りに回動を始めることによって、ロータ320に形成された突起部320Eは、セクタ部500を開く方向に向かって回動を始める。
【0054】
これにより、セクタA501は、突起部320Eによって付勢され、ロータ320の軸320Aを軸に、開く方向に向かって回動を始める。同じくセクタB502も、突起部320Eによって付勢され、基板300に形成された突起部300Hを軸に、開く方向に向かって回動を始める。そして、セクタA501およびセクタB502が共に開く方向に向かって回動することによって、開口部300Iは徐々に開放される。
【0055】
(セクタ部500が開き始めたとき)
つぎに、たとえばユーザによってシャッタユニット112が備えられた携帯電話100(図20および図21参照)のシャッタボタンが押下された直後など、セクタ部500が開き始めたときのロータ320およびセクタ部500の状態について説明する。
【0056】
図8は、セクタ部500が開き始めたときのロータ320の状態の概要を示す説明図である。図8において、ロータ320は、図6に示したように、所定の位置に停止している状態から、コイル311に通電されたことにより、永久磁石320Bおよび永久磁石320Cにおいて生じた所定方向への磁力によって、軸320Aを軸に時計回りにわずかに回動した状態となっている。
【0057】
また、図9は、セクタ部500が開き始めたときのセクタ部500の状態の概要を示す説明図である。図8において、セクタ部500は、図7に示したように、開口部300Iを閉塞する状態から、ロータ320に形成された突起部320Eが、セクタ部500を開く方向に向かって回動を始めたことに伴って、セクタA501およびセクタB502が共に開く方向に向かってわずかに回動した状態となっている。これにより、開口部300Iはわずかに開放された状態となっている。
【0058】
(セクタ部500が全開状態のとき)
つぎに、セクタ部500が全開状態のときのロータ320およびセクタ部500の状態
について説明する。
【0059】
図10は、セクタ部500が全開状態のときのロータ320の状態の概要を示す説明図である。図10において、ロータ320は、図8に示したように、わずかに回動した状態から、さらに軸320Aを軸に時計回りに回動し、所定の停止位置で停止した状態となっている。
【0060】
また、図11は、セクタ部500が全開状態のときのセクタ部500の状態の概要を示す説明図である。図11において、セクタ部500は、図9に示したように、わずかに回動した状態から、さらにセクタA501およびセクタB502が共に開く方向に向かって回動し、所定の停止位置で停止した状態となっている。これにより、セクタ部500は全開状態となっている。また、開口部300Iは全開放された状態となっている。
【0061】
(シャッタユニット112の外形寸法)
つぎに、上述した構成によるシャッタユニット112の外形寸法について説明する。図12はシャッタユニット112の光軸110A方向の外形寸法(厚さ寸法)を示す説明図である。また、図13は、シャッタユニット112の光軸110Aと直交する方向の外形寸法(横幅寸法)を示す説明図である。
【0062】
図12に示すシャッタユニット112の光軸110A方向の外形寸法(厚さ寸法)W1は、図23を用いて説明した従来技術によるシャッタ装置の厚さ寸法W4よりも小さい外形寸法となっている。このように、シャッタユニット112は、一つの部品からなる基板300に対して、他のすべての部品が組み込まれる構成としたことによって、部品数を減らすことができ、シャッタユニット112の組み立て・分解を容易に行わせることができる。特に、基板300とレンズ枠300Cと一体形成としたことによって、シャッタユニット112の小型化を実現している。
【0063】
また、図13に示すシャッタユニット112の光軸110Aと直交する方向の外形寸法(横幅寸法)W2は、従来技術によるシャッタユニットの横幅寸法よりも小さい外形寸法となっている。このように、シャッタユニット112は、略円環状のヨーク312を用いたことによって、コイル311をレンズ枠300Cと近接する位置、すなわち可能な限り光軸110Aに近い位置に配設することができ、この結果、シャッタユニット112の小型化を実現している。
【0064】
(第1、第2のシート部材の配置について)
図14は、第1、第2のシート部材の配置を説明する側断面図、図15は、第1のシート部材の平面図、図16は、第2のシート部材の平面図である。これらの図を用いて第1のシート部材351と、第2のシート部材352の配置状態を説明する。
【0065】
図14に示すように、空間部300Gを構成する基板300の一面(底面)300K上には、この底面300Kのほぼ全域を覆うように、第1のシート部材351が配置されている。図15に示すように、この第1のシート部材351は、中央に所定径の露出開口部351Aが開口形成されている。この露出開口部351Aは、予め定められた所望の開口径L1を有し、光軸110Aと同軸に開口されている。露出開口部351Aの開口径L1は、レンズ枠300C内部において第2レンズ群600が挿嵌される開口部300Iの内径L2に比して小さく形成されている。
【0066】
ここで、上述したように、第2レンズ群600は調芯が必要なため、第2レンズ群600が配置される開口部300Iの内径L2が露出開口部351Aの開口径L1よりも大きく形成されている。このままでは、露出開口部351Aの開口径が所望するものとならないため、シャッタ羽根(セクタA501およびB502が)に隣接して第1のシート部材351に露出開口部351Aの機能を持たせている。また、露出開口部351Aの内周面(厚さ)による光の反射の問題を抑えるために、露出開口部351Aを有する第1シート部材351の厚さは、薄圧に形成されている。
【0067】
図15に示すように、第1のシート部材351には、複数の開口部が形成されている。開口部351Bは、基板300から突出する軸320Aに係合し、開口部351Cは、突起部300Hに係合し、開口部351Dは、基板300から突出するピン300M(図17参照)に係合し、これらによって、第1のシート部材351は、基板300内部に位置決めされる。所定長さを有する円弧状の開口部351Eは、セクタA501およびセクタB502の開閉時に移動する突起部320Eの移動軌跡に沿った形に形成され、突起部320Eの移動を妨げない。
【0068】
第1のシート部材351は、セクタA501に面で接触する。このため、第1のシート部材351には、セクタA501の開閉時の移動範囲において、セクタA501と触れない非摺動部351J、351Kを有している。この非摺動部351J、351Kは、セクタA501の作動方向に沿った形状に第1のシート部材351を開口して形成されている。すなわち、非摺動部351J、351Kには、セクタA501の開閉時の中心となる軸320Aを中心とした円弧部351Ja、351Jbと、円弧部351Ka、351Kbを有しており、セクタA501との間の摺動抵抗を低減できる。
【0069】
第2のシート部材352は、第1のシート部材351のほぼ半分の大きさを有している。図15の点線部分には、第1シート部材351に重ねられる第2シート部材352の配置位置を示した。このように、第2のシート部材352は、第1のシート部材351の露出開口部351Aから離れた位置にて第1のシート部材351に重ねて設けられる。図16に示すように、第2のシート部材352は、第1のシート部材351の露出開口部351Aの形状に沿って所定距離離れた円弧部352Aを有している。すなわち、第2のシート部材352は、セクタA501の開閉時の移動範囲から外れた位置であり、セクタB502の開閉時の移動範囲に設けられている。
【0070】
第2のシート部材352についても薄厚に形成されているが、この第2のシート部材352の厚さが第1のシート部材351の露出開口部351A部分の厚さに関与することがなく、上記露出開口部351Aの厚さによる光の反射を増やすことがない。この第2のシート部材352は、セクタB502の面と接触し、セクタA501とは接触しない。そして、この第2のシート部材352の厚さは、セクタA501の厚さ以上に設定してある。これにより、セクタBの移動を安定させることができるとともに、光軸方向においてセクタB502の開閉時の移動位置は、セクタA501の開閉時の移動位置と交わることがなく、いずれも円滑に移動可能である。
【0071】
また、第2のシート部材352は、セクタB502に面で接触する。このため、第2のシート部材352には、セクタB502の開閉時の移動範囲において、セクタB502と触れない非摺動部352J、352K、352Lを有している。この非摺動部352J、352K、352Lは、セクタB502の作動方向に沿った形状に第2のシート部材352を開口して形成されている。すなわち、非摺動部352J、352K、352Lには、セクタB502の開閉時の中心となる軸300Hを中心とした円弧部352Ja、352Jbと、円弧部352Ka、352Kbと、円弧部352La、352Lbを有しており、セクタB502との間の摺動抵抗を低減できる。
【0072】
なお、第1のシート部材351の非摺動部351J、351Kと、第2のシート部材の非摺動部352J、352K、352Lは、これら第1、第2のシート部材351、352を貫通した開口により形成したが、これに限らない。非摺動部351J、351Kは、セクタA501と、非摺動部352J、352K、352Lは、セクタB502と、それぞれ部分的に接触するよう、接触する面積を少なくできる形状であればよく、たとえば、開口ではなく、セクタA501、セクタB502と対向する面に、このセクタA501、セクタB502と接触しない段差により形成することもできる。
【0073】
ところで、第1のシート部材351と、第2のシート部材352は、それぞれ接するセクタA501、セクタB502と同じ材質(たとえば、基材がポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムで、表面が黒色に潤滑処理されたもの)で形成することができる。これにより、摺動抵抗を低減させることができる。
【0074】
図17は、この発明にかかるシャッタユニットの斜視図である。図中点線で示すセクタA501およびセクタB502が開いた状態を示している。図示のように、基板300の空間部300Gには、第1のシート部材351、第2のシート部材352が重ねて設けられている。第1のシート部材351の露出開口部351Aは、基板300の開口部300Iより小径とされて、セクタA501およびセクタB502に最も近接した位置で開口させることができる。一般的に、露出開口部351Aの位置が最も光束が絞られるため、露出開口部351Aから離れた位置にセクタ部500を配置すると、遮光動作するためのセクタ部500の開閉作動範囲が長くなり、シャッタ秒時が長くなるが、上記構成によれば、この発明によれば、セクタ部を露出開口部を有するシート部材に近接して配置されることにより、光束が絞られた位置でセクタ部による遮光動作を行えるため、シャッタ秒時を短くすることができる。
【0075】
そして、第2のシート部材352のうち、第1のシート部材351の露出開口部351Aに最も近い部分は、露出開口部351Aから所定距離離れた円弧部352Aとして形成されているため、第1のシート部材351の露出開口部351Aにより定めた所定の開口径と、露出開口部351A部分の厚さをできるだけ薄い一定な厚さにでき、この露出開口部351Aの厚さによる光の反射をできるだけ低減できる。また、重ねて設けられ開閉するセクタA、B間の段差に対応して、シート部材を2枚重ねて用いてこの段差を埋める形であるため、一枚のシート部材に段差を付けて配置するより簡単かつ安価に構成できる。
【0076】
(セクタ500の移動時の位置規制について)
一対のセクタA501とセクタB502は、このセクタA501とセクタB502自体が基板300等に接触して位置決めする構成ではない。セクタA501およびセクタB502のそれぞれが開いたときの位置、および閉じたときの位置は、位置規制部により位置決めされる構成である。
【0077】
図18は、セクタの全開状態を示す斜視図である。セクタA501およびセクタB502は、1点鎖線で示している。また、第1のシート部材351に隠れる基板300をあらわすために、第1のシート部材351と第2のシート部材352の記載を省略してある。
【0078】
図5にも示したが、ロータ320には、軸320Aとともに回動するアーム320Dが設けられており、アーム320Dの先端には、突起部320Eが設けられている。この突起部320Eは、基板300に設けられた開口部300Lを貫通して空間部300G部分に突出している。図18に示すように、セクタA501およびセクタB502が全開状態のとき、ロータ320のアーム320D先端の側面部は、開口部300Lの一端300Laに接触する。開口部300Lと、これに接触する突起部320Eにより、セクタA501およびセクタB502の全開時の位置を規制する位置規制部を構成している。
【0079】
これにより、突起部320Eに係合しているセクタA501およびセクタB502の全開位置が位置決めできる。基板300には、セクタA501およびセクタB502の全開時に近接する部分に切り欠き部300Pが形成されており、セクタA501およびセクタB502は、基板300の一部に触れることがないよう規制できる。これにより、セクタA501およびセクタB502の損傷や歪みが発生することなく、全開時の位置を位置決めできる。
【0080】
図19は、セクタの全閉状態を示す斜視図である。位置規制部は、セクタA501およびセクタB502の全閉時においても、セクタA501およびセクタB502の位置を規制する。図19に示すように、セクタA501およびセクタB502の全閉時には、ロータ320のアーム320D先端の側面部は、開口部300Lの他端300Lbに接触する。開口部300Lと、これに接触する突起部320Eにより、セクタA501およびセクタB502の全閉時の位置を規制し、予め定めた全閉の位置でセクタA501およびセクタB502を停止させることができる。
【0081】
(携帯電話の構成)
つぎに、この発明の実施の形態1にかかる携帯電話の構成について説明する。図20は、この発明の実施の形態1にかかる携帯電話の外観を示す斜視図である。
【0082】
図20において、携帯電話100は、カメラ機能を備えた携帯電話であり、カメラモジュール110を備えている。このカメラモジュール110は、上述したシャッタユニット112を備え、ユーザによる携帯電話100の操作に応じて被写体の反射光を受光する。そして、カメラモジュール110は、受光した反射光を結像し、結像された反射光に応じた電気信号をカメラモジュール110内部に設けられたA/Dコンバータ(図示省略)などに出力する。
【0083】
(カメラモジュール110の構成)
つぎに、カメラモジュール110の構成について説明する。図21は、この発明の実施の形態1にかかるカメラモジュール110の構成を示す説明図である。
【0084】
図21において、カメラモジュール110は、箱形に形成されたケースと、当該ケース内部に配設されたレンズユニット111と、上述したシャッタユニット112と、レンズユニット113と、CCD114とによって構成されている。
【0085】
このうち、レンズユニット111は、ケース内部の光軸110A方向の物体側において光軸110A方向へ移動自在に設けられている。このレンズユニット111は、一枚または複数枚のレンズによって構成された第1レンズ群(いわゆるフォーカスレンズ群)を備え、当該レンズユニット111が光軸110A方向に往復移動することによって、被写体の反射光がCCD114に照射されるときの焦点を調整する。
【0086】
シャッタユニット112は、ケース内部におけるレンズユニット111とレンズユニット113との間において光軸110A方向への移動自在に設けられている。このシャッタユニット112は、一枚または複数枚のレンズによって構成された第2レンズ群(いわゆるズームレンズ群)を備え、当該シャッタユニット112が光軸110A方向に往復移動することによって、被写体の反射光がCCD114に照射されるときの大きさ(いわゆる画像サイズ)を調整する。また、シャッタユニット112は、この発明にかかるシャッタ装置を備え、当該シャッタ装置によってCCD114に照射される被写体の反射光の光量を機械的に調整する。
【0087】
レンズユニット113は、ケース内部におけるシャッタユニット112とCCD114との間に固定配置されており、一枚または複数枚のレンズによって構成された第3レンズ群(たとえば不要な反射光をフィルタリングするフィルタレンズ群)を備える。CCD114は、ケース内部の光軸110A方向の像面側に固定配置されており、第1レンズ群、第2レンズ群および第3レンズ群を介して結像された被写体の反射光を受光して、当該反射光の光量に応じた電気信号をカメラモジュール110内部に設けられたA/Dコンバータ(図示省略)などに出力する。
【0088】
以上説明したように、この実施の形態1にかかるシャッタユニット112によれば、略円環状であり、レンズ枠300Cの外周部を周回するように配置されるヨーク312を用いたことによって、コイル311およびヨーク312を、レンズ枠300Cに近接する位置、すなわち可能な限り光軸110Aに近い位置に配置することができる。これにより、シャッタユニット112の横幅寸法(光軸110Aと直交する方向における外形寸法)を小さくすることができる。
【0089】
また、一つの部品からなる基板300に対して、他のすべての部品が組み込まれる構成とし、特に、基板300と、レンズ枠300C、軸受部300B、および空間部300Gとを一体形成としたことによって、部品数を減らすことができ、シャッタユニット112の組み立て・分解を容易に行わせることができる。この結果、シャッタユニット112をより小型化することができるうえ、シャッタユニット112の整備性の向上を図ることができる。
【0090】
ここで、基板300は、レンズ枠300Cと、セクタ部500を収容する空間部300Gとを一体化したものであるため、開口部300Iの開口径がレンズの調芯のために比較的大きくなるが、露出開口部351Aを有する第1のシート部材351をセクタ部500に接近して配置したため、所望する露出開口径を容易に得ることができた。この第1のシート部材351は、セクタA501の摺動抵抗を軽減させる。第1のシート部材351には第2のシート部材352を重ねて設け、セクタB502の摺動抵抗を軽減させる。第2のシート部材352は、セクタB502の厚さに対応した厚さを有し、セクタA501とセクタB502との交差を防止し、開閉を円滑に行えるようになる。これにより、シャッタースピードの減速を軽減でき、高速シャッタ動作が可能となる。
【0091】
そして、これらの第1、第2のシート部材351、352は、レンズとシャッタが一体化されて小型化できるレンズ内蔵型のシャッタ装置において、この小型化に支障を生じさせず、所望する露出開口径を容易に設定できるとともに、セクタ部500の摺動抵抗を軽減させる。これらの機能は、シート部材を加工するだけで容易に得ることができ、シャッタ装置への組み込みも容易に行える。
【0092】
また、レンズ枠300C、および軸受部300Bに備えられた位置決め部300Sによって位置決め固定されるうえ、係合または嵌合部としての係止ツメ300Dによって係止されるヨーク312を用いたことによって、シャッタユニット112の組み立て・分解を容易に行わせることができる。
【0093】
そして、この実施の形態1にかかる携帯電話100によれば、上述したように小型化かつ整備性が向上されたシャッタユニット112を用いたことによって、携帯電話100をより小型化することができるうえ、携帯電話100の整備性の向上を図ることができる。
【0094】
なお、実施の形態1にかかるシャッタユニット112においては、直線状のコイル311を用いたが、ヨーク312の形状に対応したコイル311を用いるようにしてもよい。たとえば、曲線状のコイル311、柔軟性のあるコイル311、小型のコイル311などを一つまたは複数用いるようにしてもよい。これにより、コイル311をよりレンズ枠300Cに近接配置させることができ、ヨーク312を開口部300E側に寄せてコンパクト化することができる。その結果、シャッタユニット112およびこれを用いた携帯電話100をさらに小型化することができる。
【0095】
(実施の形態2)
(デジタルカメラの構成)
つぎに、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、この発明にかかるシャッタ装置を用いたデジタルカメラの構成例である。図22は、この発明の実施の形態2にかかるデジタルカメラの外観を示す斜視図である。
【0096】
図22において、デジタルカメラ1600は、実施の形態1で説明したシャッタユニット112と同様の構成を用いて小型化かつ整備性が向上されたシャッタユニット1610を備えている。このように、この実施の形態2にかかるデジタルカメラ1600によれば、上述したように小型化かつ整備性が向上されたシャッタユニット1610を用いたことで、デジタルカメラ1600をより小型化することができるうえ、デジタルカメラ1600の整備性の向上を図ることができる。なお、この発明にかかるシャッタ装置は、携帯電話やデジタルカメラに限らず、あらゆる撮像装置に用いることができる。
【0097】
なお、上述した実施の形態1および2では、基板300にコイル311、ヨーク312、ロータ320、およびその軸受部300Bを設けた構成例を示したが、これのみに限らず、その反対側の板状部材としての裏板400に、同じように設けるようにしてもよい。
【0098】
また、上述した実施の形態1および2では、基板300を、多数のレンズ群のうち第2レンズ群の鏡胴として適用した例を示したが、これのみに限らず、たとえば第1レンズ後段、第3、第4、第5の各レンズ群、およびそれらの一部レンズの鏡胴であってもよい。また、レンズを含まず開口部だけのものであってもよい。
【0099】
さらに、上述した実施の形態1および2では、ロータ320の軸受の一方を基板300に、他方を裏板400に設けた例を示したが、これのみに限らず、たとえばその両方を基板300に、または裏板400に設けるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明にかかるレンズ内蔵シャッタ装置およびこれを用いた撮像装置は、あらゆる撮像装置への利用が可能であり、特に、シャッタ装置の設置スペースが制限される携帯電話や小型デジタルカメラなどの撮像装置への利用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】この発明にかかるシャッタユニットの部品構成を示す説明図である。
【図2】この発明にかかるシャッタユニットの外観を示す斜視図である。
【図3】この発明にかかるシャッタユニットの外観を示す斜視図である。
【図4】この発明にかかるシャッタユニットの外観を示す斜視図である。
【図5】駆動手段およびロータの外観を示す斜視図である。
【図6】セクタ部が全閉状態のときのロータの状態の概要を示す説明図である。
【図7】セクタ部が全閉状態のときのセクタ部の状態の概要を示す説明図である。
【図8】セクタ部が開き始めたときのロータの状態の概要を示す説明図である。
【図9】セクタ部が開き始めたときのセクタ部の状態の概要を示す説明図である。
【図10】セクタ部が全開状態のときのロータの状態の概要を示す説明図である。
【図11】セクタ部が全開状態のときのセクタ部の状態の概要を示す説明図である。
【図12】シャッタユニットの光軸方向の外形寸法を示す説明図である。
【図13】シャッタユニットの光軸と直交する方向の外形寸法を示す説明図である。
【図14】この発明にかかるシャッタユニットの側断面図である。
【図15】第1のシート部材の平面図である。
【図16】第2のシート部材の平面図である。
【図17】この発明にかかるシャッタユニットの斜視図である。
【図18】セクタの全開状態を示す斜視図である。
【図19】セクタの全閉状態を示す斜視図である。
【図20】この発明の実施の形態1にかかる携帯電話の外観を示す斜視図である。
【図21】この発明の実施の形態1にかかるカメラモジュールの構成を示す説明図である。
【図22】この発明の実施の形態2にかかるデジタルカメラの外観を示す斜視図である。
【図23】レンズおよびシャッタを一体化したシャッタ装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0102】
100 携帯電話
110 カメラモジュール
111 レンズユニット
112 シャッタユニット
113 レンズユニット
114 CCD
300 基板
300L 開口部
310 駆動手段
311 コイル
312 ヨーク
320 ロータ
351 第1のシート部材
351A 露出開口部
351J,351K 非摺動部
352 第2のシート部材
352J,352K,352L 非摺動部
400 裏板
500 セクタ部
501 セクタA
502 セクタB
600 第2レンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を中心としてレンズが収容される開口部と、セクタ部が収容される空間部とが形成された基板と、
前記開口部に収容されるレンズと、
コイルと、ヨークと、からなる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動により回動するロータと、
前記ロータの回動により前記開口部を開閉するセクタ部と、
前記光軸上に所定の露出開口径の露出開口部を有するシート部材と、
を備えたことを特徴とするレンズ内蔵シャッタ装置。
【請求項2】
前記シート部材は、前記空間部の前記基板と前記セクタ部との間に配置され、当該セクタ部に接することを特徴とする請求項1に記載のレンズ内蔵シャッタ装置。
【請求項3】
前記シート部材は、前記セクタ部と対向する面に、当該セクタと部分的に接触しない非摺動部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ内蔵シャッタ装置。
【請求項4】
前記シート部材に設けられる前記非摺動部は、前記セクタ部の開閉方向に沿った形状であることを特徴とする請求項3に記載のレンズ内蔵シャッタ装置。
【請求項5】
前記セクタ部は、一対のセクタの開閉により前記露出開口部を開閉するものであり、
前記シート部材は、一方のセクタに接し、前記露出開口部が形成された第1のシート部材と、
前記第1のシート部材に重ねられるとともに、前記露出開口部および前記一方のセクタから離れた位置に配置され、他方のセクタに接する第2のシート部材と、からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のレンズ内蔵シャッタ装置。
【請求項6】
前記第2のシート部材の厚さは、前記一方のセクタの厚さ以上の厚さであることを特徴とする請求項5に記載のレンズ内蔵シャッタ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のレンズ内蔵シャッタ装置を備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−76913(P2008−76913A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258257(P2006−258257)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】