レンズ鏡筒、カメラ、およびカメラシステム
【課題】雨天時にユーザに負担を強いることなく効率的に水滴除去を行うことができるレンズ鏡筒およびカメラシステムを提供する。
【解決手段】撮影光学系101と、撮影光学系101の最前面のレンズ101aaを振動するための圧電素子105と、オートフォーカスが可能なカメラ本体200との間で通信を行うためのレンズCPU111と、を具備するレンズ鏡筒100において、撮影光学系101のフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に、最前面のレンズ101aaを振動させる。
【解決手段】撮影光学系101と、撮影光学系101の最前面のレンズ101aaを振動するための圧電素子105と、オートフォーカスが可能なカメラ本体200との間で通信を行うためのレンズCPU111と、を具備するレンズ鏡筒100において、撮影光学系101のフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に、最前面のレンズ101aaを振動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒、カメラ、およびカメラシステムに関し、詳しくは、撮影レンズに付着する水滴を除去可能としたレンズ鏡筒、カメラ、およびカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
雨天時にカメラで撮影する場合、水滴が撮影レンズに付着すると、撮影画像に悪影響を与えてしまう。撮影画像への悪影響を避けるには、レンズに付着した水滴を拭くようにすれば良いが、決定的な撮影チャンスを逃すおそれがある。また、雨天用のカバーをカメラに被せて撮影することが知られているが、カバーをわざわざ被せなければならず煩雑である。また、空気や遠心力で水滴を除去することが考えられるが装置が大型化してしまう。
【0003】
そこで、超音波振動子を用いて振動波によって水滴を除去することが提案されている。例えば、特許文献1には、透光フィルタの一面に振動子を取り付け、これを振動させることにより、透光フィルムの外表面に付着した水滴や塵埃を除去するようにした光学装置が開示されている。また、特許文献2には、レンズ等に粉塵が付着し光学機器の機能が失われたり検出精度が低下するのを解決するために、レンズ等を超音波にて振動させるようにした光学機器における防塵方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−244281号公報
【特許文献2】特開昭62−165127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、塵埃や水滴等を除去するために光学レンズ等を超音波で振動させることは知られている。しかし、雨天時に、水滴等の除去のためにレンズを振動させるタイミングが悪いと、実際に撮影する際に水滴が再び付着してしまうおそれがあり、また常時レンズを振動させると、効率が悪くなってしまう。つまり、ユーザはどのタイミングが良いかを考えていなければならず、撮影に集中することができない。また、レンズ鏡筒の最先端のレンズに圧電素子を設け超音波で振動させるとすると、振動がレンズ鏡筒全体に伝わり音が発生してしまったり、振動で圧電素子との接続が外れてしまうという不具合がある。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、第1の課題は、雨天時にユーザに負担を強いることなく効率的に水滴除去を行うことができるレンズ鏡筒、カメラ、およびカメラシステムを提供することを目的とする。また、本発明の第2の課題は、圧電素子で発生する振動を吸収することのできるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため第1の発明に係わるレンズ鏡筒は、撮影レンズと、撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、オートフォーカスが可能なカメラボディとの間の通信を可能とする通信手段と、を具備するレンズ鏡筒において、上記撮影レンズのフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に、上記最前面のレンズを振動させる。
【0008】
第2の発明に係わるレンズ鏡筒は、上記第1の発明において、上記最前面のレンズは、レンズに固定された圧電素子により振動する。
第3の発明に係わるレンズ鏡筒は、上記第1の発明において、上記最前面のレンズの振動中に、上記カメラボディにおいて、セカンドレリーズが操作された場合には、上記最前面のレンズの振動を中止する。
【0009】
第4の発明に係わるレンズ鏡筒は、上記第1の発明において、上記最前面のレンズの振動は、予め決められた所定時間、実行すると停止する。
第5の発明に係わるレンズ鏡筒は、上記第1の発明において、上記最前面のレンズの振動中に、上記カメラボディにおいて、露光動作が開始される直前に、上記最前面のレンズの振動を中止する。
【0010】
第6の発明に係わるレンズ鏡筒は、第1の発明において、上記振動装置は、上記最前面のレンズに固定された圧電素子と、上記圧電素子に固定された信号伝達手段と、上記圧電素子への固定部近傍にて、上記信号伝達手段に当接する弾性部材と、を有する。
【0011】
第7の発明に係わるカメラシステムは、撮影レンズと、上記撮影レンズの合焦距離を変化させる光学系駆動機構と、上記撮影レンズの透過光量を変化させる絞り駆動機構と、上記撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、上記撮影レンズを装着可能なカメラボディと、上記カメラボディから上記撮影レンズへの電力供給と、上記カメラボディと上記撮影レンズの間の通信を可能とする伝達手段と、を有するカメラシステムにおいて、上記振動装置は、上記光学駆動系及び絞り駆動機構が停止している状態時のみ、駆動可能である。
【0012】
第8の発明に係わるカメラは、撮影レンズと、上記撮影レンズの合焦距離を変化させる光学系駆動機構と、上記撮影レンズの透過光量を変化させる絞り駆動機構と、上記撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、を有するカメラにおいて、上記振動装置は、上記光学駆動系及び絞り駆動機構が停止している状態時のみ、駆動可能である。
【0013】
第9の発明に係わるカメラは、被写体像を結像させるための撮影レンズの焦点状態を検出する焦点検出手段と、上記撮影レンズ内に配置された水滴除去制御手段と通信を行うための通信手段と、上記焦点検出手段によって、上記撮影レンズが合焦状態となったことを検出した際に、上記通信手段を介して、上記水滴除去制御部に水滴除去動作を開始させる制御手段と、を有する。
【0014】
第10の発明に係わるレンズ鏡筒は、被写体像を形成するレンズ群と、上記レンズ群の内の最前面のレンズに固定された圧電素子と、上記圧電素子に固定された信号伝達手段と、上記最前面のレンズに密着して配置された第1の弾性部材と、上記圧電素子への固定部近傍にて、上記信号伝達手段に当接する第2の弾性部材と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、雨天時にユーザに負担を強いることなく効率的に水滴除去を行うことができるレンズ鏡筒、カメラ、およびカメラシステムを提供することができる。また、圧電素子で発生する振動を吸収することのできるレンズ鏡筒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムにおいて、撮影光学系の光軸方向に沿った内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るレンズ鏡筒の先端部分であって、(a)は光軸方向に沿ったレンズ鏡筒の要部断面図であり、(b)はレンズの要部断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わるレンズ鏡筒において、レンズと圧電素子の分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例に係わるレンズ鏡筒において、レンズと圧電素子の分解斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムの電気回路を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムにおける圧電素子駆動回路とその周辺回路の回路構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるカメラシステムの圧電素子駆動回路とその周辺回路の動作を説明するための図6の各部における信号波形を表すタイミングチャート図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラとレンズ鏡筒とからなるカメラシステムを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムの内部機構について、撮影光学系の光軸方向に沿った内部構成ブロック図である。本実施形態に係わるカメラシステムはレンズ鏡筒100とカメラ本体200とから構成され、レンズ鏡筒100はカメラ本体200に対して着脱自在に構成されている。
【0018】
レンズ鏡筒100内には、図1に示すように、第1群レンズ101aと第2群レンズ101bとから構成される撮影光学系101が配置されている。第1群レンズ101aの内のレンズであって、被写体光束の結像にあたって妨げとならない位置に圧電素子105が固着されている。この圧電素子105の配設については図2及び図3を用いて後述する。また、レンズ鏡筒100内には、図5において説明するように、種々の電気回路が配置されており、これらの電気回路を収納するレンズ基板110が配置されている。
【0019】
レンズ鏡筒100の内部に配置された撮影光学系101の光軸上であって、カメラ本体200のミラーボックス内には、可動反射ミラー201が配置されている。この可動反射ミラー201は、被写体光束をペンタプリズム204等のファインダ光学系に反射するために撮影光学系101の光軸に対して45度傾いた反射位置と、被写体像を撮像素子ユニット224(図5参照)中の撮像素子211に導くために、撮影光路から退避した退避位置とに回動可能となっている。
【0020】
可動反射ミラー201の回動軸は図1の紙面に対して垂直方向に沿っている。この可動反射ミラー201によって、上方に被写体光束を反射する。なお、本実施形態では、上方に反射しているが、これに限らず、カメラ本体の右方でも左方でも、被写体光束の反射方向は機構部材や光学部材の配置上、最も適切になるように選択してよい。
【0021】
可動反射ミラー201の反射光軸上にフォーカシングスクリーン203が配置されている。これは撮影光学系101による被写体光束を結像させるための結像面であり、可動反射ミラー201からの距離が撮像素子211と等価な位置に配設されている。フォーカシングスクリーン203の上方には、被写体像を左右反転させるためのペンタプリズム204が配置されている。ペンタプリズム204の後方には、接眼光学系205が配置されており、撮影者は接眼部側から接眼光学系205を覗いて被写体像の確認を行うことができる。
【0022】
可動反射ミラー201の中央付近はハーフミラーで構成されており、この可動反射ミラー201の背面には、ハーフミラー部を透過した被写体光束を反射するための測距用のサブミラー202が設けられている。このサブミラー202は、可動反射ミラー201に対して回動可能であり、可動反射ミラー201が撮影光路から退避し、被写体光束が撮像素子211に入射しているときには、ハーフミラー部を覆う位置に回動し、可動反射ミラー201が図示の如き被写体像観察位置(挿入状態)にあるときには、可動反射ミラー201に対して起き上がって開となり測距ユニット217に被写体光束の一部を反射可能となる位置にある。
【0023】
サブミラー202の反射光路上に測距用センサを含むTTL位相差方式の測距ユニット217が配置されており、測距ユニット217によって、撮影光学系101によって結像される被写体像の焦点ズレ方向と焦点ズレ量を検出する。
【0024】
可動反射ミラー201の後方には、フォーカルプレーンタイプのシャッタ213が配置されている。シャッタ213の後方であって、撮影光学系101の光軸上には、防塵フィルタ207、光学的ローパスフィルタ209、赤外カットフィルタ210、撮像素子211が順次、配置されている。防塵フィルタ207の周縁部付近には圧電素子208が固着されており、超音波振動によって防塵フィルタ207に付着した塵埃を除去する。光学ローパスフィルタ209は被写体光束から撮像にあたって有害な高周波成分を除去し、また赤外カットフィルタ210は被写体光束から赤外光成分を除去する。撮像素子211は、撮影光学系101によって結像された被写体像を電気信号に光電変換する。
【0025】
撮像素子211の背面側には図5を用いて説明する電気回路等が配設された本体基板27が配置されている。また、カメラ本体200の背面であってユーザが観察しやすい位置に液晶モニタ26が配置されている。液晶モニタ26はライブビュー表示、記録済みの画像データの再生表示および各種メニューモード等の各種表示を行う。なお、液晶モニタ26はカメラ本体200の背面に配置されるが、撮影者が観察できる位置であれば、背面に限らないし、また液晶に限らず有機ELディスプレイ等、他の表示装置でも構わない。さらに、固定式に限らず、可動式のモニタであってもよい。
【0026】
カメラ本体200の前方上部には、被写体の補助照明用の内蔵フラッシュ60が配置されている。内蔵フラッシュ60は、発光部がカメラ本体200内に収納された収納状態(図1参照)と、発光部が被写体側に向けて起き上った状態となるポップアップ状態とに切り換えられる。
【0027】
次に、レンズ鏡筒100の撮影光学系101の第1群レンズ101a内に配置されている振動部について図2及び図3を用いて説明する。図2(a)は、レンズ鏡筒100の先端部の要部断面図であり、図2(b)は撮影光学系101の最先端のレンズ101aaのコーティング状態を示す要部断面図である。図3は圧電素子105の配設状態を示す分解斜視図である。
【0028】
レンズ鏡筒100内の撮影光学系101を保持するための筒状のレンズ枠121内には、第1群レンズ101aが嵌合されている。第1群レンズ101aは、本実施形態においては、レンズ先端側から、レンズ101aa、101ab、101acの順次に配置されている。レンズ101aaとレンズ101abは一体に接着されており、レンズ101aaの直径がレンズ101abより若干大きく、レンズ101aaの裏面の周端側には圧電素子接着面101aaa(図3参照)の平面が円環状に形成されている。
【0029】
レンズ101aaは、弾性部材124によってレンズ枠121内において押接されており、弾性部材124の外側の全周はカバーリング123によって防水効果をもって覆われている。レンズ101aaと一体に接着されているレンズ101abの内側端部は、レンズ受け枠125の受け部に当て付けられている。したがって、レンズ101aaとレンズ101abは、弾性部材124によってレンズ受け枠125に押しつけられ固定されている。また、レンズ101acはレンズ受け枠125の別の受け部で保持されている。
【0030】
撮影光学系101の最前面に配置されているレンズ101aaの外側表面には、図2(b)に示すように、被写体光束の反射を防止するためのマルチコーティング102aが施されている。また、マルチコーティングの外側には、フッ素コート等による撥水コーティングが施されている。レンズ101aaに雨等の水滴が付着した場合、撥水コーティングによって水滴を小さくし、振動波によって振り落としやすくすることができる。
【0031】
圧電素子105は、前述したように、レンズ101aaの圧電素子接着面101aaaに固着されている。また、圧電素子105には、図3に示すように、信号電極105a、105bが形成されており、両電極にプラス電圧とマイナス電圧の駆動信号を交互に印加することにより弾性波が生じ、レンズ101aaの表面に超音波振動が発生する。圧電素子105の両電極には、駆動信号をそれぞれ給電するためのフレキシブル基板126の一端が接続されている。このフレキシブル基板126の他端は、レンズ受け枠125に設けられた孔125aを通してレンズ基板110(図1参照)に接続している。
【0032】
また、フレキシブル基板126の一端側で圧電素子105との接続付近では、レンズ枠121の内側に設けられた振動吸収部材122に当接している。この振動吸収部材122によって、圧電素子105によって発生した振動が外部に伝わらないように吸収する。
【0033】
本実施形態においては、圧電素子105は円環状に形成されているが、これに限らず、図4に示すように、2つの円弧状に形成された圧電素子105A、105Bに分割するようにしても良い。圧電素子105Aには2つの信号電極105Aa、圧電素子105Bには2つの信号電極105Baを設け、それぞれの信号電極105Aa、105Baに駆動信号を供給する。なお、圧電素子105の分割数は2分割以外にも、3分割、4分割等、適宜変更しても良い。また、各圧電素子の形状は、図4に示すような円弧状に限らず、例えば、長方形等の矩形でも構わない。
【0034】
次に、図5を用いて、本実施形態におけるカメラシステムの電気回路について説明する。レンズ鏡筒100の内部には、前述したように焦点調節および焦点距離調節用の撮影光学系101を構成する第1群および第2群レンズ101a、101bと、開口量を調節するための絞り103が配置されており、第1群レンズ101aの最前面のレンズ101aaには圧電素子105が固着されている。なお、図5では、レンズ101aaを簡略化しており、また、絞り103は、第1群レンズ101aと第2群レンズの中間に配置しているが、絞り103の位置は適宜変更しても良い。
【0035】
第1群および第2群レンズ101a、101bの内のフォーカスレンズやズームレンズは光学系駆動機構107によって駆動され、絞り103は絞り駆動機構109によって駆動される。圧電素子105は圧電素子駆動回路106に接続され、圧電素子駆動回路106によって駆動信号が供給され、圧電素子105は振動する。圧電素子駆動回路106の詳細については、図6を用いて後述する。
【0036】
圧電素子駆動回路106、光学系駆動機構107、および絞り駆動機構109はそれぞれレンズCPU111に接続されており、このレンズCPU111は通信接点300を介してカメラ本体200に接続されている。レンズCPU111はレンズ鏡筒100内の制御を行うものであり、光学系駆動機構107を制御してピント合わせや、ズーム駆動を行うとともに、絞り駆動機構109を制御して絞り値制御を行う。また、圧電素子駆動回路106を制御して、レンズ101aaを振動させ、超音波振動波によって水滴等を除去する。なお、光学系駆動機構107および絞り駆動機構109の電気回路の部分、圧電素子駆動回路106、およびレンズCPU111等は、前述のレンズ基板110(図1参照)内に配設されている。
【0037】
カメラ本体200内には、前述したように、被写体像を観察光学系に反射するために撮影光学系101の光軸に対して45度傾いた位置と、被写体像を撮像素子211に導くために跳ね上がった位置との間で、回動可能な可動反射ミラー201が設けられている。この可動反射ミラー201の上方には、被写体像を結像するためのフォーカシングスクリーン203が配置され、このフォーカシングスクリーン203の上方には、被写体像を左右反転させるためのペンタプリズム204が配置されている。
【0038】
ペンタプリズム204の出射側(図5で右側)には被写体像観察用の接眼光学系205が配置され、この脇であって被写体像の観察に邪魔にならない位置に測光センサ206が配置されている。この測光センサ206は被写体像を分割して測光する多分割測光素子で構成されている。測光センサ206の出力は、測光処理回路212に接続されており、測光処理回路212は測光センサ206の出力に基づいて、被写体輝度に応じた被写体輝度信号を出力する。
【0039】
上述の可動反射ミラー201の中央付近はハーフミラーで構成されており、この可動反射ミラー201の背面には、前述したように回動可能なサブミラー202が設けられている。可動反射ミラー201は可動ミラー駆動機構222によって駆動されている。
【0040】
サブミラー202の下方には測距ユニット217が配置されており、測距ユニット217は、測距センサ218と、この出力が接続された測距回路219から構成される。測距センサ218と測距回路219によって、撮影光学系レンズ101によって結像される被写体像の焦点ズレ方向と焦点ズレ量を、所謂位相差法によって測定することができる。
【0041】
可動反射ミラー201の後方には、前述したように、露光時間制御用のフォーカルプレーンタイプのシャッタ213が配置されており、このシャッタ213はシャッタ駆動機構221によって駆動制御される。シャッタ213の後方には撮像素子211が配置されており、撮影光学系101によって結像される被写体像を電気信号に光電変換する。なお、撮像素子211としては、CCD(Charge Coupled Devices)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の二次元固体撮像素子を使用することができる。
【0042】
上述のシャッタ213と撮像素子211の間には、除塵機構を構成する防塵フィルタ207とこの防塵フィルタ207の周縁部に接着もしくは圧接された圧電素子208が配置されている。この圧電素子208は、圧電素子駆動回路220に接続されており、この圧電素子駆動回路220から駆動信号を受け超音波で振動し、防塵フィルタ207に付着した塵埃等を除去する。圧電素子駆動回路220は、圧電素子駆動回路106と同様な回路で構成されており、詳細は図6を用いて後述する。
【0043】
防塵フィルタ207と撮像素子211との間には、被写体像の高周波成分をカットし、低周波のみを通過させるための光学的ローパスフィルタ209と、赤外光成分をカットする赤外カットフィルタ210とが配置されている。これらの防塵フィルタ207、圧電素子208、ローパスフィルタ209、赤外カットフィルタ210および撮像素子211は、撮像素子ユニット224を構成しており、この撮像素子ユニット224は、塵埃等が侵入し難いように、隙間が少なくなるように構成されている。なお、防塵フィルタ207は、ローパスフィルタ209や赤外カットフィルタ210等の他の光学素子と兼用しても良い。
【0044】
撮像素子211は撮像素子駆動回路223に接続され、入出力回路239からの制御信号によって駆動制御される。撮像素子駆動回路223によって、撮像素子211から出力された光電アナログ信号が増幅され、アナログデジタル変換(AD変換)される。撮像素子駆動回路223はASIC(Application Specific Integrated Circuit 特定用途向け集積回路)262内の画像処理回路227に接続され、この画像処理回路227によってデジタル画像データのデジタル的増幅(デジタルゲイン調整処理)、色補正、ガンマ(γ)補正、コントラスト補正、白黒・カラーモード処理、スルー画像処理といった各種の画像処理がなされる。
【0045】
画像処理回路227は、データバス261に接続されている。このデータバス261には、画像処理回路227の他、後述するシーケンスコントローラ(以下、「ボディCPU」と称す)229、圧縮伸張回路231、ビデオ信号出力回路233、SDRAM制御回路237、入出力回路239、通信回路241、記録媒体制御回路243、フラッシュメモリ制御回路247、スイッチ検知回路253が接続されている。
【0046】
データバス261に接続されているボディCPU229は、このデジタルカメラの動作を制御するものであり、フラッシュメモリ249に記憶されているプログラムに従って制御を行う。またデータバス261に接続されている圧縮伸張回路231はSDRAM238に記憶された画像データをJPEG等の静止画用の圧縮形式で圧縮し、また画像再生時に伸張するための回路である。なお、画像圧縮はJPEGに限らず、他の圧縮方法も適用できる。
【0047】
データバス261に接続されたビデオ信号出力回路233は液晶モニタ駆動回路235を介して背面液晶モニタ26に接続される。ビデオ信号出力回路233は、SDRAM238、または記録媒体245に記憶された画像データを、背面液晶モニタ26に表示するためのビデオ信号に変換するための回路である。
【0048】
背面液晶モニタ26はカメラ本体200の背面に配置されるが、撮影者が観察できる位置であれば、背面に限らないし、また液晶に限らず他の表示装置でも構わない。SDRAM238は、SDRAM制御回路237を介してデータバス261に接続されており、このSDRAM238は、画像処理回路227によって画像処理された画像データまたは圧縮伸張回路231によって圧縮された画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリである。
【0049】
上述の測光処理回路212、測距回路219、圧電素子駆動回路220、シャッタ駆動機構221、可動ミラー駆動機構222、撮像素子駆動回路223に接続される入出力回路239は、データバス261を介してボディCPU229等の各回路とデータの入出力を制御する。レンズCPU111と通信接点300を介して接続された通信回路241は、データバス261に接続され、ボディCPU229等とのデータのやりとりや制御命令の通信を行う。
【0050】
データバス261に接続された記録媒体制御回路243は、記録媒体245に接続され、この記録媒体245への画像データ等の記録の制御を行う。記録媒体245は、xDピクチャーカード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード(登録商標)またはメモリスティック(登録商標)等の書換え可能な記録媒体のいずれかが装填可能となるように構成され、カメラ本体200に対して着脱自在となっている。その他、マイクロドライブ(登録商標)などの様なハードディスクユニットや無線通信ユニットを接続可能に構成してもよい。
【0051】
データバス261に接続されているフラッシュメモリ制御回路247は、フラッシュメモリ(Flash Memory)249に接続され、このフラッシュメモリ249は、カメラのフローを制御するためのプログラムが記憶されている。ボディCPU229はこのフラッシュメモリ249に記憶されたプログラムに従ってデジタルカメラの制御を行う。なお、フラッシュメモリ249は、電気的に書換可能な不揮発性メモリである。
【0052】
カメラ本体200やレンズ鏡筒100のパワー供給の制御を行うためのパワースイッチレバーに連動してオン・オフするパワースイッチ257と、シャッタレリーズ釦に連動するスイッチ、再生モードを指示する再生釦に連動するスイッチ、背面液晶モニタ26の画面でカーソルの動きを指示する十字釦に連動するスイッチ、スルー画表示の切り替えを行う表示切換釦に連動するスイッチ、撮影モードを指示するモードダイヤルに連動するスイッチ、選択された各モード等を決定するOK釦に連動するOKスイッチ、水滴除去動作を指示する水滴除去釦に連動する水滴除去スイッチ256、レンズ鏡筒100のカメラ本体への着脱状態を検知する着脱検知スイッチ259等の各種スイッチ255は、スイッチ検知回路253を介してデータバス261に接続されている。
【0053】
なお、レリーズ釦は、撮影者が半押しするとオンする第1レリーズスイッチと、全押しするとオンする第2レリーズスイッチを有している。この第1レリーズスイッチ(以下、1Rと称する)のオンによりカメラは焦点検出、撮影レンズのピントあわせ、被写体輝度の測光等の撮影準備動作を行い、第2レリーズスイッチ(以下、2Rと称する)のオンにより撮像素子の出力に基づいて被写体像の画像データの取り込みを行う撮影動作を実行する。また、水滴除去256は、撮影者が水滴除去動作を指示する際に操作する水滴除去釦に連動するスイッチである。着脱検知スイッチ259は、カメラ本体200にレンズ鏡筒100が装着状態にあるか否かを検知するスイッチである。
【0054】
次に、図6及び図7を用いて水滴除去動作を行う圧電素子駆動回路106と、塵埃除去動作を行う圧電素子駆動回路220とその周辺回路について説明する。なお、圧電素子駆動回路220の内部は圧電素子駆動回路106と同様であり、図6におけるレンズCPU111を入出力回路239に置き換え、圧電素子105を圧電素子208に置き換える以外には、同様であるので、ここでは、圧電素子駆動回路106について説明する。
【0055】
圧電素子駆動回路106内に配置されたN進カウンタ41は、レンズCPU111内のクロックジェネレータ55から出力されるクロックパルス(Sig1)を入力し、またレンズCPU111の出力IOポートであるD_NCnt端子から出力されるカウンタ設定値Nを入力する。N進カウンタ41はクロックパルスをカウントし、このカウント値がカウンタ設定値Nとなるとパルス(Sig2)を出力する。このパルスSig2を入力するDフリップフロップから構成される1/2分周回路42は、パルスSig2の立ち上がり信号を入力するたびに出力(Sig3)が反転する分周回路である。
【0056】
1/2分周回路42の出力端子はインバータ43の入力端子に接続され、このインバータ43の出力端子は、MOSトランジスタ(Q02)44cのゲートに接続される。MOSトランジスタ(Q02)44cのソースはトランス45の一次側の一端に接続され、ドレインは抵抗(R00)46を介して接地されている。また、1/2分周回路42の出力端子はMOSトランジスタ(Q01)44bのゲートにも接続され、MOSトランジスタ(Q01)44bのソースはトランス45の一次側の他端に接続され、ドレインはMOSトランジスタ(Q02)44cのドレインに接続されている。
【0057】
トランス45の一次側中間タップは、電源オン・オフ用のMOSトランジスタ(Q00)44aのドレインに接続しており、このMOSトランジスタ(Q00)44aのゲートは、レンズCPU111のIOポートであるP_PwCont端子に接続され、このトランジスタ44aのソースは電源回路53に接続されている。また、トランス45の二次側の一端は、圧電素子105の一端に接続され、トランス45の二次側の他端は、MOSトランジスタ(Q01)44b、(Q02)44cのドレインに接続されると共に、抵抗(R00)46を介して接地されている。圧電素子105の他端は接地されており、圧電素子105の一端側より、トランス45による昇圧交流電圧(Sig4)を受け、超音波振動を行う。
【0058】
以上のように、圧電素子駆動回路106とその周辺回路は構成されている。まず、MOSトランジスタ(Q00)44aのゲートに、レンズCPU111のP_PwCont端子からLレベル信号が印加されると、MOSトランジスタ44aはnチャネルタイプであることから、導通し、電源回路53から電源電圧がトランス45の一次側中間タップに印加される。
【0059】
この状態で、レンズCPU111のクロックジェネレータ55からクロックパルスSig1がN進カウンタ41に出力されると、N進カウンタ41はカウントを開始し、レンズCPU111のD_NCntを介して設定された設定値Nまでカウントすると、出力端子からパルス信号Sig2を出力する。N進カウンタ41からのパルス信号Sig2を入力する1/2分周回路42によって、デューティ比が50%のパルス信号(図7のSig3)に変換され、このパルス信号はMOSトランジスタ(Q01)44bのゲートと、インバータ43を介してMOSトランジスタ(Q02)44cに印加される。
【0060】
MOSトランジスタ(Q01)44bとMOSトランジスタ(Q02)44cは交互にオン状態となり、トランス45の一次側には中間タップを介して電源回路53から電源電圧が印加され、トランス45の巻線数比に従って昇圧された電圧(図7のSig4)が二次側から出力され、圧電素子105に印加される。圧電素子105に印加される高圧電圧の周波数はレンズCPU111のD_NCnt端子から設定される設定値Nによって変化させることができるので、圧電素子105の共振周波数となるように設定値Nを決めれば効率よく水滴(塵埃)を除去することができる。共振周波数は可聴周波数を越え、例えば、超音波周波数からなる。
【0061】
なお、本実施形態において、圧電素子駆動回路106と圧電素子駆動回路220は、同一の回路としたが、圧電素子駆動回路106は水滴除去用の振動を行い、圧電素子駆動回路220は除塵用の振動を行うので、それぞれ最適な回路となるように一部を変更しても構わない。また、D_NCnt端子から出力されるカウンタ設定値Nは、超音波振動を行うにあたって、共振周波数となるように、適宜変更するようにする。
【0062】
次に、本実施形態における動作について、図8に示すフローチャート、図9に示すタイミングチャートを用いて説明する。動作を開始すると、まず、レリーズ釦が半押しされたか、すなわち、1stレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(#1)。この判定はスイッチ検知回路253によって1stレリーズスイッチの状態を検出することにより行う。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオンでなかった場合には、繰り返し1stレリーズスイッチの状態を検出する待機状態となる。
【0063】
ステップ#1における判定の結果、1stレリーズスイッチがオンとなると(図9におけるタイミングt01)、測距を行う(#3)。このステップでは、測距センサ218および測距回路219等において、位相差AFにより焦点ズレ方向および焦点ズレ量を求める。測距を行うと、次に、フォーカスレンズ駆動を行う(#5、タイミングt02)。このステップでは、ステップ#3において求めた焦点ズレ方向および焦点ズレ量を用いて、レンズCPU111および光学系駆動機構107によって撮影光学系101のピント合わせを行う。
【0064】
ステップ#5においてフォーカスレンズ駆動を行うと、次に、合焦表示をオンする(#7、タイミングt03)。このステップでは、光学ファインダ中の合焦表示部材や、ライブビュー表示中であれば液晶モニタ26上に合焦表示を行う。また、合焦表示を行うと共に、レンズ水滴除去を行う(#9)。レンズ水滴除去は、レンズCPU111より圧電素子駆動回路106を駆動し、圧電素子105を超音波振動させることにより、レンズ101aaの表面に振動波を発生させて行う。水滴除去動作は予め決められた時間が経過すると(t04のタイミング)、停止する。なお、図9中、タイミングt03において、破線で測距を行うことを示しているのは、再度測距を行い、合焦点に到達しているか否かを判定する確認測距を行う場合を示している。確認測距の結果、非合焦であった場合には、再度フォーカスレンズ駆動を行う。
【0065】
続いて、レリーズ釦が全押しされたか、すなわち、2ndレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(#13)。この判定はスイッチ検知回路253によって2ndレリーズスイッチの状態を検出することにより行う。この判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンでなかった場合には、ステップ#1と同様に、1stレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(#15)。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオンの場合には、ステップ#13に戻り、2ndレリーズスイッチの状態と1stレリーズスイッチの状態を交互に検出する待機状態となる。一方、ステップ#15における判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、ステップ#1に戻る。この場合はレリーズ釦から撮影者の指が離れた状態であることから、最初に戻るようにしている。
【0066】
ステップ#13における判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンになると(タイミングt05)、ステップ#19以下において、撮影動作に移る。まず、ステップ#7において行った合焦表示をオフする(#19)。続いて、ミラーアップと絞り込みを行う(#21)。このステップでは、レンズCPU111に絞り込み指示を出し、絞り駆動機構109によって絞り103の絞り込みを行う。また、可動ミラー駆動機構222によって可動ミラー201を上昇させ、撮影光学系101の光軸から退避させる。
【0067】
これで、撮影動作の準備ができたので、次に、露光を行う(#23、タイミングt07)。露光動作は、シャッタ駆動機構221によってシャッタ先幕の走行を開始させる。そして、予め演算により求められた適正露光となるシャッタ秒時(露光時間)または手動設定されたシャッタ秒時が経過すると、シャッタ後幕を走行させる。なお、被写体が暗い場合等にはシャッタ先幕走行完了時等に内蔵フラッシュ60による補助照明を行う。
【0068】
露光動作が終わると(タイミングt08)、ミラーダウンと絞り開放を行う(#21)。このステップでは、可動ミラー駆動機構222によって可動ミラー201を下降させ(タイミングt09)、再び撮影光学系101からの被写体光束をファインダ光学系に導く。また、レンズCPU111に指示し、絞り駆動機構109によって絞り103を開放状態に駆動する。ミラーダウン、絞り開放を行うと、メインルーチンに戻り、1stレリーズの状態検出を行う。
【0069】
このように本発明の第1実施形態においては、撮影光学系101のフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に(タイミングt03)、最前面のレンズ101aaを振動させている。このため、雨天時にユーザに負担を強いることなく効率的に水滴除去を行うことができる。すなわち、本実施形態においては、合焦時に水滴除去を自動的に行っており、通常、合焦後、ほどなくレリーズ釦の全押しを行い、撮影を行うことが多いことから、水滴の影響を受けない良好な画像を得ることが可能である。
【0070】
また、本実施形態においては、圧電素子105による水滴除去のための振動は、光学駆動機構107および絞り駆動機構109が停止している状態時のみ、駆動可能としている。すなわち、絞り103はステップ#21およびステップ#25において駆動され、また、光学駆動機構107はステップ#5において駆動されており、ステップ#9におけるレンズ水滴除去動作時には、これらの機構は停止している。このため、電源の消耗が激しく、電源電圧が低下し動作が不安定となったり動作停止となることがない。
【0071】
さらに、本実施形態においては、圧電素子105に固着された信号伝達部材としてのフレキシブル基板126に当接するように振動吸収部材122を配置している。このため、圧電素子105において発生する振動を吸収することができる。また、振動がレンズ鏡筒100に伝わり音が発生して騒々しくなることを防止し、振動で圧電素子105とフレキシブル基板126との接続が外れてしまうという不具合を減らすことができる。
【0072】
次に、本発明の第2実施形態について、図10および図11を用いて説明する。第1実施形態においては、2ndレリーズがオンとなった時点でレンズ水滴除去動作が終了していない場合があったが、第2実施形態においては、2ndレリーズがオンとなるとレンズ水滴除去動作を強制的に終了するようにしている。
【0073】
第2実施形態の構成は、第1実施形態とほぼ同様であり、図8に示したフローチャートを図10に示すフローチャートに置き換え、また図9に示したタイミングチャートを図11に示すタイミングチャートに置き換えるだけである。このため、相違点を中心に説明する。また、図10に示すフローチャートにおいて、図8に示したフローチャートと同じ処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0074】
図10に示すフローがスタートし、1stレリーズがオンか否かを判定し(#1)、オンとなると、測距を行う(#3、タイミングt11)。この測距結果に基づいてフォーカスレンズを駆動し(#5、タイミングt12)、合焦点に達すると、合焦表示をオンする(#7、タイミングt13)。また、同時に、レンズ水滴除去動作をスタートすると共に、タイマをスタートする(#8、タイミングt13)。レンズ水滴除去動作は、前述のステップ#9と同様に、レンズCPU111より圧電素子駆動回路106を駆動し、圧電素子105を超音波振動させることにより、レンズ101aaの表面に振動波を発生させて行う。タイマは水滴除去動作の経過時間を計時する。
【0075】
次に、水滴除去タイムがオーバーしたか否かの判定を行う(#10)。ステップ#8においてスタートしたタイマの計時時間が所定時間を経過したか否かの判定を行う。ここで所定時間としては、予め決められた水滴除去動作を行う時間である。ステップ#10における判定の結果、タイムオーバーでなかった場合には、次に、2ndレリーズがオンか否かを判定する(#13)。この判定の結果、2ndレリーズがオンでなければ、次に、1stレリーズがオンか否かを判定する(#15)。
【0076】
ステップ#15における判定の結果、1stレリーズがオンでなければ、ステップ#1に戻る。一方、1stレリーズがオンであれば、ステップ#10に戻り、前述の処理を実行する。ステップ#10→#13→#15→#10を繰り返し実行する間、レンズ水滴除去動作を継続するので、この間に、レンズ101aaの外側に付着した水滴は、超音波振動波によって除去される。
【0077】
ステップ#10における判定の結果、水滴除去タイムがタイムオーバーした場合には、レンズ水滴除去動作を停止する(#11)。ここでは、レンズCPU111に水滴除去動作停止を指令し、圧電素子駆動回路106における動作を停止する。レンズ水滴除去動作を停止すると、ステップ#13に進む。
【0078】
ステップ#13における判定の結果、2ndレリーズがオンとなると(タイミングt15)、ステップ#17以下において、撮影動作に移る。まず、レンズ水滴除去動作を停止する(#17)。2ndレリーズがオンとなる前に、ステップ#10において水滴除去タイムがオーバーしていた場合には、ステップ#11においてレンズ水滴除去動作が停止しており、この場合にはこのステップ#17をスキップする。一方、2ndレリーズがオンとなる前に水滴除去タイムがオーバーしていない場合には、このステップ#17でレンズ水滴除去動作を停止する。これによって、可動反射ミラー201の上昇動作等電源を多く必要とする動作と、水滴除去動作を並行して行うことを禁止し、電源電圧低下を防止することができる。
【0079】
レンズ水滴除去動作を行うと、以下の動作は第1実施形態と同様であり、まず合焦表示をオフし(#19)、ミラーアップおよび絞り込みを行う(#21)。続いて、露光を実行する(#23、タイミングt17)。このステップでは、シャッタ213の先幕を走行させ、撮像素子211上に結像した被写体像を光電変換し、所定時間経過後に、シャッタ213の後幕を走行させて露光動作を終了する。露光動作が終わると(タイミングt18)、ミラーダウンと絞り開放を開始する(#25、タイミングt19)。ミラーダウン、絞り開放を行うと、メインルーチンに戻り、1stレリーズの状態検出を行う。
【0080】
このように、本発明の第2実施形態においては、2ndレリーズがオンとなり、撮影動作に入った際に、レンズ水滴除去動作が終了していない場合には、この動作を停止させている。このため、レンズ水滴除去動作とミラーアップ動作や絞り込み動作が同時に並行して実行されることがなく、電源電圧が低下し、動作が不安定となったり動作停止となることを防止することができる。
【0081】
次に、本発明の第3実施形態について、図12を用いて説明する。本発明の第2実施形態においては、2ndレリーズがオンとなってからレンズ水滴除去動作を停止していたが、本実施形態においては、露光動作に入るまでは継続可能としている。本実施形態の構成は、第1実施形態とほぼ同様であり、図9に示したタイミングチャートを図12に示すタイミングチャートに置き換え、このタイミングチャートに合わせてフローチャートを変更するだけである。このため、相違点を中心に説明する。ただし、本実施形態における電源は、第1および第2実施形態の場合より、容量が十分にあり、撮影時の可動反射ミラー201、絞り103、シャッタ213の吸着用のマグネットの駆動と共に、レンズ水滴除去動作を実行しても電源電圧が低下し動作が不安定になったり動作停止となることはない。
【0082】
本実施形態において、1stレリーズスイッチがオンとなると(タイミングt21)、第1および第2実施形態と同様に、測距を行う。この測距が終わると、測距結果に基づいてフォーカスレンズ駆動を開始し(タイミングt23)、合焦状態となると合焦表示を行う(タイミングt23〜t25)。また、合焦状態となったタイミングt23で、レンズ水滴除去動作を開始する。このレンズ水滴除去動作は第1実施形態におけるステップ#9における水滴除去動作と同じである。
【0083】
続いて、2ndレリーズスイッチがオンとなると(タイミングt25)、合焦表示を停止するが、レンズ除去動作は続行する。また、2ndレリーズスイッチがオンとなることにより撮影動作を開始し、可動反射ミラー201のダウン位置からアップ位置に回動させ、絞り103の絞り込みを行う。これらの動作が終わると、第1実施形態におけるステップ#23と同様に、露光動作に移る(タイミングt27)。
【0084】
この露光動作に入る直前でレンズ水滴除去動作を停止する。すなわち、合焦状態になると開始されたレンズ水滴除去動作を停止する。露光動作が終了すると、第1および第2実施形態と同様、ミラーダウンや絞り開放等の動作を行い、これらの動作を終了すると、元のフローに戻る。
【0085】
本発明の第3実施形態においては、電源容量が十分にあることから、レンズ水滴除去動作を可動反射ミラー201等の駆動と並行して行っている。露光の直前まで水滴除去を行うことができることから、水滴を確実に除去することができる。
【0086】
本発明の第3実施形態の変形例として、レンズ水滴除去の動作を非合焦状態から合焦状態に変化した際ではなく、2ndレリーズスイッチがオンとなった際に開始するようにしても良い。この場合には、露光前のタイミングで確実に水滴を除去することができる。また、フォーカスレンズ駆動動作とレンズ水滴除去動作を同時に駆動しても、電源に余裕があるようであれば、1stレリーズスイッチがオンした際に、レンズ水滴除去動作を開始するようにしても良い。
【0087】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、撮影光学系101のフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に、撮影光学系の最前面のレンズ101aaを振動させている。このため、雨天時にユーザに負担を強いることなく効率的に水滴除去を行うことができる。
【0088】
また、本発明の各実施形態においては、圧電素子105等を含むレンズ鏡筒内100内の振動装置は、上記光学駆動機構107および絞り駆動機構109が停止している状態時のみ、駆動可能となっている。このため、水滴除去動作とフォーカス動作や絞り駆動動作が同時に実行され、電源電圧が低下し動作が不安定となったり動作停止となることがない。
【0089】
さらに、本発明の各実施形態においては、圧電素子105への固定部近傍にて、信号伝達部材としてのフレキシブル基板126に当接する振動吸収部材122を設けている。このため、圧電素子105において発生する振動を吸収することができる。
【0090】
なお、本実施形態においては、レンズ鏡筒100は交換レンズであり、カメラ本体200に対して脱着可能であった。しかし、これに限らず、レンズ鏡筒100とカメラ本体200が一体に構成されていても勿論かまわない。
【0091】
また、本実施形態においては、撮影光学系101の最前面にレンズ101aaを配置し、これに圧電素子105を固着して、水滴を除去していた。しかし、これに限らず、撮影光学系101の最前面はガラス平板等の部材を配置し、これに圧電素子105を固着して水滴を除去するようにしても良い。
【0092】
さらに、本実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、水滴除去動作を採用する撮影のための機器であれば、本発明を適用することができる。
【0093】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
26・・・液晶モニタ、27・・・本体基板、41・・・N進カウンタ、42・・・1/2分周回路、43・・・インバータ、44・・・MOSトランジスタ、45・・・トランス、46・・・抵抗、53・・・電源回路、55・・・クロックジェネレータ、60・・・内蔵フラッシュ、100・・・レンズ鏡筒、101・・・撮影光学系、101a・・・第1群レンズ、101aa・・・レンズ、101aaa・・・圧電素子接着面、101ab・・・レンズ、101ac・・・レンズ、101b・・・第2群レンズ、102a・・・マルチコーティング、102b・・・撥水コーティング、103・・・絞り、105・・・圧電素子、105a・・・信号電極、105b・・・信号電極、105A・・・圧電素子、105Aa・・・信号電極、105B・・・圧電素子、105Ba・・・信号電極、106・・・圧電素子駆動回路、107・・・光学系駆動機構、109・・・絞り駆動機構、110・・・レンズ基板、111・・・レンズCPU、121・・・レンズ枠、122・・・振動吸収部材、123・・・カバーリング、124・・・弾性部材、125・・・レンズ受け枠、125a・・・孔、126・・・フレキシブル基板、200・・・カメラ本体、201・・・可動反射ミラー、202・・・サブミラー、203・・・フォーカシングスクリーン、204・・・ペンタプリズム、205・・・接眼光学系、206・・・測光センサ、207・・・防塵フィルタ、208・・・圧電素子、209・・・光学的ローパスフィルタ、210・・・赤外カットフィルタ、211・・・撮像素子、212・・・測光処理回路、217・・・測距ユニット、218・・・測距センサ、219・・・測距回路、220・・・圧電素子駆動回路、221・・・シャッタ駆動機構、222・・・可動ミラー駆動機構、223・・・撮像素子駆動回路、224・・・撮像素子ユニット、227・・・画像処理回路、229・・・ボディCPU、231・・・圧縮伸張回路、233・・・ビデオ信号出力回路、235・・・液晶モニタ駆動回路、237・・・SDRAM制御回路、238・・・SDRAM、239・・・入出力回路、241・・・通信回路、243・・・記録媒体制御回路、245・・・記録媒体、247・・・フラッシュメモリ制御回路、249・・・フラッシュメモリ、253・・・スイッチ検出回路、255・・・各種スイッチ、256・・・水滴除去スイッチ、257・・・パワースイッチ、259・・・着脱検知スイッチ、261・・・データバス、262・・・ASIC、300・・・通信接点
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒、カメラ、およびカメラシステムに関し、詳しくは、撮影レンズに付着する水滴を除去可能としたレンズ鏡筒、カメラ、およびカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
雨天時にカメラで撮影する場合、水滴が撮影レンズに付着すると、撮影画像に悪影響を与えてしまう。撮影画像への悪影響を避けるには、レンズに付着した水滴を拭くようにすれば良いが、決定的な撮影チャンスを逃すおそれがある。また、雨天用のカバーをカメラに被せて撮影することが知られているが、カバーをわざわざ被せなければならず煩雑である。また、空気や遠心力で水滴を除去することが考えられるが装置が大型化してしまう。
【0003】
そこで、超音波振動子を用いて振動波によって水滴を除去することが提案されている。例えば、特許文献1には、透光フィルタの一面に振動子を取り付け、これを振動させることにより、透光フィルムの外表面に付着した水滴や塵埃を除去するようにした光学装置が開示されている。また、特許文献2には、レンズ等に粉塵が付着し光学機器の機能が失われたり検出精度が低下するのを解決するために、レンズ等を超音波にて振動させるようにした光学機器における防塵方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−244281号公報
【特許文献2】特開昭62−165127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、塵埃や水滴等を除去するために光学レンズ等を超音波で振動させることは知られている。しかし、雨天時に、水滴等の除去のためにレンズを振動させるタイミングが悪いと、実際に撮影する際に水滴が再び付着してしまうおそれがあり、また常時レンズを振動させると、効率が悪くなってしまう。つまり、ユーザはどのタイミングが良いかを考えていなければならず、撮影に集中することができない。また、レンズ鏡筒の最先端のレンズに圧電素子を設け超音波で振動させるとすると、振動がレンズ鏡筒全体に伝わり音が発生してしまったり、振動で圧電素子との接続が外れてしまうという不具合がある。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、第1の課題は、雨天時にユーザに負担を強いることなく効率的に水滴除去を行うことができるレンズ鏡筒、カメラ、およびカメラシステムを提供することを目的とする。また、本発明の第2の課題は、圧電素子で発生する振動を吸収することのできるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため第1の発明に係わるレンズ鏡筒は、撮影レンズと、撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、オートフォーカスが可能なカメラボディとの間の通信を可能とする通信手段と、を具備するレンズ鏡筒において、上記撮影レンズのフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に、上記最前面のレンズを振動させる。
【0008】
第2の発明に係わるレンズ鏡筒は、上記第1の発明において、上記最前面のレンズは、レンズに固定された圧電素子により振動する。
第3の発明に係わるレンズ鏡筒は、上記第1の発明において、上記最前面のレンズの振動中に、上記カメラボディにおいて、セカンドレリーズが操作された場合には、上記最前面のレンズの振動を中止する。
【0009】
第4の発明に係わるレンズ鏡筒は、上記第1の発明において、上記最前面のレンズの振動は、予め決められた所定時間、実行すると停止する。
第5の発明に係わるレンズ鏡筒は、上記第1の発明において、上記最前面のレンズの振動中に、上記カメラボディにおいて、露光動作が開始される直前に、上記最前面のレンズの振動を中止する。
【0010】
第6の発明に係わるレンズ鏡筒は、第1の発明において、上記振動装置は、上記最前面のレンズに固定された圧電素子と、上記圧電素子に固定された信号伝達手段と、上記圧電素子への固定部近傍にて、上記信号伝達手段に当接する弾性部材と、を有する。
【0011】
第7の発明に係わるカメラシステムは、撮影レンズと、上記撮影レンズの合焦距離を変化させる光学系駆動機構と、上記撮影レンズの透過光量を変化させる絞り駆動機構と、上記撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、上記撮影レンズを装着可能なカメラボディと、上記カメラボディから上記撮影レンズへの電力供給と、上記カメラボディと上記撮影レンズの間の通信を可能とする伝達手段と、を有するカメラシステムにおいて、上記振動装置は、上記光学駆動系及び絞り駆動機構が停止している状態時のみ、駆動可能である。
【0012】
第8の発明に係わるカメラは、撮影レンズと、上記撮影レンズの合焦距離を変化させる光学系駆動機構と、上記撮影レンズの透過光量を変化させる絞り駆動機構と、上記撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、を有するカメラにおいて、上記振動装置は、上記光学駆動系及び絞り駆動機構が停止している状態時のみ、駆動可能である。
【0013】
第9の発明に係わるカメラは、被写体像を結像させるための撮影レンズの焦点状態を検出する焦点検出手段と、上記撮影レンズ内に配置された水滴除去制御手段と通信を行うための通信手段と、上記焦点検出手段によって、上記撮影レンズが合焦状態となったことを検出した際に、上記通信手段を介して、上記水滴除去制御部に水滴除去動作を開始させる制御手段と、を有する。
【0014】
第10の発明に係わるレンズ鏡筒は、被写体像を形成するレンズ群と、上記レンズ群の内の最前面のレンズに固定された圧電素子と、上記圧電素子に固定された信号伝達手段と、上記最前面のレンズに密着して配置された第1の弾性部材と、上記圧電素子への固定部近傍にて、上記信号伝達手段に当接する第2の弾性部材と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、雨天時にユーザに負担を強いることなく効率的に水滴除去を行うことができるレンズ鏡筒、カメラ、およびカメラシステムを提供することができる。また、圧電素子で発生する振動を吸収することのできるレンズ鏡筒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムにおいて、撮影光学系の光軸方向に沿った内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るレンズ鏡筒の先端部分であって、(a)は光軸方向に沿ったレンズ鏡筒の要部断面図であり、(b)はレンズの要部断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わるレンズ鏡筒において、レンズと圧電素子の分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例に係わるレンズ鏡筒において、レンズと圧電素子の分解斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムの電気回路を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムにおける圧電素子駆動回路とその周辺回路の回路構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるカメラシステムの圧電素子駆動回路とその周辺回路の動作を説明するための図6の各部における信号波形を表すタイミングチャート図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態に係わるカメラシステムの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラとレンズ鏡筒とからなるカメラシステムを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わるカメラシステムの内部機構について、撮影光学系の光軸方向に沿った内部構成ブロック図である。本実施形態に係わるカメラシステムはレンズ鏡筒100とカメラ本体200とから構成され、レンズ鏡筒100はカメラ本体200に対して着脱自在に構成されている。
【0018】
レンズ鏡筒100内には、図1に示すように、第1群レンズ101aと第2群レンズ101bとから構成される撮影光学系101が配置されている。第1群レンズ101aの内のレンズであって、被写体光束の結像にあたって妨げとならない位置に圧電素子105が固着されている。この圧電素子105の配設については図2及び図3を用いて後述する。また、レンズ鏡筒100内には、図5において説明するように、種々の電気回路が配置されており、これらの電気回路を収納するレンズ基板110が配置されている。
【0019】
レンズ鏡筒100の内部に配置された撮影光学系101の光軸上であって、カメラ本体200のミラーボックス内には、可動反射ミラー201が配置されている。この可動反射ミラー201は、被写体光束をペンタプリズム204等のファインダ光学系に反射するために撮影光学系101の光軸に対して45度傾いた反射位置と、被写体像を撮像素子ユニット224(図5参照)中の撮像素子211に導くために、撮影光路から退避した退避位置とに回動可能となっている。
【0020】
可動反射ミラー201の回動軸は図1の紙面に対して垂直方向に沿っている。この可動反射ミラー201によって、上方に被写体光束を反射する。なお、本実施形態では、上方に反射しているが、これに限らず、カメラ本体の右方でも左方でも、被写体光束の反射方向は機構部材や光学部材の配置上、最も適切になるように選択してよい。
【0021】
可動反射ミラー201の反射光軸上にフォーカシングスクリーン203が配置されている。これは撮影光学系101による被写体光束を結像させるための結像面であり、可動反射ミラー201からの距離が撮像素子211と等価な位置に配設されている。フォーカシングスクリーン203の上方には、被写体像を左右反転させるためのペンタプリズム204が配置されている。ペンタプリズム204の後方には、接眼光学系205が配置されており、撮影者は接眼部側から接眼光学系205を覗いて被写体像の確認を行うことができる。
【0022】
可動反射ミラー201の中央付近はハーフミラーで構成されており、この可動反射ミラー201の背面には、ハーフミラー部を透過した被写体光束を反射するための測距用のサブミラー202が設けられている。このサブミラー202は、可動反射ミラー201に対して回動可能であり、可動反射ミラー201が撮影光路から退避し、被写体光束が撮像素子211に入射しているときには、ハーフミラー部を覆う位置に回動し、可動反射ミラー201が図示の如き被写体像観察位置(挿入状態)にあるときには、可動反射ミラー201に対して起き上がって開となり測距ユニット217に被写体光束の一部を反射可能となる位置にある。
【0023】
サブミラー202の反射光路上に測距用センサを含むTTL位相差方式の測距ユニット217が配置されており、測距ユニット217によって、撮影光学系101によって結像される被写体像の焦点ズレ方向と焦点ズレ量を検出する。
【0024】
可動反射ミラー201の後方には、フォーカルプレーンタイプのシャッタ213が配置されている。シャッタ213の後方であって、撮影光学系101の光軸上には、防塵フィルタ207、光学的ローパスフィルタ209、赤外カットフィルタ210、撮像素子211が順次、配置されている。防塵フィルタ207の周縁部付近には圧電素子208が固着されており、超音波振動によって防塵フィルタ207に付着した塵埃を除去する。光学ローパスフィルタ209は被写体光束から撮像にあたって有害な高周波成分を除去し、また赤外カットフィルタ210は被写体光束から赤外光成分を除去する。撮像素子211は、撮影光学系101によって結像された被写体像を電気信号に光電変換する。
【0025】
撮像素子211の背面側には図5を用いて説明する電気回路等が配設された本体基板27が配置されている。また、カメラ本体200の背面であってユーザが観察しやすい位置に液晶モニタ26が配置されている。液晶モニタ26はライブビュー表示、記録済みの画像データの再生表示および各種メニューモード等の各種表示を行う。なお、液晶モニタ26はカメラ本体200の背面に配置されるが、撮影者が観察できる位置であれば、背面に限らないし、また液晶に限らず有機ELディスプレイ等、他の表示装置でも構わない。さらに、固定式に限らず、可動式のモニタであってもよい。
【0026】
カメラ本体200の前方上部には、被写体の補助照明用の内蔵フラッシュ60が配置されている。内蔵フラッシュ60は、発光部がカメラ本体200内に収納された収納状態(図1参照)と、発光部が被写体側に向けて起き上った状態となるポップアップ状態とに切り換えられる。
【0027】
次に、レンズ鏡筒100の撮影光学系101の第1群レンズ101a内に配置されている振動部について図2及び図3を用いて説明する。図2(a)は、レンズ鏡筒100の先端部の要部断面図であり、図2(b)は撮影光学系101の最先端のレンズ101aaのコーティング状態を示す要部断面図である。図3は圧電素子105の配設状態を示す分解斜視図である。
【0028】
レンズ鏡筒100内の撮影光学系101を保持するための筒状のレンズ枠121内には、第1群レンズ101aが嵌合されている。第1群レンズ101aは、本実施形態においては、レンズ先端側から、レンズ101aa、101ab、101acの順次に配置されている。レンズ101aaとレンズ101abは一体に接着されており、レンズ101aaの直径がレンズ101abより若干大きく、レンズ101aaの裏面の周端側には圧電素子接着面101aaa(図3参照)の平面が円環状に形成されている。
【0029】
レンズ101aaは、弾性部材124によってレンズ枠121内において押接されており、弾性部材124の外側の全周はカバーリング123によって防水効果をもって覆われている。レンズ101aaと一体に接着されているレンズ101abの内側端部は、レンズ受け枠125の受け部に当て付けられている。したがって、レンズ101aaとレンズ101abは、弾性部材124によってレンズ受け枠125に押しつけられ固定されている。また、レンズ101acはレンズ受け枠125の別の受け部で保持されている。
【0030】
撮影光学系101の最前面に配置されているレンズ101aaの外側表面には、図2(b)に示すように、被写体光束の反射を防止するためのマルチコーティング102aが施されている。また、マルチコーティングの外側には、フッ素コート等による撥水コーティングが施されている。レンズ101aaに雨等の水滴が付着した場合、撥水コーティングによって水滴を小さくし、振動波によって振り落としやすくすることができる。
【0031】
圧電素子105は、前述したように、レンズ101aaの圧電素子接着面101aaaに固着されている。また、圧電素子105には、図3に示すように、信号電極105a、105bが形成されており、両電極にプラス電圧とマイナス電圧の駆動信号を交互に印加することにより弾性波が生じ、レンズ101aaの表面に超音波振動が発生する。圧電素子105の両電極には、駆動信号をそれぞれ給電するためのフレキシブル基板126の一端が接続されている。このフレキシブル基板126の他端は、レンズ受け枠125に設けられた孔125aを通してレンズ基板110(図1参照)に接続している。
【0032】
また、フレキシブル基板126の一端側で圧電素子105との接続付近では、レンズ枠121の内側に設けられた振動吸収部材122に当接している。この振動吸収部材122によって、圧電素子105によって発生した振動が外部に伝わらないように吸収する。
【0033】
本実施形態においては、圧電素子105は円環状に形成されているが、これに限らず、図4に示すように、2つの円弧状に形成された圧電素子105A、105Bに分割するようにしても良い。圧電素子105Aには2つの信号電極105Aa、圧電素子105Bには2つの信号電極105Baを設け、それぞれの信号電極105Aa、105Baに駆動信号を供給する。なお、圧電素子105の分割数は2分割以外にも、3分割、4分割等、適宜変更しても良い。また、各圧電素子の形状は、図4に示すような円弧状に限らず、例えば、長方形等の矩形でも構わない。
【0034】
次に、図5を用いて、本実施形態におけるカメラシステムの電気回路について説明する。レンズ鏡筒100の内部には、前述したように焦点調節および焦点距離調節用の撮影光学系101を構成する第1群および第2群レンズ101a、101bと、開口量を調節するための絞り103が配置されており、第1群レンズ101aの最前面のレンズ101aaには圧電素子105が固着されている。なお、図5では、レンズ101aaを簡略化しており、また、絞り103は、第1群レンズ101aと第2群レンズの中間に配置しているが、絞り103の位置は適宜変更しても良い。
【0035】
第1群および第2群レンズ101a、101bの内のフォーカスレンズやズームレンズは光学系駆動機構107によって駆動され、絞り103は絞り駆動機構109によって駆動される。圧電素子105は圧電素子駆動回路106に接続され、圧電素子駆動回路106によって駆動信号が供給され、圧電素子105は振動する。圧電素子駆動回路106の詳細については、図6を用いて後述する。
【0036】
圧電素子駆動回路106、光学系駆動機構107、および絞り駆動機構109はそれぞれレンズCPU111に接続されており、このレンズCPU111は通信接点300を介してカメラ本体200に接続されている。レンズCPU111はレンズ鏡筒100内の制御を行うものであり、光学系駆動機構107を制御してピント合わせや、ズーム駆動を行うとともに、絞り駆動機構109を制御して絞り値制御を行う。また、圧電素子駆動回路106を制御して、レンズ101aaを振動させ、超音波振動波によって水滴等を除去する。なお、光学系駆動機構107および絞り駆動機構109の電気回路の部分、圧電素子駆動回路106、およびレンズCPU111等は、前述のレンズ基板110(図1参照)内に配設されている。
【0037】
カメラ本体200内には、前述したように、被写体像を観察光学系に反射するために撮影光学系101の光軸に対して45度傾いた位置と、被写体像を撮像素子211に導くために跳ね上がった位置との間で、回動可能な可動反射ミラー201が設けられている。この可動反射ミラー201の上方には、被写体像を結像するためのフォーカシングスクリーン203が配置され、このフォーカシングスクリーン203の上方には、被写体像を左右反転させるためのペンタプリズム204が配置されている。
【0038】
ペンタプリズム204の出射側(図5で右側)には被写体像観察用の接眼光学系205が配置され、この脇であって被写体像の観察に邪魔にならない位置に測光センサ206が配置されている。この測光センサ206は被写体像を分割して測光する多分割測光素子で構成されている。測光センサ206の出力は、測光処理回路212に接続されており、測光処理回路212は測光センサ206の出力に基づいて、被写体輝度に応じた被写体輝度信号を出力する。
【0039】
上述の可動反射ミラー201の中央付近はハーフミラーで構成されており、この可動反射ミラー201の背面には、前述したように回動可能なサブミラー202が設けられている。可動反射ミラー201は可動ミラー駆動機構222によって駆動されている。
【0040】
サブミラー202の下方には測距ユニット217が配置されており、測距ユニット217は、測距センサ218と、この出力が接続された測距回路219から構成される。測距センサ218と測距回路219によって、撮影光学系レンズ101によって結像される被写体像の焦点ズレ方向と焦点ズレ量を、所謂位相差法によって測定することができる。
【0041】
可動反射ミラー201の後方には、前述したように、露光時間制御用のフォーカルプレーンタイプのシャッタ213が配置されており、このシャッタ213はシャッタ駆動機構221によって駆動制御される。シャッタ213の後方には撮像素子211が配置されており、撮影光学系101によって結像される被写体像を電気信号に光電変換する。なお、撮像素子211としては、CCD(Charge Coupled Devices)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の二次元固体撮像素子を使用することができる。
【0042】
上述のシャッタ213と撮像素子211の間には、除塵機構を構成する防塵フィルタ207とこの防塵フィルタ207の周縁部に接着もしくは圧接された圧電素子208が配置されている。この圧電素子208は、圧電素子駆動回路220に接続されており、この圧電素子駆動回路220から駆動信号を受け超音波で振動し、防塵フィルタ207に付着した塵埃等を除去する。圧電素子駆動回路220は、圧電素子駆動回路106と同様な回路で構成されており、詳細は図6を用いて後述する。
【0043】
防塵フィルタ207と撮像素子211との間には、被写体像の高周波成分をカットし、低周波のみを通過させるための光学的ローパスフィルタ209と、赤外光成分をカットする赤外カットフィルタ210とが配置されている。これらの防塵フィルタ207、圧電素子208、ローパスフィルタ209、赤外カットフィルタ210および撮像素子211は、撮像素子ユニット224を構成しており、この撮像素子ユニット224は、塵埃等が侵入し難いように、隙間が少なくなるように構成されている。なお、防塵フィルタ207は、ローパスフィルタ209や赤外カットフィルタ210等の他の光学素子と兼用しても良い。
【0044】
撮像素子211は撮像素子駆動回路223に接続され、入出力回路239からの制御信号によって駆動制御される。撮像素子駆動回路223によって、撮像素子211から出力された光電アナログ信号が増幅され、アナログデジタル変換(AD変換)される。撮像素子駆動回路223はASIC(Application Specific Integrated Circuit 特定用途向け集積回路)262内の画像処理回路227に接続され、この画像処理回路227によってデジタル画像データのデジタル的増幅(デジタルゲイン調整処理)、色補正、ガンマ(γ)補正、コントラスト補正、白黒・カラーモード処理、スルー画像処理といった各種の画像処理がなされる。
【0045】
画像処理回路227は、データバス261に接続されている。このデータバス261には、画像処理回路227の他、後述するシーケンスコントローラ(以下、「ボディCPU」と称す)229、圧縮伸張回路231、ビデオ信号出力回路233、SDRAM制御回路237、入出力回路239、通信回路241、記録媒体制御回路243、フラッシュメモリ制御回路247、スイッチ検知回路253が接続されている。
【0046】
データバス261に接続されているボディCPU229は、このデジタルカメラの動作を制御するものであり、フラッシュメモリ249に記憶されているプログラムに従って制御を行う。またデータバス261に接続されている圧縮伸張回路231はSDRAM238に記憶された画像データをJPEG等の静止画用の圧縮形式で圧縮し、また画像再生時に伸張するための回路である。なお、画像圧縮はJPEGに限らず、他の圧縮方法も適用できる。
【0047】
データバス261に接続されたビデオ信号出力回路233は液晶モニタ駆動回路235を介して背面液晶モニタ26に接続される。ビデオ信号出力回路233は、SDRAM238、または記録媒体245に記憶された画像データを、背面液晶モニタ26に表示するためのビデオ信号に変換するための回路である。
【0048】
背面液晶モニタ26はカメラ本体200の背面に配置されるが、撮影者が観察できる位置であれば、背面に限らないし、また液晶に限らず他の表示装置でも構わない。SDRAM238は、SDRAM制御回路237を介してデータバス261に接続されており、このSDRAM238は、画像処理回路227によって画像処理された画像データまたは圧縮伸張回路231によって圧縮された画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリである。
【0049】
上述の測光処理回路212、測距回路219、圧電素子駆動回路220、シャッタ駆動機構221、可動ミラー駆動機構222、撮像素子駆動回路223に接続される入出力回路239は、データバス261を介してボディCPU229等の各回路とデータの入出力を制御する。レンズCPU111と通信接点300を介して接続された通信回路241は、データバス261に接続され、ボディCPU229等とのデータのやりとりや制御命令の通信を行う。
【0050】
データバス261に接続された記録媒体制御回路243は、記録媒体245に接続され、この記録媒体245への画像データ等の記録の制御を行う。記録媒体245は、xDピクチャーカード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード(登録商標)またはメモリスティック(登録商標)等の書換え可能な記録媒体のいずれかが装填可能となるように構成され、カメラ本体200に対して着脱自在となっている。その他、マイクロドライブ(登録商標)などの様なハードディスクユニットや無線通信ユニットを接続可能に構成してもよい。
【0051】
データバス261に接続されているフラッシュメモリ制御回路247は、フラッシュメモリ(Flash Memory)249に接続され、このフラッシュメモリ249は、カメラのフローを制御するためのプログラムが記憶されている。ボディCPU229はこのフラッシュメモリ249に記憶されたプログラムに従ってデジタルカメラの制御を行う。なお、フラッシュメモリ249は、電気的に書換可能な不揮発性メモリである。
【0052】
カメラ本体200やレンズ鏡筒100のパワー供給の制御を行うためのパワースイッチレバーに連動してオン・オフするパワースイッチ257と、シャッタレリーズ釦に連動するスイッチ、再生モードを指示する再生釦に連動するスイッチ、背面液晶モニタ26の画面でカーソルの動きを指示する十字釦に連動するスイッチ、スルー画表示の切り替えを行う表示切換釦に連動するスイッチ、撮影モードを指示するモードダイヤルに連動するスイッチ、選択された各モード等を決定するOK釦に連動するOKスイッチ、水滴除去動作を指示する水滴除去釦に連動する水滴除去スイッチ256、レンズ鏡筒100のカメラ本体への着脱状態を検知する着脱検知スイッチ259等の各種スイッチ255は、スイッチ検知回路253を介してデータバス261に接続されている。
【0053】
なお、レリーズ釦は、撮影者が半押しするとオンする第1レリーズスイッチと、全押しするとオンする第2レリーズスイッチを有している。この第1レリーズスイッチ(以下、1Rと称する)のオンによりカメラは焦点検出、撮影レンズのピントあわせ、被写体輝度の測光等の撮影準備動作を行い、第2レリーズスイッチ(以下、2Rと称する)のオンにより撮像素子の出力に基づいて被写体像の画像データの取り込みを行う撮影動作を実行する。また、水滴除去256は、撮影者が水滴除去動作を指示する際に操作する水滴除去釦に連動するスイッチである。着脱検知スイッチ259は、カメラ本体200にレンズ鏡筒100が装着状態にあるか否かを検知するスイッチである。
【0054】
次に、図6及び図7を用いて水滴除去動作を行う圧電素子駆動回路106と、塵埃除去動作を行う圧電素子駆動回路220とその周辺回路について説明する。なお、圧電素子駆動回路220の内部は圧電素子駆動回路106と同様であり、図6におけるレンズCPU111を入出力回路239に置き換え、圧電素子105を圧電素子208に置き換える以外には、同様であるので、ここでは、圧電素子駆動回路106について説明する。
【0055】
圧電素子駆動回路106内に配置されたN進カウンタ41は、レンズCPU111内のクロックジェネレータ55から出力されるクロックパルス(Sig1)を入力し、またレンズCPU111の出力IOポートであるD_NCnt端子から出力されるカウンタ設定値Nを入力する。N進カウンタ41はクロックパルスをカウントし、このカウント値がカウンタ設定値Nとなるとパルス(Sig2)を出力する。このパルスSig2を入力するDフリップフロップから構成される1/2分周回路42は、パルスSig2の立ち上がり信号を入力するたびに出力(Sig3)が反転する分周回路である。
【0056】
1/2分周回路42の出力端子はインバータ43の入力端子に接続され、このインバータ43の出力端子は、MOSトランジスタ(Q02)44cのゲートに接続される。MOSトランジスタ(Q02)44cのソースはトランス45の一次側の一端に接続され、ドレインは抵抗(R00)46を介して接地されている。また、1/2分周回路42の出力端子はMOSトランジスタ(Q01)44bのゲートにも接続され、MOSトランジスタ(Q01)44bのソースはトランス45の一次側の他端に接続され、ドレインはMOSトランジスタ(Q02)44cのドレインに接続されている。
【0057】
トランス45の一次側中間タップは、電源オン・オフ用のMOSトランジスタ(Q00)44aのドレインに接続しており、このMOSトランジスタ(Q00)44aのゲートは、レンズCPU111のIOポートであるP_PwCont端子に接続され、このトランジスタ44aのソースは電源回路53に接続されている。また、トランス45の二次側の一端は、圧電素子105の一端に接続され、トランス45の二次側の他端は、MOSトランジスタ(Q01)44b、(Q02)44cのドレインに接続されると共に、抵抗(R00)46を介して接地されている。圧電素子105の他端は接地されており、圧電素子105の一端側より、トランス45による昇圧交流電圧(Sig4)を受け、超音波振動を行う。
【0058】
以上のように、圧電素子駆動回路106とその周辺回路は構成されている。まず、MOSトランジスタ(Q00)44aのゲートに、レンズCPU111のP_PwCont端子からLレベル信号が印加されると、MOSトランジスタ44aはnチャネルタイプであることから、導通し、電源回路53から電源電圧がトランス45の一次側中間タップに印加される。
【0059】
この状態で、レンズCPU111のクロックジェネレータ55からクロックパルスSig1がN進カウンタ41に出力されると、N進カウンタ41はカウントを開始し、レンズCPU111のD_NCntを介して設定された設定値Nまでカウントすると、出力端子からパルス信号Sig2を出力する。N進カウンタ41からのパルス信号Sig2を入力する1/2分周回路42によって、デューティ比が50%のパルス信号(図7のSig3)に変換され、このパルス信号はMOSトランジスタ(Q01)44bのゲートと、インバータ43を介してMOSトランジスタ(Q02)44cに印加される。
【0060】
MOSトランジスタ(Q01)44bとMOSトランジスタ(Q02)44cは交互にオン状態となり、トランス45の一次側には中間タップを介して電源回路53から電源電圧が印加され、トランス45の巻線数比に従って昇圧された電圧(図7のSig4)が二次側から出力され、圧電素子105に印加される。圧電素子105に印加される高圧電圧の周波数はレンズCPU111のD_NCnt端子から設定される設定値Nによって変化させることができるので、圧電素子105の共振周波数となるように設定値Nを決めれば効率よく水滴(塵埃)を除去することができる。共振周波数は可聴周波数を越え、例えば、超音波周波数からなる。
【0061】
なお、本実施形態において、圧電素子駆動回路106と圧電素子駆動回路220は、同一の回路としたが、圧電素子駆動回路106は水滴除去用の振動を行い、圧電素子駆動回路220は除塵用の振動を行うので、それぞれ最適な回路となるように一部を変更しても構わない。また、D_NCnt端子から出力されるカウンタ設定値Nは、超音波振動を行うにあたって、共振周波数となるように、適宜変更するようにする。
【0062】
次に、本実施形態における動作について、図8に示すフローチャート、図9に示すタイミングチャートを用いて説明する。動作を開始すると、まず、レリーズ釦が半押しされたか、すなわち、1stレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(#1)。この判定はスイッチ検知回路253によって1stレリーズスイッチの状態を検出することにより行う。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオンでなかった場合には、繰り返し1stレリーズスイッチの状態を検出する待機状態となる。
【0063】
ステップ#1における判定の結果、1stレリーズスイッチがオンとなると(図9におけるタイミングt01)、測距を行う(#3)。このステップでは、測距センサ218および測距回路219等において、位相差AFにより焦点ズレ方向および焦点ズレ量を求める。測距を行うと、次に、フォーカスレンズ駆動を行う(#5、タイミングt02)。このステップでは、ステップ#3において求めた焦点ズレ方向および焦点ズレ量を用いて、レンズCPU111および光学系駆動機構107によって撮影光学系101のピント合わせを行う。
【0064】
ステップ#5においてフォーカスレンズ駆動を行うと、次に、合焦表示をオンする(#7、タイミングt03)。このステップでは、光学ファインダ中の合焦表示部材や、ライブビュー表示中であれば液晶モニタ26上に合焦表示を行う。また、合焦表示を行うと共に、レンズ水滴除去を行う(#9)。レンズ水滴除去は、レンズCPU111より圧電素子駆動回路106を駆動し、圧電素子105を超音波振動させることにより、レンズ101aaの表面に振動波を発生させて行う。水滴除去動作は予め決められた時間が経過すると(t04のタイミング)、停止する。なお、図9中、タイミングt03において、破線で測距を行うことを示しているのは、再度測距を行い、合焦点に到達しているか否かを判定する確認測距を行う場合を示している。確認測距の結果、非合焦であった場合には、再度フォーカスレンズ駆動を行う。
【0065】
続いて、レリーズ釦が全押しされたか、すなわち、2ndレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(#13)。この判定はスイッチ検知回路253によって2ndレリーズスイッチの状態を検出することにより行う。この判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンでなかった場合には、ステップ#1と同様に、1stレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(#15)。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオンの場合には、ステップ#13に戻り、2ndレリーズスイッチの状態と1stレリーズスイッチの状態を交互に検出する待機状態となる。一方、ステップ#15における判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、ステップ#1に戻る。この場合はレリーズ釦から撮影者の指が離れた状態であることから、最初に戻るようにしている。
【0066】
ステップ#13における判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンになると(タイミングt05)、ステップ#19以下において、撮影動作に移る。まず、ステップ#7において行った合焦表示をオフする(#19)。続いて、ミラーアップと絞り込みを行う(#21)。このステップでは、レンズCPU111に絞り込み指示を出し、絞り駆動機構109によって絞り103の絞り込みを行う。また、可動ミラー駆動機構222によって可動ミラー201を上昇させ、撮影光学系101の光軸から退避させる。
【0067】
これで、撮影動作の準備ができたので、次に、露光を行う(#23、タイミングt07)。露光動作は、シャッタ駆動機構221によってシャッタ先幕の走行を開始させる。そして、予め演算により求められた適正露光となるシャッタ秒時(露光時間)または手動設定されたシャッタ秒時が経過すると、シャッタ後幕を走行させる。なお、被写体が暗い場合等にはシャッタ先幕走行完了時等に内蔵フラッシュ60による補助照明を行う。
【0068】
露光動作が終わると(タイミングt08)、ミラーダウンと絞り開放を行う(#21)。このステップでは、可動ミラー駆動機構222によって可動ミラー201を下降させ(タイミングt09)、再び撮影光学系101からの被写体光束をファインダ光学系に導く。また、レンズCPU111に指示し、絞り駆動機構109によって絞り103を開放状態に駆動する。ミラーダウン、絞り開放を行うと、メインルーチンに戻り、1stレリーズの状態検出を行う。
【0069】
このように本発明の第1実施形態においては、撮影光学系101のフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に(タイミングt03)、最前面のレンズ101aaを振動させている。このため、雨天時にユーザに負担を強いることなく効率的に水滴除去を行うことができる。すなわち、本実施形態においては、合焦時に水滴除去を自動的に行っており、通常、合焦後、ほどなくレリーズ釦の全押しを行い、撮影を行うことが多いことから、水滴の影響を受けない良好な画像を得ることが可能である。
【0070】
また、本実施形態においては、圧電素子105による水滴除去のための振動は、光学駆動機構107および絞り駆動機構109が停止している状態時のみ、駆動可能としている。すなわち、絞り103はステップ#21およびステップ#25において駆動され、また、光学駆動機構107はステップ#5において駆動されており、ステップ#9におけるレンズ水滴除去動作時には、これらの機構は停止している。このため、電源の消耗が激しく、電源電圧が低下し動作が不安定となったり動作停止となることがない。
【0071】
さらに、本実施形態においては、圧電素子105に固着された信号伝達部材としてのフレキシブル基板126に当接するように振動吸収部材122を配置している。このため、圧電素子105において発生する振動を吸収することができる。また、振動がレンズ鏡筒100に伝わり音が発生して騒々しくなることを防止し、振動で圧電素子105とフレキシブル基板126との接続が外れてしまうという不具合を減らすことができる。
【0072】
次に、本発明の第2実施形態について、図10および図11を用いて説明する。第1実施形態においては、2ndレリーズがオンとなった時点でレンズ水滴除去動作が終了していない場合があったが、第2実施形態においては、2ndレリーズがオンとなるとレンズ水滴除去動作を強制的に終了するようにしている。
【0073】
第2実施形態の構成は、第1実施形態とほぼ同様であり、図8に示したフローチャートを図10に示すフローチャートに置き換え、また図9に示したタイミングチャートを図11に示すタイミングチャートに置き換えるだけである。このため、相違点を中心に説明する。また、図10に示すフローチャートにおいて、図8に示したフローチャートと同じ処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0074】
図10に示すフローがスタートし、1stレリーズがオンか否かを判定し(#1)、オンとなると、測距を行う(#3、タイミングt11)。この測距結果に基づいてフォーカスレンズを駆動し(#5、タイミングt12)、合焦点に達すると、合焦表示をオンする(#7、タイミングt13)。また、同時に、レンズ水滴除去動作をスタートすると共に、タイマをスタートする(#8、タイミングt13)。レンズ水滴除去動作は、前述のステップ#9と同様に、レンズCPU111より圧電素子駆動回路106を駆動し、圧電素子105を超音波振動させることにより、レンズ101aaの表面に振動波を発生させて行う。タイマは水滴除去動作の経過時間を計時する。
【0075】
次に、水滴除去タイムがオーバーしたか否かの判定を行う(#10)。ステップ#8においてスタートしたタイマの計時時間が所定時間を経過したか否かの判定を行う。ここで所定時間としては、予め決められた水滴除去動作を行う時間である。ステップ#10における判定の結果、タイムオーバーでなかった場合には、次に、2ndレリーズがオンか否かを判定する(#13)。この判定の結果、2ndレリーズがオンでなければ、次に、1stレリーズがオンか否かを判定する(#15)。
【0076】
ステップ#15における判定の結果、1stレリーズがオンでなければ、ステップ#1に戻る。一方、1stレリーズがオンであれば、ステップ#10に戻り、前述の処理を実行する。ステップ#10→#13→#15→#10を繰り返し実行する間、レンズ水滴除去動作を継続するので、この間に、レンズ101aaの外側に付着した水滴は、超音波振動波によって除去される。
【0077】
ステップ#10における判定の結果、水滴除去タイムがタイムオーバーした場合には、レンズ水滴除去動作を停止する(#11)。ここでは、レンズCPU111に水滴除去動作停止を指令し、圧電素子駆動回路106における動作を停止する。レンズ水滴除去動作を停止すると、ステップ#13に進む。
【0078】
ステップ#13における判定の結果、2ndレリーズがオンとなると(タイミングt15)、ステップ#17以下において、撮影動作に移る。まず、レンズ水滴除去動作を停止する(#17)。2ndレリーズがオンとなる前に、ステップ#10において水滴除去タイムがオーバーしていた場合には、ステップ#11においてレンズ水滴除去動作が停止しており、この場合にはこのステップ#17をスキップする。一方、2ndレリーズがオンとなる前に水滴除去タイムがオーバーしていない場合には、このステップ#17でレンズ水滴除去動作を停止する。これによって、可動反射ミラー201の上昇動作等電源を多く必要とする動作と、水滴除去動作を並行して行うことを禁止し、電源電圧低下を防止することができる。
【0079】
レンズ水滴除去動作を行うと、以下の動作は第1実施形態と同様であり、まず合焦表示をオフし(#19)、ミラーアップおよび絞り込みを行う(#21)。続いて、露光を実行する(#23、タイミングt17)。このステップでは、シャッタ213の先幕を走行させ、撮像素子211上に結像した被写体像を光電変換し、所定時間経過後に、シャッタ213の後幕を走行させて露光動作を終了する。露光動作が終わると(タイミングt18)、ミラーダウンと絞り開放を開始する(#25、タイミングt19)。ミラーダウン、絞り開放を行うと、メインルーチンに戻り、1stレリーズの状態検出を行う。
【0080】
このように、本発明の第2実施形態においては、2ndレリーズがオンとなり、撮影動作に入った際に、レンズ水滴除去動作が終了していない場合には、この動作を停止させている。このため、レンズ水滴除去動作とミラーアップ動作や絞り込み動作が同時に並行して実行されることがなく、電源電圧が低下し、動作が不安定となったり動作停止となることを防止することができる。
【0081】
次に、本発明の第3実施形態について、図12を用いて説明する。本発明の第2実施形態においては、2ndレリーズがオンとなってからレンズ水滴除去動作を停止していたが、本実施形態においては、露光動作に入るまでは継続可能としている。本実施形態の構成は、第1実施形態とほぼ同様であり、図9に示したタイミングチャートを図12に示すタイミングチャートに置き換え、このタイミングチャートに合わせてフローチャートを変更するだけである。このため、相違点を中心に説明する。ただし、本実施形態における電源は、第1および第2実施形態の場合より、容量が十分にあり、撮影時の可動反射ミラー201、絞り103、シャッタ213の吸着用のマグネットの駆動と共に、レンズ水滴除去動作を実行しても電源電圧が低下し動作が不安定になったり動作停止となることはない。
【0082】
本実施形態において、1stレリーズスイッチがオンとなると(タイミングt21)、第1および第2実施形態と同様に、測距を行う。この測距が終わると、測距結果に基づいてフォーカスレンズ駆動を開始し(タイミングt23)、合焦状態となると合焦表示を行う(タイミングt23〜t25)。また、合焦状態となったタイミングt23で、レンズ水滴除去動作を開始する。このレンズ水滴除去動作は第1実施形態におけるステップ#9における水滴除去動作と同じである。
【0083】
続いて、2ndレリーズスイッチがオンとなると(タイミングt25)、合焦表示を停止するが、レンズ除去動作は続行する。また、2ndレリーズスイッチがオンとなることにより撮影動作を開始し、可動反射ミラー201のダウン位置からアップ位置に回動させ、絞り103の絞り込みを行う。これらの動作が終わると、第1実施形態におけるステップ#23と同様に、露光動作に移る(タイミングt27)。
【0084】
この露光動作に入る直前でレンズ水滴除去動作を停止する。すなわち、合焦状態になると開始されたレンズ水滴除去動作を停止する。露光動作が終了すると、第1および第2実施形態と同様、ミラーダウンや絞り開放等の動作を行い、これらの動作を終了すると、元のフローに戻る。
【0085】
本発明の第3実施形態においては、電源容量が十分にあることから、レンズ水滴除去動作を可動反射ミラー201等の駆動と並行して行っている。露光の直前まで水滴除去を行うことができることから、水滴を確実に除去することができる。
【0086】
本発明の第3実施形態の変形例として、レンズ水滴除去の動作を非合焦状態から合焦状態に変化した際ではなく、2ndレリーズスイッチがオンとなった際に開始するようにしても良い。この場合には、露光前のタイミングで確実に水滴を除去することができる。また、フォーカスレンズ駆動動作とレンズ水滴除去動作を同時に駆動しても、電源に余裕があるようであれば、1stレリーズスイッチがオンした際に、レンズ水滴除去動作を開始するようにしても良い。
【0087】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、撮影光学系101のフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に、撮影光学系の最前面のレンズ101aaを振動させている。このため、雨天時にユーザに負担を強いることなく効率的に水滴除去を行うことができる。
【0088】
また、本発明の各実施形態においては、圧電素子105等を含むレンズ鏡筒内100内の振動装置は、上記光学駆動機構107および絞り駆動機構109が停止している状態時のみ、駆動可能となっている。このため、水滴除去動作とフォーカス動作や絞り駆動動作が同時に実行され、電源電圧が低下し動作が不安定となったり動作停止となることがない。
【0089】
さらに、本発明の各実施形態においては、圧電素子105への固定部近傍にて、信号伝達部材としてのフレキシブル基板126に当接する振動吸収部材122を設けている。このため、圧電素子105において発生する振動を吸収することができる。
【0090】
なお、本実施形態においては、レンズ鏡筒100は交換レンズであり、カメラ本体200に対して脱着可能であった。しかし、これに限らず、レンズ鏡筒100とカメラ本体200が一体に構成されていても勿論かまわない。
【0091】
また、本実施形態においては、撮影光学系101の最前面にレンズ101aaを配置し、これに圧電素子105を固着して、水滴を除去していた。しかし、これに限らず、撮影光学系101の最前面はガラス平板等の部材を配置し、これに圧電素子105を固着して水滴を除去するようにしても良い。
【0092】
さらに、本実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、水滴除去動作を採用する撮影のための機器であれば、本発明を適用することができる。
【0093】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
26・・・液晶モニタ、27・・・本体基板、41・・・N進カウンタ、42・・・1/2分周回路、43・・・インバータ、44・・・MOSトランジスタ、45・・・トランス、46・・・抵抗、53・・・電源回路、55・・・クロックジェネレータ、60・・・内蔵フラッシュ、100・・・レンズ鏡筒、101・・・撮影光学系、101a・・・第1群レンズ、101aa・・・レンズ、101aaa・・・圧電素子接着面、101ab・・・レンズ、101ac・・・レンズ、101b・・・第2群レンズ、102a・・・マルチコーティング、102b・・・撥水コーティング、103・・・絞り、105・・・圧電素子、105a・・・信号電極、105b・・・信号電極、105A・・・圧電素子、105Aa・・・信号電極、105B・・・圧電素子、105Ba・・・信号電極、106・・・圧電素子駆動回路、107・・・光学系駆動機構、109・・・絞り駆動機構、110・・・レンズ基板、111・・・レンズCPU、121・・・レンズ枠、122・・・振動吸収部材、123・・・カバーリング、124・・・弾性部材、125・・・レンズ受け枠、125a・・・孔、126・・・フレキシブル基板、200・・・カメラ本体、201・・・可動反射ミラー、202・・・サブミラー、203・・・フォーカシングスクリーン、204・・・ペンタプリズム、205・・・接眼光学系、206・・・測光センサ、207・・・防塵フィルタ、208・・・圧電素子、209・・・光学的ローパスフィルタ、210・・・赤外カットフィルタ、211・・・撮像素子、212・・・測光処理回路、217・・・測距ユニット、218・・・測距センサ、219・・・測距回路、220・・・圧電素子駆動回路、221・・・シャッタ駆動機構、222・・・可動ミラー駆動機構、223・・・撮像素子駆動回路、224・・・撮像素子ユニット、227・・・画像処理回路、229・・・ボディCPU、231・・・圧縮伸張回路、233・・・ビデオ信号出力回路、235・・・液晶モニタ駆動回路、237・・・SDRAM制御回路、238・・・SDRAM、239・・・入出力回路、241・・・通信回路、243・・・記録媒体制御回路、245・・・記録媒体、247・・・フラッシュメモリ制御回路、249・・・フラッシュメモリ、253・・・スイッチ検出回路、255・・・各種スイッチ、256・・・水滴除去スイッチ、257・・・パワースイッチ、259・・・着脱検知スイッチ、261・・・データバス、262・・・ASIC、300・・・通信接点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズと、
撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、
オートフォーカスが可能なカメラボディとの間の通信を可能とする通信手段と、
を具備するレンズ鏡筒において、
上記撮影レンズのフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に、上記最前面のレンズを振動させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
上記最前面のレンズは、レンズに固定された圧電素子により振動することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
上記最前面のレンズの振動中に、上記カメラボディにおいて、セカンドレリーズが操作された場合には、上記最前面のレンズの振動を中止することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
上記最前面のレンズの振動は、予め決められた所定時間、実行すると停止することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
上記最前面のレンズの振動中に、上記カメラボディにおいて、露光動作が開始される直前に、上記最前面のレンズの振動を中止することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
上記振動装置は、
上記最前面のレンズに固定された圧電素子と、
上記圧電素子に固定された信号伝達手段と、
上記圧電素子への固定部近傍にて、上記信号伝達手段に当接する弾性部材と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
撮影レンズと、
上記撮影レンズの合焦距離を変化させる光学系駆動機構と、
上記撮影レンズの透過光量を変化させる絞り駆動機構と、
上記撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、
上記撮影レンズを装着可能なカメラボディと、
上記カメラボディから上記撮影レンズへの電力供給と、上記カメラボディと上記撮影レンズの間の通信を可能とする伝達手段と、
を有するカメラシステムにおいて、
上記振動装置は、上記光学駆動系及び絞り駆動機構が停止している状態時のみ、駆動可能であることを特徴とするカメラシステム。
【請求項8】
撮影レンズと、
上記撮影レンズの合焦距離を変化させる光学系駆動機構と、
上記撮影レンズの透過光量を変化させる絞り駆動機構と、
上記撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、
を有するカメラにおいて、
上記振動装置は、上記光学駆動系及び絞り駆動機構が停止している状態時のみ、駆動可能であることを特徴とするカメラ。
【請求項9】
被写体像を結像させるための撮影レンズの焦点状態を検出する焦点検出手段と、
上記撮影レンズ内に配置された水滴除去制御手段と通信を行うための通信手段と、
上記焦点検出手段によって、上記撮影レンズが合焦状態となったことを検出した際に、上記通信手段を介して、上記水滴除去制御部に水滴除去動作を開始させる制御手段と、
を有することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
被写体像を形成するレンズ群と、
上記レンズ群の内の最前面のレンズに固定された圧電素子と、
上記圧電素子に固定された信号伝達手段と、
上記最前面のレンズに密着して配置された第1の弾性部材と、
上記圧電素子への固定部近傍にて、上記信号伝達手段に当接する第2の弾性部材と、
を有することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項1】
撮影レンズと、
撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、
オートフォーカスが可能なカメラボディとの間の通信を可能とする通信手段と、
を具備するレンズ鏡筒において、
上記撮影レンズのフォーカス状態が、フォーカス駆動によって非合焦状態から合焦状態に変化した際に、上記最前面のレンズを振動させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
上記最前面のレンズは、レンズに固定された圧電素子により振動することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
上記最前面のレンズの振動中に、上記カメラボディにおいて、セカンドレリーズが操作された場合には、上記最前面のレンズの振動を中止することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
上記最前面のレンズの振動は、予め決められた所定時間、実行すると停止することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
上記最前面のレンズの振動中に、上記カメラボディにおいて、露光動作が開始される直前に、上記最前面のレンズの振動を中止することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
上記振動装置は、
上記最前面のレンズに固定された圧電素子と、
上記圧電素子に固定された信号伝達手段と、
上記圧電素子への固定部近傍にて、上記信号伝達手段に当接する弾性部材と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
撮影レンズと、
上記撮影レンズの合焦距離を変化させる光学系駆動機構と、
上記撮影レンズの透過光量を変化させる絞り駆動機構と、
上記撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、
上記撮影レンズを装着可能なカメラボディと、
上記カメラボディから上記撮影レンズへの電力供給と、上記カメラボディと上記撮影レンズの間の通信を可能とする伝達手段と、
を有するカメラシステムにおいて、
上記振動装置は、上記光学駆動系及び絞り駆動機構が停止している状態時のみ、駆動可能であることを特徴とするカメラシステム。
【請求項8】
撮影レンズと、
上記撮影レンズの合焦距離を変化させる光学系駆動機構と、
上記撮影レンズの透過光量を変化させる絞り駆動機構と、
上記撮影レンズの最前面を振動可能とする振動装置と、
を有するカメラにおいて、
上記振動装置は、上記光学駆動系及び絞り駆動機構が停止している状態時のみ、駆動可能であることを特徴とするカメラ。
【請求項9】
被写体像を結像させるための撮影レンズの焦点状態を検出する焦点検出手段と、
上記撮影レンズ内に配置された水滴除去制御手段と通信を行うための通信手段と、
上記焦点検出手段によって、上記撮影レンズが合焦状態となったことを検出した際に、上記通信手段を介して、上記水滴除去制御部に水滴除去動作を開始させる制御手段と、
を有することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
被写体像を形成するレンズ群と、
上記レンズ群の内の最前面のレンズに固定された圧電素子と、
上記圧電素子に固定された信号伝達手段と、
上記最前面のレンズに密着して配置された第1の弾性部材と、
上記圧電素子への固定部近傍にて、上記信号伝達手段に当接する第2の弾性部材と、
を有することを特徴とするレンズ鏡筒。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−181584(P2010−181584A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24472(P2009−24472)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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