説明

レーザとアークのハイブリッド溶接方法

【課題】 ガスシールドメタルアーク溶接とレーザのハイブリッド溶接において、スパッタの発生を抑制し、高速溶接を行っても安定したビード幅を得ることが可能なレーザとアークのハイブリッド溶接方法を提供する。
【解決手段】 レーザ溶接と消耗電極式アーク溶接とを同一箇所で同時に実施するレーザとアークのハイブリッド溶接法において、シールドガスとして、酸素ガス(O)を少なくとも2体積%含み、かつ、酸素ガスと二酸化炭素ガス(CO)との合計が6体積%以上であり、かつ、二酸化炭素ガスが10体積%以下であり、残部は実質的に不活性ガス、または不活性ガスと水素ガス(H)との混合ガス、または不活性ガスと窒素ガス(N)との混合ガス、または不活性ガスと水素ガスと窒素ガスとの混合ガス、からなるガスを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接とガスシールドメタルアーク溶接とを同一溶接点で同時に行う、レーザとアークのハイブリッド溶接に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アーク溶接が用いられていた構造物の溶接に、レーザ溶接が用いられるようになった。レーザ溶接はアーク溶接に比べ、溶け込み深さが大きく、また、入熱が小さいので熱変形が小さく、高速で溶接できるという利点がある。一方、レーザ溶接には、溶接部幅が狭いので、隙間のある溶接継ぎ手では溶け落ちが発生しやすいという問題点もある。一方、かかる溶け落ちの問題に関しては、溶融部幅が大きいアーク溶接継ぎ手は有利である。そこで、両者の特徴を生かすべく、レーザとガスシールドメタルアークを組み合わせたハイブリッド溶接の技術が特許文献1に提案されている。
【0003】
この特許文献1では、シールドガスとして、
アルゴンガス(Ar)等の不活性ガス
Arに二酸化炭素ガス(CO)を10〜100%の範囲で混合させたガス
Ar中に水素ガス(H)あるいはヘリウムガス(He)を2〜20%の範囲で混合させたガス
が使用される、と記載されている(0039段落)。しかし、このような成分のガスでは、実用上は、後述するスパッタの問題や、高速溶接時のビード安定性の問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−103070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイブリッド溶接としては2種類あり、レーザ溶接にTIG溶接やプラズマ溶接のような非消耗電極式アーク溶接(ガスシールドアーク溶接)を組み合わせるタイプと、MIG溶接や炭酸ガスアーク溶接やMAG溶接のような消耗電極式アーク溶接(ガスシールドメタルアーク溶接)を組み合わせるタイプがある。
【0006】
非溶接箇所の隙間を埋めるには、溶接部に溶着金属(フィラーメタル)を供給する必要がある。その点、後者のガスシールドメタルアーク溶接はワイヤが電極も兼ねており、溶着金属が供給されながら溶接が進行するので、効果的である。一方、前者のガスシールドアーク溶接は溶着金属を供給するためには、溶接トーチとは別にフィラーワイヤを供給する装置を設ける必要がある。この方法は、溶着能率(量)の面で不利であり、また、トーチも複雑であるという欠点を有する。
【0007】
ガスシールドメタルアーク溶接とレーザとのハイブリッド溶接の第一の問題点はスパッタである。ここに「スパッタ」とは、主に溶接中に周囲に飛散する金属粒やスラグのことである。スパッタが発生すると、レーザの保護ガラスに付着し、レーザ光が減衰したり、また、ガラスが操業中に破損したりする。そのため、部品交換のために頻繁な手間がかかりまたコストもかかる。
【0008】
また、ガスシールドメタルアーク溶接とレーザとのハイブリッド溶接の第二の問題点は、溶接速度である。溶接速度が4m/min.程度が現在の限界である。4m/min.程度以上の高速になると溶接ビード幅が不揃いとなったり、途中で途切れたりする問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、ガスシールドメタルアーク溶接とレーザのハイブリッド溶接において、スパッタの発生を抑制し、高速溶接を行っても安定したビード幅を得ることが可能なレーザとアークのハイブリッド溶接方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、ガスシールドメタルアーク溶接とレーザ溶接とのハイブリッド溶接において、シールドガスに所定量以上の酸素ガス(O)を含み、残部が全体に対し二酸化炭素ガス(CO)が10体積%以下でその残部が不活性ガス、または不活性ガスと水素ガス(H)との混合ガスを用いると、アークが安定し、さらにレーザとアークで形成された溶融池が安定するため、溶接ビードが高速でも安定して形成され、また、スパッタも減少することを知見し、本発明を完成するに至った。
【0011】
かくして、請求項1の発明は、レーザ溶接と消耗電極式アーク溶接とを同一箇所で同時に実施するレーザとアークのハイブリッド溶接法において、シールドガスとして、酸素ガス(O)を少なくとも2体積%含み、かつ、酸素ガスと二酸化炭素ガス(CO)の合計が6体積%以上、かつ二酸化炭素ガスが10体積%以下であり、残部は実質的に不活性ガス、または不活性ガスと水素ガス(H)との混合ガス、または不活性ガスと窒素ガス(N)との混合ガス、または不活性ガスと水素ガスと窒素ガスとの混合ガス、からなることを特徴とする、ハイブリッド溶接方法により前記課題を解決する。ここに、「消耗電極式アーク溶接」は、「ガスシールドメタルアーク溶接」と同義である。
【0012】
この発明によれば、安定したビードを形成するとともに、スパッタの少ない溶接を行うことができ、4m/min.程度以上の高速溶接も可能である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド溶接法において、酸素ガスは、シールドガス全体の50体積%以下であることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、ヒュームの発生を抑制し、また溶接ビード表面が酸化スケールにより厚く覆われるのを防止することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載のハイブリッド溶接法において、シールドガスは、酸素ガスを10体積%以上20体積%以下を含み、二酸化炭素ガスが10体積%以下、残部は実質的に不活性ガス、または不活性ガスと水素ガスとの混合ガス、からなることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、上記効果を著しく高めることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のハイブリッド溶接方法において、消耗電極式アーク溶接にパルス電流を用いることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、交流電流や直流定電流を使用した場合と比較して、ビードをさらに安定させ、かつスパッタの少ない溶接を実現することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、鋼材に対して、請求項1〜4のいずれかのハイブリッド溶接方法を施して得られた溶接鋼材である。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、ガスシールドメタルアーク溶接とレーザ溶接を組み合わせるハイブリッド溶接のスパッタを低減し、ビードを安定させて、溶接速度を向上させることができる。
【0021】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下においても、シールドガス成分の%表示は、すべて体積%を表すものとする。
【0023】
<シールドガス成分>
シールドガスには、酸素ガス(O)が少なくとも2%以上で、酸素ガスと二酸化炭素ガス(CO)の合計が6%以上含まれる必要がある。二酸化炭素ガスを含まない場合には、酸素ガスが6%以上含まれる必要がある。含まれる酸素ガスの量は二酸化炭素ガス含有量に関わらず、8%以上であることが好ましい。より好ましくは10%以上である。
【0024】
また、その残部はアルゴンガス(Ar)や、ヘリウムガス(He)などの不活性ガス、または水素ガス(H)と窒素ガスの1種以上と不活性ガスとの混合ガスで構成される必要がある。アルゴンガスのような不活性ガス単独で溶接する場合は、シールドガスから酸素ガスが供給されないため、下記実施例1の考察で推定するように、表面張力低下効果が小さいと推定され、溶接速度の増加やスパッタ低減には有効ではない。そのため、シールドガスには酸化性ガスを添加する必要がある。
【0025】
酸化性ガスとしては酸素ガスの他に二酸化炭素ガスが工業的には使用される。二酸化炭素ガスはアーク中で酸素ガスと一酸化炭素ガス(CO)等に分解するので酸素ガスの供給源となる。酸素ガスと二酸化炭素ガスの合計が6%未満では、ガスの酸化力が弱いためにアークや溶融池が不安定となる。
【0026】
酸素ガスと二酸化炭素ガスの合計が6%以上であっても二酸化炭素ガスがほとんどの濃度を占める場合はアークや溶融池は不安定となる。その理由は、二酸化炭素ガスは酸化力が酸素ガスに比べて低いためである。酸化力を高めるために二酸化炭素ガスの添加量を増加させると、後述するようにスパッタの発生原因となる。例えば、二酸化炭素ガス単独添加ではアークや溶融池の安定化とスパッタの少ない条件を両立することができない。従って、二酸化炭素ガス量を制限するとともに、酸化力の強い酸素ガスが少なくとも2%以上は必要である。
【0027】
シールドガス中の酸素ガスの上限は、好ましくは50%、より好ましくは20%である。シールドガス中の酸素ガスが多すぎるとヒュームが多量に発生したり、溶接ビード表面が酸化スケールに厚く覆われるようになったりするため、外観品質を損ねる。
【0028】
また、二酸化炭素ガスは10%以下とする。シールドガス中の二酸化炭素ガス量はより好ましくは5%以下である。シールドガス中の二酸化炭素ガスはアーク中で分解して酸素の供給源となると同時に、分解して生成した一酸化炭素ガスがスパッタ発生を促進するガスであるので、それ以上含まれると、スパッタが多く発生し、また、高速溶接では溶接ビードが不安定となる虞がある。
【0029】
シールドガスの成分として、酸素ガスや二酸化炭素ガス以外の残部を構成するガスとしては、上記のようにアルゴンガスやヘリウムガス等の不活性ガス、または水素ガスと窒素ガスの1種以上と不活性ガスとの混合ガスが使用可能である。なお、窒素ガスは炭素鋼の溶接においてはブローホールの原因となるので多量には含まれない方が溶接品質上好ましい。一方、ステンレス鋼の溶接の場合は溶接金属への窒素添加のために、シールドガス中に窒素を混合する場合がある。窒素含有量は10%以下とするのが望ましい。
【0030】
本発明のハイブリッド溶接方法においては、シールドガス成分として10%〜20%の酸素ガスを含有し、残部が実質的にアルゴンガス、ヘリウムガスおよび水素ガスの1種または2種以上であることが、より好ましい。
【0031】
<ガスの供給方法>
シールドガスは、図1のように、アーク溶接トーチ1から流す方法や、図2のようにアーク溶接トーチとは別にガスノズル2を設けてガスを供給する方法のいずれでも良い。また、図3のようにアーク溶接トーチ3a、及び別のガスノズル3bから同時に流してもよい。この場合、アーク溶接トーチ3aからのガスと、別のガスノズル3bからのガスとの合計の組成が本発明に規定する範囲内であれば、効果が得られる。たとえば、溶接トーチ3aからアルゴンガス 80%、酸素ガス 20%、流量20L/min.、ガスノズル3bからアルゴンガス 100%、流量20L/min.で流されている場合は、合計のガス組成はアルゴンガス 90%、酸素ガス 10%となり、本発明の規定する範囲内となるので、本発明の効果が得られる。
【0032】
アーク溶接トーチから供給する方法は、ハイブリッド溶接ヘッドがシンプルになるというメリットを有する。一方、別のノズルを用いる方法は、アーク溶接トーチとはレーザを挟んで反対方向からガスを供給する方法が効果的である。理由はアーク溶接による溶滴がレーザ直下に進入するのをガスの圧力で阻止する効果があるためと考えられる。
【0033】
ガス流量は特に規定しない。通常のハイブリッド溶接では、10〜50L/min.程度が設定される流量である。
【0034】
ガスの吹きつけ位置は規定しない。実質的に溶接部がシールドされるように溶接部に吹きつけられていればよい。
【0035】
<対象金属材料>
被溶接材は、炭素鋼、ステンレス鋼など鉄を主成分とする鋼材を対象とする。なお、表面に亜鉛めっきなどのめっきを施した表面処理鋼材を対象とすることができる。
【0036】
<溶接ワイヤ>
溶接ワイヤは、通常の炭素鋼のガスシールドメタルアーク溶接に用いられるワイヤが使用可能である。このワイヤは、もともと脱酸元素である珪素(Si)と、マンガン(Mn)が含まれており、酸化性ガスを用いる本発明のシールドガスにも適したワイヤである。
【0037】
<レーザの種類>
ガスシールドメタルアーク溶接と組み合わせるレーザはYAGレーザ、COレーザ、半導体レーザ等、金属加工に用いることのできるレーザであればどのようなレーザも使用可能である。
【0038】
<ガスシールドメタルアーク溶接電源(電流形式)>
溶接電流形式は、直流定電流、交流、いずれも使用可能であるが、パルス電流が好ましい。パルス幅は、0.5〜2.5msecとすることが好ましい。このようなシールドガス組成では、パルス電流によりアークが安定するため、スパッタも減り、溶接ビードも安定するからである。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
ガスシールドメタルアーク溶接とYAGレーザのハイブリッド溶接でシールドガスを変化させて溶接ビードの安定性とスパッタ量を調査した。その詳細条件を以下に示す。
〈試験条件〉
母材
材質:熱延鋼板(SPH270C)
板厚:1.4mm
溶接種類
突き合わせ溶接
溶接条件
速度:5m/min.
レーザ条件
レーザ入射角:鉛直
出力:2kW
焦点距離:200mm
焦点位置:ワーク表面
アーク条件
平均アーク電流:200A
電圧:約25V
電流:パルス電流
(パルス条件:パルス電流400A、パルス幅1.5msec)
ワイヤ:JIS−YGW12 直径0.9mm
アーク溶接トーチ角度:鉛直に対して20度前進角
アーク狙い位置:レーザの後方3mm
シールドガス供給方法
アーク溶接用トーチノズル(内径20mm)から供給
〈評価方法〉溶接ビード安定度(均一性)は100mの溶接ビード中での、最も狭い部分の幅:Wminと最も広い部分の幅:Wmaxを測定し、Wmin/Wmaxを求めた。この数字が1に近いほどビードが安定していることを示す。0はビードが連続的に形成されていないことを示す。スパッタ量は目視にて5段階評価した。1が最も少なく5が最も多い。表1に結果を示す。
【0040】
【表1】

アルゴンガスのみを用いた場合はビードが不安定である(条件1)。アーク溶接でよく用いられる(アルゴンガス+二酸化炭素ガス)系混合ガスの場合、二酸化炭素ガスの少量添加で、ビードの安定性はやや改善するが悪いレベルである(条件2)。しかし、二酸化炭素ガスが10%以上になると、ビードの安定性は悪くなり、スパッタも多く発生するようになる(条件3、4)。
【0041】
一方、酸素ガスを単独で添加したガスの場合、2%添加ではビードの安定性が劣る(条件5)。6%以上の添加で大きく高速溶接時のビード安定性が改善される(条件6〜9)。特に、酸素ガス:10%でビード安定性は最良であった。
【0042】
スパッタ量に関しては、酸素ガス:6%〜10%が最良で(条件6〜8)、40%では増加の傾向にある(条件9)が、(アルゴンガス+二酸化炭素ガス)系に比べ非常に低い。
【0043】
この理由は以下のように推定される。すなわち、ハイブリッド溶接の場合、スパッタの発生原因は、溶接ワイヤの先端が溶融池に接触することや、溶滴先端にレーザが照射され、急激に気化蒸発し、飛び散ることにあると考えられる。シールドガスへの酸素ガスの適正量の単独添加、あるいは適正量の酸素ガスと二酸化炭素ガスとの添加によって溶滴先端の表面張力が下がり、安定して溶滴が移行するため、スパッタの発生が少なくなるものと推定される。また、レーザ光により酸素ガスが活性化され、アーク溶接の溶滴移行や溶融池の安定性に有効に寄与していると考えられる。これらの結果、アークが安定しているので、溶接速度を高速化してもビードが安定しているものと考えられる。
【0044】
(実施例2)
シールドガスの組成、供給方法、及び流量、並びに電流形式を変化させて実施例1と同様の評価を行った。その詳細な条件を以下に示す。
【0045】
<試験条件>
母材
材質:熱延鋼板(SPH270C)
板厚:1.4mm
溶接種類
突き合わせ溶接
溶接条件
速度:5m/min.
レーザ条件
レーザ入射角:鉛直
出力:2kW
焦点距離:200mm
焦点位置:ワーク表面
アーク条件
平均アーク電流:200A(直流、パルス電流共通)
電圧:約25V
電流:直流またはパルス電流
(パルス条件:パルス電流400A、パルス幅1.5msec)
ワイヤ:JIS−YGW12 直径0.9mm
アーク溶接トーチ角度:鉛直に対して20度前進角
アーク狙い位置:レーザの後方3mm
シールドガス供給方法
アーク溶接用トーチノズル(内径20mm)(条件10〜16、22)、または、溶接部前方45度方向からの内径10mmのガス専用ノズル(条件17、18)のいずれか、または両方から供給(条件19〜21)。
【0046】
<評価方法>
ビード安定性、及び、スパッタ量について、実施例1の場合と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】

表2に示すように、本発明に規定する範囲の条件は溶接ビードの均一性が高く、スパッタが少ない。特に、アルゴンガス:90%、酸素ガス:10%の条件17とアルゴンガス:80%、酸素ガス:20%の条件19は、スパッタならびにビード安定性とも極めて良好であった。
【0048】
これに対して、条件14、18、及び20は、シールドガス組成中の二酸化炭素ガスの量が10%を超えており、ビード安定性、スパッタいずれの点においても劣る結果を示した。
【0049】
条件22は、実施例1の条件8のパルス電流を直流定電流に置き換えたものである。結果は、許容範囲にはあるものの、ビード安定性、スパッタとも条件8よりわずかに劣るものであった。この結果から、本発明の電流形式として、パルス電流が好ましいものであることが確認された。
【0050】
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド溶接方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ハイブリッド溶接の模式図であり、シールドガスをアーク溶接トーチのノズルから供給する方法を示す図である。
【図2】ハイブリッド溶接の他の模式図であり、シールドガスを別にノズルを設けて供給する方法を示す図である。
【図3】ハイブリッド溶接の模式図であり、シールドガスをアーク溶接トーチと、独立したシールドガスノズルの両方から供給する方法を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ溶接と消耗電極式アーク溶接とを同一箇所で同時に実施するレーザとアークのハイブリッド溶接法において、シールドガスとして、酸素ガス(O)を少なくとも2体積%含み、かつ、酸素ガスと二酸化炭素ガス(CO)の合計が6体積%以上、かつ二酸化炭素ガスが10体積%以下であり、残部は実質的に不活性ガス、または不活性ガスと水素ガス(H)との混合ガス、または不活性ガスと窒素ガス(N)との混合ガス、または不活性ガスと水素ガスと窒素ガスとの混合ガス、からなることを特徴とする、ハイブリッド溶接方法。
【請求項2】
前記酸素ガスは、シールドガス全体の50体積%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド溶接方法。
【請求項3】
前記シールドガスは、酸素ガスを10体積%以上20体積%以下を含み、二酸化炭素ガスが10体積%以下、残部は実質的に不活性ガス、または不活性ガスと水素ガスとの混合ガス、からなることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド溶接方法。
【請求項4】
前記消耗電極式アーク溶接にパルス電流を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のハイブリッド溶接方法。
【請求項5】
鋼材に対して、請求項1〜4のいずれかのハイブリッド溶接方法を施して得られた溶接鋼材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−75847(P2006−75847A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260075(P2004−260075)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】