説明

レーザビーム溶接方法及びこの方法により製造された成形部品

【課題】白色顔料着色部品をレーザビーム溶接する方法を提供する。
【解決手段】2つのプラスチック部品(A,B)をレーザ溶接する方法であって、1200〜2200nmのレーザ放射線から遠ざかる方向に向いた部品(B)は白色顔料着色量が0.5重量%以上且つ20重量%以下のプラスチック母材から成り、レーザ放射線に向いた部品(A)はプラスチック母材を備え、この方法は、(1)部品(A)の着色の有無とは関係なく、部品(A)を通るレーザビームの移動距離が10mm以下であるという条件及び(2)部品(A)の白色顔料着色量が重量%で表される場合、mmで表された部品(A)を通るレーザビームの移動距離(l)と重量%で表された白色顔料着色量の積は1.25未満であり、部品(A)を通るレーザビームの移動距離(l)が1mm以下であるという条件の下で実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性部品、特に白色顔料着色部品のレーザビーム溶接方法に関する。加うるに、本発明は、熱可塑性成形部品をこのようにレーザビーム溶接することにより組み立てられた本質的に白色の物品に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビーム溶接は、プラスチック類のための他の接合技術と比較して、種々の利点、例えば接合されるべき成形部品に加わる機械的負荷が低く且つ熱負荷が局所的に制限されているという利点や溶接シームの幾何学的形状に関する適応性が高いという利点を奏する。原理的には、レーザビームに向いた成形部品は、レーザ放射線に対して透過性でなければならず、他方、他の成形部品は、このレーザ放射線を表面の近くの浅い侵入深さのところで吸収し、導入されたレーザ放射線の場所のところで溶融しなければならない。次に、熱伝達により、レーザ放射線に対して透過性の成形部品も又、接触面上で溶解し、その結果、冷却プロセス後、中実の接着複合材が得られる。先行技術では、互いに異なる色の組み合わせのレーザビーム溶接プラスチック成形部品の種々の例が存在する。ベーム他(Boehm et al.),「レーザー・プラスチック・ヴェルディング・イン・オール・カラーズ(Laser Plastic Welding in all Colors)」,「テクニッシェ・ルントシャウ(Technische Rundschau)(テクニカル・レビュー(Technical Review)),スイス・プロフェッショナル・メディア・アーゲー,ウェーベルン,スイッツァーランド(Swiss Professional Media AG, Wabern, Switzerland),2004年,23号から知られているように、ありふれた黒色顔料としての煤(すす)の顕著な吸収特性により、透明な/黒色の成形部分組み合わせがレーザビーム溶接に最も適したものになる。加うるに、この非特許文献により、高いNIR吸収性能を備えた添加剤が導入され、その僅かな固有の色彩により、添加剤は、透明な色合いで使用するのに適したものとなる。NIR吸収エンハンサをポリマー組成物中に添加することは、先行技術から知られている。例えば、米国特許出願公開第2009/0130451号明細書は、例えばNIR吸収エンハンサとして六ほう化ランタン又は酸化タングステンセシウムを含む専用のレーザビームによる溶接可能なポリマー組成物を記載している。レーザビームによる溶接可能な組成物を得るには、必ず顔料が存在していても、これらNIR吸収添加剤を導入しなければならないということをはっきりと留意されたい。白色度が白色染色プロセス中に添加剤による影響を受ける度合いは、この特許文献からは明確ではない。
【0003】
上述の添加剤のコストが高いことに加えて、これらの使用と関連した技術的費用も又、欠点である。加うるに、白色度の印象は、添加剤の固有色によってマイナスの影響を受ける。
【0004】
国際公開第02/055287号パンフレットは、接合されるべき2つの成形部品相互間に追加の成形部品を提供するプラスチック類をレーザビーム溶接する専用の方法を開示している。この追加の成形部品は、吸収添加剤を含む層を有し、レーザ放射線によって少なくとも部分的に溶かされる。メルトを冷却した後、結合部が接合されるべき成形部品相互間に生じる。
【0005】
米国特許出願公開第2010/0301022号明細書は、レーザ吸収染料を先ず最初に第1の基材に塗布する方法を開示している。第1の基材を第2の基材に接触させた後、これら基材を塗布された染料の吸収特性に起因してレーザビーム溶接により互いに接合するのが良い。
【0006】
白色/白色組み合わせは、消費者にとってそれほど興味を惹かないというわけではなく、特定の課題を投げかける。白色顔料、例えば二酸化チタンの高い屈折率により、レーザ光の高い散乱がトリガされる。その結果として、導入されたレーザ放射線の、あったとしてもほんの僅かな部分しか吸収接合相手方を溶解させるのに必要な熱エネルギーに変換することができない。特定の理由で、国際公開第2009/000252号パンフレットは、二酸化チタンは、本質的に、レーザ利用接合方法における白化剤として用いるのには適していない。
【0007】
確かに、実際に白色であると視覚的に知覚される白色顔料着色が施された部品は、レーザ溶接のための従来型レーザ技術を用いた場合には実際には十分なほど透過性ではないということが言える。用いられたレーザ波長が980nmの場合、かかる部品のこの不適切な透過性の結果として、レーザ光が上に位置する部品を透過して接合部位に到達することが全くできないという状況が生じ、それにより、一般的に、レーザビームは上に位置する部品上に表面的に変換され、それにより、表面を変質させる溶解が生じ、多くの場合、黒色の色彩が生じ、即ちポリマー材料の劣化が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0130451号明細書
【特許文献2】国際公開第02/055287号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0301022号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/000252号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】ベーム他(Boehm et al.),「レーザー・プラスチック・ヴェルディング・イン・オール・カラーズ(Laser Plastic Welding in all Colors)」,「テクニッシェ・ルントシャウ(Technische Rundschau)(テクニカル・レビュー(Technical Review)),スイス・プロフェッショナル・メディア・アーゲー,ウェーベルン,スイッツァーランド(Swiss Professional Media AG, Wabern, Switzerland),2004年,23号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、とりわけ、熱可塑性部品、特に白色顔料着色部品をレーザビーム溶接する方法を提供することにある。特に、少なくとも接合領域で互いに接触させる2つのプラスチック部品(以下、部品A及び部品Bと呼ぶ)をレーザ溶接する方法が提案されており、この場合、部品Aは、レーザビームに向き、溶接プロセス中、レーザビームの侵入を受け、部品Bは、レーザビームから遠ざかる方向に向く。
【課題を解決するための手段】
【0011】
レーザ放射線から遠ざかる方向に向いた部品(B)は、この場合、少なくとも0.5重量パーセント、特に少なくとも1.5重量パーセント、好ましくは少なくとも3.5重量パーセント、更により好ましくは少なくとも5重量パーセント、せいぜい20重量パーセント、特にせいぜい15重量パーセントの白色顔料着色量のプラスチック母材から成り、溶接プロセス中、レーザビームを通すレーザビームに向いた部品(A)は、プラスチック母材を備えている。プラスチック母材は、この場合、好ましくは、透明であるが、そうでなければならないということはない。加うるに、部品Aを顔料着色しなくても良く又は白色顔料着色を呈しても良い。部品Aが白色顔料着色量を有しているとすれば、白色顔料着色量は、好ましくは、少なくとも0.01重量パーセント、特に少なくとも0.3重量パーセント、好ましくは少なくとも0.5重量パーセント、更により好ましくは少なくとも1重量パーセントである。部品Aが白色顔料着色量を有する場合、白色顔料着色量は、好ましくは、せいぜい5重量パーセント、特に好ましくはせいぜい3重量パーセントである。本発明によれば、溶接は、この場合、1200〜2200nmのレーザ波長を用いて実施される。作業は、好ましくは、1400〜2000nm、特に好ましくは1440〜1500nm、最も好ましくは1440〜1500nm又は1910〜1970nmの波長範囲内で行われる。かかるプロセスが通常、980nmの波長で行われる先行技術の方法とは異なり、波長が高いと、予期せぬこととして、部品(B)が白色顔料着色量を備えている場合であっても、好結果の溶接プロセスが可能であることが判明した。原理的には、部品(B)は、部品(A)が非顔料着色材料から成っている場合であっても、又、溶融が溶接結合部を実現するのに十分であるとは言えない場合であっても、レーザ放射線にさらされると白色顔料着色量に起因して受ける損傷が表面的であることが期待される。これ又予期せぬこととして、プロセスは、部品(A)が顔料着色されている場合であっても実施可能である。
【0012】
このプロセスは、この場合、同時に満たされるべき以下の状態又は条件下で実施されなければならない。
1)レーザ放射線に向いた部品(A)を通るレーザビームの移動距離(l)は、部品(A)が顔料着色されていないにせよ顔料着色されているにせよいずれにせよ、せいぜい10mmであるのが良い。レーザ放射線に向いた部品(A)を通るレーザビームの移動距離(l)は、この場合、好ましくは、せいぜい7mm又はせいぜい5mmであり、特に好ましくは3mmである。
2)重量パーセントで表された部品(A)の白色顔料着色量の場合、mmで表されたレーザ放射線に向いた部品(A)を通るレーザビームの移動距離(l)と重量パーセントで表された白色顔料着色量の積は、1.25未満でなければならない。
【0013】
換言すると、レーザ放射線に向いた部品(A)が顔料着色されている場合であっても、プロセスは、首尾良く実施できる。しかしながら、レーザ放射線に向いた部品(A)の顔料着色量が通常よりも幾分低いレベル、しかしながら、最も好ましくは、視覚的に白色に見えるようにするレベルに故意に設定される状態が存在する。これは、代表的には、重量パーセントで表されるレーザ放射線に向いた部品(A)の白色顔料着色量が少なくとも0.05%、好ましくは少なくとも0.5%である場合である。コントラストの結果として、部品(B)の顔料着色量を高くしても、部品(A)によって残される白色の印象度が増大する。もう1つの条件は、レーザに向いた部品(A)を通るレーザの経路が長すぎるわけではないということであり、即ち、この経路が10mm長いということはあり得ず、上述した積が<1.25、好ましくは<1.00、最も好ましくは<0.65でなければならない。驚くべきこととして、視覚的に適当な白色効果が達成される場合であっても、レーザは、部品(A)を表面的にしか損傷させず、部品(A)を通るレーザは十分であり、溶接部位は、高品質接合部位の溶融及び生成を保証するのに十分加熱される。重量パーセントの白色顔料着色に関する本明細書における記載は、常時、部品の全部で100パーセント又は部品の影響を受けた領域を生じさせる全出量に対する重量の百分率構成比として理解されなければならない。部品(A)と部品(B)の両方は、部分的に互いに異なる材料で構成されていても良く、後で部品(A)又は部品(B)に言及した場合、又、部品(B)が規定される場合、これは、少なくとも、レーザ接合プロセスにより影響を受けるそれぞれの部品全体の領域に言及している。
【0014】
本発明の方法の第1の好ましい実施形態としての部品(A)が白色顔料着色量を有する場合、mmで表された移動距離(l)と重量パーセントで表された白色顔料着色量の積は、最も好ましくは、1未満、好ましくは<0.65又は0.2〜0.8、好ましくは0.2〜0.6、特に好ましくは0.2〜0.5である。
【0015】
この方法の別の好ましい実施形態は、部品(A)及び/又は部品(B)にはNIR範囲のレーザ吸収添加剤が含まれておらず、かかる材料を備えた別個の層又は被膜がこれら部品相互間に位置していないということを特徴としている。部品(A)と部品(B)は、最も好ましくは、接合部位のところで互いに直接上下に位置する。部品(A)と部品(B)の両方には、NIR範囲のレーザ吸収添加剤が本質的に含まれておらず(即ち、代表的には、0.0001重量パーセント未満)、好ましくは完全に含まれていない。この方法の別の好ましい実施形態は、この方法を実施している間、溶接ビームが溶接シーム上に合焦されるということを特徴としている。換言すると、レーザビームは、好ましくは接合部位のところで単位体積当たり最も高い入力パワーを保証するようこの接合部位の平面に合焦される。
【0016】
一般に、2〜500W、特に好ましくは5〜200Wのレーザ出力を用いることが好ましい。さらに、一般に、作業が100〜7000mm/分の供給量で行われることが好ましい。単位長さ当たりの使用エネルギー入力は、0.0005〜0.05J/mm、好ましくは0.0007〜0.004J/mm、特に好ましくは0.0009〜0.01J/mmであることが特に好ましい。単位長さ当たりのエネルギー入力は、Wで表されたレーザ出力をmm/分で表された供給量で除算して得られた商に、物理的単位を再計算することにより得られた補正係数(60)を乗算して得られた値から導き出される。
【0017】
プロセスの実施中、部品は、最も好ましくは、1〜10bar、好ましくは2〜5barの接触圧力で互いに圧接される。上述したように、下に位置し、即ち、レーザから遠ざかる方向に向いた部品(B)は、白色顔料着色量を有する。着色顔料着色量は、好ましくは、少なくとも3.5重量パーセント、好ましくは少なくとも5重量パーセント、通常せいぜい20重量パーセント、好ましくはせいぜい15重量パーセントである。
【0018】
これら部品は、好ましくは、両方共、しかしながら、少なくともレーザから遠ざかる方向に向いた部品(B)は、白色である。これは、部品(B)及び存在している場合には部品(A)も又、或いは滑らかな表面を備えた成形部品の状態に加工される場合には対応の成形コンパウンドは、実際に、白色に見えるようにするLAB系における色彩効果を呈することを意味するものと受け取られなければならない。これは、L*>80、好ましくはL*>90、特に好ましくはL*>95であることが最も好ましいことを意味している。代替的に又は追加的に、a*の値又はb*のそれぞれ独立した値は、最も好ましくは<10、好ましくは<5、特に好ましくは<3であり、極めて好ましくは、>96の0.L*の値が部品にとって特に好ましい。遠ざかる方向に向いた部品(B)に関し、これが滑らかな平面を備えた成形部品の状態に加工されてLAB系において、L*>90、好ましくはL*>95、特に好ましくはL*>96の色彩効果を示すことが好ましいと考えられる。
【0019】
本発明の方法は、本質的に、以下の利点の実現を可能にする。
‐溶接物品、少なくとも、部品(B)から導入された物品の部分は、白色である。
‐NIR吸収エンハンサを熱可塑性成形コンパウンド中に添加すること又は吸収エンハンサを結合部位のところに設けること又は被着させることは、必要ではなく、吸収エンハンサを含む追加の部品を導入しなければならないということはない。
【0020】
本発明の方法に用いられる部品又は成形コンパウンドは、ポリマー母材として当業者に知られている熱可塑性ポリマーを含むのが良く、或いは、上述の白色顔料着色及び通常の添加剤、即ち難燃材、機械的安定性を向上させる添加剤及び非IR吸収添加剤を除き、本質的にポリマーから成る。例示としては、アセタール樹脂;液晶ポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート;オレフィン族及びシクロオレフィン族ポリマー;ポリアミド;ポリアミドエラストマー、特にポリエステルアミド、ポリエーテルアミド及びポリエーテルエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニルエーテルを含むポリアリルエーテル;ポリカーボネート;ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン;ポリエステル;ポリエステルポリカーボネート;ポリエーテル;ポリオキシエチレン;ポリステレン;ポリスルホン;ビニルポリマー、例えばポリ塩化ビニル及びポリ酢酸ビニル;又はABS、MBS及びSAN、PC、PMMA等を含むこれら物質のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。
【0021】
透明な、特に非晶質のポリマーは、好ましい実施形態となる。本明細書において用いられているように、透明な熱可塑性ポリマー又は透明なプラスチック母材という用語、特にポリアミド(即ち、透明なホモポリアミド及び/又はコポリアミド)は、ポリマー又はコ(ポリアミド)(純粋な形態の、即ち、上述の成形コンパウンドの他の成分を含んでいない)は、厚さ2mmの小板の形態で存在する場合、ポリマー又はプラスチック母材系、特にポリアミド若しくはコポリアミド又はコポリアミドから作られた成形コンパウンドを意味するようになっており、その光透過率は、少なくとも80%、特に少なくとも90%である。
【0022】
本発明の技術的思想の枠組みの範囲内において、光透過量に関する値は、常に、ASTM・D1003法(CIE‐C光源)に従って定められるものと理解されるべきである。光透過率は、この場合、ビーワイケイ・ガードナー(BYK Gardner社)(独国所在)からのヘーズ・ガード・プラス(Haze Guard Plus)という名称の装置を用いて70×2mm丸形板に関して以下に記載した実験において測定された。透過率の値は、CIE‐Cにより定められた可視波長範囲について、即ち、約400〜770nmの必要不可欠の強度で示される。例えば、70×2mm丸形板は、この目的のために、アーバーグ(Arburg)射出成形機械で研磨工具により製作され、筒体温度は、200〜340℃であり、工具温度は、20℃〜140℃である。
【0023】
成形コンパウンドで製作されると共に厚さ2mmの板の濁度(ヘーズ)は、最も好ましくは、せいぜい5%である(上述したようにASTM・D1003に従って測定された)。
【0024】
別の好ましい実施形態は、これ又本発明の方法に従って首尾良く溶接可能な部分的に結晶質のポリマーを含む。かかるポリマーは、上述の理由においては透明である必要はないが、かかるポリマーは、透明であるのが良い。
【0025】
好ましい実施形態では、本発明に従って用いられる部品又は成形部品は、ポリアミド又はポリアミドの混合物を含み、或いは、好ましくは、プラスチック母材としてかかるポリアミドから成る。これらポリアミドは、この場合、好ましくは、脂環式を含む脂肪族ジアミン及び芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸又はラクタムで得られる。特に好ましくは、脂環式C6〜C17ジアミン及び/又は脂肪族C4〜C12ジアミンと脂肪族C4〜C20ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸とで作られているホモポリアミド及びコポリアミドが用いられる。
【0026】
ジカルボン酸の特定の例としては、コハク酸、グルタリ酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸が挙げられるが、これらには限定されない。
【0027】
好ましい代替物質としては、上述のジアミン及びジカルボン酸から成るポリアミド並びに4〜15個の炭素原子を含むラクタム及び/又は4〜15個の炭素原子を含むα,ωアミノ酸が挙げられる。
【0028】
ジアミンの特定の例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ポリメチルヘキサメチレンジアミン、2‐メチル‐1,5‐ペンタンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3‐ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、MACM、MXD、PACM、PXD及びTMACMが挙げられるが、これらには限定されない。
【0029】
MACMは、3,3′‐ジメチル‐4,4′‐ジアミノシクロヘキシルメタンを表し、MXDは、メタキシレンジアミンを表し、PACMは、4,4′‐ジアミノシクロヘキスルメタンを表し、PXDは、パラキシレンジアミンを表し、TMACMは、3,3′、5,5′‐テトラメチル‐4,4′‐ジアミノシクロヘキシルメタンを表している。
【0030】
別の好ましい実施形態では、本発明の部品は、MXD及びテレフタル酸又はMXD及びイソフタル酸で構成された透明な非晶質ポリアミドを含む。
【0031】
プラスチック母材の一成分であり又は本質的にもっぱらプラスチック母材を形成する(僅かな割合の通常の添加剤及び存在する場合のあるガラス繊維を除く)好ましい透明なポリアミドは、次の群、即ち、MACM9‐18、PACM9‐18、MACMI/12、MACMI/MACMT、MACMI/MACMT/12、6I6T/MACMI/MACMT/12、3‐6T、6I6T、TMDT、6I/MACMI/MACMT、6I/PACMI/PACMT、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、6I、12/PACMI、MXDI/6I又は12/MICMT、6/PACMT、6/6I、6/IPDT又はこれらの混合物から成る群から選択され、50モル%のIPSは、TPSで置き換えられる場合がある。
【0032】
別の好ましい実施形態では、本発明の部品は、部分的に結晶質のポリアミドを含み又はプラスチック母材としてかかる部分的に結晶質のポリアミドから成る。例としては、PA6、PA66、PA69、PA610、PA11、PA12、PA1010、PA1012、PA1210及びPA1212が挙げられるが、これらには限定されない。
【0033】
別の好ましい実施形態では、本発明の部品は、3,3′‐ジメチル‐4,4′‐ジアミノジシクロヘキシルメタン及びデカン二酸及び/又はドデカン二酸から成る透明な非晶質ポリアミドを含み、デカン二酸及び/又はドデカン二酸は、最高20%までの芳香族ジカルボン酸で置き換えられる場合がある。
【0034】
別の好ましい実施形態では、本発明の部品は、MACM及びドデカン二酸(MACM12)から成る透明な非晶質ポリアミドを含み、ドデカン二酸は、最高20%までの芳香族ジカルボン酸で置き換えられる場合がある。
【0035】
最も好ましい実施形態では、本発明の部品は、3,3′‐ジメチル‐4,4′‐ジアミノジシクロヘキシルメタン及びドデカン二酸で構成された透明な非晶質ポリアミドを含み又はプラスチック母材(僅かな割合の通常の添加剤及び存在する場合のあるガラス繊維を除く)としてかかる透明な非晶質ポリアミドで構成される。
【0036】
本発明の部品は、少なくとも1つの白色の、本質的に非NIR吸収顔料、例えば酸化アルミニウム(Al23);リン酸バリウム(BaSO4);炭酸鉛(PbCO3);炭酸カルシウム(CaCO3);炭酸マグネシウム(MgCO3);二酸化チタン(TiO2);チタネート、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO);硫化亜鉛(ZnS);マイカ;チョーク;リトポン;二酸化珪素;シリケート、例えば珪酸アルミニウム又は珪酸ナトリウム;タルク;上述の物質の金属ドープ又は金属被覆変型又は上述の物質のうちの少なくとも1つを含む組み合わせを更に含む。
【0037】
上述のリストは、本発明を限定するものではない。
【0038】
好ましい実施形態では、白色顔料は、ルチル又はアナターゼ形態の二酸化チタン、硫化亜鉛又はチョークである。特に好ましい実施形態では、白色顔料は、ルチル形態の二酸化チタンである。色相を調節するためにNIRにおいてNIRの吸収を行わない微量(即ち、代表的には<0.2%w/w又は<0.1%w/w)の他の染料を或る特定の実施形態に含ませても良い。一実施形態では、顔料は、0.1〜0.5マイクロメートル(中央粒径)の中央粒径を有する。別の実施形態では、白色顔料としての二酸化チタンは、ルチル形態であり、0.15〜0.30マイクロメートルの中央粒径を有する。好ましい実施形態では、白色顔料としての二酸化チタンは、平均粒径が0.20〜0.26マイクロメートル(平均粒径)のルチル変型を含む。
【0039】
部品Aは、レーザ放射線に対して少なくとも部分的に透過性である。例えば、部品Aは、0.1〜5mm、好ましくは0.2〜1mm、特に好ましくは0.2〜0.5mm、最も好ましくは0.2〜0.4mmの厚さを有する。部品Bは、レーザ放射線から遠ざかる方向に向いており、かかる部品Bは、レーザ放射線を少なくとも部分的に吸収することができる。例えば、部品Bは、0.5〜10mm、好ましくは1mm〜4mmの厚さを有する。
【0040】
溶接プロセスにおいて、レーザ放射線は、先ず最初に、部品Aに少なくとも部分的に侵入し、次に、本質的に、表面の近くで部品Bに吸収されて熱に変換される。部品Bは、吸収部位で溶け、又、接触熱の伝達により、部品Aは、界面のところで溶ける。溶接プロセス中、好ましくは外部接触圧力を加える。堅固な結合部が冷却後に最後に生じる。
【0041】
溶接シームは、この場合、直線を辿るのが良いが、任意所望の形状を呈しても良く、溶接シームは、2つの部品(A),(B)が互いに平らに隣接して位置する領域に配置されるのが良いが、一方の部品の突出部又はリブが例えば他方の部品の表面上に位置する領域又は2つの部品の2つの対応して配置された突出部若しくはリブ又は溝及び櫛形部が互いに隣接して位置する領域に配置されても良い。したがって、溶接シームは、スポット溶接シーム並びに長く続く溶接シームであっても良い。例えばパルスレーザによりスポット溶接シームを生じさせることができる。
【0042】
レーザビームは、部品Aの表面に垂直な平面に対して垂直に又はゼロではない角度をなして向けられるのが良い。
【0043】
本発明の部品は、成形部品の特性、特にレーザビームの使用波長との相互作用に関して悪影響を及ぼさないものとして当業者に知られている他の添加剤を含んでも良い。添加剤は、好ましくは、無機安定剤、有機安定剤、潤滑剤、脱泡剤、鎖長調節添加剤、UV範囲の吸収を行う蛍光増白剤、軟化剤、接着促進剤、ハロゲン含有難燃材、粒子、フィラー及び補強材、例えば繊維の形態の補強材、或いはかかる添加剤の組み合わせから成る群から選択される。
【0044】
UV吸収添加剤の一例としては、UV安定剤として働く無機顔料又はHALS(封鎖アミン光安定剤)が挙げられる。これらUV吸収物質の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、フェニルトリアジン及びテトラメチルピペリジン誘導体が挙げられるが、これらには限定されない。
【0045】
これら添加剤は、100重量パーセントの熱可塑性成形コンパウンドに対して最高2重量パーセント、好ましくは最高0.5重量パーセントの量を含ませるのが良い。添加剤としての母材も又、ガラス繊維で補強される場合、高い割合のガラス繊維を混入するのが良い。例えば、最高50重量パーセントのガラス繊維、最高30重量パーセント又は最高10重量パーセントのガラス繊維を添加するのが良い。ガラス繊維は、この場合、丸形断面を呈し又は例えば軸方向長さの比が2〜10、好ましくは3〜5の平べったい断面を呈する。添加剤としての母材も又、衝撃強さの面で変更される場合、高い割合の衝撃強度改良材を混入するのが良い。この場合、最高30重量パーセント又は20重量パーセント若しくは10重量パーセントの衝撃強度改良材を好ましくは添加するのが良い。
【0046】
さらに、NIRの吸収を行わない最高2重量パーセント、好ましくは最高1.2重量パーセントの染料を他の添加剤として混入するのが良い。
【0047】
例えば、部品は、欧州特許第0725101号の重合プロセスで製造するのが良く、種々のポリマーの混合物(配合物)を用いることができ、そして押し出し又は射出成形により部品を得ることができる。本発明に従って用いられるポリアミド成形コンパウンドを従来型配合機、例えばシングルスクリュー又はツインスクリュー押出機又はスクリュー配合機で製作することができる。一般に、ポリマー部分を最初に溶解させ、顔料を押出機の任意の場所で例えばサイドフィーダによってメルト中に導入する。配合は、好ましくは、230℃〜320℃の設定筒体温度で起こる。しかしながら、ポリマー部分及び顔料を全てフィーダ内に計量供給しても良い。
【0048】
厚さだけが部品(B)において重要であるというわけではないが、部品(A)については、厚さは、10mm未満の範囲、又は好ましくは5mm未満の範囲内にあり、部品(A)に白色顔料着色が施されている変形例では、厚さは、好ましくは、せいぜい1mmである。
【0049】
用いられているプロセスの適用の際の溶接強度(剪断強度の面における)は、代表的には、少なくとも5N/mm2、好ましくは少なくとも10N/mm2又は少なくとも15N/mm2、特に好ましくは少なくとも20N/mm2である。これら値は、この場合、実験的試験の枠組の範囲内において以下に詳細に説明されるよう測定される。
【0050】
例えば、本発明の物品は、携帯型電子装置、例えばイヤホン、携帯電話及びキーの部品又は医用技術において用いられる物品であるのが良い。これに対応して、本発明は又、部品、特に携帯型電子装置の分野に属する部品、特に、以下の群、即ち、上述の方法に従って製作された少なくとも1つの溶接継手を有するイヤホン、ヘッドホン、補聴器、携帯電話、スマートホン、携帯型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、自動車キーから成る群から選択された部品用のハウジングに関する。
【0051】
本発明の物品は、上述した方法に従って少なくとも1つの溶接継手を備えたコーヒーメーカのコネクタ又は部品を備えたホースであっても良い。
【0052】
追加の実施形態は、従属形式の請求項に記載されている。
【0053】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて以下において説明し、図面は、例示目的にのみ役立ち、本発明を限定するものと解されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】レーザ溶接プロセスの概略斜視図である。
【図2】種々の部品形状のための溶接シームに垂直な断面図であり、a)平坦な接触領域、b)部品Aを介するリブ接点、c)両方の部品のためのリブ接点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下の実験セクションで実施される特定の溶接試験を用いて溶接方法をどのようにすれば実施できるか及び溶接シームによってどの機械的性質を保証することができるかについて文書で説明する。
【0056】
図1の斜視図に概略的に示されている種類の方法では、基本的に、或る程度下に位置すると共にレーザビームから遠ざかる方向に向いた部品Bを提供し、部品Bを別の部品Aと平らな接触関係をなすようにする。レーザ3が2つの部品の接触平面上に合焦されるレーザビーム2を放出し、レーザ3は、所望の溶接シーム1に沿って供給方向4に移動する。
【0057】
部品相互間の接触領域は、溶接シーム1に垂直な断面図の状態で図2にそれぞれ示されている設計によっても様々な場合がある。図2aは、この場合、2つの部品が図1にも示されているように互いに平坦な接触関係をなす状況を示している。例えば図2bから明らかなように、部品Aは、部品Bの表面との接触関係を確立するリブから成っている。溶接シーム1は又、この場合、これに対応して形成できるが、部品Aの材料を通るレーザの波長が上述の限度内にあることを条件とする。図2cは、両方の部品が互いに対応して延びるリブを備えている状況を示しており、この場合、同様に或る程度直線である接触関係が与えられていれば、溶接シーム1をこの線に沿って形成することも可能である。これらの図は、それぞれ直線状溶接シームを示しており、この場合、直線又は原理的に任意所望の形状を採用することができる。この形状は、レーザかレーザビームかのいずれかをこの形状に沿って案内し又はビームを静止状態に保つと共に部品をこれに対応して動かすことによって実現できる。また、スポット溶接部が可能であり、この場合、これらスポット溶接部も又、例えばこれに対応してパルス化されたレーザによって実現できる。
【0058】
実験セクション
【0059】
M12:Grilamid TR(登録商標)90がイーエムエス‐ケミエ・アーゲー(EMS-CHEMIE AG)社から入手できる光透過量が93、フェーズが<1のタイプMACM12の非晶質の透明なポリアミドである。
【0060】
P12:P12は、イーエムエス‐ケミエ・アーゲー社から入手できるタイプPA12の部分的に結晶質のポリアミドである。
【0061】
LV3H:Grilamid(登録商標)LV‐3Hは、イーエムエス‐ケミエ・アーゲー社から入手できるタイプPA12のガラス繊維で補強された部分的に結晶質のポリアミドである。
【0062】
CX:Trogamid(登録商標)CX7323は、エボニク・デグサ(Evonik Degussa)社から入手できる光透過量が93、フェーズが<1%のタイプPACM12の非晶質ポリアミドである。
【0063】
PMMA:Plexiglas(登録商標)Resist zk40は、エボニク・レーム・ゲゼルシャフトミットベシュレンクテルハフツング(Evonik Roehm GmbH)から入手できる光透過量が90のポリメチルメタクリレート(PMMA)である。
【0064】
PC:Makrolon(登録商標)2858は、ベイヤー・アーゲー(Bayer AG)社から入手できる光透過量が89のポリカーボネート(PC)である。
【0065】
Ti-Pure(登録商標)R103は、DUPONT(商標)社から入手できるルチル型のTiO2で作られた白色顔料であり、23マイクロメートル(中央粒径)の中央粒径を有する。
【0066】
Kronos(登録商標)2220は、Kronos(商標)社から入手できるルチル型のTiO2で作られた白色顔料であり、その表面は、アルミニウム及びシリコンコンパウンド並びにシリコン結合で安定化されている。
【0067】
Sachtolith HDSは、ザヒトレーベン・ケミエ・ゲゼルシャフトミットベシュレンクテルハフツング(Sachtleben Chemie GmbH)から入手できる硫化亜鉛で作られた白色顔料である。
【0068】
溶接試験に用いた0.5、0.75及び1mm厚さの4×5cmプレートを焼き戻されたツールを用いてArburg(装置番号:ARBURG Allrounder 320 A 500-170)から完全電気式射出成形機械でこれら材料から射出形成した。以下の射出成形パラメータを用いた。
a)M12に関し:ツール80℃、溶融温度280℃
b)PCに関し:ツール80℃、溶融温度300℃
c)PMMAに関し:ツール40℃、溶融温度260℃
d)CXに関し:ツール80℃、溶融温度280℃
e)P12に関し:ツール60℃、溶融温度250℃
f)LV3Hに関し:ツール60℃、溶融温度260℃
【0069】
部品(A)及び部品(B)を溶接試験のために50mmの長さ及び約12mmの幅に切断した。部品(A)及び部品(B)を乾燥溶接させた。
【0070】
ジラス・ジオデンレーザ・ゲゼルシャフトミットベシュレンクテルハフツング(DILAS Diodenlaser GmbH)から入手できる以下のダイオードレーザを溶接試験に用いた。
a)波長:1940nm、COMPACTダイオードレーザシステム18/600(16W,600μm)
b)波長:1470nm、MINIダイオードレーザシステム40/400(40W、400μm)
c)波長:980nm、COMPACTダイオードレーザシステム500/400(500W,400μm)
【0071】
溶接試験の実施
【0072】
乾燥剤上に保管した部品(A)及び部品(B)をこれらがプレート上でオーバーラップするよう互いに上下に配置した。空気圧プランジャを作動させてこのプレートをこの上方の定位置に固定されたPMMAプレートに押し付け、それにより、接触圧力が生じるようにした。PMMAプレートに設けた凹部によりレーザビームを直接部品A上に案内し、この部品Aを通って溶接シームまで案内した。ビーム経路又は供給レーザをあらゆる波長で手動で調節してこれが部品Aの幅全体を通るようにした。レーザ放射線に関して単位長さ当たりのエネルギー入力は、供給量により調整され、角度エネルギー入力を溶接されるべき部品についてそれに応じて選択した。単位長さ当たりのエネルギー入力は、化学的組成、厚さ及び顔料に応じて、表面上の焼けを回避するよう特に調節されるべきである。部品Aと部品Bとの間に接合部が達成されない場合又は部品Aが焼け領域、穴又はブリスタを呈した場合、溶接試験を表2及び表3において“−”で評価した。視覚的評価によっては焼け領域又は表面の他の損傷が明らかではなかった場合、溶接試験を“+”で評価した。
【0073】
CIE L***値を白色に塗装されたコントラストシートの前で以下の測定原理、即ち、測定モード:反射、測定幾何学的形状:D/8°、光のタイプ:D 65 10、輝度:収録記載、較正:UV較正、測定オリフィス:SAVに基づいてデータカラー(装置番号:データカラー650)から分光光度計で求めた。得られたL***値が表1〜表3に記載されている。溶接シームの結合強度(溶接強度)を23℃の温度で5mm/分のトラクション速度でISO527に従って求めた。部品(A)及び部品(B)から成るオーバーラップ状態の溶接物品を乾燥状態でトラクションエンジン中にクランプし、力をプレート平面に平行に加えた。部品の個々の厚さを表1〜表3から収集することができる。
【0074】
表1:MACM12及び白色顔料としてのTi‐Pure(登録商標)R103で作られた成形部品に関する溶接試験

a)50%ガラス繊維補強として n.d.=未決定
【0075】
表2:MACM12及び他の白色セグメントで作られた成形部品に関する溶接試験

a)50%ガラス繊維補強として n.d.=未決定
【0076】
表3:MACM12及び白色顔料としてのTi‐Pure(登録商標)R103以外の材料に関する溶接試験

a)50%ガラス繊維補強 b)部分結晶質 n.d.=未決定
【符号の説明】
【0077】
1 溶接シーム
2 レーザビーム
3 レーザ
4 レーザ進行方向
A レーザに向いた部品
B レーザから遠ざかる方向に向いた部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも接合領域において互いに接触関係に置かれた2つのプラスチック部品(A,B)をレーザ溶接する方法であって、
レーザ放射線から遠ざかる方向に向いた部品(B)は、白色顔料着色量が少なくとも0.5重量パーセント且つせいぜい20重量パーセントのプラスチック母材から成り、
溶接プロセス中、レーザビームを通すレーザ放射線に向いた部品(A)は、プラスチック母材を備え、
1200〜2200nmのレーザ波長が溶接のために用いられ、
前記部品(A)が着色されているかいないかとは関係なく、レーザ放射線に向いた前記部品(A)を通る前記レーザビームの移動距離がせいぜい10mmであるという第1の条件を課し、そして
レーザ放射線に向いた前記部品(A)の白色顔料着色量が重量パーセントで表される場合、mmで表された前記レーザ放射線に向いた前記部品(A)を通る前記レーザビームの移動距離(l)と重量パーセントで表された白色顔料着色量の積は、1.25未満であり、前記レーザ放射線に向いた前記部品(A)を通る前記レーザビームの移動距離(l)がせいぜい1mmであるという第2の条件を課す、方法。
【請求項2】
前記レーザ放射線に向いた前記部品(A)を通る前記レーザビームの移動距離は、せいぜい7mm、好ましくはせいぜい5mm、特に好ましくはせいぜい3mmである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記レーザ放射線に向いた前記部品(A)は、所与の白色顔料着色量を有し、mmで表された移動距離(l)と重量パーセントで表された白色顔料着色量の積は、1未満、好ましくは0.2〜0.8である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記レーザ放射線に向いた前記部品(A)と前記レーザ放射線から遠ざかる方向に向いた前記部品(B)の両方には、NIR範囲のレーザ吸収添加剤が本質的に含まれておらず、前記両方の部品(A,B)は、特に、NIR範囲のレーザ吸収添加剤の含有量が0.0001重量パーセント未満であり、好ましくは、前記両方の部品(A,B)には、NIR範囲のレーザ吸収添加剤が全く含まれておらず、前記接合領域は、NIR範囲の吸収を行う添加剤であらかじめ処理されておらず、レーザ放射線に向いた前記部品(A)とレーザ放射線から遠ざかる方向に向いた前記部品(B)との間にはNIR範囲の吸収を行う添加剤を含んだ追加の部品が設けられていない、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
レーザビームは、前記方法の実施中、前記接合領域上に合焦されると共に/或いは2〜500W、好ましくは5〜200Wのレーザ出力が100〜7000mm/分の供給量で用いられ、単位長さ当たりのエネルギー入力は、0.0005〜0.05J/mm、好ましくは0.0007〜0.004J/mm、特に好ましくは0.0009〜0.01J/mmである、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記部品を前記プロセス中、1〜10bar、好ましくは2〜5barの一定圧力で互いに圧接する、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項7】
前記レーザ放射線から遠ざかる方向に向いた前記部品(B)は、少なくとも1重量パーセント、少なくとも1.5重量パーセント、少なくとも3.5重量パーセント、好ましくは少なくとも5重量パーセント且つせいぜい15重量パーセントの白色顔料着色量を示す、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項8】
前記レーザ放射線に向いた前記部品(A)は、滑らかな表面を備えた成形部品の状態に加工されると、CIE LAB系において、L*>80、好ましくはL*>90、特に好ましくはL*>95の色彩効果を示すと共に/或いはa*の値又はb*のそれぞれ独立した値は、<10、好ましくは<5、特に好ましくは<3であると共に/或いは前記遠ざかる方向に向いた前記部品(B)は、滑らかな平面を備えた成形部品の状態に加工されると、CIE LAB系において、L*>90、好ましくはL*>95、特に好ましくはL*>96の色彩効果を示す、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記部品(A,B)のうちの少なくとも一方は、次の群、即ち、アセタール樹脂;液晶ポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート;オレフィン族ポリマー;ポリアミド;ポリアミドエラストマー、特にポリエステルアミド、ポリエーテルアミド及びポリエーテルエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニルエーテルを含むポリアリルエーテル;ポリカーボネート;ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン;ポリエステル;ポリエステルポリカーボネート;ポリエーテル;ポリオキシエチレン;ポリステレン;ポリスルホン;ビニルポリマー、例えばポリ塩化ビニル及びポリ酢酸ビニル;又はこれら物質のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせから成る群から選択された熱可塑性ポリマーを主成分として構造化されており、前記主成分は、最も好ましくは、ポリアミド、ポリカーボネート及びPMMAから成る群から選択される、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項10】
前記部品(A,B)のうちの少なくとも一方、好ましくは両方の部品(A,B)は、脂環式を含む脂肪族ジアミン及び芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸又はラクタムで作られ、特に好ましくは、脂環式C6〜C17ジアミン及び/又は脂肪族C4〜C12ジアミンと脂肪族C4〜C20ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸、特に好ましくはコハク酸、グルタリ酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸で作られているホモポリアミド及びコポリアミドで構成された熱可塑性ポリアミドを主成分として構造化され、前記物質は、特に好ましくは、以下の群、即ち、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ポリメチルヘキサメチレンジアミン、2‐メチル‐1,5‐ペンタンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3‐ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、MACM、MXD、PACM、PXD及びTMACMから成る群から選択されたジアミンと組み合わせて用いられる、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項11】
前記部品(B)及び場合によっては前記部品(A)の白色顔料着色量は、好ましくは、次の群、即ち、酸化アルミニウム(Al23);リン酸バリウム(BaSO4);炭酸鉛(PbCO3);炭酸カルシウム(CaCO3);炭酸マグネシウム(MgCO3);二酸化チタン(TiO2);チタネート、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO);硫化亜鉛(ZnS);マイカ;チョーク;リトポン;二酸化珪素;シリケート、例えば珪酸アルミニウム又は珪酸ナトリウム;タルク;前記物質の金属ドープ又は金属被覆変型又は前記物質のうちの少なくとも1つを含む組み合わせから成る群から選択された好ましくは/NIRにおける吸収を行わない少なくとも1つの白色顔料に基づいて調節され、特に好ましくは、二酸化チタン、極めて好ましくはそのルチル型の二酸化チタンが、本質的に又はもっぱら白色顔料着色のために用いられる、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
結果として得られる溶接シームは、少なくとも5N/mm2、好ましくは少なくとも10N/mm2、特に好ましくは少なくとも15N/mm2又は少なくとも20N/mm2の溶接強度を示す、請求項1〜11のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
使用されるレーザは、1400〜2000nm、好ましくは1440〜1500nm、特に好ましくは1440〜1500nm、1910〜1970nmの波長領域で動作する、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
前記溶接プロセスにおいて前記レーザビームを通す前記レーザに向いている部品(A)及び/又はレーザから遠ざかる方向に向いた前記部品(B)は、透明なプラスチック母材を備え、前記プラスチック母材は、/前記プラスチック母材を形成しているポリマー、好ましくはポリアミド(コポリアミド)が厚さ2mmの小板の形態で存在している場合、非着色状態では、好ましくは、少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%の光透過性を示す、請求項1〜13のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
部品、特に携帯型電子装置の分野に属する部品、特に、以下の群、即ち、請求項1〜14のうちいずれか一に記載の方法を用いて製作された少なくとも1つの溶接継手を有するイヤホン、ヘッドホン、補聴器、携帯電話、スマートホン、携帯型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、自動車キーから成る群から選択された部品用のハウジング。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−22966(P2013−22966A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−175384(P2012−175384)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【出願人】(510022808)エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】