説明

レーザ加工機

【課題】レーザ加工機に対する基板の搬出入において基板の上下反転を不要とする。並びに、レーザ加工機自体の占有面積も削減する。
【解決手段】被加工面を上にした基板0を動かないよう保定する保定機構2と、Y軸方向に走行して基板0の被加工面にレーザ光を照射しかつX軸方向にも移動可能な加工ノズル3と、基板0を下方から支持しながらこの基板0に対してX軸方向に相対移動可能な支持機構4とを具備するレーザ加工機1を構成した。本レーザ加工機1では、レーザ加工時に基板0は動かさず、加工ノズル3を動かして所要部位にレーザ光を照射する。加工ノズル3をX軸方向に移動させる際には、支持機構4をもX軸方向に移動させて、支持機構4とレーザ光軸との干渉を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば太陽電池パネル、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイの製造工程における薄膜のレーザスクライブ、パターニング等を実施するレーザ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のレーザ加工機は、基板の被加工面に成膜した薄膜にレーザ光を照射して除去加工することを主務とする。出願人が既に提案しているレーザ加工機(下記特許文献1を参照)では、エアを吹出させる浮上装置を用いて基板を浮かせつつ台車で搬送し、所定の加工用領域に設置した加工ノズルから出射するレーザ光により薄膜をパターニングする。
【特許文献1】特願2007−320629号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上掲のレーザ加工機は優れて有用なものである。しかしながら、レーザ加工時に基板を加工用領域の前後に往復動させるために、基板寸法の倍以上の面積を占有してしまうきらいがある。
【0004】
加えて、上掲のレーザ加工機では、基板の被加工面を下にして基板の上方からレーザ光を打ち下ろし、基板を透過させて被加工面に照射する使用法を主に想定している。一方、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置やスパッタ装置等では、基板の被加工面を上にしてそこに薄膜を生成する。故に、これら装置とレーザ加工機との間に、基板を上下反転させる反転機を配備することが求められる。また、レーザ加工機から搬出した基板を移送するにしても、薄膜に傷をつけないよう被加工面を上にして基板を下から支えて運ぶのが普通である。結局のところ、レーザ加工機の前後両方に反転機が必要になる。
【0005】
近時では、基板の大型化(例えば、G8クラスでは2600mm×2200mm)が進んでおり、レーザ加工機、反転機ともにますます大型化せざるを得なくなっている。反転機については、高さ寸法までもが長大になるので、工場の天井を高くとらないと設置できないというような制約も生じている。
【0006】
以上に鑑みてなされた本発明は、反転機を不要とし、またレーザ加工機自体の占有面積も削減することを所期の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、レーザ加工が施される被加工面を上にした基板を動かないよう保定する保定機構と、所定の走行方向に走行して前記基板の被加工面にレーザ光を照射しかつその走行方向とは交差したピッチ送り方向にも移動可能な加工ノズルと、前記基板を下方から支持しながらこの基板に対して前記ピッチ送り方向に相対移動可能な支持機構とを具備するレーザ加工機を構成した。
【0008】
本発明に係るレーザ加工機では、レーザ加工時に基板は動かさず、加工ノズルを動かして被加工面の所要部位にレーザ光を照射する。典型的には、加工ノズルを走行させてパルスレーザを連続的に照射し、その走行方向に沿って延伸した溝を薄膜に形成する。加工ノズルをピッチ送り方向に移動させる際には、支持機構をもピッチ送り方向に移動させて、支持機構とレーザ光軸との干渉を回避する。このとき、支持機構が基板に対して相対的に変位し、基板はやはり動かない。因みに、加工ノズルのピッチ送りを応用して、ピッチ送り方向に沿って延伸した溝を薄膜に形成するような加工を実行することもできる。
【0009】
本発明によれば、レーザ加工時に基板の移動を伴わないことから加工機自体の専有面積を削減できる上、反転機も不要となる。
【0010】
前記支持機構に回転可能な複数個の転動体を設け、これら転動体の上に前記基板の下面を載置するものとすれば、比較的低コストで作製が可能である。
【0011】
その上で、前記加工ノズルを前記基板の下方に設置し、レーザ光を上向きに発射して基板を透過させて前記被加工面に照射するようにすれば、レーザ光の照射点近傍に部材を存在させずに済み、長期間の使用を通じて部材が焼けて煤けるといった問題を生起しない。
【0012】
前記支持機構に前記加工ノズルを前記走行方向に走行可能に支持させることでこれらをユニット化し、そのユニットを前記ピッチ送り方向に移動可能に設けるものとすれば、ユニット単位で整備、交換等のメンテナンスを行い得る。
【0013】
前記ユニットを前記ピッチ送り方向に沿って複数配列していれば、複数の部位を同時にレーザ加工できる。とりわけ、加工ノズルの走行方向に沿って延伸した溝を複数本形成するような場合に有効である。さらに、ピッチ送り方向に離間した複数箇所で基板を支持することになるため、基板の自重による撓みを抑制でき、加工精度の向上にもつながる。
【0014】
前記支持機構に前記走行方向に沿って延伸した開口を開設し、この開口に前記加工ノズルの光軸を通すものとすれば、加工ノズルを支持機構よりも低位置に配置することが可能となり、設計の自由度が増す。
【0015】
前記開口及び前記加工ノズルを前記ピッチ送り方向に沿って複数配列していれば、複数の部位を同時にレーザ加工できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レーザ加工機への基板の搬入、レーザ加工機からの基板の搬出において基板の上下反転を行わずに済むため、反転機が不要となる。並びに、レーザ加工機自体の占有面積も削減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。以下に述べるレーザ加工機1は、薄膜太陽電池の製造工程において使用され、ガラス基板0の上表面に成膜した光電変換膜、透明導電膜、裏面電極膜等にレーザ光を照射してそのパターニングを行うものである。
【0018】
<第一実施形態>図1ないし図2に示すレーザ加工機1は、架台8上に配置した加工ノズル軸ユニット3、4と、加工ノズル軸ユニット3、4の傍らに設置した保定用クランパ2と、加工ノズル軸ユニット3、4の上方に架設した集塵ノズル5と、架台8の両側部に設置した搬送レール6及び搬送ユニット7とを主要な構成要素とする。
【0019】
図2に示すように、加工ノズル軸ユニット3、4は、レーザ加工の対象となる基板0を下方から支持する支持機構4と、基板0の被加工面にレーザ光を照射する加工ノズル3とをユニット化した部材である。支持機構たるユニット本体4は前後方向(図中Y軸方向)に延伸し、その上部に台車42の走行を案内する走行レール41を、その内空に台車42を走行させるためのタイミングベルト43を、それぞれ設けてある。加工ノズル3は、台車42に搭載している。
【0020】
加工ノズル3は、台車42及び走行レール41を介してユニット本体4に支持され、前後方向に走行することができる。加工ノズル3には、光ファイバ31を接続している。レーザ発振器(図示せず)から供給されるレーザ光は、光ファイバ31を通じて加工ノズル3に導入され、加工ノズル3内の集光レンズ等を経てノズル上部の出射端から鉛直上方に出射する。
【0021】
ユニット本体4の側縁部には、前後方向に亘って間欠的に複数本の支柱44を設立している。レーザ加工機1に搬入される基板0は、これら支柱44によって支えられる。支柱44の上端部には、自由に回転することのできる転動体45を設けている。転動体45は、例えばいわゆるボールベアである。転動体45は、基板0の下面に接触する。
【0022】
本実施形態では、左右方向(図中X軸方向)に複数の加工ノズル軸ユニット3、4を配列している。加工ノズル軸ユニット3、4と架台8との間には、ピッチ送り用のリニアサーボ可動子を設けており、このリニアサーボ可動子によって加工ノズル軸ユニット3、4全体が左右方向に移動し得る。
【0023】
保定用クランパ2は、レーザ加工時に基板0を動かないよう保定する保定機構である。保定用クランパ2は、支柱44の上端部に臨む高さ位置にあって、基板0の側縁をクランプする。
【0024】
集塵ノズル5は、薄膜をパターニングすることで発生する粉塵を吸引するために存在する。集塵ノズル5は、下向きに開口し左右方向に拡張したスロット状の吸引口を有する。本実施形態では、この集塵ノズル5が加工ノズル3に追随して前後方向に移動する。集塵ノズル5には、ダクトホース51を接続している。集塵ノズル5を介して吸引した粉塵は、ダクトホース51を経由して集塵機(図示せず)に集められる。
【0025】
搬送レール6及び搬送ユニット7は、基板0の搬出入を司る。搬送レール6は、加工ノズル軸ユニット3、4及び保定用クランパ2よりも外側方にあって、前後方向に延伸する。搬送ユニット7は、搬送レール6に沿って走行する。搬送ユニット7は、搬送用クランパ71を備えている。搬送用クランパ71は、基板0の搬出入時に基板0の側縁をクランプする。
【0026】
レーザ加工を実行するにあたっては、まず、薄膜を成膜した被加工面を上にした基板0を前方から搬入する。即ち、搬送用クランパ71で基板0の側縁をクランプしつつ搬送ユニット7を駆動して、基板0を加工ノズル軸ユニット3、4上に送り込み、支柱44上に載置する。基板0の搬出入の際、転動体45が基板0の下面に接触して転がることは言うまでもない。
【0027】
次いで、保定用クランパ2で基板0の側縁をクランプし、架台8に対して基板0を保定する。
【0028】
しかる後、加工ノズル3を所要の加工部位に移動させてレーザ光を上向きに発射し、基板0を透過させて被加工面にある薄膜に照射する。具体的には、加工ノズル3を搭載した台車42を前後方向に走行させながらパルスレーザを連続的に照射して、前後方向に延伸した溝を薄膜に形成する。また、リニアサーボ可動子を介して加工ノズル3を含むユニット3、4全体を左右方向にピッチ送り移動させ、溝の形成位置を遷移させる。このとき、基板0を支える支柱44が基板0に対して相対的に変位することになるが、基板0の下面と支柱44の上端部との間に転動体45が介在しておりこれが回転するため、加工ノズル軸ユニット3、4の移動は妨げられない。因みに、加工ノズル軸ユニット3、4を左右方向に移動させながらパルスレーザを連続的に照射して、左右方向に延伸した溝を薄膜に形成することも可能である。
【0029】
レーザ加工の最中には、集塵ノズル5をレーザ照射点の直上に位置づけ、発生する粉塵を適宜吸引、集塵することが好ましい。
【0030】
レーザ加工が完了したら、基板0を後方に搬出する。即ち、保定用クランパ2による基板0の保定を解除した上、搬送用クランパ71で基板0の側縁をクランプしつつ搬送ユニット7を駆動して、基板0を加工ノズル軸ユニット3、4上から送り出す。
【0031】
本実施形態によれば、レーザ加工が施される被加工面を上にした基板0を動かないよう保定する保定機構2と、所定の走行方向に走行して前記基板0の被加工面にレーザ光を照射しかつその走行方向とは交差したピッチ送り方向にも移動可能な加工ノズル3と、前記基板0を下方から支持しながらこの基板0に対して前記ピッチ送り方向に相対移動可能な支持機構4とを具備するレーザ加工機1を構成したため、レーザ加工時に基板0を移動させずに済み、加工機1自体の専有面積を削減できる上、反転機も不要となる。基板0の往復動を伴わないので、転動体45の摩耗も起こりにくい。
【0032】
前記支持機構4に回転可能な複数個の転動体45を設け、これら転動体45の上に前記基板0の下面を載置するものとしているため、比較的低コストで作製が可能である。
【0033】
前記加工ノズル3を前記基板0の下方に設置し、レーザ光を上向きに発射して基板0を透過させて前記被加工面に照射するようにしたため、レーザ光の照射点近傍に部材を存在させずに済み、長期間の使用を通じて部材が焼けて煤けるといった問題を生起しない。
【0034】
前記支持機構4に前記加工ノズル3を前記走行方向に走行可能に支持させることでこれらをユニット化し、そのユニット3、4を前記ピッチ送り方向に移動可能に設けているので、ユニット3、4単位で整備、交換等のメンテナンスを行い得る。
【0035】
前記ユニット3、4を前記ピッチ送り方向に沿って複数配列しているため、複数の部位を同時にレーザ加工できる。とりわけ、加工ノズル3の走行方向に沿って延伸した溝を複数本形成する場合に有効である。さらに、平面的に散開した複数箇所(の転動体45)で基板0を支持できるので、基板0の自重による撓みを抑制でき、加工精度の向上にもつながる。
【0036】
<第二実施形態>図3ないし図5に示すレーザ加工機1は、架台8上に配置した加工ノズル3と、加工ノズル3の上方に架設した支持機構4と、支持機構4の傍らに設置した保定用押付板2と、支持機構4の上方に吊設した集塵ノズル5と、架台8の両側部に設置した搬送レール6及び搬送ユニット7とを主要な構成要素とする。以降、第一実施形態との相異を中心に説明する。
【0037】
図5に示すように、本実施形態では、加工ノズル3をXYステージ32に支持させている。XYステージ32は、前後方向に延伸するY軸レール321と、Y軸レール321に案内されて前後方向に走行するとともに左右方向に拡張してその上部にX軸レール323を設けているX軸ユニット322と、X軸レール323に案内されて左右方向に移動する台車324とを備えてなる。台車324は、リニアサーボ可動子を駆動源とする。本実施形態では、X軸ユニット322に複数基の台車324を配し、各台車324にそれぞれ加工ノズル3を搭載している。加工ノズル3には、レーザ発振器から供給されるレーザ光を導く光ファイバ31を接続している。
【0038】
支持機構4は、架台8に固定するフレーム9によりXYステージ32や加工ノズル3等と衝突しない高さに持ち上げた台枠を主体とする。台枠4は、前後方向に拡張し上下に貫通した複数の開口47を左右方向に配列した形状をなす。加工ノズル3から出射するレーザ光は、この開口47を通過する。台枠4の開口47の周縁部には、多数の転動体45を散開させて設けている。この台枠4は、左右方向に移動可能であるようにフレーム9に支持されている。台枠4とフレーム9との間には、台枠4の左右方向の移動を惹起するピッチ送り用モータ46を介設している。
【0039】
図4に示すように、保定用押付板2は、レーザ加工時に基板0を動かないよう保定する保定機構である。保定用押付板2は、左右に対をなし、フレーム9上の台枠4よりも外側方に所在している。これら保定用押付板2は、エアシリンダで駆動されて左右方向に接近または離間し、基板0の側端面に当接して左右から基板0を挟持する。
【0040】
集塵ノズル5は、薄膜をパターニングすることで発生する粉塵を吸引するために存在する。集塵ノズル5は、集塵ノズル5は、下向きに開口した多数の吸引口を前後及び左右に散開させて配列したもので、本実施形態では前後/左右方向に不動である。但し、第一実施形態と同様に、加工ノズル3に追随して移動するものとしても構わない。集塵ノズル5には、ダクトホース51を接続しており、吸引した粉塵はダクトホース51を経由して集塵機に集められる。
【0041】
搬送レール6及び搬送ユニット7は、基板0の搬出入を司る。搬送レール6は、XYステージ32及びフレーム9よりも外側方にあって、前後方向に延伸する。搬送ユニット7は、搬送レール6に沿って走行する。搬送ユニット7は、搬送用クランパ71を備えている。
【0042】
レーザ加工を実行するにあたっては、まず、薄膜を成膜した被加工面を上にした基板0を前方から搬入する。即ち、搬送用クランパ71で基板0の側縁をクランプしつつ搬送ユニット7を駆動して、基板0を台枠4上に送り込み、台枠4上に載置する。
【0043】
次いで、保定用押付板2を基板0の両側端面に押し付けて基板0を両側から挟持し、架台8に対して基板0を保定する。
【0044】
しかる後、加工ノズル3を所要の加工部位に移動させてレーザ光を上向きに発射し、基板0を透過させて被加工面にある薄膜に照射する。具体的には、X軸ユニット322を前後方向に走行させながらパルスレーザを連続的に照射して、前後方向に延伸した溝を薄膜に形成する。また、加工ノズル3を搭載した台車324を左右方向にピッチ送り移動させ、溝の形成位置を遷移させる。同時に、レーザ光軸が台枠4に干渉しないよう、台車324に連動して台枠4をも左右方向に移動させる。このとき、基板0を支える台枠4が基板0に対して相対的に変位することになるが、基板0の下面と台枠4の上面との間に転動体45が介在しておりこれが回転するため、台枠4の移動は妨げられない。因みに、台車324及び台枠4をともに左右方向に移動させながらパルスレーザを連続的に照射して、左右方向に延伸した溝を薄膜に形成することも可能である。
【0045】
レーザ加工の最中には、集塵ノズル5をレーザ照射点の直上に位置づけ、発生する粉塵を適宜吸引、集塵することが好ましい。
【0046】
レーザ加工が完了したら、基板0を後方に搬出する。即ち、保定用押付板2による基板0の保定を解除した上、搬送用クランパ71で基板0の側縁をクランプしつつ搬送ユニット7を駆動して、基板0を台枠4上から送り出す。
【0047】
本実施形態によれば、レーザ加工が施される被加工面を上にした基板0を動かないよう保定する保定機構2と、所定の走行方向に走行して前記基板0の被加工面にレーザ光を照射しかつその走行方向とは交差したピッチ送り方向にも移動可能な加工ノズル3と、前記基板0を下方から支持しながらこの基板0に対して前記ピッチ送り方向に相対移動可能な支持機構4とを具備するレーザ加工機1を構成したため、レーザ加工時に基板0を移動させずに済み、加工機1自体の専有面積を削減できる上、反転機も不要となる。基板0の往復動を伴わないので、転動体45の摩耗も起こりにくい。
【0048】
前記支持機構4に回転可能な複数個の転動体45を設け、これら転動体45の上に前記基板0の下面を載置するものとしているため、比較的低コストで作製が可能である。
【0049】
前記加工ノズル3を前記基板0の下方に設置し、レーザ光を上向きに発射して基板0を透過させて前記被加工面に照射するようにしたため、レーザ光の照射点近傍に部材を存在させずに済み、長期間の使用を通じて部材が焼けて煤けるといった問題を生起しない。
【0050】
前記支持機構4に前記走行方向に沿って延伸した開口47を開設し、この開口47に前記加工ノズル3の光軸を通すものとしており、加工ノズル3を支持機構4の台枠4よりも低位置に配置することが可能となっている。
【0051】
前記開口47及び前記加工ノズル3を前記ピッチ送り方向に沿って複数配列しているため、複数の部位を同時にレーザ加工できる。とりわけ、加工ノズル3の走行方向に沿って延伸した溝を複数本形成する場合に有効である。さらに、平面的に散開した複数箇所(の転動体45)で基板0を支持できるので、基板0の自重による撓みを抑制でき、加工精度の向上にもつながる。
【0052】
なお、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、支持機構4の上で基板0を水平旋回させるための回転装置を別途設けてもよい。さすれば、加工ノズル3及び支持機構4のピッチ送り動作を行わずとも、基板0の被加工面(に成膜した薄膜)に縦横に伸びる溝を形成することが可能となる。
【0053】
上記実施形態では、レーザ発振器から供給されるレーザ光を光ファイバ31を介して加工ノズル3に導いていたが、光ファイバを用いず、ミラーやビームスプリッタ等を用いて加工ノズル3まで導くようにしてもよい。
【0054】
上記実施形態では、基板0の下方に加工ノズル3を配してレーザ光を打ち上げるようにしていたが、基板0の上方に加工ノズル3を配してレーザ光を打ち下ろし、基板0を透過させずに直に被加工面に照射するようにしてもよい。
【0055】
支持機構4に設ける転動体45は、ボールベアに限定されず、ローラや無限軌道等であっても構わない。
【0056】
支持機構4に転動体45を設ける替わりに、エアを上向きに吹出させる浮上装置等を設けてもよい。特に、第二実施形態にて、支持機構4における開口47を設けていない部位に浮上装置を実装し、エアで基板0を支持機構4から浮上させた状態に支持する態様をとり得る。
【0057】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態のレーザ加工機を示す全体斜視図。
【図2】同レーザ加工機の加工ノズル及び支持機構を示す部分斜視図。
【図3】本発明の一実施形態のレーザ加工機を示す全体斜視図。
【図4】同レーザ加工機の集塵ノズルをオミットした分解斜視図。
【図5】同レーザ加工機の加工ノズル及び支持機構を示す部分分解斜視図。
【符号の説明】
【0059】
1…レーザ加工機
2…保定機構
3…加工ノズル
4…支持機構
45…転動体
X…加工ノズルのピッチ送り方向
Y…加工ノズルの走行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工が施される被加工面を上にした基板を動かないよう保定する保定機構と、
所定の走行方向に走行して前記基板の被加工面にレーザ光を照射しかつその走行方向とは交差したピッチ送り方向にも移動可能な加工ノズルと、
前記基板を下方から支持しながらこの基板に対して前記ピッチ送り方向に相対移動可能な支持機構と
を具備するレーザ加工機。
【請求項2】
前記支持機構に回転可能な複数個の転動体を設け、これら転動体の上に前記基板の下面を載置する請求項1記載のレーザ加工機。
【請求項3】
前記加工ノズルを前記基板の下方に設置し、レーザ光を上向きに発射して基板を透過させて前記被加工面に照射する請求項1または2記載のレーザ加工機。
【請求項4】
前記支持機構に前記加工ノズルを前記走行方向に走行可能に支持させることでこれらをユニット化し、そのユニットを前記ピッチ送り方向に移動可能としている請求項3記載のレーザ加工機。
【請求項5】
前記ユニットを前記ピッチ送り方向に沿って複数配列している請求項4記載のレーザ加工機。
【請求項6】
前記支持機構に前記走行方向に沿って延伸した開口を開設し、この開口に前記加工ノズルの光軸を通す請求項3記載のレーザ加工機。
【請求項7】
前記開口及び前記加工ノズルを前記ピッチ送り方向に沿って複数配列している請求項6記載のレーザ加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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