説明

レーザ加工装置、レーザ加工方法およびレーザ加工プログラム

【課題】動作不良となった微小ミラーを避けて被加工物の加工を行なうことができないような状態になった場合であっても、所定の照射領域を確保して、継続的に使用することが可能なレーザ加工装置等を提供すること。
【解決手段】レーザ光源から出射されたレーザビームを所望の形状で被加工物に照射するために複数の微小可動素子が配列して構成された空間変調素子と、空間変調素子と被加工物とが共役な位置となるように配置された投射光学系と、照射の事前に設定された照射領域に基づいて空間変調素子の動作を制御する手段と、空間変調素子を構成する微小可動素子のうち動作不良の微小可動素子を検出する手段と、動作不良であることが検出された微小可動素子の位置が照射領域と重なる場合、動作不良であることが検出されなかった領域を用いて、被加工物に対して複数回に分けて照射を行なうように制御する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルマイクロミラーデバイスに代表される微小ミラーアレイ等の空間変調素子を用いたレーザ加工装置に関し、特に、液晶表示装置等の基板を製造する過程で、基板上の欠陥領域を撮像により抽出し、その欠陥領域の形状に合わせて修正を行なうレーザリペア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ加工装置において、被加工物に照射するレーザビームを複数の微小ミラーによりスイッチングして、レーザビームが照射される範囲、パターンを可変して加工を行なうようにした装置が知られている。
【0003】
このようなレーザ加工装置では、微小面積を有する微小ミラー面に高出力のレーザビームが照射されるため、微小ミラーが経時劣化しやすく、ひとたび微小ミラーが劣化すると、例えば微小ミラーのミラー面の傾きが狂ってレーザビームの照射位置がずれ、加工領域での加工不良を起こしたり、加工が不要な領域や加工済の領域を破壊したりするという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、複数の微小ミラーから構成される微小ミラーアレイの1つであるデジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device:以下、DMDと略称する。)が劣化した場合に、DMDあるいはレーザビームの入射側に設けられたマスクを移動することにより、劣化していないDMD上にレーザビーム照射領域を移動できるようにした露光装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。そして、その劣化状態を測定する手段の例として、レーザビーム出射時間累積カウンタにより劣化状態を推定するもの、被描画媒体に相当する位置で光パワーを測定して光パワーの低下から劣化状態を検出するもの、描画領域ごとに設けた光検出器で散乱光を測定してその増大の変化により劣化状態を検出するものが開示されている。
【0005】
また、レーザビーム照射に使用する範囲より大きなDMDを採用して、微小ミラーの反射光のうち被加工物から離れる方向に偏向されたレーザビームを撮像することで微小ミラーの劣化素子を検出し、検出した劣化素子を使用しないようにDMD全体をスライドさせることで劣化素子を避けるように照射領域を変更して、加工信頼性を向上するものが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2004−191660号公報(第4−8頁、図7、10、13)
【特許文献2】特開2006−227198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来の微小ミラーアレイを用いたレーザ加工装置では、劣化素子が増えてDMDの全面に亘って劣化素子が発生すると、微小ミラーアレイをスライドした場合であっても、劣化素子を避けられない状態になると加工が不可能になる場合があり、その時点でレーザ加工装置を停止して、次に微小ミラーアレイを交換するまではレーザ加工装置の使用が出来なくなるため、例えば被加工物の製造ライン内でレーザ加工装置を使用している場合には製造ラインを停止させなければならないという問題点があった。
【0007】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、動作不良となった微小ミラーを避けて被加工物の加工を行なうことができないような状態になった場合であっても、所定の照射領域を確保して、継続的に使用することが可能なレーザ加工装置、レーザ加工方法およびレーザ加工プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明のレーザ加工装置は、レーザ光源から出射されたレーザビームを所望の形状で被加工物に照射するために複数の微小可動素子が配列して構成された空間変調素子と、前記空間変調素子と前記被加工物とが共役な位置となるように配置された投射光学系と、照射の事前に設定された照射領域に基づいて前記空間変調素子の動作を制御する照射領域制御手段と、前記空間変調素子を構成する微小可動素子のうち動作不良の微小可動素子を検出する動作不良素子検出手段と、前記動作不良素子検出手段により動作不良であることが検出された微小可動素子の位置が前記照射領域と重なる場合、前記動作不良であることが検出されなかった領域を用いて、前記被加工物に対して複数回に分けて照射を行なうように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、動作不良であることが検出された微小ミラーの位置が照射領域と重なる場合、動作不良であることが検出されなかった微小ミラーのみを含む正常領域を用いて、被加工物に対して複数回に分けて照射を行なうことができるので、動作不良となった微小ミラーを避けて被加工物の加工を行なうことができないような状態になった場合であっても、所定の照射領域を確保して、継続的にレーザ加工装置を使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。すべての図面において、実施の形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成について説明するための模式的な構成説明図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置のスリットの構成について説明するための説明図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置の微小ミラーアレイの断面方向の構成および動作について説明するための断面説明図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置の微小ミラーアレイを反射面側から見た様子を示す模式的な平面説明図およびその動作を説明するための被加工物上の画像の一例を示す平面説明図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置の撮像素子により得られる画像の一例について説明するための模式説明図である。
【0012】
図1において、レーザ加工装置50は、レーザ光源1(光源部)、照明光学系3、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)4(微小ミラーアレイ)、集光レンズ5、波長選択ミラー6、対物レンズ7、リレー光学系10、減衰フィルタ11、第2撮像素子12(撮像素子)、第2画像処理部13(偏向動作検出手段)、コントローラ14(発光制御手段)、アクチュエータドライバ15、2軸変位アクチュエータ16(移動手段)、撮像光学系17、第1撮像素子18、第1画像処理部19、スリット25、領域コントローラ26および警告手段27を備えている。そして、レーザ加工装置50は、試料9(被加工物)上に所定パターンを形成した所定の光出力と波長とを有するレーザビーム2Aを投影し、その光エネルギーにより試料9の表面を加工する。光エネルギーによる加工は、例えば、加熱、溶融、気化、切断、露光記録などが挙げられる。
【0013】
レーザ光源1は、試料9を加工するためのレーザビーム2を発生するものである。レーザビーム2の光出力及び波長は、試料9の加工部分の材質の光吸収の波長特性に応じて、加工効率が良好となる光出力、発振波長に設定される。レーザビーム2の点灯、消灯、変調などの発光制御は、後述するコントローラ14が生成する制御信号101により行われるようになっている。
【0014】
例えば、液晶基板などガラス基板上にマスクされたフォトレジスト膜の加工の場合、レーザ光源1として、YAGレーザ(基本波長λ1=1.064μm(マイクロメートル))を用い、第2、第3、第4高調波(それぞれ波長λ2=532nm、λ3=355nm、λ4=266nm)をパルス幅が数nsec程度、ピーク出力が数MW程度のパルス発振させるものを好適に採用することができる。
【0015】
照明光学系3は、レーザ光源1により形成されたレーザビーム2を断面強度分布が均一化された略平行光束とする光学系からなり、レーザビーム2の光路上に配置される。このような照明光学系3の構成としては、例えば、フライアイレンズ、回折素子、非球面レンズや、カレイド型ロッドを用いたものなどの種々の構成が知られているので、必要に応じてどの構成を採用してもよい。
【0016】
スリット25は、レーザ光源1からDMD4の間に配置されており、スリット25の開口部を通過したレーザビーム2のみがDMD4に入射するように光学的な設計がなされている。
【0017】
スリット25は、図2に示すようにスリット部品25Aおよび25Bの2つの部品から構成されている。これらは図示しないXYステージ機構に取り付けられ、それぞれ個別にXY軸方向にモータで制御することができるだけでなく、同時にX0Y0方向に制御することもできる。これらのXYステージ機構により、DMD4の開口部の大きさを変えたり、開口部の中心位置をスライドしたりする制御を実現する。なお、このときの駆動分解能は少なくともDMD4を構成する微小ミラーの画素サイズと同じであり、XY方向の移動範囲は、一度のレーザ照射で使用可能なDMD4の領域内のどの微小ミラーでも単独で照射可能な範囲である。
【0018】
開口部の形状は特に限定しないが、レーザビーム2の照射領域の面積と微小ミラー使用領域の面積との差をより小さくするためには、出来る限り微小ミラーの配置形状に合わせることが望ましい。つまり、矩形状に微小ミラーが配置されているものであれば開口部も矩形、放射状に微小ミラーが配置されているものであれば開口部も放射状という具合である。
【0019】
制御データを入力すると、それに合わせてスリット25の開口部を拡大縮小及びスライドし、入力した領域だけにレーザビーム2が照射されるような制御を行なう。
空間変調素子であるDMD4は、可動ミラー配列面4b上に、それぞれの傾斜角が独立に切り替え可能とされた複数の可動ミラー面4a(図3参照)が略隙間なく2次元的に配列された微小ミラーアレイである。
【0020】
各可動ミラー面4aの傾斜角の切り替えは、後述する領域コントローラ26により生成される制御信号106により行われる。制御信号106によりオン状態が選択されると、可動ミラー面4aは、可動ミラー配列面4bに対して傾斜角φAだけ傾斜されたオン状態ミラー4Aとなる。また制御信号106によりオフ状態が選択されると、同じく傾斜角がφBだけ傾斜されたオフ状態ミラー4Bとなる。
【0021】
そして、オン状態ミラー4Aではレーザビーム2が試料9に向かう第1の方向にレーザビーム2Aとして偏向され、オフ状態ミラー4Bではレーザビーム2が試料9から離れる第2の方向にレーザビーム2Bとして偏向されるようになっている。
【0022】
本第1の実施の形態では、図3に示すように、第1の方向が可動ミラー配列面4bの法線方向になっており、第2の方向が可動ミラー配列面4bの法線に対して角度θoだけ傾斜した方向となっている場合の例で説明する。
【0023】
ここで、レーザビーム2の入射方向は、第1の方向とは異なる方向であるとする。また傾斜角φA、φBは、可動ミラー配列面4bを挟んでそれぞれ反対向きに傾斜する傾斜角である。よって下記の式(1)及び式(2)が成立する。
θi=2×φA ・・・式(1)
θo=θi+2×φB ・・・式(2)
ここで、角度θiは、可動ミラー配列面4bに対するレーザビーム2の入射角であり、0°以外の角度とする。
【0024】
可動ミラー配列面4bの大きさは照明光学系3により断面強度分布が均一化されたレーザビーム2の光束径よりも十分大きく、また各可動ミラー面4aはレーザビーム2の光束径よりも十分小さく構成される。
【0025】
DMD4は、例えばプロジェクタなどに用いられているのと同様の構成を採用できる。すなわち、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により、大きさが10マイクロメートル(μm)角程度で表面に金属膜が蒸着されるなどして高効率の反射面とされた可動ミラー面4aが、例えば800×600個程度アレイ状に配列され、それぞれが可動ミラー配列面4bに対して±12°程度の傾斜角(φA=φB=12°)で傾斜可能とされたものなどが採用できる。
【0026】
レーザビーム2の光束断面の大きさ、形状、および可動ミラー配列面4bの大きさは、加工種類や被加工物などに応じて適宜の形状、大きさとすることができるが、一例として、レーザビーム2が光束径φ3mmの円形断面を有し、可動ミラー配列面4bの大きさが8mm×6mm程度の構成を採用することができる。
【0027】
集光レンズ5と対物レンズ7とは、DMD4に照射されたレーザビーム2のうち、レーザビーム2Aを、試料9上に投射するための投射光学系を構成するものであり、可動ミラー配列面4bと試料9の加工面とが共役の関係となるように設けられる。また、可動ミラー配列面4bと試料9の加工面とが光軸に対して略垂直としてもよい。加工面は光軸に対して傾いていても加工された部分が許容される範囲であればよく、可動ミラー配列面4bも1つのミラー面のサイズと投射光学系のNAで決まる焦点深度内となる傾きであれば許容される。
【0028】
このような投射光学系を構成するには、例えば、対物レンズ7として像側が無限遠設計とされた光学系を採用して物体側焦点位置が試料9上となる位置に配置し、集光レンズ5として、対物レンズ7と同様に無限遠設計されたレンズを物体側焦点位置が可動ミラー面4a上となる位置に配置すればよい。
【0029】
すなわち、この投射光学系により、オン状態ミラー4Aで反射されたレーザビーム2Aが試料9上に投射され、オン状態ミラー4Aの配置に対応する適宜倍率の画像パターンが試料9上に形成されるようになっている。
【0030】
一方、試料9の近傍には、試料9上を可視光により照明するための可視光照明部8が設けられている。可視光照明部8としては、例えば、可視光の比較的長波長域から赤外域に波長が分布するハロゲンランプなどを採用することができる。
【0031】
また、集光レンズ5と対物レンズ7との中間部の光路上には、レーザビーム2Aの波長光を略100%透過し、可視光照明部8の可視波長域の光を略100%反射する波長選択ミラー6が配置されている。
【0032】
このため、可視光照明部8により照射された照明光が試料9で散乱反射されて照明反射光20が形成されると、照明反射光20が対物レンズ7により集光され、投射光学系の光路を逆進して波長選択ミラー6に達し、波長選択ミラー6により反射されて投射光学系から分岐されるようになっている。
【0033】
波長選択ミラー6により分岐された照明反射光20の光路上には、光路に沿う順に、撮像光学系17、第1撮像素子18が配置されている。
撮像光学系17は、入射光の像を所定の結像面に結像するため光学系であり、例えば無限遠に物体面が設定された光学系が採用される。本第1の実施の形態の場合、照明反射光20が入射光となるので、試料9の画像が結像面に結像されるようになっている。
【0034】
第1撮像素子18は、撮像光学系17の結像面に撮像面が配置された、例えばCCDなどからなる撮像素子である。そして、第1画像処理部19と電気的に接続され、撮像光学系17により投影された像を光電変換し、画像データ105として第1画像処理部19に送出できるようになっている。
【0035】
第1画像処理部19は、領域コントローラ26と電気的に接続され、DMD4の各可動ミラー面4aのオン・オフ状態を表すデータ102を領域コントローラ26に送出できるようになっている。
【0036】
領域コントローラ26(照射領域制御手段)は、第1画像処理部19を介して第1撮像素子18から送出された画像データ105に基づいて、試料9上の加工が必要な部位の位置を算出し、その部位に対応する可動ミラー面4aをアレイ配列中から選択してオン状態ミラー4Aとし、それ以外の部位に対応する可動ミラー面4aをオフ状態ミラー4Bとするための制御信号106を生成するためのものである。また、第1画像処理部19から受けたデータ102のマトリクスのサイズを決定して、制御信号106をDMD4に転送して制御する。
【0037】
ここでマトリクスとは、例えば試料9上の照射すべき領域を、光学的に共役な位置にあるDMD4の投影したときに微小ミラーを基準にして決まる領域をいうこととする。
さらに、領域コントローラ26は、第1画像処理部19と後述する第2画像処理部13からの情報をもとに、DMD4を構成する各微小ミラーの劣化度合いを管理し、その度合いに応じてDMD4の使用モードの切り替えを行なう。使用モードには通常モードと劣化対応モードがある。
【0038】
DMD4が劣化していないうちは通常モードであり、マトリクスのサイズはそのままでデータ102をDMD4へ転送する。しかし、コントローラ14から領域分割指令109を受けると劣化対応モードに移行し、その場合はデータ102のマトリクスを分割する。つまり、試料9上の欠陥領域を分割する。そしてマトリクスのサイズを分割により小さくして転送すると共に、警告手段27に対して警告指令110を送る。
【0039】
領域コントローラ26の画像処理は、試料9の画像から加工が必要な部位を算出できればどのような画像処理を用いてもよい。例えば、加工された部位と加工不良や未加工の部位との輝度差に対応する閾値を設定して、試料9上の画像を2値化し、予め設定された加工すべき部位の形状と比較することにより、加工が必要な加工不良や未加工の部位の位置を算出するといった画像処理を採用することができる。
【0040】
例えば、2値化後の画像が、図4(b)に示すように斜線で示す範囲に分布し、パターン22a、22bが得られるとする。ここで、見やすさのためレーザビーム2の照射範囲を正方形として図示している。実際の照射範囲の形状は、例えば円形や矩形など他の形状であってもよい。
【0041】
一方、この画像上の任意の領域は、可動ミラー面4aのアレイ状の配列に対応して、オン状態ミラー4Aによりレーザビーム2Aがそれぞれ到達する碁盤目状の投影領域21に分割されている。例えば、各領域の中心座標と、各投影領域21にレーザビーム2Aを導く可動ミラー面4aの面番号とがそれぞれ対応づけられた配列データとして記憶されている。
【0042】
一方、加工すべき部位の情報もまた、投影領域21ごとに与えられており、例えば、画像のない領域23a、23bが加工すべき領域であるかどうかの情報として領域コントローラ26に記憶されている。
【0043】
したがって、各投影領域21に対する画像分布と加工すべき部位かどうかの情報とを比較判定することにより、加工不良や未加工の部位が判定される。領域23a、23bが加工すべき部位であるにもかかわらず未加工の領域であると判定されれば、領域23a、23bに対応する可動ミラー面4a、4aの傾斜角を切り替えて、オン状態ミラー4A、4Aにするような制御信号106が生成される。
【0044】
この例では、領域23a、23bに対応する可動ミラー面4aは、図4(a)においてそれぞれ可動ミラー面4C、4Dとなっている。
リレー光学系10は、レーザビーム2Bを、第2撮像素子12の感度に合わせて適宜の光量に減衰させる減衰フィルタ11を介して第2撮像素子12上に投影するための光学系であり、可動ミラー面4aと第2撮像素子12の撮像面とが共役の関係となるように設けられる。
【0045】
減衰フィルタ11は、例えば、アルミなどの金属膜をガラスに蒸着した反射型減衰フィルタや、誘電体を積層蒸着した誘電体多層膜を用いた減衰フィルタなどを好適に採用できる。
【0046】
リレー光学系10と減衰フィルタ11とは、本第1の実施の形態の検出光学系を構成している。
第2撮像素子12は、リレー光学系10の像面に撮像面が配置された、例えばCCDなどからなる撮像素子である。そして、第2画像処理部13と電気的に接続され、リレー光学系10により投影された像を光電変換し、画像データ103として第2画像処理部13に送出できるようになっている。
【0047】
第2画像処理部13は、第2撮像素子12から送出された画像データ103に基づいて、各可動ミラー面4aのうちオフ状態ミラー4Bとなっているものを特定して、データ104を生成し、電気的に接続されたコントローラ14に送出するものである。
【0048】
オフ状態ミラー4Bを特定するための画像処理は、例えば、オフ状態ミラー4Bにより反射されてリレー光学系10、減衰フィルタ11を透過したレーザビーム2Bの輝度よりわずかに低い閾値を設定して、第2撮像素子12により撮像された画像を2値化し、閾値以上の領域をDMD4上の可動ミラー面4aの配列位置と関係づけるといった画像処理を採用することができる。
【0049】
例えば、図4(b)のパターン22a、22bに対応する加工が行われている場合には、正常な加工時には、それ以外の領域で可動ミラー面4aがオフ状態ミラー4Bとなっているから、第2撮像素子12ではパターン22a、22bを反転したパターン44(図5(a)参照)が得られる。逆にパターン44が得られると、パターン44に対応する位置の可動ミラー面4aがオフ状態ミラー4Bであると判定される。
【0050】
コントローラ14は、レーザ加工装置50の全体制御を行なうための制御部であり、領域コントローラ26、第2画像処理部13、レーザ光源1、アクチュエータドライバ15にそれぞれ電気的に接続されている。
【0051】
コントローラ14の主要な制御は、発光制御、偏向動作検出制御、および照射領域移動制御からなる。
発光制御は、試料9を加工するために必要なレーザパワー(光出力)で点灯する加工モードと、試料9にレーザビーム2が到達しても試料9に変化を起こさない程度の低出力で発光する事前発光モードとが切り替えられるようになっている。なお、レーザ光源1による事前発光モードの代わりに、レーザ光源1と照明光学系3との間にハーフミラー等の反射光学素子を設け、LED等のレーザに対して十分出力の低い光源をレーザ光源1によるDMD4への照射と同様に照射されるよう設置して発光させてもよい。
【0052】
加工モードでは、例えばピーク出力がP2で発振周期が数nsec程度のパルス発振を行なうように発光制御される。また、事前発光モードでは、例えばピーク出力がP1で同様なパルス発振を行なうように発光制御される。
【0053】
偏向動作検出制御は、本第1の実施の形態では、領域コントローラ26を介して受け取ったデータ102と第2画像処理部13からのデータ104とを比較して、DMD4の偏向動作状態を判定し、偏向動作不良を検出した場合に照射領域移動制御を行なう制御である。このため本第1の実施の形態のコントローラ14は、偏向動作検出手段を兼ねている。
【0054】
照射領域移動制御は、アクチュエータドライバ15を介して2軸変位アクチュエータ16を駆動し、DMD4を可動ミラー配列面4bの面内に沿って2次元移動する制御である。
【0055】
なお、検出光学系、第2撮像素子12、第2画像処理部13、コントローラ14で、動作不良素子検出手段を構成している。
2軸変位アクチュエータ16(空間変調素子スライド機構)は、DMD4を可動ミラー配列面4bに沿う平面内で、可動ミラー面4aの傾斜角をレーザビーム2に対して変えないように移動するための移動手段であり、アクチュエータドライバ15から移動制御信号114を受信することにより2軸方向に駆動されるものである。移動方向の最小移動量は、少なくとも可動ミラー面4aの1個分の単位を正確に移動できるように設定される。
【0056】
また、2軸変位アクチュエータ16は、被加工面においてDMD4の左上端の微小ミラーによるものと同じ照射位置を、右下端の微小ミラーによっても照射可能となるようにスライド範囲を設ける。
【0057】
アクチュエータの種類は適宜のものを採用できる。例えば、ボールねじ送り機構やリニアモータなどにより1軸方向に駆動されるアクチュエータを組み合わせた機構を採用することができる。
【0058】
アクチュエータドライバ15は、コントローラ14からの制御信号100に応じて、2軸変位アクチュエータ16を駆動するための移動制御信号114を生成するドライバである。
【0059】
警告手段27は、領域コントローラ26からの警告指令110を受けて、ダイアログ、シグナルタワーなどを用いて、レーザ加工装置50の使用者に対してDMD4が劣化している旨を報知する。一度受けた警告指令110の情報は、DMD4を交換するまで保持し、その間は警告し続ける。DMD4を交換した後は、警告指令110の情報はリセットされる。
【0060】
次に、本第1の実施の形態のレーザ加工装置50の動作について説明する。
先ず、通常モードによるレーザ加工工程について説明を行なう。
レーザ加工装置50により加工を行なうには、不図示の電源スイッチを投入して適宜の初期化を行ない、試料9をセットする。
【0061】
DMD4は、初期化されると、各可動ミラー面4aの傾斜角が図3に示すφBにセットされ、オフ状態ミラー4Bに設定される。
可視光照明部8が点灯されると、図1に示すように、照明光が試料9により反射され、可視光からなる照明反射光20が対物レンズ7により集光される。そして、波長選択ミラー6で略100%反射されて、撮像光学系17に入射され、第1撮像素子18の撮像面に試料9の像が結像される。
【0062】
第1撮像素子18から画像データ105が第1画像処理部19に送出され、試料9の画像から、加工すべき部位の情報が得られる。
図4(b)に示すパターン22a、22bの画像が得られ、領域コントローラ26に記憶されている情報から、領域23a、23bが加工不良部と判定されたとする。
【0063】
例えば、加工不良部は、回路パターンのショート部やはみ出してしまった不要なパターンであり、加熱・昇華するなどの加工を行って、パターン22a、22bのショート部や不要なパターンを消滅させる必要がある。
【0064】
そこで、領域コントローラ26は、領域23a、23bにレーザビーム2Aを照射するために、これらの領域に対応する可動ミラー面4aをオン状態ミラー4Aとするような制御信号106をDMD4に送出する。また、第1画像処理部19からは、オン状態ミラー4Aの設定情報をデータ102として、領域コントローラ26に送出される。
【0065】
以下、オン状態ミラー4Aとされる可動ミラー面4aは、図4(a)における可動ミラー面4C、4Dであるとして説明する。
DMD4は、制御信号106を受けると可動ミラー面4C、4Dを傾斜角φAにセットし、オン状態ミラー4Aとする。ここで可動ミラー面4Cが寿命に達しており、動作不良を起こし正しい傾斜角に制御されないものとする。
【0066】
一方、レーザ光源1は、コントローラ14によりレーザビーム2を点灯し、照明光学系3により断面強度が均一となるように整形されてDMD4に事前発光モードで照射する。例えば、図4(a)に示す照射領域24Aに照射される。そして、各可動ミラー面4aの傾斜角に応じてレーザビーム2A、2Bに分割される。本第1の実施の形態では、可動ミラー面4Cは動作不良を起こし、オフ状態ミラー4Bとなっている。
【0067】
可動ミラー面4Dは、正常に動作するので、オン状態ミラー4Aにセットされている。
したがって、可動ミラー面4Dにより偏向されたレーザビーム2Aは、集光レンズ5により集光され、波長選択ミラー6を略100%透過して、対物レンズ7により集光され、試料9上に到達し、図4(b)の領域23bに照射される。
【0068】
一方、オフ状態ミラー4Bにより反射されたレーザビーム2Bは、リレー光学系10、減衰フィルタ11を透過して第2撮像素子12上に投影され、例えば、図5(b)に示すパターン45のような像が撮像され、画像データ103として第2画像処理部13に送出される。
【0069】
第2画像処理部13は、この画像を画像処理して、オフ状態ミラー4Bとなっている可動ミラー面4aを特定し、データ104としてコントローラ14に送出する。
コントローラ14では、領域コントローラ26を介して受け取ったデータ102と第2画像処理部13からのデータ104とを比較することにより、オン状態ミラー4Aになっているべき領域46に相当する可動ミラー面4Cが動作不良を起こしていると判定される(偏向動作検出制御)。
【0070】
このような判定の結果、コントローラ14は、照射領域移動制御を行なう。移動方向、移動量は、検出された動作不良部分が除かれればどのように設定してもよい。そして、上記の工程を繰り返し、オフ状態ミラー4Bの状態が正常となると、事前発光動作を終了し、コントローラ14は、レーザ光源1に制御信号101を送出し、加工工程を開始する。
【0071】
加工工程では、図4(b)の領域23a、23bが加熱・昇華され、パターン22a、22bが正常に修復される。
以上が、通常モードによるレーザ加工工程である。しかしながら、さらに劣化が進むことにより、事前発光モードにより得た第2画像処理部13からのデータ104と第1画像処理部19からのデータ102をもとにどのように移動させても、照射に使用したい領域に劣化した微小ミラーが入ることをコントローラ14が検知した場合は、劣化対応モードに切り替えられる。
【0072】
以下、劣化モードについて図6および図7を用いて説明する。
ここで図6(a)は、DMD4の微小ミラー領域(マトリクスの最外枠)内にある矩形形状の照射する領域(欠陥等)に対応した微小ミラーの使用する領域を示す模式図であり、図6(b)は、DMD4の中央部分に1つの劣化が発生したDMD4の様子を示す模式図である。また、図7は、照射したい領域を上下に劣化のない矩形形状の領域で2分割したときのDMD4側に対応させた摸式図である。
【0073】
ここで照射したい領域とそれに対応するDMD4とは、光学的に共役な位置関係にあるので、図面をDMD4側のマトリクスとして表現している。
コントローラ14は、データ102を領域コントローラ26を介して受けると、分割判定を行なう。最初は通常モードなので分割判定はNOとなり、領域サイズはそのままにコントローラ14およびスリット25に対してそれぞれ制御信号107、108を転送する。
【0074】
次にコントローラ14は偏向動作検出制御を行ない、領域コントローラ26を介して受け取ったデータ102と事前発光モードによりDMD4にレーザ光を照射し第2撮像素子12で撮像した画像を第2画像処理部13で画像処理を行い劣化した微小ミラーを特定したデータ104との比較により、劣化した微小ミラーを使用しないDMD4の位置、すなわち最適使用位置をサーチする。しかし、このとき図6(b)のように劣化した微小ミラーが分布しているとすると、どのようにDMD4をスライドさせても劣化した微小ミラーを避けることが出来ず最適使用位置が見つからないという結果になる。この場合、通常モードから劣化対応モードに移行すると判断する。
【0075】
コントローラ14は、劣化対応モードでは領域コントローラ26に対して識別番号と共に領域分割指令109を通知する。その領域分割指令109を受けた領域コントローラ26は、保持していたデータ102のマトリクスを例えば図7のように第1マトリクスと第2マトリクスとに2分割する。このとき、分割方法は、使用する領域を例えば上下に矩形形状で分割する。DMD4側に投影して見た場合の縦横が微小ミラーの17個×8個の2つの領域に分割できる。そこで、DMD側の17個×8個の微小ミラー領域を基準として、この領域に対応した試料の領域を分割する処理を行なう。
【0076】
ここで、分割方法は、できるだけ面積が2分割されるような方法が望ましい。例えば面の重心位置を求め、その重心を上下、左右、斜め等に分割する方法等が考えられる。そして、それぞれにまた固有の識別番号をつけて保持する。
【0077】
そして、同時に警告手段27に対しても警告指令110を通知する。警告指令110を受けた警告手段27は、レーザ加工装置50のオペレータに対してモニタ上あるいはシグナルタワーなどでDMD4が劣化している旨を警告する。ここで警告のタイミングは上記に示したものだけに限らず、例えば偏向動作検出制御の際にDMD4をスライドさせた回数をカウントして、規定回数以上スライドした場合に警告するようにしても良い。
【0078】
次に、領域コントローラ26は、まず制御データとして第1マトリクスをコントローラ14に転送する。ここで再び偏向動作検出制御が行われることにより、DMD4の使用可能な領域をもとに最適使用位置を見つける。この場合は、劣化したミラーの上側に縦横に17個×8個の使用可能な領域があるため、この領域を使用しての照射が可能であり、コントローラ14は、DMD4の照射領域移動制御を行なうことにより、アクチュエータドライバ15に指示を出し、2軸変位アクチュエータ16を制御することにより、DMD4を下方に微小ミラー1つ分動かす。あとは上述した流れで加工処理が行われる。
【0079】
問題なくレーザビーム2を照射が終わると、コントローラ14は領域コントローラ26に対して次のマトリクスのデータを要求する。その要求に対して領域コントローラ26は第2マトリクスのデータをコントローラ14に転送する。ここで第1マトリクス同様に偏向動作検出制御がおこなわれる。そして問題が無ければ、照射領域移動制御が行なわれる。しかし、もしここで仮に事前発光モードのレーザ光照射により、新たな劣化したミラーが発生したり、欠陥部分の形状により最適使用位置がまたもや見つからなかった場合には、前記同様の手順で第2マトリクスの領域を再度領域を分割する。
【0080】
以上の処理を、データ102の全領域が完了するまで繰り返す。
以上のようにすれば、DMD4をスライドしても劣化した微小ミラーを避けられない状態になった場合にも、レーザ加工装置50を継続して使用することが出来る。また、DMD4の劣化を警告してオペレータに知らせることで、オペレータはレーザ加工装置50が使用不能になる前にメンテナンスの手配が可能となるため、レーザ加工装置50のダウンタイムを短縮することが出来る。
【0081】
なお、上記の第1の実施の形態における偏向動作検出制御では、最適使用位置であるか否かの判断を微小ミラー1つ単位で行っている。しかし、1つの微小ミラーの劣化だけでは、回折現象により、実質的にはレーザ加工に影響しない場合がある。そこで予め設定した単位面積当たり数を超えた場合に、その複数の微小ミラーから構成される領域を劣化エリアとして判定し、劣化エリアが照射エリアに含まれる場合に最適使用位置でないと判断してもよい。
【0082】
たとえ微小ミラーが単体で故障したとしても加工には影響しない場合が考えられるため、このようにすることでDMD4の使用期間を更に延ばすことができる。
また、本実施の形態における劣化対応モードへの移行判断は、偏向動作検出制御で最適使用位置が見つかるか否かで行っているが、予め基準となる劣化した微小ミラーの数を設定しておき、劣化した微小ミラーの数を管理して予め設定した閾値よりも多くの微小ミラーの劣化が発生するまでは通常モードとし、劣化した微小ミラーの数が閾値を越えた時点で劣化対応モードに移行可能にするようにしても良い。
【0083】
また、通常モード時のDMD4の全体または部分的な反射輝度を事前に把握しておき、その反射輝度が予め設定した閾値よりも低下した時点で劣化対応モードに移行可能にしても良い。
【0084】
また、DMD4に対するレーザ照射時間またはレーザ照射回数を管理し、予め設定したレーザ照射時間またはレーザ照射回数を越えた時点で劣化対応モードに移行可能にしても良い。
【0085】
また、上述の第1の実施の形態では、通常モードを「領域コントローラ26で領域分割せずに使用可能な状態」と定義し、劣化対応モードを「領域を分割すれば使用可能な状態」と定義しているが、通常モードを「DMD4をスライドさせずに使用可能な状態」とし、劣化対応モードを「DMD4をスライドすれば使用可能な状態」としてもよい。
【0086】
また、本実施の形態では、偏向動作検出制御における照射領域移動制御は、2軸変位アクチュエータ16を使用してDMD4の移動動作としているが、代わりに試料9を載置する直交する2軸で移動可能な2軸移動ステージを設け、この2軸移動ステージを制御してDMD4と試料9を相対的に移動させたり、このレーザ加工装置50全体を直交する2軸方向に移動可能なガントリ装置に搭載することによりDMD4と試料9を相対的に移動させたりして、照射領域移動制御を行なってもよい。すなわち、DMD4の制御対象である微小ミラーを切り替える制御であればよい。
【0087】
なお、本発明の各実施の形態は、液晶表示装置等の基板を製造する過程で、基板上の欠陥領域を撮像により抽出し、その欠陥領域の形状に合わせて修正を行なうレーザリペア装置を例にとり説明してきたが、本発明は、欠陥抽出のための撮像系を有さないレーザ加工装置にも適用できる。すなわち、撮像光学系17、第1撮像素子18、第1画像処理部19、波長選択ミラー6等を省略し、代わりに、領域コントローラ26に加工部位のデータが入力された加工情報記憶部を設ける。そして、その加工情報記憶部から加工部位のデータが領域コントローラ26に入力されるようにしても良い。
【0088】
以上、本発明の各実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、本発明が適用されるレーザ加工装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の各実施の形態等に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0089】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、可搬記憶媒体、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた各実施の形態のシステムを実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記憶媒体を、レーザ加工装置に供給し、そのレーザ加工装置のコンピュータがプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0090】
この場合、可搬記憶媒体等から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した可搬記憶媒体等は本発明を構成することになる。
【0091】
プログラムコードを供給するための可搬記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記憶媒体などを用いることができる。
【0092】
また、コンピュータがメモリ上に読み出したプログラムコードを実行することによって、前述した各実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によっても前述した各実施の形態の機能が実現される。
【0093】
さらに、可搬型記憶媒体から読み出されたプログラムコードやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によっても前述した各実施の形態の機能が実現され得る。
【0094】
すなわち、本発明は、以上に述べた各実施の形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成又は形状を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成について説明するための模式的な構成説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置のスリットの構成について説明するための説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置の微小ミラーアレイの断面方向の構成および動作について説明するための断面説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置の微小ミラーアレイを反射面側から見た様子を示す模式的な平面説明図およびその動作を説明するための被加工物上の画像の一例を示す平面説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置の撮像素子により得られる画像の一例について説明するための模式説明図である。
【図6】使用/不使用および劣化した/正常な微小ミラーの例を模式的に示す図である。
【図7】データのマトリクスを2分割した例を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1 レーザ光源(光源部)
2、2A、2B レーザビーム
3 照明光学系
4 DMD(微小ミラーアレイ)
4a 可動ミラー面(可動反射面)
4b 可動ミラー配列面
4A オン状態ミラー
4B オフ状態ミラー
4C、4D 可動ミラー面
5 集光レンズ(投射光学系)
6 波長選択ミラー
7 対物レンズ(投射光学系)
8 可視光照明部
9 試料(被加工物)
10 リレー光学系(検出光学系)
11 減衰フィルタ
12 第2撮像素子(撮像素子)
13 第2画像処理部(偏向動作検出手段)
14 コントローラ(露光制御手段)
15 アクチュエータドライバ
16 2軸変位アクチュエータ(移動手段)
17 撮像光学系(検出光学系)
18 第1撮像素子
19 第1画像処理部
20 照明反射光
21 投影領域
22a、22b パターン
23a、23b 画像のない領域
24A、24B、24C、24D 照射領域
25 スリット
25A、25B スリット部品
26 領域コントローラ
27 警告手段
44、45 パターン
46 領域
50 レーザ加工装置
100、101 制御信号
102、104 データ
105 画像データ
106、107、108 制御信号
109 領域分割指令
110 警告指令
114 移動制御信号
200 実線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源から出射されたレーザビームを所望の形状で被加工物に照射するために複数の微小可動素子が配列して構成された空間変調素子と、
前記空間変調素子と前記被加工物とが共役な位置となるように配置された投射光学系と、
照射の事前に設定された照射領域に基づいて前記空間変調素子の動作を制御する照射領域制御手段と、
前記空間変調素子を構成する微小可動素子のうち動作不良の微小可動素子を検出する動作不良素子検出手段と、
前記動作不良素子検出手段により動作不良であることが検出された微小可動素子の位置が前記照射領域と重なる場合、前記動作不良であることが検出されなかった領域を用いて、前記被加工物に対して複数回に分けて照射を行なうように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
さらに、
前記被加工物を前記照射光学系と相対的に移動させる、または、前記空間変調素子を前記被加工物と相対的に移動させる移動手段、を備え、
前記制御手段は、前記照射領域を分割し、前記動作不良であることが検出されなかった領域を用いて複数回に分けて照射を行なう際、前記移動手段を用いて前記照射光学系と前記加工対象を相対的に移動させて、または、前記空間変調素子を前記被加工物と相対的に移動させて照射するように制御することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
さらに、
前記被加工物を撮像するための撮像光学系と、
前記撮像光学系の像位置に配置された撮像素子と、を備え、
前記照射領域制御手段は、前記撮像素子により撮像した前記被加工物の画像に基づいて画像処理により前記照射領域を抽出し、事前に設定を行うことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記空間変調素子を前記被加工物と相対的に移動させる移動手段は、
前記空間変調素子を可動ミラー配列面に沿う平面内で移動するための移動手段であり空間変調素子スライド機構であることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
レーザ光源から出射されたレーザビームを所望の形状で被加工物に照射するために複数の微小可動素子が配列して構成された空間変調素子と、前記空間変調素子と前記被加工物とが共役な位置となるように配置された投射光学系とを備えるレーザ加工装置のコンピュータが、
照射の事前に設定された照射領域に基づいて前記空間変調素子の動作を制御し、
前記空間変調素子を構成する微小可動素子のうち動作不良の微小可動素子を検出し、
前記動作不良であることが検出された微小可動素子の位置が前記照射領域と重なる場合、前記動作不良であることが検出されなかった領域を用いて、前記被加工物に対して複数回に分けて照射を行なうように制御する、
ことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項6】
レーザ光源から出射されたレーザビームを所望の形状で被加工物に照射するために複数の微小可動素子が配列して構成された空間変調素子と、前記空間変調素子と前記被加工物とが共役な位置となるように配置された投射光学系とを備えるレーザ加工装置のコンピュータを、
照射の事前に設定された照射領域に基づいて前記空間変調素子の動作を制御する照射領域制御手段と、
前記空間変調素子を構成する微小可動素子のうち動作不良の微小可動素子を検出する動作不良素子検出手段と、
前記動作不良素子検出手段により動作不良であることが検出された微小可動素子の位置が前記照射領域と重なる場合、前記動作不良であることが検出されなかった領域を用いて、前記被加工物に対して複数回に分けて照射を行なうように制御する制御手段と、
して機能させることを特徴とするレーザ加工プログラム。


【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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