説明

レーザ加工装置

【課題】用いる白色光の扱いが容易で、ワークに焦点の合った波長光によるワーク表面高さの測定性能を向上させる。
【解決手段】白色光源101から発せられた白色光を第1の光ファイバ103を用いて第2の集光レンズ102に導きワークWに集光させ、ワークWからの反射光を第2の光ファイバ120を用いて反射光の強度を検出する検出器110に導くようにした検出手段10を備え、ワークWに集光照射させるために用いる白色光の扱いを容易とし、かつ、ワークWに焦点の合った波長光のみの安定した伝搬を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ワーク等のワークに加工用レーザビームを照射して所定の加工を施すレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ワークの表面に格子状に配列されたストリート(分割予定ライン)によって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC,LSI等の回路が形成されている半導体ワークをストリートに沿って切断することにより回路毎に分割して個々の半導体チップを製造している。半導体ワークのストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと称される切削装置によって行われているが、レーザビームを照射して切断する加工方法も試みられている。
【0003】
例えば、光デバイスウエーハ等のワークをストリートに沿って分割する方法として、ワークに対して吸収性を有する波長のパルスレーザビームをストリートに沿って照射することによりレーザ加工溝を形成し、このレーザ加工溝に沿って外力を付与することにより割断する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ワークに対して透過性を有する波長のパルスレーザビームを用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザビームを照射するレーザ加工方法も試みられている。このレーザ加工方法を用いた分割方法は、ワークの一方の面側から内部に集光点を合わせてワークに対して透過性を有する波長のパルスレーザビームを照射し、ワークの内部にストリートに沿った改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下したストリートに沿って外力を加えることにより、ワークを分割するものである(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
ところで、ウエーハ等の板状のワークにはウネリがあり、ワークの表面高さ位置が一定でないため、上述したようないずれの加工方法においても外力付与時に品質よくワークをチップに分割できるようにするためには、ワークの表面高さ位置を検出し、その検出結果に基づいてレーザ加工時にレーザビームの焦点位置を補正することでレーザ加工溝や改質層を均一に形成する必要がある。そのため、例えば白色光を用いてワークの表面高さ位置を検出する検出装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。すなわち、色収差レンズを通過した白色光が波長によって異なる焦点距離を有することを利用し、ピンホールを透過した反射光の波長を特定することで焦点距離を求め、ワークの表面高さ位置を計測するようにしたものである。
【0006】
【特許文献1】特開平10−305420号公報
【特許文献2】特許第3408805号公報
【特許文献3】特開2008−170366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載の検出装置の場合、ワークで反射した光を、ピンホールを介して光検出器に導いているものであり、ワークに焦点の合った波長の光以外の波長光も光検出器に導かれてしまう可能性があり、ワークに焦点の合った波長光のみを効率よく安定して測定するには不十分であり、さらなる性能の向上が求められている。また、特許文献3に記載の検出装置の場合、ワークに対する白色光の入射に関しても、白色光源から発せられた白色光を制約なく入射させているため、扱いにくいものとなっている。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、用いる白色光の扱いが容易で、ワークに焦点の合った波長光によるワーク表面高さの測定性能を向上させることができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるレーザ加工装置は、ワークを保持する保持手段と、該保持手段に保持された前記ワークに加工用レーザビームを照射する加工用レーザビーム照射手段と、前記ワークに照射される前記加工用レーザビームを集光する第1の集光レンズと、前記保持手段の保持面に対して垂直な方向に前記第1の集光レンズを移動させるレンズ移動手段と、を備えるレーザ加工装置であって、白色光を発光する白色光源と、前記保持手段に保持された前記ワークに前記白色光を集光する第2の集光レンズと、前記白色光源から出射された前記白色光を前記第2の集光レンズに導く第1の光ファイバと、前記第2の集光レンズで集光されて前記ワークで反射した前記白色光の反射光の強度を検出する検出器と、前記反射光を前記検出器に導く第2の光ファイバと、を含む検出手段と、前記検出器の検出結果に基づき前記ワークの表面に関する情報を取得して当該レーザ加工装置の動作を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるレーザ加工装置は、上記発明において、前記検出手段は、前記白色光源と前記第1の光ファイバとの間に、前記白色光を照射用回折光に変換する照射用回折格子と、前記第1の光ファイバに前記照射用回折光を導く照射側光学系と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるレーザ加工装置は、上記発明において、前記照射側光学系は、前記照射用回折光を前記第1の光ファイバに入射する平行光に変換する平行変換回折格子と、該平行変換回折格子に前記照射用回折光を導く回転多面鏡と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるレーザ加工装置は、上記発明において、前記検出器は、前記第2の光ファイバにより導かれる前記反射光を第1の光路と第2の光路とに分光する分光手段と、前記第1の光路に導かれた前記反射光の光強度を検出する光強度検出センサと、前記第2の光路に導かれた前記反射光を検出用回折光に変換する検出用回折格子と、前記第2の光路に導かれて前記検出用回折格子により変換された前記検出用回折光の波長毎の光強度を検出する波長別光強度検出センサと、を含み、前記制御手段は、前記光強度検出センサの検出結果に基づき前記ワークのエッジ位置情報を取得するとともに、予め各波長光の焦点距離と前記ワークの表面高さとの関係を設定してメモリに格納された制御マップを参照して前記波長別光強度検出センサの検出結果に基づき前記ワークの高さ情報を取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかるレーザ加工装置は、上記発明において、前記検出器は、前記第2の光ファイバにより導かれる前記反射光を検出用回折光に変換する検出用回折格子と、一定の受光面を有して受光した前記検出用回折光の照射範囲中の光量の重心を検出する光量重心検出センサとを含み、前記制御手段は、前記光量重心検出センサの検出結果に基づき前記ワークのエッジ位置情報を取得するとともに、予め各波長光の焦点距離と前記ワークの表面高さとの関係を設定してメモリに格納された制御マップを参照して前記光量重心検出センサの検出結果に基づき前記ワークの高さ情報を取得することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるレーザ加工装置は、上記発明において、前記検出手段は、エッジ検知用光を発するエッジ検知用光源と、前記エッジ検知用光と前記白色光または前記照射用回折光とを選択切換えして前記第1の光ファイバに導く照射光切換手段と、を含み、前記検出器は、前記照射光切換手段による切換えに応じて選択された前記エッジ検知用光と前記白色光または前記照射用回折光との光強度を検出する光強度検出センサからなり、前記制御手段は、前記照射光切換手段による切換えに応じて前記光強度検出センサから出力される検出結果に基づき前記ワークのエッジ位置情報を取得するとともに、予め各波長光の焦点距離と前記ワークの表面高さとの関係を設定してメモリに格納された制御マップを参照して前記光強度検出センサから出力される検出結果に基づき前記ワークの高さ情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるレーザ加工装置によれば、白色光を第1の光ファイバを用いて第2の集光レンズに導きワークに集光させ、ワークからの反射光を第2の光ファイバを用いて反射光の強度を検出する検出器に導くようにした検出手段を備えるので、ワークに集光照射させるために用いる白色光の扱いが容易で、ワークに焦点の合った波長光のみの安定した伝搬が可能となり、ワーク表面高さの測定性能を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態であるレーザ加工装置について図面を参照して説明する。本実施の形態は、ワークの所望の加工予定位置であるストリート(切断予定ライン)に沿って加工用レーザビームを照射することによりレーザ加工溝を形成して切断させるレーザ加工装置への適用例として説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1のレーザ加工装置の主要部の構成を示す模式図であり、図2は、当該加工装置による加工に用いられるワークを示す斜視図であり、図3は、ワークに対する加工位置および検出位置を示す模式図である。本実施の形態1のレーザ加工装置1は、主要構成として、保持手段2と、加工用レーザビーム照射手段3と、第1の集光レンズ4と、レンズ移動手段5とを備えている。
【0018】
まず、加工対象となるワークWは、図2に示すように、環状のフレームFに装着されたポリオレフィン等の合成樹脂シートからなるダイシングテープTに表面Waを上側にして貼着された状態で用意される。このようなワークWは、特に限定されないが、例えば半導体ウエーハ等のウエーハや、チップ実装用としてウエーハの裏面に設けられるDAF(Die Attach Film)等の粘着部材、あるいは半導体製品のパッケージ、セラミック、ガラス系あるいはシリコン系の基板、さらには、μmオーダの精度が要求される各種加工材料が挙げられる。本実施の形態1のワークWは、半導体ウエーハ等をベースとし、表面Waに格子状に配列された複数の第1のストリートS1と複数の第2のストリートS2とによって区画された複数の矩形領域にデバイスDが形成されている。
【0019】
また、保持手段2は、加工対象となるワークWを保持面2a上に吸引保持するチャックテーブルからなり、フレームFを固定する図示しないクランプを備える。この保持手段2は、図示しないモータに連結されて回転可能に設けられ、保持したワークWの状態を水平面内で回転可能とされている。また、保持手段2は、図示しない加工送り手段と割り出し送り手段とにより、水平面内で、加工送り方向(X方向)と割り出し送り方向(Y方向)とに移動可能に設けられている。これにより、ワークWを加工用レーザビーム照射手段3(第1の集光レンズ4)に対して相対的に、加工送りや割り出し送りが可能とされている。ここで、加工送り手段、割り出し送り手段には、加工送り量や割り出し送り量を検出するための送り量検出手段がそれぞれ付加されている。
【0020】
また、加工用レーザビーム照射手段3は、保持手段2の保持面2a上に保持されたワークWに対して吸収性を有する波長の加工用レーザビームを照射するためのものであり、レーザビーム発振手段等を備えている。第1の集光レンズ4は、加工用レーザビーム照射手段3のレーザビーム発振手段から発せられたパルス状の加工用レーザビームをワークWの表面Waに焦点を合わせて集光照射させるためのレンズである。レンズ移動手段5は、保持手段2の保持面2aに対して垂直な方向(Z方向)に第1の集光レンズ4を有するレンズブロック4aを移動させるためのものである。このレンズ移動手段5は、後述するように検出されたワークWの高さ情報に基づき制御手段により駆動制御されることにより、第1の集光レンズ4による焦点位置が常にワークWの表面Waとなるように第1の集光レンズ4を上下動させるレンズアクチュエータからなる。
【0021】
このような主要構成を有する本実施の形態1のレーザ加工装置1は、さらに、検出手段10と制御手段20とを備えている。検出手段10は、保持面2a上に保持されたワークWのストリートS1,S2毎の表面高さを検出するとともに、ストリートS1,S2毎に加工用レーザビーム照射手段3による加工用レーザビームの照射開始位置、照射終了位置となるエッジ位置を検出するためのものである。表面高さの検出は、ワークWの表面Waの高さ位置が変動しても加工用レーザビームの集光位置を表面Waの高さ位置に合わせることで、良好なるレーザ加工溝を形成するためである。また、ワークWのエッジ位置の検出は、ワークWの外周縁を越えて加工用レーザビームが照射されると、ダイシングテープTが加熱されて溶融し保持手段2の保持面2aに付着してしまう等の不具合があることから、エッジ位置で加工用レーザビームの照射開始タイミングと照射終了タイミングとを制御するためである。
【0022】
検出手段10は、白色光源101と、第2の集光レンズ102と、第1の光ファイバ103と、検出器110と、第2の光ファイバ120とを備えている。白色光源101は、複数の波長の光を含む白色光を発光する光源であり、タングステンランプ、ハロゲンランプ、白色LED等を用い得るが、本実施の形態1では、ハロゲンランプが用いられている。第2の集光レンズ102は、白色光源101から発せられた白色光を、保持手段2の保持面2a(ワークW)側に向けて集光照射させるためのものである。ここで、この第2の集光レンズ102は、白色光に含まれる波長毎にワークW側に向けて光軸上に複数の焦点を形成する色収差集光レンズからなる。すなわち、色収差集光レンズを用いた第2の集光レンズ102によって集光される白色光は、波長によって屈折率が異なるため、波長によって焦点距離が異なることとなる。本実施の形態1では、第2の集光レンズ102としては、例えば開口数NA=0.68、視野角WD=1.56mmの非球面レンズが用いられている。また、この第2の集光レンズ102は、図3等に示すように、第1の集光レンズ4の近傍にて割り出し方向(Y方向)で先行するストリートS1またはS2上に位置するように所定量ずらして配置されている。
【0023】
また、第1の光ファイバ103は、白色光源101から出射された白色光を第2の集光レンズ102に決まったモードの必要な白色光のみを安定して伝搬させ、不要なモードの光の入射をなくすためのものである。ここで、第1の光ファイバ103の入射端側には白色光源101からの白色光を集光させて効率よく入射させるための色収差なしの集光レンズ104が設けられている。また、第1の光ファイバ103の出射端側には、第2の光ファイバ120の入射端側と一体化させるファイバカプラ105が設けられ、共通光ファイバ106と連結されている。この共通光ファイバ106と第2の集光レンズ102との間には、第1の光ファイバ103を経て共通光ファイバ106から出射される白色光を平行ビーム化させて第2の集光レンズ102に導くための色収差なしのコリメートレンズ107が設けられている。
【0024】
また、検出器110は、第2の集光レンズ102で集光されてワークWで反射した白色光の反射光の強度を検出するためのものである。第2の光ファイバ120は、ワークWで反射した白色光の反射光を検出器110に導くためのものである。光ファイバ103,106,120としては、コアとクラッドとからなり、例えばコア径が50μmのマルチモードファイバが用いられている。
【0025】
ここで、本実施の形態1の検出器110は、分光手段111と、検出用回折格子112と、光強度検出センサ113と、波長別光強度検出センサ114とを含んで構成されている。分光手段111は、共通光ファイバ106を介して第2の光ファイバ120により導かれる反射光を第1の光路115aと第2の光路115bとに分光するためのものである。第1の光路115aと第2の光路115bには、分光手段111から分岐された光ファイバ116a,116bが配設されている。また、光強度検出センサ113は、分光手段111により分光されて光ファイバ116aによって第1の光路115aに導かれた反射光を受光してその光強度を検出するフォトディテクタであり、エッジ位置検出用である。
【0026】
一方、検出用回折格子112は、分光手段111により分光されて光ファイバ116bによって第2の光路115bに導かれてコリメートレンズ117により平行化された反射光を、その反射光が有する波長成分に対応した検出用回折光に変換するための回折格子である。波長別光強度検出センサ114は、第2の光路115bに導かれて検出用回折格子112により変換された検出用回折光が集光レンズ118を介して波長に応じた異なる位置に入射することにより、波長毎の光強度を検出するためのものである。この波長別光強度検出センサ114としては、集光レンズ118によって集光される検出用回折光の波長を検出可能なCCDラインセンサ、CMOSセンサ等を用い得るが、本実施の形態1では、例えばサンプリングレートが1kHzのファイバ型分光器が用いられている。
【0027】
また、制御手段20は、ROM(図示せず)に格納された制御プログラムに従い演算処理を実行するCPU(図示せず)やRAM23を備えるコンピュータからなる。この制御手段20は、エッジ位置検出部21と、表面高さ検出部22とを備える。エッジ位置検出部21は、光強度検出センサ113によって検出された光強度の情報に基づきワークWのエッジ位置を判定してエッジ位置情報を取得するものである。表面高さ検出部22は、予め第2の集光レンズ102に対する各波長光の焦点距離とワークWの表面高さとの関係を設定してRAM23中の所定のメモリ領域23aに格納された制御マップを参照して波長別光強度検出センサ114の検出結果に基づきワークWの表面高さを判定して高さ位置情報を取得するものである。制御手段20は、エッジ位置検出部21が取得したエッジ位置情報と表面高さ検出部22が取得した表面高さ情報とを一時的に格納するメモリ領域23bをRAM23中に有する。また、制御手段20は、レーザ加工装置1全体の制御を司るものであるが、特に、メモリ領域23bに格納された表面高さ情報を参照してレンズ移動手段5を駆動制御する他、メモリ領域23bに格納されたエッジ位置情報を参照して加工用レーザビーム照射手段3を制御するレーザコントローラ24を備えている。
【0028】
なお、各波長の焦点距離を設定してメモリ領域23aに格納された制御マップは、例えば、図4に示すように、Z軸高さ(ワークWの表面Waの高さ位置)と波長別光強度検出センサ114により検出されるピークの検出波長との関係を予め測定して取得したものである。この図4に示す制御マップの例は、波長別光強度検出センサ114の測定波長限界により波長730〜520nm程度の検出範囲であり、高さの測定範囲が50μm(11.36mm−11.31mm)の場合を示している。検出用回折格子112を変更する等により検出範囲を広げれば、高さの測定範囲を50μmより広げることも可能である。
【0029】
ここで、本実施の形態1におけるワークWの表面Waの高さ位置の検出原理について説明する。白色光源101から発せられ集光レンズ104により第1の光ファイバ103に導かれた白色光は、光ファイバ103、106を介してファイバ端より出力され、コリメートレンズ107により平行ビームにされた後、色収差集光レンズを用いた第2の集光レンズ102を通してワークWの表面Wa上に集光される。表面Waで反射した白色光は、光路を逆行するが、この際、ワークWの表面Waで焦点の合う光は、特定の波長の光のみである。よって、白色光のうちで、表面Waに焦点の合った波長の光が共通光ファイバ106の小径のコアに最も強く再結合し、他の波長の光は共通光ファイバ106のコアに殆ど再結合せず遮断される。
【0030】
これにより、共通光ファイバ106のコアに再結合した、焦点の合った波長の光が第2の光ファイバ120によって効率よく分光手段111に導かれ、その一部は第2の光路115bに分光され、検出用回折格子112により検出用回折光に変換された後、集光レンズ118によって波長に応じた角度で屈折されて波長別光強度検出センサ114により受光される。この波長別光強度検出センサ114は、受光した光の波長を測定し、その測定波長のピークを算出することで、ワークWの表面Waに焦点の合った光の波長を検出することができる。このように、ピンホール等よりも小径の第2の光ファイバ120を用いてワークWの表面Waに焦点の合った波長光のみの安定した伝搬が可能となり、ワーク表面高さの測定性能が向上する。
【0031】
よって、制御手段20中の表面高さ検出部22は、波長別光強度検出センサ114から検出結果としてピーク波長の情報を取得し、メモリ領域23aに格納された制御マップを参照することで、現在のワークWの表面Waの高さ位置を判定して高さ位置情報を取得することとなる。ここで、分光器を用いた波長別光強度検出センサ114は、サンプリングレート1kHz以上の高速でピーク波長情報を順次取得できるため、例えばワークWが600mm/sの速度で移動する場合、各ストリートS1,S2上において0.6mm間隔でワークWの表面Waの高さ測定が可能となる。
【0032】
次いで、本実施の形態1におけるワークWのエッジEdの検出原理について説明する。まず、エッジEdの検出は、基本的には、保持面2a上では焦点が合わずワークWの表面Wa上で焦点が合うように第2の集光レンズ102によって集光させた光を保持面2a側に向けて照射し、その反射光を光強度検出センサ113で受光し、受光した光強度の大小変化位置を検出することにより行われる。焦点の合っていない保持面2aからの反射光を受光した場合の光強度は小さく、焦点の合っている表面Waからの反射光を受光した場合の光強度は大きくなり、ワークWのエッジEdの位置ではその変化が大きいためである。よって、エッジ位置検出部21は、光強度検出センサ113により検出される光強度に対して所定の閾値を用いることによりエッジEdを検出することが可能である。
【0033】
このようなエッジEdの検出に単一波長光を用いた場合を考える。この場合、焦点位置がワークWの表面Waの高さ位置から少しでもずれると、その高さ毎にエッジEd付近に差し掛かったときの光強度の立ち上がりが変化するために、検出されるエッジEdの位置精度が悪くなってしまう。また、焦点位置からワークWの表面Waの高さが外れすぎると検出そのものができなくなってしまう。
【0034】
この点、本実施の形態1では、色収差集光レンズを用いた第2の集光レンズ102により白色光を集光させて保持面2a側に向けて照射させているので、単一波長光を用いた場合に比べて、ワークWの表面Waの高さ位置にばらつきがあっても、高さ方向の焦点ばらつき幅を調整できるので確実にエッジEdを検出することができる。また、保持面2aからワークWの表面Waに変化した際には、焦点のピークパワーが必ず帰ってくるポイントがあるので、高精度にエッジEdの位置を検出することができる。
【0035】
この点について、図5を参照して、さらに詳細に説明する。図5は、白色光が第2の集光レンズ102により集光されて保持面2a側に向けて照射される様子を拡大して示す模式図である。前述したように、白色光源101から発せられた白色光は、色収差集光レンズを用いた第2の集光レンズ102を通してワークWを保持した保持手段2の保持面2a側に向けて照射される。この際、第2の集光レンズ102は、色収差集光レンズからなり、この色収差集光レンズを通過した白色光が波長によって異なる焦点距離を有する。すなわち、この第2の集光レンズ102は、白色光に含まれる波長毎にワークWに向けて光軸上に複数の焦点を形成する。よって、図5に示すように、第2の集光レンズ102の光軸中心直下の範囲Lには、白色光に含まれる波長毎に無数の焦点が存在することとなる。したがって、無数の焦点が存在するこの範囲L内にワークWの表面Waが存在するように、白色光を照射すれば、ワークWの表面Waの高さ位置のばらつきによらず、焦点が合って反射される光が必ず存在することとなり、確実にエッジEdの位置を検出することができる。
【0036】
なお、焦点のばらつきを示す範囲Lに関しては、第2の集光レンズ102の開口数NA、材質、あるいは第2の集光レンズ102として回折レンズを用いる等の対応により、数μmから数mmまで自由に設計可能である。
【0037】
また、保持面2aや表面Waで反射される光は、光路を逆行して共通光ファイバ106に入射する。この際、焦点の合っていない保持面2aで反射された光は、共通光ファイバ106に再結合しにくく、入射光量が少ないため、光強度検出センサ113により検出される光強度は小さくなる。一方、白色光のうちで、ワークWの表面Waの高さ位置のばらつきによらず、表面Waに合焦状態で照射された波長の光は、図6に示すように、共通光ファイバ106のクラッド106bに囲まれたコア106aに最も強く再結合する。これにより、共通光ファイバ106を介して第1の光路115aに導かれて光強度検出センサ113により検出される光強度は大きくなる。
【0038】
このようなエッジの検出に共焦点型の検出装置を用い、白色光中でワークW上に合焦した特定の波長の光のみを分光器に導くための空間フィルタとしてピンホールマスクを使用することも可能であるが、空間フィルタとしての精度や、各光学部品や分光器の設置作業が煩雑になり、配置の自由度が制限されるという問題が生ずる。この点に関しても、本実施の形態1によれば、ワークWの表面Waで反射した白色光を例えばコア径が50μmの第2の光ファイバ120で光強度検出センサ113側に導いて入射させているので、空間フィルタとしての精度が高く、配置の自由度が高いものとなる。また、分光器を用いることなく、単にフォトディテクタからなる光強度検出センサ113を用いて光強度を検出すればよく、単純な検出系となる。
【0039】
また、本実施の形態1では、サンプリング走査を要する波長別光強度検出センサ114とは別個に、第1の光路115a側に光強度検出センサ113を配設して、常時、エッジ位置の検出動作を行わせているので、波長別光強度検出センサ114のサンプリング周期の影響を受けることなく、常時、高精度にエッジEdの位置検出を行うことができる。また、第2の集光レンズ102を共用する1つの検出手段10によって、ワークWの表面高さとエッジ位置との検出が可能なため、限られたスペースにおいて効率のよい検出を行わせることができる。
【0040】
つづいて、上述したような検出手段10を備えるレーザ加工装置1の作用について説明する。まず、保持手段2の保持面2a上にワークWを載置し、吸引保持させる。そして、ワークWを吸引保持した保持手段2を図示しない撮像手段の直下に位置付け、ワークWのレーザ加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。すなわち、ワークWの所定方向に形成されている第1のストリートS1と、この第1のストリートS1に沿って第1の集光レンズ4との位置合わせを行なうためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、アライメントを遂行する。第2のストリートS2についても同様である。
【0041】
このようにしてアライメントが行なわれると、保持手段2上のワークWは、図7(a)に示すような座標位置に位置付けられた状態となる。図7は、ワークWが保持手段2の所定位置に保持された状態における座標位置との関係を示す説明図である。なお、図7(b)は、保持手段2、すなわちワークWを図7(a)に示す状態から90度回転させて第2のストリートS2を加工対象とする状態を示している。
【0042】
そして、保持手段2に保持されているワークWに形成されている第1のストリートS1を検出し、レーザ加工位置のアライメントが行なわれると、制御手段20は、このようにしてワークWに形成された加工対象となる第1のストリートS1に沿ってエッジ位置およびワーク表面高さの検出処理を実行する。すなわち、保持手段2を移動させて、図7(a)中の最下位の第1のストリートS1を第2の集光レンズ102の直下に位置付ける。そこで、検出手段10を作動させるとともに、保持手段2を加工送り方向に所定の加工送り速度に合わせて移動させる。この処理により、最下位の第1のストリートS1に関して、ビーム照射開始位置となるエッジ位置A1と、最下位の第1のストリートS1上の各部の表面Waの高さ位置と、ビーム照射終了位置となるエッジ位置B1とが順次検出される。検出されたエッジ位置A1,B1や表面高さの情報は、それぞれの検出時点のX,Y座標に関連付けて、一旦、メモリ領域24bに格納される。
【0043】
なお、表面Waの高さ位置は、波長別光強度検出センサ114のサンプリングレートに従い順次取得されるもので、前述したように、サンプリングレートが1kHzで、ワークWが600mm/sの速度で移動する場合であれば、ストリートS1上において0.6mm間隔でワークWの表面Waの高さが順次検出される。
【0044】
最下位の第1のストリートS1の関する検出処理が終了すると、制御手段20は、保持手段2を移動させて、図7(a)中の最下位の第1のストリートS1を第1の集光レンズ4の直下に位置付ける。このとき、第2の集光レンズ102は、先行する次の第1のストリートS1の直下に位置付けられるように設定されている。そして、制御手段20は、最下位の第1のストリートS1に対するレーザ加工処理と、先行する次の第1のストリートS1に対するエッジ位置およびワーク表面高さの検出処理とを並行して実行する。
【0045】
すなわち、保持手段2を加工送り方向に所定の加工送り速度に合わせて移動させる。この処理において、制御手段20は、メモリ領域24bに格納されている最下位の第1のストリートS1に関するエッジ位置A1,B1や表面高さの情報を参照してレーザ加工動作を制御する。
【0046】
まず、第1の集光レンズ4がエッジ位置A1に到達した時点で加工用レーザビームが照射されるように、レーザコントローラ24を介して加工用レーザビーム照射手段3を駆動させることで、ワークWに対する加工用レーザビームの照射を開始させる。そして、ワークWの表面高さ情報に基づきレンズ移動手段5を制御することで、第1の集光レンズ4から照射される加工用レーザビームの集光点がワークWの表面Waに一致するように高さ位置を調整しながら、ワークWの表面Waに最下位の第1のストリートS1に沿ってレーザ加工溝を形成するレーザ加工を実施する。この結果、第1の集光レンズ4から照射される加工用レーザビームの集光点はワークWの表面Waに合わせられ、ワークWの表面Waの凹凸に関係なく表面Waに確実にレーザ加工溝が形成される。
【0047】
そして、第1の集光レンズ4がエッジ位置B1に到達した時点で加工用レーザビームの照射が停止するように、レーザコントローラ24を介して加工用レーザビーム照射手段3の駆動を停止させることで、ワークWに対する加工用レーザビームの照射を停止させる。
【0048】
一方、このような加工動作と並行して、検出手段10を作動させることにより、次の先行する第1のストリートS1に関して、ビーム照射開始位置となるエッジ位置A2と、この第1のストリートS1上の各部の表面Waの高さ位置と、ビーム照射終了位置となるエッジ位置B2とを順次検出する。検出されたエッジ位置A2,B2や表面高さの情報は、それぞれの検出時点のX,Y座標に関連付けて、一旦、メモリ領域24bに格納される。
【0049】
以後、このようなレーザ加工処理と検出手段10による検出処理とを、以降の第1のストリートS1についても同様に並行処理として繰り返し実行する。そして、全ての第1のストリートS1に対するレーザ加工処理と検出手段10による検出処理とを実行したら、保持手段2を90度回転させて、図7(b)に示すような状態に位置付け、第2のストリートS2の全てについても同様に、レーザ加工処理と検出手段10による検出処理とを実行する。エッジ検出に関しては、エッジ位置C1,D1、C2,D2、・・・の如く、順次検出する。全ての処理が終了すると、ワークWを保持している保持手段2は最初にワークWを吸引保持した位置に戻され、ここでワークWの吸引保持を解除する。そして、ワークWは、図示しない搬送手段によって分割工程に搬送される。
【0050】
(実施の形態2)
図8は、本実施の形態2のレーザ加工装置の主要部の構成を示す模式図である。実施の形態1に示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以降の実施の形態でも同様とする)。本実施の形態2のレーザ加工装置1は、検出手段10に関して、実施の形態1における検出器110に代えて、検出器130を備える。この検出器130は、検出用回折格子131と、光量重心位置検出センサ132とを含んで構成されている。検出用回折格子131は、第2の光ファイバ120によって導かれてコリメートレンズ133により平行化されたワークW側からの反射光を、その反射光が有する波長成分に対応した検出用回折光に変換するための回折格子である。
【0051】
また、光量重心位置検出センサ132は、検出用回折格子131により変換された検出用回折光を、光軸に対して所定角度傾けて配設した集光レンズ134を介し、波長に応じた角度で屈折させて受光することで、受光した検出用回折光の照射範囲中の光量の重心を検出するためのものである。この光量重心位置検出センサ132は、例えば一定の受光面を有するPSD(半導体位置検出センサ)が用いられ、ワークWの表面Waの高さ検出と、ワークWのエッジEdの位置検出とに共用される。すなわち、光量重心位置検出センサ132は、受光した光量に応じた電圧を発生する材料を一様に塗布した一定の受光面を有するセンサであり、光のスポットが照射されると、受光した光量に応じた電圧が受光位置に対応して部分的に発生するので、センサ両端に発生する電圧比に基づき、光のスポットが照射された位置が分かる。よって、検出用回折格子131により変換された検出用回折光が集光レンズ134によって波長に応じた角度で屈曲されて照射される光のスポットの位置と波長とを対応付けておくことで、ワークWの表面Waに焦点の合った光の波長を検出することができる。
【0052】
よって、制御手段20中の表面高さ検出部22は、光量重心位置検出センサ132から検出結果としてピーク波長の情報を取得し、メモリ領域23aに格納された制御マップを参照することで、現在のワークWの表面Waの高さを判定して高さ位置情報を取得することとなる。ここで、光量重心位置検出センサ132は、波長別光強度検出センサ114のような走査を必要としないため、応答速度が速く、よって、ワークWの表面Waの高さ情報を連続して検出することができ、高速で移動する光スポットの動きであっても高精度に測定することができる。
【0053】
一方、エッジEdの検出は、基本的には、保持面2a上では焦点が合わずワークWの表面Wa上で焦点が合うように第2の集光レンズ102によって集光させた光を保持面2a側に向けて照射し、その反射光を光量重心位置検出センサ132で受光し、受光した光強度の大小変化位置を検出することにより行われる。焦点の合っていない保持面2aからの反射光を受光した場合の光強度は小さく、焦点の合っている表面Waからの反射光を受光した場合の光強度は大きくなり、ワークWのエッジEdの位置ではその変化が大きいためである。よって、エッジ位置検出部21は、光量重心位置検出センサ132により検出される全体の光強度に対して所定の閾値を用いることによりエッジEdを検出することが可能である。この際、光量重心位置検出センサ132は、波長別光強度検出センサ114のような走査を必要とせず、応答速度が速く、よって、反射される光強度を連続して検出することができるため、表面高さの検出系と別個に設けることなく共用して、エッジ位置を高精度に検出することができる。
【0054】
(実施の形態3)
図9は、本実施の形態3のレーザ加工装置の主要部の構成を示す模式図であり、図10は、その照射側光学系の構成を示す模式図であり、図11は、各波長光の走査のタイミング例を示す説明図である。本実施の形態3のレーザ加工装置1は、検出手段10に関して、白色光の照射側に、照射波長選択手段140を備えるとともに、白色光源101とは別個のエッジ検知用光源150を備え、さらに、実施の形態1における検出器110に代えて、検出器160を備える。
【0055】
照射波長選択手段140は、図10に示すように、白色光源101と第1の光ファイバ103との間に、照射用回折格子141と照射側光学系142とを備える。照射側光学系142は、平行変換回折格子143と、回転多面鏡144とを含んで構成されている。照射用回折格子141は、白色光源101から発せられて集光レンズ104で集光され、比較的大径のマルチモードの光ファイバ145により導かれた白色光を、照射用回折光に変換するための素子である。より詳細には、照射用回折格子141は、光ファイバ145により導かれてコリメートレンズ146により平行ビーム化され、さらに、集光レンズ147で集光される白色光を、白色光が有する波長成分毎に対応した角度で反射させて検出用回折光に変換する素子である。
【0056】
また、照射側光学系142は、照射用回折格子141により変換された照射用回折光の波長を連続的に変化させながら順次第1の光ファイバ103に導くためのものである。このため、各反射面に順次検出用回折光が入射される回転多面鏡144は、高速回転することで、検出用回折光を回転走査させる。図10中では、R(赤色光)、G(緑色光)、B(青色光)が、順次回転走査される様子を示している。また、平行変換回折格子143は、回転多面鏡144により高速で走査されて入射する検出用回折光のうち、所定角度で入射する波長成分の光を平行光に変換して第1の光ファイバ103に入射させる回折格子等の素子である。
【0057】
ここで、回転多面鏡144の回転に伴い、平行変換回折格子143に入射する照射用回折光は順次角度が変化するため、時間の経過とともに、短波長側から長波長側までの各波長光が、図11に示すような特性に従い、第1の光ファイバ103に入射されるようにスイープされることとなる。このとき、第1の光ファイバ103に入射するときの時間情報によっていずれの波長光が入射するかが特定され、ワークW側に照射される照射用回折光の波長情報が制御手段20に送出される。すなわち、本実施の形態3では、ワークWの表面Waの高さを検出するために、白色光そのものを照射せず、照射用回折光に変換することで時間の経過とともに波長毎に分光され、かつ、その波長が連続的に変化する光を照射するものである。
【0058】
また、エッジ検知用光源150は、照射波長選択手段140による白色光の波長選択照射(波長毎の分光走査)に関係なく、常に白色光をエッジ検知用光としてワークW側に向けて照射するための専用光源であり、本実施の形態3では、例えばレーザダイオードが用いられている。このエッジ検知用光源150から発せられるエッジ検知用光は、照射波長選択手段140による照射用回折光と選択的にワークW側に向けて照射されるものであり、第1の光ファイバ103の途中には、いずれの光を照射させるかをエッジ検出に必要な速度で高速に選択切換えして第1の光ファイバ103に導く照射光切換手段151を備えている。この照射光切換手段151による切換情報は、制御手段20に送出される。
【0059】
さらに、検出器160は、照射光切換手段151による切換えに応じて選択されたエッジ検知用光と照射用回折光との光強度を検出する光強度検出センサ161であり、通常のフォトディテクタが用いられている。
【0060】
これに対応して、本実施の形態3の制御手段20のエッジ位置検出部21は、照射光切換手段151による切換えに応じてエッジ検知用光が照射されるタイミングで光強度検出センサ161から出力される検出結果に基づきワークWのエッジ位置情報を取得する。また、高さ位置検出部22は、予めメモリ領域23aに格納された制御マップを参照し、照射光切換手段151による切換えに応じて照射用回折光が照射されるタイミングで光強度検出センサ161から出力される光強度がピーク値を示した時間における波長情報に基づきワークWの高さ情報を取得する。すなわち、本実施の形態3では、ワークWに対する照射側で白色光を時間の経過に伴い波長毎に連続する状態で分光させた状態で入射させているので、検出側では、単純な光強度検出センサ161を用いる構成で、ワークWの表面高さを検出することが可能となる。
【0061】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、ワークWに吸収される波長の加工用レーザビームを照射することでレーザ加工溝を形成するレーザ加工例で説明したが、ワークWを透過する波長の加工用レーザビームを照射することで改質層を形成するレーザ加工の場合であっても同様に適用することで、表面Waの変動に関係なく、表面Waから一定の深さ位置に改質層を形成させることができる。
【0062】
また、上記の実施の形態では、ダイシングテープTを用いるワークWの例で説明したが、ダイシングテープTを用いずに、ワークWを直接的に保持手段2の保持面2a上に保持させるタイプのものであっても同様に適用することができる。この場合、エッジ位置の高精度な検出により、ワークWを保持する保持面2aに加工用レーザビームが照射されてしまう不具合を回避することができる。
【0063】
さらには、実施の形態3に示した照射波長選択手段140は、実施の形態1または2の照射側に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1のレーザ加工装置の主要部の構成を示す模式図である。
【図2】当該加工装置による加工に用いられるワークを示す斜視図である。
【図3】ワークに対する加工位置および検出位置を示す模式図である。
【図4】制御マップを示す特性図である。
【図5】白色光が第2の集光レンズにより集光されて保持面側に向けて照射される様子を拡大して示す模式図である。
【図6】ワーク表面に合焦して反射される光が光ファイバに入射する様子を拡大して示す模式図である。
【図7】ワークが保持手段の所定位置に保持された状態における座標位置との関係を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2のレーザ加工装置の主要部の構成を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態3のレーザ加工装置の主要部の構成を示す模式図である。
【図10】照射側光学系の構成を示す模式図である。
【図11】各波長光の走査のタイミング例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 レーザ加工装置
2 保持手段
2a 保持面
3 加工用レーザビーム照射手段
4 第1の集光レンズ
5 レンズ移動手段
10 検出手段
20 制御手段
101 白色光源
102 第2の集光レンズ
103 第1の光ファイバ
110 検出器
111 分光手段
112 検出用回折格子
113 光強度検出センサ
114 波長別光強度検出センサ
115a 第1の光路
115b 第2の光路
120 第2の光ファイバ
130 検出器
131 検出用回折格子
132 光量重心位置検出センサ
141 照射用回折格子
142 照射側光学系
143 平行変換回折格子
144 回転多面鏡
150 エッジ検知用光源
151 照射光切換手段
160 検出器
161 光強度検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持する保持手段と、該保持手段に保持された前記ワークに加工用レーザビームを照射する加工用レーザビーム照射手段と、前記ワークに照射される前記加工用レーザビームを集光する第1の集光レンズと、前記保持手段の保持面に対して垂直な方向に前記第1の集光レンズを移動させるレンズ移動手段と、を備えるレーザ加工装置であって、
白色光を発光する白色光源と、
前記保持手段に保持された前記ワークに前記白色光を集光する第2の集光レンズと、
前記白色光源から出射された前記白色光を前記第2の集光レンズに導く第1の光ファイバと、
前記第2の集光レンズで集光されて前記ワークで反射した前記白色光の反射光の強度を検出する検出器と、
前記反射光を前記検出器に導く第2の光ファイバと、
を含む検出手段と、
前記検出器の検出結果に基づき前記ワークの表面に関する情報を取得して当該レーザ加工装置の動作を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記白色光源と前記第1の光ファイバとの間に、前記白色光を照射用回折光に変換する照射用回折格子と、前記第1の光ファイバに前記照射用回折光を導く照射側光学系と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記照射側光学系は、前記照射用回折光を前記第1の光ファイバに入射する平行光に変換する平行変換回折格子と、該平行変換回折格子に前記照射用回折光を導く回転多面鏡と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記検出器は、前記第2の光ファイバにより導かれる前記反射光を第1の光路と第2の光路とに分光する分光手段と、前記第1の光路に導かれた前記反射光の光強度を検出する光強度検出センサと、前記第2の光路に導かれた前記反射光を検出用回折光に変換する検出用回折格子と、前記第2の光路に導かれて前記検出用回折格子により変換された前記検出用回折光の波長毎の光強度を検出する波長別光強度検出センサと、を含み、
前記制御手段は、前記光強度検出センサの検出結果に基づき前記ワークのエッジ位置情報を取得するとともに、予め各波長光の焦点距離と前記ワークの表面高さとの関係を設定してメモリに格納された制御マップを参照して前記波長別光強度検出センサの検出結果に基づき前記ワークの高さ情報を取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記検出器は、前記第2の光ファイバにより導かれる前記反射光を検出用回折光に変換する検出用回折格子と、一定の受光面を有して受光した前記検出用回折光の照射範囲中の光量の重心を検出する光量重心検出センサとを含み、
前記制御手段は、前記光量重心検出センサの検出結果に基づき前記ワークのエッジ位置情報を取得するとともに、予め各波長光の焦点距離と前記ワークの表面高さとの関係を設定してメモリに格納された制御マップを参照して前記光量重心検出センサの検出結果に基づき前記ワークの高さ情報を取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記検出手段は、エッジ検知用光を発するエッジ検知用光源と、前記エッジ検知用光と前記照射用回折光とを選択切換えして前記第1の光ファイバに導く照射光切換手段と、を含み、
前記検出器は、前記照射光切換手段による切換えに応じて選択された前記エッジ検知用光と前記照射用回折光との光強度を検出する光強度検出センサからなり、
前記制御手段は、前記照射光切換手段による切換えに応じて前記光強度検出センサから出力される検出結果に基づき前記ワークのエッジ位置情報を取得するとともに、予め各波長光の焦点距離と前記ワークの表面高さとの関係を設定してメモリに格納された制御マップを参照して前記光強度検出センサから出力される検出結果に基づき前記ワークの高さ情報を取得することを特徴とする請求項2または3に記載のレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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