説明

レーザ加工装置

【課題】 レーザ光が光ファイバーケーブルを通過する際の非線形光学効果に起因する拡がり角の変化の影響を抑制することができるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】 本体部2と、本体部2から光ファイバーケーブル3を介して伝送されたレーザ光を走査させるヘッド部4により構成され、ヘッド部4が、光ファイバーケーブル3の端面から出射されるレーザ光の光軸方向の焦点位置を調整可能なZスキャナ27を有し、本体部2が、コアにレーザ媒質が添加された光ファイバーを用いてレーザ光を増幅するレーザ光増幅器15と、レーザ光増幅器15を制御するためのレーザ出力制御情報を保持するワーク加工情報記憶部12と、レーザ出力制御情報に基づいて、光ファイバーケーブル3の端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化に伴う焦点位置のずれを補正するように、Zスキャナ27を制御するメイン制御回路11を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に係り、さらに詳しくは、レーザ光増幅手段を有する本体部からレーザ光走査手段を有するヘッド部までレーザ光を光ファイバーケーブルによって伝送させるレーザ加工装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ光を照射してワークを加工するレーザ加工装置として、XYスキャナによってレーザ光を光軸と交差する方向に走査させるだけでなく、レーザ光の焦点位置を光軸方向に移動させるZスキャナを備えた装置が提案されている(例えば、特許文献1)。XYスキャナが、直交する回転軸を中心として2つのミラーをそれぞれ回転させることによってレーザ光を走査させるのに対して、Zスキャナは、光路上に配置されたレンズを移動させてビーム径を調整することによってレーザ光の焦点位置を移動させている。この様なXYスキャナやZスキャナを有するヘッド部は、ワークの製造ラインなどへ設置する際の作業性やスペース効率を良くするという点で小型である方が望ましい。しかし、特許文献1に記載のレーザ加工装置では、ヘッド部の筐体内にレーザ光を増幅するための固体レーザを内蔵するレーザ発振部が設けられているため、ヘッド部の長さをレーザ発振部の全長よりも短くすることができない。しかも、そのレーザ発振部は、レーザ媒体の両側に配置されたミラー間をレーザ光が往復することによって光増幅を行っており、レーザ加工に必要なエネルギーを蓄積させるためには一定の全長を確保しなければならない。このため、レーザ発振部の全長は、一定の長さよりも短くすることもできない。
【0003】
この点、レーザ発振部がヘッド部内になければヘッド部を小型化することができる。すなわち、レーザ発振部をヘッド部とは異なる本体部に配設し、レーザ発振部によって増幅されたレーザ光を本体部からヘッド部まで光ファイバーケーブルなどの伝送媒体に伝送させれば、ヘッド部を小型化できると考えられる。しかし、この場合、本体部内のレーザ発振部から一度出射されたレーザ光を光ファイバーケーブルなどの伝送媒体に入射させることは極めて困難である。そこで、コアにレーザ媒質として希土類元素がドープされた希土類ドープ光ファイバーを使用するファイバーレーザをレーザ光増幅器として本体部内に配設し、レーザ光増幅器と光ファイバーケーブルを直接連結することにより、増幅後のレーザ光を光ファイバー外に出射させることなく、当該レーザ光を本体部からヘッド部まで伝送させることが考えられる(例えば、特許文献2)。ところが、高出力パルス状のレーザ光が光ファイバーケーブルを通過すると、非線形光学効果により元の波長、すなわち、当該光ファイバーケーブルへの入射時点における波長以外の波長成分が増加する。その結果、光ファイバーケーブルの端面から出射されるレーザ光の拡がり角が変化するので、レーザ光の焦点位置に光軸方向のずれが生じ、加工品質が低下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−62260号公報
【特許文献2】特開2000−340872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レーザ光増幅手段を有する本体部からレーザ光走査手段を有するヘッド部までレーザ光を光ファイバーケーブルによって伝送させるレーザ加工装置の加工品質を向上させることを目的とする。特に、レーザ光が光ファイバーケーブルを通過する際の非線形光学効果に起因する拡がり角の変化の影響を抑制することができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。また、経時劣化によってレーザ光の出力状態が変化した場合であっても、適切な位置にレーザ光をフォーカシングすることができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明によるレーザ加工装置は、コアにレーザ媒質が添加された光ファイバーを用いてレーザ光を増幅するレーザ光増幅手段を有する本体部と、上記本体部から光ファイバーケーブルを介して伝送された上記レーザ光を走査させるレーザ光走査手段を有するヘッド部と、上記レーザ光走査手段の制御を行う走査制御手段と、少なくとも上記レーザ光のピークパワーを含み、上記レーザ光増幅手段を制御するためのレーザ出力制御情報を保持するレーザ出力制御情報記憶手段とを備え、上記レーザ光走査手段が、上記光ファイバーケーブルの端面から出射される上記レーザ光の光軸方向の焦点位置を調整可能なZスキャナを有し、上記走査制御手段が、上記レーザ出力制御情報に基づいて、上記光ファイバーケーブルの端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化に伴う上記焦点位置のずれを補正するように、上記Zスキャナを制御するように構成される。
【0007】
このレーザ加工装置では、本体部のレーザ光増幅手段によって増幅されたレーザ光が、Zスキャナを有するヘッド部に光ファイバーケーブルを介して伝送される。増幅されたレーザ光が光ファイバーケーブルを通過する際には、非線形光学効果により光ファイバーケーブルの端面から出射するレーザ光の拡がり角が変化し、焦点位置に光軸方向のずれが生じることになる。本発明による上記レーザ加工装置によれば、光ファイバーケーブルの端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化に伴う焦点位置のずれを補正するようにZスキャナを制御するので、ヘッド部から出射されるレーザ光の焦点位置に光軸方向のずれが生じるのを抑制することができる。従って、レーザ光が光ファイバーケーブルを通過する際の非線形光学効果に起因する拡がり角の変化の影響を抑制することができるので、加工品質を向上させることができる。
【0008】
第2の本発明によるレーザ加工装置は、上記構成に加え、上記走査制御手段が、上記焦点位置のずれを上記ピークパワーに基づいて推定する誤差推定手段を有し、上記ずれの推定結果に基づいて上記Zスキャナを制御するように構成される。非線形光学効果による拡がり角の変化は、光ファイバーケーブルを伝送されるレーザ光のピークパワーと相関関係がある。本発明による上記レーザ加工装置では、レーザ出力制御情報として保持されるピークパワーに基づいて焦点位置のずれを誤差として推定し、その推定結果に基づいてZスキャナを制御するので、レーザ光が光ファイバーケーブルを通過する際の非線形光学効果に起因する焦点位置のずれを効果的に補正させることができる。
【0009】
第3の本発明によるレーザ加工装置は、上記構成に加え、上記ヘッド部が、上記光ファイバーケーブルを介して伝送された上記レーザ光のパワーレベルを検出するパワーレベル検出手段を有し、上記走査制御手段が、上記レーザ出力制御情報と上記パワーレベルの検出結果とに基づいて、上記焦点位置のずれを補正するように上記Zスキャナを制御するように構成される。この様な構成によれば、レーザ出力制御情報とパワーレベルの検出結果とに基づいて焦点位置のずれを補正するようにZスキャナを制御するので、レーザ光増幅手段や光ファイバーケーブルの経時劣化によってレーザ光の出力状態が変化した場合であっても、適切な位置にレーザ光をフォーカシングすることができる。
【0010】
第4の本発明によるレーザ加工装置は、上記構成に加え、上記本体部が、上記走査制御手段及び上記レーザ出力制御情報記憶手段を有するように構成される。この様な構成によれば、走査制御手段やレーザ出力制御情報記憶手段がヘッド部内に設けられる場合に比べて、ヘッド部を小型化することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるレーザ加工装置によれば、光ファイバーケーブルの端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化に伴う焦点位置のずれを補正するようにZスキャナを制御するので、ヘッド部から出射されるレーザ光の焦点位置に光軸方向のずれが生じるのを抑制することができる。また、経時劣化によってレーザ光の出力状態が変化した場合であっても、適切な位置にレーザ光をフォーカシングすることができる。従って、レーザ光が光ファイバーケーブルを通過する際の非線形光学効果に起因する拡がり角の変化の影響を抑制することができるので、加工品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1によるレーザ加工装置100の概略構成の一例を示したブロック図である。
【図2】図1のレーザ加工装置100の要部における構成例を示したブロック図であり、メイン制御回路11内の機能構成の一例が示されている。
【図3】光ファイバーの端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化による焦点位置の変化を模式的に示した説明図である。
【図4】図1のレーザ加工装置100におけるZ方向のスキャン動作の一例を示した説明図であり、レンズ間の距離を短くして焦点位置が遠ざかる様子が示されている。
【図5】図1のレーザ加工装置100におけるZ方向のスキャン動作の一例を示した説明図であり、レンズ間の距離を長くして焦点位置が近づく様子が示されている。
【図6】図1のレーザ加工装置100のヘッド部4の構成例を示した斜視図であり、リアカバーが取り外されたヘッド部4を右前方から見た様子が示されている。
【図7】図1のレーザ加工装置100のヘッド部4の構成例を示した斜視図であり、ヘッド部4を左前方から見た様子が示されている。
【図8】図1のレーザ加工装置100のヘッド部4の構成例を示した斜視図であり、リアカバーが取り外されたヘッド部4を下側から見た様子が示されている。
【図9】図1のレーザ加工装置100のヘッド部4の構成例を示した斜視図であり、フロントカバー4aも取り外されたヘッド部4を左前方から見た様子が示されている。
【図10】図1のレーザ加工装置100における焦点位置の調整動作の一例を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2によるレーザ加工装置200の概略構成の一例を示したブロック図である。
【図12】図11のレーザ加工装置200の要部における構成例を示したブロック図であり、メイン制御回路11内の機能構成の一例が示されている。
【図13】図11のレーザ加工装置200のヘッド部4の構成例を示した斜視図であり、ヘッド部4を左前方から見た様子が示されている。
【図14】図13のヘッド部4の構成例を示した平面図であり、ヘッド部4を上から見た様子が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
<レーザ加工装置>
図1は、本発明の実施の形態1によるレーザ加工装置100の概略構成の一例を示したブロック図である。このレーザ加工装置100は、レーザ光を走査させてワークWを加工する加工装置であり、コンソール1、本体部2、光ファイバーケーブル3及びヘッド部4からなる。コンソール1は、ワークWの加工条件などを入力するための入力装置である。
【0014】
本体部2は、メイン制御回路11、ワーク加工情報記憶部12、電源回路13、励起光源14及びレーザ光増幅器15により構成されるレーザ発振器ユニットであり、レーザ発振の制御やレーザ光の走査制御を行っている。励起光源14は、レーザ媒質を励起するための励起光を生成し、レーザ光増幅器15へ出射する光源装置であり、LD(レーザダイオード)などの発光素子と、集光レンズによって構成される。
【0015】
レーザ光増幅器15は、コアにレーザ媒質が添加された光ファイバーを用いてレーザ光を増幅するファイバーレーザであり、エネルギー密度の高い高出力のレーザ光が生成される。このレーザ光増幅器15は、レーザ媒質としてイッテルビウム(Yb)などの希土類元素が添加された希土類ドープ光ファイバーと、低出力の種光を発生させるマスターオシレータ部、種光を増幅するパワーアンプ部、ポンピング用光源装置、アイソレータなどによって構成され、光ファイバーケーブル3と直接連結している。レーザ光増幅器15では、励起光によって励起されたレーザ媒質の誘導放射によりレーザ光を増幅し、増幅されたレーザ光を光ファイバーの外へ出射させることなく、そのまま光ファイバーケーブル3に伝送する。
【0016】
レーザ光増幅器15には、レーザ発振を制御するためのQスイッチが設けられており、Qスイッチの切り替えにより、連続発振をパルス発振に変換することができ、ピークパワーの大きなパルス波を生成することができる。なお、レーザ光増幅器15としては、種光を生成するLDを直接にオン又はオフすることによって、パルス発振可能な発振器のように、Qスイッチを備えないものであっても良い。
【0017】
光ファイバーケーブル3は、レーザ光増幅器15によって増幅されたレーザ光をヘッド部4に伝送するデリバリファイバーである。ヘッド部4は、本体部2のレーザ光増幅器15から光ファイバーケーブル3を介して伝送されたレーザ光を走査させるスキャナユニットであり、レーザ光をワークWに向けて出射する。
【0018】
このヘッド部4は、光アイソレータ21、ビームエキスパンダ22、ミラー23a、シャッタ24、フォトインタラプタ25、ダイクロイックミラー26、Zスキャナ27、XYスキャナ28、ガイド光源29及びXYスキャナ制御回路30からなる。光アイソレータ21は、レーザ光を順方向にのみ伝送し、逆方向への伝送を制限する光学素子であり、光ファイバーケーブル3を介して伝送されたレーザ光をビームエキスパンダ22へ出射する。光アイソレータ21は、例えば、複屈折結晶やファラデー回転子によって構成される。
【0019】
ビームエキスパンダ22は、レーザ光のビーム径を拡大させるビーム径拡大機構であり、光路上に配置された複数のレンズによって構成され、レンズ間の距離を調整することにより、ビーム径を所望の値に変換している。ミラー23aは、ビームエキスパンダ22を通過後のレーザ光をダイクロイックミラー26に向けて反射する平面鏡である。シャッタ24は、レーザ光を必要に応じて遮断するための遮断装置であり、遮断板や遮断板を移動させる駆動機構によって構成される。このシャッタ24は、ミラー23a及びダイクロイックミラー26間に配置されている。
【0020】
フォトインタラプタ25は、シャッタ24が閉じているか否かを光学的に検出する光学センサである。ダイクロイックミラー26は、特定波長の光のみを反射し、他の波長の光を透過させる光学素子であり、シャッタ24を通過したレーザ光をZスキャナ27に向けて反射し、ガイド光源29からのガイド光をそのまま透過させる。
【0021】
Zスキャナ27は、光路上に配置された1又は2以上のレンズと、レンズを移動させるレンズ駆動用モーターによって構成されるレーザ光の走査機構であり、レンズを移動させることによって、ヘッド部4から出射されるレーザ光の焦点位置を光軸方向に移動させている。また、Zスキャナ27は、レーザ光の集光機能を有している。なお、このZスキャナ27は、ワークWの高さに追随してレーザ光の焦点位置を光軸方向に移動させることが可能な走査機構である。
【0022】
XYスキャナ28は、交差する回転軸にそれぞれ配置された2つのミラーと、これらのミラーを回転させるミラー駆動用モーターによって構成されるレーザ光の走査機構であり、回転軸を中心としてミラーを回転させることによって、レーザ光を光軸と交差する方向に走査させる。ここでは、XYスキャナ28が、X方向走査用のガルバノミラー及びその駆動用モーターからなるXスキャナと、Y方向走査用のガルバノミラー及びその駆動用モーターからなるYスキャナによって構成されるものとする。
【0023】
Zスキャナ27を通過したレーザ光は、XYスキャナ28のガルバノミラーによって反射され、ワークWに照射される。ガイド光源29は、レーザ光の照射位置をワークW上で可視化するためのガイド光を生成する光源装置である。ガイド光源29から出射されたガイド光は、ダイクロイックミラー26を透過し、レーザ光の光路に入る。レーザ光の光路に入ったガイド光は、Zスキャナ27及びXYスキャナ28を経てワークWに照射される。
【0024】
ワーク加工情報記憶部12は、ワークWのレーザ加工に関する情報をワーク加工情報として保持するメモリであり、ワーク加工情報として、レーザ光の照射目標を示す3次元位置情報、レーザ発振を制御するためのレーザ出力制御情報などが保持される。3次元位置情報としては、例えば、座標データが保持される。また、レーザ出力制御情報としては、例えば、レーザ光のピークパワー、パルス幅、繰返し周波数などが保持される。
【0025】
ワーク加工情報記憶部12には、後述する焦点位置のずれを補正するためのZスキャナの制御情報が保持される。このZスキャナ制御情報は、光ファイバーケーブル3に入射されるレーザ光の状態を示す情報であり、例えば、コンソール1を操作することによって設定される。具体的には、レーザ光のピークパワー、パルス幅、繰返し周波数及び中心波長がZスキャナ制御情報として予め保持される。この様なZスキャナ制御情報としては、Zスキャナ制御用に単独で保持するものであっても良いが、ここでは、レーザ発振の制御情報として保持されているレーザ出力制御情報を用いるものとする。
【0026】
メイン制御回路11は、ワーク加工情報記憶部12内に保持されているワーク加工情報に基づいて、励起光源14、レーザ光増幅器15及びZスキャナ27を制御する制御部である。電源回路13は、励起光源14やレーザ光増幅器15、ヘッド部4内の駆動用モーターなどに電力を供給する電源装置である。
【0027】
XYスキャナ制御回路30は、レーザ光の走査制御を行う制御部であり、本体部2のワーク加工情報記憶部12からメイン制御回路11を介して転送されたワーク加工情報に基づいてXYスキャナ28を制御する。
【0028】
この様なレーザ加工装置100としては、例えば、レーザ光を照射することによってワークWの表面に文字や図形をマーキングするレーザマーカが考えられる。また、ワーク加工情報としての3次元位置情報やレーザ出力制御情報は、コンソール1からの入力情報に基づいて手動で設定され、或いは、自動的に設定される。
【0029】
<本体部のメイン制御回路>
図2は、図1のレーザ加工装置100の要部における構成例を示したブロック図であり、メイン制御回路11内の機能構成の一例が示されている。このメイン制御回路11は、レーザ発振制御部41及びZスキャナ制御部42からなり、ワーク加工情報記憶部12内のワーク加工情報に基づいて、励起光源14、レーザ光増幅器15及びZスキャナ27を制御している。
【0030】
レーザ発振制御部41は、レーザ出力制御情報に基づいて、ヘッド部4から出射されるレーザ光のピークパワーやパルス幅を調整するための発振器制御信号を生成し、励起光源14及びレーザ光増幅器15へ出力する動作を行なっている。
【0031】
Zスキャナ制御部42は、誤差推定部43及び焦点位置調整部44からなり、レーザ出力制御情報及び3次元位置情報に基づいてZスキャナ27を制御している。誤差推定部43は、光ファイバーケーブル3の端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化に対応する焦点位置の誤差をレーザ出力制御情報に基づいて推定し、その推定結果を焦点位置調整部44へ出力する動作を行っている。
【0032】
一般に、ピークパワーの大きなレーザ光が光ファイバーケーブル3を通過すると、非線形光学効果によって色収差が増大する。レーザ品質の低下や色収差の増大に起因して、光ファイバーケーブル3の端面から出射されるレーザ光の拡がり角は、レーザ品質の低下や色収差の増大がない場合に比べて大きくなる。誤差推定部43では、この様な非線形光学効果による色収差の増大やレーザ品質の低下によって拡がり角が変化する際のその変化量に対応する焦点位置の誤差が推定される。
【0033】
焦点位置調整部44は、上記誤差の推定結果に基づいて3次元位置情報を補正し、焦点位置の移動量を調整するためのZスキャナ制御信号を生成してZスキャナ27へ出力する動作を行っている。
【0034】
ここで、レーザ出力制御情報に基づいて焦点位置の誤差を推定する方法について説明する。レーザ出力制御情報から誤差を推定するには、所定の演算式(関数)を用いる方法と、変換テーブルを用いる方法とが考えられる。演算式を用いる方法は、レーザ出力制御情報としてワーク加工情報記憶部12内に保持されているパラメータ、すなわち、レーザ光のピークパワー、パルス幅、繰返し周波数又は中心波長を演算式に入力することによって、誤差を算出する方法である。
【0035】
ピークパワーは、パルスエネルギーをパルス幅で除算することによって得られる物理量である。パルス幅は、ピークパワーの半分程度のパワーレベルにおけるパルス波の時間長であり、繰返し周波数は、パルス発振の周波数である。また、中心波長は、レーザ光増幅器15により生成されるレーザ光の波長である。ピークパワー、パルス幅及び繰返し周波数は、平均出力が一定である場合、これらのパラメータのうちの1つが変化すれば、他のパラメータも連動して変化する。例えば、平均出力が30Wの場合、繰返し周波数が30kHzであれば、パルスエネルギーは1mJであるのに対して、繰返し周波数が60kHzであれば、パルスエネルギーは0.5mJである。
【0036】
本実施の形態では、非線形光学効果による拡がり角の変化がレーザ光のピークパワーと相関関係があることから、レーザ出力制御情報として保持されているピークパワーのみを用いて誤差を算出している。具体的には、補正係数をr、ピークパワーの設定値をP、定格出力の50%で出力している時のピークパワーを0.5として、次式(1)から定格出力時に対する誤差ΔLが算出される。
ΔL=r×(P−0.5)・・・(1)
【0037】
上式(1)の補正係数rは、レーザ光のパワーレベルと焦点位置の誤差との関係を実験によって評価することにより、予め定められる正のパラメータである。焦点位置調整部44では、この様にして算出される誤差ΔLを用いて3次元位置情報を補正する。具体的には、座標データから算出される焦点位置の移動量をL1とすれば、補正後の移動量として最終的にZスキャナ27に指示する移動量の指示値L2は、L2=L1−ΔLによって算出される。
【0038】
ここでは、ピークパワーのみを用いて誤差ΔLを算出する場合について説明したが、レーザ出力制御情報として保持されている他のパラメータ、すなわち、パルス幅や繰返し周波数、中心波長も使って誤差ΔLを算出することにより、誤差の推定精度を向上させることができる。なお、焦点位置の誤差を推定するための所定の演算式は、誤差推定部43又はワーク加工情報記憶部12に保持させることができる。
【0039】
一方、変換テーブルを用いる方法は、レーザ光のパワーレベルと焦点位置の誤差との関係を実験によって評価することにより、異なる複数のパワーレベルにそれぞれ誤差を対応付けた変換テーブルを保持し、その変換テーブルを用いてレーザ出力制御情報から焦点位置の誤差を求める方法である。この様な方法で求めた誤差を用いて3次元位置情報を補正させることもできる。なお、この変換テーブルは、誤差推定部43又はワーク加工情報記憶部12に保持させることができる。
【0040】
<拡がり角の変化による焦点位置の変化>
図3(a)及び(b)は、光ファイバーの端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化による焦点位置の変化を模式的に示した説明図である。図3(a)には、光ファイバーケーブル3の端面から出射されるレーザ光の拡がり角がパワーレベルの増加によって大きくなっている様子が示されている。図3(b)には、ヘッド部4から出射されるレーザ光の焦点位置が拡がり角の増加によって遠くなっている様子が示されている。
【0041】
光ファイバーケーブル3は、レーザ光を伝送するためのコア3aと、コア3aを取り囲むクラッド3bからなり、コア3aを通過したレーザ光が端面から出射される際の拡がり角は、レーザ光のパワーレベルが増加すると、非線形光学効果による色収差の増大によってΔθだけ大きくなる。
【0042】
拡がり角がΔθだけ大きくなると、ヘッド部4から出射されるレーザ光の焦点位置は、ヘッド部4からΔLだけ光軸方向に遠くなる。Zスキャナ制御部42では、この様に非線形光学効果によって拡がり角が変化した際のその変化量に対応する焦点位置の誤差ΔLを推定し、その推定結果に基づいてZスキャナ27を制御する動作が行われる。レーザ光が光ファイバーケーブル3を通過する際の非線形光学効果に起因する拡がり角の変化の影響を抑制することができるので、加工品質を向上させることができる。
【0043】
<Z方向スキャン>
図4及び図5は、図1のレーザ加工装置100におけるZ方向のスキャン動作の一例を示した説明図であり、ヘッド部4内のZスキャナ27及びXYスキャナ28が示されている。図4には、入射レンズ27a及び出射レンズ27b間の距離Rd1を短くすることによってレーザ光の焦点位置がヘッド部4から遠ざかる様子が示されている。図5には、入射レンズ27a及び出射レンズ27b間の距離Rd2を長くすることによって焦点位置がヘッド部4に近づく様子が示されている。
【0044】
このZスキャナ27は、ダイクロイックミラー26側に配置される入射レンズ27aと、ミラー23b側に配置される出射レンズ27bと、入射レンズ27aを光軸方向に移動させるレンズ駆動用モーター(図示せず)により構成される。入射レンズ27aと出射レンズ27bとの間の距離Rd1を短くすれば、ビーム径が大きくなるので、ヘッド部4から出射されるレーザ光の焦点位置はヘッド部4の出射面から遠ざかり、ワーキングディスタンスLd1が長くなる。
【0045】
一方、入射レンズ27aと出射レンズ27bとの間の距離Rd2(Rd2>Rd1)を長くすれば、ビーム径が小さくなるので、ヘッド部4から出射されるレーザ光の焦点位置はヘッド部4の出射面に近づき、ワーキングディスタンスLd2(Ld2<Ld1)が短くなる。
【0046】
つまり、入射レンズ27aを出射レンズ27bに近づくように移動させることによって、焦点位置を遠ざけることができ、また、入射レンズ27aを出射レンズ27bから遠ざかるように移動させることによって、焦点位置を近づけることができる。
【0047】
この様なZスキャナ27を制御して焦点位置の移動量、すなわち、入射レンズ27aの移動量を調整することにより、光ファイバーケーブル3の端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化に伴う焦点位置のずれを補正させることができる。例えば、レーザ光のパワーが大きくなると、拡がり角の変化に伴ってヘッド部4から遠ざかる方向のずれが生じるので、焦点位置を近づける方向に焦点位置の移動量を補正する。一方、レーザ光のパワーが小さくなると、拡がり角の変化に伴ってヘッド部4に近づく方向のずれが生じるので、焦点位置を遠ざける方向に焦点位置の移動量を補正する。なお、パルス幅や繰返し周波数についても、焦点位置のずれが生じる場合には、実験結果に基づいて演算式の補正係数を決定し、焦点位置の移動量を補正することが望ましい。
【0048】
<ヘッド部>
図6〜図8は、図1のレーザ加工装置100のヘッド部4の構成例を示した斜視図である。図6には、リアカバーが取り外されたヘッド部4を右前方から見た様子が示され、図7には、ヘッド部4を左前方から見た様子が示されている。また、図8には、リアカバーが取り外されたヘッド部4を下側から見た様子が示されている。
【0049】
このヘッド部4は、内部がリアフレーム31、フロントフレーム32、センターフレーム33及びアンダーフレーム34によって3つの領域に区分された直方体形状の箱体からなり、光アイソレータ21などの各デバイスが収容されている。リアフレーム31、フロントフレーム32、センターフレーム33及びアンダーフレーム34は、いずれも矩形形状の金属板からなる部材であり、リアフレーム31、フロントフレーム32及びセンターフレーム33は、いずれもアンダーフレーム34上に立てた状態で配置されている。
【0050】
リアフレーム31とフロントフレーム32とは、対向させて配置され、これらのフレーム間にセンターフレーム33が配置されている。センターフレーム33は、リアフレーム31及びフロントフレーム32と交差させて配置され、水平な断面がH形状となっている。フロントフレーム32よりも前側の領域は、フロントカバー4aで覆われており、ミラー23a,23b、シャッタ24、フォトインタラプタ25、ダイクロイックミラー26、Zスキャナ27及びガイド光源29が収容されている。
【0051】
フロントフレーム32とリアフレーム31との間でセンターフレーム33の右側の領域には、光アイソレータ21、ビームエキスパンダ22及びXスキャナ用制御基板30aが収容されている。光アイソレータ21及びビームエキスパンダ22は、光軸がセンターフレーム33と平行になるように配置されている。
【0052】
一方、フロントフレーム32とリアフレーム31との間でセンターフレーム33の左側の領域には、Yスキャナ用制御基板30b及びヘッド制御基板35が収容されている。Xスキャナ28a及びYスキャナ28cは、上記右側の領域と上記左側の領域とに跨って収容されている。
【0053】
Xスキャナ用制御基板30aは、X方向走査用のガルバノミラー28b及びその駆動用モーター28aからなるXスキャナを制御するための制御回路が形成された配線基板である。Yスキャナ用制御基板30bは、Y方向走査用のガルバノミラー28d及びその駆動用モーター28cからなるYスキャナを制御するための制御回路が形成された配線基板である。
【0054】
ヘッド制御基板35は、ヘッド部4内の各デバイスを制御するための制御回路が形成された配線基板である。Yスキャナ用制御基板30b及びヘッド制御基板34は、いずれもセンターフレーム33と平行に配置されている。リアフレーム31の背面には、光ファイバーケーブル3のコネクタ部3cが取り付けられている。
【0055】
ヘッド部4の底面を構成するアンダーフレーム34には、XYスキャナ28によって走査されたレーザ光を出射するための開口34aが形成されており、カバーレンズが配置される。ダイクロイックミラー26により反射されたレーザ光は、Zスキャナ27を通過後、X方向走査用のガルバノミラー28bによって反射される。そして、Y走査用のガルバノミラー28dによって反射され、開口34aを介してワークWに照射される。
【0056】
図9は、図1のレーザ加工装置100のヘッド部4の構成例を示した斜視図であり、フロントカバー4aも取り外されたヘッド部4を左前方から見た様子が示されている。フロントフレーム32の前側の領域には、ミラー23a、ダイクロイックミラー26、Zスキャナ27及びガイド光源29などが配置されている。
【0057】
光ファイバーケーブル3を介して伝送されたレーザ光は、光アイソレータ21及びビームエキスパンダ22を通過した後、ミラー23aによって反射され、水平面内で直角に光軸が曲げられる。そして、レーザ光は、シャッタ24を介してダイクロイックミラー26に入射し、垂直面内で下方向に反射される。
【0058】
ダイクロイックミラー26によって反射されたレーザ光は、Zスキャナ27を通過後、ミラー23bによって反射され、垂直面内で光軸が直角に曲げられてXYスキャナ28に入射する。一方、ガイド光源29から出射されたガイド光は、ダイクロイックミラー26を透過し、レーザ光の光路に入り、Zスキャナ27を通過してXYスキャナ28に入射する。
【0059】
<焦点位置の調整処理>
図10のステップS101〜S105は、図1のレーザ加工装置100における焦点位置の調整動作の一例を示したフローチャートである。まず、Zスキャナ制御部42は、コンソール1からの入力によって加工開始が指示されると、ワーク加工情報記憶部12内に保持されているレーザ出力制御情報を参照し、非線形光学効果による焦点位置の誤差ΔLを推定する(ステップS101,S102)。
【0060】
次に、Zスキャナ制御部42は、誤差ΔLの推定結果に基づいてワーク加工情報としての座標データを補正し、補正後の座標データに基づいてZスキャナ制御信号を生成し、Zスキャナ27へ出力する(ステップS103,S104)。ステップS101からステップS104までの処理手順は、ワークWの加工が終了するまで繰り返される(ステップS105)。
【0061】
本実施の形態によれば、予め保持されるレーザ出力制御情報に基づいてZスキャナ27を制御することによって、光ファイバーケーブル3の端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化に伴う焦点位置のずれを補正するので、ヘッド部4から出射されるレーザ光の焦点位置に光軸方向のずれが生じるのを抑制することができる。従って、レーザ光が光ファイバーケーブル3を通過する際の非線形光学効果に起因する拡がり角の変化の影響を抑制することができるので、加工品質を向上させることができる。
【0062】
また、レーザ出力制御情報として保持されるピークパワーから拡がり角の変化に対応する焦点位置の誤差ΔLを推定して焦点位置の移動量を調整するので、Zスキャナ制御部42の構成を複雑化させることなく、レーザ光の焦点位置にずれが生じるのを効果的に抑制することができる。さらに、Zスキャナ制御部42及びワーク加工情報記憶部12が本体部2内に配置されるので、Zスキャナ制御部42やワーク加工情報記憶部12がヘッド部4内に設けられる場合に比べて、ヘッド部4を小型化することができ、さらに、ヘッド部4内での発熱量を低減させることもできる。
【0063】
実施の形態2.
実施の形態1では、レーザ出力制御情報に基づいて焦点位置の誤差ΔLを推定して焦点位置の移動量を調整する場合の例について説明した。これに対して、本実施の形態では、光ファイバーケーブル3を介して伝送されたレーザ光のパワーレベルを検出し、その検出結果を考慮して焦点位置の誤差ΔLを判断する場合について説明する。
【0064】
図11は、本発明の実施の形態2によるレーザ加工装置200の概略構成の一例を示したブロック図である。このレーザ加工装置200は、図1のレーザ加工装置100と比較すれば、パワーモニタ201を備え、ミラー23に代えてビームサンプラー202を備えている点で異なる。ビームサンプラー202は、ビームエキスパンダ22を通過したレーザ光の一部をダイクロイックミラー26に向けて反射し、他の一部を透過させる光学素子である。
【0065】
パワーモニタ201は、ビームサンプラー202を透過したレーザ光を受光してパワーレベルを検出し、その検出結果をパワーレベル検出信号として本体部2内のメイン制御回路11へ出力するパワーレベル検出用センサである。この様なパワーモニタ201としては、例えば、サーモパイル(熱電堆)、或いは、フォトダイオードが用いられる。
【0066】
図12は、図11のレーザ加工装置200の要部における構成例を示したブロック図であり、メイン制御回路11内の機能構成の一例が示されている。メイン制御回路11のZスキャナ制御部203は、ワーク加工情報記憶部12内のレーザ出力制御情報と、パワーモニタ201からのパワーレベル検出信号に基づいて、Zスキャナ27を制御している。すなわち、誤差推定部204は、レーザ出力制御情報とパワーレベルの検出結果とに基づいて、焦点位置の誤差ΔLを推定し、その推定結果を焦点位置調整部44へ出力する動作を行っている。
【0067】
図13は、図11のレーザ加工装置200のヘッド部4の構成例を示した斜視図であり、リアカバー及びフロントカバーが取り外されたヘッド部4を左前方から見た様子が示されている。また、図14は、図13のヘッド部4の構成例を示した平面図であり、ヘッド部4を上から見た様子が示されている。
【0068】
フロントフレーム32の前側の領域には、ビームサンプラー202、パワーモニタ201、パワーモニタ用アンプ201a、シャッタ24の遮断板24a、その駆動機構24b、フォトインタラプタ25、Zスキャナ27及びガイド光源29などが配置されている。
【0069】
光ファイバーケーブル3を介して伝送されたレーザ光は、光アイソレータ21及びビームエキスパンダ22を通過した後、ビームサンプラー202によって、その一部がダイクロイックミラー26に向けて反射され、他の一部が透過してパワーモニタ201に入射される。
【0070】
光アイソレータ21及びビームエキスパンダ22は、互いに光軸を一致させて配置されており、ビームエキスパンダ22の通過後のレーザ光は、その一部がそのまま直進してパワーモニタ201に入射する。一方、ビームエキスパンダ22の通過後のレーザ光の他の一部は、ビームサンプラー202で反射され、遮断板24aを介してダイクロイックミラー26に入射する。
【0071】
本実施の形態によれば、レーザ出力制御情報とパワーレベルの検出結果とに基づいて焦点位置の誤差ΔLを推定し、焦点位置の移動量を調整するので、レーザ光増幅器15や光ファイバーケーブル3の経時劣化によってレーザ光の出力状態が変化した場合であっても、適切な位置にレーザ光をフォーカシングすることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 コンソール
2 本体部
3 光ファイバーケーブル
3a コア
3b クラッド
3c コネクタ部
4 ヘッド部
4a フロントカバー
11 メイン制御回路
12 ワーク加工情報記憶部
13 電源回路
14 励起光源
15 レーザ光増幅器
21 光アイソレータ
22 ビームエキスパンダ
23a,23b ミラー
24 シャッタ
24a 遮断板
24b 駆動機構
25 フォトインタラプタ
26 ダイクロイックミラー
27 Zスキャナ
28 XYスキャナ
28a,28c 駆動用モーター
28b,28d ガルバノミラー
29 ガイド光源
30 XYスキャナ制御回路
30a Xスキャナ用制御基板
30b Yスキャナ用制御基板
31 リアフレーム
32 フロントフレーム
33 センターフレーム
34 アンダーフレーム
35 ヘッド制御基板
41 レーザ発振制御部
42 Zスキャナ制御部
43 誤差推定部
44 焦点位置調整部
100,200 レーザ加工装置
201 パワーモニタ
202 ビームサンプラー
203 Zスキャナ制御部
204 誤差推定部
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアにレーザ媒質が添加された光ファイバーを用いてレーザ光を増幅するレーザ光増幅手段を有する本体部と、
上記本体部から光ファイバーケーブルを介して伝送された上記レーザ光を走査させるレーザ光走査手段を有するヘッド部と、
上記レーザ光走査手段の制御を行う走査制御手段と、
少なくとも上記レーザ光のピークパワーを含み、上記レーザ光増幅手段を制御するためのレーザ出力制御情報を保持するレーザ出力制御情報記憶手段とを備え、
上記レーザ光走査手段は、上記光ファイバーケーブルの端面から出射される上記レーザ光の光軸方向の焦点位置を調整可能なZスキャナを有し、
上記走査制御手段が、上記レーザ出力制御情報に基づいて、上記光ファイバーケーブルの端面から出射されるレーザ光の拡がり角の変化に伴う上記焦点位置のずれを補正するように、上記Zスキャナを制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
上記走査制御手段は、上記焦点位置のずれを上記ピークパワーに基づいて推定する誤差推定手段を有し、上記ずれの推定結果に基づいて上記Zスキャナを制御することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
上記ヘッド部が、上記光ファイバーケーブルを介して伝送された上記レーザ光のパワーレベルを検出するパワーレベル検出手段を有し、
上記走査制御手段は、上記レーザ出力制御情報と上記パワーレベルの検出結果とに基づいて、上記焦点位置のずれを補正するように上記Zスキャナを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
上記本体部が、上記走査制御手段及び上記レーザ出力制御情報記憶手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−20143(P2011−20143A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166800(P2009−166800)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】