レーザ加工装置
【課題】レーザ光の出力を設定可能なレーザ加工装置においてレーザ光の一部を取り出して受光素子を用いて検出する際に高精度に検出することができるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザ発振器10は加工対象物Wに照射するためのレーザ光を出力する。分岐用ミラー17がレーザ光の光路に設けられ、レーザ光の一部が分岐して取り出される。受光素子18は分岐用ミラー17により取り出されたレーザ光を検出する。レーザパワー設定器26により加工対象物Wへのレーザ光の出力を設定することができる。アパーチャ19は、分岐用ミラー17と受光素子18との間のレーザ光の光路に設けられ、アパーチャ径設定器27によりアパーチャ19の開口面積を変更可能に設定する。
【解決手段】レーザ発振器10は加工対象物Wに照射するためのレーザ光を出力する。分岐用ミラー17がレーザ光の光路に設けられ、レーザ光の一部が分岐して取り出される。受光素子18は分岐用ミラー17により取り出されたレーザ光を検出する。レーザパワー設定器26により加工対象物Wへのレーザ光の出力を設定することができる。アパーチャ19は、分岐用ミラー17と受光素子18との間のレーザ光の光路に設けられ、アパーチャ径設定器27によりアパーチャ19の開口面積を変更可能に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置においては、レーザ発振器から出力されたレーザ光を加工対象物に照射して加工する。このレーザ加工装置において加工対象物へのレーザ光の出力をモニタする機能が備わっている(例えば特許文献1)。特許文献1のモニタリング装置では、ヘッドにレーザ光測定部と光拡散板が設けられ、光ファイバの終端面から出たレーザ光の一部を、光拡散板を通してレーザ光測定部の受光面に入射して光強度を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−44739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーザ光の出力(パワー)はユーザにより任意に設定できるようになっており、加工対象物の種類等によりレーザ光の出力(パワー)が設定される。
この場合、レーザ光の一部を取り出して受光素子において強度を検出する際に、単に光を弱めるだけの部材を設けただけでは、図12に示すように、低いパワーに設定されている場合にはSN比が大きくなってしまう。また、高いパワーに設定されている場合には、受光素子における受光量の飽和領域に入ってしまい、正確に強度を検出することが難しくなる。
【0005】
本発明の目的は、レーザ光の出力を設定可能なレーザ加工装置においてレーザ光の一部を取り出して受光素子を用いて検出する際に高精度に検出することができるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、加工対象物に照射するためのレーザ光を出力するレーザ発振器と、前記レーザ光の光路に設けられ、前記レーザ光の一部を分岐して取り出すための分岐手段と、前記分岐手段により取り出されたレーザ光を検出する受光素子と、前記加工対象物への前記レーザ光の出力を設定するレーザ光出力設定手段と、前記分岐手段と前記受光素子との間のレーザ光の光路に設けられる開口部を有するアパーチャと、前記アパーチャの開口面積を変更可能に設定するアパーチャ設定手段と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、レーザ発振器から、加工対象物に照射するためのレーザ光が出力される。レーザ光の光路に設けられた分岐手段により、レーザ光の一部が分岐されて取り出される。分岐手段により取り出されたレーザ光が受光素子により検出される。ここで、分岐手段と受光素子との間のレーザ光の光路に設けられたアパーチャにおいて、アパーチャ設定手段により開口面積が変更可能に設定される。よって、高いレーザ出力となっているときにはレーザ光が大きく減衰して受光素子での受光量が飽和しないようにすることができる。また、低いレーザ出力となっているときにはレーザ光を多く通過させて受光素子での受光量を大きくして外乱の影響を受けにくくすることができる。
【0008】
このようにして、レーザ光の出力を設定可能なレーザ加工装置においてレーザ光の一部を取り出して受光素子を用いて検出する際に高精度に検出することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記アパーチャ設定手段は、前記レーザ光出力設定手段による前記加工対象物への前記レーザ光の出力の設定値に応じて前記アパーチャの開口面積を変更することを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、アパーチャ設定手段により、レーザ光出力設定手段による加工対象物へのレーザ光の出力の設定値に応じてアパーチャの開口面積を変更することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のレーザ加工装置において、前記受光素子によるレーザ光の検出結果に基づいて前記レーザ発振器のレーザ光の出力を調整するレーザ光出力調整手段を更に備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、受光素子によるレーザ光の検出結果に基づいてレーザ発振器のレーザ光の出力を調整することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記受光素子によるレーザ光の検出結果が規定値以下であるとき異常として異常検出信号を出力する異常信号出力手段を更に備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、異常信号出力手段により、受光素子によるレーザ光の検出結果が規定値以下であるとき異常として異常検出信号を出力することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ発振器から出力されるレーザ光における光路での前記分岐手段よりも下流側に配されたシャッタを更に備え、前記受光素子によるレーザ光の検出は、レーザ発振器からのレーザ光の出力時における前記シャッタを閉じたときであることを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、レーザ発振器からのレーザ光の出力時におけるシャッタを閉じたとき受光素子によるレーザ光の検出が行われるので、加工対象物からの反射光の影響を受けにくくなる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ発振器から出力されるレーザ光における光路での前記分岐手段よりも下流側に配されたシャッタを更に備え、前記受光素子によるレーザ光の検出は、レーザ発振器からのレーザ光の出力時における前記シャッタを開いたときであることを要旨とする。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、レーザ発振器からのレーザ光の出力時におけるシャッタを開いたとき受光素子によるレーザ光の検出が行われるので、シャッタからの反射光の影響を受けにくくなる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、請求項2に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ光出力設定手段によって設定されたレーザ光の出力値にかかわらず前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整する制御手段を更に備えたことを要旨とする。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、レーザ光出力設定手段によって設定されたレーザ光の出力値にかかわらず受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるようにアパーチャの開口面積が調整され、受光素子の出力特性における好ましい受光領域を使用できるアパーチャの開口面積に調整することができる。
【0018】
請求項8に記載のように、請求項7に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段は、前記受光素子によるレーザ光の受光量を増やすことにより前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整してよい。また、請求項9に記載のように、請求項7に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段は、前記受光素子によるレーザ光の受光量を減らすことにより前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整してもよい。
【0019】
請求項10に記載の発明では、請求項7〜9のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段において前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定とならないとき異常として異常検出信号を出力する異常信号出力手段を更に備えたことを要旨とする。
【0020】
請求項10に記載の発明によれば、異常信号出力手段により、制御手段において受光素子によるレーザ光の受光量が一定とならないとき異常として異常検出信号を出力することができる。
【0021】
請求項11に記載の発明では、請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、ヘッド部に前記分岐手段、前記受光素子が配設されるとともに、本体部に前記レーザ発振器、及び前記ヘッド部に配設された制御対象機器を制御する機器制御手段が配設され、前記レーザ発振器から出力されたレーザ光は、前記ヘッド部と前記本体部とを接続する光ファイバにより前記ヘッド部に伝送されることを要旨とする。
【0022】
請求項11に記載の発明によれば、レーザ発振器を本体部に配設するとともにレーザ光を光ファイバでヘッド部へ伝送するため、ヘッド部を小型化できる。そして、ヘッド部へ伝送されるレーザ光の出力が、光ファイバの設置状態(取り回し)の影響を受けて低下している場合であっても、レーザ光の出力を正確にモニタすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、レーザ光の出力を設定可能なレーザ加工装置においてレーザ光の一部を取り出して受光素子を用いて検出する際に高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態におけるレーザマーキング装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】レーザマーキング装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図4】第1の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図5】第2の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図6】第3の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図7】第4の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図8】(a),(b),(c),(d)は、第5の実施形態の作用を説明するための説明図。
【図9】第6の実施形態を説明するためのマップ。
【図10】第7の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図11】第7の実施形態の作用を説明するための受光素子の出力特性図。
【図12】受光素子の出力特性図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明をレーザマーキング装置に具体化した一実施形態を図面にしたがって説明する。
【0026】
図1に示すように、レーザ加工装置としてのレーザマーキング装置1は、レーザ光Lを出射(出力)するための本体部としてのコントローラ2を備えている。コントローラ2には、光ファイバからなるファイバケーブル3を介してヘッド部としてのヘッド4が接続されている。また、コントローラ2には、電気ケーブル5を介してヘッド4が接続されているとともに、コントローラ2には、電気ケーブル6を介してコンソール7が接続されている。そして、レーザマーキング装置1は、載置台8に載置された加工対象物Wのマーキング面Wa上に所望の文字、図形、記号(以下、文字等という)をマーキング(レーザ加工)するようになっている。
【0027】
ヘッド4の下面には、レーザ光Lが出射される窓部9が形成されている。そして、ヘッド4は、窓部9が加工対象物Wのマーキング面Waと対向するように配置される。
図2に示すように、コントローラ2は、レーザ発振器10(例えば、ファイバレーザ発振器)を備え、レーザ発振器10から加工対象物Wに照射するためのレーザ光Lが出力される。レーザ発振器10から出射されたレーザ光Lは、ファイバケーブル3に送られ、ファイバケーブル3を通してヘッド4に送られる(伝送される)。図1に示すように、ヘッド4においてファイバケーブル3の一端(ヘッド側端)は、ビームエキスパンダ収納部11に接続されている。ヘッド4とコントローラ2とは、ファイバケーブル3、及び電気ケーブル5の一端(ヘッド側端)をヘッド4から取り外すことで接続状態を容易に解除できる。即ち、ヘッド4は、コントローラ2に対して着脱可能に構成されている。ビームエキスパンダ収納部11には、ビームエキスパンダ12(図2参照)が収納されており、ファイバケーブル3からのレーザ光Lがビームエキスパンダ12に送られる。
【0028】
図2に示すように、ヘッド4において、レーザ光Lの光路途中には、レーザ発振器10側から順に、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yと、集光レンズ14が配設されている。そして、ビームエキスパンダ12からのレーザ光Lは、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yに入射される。
【0029】
第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yは、それぞれ対応する第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yに対し、第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yの駆動により回動可能に連結されている。第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yは、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yを互いに略直交する軸を中心としてそれぞれ回動させるようになっている。そして、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yは、ビームエキスパンダ12からのレーザ光Lを反射し、その出射方向を変更させるようになっている。具体的には、第1ガルバノミラー13Xは、回動して加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lを、そのマーキング面Waの一方向(X方向、図1参照)に走査させるようになっている。また、第2ガルバノミラー13Yは、回動して加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lを、そのマーキング面WaのX方向に対して直交する方向(Y方向、図1参照)に走査させるようになっている。したがって、加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lは、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yにより、加工対象物Wのマーキング面Waに対して、X方向及びY方向に走査されるようになっている。
【0030】
ヘッド4において、レーザ光Lの光路上におけるビームエキスパンダ12と第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yとの間にはシャッタ16が設けられている。シャッタ16は、遮蔽状態(位置)と非遮蔽状態(位置)に切り替えられる。遮蔽状態(位置)ではレーザ光Lが加工対象物Wに向けて照射されず、非遮蔽状態(位置)ではレーザ光Lを加工対象物Wに照射させることができる。
【0031】
また、ヘッド4において、レーザ光Lの光路上におけるビームエキスパンダ12とシャッタ16との間には、レーザ光Lの一部(例えば1〜2%)を分岐して取り出すための分岐用ミラー17が設けられている。本実施形態では、分岐用ミラー17が分岐手段となる。分岐用ミラー17により取り出されたレーザ光Lsは、受光素子18に送られる。受光素子18は、分岐用ミラー17により取り出されたレーザ光Lsを検出する。即ち、受光したレーザ光Lsの出力(強度)のレベル(高さ)に応じた電気信号を出力し、光電変換を行う。受光素子としてフォトダイオード、フォトディテクタを挙げることができる。
【0032】
分岐用ミラー17と受光素子18との間のレーザ光の光路にはアパーチャ19が設けられ、アパーチャ19は開口部を有している。これにより、分岐用ミラー17により取り出したレーザ光Lsを減衰させて受光素子18に受光させる。アパーチャ19は開口径φD、即ち、受光素子18へのレーザ光の通過面積を調整するように開口面積を変更可能となっている。そして、アパーチャ19の開口径φD(開口面積)は、後記するアパーチャ径設定器27により設定されるようになっている。
【0033】
受光素子18には、第1オペアンプ20が接続されているとともに、第1オペアンプ20には、第2オペアンプ21が接続されている。第1オペアンプ20は、受光素子18から入力した光電変換後の電気信号を増幅して出力する。第2オペアンプ21は、第1オペアンプ20が出力した電気信号を増幅して出力する。
【0034】
第2オペアンプ21には、A/D変換器22が接続されている。A/D変換器22は、第2オペアンプ21が出力する増幅後の電気信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。A/D変換器22は、電気ケーブル5を介してコントローラ2に接続されている。
【0035】
コントローラ2には、前述のレーザ発振器10に加えて、レーザマーキング装置1の動作を統括的に制御するための制御装置23が設けられている。この制御装置23は、A/D変換器22と電気ケーブル5を介して接続されており、A/D変換器22が出力するデジタル信号を入力する。したがって、制御装置23は、分岐用ミラー17により分岐して取り出されたレーザ光Lsのレベル(強さ)に応じた出力値を取り込むことができる。
【0036】
制御装置23は、メモリ23aを備えているとともに、このメモリ23aには、印字される文字等のマーキング情報が記憶されている。マーキング情報は、文字等を構成する各線分の始点及び終点の座標値、及びレーザ光Lの照射により形成される線分の太さ等の情報を含む。また、制御装置23は、レーザ発振器10、第1及び第2ガルバノモータ15X,15Y、シャッタ16、アパーチャ19にそれぞれ接続されている。制御装置23は、レーザ発振器10を制御してレーザ光Lを出射させる。また、制御装置23は、マーキング情報などに基づき第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yを駆動制御することでレーザ光Lを2次元的に走査し、加工対象物Wのマーキング面Waに文字等をマーキングする。制御装置23は、シャッタ16の開閉を制御する。制御装置23はアパーチャ19を制御することができるようになっている。
【0037】
また、制御装置23は、電気ケーブル6を介してコンソール7に接続されている。コンソール7は、設定機能と表示機能を有している。コンソール7には、レーザ発振器10から出射されているレーザ光Lの出力や、レーザマーキング装置1の設定情報を表示する表示部24が設けられている。
【0038】
また、コンソール7には、オペレータがレーザマーキング装置1の各種設定を行うため操作部25が設けられている。本実施形態のレーザマーキング装置1の操作部25には、レーザ光出力設定手段としてのレーザパワー設定器26、アパーチャ設定手段としてのアパーチャ径設定器27が備えられている。さらに、操作部25における図示しないキーを操作することにより、文字等のマーキング(レーザ加工)を行う際の設定情報(例えば、X軸及びY軸での原点位置や、マーキングする文字等の種類を入力することができる。また、操作部25のレーザパワー設定器26を操作することにより、レーザ加工に用いるレーザ光Lの出力を入力(設定)できる。即ち、加工対象物Wへのレーザ光の出力をレーザパワー設定器26により設定することができる。
【0039】
操作部25のアパーチャ径設定器27を操作することによりアパーチャ19の開口径φD(開口面積)を設定することができ、これによって受光素子18へのレーザ光の通過面積が設定される。即ち、アパーチャ設定手段としてのアパーチャ径設定器27によりアパーチャ19の開口面積を変更可能に設定することができるようになっている。アパーチャ径設定器27の操作に伴うアパーチャ19の開口径(開口面積)の設定は制御装置23により実行される。
【0040】
また、操作部25に設けられた図示しない印字スタートボタンにより、入力した設定情報(設定内容)でマーキング(レーザ加工)動作を開始させるようになっている。
コンソール7は、操作部25の操作により入力された設定情報を示す設定信号を制御装置23に出力するとともに、その設定情報を表示部24に表示させる。また、コンソール7は、印字スタートボタンの押下操作に基づき、加工開始指令信号を制御装置23に出力する。
【0041】
次に、レーザマーキング装置1の作用を、図3,4を用いて説明する。レーザマーキング装置1には、レーザ光Lの出力をモニタするためのモニタ機能と、設定されたレーザ出力となるように制御するオートパワー機能を有している。
【0042】
オペレータはコンソール7の操作部25のレーザパワー設定器26により加工対象物Wへのレーザ光の出力(パワー)を設定する。具体的には、加工対象物Wの材質等に応じたレーザ光の出力(パワー)を設定する。例えば、樹脂製加工対象物に対してはレーザ光の出力(パワー)を小さく設定し、ガラス製加工対象物に対してはレーザ光の出力(パワー)を大きく設定する。
【0043】
また、オペレータはコンソール7の操作部25のアパーチャ径設定器27によりアパーチャ19の開口径を設定する。詳しくは、加工対象物Wへのレーザ光の出力が大きいときにはアパーチャ19の開口径を小さくする。一方、加工対象物Wへのレーザ光の出力が小さいときにはアパーチャ19の開口径を大きくする。
【0044】
その後、コンソール7の印字スタートボタンが押下されると、制御装置23は、コンソール7から操作信号を入力して印字を開始する。そして、制御装置23は、レーザ発振器10を制御してレーザ光Lを出射させるとともに、メモリ23aに記憶した設定情報に基づき第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yを駆動制御し、加工対象物Wのマーキング面Waに文字等をマーキングする。
【0045】
また、制御装置23は、レーザ光Lの出力のモニタ(監視)を開始する。
具体的には、まず、制御装置23は、ヘッド4(A/D変換器22)から入力しているA/D変換器22の出力値(A/D変換値)をモニタ値として取得する。
【0046】
次に、制御装置23は、モニタ値に基づいてレーザ光Lの出力を取得するとともに、その取得した出力の表示を指示する信号をコンソール7に出力し、レーザ光Lの出力を表示部24に表示させる。なお、モニタ値に基づきレーザ光Lの出力を取得するには、例えば、モニタ値と、設定されたアパーチャ19の開口径と、設定されたレーザ光Lの出力を対応付けたマップデータにより取得したり、計算式により算出したりすればよい。
【0047】
次に、図3を用いて、制御装置23によるレーザ光Lの出力のモニタについて詳しく説明する。
図3のタイムチャートにおいて、最も上に、第1の加工対象物への「A」,「B」,「C」の印字期間、次の加工対象物である第2の加工対象物への「A」の印字期間を示す。つまり、t2〜t3の期間が第1の加工対象物への「A」の印字期間、t4〜t5の期間が第1の加工対象物への「B」の印字期間、t6〜t7の期間が第1の加工対象物への「C」の印字期間、t8〜t9の期間が第2の加工対象物への「A」の印字期間である。
【0048】
図3において、以下、順に、レーザ発振器10の出力状態、シャッタ16の開閉動作状態、アパーチャ19の開口面積、モニタ期間、受光素子18の受光量を示す。
レーザ発振器10の出力については、t1以後に所定の出力レベルでレーザ光を連続的に出力する。シャッタ16は、印字期間においては開いており、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8において閉じている。アパーチャ19の開口面積については、印字期間においては閉じており(開口面積=0)、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8において所定の開度(開口面積=D1)となっている。
【0049】
オペレータによりコンソール7の操作部25のアパーチャ径設定器27を用いてアパーチャ19の開口径が調整されている。詳しくは、通常はアパーチャ19の開口径を小さくして受光素子18の前段のアパーチャ19により迷光(反射光)の受光量を減らすことにより迷光の影響を受けにくくする。一方、レーザパワーの低いときはアパーチャ19の開口径を大きくすることにより受光素子18の受光量を大きくできる。つまり、低い出力(パワー)に設定されている場合には、アパーチャ19の開口径を大きくして光の減衰量を抑える。
【0050】
また、受光素子18での受光量が飽和しないように、高い出力(パワー)に設定されている場合には、アパーチャ19の開口径を小さくして光を大きく減衰する。
モニタ期間については、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8である。このモニタ期間において受光素子18において所定の受光量(Q1)となる。
【0051】
このようにして、レーザ発振器10から出力されるレーザ光における光路での分岐用ミラー17よりも下流側にシャッタ16が配置されている。また、受光素子18によるレーザ光の検出は、レーザ発振器10からのレーザ光の出力時におけるシャッタ16を閉じたときである。よって、加工対象物Wからの反射光の影響を受けにくくなる。また、シャッタ16を閉じた状態においてはシャッタ16からの反射光が迷光となるが、アパーチャ19の開口径を小さくすることによりシャッタ16からの反射光の影響を受けにくくなる。
【0052】
図4には、モニタした結果、レーザ発振器10の出力を補正する必要がある場合を示す。
図4において、t1のタイミングにおいて受光素子18の受光量が規定値(Q1)よりも所定量ΔQだけ低いと、制御装置23はレーザ発振器10を制御して出力をΔPだけ高くする。その結果、t11のタイミングで受光素子18の受光量が所定値(Q1)になる。
【0053】
このように、制御装置23は、レーザ加工期間において、モニタ値から取得されるレーザ光Lの出力が、コンソール7で設定した値と一致するようにレーザ発振器10を制御する。即ち、レーザ光出力調整手段としての制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の検出結果に基づいてレーザ発振器10のレーザ光の出力を調整する。このように構成すれば、環境変化といった外的要因が発生した場合であっても、決められた出力のレーザ光Lをレーザ発振器10から出力させることができる。
【0054】
また、異常信号出力手段としての制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の検出結果が規定値以下であるとき異常として異常検出信号を出力する。この異常検出信号によりコンソール7の表示部24において異常警報ランプの点灯等が行われる。例えば、レーザ発振器10の経年変化による劣化によりパワー不足となると、受光素子18によるレーザ光の検出結果が規定値以下となり、異常として警報する。
【0055】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ユーザがレーザ出力を設定できるとともにレーザパワーをモニタできるレーザマーキング装置において、受光素子18の前段に開口部を有するアパーチャ19を設け、アパーチャ径設定器27によりアパーチャ19の開口面積を変更可能に設定する構成とした。そして、高いパワーに設定されている場合には受光素子18での受光量が飽和しないようにアパーチャ19の開口径を小さくして光を大きく減衰し、低いパワーが設定されている場合にはアパーチャ19の開口径を大きくして光の減衰量を抑えるようにした。
【0056】
つまり、分岐用ミラー17と受光素子18との間のレーザ光の光路に設けられたアパーチャ19において、受光素子18へのレーザ光の通過面積を調整するように開口面積を調整可能となっている。そして、高いレーザ出力となっているときにはレーザ光が大きく減衰して受光素子18での受光量が飽和しないようにすることができる。また、低いレーザ出力となっているときにはレーザ光を多く通過させて受光素子18での受光量を大きくして外乱の影響を受けにくくすることができる。このようにして、レーザ光の出力を設定可能なレーザマーキング装置1においてレーザ光の一部を取り出して受光素子18を用いて検出する際に高精度に検出することができる。
【0057】
(2)アパーチャ19の開口面積は、アパーチャ径設定器27により設定されるので、自由にアパーチャ19の開口面積を設定することができる。
(3)制御装置23により受光素子18によるレーザ光の検出結果に基づいてレーザ発振器10のレーザ光の出力を調整することができる。
【0058】
(4)ヘッド4に分岐用ミラー17、受光素子18が配設されている。また、コントローラ2にレーザ発振器10、及びヘッド4に配設された制御対象機器としての第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yを制御する機器制御手段としての制御装置23が配設されている。レーザ発振器10から出力されたレーザ光は、ヘッド4とコントローラ2とを接続するファイバケーブル3によりヘッド4に伝送される。この構成により、レーザ発振器10をコントローラ2に配設するとともにレーザ光をファイバケーブル3でヘッド4へ伝送するため、ヘッド4を小型化できる。また、ヘッド4へ伝送されるレーザ光の出力が、ファイバケーブル3の設置状態(取り回し、例えば、ファイバケーブル3が長くなった場合やファイバケーブル3を曲げて使用した場合)の影響を受けて低下している場合であっても、ヘッド4に分岐用ミラー17及び受光素子18が配置されているので、加工対象物Wへのレーザ光の出力を正確にモニタすることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0059】
本実施形態では、第1の実施形態における図3に代わり、図5に示す動作が行われる。
図5において、レーザ発振器10の出力については、t1以後に所定の出力レベルでレーザ光を連続的に出力する。シャッタ16は、印字期間においては開いており、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8において閉じている。
【0060】
アパーチャ19の開口面積については、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8において所定の開度(開口面積=D1)となっている。また、印字期間においては所定の開度(開口面積=D2)となっている。開口面積D2は開口面積D1よりも小さい。
【0061】
好ましいモニタ期間は、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8である。このモニタ期間において受光素子18では所定の受光量(Q1)となる。モニタ期間として、印字期間t2〜t3、t4〜t5、t6〜t7、t8〜t9としてもよく、このモニタ期間において受光素子18では所定の受光量Q2(<Q1)となる。このように、印字中にモニタしてもよく、この場合、アパーチャ19の開口部を通った光が受光素子18に受光される。このとき、アパーチャ19の径を小さくすることにより正規の光軸からずれた迷光は受光素子18に至らず迷光の影響を受けにくくなる。即ち、加工対象物Wから反射された光が迷光となって戻ってきても、アパーチャ19の径を小さくすることによりアパーチャ19の開口部を通した光が受光素子18に至りにくくなる(反射光の影響を受けにくくできる)。これにより取り出したい光のみを取り出すことができる。
【0062】
このように、レーザ発振器10から出力されるレーザ光における光路での分岐用ミラー17よりも下流側にシャッタ16が配置され、受光素子18によるレーザ光の検出は、レーザ発振器10からのレーザ光の出力時におけるシャッタ16を開いたときである。よって、シャッタ16からの反射光の影響を受けにくくなる。また、印字中は加工対象物(ワーク)からの反射光が迷光となるが、アパーチャ19の開口径を小さくすることにより加工対象物(ワーク)からの反射光の影響を受けにくくなる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0063】
本実施形態では、第1の実施形態における図3に代わり、図6に示す動作が行われる。
図6において、レーザ発振器10の出力については、t1以後に所定の出力レベルでレーザ光を連続的に出力する。シャッタ16は、第1の加工対象物への印字開始のt2から終了のt7までの連続する期間においては開いており、第1の加工対象物への印字終了のt7から第2の加工対象物への印字開始のt8までは閉じている。
【0064】
アパーチャ19の開口面積については、t2〜t7においては閉じており(開口面積=0)、t1〜t2、t7〜t8において所定の開度(開口面積=D1)となっている。
モニタ期間については、t1〜t2、t7〜t8である。このモニタ期間において受光素子18において所定の受光量(Q1)となる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0065】
本実施形態においては、シャッタ16は設けられていない。また、本実施形態では、第1の実施形態における図3に代わり、図7に示す動作が行われる。
レーザ発振器10の出力については、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8では出力ゼロであり、印字する期間t2〜t3、t4〜t5、t6〜t7、t8〜t9においては所定の出力レベルでレーザ光を連続的に出力する。
【0066】
アパーチャ19の開口面積については、印字する期間と印字しない期間に関係なく所定の開度(開口面積=D1)となっている。
モニタ期間については、印字する期間であるt2〜t3、t4〜t5、t6〜t7、t8〜t9である。このモニタ期間において受光素子18において所定の受光量(Q1)となる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態を、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
本実施形態では、図8に示すように、一文字の印字の途中にモニタしている。
図8において、(a)に示すように「A」を印字するとき、まず(b)に示すように「Λ」を印字し、その後の(c)においてモニタし、その後の(d)において「−」を印字して「A」とする。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態を、第1〜第5の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
本実施形態においては、アパーチャ径設定器27は設けられていない。また、制御装置23は図9に示すマップを記憶している。図9において横軸はレーザ出力設定値をとり、縦軸はアパーチャ19の開口面積をとっている。特性線L1は、レーザ出力設定値が小さいとアパーチャ19の開口面積が大きく、レーザ出力設定値が大きくなるにしたがいアパーチャ19の開口面積が小さくなる特性線である。
【0069】
制御装置23は、コンソール7の操作部25のレーザパワー設定器26によるレーザ出力設定値を入力して、図9のマップ(特性線L1)を参照してアパーチャ19の開口面積を算出して、算出した開口面積となるようにアパーチャ19の開口径を調整する。即ち、アパーチャ19の径(開口面積)は、レーザパワー設定器26による加工対象物Wへのレーザ光の出力の設定値により設定される。つまり、アパーチャ設定手段としての制御装置23は、レーザ光出力設定手段としてのレーザパワー設定器26による加工対象物Wへのレーザ光の出力の設定値に応じてアパーチャ19の開口面積を変更する。
【0070】
これにより、加工対象物Wへのレーザ光の出力が大きいときにはアパーチャ19の開口径が小さくされ、加工対象物Wへのレーザ光の出力が小さいときにはアパーチャ19の開口径が大きくされる。
【0071】
以上のごとく本実施形態では、アパーチャ19の開口面積は、レーザパワー設定器26による加工対象物Wへのレーザ光の出力の設定値により設定されるので、自動的にアパーチャ19の開口面積を設定することができる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態を、第6の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
本実施形態では、図10に示す動作が行われる。
図11に示す受光素子の出力特性において、レーザ出力が少ないときには受光量も少ないので、SN比が大きくなる。そこで、本実施形態では、レーザ出力が少ないときには受光量を大きくすべくアパーチャ19の開口面積を大きくする。
【0073】
例えば、受光量がQ10と小さい場合にはアパーチャ19の開口面積を大きくして受光量をQ1と大きくして受光量をモニタする。
図10において、t1のタイミングでモニタする。このとき、アパーチャ19の開口面積(径)は小さな値(D10)となっている。制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の受光量が一定(図10ではQ1)となるようにアパーチャ19の開口面積を調整する。図10のt20のタイミングにおいて受光素子18の受光量(アパーチャの開口面積)が一定になる。
【0074】
このように、制御手段としての制御装置23は、レーザパワー設定器26によって設定されたレーザ光の出力値にかかわらず受光素子18によるレーザ光の受光量が一定となるようにアパーチャ19の径(開口面積)を調整する。
【0075】
このようにして、図10において、制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の受光量を増やすことにより受光素子18によるレーザ光の受光量が一定となるようにアパーチャ19の径(開口面積)を調整する。これにより、モニタ期間において受光量が大きい状態でのモニタを行うことができる。つまり、図11において、レーザ出力が少ないときにはアパーチャ19の開口面積を大きくすることによって受光量を大きくしてSN比の向上を図ることができる(SN比が大きくなるのを防止することができる)。
【0076】
また、図10のt1のタイミングで受光素子18の受光量が大きいと、制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の受光量を減らすことにより受光素子18によるレーザ光の受光量が一定となるようにアパーチャ19の径(開口面積)を調整するようにしてもよい。これにより、受光素子18における受光量の飽和領域に入るのを回避することができる。
【0077】
また、異常信号出力手段としての制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の受光量が一定とならないとき異常として異常検出信号を出力する。この異常検出信号によりコンソール7の表示部24において異常警報ランプの点灯等が行われる。例えば、レーザ発振器10の経年変化による劣化によりパワー不足となると、受光素子18によるレーザ光の受光量が低下する。これにより、その値以上に受光量が復帰できないので(目標値に一定にならないので)、異常として警報する。また、レーザ発振器10が異常発振している場合に目標値に収束させることができないので、異常として警報する。
【0078】
以上のごとく本実施形態においては、受光素子18の出力特性における好ましい受光領域を使用できるアパーチャ19の開口面積に調整することができる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0079】
・上記実施形態において、コントローラ2、ヘッド4、及びコンソール7のうち少なくとも2つを一体に形成したレーザ加工装置としてもよい。例えば、コントローラ2とヘッド4を一体に形成してもよく、全てを一体に形成してもよい。
【0080】
・上記実施形態において、第1オペアンプ20、及び第2オペアンプ21の何れかを省略してもよい。
・上記実施形態において、異なるレーザ加工装置に具体化してもよい。例えば、レーザ溶接機、レーザ穴あけ機、及びレーザ切断機などに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…レーザマーキング装置、2…コントローラ、3…ファイバケーブル、4…ヘッド、10…レーザ発振器、15X…第1ガルバノモータ、15Y…第2ガルバノモータ、16…シャッタ、17…分岐用ミラー、18…受光素子、19…アパーチャ、23…制御装置、26…レーザパワー設定器、27…アパーチャ径設定器、L…レーザ光、W…加工対象物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置においては、レーザ発振器から出力されたレーザ光を加工対象物に照射して加工する。このレーザ加工装置において加工対象物へのレーザ光の出力をモニタする機能が備わっている(例えば特許文献1)。特許文献1のモニタリング装置では、ヘッドにレーザ光測定部と光拡散板が設けられ、光ファイバの終端面から出たレーザ光の一部を、光拡散板を通してレーザ光測定部の受光面に入射して光強度を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−44739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーザ光の出力(パワー)はユーザにより任意に設定できるようになっており、加工対象物の種類等によりレーザ光の出力(パワー)が設定される。
この場合、レーザ光の一部を取り出して受光素子において強度を検出する際に、単に光を弱めるだけの部材を設けただけでは、図12に示すように、低いパワーに設定されている場合にはSN比が大きくなってしまう。また、高いパワーに設定されている場合には、受光素子における受光量の飽和領域に入ってしまい、正確に強度を検出することが難しくなる。
【0005】
本発明の目的は、レーザ光の出力を設定可能なレーザ加工装置においてレーザ光の一部を取り出して受光素子を用いて検出する際に高精度に検出することができるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、加工対象物に照射するためのレーザ光を出力するレーザ発振器と、前記レーザ光の光路に設けられ、前記レーザ光の一部を分岐して取り出すための分岐手段と、前記分岐手段により取り出されたレーザ光を検出する受光素子と、前記加工対象物への前記レーザ光の出力を設定するレーザ光出力設定手段と、前記分岐手段と前記受光素子との間のレーザ光の光路に設けられる開口部を有するアパーチャと、前記アパーチャの開口面積を変更可能に設定するアパーチャ設定手段と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、レーザ発振器から、加工対象物に照射するためのレーザ光が出力される。レーザ光の光路に設けられた分岐手段により、レーザ光の一部が分岐されて取り出される。分岐手段により取り出されたレーザ光が受光素子により検出される。ここで、分岐手段と受光素子との間のレーザ光の光路に設けられたアパーチャにおいて、アパーチャ設定手段により開口面積が変更可能に設定される。よって、高いレーザ出力となっているときにはレーザ光が大きく減衰して受光素子での受光量が飽和しないようにすることができる。また、低いレーザ出力となっているときにはレーザ光を多く通過させて受光素子での受光量を大きくして外乱の影響を受けにくくすることができる。
【0008】
このようにして、レーザ光の出力を設定可能なレーザ加工装置においてレーザ光の一部を取り出して受光素子を用いて検出する際に高精度に検出することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記アパーチャ設定手段は、前記レーザ光出力設定手段による前記加工対象物への前記レーザ光の出力の設定値に応じて前記アパーチャの開口面積を変更することを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、アパーチャ設定手段により、レーザ光出力設定手段による加工対象物へのレーザ光の出力の設定値に応じてアパーチャの開口面積を変更することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のレーザ加工装置において、前記受光素子によるレーザ光の検出結果に基づいて前記レーザ発振器のレーザ光の出力を調整するレーザ光出力調整手段を更に備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、受光素子によるレーザ光の検出結果に基づいてレーザ発振器のレーザ光の出力を調整することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記受光素子によるレーザ光の検出結果が規定値以下であるとき異常として異常検出信号を出力する異常信号出力手段を更に備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、異常信号出力手段により、受光素子によるレーザ光の検出結果が規定値以下であるとき異常として異常検出信号を出力することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ発振器から出力されるレーザ光における光路での前記分岐手段よりも下流側に配されたシャッタを更に備え、前記受光素子によるレーザ光の検出は、レーザ発振器からのレーザ光の出力時における前記シャッタを閉じたときであることを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、レーザ発振器からのレーザ光の出力時におけるシャッタを閉じたとき受光素子によるレーザ光の検出が行われるので、加工対象物からの反射光の影響を受けにくくなる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ発振器から出力されるレーザ光における光路での前記分岐手段よりも下流側に配されたシャッタを更に備え、前記受光素子によるレーザ光の検出は、レーザ発振器からのレーザ光の出力時における前記シャッタを開いたときであることを要旨とする。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、レーザ発振器からのレーザ光の出力時におけるシャッタを開いたとき受光素子によるレーザ光の検出が行われるので、シャッタからの反射光の影響を受けにくくなる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、請求項2に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ光出力設定手段によって設定されたレーザ光の出力値にかかわらず前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整する制御手段を更に備えたことを要旨とする。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、レーザ光出力設定手段によって設定されたレーザ光の出力値にかかわらず受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるようにアパーチャの開口面積が調整され、受光素子の出力特性における好ましい受光領域を使用できるアパーチャの開口面積に調整することができる。
【0018】
請求項8に記載のように、請求項7に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段は、前記受光素子によるレーザ光の受光量を増やすことにより前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整してよい。また、請求項9に記載のように、請求項7に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段は、前記受光素子によるレーザ光の受光量を減らすことにより前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整してもよい。
【0019】
請求項10に記載の発明では、請求項7〜9のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段において前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定とならないとき異常として異常検出信号を出力する異常信号出力手段を更に備えたことを要旨とする。
【0020】
請求項10に記載の発明によれば、異常信号出力手段により、制御手段において受光素子によるレーザ光の受光量が一定とならないとき異常として異常検出信号を出力することができる。
【0021】
請求項11に記載の発明では、請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、ヘッド部に前記分岐手段、前記受光素子が配設されるとともに、本体部に前記レーザ発振器、及び前記ヘッド部に配設された制御対象機器を制御する機器制御手段が配設され、前記レーザ発振器から出力されたレーザ光は、前記ヘッド部と前記本体部とを接続する光ファイバにより前記ヘッド部に伝送されることを要旨とする。
【0022】
請求項11に記載の発明によれば、レーザ発振器を本体部に配設するとともにレーザ光を光ファイバでヘッド部へ伝送するため、ヘッド部を小型化できる。そして、ヘッド部へ伝送されるレーザ光の出力が、光ファイバの設置状態(取り回し)の影響を受けて低下している場合であっても、レーザ光の出力を正確にモニタすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、レーザ光の出力を設定可能なレーザ加工装置においてレーザ光の一部を取り出して受光素子を用いて検出する際に高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態におけるレーザマーキング装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】レーザマーキング装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図4】第1の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図5】第2の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図6】第3の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図7】第4の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図8】(a),(b),(c),(d)は、第5の実施形態の作用を説明するための説明図。
【図9】第6の実施形態を説明するためのマップ。
【図10】第7の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図11】第7の実施形態の作用を説明するための受光素子の出力特性図。
【図12】受光素子の出力特性図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明をレーザマーキング装置に具体化した一実施形態を図面にしたがって説明する。
【0026】
図1に示すように、レーザ加工装置としてのレーザマーキング装置1は、レーザ光Lを出射(出力)するための本体部としてのコントローラ2を備えている。コントローラ2には、光ファイバからなるファイバケーブル3を介してヘッド部としてのヘッド4が接続されている。また、コントローラ2には、電気ケーブル5を介してヘッド4が接続されているとともに、コントローラ2には、電気ケーブル6を介してコンソール7が接続されている。そして、レーザマーキング装置1は、載置台8に載置された加工対象物Wのマーキング面Wa上に所望の文字、図形、記号(以下、文字等という)をマーキング(レーザ加工)するようになっている。
【0027】
ヘッド4の下面には、レーザ光Lが出射される窓部9が形成されている。そして、ヘッド4は、窓部9が加工対象物Wのマーキング面Waと対向するように配置される。
図2に示すように、コントローラ2は、レーザ発振器10(例えば、ファイバレーザ発振器)を備え、レーザ発振器10から加工対象物Wに照射するためのレーザ光Lが出力される。レーザ発振器10から出射されたレーザ光Lは、ファイバケーブル3に送られ、ファイバケーブル3を通してヘッド4に送られる(伝送される)。図1に示すように、ヘッド4においてファイバケーブル3の一端(ヘッド側端)は、ビームエキスパンダ収納部11に接続されている。ヘッド4とコントローラ2とは、ファイバケーブル3、及び電気ケーブル5の一端(ヘッド側端)をヘッド4から取り外すことで接続状態を容易に解除できる。即ち、ヘッド4は、コントローラ2に対して着脱可能に構成されている。ビームエキスパンダ収納部11には、ビームエキスパンダ12(図2参照)が収納されており、ファイバケーブル3からのレーザ光Lがビームエキスパンダ12に送られる。
【0028】
図2に示すように、ヘッド4において、レーザ光Lの光路途中には、レーザ発振器10側から順に、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yと、集光レンズ14が配設されている。そして、ビームエキスパンダ12からのレーザ光Lは、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yに入射される。
【0029】
第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yは、それぞれ対応する第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yに対し、第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yの駆動により回動可能に連結されている。第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yは、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yを互いに略直交する軸を中心としてそれぞれ回動させるようになっている。そして、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yは、ビームエキスパンダ12からのレーザ光Lを反射し、その出射方向を変更させるようになっている。具体的には、第1ガルバノミラー13Xは、回動して加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lを、そのマーキング面Waの一方向(X方向、図1参照)に走査させるようになっている。また、第2ガルバノミラー13Yは、回動して加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lを、そのマーキング面WaのX方向に対して直交する方向(Y方向、図1参照)に走査させるようになっている。したがって、加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lは、第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yにより、加工対象物Wのマーキング面Waに対して、X方向及びY方向に走査されるようになっている。
【0030】
ヘッド4において、レーザ光Lの光路上におけるビームエキスパンダ12と第1及び第2ガルバノミラー13X,13Yとの間にはシャッタ16が設けられている。シャッタ16は、遮蔽状態(位置)と非遮蔽状態(位置)に切り替えられる。遮蔽状態(位置)ではレーザ光Lが加工対象物Wに向けて照射されず、非遮蔽状態(位置)ではレーザ光Lを加工対象物Wに照射させることができる。
【0031】
また、ヘッド4において、レーザ光Lの光路上におけるビームエキスパンダ12とシャッタ16との間には、レーザ光Lの一部(例えば1〜2%)を分岐して取り出すための分岐用ミラー17が設けられている。本実施形態では、分岐用ミラー17が分岐手段となる。分岐用ミラー17により取り出されたレーザ光Lsは、受光素子18に送られる。受光素子18は、分岐用ミラー17により取り出されたレーザ光Lsを検出する。即ち、受光したレーザ光Lsの出力(強度)のレベル(高さ)に応じた電気信号を出力し、光電変換を行う。受光素子としてフォトダイオード、フォトディテクタを挙げることができる。
【0032】
分岐用ミラー17と受光素子18との間のレーザ光の光路にはアパーチャ19が設けられ、アパーチャ19は開口部を有している。これにより、分岐用ミラー17により取り出したレーザ光Lsを減衰させて受光素子18に受光させる。アパーチャ19は開口径φD、即ち、受光素子18へのレーザ光の通過面積を調整するように開口面積を変更可能となっている。そして、アパーチャ19の開口径φD(開口面積)は、後記するアパーチャ径設定器27により設定されるようになっている。
【0033】
受光素子18には、第1オペアンプ20が接続されているとともに、第1オペアンプ20には、第2オペアンプ21が接続されている。第1オペアンプ20は、受光素子18から入力した光電変換後の電気信号を増幅して出力する。第2オペアンプ21は、第1オペアンプ20が出力した電気信号を増幅して出力する。
【0034】
第2オペアンプ21には、A/D変換器22が接続されている。A/D変換器22は、第2オペアンプ21が出力する増幅後の電気信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。A/D変換器22は、電気ケーブル5を介してコントローラ2に接続されている。
【0035】
コントローラ2には、前述のレーザ発振器10に加えて、レーザマーキング装置1の動作を統括的に制御するための制御装置23が設けられている。この制御装置23は、A/D変換器22と電気ケーブル5を介して接続されており、A/D変換器22が出力するデジタル信号を入力する。したがって、制御装置23は、分岐用ミラー17により分岐して取り出されたレーザ光Lsのレベル(強さ)に応じた出力値を取り込むことができる。
【0036】
制御装置23は、メモリ23aを備えているとともに、このメモリ23aには、印字される文字等のマーキング情報が記憶されている。マーキング情報は、文字等を構成する各線分の始点及び終点の座標値、及びレーザ光Lの照射により形成される線分の太さ等の情報を含む。また、制御装置23は、レーザ発振器10、第1及び第2ガルバノモータ15X,15Y、シャッタ16、アパーチャ19にそれぞれ接続されている。制御装置23は、レーザ発振器10を制御してレーザ光Lを出射させる。また、制御装置23は、マーキング情報などに基づき第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yを駆動制御することでレーザ光Lを2次元的に走査し、加工対象物Wのマーキング面Waに文字等をマーキングする。制御装置23は、シャッタ16の開閉を制御する。制御装置23はアパーチャ19を制御することができるようになっている。
【0037】
また、制御装置23は、電気ケーブル6を介してコンソール7に接続されている。コンソール7は、設定機能と表示機能を有している。コンソール7には、レーザ発振器10から出射されているレーザ光Lの出力や、レーザマーキング装置1の設定情報を表示する表示部24が設けられている。
【0038】
また、コンソール7には、オペレータがレーザマーキング装置1の各種設定を行うため操作部25が設けられている。本実施形態のレーザマーキング装置1の操作部25には、レーザ光出力設定手段としてのレーザパワー設定器26、アパーチャ設定手段としてのアパーチャ径設定器27が備えられている。さらに、操作部25における図示しないキーを操作することにより、文字等のマーキング(レーザ加工)を行う際の設定情報(例えば、X軸及びY軸での原点位置や、マーキングする文字等の種類を入力することができる。また、操作部25のレーザパワー設定器26を操作することにより、レーザ加工に用いるレーザ光Lの出力を入力(設定)できる。即ち、加工対象物Wへのレーザ光の出力をレーザパワー設定器26により設定することができる。
【0039】
操作部25のアパーチャ径設定器27を操作することによりアパーチャ19の開口径φD(開口面積)を設定することができ、これによって受光素子18へのレーザ光の通過面積が設定される。即ち、アパーチャ設定手段としてのアパーチャ径設定器27によりアパーチャ19の開口面積を変更可能に設定することができるようになっている。アパーチャ径設定器27の操作に伴うアパーチャ19の開口径(開口面積)の設定は制御装置23により実行される。
【0040】
また、操作部25に設けられた図示しない印字スタートボタンにより、入力した設定情報(設定内容)でマーキング(レーザ加工)動作を開始させるようになっている。
コンソール7は、操作部25の操作により入力された設定情報を示す設定信号を制御装置23に出力するとともに、その設定情報を表示部24に表示させる。また、コンソール7は、印字スタートボタンの押下操作に基づき、加工開始指令信号を制御装置23に出力する。
【0041】
次に、レーザマーキング装置1の作用を、図3,4を用いて説明する。レーザマーキング装置1には、レーザ光Lの出力をモニタするためのモニタ機能と、設定されたレーザ出力となるように制御するオートパワー機能を有している。
【0042】
オペレータはコンソール7の操作部25のレーザパワー設定器26により加工対象物Wへのレーザ光の出力(パワー)を設定する。具体的には、加工対象物Wの材質等に応じたレーザ光の出力(パワー)を設定する。例えば、樹脂製加工対象物に対してはレーザ光の出力(パワー)を小さく設定し、ガラス製加工対象物に対してはレーザ光の出力(パワー)を大きく設定する。
【0043】
また、オペレータはコンソール7の操作部25のアパーチャ径設定器27によりアパーチャ19の開口径を設定する。詳しくは、加工対象物Wへのレーザ光の出力が大きいときにはアパーチャ19の開口径を小さくする。一方、加工対象物Wへのレーザ光の出力が小さいときにはアパーチャ19の開口径を大きくする。
【0044】
その後、コンソール7の印字スタートボタンが押下されると、制御装置23は、コンソール7から操作信号を入力して印字を開始する。そして、制御装置23は、レーザ発振器10を制御してレーザ光Lを出射させるとともに、メモリ23aに記憶した設定情報に基づき第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yを駆動制御し、加工対象物Wのマーキング面Waに文字等をマーキングする。
【0045】
また、制御装置23は、レーザ光Lの出力のモニタ(監視)を開始する。
具体的には、まず、制御装置23は、ヘッド4(A/D変換器22)から入力しているA/D変換器22の出力値(A/D変換値)をモニタ値として取得する。
【0046】
次に、制御装置23は、モニタ値に基づいてレーザ光Lの出力を取得するとともに、その取得した出力の表示を指示する信号をコンソール7に出力し、レーザ光Lの出力を表示部24に表示させる。なお、モニタ値に基づきレーザ光Lの出力を取得するには、例えば、モニタ値と、設定されたアパーチャ19の開口径と、設定されたレーザ光Lの出力を対応付けたマップデータにより取得したり、計算式により算出したりすればよい。
【0047】
次に、図3を用いて、制御装置23によるレーザ光Lの出力のモニタについて詳しく説明する。
図3のタイムチャートにおいて、最も上に、第1の加工対象物への「A」,「B」,「C」の印字期間、次の加工対象物である第2の加工対象物への「A」の印字期間を示す。つまり、t2〜t3の期間が第1の加工対象物への「A」の印字期間、t4〜t5の期間が第1の加工対象物への「B」の印字期間、t6〜t7の期間が第1の加工対象物への「C」の印字期間、t8〜t9の期間が第2の加工対象物への「A」の印字期間である。
【0048】
図3において、以下、順に、レーザ発振器10の出力状態、シャッタ16の開閉動作状態、アパーチャ19の開口面積、モニタ期間、受光素子18の受光量を示す。
レーザ発振器10の出力については、t1以後に所定の出力レベルでレーザ光を連続的に出力する。シャッタ16は、印字期間においては開いており、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8において閉じている。アパーチャ19の開口面積については、印字期間においては閉じており(開口面積=0)、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8において所定の開度(開口面積=D1)となっている。
【0049】
オペレータによりコンソール7の操作部25のアパーチャ径設定器27を用いてアパーチャ19の開口径が調整されている。詳しくは、通常はアパーチャ19の開口径を小さくして受光素子18の前段のアパーチャ19により迷光(反射光)の受光量を減らすことにより迷光の影響を受けにくくする。一方、レーザパワーの低いときはアパーチャ19の開口径を大きくすることにより受光素子18の受光量を大きくできる。つまり、低い出力(パワー)に設定されている場合には、アパーチャ19の開口径を大きくして光の減衰量を抑える。
【0050】
また、受光素子18での受光量が飽和しないように、高い出力(パワー)に設定されている場合には、アパーチャ19の開口径を小さくして光を大きく減衰する。
モニタ期間については、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8である。このモニタ期間において受光素子18において所定の受光量(Q1)となる。
【0051】
このようにして、レーザ発振器10から出力されるレーザ光における光路での分岐用ミラー17よりも下流側にシャッタ16が配置されている。また、受光素子18によるレーザ光の検出は、レーザ発振器10からのレーザ光の出力時におけるシャッタ16を閉じたときである。よって、加工対象物Wからの反射光の影響を受けにくくなる。また、シャッタ16を閉じた状態においてはシャッタ16からの反射光が迷光となるが、アパーチャ19の開口径を小さくすることによりシャッタ16からの反射光の影響を受けにくくなる。
【0052】
図4には、モニタした結果、レーザ発振器10の出力を補正する必要がある場合を示す。
図4において、t1のタイミングにおいて受光素子18の受光量が規定値(Q1)よりも所定量ΔQだけ低いと、制御装置23はレーザ発振器10を制御して出力をΔPだけ高くする。その結果、t11のタイミングで受光素子18の受光量が所定値(Q1)になる。
【0053】
このように、制御装置23は、レーザ加工期間において、モニタ値から取得されるレーザ光Lの出力が、コンソール7で設定した値と一致するようにレーザ発振器10を制御する。即ち、レーザ光出力調整手段としての制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の検出結果に基づいてレーザ発振器10のレーザ光の出力を調整する。このように構成すれば、環境変化といった外的要因が発生した場合であっても、決められた出力のレーザ光Lをレーザ発振器10から出力させることができる。
【0054】
また、異常信号出力手段としての制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の検出結果が規定値以下であるとき異常として異常検出信号を出力する。この異常検出信号によりコンソール7の表示部24において異常警報ランプの点灯等が行われる。例えば、レーザ発振器10の経年変化による劣化によりパワー不足となると、受光素子18によるレーザ光の検出結果が規定値以下となり、異常として警報する。
【0055】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ユーザがレーザ出力を設定できるとともにレーザパワーをモニタできるレーザマーキング装置において、受光素子18の前段に開口部を有するアパーチャ19を設け、アパーチャ径設定器27によりアパーチャ19の開口面積を変更可能に設定する構成とした。そして、高いパワーに設定されている場合には受光素子18での受光量が飽和しないようにアパーチャ19の開口径を小さくして光を大きく減衰し、低いパワーが設定されている場合にはアパーチャ19の開口径を大きくして光の減衰量を抑えるようにした。
【0056】
つまり、分岐用ミラー17と受光素子18との間のレーザ光の光路に設けられたアパーチャ19において、受光素子18へのレーザ光の通過面積を調整するように開口面積を調整可能となっている。そして、高いレーザ出力となっているときにはレーザ光が大きく減衰して受光素子18での受光量が飽和しないようにすることができる。また、低いレーザ出力となっているときにはレーザ光を多く通過させて受光素子18での受光量を大きくして外乱の影響を受けにくくすることができる。このようにして、レーザ光の出力を設定可能なレーザマーキング装置1においてレーザ光の一部を取り出して受光素子18を用いて検出する際に高精度に検出することができる。
【0057】
(2)アパーチャ19の開口面積は、アパーチャ径設定器27により設定されるので、自由にアパーチャ19の開口面積を設定することができる。
(3)制御装置23により受光素子18によるレーザ光の検出結果に基づいてレーザ発振器10のレーザ光の出力を調整することができる。
【0058】
(4)ヘッド4に分岐用ミラー17、受光素子18が配設されている。また、コントローラ2にレーザ発振器10、及びヘッド4に配設された制御対象機器としての第1及び第2ガルバノモータ15X,15Yを制御する機器制御手段としての制御装置23が配設されている。レーザ発振器10から出力されたレーザ光は、ヘッド4とコントローラ2とを接続するファイバケーブル3によりヘッド4に伝送される。この構成により、レーザ発振器10をコントローラ2に配設するとともにレーザ光をファイバケーブル3でヘッド4へ伝送するため、ヘッド4を小型化できる。また、ヘッド4へ伝送されるレーザ光の出力が、ファイバケーブル3の設置状態(取り回し、例えば、ファイバケーブル3が長くなった場合やファイバケーブル3を曲げて使用した場合)の影響を受けて低下している場合であっても、ヘッド4に分岐用ミラー17及び受光素子18が配置されているので、加工対象物Wへのレーザ光の出力を正確にモニタすることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0059】
本実施形態では、第1の実施形態における図3に代わり、図5に示す動作が行われる。
図5において、レーザ発振器10の出力については、t1以後に所定の出力レベルでレーザ光を連続的に出力する。シャッタ16は、印字期間においては開いており、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8において閉じている。
【0060】
アパーチャ19の開口面積については、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8において所定の開度(開口面積=D1)となっている。また、印字期間においては所定の開度(開口面積=D2)となっている。開口面積D2は開口面積D1よりも小さい。
【0061】
好ましいモニタ期間は、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8である。このモニタ期間において受光素子18では所定の受光量(Q1)となる。モニタ期間として、印字期間t2〜t3、t4〜t5、t6〜t7、t8〜t9としてもよく、このモニタ期間において受光素子18では所定の受光量Q2(<Q1)となる。このように、印字中にモニタしてもよく、この場合、アパーチャ19の開口部を通った光が受光素子18に受光される。このとき、アパーチャ19の径を小さくすることにより正規の光軸からずれた迷光は受光素子18に至らず迷光の影響を受けにくくなる。即ち、加工対象物Wから反射された光が迷光となって戻ってきても、アパーチャ19の径を小さくすることによりアパーチャ19の開口部を通した光が受光素子18に至りにくくなる(反射光の影響を受けにくくできる)。これにより取り出したい光のみを取り出すことができる。
【0062】
このように、レーザ発振器10から出力されるレーザ光における光路での分岐用ミラー17よりも下流側にシャッタ16が配置され、受光素子18によるレーザ光の検出は、レーザ発振器10からのレーザ光の出力時におけるシャッタ16を開いたときである。よって、シャッタ16からの反射光の影響を受けにくくなる。また、印字中は加工対象物(ワーク)からの反射光が迷光となるが、アパーチャ19の開口径を小さくすることにより加工対象物(ワーク)からの反射光の影響を受けにくくなる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0063】
本実施形態では、第1の実施形態における図3に代わり、図6に示す動作が行われる。
図6において、レーザ発振器10の出力については、t1以後に所定の出力レベルでレーザ光を連続的に出力する。シャッタ16は、第1の加工対象物への印字開始のt2から終了のt7までの連続する期間においては開いており、第1の加工対象物への印字終了のt7から第2の加工対象物への印字開始のt8までは閉じている。
【0064】
アパーチャ19の開口面積については、t2〜t7においては閉じており(開口面積=0)、t1〜t2、t7〜t8において所定の開度(開口面積=D1)となっている。
モニタ期間については、t1〜t2、t7〜t8である。このモニタ期間において受光素子18において所定の受光量(Q1)となる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0065】
本実施形態においては、シャッタ16は設けられていない。また、本実施形態では、第1の実施形態における図3に代わり、図7に示す動作が行われる。
レーザ発振器10の出力については、印字しない期間であるt1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8では出力ゼロであり、印字する期間t2〜t3、t4〜t5、t6〜t7、t8〜t9においては所定の出力レベルでレーザ光を連続的に出力する。
【0066】
アパーチャ19の開口面積については、印字する期間と印字しない期間に関係なく所定の開度(開口面積=D1)となっている。
モニタ期間については、印字する期間であるt2〜t3、t4〜t5、t6〜t7、t8〜t9である。このモニタ期間において受光素子18において所定の受光量(Q1)となる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態を、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
本実施形態では、図8に示すように、一文字の印字の途中にモニタしている。
図8において、(a)に示すように「A」を印字するとき、まず(b)に示すように「Λ」を印字し、その後の(c)においてモニタし、その後の(d)において「−」を印字して「A」とする。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態を、第1〜第5の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
本実施形態においては、アパーチャ径設定器27は設けられていない。また、制御装置23は図9に示すマップを記憶している。図9において横軸はレーザ出力設定値をとり、縦軸はアパーチャ19の開口面積をとっている。特性線L1は、レーザ出力設定値が小さいとアパーチャ19の開口面積が大きく、レーザ出力設定値が大きくなるにしたがいアパーチャ19の開口面積が小さくなる特性線である。
【0069】
制御装置23は、コンソール7の操作部25のレーザパワー設定器26によるレーザ出力設定値を入力して、図9のマップ(特性線L1)を参照してアパーチャ19の開口面積を算出して、算出した開口面積となるようにアパーチャ19の開口径を調整する。即ち、アパーチャ19の径(開口面積)は、レーザパワー設定器26による加工対象物Wへのレーザ光の出力の設定値により設定される。つまり、アパーチャ設定手段としての制御装置23は、レーザ光出力設定手段としてのレーザパワー設定器26による加工対象物Wへのレーザ光の出力の設定値に応じてアパーチャ19の開口面積を変更する。
【0070】
これにより、加工対象物Wへのレーザ光の出力が大きいときにはアパーチャ19の開口径が小さくされ、加工対象物Wへのレーザ光の出力が小さいときにはアパーチャ19の開口径が大きくされる。
【0071】
以上のごとく本実施形態では、アパーチャ19の開口面積は、レーザパワー設定器26による加工対象物Wへのレーザ光の出力の設定値により設定されるので、自動的にアパーチャ19の開口面積を設定することができる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態を、第6の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
本実施形態では、図10に示す動作が行われる。
図11に示す受光素子の出力特性において、レーザ出力が少ないときには受光量も少ないので、SN比が大きくなる。そこで、本実施形態では、レーザ出力が少ないときには受光量を大きくすべくアパーチャ19の開口面積を大きくする。
【0073】
例えば、受光量がQ10と小さい場合にはアパーチャ19の開口面積を大きくして受光量をQ1と大きくして受光量をモニタする。
図10において、t1のタイミングでモニタする。このとき、アパーチャ19の開口面積(径)は小さな値(D10)となっている。制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の受光量が一定(図10ではQ1)となるようにアパーチャ19の開口面積を調整する。図10のt20のタイミングにおいて受光素子18の受光量(アパーチャの開口面積)が一定になる。
【0074】
このように、制御手段としての制御装置23は、レーザパワー設定器26によって設定されたレーザ光の出力値にかかわらず受光素子18によるレーザ光の受光量が一定となるようにアパーチャ19の径(開口面積)を調整する。
【0075】
このようにして、図10において、制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の受光量を増やすことにより受光素子18によるレーザ光の受光量が一定となるようにアパーチャ19の径(開口面積)を調整する。これにより、モニタ期間において受光量が大きい状態でのモニタを行うことができる。つまり、図11において、レーザ出力が少ないときにはアパーチャ19の開口面積を大きくすることによって受光量を大きくしてSN比の向上を図ることができる(SN比が大きくなるのを防止することができる)。
【0076】
また、図10のt1のタイミングで受光素子18の受光量が大きいと、制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の受光量を減らすことにより受光素子18によるレーザ光の受光量が一定となるようにアパーチャ19の径(開口面積)を調整するようにしてもよい。これにより、受光素子18における受光量の飽和領域に入るのを回避することができる。
【0077】
また、異常信号出力手段としての制御装置23は、受光素子18によるレーザ光の受光量が一定とならないとき異常として異常検出信号を出力する。この異常検出信号によりコンソール7の表示部24において異常警報ランプの点灯等が行われる。例えば、レーザ発振器10の経年変化による劣化によりパワー不足となると、受光素子18によるレーザ光の受光量が低下する。これにより、その値以上に受光量が復帰できないので(目標値に一定にならないので)、異常として警報する。また、レーザ発振器10が異常発振している場合に目標値に収束させることができないので、異常として警報する。
【0078】
以上のごとく本実施形態においては、受光素子18の出力特性における好ましい受光領域を使用できるアパーチャ19の開口面積に調整することができる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0079】
・上記実施形態において、コントローラ2、ヘッド4、及びコンソール7のうち少なくとも2つを一体に形成したレーザ加工装置としてもよい。例えば、コントローラ2とヘッド4を一体に形成してもよく、全てを一体に形成してもよい。
【0080】
・上記実施形態において、第1オペアンプ20、及び第2オペアンプ21の何れかを省略してもよい。
・上記実施形態において、異なるレーザ加工装置に具体化してもよい。例えば、レーザ溶接機、レーザ穴あけ機、及びレーザ切断機などに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…レーザマーキング装置、2…コントローラ、3…ファイバケーブル、4…ヘッド、10…レーザ発振器、15X…第1ガルバノモータ、15Y…第2ガルバノモータ、16…シャッタ、17…分岐用ミラー、18…受光素子、19…アパーチャ、23…制御装置、26…レーザパワー設定器、27…アパーチャ径設定器、L…レーザ光、W…加工対象物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物に照射するためのレーザ光を出力するレーザ発振器と、
前記レーザ光の光路に設けられ、前記レーザ光の一部を分岐して取り出すための分岐手段と、
前記分岐手段により取り出されたレーザ光を検出する受光素子と、
前記加工対象物への前記レーザ光の出力を設定するレーザ光出力設定手段と、
前記分岐手段と前記受光素子との間のレーザ光の光路に設けられる開口部を有するアパーチャと、
前記アパーチャの開口面積を変更可能に設定するアパーチャ設定手段と、
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記アパーチャ設定手段は、前記レーザ光出力設定手段による前記加工対象物への前記レーザ光の出力の設定値に応じて前記アパーチャの開口面積を変更することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記受光素子によるレーザ光の検出結果に基づいて前記レーザ発振器のレーザ光の出力を調整するレーザ光出力調整手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記受光素子によるレーザ光の検出結果が規定値以下であるとき異常として異常検出信号を出力する異常信号出力手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記レーザ発振器から出力されるレーザ光における光路での前記分岐手段よりも下流側に配されたシャッタを更に備え、
前記受光素子によるレーザ光の検出は、レーザ発振器からのレーザ光の出力時における前記シャッタを閉じたときであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記レーザ発振器から出力されるレーザ光における光路での前記分岐手段よりも下流側に配されたシャッタを更に備え、
前記受光素子によるレーザ光の検出は、レーザ発振器からのレーザ光の出力時における前記シャッタを開いたときであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記レーザ光出力設定手段によって設定されたレーザ光の出力値にかかわらず前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整する制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記受光素子によるレーザ光の受光量を増やすことにより前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整することを特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記受光素子によるレーザ光の受光量を減らすことにより前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整することを特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記制御手段において前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定とならないとき異常として異常検出信号を出力する異常信号出力手段を更に備えたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
ヘッド部に前記分岐手段、前記受光素子が配設されるとともに、
本体部に前記レーザ発振器、及び前記ヘッド部に配設された制御対象機器を制御する機器制御手段が配設され、
前記レーザ発振器から出力されたレーザ光は、前記ヘッド部と前記本体部とを接続する光ファイバにより前記ヘッド部に伝送されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項1】
加工対象物に照射するためのレーザ光を出力するレーザ発振器と、
前記レーザ光の光路に設けられ、前記レーザ光の一部を分岐して取り出すための分岐手段と、
前記分岐手段により取り出されたレーザ光を検出する受光素子と、
前記加工対象物への前記レーザ光の出力を設定するレーザ光出力設定手段と、
前記分岐手段と前記受光素子との間のレーザ光の光路に設けられる開口部を有するアパーチャと、
前記アパーチャの開口面積を変更可能に設定するアパーチャ設定手段と、
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記アパーチャ設定手段は、前記レーザ光出力設定手段による前記加工対象物への前記レーザ光の出力の設定値に応じて前記アパーチャの開口面積を変更することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記受光素子によるレーザ光の検出結果に基づいて前記レーザ発振器のレーザ光の出力を調整するレーザ光出力調整手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記受光素子によるレーザ光の検出結果が規定値以下であるとき異常として異常検出信号を出力する異常信号出力手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記レーザ発振器から出力されるレーザ光における光路での前記分岐手段よりも下流側に配されたシャッタを更に備え、
前記受光素子によるレーザ光の検出は、レーザ発振器からのレーザ光の出力時における前記シャッタを閉じたときであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記レーザ発振器から出力されるレーザ光における光路での前記分岐手段よりも下流側に配されたシャッタを更に備え、
前記受光素子によるレーザ光の検出は、レーザ発振器からのレーザ光の出力時における前記シャッタを開いたときであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記レーザ光出力設定手段によって設定されたレーザ光の出力値にかかわらず前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整する制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記受光素子によるレーザ光の受光量を増やすことにより前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整することを特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記受光素子によるレーザ光の受光量を減らすことにより前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定となるように前記アパーチャの開口面積を調整することを特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記制御手段において前記受光素子によるレーザ光の受光量が一定とならないとき異常として異常検出信号を出力する異常信号出力手段を更に備えたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
ヘッド部に前記分岐手段、前記受光素子が配設されるとともに、
本体部に前記レーザ発振器、及び前記ヘッド部に配設された制御対象機器を制御する機器制御手段が配設され、
前記レーザ発振器から出力されたレーザ光は、前記ヘッド部と前記本体部とを接続する光ファイバにより前記ヘッド部に伝送されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−96256(P2012−96256A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244729(P2010−244729)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
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