説明

レーザ溶着用樹脂組成物及び成形品

【課題】 耐アルカリ性及びレーザ溶着性に優れるポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 レーザ溶着用樹脂組成物を、PBT系樹脂と、このPBT系樹脂100重量部に対して、1〜20重量部のポリオレフィン変性ポリシロキサンと、5〜50重量部のポリエチレンテレフタレート系樹脂と、10〜40重量部のスチレン系成分含有エラストマーとで構成する。ポリオレフィン変性ポリシロキサンは、ポリオルガノシロキサンと、このポリオルガノシロキサンに対してグラフトしたオレフィン系樹脂とで構成してもよい。前記エラストマーは、スチレン系エラストマー、スチレン系成分を含むオレフィン系エラストマーなどであってもよい。前記樹脂組成物は、さらに充填材又は補強材を含有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐アルカリ性及びレーザ溶着性に優れるポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物、及びそれを用いた成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械的特性、及び成形加工性などの種々の特性に優れるため、多くの用途、例えば、エンジニアリングプラスチックとして、自動車、電気・電子機器等をはじめとして広範な用途に利用されている。具体的な用途としては、各種自動車用電装部品(各種コントロールユニット、各種センサー、イグニッションコイルなど)、コネクター類、スイッチ部品、リレー部品、コイル部品などが挙げられる。
【0003】
しかし、PBT系樹脂は、アルカリ溶液に対する長期耐久性が比較的低く、使用環境や使用用途が限られている。例えば、樹脂成形品の用途によっては、トイレ用洗浄剤、浴室用洗浄剤、漂白剤、融雪剤などの薬剤との接触下で使用される場合がある。そして、このような薬剤は、構成成分として水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、塩化カルシウムなどを含む。そのため、樹脂成形品はアルカリ雰囲気下に(場合によっては高い頻度で繰り返し)曝されることになる。特に、樹脂成形品に、ネジ締め、金属圧入、かしめなどにより過大な歪がかかった状態で、上記のようなアルカリ雰囲気下に長時間又は頻繁に曝されると、歪とアルカリ成分との双方の影響で、いわゆる環境応力割れを起こし、成形品にクラックが発生する。
【0004】
そこで、耐アルカリ性が改善されたPBT系樹脂組成物も検討されている。特開2002−356611号公報(特許文献1)には、(A)ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体を含むポリブチレンテレフタレート系樹脂30〜95重量部、(B)ポリカーボネート樹脂1〜30重量部、(C)エラストマー1〜30重量部、(D)繊維状強化材3〜60重量部からなり、前記(A)〜(D)の合計量が100重量部であるポリエステル系樹脂組成物が耐アルカリ性に優れることが開示されている。しかし、上記の組成物では、ウエルド部におけるクラックの発生はある程度低減できるものの、PBTよりも耐アルカリ性に劣るポリカーボネート系樹脂を含有するため、耐アルカリ性が不十分である。また、国際公開WO00/078867号公報(特許文献2)には、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂、(B)耐衝撃性付与剤1〜25重量%、(C)シリコーン系化合物及び/又はフッ素系化合物0.1〜15重量%、(D)無機充填材1〜50重量%及び(E)エポキシ化合物、イソシアネート化合物及びカルボン酸二無水物などの多官能性化合物0.1〜10重量%を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が、耐アルカリ性に優れていることが開示されている。しかし、このような樹脂組成物では、アルカリ環境下でのウエルド部のクラックや割れはある程度改善されるものの、シリコーン系化合物やフッ素系化合物の染み出しに伴う成形性や外観特性が低下する虞がある。
【0005】
一方、各種電装部品等の接合においては、種々の溶着方法が利用されているが、熱板溶着、超音波溶着、振動溶着などに代わって、レーザ溶着が多く利用されるようになっている。レーザ溶着による接合方法は、溶着に伴う熱や振動による製品のダメージが無く、溶着工程も非常に簡易であるため、特に電装部品の接合に適している。
【0006】
しかし、PBT系樹脂をレーザ溶着で接合する場合、レーザ光の透過が低いため、炭化などを生じ、溶着が困難である場合も多い。そこで、特開2003−292752号公報(特許文献3)では、ポリブチレンテレフタレートに、ポリカーボネート、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどを配合することによりレーザ光の透過性を改善している。しかし、このような方法では、耐アルカリ性は改善されないだけでなく、ポリカーボネートを用いると、耐アルカリ性を低下させることになる。
【特許文献1】特開2002−356611号公報(請求項1及び段落番号[0008])
【特許文献2】国際公開WO00/078867号公報(請求項1及び第2頁16〜19行)
【特許文献3】特開2003−292752号公報(請求項1及び段落番号[0009])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、PBT系樹脂をベースとしながらも、レーザ溶着性及び耐アルカリ性に優れるレーザ溶着用樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、耐アルカリ性に優れ、長時間又は高い頻度でアルカリに接触しても、強度低下を抑制して、環境応力による割れを防止できるレーザ溶着用樹脂組成物及びその成形品、並びに複合成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、PBT系樹脂と、ポリオレフィン変性ポリシロキサンと、ポリエチレンテレフタレート系樹脂と、スチレン系成分を含むエラストマーとを組み合わせると、PBT系樹脂をベースとしながらも、レーザ光に対する透過性を改善して、レーザ溶着性を向上できるとともに、耐アルカリ性をも改善できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明のレーザ溶着用樹脂組成物は、少なくともポリブチレンテレフタレート系共重合体を含むポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)と、ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)と、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(C)と、スチレン系成分を含むエラストマー(D)とで構成されている。ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)は、ポリブチレンテレフタレート系共重合体、又はポリブチレンテレフタレート系共重合体とポリブチレンテレフタレートとの混合物であってもよい。ポリブチレンテレフタレート系共重合体は、通常、ブチレンテレフタレート単位と共重合性モノマー単位とで構成されており、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)中の共重合性モノマー単位の割合(変性量)は3〜30モル%程度であってもよい。ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)は、ポリオルガノシロキサンと、このポリオルガノシロキサンに対してグラフトしたオレフィン系樹脂とで構成してもよい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂(C)は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート系共重合体から選択された少なくとも一種であってもよい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂(C)において、変性量、すなわち、共重合性モノマーの割合は、例えば、30モル%以下であってもよい。前記エラストマー(D)は、例えば、スチレン系エラストマー及びスチレン系成分を含むオレフィン系エラストマーから選択された少なくとも一種であってもよい。前記エラストマー(D)は、スチレン系成分を20重量%以上含有してもよい。
【0011】
前記樹脂組成物において、各成分の割合は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)100重量部に対して、ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)1〜20重量部程度、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(C)5〜50重量部程度、エラストマー(D)10〜40重量部程度であってもよい。前記樹脂組成物は、さらに充填材又は補強材(E)を含有してもよい。
【0012】
本発明には、前記樹脂組成物で形成された成形品、及び前記樹脂組成物で形成された成形品と、相手材の樹脂成形品とがレーザ溶着により接合されている複合成形品も含まれる。
【0013】
なお、本明細書中、「耐アルカリ性」とは、アルカリ溶液との接触又はアルカリ溶液中への浸漬などに伴い、強度の低下が生じない又は生じにくい、あるいはクラック又はウエルド部の割れが生じない又は生じにくい性質又は特性を意味する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、PBT系共重合体を含むPBT系樹脂と、ポリオレフィン変性ポリシロキサンと、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂と、スチレン系成分を含むエラストマーとを組み合わせるので、PBT系樹脂をベースとするにも拘わらず、レーザ光に対する透過性を改善して、レーザ溶着性を向上できるとともに、耐アルカリ性を大きく改善できる。また、本発明の樹脂組成物又は成形品は、耐アルカリ性に優れており、長時間又は高い頻度でアルカリに接触しても、強度低下を抑制して、環境応力による割れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[レーザ溶着用樹脂組成物]
(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂
ベース樹脂であるポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂としては、少なくともポリブチレンテレフタレート系共重合体(ポリブチレンテレフタレートコポリエステル)を含有するPBT系樹脂が挙げられる。PBT系樹脂は、PBT系共重合体、及びポリブチレンテレフタレート(ホモポリエステル)と前記コポリエステルとの混合物のいずれであってもよい。
【0016】
コポリエステル(ブチレンテレフタレート系共重合体又は変性PBT樹脂)は、通常、ブチレンテレフタレート単位と、共重合可能なモノマー(以下、単に共重合性モノマーと称する場合がある)単位とを有しており、この共重合性モノマー単位に対応する共重合性モノマーとしては、テレフタル酸を除くジカルボン酸、1,4−ブタンジオールを除くジオール、オキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられる。共重合性モノマーは一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0017】
ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などのC4-40ジカルボン酸、好ましくはC4-20ジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸(例えば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などのC8-12ジカルボン酸)、テレフタル酸を除く芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸;4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸などのC8-16ジカルボン酸)、又はこれらの反応性誘導体(例えば、低級アルキルエステル(ジメチルフタル酸、ジメチルイソフタル酸(DMI)などのフタル酸又はイソフタル酸のC1-4アルキルエステルなど)、酸クロライド、酸無水物などのエステル形成可能な誘導体)などが挙げられる。さらに、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
【0018】
ジオールには、例えば、1,4−ブタンジオールを除く脂肪族ジオール[例えば、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなどのC2-12アルカンジオール、好ましくはC2-10アルカンジオール)、ポリアルキレングリコール(複数のオキシC2-4アルキレン単位を有するグリコール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)など]、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなど)、芳香族ジオール[例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ナフタレンジオールなどのC6-14芳香族ジオール;ビフェノール;ビスフェノール類;キシリレングリコールなど]などが挙げられる。さらに、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオールを併用してもよい。
【0019】
前記ビスフェノール類としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタンなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C4-10シクロアルカン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、及びこれらのアルキレンオキサイド付加体が例示できる。アルキレンオキサイド付加体としては、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールFなど)のC2-3アルキレンオキサイド付加体、例えば、2,2−ビス−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジエトキシ化ビスフェノールA(EBPA)、2,2−ビス−[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ジプロポキシ化ビスフェノールAなどが挙げられる。アルキレンオキサイド付加体において、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのC2-3アルキレンオキサイドなど)の付加モル数は、各ヒドロキシル基に対して1〜10モル、好ましくは1〜5モル程度である。
【0020】
オキシカルボン酸には、例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢酸、グリコール酸、オキシカプロン酸などのオキシカルボン酸又はこれらの誘導体などが含まれる。ラクトンには、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)などのC3-12ラクトンなどが含まれる。
【0021】
好ましい共重合性モノマーとしては、ジオール類[C2-6アルキレングリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状アルキレングリコールなど)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリC2-4アルキレングリコール(ジエチレングリコールなど)、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール類(ビスフェノール類又はそのアルキレンオキサイド付加体など)など]、ジカルボン酸類[C6-12脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)、カルボキシル基がアレーン環の非対称位置に置換した非対称芳香族ジカルボン酸など]などが挙げられる。これらの化合物のうち、芳香族化合物、例えば、ビスフェノール類(特にビスフェノールA)のアルキレンオキサイド付加体、及び非対称芳香族ジカルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、及びその反応性誘導体(ジメチルイソフタル酸(DMI)などの低級アルキルエステルなど)など]などが好ましい。
【0022】
PBT系樹脂中における共重合性モノマー単位(共重合性モノマー)の割合、すなわち、変性量は、例えば、3〜30モル%、好ましくは4〜25モル%、さらに好ましくは5〜20モル%(例えば、5〜15モル%)程度である。また、前記PBT系樹脂における共重合性モノマーの割合は、5〜30モル%、好ましくは8〜25モル%、さらに好ましくは10〜20モル%程度であってもよい。このような割合で共重合性モノマー単位を含むPBT系樹脂は、特に、耐アルカリ性を改善するのに適している。なお、変性量は、PBT系共重合体中の共重合性モノマー単位の割合を調整することにより、PBT系樹脂における変性量を調整してもよく、PBT系共重合体と、PBTとの割合を調整することにより、PBT系樹脂における変性量を調整してもよい。また、共重合体中の共重合性モノマー単位の割合を調整すると共に、共重合体とPBTとの割合を調整してもよい。
【0023】
PBT系共重合体とPBTとの割合は、特に制限されず、PBT系樹脂の変性量が上記の範囲となるような割合の範囲から適宜選択できる。PBT系共重合体とPBTとの割合(重量比)は、例えば、前者/後者=30/70〜100/0(例えば、50/50〜99/1)、好ましくは60/40〜95/5、さらに好ましくは70/30〜90/10程度であってもよい。
【0024】
PBT系樹脂(重合体)は、テレフタル酸又はその反応性誘導体と1,4−ブタンジオールと必要により共重合可能なモノマーとを、慣用の方法、例えば、エステル交換、直接エステル化法などにより共重合することにより製造できる。
【0025】
(B)ポリオレフィン変性ポリシロキサン
ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)としては、分子内にポリオレフィン単位(ポリアルカジエン単位も含む)とポリシロキサン単位を有する共重合体が挙げられる。このようなポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)を用いると、PBT系樹脂の耐アルカリ性を改善することができる。
【0026】
このようなポリオレフィン変性ポリシロキサンにおいて、前記ポリオレフィン単位を構成するポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン(α−C2-12オレフィンなど)の単独又は共重合体[例えば、ポリエチレン(低密度、中密度又は高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など]、前記α−オレフィンと共重合性単量体[例えば、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル(脂肪酸ビニルエステルなど);(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸エチルなどのアルキルエステル(C1-10アルキルエステルなど);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどのヒドロキシアルキルエステル(ヒドロキシC1-10アルキルエステルなど);(メタ)アクリル酸グリシジルなど)、(メタ)アクリロニトリルなどのアクリル系単量体など]との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体など)、ハロゲン含有オレフィン樹脂(塩素化ポリエチレンなど)などの他、アルカジエン[ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエンなどのC4-20アルカジエン(両末端に二重結合を有するC4-16アルカジエンなど)など]の単独又は共重合体、前記アルカジエンと前記例示の共重合性単量体及び/又は前記α−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン変性ポリシロキサンは、これらのポリオレフィンに対応する単位を単独で又は二種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0027】
また、前記ポリシロキサン単位を構成するポリシロキサンとしては、飽和炭化水素基を有するオルガノシロキサン[例えば、ジアルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロキサンなど)、アルキルアリールシロキサン(例えば、フェニルメチルシロキサンなど)、ジアリールシロキサン(例えば、ジフェニルシロキサンなど)などの鎖状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの環状シロキサン(環状ポリアルキルシロキサンなど)など]の単独又は共重合体、重合性不飽和基(例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基など)を有するオルガノシロキサン[前記重合性不飽和基を有するアルキルシロキサン(メチルシロキサンなどのC1-4アルキルシロキサンなど);前記重合性不飽和基を有するアリールシロキサン(フェニルシロキサンなどのC6-10アリールシロキサンなど)など]の単独又は共重合体、前記重合性不飽和基を有するオルガノシロキサンと前記飽和炭化水素基を有するオルガノシロキサンとの共重合体、前記重合性不飽和基を有するオルガノシロキサン及び/又は飽和炭化水素基を有するオルガノシロキサンと重合性不飽和基を有するアルコキシシラン(γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシランなど)との共重合体などが挙げられる。また、ポリシロキサンは、ポリオキシエチレン単位などのポリオキシC2-4アルキレンが導入されたエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシル基や酸無水物基が導入された酸変性ポリシロキサン、エポキシ基が導入されたエポキシ変性ポリシロキサン、アミノ基が導入されたアミノ変性ポリシロキサンなどであってもよい。ポリオレフィン変性ポリシロキサンは、これらのポリシロキサンに対応する単位を単独で又は二種以上組み合わせて含有してもよい。
【0028】
ポリオレフィン変性ポリシロキサンは、慣用の方法、例えば、(i)前記α−オレフィン又はアルカジエン(あるいは前記ポリオレフィン)とSi−H結合を有するポリシロキサン(前記ポリシロキサンなど)とのヒドロシリル化反応、(ii)前記ポリオレフィンとオルガノポリシロキサン(前記例示の飽和炭化水素基を有するオルガノシロキサン、重合性不飽和基を有するオルガノシロキサンなど)及び/又は前記ポリオルガノシロキサンとを加熱混練することによりグラフト化する方法などにより製造することができる。なお、ポリオレフィン変性ポリシロキサンの製造方法の詳細については、例えば、特開平1−217040号公報、特開平1−278533号公報、特開平1−318005号公報、特開平2−55752号公報、特開平2−64115号公報、特開平2−150441号公報、特開平3−21611号公報、特開平3−21612号公報、特開平5−39411号公報、特開平7−157643号公報などを参照できる。また、ポリオレフィン変性ポリオルガノシロキサン(B)として、これらの公報に記載の変性ポリオルガノシロキサンを使用してもよい。
【0029】
前記ポリオレフィン変性ポリシロキサンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記ポリオレフィン変性ポリシロキサンのうち、例えば、ポリオルガノシロキサン(前記ポリオルガノシロキサン)と、このポリオルガノシロキサンに対してグラフトしたオレフィン系樹脂(前記ポリオレフィン、特に、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのα−C2-4オレフィンの単独重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのα−C2-4オレフィンとビニルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体など)とで構成されている変性ポリシロキサンが好ましい。
【0030】
なお、ポリオレフィン変性ポリシロキサン全体に対して、ポリオルガノシロキサン単位の割合は、30重量%以上(例えば、30〜90重量%程度)、好ましくは40〜85重量%、さらに好ましくは50〜80重量%程度である。
【0031】
(C)ポリエチレンテレフタレート系樹脂(PET系樹脂)
PET系樹脂としては、エチレンテレフタレートを主成分(例えば、50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは75〜100重量%程度)とするホモポリエステル及びコポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリエステル)から選択された少なくとも一種などが挙げられる。
【0032】
コポリエステル(エチレンテレフタレート系共重合体又は変性PET樹脂)における前記共重合性モノマーとしては、テレフタル酸を除くジカルボン酸、エチレングリコールを除くジオール、オキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられる。これらの共重合性モノマーとしては、ブタンジオールに加えて、前記PBT系樹脂の項で例示の共重合性モノマーがそれぞれ使用できる。共重合性モノマーは一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0033】
好ましい共重合性モノマーとしては、前記PBT系樹脂の項で例示のモノマー、例えば、ジオール類[C3-6アルキレングリコール(トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状アルキレングリコールなど)、(ポリ)アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール類又はそのアルキレンオキサイド付加体など]、ジカルボン酸類(C6-12脂肪族ジカルボン酸、非対称芳香族ジカルボン酸など)などが挙げられる。
【0034】
PET系樹脂としては、ホモポリエステル(PET)、コポリエステル(PET系共重合体)、又はホモポリエステルとコポリエステルとの混合物が好ましい。PET系樹脂における共重合性モノマーの割合(変性量)は、例えば、30モル%以下(0〜30モル%)である。共重合体において、共重合性モノマーの割合は、例えば、0.01〜30モル%程度の範囲から選択でき、通常、1〜30モル%、好ましくは3〜25モル%、さらに好ましくは5〜20モル%(例えば、5〜15モル%)程度である。PET系樹脂のうち、特に、PET系共重合体が好ましい。
【0035】
なお、PET系樹脂を用いると、PBT系樹脂のレーザ光透過性を改善できる。PET系樹脂は、テレフタル酸とエチレングリコールと必要により共重合性モノマーとを、慣用の方法、例えば、エステル交換、直接エステル化法などにより共重合することにより得られる。
【0036】
(D)エラストマー
エラストマー(D)としては、耐アルカリ性、ヒートショック性、及び/又はレーザ光透過性の点から、少なくともスチレン系成分を含むエラストマー(熱可塑性エラストマー)を用いる。このようなエラストマーと、ポリオレフィン変性シロキサン(B)とを組み合わせると、樹脂組成物のレーザ光に対する透過性を維持しつつ、耐アルカリ性を改善できる。
【0037】
エラストマー(D)としては、例えば、スチレン系エラストマー及びスチレン系成分を含むオレフィン系エラストマーなどが好ましい。なお、エラストマーのうち、一般的に使用されるエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)などでは、PBT系樹脂との屈折率差が大きく、レーザ光透過性が低下し、レーザ溶着性が低くなる虞がある。またポリエステル系エラストマーは、レーザ光透過性の低下自体は小さいものの、耐アルカリ性に乏しい。
【0038】
前記エラストマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、エラストマーは、通常、ハードセグメント(又は硬質性分)とソフトセグメント(又は軟質性分)とで構成されている。
【0039】
スチレン系エラストマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル単量体の単独又は共重合体で構成されたハードセグメントと、α−オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−C2-12オレフィンなど)、ジエン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)などから選択された少なくとも一種の単量体の単独又は共重合体で構成されたソフトセグメントとのブロック又はグラフト共重合体(又はその水素添加物)などが例示できる。
【0040】
また、前記スチレン系エラストマーは、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などの酸又は酸無水物で変性された酸変性エラストマー、グリシジル基やエポキシ基を有する共重合性モノマー(グリシジル(メタ)アクリレートなど)を用いたり、エラストマーの不飽和結合をエポキシ化して得られたエポキシ変性エラストマーなどの反応性官能基を有するエラストマーであってもよい。レーザ溶着性や耐アルカリ性の観点からはスチレン系エラストマーの種類は特に限定されないが、耐熱性や耐薬品性の観点からは、水素添加物や反応性官能基を有するエラストマーを用いるのも好ましい。
【0041】
代表的なスチレン系エラストマーとしては、スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体[スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)など]、水素添加ブロック共重合体[スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(又は水添(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体))(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(又は水添(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体))(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、ランダムスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加重合体など]、官能基(エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基など)が導入された変性共重合体[ジエンの不飽和結合がエポキシ化されたエポキシ化スチレン−ジエン共重合体(エポキシ化スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体又はその水素添加重合体など)など]が例示できる。
【0042】
スチレン成分を含むオレフィン系エラストマーとしては、結晶性オレフィン系樹脂のハードセグメントとオレフィン系共重合ゴムのソフトセグメントとのブロック又はグラフト共重合体(又はその水素添加物)において、ハードセグメント及びソフトセグメントの少なくともいずれか一方がスチレン系成分を含有する共重合体が挙げられる。
【0043】
このようなオレフィン系エラストマーとしては、(i)少なくともα−オレフィンを構成単位とするハードセグメント[α−オレフィン(前記例示のα−C2-12オレフィン、好ましくはα−C2-6オレフィンなど)の単独又は共重合体で構成されたハードセグメント、前記α−オレフィンと他の共重合性単量体との共重合体などで構成されたハードセグメントなど]と、スチレン系成分を含むオレフィン系ソフトセグメント[例えば、前記例示のα−オレフィンと、スチレン系単量体と、ゴム成分{例えば、ジエン系ゴム(ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴムなど)、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ニトリルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、天然ゴム、無定形1,2−ポリブタジエン、及び非結晶性1,4−ポリイソプレンなどから選択された少なくとも一種など}と、必要により他の共重合性単量体との共重合体で構成されたソフトセグメントなど]との共重合体、(ii)前記α−オレフィン及びスチレン系単量体を少なくとも構成成分とするハードセグメント[例えば、前記α−オレフィンと、スチレン系単量体と、必要により他の共重合性単量体との共重合体で構成されたハードセグメントなど]と、ゴム成分(前記例示のゴム成分)を含むオレフィン系ソフトセグメント[例えば、オレフィン系ゴム成分(例えば、エチレン−プロピレンゴム、EPDMなど)と、必要により他の共重合性単量体との共重合体;前記例示のゴム成分と必要により前記α−オレフィン及び/又は他の共重合性単量体との共重合体など]との共重合体、(iii)前記α−オレフィン及びスチレン系単量体を少なくとも構成成分とするハードセグメント[例えば、前記α−オレフィンと、スチレン系単量体と、必要により他の共重合性単量体との共重合体で構成されたハードセグメントなど]と、前記例示のスチレン系成分を含むオレフィン系ソフトセグメントとの共重合体などが挙げられる。
【0044】
これらの共重合体において、スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル単量体が挙げられる。他の共重合性単量体としては、例えば、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステルなど)、(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアルキルエステル(C1-10アルキルエステルなど);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどのヒドロキシアルキルエステル(ヒドロキシC1-10アルキルエステルなど);(メタ)アクリル酸グリシジルエステルなど);(メタ)アクリロニトリルなど]などが挙げられる。
【0045】
なお、前記オレフィン系エラストマーには、エチレン−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体[エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エチル共重合体など]と、スチレン系重合体[例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体などの単独又は共重合体]とのグラフト共重合体も含まれる。上記エチレン−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体及びビニル系重合体は、それぞれ適宜組み合わせて使用できる。また、エチレン−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体とスチレン系重合体との割合(重量比)は、前者/後者=5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは15/85〜85/15程度の範囲から選択できる。
【0046】
好ましいオレフィン系エラストマーとしては、α−オレフィンと、スチレン系単量体及び/又は他の共重合性単量体との共重合体[例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸C1-8アルキルエステル共重合体(エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体など)、エチレン−アクリル酸C1-8アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−スチレン共重合体など]のハードセグメントと、このハードセグメントにグラフトされたスチレン系成分を含むソフトセグメント(スチレン系単量体と、ゴム成分と、必要により(メタ)アクリル系単量体との共重合体など)とで構成されたエラストマー、エチレン−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−エチルアクリレート共重合体)にスチレン系重合体(例えば、ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−スチレン系共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体)がグラフトした共重合体などが挙げられる。
【0047】
前記エラストマー(D)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。また、エラストマー(D)において、スチレン系成分の含有量は、例えば、10重量%以上(例えば、10〜80重量%程度)、好ましくは20重量%以上(例えば、20〜70重量%程度)、さらに好ましくは25〜60重量%程度であってもよい。
【0048】
なお、熱可塑性エラストマーのブロック構造は特に制限されず、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形ブロック構造などであってもよい。
【0049】
熱可塑性エラストマーにおいて、ハードセグメント(又は硬質成分)とソフトセグメント(又は軟質成分)との重量割合は、通常、前者/後者=10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30(例えば、40/60〜60/40)程度である。
【0050】
(E)充填材又は補強材
樹脂組成物は、レーザ光の透過性に悪影響を及ぼさない範囲で、充填材又は補強材(E)を含んでいてもよい。このような充填材又は補強材(E)には、繊維状補強材[例えば、無機質繊維(例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミニウムシリケート繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、ウィスカー(炭化ケイ素、アルミナ、窒化ホウ素などのウィスカー)など)、有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂、レーヨンなどで形成された繊維)など]、板状補強材[例えば、タルク、マイカ、ガラスフレークなど]、粉粒状補強材[例えば、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラスファイバーなど)など]、ウォラストナイト(珪灰石)などが含まれる。ウォラストナイトは、板状、柱状、繊維状などの形態であってもよい。繊維状補強材の平均径は、例えば、1〜50μm(好ましくは3〜30μm)程度、平均長は、例えば、100μm〜3mm(好ましくは500μm〜1mm)程度であってもよい。また、板状又は粉粒状補強材の平均粒径は、例えば、0.1〜100μm、好ましくは0.1〜50μm程度であってもよい。これらの補強材は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0051】
これらの充填材又は補強材(E)のうち、レーザ光が透過可能な補強材が好ましい。このような補強材はレーザ光の波長に応じて選択できる。このような補強材としては、例えば、ガラス系又はガラス質充填材又は補強材(ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズなど)などが例示でき、特に、ガラス繊維、例えば、高い強度・剛性を有するガラス繊維(チョップドストランドなど)などが好ましい。
【0052】
樹脂組成物には、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、核剤(結晶化核剤)、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、染顔料などの着色剤、分散剤などを添加してもよい。また、耐加水分解性、耐ヒートショック性などを改善するため、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物などのエポキシ化合物を添加してもよい。また、レーザ光に対する反射成分(例えば、波長800〜1200nm領域の入射光を殆ど反射する成分)は、レーザ溶着性を損なわない範囲であれば使用してもよいが、通常、このような反射成分は添加しない場合が多い。
【0053】
結晶化核剤としては、ロジンなどの有機核剤の他、無機核剤、例えば、金属酸化物(シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛など)、金属炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなど)、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、タルクなど)、金属炭化物(炭化ケイ素など)、金属窒化物(窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化タンタルなど)などが例示できる。これらの結晶化核剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。結晶化核剤は、粉粒状又は板状であってもよい。
【0054】
(各成分の割合)
ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)の割合は、PBT系樹脂(A)100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは3〜18重量部、さらに好ましくは5〜15重量部程度である。なお、レーザ光に対する透過性の点から、樹脂組成物全体に対するポリオレフィン系変性ポリシロキサン(B)の割合は、例えば、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜4重量%、さらに好ましくは1〜3重量%程度であってもよい。
【0055】
PET系樹脂(C)の割合は、PBT系樹脂(A)100重量部に対して、例えば、5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部、さらに好ましくは15〜35重量部(例えば、20〜30重量部)程度である。
【0056】
エラストマー(D)の割合は、PBT系樹脂(A)100重量部に対して、例えば、5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部、さらに好ましくは15〜35重量部(例えば、15〜30重量部)程度である。
【0057】
充填材又は補強材(E)の割合は、PBT系樹脂100重量部に対して、0〜100重量部程度の範囲から選択でき、通常、10〜100重量部、好ましくは30〜80重量部、さらに好ましくは50〜80重量部(例えば、55〜70重量部)程度である。
【0058】
本発明のPBT系樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物(ペレットなど)であってもよい。前記樹脂組成物は、レーザ光による溶着性が高いので、レーザ光を利用して溶着するための成形体(成形品)を製造するのに有用である。
【0059】
[成形品(成形体)]
本発明の成形品は、前記樹脂組成物で形成されている。このような成形品は、PBT系樹脂(A)と、ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)と、PET系樹脂(C)と、エラストマー(D)と、必要により他の成分(充填材又は補強材(E)など)などで構成された樹脂組成物を慣用の方法、例えば、(1)各成分を混合して、一軸又は二軸の押出機により混練し押出してペレットを調製した後、成形する方法、(2)一旦、組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組成の成形品を得る方法、(3)成形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法などで製造できる。なお、ペレットは、例えば、脆性成分(ガラス系補強材など)を除く成分を溶融混合した後に、脆性成分(ガラス系補強材)を混合することにより調製してもよい。
【0060】
成形体は、前記PBT系樹脂組成物を溶融混練し、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、回転成形、ガスインジェクションモールディングなどの慣用の方法で成形してもよいが、通常、射出成形により成形される。射出成形の条件は適当に選択でき、例えば、250〜280℃程度でPBT系樹脂組成物を溶融混練し、必要によりペレットを調製し、射出成形機により、シリンダー温度250〜280℃程度の条件で射出成形してもよい。なお、金型温度は60℃以下(例えば、40〜60℃程度)であってもよいが、均一なレーザ光線透過率の成形体を得るためには、金型温度65〜90℃(例えば、70〜90℃)程度であるのが好ましい。
【0061】
成形品の形状は特に制限されないが、成形品をレーザ溶着により相手材(他の樹脂成形品)と接合して用いるため、通常、少なくとも接触面(平面など)を有する形状(例えば、板状)である。また、本発明の成形体はレーザ光に対する透過性が高いので、レーザ光が透過する部位(レーザ溶着される部位)の成形品の厚み(レーザ光が透過する方向の厚み)は、広い範囲から選択でき、例えば、0.1〜3mm、好ましくは0.1〜2.5mm、さらに好ましくは0.1〜2mm程度であってもよい。
【0062】
成形品は、ウエルド部(すなわち、成形品の成形に伴い、金型のキャビティー内で複数の樹脂流が合流して樹脂流同士の界面に形成される溶接部)や、金属又は非金属材料で構成された部材(硬質部材など)と一体成形する場合の前記部材をインサートするためのインサート部、前記部材などを圧入するための圧入部、及び前記部材などをネジ止めするためのネジ止め部などを有していてもよい。本発明の成形品は、溶着性に優れるとともに、耐アルカリ性にも優れるため、アルカリ溶液に浸漬させた場合に、上記のような部位においてもクラックや割れが発生することがない。成形品は、上記のような部位を少なくとも1つ有していてもよい。
【0063】
レーザ光源としては、特に制限されず、例えば、色素レーザ、気体レーザ(エキシマレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−ネオンレーザなど)、固体レーザ(YAGレーザなど)、半導体レーザなどが利用できる。レーザ光としては、通常、パルスレーザが利用される。
【0064】
前記成形品は、レーザ溶着性に優れているため、通常、レーザ溶着により相手材の樹脂成形品と溶着させるのが好ましいが、必要であれば、他の熱溶着法、例えば、振動溶着法、超音波溶着法、熱板溶着法などにより他の樹脂成形品と溶着させてもよく、レーザ溶着と他の溶着法とを組み合わせてもよい。
【0065】
本発明はレーザ溶着した複合成形品も開示する。この複合成形品は、前記PBT系樹脂組成物で形成された成形品(第1の成形品)と、相手材の樹脂成形品(第2の成形品、被着体)とがレーザ溶着により接合され、一体化されている。例えば、第1の成形品と第2の成形品とを接触(特に少なくとも接合部を面接触)させ、レーザ光を照射することにより、第1の成形品と第2の成形品との界面を少なくとも部分的に溶融させて接合面を密着させ、冷却することにより二種の成形品を接合、一体化して1つの成形体とすることができる。このような複合成形体において、本発明の成形体を用いると、融着により高い接合強度が得られ、レーザ光の照射により融着していない非融着部材と同等の高い融着強度を保持できる。そのため、レーザ融着しても接合強度を実質的に低下させることがなく、強固に接合した複合成形体を得ることができる。
【0066】
前記相手材の樹脂成形品を構成する樹脂としては、前記PBT系樹脂組成物を構成する樹脂と同種類又は同系統の樹脂(PBT系樹脂、PET系樹脂などのポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステル系樹脂)など)又はその組成物で相手材を構成できる。なお、相手材を構成する樹脂には、他の熱可塑性樹脂、例えば、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂などを必要により適宜併用してもよい。
【0067】
相手材を構成する樹脂には、シリコーンオイルやシリコーン樹脂などのシリコーン化合物を併用してもよく、シリコーン化合物を含むPBT系樹脂などを用いるのが好ましい。例えば、第1の成形体と第2の成形体とを、それぞれ、本発明のPBT系樹脂組成物で形成してもよい。特に、レーザ光を吸収する側の部材にシリコーン化合物を含む樹脂(PBT系樹脂)、例えば、本発明のPBT系樹脂組成物、国際公開WO00/078867号公報に記載の樹脂組成物を用いて複合成形体を形成すると、耐アルカリ性をさらに向上させることもできる。
【0068】
前記PBT系樹脂組成物(又は第1の成形体)は、レーザ透過性(例えば、波長800〜1200nmのレーザ光に対する透過性)を大きく損なわない限り、着色剤(例えば、特開2000−309694号公報や特開2001−71384号公報に記載の着色剤など)を含んでいてもよい。
【0069】
着色剤としては、レーザ光に対して非吸収性の着色剤(無機又は有機染顔料)、例えば、黄色染顔料(カドミウムエローなどの無機顔料、ベンジジンイエローなどの有機顔料)、橙色染顔料(ハンザイエローなど)、赤色顔料(赤色顔料などの無機顔料、レーキレッドなどの有機顔料)、青色顔料(コバルトブルーなどの無機顔料、フタロシアニンブルーなどの有機顔料)、緑色染顔料(クロムグリーンなどの無機顔料、フタロシアニングリーンなどの有機顔料)、紫色染顔料などが挙げられる。このような着色剤は、単独で用いてもよく、複数の着色剤を組み合わせて用いて所望の色調に調整してもよい。例えば、減色混合(複数の染顔料、例えば、黄色染顔料と紫色染顔料との組み合わせ、黄色染顔料と赤色染顔料と青色染顔料との組み合わせなど)を利用して樹脂を無彩色(灰色や黒色)に着色することもできる。
【0070】
第1の成形体での着色剤の総使用量は、特に制限されず、例えば、PBT系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部(例えば、0.01〜7重量部)、好ましくは0.01〜5重量部程度であってもよい。
【0071】
被着体(又は相手材)は、レーザ光に対する吸収剤又は着色剤を含んでいてもよい。前記着色剤は、レーザ光の波長に応じて選択でき、無機顔料[カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなど)などの黒色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、モリブデートオレンジなどの橙色顔料、酸化チタンなどの白色顔料など]、有機顔料(黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料など)などが挙げられる。これらの吸収剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。吸収剤としては、通常、黒色顔料又は染料、特にカーボンブラックが使用できる。カーボンブラックの平均粒子径は、通常、10〜1000nm、好ましくは10〜100nm程度であってもよい。着色剤の割合は、被着体全体に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%(例えば、0.5〜3重量%)程度である。
【0072】
また、第1及び第2の成形体の間に、カーボンブラックなどのレーザ光吸収剤又は着色剤を含有する樹脂シート(PBT系樹脂シートなど)を挟持させたり、又はレーザ光吸収剤を塗布して、両成形体を密着させた後、レーザ光照射により接合を行ってもよい。このような方法では、第2の成形体のレーザ光吸収が小さくても効率よく両成形体を接合することができる。なお、前記着色剤を含有する樹脂シートの詳細については、例えば、特許第1829720号公報などを参照できる。
【0073】
レーザ光の照射は、通常、第1の成形体から第2の成形体の方向に向けて行われ、吸収剤又は着色剤を含む第2の成形体の界面で発熱させることにより、第1の成形体と第2の成形体とを融着させる。すなわち、レーザ光の透過側に位置する第1の成形体(本発明の樹脂組成物で形成された成形品)と、レーザ光の受光側に位置する第2の成形体(相手材の樹脂成形品)とを接触させ、レーザ光を照射することにより前記第1の成形体と第2の成形体との界面部分を溶融させて強固に接合させることができ、複合成形品が得られる。なお、必要によりレンズ系を利用して、第1の成形品と第2の成形品との界面にレーザ光を集光させ接触界面を融着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
得られた複合成形品は、高い溶着強度を有し、レーザ光照射によるPBT系樹脂の損傷も少なく、耐アルカリ性も高いため、種々の用途、例えば、電気・電子部品、オフィスオートメーション(OA)機器部品、家電機器部品、機械機構部品、自動車機構部品などに適用できる。特に、自動車電装部品(各種コントロールユニット、イグニッションコイル部品など)、モーター部品、各種センサー部品、コネクター部品、スイッチ部品、リレー部品、コイル部品、トランス部品、ランプ部品などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0075】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0076】
実施例及び比較例では、以下のPBT系樹脂(A)、ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)、PET系樹脂(C)、エラストマー(D)、充填材又は補強材(E)、他の成分(G)を用いた。
【0077】
(A)PBT系樹脂
(i)ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂、ウィンテックポリマー(株)製、DX2000)
(ii)ジメチルイソフタル酸(DMI)変性PBT樹脂
テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの反応において、テレフタル酸の一部(12.5mol%)に代えて、共重合成分としてのDMI 12.5mol%を用い、変性PBTを調製した。
【0078】
(B)ポリオレフィン(PO)変性ポリシロキサン
(B-1) EEA変性ポリシロキサン(シリコーン含有量50重量%,JIS K6760に準拠したMI=0.25g/10分,融点(mp)85℃)
【0079】
(C)PET系樹脂
(C-1)イソフタル酸変性PET樹脂
テレフタル酸とエチレングリコールとの反応において、テレフタル酸の一部(12.8mol%)に代えて、共重合成分としてのイソフタル酸12.8mol%を用い、変性PETを調製した。
【0080】
(D)エラストマー
(D-1)スチレン系熱可塑性エラストマー[水添(スチレン−イソプレン−ブタジエン)共重合体(スチレン含有量30重量%、比重0.92、5重量%トルエン溶液の溶液粘度90mPa・sec(30℃))]
【0081】
(E)充填材又は補強材
(E-1)ガラス繊維:日東紡績(株)製,平均繊維径φ11μmチョップドストランド。アミノシラン/多官能エポキシ処理品。
【0082】
(G)他の成分
(i)ポリカーボネート(帝人化成(株)製、平均分子量22000)
(ii)オレフィン系熱可塑性エラストマー(エチレン−エチルアクリレート共重合体にブチルアクリレート−メチルメタクリレート系共重合体がグラフトした共重合体(スチレン未含有))
【0083】
実施例1〜3及び比較例1〜5
(1)試験片の作製
表1に示す割合で、各成分を2軸押出機(日本製鋼所製,30mmφ)により260℃で混練し、ペレットを作製した。得られたペレットを射出成形機((株)東芝製)により、シリンダー温度260℃及び金型温度80℃の条件で射出成形し、ASTM4号引張試験用試験片及びウエルド試験用の試験片(縦80mm×横80mm×厚さ1mm)を作製した。
【0084】
(2)性能評価
(i)レーザ溶着性
レーザ溶着機(ライスター社製、MODULAS C)を用い、波長940nmのレーザ光を走査速度10mm/秒、出力12.5Wの条件で溶着を行い、次に万能試験機(オリエンテック製、RTC−1325、速度10mm/分)を用いて、引張りせん断強度(溶着強度)を測定した。
【0085】
なお、溶着には、ウエルド試験用の試験片を10mm幅の短冊形状に切削した試験片を用いた。図1に示すように、切削した試験片(3)に同サイズの被溶着試験片(4)(ウィンテックポリマー(株)製、「ジュラネックス3300 ED3002」)を一部が接触するように重ね、前記レーザ溶着機を用いて、レーザ発振器のヘッダ(1)からのレーザ光(2)の焦点を調整して、両試験片の接触面に線幅1.5mmで集光させた。そして、切削試験片(3)側から、波長940nmのレーザ光を走査速度10mm/秒の条件で照射して溶着させた。
【0086】
(ii)耐アルカリ性ストレスクラック試験
ウエルド試験片に1%のひずみを加えたまま、23℃の10重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、100時間後、試験片の表面にクラックの発生及びウエルド部の割れがないか実体顕微鏡にて観察した。
【0087】
○:クラック及びウエルド部の割れなし
×:クラック及び/又はウエルド部の割れあり
(iii)アルカリ浸漬に伴う引張強さ(TS)保持率
ASTM4号試験片を60℃の10重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に、100時間浸漬し、浸漬前の引張強さを100としたときの浸漬後の引張強さを、引張強さ保持率(%)として評価した。
【0088】
結果を表1に示す。
【0089】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は実施例及び比較例でのレーザ溶着を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0091】
1…レーザヘッド
2…レーザ光線
3…試験片
4…被溶着試験片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリブチレンテレフタレート系共重合体を含むポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)と、ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)と、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(C)と、スチレン系成分を含むエラストマー(D)とで構成されたレーザ溶着用樹脂組成物。
【請求項2】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート系共重合体、又はポリブチレンテレフタレート系共重合体とポリブチレンテレフタレートとの混合物である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
ポリブチレンテレフタレート系共重合体が、ブチレンテレフタレート単位と共重合性モノマー単位とで構成されており、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)中の共重合性モノマー単位の割合が3〜30モル%である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)が、ポリオルガノシロキサンと、このポリオルガノシロキサンに対してグラフトしたオレフィン系樹脂とで構成されている請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
ポリエチレンテレフタレート系樹脂(C)が、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート系共重合体から選択された少なくとも一種である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項6】
エラストマー(D)が、スチレン系成分を20重量%以上含むエラストマーである請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項7】
エラストマー(D)が、スチレン系エラストマー及びスチレン系成分を含むオレフィン系エラストマーから選択された少なくとも一種である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項8】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)100重量部に対して、ポリオレフィン変性ポリシロキサン(B)1〜20重量部と、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(C)5〜50重量部と、エラストマー(D)10〜40重量部とを含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項9】
さらに充填材又は補強材(E)を含有する請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1記載の樹脂組成物で形成された成形品。
【請求項11】
請求項1記載の樹脂組成物で形成された成形品と、相手材の樹脂成形品とがレーザ溶着により接合されている複合成形品。

【図1】
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【公開番号】特開2006−291099(P2006−291099A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115863(P2005−115863)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(501183161)ウィンテックポリマー株式会社 (54)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】