説明

レーザ照射装置及びレーザ照射方法

【課題】 照射対象物の表面で反射され、レーザビームが入射した光路に沿って戻る成分を、照射対象物に再入射させることができるレーザ照射装置を提供する。
【解決手段】 レーザ照射装置は、レーザビームを出射するレーザ光源と、レーザビームを照射すべき照射対象物を保持する保持台と、前記レーザ光源から出射されたレーザビームを、前記保持台に保持された照射対象物まで、第1の光路に沿って導くと共に、該照射対象物で反射されて前記第1の光路に沿って戻るビームを、該第1の光路から分岐した第2の光路に沿って伝搬させる分岐光学系と、前記分岐光学系で分岐されて前記第2の光路に沿って伝搬するビームを、前記照射対象物に再入射させる再入射光学系とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ照射装置及びレーザ照射方法に関し、特に、照射対象物の表面で反射されたレーザビームを、照射対象物に再入射させることができるレーザ照射装置及びレーザ照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームを照射対象物に照射して、加工や表面処理などが行われている。例えば、表層に不純物が添加されたシリコン基板にレーザビームを照射することにより、不純物の活性化を行うことができる。なお、本明細書において、表層に不純物が添加された半導体基板にレーザビームを照射して不純物を活性化することを、「活性化アニール」と呼ぶ。シリコン基板の活性化アニールにおいて、例えばNd系固体レーザの第2高調波(波長530nm程度)を用いる場合、シリコン基板表面が溶融しているときには、例えば50%程度のレーザビームが、基板表面で反射される。照射対象物の表面で反射されたレーザビームは、照射対象物に再入射させない場合無駄になる。
【0003】
特許文献1に、照射対象物の表面で反射されたレーザビームを、照射対象物に再入射させるレーザ照射装置が開示されている。特許文献1に開示されたレーザ照射装置は、照射対象物の表面に対し、レーザビームを斜めに入射させる。照射対象物で反射されたレーザビームを、ミラーにより照射対象物の表面の方向に反射させて、照射対象物に再入射させる。なお、特許文献1のレーザ照射装置は、表面に非晶質シリコン膜が形成されたガラス基板にレーザビームを照射して、シリコン膜を多結晶化するアニールに用いられる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−133593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のレーザ照射装置は、照射対象物の表面で反射され、レーザビームが照射対象物に入射した光路に沿って戻る成分を、照射対象物に再入射させることができない。例えば、照射対象物の表面でレーザビームが鏡面反射される場合、照射対象物の表面に垂直入射させたレーザビームの反射光を、照射対象物に再入射させることができない。
【0006】
特許文献1のレーザ照射装置は、また、照射対象物に再入射するレーザビームの入射方向を、照射対象物に最初に入射するレーザビームの入射方向と揃えることができない。
【0007】
本発明の一目的は、照射対象物の表面で反射され、レーザビームが入射した光路に沿って戻る成分を、照射対象物に再入射させることができるレーザ照射装置及びレーザ照射方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、照射対象物の表面で反射されたレーザビームを、照射対象物に再入射させることができ、照射対象物に再入射するレーザビームの入射方向を、照射対象物に最初に入射するレーザビームの入射方向と揃えることができるレーザ照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点によれば、レーザビームを出射するレーザ光源と、レーザビームを照射すべき照射対象物を保持する保持台と、前記レーザ光源から出射されたレーザビームを、前記保持台に保持された照射対象物まで、第1の光路に沿って導くと共に、該照射対象物で反射されて前記第1の光路に沿って戻るビームを、該第1の光路から分岐した第2の光路に沿って伝搬させる分岐光学系と、前記分岐光学系で分岐されて前記第2の光路に沿って伝搬するビームを、前記照射対象物に再入射させる再入射光学系とを有するレーザ照射装置が提供される。
【0010】
本発明の第2の観点によれば、(a)レーザビームを、照射対象物まで、第1の光路に沿って導く工程と、(b)前記照射対象物で反射されて前記第1の光路に沿って戻るビームを、該第1の光路から分岐した第2の光路に沿って伝搬させる工程と、(c)前記工程(b)で分岐されて前記第2の光路に沿って伝搬するビームを、前記照射対象物に再入射させる工程とを有するレーザ照射方法が提供される。
【0011】
本発明の第3の観点によれば、レーザビームを出射するレーザ光源と、レーザビームを照射すべき照射対象物を保持する保持台と、前記レーザ光源から出射されたレーザビームを、前記保持台に保持された照射対象物まで、第1の光路に沿って導くと共に、第2の光路に沿って伝搬するビームを、該第1の光路に沿って伝搬するレーザビームに合流させる合流光学系と、前記保持台に保持された照射対象物で反射されたビームを、前記第2の光路に沿うように伝搬させて、前記合流光学素子に導き、前記照射対象物に再入射させる再入射光学系とを有するレーザ照射装置が提供される。
【0012】
本発明の第4の観点によれば、(a)レーザビームを、照射対象物まで、第1の光路に沿って導く工程と、(b)前記照射対象物で反射されたレーザビームを、第2の光路に沿うように伝搬させる工程と、(c)前記第2の光路に沿って伝搬するレーザビームを、前記第1の光路に沿って伝搬するレーザビームに合流させて、前記照射対象物に再入射させる工程とを有するレーザ照射方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
第1の観点によるレーザ照射装置、または第2の観点によるレーザ照射方法では、照射対象物の表面で反射され、レーザビームが入射した光路に沿って戻る成分を、レーザビームが入射した光路から分岐した光路に沿って伝搬させ、照射対象物に再入射させる。これにより、レーザビームの利用効率を高められる。
【0014】
第3の観点によるレーザ照射装置、または第4の観点によるレーザ照射方法では、照射対象物で反射されたビームを、照射対象物に最初に入射するレーザビームと合流させる。これにより、照射対象物に再入射するレーザビームの入射方向を、照射対象物に最初に入射するレーザビームの入射方向と揃えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例によるレーザ照射装置の概略図である。このレーザ照射装置は、例えば活性化アニールに用いることができる。活性化アニールに用いる場合を例に、説明を続ける。
【0016】
レーザ光源1が、直線偏光にされたパルスレーザビームを出射する。レーザ光源1として、例えば、第2高調波の発生ユニットを含むNd系固体レーザが用いられる。このようなレーザ光源からは、波長530nm程度のパルスレーザビームが出射され、パルス幅は、例えば100nsである。
【0017】
レーザ光源1から出射したレーザビームが、折り返しミラー2で反射されて、偏光ビームスプリッタ3aに入射する。偏光ビームスプリッタ3aが、P偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射する。偏光ビームスプリッタ3aに入射するレーザビームがP偏光となるように、レーザ光源1及び折り返しミラー2が配置されている。偏光ビームスプリッタ3aを透過したP偏光のレーザビームが、1/4波長板3bに入射して、円偏光に変換される。1/4波長板3bから出射したレーザビームが、表層に不純物が添加されたシリコン基板4の表面に垂直に入射する。ステージ5が、シリコン基板4を保持する。
【0018】
シリコン基板4に入射したレーザビームの一部が、シリコン基板4で吸収され、吸収されなかったレーザビームが、シリコン基板4の表面で反射される。シリコン基板4の光が照射される表面の表面粗さは、反射光のほとんどが鏡面反射となる程度に小さい。
【0019】
シリコン基板4の表面で反射され、シリコン基板4に入射したレーザビームの光路に沿って戻る円偏光のレーザビームが、1/4波長板3bに入射する。1/4波長板3bに入射したレーザビームが、偏光ビームスプリッタ3aに対するS偏光に変換される。1/4波長板3bから出射したレーザビームが、偏光ビームスプリッタ3aに入射して、反射される。
【0020】
なお、偏光ビームスプリッタ3aと1/4波長板3bとをまとめた分岐光学系3について考えると、分岐光学系3は、レーザ光源1から出射したレーザビームをシリコン基板4まで導くと共に、シリコン基板4で反射され、シリコン基板4に入射したレーザビームの光路に沿って戻るレーザビームを、この光路から分岐した光路に沿って伝搬させる。
【0021】
偏光ビームスプリッタ3aで反射されたレーザビームが、折り返しミラー6の反射面に垂直に入射する。折り返しミラー6で反射されたレーザビームが、折り返しミラー6に入射したレーザビームの光路に沿って戻り、偏光ビームスプリッタ3aに入射して反射される。
【0022】
偏光ビームスプリッタ3aで反射されたS偏光のレーザビームが、1/4波長板3bに入射し、円偏光にされて、シリコン基板4に入射する。このとき、偏光ビームスプリッタ3aで反射されたレーザビームは、シリコン基板4で反射されて偏光ビームスプリッタ3aに入射したレーザビームの光路に沿って戻り、シリコン基板4に入射する。つまり、折り返しミラー6で反射された後、偏光ビームスプリッタ3aで反射されたレーザビームは、レーザ光源1から出射し、偏光ビームスプリッタ3aを透過して、シリコン基板4に入射したレーザビームの光路に沿って、シリコン基板4に入射する。
【0023】
なお、レーザビームがシリコン基板4に最初に入射してから再入射するまでに伝搬する光路長が、例えば3mのとき、レーザビームがシリコン基板4に最初に入射してから再入射するまでの時間間隔は、10ns程度である。このような場合に、レーザビームのパルス幅が例えば100nsであるとき、最初に入射するショットと、再入射するショットとは、時間的にほぼ重なる。
【0024】
上述のレーザ照射装置は、分岐光学系3により、レーザ光源1から出射してシリコン基板4に入射するレーザビームの光路から、シリコン基板4で反射されたレーザビームの光路を分岐させ、折り返しミラー6により、分岐した光路に沿って伝搬するレーザビームを偏向させて、シリコン基板4に再入射させる。これにより、レーザビームの利用効率を高められる。
【0025】
なお、シリコン基板4に再入射したレーザビームの一部が、シリコン基板4で再び反射される。反射されたレーザビームは、1/4波長板3bに入射してP偏光にされ、偏光ビームスプリッタ3aを透過する。偏光ビームスプリッタ3aを透過したレーザビームは、その後、折り返しミラー6に入射しないので、シリコン基板4に入射しない。
【0026】
シリコン基板4の反射率が例えば50%であるとすると、光学系等によるパワーの損失がない理想的な場合において、1度目の入射時に、レーザ光源1から出射したレーザビームのパワーの50%がシリコン基板4で吸収され、2度目の入射時に、レーザ光源1から出射したレーザビームのパワーの25%がシリコン基板4で吸収される。レーザビームを再入射させることにより、レーザ光源1から出射したレーザビームの75%をシリコン基板4に吸収させることができる。レーザビームを再入射させない場合の吸収率は50%なので、上述のような仮定の下、実施例の装置を用いると、レーザビームの利用効率が1.5倍に向上する。
【0027】
上述のレーザ照射装置では、折り返しミラー6で反射された後、偏光ビームスプリッタ3aで反射されて、シリコン基板4に入射するレーザビームが、レーザ光源1から出射し、偏光ビームスプリッタ3aを透過して、シリコン基板4に入射したレーザビームの光路に沿って、シリコン基板4に入射する。これにより、シリコン基板4に再入射するレーザビームの入射方向及び入射位置を、シリコン基板4に最初に入射するレーザビームの入射方向及び入射位置と揃えることができる。
【0028】
上述のレーザ照射装置では、レーザビームが、シリコン基板4の表面に垂直に入射する。レーザビームがシリコン基板4の表面に斜めに入射する場合に比べて、シリコン基板4の表面上のビームスポットの面積を小さくできるので、ビームスポット内のパルスエネルギ密度(またはパワー密度)を高められる。
【0029】
次に、図2を参照して、第2の実施例によるレーザ照射装置について説明する。第2のレーザ照射装置は、第1の実施例のレーザ照射装置において、レーザ光源1から折り返しミラー2までの光路上にホモジナイザ11を追加し、分岐光学系3からシリコン基板4までの光路上にレンズ12を追加し、偏光ビームスプリッタ3aから折り返しミラー6までの光路上にレンズ13を追加した構成を有する。
【0030】
レーザ光源1から出射したレーザビームが、ホモジナイザ11に入射する。例えば、第2高調波の発生ユニットを含むNd系固体レーザから出射したレーザビームの断面は円形で、ビーム断面内の光強度分布はガウス分布で近似される。ホモジナイザ11から出射したレーザビームが、折り返しミラー2で反射されて、ホモジナイザ11のホモジナイズ面11aを通過し、偏光ビームスプリッタ3aに入射する。ホモジナイザ11により、ホモジナイズ面11a上のビーム断面が、一方向に細長い形状に整形され、ホモジナイズ面11a上のビーム断面内の光強度分布が、均一に近づけられる。
【0031】
偏光ビームスプリッタ3aを透過したレーザビームが、1/4波長板3b及びレンズ12を透過してシリコン基板4に入射する。レンズ12は、ホモジナイズ面11a上のビーム断面を、シリコン基板4の表面に結像させる。これにより、シリコン基板4の表面において、ホモジナイズ面11a上のビーム断面と相似な形状の領域に、ビーム断面内の光強度分布が均一化されたレーザビームが照射される。
【0032】
シリコン基板4で反射されたレーザビームが、レンズ12及び1/4波長板3bを透過して、偏光ビームスプリッタ3aに入射し、偏光ビームスプリッタ3aで反射される。偏光ビームスプリッタ3aで反射されたレーザビームが、レンズ13を透過して、折り返しミラー6に入射する。折り返しミラー6で反射されたレーザビームが、レンズ13を透過して、偏光ビームスプリッタ3aに入射し、偏光ビームスプリッタ3aで反射されたレーザビームが、1/4波長板3b及びレンズ12を透過して、シリコン基板4に入射する。
【0033】
レンズ13及びレンズ12が協同し、シリコン基板4の表面上のレーザビームの入射位置と、折り返しミラー6の反射面上のレーザビームの入射位置とを、互いに共役な関係とする。つまり、シリコン基板4の表面上のビーム断面が、折り返しミラー6の反射面に結像し、かつ折り返しミラー6の反射面上のビーム断面が、シリコン基板4の表面に結像する。これにより、シリコン基板4の表面に一度目に入射するレーザビームの断面と、シリコン基板4の表面に再入射するレーザビームの断面とを一致させることができる。
【0034】
なお、分岐光学系3からシリコン基板4までの光路上に配置されたレンズ12のみで、シリコン基板4の表面上のレーザビームの入射位置と、折り返しミラー6の反射面上のレーザビームの入射位置とを、互いに共役な関係にできる場合は、偏光ビームスプリッタ3aから折り返しミラー6までの光路上に、レンズ13を配置しない構成にできる。
【0035】
以上の実施例で説明したレーザ照射装置を、活性化アニール以外に応用しても構わない。例えば、表面に非晶質シリコンが形成されたガラス基板にレーザビームを照射して、シリコンの多結晶化を行うアニールや、表面に多結晶シリコンが形成されたガラス基板にレーザビームを照射して、多結晶シリコンの粒径を拡大するアニール等に応用することができる。
【0036】
なお、上述の実施例のレーザ照射装置では、レーザ光源から出射して照射対象物に入射するレーザビームの光路から、照射対象物で反射されたレーザビームの光路を分岐させる分岐光学素子として、偏光ビームスプリッタ用いたが、以下のような機能を持つ光学素子であれば、分岐光学素子として用いることができる。分岐光学素子は、レーザ光源側から分岐光学素子に入射したレーザビームを、直線偏光光にして、1/4波長板に入射させる。分岐光学素子側から1/4波長板を通過したレーザビームが、照射対象物で反射され、照射対象物側から再び1/4波長板を通過して、再び分岐光学素子に入射する。照射対象物側から1/4波長板を通過したレーザビームは、分岐光学素子側から1/4波長板に入射する直線偏光光の偏波面と直交する偏波面を持つ直線偏光光にされている。分岐光学素子は、1/4波長板から分岐光学素子に入射した直線偏光光を、レーザ光源側から分岐光学素子に入射したレーザビームの光路から分岐した光路に沿って出射させる。分岐光学素子として、偏光ビームスプリッタの他に、例えば、シンフィルムポラライザ、グラントムソンプリズム、ウォラストンプリズム等を用いることができる。
【0037】
なお、上述の実施例のレーザ照射装置では、レーザ光源がパルスレーザビームを出射したが、必要に応じて、連続波レーザビームを出射するレーザ光源を用いても構わない。
【0038】
なお、以下のような構成のレーザ照射装置を作製することも可能である。第1の実施例のレーザ照射装置において、分岐光学系から照射対象物までの光路上に、ガルバノスキャナとfθレンズとを挿入する。分岐光学系から出射したレーザビームの伝搬方向を、ガルバノスキャナで所望の方向に振り、fθレンズに入射させる。fθレンズから出射したレーザビームを、照射対象物の表面に垂直入射させる。照射対象物で反射され、入射光の光路に沿って戻る成分が、fθレンズとガルバノスキャナを経て、分岐光学系に入射する。分岐光学系で分岐されたレーザビームが、再びガルバノスキャナとfθレンズとを経て、照射対象物に再入射する。このようなレーザ照射装置を用いても、レーザビームの利用効率を高められる。
【0039】
次に、図3を参照して、第3の実施例によるレーザ照射装置について説明する。レーザ光源21が、偏光ビームスプリッタ22aに対するP偏光のレーザビームを出射する。レーザ光源21から出射したレーザビームが、偏光ビームスプリッタ22aを透過し、照射対象物23の表面に斜めに入射する。ステージ24が、照射対象物23を保持する。
【0040】
照射対象物23で反射されたレーザビームが、折り返しミラー25で反射され、1/2波長板22bに入射する。1/2波長板22bが、1/2波長板22bに入射するレーザビームの偏波面を90度旋回し、偏光ビームスプリッタ22aに対するS偏光を出射する。1/2波長板22bから出射したレーザビームが、偏光ビームスプリッタ22aで反射されて、照射対象物23に再び入射する。照射対象物23に再入射するレーザビームの光路は、最初に入射するレーザビームの光路と一致する。
【0041】
なお、偏光ビームスプリッタ22aと1/2波長板22bとをまとめた合流光学系22について考えると、合流光学系22は、レーザ光源21から出射したレーザビームを照射対象物23まで導くと共に、照射対象物23で反射され、折り返しミラー25を経て合流光学系22に入射するレーザビームを、レーザ光源21から出射して照射対象物23に入射するレーザビームに合流させる。
【0042】
第3の実施例によるレーザ照射装置は、照射対象物23で反射されたレーザビームを、照射対象物23に再入射させるので、レーザビームの利用効率を高められる。照射対象物23で反射したレーザビームが、レーザ光源21から出射されて照射対象物23に入射するレーザビームに合流されるので、照射対象物23に再入射するレーザビームの入射方向及び入射位置を、照射対象物23に最初に入射するレーザビームの入射方向及び入射位置と揃えることができる。
【0043】
なお、第3の実施例のレーザ照射装置では、照射対象物で反射したレーザビームを、レーザ光源から出射されて照射対象物に入射するレーザビームに合流させる合流光学素子として、偏光ビームスプリッタ用いたが、互いに直交する偏波面を持つ2本のビームを合流させられる他の光学素子、例えば、シンフィルムポラライザ、グラントムソンプリズム、ウォラストンプリズム等を、合流光学素子として用いることもできる。
【0044】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施例によるレーザ照射装置の概略図である。
【図2】第2の実施例によるレーザ照射装置の概略図である。
【図3】第3の実施例によるレーザ照射装置の概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1 レーザ光源
2 折り返しミラー
3 分岐光学系
3a 偏光ビームスプリッタ
3b 1/4波長板
4 シリコン基板
5 ステージ
6 折り返しミラー
11 ホモジナイザ
12、13 レンズ
21 レーザ光源
22 合流光学系
22a 偏光ビームスプリッタ
22b 1/2波長板
23 照射対象物
24 ステージ
25 折り返しミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを出射するレーザ光源と、
レーザビームを照射すべき照射対象物を保持する保持台と、
前記レーザ光源から出射されたレーザビームを、前記保持台に保持された照射対象物まで、第1の光路に沿って導くと共に、該照射対象物で反射されて前記第1の光路に沿って戻るビームを、該第1の光路から分岐した第2の光路に沿って伝搬させる分岐光学系と、
前記分岐光学系で分岐されて前記第2の光路に沿って伝搬するビームを、前記照射対象物に再入射させる再入射光学系と
を有するレーザ照射装置。
【請求項2】
前記分岐光学系は、前記第1の光路上に、前記レーザ光源側から順番に配置された分岐光学素子及び偏光光学素子を含み、
前記分岐光学素子は、前記レーザ光源側から第1の光路に沿って入射するレーザビームを、直線偏光光にして前記偏光光学素子に入射させ、
前記偏光光学素子は、前記分岐光学素子側から第1の光路に沿って直線偏光光が入射すると、該偏光光学素子を通過し、前記保持台に保持された照射対象物の表面で反射し、該偏光光学素子に再入射するビームを、前記分岐光学素子から入射する直線偏光光の偏波面と直交する偏波面をもつ直線偏光光にして該分岐光学素子に入射させ、
前記分岐光学素子は、前記偏光光学素子から入射する直線偏光光を第2の光路に沿って出射させる請求項1に記載のレーザ照射装置。
【請求項3】
前記偏光光学素子は、前記分岐光学素子側から第1の光路に沿って入射した直線偏光光を、円偏光に変換して前記照射対象物側に出射させ、該照射対象物で反射し、該偏光光学素子に再入射する円偏光を、前記分岐光学素子から入射する直線偏光光の偏波面と直交する偏波面をもつ直線偏光光にして該分岐光学素子に入射させる請求項2に記載のレーザ照射装置。
【請求項4】
前記再入射光学系は、前記分岐光学系で分岐されて前記第2の光路に沿って伝搬したビームを、該第2の光路に沿って戻して、前記分岐光学系に入射させ、
前記分岐光学系は、前記第2の光路に沿って該分岐光学系に入射したビームを、前記第1の光路に沿って前記照射対象物側に出射させる請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ照射装置。
【請求項5】
前記再入射光学系は、ビームを反射させる反射面を含み、さらに、前記照射対象物上のレーザビームの入射位置と、前記再入射光学系の反射面上のビームの入射位置とを、互いに共役な関係にする結像光学系を有する請求項4に記載のレーザ照射装置。
【請求項6】
(a)レーザビームを、照射対象物まで、第1の光路に沿って導く工程と、
(b)前記照射対象物で反射されて前記第1の光路に沿って戻るビームを、該第1の光路から分岐した第2の光路に沿って伝搬させる工程と、
(c)前記工程(b)で分岐されて前記第2の光路に沿って伝搬するビームを、前記照射対象物に再入射させる工程と
を有するレーザ照射方法。
【請求項7】
前記照射対象物が、表層に不純物を添加した半導体基板である請求項6に記載のレーザ照射方法。
【請求項8】
レーザビームを出射するレーザ光源と、
レーザビームを照射すべき照射対象物を保持する保持台と、
前記レーザ光源から出射されたレーザビームを、前記保持台に保持された照射対象物まで、第1の光路に沿って導くと共に、第2の光路に沿って伝搬するビームを、該第1の光路に沿って伝搬するレーザビームに合流させる合流光学系と、
前記保持台に保持された照射対象物で反射されたビームを、前記第2の光路に沿うように伝搬させて、前記合流光学素子に導き、前記照射対象物に再入射させる再入射光学系と
を有するレーザ照射装置。
【請求項9】
前記合流光学系は、前記第2の光路が第1の光路に合流する位置に配置された合流光学素子と、前記合流光学素子から出射して前記照射対象物に入射し、前記照射対象物で反射され、前記再入射光学系を経て、前記第2の光路に沿って前記合流光学素子に入射するビームの光路上に配置された偏光光学素子とを含み、
前記レーザ光源は、前記第1の光路に沿って、前記合流光学素子に直線偏光されたレーザビームを入射させ、
該偏光光学素子は、該偏光光学素子に入射するビームの偏波面を90度旋回させ、
前記合流光学素子は、前記偏光光学素子から出射し、第2の光路に沿って入射する直線偏光光を、第1の光路に沿って出射させる請求項8に記載のレーザ照射装置。
【請求項10】
(a)レーザビームを、照射対象物まで、第1の光路に沿って導く工程と、
(b)前記照射対象物で反射されたレーザビームを、第2の光路に沿うように伝搬させる工程と、
(c)前記第2の光路に沿って伝搬するレーザビームを、前記第1の光路に沿って伝搬するレーザビームに合流させて、前記照射対象物に再入射させる工程と
を有するレーザ照射方法。
【請求項11】
前記照射対象物が、表層に不純物を添加した半導体基板である請求項10に記載のレーザ照射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−237489(P2006−237489A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53400(P2005−53400)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】