説明

レーザ照準機構

レーザトラッカまたはレーザスキャナとともに使用するための照準デバイスは、トラッカまたはスキャナ制御システムとトラッカまたはスキャナ装置とを含むとよい。トラッカ装置は、レーザを操作する機構へトルクを印加するように構成された複数のモータと、機構の角度位置についてのフィードバック情報をトラッカ制御システムへ送るように構成された複数の角度エンコーダとを含むとよい。トラッカまたはスキャナ制御システムは、照準デバイスが手動調節モードで作動している時にトラッカまたはスキャナ制御システムが複数のモータを制御してユーザにより引き起こされた移動の方向と反対に機構へトルクを付与するように構成されるとよい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2009年9月21日に出願された「レーザ照準機構」という名称の米国仮出願番号第61/244,380号の優先権を主張し、同出願の全体が本出願に参考として取り入れられている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、座標測定デバイス、より詳しくは、ユーザにより手動で照準された後でレーザビームを一定方向に維持するように構成されたシステムおよび方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
座標測定デバイス一式は、レーザビームをある地点へ送って再帰反射体(レトロリフレクタ(逆反射体):retroreflector)ターゲットによりこれが妨害されることによりこの地点の三次元(3D)座標を測定する類の計器に属する。この計器は、ターゲットまでの距離と二つの角度とを測定することにより地点の座標を発見する。距離は、絶対距離計または干渉計などの距離測定デバイスで測定される。角度は、角度エンコーダなどの角度測定デバイスで測定される。計器内のジンバル式ビーム操作機構が、レーザビームを目標の地点へ向ける。地点の座標を決定するための典型的なシステムは、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0004】
レーザトラッカは、それが放射する1本以上のレーザビームにより再帰反射体ターゲットを追跡する特定タイプの座標測定デバイスである。レーザトラッカと関係性の近い座標測定デバイスは、レーザスキャナである。レーザスキャナは、拡散面上の地点へ1本以上のレーザビームを届ける。
【0005】
スキャナは所望するいかなるロケーションにもレーザビームを送ることができるが、レーザトラッカは通常、レーザビームを再帰反射体ターゲットへ送る。よくあるタイプの再帰反射体ターゲットは、金属球体に埋設されたキューブコーナー再帰反射体を含む球体取付け再帰反射体(SMR)である。キューブコーナー再帰反射体は、相互に垂直な3枚のミラーを含む。3枚のミラーに共通の交点である頂点は、球体の中心に位置する。この球体内でのキューブコーナーの配置のため、SMRが回転しても、頂点から、SMRが支承されている表面までの垂直距離は一定のままである。結果的に、レーザトラッカは、表面上を移動する際にSMRの位置を追尾することによりこの表面の3D座標を測定できるのである。
【0006】
スキャナまたはレーザトラッカの中のジンバル機構は、スキャナまたはトラッカから所望のロケーションまたは再帰反射体へレーザビームを向ける。レーザトラッカの場合には、SMRにより再帰反射された光線の一部がレーザトラッカに入って位置検出器に達する。レーザトラッカ内部の制御システムは、位置検出器における光線の位置を使用してレーザトラッカの機械的方位軸および天頂軸の回転角度を調節し、SMR上でセンタリングされた状態にレーザビームを維持する。こうして、トラッカは目標の物体の表面上で移動するSMRを追尾(追跡)することが可能である。
【0007】
スキャナは一般的に、絶対距離計を使用することにより目標のターゲットまでの距離を測定する。レーザトラッカは、干渉計と絶対距離計(ADM)のいずれかを使用して距離を測定できる。干渉計は、再帰反射体ターゲットが始点と終点との間を移動する際に固定の地点を通過する周知の長さ(通常はレーザ光線の半波長)の増分回数をカウントすることによりこれら二点間の距離を発見する。測定中にビームが弱まった場合には、カウント数が正確に分からずに距離情報が失われる。比較すると、ADMはビームの衰弱に関係なく再帰反射体ターゲットまでの絶対距離を発見する。このため、ADMは「ポイントアンドシュート」測定が可能であると言われる。
【0008】
レーザトラッカもスキャナも通常は、高精度の角度エンコーダで角度を測定する。レーザトラッカは高速移動している再帰反射体を追尾(追跡)する能力を有するが、スキャナは通常、この能力を有していない。最もよく見られる動作モードにおいて、レーザトラッカは、トラッカからのレーザビームが再帰反射体の中心に充分近いところに衝突する時にSMRの移動を自動的に追尾する。
【0009】
スキャナまたはトラッカは、概ね時間とともに変化する方向でレーザビームを送る。一つの可能性は、レーザビームの照準を合わせようとする角度パターンを付与する命令を計算デバイスによりスキャナまたはトラッカへ送ることである。このタイプのパターン形状をトラッカまたはスキャナへ送る計算デバイスは、形状測定機能を実行していると言われる。
【0010】
第二の可能性は、追跡モードでのレーザトラッカの場合に、移動中のSMRを追跡することである。この追跡を可能にするためのフィードバックは、再帰反射体に当たって再びトラッカへ入るレーザ光線から得られる。この光線の一部は、部分反射ビームスプリッタに当たって位置検出器に達する。検出器におけるこの光線の位置が、レーザビームを再帰反射体上でセンタリング状態に保つのにトラッカ制御システムが必要とする情報である。
【0011】
スキャナまたはレーザトラッカについての第三の可能性は、ユーザが手作業でレーザビームの照準を目標ターゲットに合わせることである。多くの場合、レーザビームの照準を所望の方向に合わせることは、座標または角度をコンピュータ制御下に置くことよりも容易である。ビーム操作機構をユーザが容易に動かせるようにするため、モータが一時的に停止される。ユーザは、レーザビームを所望の方向へ向けた後で、手を離す。
【0012】
ジンバル機構のバランスが完全に保たれている場合には、レーザビームは同じ方向を照準し続ける。しかし、最小の程度であってもジンバル機構のバランスが崩れると、ビームは最初の位置から下降または上昇する傾向がある。ユーザがモータによってレーザビームの移動を防止できた時には、ビームはすでに所望の方向から大きく外れているかもしれない。
【0013】
可動ユニットの回転位置を制御するためのシステムは、特許文献3および特許文献4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,790,651号(Brown et al.)明細書
【特許文献2】米国特許第4,714,339号(Lau et al.)明細書
【特許文献3】米国特許第7,634,381号(Westermark et al.)明細書
【特許文献4】米国特許第7,765,084号(Westermark et al.)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
レーザビームの照準がユーザによって手動で合わされた後でその方向を一定に維持させるビーム操作機構の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
少なくとも一つの実施形態は、トラッカまたはスキャナ制御システムとトラッカまたはスキャナ装置とを含むレーザトラッカまたはレーザスキャナとともに使用するための照準デバイスを含む。トラッカ装置は、レーザを操作する機構へトルクを印加するように構成された複数のモータと、この機構の角度位置についてのフィードバック情報をトラッカ制御システムへ送信するように構成された複数の角度エンコーダとを含むとよい。トラッカまたはスキャナ制御システムは、照準デバイスが手動調節モードで作動している時に、トラッカまたはスキャナ制御システムが複数のモータを制御して、ユーザにより引き起こされた移動の方向と反対に機構へトルクを付与するように構成されるとよい。
【0017】
実施形態例は、レーザビームを放射するレーザを含むレーザデバイスとともに使用するための照準デバイスを含み、レーザがユーザにより位置決め可能であって、この照準デバイスは、制御システムと、レーザを操作する機構にトルクを印加するように構成された複数のモータと機構の角度位置についてのフィードバック情報を制御システムに送信するように構成された角度エンコーダと位置検出器の表面におけるレーザビームの位置に関する情報を制御システムへ送信するように構成された位置検知デバイスとを含む、制御システムに動作結合された装置と、制御システムと位置検知デバイスとに動作結合されたマスタ制御ユニットであって、コマンド位置読取値を制御システムに提供するように構成されたエンコーダ平均器モジュール、ターゲット位置読取値を制御システムに提供するように構成されたターゲット位置決めモジュール、およびコマンド位置読取値を制御システムに提示するように構成された運動形状測定モジュール、を含むマスタ制御ユニットとを含む。
【0018】
別の実施形態例は、再帰反射体で反射されるレーザビームを放射するレーザを含むレーザトラッカとともに使用するための追跡照準デバイスを含み、レーザはユーザにより位置決め可能であって、この追跡照準デバイスは、トラッカ制御システムと、天頂モータと方位モータとを有してレーザを操作する機構に天頂モータおよび方位モータがトルクを印加するように構成されるモータ、天頂角度エンコーダと方位角度エンコーダとを含んで機構の角度位置についてのフィードバック情報をトラッカ制御システムへ送信するように天頂角度エンコーダおよび方位角度エンコーダが構成される角度エンコーダ、および位置検出器の表面におけるレーザビームの位置に関する情報をトラッカ制御システムへ送信するように構成された位置検出器を含むトラッカ装置とを含む。
【0019】
他の実施形態例は、レーザビームを放射するレーザを含むレーザスキャナとともに使用するための走査照準デバイスを含み、レーザはユーザにより位置決め可能であって、この走査照準デバイスは、スキャナ制御システムと、天頂モータと方位モータとを有してレーザを操作する機構にトルクを印加するように天頂モータおよび方位モータが構成されるモータ、および天頂角度エンコーダと方位角度エンコーダとを含んで機構の角度位置についてのフィードバック情報をスキャナ制御システムへ送信するように天頂角度エンコーダおよび方位角度エンコーダが構成される角度エンコーダを含むスキャナ装置とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
さて図面を参照すると、開示の範囲全体に関して限定的であると解釈されるべきではない実施形態例が示されており、数枚の図において要素には同様の番号が付けられている。
【図1】レーザトラッカにより測定されるSMRの斜視図である。
【図2】レーザトラッカ照準システムのブロック図である。
【図3】レーザスキャナ照準システムのブロック図である。
【図4】レーザトラッカまたはレーザスキャナにおいてビーム操作機構のアンバランスの問題を回避できる制御システムの要素についての別の実施形態を示す。
【図5】実施形態例による位置ループおよび速度ループを図示している。
【図6】実施形態例による電流ループを図示している。
【図7】ユーザにより手動で照準が合わされた後でレーザビームの固定位置を維持するための実施形態例による方法の流れ図を図示している。
【図8】記載のレーザ照準機構の例に関連して実行されるプロセッサシステムを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、レーザトラッカ10からSMR26へ送られるレーザビームを示し、SMRはレーザビームをトラッカ10へ戻す。レーザトラッカ10のジンバル式ビーム操作機構の例12は、方位ベース16に取り付けられて方位軸20を中心として回転する天頂キャリッジ14を含む。ペイロード15が天頂キャリッジ14に取り付けられ、天頂軸18を中心として回転する。天頂機械的回転軸18と方位機械的回転軸20とは、一般的に距離測定の原点であるジンバル点22において、トラッカ10の内部で直交する。レーザビーム46は事実上、ジンバル点22を通り、天頂軸18に対して直交するように照準されている。言い換えると、レーザビーム46の経路は天頂軸18に垂直な面にある。天頂軸18を中心とするペイロード15の回転により、また方位軸20を中心とする天頂キャリッジ14の回転により、レーザビーム46は所望の方向に照準が合わされる。トラッカの内部にある天頂および方位角度エンコーダ(不図示)は、天頂機械的軸18および方位機械的軸20に装着され、回転角度を高精度で示す。レーザビーム46は、SMR26に達してからレーザトラッカ10へ戻る。トラッカは、天頂および方位軸18,20を中心とする回転角度とともに、ジンバル点22と再帰反射体26との間の径方向距離を測定して、トラッカの球座標系における再帰反射体26の位置を発見する。
【0022】
追跡モードでは、SMR26からトラッカへ戻されたレーザ光線の一部が部分反射ビームスプリッタにより分割されて、トラッカの内部にある位置検出器(不図示)へ送られる。レーザビームの照準をSMR26の中心に保つのに、位置検出器におけるレーザビームの位置がレーザトラッカ制御システムに使用される。
【0023】
レーザトラッカ10の代替品は、レーザスキャナである。レーザスキャナであれば、SMR26などの協働ターゲットとともに使用される必要はなく、位置検出器を必要としないであろう。
【0024】
上記のように、レーザビームの照準方向を確定する動作モードは三つある。上述した第1モードは、トラッカからのレーザビームが再帰反射体の移動を追尾する追跡モードである。この動作モードでは、トラッカモータが作動し、レーザビームの方向を能動的に調節して再帰反射体ターゲットを追尾させる。レーザスキャナでは、追跡モードは利用可能でない。
【0025】
第2モードは、所望のパターンの照準角度についての命令をコンピュータがトラッカまたはスキャナへ送る形状測定モードである。この動作モードでは、トラッカモータが作動し、レーザビームの方向を調節してコンピュータにより与えられるパターンを追尾させる。
【0026】
第3モードは、ユーザがレーザビームの方向を手動で調節するユーザ管理モードである。通常は、ユーザがレーザビームを所望の方向へ容易に操作できるようにモータが停止する。しかし、ユーザがビーム操作機構を離した時には、モータが作動を再開する前に、ビーム操作機構の不完全なバランスのためレーザビームが方向を変えることがある。
【0027】
図2は、図1のレーザトラッカ10などのレーザトラッカにおけるビーム操作機構のアンバランスの問題を回避することのできる制御システムの要素を示す。加えて図3は、レーザスキャナ内の同様の制御システムを示す。図2において、トラッカ照準システム100は、トラッカ制御システム110とトラッカ装置120とを含む。トラッカ装置120は、天頂および方位モータを含むモータ130と、天頂および方位角度エンコーダを含む角度エンコーダ140と、位置検出器150とを含む。モータ130は、レーザビームを操作する機構にトルクを印加する。角度エンコーダ140は、角度値についてのフィードバック情報をトラッカ制御システム110へ送る。位置検出器150は、その表面上でのレーザビームの位置についての情報をトラッカ制御システム110へ送る。トラッカのオペレータは、(1)追跡モード、(2)形状測定モード、(3)手動調節モードの三つの動作モードのうちいずれか一つを選択すればよい。
【0028】
システム100の適応性およびユーザ制御を提供する、システム100と一体的であるかその外部にあるプロセッサ170を、システム100は含み得る。プロセッサについてのさらなる詳細は、図8に関して後述する。
【0029】
図3は、レーザスキャナにおいてビーム操作機構のアンバランスの問題を回避できる制御システムの要素を示す。レーザスキャナ照準システム200は、スキャナ制御システム210とトラッカ装置220とを含む。トラッカ装置220は、天頂および方位モータを含むモータ230と、天頂および方位角度エンコーダを含む角度エンコーダ240とを含む。モータ230は、レーザビームを操作する機構にトルクを印加する。角度エンコーダ240は、角度値についてのフィードバック情報をスキャナ制御システム210へ送る。
【0030】
システム200の適用性およびユーザ制御を提供する、システム200と一体的であるかその外部にあるプロセッサ270を、システム200は含み得る。プロセッサについてのさらなる詳細は、図8に関して説明する。
【0031】
再び図2を参照すると、トラッカのオペレータは、(1)形状測定モード、または(2)手動調節モードという二つの動作モードのうちいずれか一つを選択すればよい。追跡モードにおいてトラッカ制御システム110は、SMR26が高速で移動してもレーザビーム46をSMR26上にセンタリングされた状態に保つ。制御システムは、単純な比例・積分・微分(PID)タイプであっても、より複雑であってもよい。例えば、PIDコンポーネントとともに先行予測(FF)要素を含んでもよいし、位置および速度ループを含むカスケードタイプのものでもよい。制御ループの目的は、レーザビーム移動の速度または位置をSMR移動のものと一致するように制御することである。
【0032】
形状測定モードにおいて、トラッカ制御システム110またはスキャナ制御システム210は、コンピュータからトラッカまたはスキャナへ送られた形状測定角度または座標にレーザビームを向ける。制御ループの目的は、レーザビーム移動の速度または位置を形状測定値のものと一致するように制御することである。
【0033】
ユーザ調節モードにおいて、トラッカ制御システム110またはスキャナ制御システム210は、(不完全なバランスによる)重力またはユーザによる方向修正力である外力に抵抗しながら、レーザビームの方向を決める。これは、ゼロ以外の速度に抵抗するか、同じくレーザビームの照準方向の変化に抵抗するように制御システムを作用させることによって達成される。制御システムにより印加される力は、非常にわずかな重力には反応しないが、手動調節に反するようにユーザの手にトルクを印加するように設計されている。過剰な力を印加しなくてもオペレータがビームを回動させられるように、この力は妥当なレベルに設定される。
【0034】
レーザトラッカの場合には、ユーザ調節モードの有効用途の一つは、再帰反射体ターゲットの至近にレーザビームのねらいを定めてから、自動化探索ルーチンを利用して即座にターゲットを自動追跡することである。自動化探索ルーチンの利用に代わるものとして、トラッカに取り付けられたカメラが使用されて、SMR26の中心にレーザビーム46を向けてもよい。カメラに近接して取り付けられたLEDが使用されて、SMR26を繰り返し照射することにより、再帰反射体ターゲットのカメラ識別を簡単にしてもよい。
【0035】
図4は、図1のレーザトラッカ10などのレーザトラッカにおいてビーム操作機構のアンバランスの問題を回避することのできる制御システム300の要素についての別の実施形態を示す。他の実施形態例では、レーザスキャナで実行されるようにシステム300が変形されてもよい。図4において、システム300は、制御システム325とマスタ制御ユニット(MCU)330とに動作結合された装置310を含む。装置310は、モータ315と回転エンコーダ320とを含み得る。モータ315は、制御システム325から電流を取り出して、レーザビームを操作するトルクにこれを変換するブラシレスDCモータでよい。モータ315は、天頂および方位モータを含み得る。回転エンコーダ320は軸の角度位置フィードバックを提供し、天頂および方位角度エンコーダを含み得る。制御システム325は、装置310からのエンコーダフィードバックと組み合わされたMCU330からの指定コマンド位置を求めて、角度エンコーダ320の読取値をコマンド位置と一致させるようにしてモータ315へ電流を送る方法を決定する。MCU330はトラッカの機能の大部分を提供し、その役割の一つはコマンド位置を算出することである。コマンド位置の情報源は三つある。1)エンコーダ平均器335、2)ターゲット位置決め装置340、3)運動形状測定装置345。さらにシステム300は、コマンド位置の情報源が作動する二つの動作モードを含み得る。第1モードの「位置保持モード」では、さらに後述するように、モータ315が作動して軸18,20のうち一つ以上を固定ロケーションへ戻す。「位置保持モード」においてシステム300は、ターゲットの最終認識位置を保持し、システム300がターゲットの追跡を行っている場合には、システム300はその後でターゲットの最終認識位置を保持する。第2モードの「速度保持モード」では、モータ315が作動して軸18,20のうち一つ以上の速度をゼロ速度まで低下させる。「速度保持モード」である時に、システム300はターゲットの追跡位置を提示している。システム300が位置追跡を行っている時に、システム300は自身をゼロ速度に保持する。両方のモードにおいて、軸18,20に作用する外力と反対方向にモータ315がトルクを印加する。
【0036】
エンコーダ平均器335は、「速度保持モード」が設定されて追跡がオフである場合、またはビーム経路にビームが存在しない場合に、コマンド位置を提示する。このシナリオでは、MCU330はエンコーダ320を読み取り、平均値を算出する。外力が軸に作用していない(つまり誰かがこれを押していないなど)場合には、コマンド位置は電流エンコーダ読取値と一致する。外力が印加されている場合には、平均エンコーダ読取値は最新のエンコーダ読取値を遅角するだろう。平均エンコーダ読取値がコマンド位置として制御システム325へ提供されると、制御システム325はエンコーダ読取値をコマンド位置と一致させようとして、外力と反対方向に押し返してこの動作に抵抗しようとする。
【0037】
「追跡モード」を「オン」にするようにトラッカが設定され、ターゲットがビーム経路上にあることをトラッカが認識すると、ターゲット位置決め装置340が、位置検知デバイス(PSD)350、角度エンコーダ320、およびターゲットまでの距離を使用して、ターゲットロケーションを算出する。算出されたこのターゲットロケーションが次に、コマンド位置として制御システム325へ送られる。ターゲットが移動すると、新たなコマンド位置が制御システム325へ送られて、ターゲットのロケーションを追跡させる。
【0038】
運動形状測定装置345は、いくつかの状況においてコマンド位置を提示する。追跡がオフで「位置保持モード」が設定されるという一つの状況では、運動形状測定装置345は何度も何度も同じ値を出力する。この値は、ターゲットの最終認識位置、形状測定された動きの最終位置、またはモータが作動した時に軸の照準が合わされた位置でよい。ビーム経路にビームが存在せずに「位置保持モード」が設定されるという状況は、「追跡オフ」と同じである。新たなロケーションで照準を行うようにトラッカが要求されるという第三の状況では、新たな方向にトラッカの照準が合わされるという要求が提示される。この状況において運動形状測定装置345は、電流コマンド位置と新たに要求されたロケーションとを取得してから、台形速度形状で軸が回動するように、制御システム325へ送られる一連のコマンド位置を計算する。
【0039】
システム300は、システム300と一体的であるかその外部にあってシステム300の適用性およびユーザ制御を提供するプロセッサ370を含み得る。プロセッサのさらなる詳細は、図8に関して説明する。
【0040】
図5は、実施形態例による位置ループ400と速度ループ500とを図示している。位置ループ400では、コマンド位置ノード(Cmd Pos)405は、MCU330により提供されるロケーションを表し、これは角度エンコーダ320からの所望の読取値である。最終コマンド位置ノード(Last Cmd Pos)410は、MCU330により提供される前回コマンド位置を表す。MCU330が新たなコマンド位置を提示する時には必ず、「Cmd Pos」405の電流値が「Last Cmd Pos.」410に複製される。エンコーダ位置ノード(Encoder Pos)415は、軸ロケーションについての角度位置フィードバックである。
【0041】
Cmd Pos405とEncoder Pos415との差分が差分ノード420で算出され、「位置デルタ」と呼ばれる。位置デルタに位置積分器ゲイン(I)425が掛けられてから、一定のエラーが存在する時間にわたって位置ループの出力を調節する積分器430によって前回の値と合計される。位置デルタは加算ノード435で積分器の出力に加算され、位置ゲイン(P)440が掛けられる。差分ノード445で算出されたLast Cmd Pos.410とCmd Pos 405との差分に、Cmd Pos 405が変化している時に位置ループの出力にブーストを与える速度先行予測ゲイン(VFF)450が掛けられる。速度先行予測項とPゲイン適用後の出力とが加算ノード455で加算されて、速度ループ500のためのコマンド速度である位置ループの出力が求められる。
【0042】
速度ループ500について述べると、エンコーダ速度ノード505はエンコーダ読取値の変化率を表す。差分ノード510においてコマンド速度(位置ループ400の出力)からエンコーダ速度が減算されて、速度デルタが得られる。速度デルタに速度積分器ゲイン(VI)515が掛けられてから、一定のエラーが存在する時間にわたって速度ループ500の出力を調節する積分器520によって前回の値と合計される。速度デルタは加算ノード525で積分器の出力に加算され、速度ゲイン(VP)530が掛けられる。この出力が、これから説明する電流ループ600へのコマンド入力である。
【0043】
図6は、実施形態例による電流ループ600を図示している。電流605は、センサにより測定される、モータを流れる電流の量についての読取値である。差分ノード615でコマンド電流610(速度ループ500の出力)から電流605が減算されて、電流デルタが求められる。電流デルタに電流積分器ゲイン(CI)620が掛けられてから、一定のエラーが存在する時間にわたって電流ループ600の出力を調節する積分器625により、前回の値と合計される。電流デルタは加算ノード630で積分器625の出力に加算され、電流ゲイン(CP)635が掛けられる。コマンド電流610に先行予測項(CFF)640が掛けられる。先行予測項640とCPゲイン635の適用後の出力とが加算ノード645で加算されて、モータ650への出力が求められる。
【0044】
図7は、実施形態例によりユーザによって手動で照準が合わされた後でレーザビームを固定位置に維持するための方法700の流れ図を描いたものである。この方法700は、上述したシステム例のいずれによって実行されてもよい。ブロック710では、進行中のレーザビームの動きがあるかどうかをシステムが判断する。ブロック710で進行中の動きがある場合には、ここで説明するように、ブロック770で運動形状ロケーションをシステムが出力する。ブロック710においてレーザビームが移動していない場合には、ブロック720で追跡がオンであるかどうかをシステムが判断する。ブロック720で追跡がオンでない場合には、ブロック740で位置を保持するかどうかをシステムが判断する。ブロック740で位置を保持するとシステムが判断した場合には、記載のようにブロック770で運動形状ロケーションをシステムが出力する。ブロック740でシステムが位置を保持しないと判断した場合には、ブロック760において、記載の平均エンコーダ読取値をシステムが出力する。ブロック720で追跡がオンであるとシステムが判断した場合には、ブロック730でターゲットが存在するかどうかをシステムが判断する。ブロック730でターゲットが存在していない場合には、上述のようにブロック740へシステムが進む。ブロック730でターゲットが存在しているとシステムが判断した場合には、次にブロック750において、記載のようにシステムがターゲットロケーションを出力する。
【0045】
記載のように、システム例100,200,300は、システム100,200,300の適用性およびユーザ制御を提供する、システム100,200,300と一体的であるかその外部にあるプロセッサ170,270,370をそれぞれ含む。プロセッサ170,270,370は、記載のレーザ照準機構の例に関連して実行されるプロセッサシステム800を図示している図8に関して以下で説明される、一体的または独立の処理システムでよい。
【0046】
記載の方法は、ソフトウェア(ファームウェアなど)、ハードウェア、またはその組合せにおいて実現されるとよい。実施形態例では、記載の方法は実行可能なプログラムとしてソフトウェアで実現され、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ミニコンピュータ、またはメインフレームコンピュータなどの専用または汎用デジタルコンピュータによって実行される。そのため、システム800は汎用コンピュータ801を含む。
【0047】
図8に示されたハードウェアアーキテクチャに関する実施形態例では、コンピュータ801は、プロセッサ805と、メモリ制御装置815に結合されたメモリ810と、ローカル入力/出力制御装置835を介して通信可能に結合された一つ以上の入力および/または出力(I/O)デバイス840,845(または周辺装置)とを含む。入力/出力制御装置835は、当該技術で周知のように一つ以上のバスまたは他の有線もしくは無線接続でよいがこれらに限定されるわけではない。通信を可能にするため、入力/出力制御装置835は、制御装置、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、中継器、および受信器など、簡易化のために省略された付加的要素を有するとよい。さらに、上述したコンポーネントの間での適切な通信を可能にするため、ローカルインタフェースはアドレス、コントロール、および/またはデータ接続を含むとよい。
【0048】
プロセッサ805は、特にメモリ810に記憶されたソフトウェアを実行するためのハードウェアデバイスである。プロセッサ805は、注文品または市販のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、コンピュータ801と関連するいくつかのプロセッサの間の補助プロセッサ、半導体ベースのマイクロプロセッサ(マイクロチップまたはチップセットの形)、マクロプロセッサ、または一般的に、ソフトウェア命令を実行するためのいかなるデバイスでもよい。
【0049】
メモリ810は、揮発性メモリ要素(ランダムアクセスメモリ(DRAM,SRAM,SDRAM他などのRAM))と、不揮発性メモリ要素(ROM、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)、電子的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、プログラマブルリードオンリメモリ(PROM)、テープ、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD−ROM)、ディスク、ディスケット、カートリッジ、カセット、またはその他など)とのうち、いずれかまたはその組合せを含み得る。また、電子、磁気、光学、および/または他のタイプの記憶媒体をメモリ810が包含してもよい。メモリ810が分散アーキテクチャを有して、様々なコンポーネントが相互に遠隔位置にあるがプロセッサ805によりアクセス可能であってもよいことに注意すること。
【0050】
メモリ810内のソフトウェアは、論理機能を実現するための実行可能な命令の序列リストを各々が含む一つ以上の独立したプログラムを含むとよい。図8の例において、メモリ810内のソフトウェアは、実施形態例について記載されるレーザ照準方法と、適当なオペレーティングシステム(OS)811とを含む。オペレーティングシステム811は本質的に、記載のレーザ照準システムおよび方法など、他のコンピュータプログラムの実行を制御するとともに、スケジューリングと、入力出力制御と、ファイルおよびデータ管理と、メモリ管理と、通信制御および関連サービスとを提供する。
【0051】
記載のレーザ照準方法は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、または実施される一組の命令を含む他のエンティティの形であるとよい。ソースプログラムの時には、OS811とともに適切に作動するように、メモリ810に含まれる、あるいは含まれないコンパイラ、アセンブラ、インタプリタ、その他を介して、プログラムが翻訳される必要がある。さらにレーザ照準方法は、データおよび方法の分類、または、ルーチン、サブルーチン、および/またはファンクションを有する手続き型プログラミング言語を有するオブジェクト指向のプログラミング言語として書かれてもよい。
【0052】
実施形態例では、従来のキーボード850およびマウス855が入力/出力制御装置835に結合されることが可能である。入出力デバイス840,845など他の出力デバイスは、例えばプリンタ、スキャナ、マイクロフォン、およびその他を含むがこれらに限定されない入力デバイスを含むとよい。最後に、入出力デバイス840,845はさらに、ネットワークインタフェースカード(NIC)またはモジュレータ/デモジュレータ(他のファイル、デバイス、システム、またはネットワークへのアクセス用)、無線周波数(RF)または他の送受信器、電話インタフェース、ブリッジ、ルータ、その他などだがこれらに限定されない、入力と出力の両方と通信するデバイスを含む。システム800はさらに、ディスプレイ830に結合されたディスプレイ制御装置825を含み得る。実施形態例において、システム800はさらに、ネットワーク865に結合するためのネットワークインタフェース860を含み得る。ネットワーク865は、ブロードバンド接続を介したコンピュータ801と外部のサーバ、クライアント、その他との間の通信のためのIPベースネットワークでよい。ネットワーク865は、コンピュータ801と外部システムとの間でデータを送信および受信する。実施形態例においてネットワーク865は、サービスプロバイダに管理される管理IPネットワークでよい。ネットワーク865は、WiFi、WiMaxなどの無線プロトコルおよび技術を使用するなどして、無線方式で実現されるとよい。ネットワーク865は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、インターネットネットワーク、または他の類似のタイプのネットワーク環境など、パケット交換ネットワークでもよい。ネットワーク865は、固定無線ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ワイドエリアネットワーク(WAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)、イントラネット、または他の適当なネットワークシステムでよく、信号を受信および送信するための機器を含む。
【0053】
コンピュータ801がPC、ワークステーション、インテリジェントデバイス、またはその他である場合には、メモリ810内のソフトウェアはさらに基本入出力システム(BIOS)(簡略化のため省略)を含むとよい。BIOSは、始動時にハードウェアを初期化してテストし、OS811を始動させ、ハードウェアデバイスの間のデータの伝達をサポートする一組の本質的なソフトウェアルーチンである。コンピュータ801が起動した時にBIOSが実行されるように、BIOSはROMに記憶されている。
【0054】
コンピュータ801が作動している時に、プロセッサ805は、メモリ810に記憶されたソフトウェアを実行し、メモリ810との間でデータを通信し、ソフトウェアに従ってコンピュータ801の動作を概ね制御するように構成されている。記載のレーザ照準方法およびOS811の全体または一部(一般的には後者)が、プロセッサ805によって読み取られ、おそらくはプロセッサ805内のバッファに格納されてから、実行される。
【0055】
図8に示されているように、記載のシステムおよび方法がソフトウェアにおいて実現される時には、何らかのコンピュータ関連システムまたは方法による、またはこれに関する使用のため、記憶装置820などのコンピュータ読取可能媒体に方法が記憶されるとよい。
【0056】
当該技術分野の熟練者には理解されるように、本発明の態様は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として設けられるとよい。したがって、本発明の態様は、ハードウェア限定実施形態、ソフトウェア限定実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、または概して「回路」、「モジュール」、または「システム」とすべてが呼ばれるソフトウェアとハードウェアの面を組み合わせた実施形態の形を取るとよい。さらに本発明の態様は、コンピュータ読取可能プログラムコードが設けられた一つ以上のコンピュータ読取可能媒体に設けられたコンピュータプログラム製品の形を取ってもよい。
【0057】
一つ以上のコンピュータ読取可能媒体によるいかなる組合せが利用されてもよい。コンピュータ読取可能媒体は、コンピュータ読取可能信号媒体またはコンピュータ読取可能記憶媒体でよい。コンピュータ読取可能記憶媒体は、例えば電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体システム、装置、デバイス、あるいは上記の適当な組合せでよいが、これらに限定されるわけではない。コンピュータ読取可能記憶媒体のより特殊な例(非網羅的リスト)は、以下を含む。1本以上の線を有する電気接続、可搬コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、可搬コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD−ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または上記の適当な組合せ。本書において、コンピュータ読取可能記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによる、またはこれに関する使用のためのプログラムを格納または記憶することのできる有形の媒体でよい。
【0058】
コンピュータ読取可能信号媒体は、例えばベースバンドにおいて、または搬送波の一部としてコンピュータ読取可能プログラムコードが設けられた伝搬データ信号を含んでもよい。このような伝搬信号は、電磁気、光学、またはその適当な組合せを含むがこれらに限定されない多様な形のいずれかを取ればよい。コンピュータ読取可能信号媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによるかこれに関する使用のためのプログラムを通信、伝搬、または搬送できる、コンピュータ読取可能記憶媒体ではない何らかのコンピュータ読取可能媒体でよい。
【0059】
コンピュータ読取可能媒体に設けられるプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、または上記の適当な組合せを含むがこれらに限定されるわけではない適切な媒体を使用して送信されるとよい。
【0060】
本発明の態様についての動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++、またはその他などオブジェクト指向のプログラミング言語と、“C”プログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語とを含む、一つ以上のプログラミング言語の組合せで書かれるとよい。プログラムコードは、ユーザのコンピュータのみで、一部がユーザコンピュータで、独立型ソフトウェアパッケージとして、一部がユーザのコンピュータ、一部が遠隔コンピュータで、または遠隔コンピュータまたはサーバのみで実行されるとよい。後者のシナリオでは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む何らかのタイプのネットワークを通して遠隔コンピュータがユーザのコンピュータに接続されてもよく、(例えばインターネットサービスプロバイダを使用しインターネットを通して)外部コンピュータに接続が行われてもよい。
【0061】
本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品についての流れ図および/またはブロック図を参照して、本発明の態様を以下で説明する。流れ図および/またはブロック図の各ブロックと、流れ図および/またはブロック図のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令により実現可能であることは理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを生成するため、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行されるこの命令が、流れ図および/またはブロック図の単数または複数のブロックに明記された機能/作用を実現するための手段となる。
【0062】
コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスに特定のやり方で機能するように指示できるコンピュータ読取可能媒体にもこれらのコンピュータプログラム命令が記憶可能であるため、コンピュータ読取可能媒体に記憶された命令により、流れ図および/またはブロック図の単数または複数のブロックに明記された機能/作用を実行する命令を含む製品が生み出される。
【0063】
コンピュータまたは他のプログラマブル装置で実行されるコンピュータプログラム命令が、流れ図および/またはブロック図の単数または複数のブロックに明記された機能/作用を実現するためのプロセスを提供するように、これらの命令がコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスにロードされて、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイスで実施される一連の動作ステップによりコンピュータ実現プロセスが生み出されてもよい。
【0064】
図の流れ図およびブロック図は、本発明の様々なに実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品のアーキテクチャ、機能、および実現可能な動作を図示している。これに関して、流れ図またはブロック図の各ブロックは、指定の論理機能を実現するための一つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、またはコードの一部を表すとよい。ある代替的実行例では、ブロックに記された機能が図に記された順序以外で行われてもよいことにも注意すべきである。例えば、必要とされる機能性に応じて、連続して示された二つのブロックが実際にはほぼ同時に実行されるか、ブロックが時には逆の順序で実行されてもよい。ブロック図および/または流れ図の各ブロック、およびブロック図および/または流れ図のブロック組合せが、専用ハードウェアおよびコンピュータ命令について明記された機能または作用あるいは組合せを実施する専用ハードウェアベースシステムによって実現されてもよいことにも言及しておく。
【0065】
レーザ照準方法がハードウェアで実現される実施形態例において、記載のレーザ照準方法は、各々が当該技術でよく知られている以下の技術のいずれかまたは組合せにより実行可能である。データ信号に基づいて論理機能を実現するための論理ゲートを有する分散型論理回路、適切な組合せ論理ゲートを有する特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など。
【0066】
好適な実施形態について図示および説明してきたが、発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変形および代用が可能である。したがって、本発明は限定でなく例として説明されたことを理解すべきである。
【0067】
そのため、今回開示される実施形態は、すべての点で限定的でなく例示的と考えられ、発明の範囲は上記の説明ではなく添付の請求項によって示され、そのため請求項の意味および同等範囲に含まれるすべての変更も包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰反射体で反射される光線ビームを放射する光源を含み、前記光線ビームがユーザにより位置決め可能である、レーザトラッカであって、
第1軸を中心として回転可能な構造と、
前記第1軸を中心とする第1回転角度を測定する第1エンコーダと、
前記第1軸を中心として前記構造を回動させる第1モータと、
前記光線ビームの照準方向を制御するためのコンピュータ実行可能命令を保持するように構成されたメモリと、
前記コンピュータ実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサと、前記第1エンコーダの平均読取値を算出することにより、前記ユーザにより印加される前記第1軸を中心とする回転に対応するように構成された第1モジュールを前記コンピュータ実行可能命令が含む、プロセッサと、
前記第1エンコーダの前記平均読取値により前記第1回転角度を遅角するような方法で前記第1モジュールにより前記第1モータを駆動するように構成された制御システムと、
を具備するレーザトラッカ。
【請求項2】
第2軸を中心として回転可能な前記構造と、
前記第2軸を中心とする第2回転角度を測定する第2エンコーダと、
前記第2軸を中心として前記構造を回動させる第2モータと、
前記第2エンコーダの平均読取値を算出することにより、前記ユーザにより印加される前記第2軸を中心とする回転に対応するようにさらに構成された前記第1モジュールと、
前記第2エンコーダの前記平均読取値により前記第2回転角度を遅角するような方法で前記第1モジュールにより前記第2モータを駆動するようにさらに構成された前記制御システムと、
をさらに具備する、請求項1に記載のレーザトラッカ。
【請求項3】
前記再帰反射体に反射して前記レーザトラッカへ再入する前記光線ビームのビームの位置に反応する位置検出器と、
前記位置検出器で反射した前記光線ビームの前記位置を記録するように構成された第2モジュールをさらに含む、前記コンピュータ実行可能命令と、
前記再帰反射体の中心に向けて前記光線ビームを移動させるような方法で前記第2モジュールにより前記第1モータおよび前記第2モータを駆動するようにさらに構成された制御システムと、
をさらに具備する、請求項2のレーザトラッカ。
【請求項4】
前記第1軸および前記第2軸を中心とする前記光線ビームの特定回転パターンを記録するように構成された第3モジュールをさらに含む前記コンピュータ実行可能命令と、
前記第1軸および前記第2軸を中心とする前記特定回転パターンを前記光線ビームに辿らせるような方法で、前記第3モジュールにより前記第1モータおよび前記第2モータを駆動させるようにさらに構成された前記制御システムと、
をさらに具備する、請求項2のレーザトラッカ。
【請求項5】
前記レーザトラッカから前記再帰反射体までの距離を測定する距離計をさらに具備する、請求項2のレーザトラッカ。
【請求項6】
表面で反射される光線ビームを放射する光源を含み、前記光線ビームがユーザにより位置決め可能であるスキャナであって、
第1軸を中心として回転可能な構造と、
前記第1軸を中心とする第1回転角度を測定する第1エンコーダと、
前記第1軸を中心として前記構造を回動させる第1モータと、
前記光線ビームの照準方向を制御するためのコンピュータ実行可能命令を保持するように構成されたメモリと、
前記コンピュータ実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサであって、前記第1エンコーダの平均読取値を算出することにより、前記ユーザにより印加される前記第1軸を中心とする回転に対応するように構成された第1モジュールを前記コンピュータ実行可能命令が含む、プロセッサと、
前記第1エンコーダの前記平均読取値により前記第1回転角度を遅角するような方法で前記第1モジュールにより前記第1モータを駆動するように構成された制御システムと、
を具備するスキャナ。
【請求項7】
第2軸を中心として回転可能な前記構造と、
前記第2軸を中心とする第2回転角度を測定する第2エンコーダと、
前記第2軸を中心として前記構造を回動させる第2モータと、
前記第2エンコーダの平均読取値を算出することにより、前記ユーザにより印加される前記第2軸を中心とする回転に対応するようにさらに構成された前記第1モジュールと、
前記第2エンコーダの前記平均読取値により前記第2回転角度を遅角するような方法で、前記第1モジュールにより前記第2モータを駆動するようにさらに構成された前記制御システムと、
をさらに具備する、請求項6のスキャナ。
【請求項8】
前記第1軸を中心とする前記光線ビームの特定回転パターンを記録するように構成された第2モジュールをさらに含む前記コンピュータ実行可能命令と、
前記第1軸を中心とする前記特定回転パターンを前記光線ビームに辿らせるような方法で前記第2モジュールにより前記第1モータを駆動するようにさらに構成された前記制御システムと、
をさらに具備する、請求項6のスキャナ。
【請求項9】
前記スキャナから前記表面までの距離を測定する距離計をさらに具備する、請求項6のスキャナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−505452(P2013−505452A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529974(P2012−529974)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049620
【国際公開番号】WO2011/035290
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(598064510)ファロ テクノロジーズ インコーポレーテッド (60)
【Fターム(参考)】