説明

レーザ装置

【課題】フットスイッチを機器本体に収納させた状態でも操作でき、機器本体からケーブルを引き伸ばした状態でも操作できることを両立させたことにより、フットスイッチを床面に引きずって断線等のトラブル防止と収納させたままでも操作できることにより汚れたケーブルに触れることなく操作できるレーザ装置を提供する。
【解決手段】機器本体1の下台座部の鍔部の上部にフットスイッチ4を置くための凹部を設けてフットスイッチ収納部6とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ装置に関し、レーザ出力のオン、オフを制御するフットスイッチをレーザ装置機器本体の底部外郭に収納させるためのスペースを設けた発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用、歯科用などのレーザ装置(レーザ機器とも言う)が出血や痛みを伴わず治療効果にも優れていることからその需要が伸びてきている。かかるレーザ機器は従来一定の場所に設置し使用することが多かったが、最近はそのオン/オフのためにフットスイッチを有したものも考えられ(例えば特許文献1参照)、製造されるようになってきた。
【0003】
ただし、一般にフットスイッチの収納は、機器そのものには何ら影響を与えるものではないので、あまり関心が払われていない。フットスイッチ収納部を有しない機器は床面に置かれ、移動中は、ケーブルを取っ手等の突起部に引っ掛けたり吊り下げたりして使用されている。またレーザ装置は高額な機器であることから医療現場においては、1台のレーザ装置を有効活用するために、複数の治療台間を頻繁に移動させることがある。
【特許文献1】特開2002−253571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スペース的にも余裕がないため、フットスイッチが適切に持ち運びされない為に、機器本体に引っ掛けたり吊り下げたりする取り扱い作業もわずらわしいうえ、床面を転がったりして無理な負荷が加わって接続部が損傷して断線してしまう要因ともなっていた。断線すると誤って操作される危険の可能性もあった。また、図4に示すように、フットスイッチケーブル3を本体側面に引っ掛けた場合、レーザ装置下部の傾斜面にフットスイッチがかろうじて接するものもあるが、固定できていないためこの状態でフットスイッチを操作することは不可能であった。
【0005】
本発明は上記課題を解決する為に、フットスイッチを容易に収納でき、収納した状態で安心して場所を移動でき、損傷・断線の心配のない高品質、操作性に優れたレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレーザ装置は、上記課題を解決する為に、レーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ発信器および前記レーザ制御部トを内部に備えた本体部と、前記本体部の底部を覆って横方向に少なくとも一部突き出した鍔部を備え床面とキャスタを介して相対してなる台座と、装置操作者の入力により前記レーザ制御部からレーザ出力のオン、オフを制御するフットスイッチとを備え、前記台座の鍔部の上部に前記フットスイッチを置くための凹部を設けている。
【0007】
この構成により、レーザ装置の移動にあたり、安定性良くフットスイッチを定置できるスペースを設けることができ、さらに操作性、デザイン性に優れた形で設けることができた。
【0008】
また、本発明のレーザ装置は、前記フットスイッチの底部に嵌合する保持手段を前記凹部の底面に設けている。
【0009】
この構成により、移動時に若干の振動、衝撃等があっても、凹部から落下することがなく、安心して、場所を移動できる。
【0010】
また、本発明のレーザ装置は、前記凹部の底面は前記フットスイッチを定置した場合、前記フットスイッチの操作レバ−先端と前記レーザ装置を設置しかつ前記フットスイッチ直前の床面との最短距離が25cm以下であるように、凹部を形成している。
【0011】
この構成により、医療現場ではフットスイッチを本体の凹部から取り外すことなく収納させたままでフットスイッチレバーを操作することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によると、フットスイッチを容易に収納でき、収納した状態で安心して場所を移動でき、損傷・断線の心配のない高品質、操作性に優れたレーザ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を、図1から図4を用いて説明する。
【0014】
図1は、レーザ装置の外観を示す斜視図で、フットスイッチを収納していない状態を示す。本体1の内部にはレーザ発振器、及びレーザの出力を制御するレーザ制御部が組み込まれている。制御されたレーザはレーザ導波管(ファイバーとも言う)を介してプローブの先端から患者患部に照射させる。フットスイッチ4は、フットスイッチカバー5で覆われていて、一般的にこの両者を合わせてフットスイッチと呼称されている(この場合、フットスイッチ5aと示す)。フットスイッチ5aは、ケーブル3を介して本体側面の引き出し口2から入って本体に接続されている。
【0015】
操作者は通常は、この図1の状態でフットスイッチ5aを操作し、必要に応じてフットスイッチ4をオン/オフし、レーザ光を照射する。フットスイッチ収納部6は本発明の底部台座に設けた凹部(以下くぼみ部ともいう)であり、フットスイッチ5aの保持手段であるフック7はフットスイッチカバー5の底裏面に設けた孔部に嵌合させることにより、医療現場での移動中にフットスイッチ5aがずり落ちることを防止させることができる。
【0016】
図2は、フック7の拡大図である。フック7はネジ9でフットスイッチ収納部6に固定されている。フットスイッチカバー5の底面に設けられた異形孔10に嵌合する。フットスイッチ収納部6は傾斜させることにより、フットスイッチ5aを凹部に収納させた状態でも足で踏み易いようにしている。
【0017】
凹部に収納した状態でのフットスイッチの操作レバ−先端と、レーザ装置を設置したフットスイッチ直前の床面との最短距離が25cm以下であるように、凹部を形成したことで、医療現場ではフットスイッチ5aを本体の凹部から取り外すことなく収納させたままでフットスイッチレバーを操作することも可能である。操作者がかかとを床に置いた状態で、足首を軽く曲げる程度でフットスイッチレバーの先端につま先が係り、力が入る位置を考慮し25cm以下としている。
【0018】
本実施の形態においては傾斜角度を6°にしているが、さらにキャスタの大きさや、底部台座(本体部の底部を覆って横方向に少なくとも一部突き出した鍔部)の厚み等に対応して、この傾斜角度は任意に選ぶことができる。
【0019】
図3は、フットスイッチを収納させた状態を示す。ケーブル3は、ケーブルフック8にひっかけて床面から持ち上げ、フットスイッチを所定の台座に設けたくぼみに、きれいに収納させることができる。前述の発明の効果で述べたように操作者は、フットスイッチが正常位で収納されている為に、この状態で足を差し入れて操作することも可能となった。
【0020】
また、多くの場合は椅子に座ってレーザ装置を操作するため、操作者者の邪魔にならないように本体前部を大きくえぐって膝スペースを確保し、更に操作スイッチを配置した上パネル部は手前に出して操作性を向上させた。さらに、レーザ治療の現場にあっても患者の不安な気持ちを和らげる意味でも、フットスイッチ収納部6とその傾斜、フットスイッチカバー5の形状、底部台座(本体部の底部を覆って横方向に少なくとも一部突き出した鍔部)も含め全体的にデザインにも注力することで、機能とデザインの両立を図っている。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように、本発明のレーザ装置は、操作後は粗雑に扱われがちなフットスイッチの収納を実現させたものであり、さらには、本体部に収納させたままでも操作可能な位置に収納させることにより、フットスイッチを引き出して操作させることとの両立を可能としたことを特徴とするもので、フットスイッチを使用し、かつ本体を頻繁に移動する可能性のある装置類にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のレーザ装置の外観を示す斜視図
【図2】本発明のレーザ装置の収納部及びフックの断面拡大図
【図3】本発明のレーザ装置のフットスイッチを収納した状態の外観斜視図
【図4】従来のレーザ装置の外観図
【符号の説明】
【0023】
1 レーザ機器本体
2 フットスイッチケーブル引出し口
3 フットスイッチケーブル
4,5a フットスイッチ
5 フットスイッチカバー
6 台座に設けたフットスイッチ収納部
7 フック
8 ケーブルフック
9 ネジ
10 フットスイッチカバー底面のフックとの嵌合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力するレーザの出力を制御するレーザ制御部と、前記レーザ発信器および前記レーザ制御部トを内部に備えた本体部と、前記本体部の底部を覆って横方向に少なくとも一部突き出した鍔部を備え床面とキャスタを介して相対してなる台座と、装置操作者の入力により前記レーザ制御部からレーザ出力のオン、オフを制御するフットスイッチとを備え、前記台座の鍔部の上部に前記フットスイッチを置くための凹部を設けたレーザ装置。
【請求項2】
前記フットスイッチの底部に嵌合する保持手段を前記凹部の底面に設けたことを特徴とする請求項1記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記凹部の底面は前記フットスイッチを定置した場合、前記フットスイッチの操作レバ−先端と前記レーザ装置を設置しかつ前記フットスイッチ直前の床面との最短距離が25cm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−97758(P2007−97758A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289808(P2005−289808)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】