説明

レーダーの干渉信号を除去するシステムおよび方法

【課題】レーダー戻り信号における干渉信号を除去する、周波数変調連続波(FMCW)レーダー用のシステムと方法を提供する。
【解決手段】干渉信号が検知されると、直ちに干渉信号の範囲が決定され、干渉信号がレーダー戻り信号から除去されるため、レーダーは、干渉信号が存在しても、観測対象を検知することができる。このシステムと方法は、このシステムを搭載したFMCWレーダーと同一の周波数で作動する干渉レーダー源(例えばもう1つのFMCWレーダー、警察のレーダーガン、パルスレーダー等)の範囲内で使用されるFMCWレーダーにも効果をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダーシステム、およびこのレーダーシステムで用いられる方法に係り、特に、レーダーの反射信号に見られる干渉信号を除去するレーダーシステム、およびこのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
すでに知られているように、周波数変調された連続波(FMCW)レーダーは、連続的に変化する周波数をもつレーダー信号を送信する。FMCWレーダーは、観測対象の存在する範囲を同定するため、送信信号と、観測対象からエコーとして戻ってくる受信信号との周波数の差を測定する。周波数の差は、送信信号を発してから受信信号を受け取るまでの時間の遅れ、すなわち送信信号が観測対象へ到達してからレーダーに戻ってくるまでの時間と関連づけられている。
【0003】
典型的なFMCWレーダーにおいては、送信信号の周波数は、いわゆる「チャープ(chirp)信号」の第1の所定周波数から第2の所定周波数へ直線的に増加する。チャープ信号は、所定の時間間隔で繰り返し送信される。FMCWレーダーは、高感度で、送信出力が比較的小さく、方位分解能が良好であるという利点を有する。これまでのFMCWレーダーにおいては、チャープ信号の周波数は、24.05GHzから24.25GHzまで、概ね直線的に変化する。
【0004】
これまでのFMCWレーダーは、送信信号と受信信号を混合(重畳)するミキサを用いている。ミキサの出力の1つは、上述の送信信号と、受信信号(ここでは、「逓降信号」または「ビデオ信号」と呼ぶこともある。)における周波数の差である。「逓降信号」または「ビデオ信号」は、「うなり周波数」を有する場合がある。うなりは、概ね、送信信号または受信信号の周波数よりも、低い周波数領域で生ずる。
【0005】
逓降信号は、例えばアナログ−デジタル(A/D)コンバータを用い、所定の時間間隔でサンプリングすることができる。得られたサンプルは、周波数領域に高速フーリエ変換(FFT)し、周波数スペクトルを得ることができる。この周波数スペクトルから、種々の方法を用いて、観測対象が存在する範囲と関連づけられた逓降信号を同定することができる。この方法は、特許文献1に記載されている。
【0006】
周波数スペクトルは、観測対象が存在する範囲に対応する逓降信号だけでなく、ノイズも含んでいる。このノイズは、FMCWレーダーが用いられる環境に存在する電気的(すなわち熱による)ノイズ源およびレーダー信号のノイズ源と関連づけられている。レーダーシステムの観測領域には2つ以上の観測対象が存在する場合もある。したがって、逓降信号の時間サンプルは、2つ以上のうなり周波数を含むこともある。
【0007】
周波数スペクトルから観測対象の存在範囲を決定するためには、周波数スペクトルの範囲内で、観測対象の存在範囲を示す周波数信号が同定されなければならない。しかし、ある種の干渉信号は、このような観測対象の存在範囲を示す周波数信号の同定を著しく阻害する。例えば、FMCWレーダーの十分に高い出力の下で掃引帯域に存在する干渉信号は、周波数スペクトルを圧倒して、逓降信号の時間サンプルに悪影響を及ぼすため、観測対象の存在範囲を示す周波数信号は、周波数スペクトルの範囲内で見出すことができなくなる。
【0008】
図1に示すグラフ10において、水平軸は、FFTによる周波数を表し、垂直軸は、dB単位でFFTの計数値(逓降信号の時間サンプルのFFT処理によって得られる)を表す。
【0009】
曲線12には、うなり周波数f1、および対応する観測対象の範囲を示すピーク14が存在する。また、曲線12には、ノイズのバックグラウンド16も見られる。
【0010】
曲線18には、明瞭に観測対象を示すようなピークは存在しない。曲線18は、曲線12によって表される信号が干渉信号を含むときに、FFTによって周波数領域を処理したときの出力を示す。
【0011】
干渉信号が単一の周波数を示す場合、FMCWレーダーシステムにおいて、上述のミキシングとFFTを含む処理を施しても、上記単一の周波数は、周波数スペクトルに残存する。これは、ミキシング処理が、きわめて短時間の干渉信号に対応するミキシング出力信号を与えるからである。周波数スペクトルの一部または全体にわたってノイズのレベルが上昇すると、ピーク14(すなわち観測対象のS/N比)が低下し、FMCWレーダーの検知能力が著しく低下する。曲線18においては、ピーク14は、正確には見出すことができない。
【0012】
FMCWレーダーの用途の1つに、自動車の死角に位置する観測対象を検知するための車両用レーダーシステムがある。車両用レーダーは、上述の24.05GHzから24.25GHzまでのチャープ周波数を採用していることが多い。自動車の速度を検知する警察のレーダーは、この周波数帯を用いている(例えば24.197GHz)。
【0013】
車両用レーダーにおいては、干渉信号の影響を最小にとどめ、対象(例えば他の車両)を、正確に、かつ高い信頼性の下に検知しうるレーダーシステムを用いることが必要である。
【0014】
レーダーシステムの正確さと信頼性は、非常に重要である。車両用レーダーシステムの正確さと信頼性に貢献する特性には、センサのノイズ(干渉信号を含む)に対する感度、および受信される高周波(RF)信号を、ノイズと干渉信号の存在下で、対象を検知すべく処理するときの全般的な精度が含まれる。ノイズ(干渉信号を含む)に対する感度が高いと、車両用レーダーシステムが、対象を誤って検知することとなり(すなわち、警告の頻度が高まる)、また、対象の検知をのがす(検知の確率が低下する)ことにもなる。
【特許文献1】米国特許第6577269号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レーダー戻り信号における干渉信号を除去する、周波数変調連続波(FMCW)レーダー用のシステムと方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、レーダー戻り信号と関連づけられた時間サンプルを抽出する過程と、前記時間サンプルにおいて干渉信号を検知するために、この時間サンプルを処理する過程とを含むレーダー戻り信号を処理する方法が提供される。本発明の方法は、干渉信号の範囲を決定する過程と、前記時間サンプルから干渉信号を除去する過程とをさらに含むのが好ましい。
【0017】
本発明の他の様相に係る方法は、前記時間サンプルと関連づけられた複数のアレー値を有するアレーを生成する過程と、前記複数のアレー値と関連づけられた少なくとも1つの閾値を生成する過程と、前記複数のアレー値と前記少なくとも1つの閾値とを比較する過程と、少なくとも所定の数のアレー値が前記少なくとも1つの閾値を上回った場合に、干渉信号が存在すると検知する過程とをさらに含む。この場合、前記複数のアレー値は、勾配(1次導関数)値、高次導関数の値、時間サンプルの絶対値、および時間サンプルと関連づけられた冪の値のいずれかを含む。
【0018】
また、レーダー戻り信号と関連づけられた干渉信号の範囲を決定する過程は、レーダー戻り信号と関連づけられた時間サンプルを抽出する過程と、時間サンプルおよび干渉信号と関連づけられた下方アレーサンプル境界および上方アレーサンプル境界を同定する過程と、第1のサンプル保護帯値を決定する過程と、第2のサンプル保護帯値を決定する過程と、干渉信号下方アレーサンプル範囲を定めるため、前記下方アレーサンプル境界から第1のサンプル保護帯値を差し引く過程と、干渉信号上方アレーサンプル範囲を定めるため、前記上方アレーサンプル境界に第2のサンプル保護帯値を加える過程と、干渉信号下方アレーサンプル範囲と干渉信号上方アレーサンプル範囲に従って、干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲の少なくとも一方を同定する過程とを含む。
【0019】
本発明のさらに他の様相に係るレーダー戻り信号から干渉信号を除去する方法は、レーダー戻り信号と関連づけられた時間サンプルを抽出する過程と、前記時間サンプルおよび干渉信号と関連づけられた下方アレーサンプル境界および上方アレーサンプル境界の同定する過程と、第1のサンプル保護帯値を決定する過程と、第2のサンプル保護帯値を決定する過程と、干渉信号下方アレーサンプル範囲を定めるために、前記下方アレーサンプル境界から第1のサンプル保護帯値を差し引く過程と、干渉信号上方アレーサンプル範囲を定めるために、前記上方アレーサンプル境界に第2のサンプル保護帯値を加える過程と、干渉信号下方アレーサンプル範囲と干渉信号上方アレーサンプル範囲に従って、干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲の少なくとも一方を同定する過程とを含む。また、この方法は、(a)干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲との間にある時間サンプルを除外して、勾配が連続的な時間サンプルのグループを選び出す過程、および(b)干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲に従って加重関数を生成し、この加重関数を時間サンプルに適用する過程のいずれか一方を含む。
【0020】
本発明のさらに他の様相によれば、レーダー受信モジュールと、このレーダー受信モジュールに接続されて、逓降信号と関連づけられた時間サンプルを抽出するレーダー信号サンプリングモジュールと、前記時間サンプルを受け取り、かつこの時間サンプルにおいて干渉信号を検知する干渉検知器とを含む、レーダー戻り信号の処理システムが提供される。このシステムは、干渉信号の範囲を決定するために、前記干渉検知器に接続された干渉範囲プロセッサと、この干渉範囲プロセッサに接続されて、前記時間サンプルから干渉信号を除去する干渉除去プロセッサとをさらに含むのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、FMCWレーダーによって受信される信号において、干渉信号を検知するためのシステムと方法が提供される。干渉信号が検知されると、直ちに干渉信号の範囲が決定され、干渉信号と関連づけられた時間サンプルが、逓降信号から除去される。したがって、FMCWレーダーは、干渉信号が存在しても、観測対象を検知、追跡、または分類することができる。本発明のシステムと方法は、このシステムを搭載したFMCWレーダーと同一の周波数で作動する干渉信号を生成する他のシステム(例えばもう1つのFMCWレーダー、警察のレーダーガン、パルスレーダー等)の存在下で用いられるFMCWレーダーにも効果をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る、レーダーの干渉信号を除去するシステムと方法を説明する前に、いくつかの用語と概念を定義する。
【0023】
「周波数変調された連続波(FMCW)によるレーダーシステム」とは、初期の周波数から最終的な周波数まで、周波数が経時的に変化するFMCW信号(ここでは「チャープ」信号とも呼ぶ)を送信するタイプのレーダーシステムをいう。FMCWレーダーは、観測対象から戻ってくる反射信号(これも、チャープ特性を有する)を受信して処理する。
【0024】
「逓降信号」および「ビデオ信号」は、FMCWレーダーシステムの受信部に用いられるミキサ回路の出力を意味する。逓降信号は、送信レーダー信号と、観測対象から戻ってくる反射信号との周波数の差を表す。反射信号は、ただ1つの観測対象から受信される場合が多い。一方、逓降信号は、ミキシング処理時に生成する、振幅がきわめて大きい「うなり周波数」を含む。
【0025】
以下に説明する各実施形態においては、信号の複数の勾配値(1次導関数)を有する勾配アレー(配列)を生成する。勾配アレーは、レーダーの反射逓降信号の時間サンプルを処理し、干渉信号を検知してその範囲を決定するのに用いられる。また、以下の実施形態においては、信号の勾配値を絶対値で示す。「勾配値」とは、勾配の絶対値と関連づけられた値、または勾配の非絶対値と関連づけられた値のいずれかを意味する。
【0026】
いくつかの信号の勾配値は、サンプルの勾配値の上限および下限、ならびにサンプルの勾配値の上限範囲および下限範囲(図4参照)と関連づけられている。
【0027】
以下の実施形態においては、干渉信号を検知し、その範囲を決定する手段として勾配値を用いるが、他のパラメータを用いて干渉信号を検知し、その範囲を決定するタイプのアレーも用いうることに留意すべきである。例えば、時間サンプルを処理して、代わりに、サンプルの上限および下限の冪の値、ならびにサンプルの上限および下限の冪の範囲を出力する、複数の出力値をもつ冪アレーを用いる実施形態も可能である。これ以外のタイプのアレーについては、後述する。
【0028】
図2に示すように、FMCWレーダーシステム50は、送信アンテナ54に接続されたFMCW送信システム64、および受信アンテナ56に接続されたFMCW受信システム66を有している。FMCW受信システム66は、逓降信号73を与えるレーダー受信モジュール68、および逓降信号73と関連づけられた時間サンプル76を与えるレーダー信号サンプリングモジュール(A/Dコンバータ)74を備えている。
【0029】
FMCWレーダー50は、時間サンプル76を受け取って処理することにより干渉信号を同定する干渉検知器78(アレープロセッサ78aを具備する)を備えている。また、レーダーシステム50は、干渉信号の範囲を決定する干渉範囲プロセッサ88(リミットプロセッサ88aを具備する)、およびレーダーの反射信号と関連づけられた時間サンプルから干渉信号を除去した信号94を与える干渉除去プロセッサ92(選択プロセッサ92aと加重プロセッサ92bの少なくとも一方を具備する)を備えている。
【0030】
FMCWレーダーシステム50は、送信アンテナ54を介して、チャープ信号58を送信する。チャープ信号58は、観測対象52によって反射され、エコー60として戻り、受信アンテナ56によって受信される。受信アンテナ56は、送信アンテナと同一でも、別個のものでもよい。この実施形態においては、受信アンテナによって受信される干渉レーダー信号62を生成する干渉器53が設けられている。
【0031】
エコー60と干渉レーダー信号62は、ミキサ70によって、逓降信号73とされる。逓降信号73は、A/Dコンバータ74によってサンプリングされ、時間サンプル76として、干渉検知器78に送られる。時間サンプル76は、干渉レーダー信号62と関連づけられた干渉信号を含んでいる。
【0032】
干渉検知器78の動作については、図4、図8、および図9を参照して詳細に説明するが、干渉検知器78は、時間サンプル76を処理して、これと関連づけられた複数の勾配アレー値を有する勾配アレーを生成し、この勾配アレー値を少なくとも一方の閾値と比較することによって、時間サンプル76に含まれている干渉信号を検知する。
【0033】
干渉範囲プロセッサ88の動作については、図4A、図8、および図10を参照して詳細に説明するが、干渉範囲プロセッサ88は、少なくとも一方の閾値を超える信号の勾配アレー値と関連づけられた勾配サンプルの下限と上限を同定する。干渉範囲プロセッサ88は、干渉信号の範囲(例えば信号が存在する時間の範囲)を決定するため、サンプルガード保護帯値を用いて、これらの上限と下限の範囲を拡張する。
【0034】
干渉除去プロセッサ92の動作については、図5、図8、図10、および図10Aを参照して詳細に説明するが、干渉除去プロセッサは、複数の時間サンプル76から、干渉範囲プロセッサ88によって同定された干渉信号の範囲内における時間サンプルを除き、近接している一群の時間サンプルを選択する。干渉除去プロセッサ92は、所定の時間サンプルを補間(例えばゼロ補間)する。近接している一群の時間サンプルは、除去されることはない。
【0035】
干渉検知器が干渉信号を検知する一方で、レーダー反射信号プロセッサは、信号94を処理する。しかし、干渉検知器78が干渉信号を検知しないときは、レーダー反射信号プロセッサは、時間サンプル76と同じ信号80を処理する。
【0036】
図3に示すように、グラフ100の水平軸は、dBsm(1m2当りのdB)単位で、種々の大きさの観測対象のレーダー断面積をとったものである。一方、垂直軸は、逓降信号の時間サンプル(例えば図2に示す時間サンプル76)と関連づけられた最大予想勾配をとったものである。曲線102は、所定の範囲内で種々のレーダー断面積を有する観測対象に対する信号の最大予想勾配を示す。
【0037】
各時間サンプルj(j=1,,,N−1;Nはチャープ信号と関連づけられた時間サンプルの数)に対して、時間サンプル76(図2参照)と関連づけられた勾配の絶対値が、次式に従って与えられる。
勾配(j)=時間サンプル(j+1)−時間サンプル(j)
【0038】
勾配(j)は、複数のアレー値を有するアレー、より詳しくは、それぞれが時間サンプル76と関連づけられた複数の勾配値をもつ勾配アレーである。勾配(j)における勾配値の数は、時間サンプル76(図2参照)の数と同じであることも、異なることもあり、勾配(j)における勾配値の数が、時間サンプル76(図2参照)の数よりも小さい場合もある。
【0039】
曲線102は、次のようにして得られる。時間サンプルと関連づけられた最大周波数(最大の観測対象範囲に対応する)は、下記数1のようにして算出される。
【数1】


ここで、Rmaxは最大観測対象範囲、cは光速、Δtは周波数掃引時間、fmaxは最大受信周波数、Bは周波数掃引の帯域幅である。
【0040】
逆に、fmaxよりも小さい各周波数に対応する観測対象範囲は、下記数2によって算出される。
【数2】

【0041】
各観測対象範囲(すなわち各周波数範囲)における自由空間範囲の損失rangeloss(f)は、下記数3によって算出される。
【数3】

【0042】
受信増幅器、例えば図2のダウンコンバータ68に関連づけられた、受信増幅器の周波数に係る利得ampgain(f)は、システムに依存する。受信増幅器の利得ampgain(f)が、上記自由空間範囲の損失の補償を反転させるように選択される場合もある。
【0043】
時間サンプルと関連づけられた最大予想勾配 maximum expected slope(j)は、可能な周波数全域(すなわち可能な観測対象範囲の全域)にわたって、次の数4に示す式に従って計算することができる。
【数4】

【0044】
ここで、jは1から最大周波数(FFTによる周波数ライン)までの値をとる。RangeFreqSlope(j)は、サンプル間隔とサンプル時間のシステムパラメータに基づくj番目の観測対象範囲に対応する受信信号の最大勾配である。RangeFreqSlope(j)を見つけるために用いられる周波数は、上記数1の方程式におけるRmaxをj番目の観測対象範囲の値で置き換えることによって得られる。RCSは、観測対象のレーダー断面積である。
【0045】
上記最大予想勾配(j)についての方程式は、複数の最大予想勾配値をもつ最大予想勾配アレーを与える。種々の範囲における勾配を代表する最大予想勾配値は、いずれも、曲線102に示される所与のレーダー断面積に関連づけられた最大勾配値maxslopevalueとなりうる。maxslopevalueは、増幅器の利得ampgain(f)に依存しているため、必ずしも最も近い観測対象に生じるわけではなく、いかなる観測対象範囲(すなわち、いかなる周波数)にある観測対象にも生じうる。
【0046】
以下では、アレーから選択されたmaxslopevalueは、勾配アレー値と比較するための閾値として用いうることを説明する。
【0047】
図4に示すように、グラフ120の水平軸は勾配サンプルの数を示している。勾配サンプルの数は、上述の最大予想勾配(j)の方程式に従う時間サンプル76(図2参照)と関連づけられている。このグラフに示す実施形態においては、255個の勾配サンプル(および256個の時間サンプル(図4A参照))を用いている。しかし、255個よりも少ない勾配サンプル、またはこれよりも多い勾配サンプル、および256個よりも少ない時間サンプル、またはこれよりも多い時間サンプルを用いることも可能である。グラフ120の垂直軸は、上述のmaximum expected slope (j)の方程式に従う勾配の絶対値を示している。
【0048】
曲線126は、最大予想勾配(j)の方程式に従う時間サンプル76(図2参照)と関連づけられた勾配の絶対値を表す。曲線126は、個別には示されていない個々の勾配サンプルslope(j)をつなぎ合わせたものである。曲線126の一部126aと126bは、勾配が比較的小さい時間サンプル76を表している。曲線126の他の一部126cは、勾配が比較的大きい時間サンプル76を表している。この一部126cが干渉信号を示していることは明らかである。
【0049】
第1の閾値122(ここでは最大勾配閾値と呼ぶ)は、上述の最大勾配値maxslopevalueに相当する。すでに説明したように、最大勾配値maxslopevalueとは、いかなる範囲においても最大勾配が得られる所定のレーダー断面積をもつ観測対象の最大予想勾配である。したがって、干渉信号が存在する場合を除き、曲線126が最大勾配閾値122を超えることはほとんどない。
【0050】
第2の閾値124(ここでは平均勾配閾値と呼ぶ)は、曲線126全体の平均勾配に定数Kを乗じたものを表す。平均勾配閾値は、下記数4に従って算出される。
【数5】

【0051】
この実施形態においては、Kを3とする。定数Kは、誤った警告の回数、すなわち、曲線126が第2の閾値124と交差する回数を減らすように設定される。定数Kは、検知の確率を高めるためのものである。すなわち、干渉信号が存在する場合には、以下の方法によってほぼ確実に検知される。曲線126は、干渉信号が存在する場合を除いて、平均勾配閾値を超えることはほとんどない。
【0052】
平均勾配閾値124は、最大勾配閾値122よりも小さいが、両者の関係を反対にすることもできる。この場合には、例えば、サンプルが最大勾配閾値と交差する範囲において、曲線の一部126cを除外して平均勾配閾値を算出する。
【0053】
干渉信号は、例えば、曲線126、ならびに第1および第2の閾値122,124を生成する干渉検知器7(図2参照)によって同定される。干渉信号は、曲線126が、最大勾配閾値122と平均勾配閾値124の両方と交差した(超えた)場合に検知される。この外、曲線126が最大勾配閾値122と交差した(超えた)だけをもって、干渉信号を検知するようにシステムを設計することもできる。
【0054】
干渉信号の検知は、最大勾配閾値122と平均勾配閾値124を超える所定の数の勾配を用いて行うこともできる。ここでいう所定の数とは、1よりも大きい数ならば何でもよい。干渉信号を検知するためには、少なくとも2つの勾配値(第1の勾配値と最後の勾配値)が、2つの閾値を超えなければならない。閾値を超える所定の数の勾配値は、経時的に求めることもできる。
【0055】
干渉信号が、曲線126と、最大勾配閾値122および平均勾配閾値124の一方または両方との交差から検知されると、干渉信号の範囲が、例えば干渉範囲プロセッサ88(図2参照)によって決定される。この決定を行うために、平均勾配閾値124と交差する曲線126の勾配が同定される。
【0056】
干渉信号の勾配を表す曲線126の一部126cは、2つの点130と132において、平均閾値124と交差している。両者の間の複数の中間点において交差する場合もある(図4においては、点143が唯一の例である)。点130(ここでは、下方勾配サンプル境界と呼ぶ)は、時間の早い段階での勾配サンプルと関連づけられている。同様に、点132は、時間の遅い段階での勾配サンプルと関連づけられている(ここでは、点132を上方勾配サンプル境界と呼ぶ)。
【0057】
所定の数の勾配サンプルポイントを含む第1の保護帯値は、点136(ここでは、下方勾配サンプル範囲と呼ぶ)を得るため、下方勾配サンプル境界130から差し引かれる。他方、所定の数の勾配サンプルポイントを含む第2の保護帯値は、点138(ここでは、上方勾配サンプル範囲と呼ぶ)を得るため、上方勾配サンプル境界132に加算される。
【0058】
第1と第2の保護帯は、同数、例えば5個の勾配サンプルポイントを含むこともあれば、5個よりも多いサンプル、またはこれよりも少ないサンプルを含むこともある。また、第1と第2の保護帯が、例えば曲線の一部126cの形状にしたがって、経時的に決定される場合もある。
【0059】
第1および第2の保護帯の値は、点136と点138の間にある勾配サンプルと関連づけられた時間サンプルを、次々と除去しうるように選択する。また、第1および第2の保護帯値は、曲線の一部126cの残留部分と関連づけられた時間サンプルが、以下に説明するように、時間サンプルから除去された状態にとどまることのないように選択する。
【0060】
以上、点130,132,136,138,143を、平均勾配閾値124との交差を前提に説明してきたが、最大勾配閾値122との交差に基づくものとすることもできる。
【0061】
曲線126は、アレー値として勾配値(とりわけ勾配の絶対値)をもつ勾配アレーを表しているが、他のアレー値をもつタイプの勾配アレーも用いることができる。以下に説明するように、アレーと、これに関連するアレー値は、複数の勾配値(図4に示す勾配の絶対値)をもつ勾配(一次導関数)アレー、複数の高次導関数の値をもつ高次導関数アレー、複数の冪の値をもつ冪アレー、および複数の時間サンプルの絶対値をもつ時間サンプル絶対値アレー等でもよい。これらのタイプのアレーにおいては、最大勾配閾値122と平均勾配閾値124に相当する閾値が設けられ、この閾値が、上述の要領で使用される。
【0062】
例えば、高次導関数アレーを用いる場合には、最大勾配閾値122と平均勾配閾値124に替えて、最大高次導関数閾値と平均高次導関数閾値が用いられる。また、冪アレーを用いる場合には、最大勾配閾値122と平均勾配閾値124に替えて、最大冪閾値と平均冪閾値が用いられる。時間サンプル絶対値アレーを用いる場合には、最大勾配閾値122と平均勾配閾値124に替えて、最大時間サンプルの絶対値の閾値と平均時間サンプルの絶対値の閾値が用いられる。したがって、いかなるタイプのアレーにおいても、上方勾配サンプル境界132および下方勾配サンプル境界130と比較しうるサンプルの境界、ならびに上方勾配サンプル範囲138および下方勾配サンプル範囲136と比較しうるサンプルの境界を、それぞれ同定することができる。
【0063】
上記の曲線126は、勾配の絶対値に対応するものであるが、絶対値でない勾配値を用いることできる。この場合、勾配値は、正負の値をとりうる。
【0064】
図4Aに示すグラフ150の水平軸は、時間サンプルの個数を表す。時間サンプルの数は、時間サンプル76(図2参照)と関連づけられている。グラフ150には、256個の時間サンプルをとってある。しかし、時間サンプルの個数は、256個よりも多くても少なくてもよい。グラフ150の垂直軸は、時間サンプルの振幅を、A/Dコンバータ74(図2参照)により与えられるデジタル計数値76(図2参照)によって表している。
【0065】
曲線152は、逓降信号73(図2参照)と関連づけられた時間サンプル76を表す。曲線152は、個別には示されていない複数個の時間サンプルをつなぎ合わせたものである。曲線152は、干渉信号を含まない時間サンプルを表す部分152a,152bと、干渉信号を含む時間サンプルを表す部分152cとを有している。
【0066】
曲線の一部152cは、図4に示す曲線の一部126cと位置が揃っている。すなわち、曲線の一部152cによって経時的に表される干渉信号は、曲線の一部126cによって表される比較的大きな勾配を有している。したがって、勾配サンプルの数に対応する干渉信号の下方勾配境界の範囲136と上方勾配境界の範囲138は、時間サンプルの数に対応する点162,164とそれぞれ関連づけられている。ここでは、それぞれ、点162は、干渉信号の下方時間サンプル範囲と、点164は、干渉信号の上方時間サンプル範囲と呼ぶ。
【0067】
すでに説明したように、点136と138には、保護帯値が適用される。したがって、点162と164は、干渉信号を取り囲む境界160aと160bを有する領域160を形成する。この領域160の外側に、干渉信号の一部が残存することはない。
【0068】
以下の説明から明らかとなるように、干渉信号の下方時間サンプル範囲162と下方時間サンプル範囲164との間にある時間サンプルは、この後の処理を行う前に、256個の時間サンプルのグループから除去することができる。
【0069】
図5に示すグラフ180(この図において、図4と同様の要素には同一の符号を付してある)の水平軸には、時間サンプルの数をとってある。時間サンプルの数は、時間サンプル76(図2参照)と関連づけられている。ここでは、時間サンプルの個数は、256である。しかし、これよりも少ないかまたは多い時間サンプルをサンプリングすることもできる。グラフ180の垂直軸は、時間サンプルの振幅を、A/Dコンバータ74(図2参照)により与えられるデジタル計数値76(図2参照)によって表している。
【0070】
曲線152は、概ね水平な部分152aのみからなる。点162によって表される下方時間サンプル範囲は、境界160aにおいて曲線152を途切れさせている。また、曲線152は、下方時間サンプル範囲162から、時間サンプルの数である少なくとも255まで、ゼロの値182をとって延びている。曲線152は、FFT処理のためのデータポイントをより多く提供するために、ゼロの値をとったまま、さらに延長されることもある。ここでは、曲線152に加えられるゼロの値を、「ゼロ・パッド」と呼ぶ。曲線152は、ゼロ以外の値を加えられることもある。この場合には、その値を「パッディング」と呼ぶ。
【0071】
図6に示す(この図において、図1と同様の要素には同一の符号を付してある)グラフ200の水平軸には、周波数ラインの数(bin)をとってある。また、グラフ200の垂直軸には、逓降信号73(図2参照)の時間サンプル76のFFT処理によって与えられるFFT計数をdB単位でとってある。すでに説明したように、曲線12は、うなり周波数f1を示すピーク14を有する周波数領域信号および観測対象に対応する観測対象範囲を表している。曲線12は、ノイズのバックグラウンド16も有している。
【0072】
一方、曲線18には、顕著なピークはみられない。曲線18は、曲線12によって表される受信信号が干渉信号を含む場合に、FFTによる周波数領域処理を行ったときの出力を示す周波数領域信号を表している。曲線18においては、ピーク14を正確に見出すことはできない。
【0073】
曲線204は、上記図4〜図6に示す方法を用いて得られた周波数領域信号を表している。曲線204を作成するために用いられた複数の時間サンプルは、曲線18を作成するために用いられた複数の時間サンプルと同じである。曲線204においては、干渉信号に関連づけられた時間サンプルは、上記の方法によってすでに除去されている。
【0074】
曲線204には、ピーク208が存在する。また、曲線204には、ノイズ領域212も存在する。観測対象は存在するが、干渉信号は存在しない状況下で得られる曲線12と、観測対象と干渉信号(上記の方法によって除去される)の存在下で得られる曲線204とを比較すると、ピーク208は、ピーク14と概ね整列しており、かつピーク204は、ピーク14よりも幅が大きいことが見てとれる。また、曲線204のノイズバックグラウンド212は、曲線12のノイズバックグラウンド16よりも、値が大きい。
【0075】
観測対象と干渉信号(すでに除去されている)の存在下で得られる幅の広いピーク208と、高い値をもつノイズバックグラウンド212は、観測対象は存在するが、干渉信号が存在しない状況下でFMCWレーダーシステムによって得られる曲線12におけるピークおよびノイズバックグラウンドと比べて、FMCWレーダーシステムの正確さを損なうこととなる。
【0076】
しかし、観測対象範囲を示すピーク208は、観測対象、および上記の方法によっては除去されない干渉信号の存在下で得られる曲線18において対応するピークが同定されない場合でも、同定することができる。したがって、上記の方法は、観測対象と干渉信号の両方が存在する場合におけるレーダーシステムの正確さを顕著に改善することができる。
【0077】
図7に示すグラフ220(この図において、図4Aと同様の要素には同一の符号を付してある)の水平軸には、時間サンプルの数をとってある。時間サンプルの数は、時間サンプル76(図2参照)と関連づけられている。また、グラフ220の垂直軸は、時間サンプルの振幅を、A/Dコンバータ74(図2参照)により与えられるデジタル計数値76(図2参照)によって表している。
【0078】
すでに説明したように、曲線152は、逓降信号73(図2参照)と関連づけられた時間サンプル76を表している。曲線152は、3つの部分152a,152b,152cを含んでおり、このうち部分152bは干渉信号を含まない時間サンプル76を表し、部分152cは干渉信号を含む時間サンプル76を表している。
【0079】
干渉信号の下方時間サンプル範囲162と上方時間サンプル範囲164は、領域160を区画している。
【0080】
大きな切込み部分222aを有する曲線222は、時間サンプルに適用される加重関数を表している。加重関数が、曲線152によって表される時間サンプルに適用されると、領域160にある時間サンプルは減少する。すなわち、干渉信号152bは減少し、ウィンドーで囲まれた256個の時間サンプルは残る。256個の時間サンプルには、例えば、さらに256個の値でパッドが付され、続くFFT処理で用いられる追加のサンプルとされる。
【0081】
曲線222は、加重関数の一例を示すにすぎない。他の加重関数を用いることもできる。例えば、加重関数は、複数の囲み機能を組み合わせに基づいて、つくり出すことができる。256個の時間サンプル(例えば図2に示す時間サンプル76)のグループが、干渉信号を含ム50個のサンプルを有する場合には、干渉信号を含ム50個のサンプルの領域において1つの余弦を用いて加重を行うハミング囲み機能を、256個のサンプルに適用する加重関数を用いる。また、加重関数は、50個のサンプルの干渉領域において、もう1つの囲み機能と組み合わせない、1つの余弦を用いるものとすることもできる。
【0082】
図8〜図10Bは、FMCWレーダーシステム50(図2参照)において実施される方法を表す流れ図である。方形の枠(例えば、図8の符号252で示す枠。ここでは「処理ブロック」と呼ぶ。)は、コンピュータのソフトウエアによる指示を示す。菱形の枠は、(例えば、図8の符号258で示す枠。ここでは「判断ブロック」と呼ぶ。)は、処理ブロックによって表されるコンピュータソフトウエアの指示の実行に影響を与える判断を示す。
【0083】
処理ブロックと判断ブロックは、デジタル信号処理回路や、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような、機能が等価な種々の回路によって実行されるステップを表す。流れ図は、特定のプログラミング言語の文法を表すものではない。むしろ、流れ図は、特定の装置に要求される処理を行わせるための回路設計やソフトウエア開発用に当業者が必要とする機能的な情報を表す。
【0084】
ループや変数の初期化等の多くのルーチンプログラム、および一時的な変数の使用は、示していないことに留意すべきである。当業者ならば、特に断らない限り、一連のブロックは例示にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更しうることは理解できると思う。したがって、特に断らない限り、以下で説明する各ブロックは、特定の順序を示すものではない。すなわち、各ステップは、可能であるならば、好ましい順序で実行することができる。
【0085】
図8に示すように、一連の処理250は、符号252で示すブロックから始まる。ブロック252においては、レーダー信号を、例えば図2に示すFMCW受信システム66によって受信する。
【0086】
ブロック253においては、受信されたレーダー信号に基づいて、逓降レーダー信号(例えば図2に示す逓降レーダー信号73)を与える。
【0087】
ブロック254においては、例えば時間サンプル76を提供するA/Dコンバータ74(図2参照)によって、逓降レーダー信号73の時間サンプルを抽出する。
【0088】
すでに説明したように、時間サンプルの中に干渉信号が存在することもある。ブロック256においては、時間サンプルは、例えば図2に示す干渉検知器78によって、干渉信号を検知するために処理される。この時間サンプルの処理は、例えば図4と図4Aを参照して説明した方法によって行うことができる。時間サンプルの処理については、図9を参照して詳しく説明する。
【0089】
ブロック258においては、干渉信号が検知されたか否かの判断を行う。ブロック258において干渉信号が検知された場合には、処理は、ブロック260に移行し、例えば図2に示す干渉範囲プロセッサ88によって、干渉信号の範囲を決定する。この干渉信号の範囲の決定については、図10を参照して詳しく説明する。
【0090】
ブロック262においては、例えば図2に示す干渉除去プロセッサ92を用いて、ブロック254において抽出された時間サンプルから、同定された干渉信号を除去する。除去は、例えば図5または図7を参照して説明した方法によって行うことができる。この外、除去については、以下に図10Aと図10Bを参照しても説明する。
【0091】
ブロック264においては、干渉信号を除去することとなっている信号94(図2参照)を、例えば図2に示すレーダー戻り信号プロセッサ82を用いて処理し、図2に示す信号84のような、観測対象のレーダーシステムによる検知または分類を行った信号を生成する。ブロック264における処理には、例えば、FFT等の周波数領域変換が含まれる。
【0092】
観測対象のレーダーシステムによる検知または分類は、例えば米国特許第6577269号明細書に記載されているような、自動車の横方向にある観測対象を検知するシステムと関連づけられている。しかし、これまでに説明したシステムと方法は、車両用に限定されるものではない。
【0093】
図9に示すように、例えば図2における干渉検知器78によって実行される処理300は、ブロック302から始まる。ブロック302においては、複数の勾配アレー値をもつ勾配アレーが、図8のブロック254において抽出される時間サンプルに従って生成される。勾配アレーは、例えば図4に示す曲線126のようなものである。
【0094】
ブロック304においては、第1の閾値が設定される。第1の閾値は、図4に示す最大勾配閾値122に相当する。ブロック306においては、第2の閾値が設定される。第2の閾値は、図4に示す平均勾配閾値124に相当する。
【0095】
ブロック308においては、ブロック302における複数の勾配アレー値が、ブロック304と306においてそれぞれ設定された第1および第2の閾値と対比される。
【0096】
判断ブロック310においては、ブロック302において生成された勾配アレー値のうち少なくとも所定の数の勾配アレー値が、第1および第2の閾値と交差する(すなわち、これらの閾値を超える)と判断された場合には、ブロック312において、干渉信号の存在が認定される(すなわち、干渉信号が検知される)。上記所定の数は、1よりも大きければ、何でもよい。この実施形態においては、この数は2である。また、この所定の数は、経時的に変化させることもできる。
【0097】
図4を参照して説明したように、干渉信号の検知は、第1および第2の閾値(最大勾配閾値122と平均勾配閾値124)と交差する複数の勾配アレー値(図4に示す曲線126)と関連づけて行われる。干渉信号の検知は、第1の閾値(最大勾配閾値122)と交差する勾配アレー値のみと関連づけて行うことも、第2の閾値(平均勾配閾値124)と交差する勾配アレー値のみと関連づけて行うこともできる。
【0098】
判断ブロック310において、勾配アレー値のうち、第1および第2の閾値と交差するものがないと判断された場合には、ブロック314において、干渉信号は検知されないとの処理がなされる。
【0099】
処理300は、例えば、1つのチャープ信号に対応するデータに基づいて実行される。処理300は、連続する各チャープ信号、または連続するチャープ信号のうちの所定の数について繰り返される。
【0100】
以上、処理300を、複数の勾配アレー値を有する勾配アレー、対応する最大勾配閾値、および平均勾配閾値と関連づけて説明してきたが、処理300を行うに当たっては、図4を参照して説明したように、対応する最大閾値および平均閾値とともに用いられる他のタイプのアレー値を有する他のタイプのアレーを用いることもできる。
【0101】
図10に示すように、例えば図2に示す干渉範囲プロセッサ88によって実行される処理350は、ブロック352から始まる。ブロック352においては、干渉信号に従って、下方勾配サンプル境界が同定される。次に、ブロック354においては、上方勾配サンプル境界が同定される。上方勾配サンプル境界および下方勾配サンプル境界は、例えば、図に示す点130,132に相当する。
【0102】
ブロック356においては、第1のサンプル保護帯値が決定され、ついで、ブロック358においては、第2のサンプル保護帯値が決定される。サンプル保護帯値を決定する方法は、すでに図4と図4Aを参照して説明した。サンプル保護帯値は、一定の値にすることも、経時的に変化する値にすることもできる。
【0103】
ブロック360においては、干渉信号下方勾配サンプル範囲を定めるため、第1のサンプル保護帯値を、干渉信号下方勾配サンプル境界から差し引く。同様に、ブロック362においては、干渉信号上方勾配サンプル範囲を定めるため、第2のサンプル保護帯値を、干渉信号上方勾配サンプル境界に加える。干渉信号上方勾配サンプル境界と干渉信号下方勾配サンプル境界は、それぞれ、例えば図4に示す点138と136に相当する。
【0104】
ブロック364においては、干渉信号下方時間サンプル範囲が、干渉信号下方勾配範囲に基づいて同定される。同様に、次のブロック366においては、干渉信号上方時間サンプル範囲が、干渉信号上方勾配範囲に基づいて同定される。干渉信号上方時間サンプル範囲と干渉信号下方時間サンプル範囲は、それぞれ、図4Aに示す点164と162に相当する。これらの点164と162は、それぞれ、図4に示す上方および下方勾配サンプル範囲138,136に相当する。
【0105】
処理350は、例えば、1つのチャープ信号に対応するデータに基づいて実行される。処理350は、連続する各チャープ信号、または連続するチャープ信号のうちの所定の数について繰り返される。
【0106】
以上、処理350を、2つの勾配サンプル境界および勾配サンプル範囲と関連づけて説明してきたが、処理350を行うに当たっては、例えば図4を参照して説明したように、他のタイプのアレーと関連づけられた、他のアレーサンプル境界およびアレーサンプル範囲を用いることもできる。
【0107】
図10Aに示すように、例えば図2に示す干渉除去プロセッサ92によって実行される処理400は、ブロック402から始まる。ブロック402においては、時間サンプル(例えば図2に示す時間サンプル76)から、図10におけるブロック362と364において同定される干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲との間にある時間サンプルを除いて、連続した時間サンプル群を選択する。
【0108】
選択された時間サンプル群は、例えば、図4Aと図5に示す曲線の一部152a、または曲線の一部152bに相当する。選択された時間サンプル群は、干渉信号下方時間サンプル範囲(例えば曲線の一部152a)にある時間サンプルを除いて、連続する時間サンプルの中で最大のグループを形成するように選択する。
【0109】
ブロック404においては、選択された時間サンプル群に、例えば図5に示すゼロパッディング182を用いて、パッドが付される。しかし、選択された時間サンプル群に付すパッドは、ゼロ以外の値によってもよい。
【0110】
ゼロパッドを付された時間サンプルは、ついで、例えば図2に示すレーダー戻り信号プロセッサ82によって処理される。レーダー戻り信号プロセッサ82は、ゼロパッドを付された時間サンプルに対して、例えばFFTを実行することができる。ゼロパッドを付された時間サンプルは、FFT処理に先立って、ブロック406において、ハニングまたはハミング囲み機能のような、公知の囲み機能を用いて加重することができる。
【0111】
処理400は、例えば、1つのチャープ信号に対応するデータに基づいて実行される。処理400は、連続する各チャープ信号、または連続するチャープ信号のうちの所定の数について繰り返される。
【0112】
以上、処理400を、勾配アレーと関連づけて説明してきたが、例えば図4を参照して説明したように、他のタイプのアレーを用いることもできる。
【0113】
例えば図2に示す干渉除去プロセッサ92によって実行される処理450は、図10Aに示す処理の代替的方法である。処理450は、ブロック452から始まる。ブロック452においては、図10におけるブロック362と364においてそれぞれ同定される干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲に基づいて、公知または非公知の加重関数がつくり出される。この加重関数は、例えば図7に示す加重関数222のようなものである。加重関数は、時間サンプル(例えば、図2に示す時間サンプル76)に適用されたときに、干渉信号を減少させうるものが選択される。
【0114】
ブロック454においては、干渉信号下方時間範囲と干渉信号上方時間範囲との間にある時間サンプルを含めて、時間サンプルに、加重関数が適用される(すなわち、時間サンプルが加重関数によって何倍かにされる)。
【0115】
加重された時間サンプルは、ついで、例えば図2に示すレーダー戻り信号プロセッサ82によって処理される。レーダー戻り信号プロセッサ82は、ブロック454において得られた加重済み時間サンプルに対して、例えばFFTを実行する。
【0116】
処理450は、例えば、1つのチャープ信号に対応するデータに基づいて実行される。処理450は、連続する各チャープ信号、または連続するチャープ信号のうちの所定の数について繰り返される。
【0117】
以上、処理450を、勾配アレーと関連づけて説明してきたが、例えば図4を参照して説明したように、他のタイプのアレーを用いることもできる。
【0118】
これまでに説明してきた干渉信号を除去するための方法は、勾配が連続的な干渉信号を有するレーダー戻り信号に適用しうるだけでなく、バンド形状の干渉信号を有するレーダー戻り信号にも適用することができる。上述のシステムと方法は、いかなる周波数およびいかなるバンド幅の下でも作動する、どのようなFMCWレーダーにおけるレーダー戻り信号の時間サンプルからも、望ましくないデータサンプルを除去しうるものである。本発明のシステムと方法によれば、チャープ戻り信号において干渉信号を同定し、これを除去することができるため、干渉信号は、各チャープ戻り信号において、同じ周波数である必要はなく、また同じ特性を有しなければならないというものでもない。1つのチャープ戻り信号に、2つ以上の干渉信号が存在する場合もある。
【0119】
上述の実施形態においては、複数の勾配アレー値を有する勾配アレーを説明してきたが、アレーとこれに関連するアレー値は、例えば下記の数6に示す式によって表される複数の勾配値(図4に示すような勾配の絶対値)をもつ勾配(すなわち1次導関数)アレー、複数の高次導関数値をもつ高次導関数アレー、下記の数7に示す式によって表される複数の冪アレー値をもつ冪アレー、および下記の数8に示す式によって表される複数の時間サンプルの絶対値をもつ時間サンプル絶対値アレーを含むことができる。
【数6】


【数7】


【数8】

【0120】
勾配アレー(例えば図4に示す曲線126)とは異なるタイプのアレーを用いる場合には、上述の第1および第2の閾値(例えば、図4に示す閾値122と124)が勾配値とは関連づけられることはない。また、勾配サンプル境界および干渉信号勾配サンプル範囲(例えば、図4における点136,130,132,138)も、勾配サンプルの数と関連づけられることはない。その代わりに、第1および第2の閾値は、用いられるアレーのタイプに応じて、それぞれ、最大アレー値および平均アレー値と関連づけられる。同様に、干渉信号アレーサンプル境界および干渉信号アレーサンプル範囲は、用いられるアレーのタイプに応じて、アレーサンプルの数と関連づけられる。
【0121】
本明細書においては、引用した文献の全体を参考としている。以上、本発明を好ましい実施形態に即して説明してきたが、当業者にとっては、ここで説明した概念に基づく他の実施形態も明らかであると思う。本発明の技術的範囲は、本明細書において説明した実施形態に限られるべきではなく、特許請求の範囲の記載に基づいてのみ解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】FMCWレーダーの周波数領域における、干渉信号が存在する逓降信号と、干渉信号が存在しない逓降信号を示すグラフである。
【図2】本発明に係る、干渉信号を除去するFMCWレーダーのブロック図である。
【図3】図2に示すFMCWレーダーシステムにより与えられる逓降信号の時間サンプルと関連づけられている観測対象の大きさに対する、最大限予測しうる信号の勾配を示すグラフである。
【図4】干渉信号の存在下で、図2に示すFMCWレーダーシステムにより与えられる逓降信号の時間サンプルと関連づけられている、信号の勾配の絶対値を示すグラフである。
【図4A】干渉信号の存在下で、図2に示すFMCWレーダーシステムにより与えられる逓降信号の時間サンプルを示すグラフである。
【図5】干渉信号を除去した状態における、図2に示すFMCWレーダーシステムにより与えられる逓降信号の時間サンプルを示すグラフである。
【図6】周波数領域においてFMCWレーダーシステムにより与えられる、干渉信号が存在する逓降信号と存在しない逓降信号、および本発明のシステムと方法を用いた場合の逓降信号と用いない場合の逓降信号を示すグラフである。
【図7】図2に示す構成要素を有するもう1つのFMCWレーダーシステムにより与えられる、干渉信号に関連する加重関数、および干渉信号が存在する場合の逓降信号の時間サンプルを示すグラフである。
【図8】干渉信号を除去するプロセスを示す流れ図である。
【図9】図8のプロセスにおける第1の部分を詳細に示す流れ図である。
【図10】図8のプロセスにおける第2の部分を詳細に示す流れ図である。
【図10A】図8のプロセスにおける第3の部分を詳細に示す流れ図である。
【図10B】図8のプロセスにおける第4の部分を詳細に示す流れ図である。
【符号の説明】
【0123】
50 FMCWレーダーシステム
53 干渉器
54 送信アンテナ
56 受信アンテナ
58 チャープ信号
60 エコー
62 干渉レーダー信号
64 FMCW送信システム
66 FMCW受信システム
68 レーダー受信モジュール
70 ミキサ
73 逓降信号
76 時間サンプル
74 A/Dコンバータ
78 干渉検知器
88 干渉範囲プロセッサ
92 干渉除去プロセッサ
92a 選択プロセッサ
92b 加重プロセッサ
122 最大勾配閾値
124 平均勾配閾値
130 下方勾配サンプル境界
132 上方勾配サンプル境界
136 下方勾配サンプル範囲
138 上方勾配サンプル範囲
208 ピーク
212 ノイズバックグラウンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー戻り信号と関連づけられた時間サンプルを抽出する過程と、前記時間サンプルにおいて干渉信号を検知するために、この時間サンプルを処理する過程とを含むレーダー戻り信号を処理する方法。
【請求項2】
前記干渉信号の範囲を決定する過程と、前記時間サンプルから干渉信号を除去する過程とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記時間サンプルと関連づけられた複数のアレー値を有するアレーを生成する過程と、前記複数のアレー値と関連づけられた少なくとも一方の閾値を生成する過程と、前記複数のアレー値と前記少なくとも一方の閾値とを比較する過程と、少なくとも所定の数のアレー値が前記少なくとも一方の閾値を上回った場合に、干渉信号が存在すると検知する過程とをさらに含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記複数のアレー値は、勾配値、高次導関数の値、時間サンプルの絶対値、および時間サンプルと関連づけられた冪の値のいずれかを含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一方の閾値を生成する過程は、最大予測アレー値に関連する少なくとも1つの第1の閾値と、複数のアレー値の平均値に関連する第2の閾値の少なくとも一方を生成する過程を含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記複数のアレー値と前記少なくとも一方の閾値とを比較する過程は、複数のアレー値を前記第1の閾値と第2の閾値の少なくとも一方と比較する過程を含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記干渉信号の存在を検知する過程は、少なくとも所定の数のアレー値が、前記第1の閾値と第2の閾値の少なくとも一方を上回ったときに、干渉信号を同定する過程を含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記干渉信号の範囲を決定する過程は、前記少なくとも一方の閾値を上回る所定の数のアレー値のうちの1つと関連づけられた下方アレーサンプル境界を同定する過程と、前記少なくとも一方の閾値を上回る所定の数のアレー値のうちの他の1つと関連づけられた上方アレーサンプル境界を同定する過程と、第1のサンプル保護帯値を決定する過程と、第2のサンプル保護帯値を決定する過程と、干渉信号下方アレーサンプル範囲を定めるため、前記下方アレーサンプル境界から第1のサンプル保護帯値を差し引く過程と、干渉信号上方アレーサンプル範囲を定めるため、前記上方アレーサンプル境界に第2のサンプル保護帯値を加える過程と、干渉信号下方アレーサンプル範囲と干渉信号上方アレーサンプル範囲に従って、干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲の少なくとも一方を同定する過程とを含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記時間サンプルから干渉信号を除去する過程は、干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲の間にある時間サンプルを除外して、勾配が連続的な時間サンプルのグループを選び出す過程を含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記時間サンプルから干渉信号を除去する過程は、勾配が連続的な時間サンプルのグループにパッドを付す過程をさらに含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記時間サンプルから干渉信号を除去する過程は、干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲に従って加重関数を生成する過程と、前記加重関数を時間サンプルに適用する過程とを含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
レーダー戻り信号と関連づけられた時間サンプルを抽出する過程と、前記時間サンプルと関連づけられた複数のアレー値を含むアレーを生成する過程と、前記複数のアレー値と関連づけられた少なくとも1つの閾値を生成する過程と、前記複数のアレー値と前記少なくとも1つの閾値とを比較する過程と、少なくとも所定の数のアレー値が前記少なくとも1つの閾値を上回った場合に、干渉信号が存在すると検知する過程とを含むレーダー戻り信号において干渉信号を検知する方法。
【請求項13】
前記複数のアレー値は、勾配値、高次導関数の値、時間サンプルの絶対値、および時間サンプルと関連づけられた冪の値のいずれかを含むことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの閾値を生成する過程は、最大予測アレー値に関連する第1の閾値と、複数のアレー値の平均値に関連する第2の閾値の少なくとも一方を生成する過程を含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
レーダー受信モジュールと、このレーダー受信モジュールに接続されて、逓降信号と関連づけられた時間サンプルを抽出するレーダー信号サンプリングモジュールと、前記時間サンプルを受け取り、かつこの時間サンプルにおいて干渉信号を検知する干渉検知器とを含むレーダー戻り信号を処理するシステム。
【請求項16】
干渉信号の範囲を決定するために、前記干渉検知器に接続された干渉範囲プロセッサと、この干渉範囲プロセッサに接続されて、前記時間サンプルから干渉信号を除去する干渉除去プロセッサとをさらに含むことを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記干渉検知器は、前記時間サンプルと関連づけられた複数のアレー値の生成と、前記複数のアレー値と関連づけられた少なくとも1つの閾値の生成と、前記複数のアレー値と少なくとも1つの閾値との比較と、前記少なくとも1つの閾値を上回る所定の数のアレー値があるときに、干渉信号の存在の検知とを行うアレープロセッサを備えることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のアレー値は、勾配値、高次導関数の値、時間サンプルの絶対値、および時間サンプルと関連づけられた冪の値のいずれかを含むことを特徴とする請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも一方の閾値を生成する過程は、最大予測アレー値に関連する少なくとも1つの第1の閾値と、複数のアレー値の平均値に関連する第2の閾値の少なくとも一方の閾値を生成する過程を含み、前記干渉検知器は、複数のアレー値を、前記第1の閾値および第2の閾値の少なくとも一方と比較することを特徴とする請求項17記載のシステム。
【請求項20】
前記干渉検知器は、少なくとも所定の数のアレー値が、前記第1の閾値および第2の閾値の少なくとも一方を上回ったときに、干渉信号の存在を検知することとなっている閾値プロセッサを備えていることを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記干渉範囲プロセッサは、前記少なくとも一方の閾値を上回る所定の数のアレー値のうちの1つと関連づけられた下方アレーサンプル境界の同定と、前記少なくとも一方の閾値を上回る所定の数のアレー値のうちの他の1つと関連づけられた上方アレーサンプル境界の同定と、第1のサンプル保護帯値の決定と、第2のサンプル保護帯値の決定と、干渉信号下方アレーサンプル範囲を定めるために行う前記下方アレーサンプル境界からの第1のサンプル保護帯値の減算と、干渉信号上方アレーサンプル範囲を定めるために行う前記上方アレーサンプル境界への第2のサンプル保護帯値の加算と、干渉信号下方アレーサンプル範囲と干渉信号上方アレーサンプル範囲に従って行う干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲の少なくとも一方の同定とを行う境界プロセッサを備えていることを特徴とする請求項17記載のシステム。
【請求項22】
前記干渉除去プロセッサは、干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲との間にある時間サンプルを除外して、勾配が連続的な時間サンプルのグループを選び出す選択プロセッサを備えていることを特徴とする請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記干渉除去プロセッサは、干渉信号下方時間サンプル範囲と干渉信号上方時間サンプル範囲に従って加重関数を生成し、この加重関数を時間サンプルに適用する加重プロセッサを備えていることを特徴とする請求項21記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2006−171001(P2006−171001A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−361136(P2005−361136)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505463113)ヴァレオ レイテオン システムズ インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】