説明

レーダー装置

【課題】移動体に搭載され、送信波を送信し、反射波を受信して、物体を検出する車載レーダー装置に関し、他のレーダー装置の送信波との干渉を防止する。
【解決手段】共通の時刻に関する無線信号を受信する受信部30を設け、制御部20が、時分割で割り付けられた、レーダーセンサ10と、レーダーセンサ10以外の前記電磁波を送信する他のレーダーセンサ12,14,16との送信期間の内、受信した時刻に関する無線信号に応じて、割り当てられた送信期間に、レーダーセンサから前記電磁波を送信する。このため、移動体搭載レーダーであっても、時分割制御で、電波干渉を防止でき、正確なレーダー検知が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信波を発信し、反射波を受信して、車両の周囲環境を検出する車載レーダー装置に関し、特に、電波干渉を防止するための車載レーダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両運行の安全性が重要視されており、このため、各種の安全システムが、車両に搭載されている。この内、ミリ波レーダー装置は、車両前方、後方の物体の位置、速度を検出するものとして、利用されている。このようなミリ波レーダー装置を車両に搭載することにより、前方車両との急接近等を検出でき、ドライバーに通知したり、自動的に車両の速度、ブレーキを制御するのに、有効である。
【0003】
このようなレーダー装置の普及に伴い、特に、道路環境で使用するレーダー装置は、インフラ(例えば、道路走行監視装置)や、自動車等、様々なものに搭載される。これらレーダー装置は、同じ周波数帯の電波を利用して、自分自身のタイミングにより、電波の送受信を行っている。
【0004】
このため、レーダー同士が、それぞれの検知エリアに入った場合には、相手からの送信電波を受信していまい、それをターゲットからの反射波と認識するおそれがある。このような認識をすると、制御システムにおいて、誤った制御を行ってしまう事態が発生し、最悪の場合に、車両事故につながる。
【0005】
このような干渉を防止する方法として、周波数帯を分割する方法が最も適しているが、使用許可される周波数帯域が狭く、周波数割り付けは困難である。
【0006】
このレーダー電波の干渉を防止する方法として、航空機の位置を検出する地上固定レーダー装置では、複数の基地局のレーダー装置相互にトリガー信号をやりとりし、時分割で、レーダー発信する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−333328号公報(図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来技術の提案は、特定の固定局のレーダー装置を対象としており、1のレーダー装置と他のレーダー装置とを時分割で動作させることは、容易であり、例えば、有線で、互いに送信制御を行えば、充分である。
【0008】
しかしながら、車両搭載レーダー装置は、不特定多数であり、且つ移動体に搭載していることから、このようなレーダー装置間で、信号をやりとりすることは、難しい。
【0009】
従って、本発明の目的は、移動体に搭載しても、他のレーダー装置との電波干渉を防止し、正確なレーダー検知動作を実現するためのレーダー装置を提供することにある。
【0010】
又、本発明の他の目的は、移動体に搭載しても、レーダー装置の周波数帯域を変更せずに、他のレーダー装置との電波干渉を防止し、正確なレーダー検知動作を実現するためのレーダー装置を提供することにある。
【0011】
更に、本発明の他の目的は、移動体に搭載しても、容易に且つ周波数を切り替えることなく、他のレーダー装置との電波干渉を防止し、正確なレーダー検知動作を実現するためのレーダー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的の達成のため、本発明は、移動体に搭載され、電磁波を送信し、且つ送信した電磁波に対する反射波を受信して、前記移動体以外の物体の位置を検出するレーダー装置において、前記電磁波を送信し、且つ送信した電磁波に対する反射波を受信するレーダーセンサと、前記反射波から、前記移動体以外の物体の位置を検出する制御部とを有し、前記制御部は、時分割で割り付けられた、前記レーダーセンサと、前記レーダーセンサ以外の他のレーダーセンサとの送信期間の内、共通の時刻に関する無線信号を受信する受信部で受信した前記時刻に関する無線信号に応じて、前記割り当てられた送信期間に、前記レーダーセンサから前記電磁波を送信する。
【0013】
又、本発明は、好ましくは、前記レーダーセンサは、前記移動体の複数の位置に、複数の方向の物体を検出するため、設けられ、前記制御部は、前記複数のレーダーセンサの各々に割り当てられた送信期間に、前記受信した前記時刻に関する無線信号に応じて、前記各々のレーダーセンサから前記電磁波を送信するように制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、制御部が、共通の時刻に関する無線信号を受信する受信部からの時刻に関する無線信号を受け、時分割で割り付けられた、レーダーセンサと、このレーダーセンサ以外の他のレーダーセンサとの送信期間の内、受信した時刻に関する無線信号に応じて、割り当てられた送信期間に、割り当てられたレーダーセンサから前記電磁波を送信するよう制御するため、移動体搭載レーダーであっても、電波干渉を防止でき、正確なレーダー検知が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、第1の実施の形態のシステム、レーダー装置の時分割制御、第2の実施の形態、他の実施の形態の順で説明するが、本発明は、この実施の形態に限られない。
【0016】
―第1の実施の形態のシステム―
図1は、本発明の第1の実施の形態のシステム構成図、図2は、図1のシステムのレーダー装置の時分割送信の説明図である。図1は、道路4において、道路構造物(例えば、柱)3に、インフラレーダー装置18が設けられている。インフラレーダー装置18は、ミリ波を送信し、反射波を受信する。このレーダー装置18は、車両1,2の位置や速度を検出し、図示しない道路走行管理システムに送信する。
【0017】
一方、道路4上を走行する車両1,2には、車両の前部に設けられた前方レーダー装置10と、車両の後部に設けられた後方レーダー装置12と、車両の左側面に設けられた左側方レーダー装置14と、車両の右側面に設けられた右側方レーダー装置16とを有する。
【0018】
いずれのレーダー装置10,12,14,16も、ミリ波を送信し、反射波を受信して、送信方向の物体の位置や速度を検出する。ここでは、自車両2の前方に、先行車両1が走行している状態を示す。
【0019】
この道路環境で使用するインフラレーダー装置18、車載レーダー装置10,12,14,16は、同じ周波数帯域を使用している。本発明では、この同じ周波数帯域を使用するレーダー装置10,12,14,16,18に対し、車両に搭載している方向によって、時分割的に発信周期を割り付ける。
【0020】
例えば、図2に示すように、時間Tの時間軸において、同期信号を生成し、T0では、前方レーダー装置10、T1では、インフラレーダー装置18、T2では、後方レーダー装置12、T3では、右側レーダー装置16、T4では、左側レーダー装置14に割り付ける。
【0021】
それぞれの車両1,2の車両システムは、自車に搭載しているレーダー装置の電波送信時間(時刻)を、図2の割り付け時間に合わせて、制御する。例えば、前方レーダー装置10は、同期時刻T0に合わせて、前方に電波を放射する。その他のレーダー装置12,14,16,18は、その時間帯に、電波の放射を禁止される。次に、インフラレーダー装置18は、同期時刻T1に合わせて、前方に電波を放射する。その他のレーダー装置10,12、14,16は、その時間帯に、電波の放射を禁止される。
【0022】
このようにして、互いの電波干渉を防止できる。又、ここでは、個々のレーダー装置10,12,14,16,18が、所定周期で、時間を置いて、送信波を放射しており、常に、レーダーが電波を発信している訳ではないが、一般に、レーダー装置に求められている検出動作は、50msや100ms周期であり、常に電波を放射する必要はない。このため、時分割制御しても、レーダー性能への影響は、殆どない。
【0023】
このように、時分割制御するには、レーダー装置を搭載している車両が移動する移動体であり、しかも、不特定多数であるから、通常の固定局のような相互通信は、複雑となる。このため、本発明は、共通の時刻報知電波信号を使用し、車両1,2、インフラ3が、この電波信号を受信して、受信した電波信号から同期信号を作成する。このような共通の時刻報知信号としては、電波時計の時刻信号や、GPS(Global Positioning System)の時刻信号を利用できる。
【0024】
図3は、本発明の第1の実施の形態の他のシステム構成図、図4は、図3のシステムのレーダー装置の時分割送信の説明図である。図3において、図1で示したものと同一のものは、同一の記号で示してある。図3においても、図1と同様に、道路4において、道路構造物(例えば、柱)3に、インフラレーダー装置18が設けられている。インフラレーダー装置18は、ミリ波を送信し、反射波を受信する。このレーダー装置18は、車両1,2の位置や速度を検出し、図示しない道路走行管理システムに送信する。
【0025】
一方、道路4上を走行する車両1に、車両の前部に設けられた前方レーダー装置10と、車両の後部に設けられた後方レーダー装置12と、車両の左側面に設けられた左側方レーダー装置14と、車両の右側面に設けられた右側方レーダー装置16とを有する。
【0026】
いずれのレーダー装置10,12,14,16も、ミリ波を送信し、反射波を受信して、送信方向の物体の位置や速度を検出する。ここでは、自車両1の前方に、先行車両5が走行し、後方に、後方車両6が走行している状態を示す。そして、先行車両5は、車両の前部に設けられた前方レーダー装置10と、車両の後部に設けられた後方レーダー装置12とを有し、後方車両6は、車両の前部に設けられた前方レーダー装置10のみを有する。
【0027】
このように、レーダー装置の搭載数や、搭載方向が異なる複数の車両が、混在しても、図2の時分割制御により、電波干渉を防止できる。図4の各車両1,5,6、インフラレーダー装置18の送信タイミングの説明図に示すように、基本タイムスロット(時分割割当)は、図2と同一である。
【0028】
前方車両5(図では、Aと記す)の送信タイミングは、基本タイムスロットの前方時間と後方時間である。自車両1(図では、Bと記す)の送信タイミングは、基本タイムスロットの前方時間と後方時間と右方時間と左方時間である。後方車両6(図では、Cと記す)の送信タイミングは、基本タイムスロットの前方時間のみである。インフラレーダー装置18(図では、Dと記す)の送信タイミングは、基本タイムスロットのインフラ時間である。尚、図の斜線部分は、休止期間を示す。
【0029】
次に、図5は、図1又は図3のシステムのレーダー装置の他の時分割送信の説明図である。この実施の形態の時分割制御では、図5に示すように、図2で説明した、時間Tの時間軸において、同期信号を生成し、T0では、前方レーダー装置10、T1では、インフラレーダー装置18、T2では、後方レーダー装置12、T3では、右側レーダー装置16、T4では、左側レーダー装置14に割り付け、更に休止期間T5を設け、1基本タイムスロットを構成する。
【0030】
この休止期間は、原則的に、各レーダー装置10、12,14,16,18は、その時間帯に、電波の放射を禁止される。もし、休止期間に、他車のレーダーセンサからの異常電波を検出した場合には、そのエリア内に、前述のタイムスロットのルールに従っていない(又は、タイムスロットがずれている)車両が存在していることが考えられる。
【0031】
この場合には、レーダ波干渉により、正しいターゲットの認識が行えない可能性があるため、例えば、前方レーダーで、休止期間に、異常電波を検出した場合には、前方レーダーによるターゲットの認識を一時中断するとともに、前方レーダーが計測不能であることを、運転者に警告する。又、異常な電波を検出しなくなると、再び、ターゲットの認識を再開する。前述の場合は、前方レーダーで説明したが、側方(右方、左方)レーダーや後方レーダーでも同様の制御が可能である。
【0032】
一方、休止期間中に、複数の方向から異常電波を検出した場合には、自車のタイムスロットが、周囲の他車のタイムスロットとずれて、電波を送信している可能性がある。このような場合には、自車両のレーダー装置の送信を全て停止し、他車両への影響を最小限にすることもできる。この場合、自車両のタイムスロットが合っていないことを、運転者に警告するようにしても良い。
【0033】
−レーダー装置の時分割制御−
図6は、図1の車両のレーダー搭載例の説明図、図7は、図6の時分割制御の説明図、図8は、図6の他の時分割制御の説明図である。図6は、図1と同様に、車両2が、車両の前部に設けられた前方レーダー装置10と、車両の後部に設けられた後方レーダー装置12と、車両の左側面に設けられた左側方レーダー装置14と、車両の右側面に設けられた右側方レーダー装置16とを有する。
【0034】
この四方を検出するレーダーシステムでは、図7に示すように、車両2が、電波時計の時刻信号や、GPS(Global Positioning System)の時刻信号を受信して、同期信号を生成し、同期信号に同期して、前方レーダー装置10、後方レーダー装置12、右側レーダー装置16、左側レーダー装置14を順次、送信駆動する。
【0035】
ここでは、図1のインフラレーダー装置18の割り当て時間を記載していないが、例えば、図1では、後方レーダー装置12と、インフラレーダー装置18は、電波放射方向が同一であるから、この後方レーダー装置12に割り当てられた時間を、インフラレーダー装置18にも割り付けることができる。
【0036】
又、同期信号を1つとすることで、比較的長い周期で送られる受信信号から同期信号を容易に作成できる。更に、同期信号の時間(例えば、0.5ms)は、全てのレーダー装置で、電波を放射できないこととすることにより、時間切り替わり時のレーダー装置間の微小な時間ずれによる干渉も防止できる。
【0037】
しかも、レーダー装置10,12,14,16に割り当てる時間の長さを個々に設定している。ここでは、前方レーダー装置10の割り当て時間を長くしている。この理由は、車両前方は、進行方向のため、比較的広い範囲で、精度良くレーダー送受信する必要があり、他のレーダー装置12,14,16の割り当て時間より長くしている。
【0038】
図8は、他の時分割制御例を示す。この例では、車両2が、電波時計の時刻信号や、GPS(Global Positioning System)の時刻信号を受信して、同期信号を生成し、同期信号に同期して、後方レーダー装置12、前方レーダー装置10、後方レーダー装置12、左側レーダー装置14を順次、送信駆動し、次の同期信号に同期して、後方レーダー装置12、前方レーダー装置10、後方レーダー装置12、右側レーダー装置16を順次、送信駆動する。
【0039】
即ち、同期信号の1サイクルに、後方レーダー装置12に2回送信期間を割り当て、左右レーダー装置14,16には、同期信号2サイクルに1回送信期間を割り当てる。車両2では、前後方向は、ブレーキ制御などへの適用が考えられ、高速認識が必要である。このため、処理周期を、レーダー装置の搭載方向によって、適切に設定することにより、時間を有効に利用できる。
【0040】
ここでは、左右方向の検出は、処理周期が長くて良く、前後方向、特に、後方は、ドライバーが監視していない方向であるため、処理周期を短くしている。このため、時分割制御でも、同期信号の1サイクルに、後方レーダー装置12に2回送信期間を割り当て、左右レーダー装置14,16には、同期信号2サイクルに1回送信期間を割り当てる。
【0041】
このように、レーダー装置に要求される処理周期により、時分割の割り当て時間や、割り当て周期を変更しても良い。同様に、図2のような時分割割当を適用することもできる。
【0042】
図9は、図6のレーダー制御装置(処理装置)のブロック図、図10は、その時分割処理フロー図、図11は、そのタイムチャート図である。図9において、図1及び図6で示したものと同一のものは、同一の記号で示してある。電波受信回路30は、共通の時刻信号を受信する。例えば、GPS受信器や時刻電波受信器で構成される。制御回路20は、各レーダー装置10,12、14,16を時分割駆動制御する。
【0043】
この制御回路20は、電波受信回路30からの受信時刻信号に応じて、同期信号を作成する同期信号作成回路22と、レーダーの送受信を時分割制御し、他の車両搭載回路に、レーダーの検出結果を出力するCPU(処理ユニット)24を有する。このCPU24が、設定されたシーケンスに従い、同期信号に応じて、時分割駆動する時分割処理26を実行する。
【0044】
図10、図11により、制御回路20の処理動作を説明する。
【0045】
(S10)電波受信回路30が、GPS時刻信号又は電波時刻信号を受信すると、同期信号作成回路22に通知する。
【0046】
(S12)同期信号作成回路22は、電波受信回路30からの受信時刻信号に応じて、同期信号を作成する。
【0047】
(S14)CPU24は,同期信号作成回路22から同期信号を受信すると、時分割駆動処理26により、指定されたタイムスロット(例えば、図7)で、各レーダー装置10,12,14,16を時分割発信制御する。
【0048】
図11に示すように、受信信号から同期信号が作成される。時分割駆動処理26は、同期信号に応じて、前方レーダー装置10の発信駆動信号(トリガー信号)を、前方レーダー装置10に送信する。これに応じて、前方レーダー装置10は、送信波を発信し、反射波を受信して、反射波を解析して、前方の物体の位置や速度を認識する。
【0049】
時分割駆動処理26は、設定された時間経過後、後方レーダー装置12の発信駆動信号を、後方レーダー装置12に送信する。これに応じて、後方レーダー装置12は、送信波を発信し、反射波を受信して、反射波を解析して、後方の物体の位置や速度を認識する。以下、同様に、順次、右側レーダー装置16の発信駆動信号を、右側レーダー装置16に送信し、左側レーダー装置14の発信駆動信号を、左側レーダー装置14に送信し、同期信号に対する1サイクルを終了する。
【0050】
このGPS受信器は、カーナビゲーション装置のGPS受信器と兼用することができる。又、車両に電波時計を持つ場合には、この電波時計の受信部を兼用できる。
【0051】
−第2の実施の形態−
図12は、本発明の第2の実施の形態のシステム構成図、図13は、その時分割制御の説明図である。図12においても、道路4には、道路構造物(例えば、柱)3に、インフラレーダー装置18が設けられている。インフラレーダー装置18は、ミリ波を送信し、反射波を受信する。このレーダー装置18は、車両1,2の位置や速度を検出し、図示しない道路走行管理システムに送信する。
【0052】
一方、道路4上を走行する車両1,2には、車両の前部に設けられた前方レーダー装置10と、車両の後部に設けられた後方レーダー装置12との2つのレーダー装置を有する。
【0053】
いずれのレーダー装置10,12も、ミリ波を送信し、反射波を受信して、送信方向の物体の位置や速度を検出する。ここでは、自車両2の前方に、先行車両1が走行している状態を示す。
【0054】
この道路環境で使用するインフラレーダー装置18、車載レーダー装置10,12は、同じ周波数帯域を使用している。本発明では、この同じ周波数帯域を使用するレーダー装置10,12、18に対し、車両に搭載している方向によって、時分割的に発信周期を割り付ける。
【0055】
例えば、図13に示すように、時間Tの時間軸において、同期信号を生成し、T0では、前方レーダー装置10、T1では、インフラレーダー装置18、後方レーダー装置12、T2では、前方レーダー装置10、T3では、後方レーダー装置12、インフラレーダー装置18に割り付ける。
【0056】
図9乃至図11で説明したように、それぞれの車両1,2の制御システム20は、自車に搭載しているレーダー装置の電波送信時間(時刻)を、図13の割り付け時間に合わせて、制御する。例えば、前方レーダー装置10は、同期時刻T0に合わせて、前方に電波を放射する。その他のレーダー装置12,18は、その時間帯に、電波の放射を禁止される。次に、後方レーダー装置12、インフラレーダー装置18は、同期時刻T1に合わせて、前方に電波を放射する。その他のレーダー装置10は、その時間帯に、電波の放射を禁止される。
【0057】
このようにして、車両に2つのレーダー装置を搭載する場合にも、互いの電波干渉を防止できる。
【0058】
−他の実施の形態−
前述の実施の形態では、車両に2つ以上のレーダー装置を設けた例で説明したが、1つでも良い。例えば、インフラレーダー装置と、車両の前方レーダー装置との組み合わせ、先行車両の後方レーダー装置と、自車の前方レーダー装置との組み合わせでも良い。同様に、インフラレーダー装置を有しないシステムにも適用できる。
【0059】
更に、車両を道路車両、例えば、自動車で説明したが、鉄道車両、船舶等にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
制御部が、共通の時刻に関する無線信号を受信する受信部から無線信号を受け、レーダーセンサと、レーダーセンサ以外の他のレーダーセンサとの送信期間を、受信した時刻に関する無線信号に応じて、時分割制御するので、移動体搭載レーダーであっても、時分割制御で、電波干渉を防止でき、正確なレーダー検知が可能となり、車載レーダー装置の信頼性及び普及に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態のレーダーシステムの構成図である。
【図2】図1のレーダー装置の時分割制御の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の他のレーダーシステムの構成図である。
【図4】図4のシステムにおける図2のレーダー装置の時分割制御を用いた説明図である。
【図5】図1のレーダー装置の他の時分割制御の説明図である。
【図6】図1の車両のレーダー装置の配置図である。
【図7】図6の車両搭載レーダー装置の時分割制御の説明図である。
【図8】図6の車両搭載レーダー装置の他の時分割制御の説明図である。
【図9】図6の車両のレーダー制御装置のブロック図である。
【図10】図9のレーダー制御装置の時分割制御処理フロー図である。
【図11】図9の時分割制御のタイムチャート図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態のレーダーシステムの構成図である。
【図13】図12のレーダー装置の時分割制御の説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1、2,5,6 車両
3 道路構造物
4 道路
10,12,14,16 車載レーダー装置
18 インフラレーダー装置
20 制御回路(処理部)
22 同期信号作成回路
24 CPU
26 時分割駆動処理
30 共通時刻情報受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、電磁波を送信し、且つ送信した電磁波に対する反射波を受信して、前記移動体以外の物体の位置を検出するレーダー装置において、
前記電磁波を送信し、且つ送信した電磁波に対する反射波を受信するレーダーセンサと、
前記反射波から、前記移動体以外の物体の位置を検出する制御部とを有し、
前記制御部は、
時分割で割り付けられた、前記レーダーセンサと、前記レーダーセンサ以外の他のレーダーセンサとの送信期間の内、共通の時刻に関する無線信号を受信する受信部が受信した前記時刻に関する無線信号に応じて、前記割り当てられた送信期間に、前記レーダーセンサから前記電磁波を送信するように制御する
ことを特徴とするレーダー装置。
【請求項2】
前記レーダーセンサは、前記移動体の複数の位置に、複数の方向の物体を検出するため、設けられ、
前記制御部は、前記複数のレーダーセンサの各々に割り当てられた送信期間に、前記受信した前記時刻に関する無線信号に応じて、前記各々のレーダーセンサから前記電磁波を送信するように制御する
ことを特徴とする請求項1のレーダー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−187632(P2007−187632A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7749(P2006−7749)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】