説明

レーダ装置

【課題】 透過窓部への異物の付着を低減もしくは防止することのできるレーダ装置を提供すること。
【解決手段】 レーダ装置100において、透過窓部41の外部表面への異物の付着を低減若しくは防止する付着防止手段として、車両前方に開口する導入口50aと透過窓部41の外部表面の周縁領域に開口する排出口50bとを有し、排出口50bの断面積が導入口50aの断面積よりも小さいエアダクト50を、レーザ光及びその反射光を妨げず、且つ、排出口50bから排出された空気が透過窓部41の外部表面に供給されるように設けた。従って、車両が走行すると、導入口50aを介してエアダクト50内に空気が流入し、流入した空気は圧力が高められて(流速を増して)排出口50bから排出され、透過窓部41の外部表面全面に沿って勢い良く流れるので、透過窓部41に付着している異物及び/又は付着しようとする異物を効率良く吹き飛ばすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過窓部を介して車両の周囲に送信波を放射し、透過窓部を介して反射物体による反射波を検出する構成のレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、透過窓部を介して車両の周囲に送信波を放射し、透過窓部を介して反射物体による反射波を検出する構成のレーダ装置として、例えば特許文献1に開示されたように、レーザレーダによって車間距離を測定する車両用レーザレーダ装置が知られている。
【0003】
この車両用レーザレーダ装置は、レーザ光(送信波)を所定のステップで走査して、結果を外部に送出するスキャニング方式のレーザレーダ装置である。そして、最端まで走査したときのレーザ光を内部に設置した散乱板によって反射、散乱させ、その反射散乱光が、送光窓(透過窓部)に付着した汚れ(異物)によって送光窓を透過し難くなると、距離計測と兼用の受光素子に検出される汚れによる反射光量が増大し、その検出光量が所定の基準値以上になれば、レーダヘッド(送光窓)に汚れありと判断するように構成されている。
【特許文献1】特開平9−211108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す構成の場合、検出感度の低下を招く雨滴、泥、雪、油、虫といった汚れの付着を検出するものではあるが、検出する度に、異物を除去する作業を実施しなければならず、作業が非常に面倒であった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、透過窓部への異物の付着を低減もしくは防止することのできるレーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に請求項1〜11に記載の発明は、送信波を放射し、送信波の反射波を検出するレーダ手段と、送信波及び反射波を透過させる透過窓部とを備え、透過窓部を介して車両の周囲に送信波を放射し、透過窓部を介して反射物体による反射波を検出する構成のレーダ装置に関するものである。
【0007】
先ず、請求項1に記載のように、透過窓部の外部表面への雨滴、泥、雪、埃、虫といった異物の付着を低減若しくは防止する付着防止手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、請求項2に記載のように、付着防止手段として、車両前方に開口する導入口と透過窓部の外部表面の周縁領域に開口する排出口とを有し、排出口の断面積が導入口の断面積よりも小さい流路部を、送信波及び反射波を妨げず、且つ、排出口から排出された空気が透過窓部の外部表面に供給されるように設けることが好ましい。
【0009】
この場合、車両の走行にともなって、導入口から導入されて排出口から排出される空気の圧力を高める(流速を増す)ことができるので、付着している異物及び/又は付着しようとする異物を効率良く吹き飛ばすことができる。従って、簡素な構成でありながら、異物の付着防止により効果的である。このような構成としては、例えば請求項3に記載のように、所謂ホーン形状を適用することができる。
【0010】
請求項4に記載のように、流路部とともに、透過窓部と排出口との間において、透過窓部の外部表面の周縁領域から突出するエアスポイラを、送信波及び反射波を妨げないように設けても良い。このようにエアスポイラを配置すると、透過窓部の外部表面に排出口から排出される空気が透過窓部の外部表面に沿って効率良く流れるように、空気の流路を形成することができる。
【0011】
別の付着防止手段として、請求項5に記載のように、透過窓部の外部表面に、撥水性材料又は光触媒材料からなるコーティング層を設けても良い。この場合、撥水性材料であれば雨滴が流れ落ち易くなり、光触媒材料であれば付着した異物を分解除去しやすくなる。すなわち、透過窓部の外部表面に付着した異物を自動的に除去し易くなるので、異物の付着を低減もしくは防止することができる。
【0012】
請求項6に記載のように、付着防止手段として、透過窓部に超音波振動を印加する振動手段を設けても良い。この場合、透過窓部の外部表面に付着した異物(雨滴や埃等)をはね飛ばすことができる。
【0013】
請求項7に記載のように、付着防止手段として、透過窓部の表面にヒータ手段を設けても良い。この場合、透過窓部の外部表面に付着した雨滴や雪等を加熱により乾燥除去することができる。
【0014】
請求項8に記載のように、付着防止手段として、透過窓部の外部表面を払拭するワイパ手段を設けても良い。この場合、透過窓部の外部表面に付着した異物を払拭除去することができる。
【0015】
尚、請求項9に記載のように、ワイパ手段とともに、透過窓部の外部表面に洗浄液を吹き付ける洗浄液供給手段を設けると良い。洗浄液を吹き付けた状態で払拭すれば、異物の除去効果が向上する。
【0016】
請求項10に記載のように、付着防止手段として、送信波及び反射波を透過し、一部が透過窓部の外部表面を被覆するように配置されるスクリーンと、スクリーンを往復又は循環移動させる駆動手段と、スクリーン表面に当接して異物を除去する異物除去手段とを有しても良い。
【0017】
この場合、送信波及び反射波を透過するスクリーンによって透過窓部の外部表面に異物が付着するのを妨げることができる。また、スクリーン表面に付着した異物は、スクリーンを往復又は循環移動させ、異物除去手段により除去する。従って、透過窓部の外部表面を被覆するように配置される部位は、清浄な状態に保たれる。尚、駆動手段は、スクリーンを常時往復又は循環移動させても良いし、一定の間隔をもって移動させても良い。
【0018】
また、請求項11に記載のように、透過窓部の形状を車両の走向方向に対して流線型としても良い。この場合、上述した請求項1〜10に記載の構成のように付着防止手段を設けることなく、異物の付着を低減もしくは防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のレーダ装置の概略構成を示す図である。本実施形態におけるレーダ装置は、走査エリアにおける物体との距離を測定する装置として構成されており、例えば警報すべき領域に障害物が所定の状況で存在する場合に警報を出力したり、先行車両に合わせて車速を制御したりする車両制御装置に適用される。本実施形態の特徴部分は、後述する透過窓部の外部表面への異物の付着を低減若しくは防止する点にあり、それ以外の構成については、公知の技術を適用することができるので、以下において詳しい説明は省略する。尚、図1においては、便宜上、本実施形態の特徴部分である付着防止手段(後述する)について省略している。
【0020】
図1に示すように、レーダ装置100は、発光部10、受光部20、及びレーザレーダCPU30を主要部とし、これらが筐体40の内部に配置されて構成されている。
【0021】
発光部10は、送信波を放射する素子として、パルス状のレーザ光(例えば赤外線波長域)を後述するスキャナを介して放射するレーザダイオード(以下LDと示す)11を有している。このLD11は、レーザダイオード駆動回路(以下LD駆動回路と示す)12を介してレーザレーダCPU30に接続されており、レーザレーダCPU30からの駆動信号により、レーザ光(図1において一点鎖線で図示)を放射(発光)する。
【0022】
スキャナ13には、ポリゴンミラー14が回転可能に設けられ、レーザレーダCPU30からの駆動信号がモータ駆動回路を介して入力されると、ポリゴンミラー14は、図示しないモータの駆動力により回転する。これにより、LD11から放射されたレーザ光は、所定角度の範囲で掃引照射(スキャン)される。本実施形態においては、車両の車幅の中心軸を中心として、車両前方の左右各々約7.8度のエリア内を順次走査する。その際、例えば105本のレーザ光ビームを0.15度毎に照射して、左方向から右方向へスキャンする。
【0023】
受光部20は、図示しない反射物体(例えば先行車両等)にて反射されたレーザ光(特許請求の範囲に示す反射波に相当する)を受光し、受光した光の強さ(強度)に対応する電圧を出力するフォトダイオード(以下PDと示す)21を有している。このPD21からの受光信号は、増幅回路22を介してレーザレーダCPU30に入力される。
【0024】
レーザレーダCPU30は、LD駆動回路12及びモータ駆動回路15を制御することによりLD11からレーザ光を放射して、その反射光を受信したPD21の受信信号から先行車両との距離や相対速度を算出する。また、これらの計算結果と、図示していない車速センサから出力された車速信号に基づく自車両の速度とから、先行車両との追突危険性を判断し、外部(例えばモニタやブザーといった報知手段)に警報信号を出力する。尚、レーザレーダCPU30と、発光部10、受光部20が特許請求の範囲に示すレーダ手段に相当する。
【0025】
また、筐体40には、スキャナ13を介してLD11から放射されたレーザ光と、反射物体による反射されたレーザ光を透過する透過窓部41が設けられている。尚、本実施形態においては、透過窓部41が、LD11からのレーザ光を透過する領域に設けられたカバーガラス41aと、反射されたレーザ光を透過する領域に設けられた受光レンズ41bとにより構成されている。尚、透過窓部41の構成は上記例に限定されるものではない。ともにカバーガラスであっても良いし、ともにレンズであっても良い。
【0026】
ここで、レーダ装置100は、雨天走行時や水溜りのはね上げ(スプラッシュ)による雨滴や泥、夜間走行時における虫、降雪時の雪、及び塵埃等の異物が透過窓部41に付着すると、例えばPD21の受光強度が低下したり、レーザ光の照射範囲が狭くなることがある。すなわち、反射物体(例えば先行車両)との距離の検出精度が低下したり、反射物体が検出できなくなる恐れがある。
【0027】
そこで本実施形態においては、図2(a),(b)に示すように、透過窓部41の外部表面への異物の付着を低減若しくは防止する付着防止手段として、エアダクト50を有している。尚、図2(a),(b)は、エアダクト50を説明するための図であり、(a)は側面側から見た部分断面図、(b)はレーザ光の放射側から見た正面図である。
【0028】
このエアダクト50は、車両前方に開口する導入口50aと透過窓部41の外部表面の周縁領域に開口する排出口50bとを有し、空気が流通する流路として構成されており、排出口50bの断面積が導入口50aの断面積よりも小さく設けられている。本実施形態において、エアダクト50は所謂ホーン形状を有しており、レーザ光及びその反射光を妨げないように配置される。排出口50bは、2つの透過窓部41a,41bの全面に効率良く空気を供給するような幅をもった略矩形状に設けられており、2つの透過窓部41a,41bの外部表面全面に沿って、上方から下方に空気の流れ(所謂エアカーテン)が形成されるように、透過窓部41の上方に配置される。
【0029】
従って、車両が走行すると、導入口50aを介してエアダクト50内に空気が流入し、流入した空気は圧力が高められて(流速を増して)排出口50bから排出される。そして、排出された空気は、2つの透過窓部41a,41bの外部表面全面に沿って勢い良く下方に流れるので、透過窓部41に付着している異物及び/又は付着しようとする異物を効率良く吹き飛ばすことができる。
【0030】
このように、本実施形態に示すレーダ装置100によると、簡素な構成でありながら、透過窓部41に対する異物の付着を低減若しくは防止することができる。
【0031】
尚、本実施形態においては、エアダクト50の排出口50bの形状が略矩形状である例を示した。しかしながら、排出口50bの断面積が導入口50aの断面積よりも小さければ上記例に限定されるものではない。
【0032】
また、本実施形態においては、2つの透過窓部41a,41bの全面に空気が供給されるように、排出口50bが1つの開口部を有する構成例を示した。しかしながら、排出口50bは、例えば図3(a)に示すように、それぞれの透過窓部41a,41bに対応して分割した開口部を有する構成としても良いし、図3(b)に示すように、透過窓部41a,41bに対応したそれぞれの開口部をさらに分割した構成としても良い。分割した場合にも、排出口50bの断面積の総和が、導入口50aの断面積よりも小さければ良い。尚、図3(a),(b)は本実施形態の変形例を示す図である。
【0033】
また、本実施形態において、排出口50bが、透過窓部41の上方に配置される例を示した。しかしながら、透過窓部41の外部表面の周縁領域に設けられ、排出される空気が、透過窓部41を挟んで排出口51bの配置された領域の対向領域に流通する構成としても良い。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図4(a),(b)に基づいて説明する。図4は、本実施の形態におけるレーダ装置100の概略構成を示す図であり、(a)は側面側から見た部分断面図、(b)はレーザ光の放射側から見た正面図である。尚、図4(a),(b)は、第1の実施形態における図2(a),(b)に対応している。
【0035】
第2の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、付着防止手段として、エアダクト50とともに、エアスポイラ51を設けた点である。
【0036】
図4(a),(b)に示すように、エアスポイラ51は、透過窓部41とエアダクト50の排出口50bとの間において、レーザ光及びその反射光を妨げないように、透過窓部41の外部表面の周縁領域(本例においては上部)から突出している。本実施形態においては、図4(a)に示すように、エアダクト50側が突出頂点から筐体40に向けて傾斜しており、排出口50bから排出された空気は、エアスポイラ51の表面に沿って透過窓部41の外部表面に効率良く導かれ、透過窓部41の外部表面に沿って下方に流れることとなる。
【0037】
このように、本実施形態に示すレーダ装置100によると、排出口50bから排出される空気が透過窓部41の外部表面に沿って効率良く流れるように、空気の流路を形成することができるので、透過窓部41に対する異物の付着を低減若しくは防止することができる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図5に基づいて説明する。図5は、本実施の形態におけるレーダ装置100の概略構成を示す図であり、図2(a)に対応している。
【0039】
第3の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、付着防止手段として、透過窓部41の外部表面に、撥水性材料又は光触媒材料からなるコーティング層52を設けた点である。
【0040】
本実施形態においては、コーティング層52として、光触媒材料(例えば酸化チタン系)を適用している。従って、コーティング層52は防汚効果を有するので、透過窓部41の外部表面(コーティング層52の表面)に付着した異物(例えば油や虫)を分解除去することができる。すなわち、透過窓部41の外部表面に付着した異物を自動的に除去し易くなるので、異物の付着を低減もしくは防止することができる。また、光触媒材料の場合、超親水性を有しているので、雨滴が付着してもレンズ効果による検出精度の低下等の問題を解消することもできる。
【0041】
尚、コーティング層52の構成材料としては、上記光触媒材料に限定されるものではなく、それ以外にも撥水性材料(例えばフッ素系)を適用することができる。この場合、雨滴が流れ落ち易くなる。
【0042】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図6に基づいて説明する。図6は、本実施の形態におけるレーダ装置100の概略構成を示す図であり、図2(a)に対応している。
【0043】
第4の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、付着防止手段として、透過窓部41に超音波振動を印加する振動手段53を設けた点である。
【0044】
本実施形態においては、レーザ光及びその反射光を妨げないように、振動手段53として超音波振動子が透過窓部41の端部に設けられている。尚、振動手段53の個数は特に限定されるものではない。本実施形態においては、各透過窓部41a,41bに対してそれぞれ振動手段53が配置されている。
【0045】
また、振動手段53は、例えばレーザレーダCPU30からの駆動信号を受けて、自車両が走行している間のみ振動するように制御される。これにより、透過窓部41の外部表面に付着した異物や付着しようとする異物(雨滴や埃等)をはね飛ばすことができる。すなわち、本実施形態に示す構成においても、透過窓部41に対する異物の付着を低減若しくは防止することができる。尚、振動手段53の駆動制御は上記例に限定されるものではない。
【0046】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を図7に基づいて説明する。図7は、本実施の形態におけるレーダ装置100の概略構成を示す図であり、図2(a)に対応している。
【0047】
第5の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、付着防止手段として、透過窓部41の表面にヒータ手段54を設けた点である。
【0048】
本実施形態においては、ヒータ手段54として透過窓部41の表面にITO膜等の透明電極を設けている。この場合、レーザ光及びその反射光を妨げないので、電極のパターン設計が容易となる。
【0049】
また、ヒータ手段54は、例えばレーザレーダCPU30からの駆動信号を受けて、自車両が走行している間のみ通電されて加熱するように制御される。これにより、透過窓部41の外部表面に付着した異物(雨滴や雪等)を加熱により溶融し、乾燥除去することができる。すなわち、本実施形態に示す構成においても、透過窓部41に対する異物の付着を低減若しくは防止することができる。
【0050】
尚、ヒータ手段54の加熱制御は上記例に限定されるものではない。また、ヒータ手段54も透明電極に限定されるものではなく、レーザ光及びその反射光を妨げないように配線を設けた構成としても良い。
【0051】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を図8に基づいて説明する。図8は、本実施の形態におけるレーダ装置100の概略構成を示す図であり、図2(a)に対応している。
【0052】
第6の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、付着防止手段として、レーザ光及びその反射光を妨げないように、透過窓部41の外部表面の全面を払拭するワイパ手段55を設けた点である。この場合、透過窓部41の外部表面に付着した異物を払拭除去することができるので、透過窓部41に対する異物の付着を低減若しくは防止することができる。
【0053】
尚、図8に示すように、ワイパ手段55と合わせて、レーザ光及びその反射光を妨げないように、透過窓部41の外部表面に洗浄液(図中の破線)を吹き付ける洗浄液供給手段56を設けると良い。洗浄液供給手段56により透過窓部41に洗浄液を吹き付けた状態でワイパ手段55により払拭すれば、異物の除去効果が向上する。
【0054】
本実施形態の場合、レーザ光及びその反射光を妨げないように、レーザ光が放射されないタイミングにおいて、例えばレーザレーダCPU30が所定の周期で信号を送信し、この信号を受けて洗浄液供給手段56が洗浄液を供給し、ワイパ手段55が駆動する構成とすれば良い。
【0055】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態を図9に基づいて説明する。図9は、本実施の形態におけるレーダ装置100の概略構成を示す図であり、図2(b)に対応している。
【0056】
第7の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、付着防止手段を、レーザ光及びその反射光を透過し、一部が透過窓部41の外部表面全面を被覆するように配置されるスクリーン57と、スクリーンを往復又は循環移動させる駆動手段58と、スクリーン表面に当接して異物を除去する異物除去手段59とにより構成した点である。
【0057】
本実施形態において、スクリーン57は、透過窓部41の左右に配置されたロールと当該ロールを駆動させる駆動手段58としてのモータによって、透過窓部41の前面(透過窓部41の外部表面に接するか近い位置)を往復可能に設けられている。従って、透過窓部41の外部表面に直接異物が付着するのを妨げることができる。
【0058】
また、スクリーン57表面に付着した異物は、例えばレーザレーダCPU30からの信号が入力された駆動手段58によってスクリーン57が移動される際に、ロール端部に設置された異物除去手段59(例えばブラシやスクレパ等)によって除去される。従って、スクリーン57のうち、透過窓部41の外部表面を被覆するように配置される部位は、常に清浄な状態に保つことができる。尚、スクリーン57は、常時往復又は循環移動されても良いし、一定の間隔をもって移動されても良い。
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態を図10に基づいて説明する。図10は、本実施の形態におけるレーダ装置100の概略構成を示す図であり、図2(a)に対応している。
【0059】
第5の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、透過窓部41の形状を異物が付着し難い形状とした点にある。
【0060】
具体的には、図10に示すように、車両の走向方向に対して流線型(走行方向に対して垂直ではなく、傾斜させた)とすることで、透過窓部41の表面に空気が流れる構成とした。従って、別途付着防止手段を設けることなく、透過窓部41の正面からの空気(車両の走行に伴う)を利用して異物の付着を低減もしくは防止することができる。
【0061】
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、種々変更して実施することができる。
【0062】
本実施形態において示した各実施形態を組み合わせて実施することも可能である。例えば、エアダクト50とコーティング層52を組み合わせても良い。これにより、より効果的に異物の付着を低減もしくは防止することも可能である。
【0063】
本実施形態においては、レーザ光を用いたレーダ装置100の例を示した。しかしながら、レーザ光以外にも、ミリ波や超音波を適用したレーダ装置100に適用することもできる。さらには、CCDカメラを用いた前方情報検出装置にも適用することが可能である。
【0064】
また、本実施形態においては、透過窓部41がレーザ光を放射する側のカバーガラス41aと、反射光を入射する側の受光レンズ41bとにより構成される例を示した。しかしながら、透過窓部41の構成は上記例に限定されるものではない。例えば、2つの透過窓部41a,41bが1枚のカバーガラスにより構成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるレーダ装置の概略構成を示す図である。
【図2】エアダクトを説明するための図であり、(a)は側面側から見た部分断面図、(b)はレーザ光の放射側から見た正面図である。
【図3】変形例を示す図である。
【図4】第2の実施形態におけるレーダ装置の概略構成を示す図であり、(a)は側面側から見た部分断面図、(b)はレーザ光の放射側から見た正面図である。
【図5】第3の実施形態におけるレーダ装置の概略構成を示す図である。
【図6】第4の実施形態におけるレーダ装置の概略構成を示す図である。
【図7】第5の実施形態におけるレーダ装置の概略構成を示す図である。
【図8】第6の実施形態におけるレーダ装置の概略構成を示す図である。
【図9】第7の実施形態におけるレーダ装置の概略構成を示す図である。
【図10】第8の実施形態におけるレーダ装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
10・・・発光部
11・・・レーザダイオード(LD)
13・・・スキャナ
14・・・ポリゴンミラー
20・・・受光部
21・・・フォトダイオード(PD)
30・・・レーザレーダCPU
40・・・筐体
41・・・透過窓部
41a・・・カバーガラス
41b・・・受光レンズ
50・・・エアダクト(流路部)
50a・・・導入口
50b・・・排出口
51・・・エアスポイラ
100・・・レーダ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を放射し、前記送信波の反射波を検出するレーダ手段と、
前記送信波及び前記反射波を透過させる透過窓部とを備え、
前記透過窓部を介して車両の周囲に前記送信波を放射し、前記透過窓部を介して反射物体による前記反射波を検出する構成のレーダ装置において、
前記透過窓部の外部表面への異物の付着を低減若しくは防止する付着防止手段を設けたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記付着防止手段として、車両前方に開口する導入口と前記透過窓部の外部表面の周縁領域に開口する排出口とを有し、前記排出口の断面積が前記導入口の断面積よりも小さい流路部を、前記送信波及び前記反射波を妨げず、且つ、前記排出口から排出される空気が前記透過窓部の外部表面に供給されるように設けたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記流路部は、ホーン形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記流路部とともに、前記透過窓部と前記排出口との間において、前記透過窓部の外部表面の周縁領域から突出するエアスポイラを、前記送信波及び前記反射波を妨げないように設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記付着防止手段として、前記透過窓部の外部表面に、撥水性材料又は光触媒材料からなるコーティング層を設けたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記付着防止手段として、前記透過窓部に超音波振動を印加する振動手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記付着防止手段として、前記透過窓部の表面にヒータ手段を設けたことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記付着防止手段として、前記透過窓部の外部表面を払拭するワイパ手段を設けたことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項9】
前記ワイパ手段とともに、前記透過窓部の外部表面に洗浄液を吹き付ける洗浄液供給手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載のレーダ装置。
【請求項10】
前記付着防止手段として、前記送信波及び前記反射波を透過し、一部が前記透過窓部の外部表面を被覆するように配置されるスクリーンと、前記スクリーンを往復又は循環移動させる駆動手段と、前記スクリーン表面に当接して異物を除去する異物除去手段とを有することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項11】
送信波を放射し、前記送信波の反射波を検出するレーダ手段と、
前記送信波及び前記反射波を透過させる透過窓部とを備え、
前記透過窓部を介して車両の周囲に前記送信波を放射し、前記透過窓部を介して反射物体による前記送信波の反射波を検出する構成のレーダ装置において、
前記透過窓部の形状を車両の走向方向に対して流線型としたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−194639(P2006−194639A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4444(P2005−4444)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】