レーダ装置
【課題】 本発明は、送信した電波の反射波からディジタルマルチビーム形成するとき、できるだけ少数のアンテナで多数チャネルを実現し、小型化、低コスト化でき、さらに処理時間の短縮化、高性能化を図れるレーダ装置を提供する。
【解決手段】 送受信共用のアンテナA1〜A4の一つから所定周期で送信信号が送信され、送信された電波の反射波が各アンテナで受信される。受信信号は信号処理制御装置1に伝送され、DBF処理される。切換手段5で送受信が切換えられるアンテナA1〜A4は、2つの隣接アンテナの間隔と、他2つの隣接アンテナの間隔との比が1対2で配置され、4個のアンテナでアンテナ6個分のスペースで11チャネルを実現する。該11チャネルの内の奇数番目のみの受信チャネルを選択受信してDBFを行うと、方位検出の高速化が図れ、左右のチャネルに分けて2回のDBFすると、方位検出の精度向上が図れる。
【解決手段】 送受信共用のアンテナA1〜A4の一つから所定周期で送信信号が送信され、送信された電波の反射波が各アンテナで受信される。受信信号は信号処理制御装置1に伝送され、DBF処理される。切換手段5で送受信が切換えられるアンテナA1〜A4は、2つの隣接アンテナの間隔と、他2つの隣接アンテナの間隔との比が1対2で配置され、4個のアンテナでアンテナ6個分のスペースで11チャネルを実現する。該11チャネルの内の奇数番目のみの受信チャネルを選択受信してDBFを行うと、方位検出の高速化が図れ、左右のチャネルに分けて2回のDBFすると、方位検出の精度向上が図れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数変調された連続波による送信波(FM−CW)を用いたレーダ装置に関し、特に、送信した電波に係る反射波の受信走査をディジタルマルチビーム形成(DBF)により行うレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DBFを用いて受信走査を行うレーダ装置は、種々のものが開発され、知られている。一般にこの種のレーダ装置の基本構成は、1つの送信アンテナと複数の受信アンテナとが用意され、該送信アンテナから電波を送信し、送信された電波の反射波を複数のアンテナで受信するというものである。
【0003】
しかし、この構成によるレーダ装置では、受信アンテナの数に一致する数の受信機が必要であり、走査精度を向上するためには、多数の受信機を備えなければならない。そのため、受信機の数が増えるに従い、その重量及びサイズが大きくなり、しかも、多大な電力を必要とするという問題点があった。
【0004】
そこで、このような問題点を解消するため、小型化かつ軽量化を図ったレーダ装置が提案されている。そのレーダ装置では、複数の受信アンテナが、スイッチを介して1つの受信機に接続されるように構成されている。或いは、複数の受信アンテナを数組に分け、例えば、多数の受信アンテナからなる受信アンテナアレイを4つずつの受信アンテナの組に分け、その4つの受信アンテナに対し、1つの受信機を設け、その組のアンテナがスイッチを介して当該受信機に接続されるようになっている。そこで、送信された電波の反射波を受信する時に、複数の受信アンテナを順次切り換えて受信機に接続する。そうすると、各受信アンテナで得られるレーダ信号を時分割で得ることができる(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。
【0005】
このような構成により、複数の受信アンテナに対応して数の受信機を1つ又はその数より少なくすることができ、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0006】
ここで、レーダ装置で使用される電波は、例えば、76GHz帯等の高周波数帯の電波である。したがって、受信アンテナから受信機までの伝送経路において扱われる信号も、高周波数帯の信号となる。このような高周波信号を切り換えることができるスイッチの入力数は、2あるいは3が一般的である。
【0007】
このため、4以上の受信アンテナを切り換える場合には、複数のスイッチを利用することが行われている。例えば、1入力2切換出力(SPDT)または1入力3切換出力(SP3T)の単位スイッチをトーナメント形式で組み合わせて多切換を実現できる。ここで、単位スイッチとしては、MMIC(マイクロ波モノリシック集積回路)、HIC(ハイブリッド集積回路)などの平面回路型の高周波スイッチが用いられている。
【0008】
しかし、スイッチを多段に接続して用いると、通過するスイッチの夫々において、信号の減衰が大きくなり、受信機数を減少させてスイッチの段数が増えるにつれて、受信感度が劣化するという問題が発生する。
【0009】
そこで、比較的簡単な構成とし、受信感度の劣化を防止できるレーダ装置が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。これまで説明してきたレーダ装置では、複数の受信アンテナについて、一つの送信アンテナが備えられたのに対して、特許文献4に示されたレーダ装置では、送信アンテナを複数本として切換使用することで、受信アンテナの本数を減少することによって、受信アンテナを切り換えるスイッチの数を減少させている。この構成により、受信感度が向上し、また、アンテナ及びスイッチの数をも減少させ、装置の低コスト化を図ることができるというものである。
【0010】
そこで、このレーダ装置の概略ブロック構成を図19に示した。このレーダ装置では、A1、A2及びA3の3本の送信アンテナ、A4及びA5の受信アンテナが、切換手段5に接続され、該切換手段5には、例えば、76GHz帯の高周波信号を出力する電圧制御発振器(VCO)などの発振器3を有する送信機2と、受信機4とが接続されている。受信機4は、発振器3からの発振信号と同期しており、受信アンテナからの受信信号を信号処理制御装置1に伝送する。そして、信号処理制御装置1は、受信信号に基づいてディジタルマルチビーム形成(DBF)の信号処理を行うとともに、切換手段5における送信アンテナ及び受信アンテナの切換制御を行っている。
【0011】
発振器3は、送信機2の分配器を介し送信側のスイッチSW1が接続され、発振出力を送信アンテナに供給する。このスイッチSW1は、1入力3切換出力(SP3T)のスイッチであり、出力側が3つの送信アンテナA1、A2、A3に接続されている。信号処理制御装置1の指示に基づいて、スイッチSW1を切り換えることにより、発振器3からの高周波信号が、送信アンテナA1、A2、A3へ時分割で供給される。そこで、送信アンテナA1、A2、A3から発振器3からの高周波信号が順次時分割で送信される。ここで使用されている送信アンテナA1、A2、A3の指向性は互いに等しく、検出領域全体に電波を照射できる指向性がある。
【0012】
一方、受信側には、2つの受信アンテナA4、A5が設けられている。この受信アンテナA4、A5には、受信側のスイッチSW2が接続されている。このスイッチSW2は、1入力2切換出力(SPDT)のスイッチであり、2つの受信アンテナA4、A5が出力側に接続されている。また、このスイッチSW2の1つの入力は、受信機4のミキサに接続されている。そこで、信号処理制御装置1の指示に基づいて、このスイッチSW2を切り換えることによって、2つの受信アンテナA4、A5で得られた受信信号が、受信機4に供給される。
【0013】
これら送信アンテナA1〜A3、及び受信アンテナA4、A5は、同一平面上に、かつ同一直線上に整列され、従来のレーダ装置におけるアンテナ数より少ないアンテナが配置されている。このようなレーダ装置の構成にすることにより、レーダ装置の製作が容易となり、低コスト化を図ることができ、さらに、自動車レーダなどへの適用の際には、レーダ全体形状を車両への搭載に適したものにすることができるというものである。
【0014】
【特許文献1】特公平6−68542号公報
【特許文献2】特開平11−311668号公報
【特許文献3】特開平11−160423号公報
【特許文献4】特開2000−155171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、図19に示されたレーダ装置におけるアンテナ切換の様子を、図20に示した。このレーダ装置では、受信アンテナA4と受信アンテナA5との配置間隔をLとしたとき、送信アンテナA1、A2、A3は、夫々隣接する送信アンテナ同士の間隔が2Lとなるように配置されている。
【0016】
送信アンテナA1、A2、A3によって送信された電波は、目標物で反射されて受信アンテナA4、A5に至る。従って、送信アンテナを空間的に移動した場合、それに対応して受信アンテナを逆方向に平行移動すれば同じ受信信号が得られるはずである。従って、送信アンテナA2からの送信時における受信アンテナA4、A5の受信信号は、送信アンテナA2を送信アンテナA1の位置に移動し、受信アンテナA4、A5を、該アンテナA4、A5の配置間隔Lだけ逆方向に平行移動させたものと同じとなる。また、送信アンテナA3からの送信時における受信アンテナA4、A5の受信信号は、送信アンテナA3を送信アンテナA1の位置に移動し、受信アンテナA4、A5を2Lだけ平行移動させたものと同じとなる。
【0017】
図20に、各時間における送信アンテナと受信アンテナのペアの関係をアンテナの配列方向における位置関係とが示されるように、スイッチSW1とスイッチSW2とを適宜切り換えることにより、3個の送信アンテナと2個の受信アンテナとによる5個のアンテナによって、6チャネルのビームが得られることが分かる。つまり、1個の送信アンテナに対し、6個の受信アンテナを配置したものと等価になる。
【0018】
ここで、従来の他のレーダ装置において、6個の受信アンテナを設けて、受信機を1個にしようとする場合には、切換スイッチは、1入力3切換出力のスイッチ2つと、1入力2切換出力のスイッチ1つの2段構成としなければなければならなかったのに対して、図19に示されたレーダ装置では、送信側にもスイッチSW1を必要とするが、受信アンテナA4とA5の切換のためには、1段のスイッチSW2を設けるだけで済む。
【0019】
また、図19に示されたレーダ装置において、得られるビームの指向性を狭くするため、チャネル数を更に増やしたい場合には、受信アンテナA4、A5と同一のアンテナ特性の受信アンテナA6(図示なし)を間隔Lで追加配置し、そして、送信アンテナA1とA2とA3の夫々の間隔を3Lにすればよい。このようなアンテナ構成としたレーダ装置によると、図20に示されたチャネル数に3チャネルが追加され、6個のアンテナで、9チャネルのビームが得られる。
【0020】
以上の様に、図19のレーダ装置に従えば、スイッチにおける受信信号の減衰を低減することができ、少ないアンテナ数で、アンテナ数以上のチャネル数を実現することができる。
【0021】
しかしながら、このレーダ装置によれば、アンテナ数以上のチャネル数が実現できても、より指向性を狭くしたビーム得るためには、例えば、9チャネルとする場合には、10個のアンテナを必要としたのに対して、アンテナ数を、6個に減少させることができたが、レーダ装置としてアンテナを組み込むと、横一列に配置されるため、この6個のアンテナは、10個分のスペースに配置されることを必要とする。
【0022】
一方、このようなレーダ装置が、電子機器として、例えば、自動車などに搭載される場合には、電波が自動車の前方に送信されるには、限られた場所しかなく、しかも、狭隘な取り付けスペースしかない。このような環境で使われるレーダ装置は、できるだけ小型化を図る必要がある。そのため、上述したレーダ装置によっても、アンテナ数を減少させることができても、小型化には、未だ不十分なものとなっている。さらには、自動車前方の目標物認識に関しても、自動車運転の安全面からも、より一層の高性能化が要望されており、安価なレーダ装置が求められている。
【0023】
そこで、本発明は、送信した電波に係る反射波の受信走査をディジタルマルチビーム形成(DBF)により行うためのアンテナ数をできるだけ少なくして、多数チャネルを実現しつつ、小型化、高性能化を図り、そしてコスト低減を実現できるレーダ装置であって、さらに、方位検出処理における高速化、精度向上を図ることができるレーダ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
以上の課題を解決するため、本発明では、異なる間隔を有して一列に配置され、同一のアンテナ特性を有する複数のアンテナと、該複数のアンテナの少なくとも一つ以上選択されたアンテナから電波を送信する送信機と、前記送信された前記電波による反射波を前記各アンテナで受信する受信機と、前記反射波を受信した受信信号に基づいてディジタルマルチビーム形成を行う信号処理手段を備えたレーダ装置において、前記電波の送信信号を、前記各アンテナに順次選択して供給する第1切換スイッチと、前記各アンテナから受信された前記反射波に係る受信信号を、前記受信機に順次切り換えて入力する第2切換スイッチとを備え、前記ディジタルマルチビーム形成のためのアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットに従って、前記第1切換スイッチによって当該アンテナが順次選択され、該アンテナから前記送信信号の周期毎に電波が送信されたとき、前記第2切換スイッチは、当該電波に係る反射波を受信するアンテナを、前記各アンテナのうちから選択し、前記受信信号を前記受信機に入力することとした。そして、前記各アンテナの全てが、送受信共用とすることができることとした。
【0025】
そして、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、当該受信信号が奇数番目の前記受信信号チャネル又は偶数番目の前記受信チャネルに該当するときに、前記各アンテナの受信を選択することとし、或いは、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、当該受信信号が奇数番目の前記受信信号チャネル又は偶数番目の又は受信チャネルに該当するときに、前記信号処理手段に出力することとした。
【0026】
また、前記受信信号チャネル切換フォーマットは、全受信信号チャネルを選択する切換フォーマットと、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する切換フォーマットとを含み、前記信号処理手段における方位検出の環境に応じて、前記各切換フォーマットのいずれかが選択されることとした。
【0027】
或いは、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、左側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当するアンテナの受信を選択し、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、右側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当するアンテナの受信を選択することとした。
【0028】
また、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、左側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号を前記信号処理手段に出力し、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、右側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号を前記信号処理手段に出力することとし、さらに、前記信号処理手段は、前記左側半分の受信信号チャネルと前記右側半分の受信信号チャネルの夫々で方位検出処理を実行するようにした。
【0029】
また、本発明の前記レーダ装置では、前記複数のアンテナの配置において、所定の2つの隣り合うアンテナに係るアンテナ間隔と、他の2つの隣り合うアンテナに係るアンテナ間隔との比が、1対2であるとし、前記複数のアンテナが、同一直線上で順番に配置された第1乃至第4アンテナを含み、前記第1アンテナと第2アンテナが第1間隔で配置され、第2アンテナと第3アンテナ及び第3アンテナと第4アンテナが第2間隔で配置され、前記第2間隔が前記第1間隔の2倍であるようにした。
【0030】
前記第1アンテナは、複数の前記周期で前記送信信号の電波を順次に送信し、該周期毎に順次送信された電波による反射波の夫々を、前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順番で受信し、前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順に、前記周期で前記送信信号を送信し、前記第1アンテナが、該電波による各反射波を受信し、奇数番目の受信信号チャネル、或いは、偶数番目の受信チャネルに該当する前記受信信号が前記信号処理手段に出力されることとした。
【0031】
前記第1アンテナ及び第2アンテナが、前記周期で交互に前記送信信号を送信し、前記第3アンテナ又は第4アンテナが、該周期で順次送信された電波による反射波を受信し、複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号が前記信号処理手段に出力され、前記第3アンテナ及び第4アンテナが、前記周期で交互に前記送信信号を送信し、前記第1アンテナ又は第2アンテナが、該周期で順次送信された電波による反射波を受信し、複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号が前記信号処理手段に出力されることとした。
【0032】
また、本発明による前記レーダ装置では、前記複数のアンテナの夫々に送信用ポートと受信用ポートが備えられ、前記送信用ポート毎に送信機が接続され、前記受信用ポート毎に受信機が接続され、前記各送信用ポートが共有送信機に選択接続され、前記受信用ポートが共有受信機に選択接続されることとした。
【0033】
前記複数のアンテナの夫々に、送信用と受信用とを切り換える双方向スイッチが備えられ、前記双方向スイッチは、前記送信用に切り換えられたとき、当該アンテナを送信機に接続し、前記受信用に切り換えられたとき、当該アンテナを受信機に接続することとした。
【0034】
前記複数のアンテナの夫々に対応して、前記送信機の出力ポートと前記受信機の受信ポートとが送受信共用とされた送受信機が備えられることとし、前記送受信機が、前記複数のアンテナの夫々に共有され、各アンテナに選択接続されて送信又は受信を行うこととし、さらに、前記送受信機の数が、前記複数のアンテナの数より少なく備えられることとし、前記送受信機は、前記アンテナに時分割によるスイッチで送信又は受信に切り換えられるようにした。
【0035】
また、本発明の前記レーダ装置では、前記送信機及び前記受信機に基準信号を供給する電圧制御発振器が備えられ、前記電圧制御発振器は、前記複数のアンテナの夫々に関わる各送信機及び各受信機に共用であることとした。
【発明の効果】
【0036】
以上の様に、本発明のレーダ装置では、同一平面上でかつ同一直線上に整列された複数のアンテナのうちで、少なくとも一つ以上選択されたアンテナから電波を送信し、該電波に係る反射波を各アンテナで受信するようにしたので、従来のレーダ装置におけるアンテナ数より少ないアンテナによって、より多くのチャネル数を得ることができるとともに、レーダ装置の小型化、低コスト化を図ることができる。複数のアンテナ全てを送受信共用とした場合では、チャネル数を大幅に増加することが可能となり、受信信号の合成時において、指向性を高くすることができ、レーダ装置としての高性能化を図ることができる。
【0037】
そして、本発明のレーダ装置では、従来のレーダ装置におけるアンテナ数より少ないアンテナを配置すればよく、しかも、複数のアンテナの配置に関して、そのアンテナ間の間隔を工夫したので、多チャネルのディジタルマルチビーム形成を実現でき、更には、装置の小型化、低コスト化を図ることができた。
【0038】
さらに、本発明のレーダ装置では、複数のアンテナの配置に関して、そのアンテナ間の間隔を工夫し、できるだけ少ないアンテナ数で、多チャネルのディジタルマルチビーム形成を実現できたことにより、レーダ装置の使用環境に応じて、全チャネル利用による密状態のチャネル切換フォーマットと、奇数番目のみを利用する粗状態のチャネル切換フォーマットとを選択することが可能となり、通常時においては、粗状態のチャネル切換フォーマットを選択することで、方位検出の処理時間を早くすることができる。
【0039】
また、本発明のレーダ装置では、複数のアンテナの配置に関して、そのアンテナ間の間隔を工夫し、できるだけ少ないアンテナ数で、多チャネルのディジタルマルチビーム形成を実現できたことにより、全チャネルを左右に分け、左側チャネル切換フォーマットと右側切換フォーマットとを用意することができ、同じ対象物体に対して、左右別に2回の方位検出処理を実行することができるので、方位検出の確度を向上することができる。
【0040】
この様なレーダ装置の構成によって、レーダ装置の製作が容易となり、低コスト化を図ることができることで、自動車等に搭載される衝突防止装置等への適用の際には、レーダ装置の全体形状を車両への搭載に適したものにすることができ、方位検出処理が、高速化、効率化されて、衝突防止等に適切に対応できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、本発明のレーダ装置に係る実施形態について、図を参照して説明する。本実施形態によるレーダ装置を説明する前に、本発明のレーダ装置の基礎となるレーダ装置の概略構成について、図1に示した。同図に示したレーダ装置は、図19に示した従来のレーダ装置と同様に、送信した電波に係る反射波の受信走査をディジタルマルチビーム形成(DBF)により行い、信号処理を行うことを基本としており、図1に示されたレーダ装置において、図19に示されたレーダ装置と同じ部分には、同じ符号を付した。図中において、破線で囲まれた範囲に含まれる送信機2、電圧制御発振器(VCO)3、受信機4、切換手段5による高周波回路部分は、従来のレーダ装置と同様に、マイクロ波モノリシック集積回路(MMIC)で形成されている。
【0042】
図1のレーダ装置では、A1、A2、A3及びA4の4本のアンテナが、アンテナアレイAを形成しており、切換手段5に接続されている。該切換手段5には、例えば、76GHz帯の高周波信号を出力する電圧制御発振器(VCO)などの発振器3を有する送信機2と、該送信機から出力された送信信号による電波の反射波を受信した受信信号を入力する受信機4とが接続されている。該受信機4は、発振器3からの発振信号と同期しており、アンテナからの受信信号を信号処理制御装置1に伝送する。そして、信号処理制御装置1は、切換手段5のスイッチSWについて、4個のアンテナA1乃至A4に対する切換制御を行うととともに、受信機4から供給された受信信号に基づいてディジタルマルチビーム形成(DBF)の信号処理を行っている。
【0043】
ここで、図1に示された基礎のレーダ装置が、従来のレーダ装置と大きく異なるところは、従来のレーダ装置では、複数のアンテナで形成されるアンテナアレイは、送信用と受信用とのアンテナが固定されているのに対し、図1に示されたレーダ装置では、アンテナアレイAを形成する複数のアンテナが、送信用と受信用とに固定されてなく、複数のアンテナのうちで、一つ以上、又は、複数全部のアンテナが送受信共用となっており、固定化されていないことである。送信機2からの送信信号の送信と、該送信信号による電波の反射波の受信とを、スイッチSWによって複数のアンテナを適宜切り換えるようにしている。送信信号による電波が順次選択切り換えられたアンテナから送信され、送信された電波の反射波を複数のアンテナによって多チャネルの受信走査を実現している。
【0044】
さらに、図1に示したレーダ装置では、従来のレーダ装置のように、複数のアンテナが等間隔で配列されるのではなく、隣接するアンテナとの間の間隔が異なっていることを特徴としている。複数のアンテナが、等間隔で配置されているとすると、順次切り換えられたアンテナから電波が送信されても、受信アンテナによるその反射波の受信位置が、アンテナ間隔1つ分シフトされるだけであるので、送信アンテナを順次切り換えることの利点が少なくなり、チャネル数を増加しにくい。そのため、アンテナ間の間隔が狭いところと広いところを設け、広い間隔は、狭い間隔の2倍とした。このアンテナの配置の仕方により、少ないアンテナ数で、より多くのチャネル数が得られるようにした。
【0045】
図1に示したレーダ装置に用いられる複数のアンテナにおいては、例えば、指向性、利得などのアンテナ特性がいずれも同一であることが好ましく、各アンテナが、検出領域全体に電波を照射できる指向性を有しているものを使用する。各アンテナは、その送受信面が一直線上になるように一列に配置されていることが好ましい。各アンテナについてアンテナ特性などが揃っていないと、受信信号に含まれる位相の検出に対する演算量の増加を招くことになり、レーダ装置の性能に影響する。
【0046】
図1に示したレーダ装置では、4個のアンテナを備えた場合の例を示している。このレーダ装置におけるディジタルマルチビーム形成(DBF)の基本概念について、図2および図3を参照して説明する。DBFは、信号処理制御装置1内で行われるが、複数のアンテナで構成されるアレーアンテナアレーAの各々の受信信号をA/D変換してディジタル信号し、ビーム走査やサイドローブ特性等の調整をディジタル信号処理で実現している。
【0047】
図2には、レーダ装置に備えられた4個のアンテナA1、A2、A3、A4が、横一直線になるように配置される様子が示されている。同図中における三角形がアンテナを示し、4個のアンテナが並べられている。アンテナA1とA2の配置間隔をdとしたとき、アンテナA2とA3、そして、アンテナA3とA4の配置間隔は、アンテナA1とA2の配置間隔dの2倍である2dとなっている。なお、配置間隔の様子を分かりやすくするため、アンテナA2とA3の間、そして、アンテナA3とA4の間に、破線による三角形が示され、それらの間が、アンテナ1個分、つまり、間隔2d分離れていることを表している。
【0048】
図2に示されるように、先ず、最初に選択されたアンテナA1から送信信号T1によって電波が送信されたとする。図中で網掛けされた三角形が、電波を送信するために選択された送信アンテナであることを表示している。送信アンテナA1から送信された電波は、目標物で反射され、その反射波がアンテナアレイAに戻ってくる。レーダの中心方向に対して、角度θの方向から到来する電波を、図のように配列された4個のアンテナA1、A2、A3、A4からなるアンテナアレイで受信する。アンテナA1に対する反射波R11の伝搬経路長を基準とすると、アンテナA2に係る反射波R21、アンテナA3に係る反射波R31、アンテナA4に係る反射波R41に対する各伝搬経路長は、図に示すように、夫々、p(但し、p=dsinθ)、3p、5pだけ長くなる。
【0049】
したがって、その分だけ、アンテナA2、A3、A4に到達する各反射波R21、R31、R41は、アンテナA1に到達する反射波R11よりも遅れていることを示している。この遅れ量は、λを反射波の波長とすると、夫々、(2πdsinθ)/λ、(6πdsinθ)/λ、(10πdsinθ)/λとなる。そこで、各反射波R11、R21、R31、R41がアンテナA1、A2、A3、A4によって受信されると、受信信号S11、S21、S31、S41が、スイッチSWを介して受信機4に供給されるが、各反射波の到来時間が、アンテナによって異なるため、受信信号S21、S31、S41の夫々の位相は、受信信号S11の位相に対して、(2πdsinθ)/λ、(6πdsinθ)/λ、(10πdsinθ)/λの遅れ量だけ遅れたものとなっている。
【0050】
これらの受信信号に係る遅れ量の大きさに応じて、信号処理制御装置1における各受信信号のディジタル処理において、夫々の分の位相を進めてやると、θ方向からの反射波が全アンテナにおいて同位相で受信されたことと同じになり、指向性がθ方向に全て揃うことになる。
【0051】
次に、図3に示されるように、送信アンテナとして、アンテナA1からアンテナA2に切り換えられると、アンテナA2から送信信号T2に係る電波が送信される。送信アンテナA2から送信された電波は、目標物で反射され、その反射波がアンテナアレイAに戻ってくる。図2と同様に、レーダの中心方向に対して、角度θの方向から到来する反射波を、4個のアンテナA1、A2、A3、A4からなるアンテナアレイAで受信する。
【0052】
アンテナA1、A2、A3、A4は、送信信号T2に対応する反射波R12、R22、R32、R42を夫々受信する。各反射波R12、R22、R32、R42がアンテナA1、A2、A3、A4によって受信されると、受信信号S12、S22、S32、S42が、スイッチSWを介して受信機4に供給される。ここで、アンテナA1に対する反射波R12の伝搬経路長を基準とすると、アンテナA2に係る反射波R22、アンテナA3に係る反射波R32、アンテナA4に係る反射波R42に対する各伝搬経路長は、図に示すように、夫々、p(=dsinθ)、3p、5pだけ長くなる。
【0053】
しかし、図3の場合には、図2の場合とは異なり、送信アンテナは、アンテナA1からアンテナA2にシフトされているので、ここでは、アンテナA2における反射波到来のタイミングを基準にすることになる。そのため、図2の場合に比較して、アンテナA1からアンテナA2にシフトした分だけ、反射波の各アンテナへの到来位置が横方向にずらされたことになる。
【0054】
そうすると、アンテナA2に係る反射波R22による受信信号S22を基準にすると、アンテナA1に係る受信信号S12の位相は、(2πdsinθ)/λだけ進んでいることになり、そして、アンテナA3、A4に到達する各反射波R32、R42による受信信号S32、S42の位相は、アンテナA2で受信された受信信号S22の位相よりも遅れていることになる。この遅れ量は、夫々、(4πdsinθ)/λ、(8πdsinθ)/λとなる。
【0055】
そこで、信号処理制御装置1での各アンテナの受信信号に対するディジタル処理において、進み量を有する受信信号S12については、その位相をその分だけ遅らせてやり、遅れ量を有する受信信号S32、S42については、その位相をその分だけ進めてやると、到来する反射波が、全アンテナにおいて、同位相で受信されたことと同じになり、指向性がθ方向に全て揃うことになる。
【0056】
以上のように、レーダ装置に備えられたスイッチSWの制御によって、FM−CW波を送信信号としている場合には、FM−CW波の三角波における上り及び下りによる1区間毎に、送信アンテナとして、アンテナA1、A2、A3、A4へと順次切り換えながら、各アンテナからFM−CW波の信号を送信し、その反射波を、各区間において、アンテナA1、A2、A3、A4で受信することになる。この手順に従って、送受信共用の4個のアンテナによって、4個のいずれかのアンテナから電波を送信し、その電波の反射波を4個のアンテナで受信することによって、アンテナ6個分のスペースで11チャネルを実現することができる。
【0057】
この4個のアンテナを用いたアンテナアレイによって、アンテナ6個分のスペースで11チャネルを実現した各アンテナの受信状態を、図4及び図5に示した。図4では、レーダ装置における各アンテナの切換動作の具体例1が示され、送信される三角波のFM−CW波の周期に対応させて、送信アンテナA1乃至A4と受信アンテナA1乃至A4との切換タイミングが時系列的に示されている。図4においては、受信アンテナ1は、送信アンテナA1乃至A4がFM−CW波を送信後に切り換えられて、反射波を受信する状態を示しており、受信アンテナ2は、受信アンテナA1乃至A4のうち、受信アンテナ1以外の受信アンテナとして切り換えられた受信アンテナを示している。
【0058】
また、図5では、図4に示された切換タイミングチャートに従った各アンテナの切換動作の具体例1における受信チャネル形成を示しており、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを表している。図5において、横軸が時間を表しており、三角形の図形が受信アンテナを示し、網掛けされた三角形の図形は、送信アンテナと受信アンテナの共用であることを指している。そして、送信アンテナを基準にした各アンテナの受信チャネルの様子が、FM−CW波における三角波の区間毎に表わされている。この例では、各区間には、図4に示されたFM−CW波における3つの三角波が含まれている。従って、1区間目から4区間目までには、12の三角波が含まれている。
【0059】
アンテナA2とアンテナA3の配置間隔、及びアンテナA3とアンテナA4の配置間隔は、アンテナA1とアンテナA2の配置間隔の2倍に設定されていることから、FM−CW波の1区間目では、アンテナA1は、チャネル6で、アンテナA2は、チャネル7で、アンテナA3は、チャネル9で、そして、アンテナA4は、チャネル11で反射波を夫々受信している。
【0060】
FM−CW波の2区間目では、アンテナA2を送信アンテナとし、アンテナA2の受信信号の位相を基準としているので、各アンテナに係る反射波到来位置が、1区間目に比して、見かけ上、配置間隔d分だけシフトされたことと同じになる。その結果、2区間目では、アンテナA1は、チャネル5で、アンテナA2は、チャネル6で、アンテナA3は、チャネル8で、そして、アンテナA4は、チャネル10で反射波を夫々受信していることになる。
【0061】
さらに、送信アンテナが、続く3区間目で、アンテナA3へ、そして、4区間目で、アンテナA4へと順次切り換えられ、区間毎に各アンテナの反射波到来位置が、見かけ上、配置間隔2d分だけ夫々シフトされたことになる。そのため、3区間目、4区間目において、1区間目及び2区間目と同様に、反射波を間隔2dだけシフトした状態において各アンテナで受信することになる。結果として、送信波を送信したアンテナを基準にして見ると、送信した送信波に対する反射波が、1区間目から4区間目を一巡とすると、チャネル1からチャネル11までの全てのチャネルで受信されたことになる。
【0062】
ところで、6チャネル目では、受信が重複しているが、このチャネルが、図5の場合には、基準チャネルとなっているため、これらの受信の重複は、止むを得ないことであるが、4チャネル目と8チャネル目における受信については、どちらか一つが不要である。ここで、演算量の軽減を考慮するならば、スイッチSWを制御して片方の受信を止めてもよいし、或いは、受信はするが、当該受信信号の信号処理を行わないようにしてもよい。
【0063】
この場合における各アンテナの切換動作について、具体例2として、図6及び図7に示した。図6は、図4と同様の要領で、送信される三角波のFM−CW波の周期に対応させて、送信アンテナA1乃至A4と受信アンテナA1乃至A4との切換タイミングが時系列的に示されている。図6においても、受信アンテナ1は、送信アンテナA1乃至A4がFM−CW波を送信後に切り換えられて、反射波を受信する状態を示しており、受信アンテナ2は、受信アンテナA1乃至A4のうち、受信アンテナ1以外の受信アンテナとして切り換えられた受信アンテナを示している。
【0064】
また、図7では、図6に示された切換タイミングチャートに従った各アンテナの切換動作の具体例2における受信チャネル形成を示しており、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを表している。図7においても、図5と同様に、横軸が時間を表しており、三角形の図形が受信アンテナを示し、網掛けされた三角形の図形は、送信アンテナと受信アンテナの共用であることを指している。そして、送信アンテナを基準にした各アンテナの受信チャネルの様子が、FM−CW波における三角波の区間毎に表わされている。
【0065】
ここで、具体例2におけるアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットにおいて、具体例1の場合と異なるところは、図6におけるタイミングチャートでは、送信アンテナとして、アンテナA3を選択されるタイミングは、FM−CW波の三角波の1周期のみであり、当該周期で受信アンテナ2として切り換えられるのは、アンテナA1だけであることである。一方、図7では、3区間目において、破線で示されるように、受信アンテナ2として、アンテナA2とアンテナ4とが選択されないようになっている。
【0066】
これは、2区間目で、8チャネル目として、アンテナA3が、受信アンテナ2として既に選択されているからであり、さらに、4区間目で、アンテナA3が、4チャネル目として選択されるようになっているからであり、同一受信チャネル上で、2重に選択されないようにしている。このような受信信号チャネル切換フォーマットにすることにより、図1に示されるような異なる間隔を有する4個のアンテナA1乃至A4を備えたレーダ装置によって、6個分のアンテナのスペースで、11の受信チャネルを実現するのに、1区間目から4区間目までの一巡に、FM−CW波の10個の三角波でマルチビーム形成を行うことができ、信号処理の高速化を図ることができる。
【0067】
以上に説明した具体例1及び2では、図1に示されるような異なる間隔を有する4個のアンテナA1乃至A4を備えたレーダ装置によって、6個分のアンテナのスペースで、11チャネルを実現する受信信号チャネル切換フォーマットを説明したが、この切換フォーマットによれば、レーダ装置動作時において、常に、11の受信信号チャネルが得られ、レーダ装置の小型化、低コスト化を図ることができ、受信信号の合成時において、指向性を高くでき、レーダ装置としての高性能化を図ることができた。
【0068】
しかしながら、この様なレーダ装置が、例えば、自動車に搭載され、前方の対象物体に対する方位検出が行われる場合がある。ところが、方位検出処理において、方位検出性能が求められるときと、それ程の性能がなくても、方位検出処理の速さが求められるときとがある。図1に示されるレーダ装置によれば、6個分のアンテナのスペースで、11チャネルを実現でき、小型化、低コスト化に貢献するものの、常に11の受信信号チャネルを得ていたのでは、方位検出処理が遅くなる可能性がある。
【0069】
そこで、図1に示されたレーダ装置におけるアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを工夫して、レーダ装置の動作する使用環境に応じて、多チャネルの形成を、粗状態と密状態とに切り換えられるようにし、方位検出処理時間を早くすることが求められるときには、密状態から粗状態に対応することができるようにした。図8及び図9に、本発明のレーダ装置における各アンテナの切換動作について、実施例1として示した。図8は、図4と同様の要領で、送信される三角波のFM−CW波の周期に対応させて、送信アンテナA1乃至A4と受信アンテナA1乃至A4との切換タイミングが時系列的に示されている。図8においても、受信アンテナ1は、送信アンテナA1乃至A4がFM−CW波を送信後に切り換えられて、反射波を受信する状態を示しており、受信アンテナ2は、受信アンテナA1乃至A4のうち、受信アンテナ1以外の受信アンテナとして切り換えられた受信アンテナを示している。
【0070】
また、図9では、図8に示された切換タイミングチャートに従った各アンテナの切換動作の実施例1における受信チャネル形成を示しており、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを表している。図9においても、図5と同様に、横軸が時間を表しており、三角形の図形が受信アンテナを示し、網掛けされた三角形の図形は、送信アンテナと受信アンテナの共用であることを指している。そして、送信アンテナを基準にした各アンテナの受信チャネルの様子が、FM−CW波における三角波の区間毎に表わされている。
【0071】
図8及び図9に示された実施例1では、前述した具体例1及び具体例2の場合と異なり、常に、11チャネルの受信信号を形成するのではなく、形成される11チャネルを、奇数番目のグループと、偶数番目のグループに分けている。図8に示されるように、11チャネル分の受信チャネルを形成するに必要な長さのFM−CW波における連続する複数の三角波のうち、前半部を、奇数番目の受信チャネルの形成に、そして、後半部を、偶数番目の受信チャネルの形成に、受信信号チャネル切換フォーマット上で割り当てるようにする。
【0072】
先ず、11チャネルのうち、奇数番目のみの受信チャネルの形成について説明する。図9に示された1区間目には、図8に示されたFM−CW波における最初の3周期の三角波が含まれ、2区間目乃至4区間目には、続く1周期の三角波が含まれる。1区間目においては、送信アンテナとして、アンテナA1が選択され、アンテナA1から3周期の三角波が送信され、受信アンテナ2として、送信される1周期毎に、アンテナA2、アンテナA3、アンテナA4が選択される。アンテナA2は、7チャネル目の信号を受信し、アンテナA3は、9チャネル目の信号を受信し、そして、アンテナA4は、11チャネル目の信号を受信する。
【0073】
次いで、2区間目では、送信アンテナとして、アンテナA2が選択され、受信アンテナ2として、アンテナA1が選択され、アンテナA1が、5チャネル目の信号を受信する。そして、3区間目では、送信アンテナとして、アンテナA3が選択され、受信アンテナ2として、アンテナA1が選択され、アンテナA1が、3チャネル目の信号を受信し、さらに、4区間目では、送信アンテナとして、アンテナA4が選択され、受信アンテナ2として、アンテナA1が選択され、アンテナA1が、1チャネル目の信号を受信する。なお、図9では、奇数番目の受信チャネルの形成に関係なく、受信アンテナ2として選択されないアンテナについて、破線の三角形で示している。
【0074】
以上のようにして、FM−CW波の三角波の6周期分で、11チャネルのうち、奇数番目のみについての6受信チャネルが形成される。次に、この6個の三角波に続く4個の三角波に従って、11チャネルのうち、偶数番目のみについての受信チャネルの形成について説明する。図8に示されるように、後半部に係る4個の三角波の周期で偶数番目の受信チャネルが形成され、図9においては、受信アンテナ2となるアンテナについて、破線の三角形で選択タイミングが示されている。
【0075】
偶数番目のみについての受信チャネルの形成においては、図9からも分かるように、1区間目は関係なく、2区間目と4区間目とが関係する。2区間目においては、奇数番目の受信チャネル形成に使用された三角波に続く2周期の三角波が含まれ、4区間目には、その2周期の三角波に続く2周期の三角波が含まれ、これらの三角波の4周期で偶数番目のみの受信チャネルが形成される。
【0076】
先ず、2区間目においては、送信アンテナとして、アンテナA2が選択され、アンテナA2から2周期の三角波が送信され、受信アンテナ2として、送信される1周期毎に、アンテナA3、アンテナA4が選択される。アンテナA2は、受信アンテナ1として6チャネル目の信号を受信し、アンテナA3は、受信アンテナ2として、8チャネル目の信号を受信し、そして、アンテナA4は、10チャネル目の信号を受信する。そして、4区間目においては、送信アンテナとして、アンテナA4が選択され、アンテナA4から2周期の三角波が送信され、受信アンテナ2として、送信される1周期毎に、アンテナA2、アンテナA3が選択される。アンテナA2は、受信アンテナ2として、2チャネル目の信号を受信し、アンテナA3は、受信アンテナ2として、4チャネル目の信号を受信する。
【0077】
以上のようにして、FM−CW波の三角波の4周期分で、11チャネルのうち、偶数番目のみについての5受信チャネルが形成される。そこで、偶数番目のみ5受信チャネルの形成を、前述した奇数番目の受信チャネルの形成に連続して実行することにより、三角波の10周期分で、11チャネルの受信信号を形成することができる。図6及び図7に示した具体例2と同様に、多チャネル化による性能向上とともに、信号処理の高速化を図ることができる。なお、前述した奇数番目のみによる6受信チャネルの形成を、上述の偶数番目のみによる5受信チャネルの形成に連続して実行するようにして、三角波の10周期分で、11チャネルの受信信号を形成することもできる。
【0078】
ところで、レーダ装置が、例えば、自動車等の車両に搭載され、前方の対象物体に係る方位検出が行われる場合、例えば、車両が低速走行時、渋滞走行時などにおいては、全チャネルを利用した精度のよい方位検出処理が要求され、一方、通常走行時には、方位検出処理に係る処理時間を早くすることが要求される。この様な要求に対応するため、精度の良い方位検出処理が要求されるときには、アンテナの送受信が密状態である受信信号チャネル切換フォーマットとして、奇数番目のみの受信チャネル切換フォーマットに従う受信チャネル形成に連続して、偶数番目のみの受信チャネル切換フォーマットに従う受信チャネル形成を実行する切換フォーマットとすることにより、11チャネル全てを用いてマルチビームを形成し、レーダ装置としての指向性能を高め、高分解能とすることができる。
【0079】
全チャネルを利用した精度のよい方位検出処理は要求されないが、方位検出処理に係る処理時間を早くすることが要求される場合には、高分解能ではない粗状態の受信信号チャネル切換フォーマットとして、奇数番目のみの受信チャネル形成を実行する切換フォーマットとし、11チャネルのうち、6チャネルだけでマルチビーム形成を行い、通常走行時には、この切換フォーマットを繰返し実行するようにし、レーダ装置における方位検出処理の処理時間を早くする。以上のように、レーダ装置の使用環境に応じて、レーダ装置の構成を変更することなく、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを切り換えるだけで、対応が可能である。
【0080】
次に、図1に示されたレーダ装置におけるアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを工夫して、レーダ装置の前方に位置する対象物体に関して、形成する多チャネルの受信信号チャネルを左右の2グループに分け、左側半分の複数チャネルと右側半分の複数チャネルとで、夫々マルチビーム形成を行い、2回の方位検出処理を実行できるようにし、方位検出の確度を向上する実施例2を、図10及び図11に示した。図10は、図4と同様の要領で、送信される三角波のFM−CW波の周期に対応させて、送信アンテナA1乃至A4と受信アンテナA1乃至A4との切換タイミングが時系列的に示されている。図10においても、受信アンテナ1は、送信アンテナA1乃至A4がFM−CW波を送信後に切り換えられて、反射波を受信する状態を示しており、受信アンテナ2は、受信アンテナA1乃至A4のうち、受信アンテナ1以外の受信アンテナとして切り換えられた受信アンテナを示している。
【0081】
また、図11では、図10に示された切換タイミングチャートに従った各アンテナの切換動作の実施例2における受信チャネル形成を示しており、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを表している。図11においても、図5と同様に、横軸が時間を表しており、三角形の図形が受信アンテナを示し、網掛けされた三角形の図形は、送信アンテナと受信アンテナの共用であることを指している。そして、送信アンテナを基準にした各アンテナの受信チャネルの様子が、FM−CW波における三角波の区間毎に表わされている。ここで、図11に示される例では、左側半分の複数チャネルは、6チャネル目から11チャネルのグループを指し、右側半分の複数チャネルは、1チャネル目から6チャネル目のグループを指している。
【0082】
図10及び図11に示された実施例2では、前述した具体例1及び具体例2の場合と異なり、常に、11チャネルの受信信号を形成するのではなく、形成される11チャネルを、左側半分と右側半分との複数チャネルのグループに分けている。図10に示されるように、11チャネル分の受信チャネルを形成するに必要な長さのFM−CW波における連続する複数の三角波のうち、前半部を、左側半分の受信チャネルの形成に、そして、後半部を、右側半分の受信チャネルの形成に、受信信号チャネル切換フォーマット上で割り当てるようにする。なお、6チャネル目は、基準受信信号チャネルとしているため、左右側の受信チャネルとして共通に含まれている。また、左右側の複数チャネルの受信信号による方位検出の分解能を上げるため、左右側の夫々の複数チャネルに、6チャネル目を超えたチャネルを含め、7チャネル以上にすることもできる。
【0083】
先ず、11チャネルのうち、左側半分の受信チャネルの形成について説明する。図11に示された1区間目から6区間目の各区間には、図10に示されたFM−CW波の1周期の三角波が含まれ、7区間目と8区間目では、図10に示されたFM−CW波の2周期の三角波が含まれ、11チャネルを形成するため、8区間が設けられている。1区間目においては、送信アンテナとして、アンテナA1が選択され、アンテナA1から1周期の三角波が送信され、受信アンテナ1として、アンテナA1が、受信アンテナ2として、アンテナA4が選択される。アンテナA1とA4は、6チャネル目と11チャネル目の信号を夫々受信する。
【0084】
次の2区間目では、アンテナA2が、送信アンテナとなり、受信アンテナ1として、アンテナA2が、受信アンテナ2として、アンテナA4が選択され、6チャネル目と10チャネル目とが夫々受信される。これ以降の3区間目から6区間目まででは、送信アンテナとして、アンテナA1とA2が交互に選択され、受信アンテナ1として、アンテナA1とA2が交互に選択され、そして、受信アンテナ2として、9チャネル目から7チャネル目の各々に対応するアンテナA2又はA3が選択される。これらにより、基準チャネル信号が受信され、9チャネル目から7チャネル目の信号が順次受信される。
【0085】
以上のアンテナ選択の手順に従う左側半分の受信信号チャネル切換フォーマットによって、6チャネル目から11チャネル目までの6チャネルの受信信号でマルチビームを形成することができる。信号処理手段は、この左半分の6チャネルのマルチビーム形成に基づいて、方位検出処理を実行する。
【0086】
次いで、右側半分の受信チャネルの形成について説明する。6区間目において、送信アンテナとして、アンテナA2が選択され、アンテナA2から1周期の三角波が送信され、受信アンテナ1として、アンテナA2が、受信アンテナ2として、アンテナA1が、選択される。アンテナA2とA1は、6チャネル目と5チャネル目の信号を夫々受信する。
【0087】
7区間目では、送信アンテナとして、アンテナA3が選択され、アンテナA3から2周期の三角波が順次送信され、受信アンテナ1として、アンテナA3が、受信アンテナ2として、アンテナA2とA1が順次選択される。アンテナA2とA1は、4チャネル目と3チャネル目の信号を夫々受信する。
【0088】
次の8区間目において、アンテナA4が、送信アンテナとなり、アンテナA3から2周期の三角波が順次送信され、受信アンテナ1として、アンテナA4が、受信アンテナ2として、アンテナA2とA1が順次選択され、2チャネル目と1チャネル目の信号が夫々受信される。なお、図11では、受信チャネルの形成に関係なく、受信アンテナ2として選択されないアンテナについて、破線の三角形で示している。
【0089】
以上のアンテナ選択の手順に従う右側半分の受信信号チャネル切換フォーマットによって、1チャネル目から6チャネル目までの6チャネルの受信信号でマルチビームを形成することができる。そして、信号処理手段は、この左半分の6チャネルのマルチビーム形成に基づいて、方位検出処理を実行する。
【0090】
以上のようにして、FM−CW波の三角波の5周期分で、11チャネルのうち、左側半分及び右側半分に関して、6チャネルを含む受信信号が形成される。そこで、左側半分及び右側半分に係る6チャネルの受信信号に基づいて、信号処理手段が、別々に方位検出処理を実行することが可能となる。
【0091】
そのため、FM−CW波の三角波の5周期分で、1回の方位検出処理を行うことにより、実施例1の奇数番目のみの受信チャネル形成の場合と同様に、方位検出処理の高速化を図ることができる。しかも、引き続くFM−CW波の三角波の5周期分で、相次いで、もう一回の方位検出処理を行うことが可能となるため、同じ分解能による方位検出処理を2回繰り返すことと同等になり、方位検出の的確度を向上することができる。
【0092】
図1に示されるレーダ装置の切換手段5では、4個のアンテナを端から順次切り換えて、送信アンテナとして選択されているが、必ずしも、端から順番でなくとも、途中に配置されたアンテナから選択するようにしても、端から順番に選択された場合と同様に11チャネル化を実現できる。
【0093】
ここでは、4個のアンテナ全てを送信アンテナとして選択して、11チャネル化を図ったが、場合によっては、そこまで、ビームの指向性を強くしなくてもよいことがある。例えば、このレーダ装置が自動車に搭載されたときに、車速が早過ぎて、レーダ装置における演算速度が追い着かない場合、目標物体が近づき、演算速度を上げるために演算量を減らしてやる場合などがある。
【0094】
これらの場合に対処するため、レーダ装置に4個のアンテナが備えられているが、4個のアンテナ全てを送信アンテナとして選択せずに、例えば、アンテナA1とA2だけを送信アンテナとして選択するようにして、5チャネルとすることもでき、また、アンテナA1、A2、A3を送信アンテナとして選択すると、9チャネル化することができる。この様に、アンテナを送信アンテナとして適宜選択することにより、4個のアンテナを備えたままでも、スイッチSWの切換制御の仕方によって、チャネル数を変えることができる。
【0095】
なお、これまで説明したレーダ装置の実施例では、送受信共用のアンテナ4個を備えた場合であったが、チャネル数を適宜の大きさとするためには、4個全てが送受信共用でなく、4個のうち、2又は3個について、送受信共用とすることができる。また、チャネル数を格段に大きくしたい場合には、配置間隔2dの位置に、アンテナA5(図示なし)を追加してもよい。
【0096】
以上に述べてきたように、図1に示されたレーダ装置の構成では、同一平面上でかつ同一直線上に整列された複数のアンテナのうちで、少なくとも一つ以上選択されたアンテナから電波を送信し、該電波に係る反射波を各アンテナで受信するようにしているので、従来のレーダ装置におけるアンテナ数より少ないアンテナによって、より多くのチャネル数を得ることができるとともに、レーダ装置の小型化、低コスト化を図ることができる。特に、複数のアンテナ全てを送受信共用とした場合には、チャネル数を大幅に増加することが可能となり、受信信号の合成時において、指向性を高くすることができ、レーダ装置としての高性能化を図ることができる。
【0097】
次に、図1に示した本発明に係るレーダ装置の構成を基本として、実施例1及び2に係る受信信号チャネル切換フォーマットに従って、効率を向上し、コストを低減し、或いは、より小型化を図るための構成に関連する本実施形態の変形例について、図12乃至図18を参照して、説明する。
【0098】
図12の第1変形例では、切換手段5を省略し、4個のアンテナA1、A2、A3、A4の夫々に対応して、送信機2と受信機4と共用する送受信機61、62、63、64を接続する。この構成は、コストが上昇しても、信号減衰を防ぎたいときには有効である。送信信号を生成する電圧制御発振器(VCO)を送受信機毎に設けてもよいが、全ての送受信機に共用する電圧制御発振器3を一つ設けて、送信信号源を共通化するとともに、受信動作の同期化をし易くしており、コスト低減を図っている。アンテナへの送受信を切り換える送受共用手段としては、例えば、ハイブリット回路や分配回路を用いることができ、更には、送信側と受信側とに、増幅器(AMP)や減衰器(ATT)を挿入しておき、夫々の利得制御又は減衰量制御によって送受信をオン・オフさせることもできる。これにより、送受信を時分割で切り換えることができる。
【0099】
図13の第2変形例では、図1に示された構成と図12に示された構成との中間的な構成例が示され、信号減衰を比較的低く抑えつつ、送受信機によるコストも低減しようとしている。そのため、図12のように、切換手段5を省略してしまうのではなく、図13の構成では、2個のアンテナを切り換える1入力2切換出力(SPDT)のスイッチを採用し、4個のアンテナを切り換えるスイッチSW1とSW2を信号処理制御装置1で切換制御するようにしている。この場合にも、電圧制御発振器は、送受信機65と66とに共用となっている。
【0100】
以上では、送信機と受信機とに関連する構成に対する本実施形態の変形例を説明したが、以下に、図1のレーダ装置における切換手段5についての具体例を説明する。図中においては、切換手段5を中心に示していることから、レーダ装置として必要な信号処理制御装置1と電圧制御発振器3は、図示を省略されている。切換手段5には、アンテナアレイAを形成する4個のアンテナA1、A2、A3、A4と、送信機2と受信機4とが接続され、4個のアンテナに係る送受信が時分割制御されるように、信号処理制御装置1からの切換制御に従って、スイッチSWの選択切換が行われる。
【0101】
図14に示された第1具体例では、4個のアンテナA1、A2、A3、A4の夫々に、送信用と受信用のポートを設け、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。
【0102】
図15に示された第2具体例では、第1具体例とは反対に、送信機2側及び受信機4側の夫々に、4個のアンテナA1、A2、A3、A4用のポートを設けている。これにより、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。
【0103】
図16に示された第3具体例では、4個のアンテナA1、A2、A3、A4に一つずつのポートを設け、送信機2側又は受信機4側で各アンテナを選択切換できるようにしてある。これにより、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。
【0104】
また、第3具体例においては、送信機2と受信機4とが別々に各アンテナを選択的に切り換えることができたのに対し、図17に示された第4具体例では、切換手段5の内部に、送受共用手段が設けられ、これにより、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。送受共用手段としては、ハイブリット回路や分配回路を使用することができ、安価な回路構成とすることができる。
【0105】
図18に示された第5具体例は、第4具体例における送受共有手段を、1入力2出力のスイッチで構成した場合であり、これにより、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。
【0106】
なお、第1乃至第5の具体例において、切換手段5のスイッチSWについて、送信の場合でも受信の場合でも使用できる双方向スイッチとすることにより、切換手段5の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に関わるレーダ装置の概略ブロック構成を示す図である。
【図2】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの動作原理を説明する図である。
【図3】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの受信動作を説明する図である。
【図4】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの切換動作の具体例1を説明するタイムチャート図である。
【図5】各アンテナの切換動作の具体例1における受信チャネル形成を説明する図である。
【図6】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの切換動作の具体例2を説明するタイムチャート図である。
【図7】各アンテナの切換動作の具体例2における受信チャネル形成を説明する図である。
【図8】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの切換動作の実施例1を説明するタイムチャート図である。
【図9】各アンテナの切換動作の実施例1における受信チャネル形成を説明する図である。
【図10】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの切換動作の実施例2を説明するタイムチャート図である。
【図11】各アンテナの切換動作の実施例2における受信チャネル形成を説明する図である。
【図12】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ送受信形態の第1変形例を説明する図である。
【図13】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ送受信形態の第2変形例を説明する図である。
【図14】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第1具体例を説明する図である。
【図15】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第2具体例を説明する図である。
【図16】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第3具体例を説明する図である。
【図17】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第4具体例を説明する図である。
【図18】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第5具体例を説明する図である。
【図19】従来技術によるレーダ装置の概略ブロック構成を示す図である。
【図20】図19に示したレーダ装置のアンテナの受信動作における受信チャネル形成を説明する図である。
【符号の説明】
【0108】
1 信号処理制御装置
2 送信機
3 電圧制御発振器(VCO)
4 受信機
5 切換手段
61〜66 送受信機
A1〜A5 アンテナ
SW、SW1、SW2 切換スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数変調された連続波による送信波(FM−CW)を用いたレーダ装置に関し、特に、送信した電波に係る反射波の受信走査をディジタルマルチビーム形成(DBF)により行うレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DBFを用いて受信走査を行うレーダ装置は、種々のものが開発され、知られている。一般にこの種のレーダ装置の基本構成は、1つの送信アンテナと複数の受信アンテナとが用意され、該送信アンテナから電波を送信し、送信された電波の反射波を複数のアンテナで受信するというものである。
【0003】
しかし、この構成によるレーダ装置では、受信アンテナの数に一致する数の受信機が必要であり、走査精度を向上するためには、多数の受信機を備えなければならない。そのため、受信機の数が増えるに従い、その重量及びサイズが大きくなり、しかも、多大な電力を必要とするという問題点があった。
【0004】
そこで、このような問題点を解消するため、小型化かつ軽量化を図ったレーダ装置が提案されている。そのレーダ装置では、複数の受信アンテナが、スイッチを介して1つの受信機に接続されるように構成されている。或いは、複数の受信アンテナを数組に分け、例えば、多数の受信アンテナからなる受信アンテナアレイを4つずつの受信アンテナの組に分け、その4つの受信アンテナに対し、1つの受信機を設け、その組のアンテナがスイッチを介して当該受信機に接続されるようになっている。そこで、送信された電波の反射波を受信する時に、複数の受信アンテナを順次切り換えて受信機に接続する。そうすると、各受信アンテナで得られるレーダ信号を時分割で得ることができる(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。
【0005】
このような構成により、複数の受信アンテナに対応して数の受信機を1つ又はその数より少なくすることができ、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0006】
ここで、レーダ装置で使用される電波は、例えば、76GHz帯等の高周波数帯の電波である。したがって、受信アンテナから受信機までの伝送経路において扱われる信号も、高周波数帯の信号となる。このような高周波信号を切り換えることができるスイッチの入力数は、2あるいは3が一般的である。
【0007】
このため、4以上の受信アンテナを切り換える場合には、複数のスイッチを利用することが行われている。例えば、1入力2切換出力(SPDT)または1入力3切換出力(SP3T)の単位スイッチをトーナメント形式で組み合わせて多切換を実現できる。ここで、単位スイッチとしては、MMIC(マイクロ波モノリシック集積回路)、HIC(ハイブリッド集積回路)などの平面回路型の高周波スイッチが用いられている。
【0008】
しかし、スイッチを多段に接続して用いると、通過するスイッチの夫々において、信号の減衰が大きくなり、受信機数を減少させてスイッチの段数が増えるにつれて、受信感度が劣化するという問題が発生する。
【0009】
そこで、比較的簡単な構成とし、受信感度の劣化を防止できるレーダ装置が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。これまで説明してきたレーダ装置では、複数の受信アンテナについて、一つの送信アンテナが備えられたのに対して、特許文献4に示されたレーダ装置では、送信アンテナを複数本として切換使用することで、受信アンテナの本数を減少することによって、受信アンテナを切り換えるスイッチの数を減少させている。この構成により、受信感度が向上し、また、アンテナ及びスイッチの数をも減少させ、装置の低コスト化を図ることができるというものである。
【0010】
そこで、このレーダ装置の概略ブロック構成を図19に示した。このレーダ装置では、A1、A2及びA3の3本の送信アンテナ、A4及びA5の受信アンテナが、切換手段5に接続され、該切換手段5には、例えば、76GHz帯の高周波信号を出力する電圧制御発振器(VCO)などの発振器3を有する送信機2と、受信機4とが接続されている。受信機4は、発振器3からの発振信号と同期しており、受信アンテナからの受信信号を信号処理制御装置1に伝送する。そして、信号処理制御装置1は、受信信号に基づいてディジタルマルチビーム形成(DBF)の信号処理を行うとともに、切換手段5における送信アンテナ及び受信アンテナの切換制御を行っている。
【0011】
発振器3は、送信機2の分配器を介し送信側のスイッチSW1が接続され、発振出力を送信アンテナに供給する。このスイッチSW1は、1入力3切換出力(SP3T)のスイッチであり、出力側が3つの送信アンテナA1、A2、A3に接続されている。信号処理制御装置1の指示に基づいて、スイッチSW1を切り換えることにより、発振器3からの高周波信号が、送信アンテナA1、A2、A3へ時分割で供給される。そこで、送信アンテナA1、A2、A3から発振器3からの高周波信号が順次時分割で送信される。ここで使用されている送信アンテナA1、A2、A3の指向性は互いに等しく、検出領域全体に電波を照射できる指向性がある。
【0012】
一方、受信側には、2つの受信アンテナA4、A5が設けられている。この受信アンテナA4、A5には、受信側のスイッチSW2が接続されている。このスイッチSW2は、1入力2切換出力(SPDT)のスイッチであり、2つの受信アンテナA4、A5が出力側に接続されている。また、このスイッチSW2の1つの入力は、受信機4のミキサに接続されている。そこで、信号処理制御装置1の指示に基づいて、このスイッチSW2を切り換えることによって、2つの受信アンテナA4、A5で得られた受信信号が、受信機4に供給される。
【0013】
これら送信アンテナA1〜A3、及び受信アンテナA4、A5は、同一平面上に、かつ同一直線上に整列され、従来のレーダ装置におけるアンテナ数より少ないアンテナが配置されている。このようなレーダ装置の構成にすることにより、レーダ装置の製作が容易となり、低コスト化を図ることができ、さらに、自動車レーダなどへの適用の際には、レーダ全体形状を車両への搭載に適したものにすることができるというものである。
【0014】
【特許文献1】特公平6−68542号公報
【特許文献2】特開平11−311668号公報
【特許文献3】特開平11−160423号公報
【特許文献4】特開2000−155171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、図19に示されたレーダ装置におけるアンテナ切換の様子を、図20に示した。このレーダ装置では、受信アンテナA4と受信アンテナA5との配置間隔をLとしたとき、送信アンテナA1、A2、A3は、夫々隣接する送信アンテナ同士の間隔が2Lとなるように配置されている。
【0016】
送信アンテナA1、A2、A3によって送信された電波は、目標物で反射されて受信アンテナA4、A5に至る。従って、送信アンテナを空間的に移動した場合、それに対応して受信アンテナを逆方向に平行移動すれば同じ受信信号が得られるはずである。従って、送信アンテナA2からの送信時における受信アンテナA4、A5の受信信号は、送信アンテナA2を送信アンテナA1の位置に移動し、受信アンテナA4、A5を、該アンテナA4、A5の配置間隔Lだけ逆方向に平行移動させたものと同じとなる。また、送信アンテナA3からの送信時における受信アンテナA4、A5の受信信号は、送信アンテナA3を送信アンテナA1の位置に移動し、受信アンテナA4、A5を2Lだけ平行移動させたものと同じとなる。
【0017】
図20に、各時間における送信アンテナと受信アンテナのペアの関係をアンテナの配列方向における位置関係とが示されるように、スイッチSW1とスイッチSW2とを適宜切り換えることにより、3個の送信アンテナと2個の受信アンテナとによる5個のアンテナによって、6チャネルのビームが得られることが分かる。つまり、1個の送信アンテナに対し、6個の受信アンテナを配置したものと等価になる。
【0018】
ここで、従来の他のレーダ装置において、6個の受信アンテナを設けて、受信機を1個にしようとする場合には、切換スイッチは、1入力3切換出力のスイッチ2つと、1入力2切換出力のスイッチ1つの2段構成としなければなければならなかったのに対して、図19に示されたレーダ装置では、送信側にもスイッチSW1を必要とするが、受信アンテナA4とA5の切換のためには、1段のスイッチSW2を設けるだけで済む。
【0019】
また、図19に示されたレーダ装置において、得られるビームの指向性を狭くするため、チャネル数を更に増やしたい場合には、受信アンテナA4、A5と同一のアンテナ特性の受信アンテナA6(図示なし)を間隔Lで追加配置し、そして、送信アンテナA1とA2とA3の夫々の間隔を3Lにすればよい。このようなアンテナ構成としたレーダ装置によると、図20に示されたチャネル数に3チャネルが追加され、6個のアンテナで、9チャネルのビームが得られる。
【0020】
以上の様に、図19のレーダ装置に従えば、スイッチにおける受信信号の減衰を低減することができ、少ないアンテナ数で、アンテナ数以上のチャネル数を実現することができる。
【0021】
しかしながら、このレーダ装置によれば、アンテナ数以上のチャネル数が実現できても、より指向性を狭くしたビーム得るためには、例えば、9チャネルとする場合には、10個のアンテナを必要としたのに対して、アンテナ数を、6個に減少させることができたが、レーダ装置としてアンテナを組み込むと、横一列に配置されるため、この6個のアンテナは、10個分のスペースに配置されることを必要とする。
【0022】
一方、このようなレーダ装置が、電子機器として、例えば、自動車などに搭載される場合には、電波が自動車の前方に送信されるには、限られた場所しかなく、しかも、狭隘な取り付けスペースしかない。このような環境で使われるレーダ装置は、できるだけ小型化を図る必要がある。そのため、上述したレーダ装置によっても、アンテナ数を減少させることができても、小型化には、未だ不十分なものとなっている。さらには、自動車前方の目標物認識に関しても、自動車運転の安全面からも、より一層の高性能化が要望されており、安価なレーダ装置が求められている。
【0023】
そこで、本発明は、送信した電波に係る反射波の受信走査をディジタルマルチビーム形成(DBF)により行うためのアンテナ数をできるだけ少なくして、多数チャネルを実現しつつ、小型化、高性能化を図り、そしてコスト低減を実現できるレーダ装置であって、さらに、方位検出処理における高速化、精度向上を図ることができるレーダ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
以上の課題を解決するため、本発明では、異なる間隔を有して一列に配置され、同一のアンテナ特性を有する複数のアンテナと、該複数のアンテナの少なくとも一つ以上選択されたアンテナから電波を送信する送信機と、前記送信された前記電波による反射波を前記各アンテナで受信する受信機と、前記反射波を受信した受信信号に基づいてディジタルマルチビーム形成を行う信号処理手段を備えたレーダ装置において、前記電波の送信信号を、前記各アンテナに順次選択して供給する第1切換スイッチと、前記各アンテナから受信された前記反射波に係る受信信号を、前記受信機に順次切り換えて入力する第2切換スイッチとを備え、前記ディジタルマルチビーム形成のためのアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットに従って、前記第1切換スイッチによって当該アンテナが順次選択され、該アンテナから前記送信信号の周期毎に電波が送信されたとき、前記第2切換スイッチは、当該電波に係る反射波を受信するアンテナを、前記各アンテナのうちから選択し、前記受信信号を前記受信機に入力することとした。そして、前記各アンテナの全てが、送受信共用とすることができることとした。
【0025】
そして、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、当該受信信号が奇数番目の前記受信信号チャネル又は偶数番目の前記受信チャネルに該当するときに、前記各アンテナの受信を選択することとし、或いは、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、当該受信信号が奇数番目の前記受信信号チャネル又は偶数番目の又は受信チャネルに該当するときに、前記信号処理手段に出力することとした。
【0026】
また、前記受信信号チャネル切換フォーマットは、全受信信号チャネルを選択する切換フォーマットと、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する切換フォーマットとを含み、前記信号処理手段における方位検出の環境に応じて、前記各切換フォーマットのいずれかが選択されることとした。
【0027】
或いは、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、左側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当するアンテナの受信を選択し、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、右側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当するアンテナの受信を選択することとした。
【0028】
また、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、左側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号を前記信号処理手段に出力し、前記受信信号チャネル切換フォーマットが、右側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号を前記信号処理手段に出力することとし、さらに、前記信号処理手段は、前記左側半分の受信信号チャネルと前記右側半分の受信信号チャネルの夫々で方位検出処理を実行するようにした。
【0029】
また、本発明の前記レーダ装置では、前記複数のアンテナの配置において、所定の2つの隣り合うアンテナに係るアンテナ間隔と、他の2つの隣り合うアンテナに係るアンテナ間隔との比が、1対2であるとし、前記複数のアンテナが、同一直線上で順番に配置された第1乃至第4アンテナを含み、前記第1アンテナと第2アンテナが第1間隔で配置され、第2アンテナと第3アンテナ及び第3アンテナと第4アンテナが第2間隔で配置され、前記第2間隔が前記第1間隔の2倍であるようにした。
【0030】
前記第1アンテナは、複数の前記周期で前記送信信号の電波を順次に送信し、該周期毎に順次送信された電波による反射波の夫々を、前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順番で受信し、前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順に、前記周期で前記送信信号を送信し、前記第1アンテナが、該電波による各反射波を受信し、奇数番目の受信信号チャネル、或いは、偶数番目の受信チャネルに該当する前記受信信号が前記信号処理手段に出力されることとした。
【0031】
前記第1アンテナ及び第2アンテナが、前記周期で交互に前記送信信号を送信し、前記第3アンテナ又は第4アンテナが、該周期で順次送信された電波による反射波を受信し、複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号が前記信号処理手段に出力され、前記第3アンテナ及び第4アンテナが、前記周期で交互に前記送信信号を送信し、前記第1アンテナ又は第2アンテナが、該周期で順次送信された電波による反射波を受信し、複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号が前記信号処理手段に出力されることとした。
【0032】
また、本発明による前記レーダ装置では、前記複数のアンテナの夫々に送信用ポートと受信用ポートが備えられ、前記送信用ポート毎に送信機が接続され、前記受信用ポート毎に受信機が接続され、前記各送信用ポートが共有送信機に選択接続され、前記受信用ポートが共有受信機に選択接続されることとした。
【0033】
前記複数のアンテナの夫々に、送信用と受信用とを切り換える双方向スイッチが備えられ、前記双方向スイッチは、前記送信用に切り換えられたとき、当該アンテナを送信機に接続し、前記受信用に切り換えられたとき、当該アンテナを受信機に接続することとした。
【0034】
前記複数のアンテナの夫々に対応して、前記送信機の出力ポートと前記受信機の受信ポートとが送受信共用とされた送受信機が備えられることとし、前記送受信機が、前記複数のアンテナの夫々に共有され、各アンテナに選択接続されて送信又は受信を行うこととし、さらに、前記送受信機の数が、前記複数のアンテナの数より少なく備えられることとし、前記送受信機は、前記アンテナに時分割によるスイッチで送信又は受信に切り換えられるようにした。
【0035】
また、本発明の前記レーダ装置では、前記送信機及び前記受信機に基準信号を供給する電圧制御発振器が備えられ、前記電圧制御発振器は、前記複数のアンテナの夫々に関わる各送信機及び各受信機に共用であることとした。
【発明の効果】
【0036】
以上の様に、本発明のレーダ装置では、同一平面上でかつ同一直線上に整列された複数のアンテナのうちで、少なくとも一つ以上選択されたアンテナから電波を送信し、該電波に係る反射波を各アンテナで受信するようにしたので、従来のレーダ装置におけるアンテナ数より少ないアンテナによって、より多くのチャネル数を得ることができるとともに、レーダ装置の小型化、低コスト化を図ることができる。複数のアンテナ全てを送受信共用とした場合では、チャネル数を大幅に増加することが可能となり、受信信号の合成時において、指向性を高くすることができ、レーダ装置としての高性能化を図ることができる。
【0037】
そして、本発明のレーダ装置では、従来のレーダ装置におけるアンテナ数より少ないアンテナを配置すればよく、しかも、複数のアンテナの配置に関して、そのアンテナ間の間隔を工夫したので、多チャネルのディジタルマルチビーム形成を実現でき、更には、装置の小型化、低コスト化を図ることができた。
【0038】
さらに、本発明のレーダ装置では、複数のアンテナの配置に関して、そのアンテナ間の間隔を工夫し、できるだけ少ないアンテナ数で、多チャネルのディジタルマルチビーム形成を実現できたことにより、レーダ装置の使用環境に応じて、全チャネル利用による密状態のチャネル切換フォーマットと、奇数番目のみを利用する粗状態のチャネル切換フォーマットとを選択することが可能となり、通常時においては、粗状態のチャネル切換フォーマットを選択することで、方位検出の処理時間を早くすることができる。
【0039】
また、本発明のレーダ装置では、複数のアンテナの配置に関して、そのアンテナ間の間隔を工夫し、できるだけ少ないアンテナ数で、多チャネルのディジタルマルチビーム形成を実現できたことにより、全チャネルを左右に分け、左側チャネル切換フォーマットと右側切換フォーマットとを用意することができ、同じ対象物体に対して、左右別に2回の方位検出処理を実行することができるので、方位検出の確度を向上することができる。
【0040】
この様なレーダ装置の構成によって、レーダ装置の製作が容易となり、低コスト化を図ることができることで、自動車等に搭載される衝突防止装置等への適用の際には、レーダ装置の全体形状を車両への搭載に適したものにすることができ、方位検出処理が、高速化、効率化されて、衝突防止等に適切に対応できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、本発明のレーダ装置に係る実施形態について、図を参照して説明する。本実施形態によるレーダ装置を説明する前に、本発明のレーダ装置の基礎となるレーダ装置の概略構成について、図1に示した。同図に示したレーダ装置は、図19に示した従来のレーダ装置と同様に、送信した電波に係る反射波の受信走査をディジタルマルチビーム形成(DBF)により行い、信号処理を行うことを基本としており、図1に示されたレーダ装置において、図19に示されたレーダ装置と同じ部分には、同じ符号を付した。図中において、破線で囲まれた範囲に含まれる送信機2、電圧制御発振器(VCO)3、受信機4、切換手段5による高周波回路部分は、従来のレーダ装置と同様に、マイクロ波モノリシック集積回路(MMIC)で形成されている。
【0042】
図1のレーダ装置では、A1、A2、A3及びA4の4本のアンテナが、アンテナアレイAを形成しており、切換手段5に接続されている。該切換手段5には、例えば、76GHz帯の高周波信号を出力する電圧制御発振器(VCO)などの発振器3を有する送信機2と、該送信機から出力された送信信号による電波の反射波を受信した受信信号を入力する受信機4とが接続されている。該受信機4は、発振器3からの発振信号と同期しており、アンテナからの受信信号を信号処理制御装置1に伝送する。そして、信号処理制御装置1は、切換手段5のスイッチSWについて、4個のアンテナA1乃至A4に対する切換制御を行うととともに、受信機4から供給された受信信号に基づいてディジタルマルチビーム形成(DBF)の信号処理を行っている。
【0043】
ここで、図1に示された基礎のレーダ装置が、従来のレーダ装置と大きく異なるところは、従来のレーダ装置では、複数のアンテナで形成されるアンテナアレイは、送信用と受信用とのアンテナが固定されているのに対し、図1に示されたレーダ装置では、アンテナアレイAを形成する複数のアンテナが、送信用と受信用とに固定されてなく、複数のアンテナのうちで、一つ以上、又は、複数全部のアンテナが送受信共用となっており、固定化されていないことである。送信機2からの送信信号の送信と、該送信信号による電波の反射波の受信とを、スイッチSWによって複数のアンテナを適宜切り換えるようにしている。送信信号による電波が順次選択切り換えられたアンテナから送信され、送信された電波の反射波を複数のアンテナによって多チャネルの受信走査を実現している。
【0044】
さらに、図1に示したレーダ装置では、従来のレーダ装置のように、複数のアンテナが等間隔で配列されるのではなく、隣接するアンテナとの間の間隔が異なっていることを特徴としている。複数のアンテナが、等間隔で配置されているとすると、順次切り換えられたアンテナから電波が送信されても、受信アンテナによるその反射波の受信位置が、アンテナ間隔1つ分シフトされるだけであるので、送信アンテナを順次切り換えることの利点が少なくなり、チャネル数を増加しにくい。そのため、アンテナ間の間隔が狭いところと広いところを設け、広い間隔は、狭い間隔の2倍とした。このアンテナの配置の仕方により、少ないアンテナ数で、より多くのチャネル数が得られるようにした。
【0045】
図1に示したレーダ装置に用いられる複数のアンテナにおいては、例えば、指向性、利得などのアンテナ特性がいずれも同一であることが好ましく、各アンテナが、検出領域全体に電波を照射できる指向性を有しているものを使用する。各アンテナは、その送受信面が一直線上になるように一列に配置されていることが好ましい。各アンテナについてアンテナ特性などが揃っていないと、受信信号に含まれる位相の検出に対する演算量の増加を招くことになり、レーダ装置の性能に影響する。
【0046】
図1に示したレーダ装置では、4個のアンテナを備えた場合の例を示している。このレーダ装置におけるディジタルマルチビーム形成(DBF)の基本概念について、図2および図3を参照して説明する。DBFは、信号処理制御装置1内で行われるが、複数のアンテナで構成されるアレーアンテナアレーAの各々の受信信号をA/D変換してディジタル信号し、ビーム走査やサイドローブ特性等の調整をディジタル信号処理で実現している。
【0047】
図2には、レーダ装置に備えられた4個のアンテナA1、A2、A3、A4が、横一直線になるように配置される様子が示されている。同図中における三角形がアンテナを示し、4個のアンテナが並べられている。アンテナA1とA2の配置間隔をdとしたとき、アンテナA2とA3、そして、アンテナA3とA4の配置間隔は、アンテナA1とA2の配置間隔dの2倍である2dとなっている。なお、配置間隔の様子を分かりやすくするため、アンテナA2とA3の間、そして、アンテナA3とA4の間に、破線による三角形が示され、それらの間が、アンテナ1個分、つまり、間隔2d分離れていることを表している。
【0048】
図2に示されるように、先ず、最初に選択されたアンテナA1から送信信号T1によって電波が送信されたとする。図中で網掛けされた三角形が、電波を送信するために選択された送信アンテナであることを表示している。送信アンテナA1から送信された電波は、目標物で反射され、その反射波がアンテナアレイAに戻ってくる。レーダの中心方向に対して、角度θの方向から到来する電波を、図のように配列された4個のアンテナA1、A2、A3、A4からなるアンテナアレイで受信する。アンテナA1に対する反射波R11の伝搬経路長を基準とすると、アンテナA2に係る反射波R21、アンテナA3に係る反射波R31、アンテナA4に係る反射波R41に対する各伝搬経路長は、図に示すように、夫々、p(但し、p=dsinθ)、3p、5pだけ長くなる。
【0049】
したがって、その分だけ、アンテナA2、A3、A4に到達する各反射波R21、R31、R41は、アンテナA1に到達する反射波R11よりも遅れていることを示している。この遅れ量は、λを反射波の波長とすると、夫々、(2πdsinθ)/λ、(6πdsinθ)/λ、(10πdsinθ)/λとなる。そこで、各反射波R11、R21、R31、R41がアンテナA1、A2、A3、A4によって受信されると、受信信号S11、S21、S31、S41が、スイッチSWを介して受信機4に供給されるが、各反射波の到来時間が、アンテナによって異なるため、受信信号S21、S31、S41の夫々の位相は、受信信号S11の位相に対して、(2πdsinθ)/λ、(6πdsinθ)/λ、(10πdsinθ)/λの遅れ量だけ遅れたものとなっている。
【0050】
これらの受信信号に係る遅れ量の大きさに応じて、信号処理制御装置1における各受信信号のディジタル処理において、夫々の分の位相を進めてやると、θ方向からの反射波が全アンテナにおいて同位相で受信されたことと同じになり、指向性がθ方向に全て揃うことになる。
【0051】
次に、図3に示されるように、送信アンテナとして、アンテナA1からアンテナA2に切り換えられると、アンテナA2から送信信号T2に係る電波が送信される。送信アンテナA2から送信された電波は、目標物で反射され、その反射波がアンテナアレイAに戻ってくる。図2と同様に、レーダの中心方向に対して、角度θの方向から到来する反射波を、4個のアンテナA1、A2、A3、A4からなるアンテナアレイAで受信する。
【0052】
アンテナA1、A2、A3、A4は、送信信号T2に対応する反射波R12、R22、R32、R42を夫々受信する。各反射波R12、R22、R32、R42がアンテナA1、A2、A3、A4によって受信されると、受信信号S12、S22、S32、S42が、スイッチSWを介して受信機4に供給される。ここで、アンテナA1に対する反射波R12の伝搬経路長を基準とすると、アンテナA2に係る反射波R22、アンテナA3に係る反射波R32、アンテナA4に係る反射波R42に対する各伝搬経路長は、図に示すように、夫々、p(=dsinθ)、3p、5pだけ長くなる。
【0053】
しかし、図3の場合には、図2の場合とは異なり、送信アンテナは、アンテナA1からアンテナA2にシフトされているので、ここでは、アンテナA2における反射波到来のタイミングを基準にすることになる。そのため、図2の場合に比較して、アンテナA1からアンテナA2にシフトした分だけ、反射波の各アンテナへの到来位置が横方向にずらされたことになる。
【0054】
そうすると、アンテナA2に係る反射波R22による受信信号S22を基準にすると、アンテナA1に係る受信信号S12の位相は、(2πdsinθ)/λだけ進んでいることになり、そして、アンテナA3、A4に到達する各反射波R32、R42による受信信号S32、S42の位相は、アンテナA2で受信された受信信号S22の位相よりも遅れていることになる。この遅れ量は、夫々、(4πdsinθ)/λ、(8πdsinθ)/λとなる。
【0055】
そこで、信号処理制御装置1での各アンテナの受信信号に対するディジタル処理において、進み量を有する受信信号S12については、その位相をその分だけ遅らせてやり、遅れ量を有する受信信号S32、S42については、その位相をその分だけ進めてやると、到来する反射波が、全アンテナにおいて、同位相で受信されたことと同じになり、指向性がθ方向に全て揃うことになる。
【0056】
以上のように、レーダ装置に備えられたスイッチSWの制御によって、FM−CW波を送信信号としている場合には、FM−CW波の三角波における上り及び下りによる1区間毎に、送信アンテナとして、アンテナA1、A2、A3、A4へと順次切り換えながら、各アンテナからFM−CW波の信号を送信し、その反射波を、各区間において、アンテナA1、A2、A3、A4で受信することになる。この手順に従って、送受信共用の4個のアンテナによって、4個のいずれかのアンテナから電波を送信し、その電波の反射波を4個のアンテナで受信することによって、アンテナ6個分のスペースで11チャネルを実現することができる。
【0057】
この4個のアンテナを用いたアンテナアレイによって、アンテナ6個分のスペースで11チャネルを実現した各アンテナの受信状態を、図4及び図5に示した。図4では、レーダ装置における各アンテナの切換動作の具体例1が示され、送信される三角波のFM−CW波の周期に対応させて、送信アンテナA1乃至A4と受信アンテナA1乃至A4との切換タイミングが時系列的に示されている。図4においては、受信アンテナ1は、送信アンテナA1乃至A4がFM−CW波を送信後に切り換えられて、反射波を受信する状態を示しており、受信アンテナ2は、受信アンテナA1乃至A4のうち、受信アンテナ1以外の受信アンテナとして切り換えられた受信アンテナを示している。
【0058】
また、図5では、図4に示された切換タイミングチャートに従った各アンテナの切換動作の具体例1における受信チャネル形成を示しており、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを表している。図5において、横軸が時間を表しており、三角形の図形が受信アンテナを示し、網掛けされた三角形の図形は、送信アンテナと受信アンテナの共用であることを指している。そして、送信アンテナを基準にした各アンテナの受信チャネルの様子が、FM−CW波における三角波の区間毎に表わされている。この例では、各区間には、図4に示されたFM−CW波における3つの三角波が含まれている。従って、1区間目から4区間目までには、12の三角波が含まれている。
【0059】
アンテナA2とアンテナA3の配置間隔、及びアンテナA3とアンテナA4の配置間隔は、アンテナA1とアンテナA2の配置間隔の2倍に設定されていることから、FM−CW波の1区間目では、アンテナA1は、チャネル6で、アンテナA2は、チャネル7で、アンテナA3は、チャネル9で、そして、アンテナA4は、チャネル11で反射波を夫々受信している。
【0060】
FM−CW波の2区間目では、アンテナA2を送信アンテナとし、アンテナA2の受信信号の位相を基準としているので、各アンテナに係る反射波到来位置が、1区間目に比して、見かけ上、配置間隔d分だけシフトされたことと同じになる。その結果、2区間目では、アンテナA1は、チャネル5で、アンテナA2は、チャネル6で、アンテナA3は、チャネル8で、そして、アンテナA4は、チャネル10で反射波を夫々受信していることになる。
【0061】
さらに、送信アンテナが、続く3区間目で、アンテナA3へ、そして、4区間目で、アンテナA4へと順次切り換えられ、区間毎に各アンテナの反射波到来位置が、見かけ上、配置間隔2d分だけ夫々シフトされたことになる。そのため、3区間目、4区間目において、1区間目及び2区間目と同様に、反射波を間隔2dだけシフトした状態において各アンテナで受信することになる。結果として、送信波を送信したアンテナを基準にして見ると、送信した送信波に対する反射波が、1区間目から4区間目を一巡とすると、チャネル1からチャネル11までの全てのチャネルで受信されたことになる。
【0062】
ところで、6チャネル目では、受信が重複しているが、このチャネルが、図5の場合には、基準チャネルとなっているため、これらの受信の重複は、止むを得ないことであるが、4チャネル目と8チャネル目における受信については、どちらか一つが不要である。ここで、演算量の軽減を考慮するならば、スイッチSWを制御して片方の受信を止めてもよいし、或いは、受信はするが、当該受信信号の信号処理を行わないようにしてもよい。
【0063】
この場合における各アンテナの切換動作について、具体例2として、図6及び図7に示した。図6は、図4と同様の要領で、送信される三角波のFM−CW波の周期に対応させて、送信アンテナA1乃至A4と受信アンテナA1乃至A4との切換タイミングが時系列的に示されている。図6においても、受信アンテナ1は、送信アンテナA1乃至A4がFM−CW波を送信後に切り換えられて、反射波を受信する状態を示しており、受信アンテナ2は、受信アンテナA1乃至A4のうち、受信アンテナ1以外の受信アンテナとして切り換えられた受信アンテナを示している。
【0064】
また、図7では、図6に示された切換タイミングチャートに従った各アンテナの切換動作の具体例2における受信チャネル形成を示しており、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを表している。図7においても、図5と同様に、横軸が時間を表しており、三角形の図形が受信アンテナを示し、網掛けされた三角形の図形は、送信アンテナと受信アンテナの共用であることを指している。そして、送信アンテナを基準にした各アンテナの受信チャネルの様子が、FM−CW波における三角波の区間毎に表わされている。
【0065】
ここで、具体例2におけるアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットにおいて、具体例1の場合と異なるところは、図6におけるタイミングチャートでは、送信アンテナとして、アンテナA3を選択されるタイミングは、FM−CW波の三角波の1周期のみであり、当該周期で受信アンテナ2として切り換えられるのは、アンテナA1だけであることである。一方、図7では、3区間目において、破線で示されるように、受信アンテナ2として、アンテナA2とアンテナ4とが選択されないようになっている。
【0066】
これは、2区間目で、8チャネル目として、アンテナA3が、受信アンテナ2として既に選択されているからであり、さらに、4区間目で、アンテナA3が、4チャネル目として選択されるようになっているからであり、同一受信チャネル上で、2重に選択されないようにしている。このような受信信号チャネル切換フォーマットにすることにより、図1に示されるような異なる間隔を有する4個のアンテナA1乃至A4を備えたレーダ装置によって、6個分のアンテナのスペースで、11の受信チャネルを実現するのに、1区間目から4区間目までの一巡に、FM−CW波の10個の三角波でマルチビーム形成を行うことができ、信号処理の高速化を図ることができる。
【0067】
以上に説明した具体例1及び2では、図1に示されるような異なる間隔を有する4個のアンテナA1乃至A4を備えたレーダ装置によって、6個分のアンテナのスペースで、11チャネルを実現する受信信号チャネル切換フォーマットを説明したが、この切換フォーマットによれば、レーダ装置動作時において、常に、11の受信信号チャネルが得られ、レーダ装置の小型化、低コスト化を図ることができ、受信信号の合成時において、指向性を高くでき、レーダ装置としての高性能化を図ることができた。
【0068】
しかしながら、この様なレーダ装置が、例えば、自動車に搭載され、前方の対象物体に対する方位検出が行われる場合がある。ところが、方位検出処理において、方位検出性能が求められるときと、それ程の性能がなくても、方位検出処理の速さが求められるときとがある。図1に示されるレーダ装置によれば、6個分のアンテナのスペースで、11チャネルを実現でき、小型化、低コスト化に貢献するものの、常に11の受信信号チャネルを得ていたのでは、方位検出処理が遅くなる可能性がある。
【0069】
そこで、図1に示されたレーダ装置におけるアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを工夫して、レーダ装置の動作する使用環境に応じて、多チャネルの形成を、粗状態と密状態とに切り換えられるようにし、方位検出処理時間を早くすることが求められるときには、密状態から粗状態に対応することができるようにした。図8及び図9に、本発明のレーダ装置における各アンテナの切換動作について、実施例1として示した。図8は、図4と同様の要領で、送信される三角波のFM−CW波の周期に対応させて、送信アンテナA1乃至A4と受信アンテナA1乃至A4との切換タイミングが時系列的に示されている。図8においても、受信アンテナ1は、送信アンテナA1乃至A4がFM−CW波を送信後に切り換えられて、反射波を受信する状態を示しており、受信アンテナ2は、受信アンテナA1乃至A4のうち、受信アンテナ1以外の受信アンテナとして切り換えられた受信アンテナを示している。
【0070】
また、図9では、図8に示された切換タイミングチャートに従った各アンテナの切換動作の実施例1における受信チャネル形成を示しており、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを表している。図9においても、図5と同様に、横軸が時間を表しており、三角形の図形が受信アンテナを示し、網掛けされた三角形の図形は、送信アンテナと受信アンテナの共用であることを指している。そして、送信アンテナを基準にした各アンテナの受信チャネルの様子が、FM−CW波における三角波の区間毎に表わされている。
【0071】
図8及び図9に示された実施例1では、前述した具体例1及び具体例2の場合と異なり、常に、11チャネルの受信信号を形成するのではなく、形成される11チャネルを、奇数番目のグループと、偶数番目のグループに分けている。図8に示されるように、11チャネル分の受信チャネルを形成するに必要な長さのFM−CW波における連続する複数の三角波のうち、前半部を、奇数番目の受信チャネルの形成に、そして、後半部を、偶数番目の受信チャネルの形成に、受信信号チャネル切換フォーマット上で割り当てるようにする。
【0072】
先ず、11チャネルのうち、奇数番目のみの受信チャネルの形成について説明する。図9に示された1区間目には、図8に示されたFM−CW波における最初の3周期の三角波が含まれ、2区間目乃至4区間目には、続く1周期の三角波が含まれる。1区間目においては、送信アンテナとして、アンテナA1が選択され、アンテナA1から3周期の三角波が送信され、受信アンテナ2として、送信される1周期毎に、アンテナA2、アンテナA3、アンテナA4が選択される。アンテナA2は、7チャネル目の信号を受信し、アンテナA3は、9チャネル目の信号を受信し、そして、アンテナA4は、11チャネル目の信号を受信する。
【0073】
次いで、2区間目では、送信アンテナとして、アンテナA2が選択され、受信アンテナ2として、アンテナA1が選択され、アンテナA1が、5チャネル目の信号を受信する。そして、3区間目では、送信アンテナとして、アンテナA3が選択され、受信アンテナ2として、アンテナA1が選択され、アンテナA1が、3チャネル目の信号を受信し、さらに、4区間目では、送信アンテナとして、アンテナA4が選択され、受信アンテナ2として、アンテナA1が選択され、アンテナA1が、1チャネル目の信号を受信する。なお、図9では、奇数番目の受信チャネルの形成に関係なく、受信アンテナ2として選択されないアンテナについて、破線の三角形で示している。
【0074】
以上のようにして、FM−CW波の三角波の6周期分で、11チャネルのうち、奇数番目のみについての6受信チャネルが形成される。次に、この6個の三角波に続く4個の三角波に従って、11チャネルのうち、偶数番目のみについての受信チャネルの形成について説明する。図8に示されるように、後半部に係る4個の三角波の周期で偶数番目の受信チャネルが形成され、図9においては、受信アンテナ2となるアンテナについて、破線の三角形で選択タイミングが示されている。
【0075】
偶数番目のみについての受信チャネルの形成においては、図9からも分かるように、1区間目は関係なく、2区間目と4区間目とが関係する。2区間目においては、奇数番目の受信チャネル形成に使用された三角波に続く2周期の三角波が含まれ、4区間目には、その2周期の三角波に続く2周期の三角波が含まれ、これらの三角波の4周期で偶数番目のみの受信チャネルが形成される。
【0076】
先ず、2区間目においては、送信アンテナとして、アンテナA2が選択され、アンテナA2から2周期の三角波が送信され、受信アンテナ2として、送信される1周期毎に、アンテナA3、アンテナA4が選択される。アンテナA2は、受信アンテナ1として6チャネル目の信号を受信し、アンテナA3は、受信アンテナ2として、8チャネル目の信号を受信し、そして、アンテナA4は、10チャネル目の信号を受信する。そして、4区間目においては、送信アンテナとして、アンテナA4が選択され、アンテナA4から2周期の三角波が送信され、受信アンテナ2として、送信される1周期毎に、アンテナA2、アンテナA3が選択される。アンテナA2は、受信アンテナ2として、2チャネル目の信号を受信し、アンテナA3は、受信アンテナ2として、4チャネル目の信号を受信する。
【0077】
以上のようにして、FM−CW波の三角波の4周期分で、11チャネルのうち、偶数番目のみについての5受信チャネルが形成される。そこで、偶数番目のみ5受信チャネルの形成を、前述した奇数番目の受信チャネルの形成に連続して実行することにより、三角波の10周期分で、11チャネルの受信信号を形成することができる。図6及び図7に示した具体例2と同様に、多チャネル化による性能向上とともに、信号処理の高速化を図ることができる。なお、前述した奇数番目のみによる6受信チャネルの形成を、上述の偶数番目のみによる5受信チャネルの形成に連続して実行するようにして、三角波の10周期分で、11チャネルの受信信号を形成することもできる。
【0078】
ところで、レーダ装置が、例えば、自動車等の車両に搭載され、前方の対象物体に係る方位検出が行われる場合、例えば、車両が低速走行時、渋滞走行時などにおいては、全チャネルを利用した精度のよい方位検出処理が要求され、一方、通常走行時には、方位検出処理に係る処理時間を早くすることが要求される。この様な要求に対応するため、精度の良い方位検出処理が要求されるときには、アンテナの送受信が密状態である受信信号チャネル切換フォーマットとして、奇数番目のみの受信チャネル切換フォーマットに従う受信チャネル形成に連続して、偶数番目のみの受信チャネル切換フォーマットに従う受信チャネル形成を実行する切換フォーマットとすることにより、11チャネル全てを用いてマルチビームを形成し、レーダ装置としての指向性能を高め、高分解能とすることができる。
【0079】
全チャネルを利用した精度のよい方位検出処理は要求されないが、方位検出処理に係る処理時間を早くすることが要求される場合には、高分解能ではない粗状態の受信信号チャネル切換フォーマットとして、奇数番目のみの受信チャネル形成を実行する切換フォーマットとし、11チャネルのうち、6チャネルだけでマルチビーム形成を行い、通常走行時には、この切換フォーマットを繰返し実行するようにし、レーダ装置における方位検出処理の処理時間を早くする。以上のように、レーダ装置の使用環境に応じて、レーダ装置の構成を変更することなく、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを切り換えるだけで、対応が可能である。
【0080】
次に、図1に示されたレーダ装置におけるアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを工夫して、レーダ装置の前方に位置する対象物体に関して、形成する多チャネルの受信信号チャネルを左右の2グループに分け、左側半分の複数チャネルと右側半分の複数チャネルとで、夫々マルチビーム形成を行い、2回の方位検出処理を実行できるようにし、方位検出の確度を向上する実施例2を、図10及び図11に示した。図10は、図4と同様の要領で、送信される三角波のFM−CW波の周期に対応させて、送信アンテナA1乃至A4と受信アンテナA1乃至A4との切換タイミングが時系列的に示されている。図10においても、受信アンテナ1は、送信アンテナA1乃至A4がFM−CW波を送信後に切り換えられて、反射波を受信する状態を示しており、受信アンテナ2は、受信アンテナA1乃至A4のうち、受信アンテナ1以外の受信アンテナとして切り換えられた受信アンテナを示している。
【0081】
また、図11では、図10に示された切換タイミングチャートに従った各アンテナの切換動作の実施例2における受信チャネル形成を示しており、アンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットを表している。図11においても、図5と同様に、横軸が時間を表しており、三角形の図形が受信アンテナを示し、網掛けされた三角形の図形は、送信アンテナと受信アンテナの共用であることを指している。そして、送信アンテナを基準にした各アンテナの受信チャネルの様子が、FM−CW波における三角波の区間毎に表わされている。ここで、図11に示される例では、左側半分の複数チャネルは、6チャネル目から11チャネルのグループを指し、右側半分の複数チャネルは、1チャネル目から6チャネル目のグループを指している。
【0082】
図10及び図11に示された実施例2では、前述した具体例1及び具体例2の場合と異なり、常に、11チャネルの受信信号を形成するのではなく、形成される11チャネルを、左側半分と右側半分との複数チャネルのグループに分けている。図10に示されるように、11チャネル分の受信チャネルを形成するに必要な長さのFM−CW波における連続する複数の三角波のうち、前半部を、左側半分の受信チャネルの形成に、そして、後半部を、右側半分の受信チャネルの形成に、受信信号チャネル切換フォーマット上で割り当てるようにする。なお、6チャネル目は、基準受信信号チャネルとしているため、左右側の受信チャネルとして共通に含まれている。また、左右側の複数チャネルの受信信号による方位検出の分解能を上げるため、左右側の夫々の複数チャネルに、6チャネル目を超えたチャネルを含め、7チャネル以上にすることもできる。
【0083】
先ず、11チャネルのうち、左側半分の受信チャネルの形成について説明する。図11に示された1区間目から6区間目の各区間には、図10に示されたFM−CW波の1周期の三角波が含まれ、7区間目と8区間目では、図10に示されたFM−CW波の2周期の三角波が含まれ、11チャネルを形成するため、8区間が設けられている。1区間目においては、送信アンテナとして、アンテナA1が選択され、アンテナA1から1周期の三角波が送信され、受信アンテナ1として、アンテナA1が、受信アンテナ2として、アンテナA4が選択される。アンテナA1とA4は、6チャネル目と11チャネル目の信号を夫々受信する。
【0084】
次の2区間目では、アンテナA2が、送信アンテナとなり、受信アンテナ1として、アンテナA2が、受信アンテナ2として、アンテナA4が選択され、6チャネル目と10チャネル目とが夫々受信される。これ以降の3区間目から6区間目まででは、送信アンテナとして、アンテナA1とA2が交互に選択され、受信アンテナ1として、アンテナA1とA2が交互に選択され、そして、受信アンテナ2として、9チャネル目から7チャネル目の各々に対応するアンテナA2又はA3が選択される。これらにより、基準チャネル信号が受信され、9チャネル目から7チャネル目の信号が順次受信される。
【0085】
以上のアンテナ選択の手順に従う左側半分の受信信号チャネル切換フォーマットによって、6チャネル目から11チャネル目までの6チャネルの受信信号でマルチビームを形成することができる。信号処理手段は、この左半分の6チャネルのマルチビーム形成に基づいて、方位検出処理を実行する。
【0086】
次いで、右側半分の受信チャネルの形成について説明する。6区間目において、送信アンテナとして、アンテナA2が選択され、アンテナA2から1周期の三角波が送信され、受信アンテナ1として、アンテナA2が、受信アンテナ2として、アンテナA1が、選択される。アンテナA2とA1は、6チャネル目と5チャネル目の信号を夫々受信する。
【0087】
7区間目では、送信アンテナとして、アンテナA3が選択され、アンテナA3から2周期の三角波が順次送信され、受信アンテナ1として、アンテナA3が、受信アンテナ2として、アンテナA2とA1が順次選択される。アンテナA2とA1は、4チャネル目と3チャネル目の信号を夫々受信する。
【0088】
次の8区間目において、アンテナA4が、送信アンテナとなり、アンテナA3から2周期の三角波が順次送信され、受信アンテナ1として、アンテナA4が、受信アンテナ2として、アンテナA2とA1が順次選択され、2チャネル目と1チャネル目の信号が夫々受信される。なお、図11では、受信チャネルの形成に関係なく、受信アンテナ2として選択されないアンテナについて、破線の三角形で示している。
【0089】
以上のアンテナ選択の手順に従う右側半分の受信信号チャネル切換フォーマットによって、1チャネル目から6チャネル目までの6チャネルの受信信号でマルチビームを形成することができる。そして、信号処理手段は、この左半分の6チャネルのマルチビーム形成に基づいて、方位検出処理を実行する。
【0090】
以上のようにして、FM−CW波の三角波の5周期分で、11チャネルのうち、左側半分及び右側半分に関して、6チャネルを含む受信信号が形成される。そこで、左側半分及び右側半分に係る6チャネルの受信信号に基づいて、信号処理手段が、別々に方位検出処理を実行することが可能となる。
【0091】
そのため、FM−CW波の三角波の5周期分で、1回の方位検出処理を行うことにより、実施例1の奇数番目のみの受信チャネル形成の場合と同様に、方位検出処理の高速化を図ることができる。しかも、引き続くFM−CW波の三角波の5周期分で、相次いで、もう一回の方位検出処理を行うことが可能となるため、同じ分解能による方位検出処理を2回繰り返すことと同等になり、方位検出の的確度を向上することができる。
【0092】
図1に示されるレーダ装置の切換手段5では、4個のアンテナを端から順次切り換えて、送信アンテナとして選択されているが、必ずしも、端から順番でなくとも、途中に配置されたアンテナから選択するようにしても、端から順番に選択された場合と同様に11チャネル化を実現できる。
【0093】
ここでは、4個のアンテナ全てを送信アンテナとして選択して、11チャネル化を図ったが、場合によっては、そこまで、ビームの指向性を強くしなくてもよいことがある。例えば、このレーダ装置が自動車に搭載されたときに、車速が早過ぎて、レーダ装置における演算速度が追い着かない場合、目標物体が近づき、演算速度を上げるために演算量を減らしてやる場合などがある。
【0094】
これらの場合に対処するため、レーダ装置に4個のアンテナが備えられているが、4個のアンテナ全てを送信アンテナとして選択せずに、例えば、アンテナA1とA2だけを送信アンテナとして選択するようにして、5チャネルとすることもでき、また、アンテナA1、A2、A3を送信アンテナとして選択すると、9チャネル化することができる。この様に、アンテナを送信アンテナとして適宜選択することにより、4個のアンテナを備えたままでも、スイッチSWの切換制御の仕方によって、チャネル数を変えることができる。
【0095】
なお、これまで説明したレーダ装置の実施例では、送受信共用のアンテナ4個を備えた場合であったが、チャネル数を適宜の大きさとするためには、4個全てが送受信共用でなく、4個のうち、2又は3個について、送受信共用とすることができる。また、チャネル数を格段に大きくしたい場合には、配置間隔2dの位置に、アンテナA5(図示なし)を追加してもよい。
【0096】
以上に述べてきたように、図1に示されたレーダ装置の構成では、同一平面上でかつ同一直線上に整列された複数のアンテナのうちで、少なくとも一つ以上選択されたアンテナから電波を送信し、該電波に係る反射波を各アンテナで受信するようにしているので、従来のレーダ装置におけるアンテナ数より少ないアンテナによって、より多くのチャネル数を得ることができるとともに、レーダ装置の小型化、低コスト化を図ることができる。特に、複数のアンテナ全てを送受信共用とした場合には、チャネル数を大幅に増加することが可能となり、受信信号の合成時において、指向性を高くすることができ、レーダ装置としての高性能化を図ることができる。
【0097】
次に、図1に示した本発明に係るレーダ装置の構成を基本として、実施例1及び2に係る受信信号チャネル切換フォーマットに従って、効率を向上し、コストを低減し、或いは、より小型化を図るための構成に関連する本実施形態の変形例について、図12乃至図18を参照して、説明する。
【0098】
図12の第1変形例では、切換手段5を省略し、4個のアンテナA1、A2、A3、A4の夫々に対応して、送信機2と受信機4と共用する送受信機61、62、63、64を接続する。この構成は、コストが上昇しても、信号減衰を防ぎたいときには有効である。送信信号を生成する電圧制御発振器(VCO)を送受信機毎に設けてもよいが、全ての送受信機に共用する電圧制御発振器3を一つ設けて、送信信号源を共通化するとともに、受信動作の同期化をし易くしており、コスト低減を図っている。アンテナへの送受信を切り換える送受共用手段としては、例えば、ハイブリット回路や分配回路を用いることができ、更には、送信側と受信側とに、増幅器(AMP)や減衰器(ATT)を挿入しておき、夫々の利得制御又は減衰量制御によって送受信をオン・オフさせることもできる。これにより、送受信を時分割で切り換えることができる。
【0099】
図13の第2変形例では、図1に示された構成と図12に示された構成との中間的な構成例が示され、信号減衰を比較的低く抑えつつ、送受信機によるコストも低減しようとしている。そのため、図12のように、切換手段5を省略してしまうのではなく、図13の構成では、2個のアンテナを切り換える1入力2切換出力(SPDT)のスイッチを採用し、4個のアンテナを切り換えるスイッチSW1とSW2を信号処理制御装置1で切換制御するようにしている。この場合にも、電圧制御発振器は、送受信機65と66とに共用となっている。
【0100】
以上では、送信機と受信機とに関連する構成に対する本実施形態の変形例を説明したが、以下に、図1のレーダ装置における切換手段5についての具体例を説明する。図中においては、切換手段5を中心に示していることから、レーダ装置として必要な信号処理制御装置1と電圧制御発振器3は、図示を省略されている。切換手段5には、アンテナアレイAを形成する4個のアンテナA1、A2、A3、A4と、送信機2と受信機4とが接続され、4個のアンテナに係る送受信が時分割制御されるように、信号処理制御装置1からの切換制御に従って、スイッチSWの選択切換が行われる。
【0101】
図14に示された第1具体例では、4個のアンテナA1、A2、A3、A4の夫々に、送信用と受信用のポートを設け、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。
【0102】
図15に示された第2具体例では、第1具体例とは反対に、送信機2側及び受信機4側の夫々に、4個のアンテナA1、A2、A3、A4用のポートを設けている。これにより、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。
【0103】
図16に示された第3具体例では、4個のアンテナA1、A2、A3、A4に一つずつのポートを設け、送信機2側又は受信機4側で各アンテナを選択切換できるようにしてある。これにより、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。
【0104】
また、第3具体例においては、送信機2と受信機4とが別々に各アンテナを選択的に切り換えることができたのに対し、図17に示された第4具体例では、切換手段5の内部に、送受共用手段が設けられ、これにより、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。送受共用手段としては、ハイブリット回路や分配回路を使用することができ、安価な回路構成とすることができる。
【0105】
図18に示された第5具体例は、第4具体例における送受共有手段を、1入力2出力のスイッチで構成した場合であり、これにより、各アンテナと送信機2又は受信機4との接続を時分割で行うことができる。
【0106】
なお、第1乃至第5の具体例において、切換手段5のスイッチSWについて、送信の場合でも受信の場合でも使用できる双方向スイッチとすることにより、切換手段5の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に関わるレーダ装置の概略ブロック構成を示す図である。
【図2】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの動作原理を説明する図である。
【図3】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの受信動作を説明する図である。
【図4】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの切換動作の具体例1を説明するタイムチャート図である。
【図5】各アンテナの切換動作の具体例1における受信チャネル形成を説明する図である。
【図6】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの切換動作の具体例2を説明するタイムチャート図である。
【図7】各アンテナの切換動作の具体例2における受信チャネル形成を説明する図である。
【図8】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの切換動作の実施例1を説明するタイムチャート図である。
【図9】各アンテナの切換動作の実施例1における受信チャネル形成を説明する図である。
【図10】本発明に関わるレーダ装置における各アンテナの切換動作の実施例2を説明するタイムチャート図である。
【図11】各アンテナの切換動作の実施例2における受信チャネル形成を説明する図である。
【図12】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ送受信形態の第1変形例を説明する図である。
【図13】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ送受信形態の第2変形例を説明する図である。
【図14】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第1具体例を説明する図である。
【図15】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第2具体例を説明する図である。
【図16】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第3具体例を説明する図である。
【図17】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第4具体例を説明する図である。
【図18】本発明に関わるレーダ装置におけるアンテナ切換手段の第5具体例を説明する図である。
【図19】従来技術によるレーダ装置の概略ブロック構成を示す図である。
【図20】図19に示したレーダ装置のアンテナの受信動作における受信チャネル形成を説明する図である。
【符号の説明】
【0108】
1 信号処理制御装置
2 送信機
3 電圧制御発振器(VCO)
4 受信機
5 切換手段
61〜66 送受信機
A1〜A5 アンテナ
SW、SW1、SW2 切換スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる間隔を有して一列に配置され、同一のアンテナ特性を有する複数のアンテナと、該複数のアンテナの少なくとも一つ以上選択されたアンテナから電波を送信する送信機と、前記送信された前記電波による反射波を前記各アンテナで受信する受信機と、前記反射波を受信した受信信号に基づいてディジタルマルチビーム形成を行う信号処理手段を備えたレーダ装置において、
前記電波の送信信号を、前記各アンテナに順次選択して供給する第1切換スイッチと、
前記各アンテナから受信された前記反射波に係る受信信号を、前記受信機に順次切り換えて入力する第2切換スイッチと、を備え、
前記ディジタルマルチビーム形成のためのアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットに従って、前記第1切換スイッチによって当該アンテナが順次選択され、該アンテナから前記送信信号の周期毎に電波が送信されたとき、前記第2切換スイッチは、当該電波に係る反射波を受信するアンテナを、前記各アンテナのうちから選択し、前記受信信号を前記受信機に入力することを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記各アンテナの全てが、送受信共用であることを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、当該受信信号が奇数番目の前記受信信号チャネル又は偶数番目の前記受信チャネルに該当するときに、前記各アンテナの受信を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、当該受信信号が奇数番目の前記受信信号チャネル又は偶数番目の前記受信チャネルに該当するときに、前記信号処理手段に出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記受信信号チャネル切換フォーマットは、全受信信号チャネルを選択する切換フォーマットと、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する切換フォーマットとを含み、
前記信号処理手段における方位検出の環境に応じて、前記各切換フォーマットのいずれかが選択されることを特徴とする請求項3又は4に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、左側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当するアンテナの受信を選択し、
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、右側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当するアンテナの受信を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、左側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号を前記信号処理手段に出力し、
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、右側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号を前記信号処理手段に出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記信号処理手段は、前記左側半分の受信信号チャネルと前記右側半分の受信信号チャネルの夫々で方位検出処理を実行することを特徴とする請求項6又は7のレーダ装置。
【請求項9】
前記複数のアンテナの配置において、所定の2つの隣り合うアンテナに係るアンテナ間隔と、他の2つの隣り合うアンテナに係るアンテナ間隔との比が、1対2であることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【請求項10】
前記複数のアンテナが、同一直線上で順番に配置された第1乃至第4アンテナを含み、
前記第1アンテナと第2アンテナが第1間隔で配置され、第2アンテナと第3アンテナ及び第3アンテナと第4アンテナが第2間隔で配置され、
前記第2間隔が前記第1間隔の2倍であることを特徴とする請求項9に記載のレーダ装置。
【請求項11】
前記第1アンテナは、複数の前記周期で前記送信信号の電波を順次に送信し、該周期毎に順次送信された電波による反射波の夫々を、前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順番で受信し、
前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順に、前記周期で前記送信信号を送信し、前記第1アンテナが、該電波による各反射波を受信し、
奇数番目の受信信号チャネルに該当する前記受信信号が前記信号処理手段に出力されることを特徴とする請求項10に記載のレーダ装置。
【請求項12】
前記第1アンテナは、複数の前記周期で前記送信信号の電波を順次に送信し、該周期毎に順次送信された電波による反射波の夫々を、前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順番で受信し、
前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順に、前記周期で前記送信信号を送信し、前記第1アンテナが、該電波による各反射波を受信し、
偶数番目の受信信号チャネルに該当する前記受信信号が前記信号処理手段に出力されることを特徴とする請求項10に記載のレーダ装置。
【請求項13】
前記第1アンテナ及び第2アンテナが、前記周期で交互に前記送信信号を送信し、前記第3アンテナ又は第4アンテナが、該周期で順次送信された電波による反射波を受信し、複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号が前記信号処理手段に出力され、
前記第3アンテナ及び第4アンテナが、前記周期で交互に前記送信信号を送信し、前記第1アンテナ又は第2アンテナが、該周期で順次送信された電波による反射波を受信し、複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号が前記信号処理手段に出力されることを特徴とする請求項10に記載のレーダ装置。
【請求項14】
前記複数のアンテナの夫々に送信用ポートと受信用ポートが備えられ、
前記送信用ポート毎に送信機が接続され、前記受信用ポート毎に受信機が接続されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【請求項15】
前記各送信用ポートが共有送信機に選択接続され、前記受信用ポートが共有受信機に選択接続されることを特徴とする請求項14に記載のレーダ装置。
【請求項16】
前記複数のアンテナの夫々に、送信用と受信用とを切り換える双方向スイッチが備えられ、
前記双方向スイッチは、前記送信用に切り換えられたとき、当該アンテナを送信機に接続し、前記受信用に切り換えられたとき、当該アンテナを受信機に接続することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【請求項17】
前記複数のアンテナの夫々に対応して、前記送信機の出力ポートと前記受信機の受信ポートとが送受信共用とされた送受信機が備えられることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【請求項18】
前記送受信機が、前記複数のアンテナの夫々に共有され、各アンテナに選択接続されて送信又は受信を行うことを特徴とする請求項17に記載のレーダ装置。
【請求項19】
前記送受信機の数が、前記複数のアンテナの数より少なく備えられることを特徴とする請求項18に記載のレーダ装置。
【請求項20】
前記送受信機は、前記アンテナに時分割によるスイッチで送信又は受信に切り換えられることを特徴とする請求項18又は19に記載のレーダ装置。
【請求項21】
前記送信機及び前記受信機に基準信号を供給する電圧制御発振器が備えられ、
前記電圧制御発振器は、前記複数のアンテナの夫々に関わる各送信機及び各受信機に共用であることを特徴とする請求項9乃至20のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【請求項1】
異なる間隔を有して一列に配置され、同一のアンテナ特性を有する複数のアンテナと、該複数のアンテナの少なくとも一つ以上選択されたアンテナから電波を送信する送信機と、前記送信された前記電波による反射波を前記各アンテナで受信する受信機と、前記反射波を受信した受信信号に基づいてディジタルマルチビーム形成を行う信号処理手段を備えたレーダ装置において、
前記電波の送信信号を、前記各アンテナに順次選択して供給する第1切換スイッチと、
前記各アンテナから受信された前記反射波に係る受信信号を、前記受信機に順次切り換えて入力する第2切換スイッチと、を備え、
前記ディジタルマルチビーム形成のためのアンテナの送受信に関する受信信号チャネル切換フォーマットに従って、前記第1切換スイッチによって当該アンテナが順次選択され、該アンテナから前記送信信号の周期毎に電波が送信されたとき、前記第2切換スイッチは、当該電波に係る反射波を受信するアンテナを、前記各アンテナのうちから選択し、前記受信信号を前記受信機に入力することを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記各アンテナの全てが、送受信共用であることを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、当該受信信号が奇数番目の前記受信信号チャネル又は偶数番目の前記受信チャネルに該当するときに、前記各アンテナの受信を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、当該受信信号が奇数番目の前記受信信号チャネル又は偶数番目の前記受信チャネルに該当するときに、前記信号処理手段に出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記受信信号チャネル切換フォーマットは、全受信信号チャネルを選択する切換フォーマットと、奇数番目の受信信号チャネルのみ又は偶数番目の受信チャネルのみを選択する切換フォーマットとを含み、
前記信号処理手段における方位検出の環境に応じて、前記各切換フォーマットのいずれかが選択されることを特徴とする請求項3又は4に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、左側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当するアンテナの受信を選択し、
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、右側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記第2切換スイッチは、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当するアンテナの受信を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、左側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号を前記信号処理手段に出力し、
前記受信信号チャネル切換フォーマットが、右側半分の受信信号チャネルのみを選択する場合、前記受信機は、前記受信信号が前記複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号を前記信号処理手段に出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記信号処理手段は、前記左側半分の受信信号チャネルと前記右側半分の受信信号チャネルの夫々で方位検出処理を実行することを特徴とする請求項6又は7のレーダ装置。
【請求項9】
前記複数のアンテナの配置において、所定の2つの隣り合うアンテナに係るアンテナ間隔と、他の2つの隣り合うアンテナに係るアンテナ間隔との比が、1対2であることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【請求項10】
前記複数のアンテナが、同一直線上で順番に配置された第1乃至第4アンテナを含み、
前記第1アンテナと第2アンテナが第1間隔で配置され、第2アンテナと第3アンテナ及び第3アンテナと第4アンテナが第2間隔で配置され、
前記第2間隔が前記第1間隔の2倍であることを特徴とする請求項9に記載のレーダ装置。
【請求項11】
前記第1アンテナは、複数の前記周期で前記送信信号の電波を順次に送信し、該周期毎に順次送信された電波による反射波の夫々を、前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順番で受信し、
前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順に、前記周期で前記送信信号を送信し、前記第1アンテナが、該電波による各反射波を受信し、
奇数番目の受信信号チャネルに該当する前記受信信号が前記信号処理手段に出力されることを特徴とする請求項10に記載のレーダ装置。
【請求項12】
前記第1アンテナは、複数の前記周期で前記送信信号の電波を順次に送信し、該周期毎に順次送信された電波による反射波の夫々を、前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順番で受信し、
前記第2アンテナ、第3アンテナ、第4アンテナの順に、前記周期で前記送信信号を送信し、前記第1アンテナが、該電波による各反射波を受信し、
偶数番目の受信信号チャネルに該当する前記受信信号が前記信号処理手段に出力されることを特徴とする請求項10に記載のレーダ装置。
【請求項13】
前記第1アンテナ及び第2アンテナが、前記周期で交互に前記送信信号を送信し、前記第3アンテナ又は第4アンテナが、該周期で順次送信された電波による反射波を受信し、複数の受信信号チャネルの左側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号が前記信号処理手段に出力され、
前記第3アンテナ及び第4アンテナが、前記周期で交互に前記送信信号を送信し、前記第1アンテナ又は第2アンテナが、該周期で順次送信された電波による反射波を受信し、複数の受信信号チャネルの右側半分に相当する受信信号チャネルに該当する受信信号が前記信号処理手段に出力されることを特徴とする請求項10に記載のレーダ装置。
【請求項14】
前記複数のアンテナの夫々に送信用ポートと受信用ポートが備えられ、
前記送信用ポート毎に送信機が接続され、前記受信用ポート毎に受信機が接続されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【請求項15】
前記各送信用ポートが共有送信機に選択接続され、前記受信用ポートが共有受信機に選択接続されることを特徴とする請求項14に記載のレーダ装置。
【請求項16】
前記複数のアンテナの夫々に、送信用と受信用とを切り換える双方向スイッチが備えられ、
前記双方向スイッチは、前記送信用に切り換えられたとき、当該アンテナを送信機に接続し、前記受信用に切り換えられたとき、当該アンテナを受信機に接続することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【請求項17】
前記複数のアンテナの夫々に対応して、前記送信機の出力ポートと前記受信機の受信ポートとが送受信共用とされた送受信機が備えられることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【請求項18】
前記送受信機が、前記複数のアンテナの夫々に共有され、各アンテナに選択接続されて送信又は受信を行うことを特徴とする請求項17に記載のレーダ装置。
【請求項19】
前記送受信機の数が、前記複数のアンテナの数より少なく備えられることを特徴とする請求項18に記載のレーダ装置。
【請求項20】
前記送受信機は、前記アンテナに時分割によるスイッチで送信又は受信に切り換えられることを特徴とする請求項18又は19に記載のレーダ装置。
【請求項21】
前記送信機及び前記受信機に基準信号を供給する電圧制御発振器が備えられ、
前記電圧制御発振器は、前記複数のアンテナの夫々に関わる各送信機及び各受信機に共用であることを特徴とする請求項9乃至20のいずれか一項に記載のレーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−3303(P2006−3303A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182537(P2004−182537)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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