説明

ログ情報管理装置、情報処理装置、ログ情報管理方法及び情報処理方法

【課題】ログ情報管理装置及び情報処理装置において、予め取得するログ情報の条件を設定してユーザ側から出力要求を行うことなくログ情報を取得する。
【解決手段】ログ情報管理装置であるホスト装置2は、ログ情報の取得条件を設定して情報処理装置である印刷装置1に送信する取得条件設定部200と、印刷装置1の取得条件判定部101で取得条件を満たすと判定されたログ情報を受信してログ情報を取得条件で指定された出力場所に対応する記憶装置に保存するログ情報管理部201と、受信したログ情報を表示部に表示するログ情報表示処理部202とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理に対応してログ情報を記録して管理する情報処理装置、情報処理装置からログ情報を取得して管理するログ情報管理装置、ログ情報管理装置におけるログ情報管理方法及び情報処理装置における情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを備えた情報処理装置は、プリンタ等の出力装置をはじめ様々な装置にコンピュータが組み込まれて用途に合わせた情報処理が行われている。このような情報処理装置では、情報処理が正常に行われているか確認するためにログ情報が生成されるようになっている。ログ情報は、実行された情報処理に基づいて生成されるため、装置の障害の原因を解明するための参考情報や装置の動作を再現する手順を知る手がかりとなる有用な情報として活用されている。
【0003】
ログ情報は、情報処理が実行されていくに従い生成されるため、大量のログ情報が生成されることになり、大量に生成されたログ情報の中からどのように必要なログ情報を取得するかが課題となる。
このような課題に対応するために、例えば、特許文献1には、ログ情報を格納する計算機装置に対してポリシーを設定し、出力要求に対してポリシーと実際のログ情報と出力要求の三つを考慮して、適切なログ情報を取捨選択し、階層化して出力する点が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1では、ログ情報を階層化して分かり易くログ情報を出力することが考慮されているが、ログ情報を取得したい場合には、ユーザ側から随時出力要求を行ってログ情報を取得する必要があり、ログ情報の取得のたびに作業負担がかかるといった課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、ログ情報管理装置及び情報処理装置において、予め取得するログ情報の条件を設定して、ユーザ側から出力要求を行うことなくログ情報を取得することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、情報処理装置において生成されるログ情報を取得して管理するログ情報管理装置であって、ログ情報の取得条件を設定して前記情報処理装置に送信する取得条件設定部と、前記情報処理装置において前記取得条件を満たすと判定されたログ情報を受信して当該ログ情報を記憶装置に保存するログ情報管理部と、受信したログ情報を表示部に表示するログ情報表示処理部とを備えているログ情報管理装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたログ情報管理装置において、前記取得条件設定部は、取得条件としてログ情報を保存する出力場所を指定し、前記ログ情報管理部は、ログ情報とともに送信された前記出力場所に関するデータに基づいてログ情報を前記出力場所に対応する記憶装置に保存するログ情報管理装置である。
請求項3の発明は、ログ情報を生成するとともに請求項1ないし3のいずれかに記載されたログ情報管理装置に当該ログ情報を送信する情報処理装置であって、生成されたログ情報をログ情報記録装置に記録するログ情報記録部と、前記ログ情報記録装置に記録されたログ情報が前記取得条件を満たすか判定する取得条件判定部と、前記取得条件を満たすと判定されたログ情報を前記ログ情報管理装置に送信するデータ管理部とを備えている情報処理装置である。
請求項4の発明は、請求項3に記載された情報処理装置において、所定のログ情報に基づいて前記取得条件に対応する統計情報を作成する統計情報管理部を備えている情報処理装置である。
請求項5の発明は、情報処理装置において生成されるログ情報を取得して管理するログ情報管理装置におけるログ情報管理方法であって、ログ情報の取得条件を設定して前記情報処理装置に送信する取得条件設定工程と、前記情報処理装置において前記取得条件を満たすと判定されたログ情報を受信して当該ログ情報を記憶装置に保存するログ情報管理工程と、受信したログ情報を表示部に表示するログ情報表示処理工程とを有するログ情報管理方法である。
請求項6の発明は、ログ情報を生成するとともに請求項1ないし3のいずれかに記載されたログ情報管理装置に当該ログ情報を送信する情報処理装置における情報処理方法であって、生成されたログ情報をログ情報記録装置に記録するログ情報記録工程と、前記ログ情報記録装置に記録されたログ情報が前記取得条件を満たすか否かを判定する取得条件判定工程と、前記取得条件を満たすと判定されたログ情報を前記ログ情報管理装置に送信するデータ管理工程とを有する情報処理方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、予め取得するログ情報の条件を設定してユーザ側から出力要求を行うことなくログ情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るログ情報管理装置及び情報処理装置を備えたネットワークシステムに関するシステム構成図である。
【図2】印刷装置及びホスト装置に関する機能ブロック構成図である。
【図3】取得条件の設定例を示すリストである。
【図4】管理条件の設定例を示すリストである。
【図5】取得条件の設定に関する処理フローである。
【図6】ログ情報の取得に関する処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るログ情報管理装置及び情報処理装置を備えたネットワークシステムに関するシステム構成図である。この実施形態では、印刷装置1、内部記憶装置5及び外部記憶装置6を備えたホスト装置2、ホスト装置3及びログ情報記録装置4がネットワークを介して接続されている。
印刷装置1は、印刷ジョブ等を受信してドキュメントを印刷出力するとともに情報処理装置として機能する。
ホスト装置2は、印刷装置1に印刷ジョブ等を送信するとともにログ情報管理装置として機能する。
ホスト装置3は、印刷装置1に印刷ジョブ等を送信するとともにログ情報の出力先として指定されて受信したログ情報を保存する。
ログ情報記録装置4は、ログ情報の取得条件及び生成されたログ情報を記録する。
内部記憶装置5及び外部記憶装置6は、ログ情報の出力先として指定されてログ情報を保存する。
なお、この実施形態では、情報処理装置として印刷装置をネットワークに接続しているが、印刷装置以外の情報処理を行う装置を接続することもできる。
【0010】
図2は、印刷装置1及びホスト装置2に関する機能ブロック構成図である。印刷装置1は、制御部10、内部記憶装置11、送受信部12、出力部13及び操作表示部14を備えている。制御部10は、印刷装置1の印刷出力等の動作の制御を行う。内部記憶装置11は、印刷ジョブ等の印刷出力に必要なデータを記憶する。送受信部12は、ネットワークを介して他の装置との間でデータの送受信を行う。出力部13は、インクジェット記録機構、電子写真式による画像形成処理機構といった公知の印刷出力機構からなる。操作表示部14は、ユーザがデータ等を操作入力するとともに操作項目等の表示を行う。印刷装置1では、制御部10及び出力部13において情報処理が行われる際に処理に対応してログ情報が生成される。
【0011】
制御部10は、生成されたログ情報について、ログ情報記録部100、取得条件判定部101、データ管理部102及び統計情報管理部103を備えている。ログ情報記録部100は、生成されたログ情報をログ情報記録装置4に記録する。取得条件判定部101は、ホスト装置2で設定されたログ情報の取得条件に基づいて生成されたログ情報を判定する。
データ管理部102は、ホスト装置2から送信されたログ情報の取得条件データ及び管理条件データを受信してログ情報記録装置4に保存するとともに、取得条件を満たすと判定されたログ情報をホスト装置2に送信する。また、データ管理部102は、管理条件データに基づいて記録されたログ情報の管理及び判定処理の管理といったデータ管理を行う。
統計情報管理部103は、記録されたログ情報に基づいてジャム率、出現頻度等の特定項目のカウントを行い、統計情報を作成してログ情報記録装置4に保存する。保存された統計情報は、ホスト装置2から送信要求があればデータ管理部102からホスト装置2に送信されるようになっている。
【0012】
ホスト装置2は、制御部20、操作入力部21、表示部22及び送受信部23を備え、内部記憶装置5及び外部記憶装置6が接続されている。制御部20は、装置全体の動作制御を行い、操作入力部21は、ユーザがログ情報の取得条件等必要なデータを入力する。表示部22は、取得したログ情報等のデータを表示し、送受信部23は、ネットワークを介して他の装置との間でデータの送受信を行う。内部記憶装置5は、印刷装置1から受信したログ情報を一旦記憶し、外部記憶装置6は、印刷装置1から取得したログ情報を保存する。
制御部20は、取得条件設定部200、ログ情報管理部201及びログ情報表示処理部202を備えている。取得条件設定部200は、条件設定画面を表示部22に表示してユーザが取得したいログ情報の条件を入力すると、取得条件データとして印刷装置1に送信する。取得条件としては、例えば、ログ情報の種類、発生場所、ジャム率、出現頻度、ログ情報を取得する期間、取得したログ情報の出力場所といったものが挙げられる。また、取得条件設定部200は、印刷装置1におけるログ情報の管理条件の設定についても取得条件の設定に併せて行う。管理条件としては、例えば、ログ情報を記録する最大保存ログ容量、ログ情報が取得条件を満たすか判定する処理を行う時間間隔が挙げられる。
【0013】
図3は、取得条件の設定例を示すリストである。「ログの種類」の項目は、予め決められたログ情報の分類項目に従って設定され、ログ情報の保存・管理においても使用される。「発生場所」の項目は、ログ情報の発生場所で取得したい場所を指定する項目である。「ジャム率」は、全体のジャムの発生件数に対する指定した発生場所でのジャムの発生件数の割合を指定する。指定したジャム率については、例えば、指定したジャム率を超えた場合には、「指定した場所のジャムの発生が多い」、「同一の場所で同一のログ情報が多い」といった警告をユーザに通知することができる。
「出現頻度」の項目は、ログ情報に基づいて印刷枚数、メンテナンス回数又はエラー発生回数等のカウントを行い、設定した枚数又は回数でログ情報を取得することでその頻度を監視することができる。
【0014】
以上のように出現頻度を指定することで、エラーに関するログ情報だけでなく、正常な処理に関するログ情報についても出現頻度を監視し、印刷枚数の多さやクリーニング回数の多さからトラブルの発生を間接的に知ることができる。また、取得期間を設定することで、必要な期間だけログ情報の判定を行えばよくなり、惰報処理装置への処理負担を軽減することができる。
「取得期間」の項目は、ジャム率や出現頻度等のデータを得るための対象となる期間を設定する。「出力場所」の項目は、取得条件を満たしたログ情報を受信した場合にログ情報を出力する場所を指定する。出力場所としては、内部記憶装置5又は外部記憶装置6といったホスト装置2に接続された記憶装置の他に、IPアドレス等のネットワーク上のアドレスを指定して他のホスト装置を出力場所とすることもできる。
このような取得条件は、まとめて取得条件ID別に設定することができ、取得条件ID別に管理することで、取得条件を漏れなく正確に設定することが可能となる。なお、ログ情報の出力場所を1箇所に集約する場合には、出力場所を設定することは不要である。
【0015】
図4は、管理条件の設定例を示すリストである。管理条件は、取得条件ID別に設定することができる。この例では、取得条件ID(00010001)の場合、最大保存ログ容量が1GBに設定されており、ログ情報記録装置に保存するログ情報の容量が1GBを超えると、印刷装置1では、古いログ情報から順次削除していくようにデータ管理を行う。また、条件判定間隔が100秒に設定されており、印刷装置1では、記録されたログ情報が取得条件を満たすか否かの判定処理を100秒毎に行うように管理する。判定処理を行う間隔を短くするとリアルタイムでログ情報を取得することができるが、印刷装置の処理負担が大きくなるため、印刷出力処理に影響が出ない程度の間隔に設定する。また、条件判定間隔毎にログ情報が判定されるため、この間隔がホスト装置へのログ情報の送信間隔となる。
【0016】
ログ情報管理部201は、印刷装置1から受信した取得条件を満たすログ情報を出力場所に振り分けて保存する。受信したログ情報は、ログ情報表示処理部202により自動的に表示部22で表示するように処理される。また、保存されたログ情報を表示する場合には、ユーザからの表示要求に基づいてログ情報管理部201が保存先の記憶装置から読み出してログ情報表示処理部202により表示部22で表示するように処理される。
【0017】
図5は、取得条件の設定に関する処理フローである。ホスト装置2で取得条件設定画面を表示し(S100)、ユーザがログ情報の取得条件及び管理条件を入力する(S101)。入力された取得条件データ及び管理条件データは印刷装置1に送信され(S102)、ネットワークを介して印刷装置1で受信される(S103)。受信した取得条件データ及び管理条件データはログ情報記録装置4に送信して保存処理される(S104)。
【0018】
図6は、ログ情報の取得に関する処理フローである。印刷装置1では、情報処理が実行されるたびにログ情報が生成されるため、ログ情報が生成されたか否かをチェックし(S200)、ログ情報が生成されると(S200、YES)、生成されたログ情報はログ情報記録装置4に記録する処理が行われる(S201)。そして、取得条件を満たすか否かの判定処理を行うタイミングをチェックし(S202)、判定タイミングでない場合には(S202、NO)、ステップS200に戻り次のログ情報が生成されたかチェックする。判定タイミングである場合には(S202、YES)、取得条件データを読み出して記録されたログ情報が取得条件を満たしているか否か判定し(S203)、取得条件を満たしているときは(S203、YES)、取得条件を満たしているログ情報を出力場所に関するデータとともに送信する(S204)。ログ情報の送信処理後、ステップS200に戻り、次のログ情報が生成されたか否かをチェックする。ホスト装置2では、ログ情報及び出力場所に関するデータを受信すると(S205)、指定された出力場所にログ情報を保存する(S206)。また、取得したログ情報を表示部に表示するように処理する(S207)。
【0019】
以上のように処理することで、予め取得したログ情報の条件(取得期間、ジャム率、出現頻度、出力場所等)を指定しておくことで、必要なログ情報のみを自動的に取得することができる。そのため、ユーザに作業負担をかけることなく必要なログ情報を確実に取得することができる。また、取得条件を設定することで、エラーログ以外の正常な動作に関するログ情報からもトラブルの発生に関する情報を早期に得ることができる。また、取得したログ情報を、出力場所を振り分けて保存しておくことで、例えばログ情報を種類別に管理するといったことが可能となり、効果的な情報管理を行うことができる。
【0020】
また、ホスト装置2以外のホスト装置3がログ情報の出力場所が指定されている場合には、ホスト装置2は、ホスト装置3のIPアドレスを出力場所のデータとしてログ情報とともに受信するため、IPアドレスに基づいてログ情報をホスト装置3に転送するように処理する。そして、ホスト装置3では、ログ情報を受信すると、ステップS206及びS207と同様にログ情報の保存及び表示の処理を行う。
【符号の説明】
【0021】
1・・・印刷装置、2・・・ホスト装置、3・・・ホスト装置、4・・・ログ情報記録装置、5・・・内部記憶装置、6・・・外部記憶装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2003−308227号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置において生成されるログ情報を取得して管理するログ情報管理装置であって、ログ情報の取得条件を設定して前記情報処理装置に送信する取得条件設定部と、前記情報処理装置において前記取得条件を満たすと判定されたログ情報を受信して当該ログ情報を記憶装置に保存するログ情報管理部と、受信したログ情報を表示部に表示するログ情報表示処理部とを備えているログ情報管理装置。
【請求項2】
前記取得条件設定部は、取得条件としてログ情報を保存する出力場所を指定し、前記ログ情報管理部は、ログ情報とともに送信された前記出力場所に関するデータに基づいてログ情報を前記出力場所に対応する記憶装置に保存する請求項1に記載されたログ情報管理装置。
【請求項3】
ログ情報を生成するとともに請求項1又は2に記載されたログ情報管理装置に当該ログ情報を送信する情報処理装置であって、生成されたログ情報をログ情報記録装置に記録するログ情報記録部と、前記ログ情報記録装置に記録されたログ情報が前記取得条件を満たすか判定する取得条件判定部と、前記取得条件を満たすと判定されたログ情報を前記ログ情報管理装置に送信するデータ管理部とを備えている情報処理装置。
【請求項4】
所定のログ情報に基づいて前記取得条件に対応する統計情報を作成する統計情報管理部を備えている請求項3に記載された情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置において生成されるログ情報を取得して管理するログ情報管理装置におけるログ情報管理方法であって、
ログ情報の取得条件を設定して前記情報処理装置に送信する取得条件設定工程と、前記情報処理装置において前記取得条件を満たすと判定されたログ情報を受信して当該ログ情報を記憶装置に保存するログ情報管理工程と、受信したログ情報を表示部に表示するログ情報表示処理工程とを有するログ情報管理方法。
【請求項6】
ログ情報を生成するとともに請求項1又は2に記載されたログ情報管理装置に当該ログ情報を送信する情報処理装置における情報処理方法であって、
生成されたログ情報をログ情報記録装置に記録するログ情報記録工程と、前記ログ情報記録装置に記録されたログ情報が前記取得条件を満たすか否かを判定する取得条件判定工程と、前記取得条件を満たすと判定されたログ情報を前記ログ情報管理装置に送信するデータ管理工程とを有する情報処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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