説明

ロボットハンド及びそれを用いたパレタイジング装置

【課題】粒状物を充填した不定形袋のパレタイジングにおいて、高い積載効率を確保するとともに荷崩れを起こしにくい積付け山を形成できるようにする。
【解決手段】パレタイジング装置のロボットアーム先端側に取り付けられて不定形袋50をワーク支持手段12で支持しながら積載スペース内に積付けてパレタイジングを行うロボットハンド10であって、そのワーク支持手段12は横向きにした不定形袋50を下から支えて持ち上げるための複数本のフォーク12a,12b,12c,12dをロボットハンド前面下端側から前方に突出した状態で横方向に並列して有しており、両端のフォーク12a,12dの間で少なくとも1本以上のフォーク12b,12cが上面を両端のフォーク12a,12d上面よりも高い位置で設けられて正面視山形のフォーク配置とされており、不定形袋50を中央部が弧状に持ち上がった状態で支持しながら積付けを行うものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンド及びそれを用いたパレタイジング装置に関し、殊に、粒状物を充填してなる不定形袋をパレタイジングするためにロボットアーム先端側に取り付けるロボットハンド、及びそれを用いた不定形袋用のパレタイジング装置に及に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアで搬送された複数のワークをパレット上に順次自動的に積付ける装置としては、実公平5−8271号公報や特開平9−142662号公報に記載されているようなパレタイジング装置が周知である。これらの装置ではロボットアームの先端側にワークを把持又は支持しやすい形状にしたロボットハンドが接続されており、電子制御装置がワークの形状・サイズに応じて空間的に無駄の少ない積付け方法を決定し、パレット上の一定空間内で最も効率的な積付けを実現すべく駆動制御を行っている。
【0003】
斯かるパレタイジング装置においては、積付け対象であるワークが水平面と垂直面のみからなる直方体のように定形的で単純な形状を有しているものであれば、移送時に荷崩れの生じにくい安定的な積付け山を形成することが容易であり、また、積付け山の中に無駄な空きスペースが殆ど生じない効率的な積付けを実現しやすい。
【0004】
しかし、ワークが粒状物を充填してなる不定形袋である場合には、湾曲面を有することに加え形状が変形しやすいことを原因として、ワーク同士を隙間無く密着させた状態で積付けにくくなるため、無駄な空きスペースの少ない効率的な積付けを実施することは困難である。また、比較的大きな隙間が不定形袋間に形成されるとこの部分が袋を変形させる余地となるため、全体としても安定性を欠いて荷崩れを起こしやすくなってしまう。
【0005】
斯かる問題に対し、特開平7−61604号公報には、ロボットハンドにおける把持爪の間でその開閉方向に平行な押え板を昇降させる昇降シリンダを備えて、不定形袋を横向きに寝かせた状態にて把持爪で把持しながら押え板を不定形袋の上面に押し付けて平坦に成形し、そのまま押し付けた状態で不定形袋を搬送するものとしたパレタイジング方法が提案されている。
【0006】
この方法を採用することにより、不定形袋の上面側が平坦になるため移送時に荷崩れを起こしにくいものとなる。しかしながら、不定形袋を上から押さえ付けて上面を平坦にしても、不定形袋の側面同士の密着度を充分に高めることは困難であるとともに、上から押さえ付ける動作で不定形袋が水平方向に広がるため、同一面積における積付け個数が減少する結果となる。
【0007】
また、斯かる不定形袋の充填部は、一般に縦(袋の口から底までの深さ方向)の長さが横幅よりも大きく、この長径側を横にして平積みにする際には、積付け方法を工夫しても一辺が不定形袋の縦の長さ未満で平積みできない半端な空きスペースが残るケースが多いため、積載効率が箱物の場合と比べて低くなりやすい傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平5−8271号公報
【特許文献2】特開平9−142662号公報
【特許文献3】特開平7−61604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、粒状物を充填してなる不定形袋のパレタイジングにおいて、高い積載効率を確保するとともに荷崩れを起こしにくい積付け山を形成できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、パレタイジング装置のロボットアーム先端側に取り付けられて、粒状物を充填してなる不定形袋をワーク支持手段で支持しながら所定の積載スペース内に積付けてパレタイジングを行うためのロボットハンドにおいて、そのワーク支持手段は、横向きに寝かせた不定形袋を下から支えて持ち上げるための複数本のフォークをロボットハンド前面下端側から前方に突出した状態で横方向に並列して有しており、両端のフォークの間に少なくとも1本以上のフォークがその上面を両端のフォーク上面よりも高い位置にして設けられて正面視山形のフォーク配置とされており、不定形袋を中央部が弧状に持ち上がった状態で支持しながら積付けを行う、ことを特徴とするものとした。
【0011】
このように、ロボットハンドのワーク支持手段を構成する複数本のフォークを正面視山形の配置にしたことで、粒状物を充填して形状の変化しやすい不定形袋を積付ける際に中央部を弧状に持ち上げて縦の長さが短縮した状態で支持することになり、これを積付けることで縦の長さを縮小した状態で一旦接地してから内部の重みで水平方向に僅かに広がるものとなる。これにより、先に積付けた不定形袋に接するように順次積付けることにより隣接した不定形袋同士が縦の長さを縮小した状態で互いに密着し、袋を平坦にして積付ける場合と比べて同じ積載スペースでもより多く積載できることに加え、不定形袋同士の密着方向の圧力が均衡して全体としての形態安定性が増すことから、移送時に荷崩れを起こしにくい安定的な積付け山を構成するものとなる。
【0012】
また、このロボットハンドにおいて、そのワーク支持手段は、両端のフォークによる横幅が積付け対象である不定形袋の粒状物充填部の長径の1/2〜3/4であって、且つ、最も低い両端のフォーク上面と最も高いフォーク上面との高低差が、両端のフォークによる横幅の1/12〜1/8とされている、ことを特徴としたものとすれば、不定形袋の状況に応じて不定形袋の中央部を適度に持ち上がった状態にして積付けできるものとなる。
【0013】
さらに、上述したロボットハンドにおいて、そのワーク支持手段は、正面視で左端のフォーク上面及びその1つ内側のフォーク上面に接するように中心方向斜め上向きに延ばした直線と正面視で右端のフォーク上面及びその1つ内側のフォーク上面に接するように中心方向斜め上向きに延ばした直線とが中央位置で交差する部分の内角が、100°〜150°の範囲に収まるように3本〜6本のフォークを正面視で左右対称の放物線状に配置してなるものとすれば、不定形袋を適度な湾曲状態にして支持できるものとなる。
【0014】
さらにまた、上述したロボットハンドにおいて、そのワーク支持手段は、フォーク基端側の上方でフォーク長手方向に対し直角のワーク受け面を構成する前面板を備えているとともに、この前面板よりも前方に突出して不定形袋を支持する位置とこの前面板の裏側方向に退縮して不定形袋を落下させる位置との間で、そのフォークが所定の駆動手段で前後方向に進退動作可能とされており、支持した不定形袋を前面板に当接させながらフォークを退縮させてフォーク先端側から滑り落とすようにして積付けを行う、ことを特徴としたものとすれば、先に積付けた不定形袋の側面に次の不定形袋の側面を密着させながら積付けることが容易なものとなる。
【0015】
加えて、上述したロボットハンドにおいて、その外面所定位置に不定形袋の開口側を締結した首部を把持して不定形袋を吊り下げるための開閉駆動可能なグリップ手段が設けられており、不定形袋を吊り下げた状態で立積み可能とされていることを特徴としたものとすれば、横向きに積付けられない半端なスペースに立てた状態で積付けられるケースが増えるため、さらに高い積載効率を確保しやすいものとなる。この場合、そのロボットハンドはコインを充填してなる不定形袋の積付け用であることを特徴としたものとすれば、比重が重く特に形態安定性に乏しいコイン充填袋を、平積みと立積みを組み合わせて積付けながら高い積付け効率と積付け山の安定性を実現可能なものとなる。
【0016】
上述したロボットハンドをロボットアーム先端側に備えるとともに電子制御装置を備えた不定形袋用のパレタイジング装置とし、電子制御装置でロボットアーム及びロボットハンドの駆動制御を行いながら所定形状の積付け山を形成する、ことを特徴としたものとすれば、上述したロボットハンドの機能を実際に発揮できるものとなる。
【0017】
さらに加えて、上述のグリップ手段を備えたロボットハンドをロボットアーム先端側に備えるとともに電子制御装置を備えた不定形袋用のパレタイジング装置とし、電子制御装置でロボットアーム及びロボットハンドの駆動制御を行いながら、ワーク支持手段による平積みとグリップ手段による立積みを組み合わせて所定形状の積付け山を形成する、ことを特徴としたものとすれば、平積みのみでパレタイジングを行う場合と比べて無駄な空きスペースを少なくすることができ、より高い積載効率を確保しやすいものとなる。
【0018】
そして、このパレタイジング装置において、積付け対象である不定形袋が縦長であって粒状物充填部の長径が横幅よりも長く、この不定形袋を積付けた一段目に、その長径が粒状物充填部の長径よりも短いとともに横幅以上であり短径が粒状物充填部の厚さ以上の空きスペースを形成した場合に、二段目の積付け時にこの空きスペース内で二段分の高さの垂直な側壁を形成するように空きスペースの周縁に不定形袋を平積みした後、グリップ手段で不定形袋を吊り下げて空きスペース中に挿入しその側面を側壁に当接させながら垂直に立てた状態にして立積みを行う、ことを特徴としたものとすれば、立積みの際に不定形袋が直立して安定しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0019】
ロボットハンドのフォークを正面視山形の配置にした本発明によると、高い積載効率を確保するとともに荷崩れを起こしにくい積付け山を形成することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における実施の形態のロボットハンドの正面図である。
【図2】(A)は図1のロボットハンドの側面図であり、(B)は図1のロボットハンドのフォークの配置を説明するための拡大した部分正面図である。
【図3】図2(A)のロボットハンドのフォークが退縮した状態を示す側面図である。
【図4】図1のロボットハンドの背面図である。
【図5】図4のロボットハンドのグリップ手段で不定形袋を把持して吊り下げた状態を示す背面図である。
【図6】図1のロボットハンドをロボットアーム先端側に設けたパレタイジング装置でコンベア上の不定形袋を掬い上げる動作を説明するための側面図である。
【図7】図6のパレタイジング装置で持ち上げた不定形袋をパレット上に積付ける動作を説明するための側面図である。
【図8】図7のパレタイジング装置で平積みと立積みを組み合わせてパレタイジングを行う手順を説明するための側面図である。
【図9】(A)は図8のパレタイジング装置で立積みと平積みを組み合わせてパレタイジングを行う一例としての一段面の積付け状況を説明するための平面図であり、(B)は(A)の状態から二段目の積付け手順において一袋目の立積みを行う手順を説明するための平面図であり、(C)は(B)の状態から二袋目の立積みを行う手順を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。尚、本発明において、粒状物には長径がセンチ単位の比較的大きなものを含むものとし、且つ、これには円盤状のコインも含まれるものとする。
【0022】
図1は、本実施の形態のロボットハンド10の正面図を示している。このロボットハンド10は、粒状物を充填してなる不定形袋をパレット上の積載スペースに自動的に積付けて所定形状の積付け山を形成するためのものであって、長径2〜3cmの円盤状金属であるコインを充填してなる不定形袋を積付けながらパレタイジングを行うことを想定したものであり、一点鎖線で示すパレタイジング装置1(図6参照)のロボットアーム8先端側に取り付けて使用されるものである。
【0023】
図2(A)はロボットハンド10の側面図を示しており、4本のフォーク12a,12b,12c,12dが、ロボットハンド10前面下端側から前方に突出した状態で横方向に並列して基端側が一体となったワーク支持手段12を有し、図2(B)に示すように4本のフォーク12a,12b,12c,12dで、一点鎖線で示す不定形袋50を下から支えて持ち上げながらパレタイジングを行うようになっており、4本のフォーク12a,12b,12c,12dの基端側上方には、その長手方向に対し直角のワーク受け面を構成する前面板14が配設されている。
【0024】
そして、本発明においてワーク支持手段12を構成する4本のフォーク12a,12b,12c,12dのフォーク配置が、図2(B)に示すように両端のフォーク12a,12dの間に設けたフォーク12b,12cの上面を両端のフォーク12a,12dの上面よりも高くした正面視山形とされており、支持した不定形袋50の中央部が弧状に持ち上がって反った状態になる点が本発明の第1の特徴部分となっている。
【0025】
このように、複数本のフォーク12a,12b,12c,12dを正面視山形の配置として縦長の不定形袋50を中央部が弧状に持ち上がるように支持することにより、不定形袋50の粒状物充填部51の縦の長さ(長径)が縮小することになり、これを積付ける際に縦の長さが縮小した状態で一旦接地してから、内部の重みで水平方向に(主として長径方向)僅かに広がることになる。
【0026】
これにより、先に積付けた不定形袋50の側面に接するように順次積付けることで、隣接した不定形袋50,50同士が隙間を埋めるように互いに密着することから、不定形袋50を平坦に積付ける場合と比べて平面視の縦横のサイズが小さく収まるため、同じ積載スペースであってもより多くの積載が可能になる。また、このように隣接した不定形袋50,50同士が密着して隙間を小さくしながら密着方向の圧力が均衡することで全体としての形態安定性も増すことから、積付け山の形状が安定しやすくなって移送時に荷崩れを生じにくいものとなる。
【0027】
この複数本のフォークによる山形の配置は、両端のフォークの間に1本〜4本程度のフォークを配置するとともに、フォーク同士の間隔をほぼ均一にしながら左右対称の放物線状の配置とすることが、安定した支持状態の確保及び支持されて弧状に反った不定形袋の左右対称性確保の観点で推奨され、4本のフォーク12a,12b,12c,12dを、図2(B)に記載の状態で配置することが最も好適である。
【0028】
即ち、本願発明者がフォークの配置に関し種々の条件にて実験した結果、図のように両端のフォーク12a,12dによる横幅Aを、積付け対象である不定形袋50の粒状物充填部51の長径Lに対し×0.5〜0.75のサイズとし、正面視で左端のフォーク12a上面及びその1つ内側のフォーク12b上面に接するように中心方向斜め上方向に延ばした直線と、正面視で右端のフォーク12d上面及びその1つ内側のフォーク12c上面に接するように中心方向斜め上向きに延ばした直線とが中央位置で交差する部分の内角を、100°〜150°の範囲に収まるように3本〜6本のフォークを正面視で左右対称の放物線状に配置し、且つ、最も低い両端のフォーク12a,12d上面と最も高いフォーク12b,12c上面との高低差を、両端のフォーク12a,12dによる横幅の1/12〜1/8とすることが、粒状物を充填した不定形袋50に適度な反りを与えられる点で好適であることが判明した。
【0029】
尚、前述のフォーク配置条件は、不定形袋50の形状、充填した粒状物の種類によって前述の角度内及び高低差内で適宜調整すればよい。また、複数本のフォークの間隔はほぼ等間隔でよいが、図2(B)のように4本フォークの場合、より詳細には両端のフォーク12a,12dによる横幅Aに対し、フォーク12a,12bの間隔及びフォーク12c,12dの間隔が1/4A〜3/8Aであり、中央部のフォーク12b,12cの間隔が1/2A〜1/4Aの範囲であることが好ましい。
【0030】
さらに、フォーク12a,12b,12c,12dは、4本ともほぼ同一の形状・サイズのもので良いが、その両端のフォーク12a,12dは、図2(B)に示すように、不定形袋50を支持する上面の横幅が間のフォーク12b,12cよりも狭くてもよく、また、山形の形状に合わせて図のように面取りすることにより、傾斜した不定形袋50の下面側に密着しやすいものとなる。
【0031】
図3のロボットハンド10の側面図を参照して、ワーク支持手段12は、そのフォーク12a,12b,12c,12dの基端側を1つのプレート12eに固定したことで全体として1つのブロックを構成しており、これがエアーシリンダー等の駆動手段により前後にスライド動作可能とされており、図2(A)の前面板14の前方方向に4本のフォーク12a,12b,12c,12dがその全長の8割以上を前方に突出させた状態から、図3のようにその先端部のみを残して前面板14の後方に退縮させた状態の間で、前後方向に進退動作可能となっている。
【0032】
図4は、ロボットハンド10のフォーク12a,12b,12c,12dが突出している正面側とは反対の側(背面側)の構成を説明するための背面図を示している。ロボットハンド10の背面側にはエアーシリンダー等の駆動手段で開閉動作を行うグリップ手段15が設けられており、不定形袋50の首部52を把持してこれを吊り下げられるようになっている。
【0033】
このグリップ手段15は、2つのグリップ体150,151が左右に並んでロボットハンド10の幅方向にスライド動作可能に設けられてなるものであり、互いに対向して突設した爪150aと爪151a,151bとが、図5に示すように対向方向にスライドすることにより噛み合って、不定形袋50の首部52を左右から挟み込んで把持することができ、吊り下げた状態で移送できるようになっている。
【0034】
次に、本実施の形態のロボットハンド10及びこれを備えたパレタイジング装置1の機能について説明する。図6は、ロボットアーム8の先端側にロボットハンド10を取り付けてなる不定形袋用のパレタイジング装置1を示しており、ローラーコンベア100上を搬送された不定形袋50をワーク支持手段12で下から掬って持ち上げる状況を示している。
【0035】
この場合、不定形袋50は、ローラーコンベア100のワーク受け渡し位置で下から突出した複数の柱状部材からなる支持体110でリフトされる。この状態でワーク支持手段12の4本のフォーク12a,12b,12c,12dを、上面を各々水平にして不定形袋50の下方に形成された隙間に挿入して下から掬うように持ち上げ、フォーク12a,12b,12c,12d先端側が斜め上を向くようにロボットハンド20を僅かに傾けることで、不定形袋50が前面板14に密着した安定した状態で移送できるようになる。
【0036】
パレタイジング装置1は、図示しない電子制御装置(電子制御ユニット)を備えており、予めインストールされた所定のパレタイジング用プログラムにより、積付け対象である不定形袋のサイズ・形状・特性等に応じて同一の積載スペース内で無駄な空きスペースを最小限に抑えた効率的な積付け、及び荷崩れしにくい積付け山を実現するように、ロボットアーム8及びロボットハンド10を駆動制御しながらパレタイジングを行うようになっている。
【0037】
そして、図7に示すようにパレット70の積載面70aに対し、電子制御装置が予め決定した積付け方法(又はマニュアルにて入力された積付け方法)にて、順次不定形袋50を順次積付けるが、支持した不定形袋50を、積付け位置の僅かに上方でフォーク12a,12b,12c,12d先端側を僅かに下げるようにして、先に積付けた不定形袋50の側面に支持した不定形袋50の側面を当接させた後、フォーク12a,12b,12c,12dを退縮させてその先端側から滑り落とすようにして積付ける。
【0038】
このような積付け方法としたことで、前述したように不定形袋50の中央部を弧状に持ち上げでその縦の長さ(長径)を詰めた状態で平積みできることに加え、隣接した不定形袋50に対し隙間無く密着させることができるため、高い積載効率を確保するとともに搬送時に荷崩れしにくい積付け山を形成しやすいものとなる。
【0039】
1段目を積付けるとこれに引き続いて2段目を積付けるが、図8に示すように本実施の形態の不定形袋50は、その粒状物充填部51の長手方向の長さが幅の約1.5倍以上であってその厚さが横幅の約2分の1程度であることから、この形状・サイズの不定形袋50をパレット70の積載面70aの形状・サイズに対し平積みで12袋積付けた場合に、中央部分に一辺の長さが不定形袋50の横幅にほぼ一致する略正方形の空きスペース80が形成される。
【0040】
そこで、この空きスペース80にグリップ手段15で吊り下げた不定形袋50を吊り下げた状態で挿入して2袋を立積みすることで、高い積載効率を確保するようにしたものである。尚、この不定形袋50は、50袋積みの場合は4段目まで積付けて空きスペース80に立積みを1段(2袋)とすればよく、100袋積みの場合は8段目まで積付けて中心の空きスペースに立積みを2段(計4袋)とすればよい。
【0041】
図9は、このパレタイジング装置1を用いて立積みと平積みを組み合わせながら不定形袋50をパレタイジングする手順の一例を説明するための平面図を示しており、(A)に示すように不定形袋50を12袋平積みにした場合には、中央部に半端な空きスペース80が形成される。
【0042】
そして、2段目の積付け手順としては、一段目に積付けた不定形袋50の向きに対し基本的に直角になるように奥の列から順に不定形袋50の13番目〜17番目を積付け、先に積付けた13番目と14番目の不定形袋50に対し直角の向きで、18番目の不定形袋50をこれらの底部側に側面が密着するように積付ける。
【0043】
すると、この18番目の不定形袋50の底部側及び15番目の不定形袋50の底部側と一段目の不定形袋50,50とで2段分の高さの側壁81,82が90°の角度で空きスペース80内に2面形成される。そして、この2段分の高さを有した2面の側壁81,82に、グリップ手段15で吊り下げた不定形袋50の幅側の側面と厚さ側の側面とが各々当接するように19番目と20番目の不定形袋50,50を矢印方向の斜め上から挿入する。これにより、不定形袋50,50を直立状態にして安定的に立積みすることができる。尚、この場合、側壁81,82の対向側は1段積みであるから不定形袋50挿入の際に邪魔になりにくい。
【0044】
次に、図9(C)に示すように、18番目の不定形袋50による側壁81の対向位置に21番目の不定形袋50を平積みして、以後2段目における残りの平積みを行う。以上のような積付け方法としたことで、長径が不定形袋50の粒状物充填部51の長径よりも短い半端な空きスペース80が生じるケースでも、比較的容易に2袋の不定形袋50,50を空きスペース80に挿入しながら立積みを行うことができ、無駄な空きスペースを有効に活用しながら高い積載効率を確保できるものとなる。
【0045】
以上、述べたように、粒状物を充填した不定形袋のパレタイジングにおいて、本発明により、高い積載効率を確保するとともに荷崩れを起こしにくい積付け山を形成できるようになった。
【符号の説明】
【0046】
1 パレタイジング装置、8 ロボットアーム、10 ロボットハンド、12 ワーク支持手段、12a,12b,12c,12d フォーク、14 前面板、15 グリップ手段、50 不定形袋、51 粒状物充填部、52 首部、70 パレット、70a 積載面、80 空きスペース,81,82 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレタイジング装置のロボットアーム先端側に取り付けられて、粒状物を充填してなる不定形袋をワーク支持手段で支持しながら所定の積載スペース内に積付けてパレタイジングを行うためのロボットハンドにおいて、前記ワーク支持手段は、横向きに寝かせた前記不定形袋を下から支えて持ち上げるための複数本のフォークをロボットハンド前面下端側から前方に突出した状態で横方向に並列して有しており、両端の前記フォークの間に少なくとも1本以上の前記フォークがその上面を前記両端のフォーク上面よりも高い位置にして設けられて正面視山形のフォーク配置とされており、前記不定形袋を中央部が弧状に持ち上がった状態で支持しながら積付けを行う、ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
前記ワーク支持手段は、前記両端のフォークによる横幅が前記不定形袋の粒状物充填部の長径の1/2〜3/4であって、且つ、最も低い前記両端のフォーク上面と最も高い前記フォーク上面との高低差が、前記両端のフォークによる横幅の1/12〜1/8とされている、ことを特徴とする請求項1に記載したロボットハンド。
【請求項3】
前記ワーク支持手段は、正面視で左端の前記フォーク上面及びその1つ内側の前記フォーク上面に接するように中心方向斜め上向きに延ばした直線と正面視で右端の前記フォーク上面及びその1つ内側の前記フォーク上面に接するように中心方向斜め上向きに延ばした直線とが中央位置で交差する部分の内角が100°〜150°の範囲に収まるように、3本〜6本の前記フォークを正面視で左右対称の放物線状に配置してなるものである、ことを特徴とする請求項1または2に記載したロボットハンド。
【請求項4】
前記ワーク支持手段は、前記フォーク基端側の上方でフォーク長手方向に対し直角のワーク受け面を構成する前面板を備えているとともに、該前面板よりも前方に突出して前記不定形袋を支持する位置と前記前面板の裏側方向に退縮して前記不定形袋を落下させる位置との間で、前記フォークが所定の駆動手段で前後方向に進退動作可能とされており、支持した前記不定形袋を前記前面板に当接させながら前記フォークを退縮させて該フォーク先端側から滑り落とすようにして積付けを行う、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載したロボットハンド。
【請求項5】
外面所定位置に前記不定形袋の開口側を締結した首部を把持して該不定形袋を吊り下げるための開閉駆動可能なグリップ手段が設けられており、前記不定形袋を吊り下げた状態で立積み可能とされている、ことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載したロボットハンド。
【請求項6】
コインを充填してなる不定形袋の積付け用である、ことを特徴とした請求項5に記載したロボットハンド。
【請求項7】
請求項1,2,3,4,5または6に記載したロボットハンドを前記ロボットアーム先端側に備えるとともに電子制御装置を備えた前記不定形袋用のパレタイジング装置であって、前記電子制御装置で前記ロボットアーム及び前記ロボットハンドの駆動制御を行いながら所定形状の積付け山を形成する、ことを特徴としたパレタイジング装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載したロボットハンドを前記ロボットアーム先端側に備えるとともに電子制御装置を備えた前記不定形袋用のパレタイジング装置であって、前記電子制御装置で前記ロボットアーム及び前記ロボットハンドの駆動制御を行いながら、前記ワーク支持手段による平積みと前記グリップ手段による立積みを組み合わせて所定形状の積付け山を形成する、ことを特徴としたパレタイジング装置。
【請求項9】
前記不定形袋が縦長であって粒状物充填部の長径が横幅よりも長く、前記不定形袋を積付けた一段目に、その長径が前記粒状物充填部の長径よりも短いとともに前記横幅以上であり短径が前記粒状物充填部の厚さ以上の空きスペースを形成した場合に、二段目の積付け時に前記空きスペース内で二段分の高さの垂直な側壁を形成するように前記空きスペースの周縁に前記不定形袋を平積みした後、前記グリップ手段で前記不定形袋を吊り下げて前記空きスペース中に挿入しその側面を前記側壁に当接させながら垂直に立てた状態にして立積みを行う、ことを特徴とする請求項8に記載したパレタイジング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−251837(P2011−251837A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128450(P2010−128450)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(595063156)株式会社山和エンヂニアリング (3)
【Fターム(参考)】