ロボット式貯蔵装置
【課題】複数のサンプルチューブを保持するマイクロプレートを貯蔵するためのロボット式貯蔵装置の提供。
【解決手段】ロボット式貯蔵装置は、複数の冷凍ユニット100を持った冷凍室10を有し、前記冷凍ユニット100からマイクロプレートを取り出すことおよび前記冷凍ユニット100にマイクロプレートを入れることができる第1のロボット16を有する。当該ロボット式貯蔵装置は、少なくとも1つの処理室11、13、および処理室11、13を冷凍室10から熱的に分離するための手段15を有する。各処理室11、13は、少なくとも1つのチューブ移送モジュール115を有する処理ステーション111を有し、かつマイクロプレート受容器103および前記少なくとも1つのチューブ移送モジュール115の間でマイクロプレートを動かすための第2のロボット112を有する。
【解決手段】ロボット式貯蔵装置は、複数の冷凍ユニット100を持った冷凍室10を有し、前記冷凍ユニット100からマイクロプレートを取り出すことおよび前記冷凍ユニット100にマイクロプレートを入れることができる第1のロボット16を有する。当該ロボット式貯蔵装置は、少なくとも1つの処理室11、13、および処理室11、13を冷凍室10から熱的に分離するための手段15を有する。各処理室11、13は、少なくとも1つのチューブ移送モジュール115を有する処理ステーション111を有し、かつマイクロプレート受容器103および前記少なくとも1つのチューブ移送モジュール115の間でマイクロプレートを動かすための第2のロボット112を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサンプルチューブを保持するマイクロプレートを貯蔵するためのロボット式貯蔵装置(robotic store)に関する。より詳細には、当該ロボット式貯蔵装置は、複数の冷凍ユニットを持った冷凍室と、第1のロボットとを有し、その第1のロボットは、冷凍ユニットからマイクロプレートを取り出しかつ該冷凍ユニット内へマイクロプレートを入れることができるものである。当該ロボットは、さらに、マイクロプレートを処理ステーションに移送することができる。本発明はまた、当該ロボット式貯蔵装置において使用するためのスタッカーアダプター、および、当該ロボット式貯蔵装置において使用されるマイクロプレートの積み重ねを運送するための厚紙箱にも関する。
【背景技術】
【0002】
臨床研究では、病気の診断(例えば、バイオマーカー)、治療(例えば、薬の効果)および予防に関する疑問に答えるために、広範なアッセイが行われ得る。
【0003】
例えば、臨床研究の状況の中では、生体サンプルの大きなサンプルコレクションが確立され得る。そのような生体サンプルは、例えば、血液サンプル(全血、血漿、血清)、尿サンプル、組織サンプル、または細胞(例、初代細胞、幹細胞)、タンパク質、DNA、RNA(RNAi、mRNA)もしくは抗体を含有するサンプルであり得る。それらサンプルは、少量(例えば、数マイクロリットルの範囲)で使用され、マイクロプレート内に取り出し可能に配置されたサンプルチューブ(試料管)内で処理されることが頻繁である。そのようなサンプルチューブは、密封することができ、それによって、密封状態にていくつかのマイクロプレート間を容易に移送することがでるので、有利である。特に、サンプルがさらにサンプルチューブ内で冷凍状態に保たれているとき、それらは、該サンプルの冷凍状態を損なうことなく、あるマイクロプレートから別のマイクロプレートへ効率的に移送することができる。
【0004】
そのような生体サンプルは、典型的には、特定の湿度に制御された室内で約−80℃の温度で保存される。上述したような生体サンプルを約−80℃(またはそれより低く)に保存するために、完全に湿度制御された部屋の冷却が一般には適切である。しかしながら、前記の温度では、標準的な処理装置(例えばロボットなど)は通常適切には機能しない。それゆえに、とりわけ生体サンプルの長期間の保存のためには、特定の−80℃フリーザーが典型的に使用される。
【0005】
サンプルの長期間の保存のためのそのようなフリーザーは、該フリーザーの外部の環境を該フリーザーの−80℃の内部から切り離す、ぴったりした(tight)、断熱性のドアを通常有する。ロボット式貯蔵装置では、複数のそのようなフリーザーが、各々のフリーザーからサンプルを取り出すためのロボットとともに−20℃の室に配置される。上述したように、ロボットは、−80℃の環境に配置することはできない。これは、そのような環境では、単純に経済的に適切でないからであり、かつ、それに加えて、ロボットの維持が困難であるからである。代替として、ロボットは、該ロボットが適切に機能できる−20℃の環境でフリーザーの外部に配置される。
【0006】
この分野の現状に属するロボット式貯蔵装置(例えば、Bio-Sample StoreTM、スイス国、REMP AG 製)は、約−80℃の温度をもったフリーザーと、約−20℃の温度のフリーザー室とを有する。該フリーザーは、フリーザー室の通路の両側に並べられ、ロボットは、該通路の床に設置された走路上を該通路に沿って移動可能である。特定のサンプルチューブが要求されると、ロボットは、対応するフリーザーを開き、該フリーザーの引き出しから、該特定のサンプルチューブを保持したマイクロプレートを取り出す。ロボットは次いで、この供給源のマイクロプレートから該サンプルチューブを取り出し、それを、供給源(source)のマイクロプレートの下に配置された送り先(destination)マイクロプレートに移送する。このステップは、供給源のマイクロプレートを通じて送り先マイクロプレートに該サンプルチューブを移送することによって行われる。チューブの移送が行われた後、ロボットは供給源マイクロプレートをフリーザーの引出しに戻す。送り先マイクロプレートが全ての所望のサンプルチューブで満たされると、ロボットは、送り先マイクロプレートを引渡し位置へ動かす。
【0007】
しかしながら、この公知のロボット式貯蔵装置は、多くの欠点を有している。
第1に、フリーザー室内の温度(−20℃)とフリーザー内の温度(−80℃)との間の約60℃の温度差により、マイクロプレートへのアクセス時に湿気がフリーザーに入るたびに、フリーザーの内部およびマイクロプレートにかなりの量の氷が生成されることになる。
【0008】
第2に、ロボットは、上述した全てのタスク(フリーザーを開く、フリーザーの引き出しからマイクロプレートを取り出す、送り先マイクロプレートへチューブを移送する、マイクロプレートをフリーザーの引き出しに戻す、同一の送り先マイクロプレートへ他のサンプルチューブをさらに移送する、送り先マイクロプレートを引渡し位置へ動かす)を順次実行すべきであるため、非常に複雑な構成となり、それゆえ非常に高価である。一方、ロボットの種々の機能は効率的に使用されない。
【0009】
第3に、ロボットは永続的に、フリーザー室内において約−20℃で配置されるため、難しい条件下で維持作業を行わなければならない。これらの条件を考慮して、いくつかの国の安全性の取り決めは、維持作業を行うために、最低2人の作業者が同時にフリーザー室に入ることを要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、上述した欠点を十分に低減するかまたはそれを有することすらない、ロボット式貯蔵装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
独立請求項の特徴部によって特徴付けられるような、本発明に従うロボット式貯蔵装置によって、この目的は達成される。本発明に従うロボット式貯蔵装置の有利な実施形態は、独立請求項の特徴部から明らかとなる。
【0012】
詳細には、本発明に従うロボット式貯蔵装置は、複数のサンプルチューブを保持するマイクロプレートを貯蔵するためのものであって、複数の冷凍ユニットを持った冷凍室を有し、かつ、第1のロボットを有し、第1のロボットは、前記冷凍ユニットからマイクロプレートを取り出すこと、および、前記冷凍ユニットにマイクロプレートを入れることができるものである。第1のロボットは、さらに、マイクロプレートを処理ステーションに移送することができる。複数のマイクロプレートがマイクロプレート受容器内に上下に配置されるようにして、それらマイクロプレートは、冷凍ユニット内に貯蔵される。当該ロボット式貯蔵装置は、少なくとも1つの処理室を有し、かつ、該処理室を冷凍室から熱的に切り離すための手段を有する。各処理室は、少なくとも1つのチューブ移送モジュールを有し、かつ、オプションとして、少なくとも1つの一時的ホテルを持った処理ステーションを有し、それと共に、第2のロボットを有し、第2のロボットは、マイクロプレート受容器と、前記の少なくとも1つのチューブ移送モジュールと、前記のオプションとしての少なくとも1つの一時的ホテルとの間で、それらマイクロプレートを移動させるためのものである。第1のロボットは、前記マイクロプレート受容器を前記冷凍ユニットから取り出すことおよびそれを該冷凍ユニットに入れること、ならびに、それを前記冷凍ユニットから処理ステーションへと、または、その逆に移送することが単にできるように設計されている。
【0013】
複数のマイクロプレートが上下に貯蔵されるマイクロプレート受容器(レシピエント)の使用により、マイクロプレートがぴったりと(tightly)積み重ねられた配置に起因して、マイクロプレート上での氷の形成が著しく低減される。
【0014】
前記の少なくとも1つの処理室をフリーザー室から熱的に切り離すための手段により、第1のロボット(処理室に入れられたとき)のメンテナンス、処理ステーションのメンテナンス、および、さらに好都合な条件下にある第2のロボットのメンテナンスが可能になると同時に、フリーザー室は約−20℃に維持される。例えば、処理室を+4℃から+10℃の範囲内の温度に「加熱」することができるため、1人だけでメンテナンス作業を行うことが可能である。
【0015】
第1および第2のロボットは、それぞれ、数個のみの明確に規定された実行すべきタスクを有し、それらのタスクは、当該ロボット式貯蔵装置が高い効率性で作動され得るような態様にて、それら第1および第2のロボットにそれぞれ割り当てられたものである。詳細には、第1のロボットは、冷凍ユニットからマイクロプレート受容器を出し入れすることのみできるように設計されているため、該第1のロボットは、単純な構成であり得、かつ、必要とされるメンテナンスがより少ない。第1および第2のロボットは、効率性が高い態様にて、互いに独立してタスクを実行することができるため、ロボット式貯蔵装置全体での高い性能を提供することができる。
【0016】
本発明に従うロボット式貯蔵装置の別の実施形態では、当該ロボット式貯蔵装置は、冷凍室を有し、かつ、第1と第2の処理室を有する。第1と第2の処理室は、冷凍室の互いに反対側にある端部に配置される。第1のロボットは、マイクロプレート受容器を、第1および第2の処理室のいずれか1つに移送することができる。2つの処理室を与えることで、2つの処理室の1つにおいてメンテナンス作業を行いながら、当該ロボット式貯蔵装置の作動を続けさせることができる。冷凍室の互いに反対側にある2つの処理室の配置は、冷凍室を両処理室に連結している第1のロボット用の単純な直線の走路のみを必要とする。
【0017】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のさらなる実施形態では、冷凍ユニットは、フリーザーを有する。各フリーザーは、ドアを有し、かつ、フリーザーの内部に複数の引き出しを有する。各引き出しは、複数のマイクロプレート受容器を貯蔵するように設計される。フリーザーの内部の温度は約−80℃であり、冷凍室の内部の温度は約−20℃である。ドアを有するフリーザーは、フリーザー内部の−80℃の環境を、冷凍室内の−20℃の環境から断熱することを可能とする。通常一度に一つの引き出しのみが開けられるため、ごくわずかの湿気しかフリーザー内に流れ込むことができず、ドアが開けられるたびにフリーザー内で生じる「加熱」はより少ない。
【0018】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のまたさらなる実施形態では、各処理室を冷凍室から熱的に切り離すための手段は、断熱ドアを有する。該断熱ドアは、構造的な観点から単純であり、かつ、各処理室を冷凍室から容易に分離することを可能とする。一例としては、断熱ドアは、折り畳み可能なドアであってもよい。
【0019】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のなおさらなる実施形態では、第1のロボットは、一度に少なくとも2つのマイクロプレート受容器を保持するための手段を有する。従って、第1のロボットは、処理ステーションからフリーザーへと1つのマイクロプレート受容器を移動させ、処理ステーションへ運ばれるべきマイクロプレート受容器を引き出しから取り出し、かつ、そのようにして生じた空間に処理ステーションから移送されたマイクロプレート受容器を配置することができる。この実施形態は、本発明に従うロボット式貯蔵装置の効率性をさらに向上させる。
【0020】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のまた別の実施形態では、マイクロプレート受容器は、スタッカー(積み重ね装置)、および/または、貯蔵ホテル(storage hotels)を有する。該スタッカーおよび該貯蔵ホテルは、実質的に矩形(rectangular)のマイクロプレート受容器であって、上下(1つが他の上)に配置されたマイクロプレートを貯蔵する。スタッカーは、閉じた側壁および閉じた上壁を有して、底の開口部のみが開いたままであり、一方、貯蔵ホテルは、各マイクロプレートのアクセスを可能とするために、少なくとも一つの側面(典型的には正面)が開いている。貯蔵ホテルの内部で保持レールが各マイクロプレートのために備えられ、また、第2のロボットによるアクセスを可能とするために、貯蔵ホテル内に配置された個々のマイクロプレートの間には小さな間隙が必要とされる。
【0021】
スタッカーに関しては、マイクロプレート同士の間に実質的に隙間のないそれらマイクロプレートの積み重ねが、スタッカー内に貯蔵される。それゆえ、スタッカーは、同じサイズの貯蔵ホテルと比較して、より高い「充填密度」を有する。マイクロプレートの積み重ねがマイクロプレート同士の間に実質的に隙間を有しないため、貯蔵ホテルと比較して、スタッカーについての断熱性もまた改善される。
【0022】
本発明に従うロボット式貯蔵装置の別の実施形態では、処理ステーションは、少なくとも1つのドッキングユニットをさらに有し、該ドッキングユニットは、第1のロボットによって処理ステーションに移送されたマイクロプレート受容器を受け取るためのものであり、かつ、第1のロボットが、マイクロプレート受容器を、処理ステーションから冷凍ユニットへ移送することを可能とするためのものである。処理ステーションにあるドッキングユニットは、第1のロボットと第2のロボットとの間のインターフェイス(仲介部)として機能する。第1のロボットは、マイクロプレート受容器を冷凍室から処理室へ動かし、かつ、それらを処理ステーションの前記ドッキングユニット中に入れる。次いで、第2のロボットが、マイクロプレート受容器のマイクロプレートを、チューブ移送モジュール中に、場合によっては一時的な貯蔵のために一時的ホテル中に、または、第1のロボットによって移送される準備をしている別のマイクロプレート受容器に、動かすことを担当する。前記チューブ移送モジュールは、チューブパンチング(tube punching)モジュール、または、チューブピッキング(tube picking)モジュールであってよい。少なくとも1つのマイクロプレート受容器がスタッカーである場合、処理ステーションは、一時的な貯蔵のために一時的なホテルを有することが好ましい。
【0023】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のさらなる実施形態では、マイクロプレート受容器のためのドッキングユニットは、前記スタッカー中に、および/または、前記貯蔵ホテル中に配置された、各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段を有する。各マイクロプレートへのアクセスにより、特にスタッカーの積み重ねの最も上にあるマイクロプレートにアクセスする必要がある場合に、処理ステーションにおいて必要とされる操作を行うために要する全体的な時間が低減される。
【0024】
本発明に従うロボット式貯蔵装置の別のさらなる実施形態では、前記スタッカー中に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段は、解放手段(releasing means)を有し、該解放手段は、スタッカーの保持手段を作動させることによって、スタッカーからのマイクロプレートの積み重ねの解放を可能とするためのものである。付加的には、これらの手段は、解放されたマイクロプレートの積み重ねを、所望のマイクロプレートまで下げるためのリフトを有する。スタッカーは、該スタッカーの底の開口部を通して、該スタッカー内に挿入されたマイクロプレートの積み重ねを有する。スタッカー内部にマイクロプレートの積み重ねを保持するために保持手段が備えられる。マイクロプレートの積み重ねを積込みし積降ろしするために、保持手段は解放される必要がある。スタッカーは、一回につき、最も下のマイクロプレートの取り出しのみを可能とする。しかしながら、リフトの使用により、所望のマイクロプレートが最も下のマイクロプレートとなるまで1つずつマイクロプレートを降ろす必要なしに、マイクロプレートの積み重ね全体を所望のマイクロプレートまで下ろすことが可能となり、かつ、マイクロプレートの積み重ねから所望のマイクロプレートを取り出すことが可能となる。この実施形態は、本発明に従うロボット式貯蔵装置の効率をさらに向上させる。
【0025】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のまた別の実施形態では、貯蔵ホテルはカバーを有する。前記貯蔵ホテル内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段は、カバーを取り外すための手段を有する。貯蔵ホテル内に配置されたマイクロプレートは、通常、マイクロプレート同士の間に必要とされる隙間に起因して、および、少なくとも1つの側面がマイクロプレートにアクセスするために開いていることに起因して、スタッカー中に配置されたマイクロプレートと比較してより断熱されていない。カバーは、貯蔵ホテル内に配置されたマイクロプレートに対してさらなる断熱性を提供する。ホテル内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするためには、カバーは取り外される必要がある。
【0026】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のまたさらなる実施形態では、各処理室は、ユーザーの要求に応じて処理ステーションにおいてカスタマイズされたマイクロプレート受容器を、中間的に貯蔵するための中間的なフリーザーを有する。該中間的なフリーザーは、マイクロプレート受容器を該中間的なフリーザー内に移動するために、または、マイクロプレート受容器を該中間的なフリーザーから取り出すために、第1のロボットによって処理室の内部からアクセス可能であり、かつ、マイクロプレート受容器を該中間的なフリーザーから取り出すために、または、マイクロプレート受容器を該中間的なフリーザー内に移動するために、ユーザーによって処理室の外部からアクセス可能である。該中間的なフリーザーは、ユーザーとロボット式貯蔵装置との間の通用口(ゲートウェイ)としてはたらく。処理ステーションには、所望のマイクロプレートを保持するマイクロプレート受容器が、ユーザーの要求に従って集められる。そのような「カスタマイズされた」マイクロプレート受容器は、次いで、第1のロボットによって中間的なフリーザーへ移動され、ユーザーが通用口(ゲートウェイ)の窓部においてそれらを要求するまでそこで貯蔵され得る。中間的なフリーザーの内部もまた約−80℃に保たれてよい。従って、中間的なフリーザー内での滞在は、サンプルに害を与えない。
【0027】
本発明のさらなる態様は、上述したロボット式貯蔵装置において使用するためのスタッカーアダプターに関する。スタッカーアダプターは、処理ステーションのドッキングユニットに適合しないマイクロプレートスタッカーを適合させるための手段を有する。スタッカーアダプターは、適合しないスタッカーを受け入れるための第1の係合手段を有し、かつ、該スタッカーアダプターが各ドッキングユニットによって受け入れられるのを可能とするための第2の係合手段を有する。スタッカーアダプターは、第1の手段をさらに有し、この第1の手段は、スタッカーがスタッカーアダプターに挿入されると、スタッカーの保持手段を作動させるためのものである。スタッカーアダプターは、第2の手段をさらに有し、この第2の手段は、該第2の手段は、ドッキングユニットの解放手段によって作動されないときには常に、スタッカー内にある解放されたマイクロプレートの積み重ねを保持するため、および、前記解放手段による作動時に、スタッカーから前記マイクロプレートの積み重ねを解放するためのものである。このようなスタッカーアダプターにより、異なる製造者によって作られるスタッカーの使用を、一つの同一の処理ステーションで使用することが可能となる。
【0028】
本発明の別のさらなる態様によれば、上述したロボット式貯蔵装置において使用されるマイクロプレートの積み重ねを積載するための厚紙箱(cardboard box)が、上下に配置されたマイクロプレートを当該厚紙箱内に固定するための手段を有する。このような厚紙箱により、費用効率のよいマイクロプレートの運搬が可能となり、ひいては、スタッカーまたは貯蔵ホテルがもはや必要でないために後で戻されず、該スタッカーまたは該貯蔵ホテルを失うというリスクを除去する。いくつかの厚紙箱を運搬前により大きな容器内に一緒に入れてもよく、また、そのより大きな容器を、プラスチックフォイル(plastic foil)でさらに密封してもよい。
【0029】
本発明に従う厚紙箱のさらなる実施形態では、当該厚紙箱は、矩形の水平断面を有し、かつ、マイクロプレートを固定するための手段が、厚紙箱の少なくとも2つの縁部(エッジ)上に対角線上で対向するように配置された変形可能な部分を有する。予め目打ちされた(pre-perforated、予め貫通された)変形可能な部分により、厚紙箱の内部に貯蔵されたマイクロプレートの安全な固定が可能となる。マイクロプレートの大きさに対応して明確に規定された距離で、いくつかの、予め目打ちされた変形可能な部分が備えられる。厚紙箱内に挿入されるマイクロプレートの個数に応じて、異なる変形可能な部分がアクティブにされる必要がある。
【0030】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のさらなる有利な側面は、図面による補助と共に、以下の具体的な実施形態の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に従うロボット式貯蔵装置の一つの実施形態の斜視図を示す。
【図2】図1のロボット式貯蔵装置の上面図を示す。
【図3】図1のロボット式貯蔵装置の処理ステーションの詳細を示し、マイクロプレート受容器としてのスタッカーが処理ステーション内に示されている。
【図4】図1のロボット式貯蔵装置の処理ステーションの詳細を示し、マイクロプレート受容器としての貯蔵ホテルが処理ステーション内に示されている。
【図5】図1のロボット式貯蔵装置のフリーザーの貯蔵ホテルにアクセスする第1のロボットを示す。
【図6】図1のロボット式貯蔵装置において使用するためのスタッカーの一つの実施形態の斜視図を示す。
【図7】スタッカーの内部でマイクロプレートを保持するための図6のスタッカーの保持手段の詳細図を示す。
【図8】本発明に従うスタッカーアダプターの一つの実施形態の斜視図を示す。
【図9】図8のスタッカーアダプター内に不完全に挿入された図6のスタッカーの斜視図を示す。
【図10】スタッカーの保持手段の詳細図を示し、スタッカーは、図9のようにスタッカーアダプター内に不完全に挿入されている。
【図11】図8のスタッカーアダプター内に完全に挿入された図6のスタッカーの斜視図を示す。
【図12】スタッカーの保持手段の詳細図を示し、スタッカーは、図11のようにスタッカーアダプター内に完全に挿入されている。
【図13】図8のスタッカーアダプターに挿入されかつ処理ステーションのドッキングユニットに配置された図6のスタッカーを示し、ドッキングユニットはリフトを有している。
【図14】本発明に従う厚紙箱の一つの実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1および2は、本発明に従うロボット式貯蔵装置1の一つの実施形態の斜視図および上面図を示している。当該ロボット式貯蔵装置1は、冷凍室10を有し、かつ、第1の処理室11および第2の処理室13を有する。第1の処理室11と第2の処理室13とは、冷凍室10の互いに反対側にある端部に配置される。第1のハンドリング(取り扱い)室12は、第1の処理室11に隣接して配置され、第2のハンドリング室14は、第2の処理室13に隣接して配置される。スライド可能なように配置された折り畳み可能な断熱ドア15は、第1の処理室11と第2の処理室13とを冷凍室10から熱的に切り離すために、該冷凍室10の互いに反対側にある端部に配置される。冷凍室10の温度は、例えば、約−20℃であってよく、第1のハンドリング室12および第2のハンドリング室14の温度は、例えば+4℃から+10℃までの範囲内であってよい。作動中の第1の処理室11および第2の処理室13の温度は、実質的に、冷凍室10についてと同様であり、即ち、約−20℃である。しかしながら、各折り畳み可能なドア15が閉まった後には、隣接する第1のハンドリング室12または第2のハンドリング室14と同じ温度まで(即ち、+4℃から+10℃までの範囲内の温度まで)、対応する第1の処理室11または第2の処理室13を「加熱する」ことができる。これは、メンテナンス作業を第1の処理室11または第2の処理室13の内部で行うべきである場合に特に有利となる。そのような温度では、メンテナンスの仕事を行なうために、一人の作業者が第1の処理室11または第2の処理室13に入ること、およびそれと同時にメンテナンスの仕事がより好都合な環境で行われ得ることが可能となる。
【0033】
冷凍室10は、複数のフリーザー100を有する。各フリーザー100は、フロントドア101を有し、かつ、各フリーザー100の内部に複数の引き出し102を有する。各引き出し102は、複数のマイクロプレート受容器103を貯蔵するように設計される。
【0034】
当該ロボット式貯蔵装置1は、第1のロボット16を有し、その第1のロボット16は、床上に設置された走路(track)17上を走り、該走路は、冷凍室10を第1の処理室11および第2の処理室13に連結する。当該ロボット式貯蔵装置1の性能を向上させるために、同じ走路17上を走る1つより多くの第1のロボット16を有することも可能である。
【0035】
第1の処理室11および第2の処理室13は、それぞれ、処理ステーション111を有する。該処理ステーション111は、マイクロプレートの一時的な貯蔵のための一時的ホテル114、チューブ移送モジュール115、および、ドッキングユニット113(図3および4に最もよく現れている)を有し、該ドッキングユニットは、第1のロボット16によってフリーザー100から処理ステーション111へ移送されたマイクロプレート受容器103を受け入れるためのものである。ドッキングユニット113はまた、第1のロボット16が、マイクロプレート受容器103を処理ステーションからフリーザー100へ移送することをも可能とする。処理ステーション111は、第2のロボット112をさらに有し、第2のロボット112は、ドッキングユニット113に挿入されたマイクロプレート受容器103と、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115との間で、マイクロプレートを動かすためのものである。処理ステーション111は、例えば、Velocity11 Automation Solutions 社,Santa Clara, CA, USA 製の BioCel(登録商標)Automation System の型式であってもよい。
【0036】
一時的ホテル114は、3つの側壁と、底壁と、上壁とを持ったラック(棚)を有する。一時的ホテル114の前面は開いている。マイクロプレートの一時的な貯蔵のために、各一時的ホテル114内の異なる高さ(level)に保持レールが備えられている。
【0037】
第1の処理室11および第2の処理室13は、それぞれ、中間的なフリーザー110を有し、該中間的なフリーザーは、第1の処理室11または第2の処理室13の処理ステーション111においてカスタマイズされた(すなわち、ユーザーが指定したマイクロプレートまたは個々のサンプルチューブの選択に従った)マイクロプレート受容器103の中間的な貯蔵のためのものである。中間的なフリーザー110は、マイクロプレート受容器103を中間的なフリーザー110内に移動するために、または、マイクロプレート受容器103を中間的なフリーザー110から取り出すために、第1のロボット16によって各処理室11、13の内部からアクセス可能であり、かつ、カスタマイズされたマイクロプレート受容器103を取り出すために、または、マイクロプレート受容器103を中間的なフリーザー110内に戻すために、各処理室11、13の外部からのマイクロプレート受容器103へのアクセスをユーザーに提供するためのものである。第1のハンドリング室12または第2のハンドリング室14と、それに対応する第1の処理室11または第2の処理室13とを連結する窓部18を通して、ユーザーは、カスタマイズされたマイクロプレート受容器103にアクセスする。例としては、中間的なフリーザーの内部の温度は約−80℃(フリーザー100内の温度と同様)であり、また、中間的なフリーザー110は、中間的なフリーザー110の内部空間を、約−20℃の温度である各処理室11、13から断熱するための蓋119を有する。
【0038】
マイクロプレート受容器103をロボット式貯蔵装置内に貯蔵すべきときは常に、マイクロプレート受容器103は、ユーザーによって、窓部18を通して、各処理室11、13内に移動される。
【0039】
マイクロプレート受容器103の求めるマイクロプレートを提供するために、または、特定のマイクロプレートの求めるサンプルチューブを提供するために、第1のロボット16は、(各フリーザー100から各マイクロプレート受容器103を取り出した後で)マイクロプレート受容器103を、各フリーザーから処理ステーション111のドッキングユニット113へと移動させる。マイクロプレートの全てのサンプルチューブが所望される場合、第2のロボット112が、所望のマイクロプレート(供給源マイクロプレート)をマイクロプレート受容器103から取り出し、そしてそれを所望のマイクロプレートのみで満たされている送り先マイクロプレート受容器103に置く。1つ以上(ではあるが全てではない)の所望のサンプルチューブのみを保持している場合、第2のロボット112は、供給源マイクロプレートをチューブ移送モジュール115に移動させる。次いで所望のサンプルチューブは、その所望のチューブを供給源マイクロプレートから送り先マイクロプレートに移送することによって移送される。送り先マイクロプレートは最終的に、所望のサンプルチューブのみを保持するマイクロプレートで満たされている送り先マイクロプレート受容器103に移動される。所望のサンプルチューブのみを保持する最終的な送り先マイクロプレート受容器103は、第1のロボット16によって、中間的なフリーザー110内に移送される。
【0040】
図3は、ロボット式貯蔵装置の第1または第2の処理室の処理ステーション111を詳細に示しており、スタッカーアダプター105中に完全に挿入されたスタッカー104が示され、スタッカーアダプター105は、処理ステーション111のドッキングユニット113に挿入されている。処理ステーション111は、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115と、第2のロボット112とをさらに有し、第2のロボット112は、マイクロプレートを、スタッカー104(ドッキングユニット113における対応するスタッカーアダプター105を介して挿入される)と、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115との間で移動させるためのものである。複数のマイクロプレート107(図6参照)が、前記スタッカー104内で上下に貯蔵される。ドッキングユニット113は、スタッカー104内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段を有する。マイクロプレートへのアクセスを可能とするためのこれらの手段は、スタッカー内でマイクロプレートを保持するための手段として働く弾性を有するクランプ1042(図6および7参照)を作動させるための解放手段(図示せず)を有する。弾性を有するクランプ1042を引き離すことによって、スタッカー104に含まれているマイクロプレートの積み重ねが解放され、また、リフト1130(図13参照)により、取り外されたマイクロプレートの積み重ねを所望のマイクロプレートまで下げることが可能となる。第2のロボット112は、1回で、スタッカー104の1つのマイクロプレートにアクセスし得るだけであり、よって、ドッキングユニットのリフトによって、解放された積み重ねを求めるマイクロプレートまで下げることが可能となり、それにより、第2のロボット112は求めるマイクロプレートにアクセスでき、よって、求めるマイクロプレートに到達するのに、マイクロプレートを1つ1つ個々に順番に取り出していく必要がない。
【0041】
図4は、ロボット式貯蔵装置の第1または第2の処理室の処理ステーション111を詳細に示しており、処理ステーション111上のドッキングユニット113に挿入されたマイクロプレート受容器としての貯蔵ホテルが示されている。処理ステーション111は、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115と、第2のロボット112とを、さらに有し、第2のロボット112は、マイクロプレートを、貯蔵ホテル106と、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115との間で移動させるためのものである。貯蔵ホテル106は、一時的ホテル114と似ているが、付加的にカバー1060を有する。ドッキングユニット113は、前記貯蔵ホテル106内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段を有する。前記貯蔵ホテル106内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするためのこれらの手段は、カバー1060を取り外すための手段を有する。示した実施形態では、これらの手段は、貯蔵ホテル106の残り部分(即ち、ラック)からカバー1060を持ち上げることができるように設計される。第2のロボット112は、貯蔵ホテル106に貯蔵された全てのマイクロプレートに直接アクセスできるが、その設計に起因して、一度に1つのマイクロプレートを取り出しかつ運ぶことだけができる。
【0042】
図5は、第1のロボット16を示しており、該ロボットは、フリーザー100に貯蔵された貯蔵ホテル106にアクセスし、それと同時に、スタッカー104を保持している。第1のロボット16は、2つのマイクロプレート受容器(即ち、スタッカー104、および/または、貯蔵ホテル106)を同時に保持するための手段160と、フリーザー100の引き出し102を開閉するための手段161とを有する。従って、第1のロボット16は、1つのマイクロプレート受容器を、処理ステーションからフリーザー100へと移動させ、引き出し102から、処理ステーションへ運ばれるべきマイクロプレート受容器を取り出し、かつ、そのようにして生成された空間に処理室から戻ってきたマイクロプレート受容器を挿入することができる。
【0043】
図6は、ロボット式貯蔵装置において使用するためのスタッカー104の一つの実施形態を示す。スタッカー104は、側壁1040と、上壁1041とを有する。スタッカー104は、底壁を有さず、その代わりにそこには底の開口部がある。マイクロプレート107は、スタッカー104内で、積み重ね状態にて1つのものが他のものの上にあるように配置され、かつ、底の開口部を通してスタッカー104内に移動され得る。スタッカーは、弾性を有するクランプ1042の形態となっている保持手段を有し、該保持手段は、マイクロプレート107が操作されていないときに、スタッカー104の内部にマイクロプレート107の積み重ね(スタック)を固定するためのものである。解放クリップ(Release clips)1043が備えられており、それら解放クリップは、別のマイクロプレートをスタッカー104中に移動させるために、または、1つ以上のマイクロプレート107をスタッカー104から取り出すために、弾性を有するクランプ1042を作動させて解放させるためのものである。図7は、弾性を有するクランプ1042と、スタッカー104の解放クリップ1043とを詳細に示している。
【0044】
図8は、本発明に従うスタッカーアダプター105の一つの実施形態を示している。スタッカーアダプター105は、マイクロプレートの積み重ね(複数)を整合(マッチング)させるための手段を有し、それら積み重ねは、さもなければ、処理ステーションのドッキングユニットに適合しない(incompatible)。スタッカーアダプター105は、いくぶんか剛性を持ったラッチ(複数)1050の形態となっている第1の係合手段を有し、該係合手段は、適合しないスタッカーを受け入れるためのものであり、かつ、該スタッカーアダプター105は、タング1052の形態となっている第2の係合手段を有し、該係合手段は、スタッカーアダプター105が各ドッキングユニットによって受け入れられるのを可能とするためのものである。スタッカーアダプター105のいくぶんかの剛性を持ったラッチ1050は、積み重ねがスタッカーアダプター105に挿入されると、スタッカーの保持手段を作動させる。スタッカーアダプター105は、さらに、弾性を有するラッチ1051を有し、該ラッチは、それらがドッキングユニットの解放手段(図示せず)によって作動させられていないときには常に、解放されたマイクロプレートの積み重ねをスタッカー内に保持するためのものである。弾性を有するラッチ1051は、作動させられると、スタッカーから前記マイクロプレートの積み重ねを解放する。
【0045】
図9および10は、スタッカーアダプター105内に不完全に挿入されたスタッカー104を示している。ラッチ1050は、スタッカー104の解放クリップ1043と係合していない。従って、弾性を有するクランプ1042は、まだ、スタッカー104の内部にマイクロプレート107を保持している。
【0046】
図11および12は、スタッカーアダプター105内に完全に挿入されたスタッカー104を示す。弾性を有するクランプ1042と、スタッカー104の解放クリップ1043は、ラッチ1050によって完全に反った状態にされている。そのため、弾性を有するクランプ1042が作動させられて、マイクロプレート107をスタッカー104から取り出すことができる。
【0047】
図13は、スタッカーアダプター105内に完全に挿入されたスタッカー104を示している。スタッカーアダプター105は、それ自体、処理ステーション111のドッキングユニット113内に挿入されている(図1〜4参照)。スタッカー104の解放クリップ1043は、ラッチ1050によって完全に反った状態にされている。このように、スタッカーからのマイクロプレート107の解放は、スタッカーアダプター105の弾性を有するラッチ1051によって制御される。ドッキングユニット113は、リフト1130を有し、該リフトは、マイクロプレート107をスタッカー104から出し入れできる。全体的には、同一の処理ステーションに、前記リフト1130を持たないドッキングユニット1130を有すると共に、前記リフト1130を持ったドッキングユニット113を有することが可能である。
【0048】
図14は、本発明に従う厚紙箱200の一つの実施形態を示している。該厚紙箱200は、変形可能な部分(sections)201を有し、該変形可能な部分201は、厚紙箱200内に上下に(one above the other、1つを他の上にして)配置されたマイクロプレート107を固定するために、該厚紙箱200の少なくとも2つのエッジ202上に、対角線上に対向するように配置される。示した実施形態では、変形可能な部分201は、厚紙箱200内に上下に配置されたマイクロプレート107の固定を容易に発動させるために、予め目打ちされている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサンプルチューブを保持するマイクロプレートを貯蔵するためのロボット式貯蔵装置(robotic store)に関する。より詳細には、当該ロボット式貯蔵装置は、複数の冷凍ユニットを持った冷凍室と、第1のロボットとを有し、その第1のロボットは、冷凍ユニットからマイクロプレートを取り出しかつ該冷凍ユニット内へマイクロプレートを入れることができるものである。当該ロボットは、さらに、マイクロプレートを処理ステーションに移送することができる。本発明はまた、当該ロボット式貯蔵装置において使用するためのスタッカーアダプター、および、当該ロボット式貯蔵装置において使用されるマイクロプレートの積み重ねを運送するための厚紙箱にも関する。
【背景技術】
【0002】
臨床研究では、病気の診断(例えば、バイオマーカー)、治療(例えば、薬の効果)および予防に関する疑問に答えるために、広範なアッセイが行われ得る。
【0003】
例えば、臨床研究の状況の中では、生体サンプルの大きなサンプルコレクションが確立され得る。そのような生体サンプルは、例えば、血液サンプル(全血、血漿、血清)、尿サンプル、組織サンプル、または細胞(例、初代細胞、幹細胞)、タンパク質、DNA、RNA(RNAi、mRNA)もしくは抗体を含有するサンプルであり得る。それらサンプルは、少量(例えば、数マイクロリットルの範囲)で使用され、マイクロプレート内に取り出し可能に配置されたサンプルチューブ(試料管)内で処理されることが頻繁である。そのようなサンプルチューブは、密封することができ、それによって、密封状態にていくつかのマイクロプレート間を容易に移送することがでるので、有利である。特に、サンプルがさらにサンプルチューブ内で冷凍状態に保たれているとき、それらは、該サンプルの冷凍状態を損なうことなく、あるマイクロプレートから別のマイクロプレートへ効率的に移送することができる。
【0004】
そのような生体サンプルは、典型的には、特定の湿度に制御された室内で約−80℃の温度で保存される。上述したような生体サンプルを約−80℃(またはそれより低く)に保存するために、完全に湿度制御された部屋の冷却が一般には適切である。しかしながら、前記の温度では、標準的な処理装置(例えばロボットなど)は通常適切には機能しない。それゆえに、とりわけ生体サンプルの長期間の保存のためには、特定の−80℃フリーザーが典型的に使用される。
【0005】
サンプルの長期間の保存のためのそのようなフリーザーは、該フリーザーの外部の環境を該フリーザーの−80℃の内部から切り離す、ぴったりした(tight)、断熱性のドアを通常有する。ロボット式貯蔵装置では、複数のそのようなフリーザーが、各々のフリーザーからサンプルを取り出すためのロボットとともに−20℃の室に配置される。上述したように、ロボットは、−80℃の環境に配置することはできない。これは、そのような環境では、単純に経済的に適切でないからであり、かつ、それに加えて、ロボットの維持が困難であるからである。代替として、ロボットは、該ロボットが適切に機能できる−20℃の環境でフリーザーの外部に配置される。
【0006】
この分野の現状に属するロボット式貯蔵装置(例えば、Bio-Sample StoreTM、スイス国、REMP AG 製)は、約−80℃の温度をもったフリーザーと、約−20℃の温度のフリーザー室とを有する。該フリーザーは、フリーザー室の通路の両側に並べられ、ロボットは、該通路の床に設置された走路上を該通路に沿って移動可能である。特定のサンプルチューブが要求されると、ロボットは、対応するフリーザーを開き、該フリーザーの引き出しから、該特定のサンプルチューブを保持したマイクロプレートを取り出す。ロボットは次いで、この供給源のマイクロプレートから該サンプルチューブを取り出し、それを、供給源(source)のマイクロプレートの下に配置された送り先(destination)マイクロプレートに移送する。このステップは、供給源のマイクロプレートを通じて送り先マイクロプレートに該サンプルチューブを移送することによって行われる。チューブの移送が行われた後、ロボットは供給源マイクロプレートをフリーザーの引出しに戻す。送り先マイクロプレートが全ての所望のサンプルチューブで満たされると、ロボットは、送り先マイクロプレートを引渡し位置へ動かす。
【0007】
しかしながら、この公知のロボット式貯蔵装置は、多くの欠点を有している。
第1に、フリーザー室内の温度(−20℃)とフリーザー内の温度(−80℃)との間の約60℃の温度差により、マイクロプレートへのアクセス時に湿気がフリーザーに入るたびに、フリーザーの内部およびマイクロプレートにかなりの量の氷が生成されることになる。
【0008】
第2に、ロボットは、上述した全てのタスク(フリーザーを開く、フリーザーの引き出しからマイクロプレートを取り出す、送り先マイクロプレートへチューブを移送する、マイクロプレートをフリーザーの引き出しに戻す、同一の送り先マイクロプレートへ他のサンプルチューブをさらに移送する、送り先マイクロプレートを引渡し位置へ動かす)を順次実行すべきであるため、非常に複雑な構成となり、それゆえ非常に高価である。一方、ロボットの種々の機能は効率的に使用されない。
【0009】
第3に、ロボットは永続的に、フリーザー室内において約−20℃で配置されるため、難しい条件下で維持作業を行わなければならない。これらの条件を考慮して、いくつかの国の安全性の取り決めは、維持作業を行うために、最低2人の作業者が同時にフリーザー室に入ることを要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、上述した欠点を十分に低減するかまたはそれを有することすらない、ロボット式貯蔵装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
独立請求項の特徴部によって特徴付けられるような、本発明に従うロボット式貯蔵装置によって、この目的は達成される。本発明に従うロボット式貯蔵装置の有利な実施形態は、独立請求項の特徴部から明らかとなる。
【0012】
詳細には、本発明に従うロボット式貯蔵装置は、複数のサンプルチューブを保持するマイクロプレートを貯蔵するためのものであって、複数の冷凍ユニットを持った冷凍室を有し、かつ、第1のロボットを有し、第1のロボットは、前記冷凍ユニットからマイクロプレートを取り出すこと、および、前記冷凍ユニットにマイクロプレートを入れることができるものである。第1のロボットは、さらに、マイクロプレートを処理ステーションに移送することができる。複数のマイクロプレートがマイクロプレート受容器内に上下に配置されるようにして、それらマイクロプレートは、冷凍ユニット内に貯蔵される。当該ロボット式貯蔵装置は、少なくとも1つの処理室を有し、かつ、該処理室を冷凍室から熱的に切り離すための手段を有する。各処理室は、少なくとも1つのチューブ移送モジュールを有し、かつ、オプションとして、少なくとも1つの一時的ホテルを持った処理ステーションを有し、それと共に、第2のロボットを有し、第2のロボットは、マイクロプレート受容器と、前記の少なくとも1つのチューブ移送モジュールと、前記のオプションとしての少なくとも1つの一時的ホテルとの間で、それらマイクロプレートを移動させるためのものである。第1のロボットは、前記マイクロプレート受容器を前記冷凍ユニットから取り出すことおよびそれを該冷凍ユニットに入れること、ならびに、それを前記冷凍ユニットから処理ステーションへと、または、その逆に移送することが単にできるように設計されている。
【0013】
複数のマイクロプレートが上下に貯蔵されるマイクロプレート受容器(レシピエント)の使用により、マイクロプレートがぴったりと(tightly)積み重ねられた配置に起因して、マイクロプレート上での氷の形成が著しく低減される。
【0014】
前記の少なくとも1つの処理室をフリーザー室から熱的に切り離すための手段により、第1のロボット(処理室に入れられたとき)のメンテナンス、処理ステーションのメンテナンス、および、さらに好都合な条件下にある第2のロボットのメンテナンスが可能になると同時に、フリーザー室は約−20℃に維持される。例えば、処理室を+4℃から+10℃の範囲内の温度に「加熱」することができるため、1人だけでメンテナンス作業を行うことが可能である。
【0015】
第1および第2のロボットは、それぞれ、数個のみの明確に規定された実行すべきタスクを有し、それらのタスクは、当該ロボット式貯蔵装置が高い効率性で作動され得るような態様にて、それら第1および第2のロボットにそれぞれ割り当てられたものである。詳細には、第1のロボットは、冷凍ユニットからマイクロプレート受容器を出し入れすることのみできるように設計されているため、該第1のロボットは、単純な構成であり得、かつ、必要とされるメンテナンスがより少ない。第1および第2のロボットは、効率性が高い態様にて、互いに独立してタスクを実行することができるため、ロボット式貯蔵装置全体での高い性能を提供することができる。
【0016】
本発明に従うロボット式貯蔵装置の別の実施形態では、当該ロボット式貯蔵装置は、冷凍室を有し、かつ、第1と第2の処理室を有する。第1と第2の処理室は、冷凍室の互いに反対側にある端部に配置される。第1のロボットは、マイクロプレート受容器を、第1および第2の処理室のいずれか1つに移送することができる。2つの処理室を与えることで、2つの処理室の1つにおいてメンテナンス作業を行いながら、当該ロボット式貯蔵装置の作動を続けさせることができる。冷凍室の互いに反対側にある2つの処理室の配置は、冷凍室を両処理室に連結している第1のロボット用の単純な直線の走路のみを必要とする。
【0017】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のさらなる実施形態では、冷凍ユニットは、フリーザーを有する。各フリーザーは、ドアを有し、かつ、フリーザーの内部に複数の引き出しを有する。各引き出しは、複数のマイクロプレート受容器を貯蔵するように設計される。フリーザーの内部の温度は約−80℃であり、冷凍室の内部の温度は約−20℃である。ドアを有するフリーザーは、フリーザー内部の−80℃の環境を、冷凍室内の−20℃の環境から断熱することを可能とする。通常一度に一つの引き出しのみが開けられるため、ごくわずかの湿気しかフリーザー内に流れ込むことができず、ドアが開けられるたびにフリーザー内で生じる「加熱」はより少ない。
【0018】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のまたさらなる実施形態では、各処理室を冷凍室から熱的に切り離すための手段は、断熱ドアを有する。該断熱ドアは、構造的な観点から単純であり、かつ、各処理室を冷凍室から容易に分離することを可能とする。一例としては、断熱ドアは、折り畳み可能なドアであってもよい。
【0019】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のなおさらなる実施形態では、第1のロボットは、一度に少なくとも2つのマイクロプレート受容器を保持するための手段を有する。従って、第1のロボットは、処理ステーションからフリーザーへと1つのマイクロプレート受容器を移動させ、処理ステーションへ運ばれるべきマイクロプレート受容器を引き出しから取り出し、かつ、そのようにして生じた空間に処理ステーションから移送されたマイクロプレート受容器を配置することができる。この実施形態は、本発明に従うロボット式貯蔵装置の効率性をさらに向上させる。
【0020】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のまた別の実施形態では、マイクロプレート受容器は、スタッカー(積み重ね装置)、および/または、貯蔵ホテル(storage hotels)を有する。該スタッカーおよび該貯蔵ホテルは、実質的に矩形(rectangular)のマイクロプレート受容器であって、上下(1つが他の上)に配置されたマイクロプレートを貯蔵する。スタッカーは、閉じた側壁および閉じた上壁を有して、底の開口部のみが開いたままであり、一方、貯蔵ホテルは、各マイクロプレートのアクセスを可能とするために、少なくとも一つの側面(典型的には正面)が開いている。貯蔵ホテルの内部で保持レールが各マイクロプレートのために備えられ、また、第2のロボットによるアクセスを可能とするために、貯蔵ホテル内に配置された個々のマイクロプレートの間には小さな間隙が必要とされる。
【0021】
スタッカーに関しては、マイクロプレート同士の間に実質的に隙間のないそれらマイクロプレートの積み重ねが、スタッカー内に貯蔵される。それゆえ、スタッカーは、同じサイズの貯蔵ホテルと比較して、より高い「充填密度」を有する。マイクロプレートの積み重ねがマイクロプレート同士の間に実質的に隙間を有しないため、貯蔵ホテルと比較して、スタッカーについての断熱性もまた改善される。
【0022】
本発明に従うロボット式貯蔵装置の別の実施形態では、処理ステーションは、少なくとも1つのドッキングユニットをさらに有し、該ドッキングユニットは、第1のロボットによって処理ステーションに移送されたマイクロプレート受容器を受け取るためのものであり、かつ、第1のロボットが、マイクロプレート受容器を、処理ステーションから冷凍ユニットへ移送することを可能とするためのものである。処理ステーションにあるドッキングユニットは、第1のロボットと第2のロボットとの間のインターフェイス(仲介部)として機能する。第1のロボットは、マイクロプレート受容器を冷凍室から処理室へ動かし、かつ、それらを処理ステーションの前記ドッキングユニット中に入れる。次いで、第2のロボットが、マイクロプレート受容器のマイクロプレートを、チューブ移送モジュール中に、場合によっては一時的な貯蔵のために一時的ホテル中に、または、第1のロボットによって移送される準備をしている別のマイクロプレート受容器に、動かすことを担当する。前記チューブ移送モジュールは、チューブパンチング(tube punching)モジュール、または、チューブピッキング(tube picking)モジュールであってよい。少なくとも1つのマイクロプレート受容器がスタッカーである場合、処理ステーションは、一時的な貯蔵のために一時的なホテルを有することが好ましい。
【0023】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のさらなる実施形態では、マイクロプレート受容器のためのドッキングユニットは、前記スタッカー中に、および/または、前記貯蔵ホテル中に配置された、各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段を有する。各マイクロプレートへのアクセスにより、特にスタッカーの積み重ねの最も上にあるマイクロプレートにアクセスする必要がある場合に、処理ステーションにおいて必要とされる操作を行うために要する全体的な時間が低減される。
【0024】
本発明に従うロボット式貯蔵装置の別のさらなる実施形態では、前記スタッカー中に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段は、解放手段(releasing means)を有し、該解放手段は、スタッカーの保持手段を作動させることによって、スタッカーからのマイクロプレートの積み重ねの解放を可能とするためのものである。付加的には、これらの手段は、解放されたマイクロプレートの積み重ねを、所望のマイクロプレートまで下げるためのリフトを有する。スタッカーは、該スタッカーの底の開口部を通して、該スタッカー内に挿入されたマイクロプレートの積み重ねを有する。スタッカー内部にマイクロプレートの積み重ねを保持するために保持手段が備えられる。マイクロプレートの積み重ねを積込みし積降ろしするために、保持手段は解放される必要がある。スタッカーは、一回につき、最も下のマイクロプレートの取り出しのみを可能とする。しかしながら、リフトの使用により、所望のマイクロプレートが最も下のマイクロプレートとなるまで1つずつマイクロプレートを降ろす必要なしに、マイクロプレートの積み重ね全体を所望のマイクロプレートまで下ろすことが可能となり、かつ、マイクロプレートの積み重ねから所望のマイクロプレートを取り出すことが可能となる。この実施形態は、本発明に従うロボット式貯蔵装置の効率をさらに向上させる。
【0025】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のまた別の実施形態では、貯蔵ホテルはカバーを有する。前記貯蔵ホテル内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段は、カバーを取り外すための手段を有する。貯蔵ホテル内に配置されたマイクロプレートは、通常、マイクロプレート同士の間に必要とされる隙間に起因して、および、少なくとも1つの側面がマイクロプレートにアクセスするために開いていることに起因して、スタッカー中に配置されたマイクロプレートと比較してより断熱されていない。カバーは、貯蔵ホテル内に配置されたマイクロプレートに対してさらなる断熱性を提供する。ホテル内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするためには、カバーは取り外される必要がある。
【0026】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のまたさらなる実施形態では、各処理室は、ユーザーの要求に応じて処理ステーションにおいてカスタマイズされたマイクロプレート受容器を、中間的に貯蔵するための中間的なフリーザーを有する。該中間的なフリーザーは、マイクロプレート受容器を該中間的なフリーザー内に移動するために、または、マイクロプレート受容器を該中間的なフリーザーから取り出すために、第1のロボットによって処理室の内部からアクセス可能であり、かつ、マイクロプレート受容器を該中間的なフリーザーから取り出すために、または、マイクロプレート受容器を該中間的なフリーザー内に移動するために、ユーザーによって処理室の外部からアクセス可能である。該中間的なフリーザーは、ユーザーとロボット式貯蔵装置との間の通用口(ゲートウェイ)としてはたらく。処理ステーションには、所望のマイクロプレートを保持するマイクロプレート受容器が、ユーザーの要求に従って集められる。そのような「カスタマイズされた」マイクロプレート受容器は、次いで、第1のロボットによって中間的なフリーザーへ移動され、ユーザーが通用口(ゲートウェイ)の窓部においてそれらを要求するまでそこで貯蔵され得る。中間的なフリーザーの内部もまた約−80℃に保たれてよい。従って、中間的なフリーザー内での滞在は、サンプルに害を与えない。
【0027】
本発明のさらなる態様は、上述したロボット式貯蔵装置において使用するためのスタッカーアダプターに関する。スタッカーアダプターは、処理ステーションのドッキングユニットに適合しないマイクロプレートスタッカーを適合させるための手段を有する。スタッカーアダプターは、適合しないスタッカーを受け入れるための第1の係合手段を有し、かつ、該スタッカーアダプターが各ドッキングユニットによって受け入れられるのを可能とするための第2の係合手段を有する。スタッカーアダプターは、第1の手段をさらに有し、この第1の手段は、スタッカーがスタッカーアダプターに挿入されると、スタッカーの保持手段を作動させるためのものである。スタッカーアダプターは、第2の手段をさらに有し、この第2の手段は、該第2の手段は、ドッキングユニットの解放手段によって作動されないときには常に、スタッカー内にある解放されたマイクロプレートの積み重ねを保持するため、および、前記解放手段による作動時に、スタッカーから前記マイクロプレートの積み重ねを解放するためのものである。このようなスタッカーアダプターにより、異なる製造者によって作られるスタッカーの使用を、一つの同一の処理ステーションで使用することが可能となる。
【0028】
本発明の別のさらなる態様によれば、上述したロボット式貯蔵装置において使用されるマイクロプレートの積み重ねを積載するための厚紙箱(cardboard box)が、上下に配置されたマイクロプレートを当該厚紙箱内に固定するための手段を有する。このような厚紙箱により、費用効率のよいマイクロプレートの運搬が可能となり、ひいては、スタッカーまたは貯蔵ホテルがもはや必要でないために後で戻されず、該スタッカーまたは該貯蔵ホテルを失うというリスクを除去する。いくつかの厚紙箱を運搬前により大きな容器内に一緒に入れてもよく、また、そのより大きな容器を、プラスチックフォイル(plastic foil)でさらに密封してもよい。
【0029】
本発明に従う厚紙箱のさらなる実施形態では、当該厚紙箱は、矩形の水平断面を有し、かつ、マイクロプレートを固定するための手段が、厚紙箱の少なくとも2つの縁部(エッジ)上に対角線上で対向するように配置された変形可能な部分を有する。予め目打ちされた(pre-perforated、予め貫通された)変形可能な部分により、厚紙箱の内部に貯蔵されたマイクロプレートの安全な固定が可能となる。マイクロプレートの大きさに対応して明確に規定された距離で、いくつかの、予め目打ちされた変形可能な部分が備えられる。厚紙箱内に挿入されるマイクロプレートの個数に応じて、異なる変形可能な部分がアクティブにされる必要がある。
【0030】
本発明に従うロボット式貯蔵装置のさらなる有利な側面は、図面による補助と共に、以下の具体的な実施形態の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に従うロボット式貯蔵装置の一つの実施形態の斜視図を示す。
【図2】図1のロボット式貯蔵装置の上面図を示す。
【図3】図1のロボット式貯蔵装置の処理ステーションの詳細を示し、マイクロプレート受容器としてのスタッカーが処理ステーション内に示されている。
【図4】図1のロボット式貯蔵装置の処理ステーションの詳細を示し、マイクロプレート受容器としての貯蔵ホテルが処理ステーション内に示されている。
【図5】図1のロボット式貯蔵装置のフリーザーの貯蔵ホテルにアクセスする第1のロボットを示す。
【図6】図1のロボット式貯蔵装置において使用するためのスタッカーの一つの実施形態の斜視図を示す。
【図7】スタッカーの内部でマイクロプレートを保持するための図6のスタッカーの保持手段の詳細図を示す。
【図8】本発明に従うスタッカーアダプターの一つの実施形態の斜視図を示す。
【図9】図8のスタッカーアダプター内に不完全に挿入された図6のスタッカーの斜視図を示す。
【図10】スタッカーの保持手段の詳細図を示し、スタッカーは、図9のようにスタッカーアダプター内に不完全に挿入されている。
【図11】図8のスタッカーアダプター内に完全に挿入された図6のスタッカーの斜視図を示す。
【図12】スタッカーの保持手段の詳細図を示し、スタッカーは、図11のようにスタッカーアダプター内に完全に挿入されている。
【図13】図8のスタッカーアダプターに挿入されかつ処理ステーションのドッキングユニットに配置された図6のスタッカーを示し、ドッキングユニットはリフトを有している。
【図14】本発明に従う厚紙箱の一つの実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1および2は、本発明に従うロボット式貯蔵装置1の一つの実施形態の斜視図および上面図を示している。当該ロボット式貯蔵装置1は、冷凍室10を有し、かつ、第1の処理室11および第2の処理室13を有する。第1の処理室11と第2の処理室13とは、冷凍室10の互いに反対側にある端部に配置される。第1のハンドリング(取り扱い)室12は、第1の処理室11に隣接して配置され、第2のハンドリング室14は、第2の処理室13に隣接して配置される。スライド可能なように配置された折り畳み可能な断熱ドア15は、第1の処理室11と第2の処理室13とを冷凍室10から熱的に切り離すために、該冷凍室10の互いに反対側にある端部に配置される。冷凍室10の温度は、例えば、約−20℃であってよく、第1のハンドリング室12および第2のハンドリング室14の温度は、例えば+4℃から+10℃までの範囲内であってよい。作動中の第1の処理室11および第2の処理室13の温度は、実質的に、冷凍室10についてと同様であり、即ち、約−20℃である。しかしながら、各折り畳み可能なドア15が閉まった後には、隣接する第1のハンドリング室12または第2のハンドリング室14と同じ温度まで(即ち、+4℃から+10℃までの範囲内の温度まで)、対応する第1の処理室11または第2の処理室13を「加熱する」ことができる。これは、メンテナンス作業を第1の処理室11または第2の処理室13の内部で行うべきである場合に特に有利となる。そのような温度では、メンテナンスの仕事を行なうために、一人の作業者が第1の処理室11または第2の処理室13に入ること、およびそれと同時にメンテナンスの仕事がより好都合な環境で行われ得ることが可能となる。
【0033】
冷凍室10は、複数のフリーザー100を有する。各フリーザー100は、フロントドア101を有し、かつ、各フリーザー100の内部に複数の引き出し102を有する。各引き出し102は、複数のマイクロプレート受容器103を貯蔵するように設計される。
【0034】
当該ロボット式貯蔵装置1は、第1のロボット16を有し、その第1のロボット16は、床上に設置された走路(track)17上を走り、該走路は、冷凍室10を第1の処理室11および第2の処理室13に連結する。当該ロボット式貯蔵装置1の性能を向上させるために、同じ走路17上を走る1つより多くの第1のロボット16を有することも可能である。
【0035】
第1の処理室11および第2の処理室13は、それぞれ、処理ステーション111を有する。該処理ステーション111は、マイクロプレートの一時的な貯蔵のための一時的ホテル114、チューブ移送モジュール115、および、ドッキングユニット113(図3および4に最もよく現れている)を有し、該ドッキングユニットは、第1のロボット16によってフリーザー100から処理ステーション111へ移送されたマイクロプレート受容器103を受け入れるためのものである。ドッキングユニット113はまた、第1のロボット16が、マイクロプレート受容器103を処理ステーションからフリーザー100へ移送することをも可能とする。処理ステーション111は、第2のロボット112をさらに有し、第2のロボット112は、ドッキングユニット113に挿入されたマイクロプレート受容器103と、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115との間で、マイクロプレートを動かすためのものである。処理ステーション111は、例えば、Velocity11 Automation Solutions 社,Santa Clara, CA, USA 製の BioCel(登録商標)Automation System の型式であってもよい。
【0036】
一時的ホテル114は、3つの側壁と、底壁と、上壁とを持ったラック(棚)を有する。一時的ホテル114の前面は開いている。マイクロプレートの一時的な貯蔵のために、各一時的ホテル114内の異なる高さ(level)に保持レールが備えられている。
【0037】
第1の処理室11および第2の処理室13は、それぞれ、中間的なフリーザー110を有し、該中間的なフリーザーは、第1の処理室11または第2の処理室13の処理ステーション111においてカスタマイズされた(すなわち、ユーザーが指定したマイクロプレートまたは個々のサンプルチューブの選択に従った)マイクロプレート受容器103の中間的な貯蔵のためのものである。中間的なフリーザー110は、マイクロプレート受容器103を中間的なフリーザー110内に移動するために、または、マイクロプレート受容器103を中間的なフリーザー110から取り出すために、第1のロボット16によって各処理室11、13の内部からアクセス可能であり、かつ、カスタマイズされたマイクロプレート受容器103を取り出すために、または、マイクロプレート受容器103を中間的なフリーザー110内に戻すために、各処理室11、13の外部からのマイクロプレート受容器103へのアクセスをユーザーに提供するためのものである。第1のハンドリング室12または第2のハンドリング室14と、それに対応する第1の処理室11または第2の処理室13とを連結する窓部18を通して、ユーザーは、カスタマイズされたマイクロプレート受容器103にアクセスする。例としては、中間的なフリーザーの内部の温度は約−80℃(フリーザー100内の温度と同様)であり、また、中間的なフリーザー110は、中間的なフリーザー110の内部空間を、約−20℃の温度である各処理室11、13から断熱するための蓋119を有する。
【0038】
マイクロプレート受容器103をロボット式貯蔵装置内に貯蔵すべきときは常に、マイクロプレート受容器103は、ユーザーによって、窓部18を通して、各処理室11、13内に移動される。
【0039】
マイクロプレート受容器103の求めるマイクロプレートを提供するために、または、特定のマイクロプレートの求めるサンプルチューブを提供するために、第1のロボット16は、(各フリーザー100から各マイクロプレート受容器103を取り出した後で)マイクロプレート受容器103を、各フリーザーから処理ステーション111のドッキングユニット113へと移動させる。マイクロプレートの全てのサンプルチューブが所望される場合、第2のロボット112が、所望のマイクロプレート(供給源マイクロプレート)をマイクロプレート受容器103から取り出し、そしてそれを所望のマイクロプレートのみで満たされている送り先マイクロプレート受容器103に置く。1つ以上(ではあるが全てではない)の所望のサンプルチューブのみを保持している場合、第2のロボット112は、供給源マイクロプレートをチューブ移送モジュール115に移動させる。次いで所望のサンプルチューブは、その所望のチューブを供給源マイクロプレートから送り先マイクロプレートに移送することによって移送される。送り先マイクロプレートは最終的に、所望のサンプルチューブのみを保持するマイクロプレートで満たされている送り先マイクロプレート受容器103に移動される。所望のサンプルチューブのみを保持する最終的な送り先マイクロプレート受容器103は、第1のロボット16によって、中間的なフリーザー110内に移送される。
【0040】
図3は、ロボット式貯蔵装置の第1または第2の処理室の処理ステーション111を詳細に示しており、スタッカーアダプター105中に完全に挿入されたスタッカー104が示され、スタッカーアダプター105は、処理ステーション111のドッキングユニット113に挿入されている。処理ステーション111は、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115と、第2のロボット112とをさらに有し、第2のロボット112は、マイクロプレートを、スタッカー104(ドッキングユニット113における対応するスタッカーアダプター105を介して挿入される)と、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115との間で移動させるためのものである。複数のマイクロプレート107(図6参照)が、前記スタッカー104内で上下に貯蔵される。ドッキングユニット113は、スタッカー104内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段を有する。マイクロプレートへのアクセスを可能とするためのこれらの手段は、スタッカー内でマイクロプレートを保持するための手段として働く弾性を有するクランプ1042(図6および7参照)を作動させるための解放手段(図示せず)を有する。弾性を有するクランプ1042を引き離すことによって、スタッカー104に含まれているマイクロプレートの積み重ねが解放され、また、リフト1130(図13参照)により、取り外されたマイクロプレートの積み重ねを所望のマイクロプレートまで下げることが可能となる。第2のロボット112は、1回で、スタッカー104の1つのマイクロプレートにアクセスし得るだけであり、よって、ドッキングユニットのリフトによって、解放された積み重ねを求めるマイクロプレートまで下げることが可能となり、それにより、第2のロボット112は求めるマイクロプレートにアクセスでき、よって、求めるマイクロプレートに到達するのに、マイクロプレートを1つ1つ個々に順番に取り出していく必要がない。
【0041】
図4は、ロボット式貯蔵装置の第1または第2の処理室の処理ステーション111を詳細に示しており、処理ステーション111上のドッキングユニット113に挿入されたマイクロプレート受容器としての貯蔵ホテルが示されている。処理ステーション111は、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115と、第2のロボット112とを、さらに有し、第2のロボット112は、マイクロプレートを、貯蔵ホテル106と、一時的ホテル114と、チューブ移送モジュール115との間で移動させるためのものである。貯蔵ホテル106は、一時的ホテル114と似ているが、付加的にカバー1060を有する。ドッキングユニット113は、前記貯蔵ホテル106内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段を有する。前記貯蔵ホテル106内に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするためのこれらの手段は、カバー1060を取り外すための手段を有する。示した実施形態では、これらの手段は、貯蔵ホテル106の残り部分(即ち、ラック)からカバー1060を持ち上げることができるように設計される。第2のロボット112は、貯蔵ホテル106に貯蔵された全てのマイクロプレートに直接アクセスできるが、その設計に起因して、一度に1つのマイクロプレートを取り出しかつ運ぶことだけができる。
【0042】
図5は、第1のロボット16を示しており、該ロボットは、フリーザー100に貯蔵された貯蔵ホテル106にアクセスし、それと同時に、スタッカー104を保持している。第1のロボット16は、2つのマイクロプレート受容器(即ち、スタッカー104、および/または、貯蔵ホテル106)を同時に保持するための手段160と、フリーザー100の引き出し102を開閉するための手段161とを有する。従って、第1のロボット16は、1つのマイクロプレート受容器を、処理ステーションからフリーザー100へと移動させ、引き出し102から、処理ステーションへ運ばれるべきマイクロプレート受容器を取り出し、かつ、そのようにして生成された空間に処理室から戻ってきたマイクロプレート受容器を挿入することができる。
【0043】
図6は、ロボット式貯蔵装置において使用するためのスタッカー104の一つの実施形態を示す。スタッカー104は、側壁1040と、上壁1041とを有する。スタッカー104は、底壁を有さず、その代わりにそこには底の開口部がある。マイクロプレート107は、スタッカー104内で、積み重ね状態にて1つのものが他のものの上にあるように配置され、かつ、底の開口部を通してスタッカー104内に移動され得る。スタッカーは、弾性を有するクランプ1042の形態となっている保持手段を有し、該保持手段は、マイクロプレート107が操作されていないときに、スタッカー104の内部にマイクロプレート107の積み重ね(スタック)を固定するためのものである。解放クリップ(Release clips)1043が備えられており、それら解放クリップは、別のマイクロプレートをスタッカー104中に移動させるために、または、1つ以上のマイクロプレート107をスタッカー104から取り出すために、弾性を有するクランプ1042を作動させて解放させるためのものである。図7は、弾性を有するクランプ1042と、スタッカー104の解放クリップ1043とを詳細に示している。
【0044】
図8は、本発明に従うスタッカーアダプター105の一つの実施形態を示している。スタッカーアダプター105は、マイクロプレートの積み重ね(複数)を整合(マッチング)させるための手段を有し、それら積み重ねは、さもなければ、処理ステーションのドッキングユニットに適合しない(incompatible)。スタッカーアダプター105は、いくぶんか剛性を持ったラッチ(複数)1050の形態となっている第1の係合手段を有し、該係合手段は、適合しないスタッカーを受け入れるためのものであり、かつ、該スタッカーアダプター105は、タング1052の形態となっている第2の係合手段を有し、該係合手段は、スタッカーアダプター105が各ドッキングユニットによって受け入れられるのを可能とするためのものである。スタッカーアダプター105のいくぶんかの剛性を持ったラッチ1050は、積み重ねがスタッカーアダプター105に挿入されると、スタッカーの保持手段を作動させる。スタッカーアダプター105は、さらに、弾性を有するラッチ1051を有し、該ラッチは、それらがドッキングユニットの解放手段(図示せず)によって作動させられていないときには常に、解放されたマイクロプレートの積み重ねをスタッカー内に保持するためのものである。弾性を有するラッチ1051は、作動させられると、スタッカーから前記マイクロプレートの積み重ねを解放する。
【0045】
図9および10は、スタッカーアダプター105内に不完全に挿入されたスタッカー104を示している。ラッチ1050は、スタッカー104の解放クリップ1043と係合していない。従って、弾性を有するクランプ1042は、まだ、スタッカー104の内部にマイクロプレート107を保持している。
【0046】
図11および12は、スタッカーアダプター105内に完全に挿入されたスタッカー104を示す。弾性を有するクランプ1042と、スタッカー104の解放クリップ1043は、ラッチ1050によって完全に反った状態にされている。そのため、弾性を有するクランプ1042が作動させられて、マイクロプレート107をスタッカー104から取り出すことができる。
【0047】
図13は、スタッカーアダプター105内に完全に挿入されたスタッカー104を示している。スタッカーアダプター105は、それ自体、処理ステーション111のドッキングユニット113内に挿入されている(図1〜4参照)。スタッカー104の解放クリップ1043は、ラッチ1050によって完全に反った状態にされている。このように、スタッカーからのマイクロプレート107の解放は、スタッカーアダプター105の弾性を有するラッチ1051によって制御される。ドッキングユニット113は、リフト1130を有し、該リフトは、マイクロプレート107をスタッカー104から出し入れできる。全体的には、同一の処理ステーションに、前記リフト1130を持たないドッキングユニット1130を有すると共に、前記リフト1130を持ったドッキングユニット113を有することが可能である。
【0048】
図14は、本発明に従う厚紙箱200の一つの実施形態を示している。該厚紙箱200は、変形可能な部分(sections)201を有し、該変形可能な部分201は、厚紙箱200内に上下に(one above the other、1つを他の上にして)配置されたマイクロプレート107を固定するために、該厚紙箱200の少なくとも2つのエッジ202上に、対角線上に対向するように配置される。示した実施形態では、変形可能な部分201は、厚紙箱200内に上下に配置されたマイクロプレート107の固定を容易に発動させるために、予め目打ちされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサンプルチューブを保持したマイクロプレート(107)を貯蔵するためのロボット式貯蔵装置(1)であって、
当該ロボット式貯蔵装置(1)は、複数の冷凍ユニット(100)を持った冷凍室(10)を有し、かつ、第1のロボット(16)を有し、第1のロボットは、前記冷凍ユニット(100)からマイクロプレート(107)を取り出しかつ前記冷凍ユニット(100)にマイクロプレート(107)を入れることができるものであり、第1のロボット(16)は、さらに、マイクロプレート(107)を処理ステーション(111)に移送することができ、複数のマイクロプレート(107)がマイクロプレート受容器(103)内に上下に配置されるようにして、それらマイクロプレート(107)が冷凍ユニット(100)内に貯蔵され、かつ、
当該ロボット式貯蔵装置(1)は、少なくとも1つの処理室(11、13)を有し、かつ、該処理室(11、13)を冷凍室(10)から熱的に切り離すための手段(15)を有し、
各処理室(11、13)は、少なくとも1つのチューブ移送モジュール(115)を有する処理ステーション(111)を有し、かつ、第2のロボット(112)を有し、第2のロボットは、マイクロプレート受容器(103)と前記の少なくとも1つのチューブ移送モジュール(115)との間で、マイクロプレート(107)を移動させるためのものであり、かつ、
第1のロボット(16)は、前記マイクロプレート受容器(103)を前記冷凍ユニット(100)から取り出すことおよびそれを該冷凍ユニットに入れること、ならびに、それを前記冷凍ユニット(100)から処理ステーション(111)へと、または、その逆に移送することが単にできるように設計されている、
前記ロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項2】
当該ロボット式貯蔵装置(1)が、冷凍室(10)を有し、かつ、第1(11)と第2(13)の処理室を有し、第1(11)と第2(13)の処理室は、冷凍室(10)の互いに反対側にある端部に配置され、かつ、
第1のロボット(16)は、マイクロプレート受容器(103)を、第1(11)と第2(13)の処理室のいずれか1つに移送することができる、請求項1記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項3】
冷凍ユニットが、フリーザー(100)を有し、各フリーザー(100)は、ドア(101)と複数の引き出し(102)とを有し、各引き出し(102)は、複数のマイクロプレート受容器(103)を貯蔵するように設計されている、請求項1または2記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項4】
各処理室(11、13)を冷凍室(10)から熱的に切り離すための手段が、断熱ドア(15)を有する、請求項1から3のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項5】
第1のロボット(16)が、一回に、少なくとも2つのマイクロプレート受容器(103)を保持するための手段(160)を有する、請求項1から4のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項6】
マイクロプレート受容器(103)が、スタッカー(104)、および/または、貯蔵ホテル(106)を有する、請求項1から5のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項7】
処理ステーション(111)が、さらに、少なくとも1つのドッキングユニット(113)を有し、該ドッキングユニット(113)は、第1のロボット(16)から処理ステーション(111)に移送されたマイクロプレート受容器(103)を受け取るためのものであり、かつ、第1のロボット(16)が、マイクロプレート受容器(103)を、処理ステーション(111)から冷凍ユニット(100)へ移送することを可能とするためのものである、請求項1から6のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項8】
マイクロプレート受容器(103)のためのドッキングユニット(113)が、前記スタッカー(104)中におよび/または前記貯蔵ホテル(106)中に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段を有する、請求項7記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項9】
前記スタッカー(104)中に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段が、
解放手段を有し、該解放手段は、該スタッカー(104)の保持手段(1042)を作動させることによって該スタッカー(104)からのマイクロプレート(107)の積み重ねの解放を可能とするためのものであり、かつ、
リフト(1130)を有し、該リフトは、解放されたマイクロプレート(107)の積み重ねを所望のマイクロプレート(107)まで下げるためのものである、
請求項8記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項10】
貯蔵ホテル(106)が、カバー(1060)を有し、かつ、
前記貯蔵ホテル(106)内に配置された各マイクロプレート(107)へのアクセスを可能とするための手段が、カバー(1060)を取り外すための手段を有する、請求項8記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項11】
各処理室(11,13)が、処理ステーション(11、13)においてカスタマイズされたマイクロプレート受容器(103)を中間的に貯蔵するための中間的なフリーザー(110)を有し、かつ、
該中間的なフリーザー(110)が、
マイクロプレート受容器(103)を該中間的なフリーザー(110)内に移動するために、または、マイクロプレート受容器(103)を該中間的なフリーザー(110)から取り出すために、第1のロボット(16)によって処理室(11、13)の内部からアクセス可能であり、かつ、マイクロプレート受容器(103)を該中間的なフリーザーから取り出すために、または、マイクロプレート受容器(103)を該中間的なフリーザー(110)内に移動するために、ユーザーによって処理室(11、13)の外部からアクセス可能である、
請求項1から10のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項12】
請求項9記載のロボット式貯蔵装置(1)において使用するためのスタッカーアダプター(105)であって、当該スタッカーアダプター(105)は、
処理ステーション(111)のドッキングユニット(113)に適合しないマイクロプレートスタッカー(104)を適合させるための手段を有し、
当該スタッカーアダプター(105)は、適合しないスタッカー(104)を受け入れるための第1の係合(1050)手段を有し、かつ、スタッカーアダプター(105)が各ドッキングユニット(113)によって受け入れられるのを可能とするための第2の係合手段(1052)を有し、かつ、
当該スタッカーアダプター(105)は、第1の手段(1050)を有し、該第1の手段(1050)は、スタッカー(104)がスタッカーアダプター(105)に挿入されたときには常に、該スタッカー(104)の保持手段(1042)を作動させるためのものであり、かつ、
当該スタッカーアダプター(105)は、第2の手段(1051)を有し、該第2の手段は、ドッキングユニット(113)の解放手段によって作動されないときには常に、スタッカー(104)内にある解放されたマイクロプレート(107)の積み重ねを保持するため、および、前記解放手段による作動時に、スタッカー(104)から前記マイクロプレート(107)の積み重ねを解放するためのものである、
当該スタッカーアダプター(105)。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)において使用されるマイクロプレート(107)の積み重ねを運搬するための厚紙箱(200)であって、
当該厚紙箱(200)は、上下に配置されたマイクロプレート(107)を厚紙箱(200)内に固定するための手段を有する、当該厚紙箱(200)。
【請求項14】
当該厚紙箱(200)が、矩形の水平断面を有し、かつ、マイクロプレートを固定するための手段が、厚紙箱(200)の少なくとも2つの縁部(202)上に対角線上で対向するように配置された変形可能な部分(201)を有する、請求項13記載の厚紙箱(200)。
【請求項1】
複数のサンプルチューブを保持したマイクロプレート(107)を貯蔵するためのロボット式貯蔵装置(1)であって、
当該ロボット式貯蔵装置(1)は、複数の冷凍ユニット(100)を持った冷凍室(10)を有し、かつ、第1のロボット(16)を有し、第1のロボットは、前記冷凍ユニット(100)からマイクロプレート(107)を取り出しかつ前記冷凍ユニット(100)にマイクロプレート(107)を入れることができるものであり、第1のロボット(16)は、さらに、マイクロプレート(107)を処理ステーション(111)に移送することができ、複数のマイクロプレート(107)がマイクロプレート受容器(103)内に上下に配置されるようにして、それらマイクロプレート(107)が冷凍ユニット(100)内に貯蔵され、かつ、
当該ロボット式貯蔵装置(1)は、少なくとも1つの処理室(11、13)を有し、かつ、該処理室(11、13)を冷凍室(10)から熱的に切り離すための手段(15)を有し、
各処理室(11、13)は、少なくとも1つのチューブ移送モジュール(115)を有する処理ステーション(111)を有し、かつ、第2のロボット(112)を有し、第2のロボットは、マイクロプレート受容器(103)と前記の少なくとも1つのチューブ移送モジュール(115)との間で、マイクロプレート(107)を移動させるためのものであり、かつ、
第1のロボット(16)は、前記マイクロプレート受容器(103)を前記冷凍ユニット(100)から取り出すことおよびそれを該冷凍ユニットに入れること、ならびに、それを前記冷凍ユニット(100)から処理ステーション(111)へと、または、その逆に移送することが単にできるように設計されている、
前記ロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項2】
当該ロボット式貯蔵装置(1)が、冷凍室(10)を有し、かつ、第1(11)と第2(13)の処理室を有し、第1(11)と第2(13)の処理室は、冷凍室(10)の互いに反対側にある端部に配置され、かつ、
第1のロボット(16)は、マイクロプレート受容器(103)を、第1(11)と第2(13)の処理室のいずれか1つに移送することができる、請求項1記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項3】
冷凍ユニットが、フリーザー(100)を有し、各フリーザー(100)は、ドア(101)と複数の引き出し(102)とを有し、各引き出し(102)は、複数のマイクロプレート受容器(103)を貯蔵するように設計されている、請求項1または2記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項4】
各処理室(11、13)を冷凍室(10)から熱的に切り離すための手段が、断熱ドア(15)を有する、請求項1から3のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項5】
第1のロボット(16)が、一回に、少なくとも2つのマイクロプレート受容器(103)を保持するための手段(160)を有する、請求項1から4のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項6】
マイクロプレート受容器(103)が、スタッカー(104)、および/または、貯蔵ホテル(106)を有する、請求項1から5のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項7】
処理ステーション(111)が、さらに、少なくとも1つのドッキングユニット(113)を有し、該ドッキングユニット(113)は、第1のロボット(16)から処理ステーション(111)に移送されたマイクロプレート受容器(103)を受け取るためのものであり、かつ、第1のロボット(16)が、マイクロプレート受容器(103)を、処理ステーション(111)から冷凍ユニット(100)へ移送することを可能とするためのものである、請求項1から6のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項8】
マイクロプレート受容器(103)のためのドッキングユニット(113)が、前記スタッカー(104)中におよび/または前記貯蔵ホテル(106)中に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段を有する、請求項7記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項9】
前記スタッカー(104)中に配置された各マイクロプレートへのアクセスを可能とするための手段が、
解放手段を有し、該解放手段は、該スタッカー(104)の保持手段(1042)を作動させることによって該スタッカー(104)からのマイクロプレート(107)の積み重ねの解放を可能とするためのものであり、かつ、
リフト(1130)を有し、該リフトは、解放されたマイクロプレート(107)の積み重ねを所望のマイクロプレート(107)まで下げるためのものである、
請求項8記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項10】
貯蔵ホテル(106)が、カバー(1060)を有し、かつ、
前記貯蔵ホテル(106)内に配置された各マイクロプレート(107)へのアクセスを可能とするための手段が、カバー(1060)を取り外すための手段を有する、請求項8記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項11】
各処理室(11,13)が、処理ステーション(11、13)においてカスタマイズされたマイクロプレート受容器(103)を中間的に貯蔵するための中間的なフリーザー(110)を有し、かつ、
該中間的なフリーザー(110)が、
マイクロプレート受容器(103)を該中間的なフリーザー(110)内に移動するために、または、マイクロプレート受容器(103)を該中間的なフリーザー(110)から取り出すために、第1のロボット(16)によって処理室(11、13)の内部からアクセス可能であり、かつ、マイクロプレート受容器(103)を該中間的なフリーザーから取り出すために、または、マイクロプレート受容器(103)を該中間的なフリーザー(110)内に移動するために、ユーザーによって処理室(11、13)の外部からアクセス可能である、
請求項1から10のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)。
【請求項12】
請求項9記載のロボット式貯蔵装置(1)において使用するためのスタッカーアダプター(105)であって、当該スタッカーアダプター(105)は、
処理ステーション(111)のドッキングユニット(113)に適合しないマイクロプレートスタッカー(104)を適合させるための手段を有し、
当該スタッカーアダプター(105)は、適合しないスタッカー(104)を受け入れるための第1の係合(1050)手段を有し、かつ、スタッカーアダプター(105)が各ドッキングユニット(113)によって受け入れられるのを可能とするための第2の係合手段(1052)を有し、かつ、
当該スタッカーアダプター(105)は、第1の手段(1050)を有し、該第1の手段(1050)は、スタッカー(104)がスタッカーアダプター(105)に挿入されたときには常に、該スタッカー(104)の保持手段(1042)を作動させるためのものであり、かつ、
当該スタッカーアダプター(105)は、第2の手段(1051)を有し、該第2の手段は、ドッキングユニット(113)の解放手段によって作動されないときには常に、スタッカー(104)内にある解放されたマイクロプレート(107)の積み重ねを保持するため、および、前記解放手段による作動時に、スタッカー(104)から前記マイクロプレート(107)の積み重ねを解放するためのものである、
当該スタッカーアダプター(105)。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項記載のロボット式貯蔵装置(1)において使用されるマイクロプレート(107)の積み重ねを運搬するための厚紙箱(200)であって、
当該厚紙箱(200)は、上下に配置されたマイクロプレート(107)を厚紙箱(200)内に固定するための手段を有する、当該厚紙箱(200)。
【請求項14】
当該厚紙箱(200)が、矩形の水平断面を有し、かつ、マイクロプレートを固定するための手段が、厚紙箱(200)の少なくとも2つの縁部(202)上に対角線上で対向するように配置された変形可能な部分(201)を有する、請求項13記載の厚紙箱(200)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−83679(P2010−83679A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−224733(P2009−224733)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224733(P2009−224733)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
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