説明

ロータリバルブのレバーロック装置

【課題】誤ってレバーに外力が加えられた場合でも、選択された所望の操作パターンにロータリバルブを保持することができるロータリバルブのレバーロック装置の提供。
【解決手段】ロータリスプール1bの端面1b1の周方向に沿って第1〜第4操作パターン選択位置P1〜P4が形成され、該当する操作パターン選択位置が選択されたときには油圧アクチュエータへの圧油の供給を可能にするロータリバルブ1に取り付けられ、このロータリバルブ1の端面1b1に沿うように回動可能に設けられ、第1〜第4操作パターン選択位置P1〜P4のうちの1つの操作パターン選択位置を選択可能なレバー3をロックする所定位置を、第1〜第4操作パターン選択位置P1〜P4のそれぞれの操作パターン選択位置に設定するとともに、レバー3を該当する操作パターン選択位置でそれぞれ回動不能にロックするロック手段を備えた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作パターン選択位置が形成されたロータリバルブのレバーを、所定位置でロックするロータリバルブのレバーロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、油圧ショベルの盗難防止装置に備えられる操作式切換弁、すなわちロータリバルブのレバーロック装置であって、ロータリバルブは、操作方式の異なる複数の会社の操作方式に対応させるために、その端面の周方向に沿って複数の操作パターン選択位置が形成されている。このロータリバルブのレバーを、上述した複数の操作パターン選択位置のいずれか1つの操作パターン選択位置まで回動させることにより、該当する操作パターンによる油圧アクチュエータへの圧油の供給が可能となり、この油圧アクチュエータの作動による油圧ショベルの駆動が可能となっている。
【0003】
また、この従来技術は、盗難防止のためではあるが、レバーを所定位置でロックするシリンダー錠を備えた構成になっている。すなわち、油圧ショベルの非駆動時には、この油圧ショベルを駆動する油圧アクチュエータへの圧油の供給が不能となるように、隣り合う操作パターン選択位置間に位置するロータリバルブの端面部分まで回動させたレバーを、その位置でシリンダー錠でロックするようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−278187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術は、レバーをロックするシリンダー錠を備えているものの、シリンダー錠でレバーがロックされたときには、油圧アクチュエータの作動が不能となっている。したがって、油圧アクチュエータに圧油を供給して油圧ショベルを駆動させようとするときには、シリンダー錠を開錠し、レバーを所定の操作パターン選択位置まで回動させる煩雑な操作が必要となる。また、この従来技術では、レバーを所定の操作パターン選択位置まで回動させることにより、所望の操作パターンによる油圧ショベルの駆動が可能になるが、この状態ではレバーはロックされていないので、誤って何らかの外力がレバーに加えられた場合には、油圧アクチュエータへの圧油の供給が不能となったり、不所望の操作パターンに変更されてしまう懸念がある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、誤ってレバーに外力が加えられた場合でも、選択された所望の操作パターンにロータリバルブを保持することができるロータリバルブのレバーロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係るロータリバルブのレバーロック装置は、端面の周方向に沿って複数の操作パターン選択位置が形成され、該当する操作パターン選択位置が選択されたときには油圧アクチュエータへの圧油の供給を可能にするロータリバルブに取り付けられ、このロータリバルブの端面に沿うように回動可能に設けられ、上記複数の操作パターン選択位置のうちの1つの操作パターン選択位置を選択可能なレバーを、所定位置でロックするロータリバルブのレバーロック装置において、上記所定位置を、上記複数の操作パターン選択位置のそれぞれの操作パターン選択位置に設定し、上記複数の操作パターン選択位置のうちの隣り合う操作パターン選択位置がなす角度を所定角度に設定し、上記レバーを該当する上記操作パターン選択位置でそれぞれ回動不能にロックするロック手段を備え、このロック手段が、上記レバーの回動支点に対して、上記操作パターン選択位置に配置された上記レバーの反対側に位置する上記ロータリバルブの上記端面部分に形成される雌ねじと、上記ロータリバルブの上記端面に対向するように離隔して配置される台板と、この台板に連設され、互いに180°から上記所定角度を引いた角度間隔で「へ」の字状に形成される第1板部及び第2板部から成る第1突出板と、上記回動支点に対して上記第1突出板の反対側に位置する上記台板部分に連設され、上記ロータリバルブの上記端面に近づく方向に延設され、上記レバーが挿入される挿通穴を有する第2突出板とを有する第1固定ブラケットと、上記雌ねじに螺合する雄ねじと、この雄ねじが取り付けられ、上記第1固定ブラケットの上記第1突出板の上記第1板部、または上記第2板部と選択的に固定される板部とを有する第2固定ブラケットとを含むことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、レバーの回動によって選択された操作パターン選択位置において、ロック手段によってレバーを回動不能にロックすることにより、誤ってレバーに外力が加えられた場合でも、選択された所望の操作パターンにロータリバルブを保持することができる。また、ロータリバルブの端面部分に形成される雌ねじに第2固定ブラケットの雄ねじを螺合させ、第1固定ブラケットの第2突出板の挿通穴にレバーを挿入した状態で、第1突出板の第1板部及び第2板部のうちの例えば第1板部を第2固定ブラケットの板部に固定することにより、レバーがロックされ、所望の操作パターンによる油圧アクチュエータの作動が可能になる。また、上述のように第1固定ブラケットの第2突出板の挿通穴にレバーを挿入した状態で、レバーを回動させ、第1突出板の第2板部を第2固定ブラケットの板部に固定することにより、隣り合う別の操作パターン選択位置にレバーがロックされ、その別の操作パターンによる油圧アクチュエータの作動が可能になる。すなわち、1つの操作パターン選択位置と、この操作パターン選択位置に隣り合う別の操作パターン選択位置のそれぞれにおいてレバーをロックし、それぞれ所望の操作パターンによる油圧アクチュエータの作動を実施させることができる。
【0009】
また、本発明に係るロータリバルブのレバーロック装置は、上記発明において、上記ロータリバルブの上記端面の雌ねじは、上記レバーの回動支点に対して、上記複数の操作パターン選択位置のうちの始端側の操作パターン選択位置に配置された上記レバーの反対側に位置する上記ロータリバルブの上記端面部分に形成される第1雌ねじと、上記レバーの回動支点に対して、上記複数の操作パターン選択位置のうちの終端側の操作パターン選択位置に配置された上記レバーの反対側に位置する上記ロータリバルブの端面部分に形成される第2雌ねじとから成り、上記第1固定ブラケットの上記第2突出板は、互いに180°から上記所定角度を引いた角度間隔で「へ」の字状に形成される第3板部及び第4板部から成り、これらの第3板部及び第4板部のそれぞれは上記レバーが挿入される挿通穴を有することを特徴としている。
【0010】
このように構成した本発明は、ロータリバルブの端面部分に形成された第1雌ねじに第2固定ブラケットの雄ねじを螺合させ、第1固定ブラケットの第2突出板の例えば第3板部の挿通穴にレバーを挿入した状態で、第1固定ブラケットの第1突出板の第1板部及び第2板部のうちの例えば第1板部を第2固定ブラケットの板部に固定することにより、1つの操作パターン選択位置、すなわち始端側の第1操作パターン選択位置にレバーがロックされ、第1操作パターンによる油圧アクチュエータの作動が可能になる。また、上述のように、第1雌ねじに第2固定ブラケットの雄ねじを螺合させ、第1固定ブラケットの第2突出板の第3板部の挿通穴にレバーを挿入した状態でレバーを回動させ、第1突出板の第2板部を第2固定ブラケットの板部に固定することにより、隣り合う別の操作パターン選択位置、すなわち第2操作パターン選択位置にレバーがロックされ、第2操作パターンによる油圧アクチュエータの作動が可能になる。
【0011】
また、ロータリバルブの端面部分に形成された第2雌ねじに第2固定ブラケットの雄ねじを螺合させ、第1固定ブラケットの第2突出板の第4板部の挿通穴にレバーを挿入した状態で、第1固定ブラケットの例えば第1突出部の第1板部を第2固定ブラケットの板部に固定することにより、上述した第2操作パターン選択位置に隣り合う別の操作パータン選択位置、すなわち第3操作パターン選択位置にレバーがロックされ、第3操作パターンによる油圧アクチュエータの作動が可能になる。また、上述のように、第2雌ねじに第2固定ブラケットの雄ねじを螺合させ、第1固定ブラケットの第2突出板の第4板部の挿通穴にレバーを挿入した状態でレバーを回動させ、第1突出板の第2板部を第2固定ブラケットの板部に固定することにより、さらに隣り合う別の操作パターン選択位置、すなわち終端側の第4操作パターン選択位置にレバーがロックされ、第4操作パターンによる油圧アクチュエータの作動が可能になる。したがって本発明は、4つの操作パターン選択位置のそれぞれにおいてレバーをロックし、第1〜第4操作パターンのうちのいずれかの操作パターンによる油圧アクチュエータの作動を実施させることができる。
【0012】
また、本発明に係るロータリバルブのレバーロック装置は、上記発明において、上記第1固定ブラケットの上記第1突出板は、上記ロータリバルブの上記端面から離れる方向に延設されるものから成り、上記第1固定ブラケットの上記第2突出板は、上記ロータリバルブの上記端面に当接するものから成ることを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、第1固定ブラケットの第1突出板がロータリバルブの端面から離れる方向に延設されるので、第1固定ブラケットの第1突出板と第2固定ブラケットの板部との固定作業を、比較的広い作業空間を確保し得る台板の外側部分で行うことができ、この固定作業が容易である。また、第1固定ブラケットの第2突出部がロータリバルブの端面に当接しているので、第1固定ブラケットと第2固定ブラケットとを安定した固定形態に保つことができる。
【0014】
また、本発明に係るロータリバルブのレバーロック装置は、上記発明において、上記第1固定ブラケットの上記第1突出板の上記第1板部及び上記第2板部のそれぞれはボルト穴を有し、上記第2固定ブラケットの上記板部は、上記第1突出板の上記第1板部及び上記第2板部のそれぞれのボルト穴に適合可能なボルト穴を有することを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、第1固定ブラケットの第1突出板を形成する第1板部のボルト穴または第2板部のボルト穴と、第2固定ブラケットの板部のボルト穴にボルトを挿入することによって、第1固定ブラケットと第2固定ブラケットとを確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、レバーを複数の操作パターン選択位置のうちの該当する操作パターン選択位置でそれぞれ回動不能にロックするロック手段を備えたことから、誤ってレバーに外力が加えられた場合でも、選択された所望の操作パターンにロータリバルブを保持することができ、したがって、従来懸念されていた誤ってレバーに与えられる外力による油圧アクチュエータへの圧油の供給不能とか、不所望の操作パターンへの変更を防ぐことができ、安定した油圧アクチュエータの作動を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るロータリバルブのレバーロック装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す状態から第1固定ブラケット、第2固定ブラケット、及び取付ブラケットを除いた状態を示す図で、(a)図は正面図、(b)図は側面図である。
【図3】本実施形態に係るレバーロック装置に備えられる第1固定ブラケットを示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係るレバーロック装置に備えられる第2固定ブラケットを示す斜視図である。
【図5】本実施形態におけるレバーロック動作を説明する図で、レバーが始端側である第1操作パターン選択位置に固定される状態を示す正面図である。
【図6】本実施形態におけるレバーロック動作を説明する図で、レバーが第2操作パターン選択位置に固定される状態を示す正面図である。
【図7】本実施形態におけるレバーロック動作を説明する図で、レバーが第3操作パターン選択位置に固定される状態を示す正面図である。
【図8】本実施形態におけるレバーロック動作を説明する図で、レバーが終端側である第4操作パターン選択位置に固定される状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係るロータリバルブのレバーロック装置の一実施形態を示す斜視図、図2は図1に示す状態から第1固定ブラケット、第2固定ブラケット、及び取付ブラケットを除いた状態を示す図で、(a)図は正面図、(b)図は側面図、図3は本実施形態に係るレバーロック装置に備えられる第1固定ブラケットを示す斜視図、図4は本実施形態に係るレバーロック装置に備えられる第2固定ブラケットを示す斜視図である。
【0020】
本発明に係るロータリバルブのレバーロック装置の一実施形態は建設機械例えば図示しない油圧ショベルに備えられる。この油圧ショベルは、走行体、この走行体上に配置される旋回体、及びこの旋回体に上下方向の回動可能に取り付けられるフロント作業機を備えている。また、走行体を駆動する走行モータ、旋回体を駆動する旋回モータ、及びフロント作業機を駆動するブームシリンダ、アームシリンダ等の各種の油圧アクチュエータを備えている。
【0021】
本実施形態に係るレバーロック装置が取り付けられる図1に示すロータリバルブ1は、操作方式の互いに異なる複数の会社、例えばK社、H社、M社、及びY社の4社の操作パターンに対応可能なもので、ケーシング1aと、このケーシング1aの内部に回転可能に収容されるロータリスプール1bとを備えている。ケーシング1aの外周面にはパイロットホースが接続される複数の接続ポート1a1が形成されている。
【0022】
図2の(a)図に示すように、ロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1には、上述した4社の操作パターンに対応させて、端面1b1の周方向に沿って4つの操作パターン選択位置P1〜P4が形成されている。例えば始端側にはK社の操作パターンに対応する第1操作パターン選択位置P1が形成され、この第1操作パータン選択位置P1に隣り合ってH社に対応する第2操作パターン選択位置P2が形成され、この第2操作パターン選択位置P2に隣り合ってM社に対応する第3操作パターン選択位置P3が形成され、この第3操作パターン選択位置P3に隣り合ってY社に対応する終端側の第4操作パータン選択位置P4が形成されている。
【0023】
図1,2等に示すように、ロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1には、レバー3が一体的に設けられている。このレバー3の回動支点2を中心として、前述した4つの操作パターン選択位置P1〜P4のうちの隣り合う操作パターン選択位置がなす角度を、それぞれ所定角度例えば45°に設定してある。すなわち第1操作パターン選択位置P1と第2操作パターン選択位置P2とがなす角度は45°であり、第2操作パターン選択位置P2と第3操作パターン選択位置P3とがなす角度は45°であり、第3操作パターン選択位置P3と第4操作パターン選択位置P4とがなす角度も45°である。
【0024】
本実施形態に係るレバーロック装置は、レバー3を4つの操作パターン選択位置P1〜P4のうちの該当する操作パターン選択位置でそれぞれ回動不能にロックするロック手段を備えている。
【0025】
このロック手段は、図2の(a)図に示すように、レバー3の回動支点2に対して、操作パターン選択位置、例えば始端側の第1操作パターン選択位置P1に配置されたレバー3の反対側に位置するロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1部分に形成される第1雌ねじ15と、終端側の第4操作パターン選択位置P4に配置されたレバー3の反対側に位置するロータリスプール1bの端面1b1部分に形成される第2雌ねじ16とを含んでいる。
【0026】
また、ロック手段は、図1,3に示すように、ロータリスプール1bの端面1b1に対向するように離隔して配置される台板5と、この台板5に連設され、例えばロータリスプール1bの端面1b1から離れる方向に延設される第1突出板6と、回動支点2に対して第1突出板6の反対側に位置する台板5部分に連設され、ロータリスプール1bの端面1b1に近づく方向に延設されて例えば端面1b1に当接する第2突出部9とを有する第1固定ブラケット4を含んでいる。
【0027】
この第1固定ブラケット4の第1突出板6は、互いに180°から前述の所定角度すなわち45°を引いた135°の角度間隔で「へ」の字状に形成される第1板部7及び第2板部8から成っている。第1板部7にはボルト穴7aを形成してあり、第2板部8にはボルト穴8aを形成してある。
【0028】
また、第1固定ブラケット4の第2突出板9も、例えば互いに180°から前述の所定角度すなわち45°を引いた135°の角度間隔で「へ」の字状に形成される第3板部10及び第4板部11から成っている。第3板部10にはレバー3が挿入される挿通穴10aを形成してあり、第4板部11にはレバー3が挿入される挿通穴11aを形成してある。
【0029】
また、ロック手段は、図1,4に示すように、前述したロータリスプール1bの端面1b1に設けた第1雌ねじ15及び第2雌ねじ16にそれぞれ螺合する雄ねじ13と、この雄ねじ13が取り付けられ、前述した第1固定ブラケット4の第1突出板6の第1板部7、または第2板部8と選択的に固定される板部14とを有する第2固定ブラケット12とを含んでいる。
【0030】
この第2固定ブラケット12の板部14は、前述した第1固定ブラケット4の第1突出板6の第1板部7のボルト穴7a、及び第2板部8のボルト穴8aに適合可能なボルト穴14aを有している。
【0031】
また、本実施形態は、図2の(a)図に示すように、レバー3が取り付けられるロータリスプール1bの端面1b1に、ボルト穴17,18が形成されている。また、図1に示すように、これらのボルト穴17,18に適合するボルト穴19a,19bを有する取付ブラケット19を備えている。レバー3が取り付けられていないロータリスプール1bの他の端面にも、前述したボルト穴17,18と同様のボルト穴が形成されている。また、それらのボルト穴に適合するボルト穴を有する取付プラケット20を備えている。これらの一対の取付ブラケット19,20によって、ロータリバルブ1は、油圧ショベルを構成する部材の所定部位に取り付けられるようになっている。
【0032】
図5〜8は本実施形態におけるレバーロック動作を説明する図で、図5はレバーが始端側である第1操作パターン選択位置に固定される状態を示す正面図、図6はレバーが第2操作パターン選択位置に固定される状態を示す正面図、図7はレバーが第3操作パターン選択位置に固定される状態を示す正面図、図8はレバーが終端側である第4操作パターン選択位置に固定される状態を示す正面図である。
【0033】
このように構成した本実施形態は、例えばレバー3を第1操作パターン選択位置P1に位置させてK社の操作パターンにロータリバルブ1を切り換えようとする場合には、図5に示すように、ロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1部分に形成された第1雌ねじ15に第2固定ブラケット12の雄ねじ13を螺合させ、第1固定ブラケット4の第2突出板9の第3板部10の挿通穴10aにレバー3を挿入した状態で、第1固定ブラケット4の第1突出板6の第1板部7のボルト穴7aと第2固定ブラケット12の板部14のボルト穴14aとを適合させ、これらのボルト穴7aとボルト穴14aに図示しないボルトを挿入し、このボルトに螺合する図示しないナットを締付けて第1突出板6の第1板部7と板部14とを固定する。これにより、同図5に示すように、レバー3が始端側である第1操作パターン選択位置P1にロックされ、K社の操作パターンによる図示しない油圧アクチュエータの作動が可能になり、この油圧アクチュエータの作動に伴う図示しない油圧ショベルの駆動を実現させることができる。
【0034】
また、例えばレバー3を第2操作パターン選択位置P2に位置させてH社の操作パターンにロータリバルブ1を切り換えるようにする場合には、図6に示すように、ロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1部分に形成された第1雌ねじ15に第2固定ブラケット12の雄ねじ13を螺合させ、第1固定ブラケット4の第2突出板9の第3板部10の挿通穴10aにレバー3を挿入した状態で、第1固定ブラケット4の第2突出板8の第2板部8のボルト穴8aと第2固定ブラケット12の板部14のボルト穴14aとを適合させ、これらのボルト穴8aとボルト穴14aに図示しないボルトを挿入し、このボルトに螺合する図示しないナットを締付けて第1突出板6の第2板部8と板部14とを固定する。これにより、同図6に示すように、レバー3が第1操作パターン選択位置P1に隣り合う第2操作パターン選択位置P2にロックされ、H社の操作パターンによる図示しない油圧アクチュエータの作動が可能になり、この油圧アクチュエータの作動に伴う図示しない油圧ショベルの駆動を実現させることができる。
【0035】
また、例えばレバー3を第3操作パターン選択位置P3に位置させてM社の操作パターンにロータリバルブ1を切り換えるようにする場合には、図7に示すように、ロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1部分に形成された第2雌ねじ16に第2固定ブラケット12の雄ねじ13を螺合させ、第1固定ブラケット4の第2突出板9の第4板部11の挿通穴11aにレバー3を挿入した状態で、第1固定ブラケット4の第1突出板6の第1板部7のボルト穴7aと第2固定ブラケット12の板部14のボルト穴14aとを適合させ、これらのボルト穴7aとボルト穴14aに図示しないボルトを挿入し、このボルトに螺合する図示しないナットを締付けて第1突出板6の第1板部7と板部14とを固定する。これにより、同図7に示すように、レバー3が第2操作パターン選択位置P2に隣り合う第3操作パターン選択位置P3にロックされ、M社の操作パターンによる図示しない油圧アクチュエータの作動が可能になり、この油圧アクチュエータの作動に伴う図示しない油圧ショベルの駆動を実現させることができる。
【0036】
また、例えばレバー3を第4操作パターン選択位置P4に位置させてY社の操作パターンにロータリバルブ1を切り換えるようにする場合には、図8に示すように、ロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1部分に形成された第2雌ねじ16に第2固定ブラケット12の雄ねじ13を螺合させ、第1固定ブラケット4の第2突出板9の第4板部11の挿通穴11aにレバー3を挿入した状態で、第1固定ブラケット4の第1突出板6の第1板部8のボルト穴8aと第2固定ブラケット12の板部14のボルト穴14aとを適合させ、これらのボルト穴8aとボルト穴14aに図示しないボルトを挿入し、このボルトに螺合する図示しないナットを締付けて第1突出板6の第2板部8と板部14とを固定する。これにより、同図8に示すように、レバー3が第2操作パターン選択位置P3に隣り合う終端側の第4操作パターン選択位置P4にロックされ、Y社の操作パターンによる図示しない油圧アクチュエータの作動が可能になり、この油圧アクチュエータの作動に伴う図示しない油圧ショベルの駆動を実現させることができる。
【0037】
このように構成した本実施形態によれば、レバー3の回動によって選択された操作パターン選択位置P1〜P4のうちのいずれかの操作パターン選択位置において、第1雌ねじ15、第2雌ねじ16、第1固定ブラケット4、及び第2固定ブラケット12を含むロック手段によってレバー3を回動不能にロックすることにより、誤ってレバー3に外力が加えられた場合でも、選択された所望の操作パターンにロータリバルブ1を保持することができる。したがって、誤ってレバー3に与えられる外力による油圧アクチュエータへの圧油の供給不能とか、不所望の操作パータンへの変更を防ぐことができ、安定した油圧アクチュエータの作動を実現させることができる。
【0038】
また、第1固定ブラケット4の第1突出板6は、ロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1から離れる方向に延設されるものから成ることから、第1固定ブラケット4の第1突出板6と第2固定ブラケット12の板部14との固定作業を、比較的広い作業空間を確保し得る台板5の外側部分(図5〜8に示す状態における端面1b1の上方部)で行うことができ、この固定作業が容易である。また、第1固定ブラケット4の第2突出板9がロータリスプール1bの端面1b1に当接しているので、第1固定ブラケット4と第2固定ブラケット12とを安定した固定形態に保つことができる。
【0039】
また、第1固定ブラケット4の第1突出板6を形成する第1板部7のボルト穴7aまたは第2板部8のボルト穴8aに第2固定ブラケット12の板部14のボルト穴14aを適合させ、これらのボルト穴7aとボルト穴14aに、または、ボルト穴8aとボルト穴14に、それぞれボルトを挿入し締結することによって、上述した第1固定ブラケット4と第2固定ブラケット12との安定した固定形態を実現させることができる。
【0040】
また、図5〜8等に示すように、本実施形態に備えられるロック手段は、ロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1の領域内に設けることができる。これにより、図2の(b)図に示したように、ロータリバルブ1を横置きに配置した際の高さ寸法に影響を与えることなく配置することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、第1固定ブラケット4の第1突出板6を、ロータリバルブ1のロータリスプール1bの端面1b1から離れる方向に延設されるように設けたが、第1突出板6の長さ寸法を十分に長く確保し得る場合などにあっては、この第1突出板6をロータリスプール1bの端面1b1に近づく方向に延設されるように設けた構成にしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、第1固定ブラケット4の第1突出板9は、ロータリスプール1bの端面1b1に当接するものから成っているが、第1固定ブラケット4と第2固定ブラケット12との固定強度を十分に確保し得る場合などにあっては、第1固定ブラケット4の第2突出板6の下端がロータリスプール1bの端面1b1から離れるように第2突出板6の長さ寸法を設定してもよい。
【0043】
また、上記実施形態は、4つの会社のそれぞれに特有な操作パターンを考慮して、ロータリバルブ1が、第1〜第4操作パターンP1〜P4を有する構成にしてあるが、本発明は、このように第1〜第4操作パターン選択位置P1〜P4を有するロータリバルブ1に適用することには限られない。例えば第1〜第4操作パターン選択位置P1〜P4のうちから第4操作パターン選択位置P4を外して、操作パターンの互いに異なる3社に対応可能なロータリバルブ1に本実施形態のレバーロック装置を設けてもよく、また、第3操作パターン選択位置P3及び第4層さパターン選択位置P4を外して、操作パターンの互いに異なる2社に対応可能なロータリバルブ1であってもよい。
【0044】
前述のように、第1操作パターン選択位置P1及び第2操作パターン選択位置P2を有する2社に対応可能なロータリバルブ1に設ける場合には、ロック手段に含まれる第2雌ねじ16を設けなくて済み、また、第1固定ブラケット4の第2突出板9を第3板部10のみから成る構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 ロータリバルブ
1b ロータリスプール
1b1 端面
2 回動支点
3 レバー
4 第1固定ブラケット
5 台板
6 第1突出板
7 第1板部
7a ボルト穴
8 第2板部
8a ボルト穴
9 第2突出板
10 第3板部
10a 挿通穴
11 第4板部
11a 挿通穴
12 第2固定ブラケット
13 雄ねじ
14 板部
14a ボルト穴
15 第1雄ねじ
16 第2雄ねじ
17 ボルト穴
18 ボルト穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面の周方向に沿って複数の操作パターン選択位置が形成され、該当する操作パターン選択位置が選択されたときには油圧アクチュエータへの圧油の供給を可能にするロータリバルブに取り付けられ、このロータリバルブの端面に沿うように回動可能に設けられ、上記複数の操作パターン選択位置のうちの1つの操作パターン選択位置を選択可能なレバーを、所定位置でロックするロータリバルブのレバーロック装置において、
上記所定位置を、上記複数の操作パターン選択位置のそれぞれの操作パターン選択位置に設定し、
上記複数の操作パターン選択位置のうちの隣り合う操作パターン選択位置がなす角度を所定角度に設定し、
上記レバーを該当する上記操作パターン選択位置でそれぞれ回動不能にロックするロック手段を備え、このロック手段が、
上記レバーの回動支点に対して、上記操作パターン選択位置に配置された上記レバーの反対側に位置する上記ロータリバルブの上記端面部分に形成される雌ねじと、
上記ロータリバルブの上記端面に対向するように離隔して配置される台板と、この台板に連設され、互いに180°から上記所定角度を引いた角度間隔で「へ」の字状に形成される第1板部及び第2板部から成る第1突出板と、上記回動支点に対して上記第1突出板の反対側に位置する上記台板部分に連設され、上記ロータリバルブの上記端面に近づく方向に延設され、上記レバーが挿入される挿通穴を有する第2突出板とを有する第1固定ブラケットと、
上記雌ねじに螺合する雄ねじと、この雄ねじが取り付けられ、上記第1固定ブラケットの上記第1突出板の上記第1板部、または上記第2板部と選択的に固定される板部とを有する第2固定ブラケットとを含むことを特徴とするロータリバルブのレバーロック装置。
【請求項2】
請求項1記載のロータリバルブのレバーロック装置において、
上記ロータリバルブの上記端面の雌ねじは、上記レバーの回動支点に対して、上記複数の操作パターン選択位置のうちの始端側の操作パターン選択位置に配置された上記レバーの反対側に位置する上記ロータリバルブの上記端面部分に形成される第1雌ねじと、上記レバーの回動支点に対して、上記複数の操作パターン選択位置のうちの終端側の操作パターン選択位置に配置された上記レバーの反対側に位置する上記ロータリバルブの端面部分に形成される第2雌ねじとから成り、
上記第1固定ブラケットの上記第2突出板は、互いに180°から上記所定角度を引いた角度間隔で「へ」の字状に形成される第3板部及び第4板部から成り、これらの第3板部及び第4板部のそれぞれは上記レバーが挿入される挿通穴を有することを特徴とするロータリバルブのレバーロック装置。
【請求項3】
請求項1記載のロータリバルブのレバーロック装置において、
上記第1固定ブラケットの上記第1突出板は、上記ロータリバルブの上記端面から離れる方向に延設されるものから成り、
上記第1固定ブラケットの上記第2突出板は、上記ロータリバルブの上記端面に当接するものから成ることを特徴とするロータリバルブのレバーロック装置。
【請求項4】
請求項1記載のロータリバルブのレバーロック装置において、
上記第1固定ブラケットの上記第1突出板の上記第1板部及び上記第2板部のそれぞれはボルト穴を有し、
上記第2固定ブラケットの上記板部は、上記第1突出板の上記第1板部及び上記第2板部のそれぞれのボルト穴に適合可能なボルト穴を有することを特徴とするロータリバルブのレバーロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−230121(P2010−230121A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80088(P2009−80088)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】