説明

ロータリーキルン

【課題】 キルン本体端部を効果的に冷却処理して保護することの可能なロータリーキルンを提供する。
【解決手段】 キルン本体3の後端部に備えられる出口フード10にキルン本体3の外周面に沿って環状のシール材固定片14を突設し、このシール材固定片14の先端部には外気侵入防止用のシールプレート15の基端部を固着する一方、このシールプレート15の遊端部をキルン本体3外周面に当接させると共に、これらキルン本体3外周面とシール材固定片14とシールプレート15とで形成される隙間空間16に冷却用の外気Aを導入させる外気導入手段を備える。そして、処理物Rを焼却・焼成処理するときには、外気導入手段より適量の冷却用外気Aを導入させることにより、キルン本体3端部を効果的に冷却処理して保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性廃棄物の焼却処理や、無機質材料の焼成処理等に用いられるロータリーキルンに関し、特に前記焼却処理や焼成処理が高温にて行われる場合に対応可能なようにキルン本体の内周面に耐熱性のキャスターを周設したロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃木材や廃プラスチック等の可燃性廃棄物を焼却処理したり、各種無機質材料を焼成処理等する場合に、例えばロータリーキルンが採用されている。この種のロータリーキルンは、円筒状の鋼板の内周面に、例えば耐火レンガやセラミックス等の耐熱性のキャスターを周設したキルン本体を回転自在に傾斜支持し、該キルン本体の両端部にはフードをそれぞれ備えると共に、処理物供給側である入口フードには熱風供給用のバーナと、コンベヤやプッシャー等の処理物供給手段とを備える一方、処理物排出側である出口フードには焼却、或いは焼成処理を経た処理物を排出する排出ホッパと、排ガス導出用の排気煙道等を備えている。なお、上記構成はキルン本体内における処理物と熱風の流下方向が同一である並流方式のロータリーキルンの場合を示すものであって、処理物と熱風の流下方向が逆行する向流方式のロータリーキルンの場合には、入口フードに処理物供給手段と、排気煙道を備える一方、出口フードにバーナと、排出ホッパを備えている。
【0003】
また、前記入口フード及び出口フードには、キルン本体の外周面に沿ってキルン本体よりも若干大径の環状のシール材固定片をそれぞれ突設していると共に、各シール材固定片の先端部には、例えば金属製のシールプレート等の基端部を固着している一方、該シールプレートの遊端部をキルン本体の外周面に対して押し当てるようにして当接させており、キルン本体の回転を阻害することなく、キルン本体と、入口フード及び出口フードとの隙間をシールして、外気の侵入を極力抑えるように図っている。
【0004】
ところで、このようなロータリーキルンでは、特許文献1(特開2006−29667号)にも記載されているように、密着する鋼板とキャスターの熱膨張率に大きな差があるため、処理物を高温にて焼却、焼成処理するような場合、キャスターに亀裂が生じたり、鋼板から剥がれ落ちたりするおそれがあった。特に、廃棄物の焼却処理の際にダイオキシン類の合成を防ぐには焼却温度を約800℃以上にも上げなくてはならない上、キャスター自体の蓄熱性は非常に高くて長時間に亘って高温に維持されるため、その高温の輻射熱に長時間晒される鋼板にも変形等が生じやすいおそれがあった。
【0005】
そして、このような問題に対し、上記特許文献1においては、キルン本体の鋼板の外周面をジャケットカバーにて被覆すると共に、該ジャケットカバー内に送風機にて冷却空気を強制的に流入させることにより、鋼板を外周面から冷却して熱膨張を抑制してキャスターや鋼板の損傷や変形を防止するように図っている。
【特許文献1】特開2006−29667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のロータリーキルンにおいては、キルン本体中央部の冷却は図っているものの、その端部については冷却処理が施されていない。キルン本体端部は、前記の通り、フードのシール材固定片と重なり合うように構成されているために比較的熱がこもりやすく、またシール材固定片の内周面にも周設されるキャスターからは長時間に亘って高温の輻射熱が発せられるので、それに近接するキルン本体端部の外周面の鋼板等には変形や損傷等の上記問題がより顕著に現れることが予想され、このキルン本体端部に対しても何らかの冷却処理を施す必要があると考えられる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、キルン本体端部を効果的に冷却処理して保護することの可能なロータリーキルンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のロータリーキルンでは、円筒状の鋼板の内周面に耐熱性のキャスターを周設したキルン本体を回転自在に傾斜支持して成るロータリーキルンにおいて、前記キルン本体の端部に備えられるフードにキルン本体の外周面に沿って環状のシール材固定片を突設し、該シール材固定片の先端部には外気侵入防止用のシール材の基端部を固着する一方、該シール材の遊端部をキルン本体外周面に当接させると共に、これらキルン本体外周面とシール材固定片とシール材とで形成される隙間空間に冷却用の外気を導入させる外気導入手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載のロータリーキルンでは、外気導入手段として、前記隙間空間と外気とを連通するエアソケットを備えると共に、該エアソケットには連通を遮断するエアプラグを着脱自在に備えたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項3記載のロータリーキルンでは、キルン本体の外周面とフードのシール材固定片との隙間を、外気導入手段にて導入させる外気の流速を減衰可能なラビリンス構造としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1記載のロータリーキルンによれば、キルン本体の端部に備えられるフードにキルン本体の外周面に沿って環状のシール材固定片を突設し、該シール材固定片の先端部には外気侵入防止用のシール材の基端部を固着する一方、該シール材の遊端部をキルン本体外周面に当接させると共に、これらキルン本体外周面とシール材固定片とシール材とで形成される隙間空間に冷却用の外気を導入させる外気導入手段を備えたので、フードのシール材固定片と重なり合うキルン本体端部を効果的に冷却処理して保護でき、鋼板の変形や、キャスターの損傷、剥がれ落ち等を阻止することができる。
【0012】
また、請求項2記載のロータリーキルンによれば、外気導入手段として、前記隙間空間と外気とを連通するエアソケットを備えると共に、該エアソケットには連通を遮断するエアプラグを着脱自在に備えたので、エアプラグの着脱操作によって外気の導入・非導入を容易に切り換えられ、必要に応じて適宜冷却処理を行うといった柔軟な対応が可能となる。また、エアソケットとエアプラグとを複数備え付ければ、エアプラグの着脱数を調整することで導入される外気量を容易に調整でき、処理温度に応じた好適な冷却処理を実現できる。
【0013】
また、請求項3記載のロータリーキルンによれば、キルン本体の外周面とフードのシール材固定片との隙間を、外気導入手段にて導入させる外気の流速を減衰可能なラビリンス構造としたので、外気導入操作をした場合に、必要以上の外気が勢いよく導入されることなく、外気導入量をコントロールできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るロータリーキルンにあっては、円筒状の鋼板の内周面に耐熱性のキャスターを周設したキルン本体を回転自在に傾斜支持し、該キルン本体の端部にはフードを備えると共に、処理物供給側の入口フードには熱風供給用のバーナと、処理物供給手段であるコンベヤやプッシャー等を備える一方、処理物排出側である出口フードには焼却、焼成処理を経た処理物を排出する排出ホッパと、排ガス導出用の排気煙道とを備えている。
【0015】
また、前記入口フードと出口フードには、その内部に貫入されたキルン本体の外周面に沿って環状のシール材固定片を突設すると共に、該シール材固定片の先端部には外気侵入防止用のシール材として、例えば金属製のシールプレートの基端部を固着する一方、該シールプレートの遊端部をキルン本体外周面に押し当てるように当接させ、キルン本体外周面と、入口フード及び出口フードとの隙間のシールを図っている。
【0016】
また、これらキルン本体外周面とシール材固定片、及びシールプレートとで形成される隙間空間に冷却用の外気を導入させる外気導入手段として、隙間空間と外気とを連通する複数のエアソケットを備え、各エアソケットには外気との連通を遮断するエアプラグを着脱自在に備えている。更に、キルン本体外周面とフードのシール材固定片との隙間を、前記エアソケットから導入される外気の流速を十分に減衰可能なようにラビリンス構造としている。
【0017】
そして、前記ロータリーキルンにて廃木材や廃プラスチック等の可燃性廃棄物を焼却処理したり、各種無機質材料を焼成処理等するときには、先ず、処理物の焼却・焼成温度に応じて冷却用の外気の導入量を決定し、それに応じて適宜数のエアプラグをエアソケットから取り外して開放させておく。そして、バーナの燃焼運転を開始すると共に、キルン本体を所定速度にて回転駆動させた上で、コンベヤやプッシャー等にて前記処理物をキルン本体内に供給する。キルン本体内に供給した処理物は、バーナからの熱風に晒されながらキルン本体内をその傾斜に従って下流側へと流下していき、その間に所望温度へと昇温されて焼却、或いは焼成処理される。
【0018】
このとき、フードのシール材固定片やシールプレートと重なり合うキルン本体端部では熱放散が少なくて熱がこもりやすく、またシール材固定片の内周面にも周設されるキャスターからは長時間に亘って高温の輻射熱が発せられるため、それに近接するキルン本体端部の鋼板やキャスター等には熱膨張に伴う変形や損傷等の悪影響が出ることが懸念されるが、事前にエアプラグを取り外したエアソケットより冷却用の外気がキルン内のガス流に引かれるようにして自然吸引され、ラビリンス構造によって流速を十分に減衰させた上でキルン本体外周面とシール材固定片とシールプレートとで形成される隙間空間を通ってフード内へと導入されるため、この低温の外気に晒されるキルン本体端部の鋼板やシール材固定片に周設したキャスター等を効果的に冷却処理でき、熱膨張を原因とする鋼板の変形や、キャスターの損傷、剥がれ落ち等を阻止することができる。
【0019】
また、エアプラグの着脱操作によって外気の導入・非導入を容易に切り換えられ、必要に応じて適宜冷却処理を行うといった柔軟な対応が可能となる。また、エアソケットとエアプラグとを複数備え付けることにより、エアプラグの着脱数を調整することで導入される外気量を容易に調整でき、処理物の焼却・焼成温度に応じた好適な冷却処理を実現できる。更に、キルン本体の外周面とフードのシール材固定片との隙間をラビリンス構造としたので、エアソケットより導入される外気の流速を予め十分に減衰させることができ、外気導入時にキルン内部に多量の外気が勢いよく導入されることなく、外気導入量をコントロールできる。
【0020】
このように、キルン本体外周面とシール材固定片とシール材とで形成される隙間空間に冷却用の外気を導入させる外気導入手段を備えることで、キルン本体端部を効果的に冷却処理して好適に保護することができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
図中の1は廃木材や廃プラスチック等の可燃性廃棄物を焼却処理したり、各種無機質材料を焼成処理等するのに使用される並流方式のロータリーキルンであって、基台2上に円筒状のキルン本体3を回転自在に、かつ適宜角度(例えば、約2度前後)にて傾斜支持し、駆動装置(図示せず)とインバータ(図示せず)にて適宜速度で回転可能としている。前記キルン本体3は、円筒状の鋼板4の内周面に、例えば耐火レンガやセラミックス等の耐熱性のキャスター5を周設し、後述するバーナからの高温の熱風から保護している。
【0023】
キルン本体3の端部にはフードを備え、上記各種処理物Rの供給側である入口フード6には、熱風供給用のバーナ7と、処理物供給手段であるプッシャー8や供給ホッパ9を備えている一方、処理物排出側である出口フード10には、焼却、或いは焼成処理を経た処理物R′を排出する排出ホッパ11と、排ガス導出用の排気煙道12とを備え、該排気煙道12の下流には熱交換器(図示せず)や集塵機(図示せず)、排風機(図示せず)等を介して煙突(図示せず)を備えている。また、これら入口フード6と出口フード10の内周面にも、キルン本体3と同様に耐熱性のキャスター5をそれぞれ貼着して高温熱風から保護している。なお、前記出口フード10は、キルン本体3より導出される高温排ガスGを約2秒程度以上掛けて排気煙道12へと導出させる構造としており、その間に排ガスG中の未燃分やダイオキシン類等を燃焼分解させるようにしている。
【0024】
また、入口フード6及び出口フード10には、その内部に貫入されるキルン本体3の外周面に沿って環状のシール材固定片13、14を突設していると共に、該シール材固定片13、14の先端部には外気侵入防止用のシール材として、例えば金属製のシールプレート15の基端部を固着する一方、該シールプレート15の遊端部をキルン本体3の外周面に押し当てるようにして当接させており、キルン本体3の回転を阻害せずに、キルン本体3外周面と、入口フード6及び出口フード10との隙間をシールして外気の侵入を極力抑えるように図っている。なお、これらシール材固定片13、14の内周面にも耐熱性のキャスター5を周設して高温から保護している。
【0025】
また、前記キルン本体3外周面と出口フード10のシール材固定片14、及びシールプレート15とで形成される略密閉された隙間空間16に対し、冷却用の外気Aを導入させる外気導入手段を備えている。前記外気導入手段は、例えば、キルン本体3後端部の外周面の周囲に同心円筒状の外気導入路17を形成していると共に、該外気導入路17の後端開口部を前記隙間空間16内に臨ませている一方、前端部は板体18にて閉塞しつつ、該板体18には外気導入路17を介して隙間空間16と外気とを連通する複数のエアソケット19を、図3に示すように等間隔に備え、各エアソケット19には外気との連通を遮断するエアプラグ20を着脱自在に備えて外気導入手段を構成している。なお、各エアプラグ20はエアソケット19に対し、レンチ等の工具にて容易に着脱可能としている。
【0026】
また、前記外気導入路17よりも下流位置のキルン本体3外周面と出口フード10のシール材固定片14との隙間を、エアソケット19から導入される外気Aの流速を十分に減衰可能なように、図2に示すように、外気衝突用の邪魔板21を千鳥状に配してラビリンス構造としている。なお、キルン本体3外周面と入口フード6のシール材固定片13との隙間においても、同様に邪魔板21を千鳥状に配してラビリンス構造としており、キルン内への余分な外気の侵入を極力防ぐように図っている。
【0027】
そして、前記ロータリーキルン3において、例えば、廃木材や廃プラスチック等の可燃性廃棄物を焼却処理するときには、先ず、これら処理物Rの焼却処理時にダイオキシン類が合成されないように、或いは合成されても燃焼分解されるようにバーナ7の燃焼量を調整して熱風温度が約800℃程度になるようにしておき、それに伴って高温となるキルン本体3端部を冷却させるのに必要とされる外気導入量を決定し、この決定した外気導入量に応じて適宜数(0乃至全て)のエアプラグ20をエアソケット19から取り外して開放させる。次いで、バーナ7の燃焼運転を開始すると共に、駆動装置をインバータにて調整してキルン本体3を適宜速度にて回転させる。なお、前記キルン本体3の傾斜角度や回転速度は、例えば、投入した処理物Rが前記熱風雰囲気下で完全に焼却処理されるのに要する時間、例えば30〜40分程度を掛けて排出ホッパ11に到達するようにそれぞれ調整すると良い。
【0028】
そして、上記運転状態にて供給ホッパ9内の処理物Rをプッシャー8にてキルン本体3へと順次送り出して供給する。キルン本体3内に供給した処理物Rは、バーナ7からの800℃以上もの高温熱風に晒されながらキルン本体3内をその傾斜に従って徐々に下流へと流下していき、その間に焼却処理がなされて最終的に焼却処理を経た処理物R′は出口フード10下端の排出ホッパ11へと排出されて貯留される。一方、高温の排ガスGは、入口フード6からキルン本体3内を通過した後、出口フード10にて約2秒程度以上掛けて排気煙道12へと導出され、この間に排ガスG中に含まれる未燃分やダイオキシン類等は燃焼分解される。
【0029】
このとき、出口フード10のシール材固定片14やシールプレート15と重なり合って覆われるキルン本体3端部では、図1や図2に示すように、その構造上どうしても熱放散が少なくて熱がこもりやすく、またシール材固定片14の内周面にも周設されるキャスター5から長時間に亘って高温の輻射熱が発せられ、それに近接するキルン本体3端部の鋼板4やキャスター5等には熱膨張に伴う変形や損傷等の悪影響が出ることが懸念されるが、予めエアプラグ20を取り外して開放状態としたエアソケット19より冷却用の常温の外気Aがキルン内の排ガスGの流れに引かれるようにして自然吸引され、その外気Aは外気導入路17下流のラビリンス構造を成す複数の邪魔板21に遮られて流速が大幅に減衰された上で、キルン本体3外周面とシール材固定片14とシールプレート15とで形成される隙間空間16を通過して出口フード10内へと導入されるため、この外気Aに直接晒されることになるキルン本体3端部の鋼板4やシール材固定片14に周設したキャスター5等を効果的に冷却処理でき、熱膨張を原因とする鋼板4の変形や、キャスター5の損傷、剥がれ落ち等を阻止して保護することができる。
【0030】
また、前記エアプラグ20はレンチ等の工具にて手作業で容易に着脱操作でき、処理物Rの処理温度等に応じて、冷却用の外気Aの導入・非導入を適宜切り換えたり、或いは外気量を調整するなどして柔軟に対応できる。更に、キルン本体3の外周面と出口フード10のシール材固定片14との隙間を複数の邪魔板21にてラビリンス構造としたので、エアソケット19より導入される外気Aの流速を予め十分に減衰させることができ、外気導入時にキルン内部に多量の外気Aが勢いよく導入されることなく、外気導入量をコントロールできる。
【0031】
このように、処理物Rの処理温度に応じて適宜数のエアソケット19からエアプラグ20を取り外して開放させておけば、キルン内の排ガスGの流れに引かれるようにして適宜量の冷却用の外気Aが自然吸引され、キルン本体3端部の鋼板4やキャスター5等を効果的に冷却処理して好適に保護できる。
【0032】
なお、本実施例においては、処理物Rが可燃性廃棄物でこれを焼却処理する場合を想定して記載しているが、何らこれに限定するものではなく、処理物が無機質材料でこれを焼成処理する場合にも好適に採用することができ、その場合には焼成処理に合わせて、バーナ7の燃焼量を変えて熱風温度を調整したり、キルン本体3の傾斜角度や回転速度等を変えて処理時間を調整した上で、処理時の熱風温度に応じてエアプラグ20の着脱数を調整してエアソケット19から導入させる外気量Aを調整し、キルン本体3端部を好適に冷却処理して保護する。
【0033】
また、本実施例においては、キルン本体3内における処理物Rと排ガスGの流下方向が同一である並流方式のロータリーキルン1に本発明を採用したものを記載しているが、処理物Rと排ガスGの流下方向が逆行する向流方式のロータリーキルンに対しても好適に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るロータリーキルンの一実施例を示す一部切り欠き説明図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2の一部省略したX−X断面図である。
【図4】図2の一部省略したY−Y断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1…ロータリーキルン 3…キルン本体
4…鋼板 5…キャスター
6…入口フード(フード) 7…バーナ
8…プッシャー 9…供給ホッパ
10…出口フード(フード) 11…排出ホッパ
12…排気煙道 13、14…シール材固定片
15…シールプレート(シール材) 16…隙間空間
17…外気導入路(外気導入手段) 19…エアソケット(外気導入手段)
20…エアプラグ(外気導入手段) 21…邪魔板
A…冷却用外気 G…排ガス
R、R′…処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の鋼板の内周面に耐熱性のキャスターを周設したキルン本体を回転自在に傾斜支持して成るロータリーキルンにおいて、前記キルン本体の端部に備えられるフードにキルン本体の外周面に沿って環状のシール材固定片を突設し、該シール材固定片の先端部には外気侵入防止用のシール材の基端部を固着する一方、該シール材の遊端部をキルン本体外周面に当接させると共に、これらキルン本体外周面とシール材固定片とシール材とで形成される隙間空間に冷却用の外気を導入させる外気導入手段を備えたことを特徴とするロータリーキルン。
【請求項2】
外気導入手段として、前記隙間空間と外気とを連通するエアソケットを備えると共に、該エアソケットには連通を遮断するエアプラグを着脱自在に備えたことを特徴とする請求項1記載のロータリーキルン。
【請求項3】
キルン本体の外周面とフードのシール材固定片との隙間を、外気導入手段にて導入させる外気の流速を減衰可能なラビリンス構造としたことを特徴とする請求項1または2記載のロータリーキルン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−127607(P2010−127607A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306849(P2008−306849)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】