説明

ロータリージョイントおよびメカニカルシール装置

【課題】メンテナンス性に優れ、かつ、流路数の変更に柔軟に対応し得るロータリージョイントを提供する。
【解決手段】軸内流路16を有する回転軸12と、回転軸10に取り付けられるメカニカルシール装置26と、第1ベアリング20、第2ベアリング22を含むロータリージョイント10であって、前記メカニカルシール装置26はスリーブ内流路38が形成されており、前記回転軸12を挿通させるスリーブ30と、第1回転環60および第2回転環62とを含み、ケーシング70と前記第1回転環60に対して摺動する第1固定環133と、前記第2回転環62に対して摺動する第2固定環135を含み、前記スリーブ30の外周面には第1ベアリング内周側設置面46と第2ベアリング内周側設置面54とが形成されており、前記ケーシング70の内周面には第1ベアリング外周側設置面82と第2ベアリング外周側設置面111とが形成されているロータリージョイント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリージョイント及びロータリージョイントに用いられるメカニカルシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨装置等の回転部分と、固定側の流体供給経路を接続するロータリージョイントとしては、複数のメカニカルシールを含むものが知られている(例えば特許文献1等参照)。メカニカルシールを用いるロータリージョイントは、摺動部分にパッキン等を用いるロータリージョイントに比べて、回転速度の大きい装置に適用することが可能である等の利点を有している。しかしながら、従来技術に係るロータリージョイントは、メカニカルシール等を構成する個々の部材を、ローターに対して順番に組み付けていく構造を有するため、組立および分解に手間が掛かり、メンテナンス性に問題を有している。また、装置に必要とされる流路数が変更された場合であっても、流路数に応じて組立構造を変更することが難しく、流路数の増減に応じて、新たな部品を設計・製造等する必要があった。
【0003】
必要とされる流路数に応じて組立構造を変更可能なロータリージョイントとしては、パッキンによってシールされる筐体流通路が形成された筐体分割体を、シャフトに取り付けるものが知られている(例えば特許文献2等参照)。しかし、流路数の変更に対応可能な従来技術に係るロータリージョイントは、シャフトと筐体分割体の間をパッキンでシールするため、シャフトの損傷が発生しやすいという問題を有している。また、ベアリングが、筐体流通路が含まれる筐体分割体とは別個の分割体を介して設置されているため、流路数が変更されると、シャフト等を新たに設計・製造等する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−19912号公報
【特許文献2】特開2006−177453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、メンテナンス性に優れ、かつ、流路数の変更に柔軟に対応し得るロータリージョイント及びこのようなロータリージョイントに用いられるメカニカルシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のロータリージョイントは、
内部に軸内流路を有する回転軸と、当該回転軸に取り付けられるメカニカルシール装置と、第1ベアリングと、第2ベアリングと、を含むロータリージョイントであって、
前記メカニカルシール装置は、
前記軸内流路に連通するように配置されるスリーブ内流路が形成されており前記回転軸を挿通させるスリーブと、当該スリーブに対して回転不可に取り付けられており前記スリーブ内流路の開口を挟み込むように配置されている第1回転環および第2回転環と、前記スリーブを前記回転軸に固定するセットスクリューと、を含む回転部と、
前記回転部を内径側に収納するケーシングと、当該ケーシングに対して回転不可に取り付けられており前記第1回転環に対して摺動する第1固定環と、前記ケーシングに対して回転不可に取り付けられており前記第2回転環に対して摺動する第2固定環と、を含む固定部と、を含み、
前記スリーブの外周面には、前記第1ベアリングの内周面を設置可能な第1ベアリング内周側設置面と、前記第1ベアリング内周側設置面より径が小さく前記第2ベアリングの内周面を設置可能な第2ベアリング内周側設置面とが形成されており、
前記ケーシングの内周面には、前記第1ベアリング内周側設置面に対向するように配置されており前記第1ベアリングの外周面が設置可能な第1ベアリング外周側設置面と、前記第2ベアリング内周側設置面に対向するように配置されており前記第1ベアリング外周側設置面より径が小さく前記第2ベアリングの外周面が設置可能な第2ベアリング外周側設置面とが形成されており、
前記ケーシングには、前記メカニカルシールと同様の構造を有しており前記回転軸に取り付けられ得る他のメカニカルシール装置に含まれる他のケーシングと連結可能な連結部が形成されている。
【0007】
本発明に係るロータリージョイントは、回転軸に取り付けるメカニカルシール装置の数を増減させることによって、ロータリージョイントが取付けられる装置に必要とされる流路の増減に柔軟に対応することが可能である。したがって、流路数が変更された場合でも、新たな回転軸等を設計・製造することなく、回転軸を含むロータリージョイントの大部分を継続して使用することが可能である。また、流路の数が増加した場合や、ロータリージョイントを構成するメカニカルシールの一部が故障した場合にも、予備のメカニカルシール装置を用意しておくだけで対応できるため、設備の維持に必要なコストを抑制することができる。
【0008】
さらに、本発明に係るロータリージョイントに用いられるメカニカルシール装置には、第1ベアリングおよび第2ベアリングを設置するための内周側設置面および外周側設置面が形成されている。すなわち、本発明に係るロータリージョイントは、メカニカルシール装置の内部にベアリングを設置することができる。また、ロータリージョイントに含まれるメカニカルシール装置には、スリーブを回転環に固定するためのセットスクリューが含まれる。
【0009】
したがって、本発明に係るロータリージョイントは、1つのメカニカルシール装置を、他のメカニカルシール装置等から独立させた状態で回転軸に取り付けることが可能であり、1つのメカニカルシール装置が独立に1つの流路を構成することができる。このように、本発明に係るロータリージョイントに含まれるメカニカルシール装置は、一つの流路を構成するシールおよびシールの取り付け構造を、1つのメカニカルシール装置内において完結させることができる。したがって、使用する軸内流路に対してメカニカルシール装置を取り付け、あるいは、不要である軸内流路に取り付けられていたメカニカルシール装置を取り外すだけで、流路の増減に対応することができる。
【0010】
また、ロータリージョイントのメカニカルシール装置内部に形成される第2ベアリング内周側設置面の径は第1ベアリング内周側設置面の径より小さく、第2ベアリング外周側設置面の径は第1ベアリング外周側設置面の径より小さい。このように、第1ベアリングの設置面の径と、第2ベアリングの設置面の径を、互いに異なる大きさとすることによって、第1および第2ベアリングを、メカニカルシール装置内に形成される流路に対して径方向にずらして配置することが可能となる。したがって、本発明に係るロータリージョイントに含まれるメカニカルシール装置は、軸方向の大きさを小さくすることが可能であり、小型化に適している。
【0011】
また、ロータリージョイントのメカニカルシール装置に含まれるケーシングには、他の流路を構成するメカニカルシール装置に含まれる他のケーシングと連結可能な連結部が形成されている。回転軸に取り付けられているメカニカルシール装置のケーシング同士を、連結部を介して連結させることによって、メカニカルシール装置の固定部を連結し、固定部の固定構造を簡略化することが可能である。また、本発明に係るロータリージョイントは、ケーシング同士を連結することによって、メカニカルシール装置の固定部と回転部とを接続するために使用されるベアリングの数を、減少させることができる。
【0012】
また、例えば、本実施形態に係るロータリージョイントにおいて、前記第1ベアリング内周側設置面は、前記スリーブ内流路の外径側に配置されていてもよい。第1ベアリング内周側設置面を、スリーブ内流路の外径側とすることによって、メカニカルシール装置およびロータリージョイントの軸方向の大きさを縮小することができる。
【0013】
また、例えば、本発明に係るロータリージョイントに含まれるメカニカルシール装置において、前記第1回転環の内径は、前記第2回転環の外径より大きくてもよく、前記第1回転環と前記第2回転環は、前記回転軸の中心軸に直交する一つの平面に沿って配置されていてもよく、また、前記第1固定環の内径は、前記第2固定環の外径より大きくてもよく、前記第1固定環と前記第2固定環は、前記回転軸の前記中心軸に直交する他の一つの平面に沿って配置されていてもよい。
【0014】
第1回転環と第2回転環、及び第1固定環と第2固定環を、回転軸の中心軸に直交する平面に沿って配置する構造とすることによって、2つのメカニカルシールが、互いの間に流路を径方向に挟んで配置される。2つのメカニカルシールが、互いの間に流路を径方向に挟んで配置されるメカニカルシール装置は、2つの回転環が流路を軸方向に挟んで配置されるメカニカルシール装置に比べてカートリッジ化し易いため、このような構造とすることにより、スリーブおよびこれを含むメカニカルシール装置の構造を単純化することができる。
【0015】
また、例えば、前記第1ベアリング外周側設置面の径は、前記第1回転環および前記第1固定環の内径よりも大きくてもよく、前記第2ベアリング内周側設置面の径は、前記第2回転環および前記第2固定環の外径よりも小さくてもよい。第1ベアリング外周側設置面の径と、第2ベアリング内周側設置面の径を、上述のように設計することによって、第1および第2ベアリングを、メカニカルシール装置内に効率よく配置することが可能であり、メカニカルシール装置を小型化することができる。
【0016】
また、例えば、前記固定部は、前記第1固定環を前記ケーシングから前記第1回転環に向かって付勢する第1付勢部材と、前記第2固定環を前記ケーシングから前記第2回転環に向かって付勢する第2付勢部材を有していてもよい。第1および第2付勢部材を有するメカニカルシール装置は、例えばロータリージョイントの回転軸がメカニカルシール装置に対して傾いた場合でも、シール面のシール状態を良好に保つことができる。
【0017】
また、例えば、本発明に係るロータリージョイントは、前記回転軸に取り付けられる複数の前記メカニカルシール装置である第1メカニカルシール装置および第2メカニカルシール装置を含んでいてもよく、前記回転軸は複数の前記軸内流路を有していてもよく、前記第1ベアリングは、前記第1メカニカルシール装置の内部に設置されており、前記第2ベアリングは、前記第2メカニカルシール装置の内部に設置されていてもよい。第1メカニカルシール装置および第2メカニカルシール装置によって構成される複数のメカニカルシール装置を有するロータリージョイントは、2つのベアリングをそれぞれ異なるメカニカルシールの内部に設置することによって、ロータリージョイント全体で使用されるベアリングの数を減少させつつも、固定部を回転軸に対して精度良く配置することができる。
【0018】
また、本発明に係るメカニカルシール装置は、回転軸の内部に形成されている軸内流路に連通するように配置されるスリーブ内流路が形成されており前記回転軸を挿通させるスリーブと、当該スリーブに対して回転不可に取り付けられており前記スリーブ内流路の開口を挟み込むように配置されている第1回転環および第2回転環と、前記スリーブを前記回転軸に固定するセットスクリューと、を含む回転部と、
前記回転部を内径側に収納するケーシングと、当該ケーシングに対して回転不可に取り付けられており前記第1回転環に対して摺動する第1固定環と、前記ケーシングに対して回転不可に取り付けられており前記第2回転環に対して摺動する第2固定環と、を有し、前記第1ベアリングおよび前記第2ベアリングを介して前記回転部に対して相対回転するように接続され得る固定部と、を含み、
前記スリーブの外周面には、前記第1ベアリングを設置可能な第1ベアリング内周側設置面と、前記第1ベアリング内周側設置面より径が小さく前記第2ベアリングの内周面を設置可能な第2ベアリング内周側設置面とが形成されており、
前記ケーシングの内周面には、前記第1ベアリング内周側設置面に対向するように配置されており前記第1ベアリングの外周面が設置可能な第1ベアリング外周側設置面と、前記第2ベアリング内周側設置面に対向するように配置されており前記第1ベアリング外周側設置面より径が小さく前記第2ベアリングの外周面が設置可能な第2ベアリング外周側設置面とが形成されており、
前記ケーシングには、前記メカニカルシールと同様の構造を有しており前記回転軸に取り付けられ得る他のメカニカルシール装置に含まれる他のケーシングと連結可能な連結部が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るロータリージョイントの縦断面図である。
【図2】図2は、図1に示すロータリージョイントに含まれる第1カートリッジの回転部を拡大して表示した拡大断面図である。
【図3】図3は、図1に示すロータリージョイントに含まれる第1カートリッジの固定部を拡大して表示した拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係るロータリージョイントの縦断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態に係るロータリージョイントの縦断面図である。
【図6】図6は、図5に示すロータリージョイントの他の実施態様を表す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るロータリージョイント10の縦断面図である。ロータリージョイント10は、図1に示すように、内部に第1軸内流路16を有する回転軸12と、回転軸12に取り付けられる第1カートリッジ部26と、第1ベアリング20と、第2ベアリング22とを含む。
【0021】
回転軸12の一方の端部である装置側の端部には、取り付けフランジ14が形成されている。回転軸12は、取り付けフランジ14を介して、回転装置に固定される。本実施形態に係るロータリージョイント10の取り付けフランジ14が固定される回転装置としては、特に限定されないが、例えばCMP装置(Chemical Mechanical Polishing法による表面研磨装置)等の研磨パッド部等が挙げられる。ロータリージョイント10は、回転装置と、当該回転装置に対して流体を供給したり、回転装置から流体を排出させたりするための固定配管部(不図示)との間に設置され、回転する回転装置と、固定されている固定配管部との間における流体の供給・排出を可能にする。
【0022】
回転軸12の内部には、第1軸内流路16が形成されている。第1軸内流路16は、回転軸12の一方の端面であって、取り付けフランジ14が形成されている側の端面に、一方の開口である装置側開口16aを有する。また、第1軸内流路16は、回転軸12の軸外周面13に、他方の開口である軸側面開口16bを有する。すなわち、第1軸内流路16は、回転軸12の内部を、装置側開口16aから軸側面開口16bまで貫通する貫通孔によって構成されている。
【0023】
回転軸12には、図1に示す第1カートリッジ部26が取り付けられている。第1カートリッジ部26の内部には、回転軸12の内部に形成されている第1軸内流路16に連通しており、固定配管部と第1軸内流路16を接続する連続流路が形成されている。第1カートリッジ部26は、固定配管部に対して相対移動できないように接続される固定部68(図3参照)と、回転軸12に固定され、回転軸12と一体的に回転し固定部68に対して相対移動可能である回転部28(図2参照)とから成る。
【0024】
また、第1カートリッジ部26における固定部68と回転部28の間には、第1カートリッジ部26の内部に形成されている連続流路をシールするためのメカニカルシールが形成されている。さらに、第1カートリッジ部26の内部には、固定部68と回転部28とを相対回転可能に接続する第1ベアリング20と第2ベアリング22とを配置することが可能である。図1に示すように、本実施形態に係る第1カートリッジ部26は、回転軸12に対して、セットスクリュー58によって一体的に着脱することが可能なカートリッジ型のメカニカルシール装置である。
【0025】
第1カートリッジ部26の回転部28は、回転軸12を抱き込んだ状態で回転軸12に取り付けられるスリーブ30と、スリーブ30を回転軸12に固定するセットスクリュー58と、スリーブ30に対して回転不可に取り付けられている第1回転環60および第2回転環62を含む。
【0026】
スリーブ30には、回転軸12を挿通させるための回転軸挿通孔32が形成されている。回転軸挿通孔32は、回転軸12より僅かに大きい径を有している。第1カートリッジ部26は、スリーブ30の回転軸挿通孔32を回転軸12が貫通するように、回転軸12の他方の端部である軸側の端部から、回転軸12に取り付けられる。
【0027】
また、スリーブ30は、装置側に配置されており径の小さい外周面を有する小径部52と、小径部52より軸側に配置されており小径部52の外周面(小径部外周面52a)より径の大きい外周面(大径部外周面36a)を有する大径部36から成る。大径部36の外周面である大径部外周面36aには、第1ベアリング20の内周面である第1ベアリング内周面20aを設置可能な第1ベアリング内周側設置面46が形成されている。また、小径部52の外周面である小径部外周面52aには、第2ベアリング22の内周面である第2ベアリング内周面22aを設置可能な第2ベアリング内周側設置面54が形成されている。図1に示す第1実施形態に係るロータリージョイント10において、第1ベアリング20および第2ベアリング22は、固定部68を、回転部28に対して相対回転可能に接続している。
【0028】
図2は、図1に示すロータリージョイント10のうち、回転部28のみを拡大して表示した拡大断面図である。スリーブ30の大径部36には、スリーブ30を径方向に貫通している径方向貫通孔40が形成されている。径方向貫通孔40の壁面の一部には、螺旋溝が形成されている。
【0029】
径方向貫通孔40には、スリーブ30を回転軸12に固定するセットスクリュー58が螺合される。セットスクリュー58の先端部58aは、回転軸12に形成された円錐溝18(図1)に係合される。セットスクリュー58は、スリーブ30を回転軸12(図1参照)に対して位置決めし、かつ、スリーブ30を回転軸12に対して固定することができる。したがって、スリーブ30は、回転軸12が回転すると、回転軸12と一体となって回転する。なお、図1および図2では、1つのセットスクリュー58のみが図示されているが、スリーブ30は、スリーブ30の周方向に沿って略等間隔に配置される複数のセットスクリュー58によって、回転軸12に固定されている。
【0030】
図2に示すように、スリーブ30の大径部36には、軸側面開口16b(図1)を介して第1軸内流路16と連通するように配置されるスリーブ内流路38が形成されている。スリーブ内流路38の一方の開口である軸内流路側開口38aは、スリーブ30の内周面に形成されており、第1軸内流路16の軸側面開口16b(図1)と重なるように配置される。また、スリーブ30の内周面には、軸内流路側開口38aを軸方向に挟むように、Oリング139およびOリング151が配置されている。Oリング139およびOリング151は、回転軸12の外周面とスリーブ30の内周面とのすき間を封止し、第1軸内流路16およびスリーブ内流路38と、外気との間をシールしている。
【0031】
スリーブ内流路38は、図2に示すように、大径部36の内部において、軸側に向かって折れ曲がっている。すなわち、スリーブ内流路38は、回転軸12の径方向に延在する部分と、回転軸12の中心軸Lに対して略平行に延在する部分とによって構成される。したがって、スリーブ内流路38の他方の開口である回転環側開口38bは、大径部36における軸側の端面に形成されている。
【0032】
また、大径部36における軸側の端面には、第1回転環60が設置される回転環設置第1段差面42と、第2回転環62が設置される回転環設置第2段差面44が形成されている。回転環設置第1段差面42は、スリーブ内流路38の回転環側開口38bの外径側に形成されており、回転軸12に対して直交する平面に略平行である2つの面と、当該2つの面を接続しており回転軸12の外周面に対して略平行である1つの面を有している。これに対して、回転環設置第2段差面44は、スリーブ内流路38の回転環側開口38bの内径側に形成されている。回転環設置第2段差面44は、回転環設置第1段差面42と同様に、回転軸12に対して直交する平面に略平行な2つの面と、当該2つの面を接続しており回転軸12の外周面に対して略平行な1つの面を有している。
【0033】
また、回転環設置第1段差面42と、回転環設置第2段差面44とは、回転環側開口38bを径方向に挟んで、略対称な縦断面形状を有するように形成されている。さらに、回転環設置第1段差面42は、スリーブ30の周方向に沿って連続しており、回転環設置第2段差面44も、スリーブ30の周方向に沿って連続している。すなわち、回転環設置第1段差面42と回転環設置第2段差面44は、回転軸12に直交する断面による横断面図で見て、略同心円状に形成されている。なお、回転環設置第1段差面42および回転環設置第2段差面44の一部には、第1回転環60または第2回転環62がスリーブ30に対して回転することを防止する回転止めピン64,66を挿入するための凹部が形成されている。
【0034】
第1回転環60と、第2回転環62とは、スリーブ内流路38の回転環側開口38bを挟み込むように配置されている。第1回転環60は、スリーブ30の大径部36における装置側端面に形成されている回転環設置第1段差面42に設置される。第2回転環62は、スリーブ30の大径部36における装置側端面に形成されている回転環設置第2段差面44に設置される。これにより、第1回転環60と第2回転環62の間には、回転環側開口38bを介してスリーブ内流路38と連通する回転環流路61が形成される。
【0035】
第1回転環60および第2回転環62は、リング状の外形状を有している。第1回転環60における軸側の端面には、回転環設置第1段差面42に対応する第1回転環段差面60bが形成されている。第1回転環60の第1回転環段差面60bと、スリーブ30の回転環設置第1段差面42との間には、Oリング153が設置される。Oリング153は、スリーブ30と第1回転環60との隙間を封止し、スリーブ内流路38等の流体が流路外にリークしたり、外気がスリーブ内流路38等に浸入したりすることを防止している。なお、第1回転環段差面60bの一部には、回転止めピン64を係合させるための凹部が形成されている。第1回転環60は、回転止めピン64によって回転方向の移動が規制されるため、スリーブ30と一体となって回転する。
【0036】
また、第2回転環62における軸側の端面には、回転環設置第2段差面44に対応する第2回転環段差面62bが形成されている。第2回転環62の第2回転環段差面62bと、スリーブ30の回転環設置第2段差面44との間には、Oリング155が設置される。Oリング155は、Oリング153と同様に、スリーブ30と第2回転環62との隙間を封止する。第2回転環段差面62bの一部にも、第1回転環段差面60bと同様に、回転止めピン66を係合させるための凹部が形成されている。第2回転環62も、第1回転環60と同様に、回転止めピン66によって回転方向の移動が規制されており、スリーブ30と一体となって回転する。
【0037】
本実施形態に係る回転部28においては、第1回転環60の内径は、第2回転環62の外径より大きく、第1回転環60と第2回転環62は、回転軸12の中心軸L(図1)に直交する一つの平面に沿って配置されている。すなわち、第1回転環60と、第2回転環62とは、スリーブ内流路38の回転環側開口38bを径方向に挟み込むように配置される。
【0038】
第1回転環60の装置側端面には、第1固定環133(図1、図3参照)と摺動する第1回転環シール面60aが形成されている。また、第2回転環62の装置側端面には、第2固定環135(図1、図3参照)と摺動する第2回転環シール面62aが形成されている。
【0039】
スリーブ30の大径部外周面36aには、第1ベアリング内周面20a(図1参照)を設置可能な第1ベアリング内周側設置面46が形成されている。本実施形態に係るスリーブ30において、第1ベアリング内周側設置面46は、スリーブ内流路38の外径側に形成されている。また、大径部外周面36aには、第1ベアリング内周側設置面46を軸方向に挟んで、ベアリング止め段差部50および止め輪用溝部48が形成されている。止め輪用溝部48には、ベアリング止め輪171が設置される。ベアリング止め輪171は、ベアリング止め段差部50との間に第1ベアリング20(図1参照)を挟んで、第1ベアリング20が軸方向に移動することを防止する。
【0040】
スリーブ30の小径部外周面52aには、第2ベアリング22の内周面である第2ベアリング内周面22a(図1参照)を設置可能な第2ベアリング内周側設置面54が形成されている。また、小径部外周面52aには、第2ベアリング内周側設置面54を軸方向に挟んで、止め輪用溝部56aおよび止め輪用溝部56bが形成されている。止め輪用溝部56a,56bには、ベアリング止め輪173,175が設置される。ベアリング止め輪173,175は、第2ベアリング22(図1参照)を軸方向に挟んで、第2ベアリング22が軸方向に移動することを防止する。
【0041】
図1に示すように、第1カートリッジ部26の固定部68は、回転部28を内径側に収納するケーシング70と、ケーシング70に対して回転不可に取り付けられており第1回転環60に対して摺動する第1固定環133と、第1固定環133と同様にケーシング70に対して回転不可に取り付けられており第2回転環62に対して摺動する第2固定環135とを有する。
【0042】
本実施形態に係るケーシング70は、軸側に配置されるケーシング本体部74と、装置側に配置される接続用フランジ部94とから成る。ケーシング本体部74と、接続用フランジ部94とは、六角孔付きボルト96によって連結される。また、ケーシング本体部74は、装置側に配置される肉厚部86と、軸側に配置される肉薄部76とから成る。
【0043】
ケーシング本体部74における肉薄部76の内周面である肉薄部内周面76aには、スリーブ30の第1ベアリング内周側設置面46に対向するように配置される第1ベアリング外周側設置面82が形成されている。第1ベアリング外周側設置面82には、第1ベアリング20の外周面である第1ベアリング外周面20bを設置することができる。
【0044】
また、肉厚部86の内周面である肉厚部内周面86aおよびフランジ部94の内周面であるフランジ部内周面94aには、第2ベアリング外周側設置面111が形成されている。第2ベアリング外周側設置面111には、第2ベアリング22の外周面である第2ベアリング外周面22bを設置することができる。
【0045】
図3は、図1に示すロータリージョイント10のうち、固定部68のみを拡大して表示した拡大断面図である。ケーシング本体部74の肉薄部76には、ケーシング本体部74を径方向に貫通しているセットスクリュー用貫通孔80が形成されている。セットスクリュー用貫通孔80は、図1に示すように、スリーブ30に形成された径方向貫通孔40を径方向に延長した位置に形成されている。ロータリージョイント10を組み立てる者は、セットスクリュー用貫通孔80を介して治具を挿入することによって、回転部28と固定部68とを組み立てた状態で、スリーブ30を固定するセットスクリュー58を締め付けたり、緩めたりすることができる。そのため、本実施形態に係る第1カートリッジ部26は、回転部28と固定部68とを分解すること無く、回転部28と固定部68とが一体となっている状態のままで、回転軸12に対して着脱することが可能である。
【0046】
図3に示すように、ケーシング本体部74の肉厚部86には、不図示の固定配管部に含まれる流路に連通するケーシング内流路92が形成されている。ケーシング内流路92の一方の開口である固定配管側開口92aは、ケーシング本体部74の外周面に形成されている。固定配管側開口92aには、固定配管部の流路を構成する配管等が取り付けられる。
【0047】
ケーシング内流路92の他方の開口である固定環側開口92bは、軸側に向かって開いている。また、ケーシング本体部74の肉厚部86における軸側の端面は、段差状の形状を有している。固定環側開口92bは、肉厚部86の軸側の端面における径方向中央部に形成されている。
【0048】
ケーシング本体部74の肉厚部86における軸側の端面には、第1固定環133が設置される固定環設置第1段差面88と、第2固定環135が設置される固定環設置第2段差面90が形成されている。固定環設置第1段差面88は、ケーシング内流路92の固定環側開口92bの外径側に形成されており、回転軸12の中心軸L(図1)に直交する平面に略平行である2つの面と、当該2つの面に接続されており回転軸12の外周面に対して略平行である2つの面を有している。
【0049】
これに対して、固定環設置第2段差面90は、ケーシング内流路92の固定環側開口92bの内径側に形成されている。固定環設置第2段差面90は、固定環設置第1段差面88と同様に、回転軸12の中心軸Lに直交する平面に略平行である2つの面と、当該2つの面に接続されており回転軸12の外周面に対して略平行である2つの面を有している。
【0050】
また、固定環設置第1段差面88と、固定環設置第2段差面90とは、固定環側開口92bを径方向に挟んで、略対称な縦断面形状を有するように形成されている。さらに、固定環設置第1段差面88は、ケーシング70の周方向に沿って連続しており、固定環設置第2段差面90も、ケーシング70の周方向に沿って連続している。すなわち、固定環設置第1段差面88と固定環設置第2段差面90は、回転軸12に略直交する断面による横断面図で見て、略同心円状に形成されている。
【0051】
固定環設置第1段差面88に含まれる面のうち、中心軸L(図1)に対して直交する平面に略平行であって軸側に配置されている面には、コイルスプリング131を設置するためのコイルスプリング設置凹部88aが形成されている。また、図3には示されていないが、コイルスプリング設置凹部88aが形成されている面には、第1固定環133がケーシング本体部74に対して回転することを防止する回転止めピンを係合させるためのピン係合凹部も形成されている。固定環設置第1段差面88において、コイルスプリング設置凹部88aとピン係合凹部とは、ケーシング70の周方向に沿って互いに異なる位置に形成されている。
【0052】
また、固定環設置第2段差面90に含まれる面のうち、中心軸L(図1)に対して直交する平面に略平行であって、軸側に配置される面には、第2固定環135がケーシング本体部74に対して回転することを防止する回転止めピン119を係合させるためのピン係合凹部90aが形成されている。また、図3には示されていないが、ピン係合凹部90aが形成されている面には、コイルスプリング131を設置するためのコイルスプリング設置凹部も形成されている。固定環設置第2段差面90においても、固定環設置第1段差面88と同様に、コイルスプリング設置凹部とピン係合凹部90aとは、ケーシング70の周方向に沿って互いに異なる位置に形成されている。
【0053】
ケーシング本体部74の固定環設置第1段差面88には、ケーシング本体部74に対して回転不可に取り付けられており第1回転環60(図2参照)に対して摺動する第1固定環133が設置されている。また、本実施形態に係る第1固定環133は、回転軸12の中心軸L(図1)に沿う方向である軸方向に沿って、ケーシング本体部74に対して相対移動できるように取り付けられている。
【0054】
ケーシング本体部74の固定環設置第2段差面90には、ケーシング本体部74に対して回転不可に取り付けられており第2回転環62(図2参照)に対して摺動する第2固定環135が設置されている。本実施形態に係る第2固定環135は、第1固定環133と同様に、回転軸12の軸方向に沿って、ケーシング本体部74に対して相対移動できるように取り付けられている。
【0055】
第1固定環133と第2固定環135とは、ケーシング内流路92の固定環側開口92bを挟み込むように配置されている。また、第1固定環133と第2固定環135とは、リング状の外形状を有している。したがって、第1固定環133と第2固定環135との間には、固定環側開口92bを介してケーシング内流路92と連通する固定環流路134が形成される。
【0056】
第1固定環133における装置側の端面には、固定環設置第1段差面88に対向するように配置される第1固定環段差面133bが形成されている。第1固定環段差面133bと、ケーシング本体部74の固定環設置第1段差面88の間には、Oリング157が設置される。Oリング157は、ケーシング本体部74と第1固定環133との隙間を封止し、ケーシング内流路92等に存在する流体が流路外にリークしたり、外気がケーシング内流路92に浸入したりすることを防止している。
【0057】
第2固定環135における装置側の端面には、固定環設置第2段差面90に対向するように配置される第2固定環段差面135bが形成されている。第2固定環段差面135bと、ケーシング本体部74の固定環設置第2段差面90の間には、Oリング159が設置される。Oリング159は、Oリング157と同様に、ケーシング本体部74と第2固定環135との隙間を封止し、ケーシング内流路92および固定環流路134等に存在する流体が流路外にリークしたり、外気がケーシング内流路92および固定環流路134に浸入したりすることを防止している。
【0058】
第1固定環133は、外径側に突出している腕部133cを有している。腕部133cは、ケーシング本体部74における固定環設置第1段差面88に含まれる面のうち、コイルスプリング設置凹部88aおよびピン係合凹部が形成されている面に対向するように配置される。コイルスプリング131は、ケーシング本体部74におけるコイルスプリング設置凹部88aと、第1固定環133の腕部133cとの間に設置される。したがって、コイルスプリング131は、第1固定環133を、ケーシング本体部74側から第1回転環60(図1参照)に向かって付勢する。なお、図3には示されていないが、第2固定環135の腕部135cと、ケーシング本体部74の肉厚部86における軸側の端面との間にも、コイルスプリングが配置されている。したがって、第2固定環135も、コイルスプリングによって、第2回転環62(図1参照)に向かって付勢されている。
【0059】
第2固定環135は、内径側に突出している腕部135cを有している。腕部135cは、ケーシング本体部74における固定環設置第2段差面90に含まれる面のうち、コイルスプリング設置凹部およびピン係合凹部90aが形成されている面に対向するように配置される。腕部135cには、回転止めピン119が係合する係合溝135dが形成されている。すなわち、回転止めピン119は、ケーシング本体部74のピン係合凹部90aと第2固定環135の係合溝135dの両方に係合しており、第2固定環135がケーシング本体部74に対して回転することを防止している。なお、図3には示されていないが、第1固定環の腕部133cと、ケーシング本体部74の肉厚部86における軸側の端面との間にも、第1固定環133とケーシング本体部74の両方に係合する回転止めピンが設置されている。したがって、第1固定環133も、第2固定環135と同様に、ケーシング本体部74に対して相対回転することを防止されている。
【0060】
本実施形態に係る固定部68においては、第1固定環133の内径は、第2固定環135の外径より大きく、第1固定環133と第2固定環135は、回転軸12の中心軸L(図1参照)に略直交する一つの平面に沿って配置されている。すなわち、第1固定環133と、第2固定環135とは、ケーシング内流路92の固定環側開口92bを径方向に挟み込むように配置される。
【0061】
第1固定環133の軸側端面には、第1回転環シール面60a(図2参照)と摺動する第1固定環シール面133aが形成されている。また、第2固定環135の軸側端面には、第2回転環シール面62a(図2参照)と摺動する第2固定環シール面135aが形成されている。したがって、第1固定環133と第2固定環135の間に形成される固定環流路134は、第1回転環60と第2回転環62の間に形成される回転環流路61(図2参照)と連通している。また、回転環流路61と固定環流路135との接続部は、第1回転環シール面60aおよび第1固定環シール面133aによって形成されるメカニカルシールと、第2回転環シール面62aおよび第2固定環シール面135aによって形成されるメカニカルシールから成る2つのメカニカルシールによって、封止される。
【0062】
ケーシング本体部74の肉薄部内周面76aには、第1ベアリング外周面20b(図1参照)を設置可能な第1ベアリング外周側設置面82が形成されている。第1ベアリング外周側設置面82は、スリーブ30の大径部外周面36aに形成されている第1ベアリング内周側設置面46(図2参照)に対向するように配置される。また、肉薄部内周面76aには、第1ベアリング外周側設置面82を軸方向に挟んで、止め輪用溝部84a,84bが形成されている。止め輪用溝部84a,84bには、ベアリング止め輪177,179が設置される。ベアリング止め輪177,179は、第1ベアリング20(図1参照)を挟んで、第1ベアリング20が軸方向に移動することを防止する。
【0063】
ケーシング本体部74の肉厚部内周面86aおよびフランジ部94のフランジ部内周面94aには、第2ベアリング外周面22b(図1参照)を設置可能な第2ベアリング外周側設置面111が形成されている。第2ベアリング外周側設置面111は、スリーブ30の小径部外周面52aに形成されている第2ベアリング内周側設置面54(図2参照)に対向するように配置される。第2ベアリング外周側設置面111は、ケーシング本体部74に形成されている本体部側部分111aと、フランジ部94に形成されているフランジ部側部分111bとから成る。
【0064】
第2ベアリング外周側設置面111の軸側端部には、一方のベアリング止め段差部98aが形成されており、第2ベアリング外周側設置面111の装置側端部には、他方のベアリング止め段差部98bが形成されている。ベアリング止め段差部98a,98bは、第2ベアリング22(図1参照)を挟んで、第2ベアリング22が軸方向に移動することを防止する。このように、一方のベアリング止め段差部98aがケーシング本体部74に形成されており、他方のベアリング止め段差部98bがフランジ部94に形成されており、ケーシング本体部74とフランジ部94とは、六角孔付きボルト96を外すことによって互いに分離することができるため、第1カートリッジ部26には、第2ベアリング22を容易に着脱することができる。
【0065】
ケーシング70には、当該ケーシング70が含まれる第1カートリッジ部26と同様の構造を有しており回転軸12に取りつけ得る他のカートリッジ部に含まれる他のケーシングと連結可能な連結部が、2種類形成されている。一方の連結部は、フランジ部94の外径側に形成されている接続シャフト挿通孔113である。ケーシング70には、接続シャフト挿通孔113が、周方向に沿って複数形成されている。接続シャフト挿通孔113は、フランジ部94を軸方向に貫通している貫通孔である。また、接続シャフト挿通孔113は、ケーシング本体部74の外周面より外径側に形成されている。なお、接続シャフト挿通孔113の作用は、第2実施形態において詳述する。
【0066】
他方の連結部は、ケーシング70の一方の端部である第1端部78に形成された先端面78aおよび内周係合面78bと、ケーシング70の他方の端部である第2端部115に形成されたケーシング係合段差部117によって構成される。先端面78aは、ケーシング本体部74に含まれる肉薄部76の軸側端面に形成されており、内周係合面78bは、肉薄部内周面76aの軸側端部付近に形成されている。第1端部78に形成された先端面78aおよび内周係合面78bと、第2端部115に形成されたケーシング係合段差部117の作用は、第2実施形態において詳述する。
【0067】
図1に示すように、本実施形態に係るロータリージョイント10の第1カートリッジ部26には、第1ベアリング20と、第2ベアリング22とが設置されている。第1ベアリング内周面20aおよび第1ベアリング外周面20bは、第1カートリッジ部26の軸方向中央より軸側に形成されている第1ベアリング内周側設置面46および第1ベアリング外周側設置面82に設置される。また、第2ベアリング内周面22aおよび第2ベアリング外周面22bは、第1カートリッジ部26の軸方向中央より装置側に形成されている第2ベアリング内周側設置面54および第2ベアリング外周側設置面111に設置される。図1に示す第1実施形態に係るロータリージョイント10において、第1ベアリング20および第2ベアリング22は、図3に示す固定部68を、図2に示す回転部28に対して、相対回転可能に接続している。
【0068】
図1に示すように、本実施形態に係るロータリージョイント10の第1カートリッジ部26には、第1ベアリング20および第2ベアリング22を設置するための第1および第2ベアリング内周側設置面46,54と、第1および第2ベアリング外周側設置面82,111が形成されている。したがって、第1カートリッジ部26は、当該第1カートリッジ部26の内部に、回転部28と固定部68とを相対回転可能に接続する第1および第2ベアリング20,22を設置することができる。さらに、第1カートリッジ部26は、セットスクリュー58を含んでおり、回転部28および当該回転部28に接続される固定部68を含む第1カートリッジ部28全体は、セットスクリュー58を締め付けることによって、回転軸12に取り付けられる。
【0069】
したがって、本発明に係るロータリージョイント10は、1つの第1カートリッジ部26を、他のカートリッジ部や取り付け部品等から独立させた状態で回転軸12に取り付けることが可能である。また、第1カートリッジ部26は、第1カートリッジ部26の外部に、第1カートリッジ部26を取り付けるための別の部品を必要としない。
【0070】
さらに、第1カートリッジ部26は、回転軸12に形成されている第1軸内流路16と固定配管部とを連通させる連続流路や、当該流路をシールするメカニカルシール等を含んでいる。すなわち、第1カートリッジ部26の内部には、スリーブ内流路38、回転環流路61、固定環流路134およびケーシング内流路92から成る連続流路が形成されており、当該連続流路によって、第1軸内流路16と固定配管部の流路とが連通される。また、第1カートリッジ部26は、これらの連続流路をシールするためのメカニカルシール装置およびOリングを含んでいる。
【0071】
言い換えると、第1カートリッジ部26内部の連続流路は、第1カートリッジ部26に含まれる部材によってシールされており、第1カートリッジ部26に含まれる部材によって完成される流路である。したがって、第1カートリッジ部26は、当該第1カートリッジ部26を回転軸12に取り付ける際に、他のカートリッジ部や取り付け部材との間にOリング等を配置する必要がない。
【0072】
このように、第1カートリッジ部26は、第1カートリッジ部26に含まれる部材によって完成される流路と、第1カートリッジ部26を回転軸12に対して位置決めして固定するセットスクリュー58とを有する。すなわち、本実施形態に係るロータリージョイント10において、第1軸内流路16と固定配管部とを結ぶ連続流路は、セットスクリュー58を締め付けたり緩めたりするだけで着脱可能なカートリッジ式のメカニカルシールである第1カートリッジ部26によって構成されている。
【0073】
したがって、本実施形態に係るロータリージョイント10は、第1カートリッジ部26を、他のカートリッジ部等から独立させた状態で回転軸12に取り付け、使用することが可能である。また、第1および第2ベアリング20,22が内部に設置された第1カートリッジ部26を、第1軸内流路16が形成された回転軸12に取り付けるだけで、固定配管部と第1軸内流路16とを連通させる流路を有するロータリージョイント10が完成する。そのため、本実施形態に係るロータリージョイント10は、組立が容易である。
【0074】
本実施形態に係るロータリージョイント10の第1カートリッジ部26に形成される第2ベアリング内周側設置面54の径は第1ベアリング内周側設置面46の径より小さく、第2ベアリング外周側設置面111の径は第1ベアリング外周側設置面82の径より小さい。このように、第1ベアリング20の設置面の径と、第2ベアリング22の設置面の径を、互いに異なる大きさとすることによって、第1および第2ベアリング20,22を、第1カートリッジ部26内に形成される流路や、第1カートリッジ部26に含まれる部材に対して、位置をずらして配置することが可能となる。
【0075】
すなわち、第1カートリッジ部26に形成されるベアリング設置面46,54,82,111の径に対応して、第1ベアリング20の径は、第2ベアリング22の径より大きくなる。しかし、第1ベアリング20の径を大きくすることによって、第1ベアリング20の設置位置を外径側にずらし、径方向貫通孔40やスリーブ内流路38等のように、スリーブ30の内径側に形成される構造を避けて、第1ベアリング20を配置することができる。したがって、第1カートリッジ部26は、軸方向の大きさを小さくすることが可能であり、本実施形態に係るロータリージョイント10は、小型化に適している。特に、第1ベアリング内周側設置面46を、スリーブ内流路38の外径側に形成することによって、第1カートリッジ部26およびロータリージョイント10の軸方向の大きさを、効果的に縮小することができる。
【0076】
また、第1ベアリング20のベアリング設置面46,82の径と、第2ベアリング22のベアリング設置面54,111の径とを互いに異なる大きさとすることによって、スリーブ30やケーシング70の形状および構造を単純化することができる。また、これによって、第1カートリッジ部26の組立を容易にできる。すなわち、図2および図3に示すように、スリーブ30およびケーシング70は、長手方向が回転軸12に略平行であるL字状の縦断面形状を有している。したがって、図1に示す第1カートリッジ部26は、スリーブ30を含む回転部28(図2)と、ケーシング70を含む固定部68(図3)とを、長手方向にスライドさせることによって、容易に組み立てることができる。
【0077】
しかしながら、もし第1ベアリング20と第2ベアリング22の設置面の径が同一である場合は、例えばケーシング70の縦断面形状を、開口部が回転軸12方向を向くU字状とする必要がある。そうすると、回転環60,62や固定環133,135を組み立てるために、図3に示すケーシング本体部74に相当する部品を分割する等の対策を講じる必要があるため、第1カートリッジ部26の構造が複雑になり、第1カートリッジ部26の組立に手間がかかる。
【0078】
図1に示すように、第1カートリッジ部26において、第1回転環60の内径は、第2回転環62の外径より大きく、第1回転環60と第2回転環62は、回転軸12の中心軸Lに略直交する一つの平面に沿って配置されている。また、第1カートリッジ部26において、第1固定環133の内径は、前記第2固定環135の外径より大きく、第1固定環133と第2固定環135は、回転軸12の中心軸Lに略直交する他の一つの平面に沿って配置されている。
【0079】
第1回転環60と第2回転環62、及び第1固定環133と第2固定環135を、回転軸12の中心軸Lに略直交する平面に沿って配置することによって、これらの回転環60,62および固定環133,135によって形成される2つのメカニカルシールが、互いの間に回転環流路61および固定環流路134を径方向に挟んで配置される。2つのメカニカルシールが、互いの間に回転環流路61および固定環流路134を径方向に挟んで配置される第1カートリッジ部26は、2つのメカニカルシールが流路を軸方向に挟んで配置されるメカニカルシール装置に比べてカートリッジ化し易いため、このような構造とすることにより、第1カートリッジ部26の構造を単純化することができる。また、2つのメカニカルシールが互いの間に回転環流路61および固定環流路134を径方向に挟んで配置される構造とすることにより、第1カートリッジ部26の軸方向の長さを短縮することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る第1カートリッジ部26において、第1ベアリング外周側設置面82の径は、第1回転環60および第1固定環133の内径よりも大きく、第2ベアリング内周側設置面54の径は、第2回転環62および第2固定環135の外径よりも小さい。第1ベアリング外周側設置面82の径と、第2ベアリング内周側設置面54の径を、上述のように設計することによって、第1および第2ベアリング20,22を、第1カートリッジ部26内に存在する他の構造を避けつつ、効率よく配置することが可能である。したがって、第1カートリッジ部26およびこれを含むロータリージョイント10は、小型化に適している。
【0081】
本実施形態に係る第1カートリッジ部26において、固定部68は、第1固定環133をケーシング70から第1回転環60に向かって付勢するコイルスプリング131と、第2固定環135をケーシング70から第2回転環62に向かって付勢する他のコイルスプリングとを有している。コイルスプリング131等を有する第1カートリッジ部26は、例えばロータリージョイント10の回転軸12が第1カートリッジ部26のケーシング70に対して傾いた場合や、軸方向に振動したような場合でも、シール面のシール状態を良好に保つことができる。なお、第1固定環133と第2固定環135とは、図3に示すように互いに分離していてもよいが、一体であってもよい。
【0082】
ロータリージョイント10において、回転軸12,スリーブ30およびケーシング70は、ステンレス等によって作成することができる。また、第1カートリッジ部26において、回転環60,62および固定環133,135は、各々、炭化ケイ素(シリコンカーバイト、SiC)、カーボン、超硬合金等の材質で製作される。好適には、固定環133,135と回転環60,62との組み合わせは、各々、炭化ケイ素(SiC)と炭化ケイ素(SiC)の組み合わせ、カーボンと炭化ケイ素(SiC)の組み合わせ、超硬合金と超硬合金の組み合わせ、あるいは、カーボンと超硬合金の組み合わせが好適である。
【0083】
また、ロータリージョイント10に含まれる各Oリング139,151〜159の材質は、フッ素ゴム、ニトリルゴム、EPDM、パーフロロエラストマなどが用いられる。ただし、ロータリージョイント10を構成する各部材の材質については、ここに例示したものに限定されない。
【0084】
第2実施形態
図4は、本発明の第2実施形態に係るロータリージョイント10aの縦断面図である。ロータリージョイント10aは、図4に示すように、内部に第1軸内流路16および第2軸内流路197が形成されている回転軸12aと、回転軸12aに取り付けられる第1カートリッジ部26および第2カートリッジ部26−2と、第1ベアリング20と、第2ベアリング22とを含む。回転軸12aに取り付けられる第2カートリッジ部26−2は、第1実施形態で説明した第1カートリッジ部26と同様の構造を有するため、第2カートリッジ部26−2自体の構造については説明を省略する。
【0085】
また、第2カートリッジ部26−2は、第1カートリッジ部26と同様の構造を有しており、第2カートリッジ部26−2に含まれる各部材は、第1カートリッジ部26に含まれる各部材と同様である。図4において、第2カートリッジ部26−2を構成する各部材には、対応する第1カートリッジ部26の部材に付された符号の後に「−2」を追加した符号を付している。
【0086】
回転軸12aの一方の端部である装置側の端部には、第1実施形態に係る回転軸12(図1)と同様に、取り付けフランジ14が形成されており、回転軸12aは、取り付けフランジ14を介して、回転装置に固定される。回転軸12aの内部には、第1実施形態に係る回転軸12に形成されているものと同様の第1軸内流路16が形成されており、さらに、第1軸内流路16に加えて、第2軸内流路197が形成されている。第2軸内流路197は、第1軸内流路16と同様に、装置側開口197aと、軸側面開口197bとを有する。
【0087】
回転軸12aには、第1カートリッジ部26と、第2カートリッジ部26−2が取り付けられている。第1カートリッジ部26は、第1実施形態と同様に、第1軸内流路16と固定配管部との間に設置されている。また、第1カートリッジ部26の内部に形成されている連続流路は、第1軸内流路16と固定配管部の流路とを連通させる。第1カートリッジ部26は、スリーブ内流路38の軸内流路側開口38aと第1軸内流路16の軸側面開口16bとが重なり、スリーブ内流路38と第1軸内流路16とが連通するように、セットスクリュー58を用いて、回転軸12aに固定される。
【0088】
第2カートリッジ部26−2は、第2軸内流路197と固定配管部との間に設置される。第2カートリッジ部26−2の内部には、第1カートリッジ部26と同様の連続流路が形成されており、第2カートリッジ部26−2の連続流路は、第2軸内流路197と固定配管部における他の流路とを連通させる。第2カートリッジ部26−2は、スリーブ内流路38−2の軸内流路側開口38a−2と第2軸内流路197の軸側面開口197bとが重なり、スリーブ内流路38−2と第2軸内流路197とが連通するように、セットスクリュー58−2を用いて、回転軸12aに固定される。
【0089】
さらに、第1カートリッジ部26と第2カートリッジ部26−2とは、第1カートリッジ部26のケーシング70に形成された接続シャフト挿通孔113と、第2カートリッジ部26−2のケーシング70−2に形成された接続シャフト挿通孔113−2を介して接続されている。すなわち、第1カートリッジ部26の接続シャフト挿通孔113および第2カートリッジ部26−2の接続シャフト挿通孔113−2には、接続シャフト193を取り付けることができる。
【0090】
図4に示すように、接続シャフト193は、第1カートリッジ部26の接続シャフト挿通孔113と、第2カートリッジ部26−2の接続シャフト挿通孔113−2とを連結する。本実施形態において、接続シャフト193は、固定用ナット195a,195bによって、接続シャフト挿通孔113、113−2に対して固定される。接続シャフト193は、第1カートリッジ部26のケーシング70と第2カートリッジ部26−2のケーシング70−2とを連結し、第2カートリッジ部26−2の固定部68−2が、第1カートリッジ部26の固定部68に対して回転することを防止する。また、接続シャフト193は、第2カートリッジ部26−2の固定部68−2が、第1カートリッジ部26の固定部68に対して、軸方向に移動することを防止する。
【0091】
また、第1カートリッジ部26におけるケーシング70の第1端部78に形成されている先端面78aおよび内周係合面78bは、第2カートリッジ部26−2におけるケーシング70−2の第2端部115−2に形成されているケーシング係合段差部117−2と係合される。第1カートリッジ部26の先端面78aは、第2カートリッジ部26−2のケーシング係合段差部117−2と係合し、第2カートリッジ部26−2の固定部68−2の軸方向の位置決めを行うことができる。また、第1カートリッジの内周係合面78bは、第2カートリッジ部26−2のケーシング係合段差部117−2と係合し、第2カートリッジ部26−2の固定部68−2の径方向の位置決めを行うことができる。
【0092】
このように、ロータリージョイント10aの第1カートリッジ部26に含まれるケーシング70には、第2カートリッジ部26−2に含まれるケーシング70−2と連結可能な連結部が形成されている。したがって、本実施形態に係るロータリージョイント10aは、回転軸12aに取り付けられているカートリッジ部26,26−2のケーシング70,70−2同士を、接続シャフト挿通孔113,113−2を介して連結させることによって、カートリッジ部26,26−2の固定部68,68−2を連結し、固定部68,68−2の固定構造を簡略化することが可能である。
【0093】
図4に示すように、第2実施形態に係るロータリージョイント10aにおいて、第2ベアリング22は、第1カートリッジ部26の内部に設置されており、第1ベアリング20は、第2カートリッジ部26−2の内部に設置されている。すなわち、第2ベアリング内周面22aと第2ベアリング外周面22bは、第1カートリッジ部26に形成されている第2ベアリング内周側設置面54と第2ベアリング外周側設置面111に設置される。また、第1ベアリング内周面20aと第1ベアリング外周面20bは、第2カートリッジ部26−2に形成されている第1ベアリング内周側設置面46−2と第1ベアリング外周側設置面82−2に設置される。
【0094】
これに対して、第1カートリッジ部26の第2ベアリング内周側設置面54および第2ベアリング外周側設置面111と、第2カートリッジ部26−2の第1ベアリング内周側設置面46−2および第1ベアリング外周側設置面82−2との間に形成されているベアリング設置面には、ベアリングが設置されない。すなわち、第1カートリッジ部26に形成されている第1ベアリング内周側設置面46および第1ベアリング外周側設置面82と、第2カートリッジ部26−2に形成されている第2ベアリング内周側設置面54−2および第2ベアリング外周側設置面111−2には、第1ベアリング20または第2ベアリング22が設置されない。
【0095】
ここで、第2実施形態に係るロータリージョイント10aでは、図4に示すように、第1カートリッジ部26の固定部68と、第2カートリッジ部26−2の固定部68−2とが、接続シャフト193等を用いて連結されている。すなわち、第2実施形態に係るロータリージョイント10aは、複数の固定部68,68−2が連結された固定部連結体を有している。そして、第2実施形態に係るロータリージョイント10aでは、固定部連結体における軸方向の両端部に形成されたベアリング設置部54,111,46−2,82−2のみにベアリングが設置されており、それらの間に形成されたベアリング設置部46,82,54−2,111−2にはベアリングが設置されていない。
【0096】
第2実施形態に係るロータリージョイント10aは、第1ベアリング20と第2ベアリング22とを、互いに異なるカートリッジ部26,26−2に配置することによって、ロータリージョイント10aに使用されるベアリングの数を低減させ、構成部品数の削減および組立の簡略化を図ることができる。この場合、第1ベアリング20と第2ベアリング22は、固定部連結体の両端部に配置されることが、回転軸12aの傾きを防止するうえで好ましい。
【0097】
また、ロータリージョイント10aにおいて、2つのみのベアリング20,22を設置することによって、回転軸12aの傾きや、第1および第2カートリッジ部26,26−2の取り付け位置ずれに関する許容量が拡大する。すなわち、第2実施形態に係るロータリージョイントには、4つのベアリングを設置することが可能である。しかし、第1および第2カートリッジ部26,26−2の各固定部68,68−2を図4に示すように連結し、かつ、ロータリージョイント10aに3つ以上のベアリングを設置すると、カートリッジ部26,26−2の僅かな取り付け誤差等によって、固定部68,68−2に対する回転部28,28−2および回転軸12aの正常な回転が妨げられる場合がある。したがって、2つのみのベアリング20,22が設置されるロータリージョイント10aは、組立が容易であり、回転軸12aの傾き等に対しても好適な許容範囲を有する。
【0098】
また、第1実施形態および第2実施形態に示すように、これらの実施形態に用いられるカートリッジ部26,26−2は、ロータリージョイント10,10aに必要とされる流路の数にかかわらず、使用することができる。すなわち、カートリッジ部26,26−2を含むロータリージョイント10aは、必要とされる流路の数に合わせて回転軸12aに取り付けるカートリッジ部26,26−2の数を変更することによって、流路数の異なる装置に適用することが可能である。したがって、本実施形態に係るロータリージョイント10aは、ロータリージョイント10aが取付けられる装置に必要とされる流路の増減に対して、柔軟に対応することが可能である。
【0099】
また、ロータリージョイント10aにおいて、第1カートリッジ部26と第2カートリッジ部26−2は、互いに等しい構造を有している。したがって、第1カートリッジ部26および第2カートリッジ部26−2に含まれるメカニカルシールの故障に対しても、1種類のカートリッジ部を用意しておくだけで、いずれの故障に対しても対応することができるため、設備の維持に必要なコストを抑制することができる。
【0100】
さらに、ロータリージョイント10aに含まれる第1および第2カートリッジ部26,26−2は、第1実施形態において説明したように、1つのカートリッジ部26,26−2に含まれる部材によって完成される流路を有している。したがって、例えば図4において、第1カートリッジ部26に含まれるメカニカルシールが故障し、第1カートリッジ部26の内部に形成された流路にリークが発生したとしても、第2カートリッジ部26−2の流路には影響が及ばない。このように、本実施形態に係るロータリージョイント10aは、各流路がカートリッジ部単位で独立しているので、ロータリージョイント10aに故障が発生した場合でも、故障が発生した箇所を容易に特定することが可能であり、メンテナンス性に優れている。
【0101】
また、さらに、ロータリージョイント10aに含まれる第1および第2カートリッジ部26,26−2は、第1実施形態において説明したように、セットスクリュー58,58−2を締め付けたり緩めたりするだけで、回転軸12aに対して着脱可能なカートリッジ式のメカニカルシールである。したがって、ロータリージョイント10aに含まれるメカニカルシールの1つが故障したような場合にも、故障したメカニカルシールを含むカートリッジ部26,26−2を、カートリッジ部26,26−2単位で分解・交換することによって、容易に修理することができる。このように、本実施形態に係るロータリージョイント10aは、メカニカルシールの1つが故障したときでも、各カートリッジ部26,26−2の内部を分解する必要がなく、故障した部分をカートリッジ部26,26−2ごと付け替えるだけで修理できるため、メンテナンス性に優れている。
【0102】
ロータリージョイント10aに含まれる第1および第2カートリッジ部26,26−2において、固定部68,68−2は、第1固定環133,133−2を第1回転環60,60−2に向かって付勢するコイルスプリング131,131−2と、第2固定環135,135−2を第2回転環62,62−2に向かって付勢する他のコイルスプリングを有している。コイルスプリング131等を有する第1および第2カートリッジ部26,26−2は、例えばロータリージョイント10aの回転軸12aが、カートリッジ部26,26−2のケーシング70,70−2に対して傾いた場合でも、シール面のシール状態を良好に保つことができる。また、このようなカートリッジ部26,26−2は、複数のカートリッジ部26,26−2を軸方向に組み合わせたロータリージョイント10aにおいて、各カートリッジ部26,26−2に含まれるシール面の傾きにばらつきが生じる場合でも、シール面のシール状態を良好に保つことができる。
【0103】
また、本実施形態に係るロータリージョイント10aは、第1実施形態に係るロータリージョイント10aと同様の効果を有する。
【0104】
第3実施形態
図5は、本発明の第3実施形態に係るロータリージョイント10bの縦断面図である。ロータリージョイント10bは、内部に第1〜第3軸内流路16,197,217が形成されている回転軸12bと、回転軸12bに取り付けられる第1〜第3カートリッジ部26,26−2,26−3と、第1ベアリング20と、第2ベアリング22とを含む。回転軸12bに取り付けられる第2および第3カートリッジ部26−2,26−3は、第1実施形態で説明した第1カートリッジ部26と同様の構造を有するため、第2カートリッジ部26−2および第3カートリッジ部26−3自体の構造については説明を省略する。
【0105】
また、第2カートリッジ部26−2および第3カートリッジ部26−3は、第1カートリッジ部26と同様の構造を有しており、第2カートリッジ部26−2および第3カートリッジ部26−3に含まれる各部材は、第1カートリッジ部26に含まれる各部材と同様である。図5において、第2カートリッジ部26−2を構成する各部材には、対応する第1カートリッジ部26の部材に付された符号の後に「−2」を追加した符号を付し、第3カートリッジ部26−3を構成する各部材には、対応する第1カートリッジ部26の部材に付された符号の後に「−3」を追加した符号を付している。
【0106】
回転軸12bの一方の端部である装置側の端部には、取り付けフランジ14が形成されている。回転軸12bは、第1および第2実施形態に係る回転軸12,12a(図1および図4参照)と同様に、取り付けフランジ14を介して、回転装置に固定される。回転軸12bの内部には、第2実施形態に係る回転軸12aと同様に、第1および第2軸内流路16,197が形成されている。さらに、回転軸12bの内部には、第1および第2軸内流路16,197に加えて、第3軸内流路217が形成されている。第3軸内流路217は、第1軸内流路16または第2軸内流路197と同様に、装置側開口217aと、軸側面開口217bとを有する。
【0107】
回転軸12bには、第1〜第3カートリッジ部26,26−2,26−3が取り付けられている。第1および第2カートリッジ部26,26−2は、第2実施形態と同様に、第1または第2軸内流路16,197と固定配管部との間に設置されている。第1カートリッジ部26の内部に形成されている連続流路は、第1軸内流路16と固定配管部の流路とを連通させ、第2カートリッジ部26−2の内部に形成されている連続流路は、第2軸内流路197と固定配管部における他の流路とを連通させる。
【0108】
第3カートリッジ部26−3は、第3軸内流路217と固定配管部との間に設置される。第3カートリッジ部26−3の内部には、第1および第2カートリッジ部26,26−2と同様の連続流路が形成されている。第3カートリッジ部26−3の内部に形成されている連続流路は、第3軸内流路217と固定配管部における第3の流路とを連通させる。第3カートリッジ部26−3は、スリーブ内流路38−3の軸内流路側開口38a−3と第3軸内流路217の軸側面開口217bとが重なり、スリーブ内流路38−3と第3軸内流路217とが連通するように、セットスクリュー58−3を用いて、回転軸12cに固定される。
【0109】
図5に示すように、第1カートリッジ部26と第2カートリッジ部26−2とは、第2実施形態と同様に、接続シャフト挿通孔113,113−2に挿通される接続シャフト193によって接続されている。また、第2カートリッジ部26−2と第3カートリッジ部26−3とは、第1カートリッジ部26と第2カートリッジ部26−2との接続と同様に、接続シャフト挿通孔113−2,113−3に挿通される接続シャフト213によって接続されている。
【0110】
接続シャフト213は、図5において点線で示すように、第2カートリッジ部26−2の接続シャフト挿通孔113−2と、第3カートリッジ部26−3の接続シャフト挿通孔113−3とを連結する。また、接続シャフト213は、接続シャフト193と同様に、固定用ナット215a,215bによって、接続シャフト挿通孔113−2,113−3に対して固定される。ただし、接続シャフト213は、接続シャフト193とは、周方向に互いに異なる位置に配置される。たとえば、第2カートリッジ部26−2において、接続シャフト213は、接続シャフト193が固定される接続シャフト挿通孔113−2とは、ケーシング70−2の周方向に沿って互いに異なる位置に形成された接続シャフト挿通項113−2に固定される。
【0111】
接続シャフト193は、第1カートリッジ部26のケーシング70と第2カートリッジ部26−2のケーシング70−2とを連結し、第2カートリッジ部26−2の固定部68−2が、第1カートリッジ部26の固定部68に対して回転することを防止する。また、接続シャフト213は、第2カートリッジ部26−2のケーシング70−2と第3カートリッジ部26−3のケーシング70−3とを連結し、第3カートリッジ部26−3の固定部68−3が、第1および第2カートリッジ部26,26−2のケーシング70,70−2に対して回転することを防止する。また、接続シャフト193,213は、第2および第3カートリッジ部26−3の固定部68−2,68−3が、第1カートリッジ部26の固定部68に対して、軸方向に移動することを防止する。
【0112】
第1カートリッジ部26におけるケーシング70の第1端部78は、第2カートリッジ部26−2におけるケーシング70−2の第2端部115−2と係合される。また、第2カートリッジ部26−2におけるケーシング70−2の第1端部78−2は、第3カートリッジ部26−3におけるケーシング70−3の第2端部115−3と係合される。第1および第2カートリッジ部26,26−2の第1端部78,78−2は、第2および第3カートリッジ部26−2,26−3の第2端部115−2,115−3と係合し、第2および第3カートリッジ部26−2,26−3に含まれる固定部68−2,68−3の軸方向および径方向の位置決めを行うことができる。
【0113】
本実施形態に係るロータリージョイント10bは、回転軸12bに取り付けられているカートリッジ部26,26−2,26−3の各ケーシング70,70−2,70−3同士を、接続シャフト挿通孔113,113−2,113−3を介して連結させることによって、カートリッジ部26,26−2,26−3の固定部68,68−2,68−3を連結し、固定部68,68−2,68−3の固定構造を簡略化することが可能である。
【0114】
図5に示すように、第3実施形態に係るロータリージョイント10bにおいて、第2ベアリング22は、第1カートリッジ部26の内部に設置されており、第1ベアリング20は、第3カートリッジ部26−3の内部に設置されている。すなわち、第2ベアリング内周面22aと第2ベアリング外周面22bは、第1カートリッジ部26に形成されている第2ベアリング内周側設置面54と第2ベアリング外周側設置面111に設置される。また、第1ベアリング内周面20aと第1ベアリング外周面20bは、第3カートリッジ部26−3に形成されている第1ベアリング内周側設置面46−3と第1ベアリング外周側設置面82−3に設置される。
【0115】
これに対して、第2ベアリング22が設置されているベアリング設置面54,111と、第1ベアリング20が設置されているベアリング設置面46−3,82−3の間に形成されているベアリング設置面には、ベアリングが設置されない。
【0116】
ここで、第3実施形態に係るロータリージョイント10bでは、図5に示すように、第1〜第3カートリッジ部26,26−2,26−3に含まれる各固定部68,68−2,68−3が、接続シャフト193,213等を用いて、互いに連結されている。すなわち、第3実施形態に係るロータリージョイント10bは、複数の固定部68,68−2,68−3が連結された固定部連結体を有している。そして、第3実施形態に係るロータリージョイント10bでは、固定部連結体における軸方向の両端部に形成されたベアリング設置面54,111,46−3,82−3のみに、ベアリングが設置されており、それらの間に形成されたベアリング設置面にはベアリングが設置されていない。
【0117】
このように、第3実施形態に係るロータリージョイント10bは、第1ベアリング20と第2ベアリング22とを、互いに異なるカートリッジ部26,26−3に配置することによって、ロータリージョイント10aに使用されるベアリングの数を低減させ、構成部品数の削減および組立の簡略化を図ることができる。この場合、第1ベアリング20と第2ベアリング22は、固定部68,68−2,68−3が連結された固定部連結体の両端部に配置されることが、回転軸12bの傾きを防止するうえで好ましい。また、ロータリージョイント10bにおいて、2つのみのベアリング20,22を設置することによって、回転軸12aの傾きや、第1〜第2カートリッジ部26,26−2,26−3の取り付け位置ずれに関する許容量が拡大する。
【0118】
また、本実施形態に用いられるカートリッジ部26,26−2,26−3は、ロータリージョイント10bに必要とされる流路の数にかかわらず、使用することができる。すなわち、カートリッジ部26,26−2,26−3を含むロータリージョイント10bは、必要とされる流路の数に合わせて回転軸12,12a,12bに取り付けるカートリッジ部26,26−2,26−3の数を変更することによって、流路数の異なる装置に適用することが可能である。したがって、本実施形態に係るロータリージョイント10bは、ロータリージョイント10bが取付けられる装置に必要とされる流路の増減に対して、柔軟に対応することが可能である。
【0119】
さらに、第2および第3実施形態に係るロータリージョイント10a,10bは、カートリッジ部26,26−2,26−3だけでなく、回転軸12a,12bについても、流路数の異なる装置に適用することが可能である。図6は、図5に示すロータリージョイント10bを、2つの流路が必要とされる装置に適用した場合における実施態様を表す縦断面図である。
【0120】
図6に示すロータリージョイント10cは、第1および第2カートリッジ部26,26−2のみが回転軸12bに取り付けられており、第1ベアリング20が第2カートリッジ部26の内部に設置されている点で、図5に示すロータリージョイント10bと異なるが、その他の点は同様である。
【0121】
第2実施形態において説明したように、第1および第2軸内流路197と固定配管部の流路を結ぶ各流路は、カートリッジ部26,26−2単位で独立しており、また、各カートリッジ部26,26−2は、セットスクリュー58を締め付けたり緩めたりすることによって着脱可能なカートリッジ式のメカニカルシール装置である。したがって、図5に示すロータリージョイント10bは、第3カートリッジ部26−3を取り外しても、第1ベアリング20の設置位置を変更するだけで、図6に示すように、残りの第1および第2カートリッジ部26,26−2を取り付けた状態で使用することができる。
【0122】
このように、第3実施形態に係るロータリージョイント10bは、装置に必要とされる流路数が、回転軸12bの内部に形成されている軸内流路16,197,217の数以下であれば、装置に必要とされる流路数が変更された場合であっても、回転軸12bを含むロータリージョイント10bの大部分を継続して使用することが可能である。したがって、流路数が変更された場合でも、新たな回転軸等を設計・製造することなく柔軟に適用することが可能であるため、設備の維持に必要なコストを抑制することができる。
【0123】
図5に示すように、第3実施形態に係るロータリージョイント10bでは、軸内流路16,197,217と固定配管部との間をつなぐ流路を構成するメカニカルシールが、カートリッジ式のカートリッジ部26,26−2,26−3の内部に収納されている。また、各カートリッジ部26等は、2つのベアリングを設置できるベアリング設置部46,54,82,111と、カートリッジ部26を回転軸12bに独立に取り付け可能なセットスクリュー58を有している。したがって、ロータリージョイント10bは、1つのカートリッジ部26を、他のカートリッジ部や取り付け部品等から独立させた状態で回転軸12bに取り付けることが可能であり、流路数の変更に容易に対応することができる。
【0124】
しかし、各カートリッジ部26,26−2,26−3を、各カートリッジ部26,26−2,26−3の内部に2つのベアリング20,22を設置した状態のまま回転軸12bに取り付けると、回転軸12bが2を超える数のベアリングを介して、固定部68,68−2,68−3に支持される状態となり、回転軸12bの円滑な回転が阻害されやすい状態となる。
【0125】
そこで、各カートリッジ部26,26−2,26−3には、互いの固定部68,68−2,68−3同士を連結可能な連結部であるシャフト挿通孔113,113−2,113−3等が形成されている。ロータリージョイント10bは、各カートリッジ部26,26−2,26−3の固定部68,68−2,68−3同士を、シャフト挿通孔113,113−2,113−3等を介して連結できる。これによって、本実施形態に係るロータリージョイント10bは、固定部68,68−2,68−3が連結された固定部連結体の両端部に2つのベアリング20,22を配置するだけでよくなり、他の設置部にベアリングを設置する必要がなくなる。なぜなら、図5に示す状態では、各固定部68,68−2,68−3は一体に連結されており、また、各回転部28,28−2,28−3および回転軸12bもセットスクリュー58,58−2,58−3を介して一体となっているためである。
【0126】
このように、本実施形態に係るロータリージョイント10bは、カートリッジ式の第1〜第3カートリッジ部26,26−2,26−3の内部にメカニカルシールを収納して組立を容易にするとともに、第1〜第3カートリッジ部26,26−2,26−3同士を連結可能とすることによって、複数のカートリッジ部26,26−2,26−3を回転軸12bに取り付けた場合でも、回転軸12bを円滑に回転させることができる。
【0127】
また、本実施形態に係るロータリージョイント10b,10cは、第1および第2実施形態に係るロータリージョイント10,10bと同様の効果を有する。
【0128】
なお、前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0129】
10,10a,10b,10c…ロータリージョイント
12,12a,12b…回転軸
20…第1ベアリング
20a…第1ベアリング内周面
20b…第1ベアリング外周面
22…第2ベアリング
22a…第2ベアリング内周面
22b…第2ベアリング外周面
26,26−2,26−3…カートリッジ部
28,28−2,28−3…回転部
30…スリーブ
38,38−2,38−3…スリーブ内流路
46,46−2,46−3…第1ベアリング内周側設置面
54,54−2…第2ベアリング内周側設置面
58,58−2,58−3…セットスクリュー
60,60−2…第1回転環
62,62−2…第2回転環
68…固定部
70…ケーシング
82,82−2,82−3…第1ベアリング外周側設置面
111,111−2…第2ベアリング外周側設置面
113,113−2,113−3…接続シャフト挿通孔
131,131−2…コイルスプリング
133,133−2…第1固定環
135,135−2…第2固定環
193,213…接続シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に軸内流路を有する回転軸と、当該回転軸に取り付けられるメカニカルシール装置と、第1ベアリングと、第2ベアリングと、を含むロータリージョイントであって、
前記メカニカルシール装置は、
前記軸内流路に連通するように配置されるスリーブ内流路が形成されており前記回転軸を挿通させるスリーブと、当該スリーブに対して回転不可に取り付けられており前記スリーブ内流路の開口を挟み込むように配置されている第1回転環および第2回転環と、前記スリーブを前記回転軸に固定するセットスクリューと、を含む回転部と、
前記回転部を内径側に収納するケーシングと、当該ケーシングに対して回転不可に取り付けられており前記第1回転環に対して摺動する第1固定環と、前記ケーシングに対して回転不可に取り付けられており前記第2回転環に対して摺動する第2固定環と、を含む固定部と、を含み、
前記スリーブの外周面には、前記第1ベアリングの内周面を設置可能な第1ベアリング内周側設置面と、前記第1ベアリング内周側設置面より径が小さく前記第2ベアリングの内周面を設置可能な第2ベアリング内周側設置面とが形成されており、
前記ケーシングの内周面には、前記第1ベアリング内周側設置面に対向するように配置されており前記第1ベアリングの外周面が設置可能な第1ベアリング外周側設置面と、前記第2ベアリング内周側設置面に対向するように配置されており前記第1ベアリング外周側設置面より径が小さく前記第2ベアリングの外周面が設置可能な第2ベアリング外周側設置面とが形成されており、
前記ケーシングには、前記メカニカルシールと同様の構造を有しており前記回転軸に取り付けられ得る他のメカニカルシール装置に含まれる他のケーシングと連結可能な連結部が形成されているロータリージョイント。
【請求項2】
前記第1ベアリング内周側設置面は、前記スリーブ内流路の外径側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載されたロータリージョイント。
【請求項3】
前記第1回転環の内径は、前記第2回転環の外径より大きく、
前記第1回転環と前記第2回転環は、前記回転軸の中心軸に直交する一つの平面に沿って配置されており、
前記第1固定環の内径は、前記第2固定環の外径より大きく、
前記第1固定環と前記第2固定環は、前記回転軸の前記中心軸に直交する他の一つの平面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたロータリージョイント。
【請求項4】
前記第1ベアリング外周側設置面の径は、前記第1回転環および前記第1固定環の内径よりも大きく、
前記第2ベアリング内周側設置面の径は、前記第2回転環および前記第2固定環の外径よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載されたロータリージョイント。
【請求項5】
前記固定部は、前記第1固定環を前記ケーシングから前記第1回転環に向かって付勢する第1付勢部材と、前記第2固定環を前記ケーシングから前記第2回転環に向かって付勢する第2付勢部材を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載されたロータリージョイント。
【請求項6】
前記回転軸に取り付けられる複数の前記メカニカルシール装置である第1メカニカルシール装置および第2メカニカルシール装置を含んでおり、
前記回転軸は複数の前記軸内流路を有しており、
前記第1ベアリングは、前記第1メカニカルシール装置の内部に設置されており、
前記第2ベアリングは、前記第2メカニカルシール装置の内部に設置されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載されたロータリージョイント。
【請求項7】
回転軸の内部に形成されている軸内流路に連通するように配置されるスリーブ内流路が形成されており前記回転軸を挿通させるスリーブと、当該スリーブに対して回転不可に取り付けられており前記スリーブ内流路の開口を挟み込むように配置されている第1回転環および第2回転環と、前記スリーブを前記回転軸に固定するセットスクリューと、を含む回転部と、
前記回転部を内径側に収納するケーシングと、当該ケーシングに対して回転不可に取り付けられており前記第1回転環に対して摺動する第1固定環と、前記ケーシングに対して回転不可に取り付けられており前記第2回転環に対して摺動する第2固定環と、を含む固定部と、を含み、
前記スリーブの外周面には、前記第1ベアリングを設置可能な第1ベアリング内周側設置面と、前記第1ベアリング内周側設置面より径が小さく前記第2ベアリングの内周面を設置可能な第2ベアリング内周側設置面とが形成されており、
前記ケーシングの内周面には、前記第1ベアリング内周側設置面に対向するように配置されており前記第1ベアリングの外周面が設置可能な第1ベアリング外周側設置面と、前記第2ベアリング内周側設置面に対向するように配置されており前記第1ベアリング外周側設置面より径が小さく前記第2ベアリングの外周面が設置可能な第2ベアリング外周側設置面とが形成されており、
前記ケーシングには、前記メカニカルシールと同様の構造を有しており前記回転軸に取り付けられ得る他のメカニカルシール装置に含まれる他のケーシングと連結可能な連結部が形成されているメカニカルシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−64307(P2011−64307A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217316(P2009−217316)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000101879)イーグル工業株式会社 (119)
【Fターム(参考)】