説明

ロールブロッキング防止のための塗装層を有する表面処理エラストマーフィルム

エラストマー重合体フィルム層及び非ブロッキング性溶剤系塗装層から成る非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。該塗装層は、非ブロッキング性塗装成分を含む。該塗装層は、該エラストマー重合体フィルム層の片面または両面に塗装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムに関し、また、非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー材料は、拡張して大きな物体の上または周りに適合させ、次に収縮させて、該物体にぴったりフィットする特性のために、長い間高く評価されてきた。近年、合成重合体エラストマー材料が、天然ゴムの不足を埋め合わせるか、それに代替している。ポリウレタンゴム類、スチレンブロック共重合体類、エチレンプロピレンゴム類、及び他の合成重合体エラストマー類などの化合物類が、当業界で周知である。
【0003】
エラストマー材料は、種々の形状をとることができる。エラストマー類は、糸類、コード類、テープ類、フィルム類、繊維類、及び他の種々の形態として成形することができる。エラストマー材料の形状及び構造は、製品の意図する最終用途によって左右される。例えば、エラストマー類は、活動着などの衣類にしばしば使用され、ぴったり合う適合性を提供する。エラストマー類は、体熱を維持するために意図された防寒用衣類の袖口等において、弾性はあるが効果的な障壁も形成することができる。これらの用途において、エラストマーは、衣類の布地に組み入れられる糸またはフィラメントの形状にあることが最も多い。
【0004】
エラストマーは、糸、布地またはフィルムの形状となることができる。エラストマー糸は、製造工程において、多数の中の一成分として適用せねばならないので、これらの糸の使用は、衣類を組立てる際に問題を提起する。また、これらの糸は、弱いので破断し易く、たとえ糸が過剰にあっても、弾性破壊に至る。エラストマー布地は、製造工程において幾分作業し易いが、布地自体は、原材料及び布地それ自体を製造するコストの両方において高価になりがちである。エラストマーフィルムは、糸より製造に使い易く、かつ、製造するのにエラストマー布地より安価である。また、エラストマーフィルムは、糸または布地より強くなり易く、使用に際し破損し難い。
【0005】
しかし、エラストマーフィルムの不便なことは、フィルムを製造するのに使用する重合体類が、本質的に粘着性であったり、べとついたりすることである。これらのエラストマーフィルムを押出して、ロールに巻き取る場合、該エラストマーフィルムは、それ自体粘着または「ブロック」し易く、それによって、巻き戻すことが困難か不可能になる。該フィルムは、貯蔵庫内などの暖かい環境中で熟成または貯蔵されると、ブロッキングがより顕著になる。
【0006】
エラストマーフィルムのブロッキング問題を解決するために、多くの試みがなされてきた。通常、シリカまたはタルク等の粉末状無機物質であるアンチブロッキング剤を、該フィルム中に配合することができる。また、アンチブロッキング剤を、押出フィルムの成形時に、その外表面に振り掛けることができる。しかし、ブロッキングを許容水準にまで低減するには、アンチブロッキング剤を大量に加えなければならないが、これらの高水準の耐ブロッキング性は、該フィルムの弾性特性に不利益である。ブロッキングを低減する他の手段は、該フィルムをエンボス加工することなどによって、該フィルム表面を粗面化して、巻き取りフィルムの表面対表面の接触を低減し、かつ、ブロッキングを低減する助けとなる微細なエアポケットを導入することである。残念ながら、この方法も該フィルムに、より薄くて弱い部分を生じ易く、これらの部分は、該フィルムを延伸する際に亀裂と破断を蒙る。ブロッキングを低減する他の手段は、剥離ライナーなどの物理的障壁を、巻き取りフィルムの層間でロール中に組み入れることである。次に、巻き取りフィルムを、さらなる加工のために巻き戻す時に、剥離ライナーを除去する。剥離ライナーは、通常、捨てられるけれども、廃棄物と製造業者に対するかなり余分な費用を生じる。エラストマーフィルムのブロッキングを低減するさらなる他の手段は、伸長性またはより少ない弾性の非粘着性重合体の非常に薄い外層、「皮膜」または「キャッピング層」とも呼ばれる層を、該エラストマーフィルムの表面に共押出することである。これらの皮膜のための適切な非粘着性重合体には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類がある。このようなポリオレフィン皮膜は、伸長性ではあるが、エラストマー材料ではない。ポリオレフィン皮膜は、エラストマーフィルムの全組成の少量部分を構成しているため、全体として、フィルムのエラストマー特性に対する影響が少ない。しかし、これらのポリオレフィン皮膜は、エラストマーフィルムが全体として延伸され、最初に「活性化」されたとき、延伸して不可逆的に変形する。活性化したエラストマーフィルムに対する延伸力が解かれると、エラストマー性のコア部は、普通のように収縮しようとする。延伸された皮膜は、エラストマー性ではなく、そのかわりに、該コア部が収縮する際に、しわになり、微細組織表面を作る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ブロッキングすることなく巻き取り、貯蔵することができるエラストマーフィルムを効果的に製造する要求が残されている。そのようなフィルムは、劣ったエラストマー特性を持たず、過度の浪費と製造出費を生じることがなく、活性化後に、魅力的で感じのよい表面組織を与えるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ひとつの態様において、本発明は、非ブロッキング性エラストマーフィルムに関する。該非ブロッキング性エラストマーフィルムは、エラストマー重合体フィルム層と、非ブロッキング塗装成分を含む非ブロッキング性溶剤系塗装層とから成る。該非ブロッキング塗装層は、該エラストマー重合体フィルム層の片面または両面に塗装され、該エラストマーフィルムを非ブロッキング性とする。
【0009】
他の態様において、本発明は、非ブロッキング性エラストマーフィルムの製造方法に関する。該製造方法は、非ブロッキング性塗装成分を含有する非ブロッキング性溶剤系コーティングによるエラストマー重合体フィルムの第一の表面へのコーティングから成る。該エラストマー重合体フィルム層の片面または両面を塗装して、非ブロッキング性エラストマーフィルムを形成することができる。
【0010】
本発明の付加的な態様は、以下の発明の詳細な説明により明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明者らは、押出後であって巻き取る前に、エラストマーフィルムの片面または両面に、ラッカー、潤滑剤、界面活性剤またはスラリーなどの薄い塗膜の塗装によって、ロールブロッキングを除去するか、許容レベルにまで低減できることを見出した。該エラストマーフィルムの片面のみに塗装する必要があるが、所望により、他のフィルム表面に塗装してもよい。該エラストマーフィルムは、この表面塗装後に重大なロールブロッキングなしに、巻き取って貯蔵することができる。予期し得ないことに、該塗膜は、該エラストマーフィルムの塗装表面に、不織布などの他の層を積層するのを邪魔したり妨害したりすることがない。
【0012】
本開示のために、以下の用語は、次の通り定義される。
【0013】
「フィルム」とは、x(長さ)及びy(幅)方向の材料の寸法が、z(厚さ)方向の寸法より実質的に大きいシート状の材料のことをいう。フィルムは、約1μmから約1mmまでの範囲のz方向厚さを有する。
【0014】
名詞としての「積層体」(laminate)とは、各層が、最も狭いシート材料の幅に亘って実質的に同一の広がりを持つように積み重ねられ、かつ、接合されたシート状材料の層状構造体をいう。これらの層は、フィルム類、布類若しくはシート状の他の材料、またはそれらの組合せから成る。例えば、積層体は、フィルムの層と、2層が通常の使用下に単一のシートとして接合したままであるようにそれらの幅に亘って一緒に接合された布の層とから成る構造体であり得る。積層体は、複合体または被覆材料とも呼ぶことができる。動詞としての「積層する」(laminate)とは、そのような層状構造体を形成する方法をいう。
【0015】
「コーティング」(塗料)とは、材料の表面に薄い層を塗布することができる溶剤系の溶液または懸濁液をいう。また、「コーティング」(塗膜)とは、該表面に塗装され、実質的に乾燥または硬化された後の材料の薄い層をいう。本開示のために、コーティングとは、約0.05〜3μm厚の材料層をいう。本開示のため、塗膜は、非塗装表面領域によって分離された、例えば、ドットなどの形状の離間塗装領域から成るものであってよい。あるいは、塗膜は、非塗装表面の不連続な領域によって囲まれた実質的に連続的な塗装層から成るものであってもよい。あるいは、塗膜は、実質的に非塗装表面領域のない実質的に連続的な塗装領域から成るものであってもよい。
【0016】
「溶剤」または「キャリア溶剤」とは、材料が溶解若しくは懸濁している液体をいう。本開示のために、「溶剤」または「キャリア溶剤」とは、この用語が明らかに他の溶液若しくは溶剤を意味する文脈で用いられているのでない限り、塗装材料が溶解若しくは懸濁している液体(水性及び有機液体の両者を含む)をいう。この開示で議論されているコーティングに用いられる代表的な溶剤としては、水、イソプロピルアルコール、ヘキサン、酢酸エチル、または他のこのような一般的な溶剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0017】
「インク」とは、顔料、結着剤、及びキャリア溶剤からなる混合物であって、コーティングとして、材料の表面に塗装することができるものをいう。インクは、該材料の表面に、白化剤、不透明化剤、着色、グラフ、画像、デザイン、文章、またはその他のマークを表示するのに使用することができる。インクは、代表的には、印刷法によって材料の表面に薄い層として塗装されるが、他のコーティング法を用いることもできる。塗装後、インクは、キャリア溶剤の蒸発または酸化によって乾燥し、塗膜を形成する。好適なインクは、ミシガン州アナーバーのフリントインク(Flint Ink)社、イリノイ州ショウンバーグのINXインターナショナルインクカンパニー(INX International Ink Co.)、またはニュージャージー州パーシパニイのサン・ケミカル(Sun Chemical)社などの会社から入手することができる。
【0018】
「ラッカー」とは、材料の上に、光沢、修飾、及び/または保護表面を与えるための塗膜を形成する材料の溶液をいう。ラッカーは、着色されていてもされていなくてもよく、天然または合成樹脂から成るものである。合成ラッカーで用いられる通常の樹脂は、ピロキシリンまたはニトロセルロースであり、キャリア溶剤に溶解されており、所望により、可塑剤、顔料、その他の成分を含んでいる。ラッカーは、印刷、スプレー、塗装、浸漬コーティング、及びその他の方法により表面に塗装される。塗装後、キャリア溶剤の蒸発及び/または該樹脂の酸化によって乾燥し、塗膜を形成する。好適なものは、ミシガン州アナーバーのフリントインク社、ニュージャージー州パーシパニイのサン・ケミカル社などの会社から入手することができる。
【0019】
「界面活性剤」とは、該界面活性剤が溶解しているキャリア溶剤の表面張力を減少させる化学物質をいう。最も一般的には、キャリア溶剤は、通常、高い表面張力を有する液体の水である。該溶剤(例えば、水)の表面張力を減少させることによって、界面活性剤は、該溶液がより迅速に濡れて表面に拡散するのを可能とする。殆どの界面活性剤は、分子の一方の「端部」に疎水性の化学的性質を持ち、かつ、分子の反対側の「端部」に親水性の化学的性質を持つ両親媒性の化学物質である。他のカチオン性、アニオン性またはノニオン性界面活性剤はもちろんのこと、一般の石鹸及び洗剤も、本件開示目的のために界面活性剤であると考えられる。
【0020】
「潤滑剤」とは、片面または両面上に塗装したとき、隣接する表面間の摩擦を低減する化学物質をいう。一般の潤滑剤としては、オイル、グリース、及びワックスが挙げられる。本件開示目的のために、潤滑剤は、一般の有機溶剤などの好適なキャリア溶剤に溶解または懸濁させることができる。水系潤滑剤も、本件開示のために適している。例えば、好適な水系潤滑剤は、ミネソタ州スチルウォーターのアメリカン・ポリウォーター(登録商標)社(American Polywater Corporation)からポリウォーター(POLYWATER;登録商標)系列の潤滑剤として得ることができる。
【0021】
「スラリー」または「懸濁液」とは、キャリア溶剤と粒状固体との混合物であって、該粒状固体が該溶剤には溶解しないが、多量の該溶剤中に分布しているような実質的に均質に混合しているものをいう。スラリー及び懸濁液は、低濃度の固体の薄い液体から高濃度の固体の濃厚なペーストまで濃度を変化させることができる。好適なスラリーまたは懸濁液の例としては、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、またはマイカなどの無機物粉末を、水などの適当なキャリア溶剤中に混合したものを挙げることができる。他の好適なスラリーまたは懸濁液の例としては、澱粉またはセルロースなどの有機材料の粉末を、水などの適当なキャリア溶剤中に混合したものを挙げることができる。その他の好適なスラリーまたは懸濁液としては、ポリマーの粉末または粒子を、イソプロピルアルコールのような適当なキャリア溶剤中に混合したものを挙げることができる。好適なポリマー粉末は、テキサス州ヒューストンのエクイスター・ケミカルズLP(Equistar Chemicals LP)社から商標名ミクロセン(MICROTHENE;登録商標)として得ることができる。
【0022】
「延伸性」(stretchable)及び「回復性」(recoverable)とは、材料のエラストマー特性を記述するための説明的用語である。「延伸性」とは、該材料が、特定方向への引張力によって、破断することなく、原寸法よりも著しく大きく伸長されることを意味する。例えば、長さ10cmの材料が、引張力により、破断することなく約15cmの長さに伸長できるとき、延伸性であるということができる。「回復性」とは、特定方向への引張力によって破断することなく原寸法よりも著しく大きく伸長された材料が、引張力を解放したとき、その原寸法または原寸法に十分に近い特定の寸法に回復することを意味する。例えば、10cmの長さの材料が、引張力によって破断することなく約15cmの長さに伸長し、そして、約10cmの長さまたは10cmに十分近い特定の長さに回復するとき、回復性であるということができる。
【0023】
「エラストマー性」または「エラストマー」とは、付与する伸長力の方向に、元の寸法の少なくとも約150%に延伸することができ、次に、それらの元の寸法の120%以下に収縮する重合体材料のことをいう。例えば、長さ10cmのエラストマーフィルムは、伸長力下に少なくとも約15cmに延伸し、次に、伸長力が除かれたときに、約12cm以下に収縮すべきである。エラストマー材料は、伸張性かつ回復性である。
【0024】
「伸長性」(extensible)とは、材料を破断することなく元の寸法の少なくとも約130%に延伸することができるが、著しく回復しないか、あるいは元の寸法の約120%を超えて回復し、従って、前記で定義したエラストマー性ではないことをいう。例えば、長さ10cmの伸長性フィルムは、延伸力下に少なくとも約13cmまで延伸され、次いで、延伸力が解放されたときに、約13cmの長さのままであるか、あるいは約12cmを超える長さに回復する。伸長性材料は、延伸性ではあるが、回復性ではない。
【0025】
「脆い」(brittle)とは、延伸に対して強い抵抗を有し、破壊または亀裂なしに、元の寸法の110%を超えて延伸できない重合体材料を意味する。例えば、長さ10cmの脆いフィルムは、破砕することなく、延伸力下に約11cmを超えて延伸することができない。脆いフィルムは、延伸力が除かれたとき、回復しないか、僅かにしか回復しない。脆い材料は、延伸性でも回復性でもない。
【0026】
「ブロッキング」とは、固有の粘着性または1以上のフィルム成分のタッキネスのため、ロールに巻き取ったり、折り畳んだり、あるいは表面対表面で密着した状態に置かれると、それ自体が付着する現象を意味する。ブロッキングは、ASTM D3354「平行プレート法によるプラスチックフィルムのブロッキング荷重」によって定量化することができる。
【0027】
「非ブロッキング」とは、それ自体を密着した状態に置いたときに、ブロックしない材料を意味する。
【0028】
「活性化」または「活性化する」とは、エラストマーフィルムまたは材料を延伸し易くする方法をいう。最も多くの場合、活性化は、エラストマーフィルムの物理的処理、改質または変形である。初めてフィルムを延伸することは、そのフィルムを活性化する1つの手段である。活性化を経たエラストマー材料は、「活性化された」と呼ばれる。活性化の普通の例は、風船を膨らませることである。初めて、風船を膨らませる(「活性化する」)と、風船の材料は、延伸される。風船の材料が、延伸するのが困難であるならば、風船を膨らませる人は、膨らませていない風船をしばしば手で伸ばして、膨張をより容易にする。膨らませた風船を、すぼませて、次に再び膨らませると、「活性化された」風船は、膨らませることがさらに容易になる。
【0029】
本発明のフィルム及び方法に用いられるエラストマー重合体は、如何なる押出可能なエラストマー重合体であってもよい。そのようなエラストマー重合体の例としては、ビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類、天然ゴム類、ポリウレタンゴム類、ポリエステルゴム類、エラストマー性ポリオレフィン類とポリオレフィンブレンド類、エラストマー性ポリアミド類などが挙げられる。エラストマーフィルムは、先に述べた種類のエラストマー重合体の2種以上のブレンドから成るものでもよい。好ましい弾性重合体は、AB、ABA、ABCまたはABCA型ブロック共重合体類などのビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類である。ここで、セグメントAは、ポリスチレン等のアリーレン類から成り、セグメントB及びCは、ブタジエン、イソプレンまたはエチレンブタジエン等のジエン類から成る。好適なブロック共重合体樹脂類は、テキサス州ヒューストンのクレイトンポリマーズ(KRATON Polymers)社またはルイジアナ州プランケミンのデキシコポリマーズLP(Dexco Polymers LP)社から容易に入手することができる。
【0030】
本発明のエラストマーフィルム部は、エラストマー重合体から成る単層フィルムであってよい。本発明のエラストマーフィルムは、多層フィルムから成るものであってもよい。多層エラストマーフィルムの各層は、エラストマー重合体類から成るものでよく、あるいは複数の層が、エラストマーまたは熱可塑性樹脂の非エラストマー重合体から、各層において単独で若しくは組み合わせて成るものであってもよい。唯一の限定は、多層エラストマーフィルムの少なくとも1層は、エラストマー重合体を含まねばならず、かつ、多層エラストマーフィルムは、全体としてエラストマーフィルムであらねばならないということである。エラストマーフィルムが多層である場合、その1層以上の層は、伸長性重合体及び/または脆い重合体から成るものであってもよい。
【0031】
本発明のエラストマーフィルムは、フィルムの特性を改良する成分、フィルムの加工助剤、フィルム外観の改良剤などの他の成分を含有してもよい。これらの追加成分は、同じであっても、あるいは存在する各層で異なっていてもよい。例えば、該フィルムを剛性化し、かつ、該フィルムの強度特性を改善するために、ポリスチレン単独重合体または高衝撃性ポリスチレンなどの重合体類を、該フィルム中のエラストマー重合体とブレンドすることができる。粘度降下用の重合体類及び可塑化剤を、加工助剤として添加することができる。顔料類、染料類、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、発泡剤、熱及び/または光安定剤、並びに無機及び/または有機充填剤などの他の添加剤を添加することができる。各添加剤は、多層フィルムの1以上または全ての層に存在させることができる。
【0032】
如何なるフィルム形成方法によっても、本発明のエラストマーフィルムを調製することができる。特別の態様において、キャスト押出法またはブローフィルム共押出法などの押出法がエラストマーフィルムの形成に用いられる。キャスト法またはブロー法によるフィルムの押出方法は、公知である。キャスト法またはブロー法による多層フィルムの共押出方法もまた、公知である。
【0033】
該フィルムを押出した後、冷却し固化する。次いで、該フィルムに、活性化、穴あけ加工、他の材料への接着剤積層、裁断、またはその他の加工工程を行うことができる。
【0034】
しかし、巻き取り前に、ブロッキングを防止するため、エラストマーフィルムの表面に、インク、ラッカー、界面活性剤、潤滑剤、またはスラリーなどのキャリア溶剤中のコーティングの薄い層を塗布する。理論的な制約を望まないが、本発明者らは、この表面コーティングが1以上の機構によってブロッキングを防止していると考えている。第一に、コーティングによって表面に薄い層が形成され、それによって、該フィルムの粘着性の表面間に物理的なバリアを提供すると確信している。第二に、コーティングがフィルムの表面に吸着または接合し、それによって、フィルム表面の粘着性及び表面材料がブロックする傾向を減少すると考えている。
【0035】
水は、コーティングのための好ましいキャリア溶剤である。水系のインク、ラッカー、潤滑剤、界面活性剤溶液、及びスラリーは、当業界で公知である。イソプロピルアルコール、ヘキサン、または酢酸エチルなどの水以外のキャリア溶剤は、コーティングの溶剤として用いることができる。非水性溶剤中のインク、ラッカー及び潤滑剤は、当業界で公知である。しかし、環境への影響、溶剤臭、安全性への関心、処理問題などの問題から、この方法では、水が好ましい溶剤である。
【0036】
コーティングは、フィルム表面に薄い層を作り出す如何なる手段によっても、押出フィルムに塗装される。コーティングは、フィルム上に印刷することができ、それは、該表面全体に液体の薄い塗膜を均一に堆積する。コーティングを塗装する他の手段としては、フィルム上への液体の微細な霧のスプレイによるものである。また、コーティングは、ナイフコーター、カーテンコーター、スポンジ型ロール、ディップコートロール、ブラシロール、その他、表面への液体塗装の公知の手段によって塗装することができる。
【0037】
フレキソ印刷は、図1に示されているように、フィルムへのコーティングの薄い層の塗装法の一つの態様である。図示した方法において、重合体フィルム層12は、フィルム形成ダイ18から溶融押出され、図示のゴムロール13と金属ロール14との間のニップに落下する。金属ロールは、溶融重合体フィルムを急冷するために冷却することができる。また、金属ロール14は、生成フィルムにエンボスパターンが望まれている場合には、エンボスパターンが彫られていてもよい。押出フィルムは、冷却及び固化した後、フレキソ印刷ステーションを通過する。このステーションは、ロール22に取り付けた刻印版(フレキソ版)20、アニロックスロール24、及びコーティング収納装置26から構成される。塗装パターンは、盛り上がった刻印版20上にある。次いで、この刻印版をロール22の上に取り付ける。コーティング溶液は、受け皿などのコーティング収納装置26からコーティングをピックアップするアニロックスロール24を備えた刻印版に塗布され、該コーティングを刻印版20の盛り上がった箇所に転写する。次いで、刻印版20は、印刷するために、該材料12上を回転する。所望により、印刷された材料12’表面のキャリア溶剤の乾燥及び/またはコーティングの硬化を速めるために、コーティングの塗布後、乾燥ユニット40を用いることができる。
【0038】
本発明の方法の他の態様において、スプレイ塗装法がフィルムへのコーティングの薄い層を塗布するのに用いられる。このようなスプレイ塗装法は、よく知られている。図2には、代表的なスプレイ塗装法が示されている。重合体フィルム層12は、フィルム形成ダイ18から溶融押出され、図示のゴムロール13と金属ロール14との間のニップに落下する。金属ロールは、溶融重合体フィルムを急冷するために冷却することができる。また、金属ロール14は、生成フィルムにエンボスパターンが望まれている場合には、エンボスパターンが彫られていてもよい。押出フィルムは、冷却及び固化した後、スプレイ塗装ステーションを通過し、そこで、コーティング溶液がスプレイユニット30によりフィルム上に塗装される。フィルムは、スプレイ塗装工程の間、バックロール31または他の支持表面によって支持することができる。次いで、塗装フィルム12’は、キャリア溶剤の乾燥及び/またはコーティングの硬化のために、任意に加熱または乾燥ユニット40を通過する。
【0039】
本発明の方法の他の態様として、ナイフ塗装法がフィルムへのコーティングの薄い層を塗布するのに用いられる。図3は、代表的なナイフ塗装法を示している。重合体フィルム層12は、フィルム形成ダイ18から溶融押出され、図示のゴムロール13と金属ロール14との間のニップに落下する。金属ロールは、溶融重合体フィルムを急冷するために冷却することができる。また、金属ロール14は、生成フィルムにエンボスパターンが望まれている場合には、エンボスパターンが彫られていてもよい。押出フィルムは、冷却及び固化した後、バックロール31、計量塗布用ディスペンサー32、薄いナイフ36、及びナイフホルダー38から成るナイフ塗装ステーションを通過する。計量塗装ディスペンサー32は、移動するフィルム12の上に、コーティング溶液またはスラリー43の一部を堆積する。次いで、コーティング溶液34は、ナイフ36により、フィルム全体に薄い層に広げられる。ナイフ36は、コーティング層の厚みを制御すると共に、コーティング表面を平らにする。次いで、塗装フィルム12’は、キャリア溶剤の乾燥及び/またはコーティングの硬化のために、任意に加熱または乾燥ユニット40を通過する。
【0040】
本発明の方法の他の態様として、カーテン塗装法がフィルムへのコーティングの薄い層を塗布するのに用いられる。図4は、代表的なカーテン塗装法を示している。前記各図におけるように、重合体フィルム層12は、フィルム形成ダイ18から溶融押出され、図示のゴムロール13と金属ロール14との間のニップに落下する。押出フィルムは、冷却及び固化した後、カーテンコーター42、及びバックロール44から成るカーテン塗装ステーションを通過する。カーテン塗装法において、コーティング(塗料)34は、カーテンコーター42内に計量される。次いで、計量したコーティング34は、カーテンコーター42のリップから円滑に滝のように落ち、移動するフィルム12の表面に層状となって流れる。コーティング34は、移動するフィルム12上に堆積するとき、薄い塗膜へと引っ張られる。次いで、塗装フィルム12’は、キャリア溶剤の乾燥及び/またはコーティングの硬化のために、任意に加熱または乾燥ユニット40を通過する。
【0041】
本発明の方法の他の態様において、ロール塗装法が該フィルムに対するコーティングの薄い層を塗装するのに用いられる。図5は、代表的なロール塗装法を示している。前記各図におけるように、重合体フィルム層12は、フィルム形成ダイ18から溶融押出され、図示のゴムロール13と金属ロール14との間のニップに落下する。押出フィルムは、冷却及び固化した後、塗装ピックアップロール50、塗装ロール52、バックロール54、及びコーティング収納装置56から成るロール塗装ステーションを通過する。コーティング溶液は、受け皿などのコーティング収納装置56からピックアップロール50によりピックアップされる。ピックアップロール50は、コーティング(塗料)を塗装ロール52に移送する。次いで、塗装ロール52は、移動するフィルム上を回転し、該フィルムの表面上にコーティング溶液を堆積する。次いで、塗装フィルム12’は、キャリア溶剤の乾燥及び/またはコーティングの硬化のために、任意に加熱または乾燥ユニット40を通過する。
【0042】
図5において、ピックアップロール50及び塗装ロール52は、コーティング(塗料)を該容器56から該フィルム12に移送する堅い円滑な表面を有するロールとして示されている。しかし、本開示のために、ピックアップロール50は、スポンジ状表面、剛毛またはブラシ型表面、彫り込んだ表面、またはコーティング溶液を該フィルムに移送するために適したその他の表面を有していてもよい。
【0043】
これらの図面において、任意の乾燥ユニット40が図示されている。しかし、若干のコーティングでは、巻き取る前に、コーティングのキャリア溶剤を乾燥または硬化するのが望ましくないことがある。そのようなコーティングでは、キャリア溶剤の湿気を残している場合に、ブロッキング防止を最適に行うことができる。この場合には、乾燥ユニット40は、不必要である。
【0044】
エラストマーフィルムを塗装した後、該フィルムは、空調されていない貯蔵庫などの高い温度であっても、ロールに巻き取って貯蔵することができる。数週間から数ヶ月の貯蔵後、該エラストマーフィルムは、さらなる加工及び/または他の製品への組み込みのために、容易に巻き戻すことができる。
【0045】
塗装エラストマーフィルムは、製造され塗装された直後であっても、巻き取られて貯蔵された後であっても、さらなる加工に進めることができる。この加工には、穴あけ;裁断;不織布などの他の基材に対する熱、接着剤または超音波手段による積層;エラストマーの活性化;または衣類やおむつなどの最終使用製品への該フィルムのシート、リボン若しくはパッチの組み込みが挙げられるが、このような行為に限定されない。これらの加工工程及び他の付加的な加工工程は、本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0046】
コーティングが、湿気ている間にブロッキングを防止するタイプである場合、該フィルムの貯蔵後であって、該フィルムが付加的な工程を受ける前に、該フィルムの表面から残留キャリア溶剤を除去することが重要となるであろう。驚くべきことに、本発明者らは、該フィルムを巻き戻したとき、残留キャリア溶剤が該フィルムの表面から容易かつ迅速に蒸発することを見出した。多くの場合、キャリア溶剤を除去するために、表面の加熱などの付加的な補助を必要としない。しかし、当該工程が必要とする場合には、付加的な加工工程の前に、該フィルムを加熱ステーションに通して、該フィルムが直ちに乾燥するのを助けることができる。
【0047】
付加的な加工の一例として、非ブロッキング性エラストマーフィルムは、公知の延伸手段によって活性化することができる。エラストマーフィルムを機械方向に活性化するのに、機械方向配向(MDO)を用いることができるが、一方、横方向にフィルムを活性化するのには、テンタリング(幅だし)が用いられる。塗装エラストマーフィルムの特に好ましい活性化法は、米国特許第4,144,008号明細書に開示されているように、該フィルムを噛み合いロール群間で漸増的に延伸する漸増的延伸(incremental stretching)である。漸増的延伸ロール群は、フィルムを機械方向、幅方向、斜め方向、またはこれらの組み合わせでの活性化に用いることができる。
【0048】
付加的な工程の他の例において、本発明の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムは、公知の積層法によって、基材層と積層することができる。基材層は、他の重合体フィルム、布、または紙などの伸長性のシート状材料であり得る。ひとつの限定されない例において、該基材層は、不織ウエブである。好適な不織ウエブの例としては、スパンボンド、カード、溶融吹き付け、及びスパンレイスド(spunlaced)不織布ウエブが挙げられる。これらの不織布は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリウレタン類、エラストマー類、レーヨン、セルロース、これらの共重合体類、またはこれらのブレンド若しくは混合物などの繊維から構成される。マットに形成されたセルロース系またはセルロース繊維を含むティッシュ若しくはティッシュ状製品などの紙製品は、本発明の範囲に入る不織繊維ウエブまたは不織材料と考えることができる。不織ウエブは、均質構造である繊維から成るものでもよいし、あるいは、鞘/コア、並列、海島、及び他の公知の二成分形状等の二成分構造から成るものでもよい。不織材料の詳細な説明について、「不織布下塗り及び基準サンプラー(Nonwoven Fabric Primer and Reference Sampler)」、E.A.ヴォーン(Vaughn)著、不織布工業協会、第3版(1992)を参照されたい。そのような不織繊維ウエブは、代表的に約5g/mから75g/mの坪量を有している。本発明の目的のために、不織材料は、約5g/mから20g/mの坪量を持つ非常に軽いものがよい。しかし、約20g/mから75g/mの坪量を有するより重い不織材料も、得られる積層体または最終用途製品において心地よい布状組織等のある特性を達成するために望ましい。
【0049】
また、織布、編み物、スクリム、網製品等の他の種類の基材層も、本発明の範囲内である。これらの材料は、エラストマーフィルム層が巻き取りに際しブロッキングを生じるのを防止する保護層として確かに使用することができる。しかし、コスト、入手性、及び加工の容易性の点から、不織布が、本発明の方法において、積層体に一般に好ましい。
【0050】
本発明の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムは、公知の積層手段によって基材層に積層することができる。これらの積層法は、押出積層、接着剤積層、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、レーザー接合、及びその他の手段を含む。これらの接合法の組み合わせも、本発明の範囲内である。
【0051】
本発明の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムは、2以上の前記基材層に積層することもできる。
【0052】
本発明の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムが、エラストマー性ではない基材と積層された場合には、延伸性及び回復性とするために、該積層体を活性化しなければならない。エラストマーフィルム類と布類との積層体類は、漸増的延伸による活性化に特に適している。共通して譲渡された特許5,422,172(「Wu’172」)(参照のため組み込まれる)に開示されているように、ここで造られた種類のエラストマー積層体類は、ここに述べた漸増的延伸ロール群を用いた漸増的延伸によって活性化することができる。
【0053】
本発明の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムは、工程の任意の時点で、1以上の基材層と積層することができる。特に、該フィルムは、該フィルムの活性化の前または後に、基材層に積層することができる。大部分の非エラストマー性基材層の場合において、活性化の前に積層を実施し、次いで、積層体を活性化することが望ましい。あるいは、非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムを活性化し、活性化した非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムに基材を積層し、次いで、積層体を、積層体の全ての層が容易に延伸するように、もう一度活性化を行うことができる。活性化したフィルムを非エラストマー性基材に積層し、かつ、積層後の活性化が望ましくない場合には、非エラストマー性基材を、ネッキングしたり、ヒダにしたり、シワにしたり、折り畳んだり、寄せ集めたり、またはその他の処理を行って、第二基材に引裂や傷を与えることなく、積層体の該フィルム成分を延伸できるようにすることができる。
【0054】
非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムまたは積層体は、細長く切り裂くか、シートまたはパッチに裁断して、最終用途製品上の1箇所以上に接着剤、熱、若しくは超音波で積層することもできる。
【0055】
非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムまたは積層体は、該フィルムまたは積層体に気流及び呼吸性をもたらすために、開孔したり穴あけしたりすることができる。該フィルムまたは積層体を穴あけする方法の具体例として、これらに限定されないが、化学的エッチング、レーザー穿孔、真空穿孔、ニードルパンチング、カレンダー穿孔、超音波穿孔、及びその他の公知の方法が挙げられる。
【実施例】
【0056】
下記の実施例は、本発明の様々な特徴を示すために提示するものである。これらの実施例は、本発明を限定することを決して意図するものではない。
【0057】
実施例1
本発明のエラストマーフィルムを調製し、ロールブロッキングのための試験を行った。エラストマーフィルムは、約50%のスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)4111〕、25%のスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)7400〕、20%のアンチブロックマスターバッチ〔レーマン&ボス社(Lehmann & Voss)製9840;Dow STYRON(登録商標)485ポリスチレン担体樹脂中の約50%のアンチブロック剤から成る〕、2%のスリップマスターバッチ〔Lehmann & Voss製9841;Dow STYRON(登録商標)485ポリスチレン担体樹脂中の約20%のエルカミド・スリップ剤〕、及び3%の白色マスターバッチ濃縮物〔Schulman Corporation製Schulman(登録商標)8500〕から構成されている。該フィルムは、キャスト押出ラインで調製され、目標坪量は、約70g/mであった。該フィルムの片面に、Polywater(登録商標)A(水性界面活性剤溶液)の霧をスプレイした。該エラストマーフィルムの他面は、界面活性剤で処理しなかった。次いで、該フィルムを巻き取り、室温で約1週間貯蔵した。
【0058】
貯蔵後、重大なブロッキングが生じていないかを判定するために、該フィルムを全て巻き戻した。該フィルムは、重大なブロッキング問題を引き起こすことなく全て巻き戻すことができた。
【0059】
実施例2
本発明のエラストマーフィルムを調製し、ロールブロッキングのための試験を行った。エラストマーフィルムは、約45%のスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)4111A〕、30%のスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体〔Dexco Polymers LP製Vector(登録商標)7400〕、15%の耐衝撃性ポリスチレン〔Dow STYRON(登録商標)478〕、2%のスリップマスターバッチ〔Lehmann & Voss製9841;Dow STYRON(登録商標)485ポリスチレン担体樹脂中の約20%のエルカミド・スリップ剤〕、及び5%の白色マスターバッチ濃縮物〔Schulman Corporation製Schulman(登録商標)8500〕から構成されている。該フィルムは、キャスト押出ラインで調製され、目標坪量は、約70g/mであった。該フィルムの片面に、標準全面ドット印刷パターンを用いたフレキソ印刷プレスによって、有機溶剤混合物に溶解したラッカー〔ミシガン州アナーバーのFlint InkのPE-081505A〕を印刷することにより塗装した。コーティングは、約0.4μm厚の塗装厚みが得られるように塗装した。フィルムの他面は、塗装しなかった。
【0060】
塗装エラストマーフィルムをロールに巻き取り、室温で5日間貯蔵した。貯蔵後、該フィルムは、重大なブロッキングを引き起こすかを判定するために、完全に巻き戻した。該フィルムは、殆どまたは全くブロッキングすることなく、完全に巻き戻すことができた。次に、該フィルムを再び巻き取って、室温でさらに15日間貯蔵した。再び、この熟成後に、該エラストマーフィルムは、容易に巻き戻すことができた。
【0061】
ここに述べた具体的な例示と実施態様は、本来典型的なもののみであって、請求の範囲によって適宜される本発明を限定することを意図するものではない。更なる実施態様及び実施例は、この明細書の観点から、当業者であれば明らかであり、請求している本発明の範囲内に入る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、代表的なフレキソ印刷または塗装法の概略図である。
【図2】図2は、代表的なスプレー塗装法の概略図である。
【図3】図3は、代表的なナイフ塗装法の概略図である。
【図4】図4は、代表的なカーテン塗装法の概略図である。
【図5】図5は、代表的なロール塗装法の概略図である。
【符号の説明】
【0063】
12 重合体フィルム層
12’ 非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム
13 ゴムロール
14 金属ロール
18 フィルム形成ダイ
20 刻印版
22 ロール
24 アニロックスロール
26 コーティング収納装置
30 スプレイユニット
31 バックロール
32 計量塗装用ディスペンサー
34 コーティング溶液またはスラリー
36 ナイフ
38 ナイフホルダー
40 乾燥ユニット
42 カーテンコーター
44 バックロール
50 塗装用ピックアップロール
52 塗装ロール
54 バックロール
56 コーティング収納装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー重合体フィルム層及び非ブロッキング性塗装成分を含む非ブロッキング性溶剤系塗装層から成り、該塗装層が該エラストマー重合体フィルム層の第一の表面に塗装されている非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項2】
該非ブロッキング性溶剤系塗装成分が、インク、ラッカー、界面活性剤、潤滑剤、スラリー、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項3】
該エラストマー重合体フィルム層への該非ブロッキング性溶剤系塗装層のコーティングが、印刷、スプレイ塗装、ナイフ塗装、カーテン塗装、浸漬塗装、ロール塗装、スポンジロール塗装、及びブラシロール塗装からなる群より選択される請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項4】
該非ブロッキング性溶剤系塗装層が、該エラストマー重合体フィルム層に対して、非塗装表面領域によって分離された離間塗装領域から成るパターン状に塗装されている請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項5】
該非ブロッキング性溶剤系塗装層が、該エラストマー重合体フィルム層に対して、非塗装表面の実質的に不連続な領域によって囲まれた実質的に連続的な塗装領域から成るパターン状に塗装されている請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項6】
該非ブロッキング性溶剤系塗装層が、該エラストマー重合体フィルム層に対して、実質的に非塗装表面領域のない実質的に連続的な塗装領域から成るパターン状に塗装されている請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項7】
該エラストマー重合体フィルム層が、ビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類、天然ゴム類、ポリウレタンゴム類、ポリエステルゴム類、エラストマー性ポリオレフィン類、エラストマー性ポリアミド類、及びこれらの混合物からなる群より選ばれるエラストマー重合体から成るものである請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項8】
該エラストマー重合体フィルム層が、エラストマー重合体と高衝撃性ポリスチレンとのブレンド物から成るものである請求項7記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項9】
該エラストマー重合体フィルムが、多層エラストマーフィルム層から成るものである請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項10】
該塗装層が乾燥されたものである請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項11】
該塗装エラストマーフィルムの活性化をさらに含む請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項12】
該塗装エラストマーフィルムが、延伸によって活性化されているものである請求項11記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項13】
該塗装エラストマーフィルムが、漸増的延伸、機械方向の配向、テンタリング、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により活性化されているものである請求項12記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項14】
該エラストマー重合体フィルム層の第二の表面に、さらに第二の非ブロッキング性溶剤系塗装層が塗布されているものである請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項15】
該塗装エラストマーフィルムが、基材層に接合されているものである請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項16】
該基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせから成るものである請求項15記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項17】
該基材層及び該塗装エラストマーフィルムが、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合されている請求項15記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項18】
該塗装エラストマーフィルムが、複数の基材層に接合されており、該複数の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1以上の基材から成るものである請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項19】
該非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムが、穴あけ加工されている請求項1記載の非ブロッキング性塗装エラストマーフィルム。
【請求項20】
a)エラストマー重合体から成るエラストマー重合体フィルムを供給する工程;及び
b)非ブロッキング性塗装成分を含む非ブロッキング性溶剤系コーティングによって、該エラストマー重合体フィルムの第一の表面をコーティングする工程;
から成る非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムの製造方法。
【請求項21】
該非ブロッキング性溶剤系塗装成分が、インク、ラッカー、界面活性剤、潤滑剤、スラリー、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである請求項20記載の製造方法。
【請求項22】
該非ブロッキング性溶剤系コーティングを、印刷、スプレイ塗装、ナイフ塗装、カーテン塗装、浸漬塗装、ロール塗装、スポンジロール塗装、及びブラシロール塗装からなる群より選択される方法によって、該エラストマー重合体フィルム層に塗装する請求項20記載の製造方法。
【請求項23】
該非ブロッキング性溶剤系塗装層を、非塗装表面領域によって分離された離間塗装領域から成るパターン状に、該エラストマーフィルム層に対して塗装する請求項20記載の製造方法。
【請求項24】
該非ブロッキング性溶剤系塗装層を、非塗装表面の実質的に不連続な領域によって囲まれた実質的に連続的な塗装領域から成るパターン状に、該エラストマーフィルム層に対して塗装する請求項20記載の製造方法。
【請求項25】
該非ブロッキング性溶剤系塗装層を、実質的に非塗装表面領域のない実質的に連続的な塗装領域から成るパターン状に、該エラストマーフィルム層に対して塗装する請求項20記載の製造方法。
【請求項26】
該エラストマー重合体フィルム層が、ビニルアリーレン類と共役ジエン単量体類とのブロック共重合体類、天然ゴム類、ポリウレタンゴム類、ポリエステルゴム類、エラストマー性ポリオレフィン類、エラストマー性ポリアミド類、及びこれらの混合物からなる群より選ばれるエラストマー重合体から成るものである請求項20記載の製造方法。
【請求項27】
該エラストマー重合体フィルム層が、エラストマー重合体と高衝撃性ポリスチレンとのブレンド物から成るものである請求項20記載の製造方法。
【請求項28】
該エラストマー重合体フィルム層が、多層エラストマーフィルム層から成るものである請求項20記載の製造方法。
【請求項29】
乾燥工程をさらに含む請求項20記載の製造方法。
【請求項30】
該塗装エラストマーフィルムの活性化工程をさらに含む請求項20記載の製造方法。
【請求項31】
該塗装エラストマーフィルムを、延伸によって活性化する請求項30記載の製造方法。
【請求項32】
該塗装エラストマーフィルムを、漸増的延伸、機械方向の配向、テンタリング、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により活性化する請求項31記載の製造方法。
【請求項33】
該エラストマー重合体フィルム層の第二の表面に、さらに第二の非ブロッキング性溶剤系塗装層をコーティングする工程を含む請求項20記載の製造方法。
【請求項34】
該塗装エラストマーフィルムを、さらに基材層に接合する工程を含む請求項20記載の製造方法。
【請求項35】
該基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせから成るものである請求項34記載の製造方法。
【請求項36】
該基材層及び該塗装エラストマーフィルムを、共押出、押出コーティング、接着剤接合、熱接合、超音波接合、カレンダー接合、点接合、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる方法により接合する請求項34記載の製造方法。
【請求項37】
該塗装エラストマーフィルムを、複数の基材層に接合する工程を含み、該複数の基材層が、重合体フィルム層、不織布、紙製品、織布、編み物、スクリム、網製品、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1以上の基材から成るものである請求項34記載の製造方法。
【請求項38】
該非ブロッキング性塗装エラストマーフィルムを、さらに穴あけ加工する工程を含む請求項20記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−545562(P2008−545562A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514853(P2008−514853)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/021278
【国際公開番号】WO2006/130767
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(503183488)クロペイ プラスチック プロダクツ カンパニー、インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】