説明

ワイパブレード

【課題】部品点数を増加させずにブレードラバーをスムーズに装着可能とする。
【解決手段】背面支持壁44からリヤガラスに向けて突出する抜け防止突起46を設けたので、他の部品を追加せずに抜けを防止できる。背面支持壁44の長手方向両側に各第1支持爪45および抜け防止突起46を設けたので、ブレードラバー50を背面支持壁44に沿わせて押し進めることで、ブレードラバー50を弾性変形させつつ各第1支持爪45間に容易に装着できる。各支持爪端45aと支持壁端44aとをセカンダリレバー40の長手方向に沿う同位置に設け、各第1支持爪45の抜け防止突起46側とは反対側に窪み部42を設けたので、ブレードラバー50は各第1支持爪45を通過した直後に窪み部42に導かれて、ブレードラバー50の弾性変形量を直ぐに小さくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源により揺動駆動されるアームの先端部に設けられ、払拭面を払拭するワイパブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両にはワイパ装置が搭載され、このワイパ装置は、車室内に設けたワイパスイッチをオン操作することにより作動し、これによりウィンドシールド(払拭面)に付着した雨や埃等の付着物を払拭して良好な視界を確保するようにしている。このようなワイパ装置は、電動モータ(駆動源)によって揺動駆動されるワイパアーム(アーム)と、アームの先端部に設けられるワイパブレードとを備えている。
【0003】
ワイパブレードは、アームの先端部に回動自在に設けられるブレードホルダを備えている。ブレードホルダは、プライマリレバーと、プライマリレバーの長手方向端部に回動自在に設けられるセカンダリレバーとを備え、セカンダリレバーは払拭面を払拭するブレードラバーを保持するようになっている。ブレードラバーは、棒状のバネ部材(バーティブラ)を有する本体部と、払拭面に接触するリップ部と、本体部とリップ部との間に設けられるネック部とを備えている。そして、ブレードラバーの本体部は、セカンダリレバーに設けた一対の支持爪によって支持されている。
【0004】
ところで、大雨時等においてワイパスイッチを「Hi」操作すると、ワイパ装置は高速で払拭動作を行う。すると、ワイパブレードは高速で揺動運動し、ひいてはブレードラバーに遠心力が作用することになる。この遠心力は、ブレードラバーをセカンダリレバーに対してスライドさせる方向(抜ける方向)に作用するため、例えば、セカンダリレバーに抜け防止機構を設ける必要がある。セカンダリレバーの長手方向端部に抜け防止機構を設け、ブレードラバーの抜けを防止し得るものとして、例えば、特許文献1や特許文献2に記載された技術が知られている。
【0005】
特許文献1に記載されたワイパブレードは、支持フレーム(セカンダリレバー)の端部に、当該支持フレームの端部を閉塞するよう蓋状の端片を回動自在に設け、この端片により拭き取りゴム(ブレードラバー)の抜けを防止している。そして、端片を一の状態として支持フレームの端部を閉塞することで、拭き取りゴムの抜けを防止し、端片を回動させて他の状態として支持フレームの端部を開放することで、拭き取りゴムの交換等を行えるようにしている。
【0006】
また、特許文献2に記載されたワイパブレードは、ブレードラバー保持部(支持爪)を有するレバーヨーク(セカンダリレバー)の端部に、ブレードラバー側に突出するブレードラバー係止部を設けている。そして、ブレードラバー係止部がブレードラバーの端部を係止することで、ブレードラバーのレバーヨークからの脱落(抜け)を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平11−512680号公報(Fig.6,Fig.7)
【特許文献2】特開2006−117105号公報(図1,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたワイパブレードによれば、支持フレームの端部に端片を回動自在に設けているため、部品点数が多く、部品管理や組立工程が煩雑化するという問題を生じ得る。また、支持フレームと端片との連結部分が摩耗等することで、端片が勝手に回動してしまうようなことが起こり得る。そのため、端片等の構成部品を定期的に交換する必要があった。
【0009】
一方、上述の特許文献2に記載されたワイパブレードにおいては、部品点数の増加が抑えられるものの、ワイパブレードをレバーヨークに装着する際に、以下のような問題を生じ得る。つまり、ワイパブレードをレバーヨークに装着するには、レバーヨークの長手方向に沿うブレードラバー係止部とブレードラバー保持部との間から、バーティブラを有するブレードラバーを弾性変形させつつ、ブレードラバー保持部に差し込むようにする。そのため、ブレードラバー保持部の角部がブレードラバーに食い込む等して、ブレードラバーをレバーヨークに対して滑らせるようスムーズに装着するのが困難であった。
【0010】
本発明の目的は、部品点数を増加させること無く、ブレードラバーをスムーズに装着可能としたワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のワイパブレードは、駆動源により揺動駆動されるアームの先端部に設けられ、払拭面を払拭するワイパブレードであって、前記払拭面に接触するリップ部を有するブレードラバーと、前記アームの先端部に回動自在に設けられるブレードホルダと、前記ブレードホルダの長手方向に沿うよう設けられ、前記ブレードラバーの本体部の背面側を支持する背面支持壁と、前記背面支持壁の長手方向一側に設けられ、前記本体部を挟むよう支持する一対の支持爪と、前記背面支持壁の長手方向他側に設けられ、前記背面支持壁から前記払拭面に向けて突出し、前記本体部の前記ブレードホルダからの抜けを防止する抜け防止突起と、前記ブレードホルダの前記各支持爪よりも長手方向一側で、前記背面支持壁よりも窪んで設けられ、前記ブレードラバーを前記抜け防止突起と前記各支持爪との間から装着する際に前記ブレードラバーの先端が導かれる窪み部とを備え、前記各支持爪の前記窪み部側の各支持爪端と、前記背面支持壁の前記窪み部側の支持壁端とを、前記ブレードホルダの長手方向に沿う同位置に設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明のワイパブレードは、前記ブレードホルダを、前記アームの先端部に回動自在に設けられるプライマリレバーと、前記プライマリレバーの長手方向に沿ういずれか一方の端部に回動自在に設けられるセカンダリレバーとから形成し、前記プライマリレバーおよび前記セカンダリレバーに、前記背面支持壁,前記支持爪,前記抜け防止突起および前記窪み部を設けることを特徴とする。
【0013】
本発明のワイパブレードは、前記支持壁端に、前記背面支持壁から前記窪み部に向けて徐々に窪む第1円弧形状部を形成したことを特徴とする。
【0014】
本発明のワイパブレードは、前記各支持爪の前記抜け防止突起側の各支持爪端に、前記抜け防止突起側から前記窪み部側に向けて、前記各支持爪間の距離を徐々に近付ける第2円弧形状部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ブレードホルダの背面支持壁から払拭面に向けて突出する抜け防止突起を設けるので、他の部品を追加すること無くブレードラバーのブレードホルダからの抜けを防止でき、ひいては部品点数を増加させなくて済む。また、ブレードラバーをブレードホルダに装着するには、抜け防止突起と各支持爪との間の背面支持壁にブレードラバーの先端を沿わせて押し進め、これによりブレードラバーを弾性変形させつつ各支持爪の間に容易に装着できる。各支持爪の窪み部側の各支持爪端と背面支持壁の窪み部側の支持壁端とを、ブレードホルダの長手方向に沿う同位置に設けており、これによりブレードラバーの先端は各支持爪を通過した後に窪み部に導かれて、ブレードラバーの弾性変形量が小さくなる。このように、ブレードラバーの各支持爪への導入を容易にしつつ、各支持爪の通過後にブレードラバーの弾性変形量を小さくできるので、ブレードラバーのブレードホルダに対する引っ掛かりを抑えて、ブレードラバーをスムーズに装着することができる。
【0016】
本発明によれば、ブレードホルダを、アームの先端部に回動自在に設けられるプライマリレバーと、プライマリレバーの長手方向に沿ういずれか一方の端部に回動自在に設けられるセカンダリレバーとから形成し、プライマリレバーおよびセカンダリレバーに、背面支持壁,支持爪,抜け防止突起および窪み部を設けるので、プライマリレバーの長手方向両端部に一対のセカンダリレバーを備えたワイパブレードに比して、その長手方向に沿う長さ寸法を短くすることができる。よって、狭い払拭範囲の払拭面を払拭できるようになる。
【0017】
本発明によれば、支持壁端に、背面支持壁から窪み部に向けて徐々に窪む第1円弧形状部を形成するので、ブレードラバーの引っ掛かりをより無くして、背面支持壁から窪み部への移動をより滑らかにできる。よって、ブレードラバーをよりスムーズに装着することができる。
【0018】
本発明によれば、各支持爪の抜け防止突起側の各支持爪端に、抜け防止突起側から窪み部側に向けて、各支持爪間の距離を徐々に近付ける第2円弧形状部を形成するので、各第2円弧形状部をブレードラバーの導入案内として機能させることができる。よって、ブレードラバーの各支持爪への導入をより容易にして、ブレードラバーをさらにスムーズに装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るワイパブレードを横方向から見た平面図である。
【図2】図1のワイパブレードを上方から見た平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図5】(a),(b)は、セカンダリレバーの詳細を示す斜視図である。
【図6】セカンダリレバーの各第1支持爪および抜け防止突起を拡大して示す斜視図である。
【図7】ブレードラバーのセカンダリレバーへの装着手順を説明する説明図である。
【図8】本発明の第2実施の形態に係るワイパブレードを示す斜視図である。
【図9】図8のワイパブレードを形成するプライマリレバーの長手方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の第1実施の形態に係るワイパブレードを横方向から見た平面図を、図2は図1のワイパブレードを上方から見た平面図を、図3は図2のA−A線に沿う断面図を、図4は図2のB−B線に沿う断面図を、図5(a),(b)はセカンダリレバーの詳細を示す斜視図を、図6はセカンダリレバーの各第1支持爪および抜け防止突起を拡大して示す斜視図をそれぞれ表している。
【0022】
図1に示すワイパブレード10は、例えば、自動車等の車両(図示せず)のリヤガラス(払拭面)11を払拭するリヤワイパ装置(図示せず)を形成し、当該ワイパブレード10は、ホルダ部材20とブレードラバー50とを備えている。ホルダ部材20は、ワイパアーム(アーム)12の先端部12aに回動自在に設けられ、ワイパアーム12の基端部(図示せず)には、駆動源としてのワイパモータ(図示せず)が取り付けられている。
【0023】
これにより、操作者によりワイパスイッチ(図示せず)をオン操作することでワイパモータが正逆方向に回転駆動され、ひいてはワイパアーム12が揺動運動する。そして、図3および図4の各矢印m1,m2に示すように、ホルダ部材20およびブレードラバー50がリヤガラス11上の所定の払拭範囲(図示せず)で往復移動し、これによりブレードラバー50のリップ部52が、リヤガラス11に付着した雨や埃等を払拭するようになっている。
【0024】
ホルダ部材20は、図1および図2に示すように、プライマリレバー30と一対のセカンダリレバー40とを備えている。各セカンダリレバー40は、プライマリレバー30の長手方向両端部に回動自在に設けられ、いずれも同じ形状に形成されている。ここで、各セカンダリレバー40は、本発明におけるブレードホルダを構成している。
【0025】
プライマリレバー30は、プラスチック等の樹脂材料により棒状に形成され、図2に示すように長手方向に延びる長孔31を備えている。これにより、プライマリレバー30は軽量化されている。長孔31の長手方向略中間部分には、軸芯C1を有する円柱状の連結ピン32が設けられ、当該連結ピン32はプライマリレバー30の短手方向に延びている。連結ピン32には、ワイパアーム12の先端部12a(図1参照)が回動自在に連結されるようになっている。つまり、図1に示すように、プライマリレバー30はワイパアーム12に対して、軸芯C1を中心に矢印S1方向に揺動するようになっている。
【0026】
また、プライマリレバー30の長手方向両端部には、図1に示すように一対の取付脚33がリヤガラス11側に突出するよう一体に設けられている。各取付脚33には、各セカンダリレバー40の各円柱凸部43(図2および図5参照)が係合する円柱凹部(図示せず)がそれぞれ形成されている。
【0027】
プライマリレバー30の各取付脚33には、一対のセカンダリレバー40がそれぞれ設けられている。各セカンダリレバー40は、プライマリレバー30と同様にプラスチック等の樹脂材料により棒状に形成され、図5に示すように長手方向に延びる長孔41および窪み部42を備えている。これにより、各セカンダリレバー40においてもプライマリレバー30と同様に軽量化されている。
【0028】
ここで、各セカンダリレバー40はいずれも同じ形状であるため、以下、図1および図2における左側のセカンダリレバー40を代表して、その詳細構造について説明する。
【0029】
図5に示すように、長孔41の長手方向略中間部分には、軸芯C2を有する一対の円柱凸部43(図示では1つのみ示す)が設けられ、各円柱凸部43は、セカンダリレバー40の短手方向に互いに向き合うよう突出されている。各円柱凸部43は、取付脚33に設けられた各円柱凹部に回動自在に入り込むようになっている。つまり、図1に示すように、各セカンダリレバー40はプライマリレバー30に対して、軸芯C2を中心に矢印S2方向にそれぞれ揺動するようになっている。このように、各セカンダリレバー40は、プライマリレバー30を介してワイパアーム12の先端部12aに回動自在に設けられている。
【0030】
図6に示すように、セカンダリレバー40には、その長手方向に沿うよう背面支持壁44が設けられ、当該背面支持壁44は、窪み部42よりもリヤガラス11側(図中上側)に配置されている。背面支持壁44は、ブレードラバー50をセカンダリレバー40に装着した状態のもとで、ブレードラバー50の本体部51の背面側と接触し、当該本体部51の背面側を支持するようになっている(図3参照)。
【0031】
背面支持壁44の長手方向一側(図中右側)には、ブレードラバー50の本体部51を横方向から挟むよう支持する一対の第1支持爪(支持爪)45が一体に設けられている。各第1支持爪45は、背面支持壁44からリヤガラス11側に突出して設けられ、その先端側は、互いに向き合うようブレードラバー50側に屈曲され、断面が略L字形状に形成されている(図3参照)。これにより、各第1支持爪45は本体部51の側面側および正面側の一部(リップ部52側の一部)を抱え込むよう支持するようになっている。
【0032】
背面支持壁44の長手方向他側(図中左側)には、当該背面支持壁44からリヤガラス11側に突出するよう抜け防止突起46が一体に設けられている。抜け防止突起46には、ブレードラバー50における本体部51の端部を支持するラバー支持面46aが設けられ、当該ラバー支持面46aは、セカンダリレバー40の長手方向に沿って、各第1支持爪45間と対向している。これにより、抜け防止突起46は、ブレードラバー50をセカンダリレバー40に装着した際に、本体部51の端部を支持し、本体部51(ブレードラバー50)のセカンダリレバー40からの抜けを防止するようになっている(図1参照)。
【0033】
窪み部42は、セカンダリレバー40の各第1支持爪45よりも長手方向一側(図中右側)で、背面支持壁44よりも窪んで設けられている。つまり、窪み部42は、背面支持壁44よりもリヤガラス11側とは反対側に配置されている。窪み部42には、図中実線矢印(1)に示すように、セカンダリレバー40の長手方向に沿う抜け防止突起46と各第1支持爪45との間からブレードラバー50を装着する際に、各第1支持爪45を通過したブレードラバー50の先端が導かれるようになっている。
【0034】
各第1支持爪45の窪み部42側(セカンダリレバー40の長手方向一側)には、支持爪端45aがそれぞれ設けられ、各支持爪端45aは、背面支持壁44から略垂直方向に延在している。また、背面支持壁44の窪み部42側(セカンダリレバー40の長手方向一側)には、支持壁端44aが設けられ、支持壁端44aは、背面支持壁44と窪み部42とを接続している。
【0035】
各支持爪端45aおよび支持壁端44aは、図7に示すように、セカンダリレバー40の長手方向に沿う同位置に設けられている(爪端部分RPおよび接触部分CP2の位置)。これにより、図7の二点鎖線で示すように、各第1支持爪45間を通過したブレードラバー50は、その直後に背面支持壁44から窪み部42に導かれるようになっている。つまり、各第1支持爪45間を通過した直後に、ブレードラバー50の弾性変形量が小さくなり、ブレードラバー50は背面支持壁44から窪み部42側に形成された段差部ES内に入り込む。このように、各第1支持爪45間を通過した直後にブレードラバー50の弾性変形量が小さくなるので、ブレードラバー50のセカンダリレバー40に対する引っ掛かりが抑えられるようになっている。
【0036】
図6に示すように、支持壁端44aの背面支持壁44側、つまり、背面支持壁44と支持壁端44aとの間には、背面支持壁44から窪み部42に向けて徐々に窪むよう断面が略円弧形状に形成された第1円弧形状部47が形成されている。第1円弧形状部47は、ブレードラバー50のセカンダリレバー40への装着時に、円弧形状の表面部分で本体部51の移動を支持し、これにより引っ掛かりの無いスムーズな装着を可能としている。
【0037】
各第1支持爪45の抜け防止突起46側の各支持爪端45bには、抜け防止突起46側から窪み部42側に向けて、各第1支持爪45間の距離を徐々に近付ける第2円弧形状部48がそれぞれ設けられている。各第2円弧形状部48は、ブレードラバー50のセカンダリレバー40への導入案内として機能、つまり、本体部51を各第1支持爪45間に導入し易くする機能を備え、これにより引っ掛かりの無いスムーズな装着を可能としている。
【0038】
図5に示すように、セカンダリレバー40の長手方向に沿う抜け防止突起46側とは反対側(図中右側)には、さらにもう一対の第2支持爪49が設けられている。各第2支持爪49においても、各第1支持爪45と同様にリヤガラス11側に突出して設けられ、その先端側は、互いに向き合うようブレードラバー50側に屈曲され、断面が略L字形状に形成されている。これにより、各第2支持爪49においても、本体部51の側面側および正面側の一部(リップ部52側の一部)を抱え込むよう支持するようになっている。
【0039】
ここで、セカンダリレバー40の長手方向に沿うよう真っ直ぐにブレードラバー50を各第1支持爪45へ装着することにより、ブレードラバー50の先端が各第2支持爪49間に導かれて、ひいてはブレードラバー50を各第2支持爪49に支持させることができる。
【0040】
図3および図4に示すように、ブレードラバー50は、本体部51とリップ部52とを備え、本体部51とリップ部52との間にはネック部53が設けられている。ブレードラバー50は、ホルダ部材20の長手方向に沿うよう延在しており、その断面形状は、ブレードラバー50の長手方向に沿う全域で同じ形状となっている。
【0041】
本体部51には、一対のバネ収容溝51aが設けられ、各バネ収容溝51aはそれぞれ本体部51の短手方向に沿って対向配置されている。各バネ収容溝51aには、棒状の鋼材よりなる一対のバーティブラ(バネ部材)54がそれぞれ装着されている。各バーティブラ54は、外力を負荷しない自然状態のもとで、リヤガラス11の曲率半径R(図1参照)よりも小さい曲率半径を有するよう形成され、これにより各バーティブラ54のバネ力により、ブレードラバー50がリヤガラス11の曲率半径Rに合わせて弾性変形し、ひいてはリップ部52の長手方向に沿う全域が、リヤガラス11に接触(密着)するようになっている。
【0042】
本体部51には、さらに一対の凹溝51bが設けられ、各凹溝51bは、各バネ収容溝51aと同様に、本体部51の短手方向に沿ってそれぞれ対向配置されている。各凹溝51bには、各セカンダリレバー40の各第1,第2支持爪45,49の先端部分がそれぞれ入り込むようになっており、これにより、図1に示すようにブレードラバー50は各セカンダリレバー40に脱落すること無く支持される。
【0043】
ネック部53は、ブレードラバー50の他の部分に比して、最も薄肉に形成され、弾性変形し易くなっている。これにより、図3および図4の各矢印m1,m2に示すように、リップ部52がリヤガラス11上を往復移動する際に、ネック部53は図中左右方向に傾動する(詳細図示せず)。そして、ネック部53の左右方向への傾動により、リップ部52がリヤガラス11上を左右方向に傾斜した状態で摺接し、リヤガラス11に付着した雨や埃等を確実に払拭するようになっている。このとき、リップ部52は、左右方向に傾斜しつつ払拭動作をするので、当該払拭動作時におけるビビリ音の発生等を防止するようになっている。
【0044】
次に、以上のように形成したワイパブレード10の組み立て手順、つまりブレードラバー50のセカンダリレバー40(ホルダ部材20)への装着手順について、図面を用いて詳細に説明する。図7はブレードラバーのセカンダリレバーへの装着手順を説明する説明図を表している。
【0045】
まず、プライマリレバー30と各セカンダリレバー40とを回動自在に連結してなるホルダ部材20(図1および図2参照)を準備するとともに、各バネ収容溝51aに各バーティブラ54を装着したブレードラバー50(図3および図4参照)を準備する。
【0046】
次に、図7に示すように、一対のセカンダリレバー40の内のいずれか一方(ここでは図1および図2の左側)における、抜け防止突起46と各第1支持爪45との間の背面支持壁44に、ブレードラバー50の先端における本体部51の背面側(図中上側)を押し付ける。ここで、ブレードラバー50の先端の背面支持壁44に対する傾斜角度は、図6および図7の実線矢印(1)に示すように緩やかになるようにし、これによりブレードラバー50の先端を、背面支持壁44に対して滑らせつつ各第1支持爪45間に導入し易くする。
【0047】
ブレードラバー50の先端を、背面支持壁44に沿わせて押し進めていくと、図7の二点鎖線で示すようにブレードラバー50が弾性変形しつつ、本体部51の正面側(図中下側)が各第1支持爪45の各第2円弧形状部48側と接触部分CP1で接触する。ここで、接触部分CP1での引っ掛かりをより低減するためには、ブレードラバー50をより弾性変形させ、各第1支持爪45に対するブレードラバー50の傾斜角度をより緩やかにすれば良い。また、各第1支持爪45の接触部分CP1に対応する部分を、第1円弧形状部47と同様に、断面が円弧形状となるよう形成しても良い。
【0048】
その後、さらにブレードラバー50を押し進めていくことで、その先端が各第1支持爪45間に導入されていく。このとき、ブレードラバー50の先端は、各第1支持爪45の導入案内として機能する各第2円弧形状部48に倣って移動していく。これにより、ブレードラバー50と各第1支持爪45とが多少ずれていたとしても、ブレードラバー50は各第1支持爪45間に確実に導入されていく。このように各第2円弧形状部48は、ブレードラバー50のセカンダリレバー40への装着性を向上させている。
【0049】
さらにブレードラバー50を押し進めていくと、やがてブレードラバー50の先端は各第1支持爪45間を通過し、背面支持壁44を越えて窪み部42に到達する。すると、ブレードラバー50は段差部ES内に入り込み、ブレードラバー50の先端は何にも拘束されない自由状態となる。これにより、変形状態にあったブレードラバー50の弾性変形量が小さくなる(屈曲変形状態が略元の真っ直ぐな状態に戻る)。よって、ブレードラバー50の弾性抵抗に起因するセカンダリレバー40に対する引っ掛かりが抑えられ、スムーズな装着が可能となる。
【0050】
ここで、ブレードラバー50の本体部51は、背面支持壁44と支持壁端44aとの間の第1円弧形状部47との接触部分CP2に押し付けられた状態のもとで移動するが、第1円弧形状部47は円弧形状であるため、ブレードラバー50のセカンダリレバー40に対する引っ掛かりが抑えられている。
【0051】
また、各支持爪端45aおよび支持壁端44aを、セカンダリレバー40の長手方向に沿う同位置(爪端部分RPおよび接触部分CP2の位置)に設け、接触部分CP1と接触部分CP2との間の距離Lが短いので、ブレードラバー50を弾性変形させた状態で移動させる距離(=距離L)が短く、よりスムーズな装着を可能としている。これとは逆に、支持壁端44aを図中右側に移動させ、接触部分CP1と接触部分CP2との間の距離を長くすると、ブレードラバー50を弾性変形させた状態で移動させる距離も長くなり、ひいてはスムーズな装着が困難になる。
【0052】
さらにブレードラバー50を押し進めていくと、ブレードラバー50の先端が各第2支持爪49間に導入される(図1参照)。これにより、一方のセカンダリレバー40に対してブレードラバー50が装着される。さらにブレードラバー50を押し進めていくと、ブレードラバー50の先端が他方のセカンダリレバー40の各第2支持爪49間に導入され、その後、他方のセカンダリレバー40の各第1支持爪45間に導入される(図1参照)。
【0053】
そして、ブレードラバー50を押し進められるところまで押し進めていくことで、ブレードラバー50の両端部が各抜け防止突起46の各ラバー支持面46aに支持されるようになり、これによりブレードラバー50のホルダ部材20への装着が完了する。
【0054】
なお、ブレードラバー50をメンテナンスすべくホルダ部材20から取り外すには、上記とは逆に、まずブレードラバー50の端部を把持して持ち上げ、ブレードラバー50を弾性変形させる。次いで、図7の破線矢印(2)に示すように、セカンダリレバー40の抜け防止突起46と各第1支持爪45との間から、ブレードラバー50を引き抜くようにすれば良い。
【0055】
以上詳述したように、第1実施の形態に係るワイパブレード10によれば、セカンダリレバー40の背面支持壁44からリヤガラス11に向けて突出する抜け防止突起46を設けたので、他の部品を追加すること無くブレードラバー50のセカンダリレバー40からの抜けを防止でき、ひいては部品点数を増加させなくて済む。
【0056】
また、ブレードラバー50をセカンダリレバー40に装着するには、抜け防止突起46と各第1支持爪45との間の背面支持壁44にブレードラバー50の先端を沿わせて押し進め、これによりブレードラバー50を弾性変形させつつ各第1支持爪45の間に容易に装着できる。
【0057】
各第1支持爪45の窪み部42側の各支持爪端45aと背面支持壁44の窪み部42側の支持壁端44aとを、セカンダリレバー40の長手方向に沿う同位置に設けたので、これによりブレードラバー50の先端は各第1支持爪45を通過した後に窪み部42に導かれて、ブレードラバー50の弾性変形量が小さくなる。
【0058】
このように、ブレードラバー50の各第1支持爪45への導入を容易にしつつ、各第1支持爪45の通過後にブレードラバー50の弾性変形量を小さくできるので、ブレードラバー50のセカンダリレバー40に対する引っ掛かりを抑えて、ブレードラバー50をスムーズに装着することができる。
【0059】
第1実施の形態に係るワイパブレード10によれば、支持壁端44aに、背面支持壁44から窪み部42に向けて徐々に窪む第1円弧形状部47を形成したので、ブレードラバー50の引っ掛かりをより無くして、背面支持壁44から窪み部42への移動をより滑らかにできる。よって、ブレードラバー50をよりスムーズに装着することができる。
【0060】
第1実施の形態に係るワイパブレード10によれば、各第1支持爪45の抜け防止突起46側の各支持爪端45bに、抜け防止突起46側から窪み部42側に向けて、各第1支持爪45間の距離を徐々に近付ける第2円弧形状部48を形成したので、各第2円弧形状部48をブレードラバー50の導入案内として機能させることができる。よって、ブレードラバー50の各第1支持爪45への導入をより容易にして、ブレードラバー50をさらにスムーズに装着することができる。
【0061】
次に、本発明の第2実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0062】
図8は本発明の第2実施の形態に係るワイパブレードを示す斜視図を、図9は図8のワイパブレードを形成するプライマリレバーの長手方向に沿う断面図をそれぞれ表している。
【0063】
図8に示すように、第2実施の形態に係るワイパブレード60は、第1実施の形態に係るワイパブレード10(図1参照)に比して、ブレードホルダとしてのセカンダリレバー40を1つのみ備えた点が異なっている。つまり、ワイパブレード60は、1つのプライマリレバー70と1つのセカンダリレバー40とを備えており、これにより第1実施の形態のワイパブレード10に比して、その長手方向に沿う長さ寸法を詰めて短くできるようにしている。ワイパブレード60は長さ寸法が短いため、より狭い払拭範囲のリヤガラス(図示せず)を払拭できるようになっている。
【0064】
図8に示すように、プライマリレバー70の連結ピン32には、ワイパアーム12の先端部12aが回動自在に連結されている。図9に示すように、プライマリレバー70の長手方向に沿う一方側(図中右側)の端部には、セカンダリレバー40が回動自在に取り付けられる取付脚33が一体に設けられている。一方、プライマリレバー70の長手方向に沿う他方側(図中左側)の端部には、ブレードラバー50を保持するラバー保持部71が一体に設けられている。
【0065】
ラバー保持部71は、セカンダリレバー40と同様にブレードラバー50を保持するラバー保持機能を備えており、したがってプライマリレバー70は、本発明におけるブレードホルダを構成している。ラバー保持部71は、セカンダリレバー40に比して、一対の第2支持爪49(図5参照)を備えない以外は、同様の形状に形成されている。具体的には、ラバー保持部71は、図9に示すようにプライマリレバー70の長手方向に延びる窪み部42,背面支持壁44,一対の第1支持爪45(図示では1つのみ示す)および抜け防止突起46を備えている。そして、窪み部42,背面支持壁44,第1支持爪45および抜け防止突起46のプライマリレバー70に対する配置関係は、セカンダリレバー40に対する配置関係と同じ配置関係となっている(図7参照)。
【0066】
また、背面支持壁44の窪み部42側の支持壁端44aには、背面支持壁44から窪み部42に向けて徐々に窪む第1円弧形状部47が形成されている(詳細形状は図6参照)。さらに、各第1支持爪45の抜け防止突起46側の各支持爪端45bには、抜け防止突起46側から窪み部42側に向けて、各第1支持爪45間の距離を徐々に近付ける第2円弧形状部48が形成されている(詳細形状は図6参照)。なお、プライマリレバー70にブレードラバー50を装着するには、上述したセカンダリレバー40に対するブレードラバー50の装着手順(第1実施の形態)と同じ装着手順を踏むようにする。
【0067】
以上詳述したように、第2実施の形態に係るワイパブレード60においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第2実施の形態においては、ブレードホルダを、1つのプライマリレバー70と1つのセカンダリレバー40とから形成し、プライマリレバー70にも背面支持壁44,第1支持爪45,抜け防止突起46および窪み部42を設けたので、プライマリレバー30の長手方向両端部に一対のセカンダリレバー40を備えたワイパブレード10(第1実施の形態)に比して、その長手方向に沿う長さ寸法を短くすることができる。よって、狭い払拭範囲の払拭面を払拭できるようになる。
【0068】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、ワイパブレード10,60を、自動車等の車両のリヤガラス11を払拭するリヤワイパ装置に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、ワイパブレード10,60を、自動車等の車両のフロント側に搭載されるワイパ装置や、船舶,航空機,鉄道車両等に搭載されるワイパ装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 ワイパブレード
11 リヤガラス(払拭面)
12 ワイパアーム(アーム)
12a 先端部
20 ホルダ部材
30 プライマリレバー
31 長孔
32 連結ピン
33 取付脚
40 セカンダリレバー(ブレードホルダ)
41 長孔
42 窪み部
43 円柱凸部
44 背面支持壁
44a 支持壁端
45 第1支持爪(支持爪)
45a 支持爪端(窪み部側の支持爪端)
45b 支持爪端(抜け防止突起側の支持爪端)
46 抜け防止突起
46a ラバー支持面
47 第1円弧形状部
48 第2円弧形状部
49 第2支持爪
50 ブレードラバー
51 本体部
51a バネ収容溝
51b 凹溝
52 リップ部
53 ネック部
54 バーティブラ
60 ワイパブレード
70 プライマリレバー(ブレードホルダ)
71 ラバー保持部
C1,C2 軸芯
CP1,CP2 接触部分
ES 段差部
RP 爪端部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源により揺動駆動されるアームの先端部に設けられ、払拭面を払拭するワイパブレードであって、
前記払拭面に接触するリップ部を有するブレードラバーと、
前記アームの先端部に回動自在に設けられるブレードホルダと、
前記ブレードホルダの長手方向に沿うよう設けられ、前記ブレードラバーの本体部の背面側を支持する背面支持壁と、
前記背面支持壁の長手方向一側に設けられ、前記本体部を挟むよう支持する一対の支持爪と、
前記背面支持壁の長手方向他側に設けられ、前記背面支持壁から前記払拭面に向けて突出し、前記本体部の前記ブレードホルダからの抜けを防止する抜け防止突起と、
前記ブレードホルダの前記各支持爪よりも長手方向一側で、前記背面支持壁よりも窪んで設けられ、前記ブレードラバーを前記抜け防止突起と前記各支持爪との間から装着する際に前記ブレードラバーの先端が導かれる窪み部とを備え、
前記各支持爪の前記窪み部側の各支持爪端と、前記背面支持壁の前記窪み部側の支持壁端とを、前記ブレードホルダの長手方向に沿う同位置に設けたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1記載のワイパブレードにおいて、前記ブレードホルダを、前記アームの先端部に回動自在に設けられるプライマリレバーと、前記プライマリレバーの長手方向に沿ういずれか一方の端部に回動自在に設けられるセカンダリレバーとから形成し、前記プライマリレバーおよび前記セカンダリレバーに、前記背面支持壁,前記支持爪,前記抜け防止突起および前記窪み部を設けることを特徴とするワイパブレード。
【請求項3】
請求項1または2記載のワイパブレードにおいて、前記支持壁端に、前記背面支持壁から前記窪み部に向けて徐々に窪む第1円弧形状部を形成したことを特徴とするワイパブレード。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記各支持爪の前記抜け防止突起側の各支持爪端に、前記抜け防止突起側から前記窪み部側に向けて、前記各支持爪間の距離を徐々に近付ける第2円弧形状部を形成したことを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−32135(P2013−32135A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267438(P2011−267438)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】