説明

ワイパ装置

【課題】低コストで払拭性能を向上させることができるワイパ装置を提供する。
【解決手段】ワイパアーム11は、ピボット軸7に連結されるメインアーム13と、メインアーム13に従動して回転されるサブアーム14とを備え、ワイパブレード12よりも払拭開始時の進行方向後方側に配置されている。ワイパアーム11の先端部に連結されたワイパブレード12は、メインアーム13の回動に連動してワイパアーム11に対する払拭姿勢を変化させる。ウォッシャノズル21は、メインアーム13におけるワイパブレード12よりも基端側となる位置に固定されている。洗浄液の噴射方向は、ワイパブレード12が停止位置に配置された状態においてワイパブレード12の払拭開始時の進行方向前方側でワイパブレード12の先端に向かう方向に設定され、洗浄液の着水点は、ワイパブレード12の長手方向の中央よりもワイパブレード12の基端側となる位置に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液を噴射して払拭面を払拭するワイパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1乃至3に記載されているように、ワイパモータの駆動力により往復回動される駆動軸に対してその基端部が一体回転可能に連結されるメインアームと、駆動軸と異なる位置に配置された従動軸に対してその基端部が回動自在に連結されるサブアームとを備えたパンタグラフ式のワイパアームを備えたワイパ装置がある。パンタグラフ式のワイパアームにおいては、メインアーム及びサブアームの先端部に連結部材を介してワイパブレードが回動自在に連結される。そして、駆動軸を中心にメインアームが回動されると、同メインアームの回動に従動してサブアームが従動軸を中心に回動されるとともに、同メインアームの回動に連動してワイパブレードのワイパアームに対する払拭姿勢が変化される。そのため、パンタグラフ式のワイパアームに連結されたワイパブレードは、駆動軸を中心に回動する1本のワイパアームに連結されたワイパブレードに比べて、より広い範囲に亘って払拭面を払拭することができる。
【0003】
また、例えば特許文献4に記載されているように、従来、ワイパ装置には、払拭面に洗浄液を噴射するウォッシャノズルを備えたものがある。特許文献4に記載のワイパ装置では、ウォッシャノズルは、メインアーム及びサブアームの先端部に連結された連結部材に設けられている。そして、このウォッシャノズルには、洗浄液を供給するためのホースが接続されている。
【0004】
また、特許文献5に記載されたワイパ装置では、ウォッシャノズルは、駆動軸に一体回転可能に設けられるメインヘッドと払拭面に対し接離するように前記メインヘッドに対して回動可能に連結されたメインアーム部材とを備えたメインアームにおいて、前記メインアーム部材に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−190556号公報
【特許文献2】特開2009−166777号公報
【特許文献3】特開2008−55979号公報
【特許文献4】特開2007−62547号公報
【特許文献5】特開昭48−27428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献4に記載のワイパ装置では、ワイパアームの先端から基端まで同ワイパアームに沿ってホースを取り回して該ホースをワイパアームに固定している。従って、ホースが長くなってしまうとともに、ホースの組付けが煩雑になってしまうため、ワイパ装置にかかるコストが増大してしまうという問題が生じる。
【0007】
また、洗浄液は、停止位置に配置されたワイパアームが駆動され始めるときに、ワイパブレードに対して払拭開始時の進行方向前方側に噴射されることが望ましい。しかし、特許文献4及び特許文献5に記載のワイパ装置では、ワイパアームは、ワイパブレードに対して払拭開始時の進行方向後方側に配置されている。そのため、特許文献4及び特許文献5に記載のワイパ装置において、ワイパブレードに対して払拭開始時の進行方向前方側に洗浄液を噴射しようとすると、ワイパアームからワイパブレードの上方を横切ってワイパブレードに対し払拭開始時の進行方向前方側に向けて突出するようにウォッシャノズルを配置することになる。すると、ウォッシャノズルのワイパアームからの突出量が大きくなるため、ワイパ装置を搭載した車両の走行時にウォッシャノズルが風の抵抗を受けたり、風切り音が生じたりする他、ワイパの見栄えが損なわれるという問題も生じてくる。更に、払拭性能を向上させるべく払拭面の乾拭きを避けるためには、ワイパブレードの払拭開始時の進行方向前方側で同ワイパブレードの直ぐ隣に洗浄液を噴射することになる。しかし、ワイパブレードよりも払拭開始時の進行方向前方側に突出したウォッシャノズルから洗浄液を噴射する場合、洗浄液は、至近距離から払拭面に対してほぼ垂直に噴射されることになるため、払拭面上で洗浄液が拡がらない虞がある。そのため、ワイパブレードの長手方向に沿って多数の噴射口が配置された長尺の特殊なウォッシャノズルを用いて、洗浄液を多点噴射する等の対策を講じることになる。しかしながら、多数の噴射口を有するウォッシャノズルは大掛かりで高価であるため、ワイパ装置に要するコストが増大するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、低コストで払拭性能を向上させることができるワイパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、基端部が駆動軸に一体回転可能に連結されるメインアームと、前記駆動軸と異なる位置に配置された従動軸に基端部が回動自在に連結されるとともに前記メインアームの回動に従動して回転されるサブアームとを有するワイパアームと、前記ワイパアームの先端部に回動自在に連結され前記メインアームの回動に連動して前記ワイパアームに対する払拭姿勢を変化させながら払拭面を払拭するワイパブレードと、前記ワイパアームに固定されて前記払拭面に向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズルと、を備えたワイパ装置であって、前記ワイパアームは、前記ワイパブレードよりも払拭開始時の進行方向後方側に配置され、前記ウォッシャノズルは、前記メインアーム及び前記サブアームのうち前記ワイパブレードに近い方のアームにおける前記ワイパブレードよりも基端側となる位置に固定され、前記洗浄液の噴射方向が、前記ワイパブレードが停止位置に配置された状態において前記ワイパブレードの払拭開始時の進行方向前方側で前記ワイパブレードの先端に向かう方向に設定されるとともに、前記洗浄液の着水点が、前記ワイパブレードの長手方向の中央よりも前記ワイパブレードの基端側となる位置に設定されていることをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、メインアーム及びサブアームの2本のアームを備えたワイパアームは、停止位置において当該ワイパアームによって運転視界が妨げられることを抑制するために、ワイパブレードよりも払拭開始時の進行方向後方側に配置されている。このようなワイパ装置において、ウォッシャノズルは、メインアーム及びサブアームのうちワイパブレードに近い方のアームにおいて、ワイパブレードよりも該アームの基端側となる位置に固定されている。更に、ウォッシャノズルからの洗浄液の噴射方向は、ワイパブレードが停止位置に配置された状態においてワイパブレードの払拭開始時の進行方向前方側で同ワイパブレードの先端に向かう方向に設定されている。そのため、ウォッシャノズルから噴射された洗浄液は、払拭面に着水するときに同払拭面に対して鋭角で入射可能となるとともに、払拭面に着水した洗浄液は、ワイパブレードの払拭開始時の進行方向の前方側で、同ワイパブレードの長手方向に沿って拡がる。更に、洗浄液の着水点は、ワイパブレードの長手方向の中央よりも基端側となる位置に設定されているため、洗浄液の噴射量及び噴射圧力を調整することにより、洗浄液をワイパブレードの長手方向に更に広く行き渡らせることができる。そして、この状態でワイパブレードによる払拭が行われると、ワイパブレードの払拭に伴ってワイパブレードの進行方向にも洗浄液が拭き拡げられるとともに、払拭面に付着した汚れを洗浄液を伴って払拭することができる。従って、本発明のワイパ装置の払拭性能が向上される。
【0011】
また、ウォッシャノズルは、メインアーム及びサブアームのうちワイパブレードに近い方のアームにおいて、ワイパブレードよりも該アームの基端側となる位置に固定されているため、洗浄液をウォッシャノズルに供給するためのホースが極めて短くなる。従って、コストを低減できるとともに、ホースの取り回し(組付け)を容易に行うことができる。
【0012】
しかも、メインアーム及びサブアームのうちワイパブレードに近い方のアームにおいてウォッシャノズルが固定される位置は、当該アームがワイパブレードと並列していない位置となる。従って、ワイパブレードの上方を横切るようにウォッシャノズルが大きく突出していなくても、噴射された洗浄液は、ワイパブレードに干渉することなく、ワイパブレードに対して払拭開始時の進行方向の前方側に着水できる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパ装置において、前記メインアームは、前記サブアームよりも前記ワイパブレードに近い位置に配置されるとともに、前記駆動軸に一体回転可能に連結されるメインヘッドと、前記払拭面に対して接離する方向に回動可能に前記メインヘッドに連結されるメインアーム部材とを有し、前記ウォッシャノズルは、前記メインヘッドに固定されていることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、ウォッシャノズルは、駆動軸に連結されるメインヘッドに固定されているため、メインアーム部材を払拭面から離間するように回動させてワイパブレードを同払拭面から離間させた起立姿勢とした場合であっても、洗浄液を払拭面に向けて噴射させることができる。また、洗浄液が空中へ誤噴射されることを防止できる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のワイパ装置において、前記ワイパブレードは、前記停止位置に配置されたときに、前記ワイパブレードの長手軸線が該ワイパブレードの先端から基端に向けて下り勾配となるように前記ワイパアームの先端部に連結されていることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、停止位置に配置されたワイパブレードの長手軸線は、先端から基端に向けて下り勾配となっている。そのため、噴射された洗浄液が、ワイパブレードの先端側に向かうに連れて同ワイパブレードから離間することが抑制される。そして、ワイパアームからのウォッシャノズルの突出量を大きくしなくても、噴射された洗浄液の噴射軸線を、ワイパブレードの払拭開始時の進行方向の前方側で同ワイパブレードの長手軸線と略平行に設定することが容易となる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のワイパ装置において、前記メインアームは、前記駆動軸に一体回転可能に連結されるメインヘッドと、前記払拭面に対して接離する方向に回動可能に基端部が前記メインヘッドに連結されるとともに先端部を前記ワイパブレードに向けて屈曲した屈曲部を備えたメインアーム部材とを有し、前記サブアームよりも前記ワイパブレードに近い位置に配置されるとともに、前記ワイパブレードの基端部は、前記ワイパブレードが前記停止位置に配置された状態において、前記メインアームの基端部と先端部と前記屈曲部とを頂点とする三角形の領域内に配置されていることをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、ワイパブレードが停止位置に配置された状態において、ワイパブレードの基端部をワイパアームと払拭面との間に潜り込ませなくても、言い換えれば、払拭面の法線方向にワイパブレードの基端部とワイパアームとが重なるように配置しなくても、ワイパブレードを、その長手軸線が先端から基端に向けて下り勾配となるように配置することができる。従って、メインアームの払拭面からの高さを低く抑えることができるため、ワイパ装置を搭載した車両の走行時にメインアームが受ける風の抵抗を小さく抑えることができるだけでなく、メインアームが運転者の運転視界の妨げとなることが抑制される。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載のワイパ装置において、前記駆動軸を直接又は間接的に駆動する駆動手段と、ウォッシャスイッチのオン操作により入力される噴射指令信号に基づいて前記ウォッシャノズルからの前記洗浄液の噴射及び前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記噴射指令信号が入力されると直ちに前記ウォッシャノズルから前記洗浄液を噴射させ、更に、前記噴射指令信号が入力されてから所定の待機時間が経過した後に前記駆動軸を駆動するように前記駆動手段を制御することをその要旨としている。
【0020】
同構成によれば、停止位置に配置されたワイパブレードは、その長手軸線が先端から基端に向けて下り勾配となっているため、洗浄液が噴射されてから待機時間が経過するまでの間に、該洗浄液の一部がワイパブレードを伝って該ワイパブレードの基端側へ流れていく。従って、着水点よりもワイパブレードの基端側となる領域にも洗浄液を行き渡らせることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、低コストで払拭性能を向上可能なワイパ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ワイパ装置の概略構成図。
【図2】ワイパの正面図。
【図3】(a)はメインヘッドの側面図、(b)はメインヘッドの平面図。
【図4】(a)〜(c)はワイパの動作を説明するための説明図。
【図5】メインヘッドの動作を説明するためのメインヘッドの正面図。
【図6】別の実施形態のワイパ装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ワイパ装置1は、車両のフロントガラス2の車室外側の面である払拭面2aを払拭するためのものである。このワイパ装置1は、駆動手段としてのワイパ駆動装置3と、ワイパ4と、制御手段としてのECU(電子制御装置)5とを備えている。
【0024】
ワイパ駆動装置3を構成する図示しないワイパモータの出力軸は、車体6(図2参照)に固定された不図示のピボットホルダに回転可能に支持されたピボット軸7(駆動軸)に、直接、若しくは図示しないリンク機構を介して間接的に連結されている。そして、ワイパモータが駆動されると、ワイパモータの回転駆動力がピボット軸7に伝達されて該ピボット軸7がその中心軸線L1を回動中心として往復回動されるようになっている。
【0025】
図2に示すように、前記ワイパ4は、ワイパアーム11と、該ワイパアーム11に回動自在に連結されたワイパブレード12とを備えている。ワイパアーム11は、略棒状のメインアーム13と、該メインアーム13に沿うように配置される略棒状のサブアーム14とを備えた、所謂パンタグラフ式ワイパアームである。
【0026】
メインアーム13は、該メインアーム13の基端側に設けられたメインヘッド15と、該メインヘッド15の先端部に連結されたメインアーム部材16とから構成されている。
図3(a)及び図3(b)に示すように、アルミダイキャストにて形成されたメインヘッド15の基端部には、円筒状の軸連結部15aが設けられている。メインヘッド15は、この軸連結部15aが前記ピボット軸7(図2参照)の先端部に外嵌されて固定されることにより、同ピボット軸7と一体回転可能に連結される。また、軸連結部15aの先端部(図3(a)において下側の端部)からメインヘッド15の先端側に向かって「く」の字状に湾曲しながらヘッド本体部15bが延びている。このヘッド本体部15bの基端部であって軸連結部15aと軸方向に重なる部位には、樹脂製のヘッドカバー15k(図2参照)が装着されている。また、ヘッド本体部15bにおける幅方向の両側の側面15c,15dのうちサブアーム14側の側面15cには、軸連結部15aの軸方向と直交する方向に沿ってサブアーム14側に延びる延設部15eが設けられている。
【0027】
ヘッド本体部15bの先端部、即ちメインヘッド15の先端部には、挿通孔15fが形成されている。挿通孔15fは、軸連結部15aの中心軸線L2と捩れの位置関係となる方向に沿ってヘッド本体部15bの両側の側面15c,15dを貫通している。また、ヘッド本体部15bにおける幅方向の両側の側面15c,15dのうちワイパブレード12側の側面15dには台座部15gが突出形成されている。台座部15gは、ヘッド本体部15bにおける湾曲された部位からワイパブレード12側に突出するとともに、側面15dにおけるヘッド本体部15bの先端側の平面状の部位と同一平面内となる平面状の固定面15hを備えている。この固定面15hは、軸連結部15aの中心軸線L2と平行をなしている。
【0028】
固定面15hには、樹脂製のウォッシャノズル21が固定されている。ウォッシャノズル21は、軸連結部15aの中心軸線L2方向から見た形状が略台形状をなすノズル本体部21aと、該ノズル本体部21aからメインヘッド15の基端側に突出したホース連結部21bとから構成されている。ノズル本体部21aには、メインヘッド15の先端側に向けて開口する噴射口21dが形成されている。この噴射口21dは、ノズル本体部21aの内部において筒状のホース連結部21bの内部と連通されている。そして、ホース連結部21bの先端部には、ウォッシャノズル21に洗浄液を供給するためのホース22の一端部が外嵌されるとともに、同ホース22の他端部は、車両に搭載されたポンプ装置23(図1参照)に接続されている。ポンプ装置23が作動されると、不図示のタンクに貯留された洗浄液が、ホース22を介してウォッシャノズル21に供給されて噴射口21dから噴射されるようになっている。
【0029】
図2に示すように、前記メインアーム部材16は、メインヘッド15の先端部に連結されたメインアームリテーナ16aと、該メインアームリテーナ16aにてその基端部が保持された棒状のメインアームピース16bとから構成されている。メインアームリテーナ16aの基端部は、払拭面方向に開口する断面コ字状をなし、前記挿通孔15f(図3(a)参照)を覆うようにメインヘッド15の先端部に重なり合っている。そして、メインアームリテーナ16aの基端部とメインヘッド15の先端部とが重なり合った部分に、前記挿通孔15fを通るように円柱状の連結軸17が貫通されることにより、メインアームリテーナ16aは当該連結軸17を介してメインヘッド15に連結されている。連結軸17にてメインヘッド15に連結されたメインアームリテーナ16aは、連結軸17を中心としてメインヘッド15に対して回動自在である。尚、図2においては、連結軸17を該連結軸17の中心軸線にて図示している。
【0030】
前記サブアーム14は、その長手方向の長さが、前記メインアーム13の長手方向の長さと略等しく形成されている。サブアーム14は、ピボット軸7と異なる位置に配置された従動軸31に対して回動自在に連結されたサブヘッド18と、棒状のサブアーム部材19とから構成されている。サブアーム部材19は、その基端部がサブヘッド18に対して回動自在に連結されている。尚、従動軸31は、ピボット軸7の近傍で上記ピボットホルダと一体に形成された不図示のサブ軸ホルダにより支持されている。
【0031】
メインアーム13及びサブアーム14の先端部は、それぞれ連結部材41に回動自在に連結されている。この連結部材41は、略短冊状のアーム連結部41aと、該アーム連結部41aの長手方向の一端部に一体に形成されたブレード連結部41bとから構成されている。そして、メインアーム13の先端部及びサブアーム14の先端部は、アーム連結部41aに対して該アーム連結部41aの長手方向に離間してそれぞれ連結されるとともに、メインアーム13及びサブアーム14は、アーム連結部41aに対してそれぞれ回動自在である。
【0032】
前記ブレード連結部41bは、アーム連結部41aの長手方向の一端部であってメインアーム13側の端部からメインアーム13の基端側に向かって延びた後に、U字状に折り返してメインアーム13の先端側に延びている。そして、このブレード連結部41bの先端部には、略棒状のワイパブレード12の長手方向の中央部が回動自在に連結されている。即ち、ワイパブレード12は、メインアーム13及びサブアーム14に対して払拭姿勢を変更するべく連結部材41を介してこれらメインアーム13及びサブアーム14の先端部に回動自在に連結されている(メインアーム13及びサブアーム14に対してワイパブレード12と連結部材41は一体的に回動する)。そして、本実施形態のワイパ4においては、ワイパアーム11を構成するメインアーム13及びサブアーム14のうち、メインアーム13がワイパブレード12に近い位置に配置されるとともに、ワイパアーム11は、ワイパブレード12よりも同ワイパブレード12の払拭開始時の進行方向後方側に配置されている。また、ワイパブレード12は、停止位置P1に配置された状態(即ち図2に示す状態)において、ワイパブレード12の長手軸線L3が該ワイパブレード12の先端(図2において左側の端)から基端(図2において右側の端)に向けて鉛直方向に対して下り勾配(払拭面の垂直視において、ワイパブレード12の長手軸線L3がメインアーム13の長手軸線とワイパブレード12の基端側で交差)となるようにワイパアーム11の先端部に連結されている。尚、停止位置P1は、ワイパ4の停止時にワイパブレード12が配置される位置であって、フロントガラス2の下端に沿った位置である。
【0033】
図1に示すように、上記のようなワイパ4は、ピボット軸7の回動に伴って該ピボット軸7を中心にメインアーム13が回動されると、メインアーム13の回動に伴って従動軸31を中心にサブアーム14が従動して回動される。すると、メインアーム13の回動に連動してワイパアーム11に対する払拭姿勢を変化させながらワイパブレード12が揺動され、これによりワイパブレード12によって払拭面2aにおける所定の払拭範囲A(即ちワイパブレード12の軌跡)が払拭される。尚、ワイパブレード12は、停止位置P1と、該ワイパブレード12がフロントガラス2の左右方向の一端(車両のフロントピラーの一方)に沿って配置される上反転位置P2との間で往復揺動運動が可能である。
【0034】
また、図2に示すように、ワイパ4は、メインアーム部材16を払拭面2aから離間するようにメインヘッド15に対して回動させると同時に、サブアーム部材19を払拭面2aから離間するようにサブヘッド18に対して回動させることにより、ワイパブレード12を払拭面2aから離間させる起立姿勢とする(所謂ロックバック状態とする)ことができる。
【0035】
ここで、前記ウォッシャノズル21の噴射口21d(図3(a)参照)から噴射される洗浄液の噴射方向D及び着水点Xについて説明する。まず、洗浄液の噴射方向Dは、ワイパブレード12が停止位置P1に配置された状態において、ワイパブレード12の払拭開始時の進行方向前方側で同ワイパブレード12の長手方向の先端(図2において左側の端)に向かう方向に設定されている。更に、噴射方向Dは、ウォッシャノズル21から噴射される洗浄液の噴射軸線(図2において噴射方向Dを示す破線の矢印に同じ)が、ワイパブレード12の長手軸線L3とほぼ平行になるように調整されている。
【0036】
また、洗浄液の着水点Xは、ワイパブレード12が停止位置P1に配置された状態において、払拭面2a上で、ワイパブレード12の長手方向の中央よりも同ワイパブレード12の基端側(図2において右側)となる位置に設定されている。本実施形態では、着水点Xは、払拭面2a上で、停止位置P1に配置されたワイパブレード12における長手方向の中央(本例では、ブレード連結部41bの連結位置)よりも基端側の部位の中央部に対応した位置(中央部と隣り合う位置)に設定されている。
【0037】
また、ウォッシャノズル21からの洗浄液の噴射液量と噴射圧力は、噴射された洗浄液がフロントガラス2に着水したときに広範囲に飛び散らないこと、及び洗浄液を無駄に消費しないことなど要求される種々の事情を考慮して適切な値に設定される。更に、洗浄液の噴射液量は、洗浄液が噴射されてからワイパ4が回動され始めるまでの間に同洗浄液がワイパブレード12の先端から基端までの範囲に行き渡る量に設定される。
【0038】
図1に示すように、ECU5には、車室内に設けられ車両の運転者によって操作されるワイパスイッチ51が電気的に接続されるとともに、車両のバッテリ52から電源が供給されている。また、ECU5は、周知のタイマ回路(図示略)を備えている。このECU5は、ワイパスイッチ51から入力される信号に応じて、ワイパ4を作動させるための各種制御を行う。
【0039】
次に、上記のように構成されたワイパ装置1の動作を統括的に説明する。
ワイパブレード12が停止位置P1に配置された状態において、洗浄液を噴射するようにワイパスイッチ51がオン操作されると、ワイパスイッチ51は、洗浄液の噴射を指令する噴射指令信号をECU5に出力する。ECU5は、噴射指令信号が入力されると、直ちにポンプ装置23を駆動してウォッシャノズル21の噴射口21d(図3(a)参照)から洗浄液を噴射させる。図2に示すように、洗浄液は、停止位置P1に配置されたワイパブレード12に対して同ワイパブレード12の払拭開始時の進行方向前方側で同ワイパブレード12の先端に向かう方向に噴射される。そして、洗浄液は、停止位置P1に配置されたワイパブレード12の払拭開始時の進行方向前方側で、同ワイパブレード12における長手方向の中央よりも基端側となる着水点Xに着水する。
【0040】
また、ECU5は、噴射指令信号が入力されると直ちにタイマ回路を駆動して同噴射指令信号が入力されてからの時間を計測する。そして、予め設定された待機時間が経過すると、ECU5は、ワイパ駆動装置3を駆動して、停止位置P1と上反転位置P2との間でワイパブレード12を揺動させるべくワイパ4を所定回数だけ回動させる。尚、「待機時間」は、ウォッシャノズル21から噴射された洗浄液が、ワイパブレード12の払拭開始時の進行方向前方側で同ワイパブレード12の先端から基端まで行き渡る時間に応じて予め設定されている。従って、図4(a)に示すように、払拭開始時には、ワイパブレード12は、その先端から基端まで広く洗浄液Wが伴った状態で上反転位置P2に向けて移動されるため、払拭面2aの払拭が良好に行われる。そして、図4(b)に示すように、ワイパブレード12が上反転位置P2に配置されると、洗浄液Wは重力により下方に移動する。その後、図4(c)に示すように、ワイパブレード12は、ワイパアーム11の回動に伴って上反転位置P2から停止位置P1に向けて移動される。尚、図4では、メインアーム13及びサブアーム14を有するワイパアーム11を簡略化して図示している。
【0041】
また、図5に示すように、ワイパ4が往復回動されるときには、ホース22は、ピボット軸7を中心としたメインヘッド15の回動に伴って撓む。
上記したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を有する。
【0042】
(1)メインアーム13及びサブアーム14の2本のアームを備えたワイパアーム11は、停止位置において当該ワイパアーム11によって運転視界が妨げられることを抑制するために、ワイパブレード12よりも同ワイパブレード12の払拭開始時の進行方向後方側に配置されている。このようなワイパ装置1において、ウォッシャノズル21は、メインアーム13及びサブアーム14のうちワイパブレード12に近い方のメインアーム13において、ワイパブレード12よりも該メインアーム13の基端側となる位置に固定されている。更に、ウォッシャノズル21からの洗浄液の噴射方向Dは、ワイパブレード12が停止位置P1に配置された状態においてワイパブレード12の払拭開始時の進行方向前方側で同ワイパブレード12の先端に向かう方向に設定されている。そのため、ウォッシャノズル21から噴射された洗浄液は、払拭面2aに着水するときに同払拭面2aに対して鋭角で入射可能となるとともに、払拭面2aに着水した洗浄液は、ワイパブレード12の払拭開始時の進行方向の前方側で、同ワイパブレード12の長手方向に沿って細長く拡がる。更に、洗浄液の着水点Xは、ワイパブレード12の長手方向の中央よりも基端側となる位置に設定されているため、洗浄液の噴射量及び噴射圧力を調整することにより、洗浄液をワイパブレード12の長手方向に更に広く行き渡らせることができる。そして、この状態でワイパブレード12による払拭が行われると、ワイパブレード12の払拭に伴ってワイパブレード12の進行方向にも洗浄液が拭き拡げられるとともに、払拭面2aに付着した汚れを洗浄液を伴って払拭することができる。従って、ワイパ装置1の払拭性能が向上される。その結果、ワイパ装置1を搭載した車両の運転者に良好な運転視界を提供することができる。
【0043】
また、ウォッシャノズル21は、メインアーム13及びサブアーム14のうちワイパブレード12に近い方のメインアーム13において、ワイパブレード12よりも該メインアーム13の基端側となる位置に固定されているため、洗浄液をウォッシャノズル21に供給するためのホース22が極めて短くなる。従って、コストを低減できるとともに、ホース22の取り回し(組付け)を容易に行うことができる。
【0044】
しかも、メインアーム13及びサブアーム14のうちワイパブレード12に近い方のメインアーム13においてウォッシャノズル21が固定される位置は、当該メインアーム13がワイパブレード12と並列していない位置となる。従って、ワイパブレード12の上方を横切るようにウォッシャノズル21が大きく突出していなくても、噴射された洗浄液は、ワイパブレード12に干渉することなく、ワイパブレード12に対して払拭開始時の進行方向の前方側に着水できる。また、ワイパブレード12の上方を横切るようにウォッシャノズル21が大きく突出しないことにより、ワイパ装置1を搭載した車両の走行時にウォッシャノズル21が風の抵抗を受けたり、風切り音が生じたりすることが抑制される。更に、ワイパ4の見栄えが損なわれることも抑制される。
【0045】
(2)ウォッシャノズル21は、ピボット軸7に連結されるメインヘッド15に固定されているため、メインアーム部材16を払拭面2aから離間するように回動させてワイパブレード12を同払拭面2aから離間させた起立姿勢とした場合であっても、洗浄液を払拭面2aに向けて噴射させることができる。また、ウォッシャノズル21がメインアーム部材16に固定されると、ワイパ4を起立姿勢とした場合に洗浄液が空中へ誤噴射される虞があるが、ウォッシャノズル21がメインヘッド15に固定されたことにより、洗浄液の空中への誤噴射を防止できる。また、メインヘッド15は、メインアーム部材16よりもメインアーム13の基端側に設けられているため、ホース22をより短くすることができる。その結果、よりコストを低減できるとともに、ホース22の取り回し(組付け)をより容易に行うことができる。
【0046】
(3)停止位置P1に配置されたワイパブレード12の長手軸線L3が水平であったり、先端から基端に向けて上り勾配となっていたりすると、噴射された洗浄液は、ワイパブレード12の先端側に向かうに連れて同ワイパブレードから離間する虞がある。本実施形態のワイパ装置1では、停止位置P1に配置されたワイパブレード12の長手軸線L3は、先端から基端に向けて下り勾配となっている。そのため、噴射された洗浄液が、ワイパブレード12の先端側に向かうに連れて同ワイパブレード12から離間することが抑制される。そして、メインアーム13からのウォッシャノズル21の突出量を大きくしなくても、噴射された洗浄液の噴射軸線を、ワイパブレード12の払拭開始時の進行方向の前方側で同ワイパブレード12の長手軸線L3と略平行に設定することが容易となる。
【0047】
(4)洗浄液の噴射方向Dは、ワイパブレード12が停止位置P1に配置された状態において、ワイパブレード12の払拭開始時の進行方向前方側で同ワイパブレード12の長手方向の先端に向かう方向に設定されている。そのため、ワイパブレード12が停止位置P1に配置された状態において洗浄液が噴射されると、着水点Xに着水した洗浄液は、自身の勢いで着水点Xよりもワイパブレード12の先端側に細長く拡がっていく。更に、停止位置P1に配置されたワイパブレード12は、その長手軸線L3が先端から基端に向けて鉛直方向に対し下り勾配となっているため、噴射指令信号に基づいて洗浄液が噴射されてから待機時間が経過するまでの間に、該洗浄液の一部がワイパブレード12を伝って該ワイパブレード12の基端側へ流れていく。このとき、一般的にフロントガラス2は鉛直方向に対して傾斜しているため、ワイパブレード12とフロントガラス2の払拭面2aとが協働して樋が形成され、洗浄液をワイパブレード12の基端側へ案内する。従って、着水点Xよりもワイパブレード12の基端側となる領域にも洗浄液を行き渡らせることができる。
【0048】
(5)待機時間内に着水点Xからワイパブレード12の基端まで洗浄液が行き渡らなかったとしても、図4(b)に示すように、ワイパブレード12と共に移動してきた洗浄液Wが上反転位置P2において下方に垂れることにより、ワイパブレード12の先端から基端まで洗浄液が行き渡る。その結果、上反転位置P2から停止位置P1に向けてワイパブレード12が移動されるときには、ワイパブレード12の先端から基端まで洗浄液を伴った状態で払拭が行われる。
【0049】
(6)ワイパアーム11に対するワイパブレード12の払拭姿勢が変化するため、停止位置P1に配置されたワイパブレード12に対して払拭開始時の進行方向前方側となるように設定されていた着水点Xは、上反転位置P2においては、ワイパブレード12の反転後の進行方向前方側へと切り替わる(図1参照)。そのため、仮に、運転者が途中で(即ちワイパ4の回動中に)ワイパスイッチ51を操作して洗浄液を再度噴射したとしても、ワイパブレード12の反転動作による払拭で洗浄液は拭き取られるので、洗浄液が有効に活用される。更に、払拭面2aに着水した洗浄液はその噴射軸線D方向に広がろうとするため、上反転位置P2近傍では、払拭面2aに着水した洗浄液が払拭面2aの外方(フロントピラーの外側)にスプレーアウトする虞がある。しかし、洗浄液の噴射軸線D方向前方には、払拭姿勢が変化されたワイパブレード12が位置しているため、洗浄液のスプレーアウトも効果的に防止される。
【0050】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ECU5は、ワイパスイッチ51から噴射指令信号が入力されてから待機時間が経過するとワイパ4を回動させる。しかしながら、ECU5は、待機時間が経過する前に(例えばウォッシャノズル21からの洗浄液の噴射と同時に)ワイパ4を回動させてもよい。このようにしても上記実施形態の(1)と同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
・ワイパアーム11の形状は上記実施形態の形状に限らない。例えば、上記実施形態のワイパアーム11に代えて、図6に示すワイパアーム71をワイパ装置1に備えてもよい。ワイパアーム71は、基端部がピボット軸7に一体回転可能に連結されるメインアーム72と、基端部が従動軸31に回動自在に連結されるサブアーム73とを備えている。棒状のメインアーム72は、基端部がピボット軸7に一体回転可能に連結されるメインヘッド74と、基端部がメインヘッド74の先端部に連結されるメインアーム部材75とから構成されている。メインアーム72の基端部に設けられたメインヘッド74には、ウォッシャノズル21が固定されるとともに、このウォッシャノズル21における洗浄液の噴射方向及び着水点は上記実施形態と同様に設定されている。また、メインアーム部材75は、払拭面2aに対して接離する方向に回動可能となるようにメインヘッド74の先端部に連結されている。更に、メインアーム部材75は、その先端部をワイパブレード12に向けて(払拭開始時の進行方向前方側に向けて)屈曲した屈曲部75aを備えている。また、棒状のサブアーム73は、メインアーム部材75と同様に、その先端部をワイパブレード12に向けて(払拭開始時の進行方向前方側に向けて)屈曲した屈曲部73aを備えている。そして、メインアーム72は、サブアーム73よりもワイパブレード12に近い位置に配置されるとともに、メインアーム72の先端部及びサブアーム73の先端部は、上記実施形態と同様にワイパブレード12が連結された連結部材41に対して回動自在に連結されている。更に、ワイパブレード12の基端部は、ワイパブレード12が停止位置に配置された状態において、メインアーム72の基端部と先端部と屈曲部75aとを頂点とする三角形の領域(図6において破線で囲んだ三角形の領域)内に配置されている。
【0052】
このようにすると、ワイパブレード12が停止位置に配置された状態(即ち図6に示す状態)において、ワイパブレード12の基端部をワイパアーム71と払拭面2aとの間に潜り込ませなくても、言い換えれば、払拭面2aの法線方向にワイパブレード12の基端部とワイパアーム71(メインアーム72)とが重なるように配置しなくても、ワイパブレード12を、その長手軸線L3が先端から基端に向けて下り勾配となるように配置することができる。従って、メインアーム72の払拭面2aからの高さを低く抑えることができるため、ワイパ装置1を搭載した車両の走行時にメインアーム72が受ける風の抵抗を小さく抑えることができるだけでなく、メインアーム72が運転者の運転視界の妨げとなることが抑制される。そして、一般的にメインアームの高さが高いと、車室内からの運転視界にメインアームが入り込む虞があるが、図6のようなワイパアーム71とすることにより、車室内からの運転視界にメインアームが入り込むことを抑制することができる。
【0053】
・上記実施形態では、ワイパブレード12は、停止位置P1に配置された状態において、その長手軸線L3が該ワイパブレード12の先端から基端に向けて下り勾配となるようにワイパアーム11の先端部に連結されている。しかしながら、ワイパブレード12は、停止位置P1に配置された状態において、その長手軸線L3が水平となるようにワイパアーム11の先端部に連結されてもよい。また、ワイパブレード12は、停止位置P1に配置された状態において、その長手軸線L3が該ワイパブレード12の先端から基端に向けて上り勾配となるようにワイパアーム11の先端部に連結されてもよい。
【0054】
・台座部15gの形状は上記実施形態の形状に限らない。例えば、台座部15gは、側面15dから突出するとともに、メインヘッド15の先端側からウォッシャノズル21が差し込まれる形状に形成されてもよい。
【0055】
・メインアーム13に対するウォッシャノズル21の固定位置は、上記実施形態の位置に限らない。ウォッシャノズル21は、メインアーム13におけるワイパブレード12よりも該メインアーム13の基端側となる位置に固定されればよい。例えば、メインヘッド15に対して、ヘッド本体部15b上(即ち側面15c,15d間)に固定されてもよい。言い換えれば、ウォッシャノズル21が固定される固定面15hは軸連結部15aの中心軸線L2と平行でなく傾斜していてもよい。また、ウォッシャノズル21は、メインアーム部材16に固定されてもよい。この場合、ウォッシャノズル21は、メインアームリテーナ16aの側面に固定されてもよいし、メインアームリテーナ16aの内部に固定されてもよい。更に、ウォッシャノズル21は、メインアームピース16bに固定されてもよい。また、ウォッシャノズル21は、ヘッドカバー15kに一体成形されてもよい。このようにしても上記実施形態の(1)と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
・上記実施形態では、メインアーム13及びサブアーム14のうち、メインアーム13がワイパブレード12に近い位置に配置されている。しかしながら、サブアーム14がメインアーム13よりもワイパブレード12に近い位置に配置されてもよい。この場合、ウォッシャノズル21は、サブアーム14におけるワイパブレード12よりも該サブアーム14の基端側となる位置に固定される。更に、洗浄液の噴射方向Dは、ワイパブレード12が停止位置P1に配置された状態において、ワイパブレード12の払拭開始時の進行方向前方側でワイパブレード12の先端に向かう方向に設定される。また、洗浄液の着水点Xは、ワイパブレード12の長手方向の中央よりも同ワイパブレード12の基端側に設定される。このようにしても上記実施形態の(1)と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
・上記実施形態では、ワイパ4は、ワイパブレード12を払拭面2aから離間させる起立姿勢とすることができる。しかしながら、ワイパ4は、起立姿勢とするための構成を備えなくてもよい。
【0058】
・上記実施形態において、洗浄液の着水箇所(着水点X)は、少なくともワイパブレード12の基端側に1箇所あれば良い。従って、例えば、長尺のワイパブレード12に対しては、ウォッシャノズル(好ましくは単一のウォッシャノズル)に複数の噴射口を設けてワイパアーム11の基端側から噴射した洗浄液をワイパブレード12の長手方向中央よりも基端側だけでなく先端側にも着水させるようにしても良い。このようにしても、払拭面2aに着水した洗浄液はワイパブレード12の長手方向に沿って長く拡がるので、噴射口の数を低減しながらも洗浄液をワイパブレード12の長手方向に行き渡らせることができる。
【0059】
・上記実施形態では、ワイパ装置1は、車両のフロントガラス2の払拭面2aを払拭するために用いられている。しかしながら、ワイパ装置1は、車両の後部に設けられたリアガラスにおける車室外側の払拭面を払拭するために用いられてもよい。また、ワイパ装置1は、電車等の車両に用いられてもよい。
【0060】
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のワイパ装置において、前記払拭面は、車両のフロントガラスにおける車室外側の面であることを特徴とするワイパ装置。同構成によれば、ワイパ装置は払拭性能が向上されているため、車両の運転者に良好な運転視界を提供することができる。
【符号の説明】
【0061】
2a…払拭面、3…駆動手段としてのワイパ駆動装置、5…制御手段としてのECU、7…駆動軸としてのピボット軸、11,71…ワイパアーム、12…ワイパブレード、13,72…メインアーム、14,73…サブアーム、15,74…メインヘッド、16,75…メインアーム部材、21…ウォッシャノズル、31…従動軸、51…ウォッシャスイッチとしてのワイパスイッチ、75a…屈曲部、D…噴射方向、L3…長手軸線、P1…停止位置、W…洗浄液、X…着水点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部が駆動軸に一体回転可能に連結されるメインアームと、前記駆動軸と異なる位置に配置された従動軸に基端部が回動自在に連結されるとともに前記メインアームの回動に従動して回転されるサブアームとを有するワイパアームと、
前記ワイパアームの先端部に回動自在に連結され前記メインアームの回動に連動して前記ワイパアームに対する払拭姿勢を変化させながら払拭面を払拭するワイパブレードと、
前記ワイパアームに固定されて前記払拭面に向けて洗浄液を噴射するウォッシャノズルと、
を備えたワイパ装置であって、
前記ワイパアームは、前記ワイパブレードよりも払拭開始時の進行方向後方側に配置され、
前記ウォッシャノズルは、前記メインアーム及び前記サブアームのうち前記ワイパブレードに近い方のアームにおける前記ワイパブレードよりも基端側となる位置に固定され、前記洗浄液の噴射方向が、前記ワイパブレードが停止位置に配置された状態において前記ワイパブレードの払拭開始時の進行方向前方側で前記ワイパブレードの先端に向かう方向に設定されるとともに、前記洗浄液の着水点が、前記ワイパブレードの長手方向の中央よりも前記ワイパブレードの基端側となる位置に設定されていることを特徴とするワイパ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパ装置において、
前記メインアームは、前記サブアームよりも前記ワイパブレードに近い位置に配置されるとともに、前記駆動軸に一体回転可能に連結されるメインヘッドと、前記払拭面に対して接離する方向に回動可能に前記メインヘッドに連結されるメインアーム部材とを有し、
前記ウォッシャノズルは、前記メインヘッドに固定されていることを特徴とするワイパ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のワイパ装置において、
前記ワイパブレードは、前記停止位置に配置されたときに、前記ワイパブレードの長手軸線が該ワイパブレードの先端から基端に向けて下り勾配となるように前記ワイパアームの先端部に連結されていることを特徴とするワイパ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のワイパ装置において、
前記メインアームは、前記駆動軸に一体回転可能に連結されるメインヘッドと、前記払拭面に対して接離する方向に回動可能に基端部が前記メインヘッドに連結されるとともに先端部を前記ワイパブレードに向けて屈曲した屈曲部を備えたメインアーム部材とを有し、前記サブアームよりも前記ワイパブレードに近い位置に配置されるとともに、
前記ワイパブレードの基端部は、前記ワイパブレードが前記停止位置に配置された状態において、前記メインアームの基端部と先端部と前記屈曲部とを頂点とする三角形の領域内に配置されていることを特徴とするワイパ装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のワイパ装置において、
前記駆動軸を直接又は間接的に駆動する駆動手段と、
ウォッシャスイッチのオン操作により入力される噴射指令信号に基づいて前記ウォッシャノズルからの前記洗浄液の噴射及び前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記噴射指令信号が入力されると直ちに前記ウォッシャノズルから前記洗浄液を噴射させ、更に、前記噴射指令信号が入力されてから所定の待機時間が経過した後に前記駆動軸を駆動するように前記駆動手段を制御することを特徴とするワイパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−225120(P2011−225120A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97265(P2010−97265)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】