ワイピング装置、これを備えた吐出検査装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器
【課題】機能液吐出ヘッドの機能液に対応して、適切な洗浄液を自在に供給することができるワイピング装置等を提供する。
【解決手段】機能液滴吐出ヘッド4のノズル面に対する拭取り動作を、走行するワイピングシート287により行うワイピング装置61において、拭取り位置のシート送り方向の手前側に位置してワイピングシート287に洗浄液を吹き付ける噴霧ヘッド301をそれぞれ有する複数の洗浄液噴霧手段290と、複数の洗浄液噴霧手段290に異なる洗浄液をそれぞれ供給可能な洗浄液供給手段293と、複数の洗浄液噴霧手段の噴霧動作を個別に制御する制御手段と、を備えた。
【解決手段】機能液滴吐出ヘッド4のノズル面に対する拭取り動作を、走行するワイピングシート287により行うワイピング装置61において、拭取り位置のシート送り方向の手前側に位置してワイピングシート287に洗浄液を吹き付ける噴霧ヘッド301をそれぞれ有する複数の洗浄液噴霧手段290と、複数の洗浄液噴霧手段290に異なる洗浄液をそれぞれ供給可能な洗浄液供給手段293と、複数の洗浄液噴霧手段の噴霧動作を個別に制御する制御手段と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのノズル面に対する拭取り動作を、走行するワイピングシートにより行うワイピング装置、これを備えた吐出検査装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のワイピング装置として、ワイピングシートに洗浄液を含浸させ、このワイピングシートにより機能液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このワイピング装置は、ワイピングシートを送るシート送り機構と、ワイピングシートを機能液滴吐出ヘッドに押し付ける押圧ローラと、ワイピングシートの幅方向に横並びに配設した複数の噴霧ノズルを有する噴霧ヘッドと、複数の噴霧ノズルに洗浄液を供給する単一の洗浄液タンクと、を備えている。ワイピングシートに洗浄液を噴霧して含浸させ、この洗浄液を含浸したワイピングシートを送りつつ機能液滴吐出ヘッドのノズル面に押し当て、且つワイピング装置全体を移動させて拭取り動作が行なわれる。
【特許文献1】特開2004−337679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のワイピング装置では、異なる機能液を導入すべく機能液滴吐出ヘッドを交換した場合、機能液に対応する洗浄液を導入する必要があり、洗浄液タンクの交換や洗浄液流路への洗浄液の入換え等、作業が煩雑になる問題があった。また、導入する機能液の異なる複数の機能液滴吐出ヘッドを払拭する場合には、機能液滴吐出ヘッドによって適切な洗浄液が導入できない問題があった。
【0004】
本発明は、機能液吐出ヘッドの機能液に対応して、適切な洗浄液を自在に供給することができるワイピング装置、これを備えた吐出検査装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のワイピング装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのノズル面に対する拭取り動作を、走行するワイピングシートにより行うワイピング装置において、拭取り位置のシート送り方向の手前側に位置してワイピングシートに洗浄液を吹き付ける噴霧ヘッドをそれぞれ有する複数の洗浄液噴霧手段と、複数の洗浄液噴霧手段に異なる洗浄液をそれぞれ供給可能な洗浄液供給手段と、複数の洗浄液噴霧手段の噴霧動作を個別に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、制御手段により複数の洗浄液噴霧手段を制御することにより、洗浄液供給手段から供給された洗浄液が洗浄液噴霧手段の各噴霧ヘッドを介して、ワイピングシートに噴霧・含浸される。そして、洗浄液を含浸したワイピングシートにより、機能液滴吐出ヘッドのノズル面が払拭される。このように、複数種の洗浄液を供給可能に構成しているため、機能液吐出ヘッドの機能液に対応して、適切な洗浄液をワイピングシートに自在に供給することができ、ノズル面の拭き取りを適切に行うことができる。
【0007】
この場合、複数の噴霧ヘッドは、ワイピングシートの幅方向に並んで配設され、且つワイピングシートに対し噴霧中心が合致するように配設されていることが、好ましい。
【0008】
この構成によれば、ワイピングシートの同一の領域に、洗浄液を噴霧・含浸させることができ、異なる洗浄液を含浸したワイピングシートであっても、同一の払拭条件で拭取り動作を行なうことができる。
【0009】
この場合、各洗浄液噴霧手段は、ワイピングシートの幅方向に対する各噴霧ヘッドの噴霧角度を調整する噴霧角度調整機構を、更に有していることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ワイピングシートに対し、幅方向の任意の領域に任意の洗浄液を噴霧(散布)することができる。
【0011】
これらの場合、複数の噴霧ヘッドを、ワイピングシートの幅方向に移動させるヘッド移動手段を、更に備えることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ワイピングシートに対し各噴霧ヘッドの含む領域が狭い場合でも、ワイピングシートの幅方向に広狭自在に洗浄液を噴霧(散布)することができる。
【0013】
この場合、異なる機能液が導入される複数の機能液滴吐出ヘッドを同時に払拭し、洗浄液供給手段は、複数の洗浄液噴霧手段に複数の機能液に対応する複数の洗浄液を供給し、制御手段は、複数の洗浄液噴霧手段およびヘッド移動手段を制御し、複数の機能液滴吐出ヘッドに対応するワイピングシートの複数の払拭領域に、対応する複数の洗浄液を吹き付けることが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、ワイピングシートの複数の払拭領域に、複数の機能液滴吐出ヘッドに対応する洗浄液を散布することができ、機能液滴吐出ヘッド毎に適切に洗浄液を用いて拭取り動作を行なうことができる。
【0015】
同様に、異なる機能液が導入される複数の機能液滴吐出ヘッドを選択的に払拭し、洗浄液供給部は、複数の洗浄液噴霧手段に複数の機能液に対応する複数の洗浄液を供給し、制御手段は、複数の洗浄液噴霧手段およびヘッド移動手段を制御し、複数の機能液滴吐出ヘッドに対応してワイピングシートに洗浄液を吹き付けることが、好ましい。
【0016】
この構成によれば、ワイピングシートに、各機能液滴吐出ヘッドに対応する洗浄液を散布することができ、機能液滴吐出ヘッド毎に適切に洗浄液を用いて拭取り動作を行なうことができる。
【0017】
同様に、洗浄液供給部は、複数の洗浄液噴霧手段に機能液滴吐出ヘッドに導入される機能液の溶媒に相当する第1洗浄液と、溶媒に対する親和性および揮発性を有する第2洗浄液とを供給し、制御手段は、複数の洗浄液噴霧手段およびヘッド移動手段を制御し、第1洗浄液を噴霧した後、第2洗浄液を噴霧することが、好ましい。
【0018】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドに対し、機能液の溶媒に相当する第1洗浄液を含浸したワイピングシートにより拭取りを行なった後、揮発性を有する第2洗浄液を含浸したワイピングシートにより拭取りを行うことができ、機能液滴吐出ヘッドのノズル面を良好に払拭することができる。
【0019】
本発明の吐出検査装置は、上記したワイピング装置と、機能液滴吐出ヘッドにおける多数の吐出ノズルから検査吐出を行なわせ、その着弾結果から多数の吐出ノズルの吐出性能を検査する吐出検査手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、機能液吐出ヘッドの機能液に対応して、適切な洗浄液を自在に供給することができ、機能液吐出ヘッドのノズル面を良好に払拭することができる。
【0021】
本発明の液滴吐出装置は、上記したワイピング装置と、ワークに対し、機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、機能液滴吐出ヘッドからワークに対し機能液滴を吐出して描画を行なう描画手段と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、機能液吐出ヘッドの機能液に対応して、適切な洗浄液を自在に供給することができ、機能液吐出ヘッドのノズル面を良好に払拭することができる。
【0023】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0024】
本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、高品質の電気光学装置を効率良く製造することができる。なお、機能材料としては、有機EL装置の発光材料(Electro-Luminescence発光層・正孔注入層)は元より、液晶表示装置に用いるカラーフィルタのフィルタ材料(フィルタエレメント)、電子放出装置(Field Emission Display, FED)の蛍光材料(蛍光体)、PDP(plasma Display Panel)装置の蛍光材料(蛍光体)、電気泳動表示装置の泳動体材料(泳動体)等であって、機能液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)により吐出可能な液体材料を言う。また、電気光学装置(Flat Panel Display, FPD)としては、有機EL装置、液晶表示装置、電子放出装置、PDP装置、電気泳動表示装置等がある。
【0026】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0027】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本実施形態に係るワイピング装置を適用した吐出検査装置について説明する。この吐出検査装置は、12個の機能液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)を単一のサブキャリッジに組み込んだヘッドユニットの吐出性能を検査するものである。先ず、吐出検査装置の説明に先立ち、検査対象となるヘッドユニットについて説明する。
【0029】
図1および図2に示すように、ヘッドユニット1は、サブキャリッジ2と、ヘッド保持部材3を介してサブキャリッジ2に搭載した12個の機能液滴吐出ヘッド4と、を備えている。12個の機能液滴吐出ヘッド4は、6個ずつ左右に二分されている。各6個の機能液滴吐出ヘッド4は、それぞれR色、G色およびB色の3種類の機能液滴(インク液滴)を吐出するものであり、3種類の機能液滴吐出ヘッド4を1組とし、これを2組組み合わせて、副走査方向に対し平行に配設されると共に、相互に階段状に位置ずれして配設されている。このとき、6個の機能液滴吐出ヘッド4の内、同色の機能液滴を吐出する2つの機能液滴吐出ヘッド4は、副走査方向において連続するよう配置されており、また、左右二分した各機能液滴吐出ヘッド群における同色の機能液滴を吐出する2つ機能液滴吐出ヘッド4は、副走査方向において機能液滴吐出ヘッド4、2個分の間隙を存して配置されている(図2(a)参照)。
【0030】
サブキャリッジ2は、長方体状に構成され、12個の機能液滴吐出ヘッド4が取り付けられる略方形の本体プレート10と、本体プレート10の下面に突設した左右一対の基準ピン11と、本体プレート10の両短辺部分に取り付けた左右一対のプレート支持部材12と、一対のプレート支持部材12の上端部に掛け渡され、後述する吐出検査装置55のメインキャリッジ72に取り付けられるヘッド取付プレート9と、を有している。また、本体プレート10上には、12個の機能液滴吐出ヘッド4の両側に位置して、これら機能液滴吐出ヘッド4に接続される左右一対の配管接続アッセンブリ13が設けられ、各配管接続アッセンブリ13は、吐出検査装置55のインク供給系に配管接続される。なお、図示では省略したが、サブキャリッジには、機能液滴吐出ヘッドに接続される配線接続アッセンブリが設けられ、各配線接続アッセンブリは、吐出検査装置55の制御系に配線接続される。
【0031】
本体プレート10は、ステンレス等の厚板で構成され、12個の機能液滴吐出ヘッド4を取り付けるための12個の装着開口20が形成されている。また、本体プレート10の4つの隅部には、後述する吐出検査装置55の吸引装置60および給材装置62に位置決めして着座するための4つのセット孔22が形成されており、セット孔22は本体プレート10を貫通して、各プレート支持部材12内部まで延びている。
【0032】
左右一対の基準ピン11は、ヘッドユニット1を、後述する吐出検査装置55のアライメントマスク106に対し、位置決めするための基準となるものであり、本体プレート10の裏面に突出するように取り付けられている(図2(b)参照)。図示は省略するが、基準ピン11は、円柱状に構成され、その先端面は鏡面加工されると共に、その中央部には、凹状に形成した基準マークが設けられている。
【0033】
一対の配管接続アッセンブリ13は、各機能液滴吐出ヘッド4の両側に配設されており、各配管接続アッセンブリ13は、各プレート支持部材12に内側に向けて水平に取り付けた2枚の固定プレート25と、各固定プレート25上に立設した3つのバルブ取付プレート26と、計6つのバルブ取付プレート26に取り付けた6組の自己封止バルブ27と、各自己封止バルブ27の一端に配管接続された6つのタンク側接続カプラ28と、で構成されている。6組の自己封止バルブ27は、一方を2分岐継手29および2本の配管チューブを介して機能液滴吐出ヘッド4に接続されると共に、他方をタンク側接続カプラ28を介して後述する吐出検査装置55のタンクユニット175に接続される(図14参照)。
【0034】
各配線接続アッセンブリは、4つのヘッド中継基板を有しており、4つのヘッド中継基板は、それぞれフレキシブルフラットケーブルを介して、後述する機能液滴吐出ヘッド4のヘッド基板39に接続されている。
【0035】
次に、図3を参照して、機能液滴吐出ヘッド4について説明する。この機能液滴吐出ヘッド4は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針を有する機能液導入部45と、機能液導入部45の側方に連なる2連のヘッド基板39と、機能液導入部45の下方に連なる2連のポンプ部46と、ポンプ部46に連なるノズルプレート47と、を備えている。機能液導入部45には、上記した2本の配管チューブが接続され、ヘッド基板39には、上記のフレキシブルフラットケーブルが接続されている。一方、このポンプ部46とノズルプレート47とにより、サブキャリッジ2の裏面側に突出する方形のヘッド本体50が構成されている。
【0036】
ノズルプレート47のノズル面51には、2列のノズル列が相互に平行に列設されており、各ノズル列は、等ピッチで並べた180個の吐出ノズル52で構成されている。この場合、180個の吐出ノズル52のうち、両外端に位置する各10個の吐出ノズル52は、無効ノズル(ダミーノズル)であり、実際の描画には使用しない。
【0037】
このように構成された機能液滴吐出ヘッド4は、そのヘッド本体50を、本体プレート10に形成した装着開口20から、本体プレート10の裏面側に突出させ、装着開口20の縁部にあてがったヘッド保持部材3にネジ止め固定され、また、ヘッド保持部材3は、本体プレート10に接着固定される。すなわち、本実施形態の検査の前工程として、ヘッドユニット1の組立が行なわれ、その際、サブキャリッジ2と12個の機能液滴吐出ヘッド4とは、アライメントされた状態で組み立てられる。
【0038】
次に、図4および図5を参照して、上記したヘッドユニット1の吐出性能を検査する吐出検査装置55について説明する。吐出検査装置55は、機台56と、機台56上に設けた石定盤57と、石定盤57上の全域に広く載置され、ヘッドユニット1を搭載した描画検査装置58と、吸引装置60およびワイピング装置61を有するメンテナンス装置59と、ヘッドユニット1を描画検査装置58に供給する給材装置62と、メンテナンス装置59および給材装置62を支持する共通架台63と、を備えており、吐出検査装置55はチャンバ装置64内に収容されている。吐出検査装置55は、給材装置62により給材されたヘッドユニット1を、描画検査装置58に搭載(セット)すると共に、搭載したヘッドユニット1を検査すべく、メンテナンス装置59により機能液滴吐出ヘッド4の機能維持・回復を行いながら、描画検査装置58により検査シートS上に機能液滴を吐出すると共に、吐出した機能液滴の着弾位置を検査する。また、チャンバ装置64は、内部雰囲気を温度管理すると共に、クリーンルームを構成している。また、吐出検査装置55には、装置全体を統括制御する制御コンピュータ(制御手段)65が組み込まれており、チャンバ装置64の外に配置されている。
【0039】
描画検査装置58は、石定盤57上に載置されると共に主走査方向に移動するY軸テーブル70と、Y軸テーブル70を跨いで設置され、副走査方向に移動するX軸テーブル71と、X軸テーブル71上を副走査方向にスライド自在に移動すると共に、ヘッドユニット1を着脱自在に垂設するメインキャリッジ72と、メインキャリッジ72の上側に搭載され、ヘッドユニット1に機能液を供給する機能液供給ユニット73と、石定盤57上に載置され、Y軸テーブル70に隣接配置したフラッシングユニット74と、X軸テーブル71上をメインキャリッジ72とは別に副走査方向にスライド自在に移動するカメラユニット75と、を備えている。この描画検査装置58において、X軸テーブル71とY軸テーブル70とが交わる領域が処理エリアとなっており、処理エリアは、ヘッドユニット1により機能液滴を吐出する吐出エリアと、カメラユニット75により着弾した機能液滴を撮像する撮像エリアとを兼ねている。
【0040】
図6に示すように、Y軸テーブル70は、下Y軸テーブル80と、下Y軸テーブル80上に配設された上Y軸テーブル81と、を有しており、これらで2段階にスライド移動するよう構成されている。
【0041】
下Y軸テーブル80は、Y軸方向(主走査方向)に延在するよう石定盤57上に直接支持された左右一対のテーブル台85と、一対のテーブル台85上に設けられ、Y軸方向に延びる一対の第1ガイドレール86と、一方のテーブル台85上に設けられたY軸リニアモータ(ロッドモータ)87と、他方のテーブル台85上に設けられたケーブル担持体88と、Y軸リニアモータ87により第1ガイドレール86上をスライド自在に移動する第1スライダ89と、を備えており、下Y軸テーブル80は、微小な移動の調整を行なうことが可能となっている。また、一対のテーブル台85の間の石定盤57上には、センターに位置してY軸方向に離間するよう(上記の一対の基準ピン11に対応する寸法離れて)、2台のアンダーカメラ91が配設されており、この2台のアンダーカメラ91は、ヘッドユニット1と後述するアライメントマスク106とを位置合わせする際に用いられる。このため、第1スライダ89には、各アンダーカメラ91が臨む位置に、カメラ穴が形成されている。
【0042】
さらに、一方のテーブル台85には、ヘッドユニット1の高さレベルを測定するヘッド高測定器95が設置されており、ヘッド高さの測定に基づいて、後述するアライメントテーブル105とヘッドユニット1との間、および吸着テーブル107とヘッドユニット1との間のワークギャップを、後述するメインキャリッジ72のZ軸テーブル166により調整する。
【0043】
一方、上Y軸テーブル81は、第1スライダ89上に設けられ、Y軸方向に延びる一対の第2ガイドレール100と、一対の第2ガイドレール100の外側に設けられたY軸ロッドレスシリンダ101と、Y軸ロッドレスシリンダ101により第2ガイドレール100上をスライド自在に移動する板状の第2スライダ102と、を備えている。また、第2スライダ102上には、ヘッドユニット1から吐出される機能液滴の着弾位置における検査基準位置となるアライメントマスク106を保持したアライメントテーブル105と、吐出される機能液滴の着弾対象となる検査シートSを吸着する吸着テーブル107と、がY軸方向に隣接して配置されており、アライメントマスク106の表面と検査シートSの表面とは、面一になるよう調整されている。このため、第2スライダ102上には、吸着テーブル107とアライメントテーブル105とを位置決め固定する固定部がそれぞれ設けられている。
【0044】
ここで、上記の吸着テーブル107上の検査シートSおよびアライメントテーブル105のアライメントマスク106は、メインキャリッジ72に搭載されたカメラユニット75の撮像対象となっており、上Y軸テーブル81は、撮像エリアに臨むアライメントテーブル105と吸着テーブル107との撮像位置を相互に入れ替えるために用いられている。また、第2スライダ102は、下方に臨む上記の2台のアンダーカメラ91によりアライメントマスク106を画像認識すべく、各アンダーカメラ91が臨む位置に、カメラ穴が形成されている。
【0045】
Y軸テーブル70は、撮像エリアに臨んだアライメントテーブル105から吸着テーブル107に、または、吸着テーブル107からアライメントテーブル105に位置を入れ替える際は、上Y軸テーブル81により相互の位置を入れ替えた後、下Y軸テーブル80により、Y軸方向において位置を微調整する。これにより、下Y軸テーブル80の移動を極力抑えることができるため、下Y軸テーブル80の絶対位置決め精度を維持することが可能となる。また、下Y軸テーブル80は、吸着テーブル107を、検査シートSをセットするシートセットエリアSAと、上記の処理エリアとの相互間で適宜移動させる。
【0046】
次に、図7および図8を参照して、吸着テーブル107について説明する。吸着テーブル107は、内部に左右一対のエアーチャンバ110を有する吸着テーブル本体111と、各エアーチャンバ110の直上に配置され、吸着テーブル本体111の上面に対し二分して配置された左右一対の吸着プレート部112と、各エアーチャンバ110内部のエアーを吸引するエアー吸引手段113と、を有しており、吸着テーブル107は、一対の吸着プレート部112上に載置した2枚の検査シートSを吸着固定する。
【0047】
吸着テーブル本体111は、平面視略長方形状に形成され、その両長辺の中間部分に上下一対の切欠き部115が形成されており、一対の切欠き部115の下方には、上記の2台のアンダーカメラ91が臨むよう構成されると共に、各切欠き部115には、位置決め片116がそれぞれ長辺方向に掛け渡されている。この一対の位置決め片116は、長方形状に形成され、その中央部分には、Y軸テーブル70に対し、吸着テーブル107を位置決めするための位置決めマーク117が形成されている。吸着テーブル107を第2スライダ102に固定する場合には、この2つの位置決めマーク117を2台のアンダーカメラ91で撮像しながら位置決め固定する。また、吸着テーブル本体111の内部には、上記した一対のエアーチャンバ110が形成されており、各エアーチャンバ110は、吸着テーブル本体111の各側面にそれぞれ形成した3つの吸引開口118に連通し、各エアーチャンバ110内を均一に減圧できるようになっている。
【0048】
吸着テーブル本体111の上面には、各検査シートSを位置決めするための4本のシート位置決めピン120が左右2組設けられており、各4本のシート位置決めピン120は、各吸着プレート部112の一方の長辺に2本、一方の短辺に2本、各辺に沿って、その両端側に立設している。これにより、各検査シートSを吸着プレート部112上に位置決めして載置することが可能となっている。また、吸着テーブル本体111の上面四隅には、第2スライダ102上に載置する吸着テーブル107の高さを調整する4つの第1高さ調整ネジ121が設けられている。
【0049】
吸着プレート部112は、その上面にマトリクス状に配置した多数の吸着孔125を有しており、各吸着孔125は下側のエアーチャンバ110に連通している。多数の吸着孔125は、ヘッドユニット1から吐出される機能液滴の着弾位置から外れた位置となるよう形成されている。
【0050】
図8に示すように、エアーチャンバ110の内部のエアーを吸引するエアー吸引手段113は、低圧吸引および高圧吸引に相互に切替可能な構成となっており、低圧吸引は、各吸着プレート部112上にセットした検査シートSが移動可能な程度に吸引する一方、高圧吸引は、検査シートSが移動不能(吸着固定)となるよう吸引する。つまり、吸引手段は、検査シートSを吸着プレート部112上に仮固定すると共に、本固定するよう構成されている。
【0051】
エアー吸引手段113は、工場内の吸引設備によりエアーを吸引する吸引源126と、吸引源126から2つの吸引流路に分岐してその一方の上流側に設けられ、吸引源126からの吸引を低圧吸引とする低圧コントロールバルブ127と、他方の上流側に設けられ、吸引源126からの吸引を高圧吸引とする高圧コントロールバルブ128と、各コントロールバルブ127、128の上流側に設けられ、低圧吸引および高圧吸引の切り替えを行なう圧力切替えバルブ129と、圧力切替えバルブ129の上流側に設けられ、吸引の開閉を行なう吸引開閉バルブ130と、を備えており、吸引開閉バルブ130の上流側は、6つの吸引流路に分岐すると共に、6つの吸引流路は、吸着テーブル本体111の両側面の計6つの吸引開口118に設けられた6つの継手131に接続されている。なお、各区間は、吸引チューブにより配管接続されている。
【0052】
吸着テーブル107に検査シートSをセットする場合、先ず、エアー吸引手段113を停止した状態において、検査シートSをシート位置決めピン120にあてがい、これを吸着プレート部112上に配置する。この後、圧力切替えバルブ129を低圧吸引に切り替えると共に、吸引開閉バルブ130を開いて吸引を開始する。すると、検査シートSは移動可能に吸着され、この状態において、検査シートSにシワ等が生じた場合は、検査シートSを引っ張る等してシワ等を取り除く。検査シートSの位置決め(仮固定)が終了した後、吐出検査装置55が吐出検査動作を開始すると、この開始に伴って、制御コンピュータ65により圧力切替バルブ236が高圧吸引に切り替えられ、検査シートSが吸着固定され、この状態で、吐出検査装置55による機能液滴の吐出の検査を行なう。
【0053】
次に、図9および図10を参照して、アライメントテーブル105について説明する。アライメントテーブル105は、アライメントマスク106と、これを保持するマスク保持ステージ135と、を備えており、マスク保持ステージ135は、アライメントマスク106を保持した状態で、第2スライダ102に設けられた固定部に位置決めされて取り付けられる。
【0054】
図10に示すように、アライメントマスク106は、石英ガラスで板状に構成され、その表面上には、各種マークがマーキングされると共に、その上面四周縁部は、外方に下り斜面の傾斜面136aに形成されている。各種マークは、ヘッドユニット1の位置を補正するための上下一対のヘッド基準マーク140と、ヘッドユニット1から吐出された機能液滴を検査するための基準着弾位置となる着弾基準マーク141と、を有しており、これら各基準マークを1組として、計5組Y軸方向に相互に位置ズレした状態でアライメントマスク106にマーキングされている。
【0055】
また、各種マークは、2台のアンダーカメラ91および後述するカメラユニット75の2台の撮像カメラ282を補正するための3つのキャリブレーションマーク群142を有しており、3つのキャリブレーションマーク群142は、アライメントマスク106の図示下側に形成された1つが、各アンダーカメラ91の位置を補正するものであり、アライメントマスク106の図示中央の左右両側に形成された2つが、2台の撮像カメラ282の位置を補正するものである。
【0056】
マスク保持ステージ135は、アライメントマスク106を載置するマスクプレート145と、マスクプレート145上に設けられ、載置されたアライメントマスク106の位置決めを行うマスク位置決め手段146と、位置決めされたアライメントマスク106をマスクプレート145に押さえ込む8つのマスク押え部材147と、第2スライダ102上に載置するアライメントテーブル105の高さを調整する4つの第2高さ調整ネジ148と、を有している。
【0057】
マスクプレート145は、アライメントマスク106よりも一回り大きく形成され、その中央にアライメントマスク106を載置している。また、マスクプレート145には、下方に臨む2台のアンダーカメラ91によるヘッド基準マーク140およびキャリブレーションマーク群142の撮像を許容すべく、対応する位置に一対のカメラ孔143が形成されている。また、マスクプレート145の上面四隅には、上記した4つの第2高さ調整ネジ148が設けられており、これを回動させることで第2スライダ102に載置する高さを調整している。
【0058】
マスク位置決め手段146は、アライメントマスク106が載置されるマスクプレート145の四周縁部に設けられており、マスクプレート145の下側中央に突設された円柱状のマスク位置決めピン150と、マスクプレート145の上側両端部に配置された2つの縦寄込み調整ネジ151と、マスクプレート145の左右両側中央に配置された一対の横寄込み調整ネジ152と、を有している。
【0059】
アライメントマスク106をマスクプレート145に位置決めする際は、先ず、マスクプレート145の略中央にアライメントマスク106を載置する。この後、アライメントマスク106の下側をマスク位置決めピン150に突き当て、この状態で、縦寄込み調整ネジ151を回して、その先端をアライメントマスク106の上側に当接させてY軸方向における位置決めを行う。そして、一対の横寄込み調整ネジ152を回して、その先端をアライメントマスク106の左右両側に当接させてX軸方向における位置決めを行う。
【0060】
8つのマスク押え部材147は、マスクプレート145の四周縁部の各辺に2つずつ配置されており、各マスク押え部材147は、アライメントマスク106の四周縁部の傾斜面136aに当接する板状の押え部155と、アライメントマスク106を押さえるようZ軸方向に、押え部155を移動させて固定する固定ネジ156と、を備えている。各押え部155は、アライメントマスク106に当接する面が、アライメントマスク106の傾斜面136aと相補的形状となるよう、同様に傾斜面136bに形成されている(図9(c)参照)。
【0061】
マスクプレート145上に位置決めされたアライメントマスク106は、今度は、8つのマスク押え部材147により、アライメントマスク106の各傾斜面136aに対し、側方から乗り上げるようにしてこれを押さえ込む。このとき、アライメントマスク106の表面よりも、各押え部155の上面が突出することがないように構成されている。
【0062】
次に、図5を参照して、X軸テーブル71について説明する。X軸テーブル71は、一対の走行レール上を走査するX軸リニアモータ(ロッドモータ)160を有しており、これに上記のメインキャリッジ72およびカメラユニット75を個別に移動自在に搭載している。X軸テーブル71は、石定盤57上に立設した4本の柱161に支持されており、Y軸テーブル70を跨いでメンテナンス装置59の上方に臨む位置まで延在している。X軸テーブル71は、メインキャリッジ72に搭載したヘッドユニット1を、メンテナンス装置59の直上部に位置するメンテナンスエリアと、フラッシングユニット74の直上部に位置するフラッシングエリアと、上記の処理エリアとの相互間で、適宜移動させる。また、X軸テーブル71は、カメラユニット75を処理エリアと、待機エリアとの相互間で、適宜移動させる。
【0063】
ここで、図11を参照して、X軸テーブル71上を移動するメインキャリッジ72について説明する。メインキャリッジ72は、一対の走行レールに掛け渡されたキャリッジフレーム165と、キャリッジフレーム165に取り付けられ、ヘッドユニット1を昇降自在に移動させるZ軸テーブル166と、Z軸テーブル166に垂設され、ヘッドユニット1をθ方向に回転させるθテーブル167と、θテーブル167に垂設され、ヘッドユニット1を着脱自在に保持するヘッドユニットホルダ168と、を有している。また、メインキャリッジ72には、機能液滴吐出ヘッド4を駆動するための駆動ドライバを収容した駆動ボックス169が搭載されている(図5参照)。
【0064】
キャリッジフレーム165は、底板171と一対の側板172とで断面「U」字状に構成されており、キャリッジフレーム165の内部には、Z軸テーブル166の上端部が固定され、キャリッジフレーム165の一方の側板には、上記の機能液供給ユニット73が取り付けられている。Z軸テーブル166は、下Y軸テーブル80に設けられたヘッド高測定器95の測定結果に基づいて、ヘッドユニット1を昇降させてワークギャップを調整したり、また、後述するヘッドユニット1の除給材における除給材動作において、待機位置と除給材位置との間で適宜ヘッドユニット1を昇降させる。θテーブル167は、アライメントマスク106を基準としてヘッドユニット1の位置決めを行う際に用いられる。
【0065】
図示は省略するが、ヘッドユニットホルダ168の下端面には、ヘッドユニット1を保持するための複数のばか穴が形成されると共に、ヘッドユニット1の上端面にも、上記の複数のばか穴に対応する位置に、複数のばか穴173が形成されており(図1参照)、これらを相互に重ね合わせてボルト止めすることにより、メインキャリッジ72にヘッドユニット1が着脱自在に取り付けられている。
【0066】
次に、図12ないし図14を参照して、機能液供給ユニット73について説明する。機能液供給ユニット73は、ヘッドユニット1に機能液を供給するものであり、R色、G色およびB色の異なる機能液をそれぞれ貯留する3つのタンクユニット175と、3つのタンクユニット175を着脱自在に載置すると共にキャリッジフレーム165に取り付けられたタンクホルダ176と、タンクホルダ176に設けられ、ヘッドユニット1に接続される各ヘッド側接続カプラ208を固定するカプラ取付部177と、を備えている。
【0067】
タンクホルダ176は、キャリッジフレーム165の側面にネジ止めされた背板180と、背板180に取り付けられた側面視「L」字状の上ホルダフレーム181と、上ホルダフレーム181に垂設された側面視「L」字状の下ホルダフレーム182と、で構成され、上ホルダフレーム181には、ドレンパン183が載置されると共に、その内部に、3つのタンクユニット175をセットする3つのタンクセット部184が設けられている。
【0068】
ドレンパン183は、上面を開放した薄型箱状に形成されており、ドレンパン183の図示前面には、各ヘッド側接続カプラ208の一方から延びる配管チューブを保持する第1チューブホルダ187が設けられている。また、各タンクセット部184は、ドレンパン183内部に配設され、各タンクユニット175を載置する受けプレート188を有している。
【0069】
各受けプレート188は、その上面四隅に、平面視「L」字状に形成された4つのタンク位置決め部材190が設けられ、また、その上面中央に、種別判別ピン191が突設されている。4つのタンク位置決め部材190は、各タンクユニット175の下面の四隅に沿って、受けプレート188上に配置されている。また、計3つの受けプレート188に突設された3つの種別判別ピン191は、各受けプレート188に対しそれぞれ異なる位置に突設されており、後述するタンクユニット175の下面に形成された種別判別孔230と嵌合するよう構成されている。
【0070】
下ホルダフレーム182の図示前面には、上記のカプラ取付部177が設けられており、カプラ取付部177は、機能液滴吐出ヘッド4側に機能液を供給する場合に、ヘッド側接続カプラ208を取り付けるものである。カプラ取付部177は、3つのタンクユニット175の並び方向に亘って延在するよう設けられると共に断面「T」字状の開口溝195を有する取付レール196と、開口溝195に収容され、並び方向にスライド自在に移動する方形状の複数の裏板ナット197と、を有している。各ヘッド側接続カプラ208を後述する連結板209を介して裏板ナット197にネジ止めすると、連結板209は傾斜した状態でカプラ取付部177に取り付けられ、これに伴い、各ヘッド側接続カプラ208は、その接続口が斜め上方に向くようになっている。なお、下ホルダフレーム182の下面には、ヘッド側接続カプラ208に接続されるヘッドユニット1のタンク側接続カプラ28から延びた機能液供給チューブを保持する第2チューブホルダ198が設けられている。
【0071】
また、図13に示すように、タンクホルダ176の背板180には、各タンクユニット175の機能液の液位を検出する3つの液位検出センサ199と、載置される各タンクユニット175の有無および種別を検出する3つの種別検出センサ200と、が設けられている。液位検出センサ199および種別検出センサ200はフォトセンサで構成されている。
【0072】
各タンクユニット175は、機能液を貯留する機能液タンク204と、機能液タンク204を支持するタンク架台205と、タンク架台205内部に収容され、一端を機能液タンク204に接続したタンク配管接続アッセンブリ206と、タンク配管接続アッセンブリ206の他端に接続された4つのヘッド側接続カプラ208および4つのヘッド側接続カプラ208を一体として保持する連結板209から成るカプラ手段207と、を備えている。各ヘッド側接続カプラ208は、タンク側接続カプラ28と接続する部分がワンタッチ式となっており、タンク側接続カプラ28には、離脱時に流路を自動閉塞する閉塞機構が組み込まれている。連結板209は、方形状に形成され、連結板209の長辺方向に各ヘッド側接続カプラ208が並ぶよう、各ヘッド側接続カプラ208の基端部を保持している。つまり、4つのヘッド側接続カプラ208は、連結板209に対し、直交した状態で保持されている。
【0073】
機能液タンク204は、上面を開放した箱状のタンク本体213と、タンク本体213の上面を覆うタンク蓋体214と、タンク本体213内に配管接続され、タンク蓋体214に設けられた大気開放弁215と、大気開放弁215に接続されエアーフィルタ216と、タンク本体213内に配管接続され、機能液を注入するための注入カプラ217と、を有している。注入カプラ217を介して、タンク本体213内に機能液を注入すると、タンク本体213のエアーが、大気開放弁215およびエアーフィルタ216を介して機能液タンク204外部に排気される。また、タンク本体213内の機能液が消費されると、エアーフィルタ216および大気開放弁215を介して、エアーがタンク本体213内に取り込まれる。このとき、エアーフィルタ216を介しているため、機能液タンク204外部の塵埃等がタンク本体213内に混入することが無い。
【0074】
タンク本体213には、その背面側に液位検出センサ199による液位を検出するための液位被検出部220が設けられ、液位被検出部220は、タンク本体213の上部から下部へ連通するチューブ状の流路であり、液位被検出部220は、液位検出センサ199による光検出を行なうべく透明となっている。また、タンク本体213には、その下部に機能液を上記のタンク配管接続アッセンブリ206へ供給する4つの機能液供給口221と、その上部にエアーを上記のタンク配管接続アッセンブリ206へ供給する4つの大気開放口222と、が形成されている(図14参照)。
【0075】
タンク蓋体214の上面には、タンクユニット175を取り扱うための取手部223が形成されており、作業者が、この取手部223を把持して、タンクユニット175を着脱すると共に、タンクユニット175の持ち運びを行なう。
【0076】
タンク架台205は、上記の機能液タンク204がネジ止め固定された方形状の上板225と、上記の受けプレート188に載置される方形状の下板226と、上板225と下板226との間に介設された4本の支持部材227と、で長方体状に構成され、上板225には、その前面に立設した2本の支持部材227と、2本の支持部材227の上端部に固定したカプラセット部228と、が設けられている。カプラセット部228は、タンクユニット175を取り外す場合やタンクユニット175を持ち運ぶ際に、カプラ手段207を取り付けるものである。
【0077】
下板226には、受けプレート188に突設された種別判別ピン191が嵌合する種別判別孔230が形成されており、各タンクユニット175毎に形成される位置が異なっている。つまり、上記の各受けプレート188に対し、対応するタンクユニット175のみしか載置することができない。これにより、R色、G色およびB色の機能液をそれぞれ貯留したタンクユニット175を、誤った受けプレート188上に載置することを防止することができる。また、下板226は、受けプレート188に対し、その前面の2箇所でユリアネジ233によりネジ止め固定されている。
【0078】
カプラセット部228は、平面視「コ」字状に形成され、その2つの角部が上記の2本の支持部材227の上端部に固定されると共に、その内側には段付溝部234が形成されている。この段付溝部234は、上記の連結板209が嵌合するよう形成されており、この段付溝部234にセットした連結板209は、保持したヘッド側接続カプラ208の接続口を上方に向けてユリアネジ235によりネジ止め固定される。なお、ユリアネジ235を用いることで、連結板209のカプラセット部228への取付作業やタンクユニット175の受けプレート188への取付作業が工具レスで行えるようになっている。
【0079】
図13および図14に示すように、タンク配管接続アッセンブリ206は、タンク架台205内部に収容されており、一方を上記した4つの機能液供給口221および4つの大気開放口222に接続すると共に、他方を4つのヘッド側接続カプラ208に接続する4つの切替バルブ236と、各切替バルブ236と各ヘッド側接続カプラ208との間に介設した4つの機能液フィルタ237と、を有している。各機能液フィルタ237は、機能液に混入した異物を除去するために設けられている。各切替バルブ236は、三方電磁弁で構成され、機能液供給口221と切替バルブ236との間の機能液供給流路と、大気開放口222と切替バルブ236との間の大気開放流路と、を相互に切替えることが可能となっている。つまり、吐出検査装置55の動作状態においては、機能液滴吐出ヘッド4に機能液を供給すべく、切替バルブ236は、機能液供給流路に切替える一方、機能液滴吐出ヘッド4およびこれに到る管路内の機能液を排出する場合は、切替バルブ236を大気開放流路に切替える。
【0080】
ここで、タンクユニット175をタンクホルダ176に着脱する一連の動作について説明する。先ず、作業者はタンクユニット175の取手部223を把持した状態で、タンクユニット175の下面を4つのタンク位置決め部材190および種別判別ピン191に合わせてセットした後、タンクユニット175の下板を受けプレート188にユリアネジ233によりネジ止め固定する。次に、カプラセット部228に取り付けられた連結板209を取り外して、カプラ取付部177に取り付ける。そして、このヘッド側接続カプラ208にタンク側接続カプラ28を接続する。
【0081】
一方、タンクユニット175を取り外す際は、上記と逆の手順を行なう。すなわち、ヘッド側接続カプラ208からタンク側接続カプラ28を引き抜いた後、カプラ取付部177に取り付けられた連結板209を取り外して、カプラセット部228に取り付ける。そして、受けプレート188にネジ止め固定された下板226を固定解除し、取手部223を把持して、タンクユニット175を取り外す。なお、ヘッド側接続カプラ208は、自動閉塞となっているため、タンク側接続カプラ28の引き抜き時に、液垂れすることが無い。
【0082】
次に、図15ないし図18を参照して、フラッシングユニット74について説明する。フラッシングユニット74は、各機能液滴吐出ヘッド4から捨て吐出される機能液滴を受けるものであり、ヘッドユニット1が、定期的にフラッシングを行うことで、機能液滴の吐出状態を安定させ、この状態で、ヘッドユニット1の吐出検査を行なうよう構成されている。また、このフラッシングユニット74では、機能液滴吐出ヘッド4から吐出される機能液の重量をノズル列毎に測定する重量測定機能を有している。
【0083】
フラッシングユニット74は、1つの機能液滴吐出ヘッド4から吐出された機能液滴を受ける容器240および容器240内の機能液の重量を測定する電子天秤241から成る重量測定ユニット242と、容器240の周囲に配設され、容器240への吐出の際に他の機能液滴吐出ヘッド4から吐出された機能液滴を受けると共に、いわゆる定期フラッシングを受けるフラッシングボックス243と、これらを支持する支持フレーム244と、支持フレーム244を昇降自在に載置する昇降テーブル245と、昇降テーブル245をY軸方向に移動させる移動テーブル246と、を有している。また、フラッシングユニット74は、フラッシングボックス243内に吐出された機能液を吸引する機能液吸引手段247を有しており、吸引された機能液は、後述するメンテナンス装置59に設けたフラッシング廃液タンク248に排出される。
【0084】
移動テーブル246は、Y軸テーブル70とメンテナンス装置59との間の石定盤57上に配設されており、重量測定ユニット242とフラッシングボックス243とをY軸方向に移動させる。つまり、移動テーブル246とX軸テーブル71との協働により、ヘッドユニット1の各機能液滴吐出ヘッド4における任意のノズル列に、容器240を臨ませる構成となっている。なお、定期フラッシングの場合には、各機能液滴吐出ヘッド4は容器240から外れてフラッシングボックス243上に臨む。また、昇降テーブル245は、上記のヘッド高測定器95により設定されたヘッドユニット1の高さに合わせて、重量測定ユニット242およびフラッシングボックス243の高さを調整するものである。
【0085】
支持フレーム244は、昇降テーブル245上に固定された下支持プレート250と、下支持プレート250の四隅から立設した4本の支持部材252と、4本の支持部材252の上端部に固定された上支持プレート251と、で長方体状に構成されている。下支持プレート250上には、上記の電子天秤241が配設されており、一方、上支持プレート251上には、フラッシングボックス243が配設されている。
【0086】
図15および図16に示すように、上支持プレート251は、12個の機能液滴吐出ヘッドのレイアウトに対応して、略平行四辺形状に形成された上プレート本体254と、上プレート本体254の中央に貫通形成され、容器240を収容するための第1容器収容孔255と、上プレート本体254の図示上下両側に突設され、上支持プレート251に対し上記のフラッシングボックス243を位置決めする一対のボックス位置決めピン256と、上プレート本体254の表面に貫通形成された多数のプレート側吸引孔257と、を有している。また、上プレート本体254の裏面には、各プレート側吸引孔257に接続される複数の吸引継手258が設けられ、上プレート本体254の表面には、機能液を吸収する孔用吸収材259が各プレート側吸引孔257を覆うように配設されると共に、孔用押さえ板260により孔用吸収材259の周縁部が押さえ込まれている。さらに、上プレート本体254の表面上には、各プレート側吸引孔257を囲むようにシール用のOリング261が配設されている。
【0087】
フラッシングボックス243は、上支持プレート251上に載置され、略平行四辺形状に形成されたフラッシングトレイ264と、フラッシングトレイ264上に千鳥状に配設された8つの吸収材265と、各吸収材265の周縁部を押さえる8つの吸収材押え266と、を有している。
【0088】
フラッシングトレイ264には、千鳥状に配設される8つの吸収材265に対応する位置に、吸収材265に吸収された機能液を吸引するための一対のエアーチャンバ267が8組形成されている。この一対のエアーチャンバ267の間には、トレイ側吸引孔268が貫通形成されており、上記のプレート側吸引孔257とOリング261を介して連通するよう構成されている。また、フラッシングトレイ264には、上支持プレート251の一対のボックス位置決めピン256に嵌合する一対のボックス位置決め孔269が形成されると共に、フラッシングトレイ264の中央に貫通形成され、容器240を収容するための第2容器収容孔270が形成されている。
【0089】
各吸収材265は、各6個の機能液滴吐出ヘッド4に対応する大きさに形成されており、各吸収材押え266は、四周枠状に形成され、各吸収材265の周縁部を押えつつ、フラッシングトレイ264に着脱自在にネジ止め固定される。これにより、フラッシングトレイ264を交換セットできるようになっている。
【0090】
機能液吸引手段247は、フラッシング廃液タンク248内に接続された図外のイジェクター275で構成されており、フラッシング廃液タンク248の上部に配管接続されたフラッシング吸引カプラ276と、上支持プレート251の複数の吸引継手258とがマニホールド277を介して配管接続されている(図17参照)。
【0091】
容器240は、上記の第1容器収容孔255および第2容器収容孔270に臨むよう電子天秤241上に配設されている。容器240には、R色、G色およびB色の機能液をそれぞれ受ける3つ機能液受け部278が形成されており、この各機能液受け部278は、機能液滴吐出ヘッド4のノズル面51に対応する大きさを有し、直上部に臨んだ機能液滴吐出ヘッド4からは、ノズル列単位で機能液滴が吐出される。電子天秤241は、上記の容器240に吐出された機能液滴の重量を測定するものであり、振動の影響を受けないよう防振パッド上に設置されている。
【0092】
以下、機能液滴の重量測定を行なう一連の動作について説明する。移動テーブル246およびX軸テーブル71により、所望の機能液滴吐出ヘッド4の一方のノズル列を、液色に対応した容器240の機能液受け部278に臨ませる。なお、図18(a)〜(d)は、12個の機能液滴吐出ヘッド4の内、コーナーにある4つの機能液滴吐出ヘッド4をそれぞれ容器240に臨ませた上面図である。この後、機能液滴吐出ヘッド4からノズル列単位で機能液滴を吐出(数万発)し、電子天秤241により機能液滴の重量を測定する(電子天秤241は、測定数値が安定するまで時間がかかる)。このとき、1の機能液滴吐出ヘッド4における隣接したノズル列には、いわゆる微振動波形が印加され、メニスカスが維持される。また、測定していない他の機能液滴吐出ヘッド4からも機能液滴を吐出させ、フラッシングを行っている。次に、他方のノズル列を液色に対応した容器240の機能液受け部278に臨ませ、上記と同様に電子天秤241により機能液滴の重量を測定する。そして、他の機能液滴吐出ヘッド4の機能液滴の重量測定を行う場合は、移動テーブル246およびX軸テーブル71により、所望の機能液滴吐出ヘッド4を容器に臨ませる。なお、フラッシングのみを行う場合は、図18(e)に示すように、第2容器収容孔270を挟む一対の吸収材265に機能液滴を吐出する。その際、移動テーブル246はホーム位置に臨んでいる。
【0093】
次に、図19を参照して、X軸テーブル71上を移動するカメラユニット75について説明する。カメラユニット75は、一対の走行レールに掛け渡されたカメラキャリッジフレーム165と、カメラキャリッジフレーム165に垂設されたカメラ支持フレーム244と、カメラ支持フレーム244に取り付けられ、X軸方向に隣接する2台の撮像カメラ282と、を有している。2台の撮像カメラ282は、アライメントマスク106の基準着弾位置に対し、検査シートS上に吐出した機能液滴の実着弾位置が、位置ズレしているか否かを検査すべく、上記のアライメントマスク106および2枚の検査シートSを撮像する。加えて、検査シート上に着弾した機能液滴の直径を画像認識して、機能液滴の直径から吐出ノズル52の液滴吐出量が適切か否か、また、全ての吐出ノズル52から機能液滴が吐出されているか否かを検査する。この場合、2台の撮像カメラ282は、重量バランスを考慮し、X軸方向において、微調整機構等が逆向きに搭載されている。また、各撮像カメラ282は、キャリブレーションを考慮し、マイクロヘッド等の微調整機構によりX、Y、Z軸方向に微調整することが可能となっている。
【0094】
図20に示すように、カメラユニット75がアライメントマスク106および検査シートSを撮像する場合、先ず、図示下側に位置した機能液滴吐出ヘッド4の上側のノズル列にあたる着弾位置を、図示左側から図示右側へ移動して撮像する(実際には、着弾ドット数個単位)。図示右側まで移動しきった後、図示下側へ移動し、下側のノズル列にあたる着弾位置を図示右側から図示左側へ移動して撮像する。1の機能液滴吐出ヘッド4の撮像が終了すると、今度は、その上側に位置した機能液滴吐出ヘッド4の着弾位置を撮像し、これを6回繰り返すことで、2台の撮像カメラ282により、アライメントマスク106の全ての着弾基準マーク141を撮像する。また、全く同じ手順で、カメラユニット75は、検査シートSに着弾した全ての機能液滴の実着弾位置を撮像する。すなわち、アライメントマスク106の撮像手順と、検査シートSの撮像手順とを全く同一とし、手順の相違に基づく誤差を生じないよう配慮されている。なお、これらの移動は、相対的なものであり、X軸テーブル71と、下Y軸テーブル80とで行なわれている。また、実際の動作では、アライメントマスク106の撮像、機能液滴吐出ヘッド4による検査吐出、検査シートSの撮像の手順となる。そして、検査吐出は、ヘッドユニット1を停止させた状態で行なわれる。すなわち、アライメントマスク106の着弾基準マーク141の配置パターンと、実着弾位置の配置パターンとは、同一となる。
【0095】
次に、図5を参照して、メンテナンス装置59について説明する。メンテナンス装置59は、ワイピング装置61と、吸引装置60と、これらをY軸方向に移動させるサブテーブル284と、を備え、サブテーブル284は、共通架台63上をY軸方向に移動し、処理に応じた1の装置をメンテナンスエリアに臨ませる。また、詳細は後述するが、サブテーブル284上には、吸引廃液タンク314と、3つの洗浄液タンク300(図示では1つ)と、が配設され、吸引装置60およびワイピング装置61の移動に伴って、各タンク314、300がY軸方向に移動するよう構成されている。また、共通架台63上には、上記のフラッシング廃液タンク248と、3つの機能液メインタンク312と、が配設されており、3つの機能液メインタンク312は、それぞれR色、G色およびB色の3種類の機能液を貯留している。各機能液メインタンク312は、注入カプラ217を介して機能液を機能液タンク204内に補充するものである。
【0096】
図21に示すように、ワイピング装置61は、ベースとなるベースフレーム285と、ワイピングシート287をロール状に巻回した繰出しリール286と、繰出しリール286から繰り出されたワイピングシート287を巻き取る巻取りリール288と、両リール286、288間に掛け渡されたワイピングシート287を、エアーシリンダにより上下動して複数の機能液滴吐出ヘッド4に押し付ける押圧ローラ289と、押圧ローラ289と繰出しリール286との間に掛け渡されたワイピングシート287に、洗浄液を噴き付ける洗浄液噴霧ユニット(洗浄液噴霧手段)290と、洗浄液噴霧ユニット290に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット(洗浄液供給手段)293と、押圧ローラ289と巻取りリール288との間に掛け渡されたワイピングシート287に臨み、ワイピングシート287の送り量を検出する送り量検出ユニット291と、を有しており、これら全体がカバーボックス292により覆われている。
【0097】
カバーボックス292は、箱状に形成されており、その上面には、ワイプ開口295が形成されている。このため、ワイピングシート287は、押圧ローラ289により、ワイプ開口295から上方に出没自在となるよう構成されている。
【0098】
繰出しリール286は、ロール状に巻回したワイピングシート287を適宜繰出すようになっており、その軸部には、繰り出されてゆくワイピングシート287に対しバックテンションを付与するテンション付与機構が組み込まれている。このため、ワイピングシート287は、弛みを生ずることなく繰出しリール286から繰り出されてゆく。また、巻取りリール288は、減速ギア列等を介して駆動モータにより回転自在に構成されており、送り量検出ユニット291の検出結果に基づいて、送り量を制御しながらワイピングシート287を巻き取ってゆく。
【0099】
繰出しリール286に巻回されたワイピングシート287は、ポリエステルやポリプロピレン等の化学繊維を用いて布状に構成されており、6個(1列分)の機能液滴吐出ヘッド4を一括に払拭可能な幅に形成されている。
【0100】
送り量検出ユニット291は、スリット円板296が軸着された送り量検出ローラ297と、送り量検出ローラ297と共にワイピングシート287を挟み込むガイドローラ298と、送り量検出ローラ297のスリット円板296に臨むフォトインタラプタ299と、を有している。ワイピングシート287の移動量は、回転するスリット円板296を介してフォトインタラプタ299により検出され、制御コンピュータ65に出力される。
【0101】
図22に示すように、洗浄液供給ユニット293は、3つの洗浄液タンク300と、工場内の加圧設備により各洗浄液タンク300内を加圧して、洗浄液を洗浄液噴霧ユニット290へ供給する加圧源415と、を有している。各洗浄液タンク300は、その蓋体に設けられ、上記加圧源415に配管接続されるタンク加圧カプラ416と、洗浄液タンク300の下部に配管接続され、加圧により洗浄液噴霧ユニット290へ洗浄液を供給するための洗浄液供給カプラ417とが設けられており、加圧源415により洗浄液タンク300内部が加圧されると、洗浄液タンク300内の洗浄液が押し出され、洗浄液供給カプラ417を介して洗浄液噴霧ユニット290へ洗浄液が供給される。この3つの洗浄液タンク300内には、R色、G色およびB色の機能液に対応した異なる洗浄液がそれぞれ貯留されている。
【0102】
図23に示すように、洗浄液噴霧ユニット290は、ワイピングシート287に洗浄液を噴き付ける3つの噴霧ヘッド301と、3つの噴霧ヘッドを角度調整可能なように保持するヘッド保持部420と、ヘッド保持部420をワイピングシート287の幅方向に移動させるヘッド移動手段421と、工場内の加圧設備により各噴霧ヘッド301に圧搾エアーを供給する圧搾エアー供給源422と、各噴霧ヘッド301に圧搾エアーを供給するエアー流路の開閉を行なう3つのエアー開閉制御バルブ423と、を有しており、各噴霧ヘッド301は、ワイピングシート287に対し、供給された洗浄液を、供給された圧搾エアーにより上下に長い楕円形に噴き付ける。
【0103】
ヘッド保持部420は、3つの噴霧ヘッド301をワイピングシート287の幅方向に並べて保持しており、各噴霧ヘッド301の噴霧方向に直交するよう添設されたシャフト軸425を把持する3つのシャフト把持部426を有している。各シャフト把持部426は、各噴霧ヘッド301が所望の噴霧角度となるようシャフト軸425を中心に回転させてネジ止め固定することで、各噴霧ヘッド301を所望の噴霧角度に調整することが可能となっている。このとき、3つの噴霧ヘッド301は、その中央の1つが、ワイピングシート287に対し洗浄液を垂直に噴き付けるよう配置されると共に、その両側の2つが、中央の1つと同様の噴付け位置となるよう内側に絞り込んだ状態で固定される。つまり、中央の噴霧ヘッド301の噴付け位置が、噴霧中心となっている。
【0104】
ヘッド移動手段421は、ヘッド保持部420をロッドレスシリンダにより、ワイピングシート287の幅方向に移動させるよう構成されており、3つの噴霧ヘッド301は、ワイピングシート287の幅方向いっぱいに洗浄液を噴霧することが可能な構成となっている。これにより、ワイピングシート287に対し各噴霧ヘッド301の噴霧領域が狭い場合でも、ワイピングシート287の幅方向に広狭自在に洗浄液を噴霧(散布)することができる。また、ヘッド移動手段421には、ワイピングシート287の幅方向における各噴霧ヘッド301の位置を検出するためのヘッド位置検出センサ(例えば、センサーレール)427が設けられており、このヘッド位置検出センサ427により、各噴霧ヘッド301の位置を検出して、ワイピングシート287の所望の位置に各噴霧ヘッド301から洗浄液を噴き付ける構成となっている。
【0105】
3つのエアー開閉制御バルブ423は、制御コンピュータ65によりそれぞれ制御されており、各噴霧ヘッド301のエアー流路の開閉を行なうことで、所望の洗浄液を噴霧ヘッド301から噴霧するようになっている。つまり、ワイピングシート287に対し、所望の噴霧ヘッド301から、所望の洗浄液を噴霧することで、例えば、R色を吐出する機能液滴吐出ヘッド4のノズル面51に対し、R色に対応した洗浄液をワイピングシート287に噴霧して、拭取り動作を行うことが可能となる。これにより、この3つのエアー開閉制御バルブ423により、3つの噴霧ヘッド301から選択的に洗浄液を噴霧することができる。
【0106】
ここで、12個の機能液滴吐出ヘッド4をワイピングする一連の動作について説明する。各機能液滴吐出ヘッド4をワイピング装置61の押圧ローラ289により払拭するに先立ち、先ず、ヘッド移動手段421によりワイピングシート287の幅方向に3つの噴霧ヘッド301を移動させながら、ワイピングシート287に各噴霧ヘッド301により洗浄液を選択的に噴霧する。つまり、払拭される各色の機能液滴吐出ヘッド4に対応するワイピングシート287の各払拭領域に、各色に対応する洗浄液を各噴霧ヘッド301により噴き付ける。この後、繰出しリール286により、洗浄液を噴霧・含侵したワイピングシート287を押圧ローラ289に臨ませ、この状態で、押圧ローラ289を上動させてワイピングシート287をワイプ開口295に臨ませる。
【0107】
ワイピング装置61に臨んだヘッドユニット1の一方の機能液滴吐出ヘッド群(6個の機能液滴吐出ヘッド4)のノズル面51には、ワイプ開口295に臨んだワイピングシート287が当接し、メインキャリッジ72によりヘッドユニット1をX軸方向に前後移動させることで拭取り動作を行い、各機能液滴吐出ヘッド4のノズル面51を払拭する。
【0108】
次に、図24ないし図29を参照して、吸引装置60について説明する。吸引装置60は、サブテーブル284上に配置され、キャップ部本体305と吸引部本体306とから成る吸引装置本体307と、吸引部本体306に着脱される吸引付帯ユニット308と、キャップ部本体305に着脱自在に装着されるキャップユニット309と、を有している。この吸引装置60は、ヘッドユニット1の機能液の吸引を行なうと共に、除材装置として用いられている。吸引部本体306は、上面を開放した薄型箱状に形成され、その図示左側には、吸引廃液タンク314の密閉蓋を置くための円筒状のフタ置き310が立設している。
【0109】
吸引付帯ユニット308は、付帯支持フレーム244と、上記の吸引廃液タンク314と、吸引廃液タンク314の上流側に設けられた3個の色別バルブ315と、3個の色別バルブ315の上流側に設けられた3つのマニホールド318と、3つのマニホールド318の上流側に設けられた12個の個別バルブ316と、各区間を配管接続する吸引チューブ317と、を有しており、付帯支持フレーム244内に、3個の色別バルブ315、3つのマニホールド318および12個の個別バルブ316が収容されている(図17参照)。
【0110】
付帯支持フレーム244は、方形状の付帯ベースプレート320と、付帯ベースプレート320の上方に位置した2枚の付帯中間プレート321と、付帯中間プレート321の上方に位置した付帯上方プレート322と、これらを支持する複数の支持部材324と、を有している。付帯上方プレート322には、左右一対の付帯取手部325が設けられており、この付帯取手部325を把持して、吸引付帯ユニット308を着脱自在に装着する構成となっている。付帯ベースプレート320の図示左側には、吸引廃液タンク314が配置され、また、付帯ベースプレート320には、吸引付帯ユニット308を吸引部本体306にネジ止め固定するユリアネジ326が設けられている。2枚の付帯中間プレート321には、その一方に上記の12個の個別バルブ316が固定され、その他方に3つの色別バルブ315が固定されており、3つの色別バルブ315は、吸引チューブ317を介して吸引廃液タンク314に接続されている。吸引廃液タンク314には、上記のフラッシングユニット74と同一のイジェクター275が接続されており、このイジェクター275により、吸引廃液タンク314を介して吸引を行なっている(図17参照)。
【0111】
キャップ部本体305は、キャップユニット309を昇降させるキャップ昇降手段、吸引装置60に臨むヘッドユニット1を支持するヘッドユニット支持手段、および吸引装置60にヘッドユニット1が臨む際、ヘッドユニット1が受ける衝撃を吸収する衝撃吸収手段を有した本体ユニット327と、本体ユニット327上に取り付けられるキャップ取付プレート328と、を備えている。
【0112】
図25および図26に示すように、本体ユニット327は、キャップベース部330と、キャップベース部330上の図示中央側に立設した断面逆「T」字状のキャップフレーム331と、キャップフレーム331に対し昇降自在に添設された断面逆「L」字状のキャップスライド部332と、キャップスライド部332を昇降させるためのギアードモータ333と、を備えており、これらがキャップ昇降手段を構成している。また、本体ユニット327は、キャップベース部330上の図示左右両側に配設された一対のエアーシリンダ335と、一対のエアーシリンダ335上に設けられた枠状の支柱支持プレート336と、支柱支持プレート336の四隅に立設した4本の支柱337と、キャップフレーム331の背面側に取り付けられた3つのリブ部338と、3つのリブ部338の上端面に固定され、片持ちで支持された枠状の支柱ガイドプレート339と、支柱ガイドプレート339の四隅に垂設した4つの支柱ガイド部340と、を備えており、これらがヘッドユニット支持手段および衝撃吸収手段を構成している。
【0113】
キャップフレーム331は、その上端部中央から水平方向に突出したモータ支持プレート341を有しており、このモータ支持プレート341に、押上軸342を上方に突出させた状態で上記のギアードモータ333が垂設されている。ギアードモータ333は、キャップスライド部332を介してキャップユニット309を、キャッピング位置と待機位置との間で昇降自在に移動させるものであり、キャップユニット309の定常位置はキャッピング位置となっている。つまり、ヘッドユニット1の機能液を吸引する場合は、キャップユニット309をキャッピング位置に維持した状態で、メンテナンスエリアに臨んだメインキャリッジ72を下降させてキャッピングを行い、ヘッドユニット1を除材する場合は、キャップユニット309を待機位置に下降させた状態で、メインキャリッジ72を下降させる。
【0114】
キャップスライド部332は、正面視枠状に形成されたスライドフレーム345と、キャップ取付プレート328を載置する載置プレート346とで、断面逆「L」字状に一体形成されており、スライドフレーム345の左右辺部とキャップフレーム331の上端部との間には、左右一対のリニアスライダ347が設けられている。載置プレート346上には、その四隅にプレート位置決めピン348が突設され、載置プレート346の中央前部の直下に上記のギアードモータ333が臨んでいる。
【0115】
一対のエアーシリンダ335は、いわゆるショックアブソーバであり、4本の支柱337に載置したときのヘッドユニット1の衝撃を吸収するものである。各エアーシリンダ335の上部には、上記の支柱支持プレート336と連結するための連結金具350が設けられており、この連結金具350を介して、各エアーシリンダ335と支柱支持プレート336とが連結される。つまり、支柱支持プレート336は、衝撃を吸収すべく昇降自在に移動する。
【0116】
各支柱337は、円柱状に形成され、その下端部は支柱支持プレート336にネジ止め固定されている。4本の支柱337のうち対角線上の2本の支柱337の上端面には、セットされるヘッドユニット1の位置決めをする2つのヘッド位置決めピン351aが突設されている。
【0117】
支柱ガイドプレート339は、上記したように、3つのリブ部338の上端面に片持ち状態で支持されている。つまり、昇降自在に移動する支柱支持プレート336に対し、支柱ガイドプレート339は、その位置に留まるよう構成されている。支柱ガイドプレート339に設けられた各支柱ガイド部340は、いわゆるリニアブッシュであり、内径が支柱の外径よりも僅かに大きく形成された円筒状のガイド本体353と、ガイド本体の上端部に設けられ、支柱ガイドプレート339に固定されるガイド固定部354と、を有しており、各支柱337を上下方向にスライド自在にガイドしている。なお、支柱ガイドプレート339の側面には、載置されるヘッドユニット1の有無を検出する近接センサ355が設けられている。
【0118】
図27に示すように、キャップ取付プレート328は、上記の載置プレート346上に載置される取付ベースプレート358と、取付ベースプレート358に垂設された左右一対のエアーシリンダ359と、左右一対のエアーシリンダ359の上部に当接する取付中間プレート360と、取付中間プレート360と取付ベースプレート358との間に介設された4つの圧縮バネ361と、取付中間プレート360上に載置されたドレンパン364と、取付中間プレート360およびドレンパン364を介して、下端部を取付ベースプレート358に固定した4つのシャフト362と、4つのシャフト362のうち左側および右側に設けた2本のシャフト362の上端部に固定した左右一対のキャップ固定プレート363と、を備えている。
【0119】
取付ベースプレート358は、載置プレート346上に突設された4つのプレート位置決めピン348に嵌合する4つのプレート嵌合孔365と、4本の支柱337を挿通するための4つのベース挿通孔366と、が形成されており、4本の支柱337を挿通させ、位置決めした状態で、載置プレート346上にネジ止め固定される。
【0120】
取付中間プレート360は、その両端部に各エアーシリンダ359のプランジャおよび各圧縮バネ361が当接しており、エアーシリンダ359を介して取付中間プレート360に取り付けられたドレンパン364を下方に移動させると共に、下方に移動したドレンパン364を圧縮バネ361により再び元の位置へ戻す。また、取付ベースプレート358と同様に、取付中間プレート360にも、4本の支柱337を挿通するための4つの中間挿通孔367が形成されている。また、取付中間プレート360には、上記した4つのシャフト362をガイドする4つのシャフトガイド部(リニアブッシュ)368が配設されている。
【0121】
ドレンパン364は、上面を開放した薄型箱状に形成されており、その底板には、図示上下方向に亘って突出した左右一対の取付板370が形成されている。また、ドレンパン364には、上記の4本のシャフト362および4本の支柱337を挿通するドレンパン挿通孔371が形成され、このドレンパン挿通孔371を囲むよう周囲壁372が形成されている。また、ドレンパン364上には、キャップユニット309に設けられた大気開放弁396を開放するための6個の爪片375を有する大気開放プレート376が、左右一対の取付板370に掛け渡して上下方向に2つ並べてセットされる。
【0122】
各大気開放プレート376は、方形状の開放プレート本体380と、開放プレート本体380上に設けた6つの爪片375と、開放プレート本体380の両側に形成された左右一対の長孔381と、長孔381を介して取付板370に開放プレート本体380をスライド自在に取り付けるユリアネジ382と、開放プレート本体380をスライド方向に操作する操作ピン383と、を備えている。左右一対の取付板370に取り付けられた大気開放プレート376を、ユリアネジ382を緩めて、操作ピン383により、外側へスライド移動させることで、後述するキャップユニット309に設けられた大気開放弁396に係合させる。そして、一対のエアーシリンダ359によりドレンパン364を引き下げることで、キャップユニット309の大気開放弁396が開放されると共に、圧縮バネ361によりドレンパン364を元の位置に戻すことで、大気開放弁396を閉塞する構成となっている。
【0123】
各キャップ固定プレート363は、その上面にキャップユニット309を位置決めするキャップ位置決めピン385が設けられており、このキャップ位置決めピン385に後述するキャップユニット309のキャップ位置決め孔391を嵌合させることで、キャップユニット309を位置決めする。
【0124】
図28に示すように、キャップユニット309は、ヘッドユニット1に搭載された各機能液滴吐出ヘッド4をキャッピングする12個のヘッドキャップ387と、12個のヘッドキャップ387を保持するホルダープレート388と、を備えており、キャップユニット309は、その両端部を、上記の一対のキャップ固定プレート363に取り付けられている。
【0125】
ホルダープレート388は、十字状に形成されており、その図示上下方向に亘って、12個のヘッドキャップ387が各機能液滴吐出ヘッド4に対応するよう配設されている。ホルダープレート388の左右両側には、大気開放プレート376のユリアネジ382および操作ピン383が臨む左右一対の操作開口389が形成され、各操作開口389の近傍には、上記の4本の支柱337を挿通するための2つのホルダ挿通孔390が、それぞれ形成されている。また、2つのホルダ挿通孔390の間には、上記のキャップ位置決めピン385が嵌合するキャップ位置決め孔391が形成されている。
【0126】
図29に示すように、各ヘッドキャップ387は、各機能液滴吐出ヘッド4をキャッピングすると共に、キャッピングした機能液滴吐出ヘッド4から機能液を吸引すべく、機能液吸引流路395が形成され、この機能液吸引流路395に、上記の吸引付帯ユニット308の吸引チューブが配管接続されている。また、ヘッドキャップ387には、吸引した機能液を、適宜機能液吸引流路395に流し込むための大気開放弁396が設けられており、この大気開放弁396は上記した大気開放プレート376の爪片375により引き下げられて、大気開放される。なお、キャップユニット309は、ヘッドユニット1の機種にあわせて、複数種用意され、キャップ部本体305に簡単に付け替えることが可能となっている。
【0127】
メインキャリッジ72を吸引装置60の直上位置からキャッピング位置へ下降させてヘッドユニット1に形成された4つのセット孔22を、吸引装置60の4本の支柱337に対応させてセットすると、その衝撃は、4本の支柱337を介してエアーシリンダ335により吸収されると共に、ヘッドユニット1は4本の支柱337に設けたヘッド位置決めピン351aに位置決めされ、これに支持される。また、各機能液滴吐出ヘッド4は、キャップユニット309の各ヘッドキャップ387にキャッピングされる。なお、各ヘッドキャップ387内部には、クッションバネが設けられており、各機能液滴吐出ヘッド4の衝撃を吸収している。そして、イジェクター275によりヘッドキャップ387から機能液滴吐出ヘッド4内の機能液を吸引して、吸引した機能液を吸引廃液タンク314へ排出する。一方、ヘッドユニット1を除材する場合は、キャップユニット309を待機位置に移動させて、メインキャリッジ72からヘッドユニット1を取り外す。すなわち、キャッピング位置は、除材位置となっている。
【0128】
次に、図30および図31を参照して、給材装置62について説明する。給材装置62は、柱状ベース部401と、柱状ベース部401の上部に配設したエアーシリンダ402と、エアーシリンダ402の上部に配設したドレンパン400と、ドレンパン400の上部に配設し、ヘッドユニット1がセットされるヘッドユニット保持部403と、を有している。エアーシリンダ402は、セットされるヘッドユニット1の衝撃を吸収するショックアブソーバとして用いられている。
【0129】
ヘッドユニット保持部403は、ドレンパン400上に配設した断面「U」字状の保持台404と、保持台404上に固定された平面視「H」字状の保持プレート405と、保持プレート405上に取り付けられた上記のキャップユニット309と、保持プレート405上に立設した4本の保持柱406と、保持プレート405の下面の左右両側に取り付けた大小2枚のガイドプレート407と、大小2枚のガイドプレート407上に立設した3つの載込みガイド408と、を有している。また、保持プレート405には、ヘッドユニット1の有無を検出する近接センサ409が設けられている。
【0130】
4つの保持柱406のうち、対角線上の2本の保持柱406の上端面には、ヘッドユニット1を位置決めするヘッド位置決めピン351bが突設され、また、各保持柱406の上端部には、ヘッドユニット1のヘッドユニット保持部403への装着向きを対応させるためのヘッド装着ガイド部410が形成されている。つまり、ヘッドユニット1の4つのセット孔22に対し、異なる装着向き(例えば、左右反対)で、ヘッドユニット保持部403の4つの保持柱406にセットされると、各セット孔22と各保持柱406とが嵌合しないため、誤った装着向きであることを作業者が認識することができる。
【0131】
この給材装置62に、ヘッドユニット1をセットする場合は、作業者がヘッドユニット1を把持しつつ、3つの載込みガイド408に突き当て、これをガイドとして、4本の保持柱406をヘッドユニット1のセット孔22に嵌入する。このとき、ヘッドユニット1が受ける衝撃は、エアーシリンダ402により吸収され、また、ヘッドユニット1の各機能液滴吐出ヘッド4は、キャップユニット309のヘッドキャップ387にキャッピングされる。
【0132】
ここで、装着したヘッドユニット1の吐出検査における吐出検査装置の一連の動作について説明する。先ず、ヘッドユニット1がセットされた給材装置62およびメインキャリッジ72をメンテナンスエリア上に臨ませ、この後、作業者はメインキャリッジ72にヘッドユニット1を取り付ける。次に、メインキャリッジ72をヘッド高測定器95が設置されている場所まで移動させて、ヘッド高測定器95によりヘッドユニット1の高さを測定すると共に、測定した高さに基づいてメインキャリッジ72のZ軸テーブルにより、ヘッドユニット1の高さ調整を行なう。この後、メインキャリッジ72を再びメンテナンスエリアに臨ませると共に、吸引装置60もメンテナンスエリアに臨ませる。そして、吸引装置60により機能液滴吐出ヘッド4をキャッピングして吸引を行い、ヘッドユニット1内に機能液を充填させる。このとき、ヘッドユニット1内に機能液を充填させる際は、先ず、強い吸引を行なって、ヘッド内流路に機能液を充填させ、この後、弱い吸引を行なって、ヘッド内流路に生じた気泡を排除するよう構成されている。機能液の充填後、今度は、メンテナンスエリアにワイピング装置61を臨ませて、機能液滴吐出ヘッド4のノズル面を拭き取る。
【0133】
次に、ヘッドユニット1をフラッシングエリアに臨ませて、ノズル列毎に吐出される機能液滴の重量を測定し、測定後、再びヘッドユニット1をメンテナンスエリアに臨ませる。この後、カメラユニット75およびアライメントマスク106を処理エリアに臨ませ、カメラユニット75によりアライメントマスク106の着弾基準マーク141を、2台の撮像カメラ282により取り込む。
【0134】
次に、カメラユニット75を退避させ、ヘッドユニット1を処理エリアに臨ませると共に、Y軸テーブル70によりアライメントマスク106を処理エリアに臨ませる。そして、2台のアンダーカメラ91の撮像結果に基づいて、ヘッドユニット1の基準マークとアライメントマスク106のヘッド基準マーク140とを、θテーブル167、X軸テーブル71およびY軸テーブル70の協働により位置合わせを行う。位置合わせが終了すると、ヘッドユニット1を一旦フラッシングエリアに臨ませてフラッシングを行い、この後、ヘッドユニット1を処理エリアに臨ませると共に、アライメントマスク106に代えて2枚の検査シートSを処理エリアに臨ませ、この検査シートS上に機能液滴を吐出する。
【0135】
吐出後、ヘッドユニット1はメンテナンスエリアに臨み、吸引装置60によりキャッピングされる。この後、カメラユニット75により検査シートSに着弾した機能液滴の着弾位置を撮像し、制御コンピュータにより、着弾基準マーク141の配置パターンと実際に着弾した機能液滴の実着弾位置の配置パターンとを比較して、着弾ズレが生じていないかを検査すると同時に、着弾した機能液滴の直径を画像認識し、機能液滴の直径から吐出ノズル52の液滴吐出量が適切か否かを検査する。
【0136】
検査終了後、作業者が、再度ヘッドユニット1の検査を行なう必要があると判断した場合は、同様の上記の検査を繰り返し行ない、必要が無いと判断した場合は、キャップユニット309を待機位置に移動させて、メインキャリッジ72からヘッドユニット1を取り外して除材を行なう。なお、ヘッドユニット1を給材装置62にセットするタイミングは、メインキャリッジ72にヘッドユニット1が取り付けられた直後が、好ましい。
【0137】
以上の構成によれば、ワイピング装置61において、制御コンピュータ65により3つのエアー開閉制御バルブ423を制御することで、各洗浄液タンク300から供給された洗浄液が各噴霧ヘッド301を介して、ワイピングシート287に噴霧・含浸される。そして、各種洗浄液を含浸したワイピングシート287により、各機能液滴吐出ヘッド4のノズル面が払拭される。このように、複数種の洗浄液を供給可能に構成されているため、各色の機能液を吐出する機能液滴吐出ヘッド4に対応して、適切な洗浄液をワイピングシート287に自在に供給することができるため、ノズル面51の拭き取りを良好に行うことができる。
【0138】
なお、本実施形態では、3つの洗浄液タンク300に、R色、G色およびB色に対応するよう異なる洗浄液を貯留したが、例えば、2つの洗浄液タンク300のそれぞれに、機能液滴吐出ヘッド4に導入される機能液の溶媒に相当する第1洗浄液と、溶媒に対する親和性および揮発性を有する第2洗浄液とを貯留し、ワイピングシート287に対し、第1洗浄液を噴霧した後、第2洗浄液を噴霧するようにしても良い。これによれば、機能液の溶媒に相当する第1洗浄液を含浸したワイピングシート287により拭取りを行なった後、揮発性を有する第2洗浄液を含浸したワイピングシート287により拭取りを行うことができるため、機能液滴吐出ヘッド4のノズル面51を良好に払拭することができる。また、ヘッドユニット1に搭載した12個の機能液滴吐出ヘッド4が単色の機能液滴を吐出し、このヘッドユニット1が、例えば、R色、G色およびB色の3種類分用意されていた場合、セットされたヘッドユニット1から吐出される機能液滴の色に応じて、対応した洗浄液をワイピングシート287に噴霧するようにしても良い。さらに、本実施形態のワイピング装置61を液滴吐出装置に組み込んでも良い。
【0139】
次に、本実施形態の吐出検査装置55を用いて良品とされたヘッドユニット1を組み込んだ液滴吐出装置に製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0140】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図32は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図33は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図33(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0141】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図33(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図33(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド4により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0142】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0143】
次に、着色層形成工程(S103)では、図33(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド4によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド4を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0144】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図33(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0145】
図34は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図33に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0146】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0147】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図34において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0148】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0149】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0150】
実施形態の液滴吐出装置は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド4で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド4で行うことも可能である。
【0151】
図35は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0152】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0153】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0154】
図36は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0155】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0156】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0157】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0158】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0159】
次に、図37は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0160】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0161】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0162】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0163】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0164】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0165】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0166】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0167】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0168】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0169】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0170】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0171】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図38〜図46を参照して説明する。
この表示装置600は、図38に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0172】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図39に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図39に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0173】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド4を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0174】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、液滴吐出装置のセットテーブルに載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0175】
図41に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド4から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図42に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0176】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0177】
そして次に、図43に示すように、各色のうちのいずれか(図43の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0178】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図44に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0179】
同様に、機能液滴吐出ヘッド4を用い、図45に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0180】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0181】
対向電極形成工程(S115)では、図46に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0182】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0183】
次に、図47は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0184】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0185】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0186】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0187】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、液滴吐出装置を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置のセットテーブルに載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド4により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0188】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0189】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド4から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0190】
次に、図48は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0191】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0192】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0193】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0194】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置を用いて形成することができる。
【0195】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図49(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図49(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0196】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】ヘッドユニットの外観斜視図である。
【図2】ヘッドユニットの上面図および側面図である。
【図3】液滴吐出装置に搭載した機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図4】吐出検査装置を内部に収容したチャンバ装置の外観斜視図である。
【図5】吐出検査装置の外観斜視図である。
【図6】Y軸テーブルの外観斜視図である。
【図7】吸着テーブルの上面図および側面図である。
【図8】吸着テーブルの吸引系統図である。
【図9】アライメントテーブルの上面図および側面図である。
【図10】アライメントマスクの上面模式図である。
【図11】ヘッドユニットを搭載したキャリッジの正面図および側面図である。
【図12】機能液供給ユニットの外観斜視図である。
【図13】機能液供給ユニットの側面図である。
【図14】タンクユニットおよびヘッドユニットの機能液の供給系統図である。
【図15】フラッシングユニットの上面図および側面図である。
【図16】フラッシングユニットのフラッシングトレイ周りの図である。
【図17】フラッシング装置および吸引装置の機能液の吸引系統図である。
【図18】機能液滴の重量測定の説明図および定期フラッシングの説明図である。
【図19】カメラユニットの外観斜視図である。
【図20】カメラユニットによるアライメントマスクの読み取り順を示す説明図である。
【図21】ワイピングユニットの断面図である。
【図22】ワイピングユニットの洗浄液の供給系統図である。
【図23】噴霧ヘッドを搭載したワイピングユニットの側面図である。
【図24】キャップユニットおよび吸引付帯ユニットを取り外した吸引装置の外観模式図である。
【図25】本体ユニットの外観斜視図である。
【図26】本体ユニットの正面図、上面図および側面図である。
【図27】キャップ取り付けプレートの上面図および側面図である。
【図28】キャップユニットの外観斜視図である。
【図29】ヘッドキャップの断面図である。
【図30】給材装置の外観斜視図である。
【図31】キャップユニットを取り外した給材装置の外観斜視図である。
【図32】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図33】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図34】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図35】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図36】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図37】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図38】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図39】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図40】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図41】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図42】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図43】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図44】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図45】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図46】陰極の形成を説明する工程図である。
【図47】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図48】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図49】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0198】
1…ヘッドユニット 2…サブキャリッジ 4…機能液滴吐出ヘッド 52…吐出ノズル 55…吐出検査装置 60…吸引装置 61…ワイピング装置 62…給材装置 70…Y軸テーブル 71…X軸テーブル 72…メインキャリッジ 73…機能液供給ユニット 74…フラッシングユニット 75…カメラユニット 287…ワイピングシート 290…洗浄液噴霧ユニット 293…洗浄液供給ユニット 300…洗浄液タンク 301…噴霧ヘッド S…検査シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのノズル面に対する拭取り動作を、走行するワイピングシートにより行うワイピング装置、これを備えた吐出検査装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のワイピング装置として、ワイピングシートに洗浄液を含浸させ、このワイピングシートにより機能液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このワイピング装置は、ワイピングシートを送るシート送り機構と、ワイピングシートを機能液滴吐出ヘッドに押し付ける押圧ローラと、ワイピングシートの幅方向に横並びに配設した複数の噴霧ノズルを有する噴霧ヘッドと、複数の噴霧ノズルに洗浄液を供給する単一の洗浄液タンクと、を備えている。ワイピングシートに洗浄液を噴霧して含浸させ、この洗浄液を含浸したワイピングシートを送りつつ機能液滴吐出ヘッドのノズル面に押し当て、且つワイピング装置全体を移動させて拭取り動作が行なわれる。
【特許文献1】特開2004−337679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のワイピング装置では、異なる機能液を導入すべく機能液滴吐出ヘッドを交換した場合、機能液に対応する洗浄液を導入する必要があり、洗浄液タンクの交換や洗浄液流路への洗浄液の入換え等、作業が煩雑になる問題があった。また、導入する機能液の異なる複数の機能液滴吐出ヘッドを払拭する場合には、機能液滴吐出ヘッドによって適切な洗浄液が導入できない問題があった。
【0004】
本発明は、機能液吐出ヘッドの機能液に対応して、適切な洗浄液を自在に供給することができるワイピング装置、これを備えた吐出検査装置および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のワイピング装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのノズル面に対する拭取り動作を、走行するワイピングシートにより行うワイピング装置において、拭取り位置のシート送り方向の手前側に位置してワイピングシートに洗浄液を吹き付ける噴霧ヘッドをそれぞれ有する複数の洗浄液噴霧手段と、複数の洗浄液噴霧手段に異なる洗浄液をそれぞれ供給可能な洗浄液供給手段と、複数の洗浄液噴霧手段の噴霧動作を個別に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、制御手段により複数の洗浄液噴霧手段を制御することにより、洗浄液供給手段から供給された洗浄液が洗浄液噴霧手段の各噴霧ヘッドを介して、ワイピングシートに噴霧・含浸される。そして、洗浄液を含浸したワイピングシートにより、機能液滴吐出ヘッドのノズル面が払拭される。このように、複数種の洗浄液を供給可能に構成しているため、機能液吐出ヘッドの機能液に対応して、適切な洗浄液をワイピングシートに自在に供給することができ、ノズル面の拭き取りを適切に行うことができる。
【0007】
この場合、複数の噴霧ヘッドは、ワイピングシートの幅方向に並んで配設され、且つワイピングシートに対し噴霧中心が合致するように配設されていることが、好ましい。
【0008】
この構成によれば、ワイピングシートの同一の領域に、洗浄液を噴霧・含浸させることができ、異なる洗浄液を含浸したワイピングシートであっても、同一の払拭条件で拭取り動作を行なうことができる。
【0009】
この場合、各洗浄液噴霧手段は、ワイピングシートの幅方向に対する各噴霧ヘッドの噴霧角度を調整する噴霧角度調整機構を、更に有していることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ワイピングシートに対し、幅方向の任意の領域に任意の洗浄液を噴霧(散布)することができる。
【0011】
これらの場合、複数の噴霧ヘッドを、ワイピングシートの幅方向に移動させるヘッド移動手段を、更に備えることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ワイピングシートに対し各噴霧ヘッドの含む領域が狭い場合でも、ワイピングシートの幅方向に広狭自在に洗浄液を噴霧(散布)することができる。
【0013】
この場合、異なる機能液が導入される複数の機能液滴吐出ヘッドを同時に払拭し、洗浄液供給手段は、複数の洗浄液噴霧手段に複数の機能液に対応する複数の洗浄液を供給し、制御手段は、複数の洗浄液噴霧手段およびヘッド移動手段を制御し、複数の機能液滴吐出ヘッドに対応するワイピングシートの複数の払拭領域に、対応する複数の洗浄液を吹き付けることが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、ワイピングシートの複数の払拭領域に、複数の機能液滴吐出ヘッドに対応する洗浄液を散布することができ、機能液滴吐出ヘッド毎に適切に洗浄液を用いて拭取り動作を行なうことができる。
【0015】
同様に、異なる機能液が導入される複数の機能液滴吐出ヘッドを選択的に払拭し、洗浄液供給部は、複数の洗浄液噴霧手段に複数の機能液に対応する複数の洗浄液を供給し、制御手段は、複数の洗浄液噴霧手段およびヘッド移動手段を制御し、複数の機能液滴吐出ヘッドに対応してワイピングシートに洗浄液を吹き付けることが、好ましい。
【0016】
この構成によれば、ワイピングシートに、各機能液滴吐出ヘッドに対応する洗浄液を散布することができ、機能液滴吐出ヘッド毎に適切に洗浄液を用いて拭取り動作を行なうことができる。
【0017】
同様に、洗浄液供給部は、複数の洗浄液噴霧手段に機能液滴吐出ヘッドに導入される機能液の溶媒に相当する第1洗浄液と、溶媒に対する親和性および揮発性を有する第2洗浄液とを供給し、制御手段は、複数の洗浄液噴霧手段およびヘッド移動手段を制御し、第1洗浄液を噴霧した後、第2洗浄液を噴霧することが、好ましい。
【0018】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドに対し、機能液の溶媒に相当する第1洗浄液を含浸したワイピングシートにより拭取りを行なった後、揮発性を有する第2洗浄液を含浸したワイピングシートにより拭取りを行うことができ、機能液滴吐出ヘッドのノズル面を良好に払拭することができる。
【0019】
本発明の吐出検査装置は、上記したワイピング装置と、機能液滴吐出ヘッドにおける多数の吐出ノズルから検査吐出を行なわせ、その着弾結果から多数の吐出ノズルの吐出性能を検査する吐出検査手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、機能液吐出ヘッドの機能液に対応して、適切な洗浄液を自在に供給することができ、機能液吐出ヘッドのノズル面を良好に払拭することができる。
【0021】
本発明の液滴吐出装置は、上記したワイピング装置と、ワークに対し、機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、機能液滴吐出ヘッドからワークに対し機能液滴を吐出して描画を行なう描画手段と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、機能液吐出ヘッドの機能液に対応して、適切な洗浄液を自在に供給することができ、機能液吐出ヘッドのノズル面を良好に払拭することができる。
【0023】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0024】
本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、高品質の電気光学装置を効率良く製造することができる。なお、機能材料としては、有機EL装置の発光材料(Electro-Luminescence発光層・正孔注入層)は元より、液晶表示装置に用いるカラーフィルタのフィルタ材料(フィルタエレメント)、電子放出装置(Field Emission Display, FED)の蛍光材料(蛍光体)、PDP(plasma Display Panel)装置の蛍光材料(蛍光体)、電気泳動表示装置の泳動体材料(泳動体)等であって、機能液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)により吐出可能な液体材料を言う。また、電気光学装置(Flat Panel Display, FPD)としては、有機EL装置、液晶表示装置、電子放出装置、PDP装置、電気泳動表示装置等がある。
【0026】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0027】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本実施形態に係るワイピング装置を適用した吐出検査装置について説明する。この吐出検査装置は、12個の機能液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)を単一のサブキャリッジに組み込んだヘッドユニットの吐出性能を検査するものである。先ず、吐出検査装置の説明に先立ち、検査対象となるヘッドユニットについて説明する。
【0029】
図1および図2に示すように、ヘッドユニット1は、サブキャリッジ2と、ヘッド保持部材3を介してサブキャリッジ2に搭載した12個の機能液滴吐出ヘッド4と、を備えている。12個の機能液滴吐出ヘッド4は、6個ずつ左右に二分されている。各6個の機能液滴吐出ヘッド4は、それぞれR色、G色およびB色の3種類の機能液滴(インク液滴)を吐出するものであり、3種類の機能液滴吐出ヘッド4を1組とし、これを2組組み合わせて、副走査方向に対し平行に配設されると共に、相互に階段状に位置ずれして配設されている。このとき、6個の機能液滴吐出ヘッド4の内、同色の機能液滴を吐出する2つの機能液滴吐出ヘッド4は、副走査方向において連続するよう配置されており、また、左右二分した各機能液滴吐出ヘッド群における同色の機能液滴を吐出する2つ機能液滴吐出ヘッド4は、副走査方向において機能液滴吐出ヘッド4、2個分の間隙を存して配置されている(図2(a)参照)。
【0030】
サブキャリッジ2は、長方体状に構成され、12個の機能液滴吐出ヘッド4が取り付けられる略方形の本体プレート10と、本体プレート10の下面に突設した左右一対の基準ピン11と、本体プレート10の両短辺部分に取り付けた左右一対のプレート支持部材12と、一対のプレート支持部材12の上端部に掛け渡され、後述する吐出検査装置55のメインキャリッジ72に取り付けられるヘッド取付プレート9と、を有している。また、本体プレート10上には、12個の機能液滴吐出ヘッド4の両側に位置して、これら機能液滴吐出ヘッド4に接続される左右一対の配管接続アッセンブリ13が設けられ、各配管接続アッセンブリ13は、吐出検査装置55のインク供給系に配管接続される。なお、図示では省略したが、サブキャリッジには、機能液滴吐出ヘッドに接続される配線接続アッセンブリが設けられ、各配線接続アッセンブリは、吐出検査装置55の制御系に配線接続される。
【0031】
本体プレート10は、ステンレス等の厚板で構成され、12個の機能液滴吐出ヘッド4を取り付けるための12個の装着開口20が形成されている。また、本体プレート10の4つの隅部には、後述する吐出検査装置55の吸引装置60および給材装置62に位置決めして着座するための4つのセット孔22が形成されており、セット孔22は本体プレート10を貫通して、各プレート支持部材12内部まで延びている。
【0032】
左右一対の基準ピン11は、ヘッドユニット1を、後述する吐出検査装置55のアライメントマスク106に対し、位置決めするための基準となるものであり、本体プレート10の裏面に突出するように取り付けられている(図2(b)参照)。図示は省略するが、基準ピン11は、円柱状に構成され、その先端面は鏡面加工されると共に、その中央部には、凹状に形成した基準マークが設けられている。
【0033】
一対の配管接続アッセンブリ13は、各機能液滴吐出ヘッド4の両側に配設されており、各配管接続アッセンブリ13は、各プレート支持部材12に内側に向けて水平に取り付けた2枚の固定プレート25と、各固定プレート25上に立設した3つのバルブ取付プレート26と、計6つのバルブ取付プレート26に取り付けた6組の自己封止バルブ27と、各自己封止バルブ27の一端に配管接続された6つのタンク側接続カプラ28と、で構成されている。6組の自己封止バルブ27は、一方を2分岐継手29および2本の配管チューブを介して機能液滴吐出ヘッド4に接続されると共に、他方をタンク側接続カプラ28を介して後述する吐出検査装置55のタンクユニット175に接続される(図14参照)。
【0034】
各配線接続アッセンブリは、4つのヘッド中継基板を有しており、4つのヘッド中継基板は、それぞれフレキシブルフラットケーブルを介して、後述する機能液滴吐出ヘッド4のヘッド基板39に接続されている。
【0035】
次に、図3を参照して、機能液滴吐出ヘッド4について説明する。この機能液滴吐出ヘッド4は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針を有する機能液導入部45と、機能液導入部45の側方に連なる2連のヘッド基板39と、機能液導入部45の下方に連なる2連のポンプ部46と、ポンプ部46に連なるノズルプレート47と、を備えている。機能液導入部45には、上記した2本の配管チューブが接続され、ヘッド基板39には、上記のフレキシブルフラットケーブルが接続されている。一方、このポンプ部46とノズルプレート47とにより、サブキャリッジ2の裏面側に突出する方形のヘッド本体50が構成されている。
【0036】
ノズルプレート47のノズル面51には、2列のノズル列が相互に平行に列設されており、各ノズル列は、等ピッチで並べた180個の吐出ノズル52で構成されている。この場合、180個の吐出ノズル52のうち、両外端に位置する各10個の吐出ノズル52は、無効ノズル(ダミーノズル)であり、実際の描画には使用しない。
【0037】
このように構成された機能液滴吐出ヘッド4は、そのヘッド本体50を、本体プレート10に形成した装着開口20から、本体プレート10の裏面側に突出させ、装着開口20の縁部にあてがったヘッド保持部材3にネジ止め固定され、また、ヘッド保持部材3は、本体プレート10に接着固定される。すなわち、本実施形態の検査の前工程として、ヘッドユニット1の組立が行なわれ、その際、サブキャリッジ2と12個の機能液滴吐出ヘッド4とは、アライメントされた状態で組み立てられる。
【0038】
次に、図4および図5を参照して、上記したヘッドユニット1の吐出性能を検査する吐出検査装置55について説明する。吐出検査装置55は、機台56と、機台56上に設けた石定盤57と、石定盤57上の全域に広く載置され、ヘッドユニット1を搭載した描画検査装置58と、吸引装置60およびワイピング装置61を有するメンテナンス装置59と、ヘッドユニット1を描画検査装置58に供給する給材装置62と、メンテナンス装置59および給材装置62を支持する共通架台63と、を備えており、吐出検査装置55はチャンバ装置64内に収容されている。吐出検査装置55は、給材装置62により給材されたヘッドユニット1を、描画検査装置58に搭載(セット)すると共に、搭載したヘッドユニット1を検査すべく、メンテナンス装置59により機能液滴吐出ヘッド4の機能維持・回復を行いながら、描画検査装置58により検査シートS上に機能液滴を吐出すると共に、吐出した機能液滴の着弾位置を検査する。また、チャンバ装置64は、内部雰囲気を温度管理すると共に、クリーンルームを構成している。また、吐出検査装置55には、装置全体を統括制御する制御コンピュータ(制御手段)65が組み込まれており、チャンバ装置64の外に配置されている。
【0039】
描画検査装置58は、石定盤57上に載置されると共に主走査方向に移動するY軸テーブル70と、Y軸テーブル70を跨いで設置され、副走査方向に移動するX軸テーブル71と、X軸テーブル71上を副走査方向にスライド自在に移動すると共に、ヘッドユニット1を着脱自在に垂設するメインキャリッジ72と、メインキャリッジ72の上側に搭載され、ヘッドユニット1に機能液を供給する機能液供給ユニット73と、石定盤57上に載置され、Y軸テーブル70に隣接配置したフラッシングユニット74と、X軸テーブル71上をメインキャリッジ72とは別に副走査方向にスライド自在に移動するカメラユニット75と、を備えている。この描画検査装置58において、X軸テーブル71とY軸テーブル70とが交わる領域が処理エリアとなっており、処理エリアは、ヘッドユニット1により機能液滴を吐出する吐出エリアと、カメラユニット75により着弾した機能液滴を撮像する撮像エリアとを兼ねている。
【0040】
図6に示すように、Y軸テーブル70は、下Y軸テーブル80と、下Y軸テーブル80上に配設された上Y軸テーブル81と、を有しており、これらで2段階にスライド移動するよう構成されている。
【0041】
下Y軸テーブル80は、Y軸方向(主走査方向)に延在するよう石定盤57上に直接支持された左右一対のテーブル台85と、一対のテーブル台85上に設けられ、Y軸方向に延びる一対の第1ガイドレール86と、一方のテーブル台85上に設けられたY軸リニアモータ(ロッドモータ)87と、他方のテーブル台85上に設けられたケーブル担持体88と、Y軸リニアモータ87により第1ガイドレール86上をスライド自在に移動する第1スライダ89と、を備えており、下Y軸テーブル80は、微小な移動の調整を行なうことが可能となっている。また、一対のテーブル台85の間の石定盤57上には、センターに位置してY軸方向に離間するよう(上記の一対の基準ピン11に対応する寸法離れて)、2台のアンダーカメラ91が配設されており、この2台のアンダーカメラ91は、ヘッドユニット1と後述するアライメントマスク106とを位置合わせする際に用いられる。このため、第1スライダ89には、各アンダーカメラ91が臨む位置に、カメラ穴が形成されている。
【0042】
さらに、一方のテーブル台85には、ヘッドユニット1の高さレベルを測定するヘッド高測定器95が設置されており、ヘッド高さの測定に基づいて、後述するアライメントテーブル105とヘッドユニット1との間、および吸着テーブル107とヘッドユニット1との間のワークギャップを、後述するメインキャリッジ72のZ軸テーブル166により調整する。
【0043】
一方、上Y軸テーブル81は、第1スライダ89上に設けられ、Y軸方向に延びる一対の第2ガイドレール100と、一対の第2ガイドレール100の外側に設けられたY軸ロッドレスシリンダ101と、Y軸ロッドレスシリンダ101により第2ガイドレール100上をスライド自在に移動する板状の第2スライダ102と、を備えている。また、第2スライダ102上には、ヘッドユニット1から吐出される機能液滴の着弾位置における検査基準位置となるアライメントマスク106を保持したアライメントテーブル105と、吐出される機能液滴の着弾対象となる検査シートSを吸着する吸着テーブル107と、がY軸方向に隣接して配置されており、アライメントマスク106の表面と検査シートSの表面とは、面一になるよう調整されている。このため、第2スライダ102上には、吸着テーブル107とアライメントテーブル105とを位置決め固定する固定部がそれぞれ設けられている。
【0044】
ここで、上記の吸着テーブル107上の検査シートSおよびアライメントテーブル105のアライメントマスク106は、メインキャリッジ72に搭載されたカメラユニット75の撮像対象となっており、上Y軸テーブル81は、撮像エリアに臨むアライメントテーブル105と吸着テーブル107との撮像位置を相互に入れ替えるために用いられている。また、第2スライダ102は、下方に臨む上記の2台のアンダーカメラ91によりアライメントマスク106を画像認識すべく、各アンダーカメラ91が臨む位置に、カメラ穴が形成されている。
【0045】
Y軸テーブル70は、撮像エリアに臨んだアライメントテーブル105から吸着テーブル107に、または、吸着テーブル107からアライメントテーブル105に位置を入れ替える際は、上Y軸テーブル81により相互の位置を入れ替えた後、下Y軸テーブル80により、Y軸方向において位置を微調整する。これにより、下Y軸テーブル80の移動を極力抑えることができるため、下Y軸テーブル80の絶対位置決め精度を維持することが可能となる。また、下Y軸テーブル80は、吸着テーブル107を、検査シートSをセットするシートセットエリアSAと、上記の処理エリアとの相互間で適宜移動させる。
【0046】
次に、図7および図8を参照して、吸着テーブル107について説明する。吸着テーブル107は、内部に左右一対のエアーチャンバ110を有する吸着テーブル本体111と、各エアーチャンバ110の直上に配置され、吸着テーブル本体111の上面に対し二分して配置された左右一対の吸着プレート部112と、各エアーチャンバ110内部のエアーを吸引するエアー吸引手段113と、を有しており、吸着テーブル107は、一対の吸着プレート部112上に載置した2枚の検査シートSを吸着固定する。
【0047】
吸着テーブル本体111は、平面視略長方形状に形成され、その両長辺の中間部分に上下一対の切欠き部115が形成されており、一対の切欠き部115の下方には、上記の2台のアンダーカメラ91が臨むよう構成されると共に、各切欠き部115には、位置決め片116がそれぞれ長辺方向に掛け渡されている。この一対の位置決め片116は、長方形状に形成され、その中央部分には、Y軸テーブル70に対し、吸着テーブル107を位置決めするための位置決めマーク117が形成されている。吸着テーブル107を第2スライダ102に固定する場合には、この2つの位置決めマーク117を2台のアンダーカメラ91で撮像しながら位置決め固定する。また、吸着テーブル本体111の内部には、上記した一対のエアーチャンバ110が形成されており、各エアーチャンバ110は、吸着テーブル本体111の各側面にそれぞれ形成した3つの吸引開口118に連通し、各エアーチャンバ110内を均一に減圧できるようになっている。
【0048】
吸着テーブル本体111の上面には、各検査シートSを位置決めするための4本のシート位置決めピン120が左右2組設けられており、各4本のシート位置決めピン120は、各吸着プレート部112の一方の長辺に2本、一方の短辺に2本、各辺に沿って、その両端側に立設している。これにより、各検査シートSを吸着プレート部112上に位置決めして載置することが可能となっている。また、吸着テーブル本体111の上面四隅には、第2スライダ102上に載置する吸着テーブル107の高さを調整する4つの第1高さ調整ネジ121が設けられている。
【0049】
吸着プレート部112は、その上面にマトリクス状に配置した多数の吸着孔125を有しており、各吸着孔125は下側のエアーチャンバ110に連通している。多数の吸着孔125は、ヘッドユニット1から吐出される機能液滴の着弾位置から外れた位置となるよう形成されている。
【0050】
図8に示すように、エアーチャンバ110の内部のエアーを吸引するエアー吸引手段113は、低圧吸引および高圧吸引に相互に切替可能な構成となっており、低圧吸引は、各吸着プレート部112上にセットした検査シートSが移動可能な程度に吸引する一方、高圧吸引は、検査シートSが移動不能(吸着固定)となるよう吸引する。つまり、吸引手段は、検査シートSを吸着プレート部112上に仮固定すると共に、本固定するよう構成されている。
【0051】
エアー吸引手段113は、工場内の吸引設備によりエアーを吸引する吸引源126と、吸引源126から2つの吸引流路に分岐してその一方の上流側に設けられ、吸引源126からの吸引を低圧吸引とする低圧コントロールバルブ127と、他方の上流側に設けられ、吸引源126からの吸引を高圧吸引とする高圧コントロールバルブ128と、各コントロールバルブ127、128の上流側に設けられ、低圧吸引および高圧吸引の切り替えを行なう圧力切替えバルブ129と、圧力切替えバルブ129の上流側に設けられ、吸引の開閉を行なう吸引開閉バルブ130と、を備えており、吸引開閉バルブ130の上流側は、6つの吸引流路に分岐すると共に、6つの吸引流路は、吸着テーブル本体111の両側面の計6つの吸引開口118に設けられた6つの継手131に接続されている。なお、各区間は、吸引チューブにより配管接続されている。
【0052】
吸着テーブル107に検査シートSをセットする場合、先ず、エアー吸引手段113を停止した状態において、検査シートSをシート位置決めピン120にあてがい、これを吸着プレート部112上に配置する。この後、圧力切替えバルブ129を低圧吸引に切り替えると共に、吸引開閉バルブ130を開いて吸引を開始する。すると、検査シートSは移動可能に吸着され、この状態において、検査シートSにシワ等が生じた場合は、検査シートSを引っ張る等してシワ等を取り除く。検査シートSの位置決め(仮固定)が終了した後、吐出検査装置55が吐出検査動作を開始すると、この開始に伴って、制御コンピュータ65により圧力切替バルブ236が高圧吸引に切り替えられ、検査シートSが吸着固定され、この状態で、吐出検査装置55による機能液滴の吐出の検査を行なう。
【0053】
次に、図9および図10を参照して、アライメントテーブル105について説明する。アライメントテーブル105は、アライメントマスク106と、これを保持するマスク保持ステージ135と、を備えており、マスク保持ステージ135は、アライメントマスク106を保持した状態で、第2スライダ102に設けられた固定部に位置決めされて取り付けられる。
【0054】
図10に示すように、アライメントマスク106は、石英ガラスで板状に構成され、その表面上には、各種マークがマーキングされると共に、その上面四周縁部は、外方に下り斜面の傾斜面136aに形成されている。各種マークは、ヘッドユニット1の位置を補正するための上下一対のヘッド基準マーク140と、ヘッドユニット1から吐出された機能液滴を検査するための基準着弾位置となる着弾基準マーク141と、を有しており、これら各基準マークを1組として、計5組Y軸方向に相互に位置ズレした状態でアライメントマスク106にマーキングされている。
【0055】
また、各種マークは、2台のアンダーカメラ91および後述するカメラユニット75の2台の撮像カメラ282を補正するための3つのキャリブレーションマーク群142を有しており、3つのキャリブレーションマーク群142は、アライメントマスク106の図示下側に形成された1つが、各アンダーカメラ91の位置を補正するものであり、アライメントマスク106の図示中央の左右両側に形成された2つが、2台の撮像カメラ282の位置を補正するものである。
【0056】
マスク保持ステージ135は、アライメントマスク106を載置するマスクプレート145と、マスクプレート145上に設けられ、載置されたアライメントマスク106の位置決めを行うマスク位置決め手段146と、位置決めされたアライメントマスク106をマスクプレート145に押さえ込む8つのマスク押え部材147と、第2スライダ102上に載置するアライメントテーブル105の高さを調整する4つの第2高さ調整ネジ148と、を有している。
【0057】
マスクプレート145は、アライメントマスク106よりも一回り大きく形成され、その中央にアライメントマスク106を載置している。また、マスクプレート145には、下方に臨む2台のアンダーカメラ91によるヘッド基準マーク140およびキャリブレーションマーク群142の撮像を許容すべく、対応する位置に一対のカメラ孔143が形成されている。また、マスクプレート145の上面四隅には、上記した4つの第2高さ調整ネジ148が設けられており、これを回動させることで第2スライダ102に載置する高さを調整している。
【0058】
マスク位置決め手段146は、アライメントマスク106が載置されるマスクプレート145の四周縁部に設けられており、マスクプレート145の下側中央に突設された円柱状のマスク位置決めピン150と、マスクプレート145の上側両端部に配置された2つの縦寄込み調整ネジ151と、マスクプレート145の左右両側中央に配置された一対の横寄込み調整ネジ152と、を有している。
【0059】
アライメントマスク106をマスクプレート145に位置決めする際は、先ず、マスクプレート145の略中央にアライメントマスク106を載置する。この後、アライメントマスク106の下側をマスク位置決めピン150に突き当て、この状態で、縦寄込み調整ネジ151を回して、その先端をアライメントマスク106の上側に当接させてY軸方向における位置決めを行う。そして、一対の横寄込み調整ネジ152を回して、その先端をアライメントマスク106の左右両側に当接させてX軸方向における位置決めを行う。
【0060】
8つのマスク押え部材147は、マスクプレート145の四周縁部の各辺に2つずつ配置されており、各マスク押え部材147は、アライメントマスク106の四周縁部の傾斜面136aに当接する板状の押え部155と、アライメントマスク106を押さえるようZ軸方向に、押え部155を移動させて固定する固定ネジ156と、を備えている。各押え部155は、アライメントマスク106に当接する面が、アライメントマスク106の傾斜面136aと相補的形状となるよう、同様に傾斜面136bに形成されている(図9(c)参照)。
【0061】
マスクプレート145上に位置決めされたアライメントマスク106は、今度は、8つのマスク押え部材147により、アライメントマスク106の各傾斜面136aに対し、側方から乗り上げるようにしてこれを押さえ込む。このとき、アライメントマスク106の表面よりも、各押え部155の上面が突出することがないように構成されている。
【0062】
次に、図5を参照して、X軸テーブル71について説明する。X軸テーブル71は、一対の走行レール上を走査するX軸リニアモータ(ロッドモータ)160を有しており、これに上記のメインキャリッジ72およびカメラユニット75を個別に移動自在に搭載している。X軸テーブル71は、石定盤57上に立設した4本の柱161に支持されており、Y軸テーブル70を跨いでメンテナンス装置59の上方に臨む位置まで延在している。X軸テーブル71は、メインキャリッジ72に搭載したヘッドユニット1を、メンテナンス装置59の直上部に位置するメンテナンスエリアと、フラッシングユニット74の直上部に位置するフラッシングエリアと、上記の処理エリアとの相互間で、適宜移動させる。また、X軸テーブル71は、カメラユニット75を処理エリアと、待機エリアとの相互間で、適宜移動させる。
【0063】
ここで、図11を参照して、X軸テーブル71上を移動するメインキャリッジ72について説明する。メインキャリッジ72は、一対の走行レールに掛け渡されたキャリッジフレーム165と、キャリッジフレーム165に取り付けられ、ヘッドユニット1を昇降自在に移動させるZ軸テーブル166と、Z軸テーブル166に垂設され、ヘッドユニット1をθ方向に回転させるθテーブル167と、θテーブル167に垂設され、ヘッドユニット1を着脱自在に保持するヘッドユニットホルダ168と、を有している。また、メインキャリッジ72には、機能液滴吐出ヘッド4を駆動するための駆動ドライバを収容した駆動ボックス169が搭載されている(図5参照)。
【0064】
キャリッジフレーム165は、底板171と一対の側板172とで断面「U」字状に構成されており、キャリッジフレーム165の内部には、Z軸テーブル166の上端部が固定され、キャリッジフレーム165の一方の側板には、上記の機能液供給ユニット73が取り付けられている。Z軸テーブル166は、下Y軸テーブル80に設けられたヘッド高測定器95の測定結果に基づいて、ヘッドユニット1を昇降させてワークギャップを調整したり、また、後述するヘッドユニット1の除給材における除給材動作において、待機位置と除給材位置との間で適宜ヘッドユニット1を昇降させる。θテーブル167は、アライメントマスク106を基準としてヘッドユニット1の位置決めを行う際に用いられる。
【0065】
図示は省略するが、ヘッドユニットホルダ168の下端面には、ヘッドユニット1を保持するための複数のばか穴が形成されると共に、ヘッドユニット1の上端面にも、上記の複数のばか穴に対応する位置に、複数のばか穴173が形成されており(図1参照)、これらを相互に重ね合わせてボルト止めすることにより、メインキャリッジ72にヘッドユニット1が着脱自在に取り付けられている。
【0066】
次に、図12ないし図14を参照して、機能液供給ユニット73について説明する。機能液供給ユニット73は、ヘッドユニット1に機能液を供給するものであり、R色、G色およびB色の異なる機能液をそれぞれ貯留する3つのタンクユニット175と、3つのタンクユニット175を着脱自在に載置すると共にキャリッジフレーム165に取り付けられたタンクホルダ176と、タンクホルダ176に設けられ、ヘッドユニット1に接続される各ヘッド側接続カプラ208を固定するカプラ取付部177と、を備えている。
【0067】
タンクホルダ176は、キャリッジフレーム165の側面にネジ止めされた背板180と、背板180に取り付けられた側面視「L」字状の上ホルダフレーム181と、上ホルダフレーム181に垂設された側面視「L」字状の下ホルダフレーム182と、で構成され、上ホルダフレーム181には、ドレンパン183が載置されると共に、その内部に、3つのタンクユニット175をセットする3つのタンクセット部184が設けられている。
【0068】
ドレンパン183は、上面を開放した薄型箱状に形成されており、ドレンパン183の図示前面には、各ヘッド側接続カプラ208の一方から延びる配管チューブを保持する第1チューブホルダ187が設けられている。また、各タンクセット部184は、ドレンパン183内部に配設され、各タンクユニット175を載置する受けプレート188を有している。
【0069】
各受けプレート188は、その上面四隅に、平面視「L」字状に形成された4つのタンク位置決め部材190が設けられ、また、その上面中央に、種別判別ピン191が突設されている。4つのタンク位置決め部材190は、各タンクユニット175の下面の四隅に沿って、受けプレート188上に配置されている。また、計3つの受けプレート188に突設された3つの種別判別ピン191は、各受けプレート188に対しそれぞれ異なる位置に突設されており、後述するタンクユニット175の下面に形成された種別判別孔230と嵌合するよう構成されている。
【0070】
下ホルダフレーム182の図示前面には、上記のカプラ取付部177が設けられており、カプラ取付部177は、機能液滴吐出ヘッド4側に機能液を供給する場合に、ヘッド側接続カプラ208を取り付けるものである。カプラ取付部177は、3つのタンクユニット175の並び方向に亘って延在するよう設けられると共に断面「T」字状の開口溝195を有する取付レール196と、開口溝195に収容され、並び方向にスライド自在に移動する方形状の複数の裏板ナット197と、を有している。各ヘッド側接続カプラ208を後述する連結板209を介して裏板ナット197にネジ止めすると、連結板209は傾斜した状態でカプラ取付部177に取り付けられ、これに伴い、各ヘッド側接続カプラ208は、その接続口が斜め上方に向くようになっている。なお、下ホルダフレーム182の下面には、ヘッド側接続カプラ208に接続されるヘッドユニット1のタンク側接続カプラ28から延びた機能液供給チューブを保持する第2チューブホルダ198が設けられている。
【0071】
また、図13に示すように、タンクホルダ176の背板180には、各タンクユニット175の機能液の液位を検出する3つの液位検出センサ199と、載置される各タンクユニット175の有無および種別を検出する3つの種別検出センサ200と、が設けられている。液位検出センサ199および種別検出センサ200はフォトセンサで構成されている。
【0072】
各タンクユニット175は、機能液を貯留する機能液タンク204と、機能液タンク204を支持するタンク架台205と、タンク架台205内部に収容され、一端を機能液タンク204に接続したタンク配管接続アッセンブリ206と、タンク配管接続アッセンブリ206の他端に接続された4つのヘッド側接続カプラ208および4つのヘッド側接続カプラ208を一体として保持する連結板209から成るカプラ手段207と、を備えている。各ヘッド側接続カプラ208は、タンク側接続カプラ28と接続する部分がワンタッチ式となっており、タンク側接続カプラ28には、離脱時に流路を自動閉塞する閉塞機構が組み込まれている。連結板209は、方形状に形成され、連結板209の長辺方向に各ヘッド側接続カプラ208が並ぶよう、各ヘッド側接続カプラ208の基端部を保持している。つまり、4つのヘッド側接続カプラ208は、連結板209に対し、直交した状態で保持されている。
【0073】
機能液タンク204は、上面を開放した箱状のタンク本体213と、タンク本体213の上面を覆うタンク蓋体214と、タンク本体213内に配管接続され、タンク蓋体214に設けられた大気開放弁215と、大気開放弁215に接続されエアーフィルタ216と、タンク本体213内に配管接続され、機能液を注入するための注入カプラ217と、を有している。注入カプラ217を介して、タンク本体213内に機能液を注入すると、タンク本体213のエアーが、大気開放弁215およびエアーフィルタ216を介して機能液タンク204外部に排気される。また、タンク本体213内の機能液が消費されると、エアーフィルタ216および大気開放弁215を介して、エアーがタンク本体213内に取り込まれる。このとき、エアーフィルタ216を介しているため、機能液タンク204外部の塵埃等がタンク本体213内に混入することが無い。
【0074】
タンク本体213には、その背面側に液位検出センサ199による液位を検出するための液位被検出部220が設けられ、液位被検出部220は、タンク本体213の上部から下部へ連通するチューブ状の流路であり、液位被検出部220は、液位検出センサ199による光検出を行なうべく透明となっている。また、タンク本体213には、その下部に機能液を上記のタンク配管接続アッセンブリ206へ供給する4つの機能液供給口221と、その上部にエアーを上記のタンク配管接続アッセンブリ206へ供給する4つの大気開放口222と、が形成されている(図14参照)。
【0075】
タンク蓋体214の上面には、タンクユニット175を取り扱うための取手部223が形成されており、作業者が、この取手部223を把持して、タンクユニット175を着脱すると共に、タンクユニット175の持ち運びを行なう。
【0076】
タンク架台205は、上記の機能液タンク204がネジ止め固定された方形状の上板225と、上記の受けプレート188に載置される方形状の下板226と、上板225と下板226との間に介設された4本の支持部材227と、で長方体状に構成され、上板225には、その前面に立設した2本の支持部材227と、2本の支持部材227の上端部に固定したカプラセット部228と、が設けられている。カプラセット部228は、タンクユニット175を取り外す場合やタンクユニット175を持ち運ぶ際に、カプラ手段207を取り付けるものである。
【0077】
下板226には、受けプレート188に突設された種別判別ピン191が嵌合する種別判別孔230が形成されており、各タンクユニット175毎に形成される位置が異なっている。つまり、上記の各受けプレート188に対し、対応するタンクユニット175のみしか載置することができない。これにより、R色、G色およびB色の機能液をそれぞれ貯留したタンクユニット175を、誤った受けプレート188上に載置することを防止することができる。また、下板226は、受けプレート188に対し、その前面の2箇所でユリアネジ233によりネジ止め固定されている。
【0078】
カプラセット部228は、平面視「コ」字状に形成され、その2つの角部が上記の2本の支持部材227の上端部に固定されると共に、その内側には段付溝部234が形成されている。この段付溝部234は、上記の連結板209が嵌合するよう形成されており、この段付溝部234にセットした連結板209は、保持したヘッド側接続カプラ208の接続口を上方に向けてユリアネジ235によりネジ止め固定される。なお、ユリアネジ235を用いることで、連結板209のカプラセット部228への取付作業やタンクユニット175の受けプレート188への取付作業が工具レスで行えるようになっている。
【0079】
図13および図14に示すように、タンク配管接続アッセンブリ206は、タンク架台205内部に収容されており、一方を上記した4つの機能液供給口221および4つの大気開放口222に接続すると共に、他方を4つのヘッド側接続カプラ208に接続する4つの切替バルブ236と、各切替バルブ236と各ヘッド側接続カプラ208との間に介設した4つの機能液フィルタ237と、を有している。各機能液フィルタ237は、機能液に混入した異物を除去するために設けられている。各切替バルブ236は、三方電磁弁で構成され、機能液供給口221と切替バルブ236との間の機能液供給流路と、大気開放口222と切替バルブ236との間の大気開放流路と、を相互に切替えることが可能となっている。つまり、吐出検査装置55の動作状態においては、機能液滴吐出ヘッド4に機能液を供給すべく、切替バルブ236は、機能液供給流路に切替える一方、機能液滴吐出ヘッド4およびこれに到る管路内の機能液を排出する場合は、切替バルブ236を大気開放流路に切替える。
【0080】
ここで、タンクユニット175をタンクホルダ176に着脱する一連の動作について説明する。先ず、作業者はタンクユニット175の取手部223を把持した状態で、タンクユニット175の下面を4つのタンク位置決め部材190および種別判別ピン191に合わせてセットした後、タンクユニット175の下板を受けプレート188にユリアネジ233によりネジ止め固定する。次に、カプラセット部228に取り付けられた連結板209を取り外して、カプラ取付部177に取り付ける。そして、このヘッド側接続カプラ208にタンク側接続カプラ28を接続する。
【0081】
一方、タンクユニット175を取り外す際は、上記と逆の手順を行なう。すなわち、ヘッド側接続カプラ208からタンク側接続カプラ28を引き抜いた後、カプラ取付部177に取り付けられた連結板209を取り外して、カプラセット部228に取り付ける。そして、受けプレート188にネジ止め固定された下板226を固定解除し、取手部223を把持して、タンクユニット175を取り外す。なお、ヘッド側接続カプラ208は、自動閉塞となっているため、タンク側接続カプラ28の引き抜き時に、液垂れすることが無い。
【0082】
次に、図15ないし図18を参照して、フラッシングユニット74について説明する。フラッシングユニット74は、各機能液滴吐出ヘッド4から捨て吐出される機能液滴を受けるものであり、ヘッドユニット1が、定期的にフラッシングを行うことで、機能液滴の吐出状態を安定させ、この状態で、ヘッドユニット1の吐出検査を行なうよう構成されている。また、このフラッシングユニット74では、機能液滴吐出ヘッド4から吐出される機能液の重量をノズル列毎に測定する重量測定機能を有している。
【0083】
フラッシングユニット74は、1つの機能液滴吐出ヘッド4から吐出された機能液滴を受ける容器240および容器240内の機能液の重量を測定する電子天秤241から成る重量測定ユニット242と、容器240の周囲に配設され、容器240への吐出の際に他の機能液滴吐出ヘッド4から吐出された機能液滴を受けると共に、いわゆる定期フラッシングを受けるフラッシングボックス243と、これらを支持する支持フレーム244と、支持フレーム244を昇降自在に載置する昇降テーブル245と、昇降テーブル245をY軸方向に移動させる移動テーブル246と、を有している。また、フラッシングユニット74は、フラッシングボックス243内に吐出された機能液を吸引する機能液吸引手段247を有しており、吸引された機能液は、後述するメンテナンス装置59に設けたフラッシング廃液タンク248に排出される。
【0084】
移動テーブル246は、Y軸テーブル70とメンテナンス装置59との間の石定盤57上に配設されており、重量測定ユニット242とフラッシングボックス243とをY軸方向に移動させる。つまり、移動テーブル246とX軸テーブル71との協働により、ヘッドユニット1の各機能液滴吐出ヘッド4における任意のノズル列に、容器240を臨ませる構成となっている。なお、定期フラッシングの場合には、各機能液滴吐出ヘッド4は容器240から外れてフラッシングボックス243上に臨む。また、昇降テーブル245は、上記のヘッド高測定器95により設定されたヘッドユニット1の高さに合わせて、重量測定ユニット242およびフラッシングボックス243の高さを調整するものである。
【0085】
支持フレーム244は、昇降テーブル245上に固定された下支持プレート250と、下支持プレート250の四隅から立設した4本の支持部材252と、4本の支持部材252の上端部に固定された上支持プレート251と、で長方体状に構成されている。下支持プレート250上には、上記の電子天秤241が配設されており、一方、上支持プレート251上には、フラッシングボックス243が配設されている。
【0086】
図15および図16に示すように、上支持プレート251は、12個の機能液滴吐出ヘッドのレイアウトに対応して、略平行四辺形状に形成された上プレート本体254と、上プレート本体254の中央に貫通形成され、容器240を収容するための第1容器収容孔255と、上プレート本体254の図示上下両側に突設され、上支持プレート251に対し上記のフラッシングボックス243を位置決めする一対のボックス位置決めピン256と、上プレート本体254の表面に貫通形成された多数のプレート側吸引孔257と、を有している。また、上プレート本体254の裏面には、各プレート側吸引孔257に接続される複数の吸引継手258が設けられ、上プレート本体254の表面には、機能液を吸収する孔用吸収材259が各プレート側吸引孔257を覆うように配設されると共に、孔用押さえ板260により孔用吸収材259の周縁部が押さえ込まれている。さらに、上プレート本体254の表面上には、各プレート側吸引孔257を囲むようにシール用のOリング261が配設されている。
【0087】
フラッシングボックス243は、上支持プレート251上に載置され、略平行四辺形状に形成されたフラッシングトレイ264と、フラッシングトレイ264上に千鳥状に配設された8つの吸収材265と、各吸収材265の周縁部を押さえる8つの吸収材押え266と、を有している。
【0088】
フラッシングトレイ264には、千鳥状に配設される8つの吸収材265に対応する位置に、吸収材265に吸収された機能液を吸引するための一対のエアーチャンバ267が8組形成されている。この一対のエアーチャンバ267の間には、トレイ側吸引孔268が貫通形成されており、上記のプレート側吸引孔257とOリング261を介して連通するよう構成されている。また、フラッシングトレイ264には、上支持プレート251の一対のボックス位置決めピン256に嵌合する一対のボックス位置決め孔269が形成されると共に、フラッシングトレイ264の中央に貫通形成され、容器240を収容するための第2容器収容孔270が形成されている。
【0089】
各吸収材265は、各6個の機能液滴吐出ヘッド4に対応する大きさに形成されており、各吸収材押え266は、四周枠状に形成され、各吸収材265の周縁部を押えつつ、フラッシングトレイ264に着脱自在にネジ止め固定される。これにより、フラッシングトレイ264を交換セットできるようになっている。
【0090】
機能液吸引手段247は、フラッシング廃液タンク248内に接続された図外のイジェクター275で構成されており、フラッシング廃液タンク248の上部に配管接続されたフラッシング吸引カプラ276と、上支持プレート251の複数の吸引継手258とがマニホールド277を介して配管接続されている(図17参照)。
【0091】
容器240は、上記の第1容器収容孔255および第2容器収容孔270に臨むよう電子天秤241上に配設されている。容器240には、R色、G色およびB色の機能液をそれぞれ受ける3つ機能液受け部278が形成されており、この各機能液受け部278は、機能液滴吐出ヘッド4のノズル面51に対応する大きさを有し、直上部に臨んだ機能液滴吐出ヘッド4からは、ノズル列単位で機能液滴が吐出される。電子天秤241は、上記の容器240に吐出された機能液滴の重量を測定するものであり、振動の影響を受けないよう防振パッド上に設置されている。
【0092】
以下、機能液滴の重量測定を行なう一連の動作について説明する。移動テーブル246およびX軸テーブル71により、所望の機能液滴吐出ヘッド4の一方のノズル列を、液色に対応した容器240の機能液受け部278に臨ませる。なお、図18(a)〜(d)は、12個の機能液滴吐出ヘッド4の内、コーナーにある4つの機能液滴吐出ヘッド4をそれぞれ容器240に臨ませた上面図である。この後、機能液滴吐出ヘッド4からノズル列単位で機能液滴を吐出(数万発)し、電子天秤241により機能液滴の重量を測定する(電子天秤241は、測定数値が安定するまで時間がかかる)。このとき、1の機能液滴吐出ヘッド4における隣接したノズル列には、いわゆる微振動波形が印加され、メニスカスが維持される。また、測定していない他の機能液滴吐出ヘッド4からも機能液滴を吐出させ、フラッシングを行っている。次に、他方のノズル列を液色に対応した容器240の機能液受け部278に臨ませ、上記と同様に電子天秤241により機能液滴の重量を測定する。そして、他の機能液滴吐出ヘッド4の機能液滴の重量測定を行う場合は、移動テーブル246およびX軸テーブル71により、所望の機能液滴吐出ヘッド4を容器に臨ませる。なお、フラッシングのみを行う場合は、図18(e)に示すように、第2容器収容孔270を挟む一対の吸収材265に機能液滴を吐出する。その際、移動テーブル246はホーム位置に臨んでいる。
【0093】
次に、図19を参照して、X軸テーブル71上を移動するカメラユニット75について説明する。カメラユニット75は、一対の走行レールに掛け渡されたカメラキャリッジフレーム165と、カメラキャリッジフレーム165に垂設されたカメラ支持フレーム244と、カメラ支持フレーム244に取り付けられ、X軸方向に隣接する2台の撮像カメラ282と、を有している。2台の撮像カメラ282は、アライメントマスク106の基準着弾位置に対し、検査シートS上に吐出した機能液滴の実着弾位置が、位置ズレしているか否かを検査すべく、上記のアライメントマスク106および2枚の検査シートSを撮像する。加えて、検査シート上に着弾した機能液滴の直径を画像認識して、機能液滴の直径から吐出ノズル52の液滴吐出量が適切か否か、また、全ての吐出ノズル52から機能液滴が吐出されているか否かを検査する。この場合、2台の撮像カメラ282は、重量バランスを考慮し、X軸方向において、微調整機構等が逆向きに搭載されている。また、各撮像カメラ282は、キャリブレーションを考慮し、マイクロヘッド等の微調整機構によりX、Y、Z軸方向に微調整することが可能となっている。
【0094】
図20に示すように、カメラユニット75がアライメントマスク106および検査シートSを撮像する場合、先ず、図示下側に位置した機能液滴吐出ヘッド4の上側のノズル列にあたる着弾位置を、図示左側から図示右側へ移動して撮像する(実際には、着弾ドット数個単位)。図示右側まで移動しきった後、図示下側へ移動し、下側のノズル列にあたる着弾位置を図示右側から図示左側へ移動して撮像する。1の機能液滴吐出ヘッド4の撮像が終了すると、今度は、その上側に位置した機能液滴吐出ヘッド4の着弾位置を撮像し、これを6回繰り返すことで、2台の撮像カメラ282により、アライメントマスク106の全ての着弾基準マーク141を撮像する。また、全く同じ手順で、カメラユニット75は、検査シートSに着弾した全ての機能液滴の実着弾位置を撮像する。すなわち、アライメントマスク106の撮像手順と、検査シートSの撮像手順とを全く同一とし、手順の相違に基づく誤差を生じないよう配慮されている。なお、これらの移動は、相対的なものであり、X軸テーブル71と、下Y軸テーブル80とで行なわれている。また、実際の動作では、アライメントマスク106の撮像、機能液滴吐出ヘッド4による検査吐出、検査シートSの撮像の手順となる。そして、検査吐出は、ヘッドユニット1を停止させた状態で行なわれる。すなわち、アライメントマスク106の着弾基準マーク141の配置パターンと、実着弾位置の配置パターンとは、同一となる。
【0095】
次に、図5を参照して、メンテナンス装置59について説明する。メンテナンス装置59は、ワイピング装置61と、吸引装置60と、これらをY軸方向に移動させるサブテーブル284と、を備え、サブテーブル284は、共通架台63上をY軸方向に移動し、処理に応じた1の装置をメンテナンスエリアに臨ませる。また、詳細は後述するが、サブテーブル284上には、吸引廃液タンク314と、3つの洗浄液タンク300(図示では1つ)と、が配設され、吸引装置60およびワイピング装置61の移動に伴って、各タンク314、300がY軸方向に移動するよう構成されている。また、共通架台63上には、上記のフラッシング廃液タンク248と、3つの機能液メインタンク312と、が配設されており、3つの機能液メインタンク312は、それぞれR色、G色およびB色の3種類の機能液を貯留している。各機能液メインタンク312は、注入カプラ217を介して機能液を機能液タンク204内に補充するものである。
【0096】
図21に示すように、ワイピング装置61は、ベースとなるベースフレーム285と、ワイピングシート287をロール状に巻回した繰出しリール286と、繰出しリール286から繰り出されたワイピングシート287を巻き取る巻取りリール288と、両リール286、288間に掛け渡されたワイピングシート287を、エアーシリンダにより上下動して複数の機能液滴吐出ヘッド4に押し付ける押圧ローラ289と、押圧ローラ289と繰出しリール286との間に掛け渡されたワイピングシート287に、洗浄液を噴き付ける洗浄液噴霧ユニット(洗浄液噴霧手段)290と、洗浄液噴霧ユニット290に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット(洗浄液供給手段)293と、押圧ローラ289と巻取りリール288との間に掛け渡されたワイピングシート287に臨み、ワイピングシート287の送り量を検出する送り量検出ユニット291と、を有しており、これら全体がカバーボックス292により覆われている。
【0097】
カバーボックス292は、箱状に形成されており、その上面には、ワイプ開口295が形成されている。このため、ワイピングシート287は、押圧ローラ289により、ワイプ開口295から上方に出没自在となるよう構成されている。
【0098】
繰出しリール286は、ロール状に巻回したワイピングシート287を適宜繰出すようになっており、その軸部には、繰り出されてゆくワイピングシート287に対しバックテンションを付与するテンション付与機構が組み込まれている。このため、ワイピングシート287は、弛みを生ずることなく繰出しリール286から繰り出されてゆく。また、巻取りリール288は、減速ギア列等を介して駆動モータにより回転自在に構成されており、送り量検出ユニット291の検出結果に基づいて、送り量を制御しながらワイピングシート287を巻き取ってゆく。
【0099】
繰出しリール286に巻回されたワイピングシート287は、ポリエステルやポリプロピレン等の化学繊維を用いて布状に構成されており、6個(1列分)の機能液滴吐出ヘッド4を一括に払拭可能な幅に形成されている。
【0100】
送り量検出ユニット291は、スリット円板296が軸着された送り量検出ローラ297と、送り量検出ローラ297と共にワイピングシート287を挟み込むガイドローラ298と、送り量検出ローラ297のスリット円板296に臨むフォトインタラプタ299と、を有している。ワイピングシート287の移動量は、回転するスリット円板296を介してフォトインタラプタ299により検出され、制御コンピュータ65に出力される。
【0101】
図22に示すように、洗浄液供給ユニット293は、3つの洗浄液タンク300と、工場内の加圧設備により各洗浄液タンク300内を加圧して、洗浄液を洗浄液噴霧ユニット290へ供給する加圧源415と、を有している。各洗浄液タンク300は、その蓋体に設けられ、上記加圧源415に配管接続されるタンク加圧カプラ416と、洗浄液タンク300の下部に配管接続され、加圧により洗浄液噴霧ユニット290へ洗浄液を供給するための洗浄液供給カプラ417とが設けられており、加圧源415により洗浄液タンク300内部が加圧されると、洗浄液タンク300内の洗浄液が押し出され、洗浄液供給カプラ417を介して洗浄液噴霧ユニット290へ洗浄液が供給される。この3つの洗浄液タンク300内には、R色、G色およびB色の機能液に対応した異なる洗浄液がそれぞれ貯留されている。
【0102】
図23に示すように、洗浄液噴霧ユニット290は、ワイピングシート287に洗浄液を噴き付ける3つの噴霧ヘッド301と、3つの噴霧ヘッドを角度調整可能なように保持するヘッド保持部420と、ヘッド保持部420をワイピングシート287の幅方向に移動させるヘッド移動手段421と、工場内の加圧設備により各噴霧ヘッド301に圧搾エアーを供給する圧搾エアー供給源422と、各噴霧ヘッド301に圧搾エアーを供給するエアー流路の開閉を行なう3つのエアー開閉制御バルブ423と、を有しており、各噴霧ヘッド301は、ワイピングシート287に対し、供給された洗浄液を、供給された圧搾エアーにより上下に長い楕円形に噴き付ける。
【0103】
ヘッド保持部420は、3つの噴霧ヘッド301をワイピングシート287の幅方向に並べて保持しており、各噴霧ヘッド301の噴霧方向に直交するよう添設されたシャフト軸425を把持する3つのシャフト把持部426を有している。各シャフト把持部426は、各噴霧ヘッド301が所望の噴霧角度となるようシャフト軸425を中心に回転させてネジ止め固定することで、各噴霧ヘッド301を所望の噴霧角度に調整することが可能となっている。このとき、3つの噴霧ヘッド301は、その中央の1つが、ワイピングシート287に対し洗浄液を垂直に噴き付けるよう配置されると共に、その両側の2つが、中央の1つと同様の噴付け位置となるよう内側に絞り込んだ状態で固定される。つまり、中央の噴霧ヘッド301の噴付け位置が、噴霧中心となっている。
【0104】
ヘッド移動手段421は、ヘッド保持部420をロッドレスシリンダにより、ワイピングシート287の幅方向に移動させるよう構成されており、3つの噴霧ヘッド301は、ワイピングシート287の幅方向いっぱいに洗浄液を噴霧することが可能な構成となっている。これにより、ワイピングシート287に対し各噴霧ヘッド301の噴霧領域が狭い場合でも、ワイピングシート287の幅方向に広狭自在に洗浄液を噴霧(散布)することができる。また、ヘッド移動手段421には、ワイピングシート287の幅方向における各噴霧ヘッド301の位置を検出するためのヘッド位置検出センサ(例えば、センサーレール)427が設けられており、このヘッド位置検出センサ427により、各噴霧ヘッド301の位置を検出して、ワイピングシート287の所望の位置に各噴霧ヘッド301から洗浄液を噴き付ける構成となっている。
【0105】
3つのエアー開閉制御バルブ423は、制御コンピュータ65によりそれぞれ制御されており、各噴霧ヘッド301のエアー流路の開閉を行なうことで、所望の洗浄液を噴霧ヘッド301から噴霧するようになっている。つまり、ワイピングシート287に対し、所望の噴霧ヘッド301から、所望の洗浄液を噴霧することで、例えば、R色を吐出する機能液滴吐出ヘッド4のノズル面51に対し、R色に対応した洗浄液をワイピングシート287に噴霧して、拭取り動作を行うことが可能となる。これにより、この3つのエアー開閉制御バルブ423により、3つの噴霧ヘッド301から選択的に洗浄液を噴霧することができる。
【0106】
ここで、12個の機能液滴吐出ヘッド4をワイピングする一連の動作について説明する。各機能液滴吐出ヘッド4をワイピング装置61の押圧ローラ289により払拭するに先立ち、先ず、ヘッド移動手段421によりワイピングシート287の幅方向に3つの噴霧ヘッド301を移動させながら、ワイピングシート287に各噴霧ヘッド301により洗浄液を選択的に噴霧する。つまり、払拭される各色の機能液滴吐出ヘッド4に対応するワイピングシート287の各払拭領域に、各色に対応する洗浄液を各噴霧ヘッド301により噴き付ける。この後、繰出しリール286により、洗浄液を噴霧・含侵したワイピングシート287を押圧ローラ289に臨ませ、この状態で、押圧ローラ289を上動させてワイピングシート287をワイプ開口295に臨ませる。
【0107】
ワイピング装置61に臨んだヘッドユニット1の一方の機能液滴吐出ヘッド群(6個の機能液滴吐出ヘッド4)のノズル面51には、ワイプ開口295に臨んだワイピングシート287が当接し、メインキャリッジ72によりヘッドユニット1をX軸方向に前後移動させることで拭取り動作を行い、各機能液滴吐出ヘッド4のノズル面51を払拭する。
【0108】
次に、図24ないし図29を参照して、吸引装置60について説明する。吸引装置60は、サブテーブル284上に配置され、キャップ部本体305と吸引部本体306とから成る吸引装置本体307と、吸引部本体306に着脱される吸引付帯ユニット308と、キャップ部本体305に着脱自在に装着されるキャップユニット309と、を有している。この吸引装置60は、ヘッドユニット1の機能液の吸引を行なうと共に、除材装置として用いられている。吸引部本体306は、上面を開放した薄型箱状に形成され、その図示左側には、吸引廃液タンク314の密閉蓋を置くための円筒状のフタ置き310が立設している。
【0109】
吸引付帯ユニット308は、付帯支持フレーム244と、上記の吸引廃液タンク314と、吸引廃液タンク314の上流側に設けられた3個の色別バルブ315と、3個の色別バルブ315の上流側に設けられた3つのマニホールド318と、3つのマニホールド318の上流側に設けられた12個の個別バルブ316と、各区間を配管接続する吸引チューブ317と、を有しており、付帯支持フレーム244内に、3個の色別バルブ315、3つのマニホールド318および12個の個別バルブ316が収容されている(図17参照)。
【0110】
付帯支持フレーム244は、方形状の付帯ベースプレート320と、付帯ベースプレート320の上方に位置した2枚の付帯中間プレート321と、付帯中間プレート321の上方に位置した付帯上方プレート322と、これらを支持する複数の支持部材324と、を有している。付帯上方プレート322には、左右一対の付帯取手部325が設けられており、この付帯取手部325を把持して、吸引付帯ユニット308を着脱自在に装着する構成となっている。付帯ベースプレート320の図示左側には、吸引廃液タンク314が配置され、また、付帯ベースプレート320には、吸引付帯ユニット308を吸引部本体306にネジ止め固定するユリアネジ326が設けられている。2枚の付帯中間プレート321には、その一方に上記の12個の個別バルブ316が固定され、その他方に3つの色別バルブ315が固定されており、3つの色別バルブ315は、吸引チューブ317を介して吸引廃液タンク314に接続されている。吸引廃液タンク314には、上記のフラッシングユニット74と同一のイジェクター275が接続されており、このイジェクター275により、吸引廃液タンク314を介して吸引を行なっている(図17参照)。
【0111】
キャップ部本体305は、キャップユニット309を昇降させるキャップ昇降手段、吸引装置60に臨むヘッドユニット1を支持するヘッドユニット支持手段、および吸引装置60にヘッドユニット1が臨む際、ヘッドユニット1が受ける衝撃を吸収する衝撃吸収手段を有した本体ユニット327と、本体ユニット327上に取り付けられるキャップ取付プレート328と、を備えている。
【0112】
図25および図26に示すように、本体ユニット327は、キャップベース部330と、キャップベース部330上の図示中央側に立設した断面逆「T」字状のキャップフレーム331と、キャップフレーム331に対し昇降自在に添設された断面逆「L」字状のキャップスライド部332と、キャップスライド部332を昇降させるためのギアードモータ333と、を備えており、これらがキャップ昇降手段を構成している。また、本体ユニット327は、キャップベース部330上の図示左右両側に配設された一対のエアーシリンダ335と、一対のエアーシリンダ335上に設けられた枠状の支柱支持プレート336と、支柱支持プレート336の四隅に立設した4本の支柱337と、キャップフレーム331の背面側に取り付けられた3つのリブ部338と、3つのリブ部338の上端面に固定され、片持ちで支持された枠状の支柱ガイドプレート339と、支柱ガイドプレート339の四隅に垂設した4つの支柱ガイド部340と、を備えており、これらがヘッドユニット支持手段および衝撃吸収手段を構成している。
【0113】
キャップフレーム331は、その上端部中央から水平方向に突出したモータ支持プレート341を有しており、このモータ支持プレート341に、押上軸342を上方に突出させた状態で上記のギアードモータ333が垂設されている。ギアードモータ333は、キャップスライド部332を介してキャップユニット309を、キャッピング位置と待機位置との間で昇降自在に移動させるものであり、キャップユニット309の定常位置はキャッピング位置となっている。つまり、ヘッドユニット1の機能液を吸引する場合は、キャップユニット309をキャッピング位置に維持した状態で、メンテナンスエリアに臨んだメインキャリッジ72を下降させてキャッピングを行い、ヘッドユニット1を除材する場合は、キャップユニット309を待機位置に下降させた状態で、メインキャリッジ72を下降させる。
【0114】
キャップスライド部332は、正面視枠状に形成されたスライドフレーム345と、キャップ取付プレート328を載置する載置プレート346とで、断面逆「L」字状に一体形成されており、スライドフレーム345の左右辺部とキャップフレーム331の上端部との間には、左右一対のリニアスライダ347が設けられている。載置プレート346上には、その四隅にプレート位置決めピン348が突設され、載置プレート346の中央前部の直下に上記のギアードモータ333が臨んでいる。
【0115】
一対のエアーシリンダ335は、いわゆるショックアブソーバであり、4本の支柱337に載置したときのヘッドユニット1の衝撃を吸収するものである。各エアーシリンダ335の上部には、上記の支柱支持プレート336と連結するための連結金具350が設けられており、この連結金具350を介して、各エアーシリンダ335と支柱支持プレート336とが連結される。つまり、支柱支持プレート336は、衝撃を吸収すべく昇降自在に移動する。
【0116】
各支柱337は、円柱状に形成され、その下端部は支柱支持プレート336にネジ止め固定されている。4本の支柱337のうち対角線上の2本の支柱337の上端面には、セットされるヘッドユニット1の位置決めをする2つのヘッド位置決めピン351aが突設されている。
【0117】
支柱ガイドプレート339は、上記したように、3つのリブ部338の上端面に片持ち状態で支持されている。つまり、昇降自在に移動する支柱支持プレート336に対し、支柱ガイドプレート339は、その位置に留まるよう構成されている。支柱ガイドプレート339に設けられた各支柱ガイド部340は、いわゆるリニアブッシュであり、内径が支柱の外径よりも僅かに大きく形成された円筒状のガイド本体353と、ガイド本体の上端部に設けられ、支柱ガイドプレート339に固定されるガイド固定部354と、を有しており、各支柱337を上下方向にスライド自在にガイドしている。なお、支柱ガイドプレート339の側面には、載置されるヘッドユニット1の有無を検出する近接センサ355が設けられている。
【0118】
図27に示すように、キャップ取付プレート328は、上記の載置プレート346上に載置される取付ベースプレート358と、取付ベースプレート358に垂設された左右一対のエアーシリンダ359と、左右一対のエアーシリンダ359の上部に当接する取付中間プレート360と、取付中間プレート360と取付ベースプレート358との間に介設された4つの圧縮バネ361と、取付中間プレート360上に載置されたドレンパン364と、取付中間プレート360およびドレンパン364を介して、下端部を取付ベースプレート358に固定した4つのシャフト362と、4つのシャフト362のうち左側および右側に設けた2本のシャフト362の上端部に固定した左右一対のキャップ固定プレート363と、を備えている。
【0119】
取付ベースプレート358は、載置プレート346上に突設された4つのプレート位置決めピン348に嵌合する4つのプレート嵌合孔365と、4本の支柱337を挿通するための4つのベース挿通孔366と、が形成されており、4本の支柱337を挿通させ、位置決めした状態で、載置プレート346上にネジ止め固定される。
【0120】
取付中間プレート360は、その両端部に各エアーシリンダ359のプランジャおよび各圧縮バネ361が当接しており、エアーシリンダ359を介して取付中間プレート360に取り付けられたドレンパン364を下方に移動させると共に、下方に移動したドレンパン364を圧縮バネ361により再び元の位置へ戻す。また、取付ベースプレート358と同様に、取付中間プレート360にも、4本の支柱337を挿通するための4つの中間挿通孔367が形成されている。また、取付中間プレート360には、上記した4つのシャフト362をガイドする4つのシャフトガイド部(リニアブッシュ)368が配設されている。
【0121】
ドレンパン364は、上面を開放した薄型箱状に形成されており、その底板には、図示上下方向に亘って突出した左右一対の取付板370が形成されている。また、ドレンパン364には、上記の4本のシャフト362および4本の支柱337を挿通するドレンパン挿通孔371が形成され、このドレンパン挿通孔371を囲むよう周囲壁372が形成されている。また、ドレンパン364上には、キャップユニット309に設けられた大気開放弁396を開放するための6個の爪片375を有する大気開放プレート376が、左右一対の取付板370に掛け渡して上下方向に2つ並べてセットされる。
【0122】
各大気開放プレート376は、方形状の開放プレート本体380と、開放プレート本体380上に設けた6つの爪片375と、開放プレート本体380の両側に形成された左右一対の長孔381と、長孔381を介して取付板370に開放プレート本体380をスライド自在に取り付けるユリアネジ382と、開放プレート本体380をスライド方向に操作する操作ピン383と、を備えている。左右一対の取付板370に取り付けられた大気開放プレート376を、ユリアネジ382を緩めて、操作ピン383により、外側へスライド移動させることで、後述するキャップユニット309に設けられた大気開放弁396に係合させる。そして、一対のエアーシリンダ359によりドレンパン364を引き下げることで、キャップユニット309の大気開放弁396が開放されると共に、圧縮バネ361によりドレンパン364を元の位置に戻すことで、大気開放弁396を閉塞する構成となっている。
【0123】
各キャップ固定プレート363は、その上面にキャップユニット309を位置決めするキャップ位置決めピン385が設けられており、このキャップ位置決めピン385に後述するキャップユニット309のキャップ位置決め孔391を嵌合させることで、キャップユニット309を位置決めする。
【0124】
図28に示すように、キャップユニット309は、ヘッドユニット1に搭載された各機能液滴吐出ヘッド4をキャッピングする12個のヘッドキャップ387と、12個のヘッドキャップ387を保持するホルダープレート388と、を備えており、キャップユニット309は、その両端部を、上記の一対のキャップ固定プレート363に取り付けられている。
【0125】
ホルダープレート388は、十字状に形成されており、その図示上下方向に亘って、12個のヘッドキャップ387が各機能液滴吐出ヘッド4に対応するよう配設されている。ホルダープレート388の左右両側には、大気開放プレート376のユリアネジ382および操作ピン383が臨む左右一対の操作開口389が形成され、各操作開口389の近傍には、上記の4本の支柱337を挿通するための2つのホルダ挿通孔390が、それぞれ形成されている。また、2つのホルダ挿通孔390の間には、上記のキャップ位置決めピン385が嵌合するキャップ位置決め孔391が形成されている。
【0126】
図29に示すように、各ヘッドキャップ387は、各機能液滴吐出ヘッド4をキャッピングすると共に、キャッピングした機能液滴吐出ヘッド4から機能液を吸引すべく、機能液吸引流路395が形成され、この機能液吸引流路395に、上記の吸引付帯ユニット308の吸引チューブが配管接続されている。また、ヘッドキャップ387には、吸引した機能液を、適宜機能液吸引流路395に流し込むための大気開放弁396が設けられており、この大気開放弁396は上記した大気開放プレート376の爪片375により引き下げられて、大気開放される。なお、キャップユニット309は、ヘッドユニット1の機種にあわせて、複数種用意され、キャップ部本体305に簡単に付け替えることが可能となっている。
【0127】
メインキャリッジ72を吸引装置60の直上位置からキャッピング位置へ下降させてヘッドユニット1に形成された4つのセット孔22を、吸引装置60の4本の支柱337に対応させてセットすると、その衝撃は、4本の支柱337を介してエアーシリンダ335により吸収されると共に、ヘッドユニット1は4本の支柱337に設けたヘッド位置決めピン351aに位置決めされ、これに支持される。また、各機能液滴吐出ヘッド4は、キャップユニット309の各ヘッドキャップ387にキャッピングされる。なお、各ヘッドキャップ387内部には、クッションバネが設けられており、各機能液滴吐出ヘッド4の衝撃を吸収している。そして、イジェクター275によりヘッドキャップ387から機能液滴吐出ヘッド4内の機能液を吸引して、吸引した機能液を吸引廃液タンク314へ排出する。一方、ヘッドユニット1を除材する場合は、キャップユニット309を待機位置に移動させて、メインキャリッジ72からヘッドユニット1を取り外す。すなわち、キャッピング位置は、除材位置となっている。
【0128】
次に、図30および図31を参照して、給材装置62について説明する。給材装置62は、柱状ベース部401と、柱状ベース部401の上部に配設したエアーシリンダ402と、エアーシリンダ402の上部に配設したドレンパン400と、ドレンパン400の上部に配設し、ヘッドユニット1がセットされるヘッドユニット保持部403と、を有している。エアーシリンダ402は、セットされるヘッドユニット1の衝撃を吸収するショックアブソーバとして用いられている。
【0129】
ヘッドユニット保持部403は、ドレンパン400上に配設した断面「U」字状の保持台404と、保持台404上に固定された平面視「H」字状の保持プレート405と、保持プレート405上に取り付けられた上記のキャップユニット309と、保持プレート405上に立設した4本の保持柱406と、保持プレート405の下面の左右両側に取り付けた大小2枚のガイドプレート407と、大小2枚のガイドプレート407上に立設した3つの載込みガイド408と、を有している。また、保持プレート405には、ヘッドユニット1の有無を検出する近接センサ409が設けられている。
【0130】
4つの保持柱406のうち、対角線上の2本の保持柱406の上端面には、ヘッドユニット1を位置決めするヘッド位置決めピン351bが突設され、また、各保持柱406の上端部には、ヘッドユニット1のヘッドユニット保持部403への装着向きを対応させるためのヘッド装着ガイド部410が形成されている。つまり、ヘッドユニット1の4つのセット孔22に対し、異なる装着向き(例えば、左右反対)で、ヘッドユニット保持部403の4つの保持柱406にセットされると、各セット孔22と各保持柱406とが嵌合しないため、誤った装着向きであることを作業者が認識することができる。
【0131】
この給材装置62に、ヘッドユニット1をセットする場合は、作業者がヘッドユニット1を把持しつつ、3つの載込みガイド408に突き当て、これをガイドとして、4本の保持柱406をヘッドユニット1のセット孔22に嵌入する。このとき、ヘッドユニット1が受ける衝撃は、エアーシリンダ402により吸収され、また、ヘッドユニット1の各機能液滴吐出ヘッド4は、キャップユニット309のヘッドキャップ387にキャッピングされる。
【0132】
ここで、装着したヘッドユニット1の吐出検査における吐出検査装置の一連の動作について説明する。先ず、ヘッドユニット1がセットされた給材装置62およびメインキャリッジ72をメンテナンスエリア上に臨ませ、この後、作業者はメインキャリッジ72にヘッドユニット1を取り付ける。次に、メインキャリッジ72をヘッド高測定器95が設置されている場所まで移動させて、ヘッド高測定器95によりヘッドユニット1の高さを測定すると共に、測定した高さに基づいてメインキャリッジ72のZ軸テーブルにより、ヘッドユニット1の高さ調整を行なう。この後、メインキャリッジ72を再びメンテナンスエリアに臨ませると共に、吸引装置60もメンテナンスエリアに臨ませる。そして、吸引装置60により機能液滴吐出ヘッド4をキャッピングして吸引を行い、ヘッドユニット1内に機能液を充填させる。このとき、ヘッドユニット1内に機能液を充填させる際は、先ず、強い吸引を行なって、ヘッド内流路に機能液を充填させ、この後、弱い吸引を行なって、ヘッド内流路に生じた気泡を排除するよう構成されている。機能液の充填後、今度は、メンテナンスエリアにワイピング装置61を臨ませて、機能液滴吐出ヘッド4のノズル面を拭き取る。
【0133】
次に、ヘッドユニット1をフラッシングエリアに臨ませて、ノズル列毎に吐出される機能液滴の重量を測定し、測定後、再びヘッドユニット1をメンテナンスエリアに臨ませる。この後、カメラユニット75およびアライメントマスク106を処理エリアに臨ませ、カメラユニット75によりアライメントマスク106の着弾基準マーク141を、2台の撮像カメラ282により取り込む。
【0134】
次に、カメラユニット75を退避させ、ヘッドユニット1を処理エリアに臨ませると共に、Y軸テーブル70によりアライメントマスク106を処理エリアに臨ませる。そして、2台のアンダーカメラ91の撮像結果に基づいて、ヘッドユニット1の基準マークとアライメントマスク106のヘッド基準マーク140とを、θテーブル167、X軸テーブル71およびY軸テーブル70の協働により位置合わせを行う。位置合わせが終了すると、ヘッドユニット1を一旦フラッシングエリアに臨ませてフラッシングを行い、この後、ヘッドユニット1を処理エリアに臨ませると共に、アライメントマスク106に代えて2枚の検査シートSを処理エリアに臨ませ、この検査シートS上に機能液滴を吐出する。
【0135】
吐出後、ヘッドユニット1はメンテナンスエリアに臨み、吸引装置60によりキャッピングされる。この後、カメラユニット75により検査シートSに着弾した機能液滴の着弾位置を撮像し、制御コンピュータにより、着弾基準マーク141の配置パターンと実際に着弾した機能液滴の実着弾位置の配置パターンとを比較して、着弾ズレが生じていないかを検査すると同時に、着弾した機能液滴の直径を画像認識し、機能液滴の直径から吐出ノズル52の液滴吐出量が適切か否かを検査する。
【0136】
検査終了後、作業者が、再度ヘッドユニット1の検査を行なう必要があると判断した場合は、同様の上記の検査を繰り返し行ない、必要が無いと判断した場合は、キャップユニット309を待機位置に移動させて、メインキャリッジ72からヘッドユニット1を取り外して除材を行なう。なお、ヘッドユニット1を給材装置62にセットするタイミングは、メインキャリッジ72にヘッドユニット1が取り付けられた直後が、好ましい。
【0137】
以上の構成によれば、ワイピング装置61において、制御コンピュータ65により3つのエアー開閉制御バルブ423を制御することで、各洗浄液タンク300から供給された洗浄液が各噴霧ヘッド301を介して、ワイピングシート287に噴霧・含浸される。そして、各種洗浄液を含浸したワイピングシート287により、各機能液滴吐出ヘッド4のノズル面が払拭される。このように、複数種の洗浄液を供給可能に構成されているため、各色の機能液を吐出する機能液滴吐出ヘッド4に対応して、適切な洗浄液をワイピングシート287に自在に供給することができるため、ノズル面51の拭き取りを良好に行うことができる。
【0138】
なお、本実施形態では、3つの洗浄液タンク300に、R色、G色およびB色に対応するよう異なる洗浄液を貯留したが、例えば、2つの洗浄液タンク300のそれぞれに、機能液滴吐出ヘッド4に導入される機能液の溶媒に相当する第1洗浄液と、溶媒に対する親和性および揮発性を有する第2洗浄液とを貯留し、ワイピングシート287に対し、第1洗浄液を噴霧した後、第2洗浄液を噴霧するようにしても良い。これによれば、機能液の溶媒に相当する第1洗浄液を含浸したワイピングシート287により拭取りを行なった後、揮発性を有する第2洗浄液を含浸したワイピングシート287により拭取りを行うことができるため、機能液滴吐出ヘッド4のノズル面51を良好に払拭することができる。また、ヘッドユニット1に搭載した12個の機能液滴吐出ヘッド4が単色の機能液滴を吐出し、このヘッドユニット1が、例えば、R色、G色およびB色の3種類分用意されていた場合、セットされたヘッドユニット1から吐出される機能液滴の色に応じて、対応した洗浄液をワイピングシート287に噴霧するようにしても良い。さらに、本実施形態のワイピング装置61を液滴吐出装置に組み込んでも良い。
【0139】
次に、本実施形態の吐出検査装置55を用いて良品とされたヘッドユニット1を組み込んだ液滴吐出装置に製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0140】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図32は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図33は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図33(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0141】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図33(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図33(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド4により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0142】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0143】
次に、着色層形成工程(S103)では、図33(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド4によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド4を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0144】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図33(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0145】
図34は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図33に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0146】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0147】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図34において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0148】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0149】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0150】
実施形態の液滴吐出装置は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド4で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド4で行うことも可能である。
【0151】
図35は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0152】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0153】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0154】
図36は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0155】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0156】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0157】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0158】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0159】
次に、図37は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0160】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0161】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0162】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0163】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0164】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0165】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0166】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0167】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0168】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0169】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0170】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0171】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図38〜図46を参照して説明する。
この表示装置600は、図38に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0172】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図39に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図39に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0173】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド4を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0174】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、液滴吐出装置のセットテーブルに載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0175】
図41に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド4から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図42に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0176】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0177】
そして次に、図43に示すように、各色のうちのいずれか(図43の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0178】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図44に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0179】
同様に、機能液滴吐出ヘッド4を用い、図45に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0180】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0181】
対向電極形成工程(S115)では、図46に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0182】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0183】
次に、図47は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0184】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0185】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0186】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0187】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、液滴吐出装置を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置のセットテーブルに載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド4により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0188】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0189】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド4から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0190】
次に、図48は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0191】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0192】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0193】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0194】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置を用いて形成することができる。
【0195】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図49(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図49(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0196】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】ヘッドユニットの外観斜視図である。
【図2】ヘッドユニットの上面図および側面図である。
【図3】液滴吐出装置に搭載した機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図4】吐出検査装置を内部に収容したチャンバ装置の外観斜視図である。
【図5】吐出検査装置の外観斜視図である。
【図6】Y軸テーブルの外観斜視図である。
【図7】吸着テーブルの上面図および側面図である。
【図8】吸着テーブルの吸引系統図である。
【図9】アライメントテーブルの上面図および側面図である。
【図10】アライメントマスクの上面模式図である。
【図11】ヘッドユニットを搭載したキャリッジの正面図および側面図である。
【図12】機能液供給ユニットの外観斜視図である。
【図13】機能液供給ユニットの側面図である。
【図14】タンクユニットおよびヘッドユニットの機能液の供給系統図である。
【図15】フラッシングユニットの上面図および側面図である。
【図16】フラッシングユニットのフラッシングトレイ周りの図である。
【図17】フラッシング装置および吸引装置の機能液の吸引系統図である。
【図18】機能液滴の重量測定の説明図および定期フラッシングの説明図である。
【図19】カメラユニットの外観斜視図である。
【図20】カメラユニットによるアライメントマスクの読み取り順を示す説明図である。
【図21】ワイピングユニットの断面図である。
【図22】ワイピングユニットの洗浄液の供給系統図である。
【図23】噴霧ヘッドを搭載したワイピングユニットの側面図である。
【図24】キャップユニットおよび吸引付帯ユニットを取り外した吸引装置の外観模式図である。
【図25】本体ユニットの外観斜視図である。
【図26】本体ユニットの正面図、上面図および側面図である。
【図27】キャップ取り付けプレートの上面図および側面図である。
【図28】キャップユニットの外観斜視図である。
【図29】ヘッドキャップの断面図である。
【図30】給材装置の外観斜視図である。
【図31】キャップユニットを取り外した給材装置の外観斜視図である。
【図32】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図33】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図34】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図35】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図36】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図37】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図38】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図39】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図40】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図41】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図42】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図43】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図44】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図45】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図46】陰極の形成を説明する工程図である。
【図47】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図48】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図49】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0198】
1…ヘッドユニット 2…サブキャリッジ 4…機能液滴吐出ヘッド 52…吐出ノズル 55…吐出検査装置 60…吸引装置 61…ワイピング装置 62…給材装置 70…Y軸テーブル 71…X軸テーブル 72…メインキャリッジ 73…機能液供給ユニット 74…フラッシングユニット 75…カメラユニット 287…ワイピングシート 290…洗浄液噴霧ユニット 293…洗浄液供給ユニット 300…洗浄液タンク 301…噴霧ヘッド S…検査シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのノズル面に対する拭取り動作を、走行するワイピングシートにより行うワイピング装置において、
拭取り位置のシート送り方向の手前側に位置して前記ワイピングシートに洗浄液を吹き付ける噴霧ヘッドをそれぞれ有する複数の洗浄液噴霧手段と、
前記複数の洗浄液噴霧手段に異なる洗浄液をそれぞれ供給可能な洗浄液供給手段と、
前記複数の洗浄液噴霧手段の噴霧動作を個別に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするワイピング装置。
【請求項2】
前記複数の噴霧ヘッドは、前記ワイピングシートの幅方向に並んで配設され、且つ前記ワイピングシートに対し噴霧中心が合致するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のワイピング装置。
【請求項3】
前記各洗浄液噴霧手段は、前記ワイピングシートの幅方向に対する前記各噴霧ヘッドの噴霧角度を調整する噴霧角度調整機構を、更に有していることを特徴とする請求項1または2に記載のワイピング装置。
【請求項4】
前記複数の噴霧ヘッドを、前記ワイピングシートの幅方向に移動させるヘッド移動手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のワイピング装置。
【請求項5】
異なる機能液が導入される複数の前記機能液滴吐出ヘッドを同時に払拭し、前記洗浄液供給手段は、前記複数の洗浄液噴霧手段に前記複数の機能液に対応する複数の洗浄液を供給し、
前記制御手段は、前記複数の洗浄液噴霧手段および前記ヘッド移動手段を制御し、複数の前記機能液滴吐出ヘッドに対応する前記ワイピングシートの複数の払拭領域に、対応する前記複数の洗浄液を吹き付けることを特徴とする請求項4に記載のワイピング装置。
【請求項6】
異なる機能液が導入される複数の前記機能液滴吐出ヘッドを選択的に払拭し、前記洗浄液供給部は、前記複数の洗浄液噴霧手段に前記複数の機能液に対応する複数の洗浄液を供給し、
前記制御手段は、前記複数の洗浄液噴霧手段および前記ヘッド移動手段を制御し、複数の前記機能液滴吐出ヘッドに対応して前記ワイピングシートに前記洗浄液を吹き付けることを特徴とする請求項4に記載のワイピング装置。
【請求項7】
前記洗浄液供給部は、前記複数の洗浄液噴霧手段に前記機能液滴吐出ヘッドに導入される機能液の溶媒に相当する第1洗浄液と、前記溶媒に対する親和性および揮発性を有する第2洗浄液とを供給し、
前記制御手段は、前記複数の洗浄液噴霧手段および前記ヘッド移動手段を制御し、前記第1洗浄液を噴霧した後、前記第2洗浄液を噴霧することを特徴とする請求項4に記載のワイピング装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のワイピング装置と、
前記機能液滴吐出ヘッドにおける多数の吐出ノズルから検査吐出を行なわせ、その着弾結果から多数の吐出ノズルの吐出性能を検査する吐出検査手段と、を備えたことを特徴とする吐出検査装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載のワイピング装置と、
ワークに対し、前記機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、前記機能液滴吐出ヘッドからワークに対し機能液滴を吐出して描画を行なう描画手段と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項10に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項11に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのノズル面に対する拭取り動作を、走行するワイピングシートにより行うワイピング装置において、
拭取り位置のシート送り方向の手前側に位置して前記ワイピングシートに洗浄液を吹き付ける噴霧ヘッドをそれぞれ有する複数の洗浄液噴霧手段と、
前記複数の洗浄液噴霧手段に異なる洗浄液をそれぞれ供給可能な洗浄液供給手段と、
前記複数の洗浄液噴霧手段の噴霧動作を個別に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするワイピング装置。
【請求項2】
前記複数の噴霧ヘッドは、前記ワイピングシートの幅方向に並んで配設され、且つ前記ワイピングシートに対し噴霧中心が合致するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のワイピング装置。
【請求項3】
前記各洗浄液噴霧手段は、前記ワイピングシートの幅方向に対する前記各噴霧ヘッドの噴霧角度を調整する噴霧角度調整機構を、更に有していることを特徴とする請求項1または2に記載のワイピング装置。
【請求項4】
前記複数の噴霧ヘッドを、前記ワイピングシートの幅方向に移動させるヘッド移動手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のワイピング装置。
【請求項5】
異なる機能液が導入される複数の前記機能液滴吐出ヘッドを同時に払拭し、前記洗浄液供給手段は、前記複数の洗浄液噴霧手段に前記複数の機能液に対応する複数の洗浄液を供給し、
前記制御手段は、前記複数の洗浄液噴霧手段および前記ヘッド移動手段を制御し、複数の前記機能液滴吐出ヘッドに対応する前記ワイピングシートの複数の払拭領域に、対応する前記複数の洗浄液を吹き付けることを特徴とする請求項4に記載のワイピング装置。
【請求項6】
異なる機能液が導入される複数の前記機能液滴吐出ヘッドを選択的に払拭し、前記洗浄液供給部は、前記複数の洗浄液噴霧手段に前記複数の機能液に対応する複数の洗浄液を供給し、
前記制御手段は、前記複数の洗浄液噴霧手段および前記ヘッド移動手段を制御し、複数の前記機能液滴吐出ヘッドに対応して前記ワイピングシートに前記洗浄液を吹き付けることを特徴とする請求項4に記載のワイピング装置。
【請求項7】
前記洗浄液供給部は、前記複数の洗浄液噴霧手段に前記機能液滴吐出ヘッドに導入される機能液の溶媒に相当する第1洗浄液と、前記溶媒に対する親和性および揮発性を有する第2洗浄液とを供給し、
前記制御手段は、前記複数の洗浄液噴霧手段および前記ヘッド移動手段を制御し、前記第1洗浄液を噴霧した後、前記第2洗浄液を噴霧することを特徴とする請求項4に記載のワイピング装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のワイピング装置と、
前記機能液滴吐出ヘッドにおける多数の吐出ノズルから検査吐出を行なわせ、その着弾結果から多数の吐出ノズルの吐出性能を検査する吐出検査手段と、を備えたことを特徴とする吐出検査装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載のワイピング装置と、
ワークに対し、前記機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、前記機能液滴吐出ヘッドからワークに対し機能液滴を吐出して描画を行なう描画手段と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項10に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項11に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【公開番号】特開2008−183476(P2008−183476A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17000(P2007−17000)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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