ワイヤハーネスの固定部材及び内装材の取付構造
【課題】作業性に優れ、部品点数の削減を図ることができるワイヤハーネスの固定部材及び内装材の取付構造を提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス4の固定部材11は、ワイヤハーネス4を保持する保持部13と、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、を備えている。ヘッドライナ3は、ワイヤハーネス4をそれぞれ保持した複数の固定部材11が固着されてワイヤハーネス4が配索・固定されている。そして、ワイヤハーネス4が配索・固定されたヘッドライナ3は、それに固着された複数の固定部材11の取付部14がルーフパネル2に取り付くことによって、ルーフパネル2に取り付けられる。
【解決手段】ワイヤハーネス4の固定部材11は、ワイヤハーネス4を保持する保持部13と、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、を備えている。ヘッドライナ3は、ワイヤハーネス4をそれぞれ保持した複数の固定部材11が固着されてワイヤハーネス4が配索・固定されている。そして、ワイヤハーネス4が配索・固定されたヘッドライナ3は、それに固着された複数の固定部材11の取付部14がルーフパネル2に取り付くことによって、ルーフパネル2に取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体パネルと該車体パネルに取り付けられる内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定するワイヤハーネスの固定部材、及び車体パネルに内装材を取り付ける内装材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、ワイヤハーネスが各部に配索されており、例えば車体のルーフパネルと、このルーフパネルに取り付けられる内装材であるヘッドライナとの間にも配索されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された技術は、ワイヤハーネスを狭持するようにビニールテープを2つ折りにして接着し、このビニールテープおよびビニールテープから両側に延びるワイヤハーネスの部位を、両面接着テープを用いてヘッドライナに固定している。そして、ワイヤハーネスが配索・固定されたヘッドライナは、鋲などの適宜な取付部材を用いてルーフパネルに取り付けられる。
【特許文献1】特開2004−320956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術では、ヘッドライナをルーフパネルに取り付けるための取付部材が別途必要であり、部品点数の削減が図られない。また、ヘッドライナを支持しつつ取付部材をルーフパネル及びヘッドライナに組み付けることから、その作業は容易ではない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、その目的は、作業性に優れ、部品点数の削減を図ることができるワイヤハーネスの固定部材及び内装材の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスの固定部材及び内装材の取付構造は、下記(1)〜(8)を特徴としている。
(1) 車体パネルと該車体パネルに取り付けられる内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定するワイヤハーネスの固定部材であって、前記ワイヤハーネスを保持する保持部と、前記内装材に固着される固着部と、前記車体パネルに取り付く取付部と、を備えたこと。
(2) (1)記載の固定部材であって、前記取付部は、前記車体パネルに設けられる被取付部と協働して前記車体パネルに取り付くこと。
(3) (2)記載の固定部材であって、前記被取付部には、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかが多数設けられ、前記取付部は、前記ループ状係止体又は前記フック状係止体の他方を多数有すること。
(4) (1)〜(3)のいずれか一項記載の固定部材であって、前記固着部は、前記内装材との接触面にホットメルト接着剤層を有していること。
(5) 車体パネルに内装材を取り付ける内装材の取付構造であって、前記車体パネルと前記内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定する複数の固定部材を備え、前記固定部材は、それぞれ前記車体パネルに取り付く取付部を含んでおり、前記内装材は、前記ワイヤハーネスをそれぞれ保持した前記複数の固定部材が固着されて前記ワイヤハーネスが配索・固定され、該内装材に固着された前記複数の固定部材の前記取付部が前記車体パネルに取り付くことによって該車体パネルに取り付けられること。
(6) (5)記載の内装材の取付構造であって、前記車体パネルに、被取付部が設けられており、前記取付部は、前記被取付部と協働して前記車体パネルに取り付くこと。
(7) (6)記載の内装材の取付構造であって、前記被取付部は、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかを多数有し、前記取付部は、前記ループ状係止体又は前記フック状係止体の他方を多数有すること。
(8) (5)〜(7)のいずれか一項記載の内装材の取付構造であって、前記固着部は、前記内装材との接触面にホットメルト接着剤層を有していること。
【0007】
上記したワイヤハーネスの固定部材によれば、保持部にワイヤハーネスを保持し、固着部が内装材に固着されることによって、ワイヤハーネスを内装材に固定することができる。そして、車体パネルに取り付く取付部を備えており、ワイヤハーネスが配索・固定された内装材に固着されている固定部材の取付部を車体パネルに取り付けることによって、この内装材を車体パネルに取り付けることができる。即ち、内装材を車体パネルに取り付けるにあたって別途取付部材を要せず、部品点数の削減を図ることができるとともに、内装材を車体パネルに取り付ける作業性の向上を図ることができる。
【0008】
また、上記した内装材の取付構造によれば、ワイヤハーネスが配索・固定された内装材に固着されている固定部材の取付部を車体パネルに取り付けることによって、この内装材を車体パネルに取り付けることができる。即ち、内装材を車体パネルに取り付けるにあたって別途取付部材を要することなく、部品点数の削減を図ることができるとともに、内装材を車体パネルに取り付ける作業性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ワイヤハーネスが配索・固定された内装材を車体パネルに取り付ける際の作業性に優れ、また、部品点数の削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための内装材の取付構造の一例を示す断面図、図2及び図3は、図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の一例を示す斜視図、図4は、図1の取付構造においてワイヤハーネスが配索・固定された内装材の平面図であって、図4(a)がワイヤハーネスが配索・固定された状態の内装材の平面図、図4(b)が取付治具によってワイヤハーネスを配索・固定するときの内装材の平面図、図5は、取付治具の断面図であって、図5(a)は図4(b)のVa−Va方向から視た断面図、図5(b)は図4(b)のVb−Vb方向から視た断面図である。
【0012】
図1に示す取付構造1は、車室の天井部分を構成するルーフパネル2に内装材としてのヘッドライナ3を取り付けるものである。ルーフパネル2とヘッドライナ3との間には、ワイヤハーネス4が適宜配索され、ワイヤハーネス4は、複数の固定部材11によってヘッドライナ3に固定されている。
【0013】
図2及び図3に示す固定部材11は、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ワイヤハーネス4を保持する保持部13と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、を備えている。
【0014】
固着部12は、2つの基板部21a,21bを含んでいる。基板部21a,21bは、同一平面上に配置されており、架橋部15によって相互に連結されている。基板部21a,21bの下面には、ホットメルト接着剤層22が形成されている。このホットメルト接着剤層22は、ヘッドライナ3に接触した状態で加熱されることによってヘッドライナ3に融着し、それにより固着部12は、ヘッドライナ3に固着される。
【0015】
保持部13は、2つの舌片部31a,31bを含んでいる。舌片部31a,31bは、固着部12の2つの基板部21a,21bの並び方向と略直角に交差する方向に沿って一方の基板部21aの両側縁からそれぞれ延出して設けられている。
【0016】
ワイヤハーネス4は、その長手方向を2つの舌片部31a,31bの並び方向に沿わせた状態で舌片部31a,31b及びそれらの間の基板部21aの上面に載置され、舌片部31a,31bにテープ部材32で巻き付けられて、具体的には、舌片部31a,31bの上面に臨む箇所を除くワイヤハーネスの外周と、舌片部31a,31bの下面と、を覆うようにテープ部材32で巻き付けられて、保持部13に保持される。尚、舌片部31a,31bの先端部には一対の突起33がそれぞれ設けられている。これらの突起33により、テープ部材32の抜けが防止されている。
【0017】
架橋部15は、上方に凸となる台形状となっており、天板部51と、天板部51を固着部12の2つの基板部21a,21bにそれぞれ接続する側板部52a,52bと、を含んでいる。天板部51は、保持部13の舌片部31a,31b及び固着部12の基板部21aの上面に載置されたワイヤハーネス4よりも高い位置にある。
【0018】
尚、固着部12の基板部21a,21b、保持部13の舌片部31a,31b、並びに架橋部15の天板部51及び側板部52a,52bは、例えば合成樹脂で一体に形成される。
【0019】
取付部14は、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかが多数設けられた係止材41を天板部51の上面に接合して設けられている。天板部51の上面に設けられた取付部14は、保持部13の舌片部31a,31b及び固着部12の基板部21aの上面に載置されたワイヤハーネス4よりも高い位置に配置される。
【0020】
次に、図4を参照して、ヘッドライナ3にワイヤハーネス4を固定する手順を説明する。
【0021】
ワイヤハーネス4は、上述した固定部材11を複数用いてヘッドライナ3に固定される。各固定部材11は、保持部13にワイヤハーネス4の一部を保持して、ワイヤハーネス4の適宜な箇所に装着されている。ワイヤハーネス4は、所定の経路に沿ってヘッドライナ3上に配索され、ワイヤハーネス4の各所に装着された各固定部材11は、その固着部12のホットメルト接着剤層22をヘッドライナ3に接触させて配置されている。
【0022】
ワイヤハーネス4に装着された固定部材11をヘッドライナ3上に配置する際、該固定部材11は取付治具6によってヘッドライナ3上の所望の位置に正確に配置される。ここで、取付治具6の構造を説明するとともに、該取付治具6を利用した固定部材11のヘッドライナ3上への配置方法について説明する。
【0023】
まず、取付治具6の構造について説明する。図5に示すように、取付治具6には、各固定部材11を収容する凹部が、ヘッドライナ3に配置する固定部材11の個数分、下面(該取付治具6をヘッドライナ3に当接する際のヘッドライナ3の上面に接触する面)に形成されている。この凹部の開口部分は、固定部材11を上面視した際の、天板部51、2つの側板部52a、52b、および2つの基板部21a,21bの外周に沿った形状で形成されている。また、凹部の深さは、固定部材11の高さ(係止材41の先端からホットメルト接着剤層22の下面までの長さ)と同一、若しくは固定部材11の高さよりも浅いことが好ましい。これは、固定部材11を凹部に収容した状態で該固定部材11をヘッドライナ3に配置する際に、ホットメルト接着剤層22がヘッドライナ3の上面に充分押し当てられるようにするためである。このような構造の取付治具6は、ヘッドライナ3が載置された作業台(図5には図示せず。)に固定されている。ヘッドライナ3もまた、作業台上の所望の位置に載置されるようになっていることから、この作業台に固定されている取付治具6の下面とヘッドライナ3の上面を接触させるように該取付治具6を移動することによって、該取付治具6の凹部に収容されている固定部材11もまた、ヘッドライナ3上の所望の位置に正確に配置することができる。この結果、固定部材11が装着された状態のワイヤハーネス4もまた、ヘッドライナ3上の所望の位置に正確に配置されることになる。
【0024】
このようにしてヘッドライナ3上に固定部材11を配置した後、例えば温風ヒータなどを用い、ヘッドライナ3全体を加熱し、若しくは各固定部材11が配置された地点をスポット加熱し、各固定部材11の固着部12のホットメルト接着剤層22をヘッドライナ3に融着させ、固着部12をヘッドライナ3に固着させる。それにより、ワイヤハーネス4は、ヘッドライナ3に固定される。
【0025】
固定部材11の固着部12のヘッドライナ3への固着には、上記のホットメルト接着剤層22に替えて、例えば両面粘着テープなどを用いることもできる。尚、ホットメルト接着剤層22による固着によれば、加熱前に正確な位置決めができ、固定位置に誤差が生じるのを防止することができるので、好ましい。
【0026】
再び図1を参照する。取付構造1において、ワイヤハーネス4が配索・固定されたヘッドライナ3がルーフパネル2に取り付けられる。ヘッドライナ3に固着されている各固定部材11の取付部14と対向するルーフパネル2の箇所には、取付部14が取り付く被取付部16が設けられている。
【0027】
被取付部16は、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかが多数設けられた取付部14の係止材41に対して、ループ状係止体又はフック状係止体の他方が多数設けられた係止材42をルーフパネル2の上記の対向箇所に接合して設けられている。
【0028】
ヘッドライナ3を車体ライナ2に押し付けると、各固定部材11の取付部14の係止材41とルーフパネル2の被取付部16の係止材42とが接触し、両係止材41,42の係止体が相互に係合する。それにより、各固定部材11の取付部14がルーフパネル2に取り付き、ヘッドライナ3は、これらの固定部材11を介してルーフパネル2に取り付けられる。
【0029】
以上、固定部材11の取付部14及びルーフパネル2の被取付部16にループ状係止体又はフック状係止体が多数設けられた係止材41,42を用い、被取付部16と協働して取付部14がルーフパネル2に取り付く例を説明した。このように被取付部16と協働して取付部14がルーフパネル2に取り付くようにすれば、種々の構成を採り得る。例えば、係止体41,42に替えて磁石を用いることもできる。尚、磁石を用いる場合には、ルーフパネル2は、一般に鋼材で形成されており、磁石が吸い付くので、固定部材11の取付部14にのみ磁石を接合し、取付部14単独でルーフパネル2に取り付くようにすることもできる。
【0030】
図6及び図7は、図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。尚、上述した固定部材11と共通する要素には同一符号を付し、説明を省略し、若しくは簡略する。
【0031】
図6及び図7に示す固定部材111は、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ワイヤハーネス4を保持する保持部113と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、固着部12の2つの基板部21a,21bを連結する架橋部15と、を備えている。
【0032】
保持部113は、可撓なバンド部131と、架橋部15の一方の側板部52aの縁部に接合されている係止部132と、を含んでいる。係止部132は、バンド部131の基端部が連結されており、また、バンド部131の先端部を係止する。具体的には、係止部132には、バンド部131の先端部を挿通させる挿通孔133が形成されている。そして、バンド部131の表面には、その長手方向と略直角に交差する方向に伸びる係合溝134が、バンド部131の長手方向に並んで複数設けられており、また、挿通孔133の内周面には、図示しない係合爪が設けられている。これらの係合溝134及び係合爪は、所定の向きに挿通孔133に挿入されたバンド部131の先端部が挿通孔133内で逆向きに変位した際に係合し、バンド部131の先端部が挿通孔133から抜け出るのを阻止する。
【0033】
このように構成された保持部113は、バンド部131をワイヤハーネス4に巻き付け、そのバンド部131の先端部を係止部132で係止してワイヤハーネス4を加締めることによって、該ワイヤハーネス4を保持する。
【0034】
固定部材111のヘッドライナ3への固着、及び固定部材111を介したルーフパネル2へのヘッドライナ3の取り付けは、上述した固定部材11と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
図8〜図10は、図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。尚、上述した固定部材11と共通する要素には同一符号を付し、説明を省略し、若しくは簡略する。
【0036】
図8〜図10に示す固定部材211は、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ワイヤハーネス4を保持する保持部213と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、固着部12の2つの基板部21a,21bを連結する架橋部15と、を備えている。
【0037】
保持部213は、舌片部231を含んでいる。舌片部231は、図8に示すように、固着部12の2つの基板部21a,21bの並び方向と略直角に交差する方向に沿って一方の基板部21aの一方の側縁から延出して設けられている。
【0038】
ワイヤハーネス4は、熱収縮チューブ232に挿通された上で、舌片部231及び基板部21aの上面に載置される。その後に、熱収縮チューブ232が、図9に示すように、ワイヤハーネス4に沿って移動され、舌片部231及びその上に配置されたワイヤハーネス4に被せられる。この状態で、熱収縮チューブ232が加熱されて収縮することにより、図10に示すように、ワイヤハーネス4は舌片部231に束ねられ、保持部213に保持される。
【0039】
固定部材211のヘッドライナ3への固着、及び固定部材211を介したルーフパネル2へのヘッドライナ3の取り付けは、上述した固定部材11と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
図11及び図12は、図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。尚、上述した固定部材11と共通する要素には同一符号を付し、説明を省略し、若しくは簡略する。
【0041】
図11及び図12に示す固定部材311は、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ワイヤハーネス4を保持する保持部313と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、固着部12の2つの基板部21a,21bを連結する架橋部15と、を備えている。
【0042】
保持部313は、架橋部15の一方の側板部52aにクランプ孔331を形成して設けられている。
【0043】
ワイヤハーネス4には、保持部313のクランプ孔331に係合するクランプ332が取り付けられている。クランプ332は、鍔部333と、一対の係止爪334と、バンド部334と、を含んでいる。ワイヤハーネス4へのクランプ332の取り付け方は、バンド部334をワイヤハーネス4に巻き付け、そのバンド部334によってワイヤハーネス4を加締めることによって、該ワイヤハーネス4にクランプ332が取り付けられる。一対の係止爪334は、弾性変形しながらクランプ孔331を貫通し、クランプ孔331が形成された側板部52aの裏面側からクランプ孔331の周縁部に係合する。鍔部333は、クランプ孔331が形成された側板部52aの表面側からクランプ孔331の周縁部に係合する。そこで、クランプ332は、鍔部333と一対の係止爪334とでクランプ孔331の周縁部を表裏に挟持してクランプ孔331に取り付けられ、ワイヤハーネス4は保持部313に保持される。
【0044】
固定部材311のヘッドライナ3への固着、及び固定部材311を介したルーフパネル2へのヘッドライナ3の取り付けは、上述した固定部材11と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
以上説明したように、ワイヤハーネスの固定部材11(111,211,311)によれば、保持部13(113,213,313)にワイヤハーネス4を保持して固着部12がヘッドライナ3に固着されることによって、ワイヤハーネス4をヘッドライナ3に固定することができる。そして、ルーフパネル2に取り付く取付部14を備えており、ワイヤハーネス4が配索・固定されたヘッドライナ3に固着されている固定部材11の取付部14をルーフパネル2に取り付けることによって、このヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付けることができる。即ち、ヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付けるにあたって別途取付部材を要せず、部品点数の削減を図ることができるとともに、ヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付ける作業性の向上を図ることができる。
【0046】
また、上述した固定部材11(111,211,311)を介してヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付ける取付構造1によれば、ワイヤハーネス4が配索・固定されたヘッドライナ3に固着されている固定部材11の取付部14をルーフパネル2に取り付けることによって、このヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付けることができる。即ち、ヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付けるにあたって別途取付部材を要することなく、部品点数の削減を図ることができるとともに、ヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付ける作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための内装材の取付構造の一例を示す断面図である。
【図2】図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の一例を示す斜視図である。
【図3】図2の固定部材であってワイヤハーネスを保持した状態で示す斜視図である。
【図4】図1の取付構造においてワイヤハーネスが配索・固定された内装材の平面図であって、(a)はワイヤハーネスが配索・固定された状態の内装材の平面図、(b)は取付治具によってワイヤハーネスを配索・固定するときの内装材の平面図である。
【図5】取付治具の断面図であって、(a)は図4(b)のVa−Va方向から視た断面図、(b)は図4(b)のVb−Vb方向から視た断面図である。
【図6】図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。
【図7】図6の固定部材であってワイヤハーネスを保持した状態で示す斜視図である。
【図8】図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。
【図9】図8の固定部材であってワイヤハーネスを保持する過程を示す斜視図である。
【図10】図8の固定部材であってワイヤハーネスを保持した状態で示す斜視図である。
【図11】図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。
【図12】図11の固定部材であってワイヤハーネスを保持した状態で示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 取付構造
2 ルーフパネル(車体パネル)
3 ヘッドライナ(内装材)
4 ワイヤハーネス
6 取付治具
11 固定部材
12 固着部
13 保持部
14 取付部
16 被取付部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体パネルと該車体パネルに取り付けられる内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定するワイヤハーネスの固定部材、及び車体パネルに内装材を取り付ける内装材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、ワイヤハーネスが各部に配索されており、例えば車体のルーフパネルと、このルーフパネルに取り付けられる内装材であるヘッドライナとの間にも配索されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された技術は、ワイヤハーネスを狭持するようにビニールテープを2つ折りにして接着し、このビニールテープおよびビニールテープから両側に延びるワイヤハーネスの部位を、両面接着テープを用いてヘッドライナに固定している。そして、ワイヤハーネスが配索・固定されたヘッドライナは、鋲などの適宜な取付部材を用いてルーフパネルに取り付けられる。
【特許文献1】特開2004−320956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術では、ヘッドライナをルーフパネルに取り付けるための取付部材が別途必要であり、部品点数の削減が図られない。また、ヘッドライナを支持しつつ取付部材をルーフパネル及びヘッドライナに組み付けることから、その作業は容易ではない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、その目的は、作業性に優れ、部品点数の削減を図ることができるワイヤハーネスの固定部材及び内装材の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスの固定部材及び内装材の取付構造は、下記(1)〜(8)を特徴としている。
(1) 車体パネルと該車体パネルに取り付けられる内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定するワイヤハーネスの固定部材であって、前記ワイヤハーネスを保持する保持部と、前記内装材に固着される固着部と、前記車体パネルに取り付く取付部と、を備えたこと。
(2) (1)記載の固定部材であって、前記取付部は、前記車体パネルに設けられる被取付部と協働して前記車体パネルに取り付くこと。
(3) (2)記載の固定部材であって、前記被取付部には、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかが多数設けられ、前記取付部は、前記ループ状係止体又は前記フック状係止体の他方を多数有すること。
(4) (1)〜(3)のいずれか一項記載の固定部材であって、前記固着部は、前記内装材との接触面にホットメルト接着剤層を有していること。
(5) 車体パネルに内装材を取り付ける内装材の取付構造であって、前記車体パネルと前記内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定する複数の固定部材を備え、前記固定部材は、それぞれ前記車体パネルに取り付く取付部を含んでおり、前記内装材は、前記ワイヤハーネスをそれぞれ保持した前記複数の固定部材が固着されて前記ワイヤハーネスが配索・固定され、該内装材に固着された前記複数の固定部材の前記取付部が前記車体パネルに取り付くことによって該車体パネルに取り付けられること。
(6) (5)記載の内装材の取付構造であって、前記車体パネルに、被取付部が設けられており、前記取付部は、前記被取付部と協働して前記車体パネルに取り付くこと。
(7) (6)記載の内装材の取付構造であって、前記被取付部は、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかを多数有し、前記取付部は、前記ループ状係止体又は前記フック状係止体の他方を多数有すること。
(8) (5)〜(7)のいずれか一項記載の内装材の取付構造であって、前記固着部は、前記内装材との接触面にホットメルト接着剤層を有していること。
【0007】
上記したワイヤハーネスの固定部材によれば、保持部にワイヤハーネスを保持し、固着部が内装材に固着されることによって、ワイヤハーネスを内装材に固定することができる。そして、車体パネルに取り付く取付部を備えており、ワイヤハーネスが配索・固定された内装材に固着されている固定部材の取付部を車体パネルに取り付けることによって、この内装材を車体パネルに取り付けることができる。即ち、内装材を車体パネルに取り付けるにあたって別途取付部材を要せず、部品点数の削減を図ることができるとともに、内装材を車体パネルに取り付ける作業性の向上を図ることができる。
【0008】
また、上記した内装材の取付構造によれば、ワイヤハーネスが配索・固定された内装材に固着されている固定部材の取付部を車体パネルに取り付けることによって、この内装材を車体パネルに取り付けることができる。即ち、内装材を車体パネルに取り付けるにあたって別途取付部材を要することなく、部品点数の削減を図ることができるとともに、内装材を車体パネルに取り付ける作業性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ワイヤハーネスが配索・固定された内装材を車体パネルに取り付ける際の作業性に優れ、また、部品点数の削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための内装材の取付構造の一例を示す断面図、図2及び図3は、図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の一例を示す斜視図、図4は、図1の取付構造においてワイヤハーネスが配索・固定された内装材の平面図であって、図4(a)がワイヤハーネスが配索・固定された状態の内装材の平面図、図4(b)が取付治具によってワイヤハーネスを配索・固定するときの内装材の平面図、図5は、取付治具の断面図であって、図5(a)は図4(b)のVa−Va方向から視た断面図、図5(b)は図4(b)のVb−Vb方向から視た断面図である。
【0012】
図1に示す取付構造1は、車室の天井部分を構成するルーフパネル2に内装材としてのヘッドライナ3を取り付けるものである。ルーフパネル2とヘッドライナ3との間には、ワイヤハーネス4が適宜配索され、ワイヤハーネス4は、複数の固定部材11によってヘッドライナ3に固定されている。
【0013】
図2及び図3に示す固定部材11は、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ワイヤハーネス4を保持する保持部13と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、を備えている。
【0014】
固着部12は、2つの基板部21a,21bを含んでいる。基板部21a,21bは、同一平面上に配置されており、架橋部15によって相互に連結されている。基板部21a,21bの下面には、ホットメルト接着剤層22が形成されている。このホットメルト接着剤層22は、ヘッドライナ3に接触した状態で加熱されることによってヘッドライナ3に融着し、それにより固着部12は、ヘッドライナ3に固着される。
【0015】
保持部13は、2つの舌片部31a,31bを含んでいる。舌片部31a,31bは、固着部12の2つの基板部21a,21bの並び方向と略直角に交差する方向に沿って一方の基板部21aの両側縁からそれぞれ延出して設けられている。
【0016】
ワイヤハーネス4は、その長手方向を2つの舌片部31a,31bの並び方向に沿わせた状態で舌片部31a,31b及びそれらの間の基板部21aの上面に載置され、舌片部31a,31bにテープ部材32で巻き付けられて、具体的には、舌片部31a,31bの上面に臨む箇所を除くワイヤハーネスの外周と、舌片部31a,31bの下面と、を覆うようにテープ部材32で巻き付けられて、保持部13に保持される。尚、舌片部31a,31bの先端部には一対の突起33がそれぞれ設けられている。これらの突起33により、テープ部材32の抜けが防止されている。
【0017】
架橋部15は、上方に凸となる台形状となっており、天板部51と、天板部51を固着部12の2つの基板部21a,21bにそれぞれ接続する側板部52a,52bと、を含んでいる。天板部51は、保持部13の舌片部31a,31b及び固着部12の基板部21aの上面に載置されたワイヤハーネス4よりも高い位置にある。
【0018】
尚、固着部12の基板部21a,21b、保持部13の舌片部31a,31b、並びに架橋部15の天板部51及び側板部52a,52bは、例えば合成樹脂で一体に形成される。
【0019】
取付部14は、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかが多数設けられた係止材41を天板部51の上面に接合して設けられている。天板部51の上面に設けられた取付部14は、保持部13の舌片部31a,31b及び固着部12の基板部21aの上面に載置されたワイヤハーネス4よりも高い位置に配置される。
【0020】
次に、図4を参照して、ヘッドライナ3にワイヤハーネス4を固定する手順を説明する。
【0021】
ワイヤハーネス4は、上述した固定部材11を複数用いてヘッドライナ3に固定される。各固定部材11は、保持部13にワイヤハーネス4の一部を保持して、ワイヤハーネス4の適宜な箇所に装着されている。ワイヤハーネス4は、所定の経路に沿ってヘッドライナ3上に配索され、ワイヤハーネス4の各所に装着された各固定部材11は、その固着部12のホットメルト接着剤層22をヘッドライナ3に接触させて配置されている。
【0022】
ワイヤハーネス4に装着された固定部材11をヘッドライナ3上に配置する際、該固定部材11は取付治具6によってヘッドライナ3上の所望の位置に正確に配置される。ここで、取付治具6の構造を説明するとともに、該取付治具6を利用した固定部材11のヘッドライナ3上への配置方法について説明する。
【0023】
まず、取付治具6の構造について説明する。図5に示すように、取付治具6には、各固定部材11を収容する凹部が、ヘッドライナ3に配置する固定部材11の個数分、下面(該取付治具6をヘッドライナ3に当接する際のヘッドライナ3の上面に接触する面)に形成されている。この凹部の開口部分は、固定部材11を上面視した際の、天板部51、2つの側板部52a、52b、および2つの基板部21a,21bの外周に沿った形状で形成されている。また、凹部の深さは、固定部材11の高さ(係止材41の先端からホットメルト接着剤層22の下面までの長さ)と同一、若しくは固定部材11の高さよりも浅いことが好ましい。これは、固定部材11を凹部に収容した状態で該固定部材11をヘッドライナ3に配置する際に、ホットメルト接着剤層22がヘッドライナ3の上面に充分押し当てられるようにするためである。このような構造の取付治具6は、ヘッドライナ3が載置された作業台(図5には図示せず。)に固定されている。ヘッドライナ3もまた、作業台上の所望の位置に載置されるようになっていることから、この作業台に固定されている取付治具6の下面とヘッドライナ3の上面を接触させるように該取付治具6を移動することによって、該取付治具6の凹部に収容されている固定部材11もまた、ヘッドライナ3上の所望の位置に正確に配置することができる。この結果、固定部材11が装着された状態のワイヤハーネス4もまた、ヘッドライナ3上の所望の位置に正確に配置されることになる。
【0024】
このようにしてヘッドライナ3上に固定部材11を配置した後、例えば温風ヒータなどを用い、ヘッドライナ3全体を加熱し、若しくは各固定部材11が配置された地点をスポット加熱し、各固定部材11の固着部12のホットメルト接着剤層22をヘッドライナ3に融着させ、固着部12をヘッドライナ3に固着させる。それにより、ワイヤハーネス4は、ヘッドライナ3に固定される。
【0025】
固定部材11の固着部12のヘッドライナ3への固着には、上記のホットメルト接着剤層22に替えて、例えば両面粘着テープなどを用いることもできる。尚、ホットメルト接着剤層22による固着によれば、加熱前に正確な位置決めができ、固定位置に誤差が生じるのを防止することができるので、好ましい。
【0026】
再び図1を参照する。取付構造1において、ワイヤハーネス4が配索・固定されたヘッドライナ3がルーフパネル2に取り付けられる。ヘッドライナ3に固着されている各固定部材11の取付部14と対向するルーフパネル2の箇所には、取付部14が取り付く被取付部16が設けられている。
【0027】
被取付部16は、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかが多数設けられた取付部14の係止材41に対して、ループ状係止体又はフック状係止体の他方が多数設けられた係止材42をルーフパネル2の上記の対向箇所に接合して設けられている。
【0028】
ヘッドライナ3を車体ライナ2に押し付けると、各固定部材11の取付部14の係止材41とルーフパネル2の被取付部16の係止材42とが接触し、両係止材41,42の係止体が相互に係合する。それにより、各固定部材11の取付部14がルーフパネル2に取り付き、ヘッドライナ3は、これらの固定部材11を介してルーフパネル2に取り付けられる。
【0029】
以上、固定部材11の取付部14及びルーフパネル2の被取付部16にループ状係止体又はフック状係止体が多数設けられた係止材41,42を用い、被取付部16と協働して取付部14がルーフパネル2に取り付く例を説明した。このように被取付部16と協働して取付部14がルーフパネル2に取り付くようにすれば、種々の構成を採り得る。例えば、係止体41,42に替えて磁石を用いることもできる。尚、磁石を用いる場合には、ルーフパネル2は、一般に鋼材で形成されており、磁石が吸い付くので、固定部材11の取付部14にのみ磁石を接合し、取付部14単独でルーフパネル2に取り付くようにすることもできる。
【0030】
図6及び図7は、図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。尚、上述した固定部材11と共通する要素には同一符号を付し、説明を省略し、若しくは簡略する。
【0031】
図6及び図7に示す固定部材111は、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ワイヤハーネス4を保持する保持部113と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、固着部12の2つの基板部21a,21bを連結する架橋部15と、を備えている。
【0032】
保持部113は、可撓なバンド部131と、架橋部15の一方の側板部52aの縁部に接合されている係止部132と、を含んでいる。係止部132は、バンド部131の基端部が連結されており、また、バンド部131の先端部を係止する。具体的には、係止部132には、バンド部131の先端部を挿通させる挿通孔133が形成されている。そして、バンド部131の表面には、その長手方向と略直角に交差する方向に伸びる係合溝134が、バンド部131の長手方向に並んで複数設けられており、また、挿通孔133の内周面には、図示しない係合爪が設けられている。これらの係合溝134及び係合爪は、所定の向きに挿通孔133に挿入されたバンド部131の先端部が挿通孔133内で逆向きに変位した際に係合し、バンド部131の先端部が挿通孔133から抜け出るのを阻止する。
【0033】
このように構成された保持部113は、バンド部131をワイヤハーネス4に巻き付け、そのバンド部131の先端部を係止部132で係止してワイヤハーネス4を加締めることによって、該ワイヤハーネス4を保持する。
【0034】
固定部材111のヘッドライナ3への固着、及び固定部材111を介したルーフパネル2へのヘッドライナ3の取り付けは、上述した固定部材11と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
図8〜図10は、図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。尚、上述した固定部材11と共通する要素には同一符号を付し、説明を省略し、若しくは簡略する。
【0036】
図8〜図10に示す固定部材211は、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ワイヤハーネス4を保持する保持部213と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、固着部12の2つの基板部21a,21bを連結する架橋部15と、を備えている。
【0037】
保持部213は、舌片部231を含んでいる。舌片部231は、図8に示すように、固着部12の2つの基板部21a,21bの並び方向と略直角に交差する方向に沿って一方の基板部21aの一方の側縁から延出して設けられている。
【0038】
ワイヤハーネス4は、熱収縮チューブ232に挿通された上で、舌片部231及び基板部21aの上面に載置される。その後に、熱収縮チューブ232が、図9に示すように、ワイヤハーネス4に沿って移動され、舌片部231及びその上に配置されたワイヤハーネス4に被せられる。この状態で、熱収縮チューブ232が加熱されて収縮することにより、図10に示すように、ワイヤハーネス4は舌片部231に束ねられ、保持部213に保持される。
【0039】
固定部材211のヘッドライナ3への固着、及び固定部材211を介したルーフパネル2へのヘッドライナ3の取り付けは、上述した固定部材11と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
図11及び図12は、図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。尚、上述した固定部材11と共通する要素には同一符号を付し、説明を省略し、若しくは簡略する。
【0041】
図11及び図12に示す固定部材311は、ヘッドライナ3に固着される固着部12と、ワイヤハーネス4を保持する保持部313と、ルーフパネル2に取り付く取付部14と、固着部12の2つの基板部21a,21bを連結する架橋部15と、を備えている。
【0042】
保持部313は、架橋部15の一方の側板部52aにクランプ孔331を形成して設けられている。
【0043】
ワイヤハーネス4には、保持部313のクランプ孔331に係合するクランプ332が取り付けられている。クランプ332は、鍔部333と、一対の係止爪334と、バンド部334と、を含んでいる。ワイヤハーネス4へのクランプ332の取り付け方は、バンド部334をワイヤハーネス4に巻き付け、そのバンド部334によってワイヤハーネス4を加締めることによって、該ワイヤハーネス4にクランプ332が取り付けられる。一対の係止爪334は、弾性変形しながらクランプ孔331を貫通し、クランプ孔331が形成された側板部52aの裏面側からクランプ孔331の周縁部に係合する。鍔部333は、クランプ孔331が形成された側板部52aの表面側からクランプ孔331の周縁部に係合する。そこで、クランプ332は、鍔部333と一対の係止爪334とでクランプ孔331の周縁部を表裏に挟持してクランプ孔331に取り付けられ、ワイヤハーネス4は保持部313に保持される。
【0044】
固定部材311のヘッドライナ3への固着、及び固定部材311を介したルーフパネル2へのヘッドライナ3の取り付けは、上述した固定部材11と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
以上説明したように、ワイヤハーネスの固定部材11(111,211,311)によれば、保持部13(113,213,313)にワイヤハーネス4を保持して固着部12がヘッドライナ3に固着されることによって、ワイヤハーネス4をヘッドライナ3に固定することができる。そして、ルーフパネル2に取り付く取付部14を備えており、ワイヤハーネス4が配索・固定されたヘッドライナ3に固着されている固定部材11の取付部14をルーフパネル2に取り付けることによって、このヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付けることができる。即ち、ヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付けるにあたって別途取付部材を要せず、部品点数の削減を図ることができるとともに、ヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付ける作業性の向上を図ることができる。
【0046】
また、上述した固定部材11(111,211,311)を介してヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付ける取付構造1によれば、ワイヤハーネス4が配索・固定されたヘッドライナ3に固着されている固定部材11の取付部14をルーフパネル2に取り付けることによって、このヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付けることができる。即ち、ヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付けるにあたって別途取付部材を要することなく、部品点数の削減を図ることができるとともに、ヘッドライナ3をルーフパネル2に取り付ける作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための内装材の取付構造の一例を示す断面図である。
【図2】図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の一例を示す斜視図である。
【図3】図2の固定部材であってワイヤハーネスを保持した状態で示す斜視図である。
【図4】図1の取付構造においてワイヤハーネスが配索・固定された内装材の平面図であって、(a)はワイヤハーネスが配索・固定された状態の内装材の平面図、(b)は取付治具によってワイヤハーネスを配索・固定するときの内装材の平面図である。
【図5】取付治具の断面図であって、(a)は図4(b)のVa−Va方向から視た断面図、(b)は図4(b)のVb−Vb方向から視た断面図である。
【図6】図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。
【図7】図6の固定部材であってワイヤハーネスを保持した状態で示す斜視図である。
【図8】図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。
【図9】図8の固定部材であってワイヤハーネスを保持する過程を示す斜視図である。
【図10】図8の固定部材であってワイヤハーネスを保持した状態で示す斜視図である。
【図11】図1の取付構造に用いられるワイヤハーネスの固定部材の他の例を示す斜視図である。
【図12】図11の固定部材であってワイヤハーネスを保持した状態で示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 取付構造
2 ルーフパネル(車体パネル)
3 ヘッドライナ(内装材)
4 ワイヤハーネス
6 取付治具
11 固定部材
12 固着部
13 保持部
14 取付部
16 被取付部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルと該車体パネルに取り付けられる内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定するワイヤハーネスの固定部材であって、
前記ワイヤハーネスを保持する保持部と、
前記内装材に固着される固着部と、
前記車体パネルに取り付く取付部と、
を備えたことを特徴とする固定部材。
【請求項2】
前記取付部は、前記車体パネルに設けられる被取付部と協働して前記車体パネルに取り付くことを特徴とする請求項1記載の固定部材。
【請求項3】
前記被取付部には、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかが多数設けられ、
前記取付部は、前記ループ状係止体又は前記フック状係止体の他方を多数有することを特徴とする請求項2記載の固定部材。
【請求項4】
前記固着部は、前記内装材との接触面にホットメルト接着剤層を有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の固定部材。
【請求項5】
車体パネルに内装材を取り付ける内装材の取付構造であって、
前記車体パネルと前記内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定する複数の固定部材を備え、
前記固定部材は、それぞれ前記車体パネルに取り付く取付部を含んでおり、
前記内装材は、前記ワイヤハーネスをそれぞれ保持した前記複数の固定部材が固着されて前記ワイヤハーネスが配索・固定され、該内装材に固着された前記複数の固定部材の前記取付部が前記車体パネルに取り付くことによって該車体パネルに取り付けられることを特徴とする内装材の取付構造。
【請求項6】
前記車体パネルに、被取付部が設けられており、
前記取付部は、前記被取付部と協働して前記車体パネルに取り付くことを特徴とする請求項5記載の内装材の取付構造。
【請求項7】
前記被取付部は、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかを多数有し、
前記取付部は、前記ループ状係止体又は前記フック状係止体の他方を多数有することを特徴とする請求項6記載の内装材の取付構造。
【請求項8】
前記固着部は、前記内装材との接触面にホットメルト接着剤層を有していることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項記載の内装材の取付構造。
【請求項1】
車体パネルと該車体パネルに取り付けられる内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定するワイヤハーネスの固定部材であって、
前記ワイヤハーネスを保持する保持部と、
前記内装材に固着される固着部と、
前記車体パネルに取り付く取付部と、
を備えたことを特徴とする固定部材。
【請求項2】
前記取付部は、前記車体パネルに設けられる被取付部と協働して前記車体パネルに取り付くことを特徴とする請求項1記載の固定部材。
【請求項3】
前記被取付部には、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかが多数設けられ、
前記取付部は、前記ループ状係止体又は前記フック状係止体の他方を多数有することを特徴とする請求項2記載の固定部材。
【請求項4】
前記固着部は、前記内装材との接触面にホットメルト接着剤層を有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の固定部材。
【請求項5】
車体パネルに内装材を取り付ける内装材の取付構造であって、
前記車体パネルと前記内装材との間に配索されるワイヤハーネスを前記内装材に固定する複数の固定部材を備え、
前記固定部材は、それぞれ前記車体パネルに取り付く取付部を含んでおり、
前記内装材は、前記ワイヤハーネスをそれぞれ保持した前記複数の固定部材が固着されて前記ワイヤハーネスが配索・固定され、該内装材に固着された前記複数の固定部材の前記取付部が前記車体パネルに取り付くことによって該車体パネルに取り付けられることを特徴とする内装材の取付構造。
【請求項6】
前記車体パネルに、被取付部が設けられており、
前記取付部は、前記被取付部と協働して前記車体パネルに取り付くことを特徴とする請求項5記載の内装材の取付構造。
【請求項7】
前記被取付部は、ループ状係止体又は該ループ状係止体に掛かるフック状係止体のいずれかを多数有し、
前記取付部は、前記ループ状係止体又は前記フック状係止体の他方を多数有することを特徴とする請求項6記載の内装材の取付構造。
【請求項8】
前記固着部は、前記内装材との接触面にホットメルト接着剤層を有していることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項記載の内装材の取付構造。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【公開番号】特開2010−81760(P2010−81760A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248921(P2008−248921)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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