説明

ワイヤハーネスの配索構造

【課題】極細電線からなるワイヤハーネスであっても損傷等の不具合なく配索することが可能なワイヤハーネスの配索構造を提供すること。
【解決手段】複数の極細電線13を並列させて一体化させたワイヤハーネス11を所定の配索箇所Aへ配索するワイヤハーネス11の配索構造であって、ワイヤハーネス11が設置される配索面12aと、配索面12aにおける配索箇所Aに沿う複数箇所に設けられ、ワイヤハーネス11を挟んで対向する位置に立設された一対のリブ22と、対向するリブ22の少なくとも一方に形成され、ワイヤハーネス11側へ突出する係止部23とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に用いられるワイヤハーネスの配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のセンターコンソール等には、電気配線用のワイヤハーネスが配索されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このワイヤハーネスとしては、複数の電線を平行に配設して形成したフラット回路体や大電力用リボン線から構成したものが知られている(例えば、特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−69693号公報
【特許文献2】特開2001−210413号公報
【特許文献3】特開平5−217614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ワイヤハーネスを構成する電線が、例えば、0.08sq相当の導体断面積の極細電線からなるものであると、引っ張り強度及び耐摩耗性が低いため、センターコンソール等への配索工程時、配索後におけるセンターコンソールの車両への組付工程時に作用する外力あるいは車両走行時の振動によって極細電線が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、極細電線からなるワイヤハーネスであっても損傷等の不具合なく配索することが可能なワイヤハーネスの配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスの配索構造は、下記(1)及び(2)を特徴としている。
(1) 複数の極細電線を並列させて一体化させたワイヤハーネスを所定の配索箇所へ配索するワイヤハーネスの配索構造であって、
前記ワイヤハーネスが設置される配索面と、
前記配索面における前記配索箇所に沿う複数箇所に設けられ、前記ワイヤハーネスを挟んで対向する位置に立設された一対のリブと、
対向する前記リブの少なくとも一方に形成され、前記ワイヤハーネス側へ突出する係止部とを有すること。
(2) 上記(1)の構成のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記ワイヤハーネスは、前記配索面に貼り付けられていること。
【0008】
上記(1)の構成のワイヤハーネスの配索構造では、配索面に立設されたリブによってワイヤハーネスの両側部を配索箇所に沿う複数箇所にて保持することができ、また、そのリブの少なくとも一方に設けられた係止部によってワイヤハーネスを配索面に確実に支持することができる。
これにより、ワイヤハーネスが複数本の極細電線を並列させて一体化させたものであっても、ワイヤハーネスの配索工程時、ワイヤハーネスが配索された部材の組付工程時に作用する外力あるいは配索後に作用する振動によって極細電線が損傷するような不具合をな
くすことができる。
上記(2)の構成のワイヤハーネスの配索構造では、ワイヤハーネスが配索面に貼り付けられているので、ワイヤハーネスが配索された部材の組付工程時に作用する外力あるいは配索後に作用する振動によるワイヤハーネスの変位を極力抑えることができ、極細電線が損傷するような不具合をさらに確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、極細電線からなるワイヤハーネスであっても損傷等の不具合なく配索することが可能なワイヤハーネスの配索構造を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るワイヤハーネスの配索構造を説明するワイヤハーネスの配索箇所の斜視図である。
【図2】ワイヤハーネスの斜視図である。
【図3】配索されたワイヤハーネスの平面図である。
【図4】配索されたワイヤハーネスの支持箇所の断面図である。
【図5】配索されたワイヤハーネスの支持箇所の断面図である。
【図6】参考例を説明するワイヤハーネスが配索された配索箇所の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明に係るワイヤハーネスの配索構造を説明するワイヤハーネスの配索箇所の斜視図、図2はワイヤハーネスの斜視図、図3は配索されたワイヤハーネスの平面図、図4及び図5は配索されたワイヤハーネスの支持箇所の断面図である。
【0014】
図1に示すように、ワイヤハーネス11は、例えば、自動車等の車両に組み付けられるセンターコンソール12の配索面12aの配索箇所Aに配索されている。
【0015】
このワイヤハーネス11は、図2に示すように、複数本の極細電線13を有するもので、これら複数本の極細電線13が、並列されて一体化されている。極細電線13は、例えば、導体断面積が0.08sq相当の極細電線であり、導線13aを樹脂からなる外被13bによって被覆したものである。そして、ワイヤハーネス11は、これらの極細電線13の外被13b同士を融着または接着することにより、リボン状に一体化されて構成されている。
【0016】
図3に示すように、センターコンソール12の配索面12aには、配索箇所Aに沿って、間隔をあけた複数箇所に、保持部21が設けられている。これら保持部21には、ワイヤハーネス11を挟んで対向する一対のリブ22が設けられており、これらリブ22の間に、ワイヤハーネス11が配置されている。
【0017】
図4に示すように、保持部21のリブ22は、配索面12aから立設されたもので、対向側が支持面22aとされている。これらの対向するリブ22の支持面22a同士の間隔W1は、ワイヤハーネス11の幅寸法W2と略同一の寸法とされている。なお、リブ22は、配索面12aからの突出寸法Hが、ワイヤハーネス11の厚さTよりも大きくされている。
【0018】
また、いくつかの保持部21は、図5に示すように、対向するリブ22の一方に、ワイヤハーネス11側へ突出する係止部23を有している。この係止部23は、配索面12aとの間隔Gが、ワイヤハーネス11の厚さTよりも僅かに大きくされている。
【0019】
なお、この係止部23は、車両へのセンターコンソール12の組付け方向側のリブ22に形成されている。
【0020】
そして、ワイヤハーネス11は、センターコンソール12の配索箇所Aにて、その両側部が保持部21のリブ22によって保持されている。また、係止部23を有する保持部21では、リブ22の保持とともに、係止部23によって、車両へのセンターコンソール12の組付け方向側が係止されている。
【0021】
また、このワイヤハーネス11は、配索面12aに対して、例えば、接着剤あるいは接着テープによって接着されて貼り付けられている。
【0022】
以上、説明したように、本実施形態のワイヤハーネスの配索構造によれば、配索面12aに立設されたリブ22によってワイヤハーネス11の両側部を配索箇所Aに沿う複数箇所にて保持することができ、また、そのリブ22の一方に設けられた係止部23によってワイヤハーネス11を配索面12aに確実に支持することができる。
【0023】
これにより、ワイヤハーネス11が複数の極細電線13を並列させて一体化させたものであっても、ワイヤハーネス11のセンターコンソール12への配索工程時、ワイヤハーネス11が配索されたセンターコンソール12の車両への組付工程時に作用する外力あるいは配索後に車両が走行することにより作用する振動によって極細電線13が損傷するような不具合をなくすことができる。
【0024】
特に、ワイヤハーネス11が配索面12aに貼り付けられているので、ワイヤハーネス11が配索されたセンターコンソール12の車両への組付工程時に作用する外力あるいは配索後に車両が走行することにより作用する振動によるワイヤハーネス11の変位を極力抑えることができ、極細電線13が損傷するような不具合をさらに確実に防止することができる。
【0025】
ここで、本発明の更なる優位性を説明するため、図6に参考例を示す。
【0026】
図6はワイヤハーネスが配索された配索箇所の平面図である。
【0027】
この参考例では、図6に示すように、二つの機器41,42の間に、複数本の極細電線13をリボン状に一体化したワイヤハーネス11が配索されている。このように配索された複数本の極細電線13からなるワイヤハーネス11を配索する場合、通常は、外力や振動から極細電線13を保護するため、ワイヤハーネス11をチューブ43によって覆う必要がある。
【0028】
したがって、この参考例の場合、ワイヤハーネス11をチューブ43に挿通して装着させるチューブ43の装着工程を要し、その分、コストがかかってしまう。
【0029】
これに対して、本実施形態のワイヤハーネスの配索構造では、配索面12aに立設されたリブ22によってワイヤハーネス11の両側部を配索箇所Aに沿う複数箇所にて保持することができ、また、そのリブ22の一方に設けられた係止部23によってワイヤハーネス11を配索面12aに確実に支持することができるので、チューブ43による保護を不
要することができる。したがって、チューブ43の装着工程を削減することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0030】
なお、係止部23は、全ての保持部21に設けても良く、また、対向するリブ22の両方に設けても良い。
【0031】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0032】
11 ワイヤハーネス
12a 配索面
13 極細電線
22 リブ
23 係止部
A 配索箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の極細電線を並列させて一体化させたワイヤハーネスを所定の配索箇所へ配索するワイヤハーネスの配索構造であって、
前記ワイヤハーネスが設置される配索面と、
前記配索面における前記配索箇所に沿う複数箇所に設けられ、前記ワイヤハーネスを挟んで対向する位置に立設された一対のリブと、
対向する前記リブの少なくとも一方に形成され、前記ワイヤハーネス側へ突出する係止部とを有することを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記ワイヤハーネスは、前記配索面に貼り付けられていることを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−188643(P2011−188643A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51921(P2010−51921)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】