説明

ワイヤーハーネスとホースの配索構造

【課題】ホースの折れを防止することのできるワイヤーハーネスとホースの配索構造を提供する。
【解決手段】ワイヤーハーネス1とホース2を並列に配索するに当たり、ワイヤーハーネス1の外周にホース2を螺旋状に巻き付けて配索し、その部分をグロメット10に挿通させて、グロメット10の両端近傍でホース2を固定し、巻き戻りを防止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネスと、ウィンドーウォッシャ液などの流体を流通させるためのホースとを並列に配索したワイヤーハーネスとホースの配索構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のバックドアには、ボディ側からワイヤーハーネスによる電気系統とウィンドーウォッシャ液の系統(流体系統)の2系統の配索を行わなくてはならない。従来では、これら2系統の配索をそれぞれ単独に行っており、グロメットなども別々のものを用いていた。
【0003】
しかし、別々に配索するのは面倒であるため、ワイヤーハーネスとホースを一緒に配索してグロメットに通すことが行われるようになってきた。ワイヤーハーネスとホースを並走させる場合、例えば、特許文献1や特許文献2に記載のように、プロテクタでホースをワイヤーハーネスに止めたり、図4に示すように、テープTでホース2をワイヤーハーネス1の外周に止めたりしているのが一般的である。
【特許文献1】特開平8−178130号公報
【特許文献2】特開平11−43021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来では、ワイヤーハーネス1とホース2をほぼ平行に配索している関係で、図5に示すように、一端11がボディ側に固定され、他端12がバックドア側に固定された状態で屈曲するグロメット10の中にワイヤーハーネス1とホース2を挿通させた場合に、グロメット10内でホース2の余長が折れて、流体を通すというホース2の本来の機能を損なう可能性があった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、ホースの折れを防止することのできるワイヤーハーネスとホースの配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ワイヤーハーネスとホースを並列に配索したワイヤーハーネスとホースの配索構造であって、前記ワイヤーハーネスの外周に前記ホースを螺旋状に巻き付けて配索したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のワイヤーハーネスとホースの配索構造であって、同一のグロメットに前記ワイヤーハーネスとホースを挿通させ、前記グロメット内に挿通させた部分で、前記ホースを前記ワイヤーハーネスの外周に螺旋状に巻き付け、前記グロメットの両端近傍で前記ホースを固定したことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のワイヤーハーネスとホースの配索構造であって、前記グロメットの端部に、前記ワイヤーハーネスの挿通部と前記ホースの係止部とを有するグロメットインナが設けられており、該グロメットインナのホースの係止部に前記ホースを固定したことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載のワイヤーハーネスとホースの配索構造であって、前記グロメットの端部の近傍に、ワイヤーハーネスの係止部とホースの係止部とを有すると共に車体への係合部を有したワイヤーハーネス固定具を設け、該ワイヤーハーネス固定具のワイヤーハーネスの係止部に前記ワイヤーハーネスを固定し、前記ホースの係止部に前記ホースを固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、ホースをワイヤーハーネスの外周に螺旋状に巻き付けているので、ワイヤーハーネスに曲げが作用したときにも、ホースの曲げ曲率をワイヤーハーネスよりも大きくすることができ、ホースの折れを防止することができる。また、ワイヤーハーネスにホースを絡ませているため、ホースの経路をワイヤーハーネスによって矯正することができる。また、ホースに余長が発生した場合でも、螺旋のピッチの変化により、その余長分を吸収することができ、無用な弛みによる折れ曲がりを防止できる。従って、流体を円滑に流通させるというホースの本来の機能を損なうことがない。
【0011】
請求項2の発明によれば、グロメット内に挿通させる部分を螺旋状にしてワイヤーハーネスの外周に巻き付けたので、グロメット内でのホースの折れを防止することができる。また、グロメットの両端近傍でホースを固定しているので、螺旋が解けることもない。
【0012】
請求項3の発明によれば、グロメットインナに設けた係止部にホースを固定したので、特別に固定具を用意する必要もない。
【0013】
請求項4の発明によれば、ワイヤーハーネス固定具に設けた係止部にホースを係止させるので、ホースとワイヤーハーネスを一緒に固定することができ、ホース専用の固定手段を別に用意する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は実施形態の配索構造の側面図である。この配索構造では、ワイヤーハーネス1とホース2を並列に配索するに当たり、ワイヤーハーネス1の外周にホース2を螺旋状に巻き付けて配索し、ワイヤーハーネス1にホース2を螺旋状に巻き付けた部分を、同一のグロメット10の中に挿通させている。そして、グロメット10の両端11、12の近傍でホース2を固定することで、螺旋の巻き付けが戻らないようにしている。
【0016】
この場合、グロメット10の一方の端部12には、図2に示すように、環状体21にワイヤーハーネス挿通部22とホース係止部23とを形成したグロメットインナ20が設けられており、このグロメットインナ20のホース係止部23にホース2を固定している。ホース係止部23は、環状体21の内周に連設したスリット23a付きのC環帯によりなり、スリット23aからホース2をC環帯の中に嵌め込むことで、ホース2を固定している。
【0017】
また、グロメット10の他方の端部11の外側には、図3に示すように、ワイヤーハーネス1とホース2を係止するための2つの係止部31、32と、車体への係合部39とを有したワイヤーハーネス固定具30が設けてあり、このワイヤーハーネス固定具30の2つの係止部31、32にそれぞれワイヤーハーネス1とホース2を固定した上で、係合部39によりワイヤーハーネス固定具30を車体に固定している。
【0018】
この場合、2つの係止部31、32は、車体への係合部39を突設した基板35に、波形の押さえ板36を連設して重ねることにより、押さえ板35と基板36との間に孔状に形成されており、各係止部31、32にワイヤーハーネス1とホース2を挿入して、押さえ板36の先端36aを基板35の基端のフック37に係合させることにより、ワイヤーハーネス1とホース2が固定されている。
【0019】
以上のように構成した配索構造によれば、ホース2をワイヤーハーネス1の外周に螺旋状に巻き付けているので、ワイヤーハーネス1に曲げが作用したときにも、ホース2の曲げ曲率をワイヤーハーネス1よりも大きくすることができ、ホース2の折れを防止することができる。また、ワイヤーハーネス1にホース2を絡ませているため、ホース2の経路をワイヤーハーネス1によって矯正することができる。また、ホース2に余長が発生した場合でも、螺旋のピッチの変化により、その余長分を確実に吸収することができ、無用な弛みによる折れ曲がりを防止できる。従って、流体を円滑に流通させるというホース2の本来の機能を損なうことを防止できる。
【0020】
特に、グロメット10内に挿通させる部分で、ホース2を螺旋状にしてワイヤーハーネス1の外周に巻き付けているので、グロメット10内でのホース2の折れを防止することができ、グロメット10の屈曲を何回繰り返しても、ホース2の機能を損なうことがない。
【0021】
また、グロメット10の両端近傍でホース2を固定しているから、螺旋状の巻き付けが解けることもなく、ホース2の折れ防止性能を維持することができる。また、ホース2の一端側はグロメットインナ20に固定し、他端側はワイヤーハーネス固定具30に固定しているので、特別にホース2用の固定手段を用意する必要がなく、コストの上昇を抑えることができる。
【0022】
なお、上記実施形態では、グロメット10の両端でホース2を固定するのに、グロメットインナ20に設けた係止部23やワイヤーハーネス固定具30に設けた係止部31、32を用いたが、テープを巻き付けることにより、ワイヤーハーネス1にホース2を固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の配索構造の側面図である。
【図2】図1のグロメットインナ20の構造を示す斜視図である。
【図3】図1のワイヤーハーネス固定具30の構造を示す斜視図である。
【図4】従来のワイヤーハーネスとホースの配索例を示す図である。
【図5】従来のグロメットに対するワイヤーハーネスとホースの配索例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ワイヤーハーネス
2 ホース
10 グロメット
20 グロメットインナ
22 ワイヤーハーネス挿通部
23 ホース係止部
30 ワイヤーハーネス固定具
31,32 係止部
39 車体への係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスとホースを並列に配索したワイヤーハーネスとホースの配索構造であって、
前記ワイヤーハーネスの外周に前記ホースを螺旋状に巻き付けて配索したことを特徴とするワイヤーハーネスとホースの配索構造。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤーハーネスとホースの配索構造であって、
同一のグロメットに前記ワイヤーハーネスとホースを挿通させ、前記グロメット内に挿通させた部分で、前記ホースを前記ワイヤーハーネスの外周に螺旋状に巻き付け、前記グロメットの両端近傍で前記ホースを固定したことを特徴とするワイヤーハーネスとホースの配索構造。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤーハーネスとホースの配索構造であって、
前記グロメットの端部に、前記ワイヤーハーネスの挿通部と前記ホースの係止部とを有するグロメットインナが設けられており、該グロメットインナのホースの係止部に前記ホースを固定したことを特徴とするワイヤーハーネスとホースの配索構造。
【請求項4】
請求項2に記載のワイヤーハーネスとホースの配索構造であって、
前記グロメットの端部の近傍に、ワイヤーハーネスの係止部とホースの係止部とを有すると共に車体への係合部を有したワイヤーハーネス固定具を設け、該ワイヤーハーネス固定具のワイヤーハーネスの係止部に前記ワイヤーハーネスを固定し、前記ホースの係止部に前記ホースを固定したことを特徴とするワイヤーハーネスとホースの配索構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−211851(P2007−211851A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31016(P2006−31016)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】