説明

ワークの検査装置

【課題】 検査用回転ディスクの周囲のどの位置に配置されても、ワークを脱落させたり詰まらせることなく搬送溝に確実に供給(収納)する。
【解決手段】 外周にワークCが配される搬送溝v1が形成された検査用回転ディスクID1と、検査用回転ディスクID1の搬送溝v1にワークCを供給する供給手段Fと、検査用回転ディスクID1の外周に配置される第1のガイド用ディスクG1を備え、上記第1のガイド用ディスクG1は、その外周に上記検査用回転ディスクID1の搬送溝v1を覆うガイド溝Gvが形成されて、検査用回転ディスクと同一方向に回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップやチップ型コンデンサ等の微小な電子素子やカプセル錠剤などのワークの検査を行い、良品と不良品に選別するワークの検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップやチップ型コンデンサ等の電子素子(チップ部品)のワークの場合、その性能(ICチップでは電気特性等であり、チップ型コンデンサでは電気容量等)の検査、外周の傷の検査や、その種類や大きさを選別するための測定が行われ、梱包ラインに供給された後に出荷される。このワークの検査装置は、供給されたワークを多角度的に撮像して、これらの品質を検査して選別する。
【0003】
上記ワークの検査装置として、例えば、特許文献1には、ワークを整列搬送する直進フィーダと、外周側面に微小物体を収納する収納溝が形成され回転する円盤状の回転ディスク(検査用回転ディスク)と、直進フィーダと検査用回転ディスクとの間に位置して直進フィーダから整列搬送される微小物体を回転ディスクの収納溝に搬送する無振動中継台と、無振動中継台に移行した微小物体を吸引する吸引手段とを備え、無振動中継台の搬送路にワークの搬送姿勢を整える溝を形成し、回転ディスクの搬送溝(ポケット)にV字状溝の両方の谷面(一方の辺と他方の辺)に吸引と排気が弁によって切り替えられ、吸排気装置に接続した吸排気口が設けられている。
【特許文献1】特開2002−326059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、ワークを回転ディスクの搬送溝に供給(収納)させる際において、ワークが脱落したり(飛び出したり)詰まったりする事態を防止するもので、特に、直進フィーダは、そのV字溝の一辺を切り欠いたり、回転ディスクの側周外側にガイドプレートを設け、このガイドプレートから回転ディスクのポケットにおけるV字状の谷面と平行に出退する案内板を設けたり、又、固定テーブルにガイドのノズルを設けたり、更に、直進フィーダの先端部と回転ディスク及び固定テーブルとの間に搬送コンベヤを設けたものを開示している。
【0005】
しかしながら、いずれも脱落防止や目詰りする事態の対応としては十分なものではない。例えば、V字溝の直進フィーダの一辺を切り欠いたものは、回転ディスクは回転動作するが、直進フィーダは移動しないことから、これらの間でワークの目詰まりが生じるために、V字溝の一辺を切り欠いたものである。しかし、このような切り欠き形成すると、その切り欠き部分からワークが脱落するおそれがある。また、回転駆動する回転ディスクと移動しない直進フィーダの切り欠かかれていない一辺との間でワークが挟まれて、ワーク姿勢が定まらないうちに回転ディスクが回転して、ワークが飛び出すこともある。さらに、特許文献1では、回転ディスクの搬送溝(ポケット)にV字状溝に吸引と排気が弁によって切り替えられ、吸排気装置に接続した吸排気口が設けられているが、この切り替えが正確でないと、ワークが脱落したり目詰まりする。
【0006】
また、回転ディスクが縦型配置の場合、直進フィーダは、その下方位置(時計の6時の位置等)に配置されることが多いが、装置によってはその位置が好ましくない場合がある。つまり、撮像手段等を配置する場所の確保や、装置の小型化傾向からスペースが限られてくると、常に上記の下方位置には配置できない場合がある。
【0007】
一方、ワークの検査は、回転ディスクの搬送溝に収納された状態でワークの検査を行う場合がある。例えば、電子素子等のICチップの電気特性等を検査するときには、回転ディスクの外周にワークとの接触を図る接触子をICチップの両側から挟み込むように接触させて検査する場合がある。しかしながら、従来装置では、この接触の際にワークが脱落する事態が生じることがあった。
【0008】
そこで本発明の目的は、検査用回転ディスクの周囲のどの位置に配置されても、ワークを脱落させたり詰まらせることなく搬送溝に確実に供給(収納)し、検査用回転ディスクの搬送溝に収納された状態でワークと接触させて電気的な検査等を行うときにも、ワークが脱落することがないワークの検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載のワークの検査装置は、外周にワークが配される搬送溝が形成された検査用回転ディスクと、検査用回転ディスクの搬送溝にワークを供給する供給手段と、検査用回転ディスクの外周に配置される第1のガイド用ディスクを備え、上記第1のガイド用ディスクは、その外周に上記検査用回転ディスクの搬送溝を覆うガイド溝が形成されて、検査用回転ディスクと周方向で同一方向に回転することを特徴とする。ここで、本明細書において、「周方向で同一方向」とは、第1のガイド用ディスクは反時計方向の回転であるとき、検査用回転ディスクは時計方向の回転であることや、これと逆の場合を言う。
【0010】
本発明によれば、供給手段からワークが供給されると、検査用回転ディスクの搬送溝を第1のガイド用ディスクのガイド溝が覆うようになり、ワークの脱落を阻止する。そして、検査用回転ディスクの回転に合せてガイド用ディスクが周方向で同一方向に回転することにより、従来のようにV字状溝の一辺がワークと接触することにより目詰まりする事態が防止され、ワークが搬送溝に収納された後は、第1のガイド用ディスクのガイド溝は検査用回転ディスクの搬送溝から徐々に離れる。
【0011】
本発明の請求項2記載のワークの検査装置は、外周にワークが配される搬送溝が形成された検査用回転ディスクと、検査用回転ディスクの外周に配置される第2のガイド用ディスクを備え、上記第2のガイド用ディスクの外周には上記検査用回転ディスクの搬送溝を覆うガイド溝が形成されるとともに、ワークを検査する接触子を備え、第2のガイド用ディスクは検査用回転ディスクと周方向で同一方向に回転し、上記接触子は搬送溝に配されたワークと接触することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ICチップのようなワークの電気特性等を検査するときは、第2のガイド用ディスクは検査用回転ディスクと同一方向に回転し、上記接触子は搬送溝に配されたワークと接触することから、従来のように接触子(プローブ)がワークと接触することにより脱落する事態が防止される。
【0013】
本発明の請求項3は、前記検査用回転ディスクの搬送溝と、第1のガイド用ディスク又は第2のガイド用ディスクのガイド溝は、これらの周方向と直交する方向に形成される溝であり、前記検査用回転ディスクと、第1のガイド用ディスク又は第2のガイド用ディスクとの駆動は、前記搬送溝とガイド溝が向かい合うように駆動する同期駆動であることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、前記搬送溝とガイド溝が向かい合うように駆動する同期駆動であることから、互いの溝の移動のずれにより、ワークが目詰まりしたり脱落するようなことがない。なお、第1と第2のガイド用ディスクをゴム製とすることにより、弾性力を持って覆うことから、ワークとの接触が柔らかくなって、飛び出すような事態を防止するとともに、ワークが損傷するような事態を防止する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のワークの検査装置によれば、第1のガイド用ディスクは、検査用回転ディスクの搬送溝に供給されたワークを覆って周方向で同一方向に回転するので、搬送溝からワークを脱落させたり、目詰りさせる事態を防止することが可能になる。また、これによりバックゲージの吸引を連続して行うことができ、吸引動作を簡略化し、制御が簡単なものとなる。一方、第2のガイド用ディスクは、ICチップのようなワークの電気特性等を検査するときは、検査用回転ディスクと周方向で同一方向に回転し、上記接触子は搬送溝に配されたワークと接触することから、従来のように接触子がワークと接触することにより脱落する事態が防止される。そして、本発明によれば、第1と第2のガイド用ディスクは、検査用回転ディスクの外周のどの位置に配置することが可能になり、従来のように縦型配置の検査用回転ディスクの下方に配置しなければならないような配置の規制をなくすことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面を引用しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態であるワークの検査装置の正面図であり、図2は、ワークの検査装置の断面図であり、図3は、ワークの検査装置の断面図であり、図4は斜視図であり、図5はワークの搬送状態の拡大正面図である。本実施の形態のワークの検査装置1は、電子素子や電子回路等のチップ部品等のワークCを撮像手段により検査するワークの検査装置であり、ワークCを回転搬送しながら検査する第1と第2の検査用回転ディスクID1,ID2と、ワークCを供給する供給手段である直進フィーダFと、検査用回転ディスクID1の外周に配される第1のガイド用ディスクG1を備える。検査対象であるワークCは、ICチップやチップ型コンデンサ等の微小な電子素子(微小物体)Cのほか(図9(a))、錠剤、カプセル錠剤(カプセル型の錠剤)K等である(図9(b))。なお、本実施の形態のワークCは、直方体形状のワークとして説明するが、立方体形状や薄い板状のチップ部品等であっても適用可能である。
【0017】
直進フィーダFは、ワークCが投入される円筒フィーダ(図示せず)の排出口から取り出されたワークCを振動させながら送り出すもので、円筒フィーダの排出口と連続された直線状の溝Fvが形成されており、この溝Fvから第1の検査用回転ディスクID1の搬送溝v1にワークCを供給する。なお、直進フィーダFと第1の検査用回転ディスクID1との間に位置して無振動中継台が配され、この位置に撮像手段が配される場合もある。
【0018】
直進フィーダFと対向する位置には、バックゲージgeが取り付けられ、バックゲージgeには第1の吸引孔q1が形成されるとともに、この第1の吸引孔q1を介してワークCを吸引する(図5)。第1の吸引孔q1は、直進フィーダFの搬送溝Fvに向けて形成され、吸引手段である真空ポンプ(図示せず)と連結される連結部gepが設けられている。このため、真空ポンプにより吸引力が働くと、直進フィーダFの搬送溝Fvから後述する検査用回転ディスクID1の搬送溝v1と第1のガイド用ディスクG1のガイド溝G1vにワークCを第1の吸引孔q1を介して吸引により導くことができる。すなわち、図5に示すように、バックゲージgeの吸引孔q1を両者のディスクID1とG1の接点に配置することで、両者のディスクID1,G1の溝v1と溝G1vにより形成される空間に対して一度に連続して行うことができるとともに、吸引動作を簡単で安定して行うことになる。
【0019】
第1と第2の回転ディスクID1,ID2は、ベース基台Bに取り付けられた軸J1,J2の先端側に取り付けられ、軸J1,J2の他方側は、モータM1,M2が取り付けられている(図2)。第1と第2の回転ディスクID1,ID2は、多数のワークCをその外周の搬送溝v1,v2で回転搬送させるもので、その軸J1,J2に取り付けられる外周ローラS1bがサクションリングS1aに重ね合わせられて構成されている。外周ローラS1bには、その接線方向に対して直交方向に所定間隔をおいて搬送溝v1,v2が形成されている。この搬送溝v1,v2は、直線フィーダFの搬送溝Fvに対応させたV字状に形成され、このV字状の搬送溝v1,v2の底部(v字状の先端)に第2の吸引孔q2が形成され、この第2の吸引孔q2は、サクションリングS1aの吸引用スリットSsと連結されるとともに、連結具Qを介して吸引手段である真空ポンプ(図示せず)と接続されている(図2)。したがって、回転ディスクID1,ID2が回転しても、搬送溝v1,v2からワークCは脱落することはない。また、サクションリングS1aには、直進フィーダFから上記V字状の搬送溝v1に吸引するための第2の吸引孔q2と連結されている(図2、図3、図5)。第2の吸引孔q2は、搬送溝v1の収納状態での回転搬送を可能にするもので、ワークCを吸引した後は回転搬送状態を維持するために吸引し続ける。
【0020】
V字状の搬送溝v1は、向かい合う第1のガイド用ディスクG1のガイド溝G1vと対称の形状に形成され、上記搬送溝はV字状に、他方のガイド溝G1vもこれに合せて同じV字状に形成されている。このような上記搬送溝v1と第1のガイド用ディスクG1のガイド溝G1vにより、図9(a)に示すように、直方体形状のワークCの四側面(第1面から第4面)が覆われることになり、残りのワークCの一面は直進フィーダFからの送り側の面(第5面)となり((図9(a)の矢印)、他の残りの一面(第6面)はバックゲージgeの第1の吸引孔q1側の面となり、これらによりワークCの第5面を除いた面が覆われることとなる。
【0021】
第1の検査用回転ディスクID1のサクションリングS1aの吸引用スリットSsは、ほぼ時計の9時の方向から右回転で5時の範囲までの位置に設けられ、第2の回転ディスクID2のサクションリングS1aの吸引用スリットSsは、ほぼ時計の10時の位置から左回転の5時の位置までの範囲までの半周上に設けられ、送風通路A1…A4が配される位置にまで及んでいる。電子素子であるワークCは、上記所定長の吸引用スリットSsの位置から外れる位置にある第1の検査用回転ディスクID1の5時の位置から第2の回転ディスクID2の時計の10時の位置でその搬送溝v2に受け渡され、左回りで時計の6時から5時の位置まで搬送される。
【0022】
第1の検査用回転ディスクID1と第2の回転ディスクID2は、縦型配置による連続回転方式により回転する。第2の回転ディスクID2は、第1の検査用回転ディスクID1の下方側において斜めに位置をずらして配されている。第1の検査用回転ディスクID1は、その中心に配される回転軸J1により時計の針の回転方向と同じ向きに回転する。第2の回転ディスクID2は、その中心に配される回転軸J2により時計の針の回転方向と逆向きに回転する。第1と第2の回転ディスクID1,ID2の軸J1,J2には、各々駆動源(モータ)M1,M2が取り付けられて回転するが、ギヤE1,E2を介して同期駆動する構造になっている(図2)。この第1と第2の回転ディスクID1,ID2の駆動は、上記第1のガイド用ディスクG1とも間欠駆動により同期駆動しているが、連続駆動であっても良い。
【0023】
第1のガイド用ディスクG1は、検査用回転ディスクID1の外周に配置されるもので、その外周において上記検査用回転ディスクID1の搬送溝v1を覆うガイド溝G1vとしての役割を有する。図2に示すように、第1のガイド用ディスクG1は、ベース基台Bに軸J3が取り付けられ、この軸J3の先端側に取り付けられ、他方側には、第1の検査用回転ディスクID1のモータM1とギヤE1,E3を介して連結されている(図2)。すなわち、第1の検査用回転ディスクID1と第2の回転ディスクID2の軸J1,J2には、回転駆動手段であるモータ(ステッピングモータ)M1,M2が各々取り付けられ、第1のガイド用ディスクG1の回転駆動は、第1の検査用回転ディスクID1の軸J1にギヤ(ノンバックラッシュギア)E1,E3を介して連結されて、第1の検査用回転ディスクID1の回転と同期駆動する。この同期駆動は間欠駆動とされている。したがって、第1の検査用回転ディスクID1と第1のガイド用ディスクG1の駆動は、搬送溝v1と向かい合うガイド溝G1vが向かい合う同期駆動となる。そして、同じ動力源とすることにより、第1のガイド用ディスクG1の駆動源を別個も受けなくとも良くしている。
【0024】
第1のガイド用ディスクG1のガイド溝G1vは、検査用回転ディスクID1,ID2の搬送溝v1と対応させて形成されている。本実施の形態のワークは直方体形状であることから、一方の搬送溝v1はV字状に、他方のガイド溝G1vもこれに合せて同じV字状に形成され、対称になっている。例えば、ワークCが錠剤カプセルのような場合は、断面がU字状になる搬送溝vKを形成すると良く(図9(b))、この場合、一方の搬送溝vKと他方のガイド溝G1vは対称にすることが好ましい。
【0025】
ここで、第1のガイド用ディスクG1は、検査用回転ディスクID1に対して時計の針で9時の位置に配されているが、両者は同じ円盤状のものであるので、第1のガイド用ディスクG1は、検査用回転ディスクID1の外周位置であればどの位置に配されても同じである。すなわち、検査用回転ディスクID1の6時の位置でも、それ以外のどの位置でも検査用回転ディスクID1の搬送溝v1のワークCを介して覆うこととなる。また、第1のガイド用ディスクG1の径は、できるだけ小さな径であることが好ましい。これは、小さな径にすることで、装置の小型化が図られることと、本実施の形態では、第1のガイド用ディスクG1の回転駆動を検査用回転ディスクID1の軸の駆動源(ステッピングモータ)から得ているために、この検査用回転ディスクID1の駆動源にかかる負荷をできるだけ軽減することができるからである。なお、本実施の形態の第1のガイド用ディスクG1はステンレス製として説明するが、第2の実施の形態のようにゴム製とすることも可能である。
【0026】
ワーク(電子素子)C1の外周を撮像する撮像手段S1…S6は、第1の検査用回転ディスクID1による搬送途中の12時の位置で撮影する撮像手段S1,S2と、その後ほぼ2時の位置で搬送途中のワークCを撮像する撮像手段S3,S4と、第2の回転ディスクID2の搬送途中で撮影する撮像手段S5,S6とが配置されている。各撮像手段S1…S6は、イメージセンサや、イメージセンサと発光ダイオードとを組み合わせた光学式外径測定器の他、高感度カメラ(C1C1Dカメラ)等であり、直方体形状のワークCの外周を撮像する。その結果は、図示しない制御部により、長さ・幅や面積を撮像したり、傷の有無が検査される。
【0027】
撮像手段S1,S2は、第1の検査用回転ディスクID1の搬送溝v1に収納された状態でワークCの第3面C3、第4面C4を斜め方向から撮像するもので、撮像手段S3,S4は、第5面C5、第6面C6を前後(図面上の前後)から撮像するもので、撮像手段S5,S6は、第2の回転ディスクID2の搬送溝v2に収納された状態でワークCの第1面C1、第2面C2を斜め方向から撮像するもので、各々の先端に搭載されるカメラがワークCに向けて配設されている。
【0028】
本実施の形態は、第1と第2の回転ディスクID1,ID2による搬送過程においてワークCを撮影する撮像手段S1…S6を備え、ワークCの六方向から撮像して検査するが、これら限らず、四方向から撮像したり二方向から撮像するようにすることも可能である。また、無振動中継台上での撮像する撮像手段を加えることも可能である。また、本実施の形態では、撮像手段S1とS2(または、撮像手段S3とS4)が同じ位置のワークCを同時に撮影するが、撮像手段S1とS2で位置を異ならせて撮影することも可能である。
【0029】
第2の回転ディスクID2の下方側には、ワークCを取り出すための送風通路A1…A4が設けられ、これら送風通路A1…A4は、送風手段(図示せず)と連結されている。5時の位置から6時の位置にかけての第2の回転ディスクID2の外周位置には、排出側ブラケットB1が取り付けられ、排出側ブラケットB1には、上記搬送溝v2から取り出して選別ボックス(図示せず)に連結される複数の排出口Bbが設けられるとともに、排出されたことを検知するとともに個数をカウントする光センサが取り付けられている。すなわち、排出側では、上記吸引スリットSsの吸引手段を介しての吸引よりも強いエアーを送風して上記搬送溝v2から取り出す。本実施の形態では、良品と再検査品と検査不可能品との選別と、これらいずれでもないものが最終的にすべて排出されるようになっている。
【0030】
次に、本実施の形態のワークの検査装置1を実際に使用して電子素子(ワーク)C1の検査する場合の動作について説明する。
【0031】
直進フィーダFの搬送溝Fvに搬送されてくるワークCは、直進フィーダFの先端まで来ると、直進フィーダFの位置と対向するバックゲージgeの第1の吸引孔q1により吸引され、上記搬送溝v1とガイド溝G1vに収納される。すなわち、ワークCは、その一個分が上記搬送溝v1とガイド溝G1vで形成する空間に配される。第1の吸引孔q1による吸引は、吸引すると停止し、これと切り替えて、今度は、検査用回転ディスクID1の搬送溝v1と連結する第2の吸引孔q1により吸引され、搬送溝v1にワークCの第1面C1と第2面C2が吸着される。したがって、ワークCが搬送溝v1から脱落することなく、第1の検査用回転ディスクID1の周回方向に周回する。第1のガイド用ディスクG1は、第1の検査用回転ディスクID1と同期駆動によって周方向で同一方向に両者同時に回転するために(第1のガイド用ディスクG1は反時計方向の回転で、第1の検査用回転ディスクID1は時計方向の回転)、従来のように一方が駆動し他方が駆動せずに、ワークCをかみ込んで、それでも無理に回転して飛び出す(跳ねられる)ような事態は生ぜず、上記搬送溝v1とガイド溝G1vによりワークCの姿勢を整える。すなわち、ワークCが上記搬送溝v1に収納される際には、第1のガイド用ディスクG1が周方向で同一方向に回転しながら搬送溝v1に配されるまでワークCを介して覆い続け、その後は第1のガイド用ディスクG1のガイド溝G1vは検査用回転ディスクID1の搬送溝v1から徐々に離れる。
【0032】
第1のガイド用ディスクG1のガイド溝G1vが検査用回転ディスクID1の搬送溝v1から離れると、ワークCの第3面C3と第4面C4は、搬送溝v1から突出した状態で検査用回転ディスクID1の外周を搬送され、時計の12時の位置に搬送されたときに、ワークCは撮像手段S1とS2によりその直方体形状の2面(第3面C3と第4面C4)が二方向から撮像される。その後は、ワークCの第5面C5と第6面C6が撮像手段S3,S4により撮像される。そして、第1の検査用回転ディスクID1の時計のほぼ5時の位置では、第1の検査用回転ディスクID1の所定長の吸引スリットSsの位置から外れ、他方、第2の回転ディスクID2の搬送溝v2に受け渡される。第2の回転ディスクID2の回転により、ワークCが搬送されると、時計の8時の位置でワークCが撮像手段S5,S6により撮像される。このようにワークCは斜めのS字曲線を描くように回転搬送される。撮像結果は、制御部で蓄積データと照合されて、良品であるか、不良品であるか、更には再検査品であるか検査不可能品であるか等の選別が行われる。撮像手段S1…S4による撮像が終了して上記選別が行われ、時計の6時から8時の位置にある排出側に回転搬送されると、上記検査結果に基づき、この排出側では、上記吸引よりも強い勢いのエアーを供給するエアー供給孔から送りワークCを搬送溝v2から離脱させ、排出口Bbを介して選別ボックス(図示せず)に収納させる。
【0033】
(第2の実施の形態)
図7は第2の実施の形態の正面図であり、図8は接触子Gp1,Gp2による接触検査の状態を示す平面図である。本実施の形態は、ICチップのようなワークCの電気特性等を検査するときに使用されるもので、検査用回転ディスクID1の外周に第2のガイド用ディスクG2が配置されている。この第2のガイド用ディスクG2は、第1の実施の形態の第1のガイド用ディスクG1とその構造はほぼ同じ構造であり、検査用回転ディスクID1の搬送溝v1を覆うガイド溝G2vが形成され、検査用回転ディスクID1と周方向で同一方向に回転する。上記接触子Gp1,Gp2は、本実施の形態では、ワークCの第5面C5と第6面C6と接触する(図9(a))。この接触子Gp1,Gp2は、ワークCがICチップでは電気特性を検査したり、チップ型コンデンサでは電気容量を検査したりするものであり、検査の種類に応じて使い分けられ、本実施の形態では、第2のガイド用ディスクG2、検査用回転ディスクID1の外周に2箇所に配置され、異なる検査に対応可能になっている。接触子Gp1,Gp2は、左右1対のものであり、くの字状に形成されることで、弾力性をもってワークCの第5面C5と第6面C6と接触する。接触子Gp1,Gp2としては、プローブ(検査針)のようなものであっても良い。接触子Gpは、図示しないが、本体の検査部と連結されており、電気特性等の検査のデータが送られ、その検査情報が記録される。このような第2のガイド用ディスクG2は、検査用回転ディスクID1やID2の外周において、いくつ配置されるものでも良く、また、どの位置に配することも可能なものである。
【0034】
本実施の形態の第2のガイド用ディスクG2は、ゴム製のものを使用している。なお、少なくともガイド溝G2vの部分だけでもゴムを使用することが好ましい。このガイド溝G2vは、検査用回転ディスクID1の搬送溝v1を覆うことから、ワークCとの接触ができるだけ緩やかに接触することが好ましいからである。
【0035】
したがって、第1のガイド用ディスクG1を介して検査用回転ディスクID1の搬送溝に収納された状態のワークCが、例えば時計の12時の位置に搬送されてくると、第2のガイド用ディスクG2が上記搬送溝v1を覆うとともに、接触子Gp1,Gp2は搬送溝v1に配されたワークCと接触する。すなわち、ゴム製の第2のガイド用ディスクG2のガイド溝G2vがその弾性力をもって検査用回転ディスクID1の搬送溝v1のワークCを介して覆うようになり、そして、接触子Gp1,Gp2は搬送溝v1に配されたワークCの第5面C5と第6面C6を左右から挟み込んで接触することにより(図8)、ワークCである電子素子の電気特性等を検出する。したがって、この検出の際に検査用回転ディスクID1の搬送溝v1から脱落することなく検査が行われる。
【0036】
以上、本実施の形態では、縦型配置の検査用回転ディスクID1,ID2に適用した場合で説明したが、水平な配置の検査用回転ディスクにも適用可能なものであり、その配置姿勢は問われない。なお、本実施の形態では、吸引孔q1,q2を設けたもので説明したが、本発明は、上記第1のガイド用ディスクG1と第2のガイド用ディスクG2は、検査用回転ディスクID1,ID2の搬送溝v1,v2を覆うガイド溝G1v,G2vが形成されるものであって、必ずしも上記吸引孔q1,q2を必須のものとするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるワークの検査装置を示す正面図である。
【図2】上記第1の実施の形態のワークの検査装置の断面図である。
【図3】上記図2の拡大断面図である。
【図4】上記第1の実施の形態のワークの検査装置の斜視図である。
【図5】上記第1の実施の形態の検査用回転ディスクの搬送溝の拡大正面図である。
【図6】上記第1の実施の形態の検査用回転ディスクの搬送溝によるワークの搬送状態の斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態のワークの検査装置の正面図である。
【図8】上記第2の実施の形態の第2のガイド用ディスクを示す平面図である。
【図9】上記第1と第2の実施の形態のワークの検査面と接触面を説明する斜視図であり、(a)はワークが直方体形状の場合の例であり、(b)ワークがカプセル錠剤の場合の例である。
【符号の説明】
【0038】
1 ワークの検査装置、
C ワーク(電子素子:電子チップ)、K カプセル錠剤(カプセル型の錠剤)、
ID1 第1の検査用回転ディスク、ID2 第1の検査用回転ディスクID1
G1 第1のガイド用ディスク、G2 第2のガイド用ディスク、
v1,v2 搬送溝、
G1v,G2v ガイド溝、
Gp1,Gp2 接触子(プローブ)、
q1 第1の吸引孔、q2 第2の吸引孔、
S1a サクションリング、S1b 外周ローラ、
Ss 吸引スリット、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周にワークが配される搬送溝が形成された検査用回転ディスクと、検査用回転ディスクの搬送溝にワークを供給する供給手段と、検査用回転ディスクの外周に配置される第1のガイド用ディスクを備え、上記第1のガイド用ディスクは、その外周に上記検査用回転ディスクの搬送溝を覆うガイド溝が形成されて、検査用回転ディスクと周方向で同一方向に回転することを特徴とするワークの検査装置。
【請求項2】
外周にワークが配される搬送溝が形成された検査用回転ディスクと、検査用回転ディスクの外周に配置される第2のガイド用ディスクを備え、上記第2のガイド用ディスクは、その外周に上記検査用回転ディスクの搬送溝を覆うガイド溝が形成されるとともに、ワークを検査する接触子を備え、第2のガイド用ディスクは検査用回転ディスクと周方向で同一方向に回転し、上記接触子は搬送溝に配されたワークと接触することを特徴とするワークの検査装置。
【請求項3】
前記検査用回転ディスクの搬送溝と、第1のガイド用ディスク又は第2のガイド用ディスクのガイド溝は、これらの周方向と直交する方向に形成される溝であり、前記検査用回転ディスクと、第1のガイド用ディスク又は第2のガイド用ディスクとの駆動は、前記搬送溝とガイド溝が向かい合うように駆動する同期駆動であることを特徴とする請求項1又は2記載のワークの検査装置。
【請求項4】
第1のガイド用ディスク又は第2のガイド用ディスクはゴム製であることを特徴とする請求項1又は2記載のワークの検査装置。

















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−308302(P2008−308302A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158285(P2007−158285)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000147774)株式会社石川製作所 (36)
【出願人】(596044169)英光産業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】