説明

ワーククランプ及びワイヤボンディング装置

【課題】酸化防止ガスの使用量を少なくしてもボンディングエリアの酸化を十分に抑制することができるワーククランプ及びワイヤボンディング装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るワーククランプは、酸化防止ガスの雰囲気にする内部中空部10と、前記内部中空部の下に設けられ、前記内部中空部に前記ボンディングエリアを入れるための下部開口部11aと、前記内部中空部の上に設けられ、前記ボンディングエリアを露出させる上部開口部11と、前記内部中空部を覆い、且つ前記上部開口部の開口面積より広い面積を有するキャビティ13と、前記キャビティに設けられ、前記キャビティに前記酸化防止ガスが導入されるガス導入口14a,14bと、前記キャビティの下方に繋げられ、前記ガス導入口から導入された前記酸化防止ガスを前記ワークのボンディングエリア以外の部分に吹き付ける孔21と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーククランプ及びそれを用いたワイヤボンディング装置に係わり、特に、酸化防止ガスの使用量を少なくしてもボンディングエリアの酸化を十分に抑制することができるワーククランプ及びワイヤボンディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来のワイヤボンディング装置のワーククランプを示す断面図である。このワーククランプは、ボンディング対象物がベアカッパーリードフレームである場合もしくはボンディングワイヤが銅である場合に銅の酸化を防ぐ機構を有するものである。この機構は、ボンディングエリアに通じる開口17に窒素ガス等の不活性ガスを導入するものである。
【0003】
ダイ18を保持するリードフレーム12の形態の半導体デバイスが、ワイヤボンディング装置のプラットフォーム又は上部プレート29に配置される。上部プレート29は、リードフレーム12の温度を上げるための加熱機構を有する。ウインドクランプ16は、上部プレート29上にリードフレーム12を固定するためのものである。ウインドクランプ16の開口17は、ワイヤボンディング作業によるボンディングエリアへのアクセスを与えるようにリードフレーム12上に配置される。つまり、ダイ18とリードフレーム12の一部とを含むボンディングエリアは開口17によって露出される。
【0004】
ウインドクランプ16は、開口17に結合されるキャビティ22を有している。カバー20がウインドクランプ16の上面に配置され、キャビティ22をカバーし、酸素を含む大気にキャビティが晒されることを制限する。また、ウインドクランプ16は、その内側に、窒素ガスをキャビティ22へ向けて方向転換する導管24を有する。導管24は、窒素ガスがキャビティ22を通過した後で開口17に送られるように配置される。窒素ガスは、ウインドクランプ16のガス入り口26から導入される。ガス入り口26、キャビティ22、及び開口17は、互いに流通連通する。この構造では、導管24からキャビティ22に導入される窒素ガスの圧力に比べて、キャビティ22から開口17に導入される窒素ガスの圧力を低減させるために、キャビティ22は導管24よりも大きな断面積を有する。
【0005】
ウインドクランプ16及び上部プレート29又はプラットフォーム間のウインドクランプ16の底面には中空スペース28もある。スペース28は、ガス入り口26から窒素ガスを受け取り、導管24を介してキャビティ22へ向けて窒素ガスを通す役目を果たす。さらに、スペース28は、リードフレーム12を酸化から保護するためにリードフレーム12に窒素ガスを分配するものである。ボンディングエリア17から遠いスペース28の端部では、大気がスペース28に直接通じている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】US2005/0161488(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように従来のワーククランプにおける窒素ガスの流れは次のとおりである。ガス入り口26から導入された窒素ガスが、一度中空スペース28に放出され、この中空スペース28より導管24を通ってキャビティ22へ入り、このキャビティ22で流速を落としてボンディングエリアである開口17に流される。このようにガス入り口26から窒素ガスを流入させて外気がボンディングエリアに混入するのを防ごうとしている。これにより、中空スペース28ではリードフレーム12の酸化を防ごうとし、開口17ではボンディングエリアの酸化を防ごうとしている。
【0008】
しかしながら、上記従来のワーククランプでは、ガス入り口26から導入された窒素ガスを一度中空スペース28に放出し、この中空スペース28から導管24を通してキャビティ22に導入しているため、ボンディングエリアの酸化を防ぐのに十分な量の窒素ガスをキャビティ22に導入することができない。つまり、中空スペース28の端部は大気に繋がっているため、中空スペース28に流された窒素ガスの多くは端部から大気に放出されてしまい、導管24を通ってキャビティ22に導入される窒素ガスの量が不十分となる。その結果、ボンディングエリアの酸化を十分に抑制することができない。
【0009】
また、中空スペース28において一度リードフレーム12に吹きかけた窒素ガスを導管24、キャビティ22及び開口17に流してボンディングエリアの酸化防止に用いるため、窒素ガスの使用量が多くなり、ボンディングコストが増大することになる。また、上記従来のワーククランプでは、窒素ガスの使用量を多くしてもボンディングエリアの酸化を十分に抑制することができない。
【0010】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、酸化防止ガスの使用量を少なくしてもボンディングエリアの酸化を十分に抑制することができるワーククランプ及びワイヤボンディング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係るワーククランプは、ワイヤボンディング装置において用いられるワーククランプであって、
ワークのボンディングエリアに対してボンディングを行う際に酸化防止ガスの雰囲気にする内部中空部と、
前記内部中空部の下に設けられ、前記内部中空部に前記ボンディングエリアを入れるための下部開口部と、
前記内部中空部の上に設けられ、前記ボンディングエリアを露出させる上部開口部と、
前記内部中空部を覆い、且つ前記上部開口部の開口面積より広い面積を有するキャビティと、
前記キャビティに設けられ、前記キャビティに前記酸化防止ガスが導入されるガス導入口と、
前記キャビティの下方に繋げられ、前記ガス導入口から導入された前記酸化防止ガスを前記ワークのボンディングエリア以外の部分に吹き付ける孔と、
を具備することを特徴とする。
【0012】
上記ワーククランプによれば、ワイヤボンディングを行う際に、ワーククランプのガス導入口からキャビティ、内部中空部を通して上部開口部に酸化防止ガスを流してボンディングエリアを酸化防止ガスの雰囲気とする。これにより、酸化防止ガスの使用量を少なくしてもボンディングエリアの酸化を十分に抑制することができる。
【0013】
また、本発明に係るワーククランプにおいて、前記ワークのボンディングエリアに対してボンディングを行う際に、前記酸化防止ガスは、前記ガス導入口から前記キャビティに導入され、前記キャビティから前記内部中空部に流されると共に前記キャビティから前記孔を通して前記ボンディングエリア以外の部分に吹き付けられ、前記内部中空部から前記上部開口部を通して外部に放出されることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るワーククランプにおいて、前記孔は、前記内部中空部の周囲に配置されることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るワーククランプにおいて、前記ガス導入口は、前記上部開口部から最も遠い側に位置することが好ましい。
【0016】
本発明に係るワイヤボンディング装置は、ワークのボンディングエリアに対してワイヤボンディングを行う装置であって、
前記ワークを載置するステージと、
前記ワークを前記ステージ上に固定するワーククランプと、
前記ワークに対してボンディングを行うボンディングツールと、
を具備し、
前記ワーククランプは、
前記ワークのボンディングエリアが配置される内部中空部と、
前記内部中空部の上に設けられ、前記ボンディングエリアを露出させる上部開口部と、
前記内部中空部を覆い、且つ前記上部開口部の開口面積より広い面積を有するキャビティと、
前記キャビティに設けられ、前記キャビティに酸化防止ガスが導入されるガス導入口と、
前記キャビティに繋げられ、前記ステージ上に載置された前記ワークにおけるボンディングエリア以外の部分の上方に位置する孔とを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るワイヤボンディング装置において、前記孔と前記ボンディングエリア以外の部分との間に設けられたスペースを具備し、前記酸化防止ガスを、前記ガス導入口から前記キャビティに導入し、前記キャビティから前記内部中空部に流すと共に前記キャビティから前記孔を通して前記スペースに流し、前記内部中空部から前記上部開口部を通して外部に放出しながらボンディングを行うことも可能である。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、酸化防止ガスの使用量を少なくしてもボンディングエリアの酸化を十分に抑制することができるワーククランプ及びワイヤボンディング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態によるワイヤボンディング装置を示す斜視図である。図2は、図1に示すワーククランプの上面図である。図3は、図2に示すワーククランプによってワークをステージ上に保持してボンディングを行う状態を示す断面図であって、図2に示す矢印3−3に沿ったワーククランプの断面に相当する部分を示している。図4(A)は、図2に示すワーククランプをガス経路に沿った面で切断した断面図である。
【0020】
図1に示すように、ワイヤボンディング装置1は、ボンディングヘッド2、ワーククランプ9、レール4を有している。ワーククランプ9の下にはボンディングステージが配置されている。図3に示すボンディングチップ5が載置されたリードフレーム6がボンディング対象のワークである。このワークが複数連なったものがレール4上を移動し、ワークのボンディングエリア(即ちボンディングチップ及びその周辺のリード部分)をボンディングヘッド2の下方に位置させ、ボンディングヘッド2のボンディングツール(キャピラリ)8によって前記ボンディングエリアにワイヤボンディングを行う。一つのボンディングエリアにボンディングを行った後、レール4上でワークを移動させ、その隣のワークのボンディングエリアをボンディングヘッド2の下方に位置させ、ワイヤボンディングを行うという作業が繰り返される。
【0021】
図3に示すように、ボンディングステージ27の下にはヒーター7が設けられている。このヒーター7は、ボンディングステージ27上にワークを載置してボンディングを行う時にワークを30〜500℃程度に加熱するためのものである。このようにワークを加熱してボンディングを行うため、ワークやボンディングワイヤが銅である場合に銅の酸化が問題となる。そこで、ワークをボンディングステージ27上に保持する図2に示すワーククランプ9には酸化を抑制する機構が設けられている。
【0022】
図3に示すように、ワイヤボンディングを行う際は、ボンディングステージのヒーター7上にボンディング対象のワークであるリードフレーム6がワーククランプ9によって保持される。つまり、ボンディングステージ27上にリードフレーム6が載置され、このリードフレーム6はワーククランプ9によってボンディングステージ27に押さえられて保持される。
【0023】
図2及び図3に示すように、ワーククランプ9は、ボンディングを行う際にワークのボンディングエリアであるボンディングチップ5とその周囲のリードフレーム6に対して酸化防止ガスの雰囲気にする内部中空部10を有している。この内部中空部10の下には、内部中空部10にボンディングチップ5を入れるための下部開口部11aが設けられている。この下部開口部11aは、リードフレーム6を押さえる押さえ部9aの先端によって形成されている。この押さえ部9aの先端はリードフレーム6のボンディングエリアを囲みながら押さえるものである。押さえ部9aにおける内部中空部10側及び外側それぞれは傾斜面を有しており、押さえ部9aによってリードフレーム6を押さえた際にはリードフレーム6とワーククランプ9との間にスペース25が形成される。
【0024】
内部中空部10の上には、ボンディングエリアであるボンディングチップ5及びその周囲にリードフレーム6を露出させる上部開口部11が設けられている。この上部開口部11は、ボンディングを行う際に、ボンディングチップ5及びリードフレーム6の上でキャピラリ8を動かすためのものである。上部開口部11は蓋部23に設けられている。
【0025】
また、ワーククランプ9はキャビティ13を有しており、このキャビティ13は内部中空部10の周囲を覆い、且つ上部開口部11の開口面積より広い面積を有している。つまり、キャビティ13と内部中空部10は空間的に繋がっており、キャビティの平面形状の面積は上部開口部の開口面積より広い面積を有している。また、キャビティ13は蓋部23の下に位置している。
【0026】
キャビティ13にはガス導入口14a〜14d(図2、図3、図4(A)参照)が設けられており、ガス導入口14a〜14dはキャビティ13内に酸化防止ガスである不活性ガスや還元ガス(例えばNガスやN混合ガス、Arガス)を導入するためのものである。ガス導入口14a〜14dそれぞれは管状のガス経路15a〜15dによってガス入り口19a,19bに繋げられている。即ち、ガス経路15a,15bそれぞれの一端にはガス入り口19a,19bが設けられ、ガス経路15a,15bそれぞれの他端にはガス導入口14a,14bが設けられている。また、ガス導入口14a〜14dは、図4(A)に示すように上部開口部からほぼ最も遠い側(なるべく遠い位置)に配置されている。本実施の形態では、上部開口部11がワーククランプ9のセンターにないため、ガス導入口がキャビティの一方側に偏って配置されている。
【0027】
また、ワーククランプ9は複数の孔(又は導管)21を有している。複数の孔21は、キャビティ13の下方に繋げられており、ガス導入口14a〜14dから導入された前記酸化防止ガスをワークのボンディングエリア以外の部分(即ちボンディングエリアの周囲のリードフレーム6)に吹き付けるためのものである。孔21は、図2に示すように内部中空部10の周囲に配置される。
【0028】
次に、ワーククランプ9の酸化を抑制する機構について説明する。
ワークをヒーター7によって加熱してボンディングを行う際、ボンディングワイヤ、ボンディングチップ5及びリードフレーム6の酸化を防止するために、内部中空部10に酸化防止ガスを導入して酸化防止ガスの雰囲気とする。詳細には、まずガス入り口19a〜19dから酸化防止ガスをガス経路15a〜15dに導入し、その酸化防止ガスをガス導入口14a〜14dからキャビティ13に導入し、その酸化防止ガスをキャビティ13から内部中空部10に流すと共にキャビティ13から複数の孔21を通してスペース25に導入してリードフレーム6に吹き付け、内部中空部10から上部開口部11を通してワーククランプの外部に酸化防止ガスを放出し、スペース25のボンディングエリアから遠い側の端部から外部に酸化防止ガスを放出する。
【0029】
上記実施の形態によれば、ワーククランプ9に酸化防止ガスを流して内部中空部10に酸化防止ガスを供給することにより、ボンディングエリアである銅のボンディングワイヤ及びベアカッパーリードフレームの酸化を防止することができる。
【0030】
詳細には、ガス入り口19a〜19dから酸化防止ガスを流すことにより外気(大気)がワーククランプ9内に混入するのを抑制し、複数の孔21からリードフレーム6に酸化防止ガスを吹き付けることによりリードフレームの酸化を抑制し、キャビティ13及び内部中空部10に酸化防止ガスを導入することによりボンディングエリアの酸化を抑制することができる。ガス経路15a〜15dを通ってガス導入口14a〜14dからキャビティ13に酸化防止ガスが入る。そして、キャビティ13に充満した酸化防止ガスは内部中空部10のボンディングエリアと孔21を通ってワーククランプの外部に放出される。孔21は複数あり、ボンディング対象のワークによって孔21の数やサイズを変更することによりリードフレームの酸化を効果的に抑制することが可能である。
【0031】
また、キャビティ13を設けることにより、ボンディングエリア上の上部開口部11から放出されるガスの流速を遅くすることができる。また、ガス導入口を複数(本実施の形態では4つ)設けることにより、上部開口部11での酸化防止ガスの対流速度を遅くすることができる。その結果、上部開口部11からの大気の巻き込みが少なくなるため、ボンディングエリアの酸化を抑制することができ、尚且つ上部開口部11を大きくすることが可能となる。つまり、上部開口部11はボンディングエリアを露出させるものであるから、ボンディングエリアの大きさに合わせた開口部を設ける必要がある。このため、上部開口部11の大きさをボンディングエリアより小さくすることができない。このような上部開口部では、内部中空部10のボンディングエリアに上部開口部からの大気を巻き込みやすく、従来技術では上部開口部からの大気の巻き込みを少なくすることができないのに対し、本実施の形態では上部開口部からの大気の巻き込みを少なくすることができる。よって、ボンディングエリアの酸化を十分に抑制することができる。
【0032】
また、ガス導入口を複数設ける理由は、ガス導入口を一つにすると、キャビティに供給する酸化防止ガスの流量を十分に確保するためにガス導入口から流れる酸化防止ガスの流速を速くする必要があり、その流速が速いと上部開口部から大気を巻き込みやすくなり、ボンディングエリアの酸化を十分に抑制することができなくなるからである。
【0033】
また、本実施の形態では、ベアカッパーリードフレームの酸化を防止できるため、リード表面をメッキ処理する必要がなくなり、メッキ工程にかかる時間、費用を削減することができる。
【0034】
また、ワーククランプ内に酸化防止ガスを流すことにより、内部中空部10のボンディングエリア上の空間の熱を効率よく逃がすことができる。このため、ボンディングワイヤの先端にボールを形成する時の熱と風の影響を低減でき、安定したワイヤボンディングを行うことが可能となる。また、ボンディングエリアの周辺温度の上昇を抑制することができるため、ワイヤボンディング装置のホーン、カメラなどの膨張を抑制でき、その結果、ボンディングの位置精度を向上させることができる。
【0035】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、本実施の形態では、ボンディングチップ5が載置されたリードフレーム6をボンディング対象のワークとしているが、これに限定されるものではなく、ワークとしてテープ状のものを用いることも可能である。
【0036】
図4(B)は、本実施の形態によるワーククランプの変形例1を示すものであって、図4(A)と同様の部分を切断した断面図である。図4(B)において、図4(A)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0037】
図4(B)に示すように、上部開口部11がワーククランプ9のセンターに配置されている。これに伴い、ガス導入口14a〜14dを、上部開口部11からなるべく遠い位置であるキャビティ13の四隅に配置している。これにより、キャビティ全体に酸化防止ガスを略均等に行き渡らせることができる。
【0038】
上記変形例1においても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
図4(C)は、本実施の形態によるワーククランプの変形例2を示すものであって、図4(A)と同様の部分を切断した断面図である。図4(C)において、図4(A)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0040】
図4(C)に示すように、上部開口部11の開口面積が上記実施の形態に比べて大きく形成されている。これと共に、上部開口部11がワーククランプ9のセンターに配置されている。これに伴い、キャビティ13の面積を上記実施の形態より大きくし、それによりボンディングエリアでの酸化防止ガスの流速を遅くすると共に、キャビティガス導入口14a〜14dを、上部開口部11からなるべく遠い位置であるキャビティ13の四隅に配置している。
【0041】
上記変形例2においても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態によるワイヤボンディング装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すワーククランプの上面図である。
【図3】図2に示すワーククランプによってワークをステージ上に保持してボンディングを行う状態を示す断面図である。
【図4】(A)は、図2に示すワーククランプをガス経路に沿った面で切断した断面図であり、(B)は、実施の形態によるワーククランプの変形例1を示す断面図であり、(C)は、実施の形態によるワーククランプの変形例2を示す断面図である。
【図5】従来のワイヤボンディング装置のワーククランプを示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…ワイヤボンディング装置
2…ボンディングヘッド
4…レール
5…ボンディングチップ
6…リードフレーム
7…ヒーター
8…ボンディングツール(キャピラリ)
9…ワーククランプ
10…内部中空部
11…上部開口部
11a…下部開口部
12…リードフレーム
13…キャビティ
14a〜14d…ガス導入口
15a〜15d…ガス経路
16…ウインドクランプ
17…開口
18…ダイ
19a〜19d…ガス入り口
20…カバー
21…孔
22…キャビティ
23…蓋部
24…導管
25…スペース
26…ガス入り口
27…ボンディングステージ
28…中空スペース
29…上部プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤボンディング装置において用いられるワーククランプであって、
ワークのボンディングエリアに対してボンディングを行う際に酸化防止ガスの雰囲気にする内部中空部と、
前記内部中空部の下に設けられ、前記内部中空部に前記ボンディングエリアを入れるための下部開口部と、
前記内部中空部の上に設けられ、前記ボンディングエリアを露出させる上部開口部と、
前記内部中空部を覆い、且つ前記上部開口部の開口面積より広い面積を有するキャビティと、
前記キャビティに設けられ、前記キャビティに前記酸化防止ガスが導入されるガス導入口と、
前記キャビティの下方に繋げられ、前記ガス導入口から導入された前記酸化防止ガスを前記ワークのボンディングエリア以外の部分に吹き付ける孔と、
を具備することを特徴とするワーククランプ。
【請求項2】
請求項1において、前記ワークのボンディングエリアに対してボンディングを行う際に、前記酸化防止ガスは、前記ガス導入口から前記キャビティに導入され、前記キャビティから前記内部中空部に流されると共に前記キャビティから前記孔を通して前記ボンディングエリア以外の部分に吹き付けられ、前記内部中空部から前記上部開口部を通して外部に放出されることを特徴とするワーククランプ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記孔は、前記内部中空部の周囲に配置されることを特徴とするワーククランプ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記ガス導入口は、前記上部開口部から最も遠い側に位置することを特徴とするワーククランプ。
【請求項5】
ワークのボンディングエリアに対してワイヤボンディングを行う装置であって、
前記ワークを載置するステージと、
前記ワークを前記ステージ上に固定するワーククランプと、
前記ワークに対してボンディングを行うボンディングツールと、
を具備し、
前記ワーククランプは、
前記ワークのボンディングエリアが配置される内部中空部と、
前記内部中空部の上に設けられ、前記ボンディングエリアを露出させる上部開口部と、
前記内部中空部を覆い、且つ前記上部開口部の開口面積より広い面積を有するキャビティと、
前記キャビティに設けられ、前記キャビティに酸化防止ガスが導入されるガス導入口と、
前記キャビティに繋げられ、前記ステージ上に載置された前記ワークにおけるボンディングエリア以外の部分の上方に位置する孔とを有することを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項6】
請求項5において、前記孔と前記ボンディングエリア以外の部分との間に設けられたスペースを具備し、前記酸化防止ガスを、前記ガス導入口から前記キャビティに導入し、前記キャビティから前記内部中空部に流すと共に前記キャビティから前記孔を通して前記スペースに流し、前記内部中空部から前記上部開口部を通して外部に放出しながらボンディングを行うことを特徴とするワイヤボンディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−288093(P2007−288093A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116549(P2006−116549)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000124959)株式会社カイジョー (83)
【Fターム(参考)】