説明

ワーク分流装置

【課題】必要な数の下流側搬送ラインに対してワークを無理なく分流させることができるとともに、下流側搬送ラインの配置自由度が大きく、しかも安価に製作可能で作動に対する信頼性も高い分流装置を提供する。
【解決手段】カップ飲料1を保持するための複数の凹部31a、51aを周方向に設定間隔おきに外周部に形成した回転体31、51と、カップ飲料1を吸着保持する吸着パッド33、53と、隣接する2つの回転体31、51の突合せ位置において、両回転体31、51の凹部31a、51aが順次対面するように、隣接する回転体を同期させて相互に逆方向に送り駆動する駆動手段と、複数の吸着パッド33、53を吸着状態と非吸着状態とに個別に切換える切換手段と、切換手段を制御して、上流側の回転体31に供給されたカップ飲料1を複数のラインLa、Lb、Ln、Lsに分流させる制御手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ラインに沿って順次搬送されるワークを複数の下流側搬送ラインに分流させるワーク分流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク分流装置として、外周部にワークを吸着保持する複数のワーク保持部を有する1個の仕分け用の回転体を用い、この回転体の外周部に形成した複数のワーク保持部に対してワークを吸着するか否かを個別に制御して、搬送ラインに沿って搬送されるワークを下流側搬送ラインに移したり、あるいは移さなかったりするように構成したワーク仕分け装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
一方、回転体を用いたワークの搬送装置として、外周面を突き合わせて配置した1対の回転体であって、外周面に小製品を吸着保持するための保持部を円周一定間隔おきに夫々形成した上流側回転体及び下流側回転体と、両回転体の最接近位置において両回転体の保持部が順次対面するように、両回転体を同期させて相互に逆方向に送り駆動する駆動手段とを備えたものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−206275号公報
【特許文献2】特開平10−185824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の発明では、1個の回転体で複数の下流側搬送ラインにワークを分流させるので、下流側搬送ラインの本数には自ずと限界があり、また下流側搬送ラインの配設自由度も大幅に制約されるという問題がある。また、回転体とともに回転する電磁弁を設け、この電磁弁を外部に固定設置した制御装置で電気的に制御するので、ブラシ等による接点を介して電磁弁を制御する必要があり、接点部分の耐久性が低くなったり、接点部分において作動不良が発生し易くなったりするなどの問題の発生が懸念される。また、食品や医療品等などのように衛生面に対する要求の厳しい商品を取り扱う場合には、頻繁に洗浄を行なうことから、電磁弁や接点部分の水密構造が必要となり、分流装置の製作コストが高くなるという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、必要な数の下流側搬送ラインに対してワークを無理なく分流させることができるとともに、下流側搬送ラインの配置自由度が大きく、しかも安価に製作可能で作動に対する信頼性も高い分流装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るワーク分流装置は、回転中心を平行にするとともに外周を突合せて隣接配置した複数の回転体であって、ワークを保持するための複数の凹部を周方向に設定間隔おきに外周部に形成した複数の回転体と、前記回転体の複数の凹部に対してワークを個別に吸着保持するために該回転体に設けた複数の吸着パッドと、隣接する2個の回転体の突合せ位置において、両回転体の凹部が順次対面するように、隣接する回転体を同期させて相互に逆方向に送り駆動する駆動手段と、前記複数の吸着パッドをワークの吸着状態と非吸着状態とに個別に切換える切換手段と、前記切換手段を制御して、上流側の回転体に供給されたワークを、上流側の回転体から分岐する下流側ラインと下流側の回転体から分岐する下流側ラインとに分流させる制御手段とを備えたものである。
【0008】
このワーク分流装置では、隣接する一方の回転体から他方の回転対へワークを順次受け渡しながら、所望のワークを所望の回転体から下流側ラインへ分流させることになる。このため、必要な数の下流側ラインに対してワークを無理なく分流させることができるとともに、下流側ラインの配設自由度が大きくなる。また、隣接する回転体におけるワークの受渡しは、隣接する回転体の凹部が対面したときに行なうことができるので、ワークを確実に受け渡すことができる。
【0009】
ここで、前記切換手段として、前記回転体とともに回転するエア切換用回転板と、該エア切換用回転板に相対回転自在で且つ略気密に重ね合されるエア切換用固定板とを有し、前記エア切換用固定板におけるエア切換用回転板との摺動面に、ワークの吸着範囲に対応させて、周方向に延びる円弧状の吸引用固定溝を形成し、前記エア切換用回転板におけるエア切換用固定板との摺動面に、前記ワークの吸着範囲において吸引用固定溝に開口する可動溝を前記複数の吸着パッドに対応させて形成し、前記吸着パッドとそれに対応する可動溝とを連通することが好ましい実施の形態である。このように構成することで、外部に電磁弁を設けて吸着パッドを制御できるので、回転体に電磁弁を設ける場合と比較して、電気的な接点部分が不要となり、作動の安定性を向上できる。また、電磁弁の水密性が確保し易くなり、食品や医療品等などの商品を取り扱う機器のように、頻繁に洗浄を行なう機器に対しても、安全に且つ安価に採用することができる。ただし、切換手段としては、回転体の回転を利用して、吸着パッドに対する負圧の供給を機械的に切換え可能なものであれば、任意の構成のものを採用できる。
【0010】
また、このように切換手段を構成する場合において、前記切換手段として、前記吸引用固定溝をワークの受渡位置の手前まで形成し、前記エア切換用固定板におけるエア切換用回転板との摺動面に、前記ワークの受渡位置に対応させて周方向に延びる吹出用固定溝を形成し、前記受渡位置において前記吹出用固定溝に開口するように前記可動溝を形成することも好ましい実施の形態である。この場合には、受渡位置において吹出用固定溝に加圧エアを供給することで、可動溝を介して吸着パッドからエアを吹き出して、例えば一方の回転体から他方の回転体に対して確実にワークを受け渡すことができる。
【0011】
前記吸引用固定溝と前記吹出用固定溝とを半径方向に相互に間隔をあけて前記エア切換用固定板に形成し、前記吸引用固定溝と前記吹出用固定溝とに開口可能に、前記可動溝を前記回転体の半径方向に形成することができる。この場合には、吸気パッドによる吸引と、吸気パッドからのエアの吹き出しを適正且つ円滑に切換えることができる。しかも、可動溝が、吸引用固定溝と吹出用固定溝とに同時に開口する期間を設けることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るワーク分流装置によれば、隣接する一方の回転体から他方の回転対へワークを順次受け渡しながら、所望のワークを所望の回転体から下流側ラインへ分流させることになるので、必要な数の下流側ラインに対してワークを無理なく分流させることができるとともに、下流側ラインの配設自由度が大きくなる。また、隣接する回転体におけるワークの受渡しは、隣接する回転体の凹部が対面したときに行なうことができるので、ワークを確実に受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】カップ飲料の製造ラインの下流部の説明図
【図2】ワーク分流装置の平面図
【図3】図2のIII-III線断面での説明図
【図4】第1回転体におけるワーク分流装置の縦断面図
【図5】ワーク分流装置の作動説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、カップ状容器1a(図3、図4参照)にコーヒーなどの清涼飲料を充填したカップ飲料1の製造ラインの下流部の平面図で、清涼飲料を充填して開口部に封止フィルムを貼着したカップ飲料1は、その製造ラインLの下流部において、図1、図2に示すように、スクリューコンベア10及び回転搬送装置11を経て、搬送手段12の円板状の搬送台13の外周部に保持されて、搬送台13とともに矢印Aの方向に回転しながら搬送される。そして、この搬送手段12による搬送途中において、カップ飲料1に対して蓋嵌合装置14により上蓋2が嵌合され、印字装置15によりカップ状容器1aの側面に賞味期限が印刷され、ストロ貼着装置16によりカップ状容器1aの側面にストロが貼着されてから、ワーク分流装置17により2系統の搬送ラインLa、Lbに分流されて箱詰め装置18へ搬送され、箱詰め装置18により5行×2列に配置された計10個のカップ飲料1を1セットとして、段ボール箱などからなる収容箱5に順次箱詰めされることになる。また、ワーク分流装置17により、ストロの貼付不良などのNG品はNG品排出ラインLnへ分流され、サンプル品はサンプル品排出ラインLsへ分流される。尚、符号19は、カップ飲料1を一次的に貯留して、箱詰め装置18へのカップ飲料1の供給を調整する供給調整装置である。また、ワーク分流装置17以外の装置や手段は本発明とは直接的に関係しないので、その詳細な説明を省略する。
【0015】
ワーク分流装置17は、図2〜図5に示すように、搬送手段12の搬送台13からワークとしてのカップ飲料1を受け取って、第1搬送ラインLaと第2搬送ラインLbとサンプル品排出ラインLsとNG品排出ラインLnの4本のラインへ分流する分流装置本体と、分流装置本体を制御する図示外の制御手段とを備えている。
【0016】
分流装置本体について説明すると、搬送手段12の前側には、供給回転軸20と第1回転軸30と第2回転軸50とが一定の間隔をあけて略平行に上下方向に設けられ、供給回転軸20の上端部には、上下1対の供給回転体21が外周部を搬送台13の外周部に突き合わせて設けられ、第1回転軸30の上端部には、上下1対の第1回転体31が上下の供給回転体21に外周部をそれぞれ突き合せて設けられ、第2回転軸50の上端部には、上下1対の第2回転体51が上下の第1回転体31に外周部をそれぞれ突き合せて設けられている。
【0017】
これら3組の回転体21、31、51の外周部にはカップ飲料1のカップ状容器1aに外嵌する半円形の8個の凹部21a、31a、51aが周方向に一定間隔おきにそれぞれ形成され、カップ状容器1aはその上部と下部とを上下の回転体の凹部に嵌合させることで回転体に位置決め保持される。ただし、凹部21a、31a、51aの個数は分流させるワークの大きさ等に応じて適宜に設定できる。
【0018】
3組の回転体21、31、51を同期回転させるため、供給回転軸20の下端部には供給歯車22が固定され、第1回転軸30の下端部には供給歯車22に噛合する第1歯車32が固定され、第2回転軸50の下端部には第1歯車32に噛合する第2歯車52が固定され、供給回転軸20の下端近傍部には駆動歯車23が固定されている。そして、駆動歯車23を図示外のモータで回転駆動することで、供給回転軸20と第1回転軸30とは、供給回転体21の凹部21aと第1回転体31の凹部31aとが順次対面するように同期して相互に逆方向に、図2に矢印B、Cの方向へ回転駆動され、また第1回転軸30と第2回転軸50とは、第1回転体31の凹部31aが第2回転体51の凹部51aに順次対面するように、同期して相互に逆方向に、図2に矢印C、Dの方向へ回転駆動される。
【0019】
供給回転体21の外側には円弧状のガイド板24が設けられ、カップ飲料1は、上下の供給回転体21の凹部21aとガイド板24間に保持されながら、搬送台13と供給回転体21との突合せ位置から、供給回転体21と第1回転体31との突合せ位置へ搬送される。ただし、この供給回転体21を省略して、搬送台13から第1回転体31に対して直接的にカップ飲料1を供給するように構成することも可能である。
【0020】
第1回転体31には凹部31aに嵌合したカップ飲料1のカップ状容器1aの周壁部の高さ方向の途中部を吸着保持可能な第1吸着パッド33が8個の凹部31aに対応させて設けられ、カップ飲料1は凹部31aに嵌合して位置決めされた状態で第1吸着パッド33により保持されて、供給回転体21と第1回転体31との突合せ位置から、第2回転体51との突合せ位置又はサンプル品排出ラインLsの上方位置又はNG品排出ラインLnの上方位置まで搬送される。
【0021】
第1回転軸30の下端部には8個の第1吸着パッド33をカップ飲料1の吸着状態と非吸着状態とに個別に切換え可能な第1切換手段34が設けられている。この第1切換手段34について説明すると、第1回転軸30の下端部には第1回転体31とともに回転する第1エア切換用回転板35が固定され、第1エア切換用回転板35の上側には第1エア切換用回転板35に相対回転自在で且つ略気密に重ね合される第1エア切換用固定板36が機枠に固定されて設けられている。
【0022】
第1エア切換用固定板36における第1エア切換用回転板35との摺動面には、第1回転体31におけるカップ飲料1の吸着範囲に対応させて、周方向に延びる円弧状の第1吸引用固定溝37が形成され、第1エア切換用回転板35における第1エア切換用固定板36との摺動面には、カップ飲料1の吸着範囲において第1吸引用固定溝37に開口する第1可動溝38が8個の第1吸着パッド33に対応させて形成され、第1可動溝38とそれに対応する第1吸着パッド33とは第1負圧管39により個別に連通されている。そして、第1エア切換用回転板35が第1回転体31とともに回転して、第1可動溝38が第1吸引用固定溝37に開口することで、第1吸引用固定溝37と第1可動溝38と第1負圧管39とを介して外部の負圧源からの負圧が第1吸着パッド33に供給されるように構成されている。
【0023】
より具体的には、第1吸引用固定溝37として、供給回転体21と第1回転体31との突合せ位置から、第2回転体51との突合せ位置の手前までの範囲に対応させて形成した第1吸引用固定溝37Aと、供給回転体21と第1回転体31との突合せ位置からサンプル品排出ラインLsの上方位置までの範囲に対応させて形成した第1吸引用固定溝37Bと、サンプル品排出ラインLsの上方位置からNG品排出ラインLnの上方位置までの範囲に対応させて形成した第1吸引用固定溝37Cとが、周方向に間隔をあけて連設されるとともに、半径方向の内周側と外周側とに間隔をあけてそれぞれ設けられている。なお、符号40は、第1吸着パッド33を大気開放する排気溝であり、この排気溝40により、カップ飲料1が第1吸着パッド33に付着するなどして、NG品排出ラインLnの上方位置から更に第1回転体31とともに回転しようとするカップ飲料1を、確実にNG品排出ラインLnへ排出できるように構成されている。ただし、この排気溝40を大気開放するのに代えて、加圧エアを供給するように構成してもよい。また、この排気溝40は、必須の構成ではないので、省略することも可能である。
【0024】
第1回転体31と第2回転体51との突合せ位置において、第1回転体31に保持したカップ飲料1を第2回転体51へ確実に受け渡すことができるように、第1回転体31と第2回転体51との突合せ位置に対応させて、第1エア切換用固定板36における第1エア切換用回転板35との摺動面には、カップ飲料1の受渡位置に対応させて周方向に延びる内外1対の第1吹出用固定溝41が形成されている。この第1吹出用固定溝41は、第1吸引用固定溝37A、37B間において、第1吸引用固定溝37A、37Bとは異なる半径方向位置に形成されている。第1吸引用固定溝37Aと第1吹出用固定溝41とは周方向に間隔をあけて配置することも可能であるが、第1吸着パッド33を吸引状態と吹出状態とに連続的且つ円滑に切換えることができるように、周方向に一部重複させて配置することが好ましい。ただし、第1吹出用固定溝41は省略することも可能である。
【0025】
第1可動溝38は、第1エア切換用回転板35における第1エア切換用固定板36との摺動面の内周側と外周側とに交互に設けられ、内周側の第1可動溝38は内周側の第1吸引用固定溝37と第1吹出用固定溝41と排気溝40とに開口可能に、また外周側の第1可動溝38は内周側の第1吸引用固定溝37と第1吹出用固定溝41と排気溝40とに開口可能に、半径方向に対して長円状に形成されている。
【0026】
第2回転体51には凹部51aに嵌合したカップ飲料1のカップ状容器1aの周壁部の高さ方向の途中部を吸着保持可能な第2吸着パッド53が8個の凹部51aに対応させて設けられ、カップ飲料1は凹部51aに嵌合して位置決めされた状態で第2吸着パッド53により保持されて、第1回転体31との突合せ位置から第2搬送ラインLbの上方位置まで搬送される。
【0027】
第2回転軸50の下端部には8個の第2吸着パッド53をカップ飲料1の吸着状態と非吸着状態とに個別に切換え可能な第2切換手段54が設けられている。この第2切換手段54は、基本的には第1切換手段34と同様の原理で作動するように構成され、第2回転軸50の下端部には第2回転体51とともに回転する第2エア切換用回転板55が固定され、第2エア切換用回転板55の上側には第2エア切換用回転板55に相対回転自在で且つ略気密に重ね合される第2エア切換用固定板56が機枠に固定されて設けられている。
【0028】
第2エア切換用固定板56における第2エア切換用回転板55との摺動面には、第2回転体51と第1回転体31との突合せ位置から第2搬送ラインLbの上方位置までの範囲に対応させて周方向に延びる内外1対の円弧状の第2吸引用固定溝57が形成されるとともに、第2搬送ラインLbの上方位置に対応させて周方向に延びる内外1対の第2吹出用固定溝61が形成されている。この第2吹出用固定溝61は、第2吸引用固定溝57とは異なる半径方向位置に形成されている。そして、第2エア切換用回転板55が第2回転体51とともに回転して、第2可動溝58が第2吸引用固定溝57に開口することで、第2吸引用固定溝57と第2可動溝58と第2負圧管59とを介して外部の負圧源からの負圧が第2吸着パッド53に供給されるように構成されている。
【0029】
第2エア切換用回転板55における第2エア切換用固定板56との摺動面には、第2吸引用固定溝57及び第2吹出用固定溝61に開口可能な半径方向に細長い第2可動溝58が、8個の吸着パッド33に対応させて摺動面の内周側と外周側とに交互に設けられ、第2可動溝58とそれに対応する第2吸着パッド53とは第2負圧管59により個別に連通されている。
【0030】
第1及び第2吸引用固定溝37、57にそれぞれ個別に負圧を供給するための図示外の配管が設けられるとともに、第1及び第2吹出用固定溝41、61にそれぞれ個別に加圧エアを供給するための図示外の配管が設けられ、これら複数の配管の途中部には図示外の制御弁がそれぞれ介装され、制御手段では、これら複数の制御弁を制御して、搬送台13から順次受け渡されるカップ飲料1を、第1搬送ラインLaと第2搬送ラインLbとNG品排出ラインLnとサンプル品排出ラインLsとに分流できるように構成されている。
【0031】
具体的には、第1搬送ラインLaにカップ飲料1を分流するときには、供給回転体21にて第1回転体31との突合せ位置に搬送されたカップ飲料1を、第1回転体31に吸着しないで、供給回転体21と第1回転体31とで第1搬送ラインLa上へそのまま送り出して、第1搬送ラインLaへ分流することになる。
【0032】
また、第2搬送ラインLbにカップ飲料1を分流するときには、先ず供給回転体21にて第1回転体31との突合せ位置にカップ飲料1が搬送されると同時或いはその直前において、第1吸引用固定溝37を介して第1可動溝38を減圧し、突合せ位置のカップ飲料1を第1吸着パッド33で吸着保持して、この状態で第1回転体31と第2回転体51との突合せ位置直前までカップ飲料1を搬送する。次に、第1回転体31と第2回転体51との突合せ位置或いはその直前位置において、第1可動溝38の減圧を中断するとともに、該第1可動溝38に第1吹出用固定溝41を介して加圧エアを供給し、第1吸着パッド33から加圧エアを吹き出させて、第1吸着パッド33からカップ飲料1を切り離す。一方、第2吸引用固定溝57を介して第2可動溝58を減圧し、第1回転体31と第2回転体51との突合せ位置に保持されたカップ飲料1を第2吸着パッド53で吸着保持する。次に、この状態でカップ飲料1を第2搬送ラインLb上まで搬送して、第2搬送ラインLb上或いはその直前位置において、第2可動溝58への減圧を中断するとともに、第2吹出用固定溝61を介して第2可動溝58へ加圧エアを供給し、第2搬送ラインLb上にカップ飲料1を分流することになる。
【0033】
サンプル品排出ラインLsにカップ飲料1を分流する場合には、第2搬送ラインLbに分流する場合と同様に、第2回転体51に対してカップ飲料1を保持させるが、第1回転体31と第2回転体51との突合せ位置において、該カップ飲料1を第2回転体51へ受け渡さないで、そのまま第1回転体31に保持した状態を維持する。このとき、第1可動溝38は第1切換用固定板で閉鎖されて、第1吸着パッド33の減圧が維持された状態となり、第2回転体51との突合せ位置を越えると、該第1可動溝38が第1吸引用固定溝37Bに開口して減圧され、第1吸着パッド33に保持した状態でカップ飲料1をサンプル品排出ラインLs上或いはその付近まで搬送し、その後第1吸引用固定溝37Bを大気開放することで、サンプル品排出ラインLsにカップ飲料1を分流することになる。
【0034】
NG品排出ラインLnにカップ飲料1を分流する場合には、サンプル品排出ラインLsに分流する場合と同様に、サンプル品排出ラインLsの上方位置までカップ飲料1を搬送した後、第1吸引用固定溝37Bを大気開放しないで、そのままカップ飲料1を第1回転体31に保持した状態を維持する。このとき、第1可動溝38は第1切換用固定板で一時的に閉鎖されるが、引き続き第1吸引用固定溝37Cに開口して減圧され、カップ飲料1は第1吸着パッド33に保持される。こうして、カップ飲料1をNG品排出ラインLn上或いはその直前まで搬送し、その後第1吸引用固定溝37Cを大気開放することで、NG品排出ラインLnにカップ飲料1を分流することになる。なお、NG品排出ラインLnを越えてなおかつ第1回転体31とともに回転しようとするカップ飲料1は、第1可動溝38が排気溝40に開口することで、吸着パッド33を大気開放させて、NG品排出ラインLnに排出することになる。
【0035】
本実施形態では、カップ飲料1を分流するワーク分流装置17に本発明を適用した場合について説明したが、本発明に係るワーク分流装置は、カップ飲料1以外の各種商品等のワークを分流するのに用いることができる。また、第1回転体31と第2回転体51とでワークを分流させたが、3個以上の回転体を用いたワークを分流させることも可能である。また、4本に分流させたが、それ以外の本数に分流させることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 カップ飲料 1a カップ状容器
2 上蓋 5 収容箱
10 スクリューコンベア 12 搬送手段
13 搬送台 14 蓋嵌合装置
15 印字装置 16 ストロ貼着装置
17 ワーク分流装置 17 箱詰め装置
19 供給調整装置
20 供給回転軸 21 供給回転体
21a 凹部 22 供給歯車
23 駆動歯車 24 ガイド板
30 第1回転軸 31 第1回転体
31a 凹部 32 第1歯車
33 第1吸着パッド 34 第1切換手段
35 第1エア切換用回転板 36 第1エア切換用固定板
37 第1吸引用固定溝 37A 第1吸引用固定溝
37B 第1吸引用固定溝 37C 第1吸引用固定溝
38 第1可動溝 39 第1負圧管
40 排気溝 41 第1吹出用固定溝
50 第2回転軸 51 第2回転体
51a 凹部 52 第2歯車
53 第2吸着パッド 54 第2切換手段
55 第2エア切換用回転板 56 第2エア切換用固定板
57 第2吸引用固定溝 58 第2可動溝
59 第2負圧管 61 第2吹出用固定溝
La 第1搬送ライン Lb 第2搬送ライン
Ln NG品排出ライン Ls サンプル品排出ライン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心を平行にするとともに外周を突合せて隣接配置した複数の回転体であって、
ワークを保持するための複数の凹部を周方向に設定間隔おきに外周部に形成した複数の回転体と、
前記回転体の複数の凹部に対してワークを個別に吸着保持するために該回転体に設けた複数の吸着パッドと、
隣接する2つの回転体の突合せ位置において、両回転体の凹部が順次対面するように、隣接する回転体を同期させて相互に逆方向に送り駆動する駆動手段と、
前記複数の吸着パッドをワークの吸着状態と非吸着状態とに個別に切換える切換手段と、
前記切換手段を制御して、上流側の回転体に供給されたワークを、上流側の回転体から分岐する下流側ラインと下流側の回転体から分岐する下流側ラインとに分流させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするワーク分流装置。
【請求項2】
前記切換手段として、前記回転体とともに回転するエア切換用回転板と、該エア切換用回転板に相対回転自在で且つ略気密に重ね合されるエア切換用固定板とを有し、前記エア切換用固定板におけるエア切換用回転板との摺動面に、ワークの吸着範囲に対応させて、周方向に延びる円弧状の吸引用固定溝を形成し、前記エア切換用回転板におけるエア切換用固定板との摺動面に、前記ワークの吸着範囲において吸引用固定溝に開口する可動溝を前記複数の吸着パッドに対応させて形成し、前記吸着パッドとそれに対応する可動溝とを連通した請求項1記載のワーク分流装置。
【請求項3】
前記切換手段として、前記吸引用固定溝をワークの受渡位置の手前まで形成し、前記エア切換用固定板におけるエア切換用回転板との摺動面に、前記ワークの受渡位置に対応させて周方向に延びる吹出用固定溝を形成し、前記受渡位置において前記吹出用固定溝に開口するように前記可動溝を形成した請求項2記載のワーク分流装置。
【請求項4】
前記吸引用固定溝と前記吹出用固定溝とを半径方向に相互に間隔をあけて前記エア切換用固定板に形成し、前記吸引用固定溝と前記吹出用固定溝とに開口可能に、前記可動溝を前記エア切換用回転板の半径方向に形成した請求項3記載のワーク分流装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−208720(P2010−208720A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54273(P2009−54273)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(591017559)株式会社コオエイ (7)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】