説明

ワーク分離ユニット及び振動式搬送装置

【課題】安定かつ高速にワークを分離する。
【解決手段】給気時において第1の領域に対してワーク導入口15bとは反対側にある第2の領域へ向けて開口部16aから流れ出る斜めの気流を生じるように構成された分離用通気穴16と、分離用通気穴16を排気することにより開口部16aにおいてワークに対する吸引力を生じさせるワーク分離用排気手段E1と、第2の領域においてワークを検出するワーク検出手段と、分離用通気穴16に給気することにより開口部16から流れ出る気流を生じさせる通気穴給気手段A1と、ワーク検出手段によるワーク検出時にはワーク分離用排気手段E1を動作させるとともに通気穴給気手段A1を停止させ、また、ワーク検出手段によるワーク非検出時にはワーク分離用排気手段A1を停止させるとともに通気穴給気手段A1を動作させる制御手段Cとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク分離ユニット及び振動式搬送装置に係り、特に、振動フィーダからワークを送り出すための移送部分として好適な構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、微細な電子部品等のワークをパーツフィーダにより下流側に設置されたワーク検査装置やワーク実装装置等の各種処理装置に供給する場合には、搬送されたワークを正確に下流側の各種処理装置に搬出するために種々の構成が用いられる。例えば、以下の特許文献1乃至3では、先頭のワークを後続のワークとは分離して特定の場所に位置決めし、この位置決めされたワークを回転インデクサやロボットハンド等により搬出している。
【0003】
また、以下の特許文献1、2及び4では、先頭のワークを後続のワークから分離するために、後続のワークを真空吸引(吸着)して一時的に停止させその場所に保持したり、先頭のワークの移動速度を吸引手段により高めたり、後続のワークの移動速度を分離用回転ローラの回転速度を調整することにより低下させたりといった各種のワーク分離手段が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−269744号公報
【特許文献2】特開2004−148278号公報
【特許文献3】特開2000−302230号公報
【特許文献4】特開平6−246236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、振動式パーツフィーダ等の振動式搬送装置を用いる場合においては、上記の特定の場所を搬送路の搬送端末部にそのまま設けると、搬出されるべきワークは、上記の特定の場所において位置決めされたとしても搬送路と共に振動しているため、この振動により搬送手段との位置ずれが生じて搬出ミスや搬出位置のずれが発生する場合がある。また、搬送路が振動しているためにワークを位置決めする際にストッパ面に対するワークの跳ね返りが生じ、これによってワークが本来の停止位置からずれた位置に位置決めされてしまう場合もある。さらに、上記の特定の場所が振動しているため、搬出時にワークの底面が擦れて損傷を受ける虞もある。
【0006】
一方、上記特許文献1の構成では、フィーダ4から複数のワークが連なって搬送されてきた場合には、チップ移乗制御部5上でチップ吸着口14により次のワークを一時的に吸着して保持することで先頭のワークを分離するようにしているが、上記の一時的に保持された次のワークの背後からさらに後続のワークが搬送されてこない場合には、上記次のワークは一旦停止状態になっているため、吸気口3、7による吸気だけでは当該ワークをホイール1のチップ支持部2に迅速に移送することができなくなる。したがって、上記特定の場所へのワークの位置決めタイミングがフィーダ4によるワークの搬送状況によって大きく変動するとともに、一旦保持されたワークは吸引力のみで移送されるために移送の安定性が不十分であるとともに搬出動作の高速化が難しく、ワークの供給量が低下するという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2の構成では、直進フィーダF2から複数のワークが連なって搬送されてきた場合には、後続のワークに押されることによりワーク分離用回転ローラSR上で次のワークの移動速度を十分に低減できないことで先頭のワークの分離ができなくなることが考えられる。すなわち、後続のワークの搬送態様によりワークの分離が不十分になる虞がある。また、この構成でも、ワークは吸引力のみで移送されるために移送の安定性が不十分であるとともに搬送動作の高速化が難しく、ワークの供給量が低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、ワークの搬送態様の如何に拘わらず、安定かつ高速にワークを分離することのできるワーク分離ユニット及びこれを備えた振動式搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
斯かる実情に鑑み、本発明のワーク分離ユニットは、一方の端部にワーク導入口を備えたワーク移送路と、前記ワーク導入口の側の第1の領域において前記ワーク移送路に開口する開口部を備えるとともに、給気時において前記第1の領域に対して前記ワーク導入口とは反対側にある第2の領域へ向けて前記開口部から流れ出る斜めの気流を生じるように構成された通気構造を備えた分離用通気穴と、前記分離用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク分離用排気手段と、前記第2の領域においてワークを検出するワーク検出手段と、前記分離用通気穴に給気することにより前記開口部から流れ出る気流を生じさせる通気穴給気手段と、前記ワーク検出手段によるワーク検出時には前記ワーク分離用排気手段を動作させるとともに前記通気穴給気手段を停止させ、また、前記ワーク検出手段によるワーク非検出時には前記ワーク分離用排気手段を停止させるとともに前記通気穴給気手段を動作させる制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第2の領域にワークが存在していないとき(ワーク非検出時)には、制御手段がワーク分離用排気手段を停止させるとともに通気穴給気手段を動作させるので、先頭のワークは第1の領域において吸引されずに、通気穴給気手段の気流により第2の領域に向けて移送される。一方、第2の領域に先行するワークが存在しているとき(ワーク検出時)には、制御手段がワーク分離用排気手段を動作させるとともに通気穴給気手段を停止させるので、次のワークは第1の領域において上記開口部により吸引されるため、先頭のワークと次のワークとが分離される。その後、先行するワークが第2の領域から搬出されるとワークが再び検出されなくなるので、ワーク分離用排気手段が停止するとともに通気穴給気手段が動作するため、次のワークに対する吸引力が消失するとともに分離用通気穴の開口部から気流が第2の領域に向けて斜めに流れ出ることで次のワークが移送方向に押し出される。
【0011】
したがって、分離用通気穴に対してワーク分離用排気手段による排気を行うことでワークを吸引保持して分離できるとともに、分離用通気穴に対して通気穴給気手段による給気を行うことでワークに対する吸引力を解除するとともに気流によりワークを第2の領域へ向けて押し出すことができるため、搬送用の振動等を与えなくてもワークを移送することが可能になる。また、ワーク分離用排気手段と通気穴給気手段とが共通の分離用通気穴を排気及び給気を行うことにより、通気構造を簡易化できるとともに、分離用通気穴上に配置されているワークを確実に移送方向へ押し出すことができる。特に、第1の領域においてワーク分離用排気手段により分離用通気穴の開口部に吸引されたワークに対して、その吸引された同じ開口部から通気穴給気手段により確実に気流を作用させることができるため、さらに安定かつ確実に第2の領域へ向けてワークを移送することができる。
【0012】
本発明において、前記第2の領域において前記ワーク移送路に開口する開口部を備えた位置決め用通気穴と、前記位置決め用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク位置決め用排気手段と、前記ワーク位置決め用排気手段の吸引力により前記開口部に位置決めされたワークを検出するワーク位置決め検出手段と、をさらに具備し、前記制御手段は、前記ワーク位置決め検出手段による位置決め検出時に前記ワーク位置決め用排気手段を停止させ、前記ワーク位置決め検出手段による位置決め非検出時に前記ワーク位置決め用排気手段を動作させることが好ましい。これによれば、ワーク位置決め用排気手段により位置決め用通気穴を開口部においてワークを吸引することにより、ワークを第2の領域において位置決めすることが可能になる。ここで、ワークが位置決めされているとき(位置決め検出時)には制御手段がワーク位置決め用排気手段を停止させるため、当該位置決めされたワークのさらなる移動が別途設けられたワーク搬出手段等により可能になる。一方、ワークが位置決めされていないとき(位置決め非検出時)には制御手段がワーク位置決め用排気手段を動作させるため、第2の領域に進入してきたワークを位置決め可能な状態になる。
【0013】
本発明において、前記第2の領域において前記ワーク移送路に開口する開口部を備えた位置決め用通気穴と、前記位置決め用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク位置決め用排気手段と、をさらに具備し、前記通気穴給気手段と、前記ワーク位置決め用排気手段とが並行して動作する期間を有することが好ましい。これによれば、分離用通気穴の開口部から第2の領域へ向けて斜めに生じた気流が、第2の領域にある位置決め用通気穴の開口部からの排気作用によって吸引されるので、上記気流の方向がワークの移送方向に近くなるとともにワークに与える推進力を増強することができるため、ワークを安定かつ確実に第2の領域へ向けて移送することができる。
【0014】
これらの場合において、前記位置決め用通気穴は排気時において前記第1の領域の側から前記開口部に流れ込む斜めの気流を生じさせる通気構造を備えていることが好ましい。これによれば、位置決め用通気穴が吸引時において第1の領域の側から開口部へ流れ込む斜めの気流が生じる通気構造を有することにより、ワーク位置決め用排気手段による位置決め用通気穴を介した排気によって開口部へ斜めに流れ込む気流が通気穴給気手段により分離用通気穴の開口部から流れ出る気流と合流するので、気流の流れ方向が移送方向に近づくことでワークの移送状態をより安定させることができるとともに、気流が強くなるためにワークの移送速度を高めることが可能になる。
【0015】
本発明において、前記ワーク移送路に対して前記分離用通気穴の開口部と対向する側に前記第2の領域へ向けて気流を生じさせる対向側給気手段をさらに具備することが好ましい。これによれば、分離用通気穴の開口部と対向する側から移送方向に気流を生じさせることにより、ワーク、及び、分離用通気穴の開口部から流れ出る気流を対向する側から抑止して、当該気流によってワークの移送方向や姿勢を安定させることができるとともに、全体として移送方向に向かう気流量を増大させることができるため、より確実かつ高速にワークを移送することができる。
【0016】
本発明において、前記ワーク移送路は、前記分離用通気穴の開口部と対向する側に配置される被覆部材によって被覆されることが好ましい。これによれば、分離用通気穴の開口部から流れ出す斜め対向側に向けた気流によってワークが斜め対向側へ押し出された場合、被覆部材によってワークの飛び上がりが抑止されるとともに、上記気流も被覆部材により移送方向に導かれるので、ワークをよりスムーズに前方へ移送することが可能になる。この場合において、被覆部材の先端部が上記開口部の対向側若しくは移送方向に向けて斜め対向側に配置されていることが望ましい。これによれば、ワークの移送先においてワーク移送路の対向側を開放することができるため、ワークの搬出などに支障をきたすことがなくなる。また、ワーク分離ユニットを振動式搬送装置の搬送体の搬送末端部に間隙を介して隣接させ、ワーク導入口を搬送末端部のワーク導出口に対向配置させる場合には、上記被覆部材を搬送体に固定することが考えられる。これによれば、被覆部材は搬送体とともに搬送方向に振動するので、ワークが被覆部材に対して開口部の側から当接した際に摩擦力によって被覆部材がワークを移送方向へ押し出す作用も期待できる。なお、被覆部材はワーク分離ユニットに固定してもよい。また、上記対向側給気手段による給気により気流を噴出する噴出口を被覆部材の先端縁に設けることが好ましい。
【0017】
なお、上記のワーク分離ユニットは、前記ワーク導入口を種々のワーク搬送手段のワーク導出口に接続させた状態で用いることができる。ここで、ワーク搬送手段のワーク導出口とワーク分離ユニットのワーク導入口との接続態様は、物理的、機械的に接続(連結)されている場合に限らず、間隙(ワークの長さよりも狭い間隔)をワーク導出口とワーク導入口とが接触せずに対向配置される態様である場合も含む。特に、ワーク搬送手段が振動式搬送手段である場合には後者の態様が好ましい。しかしながら、本発明は、例えば、振動式搬送装置の搬送端末部にワーク分離ユニットが一体に構成される場合も含まれる。この場合には、ワーク搬送路の端末部にワーク移送路が一体に接続され、このワーク移送路として構成される部分の上流端(ワーク搬送路に接続される部分)がワーク導入口に相当することになる。上記ワーク搬送手段としては、後述する振動式搬送装置に限らず、ベルトコンベア、ローラコンベア等の種々の搬送装置に用いられる搬送機構を用いることができる。また、上記のワーク分離ユニットは、ワーク搬送手段に対して取り付けられることで搬送装置の一部として構成される場合が考えられるが、搬送装置とは独立して支持される場合、或いは、ワーク検査装置やワーク実装装置などといった、ワーク搬送手段の下流側に設置される各種のワーク処理装置に取り付けられる場合、さらにはこれらの処理装置等への搬出動作を行う搬出機構に取り付けられる場合も想定できる。
【0018】
本発明の振動式搬送装置は、搬送端末部にワーク導出口を備えたワーク搬送路を有する搬送体と、この搬送体を振動させる加振機構と、前記ワーク導出口と間隙を介して配置されてなるワーク分離ユニットと、を具備し、前記ワーク分離ユニットは、前記ワーク導出口と対向するワーク導入口を備えたワーク移送路と、前記ワーク移送路における前記ワーク導入口の側の第1の領域において開口する開口部を備えた分離用通気穴と、前記分離用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク分離用排気手段と、前記ワーク移送路における前記第1の領域よりも前記ワーク導入口とは反対側にある第2の領域においてワークを検出するワーク検出手段と、前記第1の領域から前記第2の領域に向けて気流を生じさせるワーク移送用給気手段と、前記ワーク検出手段によるワーク検出時には前記ワーク分離用排気手段を動作させるとともに前記ワーク移送用給気手段を停止させ、また、前記ワーク検出手段によるワーク非検出時には前記ワーク分離用排気手段を停止させるとともに前記ワーク移送用給気手段を動作させる制御手段と、を有することを特徴とする。ここで、前記ワーク分離ユニットは、前記加振機構から振動を受けないように前記搬送体とは独立して支持されることが好ましい。
【0019】
本発明において、前記第2の領域において前記ワーク移送路に開口する開口部を備えた位置決め用通気穴と、前記位置決め用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク位置決め用排気手段と、前記ワーク位置決め用排気手段の吸引力により位置決めされたワークを検出するワーク位置決め検出手段と、をさらに具備し、前記制御手段は、前記ワーク位置決め検出手段による位置決め検出時には前記ワーク位置決め用排気手段を停止させ、前記ワーク位置決め検出手段による位置決め非検出時には前記ワーク位置決め用排気手段を動作させることが好ましい。
【0020】
本発明において、前記第2の領域において前記ワーク移送路に開口する開口部を備えた位置決め用通気穴と、前記位置決め用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク位置決め用排気手段と、をさらに具備し、前記ワーク移送用給気手段と、前記ワーク位置決め用排気手段とが並行して動作する期間を有することが好ましい。
【0021】
本発明において、前記分離用通気穴は給気時において前記第2の領域へ向けて前記開口部から流れ出る斜めの気流を生じるように構成された通気構造を備え、前記ワーク移送用給気手段は前記分離用通気穴に給気することにより前記開口部から前記気流を生じさせる通気穴給気手段を含むことが好ましい。この場合において、前記ワーク移送用給気手段は、前記ワーク移送路に対して前記分離用通気穴の開口部と対向する側に前記第2の領域へ向けて気流を生じさせる対向側給気手段をさらに含むことが望ましい。
【0022】
本発明において、前記位置決め用通気穴は、前記ワーク位置決め用排気手段による排気時において前記第1の領域の側から前記開口部に流れ込む斜めの気流を生じさせる通気構造を備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態の振動式搬送装置の主要部の左側面図。
【図2】実施形態の振動式搬送装置の主要部の正面図。
【図3】実施形態の振動式搬送装置の主要部の右側面図。
【図4】実施形態の振動式搬送装置の斜視図。
【図5】実施形態の振動式搬送装置の搬送端末部を拡大して示す拡大平面図。
【図6】実施形態の振動式搬送装置の搬送端末部を拡大して示す拡大縦断面図。
【図7】実施形態のワーク分離ユニット及びワークの位置を示す説明図(a)及び(b)。
【図8】実施形態の制御系の動作例を示すタイミングチャート。
【図9】実施形態のワーク分離ユニット及びワークの位置を示す説明図(a)及び(b)。
【図10】実施形態の制御系の他の動作例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付図面を参照して本発明のワーク分離ユニット及び振動式搬送装置の実施形態について詳細に説明する。図1は本実施形態の振動式搬送装置の主要部を示す左側面図、図2は同正面図、図3は同右側面図、図4は振動式搬送装置の斜視図である。
【0025】
振動式搬送装置10は、上方に配置された、直線状の凹溝よりなるワーク搬送路11aを備えた搬送体11と、この搬送体11の下方に配置され、搬送体11に振動を与える加振機構12とを有する。加振機構12は支持台10a上に固定され、この支持台10aは図4に示す取付台10bに固定される。なお、取付台10bは、搬送装置10以外の他の搬送装置等も搭載可能な防振構造体を構成する支持盤10c及び設置盤10d上に固定されている。
【0026】
搬送体11は、上記加振機構12に直接取り付けられた取付ブロック111と、この取付ブロック111に固定されるとともにワーク搬送路11aが形成されてなる搬送ブロック112と、この搬送ブロック112に対して所定の位置関係となるように、上記取付ブロック111又は搬送ブロック112に取り付けられた各種の付加部品(ワーク搬送路11aを覆う被覆板やワークの流れを制御するストッパ等の各種のワーク制御部品、光センサ等の各種の検出器、エア供給用や真空吸引用の通気路構成部品など)を備えている。
【0027】
また、加振機構12は、下端が支持ベース10aに連結された圧電駆動体12aと、この圧電駆動体12aの上端と上記搬送体11(の取付ブロック111)との間に連結された駆動ばね12bとを含む。圧電駆動体12aと駆動ばね12bの直列接続構造は、搬送体11の搬送方向Fに沿って互いに離間した前後位置にそれぞれ設けられ、前後の各位置において搬送体11を支持している。また、図示例の場合、圧電駆動体12aと駆動ばね12bはいずれも搬送方向Fへ向けて斜め上方に向いた板面を有する板状弾性体で構成される。なお、本実施形態では加振機構12の振動発生源として圧電駆動体12aを用いているが、本発明では、振動発生源としては電磁駆動体(ソレノイド)を用いてもよいなど、特に限定されるものではない。図示例の場合、加振機構12は搬送方向Fに沿った斜め上下方向に往復する振動を搬送体11に与え、この振動によってワーク搬送路11a上のワーク(図示せず)が搬送方向Fに移動する。
【0028】
支持ベース10aには側板12cと12dが左右に取り付けられ、これらの側板12c及び12dは上記加振機構12の圧電駆動体12a及び駆動ばね12bを覆っている。側板12cの上部には搬送方向Fに沿って上記ワーク搬送路11aの搬送端末部の側方に張り出した支持延長部12eが設けられている。この支持延長部12eはL字状の接続部材13を介してワーク分離ユニット15を支持している。これによって、ワーク分離ユニット15は、加振機構12による振動が与えられる搬送体11とは独立して(分離した状態で)、加振機構12による振動を受けない態様で支持固定される。なお、図示例の場合、側板12cは、ワーク分離ユニット15の支持剛性を確保するために、側板12dよりも厚く構成される。
【0029】
図5及び図6は、上記搬送体11の搬送端末部及びこの搬送端末部に隣接して配置されたワーク分離ユニット15を拡大して示す拡大平面図及び拡大縦断面図である。この搬送端末部には、上記搬送体11に形成されたワーク搬送路11aの終端にワーク導出口11bが形成されている。ワーク導出口11bはワーク搬送路11aがワーク分離ユニット15に向けて開口した部分である。
【0030】
搬送端末部には、ワーク搬送路11aを上方から覆う被覆板113、114が配置され、この被覆板113、114によってワーク搬送路11aに沿ったワークの通過経路が閉鎖された断面形状を有するように構成される。このように搬送端末部におけるワークの通過経路を閉鎖された断面形状としたのは、ワークがワーク分離ユニット15内において一時的に停止し、これによって後続の複数のワークが搬送体11の搬送端末部において前方へ押し出されることにより相互に重なってしまうことを防止するためである。
【0031】
図示例では、上記被覆板114の先端部はワーク分離ユニット15のワーク導入口15bを越えて張り出している。これによって、搬送体11とワーク分離ユニット15の間の境界部分でも、前後のワークの重なりが発生しないようにすることができる。より具体的には、ワーク分離ユニット15のワーク移送路15aの後述する第1の領域(次のワークの待機位置)に配置されたワークと、このワークの後方(ワーク導出口11bとワーク導入口15bの間隙の近傍)に配置されたワークとが重なり合わないように、被覆板114は上記第1の領域にあるワークの上方にまで少なくとも部分的に張り出すように構成されている。また、被覆板114の張り出し部分は、上記第1の領域に保持されたワークが後述する分離用通気穴に対する給気(真空破壊)により斜め上方へ向けて押し出されたときに、ワークが上方へ飛び上がらないように抑える機能をも有している。
【0032】
一方、ワーク分離ユニット15には、上記ワーク導出口11bに対して間隙を介して対向するワーク導入口15bを備えた凹溝状のワーク移送路15aが形成されている。このワーク移送路15aは、ワーク搬送路11aの延長線上に沿って延在している。すなわち、図示例の場合には、ワーク搬送路11aによるワークの搬送方向Fと、ワーク移送路15aによるワークの移送方向Tとが一致している。ただし、本発明は、図示のように両方向FとTが完全に一致する態様に限定されるものではない。また、ワーク移送路15aはワーク搬送路11aと基本的に同様の断面形状を備えた凹溝で構成される。ワーク移送路15aの上記ワーク導入口15bにおいては、これと対向するワーク導出口11b側に向けて開くように斜めに形成された傾斜側面15c(図7及び図9参照)が幅方向両側に設けられている。また、ワーク移送路15aの上記ワーク導入口15bとは反対側の端部は終端面15dによって閉鎖されている。
【0033】
ワーク分離ユニット15は、上記接続部材13上に固定されたスペーサ151と、このスペーサ151上に固定された正面視凹字状のホルダ152と、ホルダ152に取り付けられたベースブロック153と、このベースブロック153上に取り付けられた端末ブロック154及び付加ブロック155と、を有する。
【0034】
上記ワーク移送路15aは、ベースブロック153及び端末ブロック154によって構成される。ベースブロック153はワーク搬送路15aのワーク導入口15bの側の部分(以下、単に「導入部」という。)の凹溝構造及びワーク導入口15bとは反対側の部分(以下、単に「端末部」という。)の底面及び幅方向の一方の内側面を構成し、端末ブロック154はワーク移送路15aの端末部の幅方向の他方の側面及び上記終端面15dを構成する。
【0035】
図5中には、本実施形態に対応するワークP1及びこのワークP1がワーク移送路15a上に配置されている様子を示す拡大平面図及び拡大側面図を示してある。このワークP1は、図示点線で示すようにワーク下面上に幅方向中央に電極ELが僅かに突出して形成されている。一方、ワーク移送路15aの底面(ベースブロック153により構成される。)には、ワーク移送路15aの幅よりも小さい(ワークP1の幅より小さい)幅の凹溝15eが幅方向両側にそれぞれ間隔を有して設けられている。この凹溝15eは、図5に示すワークP1の下面の電極ELを収容可能な幅及び深さを有している。この凹溝15eはワーク搬送路15aの全体にわたり形成されているので、移送方向Tに沿って段差を構成せず、これによってワークが途中で引っ掛かることがない。なお、開口部16aは凹溝15e内に開口している。
【0036】
ワークP1がワーク移送路15a上に配置されたときには、上記電極ELが凹溝15e内に収容されるとともに、ワークにおける電極ELの幅方向両側にある下面部分が凹溝15eの幅方向両側にあるワーク移送路15aの底面部分に密接した状態となる。したがって、分離用通気穴16の開口部16aにワークが吸着保持されたときに、ワーク下面に突出する電極ELの厚みによって生ずるエア漏れを低減することができる。すなわち、エア漏れによってワークの保持力が不足し、後続のワークによって吸着保持されているワークが押し出されてしまうといったことを防止できる。
【0037】
本実施形態では、ワーク移送路15aにおいて開口部16aによりワークが吸引保持されている場合に、ワーク搬送路11a上から進んでくる後続のワークが上記の吸引保持されているワークに後方より衝突し、この衝突は振動により繰り返し生ずる。このため、ワークの吸引保持力が不足すると、ワークが前方へ押し出される虞がある。しかしながら、上記のように、凹溝15eを設けることで後述する第1の領域におけるワークの吸引保持力を増大させることができるため、後続のワークに衝突されることによる吸引保持されたワークの位置ずれを防止できる。
【0038】
端末ブロック154には端末部の周囲に低い表面を備えた平面視L字状の段差部154aを備えている。この段差部154aは後述するワーク搬出手段の干渉を回避するためのものである。なお、端末ブロック154の上記導入部の側面を構成する内側面の端部には、上記傾斜側面15cと同様の構造及び目的で傾斜側面154cが形成されている。
【0039】
ベースブロック153の上面にはワーク移送路15aの端末部から幅方向の一方側に伸びる検出溝153a、153bが形成されている。また、端末ブロック154の下面には端末部から幅方向の他方側に伸びる検出溝154a、154bが形成されている。検出溝153aと154aは後述する第1の検出器S1の検出ラインL1を構成する。また、検出溝153bと154bは後述する第2の検出器S2の検出ラインL2を構成する。
【0040】
ワーク分離ユニット15には、導入部の側に分離用通気穴16が形成され、これよりも端末部の側に位置決め用通気穴17が形成されている。ワーク移送路15aの底面には、導入部の側に分離用通気穴16の開口部16a(図示例では平面視で矩形状の開口)が形成され、端末部の側に位置決め用通気穴の開口部17a(図示例では平面視で矩形状の開口)が形成されている。開口部16aと開口部17aは移送方向Tに沿って離間して形成されている。
【0041】
分離用通気穴16の末端部分は開口部16aに向けて端末部の側に向けて斜めに傾斜するように構成されている。これによって、分離用通気穴16の通気構造は、この分離用通気穴16への給気時における開口部16aから流れ出る気流の方向が端末部の側に向けて斜め上方になるように構成される。この末端部分の移送方向Tに対する傾斜角度は鋭角(90度未満)であればよいが、上記気流の移送方向Tの成分を大きくして気流によるワークの推進力を高める上では45度以下であることが好ましく、通気穴の形成を容易にするため、或いは、開口部16aの大きさの割に末端部分の通気断面積を過剰に小さく構成する必要をなくして通気抵抗を小さくするためには15度以上であることが好ましい。
【0042】
また、位置決め用通気穴17の末端部分は開口部17aに向けて導入部の側に斜めに傾斜するように構成されている。これによって、位置決め用通気穴17の通気構造は、この位置決め用通気穴17の排気時における開口部17aに流れ込む気流の方向が導入部の側から斜め下方になるように構成される。この末端部分の移送方向Tに対する傾斜角度も鋭角(90度未満)であればよいが、上記気流の移送方向Tの成分を大きくして気流によるワークの推進力を高める上では45度以下であることが好ましく、通気穴の形成を容易にするため、或いは、開口部16aの大きさの割に末端部分の通気断面積を過剰に小さく構成する必要をなくして通気抵抗を小さくするためには15度以上であることが好ましい。
【0043】
なお、上記の分離用通気穴16と位置決め用通気穴17の通気構造は、いずれも特に上記の態様に限定されるものではなく、結果として、各通気穴を介して排気又は給気がなされた際に開口部16a、17aの外側において移送方向Tに流速成分を有する斜めの気流が生ずるように構成されていればよい。例えば、上記各末端部分が傾斜しているのではなく、段差状に構成されていてもよい。
【0044】
位置決め用通気穴17の開口部17aは平面視で終端面15dまで形成されていることが好ましい。また、開口部17aの移送方向Tに沿った開口範囲は、ワークの移送方向Tの長さの1/2以下1/5以上であることが好ましく、さらに1/3以下1/4以上であることが望ましい。これは、これより広い開口範囲を有する場合にはワークが終端面15dに到達する前に停止する虞があり、これより狭い開口範囲を有する場合にはワークの位置決め力が不足して終端面15dに当接した後に跳ね返されてしまう虞があるからである。
【0045】
ワーク分離ユニット15では、上記ワーク移送路15aの端末部に存在するワークP1を検出するワーク検出手段及びワーク位置決め検出手段がホルダ152に取り付けられた検出部157及び158に設けられる。ワーク検出手段は、ワークP1が分離用通気穴16の開口部16aの形成されている領域(後述する第1の領域)から脱して、この領域よりも端末部の側の別の領域(後述する第2の領域)に入ったこと(又はそのタイミング)を検出するものである。具体的には、このワーク検出手段は、ワークP1の先端部が上記検査溝153a,154aを通過する検出ラインL1を横切ったときに出力が変化する光センサ等よりなる第1の検出器S1で構成される。検出ラインL1は、上記終端面15dよりもワーク導入口15bの側に離間した位置であって、ワークP1が開口部16aによる吸引力による影響を実質的に受けなくなる範囲に到達したときのワークP1の先端部の位置に一致するように設定される。
【0046】
また、ワーク位置決め検出手段は、ワークP1の先端部が終端面15dに到達し、ワークP1が位置決め状態にあること(又はそのタイミング)を検出するものである。具体的には、ワーク位置決め検出手段は、ワークP1の先端部が上記検査溝153b,154bを通過する検出ラインL2を横切ったときに出力が変化する光センサ等よりなる第2の検出器S2で構成される。検出ラインL2は、上記終端面15dに隣接した位置、すなわち、終端面15dに当接して位置決めされたときのワークP1の先端部の位置に設定される。
【0047】
被覆板114には、ワーク移送路15aの上部に沿って移送方向Tに向けた(好ましくは水平方向の)気流を生じさせるための対向側給気部18が設けられている。この対向側給気部18は、被覆板114に設けられた移送方向T(水平方向)に伸びる通気路18aを有する。この通気路18aは、被覆板114の先端部(端縁部)に噴出口18bを有するとともに被覆板114上に給気口18cを備え、給気口18cを図示しない給気装置に接続すると、噴出口18bから気流を噴出させることができるようになっている。噴出口18bはワーク移送路15aの上方に配置される。噴出口18bは(より好ましくは通気路18aも)幅方向に扁平な形状であることが好ましく、特に、ワーク移送路15aの幅方向の全体の上方範囲にわたって開口していることが望ましい。
【0048】
図示例の場合、被覆板113と114の対向縁部はワーク搬送路11a及びワーク移送路15aに沿ってその上方に配置される。このことは、ワーク搬送路11a及びワーク移送路15aのメンテナンスを容易にする。
【0049】
図6に示すように、本実施形態では、上記分離用通気穴16を排気することにより開口部16aにおいてワークに対する吸引力を生じさせるワーク分離用排気手段を備えている。ワーク分離用排気手段は、分離用通気穴16に接続された配管、開閉弁等の制御器、及び、排気装置を含む排気構造E1を有する。また、上記位置決め用通気穴17を排気することにより開口部17aにおいてワークに対する吸引力を生じさせるワーク位置決め用排気手段を備えている。ワーク位置決め用排気手段は、位置決め用通気穴17に接続された配管、開閉弁等の制御器、及び、排気装置を含む排気構造E2を有する。ここで、排気構造E1とE2を各制御器よりも先にある配管及び排気装置が共有される構成としてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、ワーク移送路15aにおいて移送方向Tに向かう気流を生じさせるためのワーク移送用給気手段を備えている。このワーク移送用給気手段は、上記分離用通気穴16に給気することにより開口部16aから流れ出る気流をワーク移送路15a上に生じさせるための、配管、及び、開閉弁等の制御器を含む給気構造A1によって構成される通気穴給気手段を含む。また、ワーク移送用給気手段は、上記対向側給気部18を用いて通気路18aの噴出口18bから気流を噴出させてワーク移送路15aの上部に沿って水平方向の気流を生じさせるための、配管、開閉弁等の制御器、及び、給気装置を含む給気構造A2によって構成される対向側給気手段を含む。
【0051】
ここで、給気構造A1は排気構造E1によって減圧された分離用通気穴16内を大気圧に戻すことで気流の慣性により結果として気流が生ずる真空破壊(減圧解除)手段である。また、給気構造A2はエアコンプレッサ等の給気装置を用いて大気圧よりも高い圧力に加圧することで気流を生じさせる加圧気体供給手段である。
【0052】
ただし、ワーク移送用給気手段は、上記給気構造A1とA2の組み合わせに限定されるものではなく、上記給気構造A1とA2のいずれか一方のみで構成されていてもよく、或いは、上記給気構造A1を給気構造A2と同様の加圧気体供給手段で構成したものであってもよい。
【0053】
上記給気構造A1は、ワークに対してワーク移送路15aの底面上の開口部16aより移送方向Tに沿って斜め上向きの気流を生じさせる。一方、上記給気構造A2は、ワーク移送路15aの上部に沿って移送方向T(水平方向)に向けた気流を生じさせる。そして、給気構造A1により生ずる気流が流れ出る分離用通気穴16の開口部16aと、給気構造A2により生ずる気流が噴出する噴出口18bとは、ワーク移送路15aの両側に対向して配置されるため、ワークの上下両側(対向する両側)において気流を移送方向Tに向けて生じさせることができることから、ワークを安定した姿勢で確実にワーク移送路15aに沿って移送することができる。例えば、開口部16aからの気流だけを与えたときにワークが上方に舞い上がったり、噴出口18bからの気流だけを与えたときにワークがワーク移送路15aの底面に張り付いて移動しなくなったりすることを防止できる。
【0054】
上記給気構造A1は、分離用通気穴16の開口部16aから斜め上向きに流れ出る気流を生じさせるので、ワーク移送路15aの底面に開口した開口部16a上に配置されているワークを確実に移送方向Tへ向けて押し出すことができるため、ワークの移送を確実に行うことができるという利点がある。特に、ワーク分離用排気手段である上記排気構造E1の排気によって吸引保持されていたワークに対してはより確実に移送方向Tへ押し出すことができる。
【0055】
上記給気構造A2は、ワーク移送路15aの上部(分離用通気穴16の開口部16aと対向する側)において移送方向Tに沿って気流を生じさせるので、上記給気構造A1により生じた斜め上方へ向かう気流を移送方向T(水平方向)へ導くとともに、当該気流によって斜め上方に押し上げられるワークを押さえながら移送方向T(水平方向)へ導くことができる。したがって、ワークの移送をより高速に行うことができるとともにワークの移送姿勢も安定させることができる。
【0056】
図6に示すように、本実施形態では、上記位置決め用通気穴17aによる吸引作用で先端部が終端面15dに当接した状態に位置決めされたワークP1を搬出するためのワーク搬出手段Dが用いられる。このワーク搬出手段Dとしては、例えば、下流側のワーク検査装置やワーク実装装置などといった各種のワーク処理装置の一部であるロボットハンド、ピックアンドプレースユニット、回転インデクサなどが挙げられる。図示例では二点鎖線でロボットハンドやピックアンドプレースユニットの一部(マニプレータ)を示してある。
【0057】
図5に示す第1の検出器S1が出力する第1の検出信号PHS1と第2の検出器S2が出力する第2の検出信号PHS2は、図6に示す制御部Cに送出され、制御部Cは上記検出信号PHS1、PHS2に応じて、上記排気構造E1の制御器(例えば電磁弁、以下同様)に制御信号SOL1を出力し、上記排気構造E2の制御器に制御信号SOL4を出力し、上記給気構造A1の制御器に制御信号SOL2を出力し、上記給気構造A2の制御器に制御信号SOL3を出力する。また、制御部Cは、上記検出信号PHS2に応じて、図示しない上記各種のワーク処理装置の制御部にワークの搬出タイミングを指示する制御信号PUPを出力する。
【0058】
図7(a)及び(b)並びに図9(a)及び(b)は、本実施形態におけるワーク分離ユニット15内のワークの移動態様を順次にそれぞれ平面図の形で示す説明図である。また、図8は、第1実施形態の各部の信号を示すタイミングチャートである。なお、図7及び図9は模式図であり、ワーク移送路15aを構成する上記各ブロックの構成は省略して示してある。
【0059】
図7に示すように、ワーク移送路15a上には、ワーク導入口15bの側に第1の領域15Xが設定され、また、この第1の領域15Xのワーク導入口15bとは反対側に第2の領域15Yが確保される。このとき、第1の領域15X内には上記分離用通気穴16aが形成され、第2の領域15Y内には位置決め用通気穴17aが形成される。ここで、第2の領域15Yは、少なくとも一つのワークを収容できる範囲より大きくされる。また、第1の領域15Xは、少なくとも一つのワークを収容できる範囲とされることが好ましい。
【0060】
また、第1の領域15Xと第2の領域15Yの境界位置は、図9(a)に示すようにワークP1の後端部が上記分離用通気穴16aよりも移送方向Tに移動し、ワークP1が分離用通気穴16aからの吸引作用による影響を受けない位置に来たときに、ワークP1の後端部が第1の領域15Xから脱し、ワークP1の全体が第2の領域15Yに入るように設定される。そして、この位置にあるときのワークP1の先端部がちょうど検出ラインL1に到達するようになっている。すなわち、ワークP1が第1の検出器S1にて検出される最初の位置は、ワークP1の後端部が第1の領域15Xから脱し、ワークP1の全体が第2の領域15Yに初めて入ったときの位置になる。
【0061】
図7(a)に示すように、既にワーク移送路15aの終端面15dに当接して停止し、位置決め用通気穴17の開口部17aを介して上記排気構造E2により吸引されることで一旦位置決めされたワークP0(図示二点鎖線)があり、このワークP0に対する上記排気構造E2による吸引状態が解除された後に上記ワーク搬出手段Dにより搬出されたとする。このとき、ワーク移送路15a上の第1の領域15Xに次のワークP1が存在する場合には、ワークP1は分離用通気穴16の開口部16aを介して上記排気構造E1により吸引され、停止している。また、ワーク搬送路11a上には後続のワークP2、P3が配置されている。
【0062】
ワークP0が搬出されると、図8に示すように、第1の検出信号PHS1及び第2の検出信号PHS2はいずれもONからOFFに変化(或いは、反転、以下同様。)し、これによって制御信号SOL1はONからOFFに変化するとともに制御信号SOL2はOFFからONに変化するので、分離用通気穴16を介した上記排気構造E2の排気による開口部16aにおける吸引作用は停止し、また、上記給気構造A1が動作して分離用通気穴16の真空破壊が行われる。これによって、気流が開口部16aから移送方向Tに向けて斜め上方に流れ出るので、図7(b)に示すように、ワークP1は移送方向Tに向けて斜め上方へ押し出される。
【0063】
このとき、給気構造A1は、動作開始から期間t1だけ給気動作(真空破壊動作)を行った後に停止する。なお、上記期間t1は、ワークP1の先端部が検出ラインL1に到達する時間より短く設定されるが、惰性や位置決め用通気穴17の開口部17aを介した吸引作用によりワークP1の先端部が検出ラインL1を通過して最終的に終端面15dに到達するために充分な時間以上とされる。
【0064】
上記のように早目に給気構造A1の給気を停止することで、分離用通気穴16を介した上記給気構造A1による気流は上記排気構造E1による排気が開始される直前まで生じて給気から排気への切り替えが迅速に行われず、次のワークP2の吸引保持のタイミングが遅れるといったことを防止できるため、次のワークP2を確実に捕捉できる。
【0065】
また、上記のように第1の検出信号PHS1及び第2の検出信号PHS2がいずれもが(いずれか一方でもよい。)ONからOFFに変化すると、制御信号SOL4もOFFからONに変化し、上記排気構造E2による位置決め用通気穴17の排気により開口部17aにおいて吸引が行われる。これにより、導入部の側から斜め下方に向けた気流が開口部17aに流れ込む。この気流は、吸引作用によりワークP1の移送を補助するとともに、上記給気構造A1及びA2による気流を引き込む作用も生ずるので、全気流によるワークに対する推進力が増強されるとともに、その推進力を移送方向Tへ正確に向けることができるという効果をもたらす。
【0066】
なお、制御信号SOL3は基本的に常時ONとされるため、上記給気構造A2の動作により噴出口18bから気流が常時移送方向Tに向けて噴出している。このようにすると、ワーク移送路15aの上部には常に気流が移送方向Tへまっすぐに(ワーク搬送路15aと平行に)流れるため、上記給気構造A1によりワークが斜め上方へ押し出された時には迅速にワークの移送姿勢の安定化や気流による移送方向Tへのワークに対する推進力の増大を図ることができる。ただし、これによりワークが分離用通気穴16の開口部16aにおいて吸引保持されている場合でも上記給気構造A2は動作し噴出口18bから気流が流れ出ることになる。しかし、当該ワークはワーク移送路15aの底面上に配置されるため、ワーク移送路15aの上部において生ずる上記気流による影響は小さいとともに、本実施形態では噴出口18bが開口部16a上のワーク上、若しくは当該ワークよりも端末部の側に配置されるので、当該ワークに上記気流が影響することはほとんどない。
【0067】
ただし、制御信号SOL3を常時ONにするのではなく、図8に破線で示すように、例えば、第1の検出信号PHS1又は第2の検出信号PHS2がONになったとき(図示例はPHS2がONになったとき)に制御信号SOL3をONとし、所定の期間t2後に停止してもよい。ここで、期間t2は期間t1の前後にわたるとともに、期間t1より長い期間であることが好ましい。
【0068】
その後、図9(a)に示すようにワークP1の先端部が検出ラインL1に到達する(ワークP1の全体が第2の領域15Yに入る)と、図8に示すように、第1の検出器S1から出力される第1の検出信号PHS1がOFFからONに変化し、これによって制御部Cから送出される制御信号SOL1がOFFからONに変化するので、上記排気構造E1が動作し、これによって第1の領域15Xに入った次のワークP2が存在する場合には、当該ワークP2が開口部16aを介して上記排気構造E1により吸引作用を受ける。
【0069】
その後、ワークP1は位置決め用通気穴17を介して上記排気構造E2により開口部17aにおいて吸引され、図9(b)に示すように、最終的にワークP1の先端部が終端面15dに当接した状態で吸引力により位置決めされる。また、次のワークP2は分離用通気穴16を介した上記排気構造E1の排気動作で開口部16aに生ずる吸引力により第1の領域15Xに保持される。
【0070】
このとき、ワークP1の先端部が検出ラインL1に到達した時点で分離用給気穴16を介した上記排気構造E1の排気動作による吸引作用が開口部16aにおいて生じ、次のワークP2の移動を妨げるので、先頭のワークP1と次のワークP2との間には、検出ラインL1と終端面15dとの距離に対応する所定の間隔が確保される。
【0071】
先頭のワークP1の先端部が上述のように終端面15dに到達すると、図8に示すように、第2の検出信号PHS2はOFFからONに変化するので、制御部Cから出力される制御信号SOL4はONからOFFに変化する。これによって、上記排気構造E2が停止し、位置決め用通気穴17の開口部17aを介した吸引作用が停止する。
【0072】
また、上述のように第2の検出信号PHS2がOFFからONに変化すると、図示しないワーク処理装置の制御部に対して送出される制御信号PUPが図8に示すようにOFFからONに変化し、これによって上記ワーク処理装置のワーク搬出手段Dが動作して、ワークP1をワーク分離ユニット15から搬出する。
【0073】
本実施形態では、ワーク分離ユニット15内において、上記給気構造A1及びA2によって生ずる気流がワーク移送路15aにおいて移送方向Tに流れるため、ワーク分離ユニット15を図示例のように搬送体11から離間させるとともに加振機構12による振動が実質的に伝達されないように支持した場合(ワーク分離ユニット15に振動による搬送力を与えない場合)でも、ワークに移送方向Tに向けた推進力を与えることができる。
【0074】
特に、本実施形態では、第2の領域15Yに配置されたワークP0が存在する場合に次のワークP1をワークP0より離間させて保持するための分離用通気穴16の開口部16aによる吸引状態を上記給気構造A1によって解除(真空破壊)することによって上記気流が生ずるため、分離用通気穴16をワーク分離用の保持作用と、ワークの移送作用とで共用することができるから、通気構造を簡易化できる。また、上記排気構造A1による吸引作用で一旦開口部16a上に保持したワークP1をそのまま同じ開口部16aから流れ出る気流によって移送するようにしているので、安定した状態で確実に移送することができるという利点がある。なお、この場合に、開口部16aから流れ出る気流量や流速を大きくするために、上記給気構造A1を単なる真空破壊(減圧解除)手段として構成するのではなく、給気構造A2と同様の加圧気体供給手段として構成してもよい。
【0075】
また、本実施形態では、ワーク移送路15aを挟んで開口部16aと対向する側の噴出口18bからワーク移送路15aの上部に沿って噴出する気流を上記給気構造A2によって形成することにより、ワーク移送路15aの上部にエアカーテンが形成される。これによって、ワーク及び開口部16aから流れ出る気流をワーク移送路15aよりも上方に逸脱しないように閉じ込める作用が生じ、特にワークの搬送姿勢を安定させることができる。また、このようにワーク移送路15a内に閉じ込められた気流は高速に移送方向Tに流れ、開口部17aから効率的に排出されるので、ワークの移送速度を大幅に高めることができる。
【0076】
本実施形態の振動式搬送装置10を実際に試作し、搬送方向Fに沿った長さ5.65mm、厚み0.9mm、幅3.0mmの図5に示すワークを搬送したところ、500個/分程度の高速なワーク搬出が可能になることが確認された。このとき、この高速動作を高速度カメラで撮影した。これを低速で再生すると、ワークは開口部16aに吸引保持された状態から真空破壊が生じたときに開口部16aから流れ出る気流により瞬時にワーク移送路15a上から斜め前方へ浮上し、後続のワークから離れて端末部の側へ高速に移動し、当初はやや上下にふらつきながら斜め上方に押し上げられるが、すぐに噴出口18bから噴出する気流により姿勢が安定して移送方向Tへさらに加速しながら移送されることが判明した。
【0077】
また、上記給気構造A2を完全に停止させた場合でも開口部16aから流れ出る気流によりワークは確実に移送されることが確認された。ただし、給気構造A2を用いない場合にはワーク搬出速度はやや低下した。ただし、この場合についても、従来方法に比べると格段に高い搬出速度が得られ、搬出ミスやワークの損傷も大幅に低減している。本実施形態では、開口部16a上に吸着されていたワークが開口部16aから流れ出る気流によりワーク移送路15aの底面から浮上し、この浮上した状態で気流によりさらに移動するので、ワーク移送路15aの底面との間の摩擦等の影響もなく、瞬時に加速し高速で移動できるものと考えられる。
【0078】
本実施形態において、ワーク移送路15aは、分離用通気穴16の開口部16aの上方側に配置される(張り出す)被覆板114によって被覆される。このため、分離用通気穴16の開口部16aから流れ出す斜め上方に向けた気流によってワークが斜め上方側へ押し出された場合、被覆板114によってワークの飛び上がりが抑止されるとともに姿勢が乱れても矯正され、上記気流も被覆板114により移送方向に導かれるので、ワークをより安定かつ確実に前方へ移送することが可能になる。
【0079】
この場合において、被覆板の先端部が上記開口部の上方側若しくは移送方向に向けて斜め上方側に配置されているため、ワークの移送先においてワーク移送路15aの上方側を開放することができることから、ワークの搬出やメンテナンスに支障をきたすことがなくなる。また、本実施形態では、被覆板114を搬送体11に固定し、被覆板114の先端部を搬送体11上からワーク分離ユニット15上へ張り出させているため、被覆板114は搬送体11とともに搬送方向F(本実施形態では移送方向Tと一致する。)に振動する。したがって、ワークが被覆板114に対して開口部16aの側(下側)から当接した際に摩擦力によって被覆板114がワークを移送方向Tへ押し出す作用も期待できる。
【0080】
なお、被覆板114はワーク分離ユニット15に固定してもよい。この場合には、被覆板114は振動せず静止した状態になるので、上記の押し出す作用は期待できないが、確実にワークの飛び上がりを抑止でき、姿勢も矯正できる。また、本実施形態では、被覆板114の先端縁に上記噴出口18bを設けているので、ワーク及び上記気流が被覆板114に抑止された後に噴出口18bから噴出する気流によってスムーズに前方へと導かれる。
【0081】
図10は、異なる第2実施形態の制御部Cの動作を示すタイミングチャートである。この第2実施形態では、第1の検出信号PHS1と第2の検出信号PHS2が共に(或いはそれらのいずれか一方が)ONからOFFになったときに制御信号SOL2がOFFからONになる点は第1実施形態と同様である。一方、この実施形態が上記第1実施形態とは異なる点は、制御信号SOL2が期間t1後にOFFに復帰するのではなく、第1の検出信号PHS1がOFFからONになったときに制御信号SOL2がOFFに戻る点である。これにより、この第2実施形態では、上記開口部16aから流れ出る気流が第1の検出信号PHS1がOFFからONになるまで継続してワークP1に吹き付けられるので、ワークP1をより確実に最終的な位置決め位置まで移送することができる。
【0082】
以上説明した各実施形態では、上述の効果に加えて、ワーク分離ユニットに振動を与える必要がなくなるので、種々の搬送装置に広く適用できる。また、無振動状態となるように設定できるため、吸引保持のリークが少なく、確実にワークを保持できるとともに、センサチャタリングが少なくなり、搬出ミスや搬出時のワーク損傷が低減でき、しかも、跳ね返り等が低減されて位置決め精度も向上できるという効果を奏する。さらに、ワークの供給速度を低下させないため、近年の高速搬送に適したワーク分離を行うことができる。
【0083】
尚、本発明のワーク分離ユニット及び振動式搬送装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。本実施形態では開口部16a、17aはワーク移送路15aの底面に開口し、被覆板114の張出部分はワーク移送路15aを上方から覆っているが、これはあくまでも一例にすぎない。例えば、開口部16a、17aがワーク移送路15aの幅方向一方の傾斜した内側面に開口し、被覆板に相当する被覆部材が他方の側に逆傾斜で対向配置されていてもよい。すなわち、本実施形態の上下方向は対向する方向の一例であり、本発明の構成は相互の位置関係が保たれる限り、上下方向に限定されるものではない。
【0084】
例えば、本実施形態では、上記ワーク分離ユニット15が振動式搬送装置の一部として構成されている場合を説明したが、振動式搬送装置に限定されることなく、各種の搬送装置に適用することができる。また、上記ワーク分離ユニット15は、搬送装置に支持されるのではなく、独立して支持固定された状態で用いられてもよい。さらに、搬送装置の一部としてではなく、下流側のワーク処理装置、或いは、搬出機構の一部として構成されていてもよい。
【0085】
また、本実施形態において、上記ワーク分離ユニット15は、搬送されてきたワークを最終的に終端面15dに当接する第2の領域15Y内の位置に位置決めする機能を有しているが、この位置決め機能を有していない態様で構成することもできる。すなわち、ワーク分離ユニット15としてはワークをワーク移送路15a上で分離する機能さえ有していればよい。例えば、ワーク移送路15aに位置決め用通気穴17及び終端面15dが形成されずに、第1の領域15Yからそのまま下流側にワークが移送された後にワーク導出口から導出されたり、回転インデクサに移載されたりするように構成してもよい。この場合、第1の検出ラインL1よりも所定距離だけ下流側に第2の検出ラインL2が設定され、先頭のワークが第1の検出ラインL1に到達した時点で次のワークが分離用通気穴16により第1の領域15Xに吸引保持され、先頭のワークが第2の検出ラインL2に到達した時点で次のワークの吸引保持状態が解除されて気流により下流側に移送されるといった構成にすることができる。
【符号の説明】
【0086】
10…振動式搬送装置、11…搬送体、11a…ワーク搬送路、11b…ワーク導出口、12…加振機構、15…ワーク分離ユニット、15a…ワーク移送路、15b…ワーク導入口、15X…第1の領域、15Y…第2の領域、16…分離用通気穴、16a…開口部、17…位置決め用通気穴、17a…開口部、18…対向側給気部、18a…通気路、18b…噴出口、E1、E2…排気構造、A1、A2…給気構造、C…制御部、D…ワーク搬出手段、S1…第1の検出器、S2…第2の検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部にワーク導入口を備えたワーク移送路と、
前記ワーク導入口の側の第1の領域において前記ワーク移送路に開口する開口部を備えるとともに、給気時において前記第1の領域に対して前記ワーク導入口とは反対側にある第2の領域へ向けて前記開口部から流れ出る斜めの気流を生じるように構成された通気構造を備えた分離用通気穴と、
前記分離用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク分離用排気手段と、
前記第2の領域においてワークを検出するワーク検出手段と、
前記分離用通気穴に給気することにより前記開口部から気流を生じさせる通気穴給気手段と、
前記ワーク検出手段によるワーク検出時には前記ワーク分離用排気手段を動作させるとともに前記通気穴給気手段を停止させ、また、前記ワーク検出手段によるワーク非検出時には前記ワーク分離用排気手段を停止させるとともに前記通気穴給気手段を動作させる制御手段と、
を具備することを特徴とするワーク分離ユニット。
【請求項2】
前記第2の領域において前記ワーク移送路に開口する開口部を備えた位置決め用通気穴と、前記位置決め用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク位置決め用排気手段と、前記ワーク位置決め用排気手段の吸引力により前記開口部に位置決めされたワークを検出するワーク位置決め検出手段と、をさらに具備し、
前記制御手段は、前記ワーク位置決め検出手段による位置決め検出時に前記ワーク位置決め用排気手段を停止させ、前記ワーク位置決め検出手段による位置決め非検出時に前記ワーク位置決め用排気手段を動作させることを特徴とする請求項1に記載のワーク分離ユニット。
【請求項3】
前記第2の領域において前記ワーク移送路に開口する開口部を備えた位置決め用通気穴と、前記位置決め用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク位置決め用排気手段と、をさらに具備し、
前記通気穴給気手段と、前記ワーク位置決め用排気手段とが並行して動作する期間を有することを特徴とする請求項1に記載のワーク分離ユニット。
【請求項4】
前記位置決め用通気穴は排気時において前記第1の領域の側から前記開口部に流れ込む斜めの気流を生じさせる通気構造を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のワーク分離ユニット。
【請求項5】
前記ワーク移送路に対して前記分離用通気穴の開口部と対向する側に前記第2の領域へ向けて気流を生じさせる対向側給気手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のワーク分離ユニット。
【請求項6】
前記ワーク移送路は、前記分離用通気穴の開口部と対向する側に配置される被覆部材によって被覆されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のワーク分離ユニット。
【請求項7】
搬送端末部にワーク導出口を備えたワーク搬送路を有する搬送体と、この搬送体を振動させる加振機構と、前記ワーク導出口と間隙を介して配置されてなるワーク分離ユニットと、を具備し、
前記ワーク分離ユニットは、
前記ワーク導出口と対向するワーク導入口を備えたワーク移送路と、
前記ワーク移送路における前記ワーク導入口の側の第1の領域において開口する開口部を備えた分離用通気穴と、
前記分離用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク分離用排気手段と、
前記ワーク移送路における前記第1の領域よりも前記ワーク導入口とは反対側にある第2の領域においてワークを検出するワーク検出手段と、
前記第1の領域から前記第2の領域に向けて気流を生じさせるワーク移送用給気手段と、
前記ワーク検出手段によるワーク検出時には前記ワーク分離用排気手段を動作させるとともに前記ワーク移送用給気手段を停止させ、また、前記ワーク検出手段によるワーク非検出時には前記ワーク分離用排気手段を停止させるとともに前記ワーク移送用給気手段を動作させる制御手段と、
を有することを特徴とする振動式搬送装置。
【請求項8】
前記分離用通気穴は給気時において前記第2の領域へ向けて前記開口部から流れ出る斜めの気流を生じるように構成された通気構造を備え、前記ワーク移送用給気手段は前記分離用通気穴に給気することにより前記開口部から前記気流を生じさせることを特徴とする請求項7に記載の振動式搬送装置。
【請求項9】
前記第2の領域において前記ワーク移送路に開口する開口部を備えた位置決め用通気穴と、前記位置決め用通気穴を排気することにより前記開口部においてワークに対する吸引力を生じさせるワーク位置決め用排気手段と、前記ワーク位置決め用排気手段の吸引力により位置決めされたワークを検出するワーク位置決め検出手段と、をさらに具備し、
前記制御手段は、前記ワーク位置決め検出手段による位置決め検出時には前記ワーク位置決め用排気手段を停止させ、前記ワーク位置決め検出手段による位置決め非検出時には前記ワーク位置決め用排気手段を動作させることを特徴とする請求項7又は8に記載の振動式搬送装置。
【請求項10】
前記位置決め用通気穴は、前記ワーク位置決め用排気手段による排気時において前記第1の領域の側から前記開口部に流れ込む斜めの気流を生じさせる通気構造を備えることを特徴とする請求項9に記載の振動式搬送装置。
【請求項11】
前記ワーク移送路に対して前記分離用通気穴の開口部と対向する側に前記第2の領域へ向けて気流を生じさせる対向側給気手段をさらに具備することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の振動式搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−56749(P2012−56749A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203779(P2010−203779)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【特許番号】特許第4750899号(P4750899)
【特許公報発行日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(599069507)株式会社ダイシン (27)
【Fターム(参考)】