説明

ワーク切断装置

【課題】ワークやその支持ピンへの応力の発生を防止し、切り終わりにブロックの割れや欠けを防止する。
【解決手段】ワーク切断装置1は、ワークが載置されるステージ11と、ステージ11を昇降させるシリンダ12と、ワークの底面を支持する複数の底面支持ピン13と、各底面支持ピン13を制御する複数のブレーキ付シリンダ14と、ワークの対向する2つの側面をそれぞれ支持する複数の側面支持ピン21と、各側面支持ピン21を制御する複数のブレーキ付シリンダ22と、ワーク切断機構30とを備えている。各ブレーキ付シリンダ14は、対応する底面支持ピン13をそれぞれ上昇させてステージ11上のワークの底面に接触させた後、その位置で動かないようにロックする。また、各ブレーキ付シリンダ22は、複数の側面支持ピン21の各々を水平方向に移動させてステージ11上のワークの側面に接触させた後、その位置で動かないようにロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク切断装置に関し、特に、角柱状のシリコンブロックから複数個のブロックを切り出す際に好ましく用いられるワーク切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、太陽電池用多結晶シリコンは、溶融シリコンを鋳型で凝固させる鋳造法(キャスト法)、または電磁誘導による連続鋳造法(電磁鋳造法)で製造される。太陽電池用多結晶シリコンの鋳造では、角形の石英るつぼ、或いは角形のグラファイト製の鋳型が用いられ、得られたシリコンインゴットも角柱状となる。このシリコンインゴットを加工しやすい所定のサイズのシリコンブロックに分割した後、シリコンブロックをスライスすることにより、例えば約15×15cmの正方形の太陽電池用多結晶シリコン基板が完成する。
【0003】
シリコンインゴットを分割することによって得られるシリコンブロックはバンドソーで切り出された加工精度の低いブロックであり、切断面は湾曲していたり対向面が平行でなかったりする。そのため、シリコンブロックをさらに小さく分割する工程では、このような切断面の形状に配慮してシリコンブロックをクランプする必要がある。
【0004】
図6は、シリコンブロックを切断する従来のワーク切断装置の構成を示す図であって、(a)は略側面断面図、(b)は略平面図である。
【0005】
図6(a)及び(b)に示すように、従来のワーク切断装置40は、シリコンブロック49の底面を支持するステージ41と、シリコンブロック49の対向する2つの側面をそれぞれ支持する側面支持機構42,42と、シリコンブロック49を切断するバンドソー等の切断機構46とを備えている。ステージ41は平坦な形状であり、シリコンブロック49の両側面の固定は複数(ここでは8つ)の側面支持ピン43によって行われる。側面支持ピン43は分割される各ブロックの左右に2つずつ用意され、各側面支持ピン43はバネ受け44によって弾性的に支持されている。片側の4つの側面支持ピン43は共通のスライドテーブル45上に搭載されており、各側面支持ピン43を進退移動させる駆動機構は片側につき1個のみである。
【0006】
このワーク切断装置40においてシリコンブロック49の側面を支持する場合には、スライドテーブル45を前進させて側面支持ピン43を側面に押し当てた後、その位置でスライドテーブル45をロックすればよい。シリコンブロック49の側面に接する側面支持ピン43は所定の押圧力でシリコンブロック49の側面を押圧している。このときの押圧力は側面までの距離によって異なる。バンドソーによって切り出されたシリコンブロックの切断面が歪んでいることにより、側面までの距離が相対的に近い場合には、側面支持ピン43の押圧力は強くなり、逆に側面までの距離が相対的に遠い場合には、側面支持ピン43の押圧力は弱くなる。
【0007】
また、特許文献1には、シリコンブロックの切り終わり部分を下方から支持するためのシリコンブロック支えパッドと、シリコンブロック支えパッドを下方から上昇させてシリコンブロックに密着させるためのパッド上昇機構とを有するワーク切断装置が提案されている。しかし、この切断装置は、円柱状の単結晶シリコンブロックを対象としており、この切断装置を四角い鋳物のシリコンブロックに適用した場合、シリコンブロックを面支持するため完全に密着できず、前工程バンドソーでの湾曲面や斜断面では切り終わりでシリコンブロックが動き、その結果、割れや欠けが発生するおそれがある。
【0008】
そのため、特許文献2には、のこぎり切断機のクランプ装置であって、切り込み途中でのこぎり刃がワークの切り込み溝に挟まれず、切断幅の大きなワークであっても刃先が周回の戻り過程で切り込み溝の側面に接触せず、切断後ののこぎり刃を切断面に触れさせず直接に後退可能であり、傷のない良好な切断面が得られるクランプ機構が提案されている。
【0009】
特許文献3には、被切断材料の両側又は片側におけるクランプ装置の接触片が刃物の切断方向とは垂直な方向に移動し得るように取り付けられ、切断終了と同時に接触片が移動するように移動装置が設けられ、切断面への刃物の食い込みを防止する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−160825号公報
【特許文献2】特開平11−33820号公報
【特許文献3】特開昭49−60069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図6に示した従来のワーク切断装置では、シリコンブロック49の切断面が湾曲している場合に、その面を下向きにしてステージ41上に搭載すると、シリコンブロック49の中央部分がステージ41に接触せず浮いた状態となり、ブロックを切り出す際にその切り終わりの部分にブロックの荷重が集中し、その結果、欠けや割れが発生するという問題がある。
【0012】
また、シリコンブロック49の切断面が斜断されている場合においてその面を横向きにしてステージ41上に搭載すると、各側面支持ピンの荷重のばらつきが発生し、シリコンブロック49からブロックを切り出す際にその切り終わりで両端の荷重がバランスをとろうとして、ブレードの走行方向(水平方向)の負荷も加わり、その結果、欠けや割れが発生するという問題もある。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、シリコンブロック等のワークに内部応力が発生することを防止し、ブロックの切り終わりに割れや欠けを防止することが可能なブロック切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明によるワーク切断装置は、略角柱状のワークの底面を支持する底面支持機構と、前記ワークの対向する2つの側面をそれぞれ支持する側面支持機構と、前記底面支持機構及び前記側面支持機構によって支持された前記ワークを複数のブロックに切断する切断機構とを備え、前記底面支持機構は、前記ワークが載置されるステージと、前記ステージを昇降させるステージ昇降機構と、前記ワークの底面を支持する複数の底面支持ピンと、前記複数の底面支持ピンの各々の高さを独立して制御する複数の底面支持ピン制御機構とを備え、各底面支持ピン制御機構は、対応する底面支持ピンをそれぞれ上昇させて前記ステージ上の前記ワークの底面に接触させた後、その位置で動かないようにロックすることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、複数の底面支持ピンがシリコンブロック2の底面をそれぞれ均等な荷重で支持するので、底面の平坦性が悪くステージから浮いた部分を有するシリコンブロックを切り出す際に、その切り終わりでブロックの重量が集中し、欠けや割れが発生するという問題を解消することができる。
【0016】
本発明において、前記複数の底面支持ピンは、分割後のブロックの底面を4点で支持することが好ましく、各ブロックの底面の四隅を支持するように配置されていることが好ましい。この構成によれば、分割前後においてシリコンブロックの底面を確実に支持することができる。
【0017】
本発明において、前記ステージ昇降機構は、前記ワークが前記複数の底面支持ピンによって支持された後、前記ステージを降下させることが好ましい。この構成によれば、ワークの底面の形状に合わせて複数の底面支持ピンの高さ方向の位置を容易に調整することができ、最終的には底面支持ピンのみで支持することができる。
【0018】
本発明において、前記側面支持機構は、前記ステージ上に載置された前記ワークの対向する2つの側面をそれぞれ支持する複数の側面支持ピンと、前記複数の側面支持ピンの各々の水平方向の位置を独立して制御する複数の側面支持ピン制御機構とを備え、前記複数の側面支持ピン制御機構の各々は、前記複数の側面支持ピンの各々を水平方向に移動させて前記ステージ上の前記ワークの側面に接触させた後、その位置で動かないようにロックすることが好ましい。
【0019】
この構成よれば、複数の側面支持ピンがシリコンブロックの側面をそれぞれ均等な荷重でクランプするので、ブロックをバンドソーで切り出す際に、荷重のばらつきによってブロックの切り終わりで両端の固定荷重がバランスをとろうとしてブレード走行方向に負荷が加わり、欠けや割れが発生するという問題を解消することができる。
【0020】
本発明において、前記複数の側面支持ピンは、分割後のブロックの一方及び他方の側面をそれぞれ2点で支持することが好ましい。この構成によれば、分割前後においてシリコンブロックの側面を確実に支持することができる。
【0021】
本発明において、前記側面支持ピン制御機構は、前記ワークを固定する前に、前記ステージの幅方向中央から見て前記ワークの幅の1/2の位置に前記側面支持ピンの先端を移動させて、前記ステージ上の前記ワークの位置及び向きを補正することが好ましい。ステージ上にワークを単に置いただけではその位置や向きが正確ではなく、これを調整する必要があるが、側面支持ピンを用いてこの調整を行うことにより、特別な装置を用いることなく簡単に位置調整することができる。
【0022】
本発明において、前記底面支持ピン制御機構及び前記側面支持ピン制御機構は、ブレーキ付シリンダであることが好ましい。ブレーキ付シリンダを用いることにより、ワークの底面や側面に対して過度な押圧力を与えることなく、支持ピンの移動及び位置決めを容易且つ正確に行うことができる。
【0023】
本発明において、前記ワークは、シリコンインゴットから切り出されたシリコンブロックであることが好ましい。シリコンインゴットから切り出されたシリコンブロックの切断面は湾曲していたり対向面が平行でなかったりすることから、本発明はこのようなシリコンブロックの切断加工に対して顕著な効果を有するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ワークや支持ピンに内部応力が発生することを防止し、切り終わりにブロックの割れや欠けを防止することが可能なブロック切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の好ましい実施の形態によるワーク切断装置の構成を示す略側面図である。
【図2】図1に示すワーク切断装置の略平面図であって、特に底面支持ピン13の平面レイアウトを示している。
【図3】底面支持ピン13によるクランプ動作を説明するための模式図である。
【図4】側面支持ピン21によるクランプ動作を説明するための模式図である。
【図5】ワーク装置のクランプ動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】従来のワーク切断装置のクランプ動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の好ましい実施の形態によるワーク切断装置の構成を示す略側面図である。また、図2は、図1に示すワーク切断装置の略平面図であって、特に底面支持ピン13の平面レイアウトを示している。
【0028】
図1及び図2に示すように、本実施形態によるワーク切断装置1は、シリコンインゴットから切り出されたシリコンブロックを加工対象(ワーク)とするものであり、略直方体のシリコンブロック2は、上面2a、底面2b及び4つの側面2c〜2fを有している。シリコンブロック2の4つの側面2c〜2fのうち、互いに対向する2つの側面2c,2dはシリコンブロック2の長手方向と平行な側面であり、互いに対向する他の2つの側面2e,2fは長手方向と直交する側面である。本実施形態におけるシリコンブロック2は、図2の一点鎖線Lで示すように、側面2e,2fと平行な平面に沿って切断されて、複数のブロックに分割される。
【0029】
図1に示すように、ワーク切断装置1は、シリコンブロック2の底面2bを支持する底面支持機構10と、シリコンブロック2の対向する2つの側面2c,2dをそれぞれ支持する側面支持機構20C,20Dと、底面支持機構10及び側面支持機構20C,20Dによって支持されたシリコンブロック2を複数のブロックに切断する切断機構30とを備えている。特に限定されるものではないが、切断機構30としてはバンドソーを好ましく用いることができる。また、2つの側面支持機構20C,20Dは支持する側面が異なるだけであり、両者の構成は同一であるため、互いに左右対称な関係を有している。
【0030】
底面支持機構10は、シリコンブロック2が載置されるステージ11と、ステージ11を昇降させるシリンダ(ステージ昇降機構)12と、シリコンブロック2の底面2bを支持する複数の底面支持ピン13と、複数の底面支持ピン13の高さを独立して制御する複数のブレーキ付シリンダ(側面支持ピン制御機構)14とを備えている。
【0031】
ステージ11はシリコンブロック2の底面2bの幅方向の中央部を支持している。ステージ11はその下方に設けられたシリンダ12によって昇降可能に支持されている。シリンダ12は、シリコンブロック2の搭載時にはステージ11を所定の上昇位置に保持し、シリコンブロック2が複数の底面支持ピン13によって支持された後はステージ11を降下させる。
【0032】
複数の底面支持ピン13は、シリコンブロック2の底面2bの幅方向の両端に配置されている。また、図2に示すように、複数の底面支持ピン13は、分割された各ブロックの四隅を均等に支持(4点支持)するようにその個数及び配置が設定される。底面支持ピン13の材質としては、シリコンブロック2の表面を傷つけることがないように樹脂を用いることが好ましい。各底面支持ピン13はブレーキ付シリンダ14に接続されており、昇降可能に構成されている。各ブレーキ付シリンダ14は、対応する底面支持ピン13を一定の荷重で上昇させてステージ11上のシリコンブロック2の底面2bに接触させた後、その位置で動かないようにロックするブレーキ機能を有している。
【0033】
図3は、底面支持ピン13によるクランプ動作を説明するための模式図である。
【0034】
図3に示すように、シリコンブロック2の湾曲した面を下向きにしてステージ11上に搭載するとき、複数の底面支持ピン13はその高さが個別に調整されて、シリコンブロック2の底面に接する。このとき、各底面支持ピン13は弾性力で押しつけられることなくシリコンブロック2の底面2bに接触し、面内で均等な荷重を付与している。平坦なステージ11でシリコンブロック2を支持する場合には、シリコンブロック中央とステージ11とが接触せず浮いた状態となり、中央ブロックを切り出す際にその切り終わりでブロック重量がかかり、その結果、欠けや割れが発生するおそれがある。しかし、シリコンブロック2の底面2bを点支持する場合には、ブロックの切り終わり部分に応力が加わることがなく、シリコンブロック2の割れや欠けを防止することができる。
【0035】
図2に示すように、側面支持機構20C,20Dの各々は、ステージ11上に載置されたシリコンブロック2の対向する2つの側面2c,2dをそれぞれ支持する複数の側面支持ピン21と、複数の側面支持ピン21の各々の水平方向の位置を独立して制御する複数のブレーキ付シリンダ(側面支持ピン制御機構)22と、側面支持ピン21の前後方向の移動をガイドする複数のボールスプライン23と、片側の複数のブレーキ付シリンダ及び複数のボールスプラインを搭載するスライドテーブル24とを備えている。
【0036】
複数の側面支持ピン21は、分割後のブロックの片側の側面につき2点で支持するようにその個数及び配置が設定される。側面支持ピン21の材質としては、シリコンブロック2の表面を傷つけることがないように樹脂を用いることが好ましい。各ブレーキ付シリンダ22は、複数の側面支持ピン21の各々を水平方向に移動させてステージ11上のシリコンブロック2の側面2c又は側面2dに接触させた後、その位置で動かないようにロックするブレーキ機能を有している。
【0037】
ブレーキ付シリンダ22は、対応する側面支持ピン21を一定の荷重で独立に進退させてシリコンブロック2の側面にそれぞれ接触させた後、その位置で動かないように固定する。側面支持ピン21は連結片25を介してブレーキ付シリンダ22及びボールスプライン23に接続されており、連結片25を用いることによって側面支持ピン21の高さ方向の適切な位置、つまりシリコンブロックの側面に当接するように調整されている。ブレーキ付シリンダ22及びボールスプライン23の軸部の先端は連結片25を介して側面支持ピン21に連結されている。
【0038】
複数のブレーキ付シリンダ22及びボールスプライン23は共通のスライドテーブル24上に搭載されている。したがって、スライドテーブル24上のすべての側面支持ピン21を一緒にスライドさせることが可能である。これにより、各側面支持ピン21の概略位置が一括で調整される。
【0039】
図4は、側面支持ピン21によるクランプ動作を説明するための模式図である。
【0040】
図4に示すように、側面が斜断面であるシリコンブロック2をステージ11上に搭載するとき、複数の側面支持ピン21はその位置が個別に調整されて、シリコンブロック2の側面に接する。このとき、各側面支持ピン21は弾性力で押しつけられることなくシリコンブロック2の側面に接触し、面内で均等な荷重を付与している。したがって、ブロックを切り出す際にその切り終わりで側面支持ピン21の押圧力の違いに起因する応力が加わることがなく、シリコンブロック2の割れや欠けを防止することができる。
【0041】
図5は、ワーク切断装置1によるシリコンブロック2のクランプ動作について説明するためのフローチャートである。
【0042】
図5に示すように、シリコンブロック2のクランプ動作では、ステージ11上のシリコンブロック2のセンタリングを行った後(ステップS1〜S3)、サイドクランプ(S4〜S6)、及び、ボトムクランプ(ステップS7〜S9)を順に行う。
【0043】
シリコンブロック2のクランプ動作では、まずステージ11を上昇させた状態でシリコンブロック2をステージ11上に載置する(ステップS1)。このとき、シリコンブロック2の位置や向きは適当であるので、センタリング動作によってその位置及び向きを補正する。詳細には、ブレーキ付シリンダ22を最大まで前進させた後、ブレーキをオンにする(ステップS2)。次に、各側面支持ピン21の先端位置がステージ11の幅方向中央から見てシリコンブロック2の幅の1/2の位置(側面基準位置)に来るようにスライドテーブル24を前進させる(ステップS3)。この動作により、側面基準位置よりも外側に飛び出している部分は、スライドテーブル24と共に前進する側面支持ピン21によって内側に押し込まれ、最終的にはステージ11上でセンタリングされる。
【0044】
次に、サイドクランプ動作を開始する。サイドクランプ動作では、ブレーキ付シリンダ22のブレーキをオフにした後(ステップS4)、側面支持ピン21の先端をシリコンブロック2の側面2c,2dにそれぞれ押し当てたままの状態でスライドテーブル24を一定量前進させる(ステップS5)。これにより、シリコンブロック2の側面への各側面支持ピン21の接触が独立して調整される。その後、ブレーキ付シリンダ22のブレーキをオンにすることにより、側面支持ピン21がその位置で動かないようにロックする(ステップS6)。これにより、シリコンブロック2の両側面がバネ性なしで固定された状態となる。以上により、サイドクランプ動作が完了する。
【0045】
次に、ボトムクランプ動作を開始する。ボトムクランプ動作では、シリコンブロック2が持ち上がらない程度の荷重でブレーキ付シリンダ14を上昇させて、底面支持ピン13の先端をシリコンブロック2の底面2bに押し当てる(ステップS7)。その後、ブレーキ付シリンダ14のブレーキをオンにすることにより、シリコンブロック2の底面2bがバネ性なしで支持された状態となる(ステップS8)。その後、ステージ11を降下させて、底面支持ピン13のみでシリコンブロック2を支持する(ステップS9)。以上により、ボトムクランプ動作が完了する。
【0046】
以上のようにシリコンブロック2の底面2b及び側面2c,2dをクランプした後、切断機構30によるシリコンブロック2の切断を開始する。なお、切断位置は図2の一点鎖線Lで示した通りである。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によるブロック切断装置1は、複数の底面支持ピン13がシリコンブロック2の底面をそれぞれ均等な荷重で支持すると共に、複数の側面支持ピン21がシリコンブロック2の側面2c,2dをそれぞれ均等な荷重でクランプするので、シリコンブロックを切り出す際にブロックの切り終わりで負荷が加わり、欠けや割れが発生するという問題を解消することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能であり、それらも本発明に包含されるものであることは言うまでもない。
【0049】
例えば、上記実施形態においては、シリコンブロックを切断する場合を例に挙げたが、本発明はシリコンブロックに限定されるものではなく、角柱状の種々のワークに適用可能である。
【0050】
また、上記実施形態においては、底面支持ピンや側面支持ピンを駆動するアクチュエータとしてブレーキ付シリンダを用いているが、本発明はブレーキ付きシリンダに限定されず、種々の制御機構を用いることができる。
【0051】
また、上記実施形態においては、側面支持機構20C,20Dを用いてシリコンブロックのセンタリングを行っているが、ステージ11上にシリコンブロックを精度良く載置する場合には、側面支持機構20C,20Dによるセンタリング動作を省略することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ワーク切断装置
2 シリコンブロック
2a シリコンブロックの上面
2b シリコンブロックの底面
2c,2d,2e,2f シリコンブロックの側面
10 底面支持機構
11 ステージ
12 シリンダ
13 底面支持ピン
14 ブレーキ付シリンダ
20C,20D 側面支持機構
21 側面支持ピン
22 ブレーキ付シリンダ
23 ボールスプライン
24 スライドテーブル
25 連結片
30 切断機構(バンドソー)
40 ワーク切断装置
41 ステージ
42 側面支持機構
43 側面支持ピン
44 バネ受け
45 スライドテーブル
46 切断機構
49 シリコンブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略角柱状のワークの底面を支持する底面支持機構と、
前記ワークの対向する2つの側面をそれぞれ支持する側面支持機構と、
前記底面支持機構及び前記側面支持機構によって支持された前記ワークを複数のブロックに切断する切断機構とを備え、
前記底面支持機構は、前記ワークが載置されるステージと、前記ステージを昇降させるステージ昇降機構と、前記ワークの底面を支持する複数の底面支持ピンと、前記複数の底面支持ピンの各々の高さを独立して制御する複数の底面支持ピン制御機構とを備え、
各底面支持ピン制御機構は、対応する底面支持ピンをそれぞれ上昇させて前記ステージ上の前記ワークの底面に接触させた後、その位置で動かないようにロックすることを特徴とするワーク切断装置。
【請求項2】
前記複数の底面支持ピンは、分割後のブロックの底面を4点で支持することを特徴とする請求項1に記載のワーク切断装置。
【請求項3】
前記ステージ昇降機構は、前記ワークが前記複数の底面支持ピンによって支持された後、前記ステージを降下させることを特徴とする請求項1又は2に記載のワーク切断装置。
【請求項4】
前記側面支持機構は、前記ステージ上に載置された前記ワークの対向する2つの側面をそれぞれ支持する複数の側面支持ピンと、前記複数の側面支持ピンの各々の水平方向の位置を独立して制御する複数の側面支持ピン制御機構とを備え、
前記複数の側面支持ピン制御機構の各々は、前記複数の側面支持ピンの各々を水平方向に移動させて前記ステージ上の前記ワークの側面に接触させた後、その位置で動かないようにロックすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のワーク切断装置。
【請求項5】
前記複数の側面支持ピンは、分割後のブロックの一方及び他方の側面をそれぞれ2点で支持することを特徴とする請求項4のいずれか一項に記載のワーク切断装置。
【請求項6】
前記側面支持ピン制御機構は、前記ワークを固定する前に、前記ステージの幅方向中央から見て前記ワークの幅の1/2の位置に前記側面支持ピンの先端を移動させて、前記ステージ上の前記ワークの位置及び向きを補正することを特徴とする請求項4又は5に記載のワーク切断装置。
【請求項7】
前記底面支持ピン制御機構及び前記側面支持ピン制御機構は、ブレーキ付シリンダであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のワーク切断装置。
【請求項8】
略角柱状のワークの底面を支持する底面支持機構と、
前記ワークの対向する2つの側面をそれぞれ支持する側面支持機構と、
前記底面支持機構及び前記側面支持機構によって支持された前記ワークを複数のブロックに切断する切断機構とを備え、
前記側面支持機構は、前記ステージ上に載置された前記ワークの対向する2つの側面をそれぞれ支持する複数の側面支持ピンと、前記複数の側面支持ピンの各々の水平方向の位置を独立して制御する複数の側面支持ピン制御機構とを備え、
前記複数の側面支持ピン制御機構の各々は、前記複数の側面支持ピンの各々を水平方向に移動させて前記ステージ上の前記ワークの側面に接触させた後、その位置で動かないようにロックすることを特徴とするワーク切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−144014(P2012−144014A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5838(P2011−5838)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】