ワーク検知システム、ピッキング装置及びピッキング方法
【課題】ワークの位置を短い時間で検出する装置を提供する。
【解決手段】ワーク11に配置され超音波による信号を発信する複数の超音波タグ7と、超音波タグ7が発信した信号を受信する3個以上の超音波受信装置15と、複数の超音波受信装置15が受信する信号の到達時間を用いて超音波タグ7の場所を検出する位置演算部とを有し、位置演算部は検出した複数の超音波タグ7における場所の情報からワーク11の位置と姿勢とを検出する。
【解決手段】ワーク11に配置され超音波による信号を発信する複数の超音波タグ7と、超音波タグ7が発信した信号を受信する3個以上の超音波受信装置15と、複数の超音波受信装置15が受信する信号の到達時間を用いて超音波タグ7の場所を検出する位置演算部とを有し、位置演算部は検出した複数の超音波タグ7における場所の情報からワーク11の位置と姿勢とを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク検知システム、ピッキング装置及びピッキング方法等にかかわり、特にワークの姿勢を検出するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品の組立や分類する工程においてロボットが用いられている。コンベア上を移動するワークの位置と姿勢とを検出してロボットがワークを把持する装置が特許文献1に開示されている。それによると、ステレオカメラを用いてワークの姿勢とステレオカメラとの距離とを検出する。そして、ロボットを制御してワークをピッキングしていた。
【0003】
超音波を用いて音源の位置を測定する方法が特許文献2に開示されている。それによると、1個の超音波源が送波する超音波を4個の受波装置が受波する。次に、4個の受波装置が受波した時間の差を用いて4個の受波装置に対する超音波源の相対位置を演算した。さらに、3個の受波装置を用いて3個の受波装置に対する超音波源の相対位置を求める方法も開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−1122号公報
【特許文献2】特開平6−222130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラを用いてワークを撮像して、撮像した画像を用いてワークの位置や姿勢を解析する方法がある。この方法では画像を解析してワークの特徴点を抽出するのに時間がかかる。さらに、ステレオカメラを用いる場合は、2つの画像を解析するので2倍の時間かかる。さらに、2つの画像から、ワークの特徴点の距離を演算するための時間がかかっていた。そこで、ワークの姿勢を短い時間で検出する装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例にかかるワーク検知システムであって、ワークに配置され信号を発信する複数の発信部と、前記発信部が発信した前記信号を受信する3個以上の受信部と、複数の前記受信部が受信する前記信号の到達時間を用いて前記発信部の場所を検出する位置演算部とを有し、前記位置演算部は検出した複数の前記発信部における前記場所の情報から前記ワークの姿勢を検出することを特徴とする。
【0008】
このワーク検知システムによれば、発信部が発信する信号を3個以上の受信部が受信する。発信部と受信部との距離が長い程、発信後に受信部が受信するまでの到達時間が長くなる。そして、信号の伝播速度と到達時間を掛算することにより、発信部と受信部との距離の差を演算することができる。その後、発信部と受信部との相対位置は三角測量法を用いて演算することができる。
【0009】
そして、ワークには複数の発信部が配置されているので、発信部の場所を検出することにより、ワークの姿勢を検出することができる。ワークの位置や姿勢を検出する方法としては撮像装置が撮像して、画像処理装置が画像解析する方法がよく用いられている。この場合は情報量が多いので解析するのに時間がかかる。本適用例の方法では画像処理装置を用いる方法に比べて少ない情報から発信部の場所を検出することができるので、位置演算部が短い時間でワークの姿勢を検出することができる。
【0010】
[適用例2]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記ワークは複数の種類があり、前記ワークが備える前記発信部間の距離が前記ワークの種類ごとに異なって配置されていることを特徴とする。
【0011】
このワーク検知システムによれば、ワークに配置された複数の発信部間の距離を検出することによりワークの種類を認識することができる。
【0012】
[適用例3]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記発信部間の前記距離と前記ワークとの関係を記憶する属性記憶部を有し、前記位置演算部は前記発信部間の前記距離のデータを用いて前記ワークの属性情報を検索することを特徴とする。
【0013】
このワーク検知システムによれば、属性記憶部に記憶されたワークの属性情報を用いて位置演算部はワークの属性情報を認識することができる。
【0014】
[適用例4]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記発信部は超音波を発信する超音波タグであり、前記受信部は超音波を受信することを特徴とする。
【0015】
このワーク検知システムによれば、超音波を用いて発信部と受信部との距離を計測している。光や電波等の電磁波に比べて超音波は伝播速度が遅い。従って、電磁波に比べて超音波は伝播距離に対応する伝播時間が長くなる。その結果、電磁波を用いるときに比べて、超音波を用いる方が伝播時間を測定し易くすることができる。
【0016】
[適用例5]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、複数の前記発信部は異なる向きに前記信号を発信するように配置されることを特徴とする。
【0017】
このワーク検知システムによれば、発信部は複数の方向に発信する。そして、複数の姿勢において発信部が発信する信号が受信部に伝播するように配置することができる。従って、ワークが反転するときにもワークの姿勢を検出することができる。
【0018】
[適用例6]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記異なる向きに配置される複数の前記発信部は異なる配置パターンに配置されることを特徴とする。
【0019】
このワーク検知システムによれば、ワークの向き毎に異なる配置パターンに発信部が配置されている。従って、位置演算部は配置パターンを検出することにより、ワークにおいて受信部を向いている面がどの面であるのかを認識することができる。
【0020】
[適用例7]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記ワークは発信部支持部材を有し、前記発信部は前記発信部支持部材に配置されていることを特徴とする。
【0021】
このワーク検知システムによれば、ワークと発信部支持部材とを分離することにより、ワークと複数の発信部とを分離することができる。従って、ワークに複数の発信部を直接配置する場合に比べて簡便にワークから発信部を分離することができる。
【0022】
[適用例8]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記ワークは発信開始信号受信部を有し、前記発信開始信号受信部に発信開始信号を発信する発信開始信号送信部をさらに有し、前記発信開始信号受信部が前記発信開始信号を受信した後に前記発信部は前記信号を発信することを特徴とする。
【0023】
このワーク検知システムによれば、発信開始信号送信部は各発信部に信号を発信するタイミングを指示することができる。そして、位置演算部は信号を発信するタイミングと受信部が受信するタイミングとを検出することができる。従って、位置演算部は信号の伝播速度と発信するタイミングと受信するタイミングとを用いて受信部と発信部との距離を検出することができる。
【0024】
[適用例9]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記発信開始信号送信部は所定のコードを含む前記発信開始信号を送信し、前記発信開始信号受信部は前記発信開始信号を受信し、予め設定されたコードと一致するときのみ前記発信部が前記信号を発信することを特徴とする。
【0025】
このワーク検知システムによれば、コードを用いて発信する発信部を指定している。従って、発信する発信部を識別することができる。ワークの種類が複数あるとき、ワークの種類とワークに配置する発信開始信号受信部が反応するコードとの関係を予め設定しておくことにより、ワークの種類を判別することができる。
【0026】
[適用例10]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記発信部のいくつかは異なる周波数の波形の前記信号を発信し、前記受信部が前記信号を受信した後、前記位置演算部が前記信号における波形の周波数を検出することを特徴とする。
【0027】
このワーク検知システムによれば、発信部が異なる周波数の波形の信号を発信する。そして、位置演算部が信号の周波数を検出する。従って、位置演算部は信号の周波数情報を用いて発信部を識別することができる。その結果、位置演算部は信号を発信する発信部を有するワークを識別することができる。
【0028】
[適用例11]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記受信部は前記ワークの移動方向に対して略同じ間隔に配置され、配置される前記受信部の個数は1個、2個、1個、2個と続いて配置され、前記ワークが移動するときに、1個の前記発信部が発信する信号を少なくとも3個の前記受信部が受信することを特徴とする。
【0029】
このワーク検知システムによれば、1個の受信部と2個の受信部とで3個の組を形成して信号を受信する。そして、ワークの移動方向に対して受信部の個数を3個、3個、3個、3個と続いて配置する場合に比べて、少ない個数の受信部で発信部の場所を検出することができる。
【0030】
[適用例12]
上記適用例にかかるワーク検知システムを備えたピッキング装置において、前記ワークを移動させるワーク移動部と、前記ワークを把持し所定の場所に移動させるロボットと、を備えたことを特徴とする。
【0031】
このピッキング装置によれば、短い時間でワークの場所を検出した後、ロボットがワークを把持している。従って、ワークの検出から移動までの時間を短くすることができる為、生産性良くワークを移動させることができる。
【0032】
[適用例13]
上記適用例にかかるピッキング装置において、撮像装置と前記撮像装置が撮像する画像を用いて前記ワークの位置と形状とを検出する画像演算部と、を備え、前記画像演算部は前記位置演算部から前記ワークの位置情報を入力し、前記画像のうち前記ワークが撮像されている場所を特定し、特定した前記場所を解析することを特徴とする。
【0033】
このピッキング装置によれば、画像演算部は位置演算部からワークの位置情報を入力している。そして、撮像装置がワークを撮像する。画像演算部はワークの位置情報を用いて撮像した画像においてワークが撮像されている場所を特定する。次に、画像の中で特定した場所を解析することによりワークの位置と形状を詳細に検出している。従って、画像演算部が撮像した画像を総て解析する場合に比べて解析する画像の範囲を小さくすることができる。その結果、短い時間でワークの位置と姿勢を検出することができる。
【0034】
[適用例14]
上記適用例にかかるピッキング装置において、前記ワーク移動部において前記ロボットとの相対位置が変わらない場所に前記発信部が配置され、前記ロボットにも前記発信部が配置されることを特徴とする。
【0035】
このピッキング装置によれば、ロボットとの相対位置が変わらない場所とロボットとに発信部が配置されている。そして、ワーク移動部の発信部の場所とロボットの発信部との場所とを位置演算部が検出することにより、ロボットとワーク移動部との位置関係を容易に認識することができる。従って、ワーク移動部に対するロボットの位置関係の初期設定を生産性良く行うことができる。
【0036】
[適用例15]
本適用例にかかるピッキング方法であって、ワーク移動部がワークを移動させる第1移動工程と、前記ワークに配置された複数の発信部が超音波の信号を発信し、受信部が前記ワークの姿勢を検出する第1検出工程と、ロボットが前記ワークを把持し、移動させる第2移動工程と、を有し、前記第1検出工程において前記発信部が前記信号を発信した後、複数の前記受信部に到達する到達時間から前記ワークの姿勢を検出することを特徴とする。
【0037】
このピッキング方法によれば、第1移動工程でワークを移動している。第1検出工程では移動するワークの姿勢を検出している。そして、ワークの姿勢の情報を用いて第2移動工程ではロボットがワークを把持し、移動している。第1検出工程では超音波信号の到達時間を計測して複数の発信部の場所を検出している。従って、画像処理装置を用いる方法に比べて少ない情報から発信部の場所を検出することができるので、短い時間でワークの姿勢を検出することができる。
【0038】
[適用例16]
上記適用例にかかるピッキング方法において、前記第1検出工程では前記ワークの場所を検出し、前記第1検出工程と前記第2移動工程との間に行われ、撮像装置を用いて前記ワークを撮像し、撮像した画像を解析して前記ワークの場所と姿勢とを検出する第2検出工程を有し、前記第2検出工程では、前記第1検出工程で検出した前記ワークの前記場所の情報を用いて、前記画像の一部を解析することを特徴とする。
【0039】
このピッキング方法によれば、第2検出工程においてワークを撮像し、撮像した画像を解析してワークの場所と姿勢とを検出している。このとき、第1検出工程で検出したワークの場所の情報を用いて、画像の一部を解析する。従って、撮像した画像を総て解析する場合に比べて解析する画像の範囲を小さくすることができる。その結果、短い時間で画像を解析することができる為、ワークの位置と姿勢を短い時間で検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、実施形態について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態における特徴的なワーク検出システムを備えたピッキング装置とピッキング方法について図1〜図9に従って説明する。ピッキング方法はワークを把持して移動して離すことにより、ワーク移動させる方法である。そして、ピッキング装置は、ピッキング方法を実施する装置である。
【0041】
図1は、ピッキング装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、ピッキング装置1は主にコンベア装置2、位置検出ユニット3及びロボット4から構成されている。コンベア装置2は1方向に長く形成された基台5を備えている。基台5の長手方向をX方向とする。そして、重力方向と逆の方向をZ方向とし、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。
【0042】
基台5のY方向の両側には一対の側板6が配置されている。各側板6の上面においてX方向の両側には超音波タグ7が配置されている。超音波タグ7は内部に超音波発信源を備えることにより、超音波を発信することができる。さらに、Y方向と逆側の側板6の上面には電波発信装置8が配置されている。電波発信装置8は発信回路とアンテナとを備え、所定の波形の電波信号を発信することができる。
【0043】
2つの側板6の間にはベルト9が配置されている。ベルト9は円筒状に形成されたシートからなり、ベルト9の内部には図示しないプーリーが配置されている。そして、プーリーによりベルト9はX方向に所定の張力がかけられている。側板6のX方向の逆側においてY方向と逆の面にはモータ10が配置され、モータ10の駆動軸はプーリーと接続されている。ベルト9の上面にはワーク11が載置され、ワーク11はワーク支持部12に支持されている。そして、ワーク支持部12には複数の超音波タグ7が配置されている。ワーク11は図示しない供給装置によりベルト9上に載置される。そして、モータ10を駆動することによりベルト9を介してワーク11をX方向に移動させることが可能になっている。
【0044】
コンベア装置2のY方向の側面には2本の支柱部13がZ方向に立設されている。支柱部13の上には受信装置支持部14が配置されている。受信装置支持部14の外形は梁により長方形に形成されている。そして、受信装置支持部14には2本の梁が内側に配置され、受信装置支持部14には矩形の窓14aが3つ形成されている。3つの窓14aの各辺に相当する場所の梁には超音波受信装置15が配置されている。超音波受信装置15は超音波信号を受信する装置であり、受信装置支持部14においてコンベア装置2側の面に配置されている。超音波受信装置15はベルト9の上側に位置し、超音波タグ7が発信する超音波信号を受信することができる。
【0045】
受信装置支持部14のX方向側の窓14aには撮像支持部16が配置され、撮像支持部16と接続して撮像装置17が配置されている。そして、撮像装置17はベルト9上に載置されたワーク11を撮影することが可能になっている。
【0046】
コンベア装置2のY方向と逆の方向でX方向の側にはロボット4が配置されている。ロボット4は基台20を備え、基台20上には回転台21が配置されている。回転台21は固定台21aと回転軸21bとを備えている。回転台21は内部にサーボモータと減速機構とを備え、回転軸21bを角度精度良く回転及び停止することができる。固定台21aには超音波タグ7が配置されている。超音波受信装置15を用いてコンベア装置2に配置された超音波タグ7と回転台21に配置された超音波タグ7との場所を検出する。そして、コンベア装置2とロボット4との相対位置のデータを設定することが可能になっている。
【0047】
回転台21の回転軸21bと接続して第1関節22が配置され、第1関節22と接続して第1腕23が配置されている。第1腕23と接続して第2関節24が配置され、第2関節24と接続して第2腕25が配置されている。第2腕25は固定軸25aと回転軸25bとを備え、第2腕25は第2腕25の長手方向を軸にして回転軸25bを回転することができる。第2腕25の回転軸25bと接続して第3関節26が配置され、第3関節26と接続して第3腕27が配置されている。第3腕27は固定軸27aと回転軸27bとを備え、第3腕27は第3腕27の長手方向を回転軸にして回転軸27bを回転することができる。第3腕27の回転軸27bと接続して手部28が配置され、手部28には一対の指部28aが配置されている。手部28にはサーボモータとサーボモータにより駆動される直動機構を備えている。そして、この直動機構により指部28aの間隔を変更可能になっている。
【0048】
第1関節22、第2関節24及び第3関節26は内部にサーボモータと減速機構とを備え、第1腕23、第2腕25及び第3腕27を角度精度良く回転及び停止することができる。上述のようにロボット4は多くの関節と回転機構を備えている。そして、これらの関節及び回転機構に加えて指部28aを制御することによりワーク11を把持することが可能になっている。
【0049】
ロボット4のX方向側には収納装置29が配置されている。ロボット4はワーク11をベルト9上から収納装置29の上面29aに移動する。収納装置29は内部に昇降機構を備え、ワーク11の量に応じて上面29aを下降させる。そして、収納装置29はワーク11を載置する場所の高さを同じ高さにする。
【0050】
ロボット4のX方向と逆側には制御装置30が配置されている。制御装置30はコンベア装置2、位置検出ユニット3、ロボット4等を含むピッキング装置1を制御する装置である。
【0051】
図2は、ワークを示す模式図である。図2(a)は、Z方向から見たワークを示す模式平面図であり、図2(b)は、Z方向と逆の方向から見たワークを示す模式平面図である。図2(c)は、ワークを示す模式側面図である。図2に示すように、ワーク11はワーク支持部12に固定されている。ワーク支持部12のZ側を向く上面12aには第1超音波タグ7aと第2超音波タグ7bが配置されている。そして、第1超音波タグ7a及び第2超音波タグ7bはZ方向に超音波32を発信する。ワーク支持部12のZ側と逆側を向く下面12bには第3超音波タグ7cと第4超音波タグ7dが配置されている。そして、第3超音波タグ7c及び第4超音波タグ7dはZ方向と逆の方向に超音波32を発信する。
【0052】
超音波タグ7が発信する超音波32は円錐状に広がって進行する。超音波32が広がるときの広がり角度32a及び周波数は超音波タグ7の仕様により異なり、特に限定されない。本実施形態では、例えば、広がり角度32aは約100度に設定している。超音波32の周波数は40Kヘルツに近い周波数を採用している。
【0053】
ワーク11を搭載したワーク支持部12は平板状となっている。従って、ワーク支持部12をベルト9上に載置するとき、ワーク支持部12は上面12aが超音波受信装置15の方向を向く場合と下面12bが超音波受信装置15の方向を向く場合とが起こりえる。ワーク支持部12には上面12a及び下面12bに超音波タグ7が配置されている。従って、上面12aと下面12bのどちらが超音波受信装置15側を向いても超音波タグ7は超音波受信装置15に超音波32を発信することが可能になっている。
【0054】
図3(a)は、超音波タグの電気制御ブロック図である。図3に示すように、超音波タグ7はアンテナ33を備えている。アンテナ33は受信回路34に接続されている。受信回路34はアンテナ33が受信した微弱電波を増幅する回路である。そして、アンテナ33及び受信回路34は電波発信装置8が発信した電波信号を受信する。受信回路34はコード分析回路35と接続されている。コード分析回路35は電波発信装置8が発信する電波信号を分析する回路である。電波信号にはコード信号と発信タイミング信号とが含まれている。コード分析回路35はコード信号を分析して超音波32を発信するか否かの判断を行う。コード信号のコードは認識番号を示す。各超音波タグ7にはコードが設定されており、コード分析回路35は受信したコード信号と超音波タグ7に設定されたコードとが一致するか否かを判断する。そして、受信したコード信号と超音波タグ7に設定されたコードとが一致するときコード分析回路35は超音波32を発信する判断をする。
【0055】
コード分析回路35は送信制御回路36と接続されている。そして、送信制御回路36は発信信号形成回路37及び送信回路38と接続されている。発信信号形成回路37は発振回路を含み予め設定された波形の電圧信号を形成する回路である。波形パターンは特に限定されず正弦波、矩形波、三角波等を用いることができ、本実施形態では例えば正弦波を採用している。波形の周波数は種類に限定されず複数種類の波形を形成できるようにしても良い。但し、1種類の波長のみ用いるときには必ずしも複数の周波数の波形を形成する必要はない。そして、発信信号形成回路37は形成した電圧信号を送信制御回路36に出力する。
【0056】
送信制御回路36は信号の送信を制御する回路である。コード分析回路35が超音波32を発信する判断をしたとき、発信信号形成回路37は形成した電圧信号を送信回路38に出力する。そして、発信タイミング信号と同期して電圧信号を出力する。送信回路38は増幅部と超音波出力部とを備えている。増幅部は入力した電圧信号を増幅して超音波出力部に出力する。超音波出力部は圧電素子を備えた振動板等からなり、電圧信号に対応して振動板を振動させる。そして、振動板が空気を振動させることにより、超音波32を発信する。
【0057】
超音波タグ7は電源部39を備えている。電源部39には電池や蓄電池等を用いることができる。本実施形態では、例えば、電源部39にリチウム2次電池を採用している。そして、電源部39は超音波タグ7が備える各回路に電力を供給する。
【0058】
つまり、超音波タグ7は電波信号を受信する。そして、電波信号に含まれるコード信号と超音波タグ7に予め設定されたコードとが一致するときに超音波32を発信する。このとき、電波信号に含まれている発信タイミング信号と同期して超音波32を発信する。
【0059】
図3(b)は、超音波受信装置の配置を示す模式図である。図3(b)に示すように、ベルト9上にワーク11が載置され、ベルト9と連動してワーク11が移動する。ベルト9と対向する場所には第1超音波受信装置15a〜第10超音波受信装置15jの超音波受信装置15が配置されている。ベルト9上は第1領域40aから第6領域40fの6個の受信領域40が設定されている。ベルト9の移動方向において上流側に第1領域40aが設定され、下流側に第6領域40fが設定されている。
【0060】
隣接する各領域の境界には超音波受信装置15が配置されている。例えば、第1領域40aと第2領域40bとの間には第2超音波受信装置15b及び第3超音波受信装置15cが配置されている。そして、第2超音波受信装置15b及び第3超音波受信装置15cは第1領域40a及び第2領域40bから発信される超音波32を受信する。同様に、第4超音波受信装置15dは第2領域40b及び第3領域40cから発信される超音波32を受信する。
【0061】
各受信領域40には3個の超音波受信装置15が配置され、各受信領域40で発信される超音波32を受信する。ワーク11が第1領域40aにおいて超音波32を発信するとき、第1超音波受信装置15a、第2超音波受信装置15b、第3超音波受信装置15cが超音波32を受信する。次に、ワーク11が第2領域40bにおいて超音波32を発信するとき、第2超音波受信装置15b、第3超音波受信装置15c、第4超音波受信装置15dが超音波32を受信する。そして、ワーク11が第1領域40aから第6領域40fまで移動するとき、各受信領域40に配置された超音波受信装置15が順次超音波32を受信する。
【0062】
図4は、ピッキング装置の電気制御ブロック図である。図4において、ピッキング装置1の制御部としての制御装置30はプロセッサとして各種の演算処理を行うCPU(演算処理装置)43と各種情報を記憶する属性記憶部としてのメモリ44とを有する。
【0063】
コンベア駆動装置45、電波発信装置8、超音波受信装置15、ロボット駆動装置46、収納装置29は、入出力インターフェース47及びデータバス48を介してCPU43に接続されている。さらに、画像処理装置49、入力装置50、表示装置51も入出力インターフェース47及びデータバス48を介してCPU43に接続されている。
【0064】
コンベア駆動装置45はコンベア装置2と接続され、コンベア装置2を制御する装置である。コンベア駆動装置45はベルト9の移動と停止及び移動するときの速度を制御する。ロボット駆動装置46はロボット4の動作を制御する装置である。ロボット駆動装置46はロボット4の姿勢に関する情報をCPU43に出力することができる。そして、CPU43が指示する場所に手部28を移動して、指部28aを動作することが可能になっている。
【0065】
画像処理装置49は撮像装置17と接続され、撮像装置17が撮像する画像を解析する装置である。撮像装置17がワーク11を撮像し、画像処理装置49が画像におけるワーク11の場所と姿勢とを解析することができる。
【0066】
入力装置50は超音波タグ7のコードやロボット4がワーク支持部12を把持するときの把持方法等の動作条件を入力する装置である。例えば、ワーク11毎のワーク支持部12の形状を示す座標を図示しない外部装置から受信し、入力する装置である。表示装置51はワーク11や超音波タグ7に関するデータや作業状況を表示する装置である。表示装置51に表示される情報を基に入力装置50を用いて操作者が入力操作を行う。
【0067】
メモリ44は、RAM、ROM等といった半導体メモリや、ハードディスク、DVD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、ピッキング装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト52を記憶する記憶領域がメモリ44に設定される。さらに、超音波タグ7に設置されたコード等の情報である超音波タグデータ53を記憶するための記憶領域もメモリ44に設定される。超音波タグデータ53には各ワーク11と超音波タグ7のコードとの関係も記憶される。さらに、コンベア装置2、位置検出ユニット3及び収納装置29とロボット4との相対位置等の情報であるロボット関連データ54を記憶するための記憶領域もメモリ44に設定される。さらに、ワーク11の形状やワーク11を把持するときにロボット4の指部28aがワーク11を挟む場所等のデータであるワークデータ55を記憶するための記憶領域もメモリ44に設定される。ワークデータ55には超音波タグ7のコードやワーク11の属性情報が記憶されている。属性情報にはワーク11やワーク支持部12の形状、超音波タグ7の配置やコード及びワーク11の組成等、工程で作業するために必要となる情報が含まれている。他にも、CPU43のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域がメモリ44に設定される。
【0068】
CPU43はメモリ44内に記憶されたプログラムソフト52に従って、ワーク11の識別やワーク11を移動させるための制御を行うものである。具体的な機能実現部として、ロボット4を駆動してワーク11を移動させるための制御を行うロボット制御部56を有する。他にも、特定の超音波タグ7に発信させるために電波発信装置8の制御を行う発信制御部57を有する。さらに、超音波受信装置15が受信する超音波32を用いて超音波タグ7の場所を演算する発信位置演算部58を有する。他にも、撮像装置17に撮像させるタイミングの制御や、撮像した画像において画像処理装置49が解析する部分を制御する撮像制御部59を有する。さらに、ロボット4の腕や手部28の動作をシミュレーションするシミュレーション演算部60を有する。他にも、ロボット4動作と連携してベルト9の動作を制御するコンベア演算部61を有する。
【0069】
(ピッキング方法)
次に、上述したピッキング装置1を用いて、ワーク11をコンベア装置2から収納装置29へ移動するピッキング方法について図5〜図9にて説明する。図5及び図6は、ワークをピッキングして移動する工程を示すフローチャートである。図7〜図9は、ピッキング方法を説明する図である。
【0070】
図5に示すフローチャートにおいて、ステップS1とステップS2〜ステップS7とが並行して行われる。ステップS1は、第1移動工程に相当し、コンベア装置を用いてワークを移動する工程である。次にステップS8に移行する。ステップS2は、第1検出工程に相当し、超音波タグが発信する超音波を受信してワークの場所を検出する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、第1シミュレーション工程に相当する。ワークの移動する場所を予測し、その場所へロボットの手部を移動するときの軌跡をシミュレーションする工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は、ワーク位置確認工程に相当し、第1領域〜第6領域のどの領域にワークが位置するかを確認する工程である。ロボットがワークを把持する領域は第6領域である。そして、ワークが第6領域に達してないときステップS2に移行する。ワークが第6領域に達したときステップS5に移行する。ステップS5は、第2検出工程に相当する。この工程は、撮像カメラ及び画像処理装置を用いてワークの場所を検出する工程である。次にステップS6に移行する。ステップS6は、第2シミュレーション工程に相当し、ワークの移動する場所を予測し、その場所へロボットの手部を移動するときの軌跡を精度良くシミュレーションする工程である。次にステップS7に移行する。ステップS7は、第2移動工程に相当し、ロボットがワークをベルトから収納装置へ移動する工程である。次にステップS8に移行する。ステップS8は、終了確認工程に相当し、ワークを総て流動したかを確認する工程である。流動するワークがあり、作業が終了していないときステップS1及びステップS2に移行する。流動するワークがなく作業を終了するとき、ワークをピッキングして移動する工程を終了する。
【0071】
次に、図6に示すフローチャートを用いてステップS2の第1検出工程を詳しく説明する。ステップS11は、ワーク選定工程に相当し、検出するワークの種類を決定する工程である。次にステップS12に移行する。ステップS12は、発信命令送信工程に相当し、特定の超音波タグへ発信指示信号を送信する工程である。次にステップS13に移行する。ステップS13は、発信命令受信工程に相当し、超音波タグが発信指示信号を受信する工程である。次にステップS14に移行する。
【0072】
ステップS14は、発信対象確認工程に相当し、超音波タグが発信指示を解析して、発信対象であるか否かを判断する工程である。発信対象でない超音波タグは次にステップS16に移行する。発信対象である超音波タグは次にステップS15に移行する。ステップS15は、発信工程に相当し、超音波を発信する工程である。次にステップS16に移行する。ステップS16は、受信工程に相当し、超音波受信装置が超音波を受信する工程である。次にステップS17に移行する。
【0073】
ステップS17は、信号有無確認工程に相当し、超音波を受信した超音波受信装置の有無を確認する工程である。超音波を受信した超音波受信装置がないときはステップS11に移行する。受信した超音波受信装置があるときはステップS18に移行する。ステップS18は、受信数確認工程に相当する。1つのワークには2つの超音波タグが配置されている。この2つの超音波タグからの超音波信号を受信が済んだかを確認する工程である。1ワーク分の受信をしていないとき、次に、ステップS12に移行する。1ワーク分の受信をしたとき、次に、ステップS19に移行する。
【0074】
ステップS19は、発信部位置演算工程に相当し、超音波タグの場所を演算する工程である。次にステップS20に移行する。ステップS20は、記憶工程に相当し、演算した超音波タグの場所をメモリに記憶する工程である。以上の工程によりステップS1の第1検出工程を終了する。
【0075】
次に、図7〜図9を用いて、図5及び図6に示したステップと対応させて、ワークのピッキング方法を詳細に説明する。図7(a)はステップS1の第1移動工程に対応する図である。図7(a)に示すように、ステップS1において、ベルト9上にワーク11が載置される。そして、ベルト9によりワーク11が移動される。
【0076】
ステップS11のワーク選定工程において、発信制御部57が超音波タグデータ53から1つのワーク11とそのワーク11に配置されている超音波タグ7のコードを選択する。超音波タグデータ53には複数のワーク11の情報が記憶されている。そして、ワーク11には番号が付与されている。発信制御部57は付与された番号順にワーク11を選択することにより洩れなくワーク11を選択することができる。各ワーク11には2つの超音波タグ7が配置され、各超音波タグ7にはコードが付与されている。そして、発信制御部57は2つの超音波タグ7における一方の超音波タグ7を選択し、選択した超音波タグ7のコードを入手する。
【0077】
図7(b)はステップS12の発信命令送信工程に対応する図である。ステップS11において、発信制御部57は電波発信装置8に電波信号64を発信する指示信号を出力する。図7(b)に示すように、ステップS12において、電波発信装置8は電波信号64を出力する。ベルト9上には複数の種類のワーク11が載置されている。そのワーク11に向けて電波信号64が放射される。
【0078】
ステップS13の発信命令受信工程において、超音波タグ7は電波信号64を受信する。電波信号64にはコード信号と発信タイミング信号とが含まれている。ステップS14の発信対象確認工程において、超音波タグ7は受信した信号を分析してコード信号が超音波タグ7に設定されたコードとが一致するかの判断をする。そして、コード信号と設定されたコードとが一致した第1超音波タグ7aが超音波32を発信する。
【0079】
図7(c)はステップS15の発信工程及びステップS16の受信工程に対応する図である。図7(c)に示すように、ステップS15において、第1超音波タグ7aは超音波32をZ方向に発信する。ベルト9のZ方向には超音波受信装置15が配置されている。そして、ステップS16の受信工程において、複数の超音波受信装置15が超音波32を受信する。発信制御部57は第1超音波タグ7aが発信してから各超音波受信装置15が受信するまでの時間を検出してメモリ44に記憶する。
【0080】
超音波受信装置15が受信するまでの時間の検出方法には、超音波32の振幅を検出する方法、参照波と波形比較して一致するタイミングを検出する方法、2つの周波数の超音波32を発信して、受信した超音波32の位相を検出する位相一致方法等がある。位相一致法は特開2006−242640号公報に開示されている。位相一致法は測定精度が良いので超音波32を発信してから受信するまでの時間を精度良く測定することができる。本実施形態では、例えば、位相一致法を採用している。
【0081】
次に、ステップS17の信号有無確認工程に移行する。超音波受信装置15が超音波32を受信しないとき、発信制御部57は、ステップS11のワーク選定工程において選択したワーク11がベルト9上にないと判断する。そして、ステップS11に移行して、別のワーク11を選択する。
【0082】
ステップS18の受信数確認工程において、発信制御部57は、ワーク11に配置されている超音波タグ7の組合せを確認する。メモリ44の超音波タグデータ53には各種類のワーク11に配置されている超音波タグ7のコードが記憶されている。発信制御部57は超音波32を発信した第1超音波タグ7aが配置されたワーク11の種類を確認する。次に、発信制御部57はこのワーク11に配置された第2超音波タグ7bのコードを確認する。そして、そのコードの超音波タグ7からはまだ受信していないことを確認する。次に、ステップS12〜ステップS14を再度実施する。
【0083】
図7(d)はステップS15の発信工程及びステップS16の受信工程に対応する図である。図7(d)に示すように、ステップS15において、第2超音波タグ7bは超音波32をZ方向に発信する。そして、発信制御部57は第2超音波タグ7bが発信してから各超音波受信装置15が受信するまでの時間を検出してメモリ44に記憶する。
【0084】
図8(a)及び図8(b)はステップS19の発信部位置演算工程に対応する図である。図8(a)に示すように、ステップS19において、第1超音波タグ7aが第1領域40aにいるときに第1超音波タグ7aの場所を検出する例を説明する。発信位置演算部58は、第1超音波タグ7aが発信した超音波32が第1超音波受信装置15aに到達するのにかかる到達時間と超音波32の伝播速度とを積算する。その結果、第1超音波タグ7aから第1超音波受信装置15aまでの距離である第1距離65aが算出される。同様な演算を行うことにより、第1超音波タグ7aから第2超音波受信装置15bまでの距離である第2距離65bが算出される。同様に、第1超音波タグ7aから第3超音波受信装置15cまでの距離である第3距離65cが算出される。
【0085】
ピッキング装置1における超音波受信装置15の場所は予め計測されており、ロボット関連データ54に超音波受信装置15の座標が記憶されている。そして、発信位置演算部58は、三角測量方式を用いてピッキング装置1における第1超音波タグ7aの場所を算出する。同様の方法を用いて、第2超音波タグ7bの場所を演算する。
【0086】
次に、図8(b)に示すように、ワーク11の姿勢を算出する。ワーク11の姿勢はワーク11の進行方向に対する姿勢角度66を示す。本実施形態ではワーク11の進行方向がX方向である。そして、X方向に対して第1超音波タグ7a及び第2超音波タグ7bを通過する直線が成す角度を姿勢角度66とする。そして、第1超音波タグ7aと第2超音波タグ7bとの中点を算出する。この中点をワーク位置67とする。
【0087】
発信位置演算部58は第1超音波タグ7a及び第2超音波タグ7bの距離を演算する。そして、タグ間の距離データを用いて発信位置演算部58はメモリ44に記憶されたワークデータ55から該当するワーク11を検索する。そして、ワーク11に関する属性情報を認識する。
【0088】
ステップS20の記憶工程ではワーク位置67と姿勢角度66とをワークデータ55としてメモリ44に記憶する。以上で、ステップS2の第1検出工程が終了する。
【0089】
図8(c)はステップS3の第1シミュレーション工程に対応する図である。図8(c)に示すように、ステップS3において、ワーク11の移動場所を推測する。コンベア装置2のベルト9は等速度で移動している。そして、ある時刻におけるワーク11の場所が検出されているので、所定の時間後にはベルト9の移動方向へ移動することが推測される。そして、シミュレーション演算部60は、ワーク11の移動予定の場所にロボット4の手部28が移動する軌跡を演算する。そして、ロボット4の手部28がワーク11を把持する予定の場所を決定する。
【0090】
ステップS4のワーク位置確認工程ではワーク11が第1領域40a〜第6領域40fのどの領域に位置するかを確認する。そして、ワーク11が第1領域40a〜第5領域40eに位置するときには、ステップS2〜ステップS4を繰り返す。従って、ベルト9に対してワーク11の姿勢及び位置が変化するとき、発信位置演算部58は変化に対応して超音波タグ7の位置を検出する。そして、シミュレーション演算部60がシミュレーションをし直すので、ロボット4の手部28がワーク11を把持する予定の場所を修正することができる。
【0091】
図9(a)及び図9(b)はステップS5の第2検出工程に対応する図である。図9(a)に示すように、ステップS5において、ワーク11は第5領域40eから第6領域40fへ移動する。そして、ステップS2のときと同様にワーク11に配置された超音波タグ7の場所を検出する。次に、ワーク11の場所と姿勢とを算出する。
【0092】
続いて、撮像制御部59は撮像装置17を駆動してワーク11を撮像する。図9(b)は撮像した撮影画像68を示す。次に、撮像制御部59は撮影画像68に解析領域69を設定する。解析領域69はワーク11の場所と姿勢のデータを用いて設定され、ワーク11の画像が解析領域69に入るように解析領域69が設定される。
【0093】
次に、画像処理装置49は、ワーク11が位置する場所と姿勢とを詳しく測定する。このとき、画像処理装置49が解析する範囲は解析領域69に限られているので、撮影画像68の総ての場所を解析するときに比べて早く算出することができる。
【0094】
図9(c)はステップS6の第2シミュレーション工程に対応する図である。図9(c)に示すように、ステップS6において、所定の時間後におけるワーク11の移動場所を推測する。そして、シミュレーション演算部60は、ワーク11の移動予定の場所にロボット4の手部28が移動する軌跡を演算する。そして、ロボット4の手部28がワーク11を把持する予定の場所を調整する。
【0095】
図9(d)はステップS7の第2移動工程に対応する図である。図9(d)に示すように、ステップS7において、ロボット4の手部28がベルト9上のワーク11を把持する。そして、ベルト9上から収納装置29の上に移動する。次に、ロボット4の手部28はワーク11を収納装置29の上面29aに載置する。ステップS8の終了確認工程にて作業を終了するか否かを確認する。以上の工程によりワークをピッキングする工程を終了する。
【0096】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、超音波受信装置15と超音波タグ7との相対位置を演算している。そして、ワーク11には2つの超音波タグ7が配置されているので、超音波タグ7の場所を検出することにより、ワーク11の姿勢を検出することができる。ワーク11の位置や姿勢を検出する方法としては撮像装置が撮像して、画像処理装置が画像解析する方法がよく用いられている。この場合は情報量が多いので解析するのに時間がかかる。超音波タグ7を用いる方法では画像処理装置を用いる方法に比べて少ない情報から発信部の場所を検出することができるので、位置演算部が短い時間でワークの位置や姿勢を検出することができる。
【0097】
(2)本実施形態によれば、超音波32を用いて超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を計測している。光や電波等の電磁波に比べて超音波32は伝播速度が遅い。従って、電磁波に比べて超音波32は伝播距離に対応する伝播時間が長くなる。その結果、電磁波を用いるときに比べて、超音波32を用いる方が伝播時間を測定し易くすることができる。
【0098】
(3)本実施形態によれば、超音波タグ7はワーク支持部12の上面12aと下面12bから超音波32を発信する。そして、ワーク11が反転するときにも超音波タグ7が発信する超音波32が超音波受信装置15に伝播するように配置されている。従って、ワーク11が反転するときにもワーク11の場所と姿勢とを検出することができる。
【0099】
(4)本実施形態によれば、ワーク11とワーク支持部12とを分離することにより、ワーク11と2つの超音波タグ7とを分離することができる。従って、ワーク11に2つの超音波タグ7を直接配置する場合に比べて簡便にワーク11と超音波タグ7とを着脱することができる。
【0100】
(5)本実施形態によれば、電波発信装置8は各超音波タグ7に信号を発信するタイミングを指示することができる。そして、発信位置演算部58は超音波32を発信するタイミングと超音波受信装置15が受信するタイミングとを検出することができる。従って、発信位置演算部58は超音波32の伝播速度と発信するタイミングと受信するタイミングとを用いて超音波タグ7と電波発信装置8との距離を検出することができる。
【0101】
(6)本実施形態によれば、コードを用いて発信する超音波タグ7を選択している。従って、発信する超音波タグ7を識別することができる。ワーク11の種類が複数あるとき、ワーク11の種類とワーク11に配置する超音波タグ7が反応するコードとの関係を予め設定しておくことにより、ワーク11の種類を判別することができる。
【0102】
(7)本実施形態によれば、ワーク11の移動方向に対して超音波受信装置15の個数は1個、2個、1個、2個と続いて配置されている。そして、1個の超音波受信装置15と2個の超音波受信装置15とで3個の組を形成して信号を受信する。そして、ワーク11の移動方向に対して超音波受信装置15の個数を3個、3個、3個、3個と続いて配置する場合に比べて、少ない個数の超音波受信装置15で超音波タグ7の場所を検出することができる。
【0103】
(8)本実施形態によれば、短い時間でワーク11の場所を検出した後、ロボット4がワーク11を把持している。従って、ワーク11の検出から移動までの時間を短くすることができる為、生産性良くワーク11を移動することができる。
【0104】
(9)本実施形態によれば、画像処理装置49は発信位置演算部58からワーク11の位置情報を入力している。そして、撮像装置17がワーク11を撮像する。画像処理装置49はワーク11の位置情報を用いて撮影画像68においてワーク11が撮像されている場所を特定する。次に、撮影画像68の中で特定した解析領域69を解析することによりワーク11の位置と形状を詳細に検出している。従って、画像処理装置49が撮像した画像を総て解析する場合に比べて解析する画像の範囲を小さくすることができる。その結果、短い時間でワーク11の位置と姿勢を検出することができる。
【0105】
(10)本実施形態によれば、コンベア装置2の側板6とロボット4の回転台21とに超音波タグ7が配置されている。そして、側板6に配置された超音波タグ7の場所と回転台21の超音波タグ7との場所を発信位置演算部58が検出することにより、コンベア装置2とロボット4との位置関係を容易に認識することができる。従って、コンベア装置2に対するロボット4の位置関係の初期設定を生産性良く行うことができる。
【0106】
(第2の実施形態)
次に、ピッキング方法の一実施形態について図10及び図11を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、ワーク11の種類毎に超音波タグ7の配置パターンが異なる点である。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0107】
図10は、超音波タグが配置されたワークの平面図である。すなわち、本実施形態では図10(a)〜図10(c)に示すように、複数種類のワーク11が用いられる。そして、ワーク支持部12に配置される超音波タグ7の配置パターンをワーク11毎に変えてある。第1ワーク11a、第2ワーク11b、第3ワーク11cはそれぞれ形状の異なるワーク11である。そして、各ワーク11はワーク支持部12に配置され、ワーク支持部12の表裏には超音波タグ7がそれぞれ2つ配置されている。第1ワーク11aが配置されたワーク支持部12の表面における超音波タグ7間の距離を第1表タグ間距離72aとする。そして、第1ワーク11aが配置されたワーク支持部12の裏面における超音波タグ7間の距離を第1裏タグ間距離72bとする。
【0108】
同様に、第2ワーク11bが配置されたワーク支持部12の表面における超音波タグ7間の距離を第2表タグ間距離73aとする。そして、第2ワーク11bが配置されたワーク支持部12の裏面における超音波タグ7間の距離を第2裏タグ間距離73bとする。さらに、第3ワーク11cが配置されたワーク支持部12の表面における超音波タグ7間の距離を第3表タグ間距離74aとする。そして、第3ワーク11cが配置されたワーク支持部12の裏面における超音波タグ7間の距離を第3裏タグ間距離74bとする。
【0109】
そして、第1表タグ間距離72a、第1裏タグ間距離72b、第2表タグ間距離73a、第2裏タグ間距離73b、第3表タグ間距離74a、第3裏タグ間距離74bはそれぞれ異なる距離に設定されている。他の種類のワーク11についても、ワーク支持部12に一対の超音波タグ7を配置する。そして、一対の超音波タグ7間の距離は各ワーク11の表裏毎に異なる距離に設定する。一対の超音波タグ7間の距離はメモリ44に超音波タグデータ53として記憶されている。従って、一対の超音波タグ7間の距離を検出することにより、ワーク11の種類と超音波受信装置15を向いている面を識別することができる。そして、発信位置演算部58は超音波タグ7間の距離のデータを用いて、メモリ44に記憶されたワークデータ55から該当するワーク11を検索する。そして、ワーク11に関する属性情報を認識する。
【0110】
図11は、第1検出工程を示すフローチャートである。次に、図11に示すフローチャートを用いてステップS2の第1検出工程を説明する。ステップS2以外の工程は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。ステップS2はステップS12から開始する。まず、ステップS12は、発信命令送信工程に相当する。この工程では、1つのワーク支持部12に配置された超音波タグ7のうち一方の超音波タグ7に対して、発信指示信号を送信する。次にステップS13に移行する。ステップS13〜ステップS16は第1の実施形態と同様のステップであり、説明を省略する。ステップS19の次にステップS17に移行する。ステップS17は、信号有無確認工程に相当し、超音波を受信した超音波受信装置の有無を確認する工程である。超音波を受信した超音波受信装置がないときはステップS12に移行する。受信した超音波受信装置があるときはステップS18に移行する。ステップS18及びステップS19の工程は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。ステップS19の次にステップS30に移行する。
【0111】
ステップS30は、ワーク種類解析工程に相当する。この工程では、ワーク支持部12に配置された一対の超音波タグ7の距離を演算する。次に、発信位置演算部58はメモリ44に記憶された超音波タグデータ53を検索する。そして、発信した超音波タグ7の距離と一致するワーク11の種類を推定する。続いて、ステップS20において、ワーク11の種類、位置及び姿勢のデータをメモリ44に記憶する。以上の工程によりステップS2の第1検出工程を終了する。
【0112】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ワーク11の向き毎に異なる配置パターンに超音波タグ7が配置されている。従って、発信位置演算部58は一対の超音波タグ7間の距離を演算することにより、ワーク11において超音波受信装置15を向いている面がどの面であるのかを認識することができる。
【0113】
(2)本実施形態によれば、ワーク11に配置された一対の超音波タグ7発信部間の距離を検出することによりワーク11の種類を認識することができる。
【0114】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、ワーク11の上面12aと下面12bとに超音波タグ7を配置した。超音波タグ7はワーク11の形状に応じて超音波32を発信する方向を変えても良い。図12は、ワークを示す模式図である。図12(a)は、ワークを示す模式平面図であり、図12(b)は、ワークを示す模式側面図である。図12に示すように、ワーク75の形状が直方体等のように各面が上側を向く可能性があるとき、上側を向く可能性がある方向に対応して超音波タグ7を配置しても良い。ワーク支持部12の上面12aには5対の超音波タグ7が配置されている。そして、X方向、X方向と逆の方向、Y方向、Y方向と逆の方向、Z方向に超音波32を発信することができる。ワーク支持部12の下面12bには一対の超音波タグ7が配置されている。そして、Z方向と逆の方向に超音波32を発信することができる。従って、ワーク支持部12に配置された超音波タグ7は上下前後左右の6方向に超音波32を発信することが可能になっている。その結果、ワーク75がとる可能性のある総ての姿勢において、超音波タグ7は超音波受信装置15に向かって超音波32を発信することができる。
【0115】
(変形例2)
前記第2の実施形態では、一対の超音波タグ7間の距離を検出してワーク11の種類と表裏とを検索した。これに限らず、別の方法を採用しても良い。例えば、複数の超音波タグ7がそれぞれ異なる周波数の超音波32を発信しても良い。そして、超音波受信装置15が超音波32を受信した後、発信位置演算部58が超音波32の周波数を検出してもよい。予め、ワーク11の種類と各超音波タグ7が発信する超音波32の周波数との関係をメモリ44に超音波タグデータ53として記憶しておく。そして、超音波32の周波数を用いてワーク11の種類と表裏とを検索しても良い。この方法においても、発信位置演算部58はワーク11の種類と姿勢とを識別することができる。
【0116】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を計測するのに超音波を用いたが、他の媒体による波形を用いても良い。例えば、レーザー光を用いて光の位相を検出することにより距離を計測しても良い。他にも、電磁波を用いて距離を計測しても良い。計測し易い方法を採用しても良い。この場合にも、ワーク11の種類や姿勢を検出することができる。
【0117】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、ワーク11とワーク支持部12とを合わせて収納装置29に移動した。ワーク支持部12をベルト9上に残してワーク11のみ収納装置29に移動しても良い。ワーク支持部12に着脱機構を配置して、手部28が着脱機構を作動させるようにしても良い。次工程での作業をし易くすることができる。
【0118】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、電波発信装置8は電波信号を超音波タグ7に送信した。電波発信装置8を光発信装置におき変えて、光発信装置が超音波タグ7と光通信をしても良い。電磁波ノイズの影響を受け難くすることができる。
【0119】
(変形例6)
前記第1の実施形態では、3つの超音波受信装置15が受信した超音波32から超音波タグ7の場所を演算した。1つの受信領域40に4つの超音波受信装置15を配置しても良い。そして、4つの超音波受信装置15が受信した超音波32から超音波タグ7の場所を演算しても良い。特開平6−222130号公報に1つの超音波源と4つの受波装置とを用いて超音波源の場所を演算する方法が開示されている。この方法は、超音波源と4つの受波装置との距離に関して4つの方程式を作成する方法となっている。そして、方程式の解を算出することにより超音波源の場所を算出している。この方法を採用して超音波タグ7の場所を算出しても良い。この方法では、電波発信装置8が発信する発信タイミング信号がなくともよいので、回路の構成を簡略にすることができる。
【0120】
(変形例7)
前記第1の実施形態では、ステップS18の受信数確認工程にて第2超音波タグ7bからの超音波32を受信したか否かを判断した。そして、受信していないときにはステップS12の発信命令送信工程にて電波信号64を送信した。第2超音波タグ7bは電波信号64を受信した後、超音波32を発信した。この手順に限定されない。第1超音波タグ7aが超音波32を発信して所定の時間が経過後、第2超音波タグ7bが超音波32を発信しても良い。手順が簡略化させるので、プログラムソフト52を簡便にすることができる。その結果、プログラムソフト52を生産性良く製造することができる。
【0121】
(変形例8)
前記第1の実施形態では、コンベア装置2を用いてワーク11を移動したが、ワーク11の移動方法はこの方法に限定されない。ワーク11が所定のコースを移動できれば良い。例えば、ワーク支持部12に自走装置を配置しても良い。
【0122】
(変形例9)
前記第1の実施形態では、コンベア装置2のベルト9によりワーク11は直進したが、これに限らない。ベルト9によりワーク11は曲線を描いて移動しても良い。他にも、所定の角度でワーク11が曲がって進行しても良い。この場合にも、予めワーク11の移動軌跡が推定できるときにはシミュレーション演算部60がワーク11とロボット4との動作をシミュレーションすることができる。
【0123】
(変形例10)
前記第1の実施形態では、ステップS7の第2移動工程においてベルト9によりワーク11を移動させながらロボット4がワーク11を把持した。ロボット4がワーク11を把持するときにはベルト9を停止しても良い。ロボット4がワーク11を把持し易くすることができる。
【0124】
(変形例11)
前記第1の実施形態では、ステップS5の第2検出工程において撮像装置17が撮像した撮影画像68を画像処理装置49が解析してワーク11の姿勢を検出した。超音波受信装置15が検出した超音波タグ7の位置データを用いてロボット4がワーク11を把持できる場合にはステップS5を省略しても良い。撮像装置17や画像処理装置49等を省くことができるのでピッキング装置1を簡略にすることができる。
【0125】
(変形例12)
前記第1の実施形態では、ロボット4の腕や関節に超音波タグ7を配置しなかった。ロボット4の手部28、腕及び関節に超音波タグ7を配置しても良い。そして、超音波受信装置15を用いてロボット4の手部28、腕及び関節の位置を検出する。その位置データを用いて、ワーク11を把持するまでの手部28の動きをシミュレーションしても良い。ロボット4の各部位の位置が精度良く認識できる為、手部28の動きを精度良くシミュレーションすることができる。
【0126】
(変形例13)
前記第1の実施形態では、超音波タグ7から直接超音波受信装置15に向けて発信した。超音波32がワーク11を透過して超音波受信装置15に受信するように超音波タグ7を設置しても良い。超音波32がワーク11を通過するとき、超音波32はワーク11の組成によって進行速度が変わる。従って、超音波受信装置15が受信する超音波32の位相を検出することによりワーク11の組成を解析することができる。
【0127】
(変形例14)
前記第1の実施形態では、超音波タグ7から直接超音波受信装置15に向けて超音波32を発信した。ワーク11が障害となり、超音波タグ7から直接超音波受信装置15に向けて超音波32を発信できない場合がある。このとき、超音波タグ7は超音波32をワーク11に向けて発信し、ワーク11で反射する超音波32を超音波受信装置15が受信するようにしても良い。ワーク11が障害となる場合にも、超音波32を用いて超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を測定することができる。
【0128】
(変形例15)
前記第1の実施形態では、ワーク支持部12に配置された超音波タグ7の個数は固定であった。ワーク支持部12に超音波タグ7を追加または削除して、ワーク支持部12に配置する超音波タグ7の個数を切り換えても良い。例えば、ワーク11に対する加工の進行具合によって、超音波タグ7の搭載数を変えても良い。これにより、ワーク11の状態を区別することができる。
【0129】
(変形例16)
前記第1の実施形態では、超音波32が超音波タグ7から超音波受信装置15に到達するまでの到達時間を用いて超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を測定したが、他の方法でも良い。例えば、超音波受信装置15に到達する超音波32の強度の減衰量を用いて超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を測定しても良い。超音波32以外に電磁波や光を用いる場合にも同様な方法を採用することができる。強度を検出する方法は時間を測定する方法に比べて、測定回路を簡便にすることができる。
【0130】
(変形例17)
前記第1の実施形態では、ワーク11に遮蔽されないように超音波タグ7から超音波受信装置15に向けて超音波32を発信した。ワーク11の一部が除去される工程があるとき、除去される部分が超音波32を遮断するように超音波タグ7を配置しても良い。そして、ワーク11の一部が除去された後では超音波32が遮蔽されないので、発信位置演算部58はワーク11の一部が削除されたことを検出することができる。従って、発信位置演算部58は加工の進行具合を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】第1の実施形態にかかわるピッキング装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】(a)は、Z方向から見たワークを示す模式平面図、(b)は、Z方向と逆の方向から見たワークを示す模式平面図、(c)は、ワークを示す模式側面図。
【図3】(a)は、超音波タグの電気制御ブロック図、(b)は、超音波受信装置の配置を示す模式図。
【図4】ピッキング装置の電気制御ブロック図。
【図5】ワークをピッキングして移動する製造工程を示すフローチャート。
【図6】ワークをピッキングして移動する製造工程を示すフローチャート。
【図7】ピッキング方法を説明する図。
【図8】ピッキング方法を説明する図。
【図9】ピッキング方法を説明する図。
【図10】第2の実施形態にかかわる超音波タグが配置されたワークの平面図。
【図11】第1検出工程を示すフローチャート。
【図12】変形例にかかわるワークを示す模式図。
【符号の説明】
【0132】
1…ピッキング装置、2…ワーク移動部としてのコンベア装置、3…ワーク検知システムとしての位置検出ユニット、4…ロボット、7…発信部としての超音波タグ、8…発信開始信号送信部としての電波発信装置、11,75…ワーク、11a…ワークとしての第1ワーク、11b…ワークとしての第2ワーク、11c…ワークとしての第3ワーク、12…支持部としてのワーク支持部、15…受信部としての超音波受信装置、15a…受信部としての第1超音波受信装置、15b…受信部としての第2超音波受信装置、15c…受信部としての第3超音波受信装置、15d…受信部としての第4超音波受信装置、15j…受信部としての第10超音波受信装置、17…撮像装置、32…信号としての超音波、34…発信開始信号受信部としての受信回路、49…画像演算部としての画像処理装置、58…位置演算部としての発信位置演算部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク検知システム、ピッキング装置及びピッキング方法等にかかわり、特にワークの姿勢を検出するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品の組立や分類する工程においてロボットが用いられている。コンベア上を移動するワークの位置と姿勢とを検出してロボットがワークを把持する装置が特許文献1に開示されている。それによると、ステレオカメラを用いてワークの姿勢とステレオカメラとの距離とを検出する。そして、ロボットを制御してワークをピッキングしていた。
【0003】
超音波を用いて音源の位置を測定する方法が特許文献2に開示されている。それによると、1個の超音波源が送波する超音波を4個の受波装置が受波する。次に、4個の受波装置が受波した時間の差を用いて4個の受波装置に対する超音波源の相対位置を演算した。さらに、3個の受波装置を用いて3個の受波装置に対する超音波源の相対位置を求める方法も開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−1122号公報
【特許文献2】特開平6−222130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラを用いてワークを撮像して、撮像した画像を用いてワークの位置や姿勢を解析する方法がある。この方法では画像を解析してワークの特徴点を抽出するのに時間がかかる。さらに、ステレオカメラを用いる場合は、2つの画像を解析するので2倍の時間かかる。さらに、2つの画像から、ワークの特徴点の距離を演算するための時間がかかっていた。そこで、ワークの姿勢を短い時間で検出する装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例にかかるワーク検知システムであって、ワークに配置され信号を発信する複数の発信部と、前記発信部が発信した前記信号を受信する3個以上の受信部と、複数の前記受信部が受信する前記信号の到達時間を用いて前記発信部の場所を検出する位置演算部とを有し、前記位置演算部は検出した複数の前記発信部における前記場所の情報から前記ワークの姿勢を検出することを特徴とする。
【0008】
このワーク検知システムによれば、発信部が発信する信号を3個以上の受信部が受信する。発信部と受信部との距離が長い程、発信後に受信部が受信するまでの到達時間が長くなる。そして、信号の伝播速度と到達時間を掛算することにより、発信部と受信部との距離の差を演算することができる。その後、発信部と受信部との相対位置は三角測量法を用いて演算することができる。
【0009】
そして、ワークには複数の発信部が配置されているので、発信部の場所を検出することにより、ワークの姿勢を検出することができる。ワークの位置や姿勢を検出する方法としては撮像装置が撮像して、画像処理装置が画像解析する方法がよく用いられている。この場合は情報量が多いので解析するのに時間がかかる。本適用例の方法では画像処理装置を用いる方法に比べて少ない情報から発信部の場所を検出することができるので、位置演算部が短い時間でワークの姿勢を検出することができる。
【0010】
[適用例2]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記ワークは複数の種類があり、前記ワークが備える前記発信部間の距離が前記ワークの種類ごとに異なって配置されていることを特徴とする。
【0011】
このワーク検知システムによれば、ワークに配置された複数の発信部間の距離を検出することによりワークの種類を認識することができる。
【0012】
[適用例3]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記発信部間の前記距離と前記ワークとの関係を記憶する属性記憶部を有し、前記位置演算部は前記発信部間の前記距離のデータを用いて前記ワークの属性情報を検索することを特徴とする。
【0013】
このワーク検知システムによれば、属性記憶部に記憶されたワークの属性情報を用いて位置演算部はワークの属性情報を認識することができる。
【0014】
[適用例4]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記発信部は超音波を発信する超音波タグであり、前記受信部は超音波を受信することを特徴とする。
【0015】
このワーク検知システムによれば、超音波を用いて発信部と受信部との距離を計測している。光や電波等の電磁波に比べて超音波は伝播速度が遅い。従って、電磁波に比べて超音波は伝播距離に対応する伝播時間が長くなる。その結果、電磁波を用いるときに比べて、超音波を用いる方が伝播時間を測定し易くすることができる。
【0016】
[適用例5]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、複数の前記発信部は異なる向きに前記信号を発信するように配置されることを特徴とする。
【0017】
このワーク検知システムによれば、発信部は複数の方向に発信する。そして、複数の姿勢において発信部が発信する信号が受信部に伝播するように配置することができる。従って、ワークが反転するときにもワークの姿勢を検出することができる。
【0018】
[適用例6]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記異なる向きに配置される複数の前記発信部は異なる配置パターンに配置されることを特徴とする。
【0019】
このワーク検知システムによれば、ワークの向き毎に異なる配置パターンに発信部が配置されている。従って、位置演算部は配置パターンを検出することにより、ワークにおいて受信部を向いている面がどの面であるのかを認識することができる。
【0020】
[適用例7]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記ワークは発信部支持部材を有し、前記発信部は前記発信部支持部材に配置されていることを特徴とする。
【0021】
このワーク検知システムによれば、ワークと発信部支持部材とを分離することにより、ワークと複数の発信部とを分離することができる。従って、ワークに複数の発信部を直接配置する場合に比べて簡便にワークから発信部を分離することができる。
【0022】
[適用例8]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記ワークは発信開始信号受信部を有し、前記発信開始信号受信部に発信開始信号を発信する発信開始信号送信部をさらに有し、前記発信開始信号受信部が前記発信開始信号を受信した後に前記発信部は前記信号を発信することを特徴とする。
【0023】
このワーク検知システムによれば、発信開始信号送信部は各発信部に信号を発信するタイミングを指示することができる。そして、位置演算部は信号を発信するタイミングと受信部が受信するタイミングとを検出することができる。従って、位置演算部は信号の伝播速度と発信するタイミングと受信するタイミングとを用いて受信部と発信部との距離を検出することができる。
【0024】
[適用例9]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記発信開始信号送信部は所定のコードを含む前記発信開始信号を送信し、前記発信開始信号受信部は前記発信開始信号を受信し、予め設定されたコードと一致するときのみ前記発信部が前記信号を発信することを特徴とする。
【0025】
このワーク検知システムによれば、コードを用いて発信する発信部を指定している。従って、発信する発信部を識別することができる。ワークの種類が複数あるとき、ワークの種類とワークに配置する発信開始信号受信部が反応するコードとの関係を予め設定しておくことにより、ワークの種類を判別することができる。
【0026】
[適用例10]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記発信部のいくつかは異なる周波数の波形の前記信号を発信し、前記受信部が前記信号を受信した後、前記位置演算部が前記信号における波形の周波数を検出することを特徴とする。
【0027】
このワーク検知システムによれば、発信部が異なる周波数の波形の信号を発信する。そして、位置演算部が信号の周波数を検出する。従って、位置演算部は信号の周波数情報を用いて発信部を識別することができる。その結果、位置演算部は信号を発信する発信部を有するワークを識別することができる。
【0028】
[適用例11]
上記適用例にかかるワーク検知システムにおいて、前記受信部は前記ワークの移動方向に対して略同じ間隔に配置され、配置される前記受信部の個数は1個、2個、1個、2個と続いて配置され、前記ワークが移動するときに、1個の前記発信部が発信する信号を少なくとも3個の前記受信部が受信することを特徴とする。
【0029】
このワーク検知システムによれば、1個の受信部と2個の受信部とで3個の組を形成して信号を受信する。そして、ワークの移動方向に対して受信部の個数を3個、3個、3個、3個と続いて配置する場合に比べて、少ない個数の受信部で発信部の場所を検出することができる。
【0030】
[適用例12]
上記適用例にかかるワーク検知システムを備えたピッキング装置において、前記ワークを移動させるワーク移動部と、前記ワークを把持し所定の場所に移動させるロボットと、を備えたことを特徴とする。
【0031】
このピッキング装置によれば、短い時間でワークの場所を検出した後、ロボットがワークを把持している。従って、ワークの検出から移動までの時間を短くすることができる為、生産性良くワークを移動させることができる。
【0032】
[適用例13]
上記適用例にかかるピッキング装置において、撮像装置と前記撮像装置が撮像する画像を用いて前記ワークの位置と形状とを検出する画像演算部と、を備え、前記画像演算部は前記位置演算部から前記ワークの位置情報を入力し、前記画像のうち前記ワークが撮像されている場所を特定し、特定した前記場所を解析することを特徴とする。
【0033】
このピッキング装置によれば、画像演算部は位置演算部からワークの位置情報を入力している。そして、撮像装置がワークを撮像する。画像演算部はワークの位置情報を用いて撮像した画像においてワークが撮像されている場所を特定する。次に、画像の中で特定した場所を解析することによりワークの位置と形状を詳細に検出している。従って、画像演算部が撮像した画像を総て解析する場合に比べて解析する画像の範囲を小さくすることができる。その結果、短い時間でワークの位置と姿勢を検出することができる。
【0034】
[適用例14]
上記適用例にかかるピッキング装置において、前記ワーク移動部において前記ロボットとの相対位置が変わらない場所に前記発信部が配置され、前記ロボットにも前記発信部が配置されることを特徴とする。
【0035】
このピッキング装置によれば、ロボットとの相対位置が変わらない場所とロボットとに発信部が配置されている。そして、ワーク移動部の発信部の場所とロボットの発信部との場所とを位置演算部が検出することにより、ロボットとワーク移動部との位置関係を容易に認識することができる。従って、ワーク移動部に対するロボットの位置関係の初期設定を生産性良く行うことができる。
【0036】
[適用例15]
本適用例にかかるピッキング方法であって、ワーク移動部がワークを移動させる第1移動工程と、前記ワークに配置された複数の発信部が超音波の信号を発信し、受信部が前記ワークの姿勢を検出する第1検出工程と、ロボットが前記ワークを把持し、移動させる第2移動工程と、を有し、前記第1検出工程において前記発信部が前記信号を発信した後、複数の前記受信部に到達する到達時間から前記ワークの姿勢を検出することを特徴とする。
【0037】
このピッキング方法によれば、第1移動工程でワークを移動している。第1検出工程では移動するワークの姿勢を検出している。そして、ワークの姿勢の情報を用いて第2移動工程ではロボットがワークを把持し、移動している。第1検出工程では超音波信号の到達時間を計測して複数の発信部の場所を検出している。従って、画像処理装置を用いる方法に比べて少ない情報から発信部の場所を検出することができるので、短い時間でワークの姿勢を検出することができる。
【0038】
[適用例16]
上記適用例にかかるピッキング方法において、前記第1検出工程では前記ワークの場所を検出し、前記第1検出工程と前記第2移動工程との間に行われ、撮像装置を用いて前記ワークを撮像し、撮像した画像を解析して前記ワークの場所と姿勢とを検出する第2検出工程を有し、前記第2検出工程では、前記第1検出工程で検出した前記ワークの前記場所の情報を用いて、前記画像の一部を解析することを特徴とする。
【0039】
このピッキング方法によれば、第2検出工程においてワークを撮像し、撮像した画像を解析してワークの場所と姿勢とを検出している。このとき、第1検出工程で検出したワークの場所の情報を用いて、画像の一部を解析する。従って、撮像した画像を総て解析する場合に比べて解析する画像の範囲を小さくすることができる。その結果、短い時間で画像を解析することができる為、ワークの位置と姿勢を短い時間で検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、実施形態について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態における特徴的なワーク検出システムを備えたピッキング装置とピッキング方法について図1〜図9に従って説明する。ピッキング方法はワークを把持して移動して離すことにより、ワーク移動させる方法である。そして、ピッキング装置は、ピッキング方法を実施する装置である。
【0041】
図1は、ピッキング装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、ピッキング装置1は主にコンベア装置2、位置検出ユニット3及びロボット4から構成されている。コンベア装置2は1方向に長く形成された基台5を備えている。基台5の長手方向をX方向とする。そして、重力方向と逆の方向をZ方向とし、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。
【0042】
基台5のY方向の両側には一対の側板6が配置されている。各側板6の上面においてX方向の両側には超音波タグ7が配置されている。超音波タグ7は内部に超音波発信源を備えることにより、超音波を発信することができる。さらに、Y方向と逆側の側板6の上面には電波発信装置8が配置されている。電波発信装置8は発信回路とアンテナとを備え、所定の波形の電波信号を発信することができる。
【0043】
2つの側板6の間にはベルト9が配置されている。ベルト9は円筒状に形成されたシートからなり、ベルト9の内部には図示しないプーリーが配置されている。そして、プーリーによりベルト9はX方向に所定の張力がかけられている。側板6のX方向の逆側においてY方向と逆の面にはモータ10が配置され、モータ10の駆動軸はプーリーと接続されている。ベルト9の上面にはワーク11が載置され、ワーク11はワーク支持部12に支持されている。そして、ワーク支持部12には複数の超音波タグ7が配置されている。ワーク11は図示しない供給装置によりベルト9上に載置される。そして、モータ10を駆動することによりベルト9を介してワーク11をX方向に移動させることが可能になっている。
【0044】
コンベア装置2のY方向の側面には2本の支柱部13がZ方向に立設されている。支柱部13の上には受信装置支持部14が配置されている。受信装置支持部14の外形は梁により長方形に形成されている。そして、受信装置支持部14には2本の梁が内側に配置され、受信装置支持部14には矩形の窓14aが3つ形成されている。3つの窓14aの各辺に相当する場所の梁には超音波受信装置15が配置されている。超音波受信装置15は超音波信号を受信する装置であり、受信装置支持部14においてコンベア装置2側の面に配置されている。超音波受信装置15はベルト9の上側に位置し、超音波タグ7が発信する超音波信号を受信することができる。
【0045】
受信装置支持部14のX方向側の窓14aには撮像支持部16が配置され、撮像支持部16と接続して撮像装置17が配置されている。そして、撮像装置17はベルト9上に載置されたワーク11を撮影することが可能になっている。
【0046】
コンベア装置2のY方向と逆の方向でX方向の側にはロボット4が配置されている。ロボット4は基台20を備え、基台20上には回転台21が配置されている。回転台21は固定台21aと回転軸21bとを備えている。回転台21は内部にサーボモータと減速機構とを備え、回転軸21bを角度精度良く回転及び停止することができる。固定台21aには超音波タグ7が配置されている。超音波受信装置15を用いてコンベア装置2に配置された超音波タグ7と回転台21に配置された超音波タグ7との場所を検出する。そして、コンベア装置2とロボット4との相対位置のデータを設定することが可能になっている。
【0047】
回転台21の回転軸21bと接続して第1関節22が配置され、第1関節22と接続して第1腕23が配置されている。第1腕23と接続して第2関節24が配置され、第2関節24と接続して第2腕25が配置されている。第2腕25は固定軸25aと回転軸25bとを備え、第2腕25は第2腕25の長手方向を軸にして回転軸25bを回転することができる。第2腕25の回転軸25bと接続して第3関節26が配置され、第3関節26と接続して第3腕27が配置されている。第3腕27は固定軸27aと回転軸27bとを備え、第3腕27は第3腕27の長手方向を回転軸にして回転軸27bを回転することができる。第3腕27の回転軸27bと接続して手部28が配置され、手部28には一対の指部28aが配置されている。手部28にはサーボモータとサーボモータにより駆動される直動機構を備えている。そして、この直動機構により指部28aの間隔を変更可能になっている。
【0048】
第1関節22、第2関節24及び第3関節26は内部にサーボモータと減速機構とを備え、第1腕23、第2腕25及び第3腕27を角度精度良く回転及び停止することができる。上述のようにロボット4は多くの関節と回転機構を備えている。そして、これらの関節及び回転機構に加えて指部28aを制御することによりワーク11を把持することが可能になっている。
【0049】
ロボット4のX方向側には収納装置29が配置されている。ロボット4はワーク11をベルト9上から収納装置29の上面29aに移動する。収納装置29は内部に昇降機構を備え、ワーク11の量に応じて上面29aを下降させる。そして、収納装置29はワーク11を載置する場所の高さを同じ高さにする。
【0050】
ロボット4のX方向と逆側には制御装置30が配置されている。制御装置30はコンベア装置2、位置検出ユニット3、ロボット4等を含むピッキング装置1を制御する装置である。
【0051】
図2は、ワークを示す模式図である。図2(a)は、Z方向から見たワークを示す模式平面図であり、図2(b)は、Z方向と逆の方向から見たワークを示す模式平面図である。図2(c)は、ワークを示す模式側面図である。図2に示すように、ワーク11はワーク支持部12に固定されている。ワーク支持部12のZ側を向く上面12aには第1超音波タグ7aと第2超音波タグ7bが配置されている。そして、第1超音波タグ7a及び第2超音波タグ7bはZ方向に超音波32を発信する。ワーク支持部12のZ側と逆側を向く下面12bには第3超音波タグ7cと第4超音波タグ7dが配置されている。そして、第3超音波タグ7c及び第4超音波タグ7dはZ方向と逆の方向に超音波32を発信する。
【0052】
超音波タグ7が発信する超音波32は円錐状に広がって進行する。超音波32が広がるときの広がり角度32a及び周波数は超音波タグ7の仕様により異なり、特に限定されない。本実施形態では、例えば、広がり角度32aは約100度に設定している。超音波32の周波数は40Kヘルツに近い周波数を採用している。
【0053】
ワーク11を搭載したワーク支持部12は平板状となっている。従って、ワーク支持部12をベルト9上に載置するとき、ワーク支持部12は上面12aが超音波受信装置15の方向を向く場合と下面12bが超音波受信装置15の方向を向く場合とが起こりえる。ワーク支持部12には上面12a及び下面12bに超音波タグ7が配置されている。従って、上面12aと下面12bのどちらが超音波受信装置15側を向いても超音波タグ7は超音波受信装置15に超音波32を発信することが可能になっている。
【0054】
図3(a)は、超音波タグの電気制御ブロック図である。図3に示すように、超音波タグ7はアンテナ33を備えている。アンテナ33は受信回路34に接続されている。受信回路34はアンテナ33が受信した微弱電波を増幅する回路である。そして、アンテナ33及び受信回路34は電波発信装置8が発信した電波信号を受信する。受信回路34はコード分析回路35と接続されている。コード分析回路35は電波発信装置8が発信する電波信号を分析する回路である。電波信号にはコード信号と発信タイミング信号とが含まれている。コード分析回路35はコード信号を分析して超音波32を発信するか否かの判断を行う。コード信号のコードは認識番号を示す。各超音波タグ7にはコードが設定されており、コード分析回路35は受信したコード信号と超音波タグ7に設定されたコードとが一致するか否かを判断する。そして、受信したコード信号と超音波タグ7に設定されたコードとが一致するときコード分析回路35は超音波32を発信する判断をする。
【0055】
コード分析回路35は送信制御回路36と接続されている。そして、送信制御回路36は発信信号形成回路37及び送信回路38と接続されている。発信信号形成回路37は発振回路を含み予め設定された波形の電圧信号を形成する回路である。波形パターンは特に限定されず正弦波、矩形波、三角波等を用いることができ、本実施形態では例えば正弦波を採用している。波形の周波数は種類に限定されず複数種類の波形を形成できるようにしても良い。但し、1種類の波長のみ用いるときには必ずしも複数の周波数の波形を形成する必要はない。そして、発信信号形成回路37は形成した電圧信号を送信制御回路36に出力する。
【0056】
送信制御回路36は信号の送信を制御する回路である。コード分析回路35が超音波32を発信する判断をしたとき、発信信号形成回路37は形成した電圧信号を送信回路38に出力する。そして、発信タイミング信号と同期して電圧信号を出力する。送信回路38は増幅部と超音波出力部とを備えている。増幅部は入力した電圧信号を増幅して超音波出力部に出力する。超音波出力部は圧電素子を備えた振動板等からなり、電圧信号に対応して振動板を振動させる。そして、振動板が空気を振動させることにより、超音波32を発信する。
【0057】
超音波タグ7は電源部39を備えている。電源部39には電池や蓄電池等を用いることができる。本実施形態では、例えば、電源部39にリチウム2次電池を採用している。そして、電源部39は超音波タグ7が備える各回路に電力を供給する。
【0058】
つまり、超音波タグ7は電波信号を受信する。そして、電波信号に含まれるコード信号と超音波タグ7に予め設定されたコードとが一致するときに超音波32を発信する。このとき、電波信号に含まれている発信タイミング信号と同期して超音波32を発信する。
【0059】
図3(b)は、超音波受信装置の配置を示す模式図である。図3(b)に示すように、ベルト9上にワーク11が載置され、ベルト9と連動してワーク11が移動する。ベルト9と対向する場所には第1超音波受信装置15a〜第10超音波受信装置15jの超音波受信装置15が配置されている。ベルト9上は第1領域40aから第6領域40fの6個の受信領域40が設定されている。ベルト9の移動方向において上流側に第1領域40aが設定され、下流側に第6領域40fが設定されている。
【0060】
隣接する各領域の境界には超音波受信装置15が配置されている。例えば、第1領域40aと第2領域40bとの間には第2超音波受信装置15b及び第3超音波受信装置15cが配置されている。そして、第2超音波受信装置15b及び第3超音波受信装置15cは第1領域40a及び第2領域40bから発信される超音波32を受信する。同様に、第4超音波受信装置15dは第2領域40b及び第3領域40cから発信される超音波32を受信する。
【0061】
各受信領域40には3個の超音波受信装置15が配置され、各受信領域40で発信される超音波32を受信する。ワーク11が第1領域40aにおいて超音波32を発信するとき、第1超音波受信装置15a、第2超音波受信装置15b、第3超音波受信装置15cが超音波32を受信する。次に、ワーク11が第2領域40bにおいて超音波32を発信するとき、第2超音波受信装置15b、第3超音波受信装置15c、第4超音波受信装置15dが超音波32を受信する。そして、ワーク11が第1領域40aから第6領域40fまで移動するとき、各受信領域40に配置された超音波受信装置15が順次超音波32を受信する。
【0062】
図4は、ピッキング装置の電気制御ブロック図である。図4において、ピッキング装置1の制御部としての制御装置30はプロセッサとして各種の演算処理を行うCPU(演算処理装置)43と各種情報を記憶する属性記憶部としてのメモリ44とを有する。
【0063】
コンベア駆動装置45、電波発信装置8、超音波受信装置15、ロボット駆動装置46、収納装置29は、入出力インターフェース47及びデータバス48を介してCPU43に接続されている。さらに、画像処理装置49、入力装置50、表示装置51も入出力インターフェース47及びデータバス48を介してCPU43に接続されている。
【0064】
コンベア駆動装置45はコンベア装置2と接続され、コンベア装置2を制御する装置である。コンベア駆動装置45はベルト9の移動と停止及び移動するときの速度を制御する。ロボット駆動装置46はロボット4の動作を制御する装置である。ロボット駆動装置46はロボット4の姿勢に関する情報をCPU43に出力することができる。そして、CPU43が指示する場所に手部28を移動して、指部28aを動作することが可能になっている。
【0065】
画像処理装置49は撮像装置17と接続され、撮像装置17が撮像する画像を解析する装置である。撮像装置17がワーク11を撮像し、画像処理装置49が画像におけるワーク11の場所と姿勢とを解析することができる。
【0066】
入力装置50は超音波タグ7のコードやロボット4がワーク支持部12を把持するときの把持方法等の動作条件を入力する装置である。例えば、ワーク11毎のワーク支持部12の形状を示す座標を図示しない外部装置から受信し、入力する装置である。表示装置51はワーク11や超音波タグ7に関するデータや作業状況を表示する装置である。表示装置51に表示される情報を基に入力装置50を用いて操作者が入力操作を行う。
【0067】
メモリ44は、RAM、ROM等といった半導体メモリや、ハードディスク、DVD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、ピッキング装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト52を記憶する記憶領域がメモリ44に設定される。さらに、超音波タグ7に設置されたコード等の情報である超音波タグデータ53を記憶するための記憶領域もメモリ44に設定される。超音波タグデータ53には各ワーク11と超音波タグ7のコードとの関係も記憶される。さらに、コンベア装置2、位置検出ユニット3及び収納装置29とロボット4との相対位置等の情報であるロボット関連データ54を記憶するための記憶領域もメモリ44に設定される。さらに、ワーク11の形状やワーク11を把持するときにロボット4の指部28aがワーク11を挟む場所等のデータであるワークデータ55を記憶するための記憶領域もメモリ44に設定される。ワークデータ55には超音波タグ7のコードやワーク11の属性情報が記憶されている。属性情報にはワーク11やワーク支持部12の形状、超音波タグ7の配置やコード及びワーク11の組成等、工程で作業するために必要となる情報が含まれている。他にも、CPU43のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域がメモリ44に設定される。
【0068】
CPU43はメモリ44内に記憶されたプログラムソフト52に従って、ワーク11の識別やワーク11を移動させるための制御を行うものである。具体的な機能実現部として、ロボット4を駆動してワーク11を移動させるための制御を行うロボット制御部56を有する。他にも、特定の超音波タグ7に発信させるために電波発信装置8の制御を行う発信制御部57を有する。さらに、超音波受信装置15が受信する超音波32を用いて超音波タグ7の場所を演算する発信位置演算部58を有する。他にも、撮像装置17に撮像させるタイミングの制御や、撮像した画像において画像処理装置49が解析する部分を制御する撮像制御部59を有する。さらに、ロボット4の腕や手部28の動作をシミュレーションするシミュレーション演算部60を有する。他にも、ロボット4動作と連携してベルト9の動作を制御するコンベア演算部61を有する。
【0069】
(ピッキング方法)
次に、上述したピッキング装置1を用いて、ワーク11をコンベア装置2から収納装置29へ移動するピッキング方法について図5〜図9にて説明する。図5及び図6は、ワークをピッキングして移動する工程を示すフローチャートである。図7〜図9は、ピッキング方法を説明する図である。
【0070】
図5に示すフローチャートにおいて、ステップS1とステップS2〜ステップS7とが並行して行われる。ステップS1は、第1移動工程に相当し、コンベア装置を用いてワークを移動する工程である。次にステップS8に移行する。ステップS2は、第1検出工程に相当し、超音波タグが発信する超音波を受信してワークの場所を検出する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、第1シミュレーション工程に相当する。ワークの移動する場所を予測し、その場所へロボットの手部を移動するときの軌跡をシミュレーションする工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は、ワーク位置確認工程に相当し、第1領域〜第6領域のどの領域にワークが位置するかを確認する工程である。ロボットがワークを把持する領域は第6領域である。そして、ワークが第6領域に達してないときステップS2に移行する。ワークが第6領域に達したときステップS5に移行する。ステップS5は、第2検出工程に相当する。この工程は、撮像カメラ及び画像処理装置を用いてワークの場所を検出する工程である。次にステップS6に移行する。ステップS6は、第2シミュレーション工程に相当し、ワークの移動する場所を予測し、その場所へロボットの手部を移動するときの軌跡を精度良くシミュレーションする工程である。次にステップS7に移行する。ステップS7は、第2移動工程に相当し、ロボットがワークをベルトから収納装置へ移動する工程である。次にステップS8に移行する。ステップS8は、終了確認工程に相当し、ワークを総て流動したかを確認する工程である。流動するワークがあり、作業が終了していないときステップS1及びステップS2に移行する。流動するワークがなく作業を終了するとき、ワークをピッキングして移動する工程を終了する。
【0071】
次に、図6に示すフローチャートを用いてステップS2の第1検出工程を詳しく説明する。ステップS11は、ワーク選定工程に相当し、検出するワークの種類を決定する工程である。次にステップS12に移行する。ステップS12は、発信命令送信工程に相当し、特定の超音波タグへ発信指示信号を送信する工程である。次にステップS13に移行する。ステップS13は、発信命令受信工程に相当し、超音波タグが発信指示信号を受信する工程である。次にステップS14に移行する。
【0072】
ステップS14は、発信対象確認工程に相当し、超音波タグが発信指示を解析して、発信対象であるか否かを判断する工程である。発信対象でない超音波タグは次にステップS16に移行する。発信対象である超音波タグは次にステップS15に移行する。ステップS15は、発信工程に相当し、超音波を発信する工程である。次にステップS16に移行する。ステップS16は、受信工程に相当し、超音波受信装置が超音波を受信する工程である。次にステップS17に移行する。
【0073】
ステップS17は、信号有無確認工程に相当し、超音波を受信した超音波受信装置の有無を確認する工程である。超音波を受信した超音波受信装置がないときはステップS11に移行する。受信した超音波受信装置があるときはステップS18に移行する。ステップS18は、受信数確認工程に相当する。1つのワークには2つの超音波タグが配置されている。この2つの超音波タグからの超音波信号を受信が済んだかを確認する工程である。1ワーク分の受信をしていないとき、次に、ステップS12に移行する。1ワーク分の受信をしたとき、次に、ステップS19に移行する。
【0074】
ステップS19は、発信部位置演算工程に相当し、超音波タグの場所を演算する工程である。次にステップS20に移行する。ステップS20は、記憶工程に相当し、演算した超音波タグの場所をメモリに記憶する工程である。以上の工程によりステップS1の第1検出工程を終了する。
【0075】
次に、図7〜図9を用いて、図5及び図6に示したステップと対応させて、ワークのピッキング方法を詳細に説明する。図7(a)はステップS1の第1移動工程に対応する図である。図7(a)に示すように、ステップS1において、ベルト9上にワーク11が載置される。そして、ベルト9によりワーク11が移動される。
【0076】
ステップS11のワーク選定工程において、発信制御部57が超音波タグデータ53から1つのワーク11とそのワーク11に配置されている超音波タグ7のコードを選択する。超音波タグデータ53には複数のワーク11の情報が記憶されている。そして、ワーク11には番号が付与されている。発信制御部57は付与された番号順にワーク11を選択することにより洩れなくワーク11を選択することができる。各ワーク11には2つの超音波タグ7が配置され、各超音波タグ7にはコードが付与されている。そして、発信制御部57は2つの超音波タグ7における一方の超音波タグ7を選択し、選択した超音波タグ7のコードを入手する。
【0077】
図7(b)はステップS12の発信命令送信工程に対応する図である。ステップS11において、発信制御部57は電波発信装置8に電波信号64を発信する指示信号を出力する。図7(b)に示すように、ステップS12において、電波発信装置8は電波信号64を出力する。ベルト9上には複数の種類のワーク11が載置されている。そのワーク11に向けて電波信号64が放射される。
【0078】
ステップS13の発信命令受信工程において、超音波タグ7は電波信号64を受信する。電波信号64にはコード信号と発信タイミング信号とが含まれている。ステップS14の発信対象確認工程において、超音波タグ7は受信した信号を分析してコード信号が超音波タグ7に設定されたコードとが一致するかの判断をする。そして、コード信号と設定されたコードとが一致した第1超音波タグ7aが超音波32を発信する。
【0079】
図7(c)はステップS15の発信工程及びステップS16の受信工程に対応する図である。図7(c)に示すように、ステップS15において、第1超音波タグ7aは超音波32をZ方向に発信する。ベルト9のZ方向には超音波受信装置15が配置されている。そして、ステップS16の受信工程において、複数の超音波受信装置15が超音波32を受信する。発信制御部57は第1超音波タグ7aが発信してから各超音波受信装置15が受信するまでの時間を検出してメモリ44に記憶する。
【0080】
超音波受信装置15が受信するまでの時間の検出方法には、超音波32の振幅を検出する方法、参照波と波形比較して一致するタイミングを検出する方法、2つの周波数の超音波32を発信して、受信した超音波32の位相を検出する位相一致方法等がある。位相一致法は特開2006−242640号公報に開示されている。位相一致法は測定精度が良いので超音波32を発信してから受信するまでの時間を精度良く測定することができる。本実施形態では、例えば、位相一致法を採用している。
【0081】
次に、ステップS17の信号有無確認工程に移行する。超音波受信装置15が超音波32を受信しないとき、発信制御部57は、ステップS11のワーク選定工程において選択したワーク11がベルト9上にないと判断する。そして、ステップS11に移行して、別のワーク11を選択する。
【0082】
ステップS18の受信数確認工程において、発信制御部57は、ワーク11に配置されている超音波タグ7の組合せを確認する。メモリ44の超音波タグデータ53には各種類のワーク11に配置されている超音波タグ7のコードが記憶されている。発信制御部57は超音波32を発信した第1超音波タグ7aが配置されたワーク11の種類を確認する。次に、発信制御部57はこのワーク11に配置された第2超音波タグ7bのコードを確認する。そして、そのコードの超音波タグ7からはまだ受信していないことを確認する。次に、ステップS12〜ステップS14を再度実施する。
【0083】
図7(d)はステップS15の発信工程及びステップS16の受信工程に対応する図である。図7(d)に示すように、ステップS15において、第2超音波タグ7bは超音波32をZ方向に発信する。そして、発信制御部57は第2超音波タグ7bが発信してから各超音波受信装置15が受信するまでの時間を検出してメモリ44に記憶する。
【0084】
図8(a)及び図8(b)はステップS19の発信部位置演算工程に対応する図である。図8(a)に示すように、ステップS19において、第1超音波タグ7aが第1領域40aにいるときに第1超音波タグ7aの場所を検出する例を説明する。発信位置演算部58は、第1超音波タグ7aが発信した超音波32が第1超音波受信装置15aに到達するのにかかる到達時間と超音波32の伝播速度とを積算する。その結果、第1超音波タグ7aから第1超音波受信装置15aまでの距離である第1距離65aが算出される。同様な演算を行うことにより、第1超音波タグ7aから第2超音波受信装置15bまでの距離である第2距離65bが算出される。同様に、第1超音波タグ7aから第3超音波受信装置15cまでの距離である第3距離65cが算出される。
【0085】
ピッキング装置1における超音波受信装置15の場所は予め計測されており、ロボット関連データ54に超音波受信装置15の座標が記憶されている。そして、発信位置演算部58は、三角測量方式を用いてピッキング装置1における第1超音波タグ7aの場所を算出する。同様の方法を用いて、第2超音波タグ7bの場所を演算する。
【0086】
次に、図8(b)に示すように、ワーク11の姿勢を算出する。ワーク11の姿勢はワーク11の進行方向に対する姿勢角度66を示す。本実施形態ではワーク11の進行方向がX方向である。そして、X方向に対して第1超音波タグ7a及び第2超音波タグ7bを通過する直線が成す角度を姿勢角度66とする。そして、第1超音波タグ7aと第2超音波タグ7bとの中点を算出する。この中点をワーク位置67とする。
【0087】
発信位置演算部58は第1超音波タグ7a及び第2超音波タグ7bの距離を演算する。そして、タグ間の距離データを用いて発信位置演算部58はメモリ44に記憶されたワークデータ55から該当するワーク11を検索する。そして、ワーク11に関する属性情報を認識する。
【0088】
ステップS20の記憶工程ではワーク位置67と姿勢角度66とをワークデータ55としてメモリ44に記憶する。以上で、ステップS2の第1検出工程が終了する。
【0089】
図8(c)はステップS3の第1シミュレーション工程に対応する図である。図8(c)に示すように、ステップS3において、ワーク11の移動場所を推測する。コンベア装置2のベルト9は等速度で移動している。そして、ある時刻におけるワーク11の場所が検出されているので、所定の時間後にはベルト9の移動方向へ移動することが推測される。そして、シミュレーション演算部60は、ワーク11の移動予定の場所にロボット4の手部28が移動する軌跡を演算する。そして、ロボット4の手部28がワーク11を把持する予定の場所を決定する。
【0090】
ステップS4のワーク位置確認工程ではワーク11が第1領域40a〜第6領域40fのどの領域に位置するかを確認する。そして、ワーク11が第1領域40a〜第5領域40eに位置するときには、ステップS2〜ステップS4を繰り返す。従って、ベルト9に対してワーク11の姿勢及び位置が変化するとき、発信位置演算部58は変化に対応して超音波タグ7の位置を検出する。そして、シミュレーション演算部60がシミュレーションをし直すので、ロボット4の手部28がワーク11を把持する予定の場所を修正することができる。
【0091】
図9(a)及び図9(b)はステップS5の第2検出工程に対応する図である。図9(a)に示すように、ステップS5において、ワーク11は第5領域40eから第6領域40fへ移動する。そして、ステップS2のときと同様にワーク11に配置された超音波タグ7の場所を検出する。次に、ワーク11の場所と姿勢とを算出する。
【0092】
続いて、撮像制御部59は撮像装置17を駆動してワーク11を撮像する。図9(b)は撮像した撮影画像68を示す。次に、撮像制御部59は撮影画像68に解析領域69を設定する。解析領域69はワーク11の場所と姿勢のデータを用いて設定され、ワーク11の画像が解析領域69に入るように解析領域69が設定される。
【0093】
次に、画像処理装置49は、ワーク11が位置する場所と姿勢とを詳しく測定する。このとき、画像処理装置49が解析する範囲は解析領域69に限られているので、撮影画像68の総ての場所を解析するときに比べて早く算出することができる。
【0094】
図9(c)はステップS6の第2シミュレーション工程に対応する図である。図9(c)に示すように、ステップS6において、所定の時間後におけるワーク11の移動場所を推測する。そして、シミュレーション演算部60は、ワーク11の移動予定の場所にロボット4の手部28が移動する軌跡を演算する。そして、ロボット4の手部28がワーク11を把持する予定の場所を調整する。
【0095】
図9(d)はステップS7の第2移動工程に対応する図である。図9(d)に示すように、ステップS7において、ロボット4の手部28がベルト9上のワーク11を把持する。そして、ベルト9上から収納装置29の上に移動する。次に、ロボット4の手部28はワーク11を収納装置29の上面29aに載置する。ステップS8の終了確認工程にて作業を終了するか否かを確認する。以上の工程によりワークをピッキングする工程を終了する。
【0096】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、超音波受信装置15と超音波タグ7との相対位置を演算している。そして、ワーク11には2つの超音波タグ7が配置されているので、超音波タグ7の場所を検出することにより、ワーク11の姿勢を検出することができる。ワーク11の位置や姿勢を検出する方法としては撮像装置が撮像して、画像処理装置が画像解析する方法がよく用いられている。この場合は情報量が多いので解析するのに時間がかかる。超音波タグ7を用いる方法では画像処理装置を用いる方法に比べて少ない情報から発信部の場所を検出することができるので、位置演算部が短い時間でワークの位置や姿勢を検出することができる。
【0097】
(2)本実施形態によれば、超音波32を用いて超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を計測している。光や電波等の電磁波に比べて超音波32は伝播速度が遅い。従って、電磁波に比べて超音波32は伝播距離に対応する伝播時間が長くなる。その結果、電磁波を用いるときに比べて、超音波32を用いる方が伝播時間を測定し易くすることができる。
【0098】
(3)本実施形態によれば、超音波タグ7はワーク支持部12の上面12aと下面12bから超音波32を発信する。そして、ワーク11が反転するときにも超音波タグ7が発信する超音波32が超音波受信装置15に伝播するように配置されている。従って、ワーク11が反転するときにもワーク11の場所と姿勢とを検出することができる。
【0099】
(4)本実施形態によれば、ワーク11とワーク支持部12とを分離することにより、ワーク11と2つの超音波タグ7とを分離することができる。従って、ワーク11に2つの超音波タグ7を直接配置する場合に比べて簡便にワーク11と超音波タグ7とを着脱することができる。
【0100】
(5)本実施形態によれば、電波発信装置8は各超音波タグ7に信号を発信するタイミングを指示することができる。そして、発信位置演算部58は超音波32を発信するタイミングと超音波受信装置15が受信するタイミングとを検出することができる。従って、発信位置演算部58は超音波32の伝播速度と発信するタイミングと受信するタイミングとを用いて超音波タグ7と電波発信装置8との距離を検出することができる。
【0101】
(6)本実施形態によれば、コードを用いて発信する超音波タグ7を選択している。従って、発信する超音波タグ7を識別することができる。ワーク11の種類が複数あるとき、ワーク11の種類とワーク11に配置する超音波タグ7が反応するコードとの関係を予め設定しておくことにより、ワーク11の種類を判別することができる。
【0102】
(7)本実施形態によれば、ワーク11の移動方向に対して超音波受信装置15の個数は1個、2個、1個、2個と続いて配置されている。そして、1個の超音波受信装置15と2個の超音波受信装置15とで3個の組を形成して信号を受信する。そして、ワーク11の移動方向に対して超音波受信装置15の個数を3個、3個、3個、3個と続いて配置する場合に比べて、少ない個数の超音波受信装置15で超音波タグ7の場所を検出することができる。
【0103】
(8)本実施形態によれば、短い時間でワーク11の場所を検出した後、ロボット4がワーク11を把持している。従って、ワーク11の検出から移動までの時間を短くすることができる為、生産性良くワーク11を移動することができる。
【0104】
(9)本実施形態によれば、画像処理装置49は発信位置演算部58からワーク11の位置情報を入力している。そして、撮像装置17がワーク11を撮像する。画像処理装置49はワーク11の位置情報を用いて撮影画像68においてワーク11が撮像されている場所を特定する。次に、撮影画像68の中で特定した解析領域69を解析することによりワーク11の位置と形状を詳細に検出している。従って、画像処理装置49が撮像した画像を総て解析する場合に比べて解析する画像の範囲を小さくすることができる。その結果、短い時間でワーク11の位置と姿勢を検出することができる。
【0105】
(10)本実施形態によれば、コンベア装置2の側板6とロボット4の回転台21とに超音波タグ7が配置されている。そして、側板6に配置された超音波タグ7の場所と回転台21の超音波タグ7との場所を発信位置演算部58が検出することにより、コンベア装置2とロボット4との位置関係を容易に認識することができる。従って、コンベア装置2に対するロボット4の位置関係の初期設定を生産性良く行うことができる。
【0106】
(第2の実施形態)
次に、ピッキング方法の一実施形態について図10及び図11を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、ワーク11の種類毎に超音波タグ7の配置パターンが異なる点である。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0107】
図10は、超音波タグが配置されたワークの平面図である。すなわち、本実施形態では図10(a)〜図10(c)に示すように、複数種類のワーク11が用いられる。そして、ワーク支持部12に配置される超音波タグ7の配置パターンをワーク11毎に変えてある。第1ワーク11a、第2ワーク11b、第3ワーク11cはそれぞれ形状の異なるワーク11である。そして、各ワーク11はワーク支持部12に配置され、ワーク支持部12の表裏には超音波タグ7がそれぞれ2つ配置されている。第1ワーク11aが配置されたワーク支持部12の表面における超音波タグ7間の距離を第1表タグ間距離72aとする。そして、第1ワーク11aが配置されたワーク支持部12の裏面における超音波タグ7間の距離を第1裏タグ間距離72bとする。
【0108】
同様に、第2ワーク11bが配置されたワーク支持部12の表面における超音波タグ7間の距離を第2表タグ間距離73aとする。そして、第2ワーク11bが配置されたワーク支持部12の裏面における超音波タグ7間の距離を第2裏タグ間距離73bとする。さらに、第3ワーク11cが配置されたワーク支持部12の表面における超音波タグ7間の距離を第3表タグ間距離74aとする。そして、第3ワーク11cが配置されたワーク支持部12の裏面における超音波タグ7間の距離を第3裏タグ間距離74bとする。
【0109】
そして、第1表タグ間距離72a、第1裏タグ間距離72b、第2表タグ間距離73a、第2裏タグ間距離73b、第3表タグ間距離74a、第3裏タグ間距離74bはそれぞれ異なる距離に設定されている。他の種類のワーク11についても、ワーク支持部12に一対の超音波タグ7を配置する。そして、一対の超音波タグ7間の距離は各ワーク11の表裏毎に異なる距離に設定する。一対の超音波タグ7間の距離はメモリ44に超音波タグデータ53として記憶されている。従って、一対の超音波タグ7間の距離を検出することにより、ワーク11の種類と超音波受信装置15を向いている面を識別することができる。そして、発信位置演算部58は超音波タグ7間の距離のデータを用いて、メモリ44に記憶されたワークデータ55から該当するワーク11を検索する。そして、ワーク11に関する属性情報を認識する。
【0110】
図11は、第1検出工程を示すフローチャートである。次に、図11に示すフローチャートを用いてステップS2の第1検出工程を説明する。ステップS2以外の工程は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。ステップS2はステップS12から開始する。まず、ステップS12は、発信命令送信工程に相当する。この工程では、1つのワーク支持部12に配置された超音波タグ7のうち一方の超音波タグ7に対して、発信指示信号を送信する。次にステップS13に移行する。ステップS13〜ステップS16は第1の実施形態と同様のステップであり、説明を省略する。ステップS19の次にステップS17に移行する。ステップS17は、信号有無確認工程に相当し、超音波を受信した超音波受信装置の有無を確認する工程である。超音波を受信した超音波受信装置がないときはステップS12に移行する。受信した超音波受信装置があるときはステップS18に移行する。ステップS18及びステップS19の工程は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。ステップS19の次にステップS30に移行する。
【0111】
ステップS30は、ワーク種類解析工程に相当する。この工程では、ワーク支持部12に配置された一対の超音波タグ7の距離を演算する。次に、発信位置演算部58はメモリ44に記憶された超音波タグデータ53を検索する。そして、発信した超音波タグ7の距離と一致するワーク11の種類を推定する。続いて、ステップS20において、ワーク11の種類、位置及び姿勢のデータをメモリ44に記憶する。以上の工程によりステップS2の第1検出工程を終了する。
【0112】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ワーク11の向き毎に異なる配置パターンに超音波タグ7が配置されている。従って、発信位置演算部58は一対の超音波タグ7間の距離を演算することにより、ワーク11において超音波受信装置15を向いている面がどの面であるのかを認識することができる。
【0113】
(2)本実施形態によれば、ワーク11に配置された一対の超音波タグ7発信部間の距離を検出することによりワーク11の種類を認識することができる。
【0114】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、ワーク11の上面12aと下面12bとに超音波タグ7を配置した。超音波タグ7はワーク11の形状に応じて超音波32を発信する方向を変えても良い。図12は、ワークを示す模式図である。図12(a)は、ワークを示す模式平面図であり、図12(b)は、ワークを示す模式側面図である。図12に示すように、ワーク75の形状が直方体等のように各面が上側を向く可能性があるとき、上側を向く可能性がある方向に対応して超音波タグ7を配置しても良い。ワーク支持部12の上面12aには5対の超音波タグ7が配置されている。そして、X方向、X方向と逆の方向、Y方向、Y方向と逆の方向、Z方向に超音波32を発信することができる。ワーク支持部12の下面12bには一対の超音波タグ7が配置されている。そして、Z方向と逆の方向に超音波32を発信することができる。従って、ワーク支持部12に配置された超音波タグ7は上下前後左右の6方向に超音波32を発信することが可能になっている。その結果、ワーク75がとる可能性のある総ての姿勢において、超音波タグ7は超音波受信装置15に向かって超音波32を発信することができる。
【0115】
(変形例2)
前記第2の実施形態では、一対の超音波タグ7間の距離を検出してワーク11の種類と表裏とを検索した。これに限らず、別の方法を採用しても良い。例えば、複数の超音波タグ7がそれぞれ異なる周波数の超音波32を発信しても良い。そして、超音波受信装置15が超音波32を受信した後、発信位置演算部58が超音波32の周波数を検出してもよい。予め、ワーク11の種類と各超音波タグ7が発信する超音波32の周波数との関係をメモリ44に超音波タグデータ53として記憶しておく。そして、超音波32の周波数を用いてワーク11の種類と表裏とを検索しても良い。この方法においても、発信位置演算部58はワーク11の種類と姿勢とを識別することができる。
【0116】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を計測するのに超音波を用いたが、他の媒体による波形を用いても良い。例えば、レーザー光を用いて光の位相を検出することにより距離を計測しても良い。他にも、電磁波を用いて距離を計測しても良い。計測し易い方法を採用しても良い。この場合にも、ワーク11の種類や姿勢を検出することができる。
【0117】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、ワーク11とワーク支持部12とを合わせて収納装置29に移動した。ワーク支持部12をベルト9上に残してワーク11のみ収納装置29に移動しても良い。ワーク支持部12に着脱機構を配置して、手部28が着脱機構を作動させるようにしても良い。次工程での作業をし易くすることができる。
【0118】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、電波発信装置8は電波信号を超音波タグ7に送信した。電波発信装置8を光発信装置におき変えて、光発信装置が超音波タグ7と光通信をしても良い。電磁波ノイズの影響を受け難くすることができる。
【0119】
(変形例6)
前記第1の実施形態では、3つの超音波受信装置15が受信した超音波32から超音波タグ7の場所を演算した。1つの受信領域40に4つの超音波受信装置15を配置しても良い。そして、4つの超音波受信装置15が受信した超音波32から超音波タグ7の場所を演算しても良い。特開平6−222130号公報に1つの超音波源と4つの受波装置とを用いて超音波源の場所を演算する方法が開示されている。この方法は、超音波源と4つの受波装置との距離に関して4つの方程式を作成する方法となっている。そして、方程式の解を算出することにより超音波源の場所を算出している。この方法を採用して超音波タグ7の場所を算出しても良い。この方法では、電波発信装置8が発信する発信タイミング信号がなくともよいので、回路の構成を簡略にすることができる。
【0120】
(変形例7)
前記第1の実施形態では、ステップS18の受信数確認工程にて第2超音波タグ7bからの超音波32を受信したか否かを判断した。そして、受信していないときにはステップS12の発信命令送信工程にて電波信号64を送信した。第2超音波タグ7bは電波信号64を受信した後、超音波32を発信した。この手順に限定されない。第1超音波タグ7aが超音波32を発信して所定の時間が経過後、第2超音波タグ7bが超音波32を発信しても良い。手順が簡略化させるので、プログラムソフト52を簡便にすることができる。その結果、プログラムソフト52を生産性良く製造することができる。
【0121】
(変形例8)
前記第1の実施形態では、コンベア装置2を用いてワーク11を移動したが、ワーク11の移動方法はこの方法に限定されない。ワーク11が所定のコースを移動できれば良い。例えば、ワーク支持部12に自走装置を配置しても良い。
【0122】
(変形例9)
前記第1の実施形態では、コンベア装置2のベルト9によりワーク11は直進したが、これに限らない。ベルト9によりワーク11は曲線を描いて移動しても良い。他にも、所定の角度でワーク11が曲がって進行しても良い。この場合にも、予めワーク11の移動軌跡が推定できるときにはシミュレーション演算部60がワーク11とロボット4との動作をシミュレーションすることができる。
【0123】
(変形例10)
前記第1の実施形態では、ステップS7の第2移動工程においてベルト9によりワーク11を移動させながらロボット4がワーク11を把持した。ロボット4がワーク11を把持するときにはベルト9を停止しても良い。ロボット4がワーク11を把持し易くすることができる。
【0124】
(変形例11)
前記第1の実施形態では、ステップS5の第2検出工程において撮像装置17が撮像した撮影画像68を画像処理装置49が解析してワーク11の姿勢を検出した。超音波受信装置15が検出した超音波タグ7の位置データを用いてロボット4がワーク11を把持できる場合にはステップS5を省略しても良い。撮像装置17や画像処理装置49等を省くことができるのでピッキング装置1を簡略にすることができる。
【0125】
(変形例12)
前記第1の実施形態では、ロボット4の腕や関節に超音波タグ7を配置しなかった。ロボット4の手部28、腕及び関節に超音波タグ7を配置しても良い。そして、超音波受信装置15を用いてロボット4の手部28、腕及び関節の位置を検出する。その位置データを用いて、ワーク11を把持するまでの手部28の動きをシミュレーションしても良い。ロボット4の各部位の位置が精度良く認識できる為、手部28の動きを精度良くシミュレーションすることができる。
【0126】
(変形例13)
前記第1の実施形態では、超音波タグ7から直接超音波受信装置15に向けて発信した。超音波32がワーク11を透過して超音波受信装置15に受信するように超音波タグ7を設置しても良い。超音波32がワーク11を通過するとき、超音波32はワーク11の組成によって進行速度が変わる。従って、超音波受信装置15が受信する超音波32の位相を検出することによりワーク11の組成を解析することができる。
【0127】
(変形例14)
前記第1の実施形態では、超音波タグ7から直接超音波受信装置15に向けて超音波32を発信した。ワーク11が障害となり、超音波タグ7から直接超音波受信装置15に向けて超音波32を発信できない場合がある。このとき、超音波タグ7は超音波32をワーク11に向けて発信し、ワーク11で反射する超音波32を超音波受信装置15が受信するようにしても良い。ワーク11が障害となる場合にも、超音波32を用いて超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を測定することができる。
【0128】
(変形例15)
前記第1の実施形態では、ワーク支持部12に配置された超音波タグ7の個数は固定であった。ワーク支持部12に超音波タグ7を追加または削除して、ワーク支持部12に配置する超音波タグ7の個数を切り換えても良い。例えば、ワーク11に対する加工の進行具合によって、超音波タグ7の搭載数を変えても良い。これにより、ワーク11の状態を区別することができる。
【0129】
(変形例16)
前記第1の実施形態では、超音波32が超音波タグ7から超音波受信装置15に到達するまでの到達時間を用いて超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を測定したが、他の方法でも良い。例えば、超音波受信装置15に到達する超音波32の強度の減衰量を用いて超音波タグ7と超音波受信装置15との距離を測定しても良い。超音波32以外に電磁波や光を用いる場合にも同様な方法を採用することができる。強度を検出する方法は時間を測定する方法に比べて、測定回路を簡便にすることができる。
【0130】
(変形例17)
前記第1の実施形態では、ワーク11に遮蔽されないように超音波タグ7から超音波受信装置15に向けて超音波32を発信した。ワーク11の一部が除去される工程があるとき、除去される部分が超音波32を遮断するように超音波タグ7を配置しても良い。そして、ワーク11の一部が除去された後では超音波32が遮蔽されないので、発信位置演算部58はワーク11の一部が削除されたことを検出することができる。従って、発信位置演算部58は加工の進行具合を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】第1の実施形態にかかわるピッキング装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】(a)は、Z方向から見たワークを示す模式平面図、(b)は、Z方向と逆の方向から見たワークを示す模式平面図、(c)は、ワークを示す模式側面図。
【図3】(a)は、超音波タグの電気制御ブロック図、(b)は、超音波受信装置の配置を示す模式図。
【図4】ピッキング装置の電気制御ブロック図。
【図5】ワークをピッキングして移動する製造工程を示すフローチャート。
【図6】ワークをピッキングして移動する製造工程を示すフローチャート。
【図7】ピッキング方法を説明する図。
【図8】ピッキング方法を説明する図。
【図9】ピッキング方法を説明する図。
【図10】第2の実施形態にかかわる超音波タグが配置されたワークの平面図。
【図11】第1検出工程を示すフローチャート。
【図12】変形例にかかわるワークを示す模式図。
【符号の説明】
【0132】
1…ピッキング装置、2…ワーク移動部としてのコンベア装置、3…ワーク検知システムとしての位置検出ユニット、4…ロボット、7…発信部としての超音波タグ、8…発信開始信号送信部としての電波発信装置、11,75…ワーク、11a…ワークとしての第1ワーク、11b…ワークとしての第2ワーク、11c…ワークとしての第3ワーク、12…支持部としてのワーク支持部、15…受信部としての超音波受信装置、15a…受信部としての第1超音波受信装置、15b…受信部としての第2超音波受信装置、15c…受信部としての第3超音波受信装置、15d…受信部としての第4超音波受信装置、15j…受信部としての第10超音波受信装置、17…撮像装置、32…信号としての超音波、34…発信開始信号受信部としての受信回路、49…画像演算部としての画像処理装置、58…位置演算部としての発信位置演算部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに配置され信号を発信する複数の発信部と、
前記発信部が発信した前記信号を受信する3個以上の受信部と、
複数の前記受信部が受信する前記信号の到達時間を用いて前記発信部の場所を検出する位置演算部とを有し、
前記位置演算部は検出した複数の前記発信部における前記場所の情報から前記ワークの姿勢を検出することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク検知システムであって、
前記ワークは複数の種類があり、前記ワークが備える前記発信部間の距離が前記ワークの種類ごとに異なって配置されていることを特徴とするワーク検知システム。
【請求項3】
請求項2に記載のワーク検知システムであって、
前記発信部間の前記距離と前記ワークとの関係を記憶する属性記憶部を有し、
前記位置演算部は前記発信部間の前記距離のデータを用いて前記ワークの属性情報を検索することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項4】
請求項3に記載のワーク検知システムであって、
前記発信部は超音波を発信する超音波タグであり、
前記受信部は超音波を受信することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項5】
請求項4に記載のワーク検知システムであって、
複数の前記発信部は異なる向きに前記信号を発信するように配置されることを特徴とするワーク検知システム。
【請求項6】
請求項5に記載のワーク検知システムであって、
前記異なる向きに配置される複数の前記発信部は異なる配置パターンに配置されることを特徴とするワーク検知システム。
【請求項7】
請求項6に記載のワーク検知システムであって、
前記ワークは発信部支持部材を有し、前記発信部は前記発信部支持部材に配置されていることを特徴とするワーク検知システム。
【請求項8】
請求項7に記載のワーク検知システムであって、
前記ワークは発信開始信号受信部を有し、
前記発信開始信号受信部に発信開始信号を発信する発信開始信号送信部をさらに有し、
前記発信開始信号受信部が前記発信開始信号を受信した後に前記発信部は前記信号を発信することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項9】
請求項8に記載のワーク検知システムであって、
前記発信開始信号送信部は所定のコードを含む前記発信開始信号を送信し、前記発信開始信号受信部は前記発信開始信号を受信し、予め設定されたコードと一致するときのみ前記発信部が前記信号を発信することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項10】
請求項7に記載のワーク検知システムであって、
前記発信部のいくつかは異なる周波数の波形の前記信号を発信し、前記受信部が前記信号を受信した後、前記位置演算部が前記信号における波形の周波数を検出することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項11】
請求項10に記載のワーク検知システムであって、
前記受信部は前記ワークの移動方向に対して略同じ間隔に配置され、
配置される前記受信部の個数は1個、2個、1個、2個と続いて配置され、
前記ワークが移動するときに、1個の前記発信部が発信する信号を少なくとも3個の前記受信部が受信することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のワーク検知システムを備えたピッキング装置であって、
前記ワークを移動させるワーク移動部と、
前記ワークを把持し所定の場所に移動させるロボットと、を備えたことを特徴とするピッキング装置。
【請求項13】
請求項12に記載のピッキング装置であって、
撮像装置と前記撮像装置が撮像する画像を用いて前記ワークの位置と形状とを検出する画像演算部と、を備え、
前記画像演算部は前記位置演算部から前記ワークの位置情報を入力し、前記画像のうち前記ワークが撮像されている場所を特定し、特定した前記場所を解析することを特徴とするピッキング装置。
【請求項14】
請求項13に記載のピッキング装置であって、
前記ワーク移動部において前記ロボットとの相対位置が変わらない場所に前記発信部が配置され、前記ロボットにも前記発信部が配置されることを特徴とするピッキング装置。
【請求項15】
ワーク移動部がワークを移動させる第1移動工程と、
前記ワークに配置された複数の発信部が超音波の信号を発信し、受信部が前記ワークの姿勢を検出する第1検出工程と、
ロボットが前記ワークを把持し、移動させる第2移動工程と、を有し、
前記第1検出工程において前記発信部が前記信号を発信した後、複数の前記受信部に到達する到達時間から前記ワークの姿勢を検出することを特徴とするピッキング方法。
【請求項16】
請求項15に記載のピッキング方法であって、
前記第1検出工程では前記ワークの場所を検出し、
前記第1検出工程と前記第2移動工程との間に行われ、
撮像装置を用いて前記ワークを撮像し、撮像した画像を解析して前記ワークの場所と姿勢とを検出する第2検出工程を有し、
前記第2検出工程では、前記第1検出工程で検出した前記ワークの前記場所の情報を用いて、前記画像の一部を解析することを特徴とするピッキング方法。
【請求項1】
ワークに配置され信号を発信する複数の発信部と、
前記発信部が発信した前記信号を受信する3個以上の受信部と、
複数の前記受信部が受信する前記信号の到達時間を用いて前記発信部の場所を検出する位置演算部とを有し、
前記位置演算部は検出した複数の前記発信部における前記場所の情報から前記ワークの姿勢を検出することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク検知システムであって、
前記ワークは複数の種類があり、前記ワークが備える前記発信部間の距離が前記ワークの種類ごとに異なって配置されていることを特徴とするワーク検知システム。
【請求項3】
請求項2に記載のワーク検知システムであって、
前記発信部間の前記距離と前記ワークとの関係を記憶する属性記憶部を有し、
前記位置演算部は前記発信部間の前記距離のデータを用いて前記ワークの属性情報を検索することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項4】
請求項3に記載のワーク検知システムであって、
前記発信部は超音波を発信する超音波タグであり、
前記受信部は超音波を受信することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項5】
請求項4に記載のワーク検知システムであって、
複数の前記発信部は異なる向きに前記信号を発信するように配置されることを特徴とするワーク検知システム。
【請求項6】
請求項5に記載のワーク検知システムであって、
前記異なる向きに配置される複数の前記発信部は異なる配置パターンに配置されることを特徴とするワーク検知システム。
【請求項7】
請求項6に記載のワーク検知システムであって、
前記ワークは発信部支持部材を有し、前記発信部は前記発信部支持部材に配置されていることを特徴とするワーク検知システム。
【請求項8】
請求項7に記載のワーク検知システムであって、
前記ワークは発信開始信号受信部を有し、
前記発信開始信号受信部に発信開始信号を発信する発信開始信号送信部をさらに有し、
前記発信開始信号受信部が前記発信開始信号を受信した後に前記発信部は前記信号を発信することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項9】
請求項8に記載のワーク検知システムであって、
前記発信開始信号送信部は所定のコードを含む前記発信開始信号を送信し、前記発信開始信号受信部は前記発信開始信号を受信し、予め設定されたコードと一致するときのみ前記発信部が前記信号を発信することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項10】
請求項7に記載のワーク検知システムであって、
前記発信部のいくつかは異なる周波数の波形の前記信号を発信し、前記受信部が前記信号を受信した後、前記位置演算部が前記信号における波形の周波数を検出することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項11】
請求項10に記載のワーク検知システムであって、
前記受信部は前記ワークの移動方向に対して略同じ間隔に配置され、
配置される前記受信部の個数は1個、2個、1個、2個と続いて配置され、
前記ワークが移動するときに、1個の前記発信部が発信する信号を少なくとも3個の前記受信部が受信することを特徴とするワーク検知システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のワーク検知システムを備えたピッキング装置であって、
前記ワークを移動させるワーク移動部と、
前記ワークを把持し所定の場所に移動させるロボットと、を備えたことを特徴とするピッキング装置。
【請求項13】
請求項12に記載のピッキング装置であって、
撮像装置と前記撮像装置が撮像する画像を用いて前記ワークの位置と形状とを検出する画像演算部と、を備え、
前記画像演算部は前記位置演算部から前記ワークの位置情報を入力し、前記画像のうち前記ワークが撮像されている場所を特定し、特定した前記場所を解析することを特徴とするピッキング装置。
【請求項14】
請求項13に記載のピッキング装置であって、
前記ワーク移動部において前記ロボットとの相対位置が変わらない場所に前記発信部が配置され、前記ロボットにも前記発信部が配置されることを特徴とするピッキング装置。
【請求項15】
ワーク移動部がワークを移動させる第1移動工程と、
前記ワークに配置された複数の発信部が超音波の信号を発信し、受信部が前記ワークの姿勢を検出する第1検出工程と、
ロボットが前記ワークを把持し、移動させる第2移動工程と、を有し、
前記第1検出工程において前記発信部が前記信号を発信した後、複数の前記受信部に到達する到達時間から前記ワークの姿勢を検出することを特徴とするピッキング方法。
【請求項16】
請求項15に記載のピッキング方法であって、
前記第1検出工程では前記ワークの場所を検出し、
前記第1検出工程と前記第2移動工程との間に行われ、
撮像装置を用いて前記ワークを撮像し、撮像した画像を解析して前記ワークの場所と姿勢とを検出する第2検出工程を有し、
前記第2検出工程では、前記第1検出工程で検出した前記ワークの前記場所の情報を用いて、前記画像の一部を解析することを特徴とするピッキング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−100421(P2010−100421A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275248(P2008−275248)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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