ワーク移載方法、ワーク移載システム、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、回路基板の製造方法、回路基板、および電子機器
【課題】 改めて位置検出を行うことなく、描画処理後のワークを除材ストッカのパレットに位置決め状態で移載することができるワーク移載システム等を提供することを課題とする。
【解決手段】 ワークWを位置決め状態するパレットPを互いに平行になるように収容する給材ストッカ202および除材ストッカ203と、ワークWに描画処理を行う描画装置11と、ワークWを移載するワーク移載装置13とを備えたワーク移載システム1であって、描画装置11は、描画処理前にセットテーブル122に移載したワークWの載置位置を認識する位置認識手段105と、認識結果に基き、セットテーブル122上で描画処理前のワークWの載置位置を補正する位置補正手段102と、位置認識手段105および位置補正手段102を制御する制御手段16とを有し、制御手段16は、描画処理の後、上記の認識結果に基き、位置補正手段102によりワークWを元の載置位置に戻す。
【解決手段】 ワークWを位置決め状態するパレットPを互いに平行になるように収容する給材ストッカ202および除材ストッカ203と、ワークWに描画処理を行う描画装置11と、ワークWを移載するワーク移載装置13とを備えたワーク移載システム1であって、描画装置11は、描画処理前にセットテーブル122に移載したワークWの載置位置を認識する位置認識手段105と、認識結果に基き、セットテーブル122上で描画処理前のワークWの載置位置を補正する位置補正手段102と、位置認識手段105および位置補正手段102を制御する制御手段16とを有し、制御手段16は、描画処理の後、上記の認識結果に基き、位置補正手段102によりワークWを元の載置位置に戻す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに描画処理を行う描画装置のセットテーブルに対し、ワークの供給および除去を行うワーク移載方法、ワーク移載システム、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、回路基板の製造方法、回路基板、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、それぞれワーク(基板)を収容する給材ストッカ(給材部)および除材ストッカ(除材部)を用い、描画処理前のワークを、給材ストッカから描画装置(描画部)のセットテーブル(ステージ)に水平に移載すると共に、描画処理後のワークをセットテーブルから除材ストッカに水平に移載するワーク移載システム(液滴吐出装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−341114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この場合、給材ストッカおよび除材ストッカには、ワークが位置決め状態で載置されるパレットを互いに平行にしてそれぞれ収容し、ワークを両ストッカにそれぞれ収容されたパレットに移載するようにすることが考えられる。しかし、給材ストッカおよび除材ストッカと、描画装置とは、別体に構成されており、描画装置に対して両ストッカを精度良く位置合わせすることは困難である。このような描画装置と両ストッカとの位置精度、或いはパレットにおけるワークの位置決め精度等に起因して、給材ストッカからセットテーブルに移載した場合に、セットテーブル上でワークの位置補正を行う必要があるだけでなく、ワークをセットテーブルから除材ストッカに移載する場合にも、何らかの位置補正が必要があり、問題であった。
【0004】
本発明は、改めて位置検出を行うことなく、描画処理後のワークを除材ストッカのパレットに位置決め状態で移載することができるワーク移載方法、ワーク移載システム、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、回路基板の製造方法、回路基板、および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のワーク移載方法は、ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカを用い、描画処理前のワークを、給材ストッカに収容されたパレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後のワークを、セットテーブルから除材ストッカに収容されたパレットに水平に移載するワーク移載方法であって、描画処理に先立って、セットテーブルに移載したワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識工程と、セットテーブル上で、位置認識工程における認識結果に基づいて、描画処理前のワークの載置位置を補正する位置補正工程と、セットテーブル上で、認識結果に基づいて、描画処理後のワークを元の載置位置に戻す位置復帰工程と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、描画処理の前に、セットテーブル上でワークの載置位置を補正することで、ワークを位置精度良くセットテーブルにセットすることができる。このため、描画装置は、描画精度(位置精度)の高い描画処理を行うことができる。さらに、描画処理の後で、位置補正前に行った認識結果に基づいて、セットテーブル上でワークを元の載置位置に戻すことで、給材ストッカのパレットと平行になるようにして除材ストッカに収容されたパレットに位置決め状態でワークを移載することができる。すなわち、ワークの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカやそのパレットの位置検出を行うことなく、ワークを精度良く移載することができる。
【0007】
本発明のワーク移載システムは、ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカと、ワークをセットするセットテーブルを有し、セットされたワークに対して描画処理を行う描画装置と、描画処理前のワークを、給材ストッカに収容されたパレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後のワークを、セットテーブルから除材ストッカに収容されたパレットに水平に移載するワーク移載装置と、を備えたワーク移載システムであって、描画装置は、描画処理に先立って、セットテーブルに移載したワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識手段と、位置認識手段による認識結果に基づいて、セットテーブル上で、描画処理前のワークの載置位置を補正する位置補正手段と、位置認識手段および位置補正手段を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、描画処理の後、認識結果に基づいて、位置補正手段によりワークを元の載置位置に戻すことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、描画処理の前に、位置補正手段によりセットテーブル上でワークの載置位置を補正することで、ワークを位置精度良くセットテーブルにセットすることができる。このため、描画装置は、描画精度(位置精度)の高い描画処理を行うことができる。さらに、描画処理の後で、位置補正前に行った認識結果に基づいて、位置補正手段によりセットテーブル上でワークを元の載置位置に戻すことで、給材ストッカのパレットと平行になるようにして除材ストッカに収容されたパレットに位置決め状態でワークを移載することができる。すなわち、ワークの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカやそのパレットの位置検出を行うことなく、ワークを精度良く移載することができる。
なお、この場合、位置補正手段は、セットテーブルに組み込まれていることが好ましく、これによれば、セットテーブル上のワークを容易に位置補正することができると共に、容易に元の載置位置に戻すことができる。
【0009】
本発明の他のワーク移載方法は、ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカを用い、ワーク移載装置によって、描画処理前のワークを、給材ストッカに収容されたパレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後のワークを、セットテーブルから除材ストッカに収容されたパレットに水平に移載するワーク移載方法であって、セットテーブルへの移載に先立って、給材ストッカのパレットに載置されたワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識工程と、給材ストッカからセットテーブルへの移載中に、位置認識工程における認識結果に基づいて、ワーク移載装置にセットされた描画処理前のワークの水平面内におけるセット位置を補正する位置補正工程と、セットテーブルから除材ストッカへの移載中に、認識結果に基づいて、ワーク移載装置にセットされた描画処理後のワークを元のセット位置に戻す位置復帰工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、給材ストッカからセットテーブルへの移載中に、ワーク移載装置にセットされた描画処理前のワークのセット位置を補正することで、ワークを位置精度良くセットテーブルにセットすることができる。このため、描画精度の高い描画処理を行うことができる。さらに、セットテーブルから除材ストッカへの移載中に、位置補正前に行った認識結果に基づいて、ワーク移載装置にセットされた描画処理後のワークを元のセット位置に戻すことで、給材ストッカのパレットと平行になるようにして除材ストッカに収容されたパレットに位置決め状態でワークを移載することができる。すなわち、ワークの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカやそのパレットの位置検出を行うことなく、ワークを精度良く移載することができる。
なお、この場合、ワーク移載装置にセットされた描画処理前のワークのセット位置の補正をプレアライメントとし、セットテーブル上でさらに本アライメントを行ってもよい。
【0011】
本発明の他のワーク移載システムは、ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカと、ワークをセットするセットテーブルを有し、セットされたワークに対して描画処理を行う描画装置と、描画処理前のワークを、給材ストッカに収容されたパレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後のワークを、セットテーブルから除材ストッカに収容されたパレットに水平に移載するワーク移載装置と、を備えたワーク移載システムであって、ワーク移載装置は、給材ストッカ、セットテーブル、除材ストッカの順で、セットしたワークを移載するワーク移載手段と、セットテーブルへの移載に先立って、給材ストッカのパレットに載置されたワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識手段と、給材ストッカからセットテーブルへの移載中に、位置認識手段による認識結果に基づいて、ワーク移載手段にセットされた描画処理前のワークの水平面内におけるセット位置を補正する位置補正手段と、位置認識手段および位置補正手段を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、セットテーブルから除材ストッカへの移載中に、認識結果に基づいて、位置補正手段によりワーク移載手段にセットされた描画処理後のワークを元のセット位置に戻すことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、給材ストッカからセットテーブルへの移載中に、位置補正手段によりワーク移載装置にセットされた描画処理前のワークのセット位置を補正することで、ワークを位置精度良くセットテーブルにセットすることができる。このため、描画精度の高い描画処理を行うことができる。さらに、セットテーブルから除材ストッカへの移載中に、位置補正前に行った認識結果に基づいて、位置補正手段によりワーク移載装置にセットされた描画処理後のワークを元のセット位置に戻すことで、給材ストッカのパレットと平行になるようにして除材ストッカに収容されたパレットに位置決め状態でワークを移載することができる。すなわち、ワークの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカやそのパレットの位置検出を行うことなく、ワークを精度良く移載することができる。
なお、この場合、位置補正手段は、ワーク移載手段に組み込まれていることが好ましく、これによれば、ワーク移載手段にセットされたワークを容易に位置補正することができ、容易に元のセット位置に戻すことができる。
【0013】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記したワーク移載システムを用い、描画装置によりワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電気光学装置は、上記したワーク移載システムを用い、描画装置によりワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0015】
これらの構成によれば、描画処理前にワークの位置補正を行うことができると共に、改めて位置検出を行うことなく、描画処理後のワークを除材ストッカのパレットに位置決め状態で移載することができるため、高品質な電気光学装置を効率良く製造することが可能となる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置、例えば回路基板が考えられる。また、描画装置として、例えば、インクジェット法によるものやディスペンサ法によるものが考えられる。
【0016】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0017】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明を適用した基板処理システムについて説明する。本実施形態の基板処理システムは、いわゆるインクジェットの印刷技術により回路基板を作製するものであって、導入した基板(一部素子を作り込んだワーク)に対し、インクジェット法により銀インク(銀ナノ粒子)や絶縁体インク(紫外線硬化樹脂)等の機能液を吐出(描画)して、基板上に機能液滴による金属配線および絶縁膜(成膜部)を形成するものである。そこで、まず、インクジェット技術により作製される回路基板およびその製造工程について簡単に説明する。
【0019】
図1の基板Wは、厚さ40μm程度のシート状のポリイミド基材であって、描画処理後、切断されて複数の回路基板となるものである。本実施形態では、例えば410mm×510mmの大基板Wと、165mm×165mmの小基板Wとの2種類のサイズの基板Wが用意されている。また、基板Wの外縁部における幅10mmの箇所は、描画処理の行われない非描画しろWn(非描画領域)であり、非描画しろWnに囲まれた箇所が、描画処理の行われる描画領域Wdとなっている。
【0020】
なお、基板Wには、後述する描画装置11の画像認識手段105(図5参照)により画像認識される一対のアライメントマーク(図示省略)が形成されている。また、図1では、機能液滴吐出ヘッド141を単一のものとして模式的に表示しているが、後述するように、描画装置11には48個の機能液滴吐出ヘッド141が搭載されている。
【0021】
製造工程では、まず、後述する機能液滴吐出ヘッド141により銀インクを吐出し、基板W上に配線パターンを形成する(同図(b)参照)。続いて、焼成処理等により銀ナノ粒子を覆う有機物を除去し、粒子間の電気的結合を確保し金属配線とする。さらに、形成した金属配線上に絶縁体インクを吐出し、スルーホール部を除いて層間絶縁膜を形成する(同図(c)参照)。この繰り返しで多層化し、最終的に表面絶縁膜となる絶縁体インクを吐出して描画処理が完成する。
【0022】
続いて、図2ないし図5を参照して、本発明に係る基板処理システムについて説明する。基板処理システム1は、基板Wに対して描画処理を行う描画装置11と、描画処理前および描画処理後の基板Wを収容し、これを搬入・搬出する基板ストッカ12と、基板ストッカ12から描画処理前の基板Wを描画装置11に移載すると共に、描画装置11から描画処理後の基板Wを基板ストッカ12に移載する基板移載装置13と、を備えている。また、基板処理システム1には、各構成部品への駆動・制御用等の圧縮エアーを供給するエアー供給装置14と、真空ポンプ等で構成され、基板Wを吸着するためにエアー吸引を行うエアー吸引装置15と、パソコン等で構成され、各装置を統括制御する制御装置16等が組み込まれている(図5参照)。
【0023】
描画装置11は、それぞれ24個の機能液滴吐出ヘッド141を搭載した2個のキャリッジユニット101と、セットテーブル122(後述する)に載置した基板WをX軸方向に移動させるX軸テーブル102と、X軸テーブル102を跨ぐようにして配設され、2個のキャリッジユニット101を個々にY軸方向に移動させるY軸テーブル103と、Y軸テーブル103によるキャリッジユニット101の移動軌跡上に配設され、機能液滴吐出ヘッド141を保守するメンテナンス手段104と、基板Wに設けられたアライメントマークや基板W上に着弾した機能液滴を画像認識する画像認識手段105とを備えている。
【0024】
また、描画装置11には、2個のキャリッジユニット101に搭載された機能液滴吐出ヘッド141に機能液をそれぞれ供給する機能液供給手段(図示省略)、基板W上に吐出された銀インクにドライエアを吹き付けて乾燥させるドライア(図示省略)、基板W上に吐出された絶縁体インクをUV硬化させるUV照射装置106等が組み込まれている。
【0025】
この描画装置11では、X軸テーブル102の駆動に同期して、搭載した機能液滴吐出ヘッド141を駆動することにより、基板Wに機能液滴を吐出・着弾させ、基板Wに描画処理を行うと共に、基板交換等の非描画処理時には、Y軸テーブル103を駆動し、キャリッジユニット101をメンテナンス手段104に臨ませ、メンテナンス手段104により、機能液滴吐出ヘッド141のメンテナンス処理を行うようになっている。
【0026】
そして、X軸テーブル102による基板Wの移動軌跡と、Y軸テーブル103によるキャリッジユニット101の移動軌跡とが交わる領域が、描画処理を行う描画エリア111となっており、Y軸テーブル103によるキャリッジユニット101の移動軌跡上のX軸テーブル102から外側に外れた領域が、メンテナンス手段104によるメンテナンス処理や機能液滴吐出ヘッド141の交換を行うメンテナンスエリア112となっている。また、X軸テーブル102の一方の端部は、基板ストッカ12と描画装置11との相互間において基板Wの移載を行う基板移載エリア113となっている(図3参照)。
【0027】
X軸テーブル102は、床上に設置された石定盤121上に設けられており、吸着テーブル123および基板θ軸テーブル124等から成るセットテーブル122と、セットテーブル122をX軸方向にスライド自在に支持するX軸スライダ125と、セットテーブル122を介して基板WをX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ126,126とを有している。
【0028】
吸着テーブル123は、その上面に載置された基板Wを、上記のエアー吸引装置15からのエアー吸引により吸着セットするものであって、平面視略正方形に形成されている。その一辺の長さは、上記の大基板Wの長辺の長さに合わせて設定されており、基板Wを縦置き(基板Wの長辺をX軸方向と平行にする)および横置き(基板Wの長辺をY軸方向と平行にする)のいずれか任意の向きで、且つセンター中心でセット可能になっている。また、基板θ軸テーブル124は、θ軸モータ128を駆動することで、吸着テーブル123を介して基板Wの水平面内におけるθ位置を微調整(θ補正)するものである。
【0029】
一方、Y軸テーブル103は、描画エリア111およびメンテナンスエリア112間を掛け渡すと共に、描画エリア111と、メンテナンス手段104の各ユニットの直上部との相互間で、2個のキャリッジユニット101および後述するカメラキャリッジ151を個々に移動させるものであって、Y軸方向の駆動系を構成するモータ駆動の3組のY軸エアースライダ(図示省略)を有し、これにそれぞれブリッジプレート132を介して上記の2個のキャリッジユニット101およびカメラキャリッジ151を移動自在に搭載して、構成されている。
【0030】
Y軸テーブル103は、Y軸方向に延在する前後一対の支持スタンド136,136上に支持されており、各支持スタンド136は、石定盤121上に設けられた2本の短支柱137と、床上に設けられた1本の長支柱138とから成っている。なお、図中の符号139は、担持体カバーであって、この担持体カバー139のなかに、Y軸テーブル103に沿うようにして、各機能液滴吐出ヘッド141に至る各種配線・配管等を担持するケーブルベア(登録商標)様のケーブル担持体(図示省略)が収容されている。
【0031】
各キャリッジユニット101は、サブキャリッジ(図示省略)と、サブキャリッジに搭載した24個の機能液滴吐出ヘッド141(図1参照)とを備えている。24個の機能液滴吐出ヘッド141は、2個1組として、各組2個の機能液滴吐出ヘッド141を相互に半ノズルピッチずらすと共に、全体で連続した1の描画ラインを形成するように、12組の機能液滴吐出ヘッド141を階段状に配列させている。すなわち、本実施形態の描画装置11は、いわゆるフルライン方式のものであって、1回の吐出走査で基板Wの全域に描画処理を行うことができるようになっている。
【0032】
各機能液滴吐出ヘッド141は、図示省略したが、機能液供給手段の機能液パックから導入された機能液をインクジェット方式で吐出するものであって、列設された複数のノズルと、各ノズルに連なり、ピエゾ素子等で構成されるポンプ部とを有し、ポンプ部に駆動波形を印加することにより、各ノズルから機能液滴が吐出される。
【0033】
各機能液滴吐出ヘッド141は、機能液供給チューブ(図示省略)を介して、機能液を貯留した機能液パックに接続されている。各機能液パックは、Y軸テーブル103によるキャリッジユニット101の移動に伴ってY軸方向に移動するように、対応するブリッジプレート132に取り付けられている。
【0034】
本実施形態では、回路基板の製造ライン中に2台の描画装置11が用意されており、一方の描画装置11に設けた機能液パックには、銀インクが貯留され、他方の描画装置11に設けた機能液パックには、絶縁体インクが貯留されている。すなわち、一方の描画装置11を銀インクの描画に用い、他方の描画装置11を絶縁体インクの描画に用いるようにしている。もちろん、一台の描画装置11により、一方のキャリッジユニット101を銀インクの描画に用い、他方のキャリッジユニット101を絶縁体インクの描画に用いるようにしてもよい。
【0035】
メンテナンス手段104は、メンテナンスエリア112に配設され、機能液滴吐出ヘッド141内で増粘した機能液を除去するための吸引を行う2個の吸引ユニット146と、機能液滴吐出ヘッド141のノズル面(図示省略)を払拭するワイピングユニット147と、機能液滴吐出ヘッド141から吐出された機能液滴の飛行状態を撮像する飛行観察ユニット(図示省略)と、吐出された機能液滴の重量を測定する2台の重量測定ユニット(図示省略)とを備えている。なお、図3の符号148は、X軸移動テーブルであり、この上に、飛行観察ユニットと、これをY軸方向に挟むようにして並べた2台の重量測定ユニットとが載置されており、キャリッジユニット101の直下に適宜臨ませることができるようになっている。
【0036】
また、図示しないが、上記の吸着テーブル123の前後両側には、一対のフラッシングボックスが配設されており、この各フラッシングボックスに対し、機能液滴吐出ヘッド141の基板Wへの機能液滴の吐出の直前・直後にフラッシング(捨て吐出)が行われる。
【0037】
画像認識手段105は、上記のカメラキャリッジ151に搭載されており、セットテーブル122に移載された基板Wのアライメントを行うプリアライメントカメラ152および本アライメントカメラ153と、描画精度等を確認すべく、基板Wに吐出された機能液滴を撮像する描画確認カメラ154とを備えている。プリアライメントカメラ152は、視野角が広い(低解像度)もので構成され、本アライメントカメラ153は、高解像度(視野角が狭い)のもので構成されている。
【0038】
セットテーブル122に移載された基板Wのアライメントは、プリアライメントおよびこれに続く本アライメントの2段階で行われる。すなわち、まず、X軸テーブル102により基板Wを載置したセットテーブル122を描画エリア111のデータ上の初期位置に位置させると共に、Y軸テーブル103によりカメラキャリッジ151を描画エリア111のデータ上の初期位置に位置させておく。そして、プリアライメントカメラ152により、基板Wの一対のアライメントマークをそれぞれ撮像し、その撮像結果に基づいて、プリアライメントを行う。つまり、プリアライメントは、本アライメントカメラ153の視野内にアライメントマークが位置するように、X軸テーブル102および基板θ軸テーブル124により吸着テーブル123をX軸方向およびθ軸方向に移動させると共に、カメラキャリッジ151をY軸方向に移動させる。
【0039】
続いて、本アライメントカメラ153により、一対のアライメントマークをそれぞれ撮像する。最後に、本アライメントカメラ153による一対のアライメントマークの撮像結果に基づいて、X軸方向およびY軸方向の位置データを補正すると共に、基板θ軸テーブル124により吸着テーブル123をθ軸方向に微小移動させて、基板Wの本アライメントを完了させる。このプリアライメントおよび本アライメントにより、描画装置11は、描画精度(位置精度)の高い描画処理を行うことができる。このように、基板Wのアライメントは、吸着テーブル123の移動による基板Wの載置位置の補正(位置補正処理)と、データ補正とにより行われるが、この位置補正処理については、後ほど詳述する。
【0040】
なお、本実施形態では、2種類のサイズの基板W(大基板Wおよび小基板W)に対応させるべく、これらのカメラをY軸方向に移動可能としたが、1種類の基板Wを対象とする場合には、これらのカメラを固定的に設けてもよい。
【0041】
ここで、描画装置11による基板Wへの一連の吐出動作(描画処理)について簡単に説明する。まず、機能液滴を吐出する前の準備として、上記のようにして、セットテーブル122に吸着セットされた基板Wのアライメントを行う。続いて、描画装置11は、基板WをX軸テーブル102によりX軸方向に移動させると共に、これに同期して機能液滴吐出ヘッド141を選択的に駆動させることで、基板Wに対して機能液滴が吐出される。最後に、銀インクを描画した場合には、ドライアによりエアーを吹き付けて半乾燥させ、絶縁体インクを描画した場合には、UV照射装置106によりUVを照射して絶縁体インクを硬化させる。このようにして、基板Wに対する銀インクまたは絶縁体インクの描画が完了する。
【0042】
続いて、本発明の主要部分となる基板ストッカ12および基板移載装置13について詳細に説明する。図5ないし図9に示すように、基板ストッカ12は、描画処理前の基板WをパレットPに載置して収容する給材ストッカ202と、描画処理後の基板WをパレットPに載置して収容する除材ストッカ203とを有し、また、基板移載装置13は、描画処理前の基板Wを給材ストッカ202のパレットPから上記の描画装置11のセットテーブル122に移載し、続いて、その基板Wを載置していたパレットPを給材ストッカ202から除材ストッカ203に移載し、さらに、描画処理後の基板Wをセットテーブル122から除材ストッカ203に移載されたパレットPに移載する。
【0043】
基板ストッカ12は、床上に設置された平面視長方形の架台201と、架台201の上面に左右に並べて配設された給材ストッカ202および除材ストッカ203とを備えている。架台201は、アングル材等を方形に組んで構成され、下部の四隅に配置した4個の支持脚211を有している。また、図示しないが、各支持脚211に隣接して、上下方向に出没可能な4個のキャスタが取り付けられている。このため、基板ストッカ12に収容した基板Wを搬送する際に、架台201を容易に移動することができると共に、安定した状態で架台201を設置することができる。
【0044】
この架台201は、上記の基板移載エリア113に位置させたセットテーブル122に対し、給材ストッカ202および除材ストッカ203がY軸方向に並ぶようにして、設置される(図3参照)。このとき、搬入された基板ストッカ12(架台201)は、何らかの基準を介して、位置決めされた状態で設置される。
【0045】
なお、基板移載エリア113のセットテーブル122、給材ストッカ202および除材ストッカ203は、この順でY軸方向に並ぶが、この順序、すなわち給材ストッカ202および除材ストッカ203の設置箇所は任意であって、基板処理システム1全体のスペース効率等を考慮して、変更可能である。例えば、給材ストッカ202および除材ストッカ203を別々の架台に配設し、セットテーブル122をY軸方向に挟むようにして給材ストッカ202および除材ストッカ203を位置決めして設置してもよい。
【0046】
給材ストッカ202および除材ストッカ203は、基板Wを載置したパレットP(後述する)をそれぞれ最大15枚収容することができ、給材ストッカ202には、描画処理前の基板Wおよびそれを載置したパレットPが収容され、除材ストッカ203には、描画処理後の基板Wおよびそれを載置したパレットPが収容される。
【0047】
給材ストッカ202は、描画処理前の基板Wを水平に載置した複数のパレットPを位置決め状態で段積みして収容するものであって、架台201の上面に固定され、長辺方向に亘って2本の凸条を形成した略長方形のパレット載置プレート221と、パレット載置プレート221上に段積みされたパレットPを位置決めする5本の位置決めピン222と、段積みされたパレットPの枚数(高さ)を検知するパレット枚数センサ223,233(図5参照)とを備えている。
【0048】
パレット載置プレート221には、位置決めピン222を抜き差し自在に差し込むための10個のピン穴224が形成されている。すなわち、パレットPを縦置き(パレットPの長辺をX軸方向と平行にする)で5本の位置決めピン222により位置決めするための5個のピン穴224と、パレットPを横置き(パレットPの長辺をY軸方向と平行にする)で5本の位置決めピン222により位置決めするための5個のピン穴224とが、それぞれ4辺に分散して形成されている。これにより、給材ストッカ202は、上記のセットテーブル122に基板Wを縦置きおよび横置きで移載すべく、基板Wを載置したパレットPを縦置きおよび横置きで収容することができる。なお、図示では、給材ストッカ202は、パレットPを横置きで位置決めして収容している(除材ストッカ203も同様)。
【0049】
各位置決めピン222は、ピン穴224に差し込まれた状態で、段積みした15枚(最大収容枚数)のパレットPの高さ(75mm)より若干長く形成されている。また、パレット枚数センサ223は、パレット載置プレート221を間に挟んでY軸方向に対向する左右一対のファイバセンサで構成され、これが前後2箇所に設けられている。
【0050】
除材ストッカ203は、描画処理後の基板Wを水平に載置した複数のパレットPを位置決め状態で段積みして収容するものである。詳細は給材ストッカ202の説明に譲るが、給材ストッカ202と略同様に構成されており、パレット載置プレート231に形成したピン穴234に差し込まれた5本の位置決めピン232により、パレットPを位置決めすると共に、パレット枚数センサ233を有している。そして、給材ストッカ202と除材ストッカ203とは、それぞれ収容したパレットPが互いに平行になるように構成されている。
【0051】
図10に示すように、パレットPは、基板Wを位置決め状態で載置するものであり、大基板Wよりも一回り大きく、角部を面取りした略長方形のプレート状(5mm厚)に形成されている。そして、大基板Wを載置する場合には、パレットPの表面を用い、小基板Wを載置する場合には、パレットPの裏面を用いる。すなわち、パレットPの表面には、大基板Wを位置決め状態で載置すべく、大型浅溝部Pbが形成され、裏面には、小基板Wを位置決め状態で載置すべく、小型浅溝部Psが形成されており、大型浅溝部Pbおよび小型浅溝部Psは、同心状に設けられている。もっとも、大型浅溝部Pbおよび小型浅溝部Psは、それぞれ載置された大基板Wおよび小基板Wの僅かなガタツキを許容する寸法公差をもって、大基板Wおよび小基板Wに対して若干大きく形成されているため、大基板Wおよび小基板Wは、粗く位置決めされることになる。
【0052】
大型浅溝部Pbおよび小型浅溝部Psの深さはそれぞれ0.5mmであり、上記の基板Wの厚さ40μmよりも深くなっている。そのため、パレットPの大型浅溝部Pbまたは小型浅溝部Psに載置された基板Wの表面が、その上に積まれたパレットPの下面と接触することがない。
【0053】
なお、パレットPには、軽量化を図るため適宜、複数箇所に切抜き開口を形成してもよい。もっとも、この場合、後述するパレット吸着機構313のパレット吸着パッド381が吸着する箇所は、切り抜かないようにする。
【0054】
図5ないし図9に示すように、基板移載装置13は、基板吸着プレート341により上側から基板Wを吸着保持する基板吸着機構312、および一対のパレット吸着パッド381,381により上側からパレットPを吸着保持するパレット吸着機構313を有する吸着ヘッド301と、ブラケット311を介して基板吸着プレート341およびパレット吸着パッド381を一体として昇降させる吸着ヘッド昇降機構302と、上記の基板移載エリア113(セットテーブル122)および除材ストッカ203間に掛け渡された吸着ヘッド移動機構303と、を備えている。
【0055】
吸着ヘッド移動機構303は、基板吸着機構312により吸着した基板WをY軸方向に移動させると共に、パレット吸着機構313により吸着したパレットPをY軸方向に移動させるものである。吸着ヘッド移動機構303は、Y軸方向に水平に延在しており、移載キャリッジ331を介して吸着ヘッド昇降機構302および吸着ヘッド301をスライド自在に吊設支持するY軸スライダ(図示省略)と、Y軸スライダを案内にして移載キャリッジ331をY軸方向に移動させるY軸ボールねじ(図示省略)と、Y軸ボールねじを正逆回転させるY軸モータ332とを備えている。
【0056】
また、図示省略したが、Y軸スライダの背面側に沿って、ケーブルベアボックスが配設されており、後述するエアー吸引装置15に連なる吸引チューブ354や真空チューブ386(図5参照)等を担持するY軸ケーブルベアがその内部に収容されている。そして、吸着ヘッド移動機構303は、ケーブルベアボックスの背面に取り付けた複数個の固定金具により、上記の描画装置11の担持体カバー139(のカバーアングル)の下側に固定されている。
【0057】
吸着ヘッド昇降機構302は、移載キャリッジ331の前面に保持されており、上部に動力伝達機構321を配置したいわゆるモータ折返し式の駆動系であって、ブラケット311側に設けた雌ねじ部材(図示省略)と、これに螺合するリードねじ(図示省略)と、動力源となる昇降モータ322と、タイミングベルト等から成り、昇降モータ322の駆動力をリードねじに伝達する動力伝達機構321とから構成されている。そして、昇降モータ322の正逆回転により、ブラケット311を介して基板吸着プレート341やパレット吸着パッド381を昇降させ、これらに吸着した基板WやパレットPを昇降できるようになっている。
【0058】
吸着ヘッド昇降機構302の昇降ストローク幅は、100mmであり、段積みされた最上段(15段目)のパレットPに対しては、25mmの高さから臨むことになる。そして、上記のパレット枚数センサ223,233により検知されたパレットPの段積み枚数(高さ)に基づいて、給材ストッカ202および除材ストッカ203に対する下降距離を決定する。なお、図示しないが、吸着ヘッド昇降機構302の側方には、上記の吸引チューブ354や真空チューブ386等を担持するZ軸ケーブルベアが配設されている。
【0059】
図11ないし図14に示すように、吸着ヘッド301は、略長方形のプレート状に形成されたブラケット311と、ブラケット311の左右略中間部から垂設させた基板吸着機構312と、ブラケット311の左辺および右辺の下端からそれぞれ下方に延在するパレット吸着機構313とを有している。この基板吸着機構312およびパレット吸着機構313は、ブラケット311の前面に取り付けられ、また、ブラケット311はその背面で上記の吸着ヘッド昇降機構302に取り付けられている(図9参照)。このように、基板吸着機構312がブラケット311を介して吸着ヘッド昇降機構302に取り付けられていると共に、パレット吸着機構313がブラケット311を介して吸着ヘッド昇降機構302に取り付けられていることで、基板W用の移動手段と、パレットP用の移動手段とを別々に設ける必要がない。
【0060】
なお、図5の符号355は、基板吸着機構312の吸引力(圧力)を検知する基板圧力センサで、符号387は、パレット吸着機構313の吸引力(圧力)を検知するパレット圧力センサであるが、実際には、両センサはブラケット311の前面に取り付けられている。
【0061】
基板吸着機構312は、上側から基板Wを吸着する基板吸着プレート341と、基板吸着プレート341の上面中心部に取り付けられ、基板吸着プレート341の姿勢を制御する姿勢制御モジュール342と、姿勢制御モジュール342の上面に設けられ、姿勢制御モジュール342を介して基板吸着プレート341を昇降させるサブ昇降機構343とを有している。
【0062】
基板吸着プレート341は、アルミプレートで構成され、その下面には、基板Wの非描画しろWn(外縁部)と接する環状凸部351が突出形成されている(図14参照)。この環状凸部351の下面には、基板Wを吸引するための吸着溝部352が連続的に(環状に)形成されている。また、吸着溝部352には、その各角部および四辺の各中間部に位置して、上記のエアー吸引装置15に連なる吸引チューブ354の上流端が接続する吸引孔353が計8箇所に形成されている。
【0063】
環状凸部351の下面は、平滑に加工(例えばアルマイト処理)されているため、基板Wの非描画しろWnの上面と環状凸部351の下面とを接触させた状態で吸着溝部352から吸引すると、非描画しろWnの上面と環状凸部351の下面との間からエアーが漏れることなく、十分な吸引力を基板Wに作用させることができる。
【0064】
また、吸引チューブ354には、三方弁(図示省略)が介設され、吸引孔353に対してエアー吸引と圧縮エアー供給とを切換え可能になっている。さらに、吸引チューブ354には、上記の基板圧力センサ355が介設され、所定の圧力まで減圧されると、エアー吸引が停止されるようになっている(図5参照)。
【0065】
そして、吸引孔353からエアー吸引を行うと、吸着溝部352から基板Wの非描画しろWnに対して略均一に吸引力を作用させることができ、基板Wの平坦度を維持しつつ、基板吸着プレート341に対して基板Wを不動に吸着セットできるようになっている。一方、三方弁を切り換えて吸引孔353に圧縮エアーを供給すると、吸着溝部352の基板Wに対する真空が破壊され、自重により基板吸着プレート341から基板Wが離れるようになる。このように、基板吸着プレート341は、描画対象となる基板Wの描画領域Wdに接触することなく、基板Wを吸着保持することができる。
【0066】
また、連続的に形成された吸着溝部352により基板Wの非描画しろWnを吸着することで、基板Wの角部等が垂れ下がることなく、基板Wを適切に確実に吸着保持することができる。さらに、吸着パッド等と比べて、基板Wと吸着する部分の幅を極力狭くすることができ、基板Wの描画領域をより広く設けることができる。
【0067】
さらに、基板吸着プレート341の中心部には、上記の姿勢制御モジュール342に螺子止め固定するための螺子孔(図示省略)が複数個形成されており、姿勢制御モジュール342に対し、縦向き(基板吸着プレート341の長辺をX軸方向と平行にする)および横向き(基板吸着プレート341の長辺をY軸方向と平行にする)に取り付け可能、すなわち、水平面内で90°回転させた状態で、付替え可能に構成されている。これにより、セットテーブル122に載置する基板Wの向き(縦向きまたは横向き)に対応させて、基板吸着プレート341を取り付けることができる。なお、図示では、基板吸着プレート341は横向きに取り付けられている。
【0068】
また、基板吸着プレート341には、中心から四方に同一の距離を存した位置に、4個の円形開口356が形成されている。4個の円形開口356のうち、長辺方向に並ぶ2個のものは、基板吸着プレート341が横向きに取り付けられた際に、後述するパレット吸着パッド381を下方に向かって出没させるためのものであり、短辺方向に並ぶ2個のものは、基板吸着プレート341が縦向きに取り付けられた際に、パレット吸着パッド381を下方に向かって出没させるためのものである。このように、円形開口356を介して、パレット吸着パッド381を下方に向かって出没させるようにすることで、パレット吸着パッド381を基板吸着プレート341の投影面内に配設することが可能となる。すなわち、基板吸着プレート341とパレット吸着パッド381とを、水平面内で交換移動させる必要がなく、且つコンパクトに配設することができ、スペース効率を向上させることができる。なお、基板吸着プレート341は、大基板Wおよび小基板Wとそれぞれ略同形且つ略同サイズに形成した2種類のものが用意されている。
【0069】
姿勢制御モジュール342は、基板吸着プレート341とサブ昇降機構343との間に介設されており、略直方体形状の装置本体361と、装置本体361の下面に装着された傾動プレート362とを有しており、この傾動プレート362の下面に上記の基板吸着プレート341が螺子止めされている。
【0070】
図示省略したが、装置本体361の内部には、傾動プレート362と平行姿勢でこれに連結されると共に、X軸、Y軸、θ軸およびα軸方向に微小移動可能(三次元的に傾動可能)なインナープレートと、インナープレートを締結する締結機構と、インナープレートを装置本体361に対して位置決め(相互の中心が一致)する位置決め機構とが組み込まれている。
【0071】
締結機構および位置決め機構は、それぞれエアーシリンダ等で構成されており、上記のエアー供給装置14からのエアー供給の制御により、ON/OFFを切り替えることができる。すなわち、締結機構をONにすると、インナープレートが締結され、インナープレートに連結された傾動プレート362が固定状態となり、締結機構をOFFにすると、インナープレートの締結が解除され、傾動プレート362が微小可動状態となる。
【0072】
また、締結機構をOFFにしてインナープレートの締結を解除した状態で、位置決め機構をONにすると、傾動プレート362の中心と、装置本体361の中心とが一致した状態となり、さらにこの状態で締結機構をONにすることで、装置本体361に対し位置決めされた傾動プレート362を固定状態とすることができる。
【0073】
つまり、締結機構および位置決め機構がそれぞれON/OFF切換え可能であることにより、位置決め機構をOFFのまま締結機構をONにすることで、傾動プレート362を傾動状態で固定することができると共に、位置決め機構をONしてから締結機構をONにすることで、傾動プレート362を位置決め状態で固定することができる。もっとも、本実施形態では、傾動プレート362を位置決め状態で固定可能であれば足りるため、締結機構のみON/OFF切換え可能な構成としてもよい。
【0074】
本実施形態の姿勢制御モジュール342は、装置本体361に対し位置決めされた傾動プレート362が、上記の吸着テーブル123の上面と平行になるように、調整されている。そのため、基板吸着プレート341は、傾動プレート362を微小可動状態とすることで、押し付けた基板Wに倣うように三次元的に傾動する自由傾動状態となり、また、傾動プレート362を装置本体361に対して位置決めすると共に固定状態とすることで、吸着テーブル123の上面を基準とした基準姿勢となる。
【0075】
すなわち、姿勢制御モジュール342は、エアー供給を制御することで、基板吸着プレート341の姿勢を、基準姿勢で不動とする不動状態と、三次元的に傾動する自由傾動状態とで切り替えることができる。これにより、セットテーブル122の上面に対し、給材ストッカ202における基板Wの載置面(パレットPの上面)が平行でない場合であっても、給材ストッカ202からの基板Wの除去およびセットテーブル122への基板Wの載置を適切に行うことができる(詳細は後述する)。
【0076】
サブ昇降機構343は、姿勢制御モジュール342の上面に立設した複動エアーシリンダー(片ロッド)で構成されており(図5参照)、姿勢制御モジュール342を介して、基板吸着プレート341を、パレット吸着パッド381の下縁端よりも僅かに下降させた位置と、パレット吸着パッド381の下縁端よりも僅かに上昇させた位置との間で、上下動させるものである。
【0077】
すなわち、基板吸着プレート341により基板Wを吸着する際に、基板吸着プレート341をパレット吸着パッド381の下縁端よりも僅かに下降させ、パレット吸着パッド381によるパレットPを吸着する際に、基板吸着プレート341をパレット吸着パッド381の下縁端(後述するゴムパッド382)よりも僅かに上昇させる。このため、基板吸着プレート341およびパレット吸着パッド381は、互いに干渉することなく、それぞれ基板WおよびパレットPを安定に吸着することができる。なお、図示では、基板吸着プレート341は、パレット吸着パッド381よりも上昇させた位置にある。
【0078】
また、サブ昇降機構343を構成する複動エアーシリンダは、往動室371と復動室372とにそれぞれ供給する圧縮空気の流量を制御することで、往動室371と復動室372との圧力バランスを調整可能に構成されている。なお、往動室371および復動室372とは、ピストン373により分かれたシリンダ374内の室のことであり、往動室371に圧縮空気が供給されると、ピストン373が復動室372側に押されてピストンロッド375が前進し、復動室372に圧縮空気が供給されると、ピストン373が往動室371側に押されてピストンロッド375が後退するものとする(図5参照)。
【0079】
パレット吸着機構313は、ゴムパッド382および下端にゴムパッド382を取り付けた円柱形の吸着ロッド383をそれぞれ有する一対のパレット吸着パッド381,381と、各パレット吸着パッド381をブラケット311に固定するL字金具384と、各吸着ロッド383に内蔵され、ゴムパッド382をパレットPに押し付けた際の衝撃を吸収するためのコイルばね(図示省略)とを備えている。また、各吸着ロッド383の略中間部には、エアー吸引装置15に連なる真空チューブ386の上流端が接続する真空継手385が取り付けられており、吸着ロッド383内には、ゴムパッド382と真空継手385とを連通する真空流路(図示省略)が形成されている。
【0080】
また、基板吸着機構312と同様に、真空チューブ386には、三方弁(図示省略)が介設され、真空継手385に対してエアー吸引と圧縮エアー供給とを切換え可能になっている。さらに、上記のパレット圧力センサ387が介設されており、所定の圧力まで減圧されると、エアー吸引が停止されるようになっている(図5参照)。
【0081】
そして、一対のパレット吸着パッド381,381をパレットPに押し付けながらエアー吸引を行うと、ゴムパッド382内が真空状態となり、パレット吸着パッド381とパレットPとが強力に吸着する。一方、三方弁を切り換えてパレット吸着パッド381に圧縮エアーを供給すると、ゴムパッド382内が真空破壊され、自重によりパレット吸着パッド381からパレットPが離れるようになる。
【0082】
ここで、基板処理システム1を用いて、給材ストッカ202、セットテーブル122、除材ストッカ203の順に、基板Wを移載する一連の動作について説明する。なお、移載処理前の準備として、描画装置11において、セットテーブル122を基板移載エリア113に移動させておく。また、給材ストッカ202には、位置決め状態で基板Wを載置したパレットPを収容しておく。
【0083】
まず、はじめに、基板吸着プレート341をパレット吸着パッド381に対して下降させた吸着ヘッド301を、吸着ヘッド移動機構303により給材ストッカ202の直上部に臨ませると共に、基板吸着プレート341が基板W(の非描画しろWn)に当接する位置まで、吸着ヘッド昇降機構302により吸着ヘッド301を下降する。このとき、姿勢制御モジュール342は、基板吸着プレート341を自由傾動状態としておく。これにより、基板吸着プレート341が基板Wの上面に倣った状態で、アンバランスなリークによる基板Wの位置ずれを防止しつつ、基板Wの吸着を開始することができる。
【0084】
そして、吸着ヘッド昇降機構302により、パレットP上の基板Wに対して基板吸着プレート341を押し付けるようにした状態で、基板吸着プレート341のエアー吸引を開始する。これによれば、吸着の際のショックにより基板WがパレットPに載置された位置から位置ずれすることなく、基板吸着プレート341に基板Wを安定に吸着させることができる。また、このとき、姿勢制御モジュール342により基板吸着プレート341が自由傾動状態となっているため、押し付け時に基板吸着プレート341が上方に逃げて、押し付け時の衝撃を吸収するようになっている。なお、サブ昇降機構343(複動エアシリンダ374)の往動室371と復動室372との圧力バランスを調整することで、基板Wの押し付け時の衝撃を吸収するようにしてもよい。
【0085】
続いて、基板Wを吸着した基板吸着プレート341を吸着ヘッド昇降機構302により上昇させると共に、吸着ヘッド移動機構303によりセットテーブル122上に臨ませ、さらに、吸着ヘッド昇降機構302により基板吸着プレート341を下降して基板Wをセットテーブル122に載置する。このとき、姿勢制御モジュール342は、基板吸着プレート341を不動状態としておく。これにより、基板Wがセットテーブル122の上面を基準とした基準姿勢となった状態で、セットテーブル122に基板Wを載置することができる。
【0086】
そして、基板Wをセットテーブル122に載置する際、吸着ヘッド昇降機構302により、基板吸着プレート341を基板Wに押し付けるようにして、基板吸着プレート341の真空を解除する。これによれば、吸着解除の際のショックによりセットテーブル122に対して基板Wが位置ずれすることなく、基板吸着プレート341から基板Wを安定に離すことができる。
【0087】
このようにして、給材ストッカ202からセットテーブル122への基板Wの移載が完了すると、上述したようにして、描画装置11により基板Wに対する描画処理が行われる。なお、詳細は後述するが、描画処理の前後には、セットテーブル122上で、描画処理前の基板Wの位置補正処理と、描画処理後の基板Wの位置を元に戻す復帰処理とが行われる。
【0088】
この描画処理の間、描画処理の対象となっている基板Wを載置していたパレットPを、給材ストッカ202から除材ストッカ203に移載する。すなわち、基板Wをセットテーブル122に移載した後、基板吸着プレート341をパレット吸着パッド381に対して上昇させた吸着ヘッド301を、吸着ヘッド移動機構303により給材ストッカ202の直上部に臨ませると共に、一対のパレット吸着パッド381,381をパレットPの上面に押し当てるようにして、吸着ヘッド昇降機構302により吸着ヘッド301を下降する。そして、パレット吸着パッド381のエアー吸引を開始して、パレット吸着パッド381にパレットPを吸着させる。
【0089】
次に、パレットPを吸着したパレット吸着パッド381を吸着ヘッド昇降機構302により上昇させると共に、吸着ヘッド移動機構303により除材ストッカ203上に臨ませる。さらに、除材ストッカ203に段積み状態で収用された最上段のパレットPに対し、吸着ヘッド昇降機構302によりパレット吸着パッド381を下降すると共に、パレット吸着パッド381を真空破壊して、吸着したパレットPを載置する。このようにして、給材ストッカ202から除材ストッカ203へのパレットPの移載が完了する。
【0090】
さらに、描画処理が終了した後、セットテーブル122から除材ストッカ203へ移載されたパレットPへ基板Wを移載する。この基板Wの移載は、描画処理前の基板Wの給材ストッカ202からセットテーブル122への移載と同様にして行われる。
【0091】
すなわち、姿勢制御モジュール342により基板吸着プレート341を不動姿勢とすると共に、セットテーブル122上の基板Wに対し基板吸着プレート341を押し付けた状態で、基板吸着プレート341に描画処理後の基板Wを吸着する。そして、吸着した基板Wを除材ストッカ203に移動し、姿勢制御モジュール342により基板吸着プレート341を自由傾動状態とすると共に、基板吸着プレート341により基板Wに押し付けるようにした状態で、基板吸着プレート341を真空破壊して、基板WをパレットPに載置する。
【0092】
以上のようにして、一連の移載動作が完了する。そして、給材ストッカ202に収容された15枚のパレットPおよびそれにそれぞれ載置した描画処理前の基板Wについて、順次この移載動作が行われる。これによれば、基板吸着プレート341は、描画対象となる基板Wの描画領域Wdに接触することなく、基板Wを吸着保持することができるため、基板Wに吸着のための特別な領域を設けることなく、吸着した基板Wを移載することができる。
【0093】
また、描画処理前の基板Wを載置していたパレットPを、給材ストッカ202から除材ストッカ203に移載し、そのパレットP上に描画処理後の基板Wを載置することで、同一のパレットPを用いて、描画処理前の基板Wと描画処理後の基板Wとを、それぞれ給材ストッカ202および除材ストッカ203に収容することができる。
【0094】
ところで、上述したように、給材ストッカ202および除材ストッカ203を載置する架台201と、描画装置11とは、別体に構成されており、描画装置11に対して両ストッカ202,203を精度良く位置合わせすることは困難である。また、パレットPは単に大型浅溝部Pbまたは小型浅溝部Psで基板Wを位置決めしている。このような描画装置11と両ストッカ202,203との位置精度、パレットPにおける基板Wの位置決め精度等に起因して、給材ストッカ202のパレットPからセットテーブル122に移載された基板Wは、描画装置11の設計基準から位置ずれしてセットテーブル122に吸着セットされることになる。
【0095】
そこで、描画処理の前後には、基板Wの位置補正処理および位置復帰処理が行われる。すなわち、給材ストッカ202からセットテーブル122に描画処理前の基板Wを移載した後(図15のS11)、上記のようにして、セットテーブル122上で、プリアライメントカメラ152によりアライメントマークを画像認識し(S12)、基板Wの初期位置データを記憶する。その認識結果(初期位置データ)に基づいて、吸着テーブル123をX軸方向およびθ軸方向に移動させ、吸着テーブル123上の基板Wの水平面内における載置位置を補正する位置補正処理を行う(S13)。例えば、ここでは、吸着テーブル123をX軸方向に2mm、θ軸方向に0.5°移動させたものとする。
【0096】
続いて、本アライメントカメラ153の画像認識結果に基づいて、データ補正と共に、吸着テーブル123をθ軸方向に微小移動させ、基板Wの位置補正処理をさらに行う(S14)。ここでは、吸着テーブル123をθ軸方向にさらに0.1°移動させたものとする。プリアライメントおよび本アライメントを通じた基板Wの位置補正処理により、基板Wの載置位置は、描画装置11の設計基準と合致することになるが、他方、除材ストッカ203に対して、X軸方向2mm、θ軸方向に0.6°位置ずれしていることになる。
【0097】
基板Wのアライメントが完了すると、基板Wに対し描画処理が行われる(S15)。この後、描画処理後の基板Wを、そのままの載置位置から除材ストッカ203に移載すると、基板Wの載置位置が除材ストッカ203に対して位置ずれしていることから、除材ストッカ203に収容されたパレットPの大型浅溝部Pbまたは小型浅溝部Psに載置することができない。
【0098】
そこで、描画処理の後、S12におけるプリアライメントカメラ152の認識結果に基づいて、吸着テーブル123上の基板Wの載置位置を元に戻す位置復帰処理を行う(S17)。すなわち、記憶しておいた初期位置データに基づいて、吸着テーブル123をX軸方向に2mm戻し、θ軸方向に0.6°戻す。この位置復帰処理により、除材ストッカ203に対する基板Wの位置ずれが解消される。
【0099】
位置復帰処理の後、セットテーブル122から除材ストッカ203のパレットPに基板Wを移載する(S18)。以上のようにして、一連の移載処理を行うことで、描画処理前に基板Wの位置補正を行うことができると共に、描画処理後の基板Wを除材ストッカ203のパレットPに位置決め状態で移載することができる。すなわち、基板Wの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカ203やそのパレットPの位置検出を行うことなく、基板Wを精度良く移載することができる。
【0100】
なお、本実施形態では、吸着テーブル123を微小移動させることで、基板Wの位置補正処理および位置復帰処理を行うが、吸着テーブル123を固定とし、基板Wを吸着テーブル123に対して微小移動させる構成であってもよい(この場合、吸着テーブル123の吸引は解除しておく)。
【0101】
さらに、本実施形態では、セットテーブル122上で、描画処理前の基板Wの載置位置を補正すると共に描画処理後の基板Wを元の載置位置に戻すようにするが、基板吸着プレート341に吸着セットされた状態で、描画処理前の基板Wのセット位置を補正すると共に描画処理後の基板Wを元のセット位置に戻すようにしてもよい。
【0102】
すなわち、基板移載装置13の吸着ヘッド301に、アライメントマークを画像認識するカメラ(広視野角)と、姿勢制御モジュール342を介して基板吸着プレート341をX軸方向およびθ軸方向に移動させるための吸着ヘッドX軸テーブルおよび吸着ヘッドθ軸テーブルとを、さらに設けておく。そして、そのカメラにより、給材ストッカ202のパレットPに載置された基板Wのアライメントマークを撮像し、その画像認識結果に基づいて、給材ストッカ202からセットテーブル122への移載中に、吸着ヘッドX軸テーブルおよび吸着ヘッドθ軸テーブルにより基板吸着プレート341に吸着された描画処理前の基板Wのセット位置を補正する。描画処理の後、先程の画像認識結果に基づいて、セットテーブル122から除材ストッカ203への移載中に、吸着ヘッドX軸テーブルおよび吸着ヘッドθ軸テーブルにより基板吸着プレート341に吸着された描画処理後の基板Wのセット位置を元に戻すようにする。この場合も、基板Wの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカ203やそのパレットPの位置検出を行うことなく、基板Wを精度良く移載することができる。
【0103】
なお、この場合、セットテーブル122に移載された基板Wに対し、プリアライメントカメラ152による画像認識結果に基づいて、位置補正処理(プリアライメント)を行うことを省略することができる。
【0104】
次に、本実施形態の描画装置11を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0105】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図16は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図17は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図17(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0106】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図17(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図17(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド141により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0107】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0108】
次に、着色層形成工程(S103)では、図17(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド141によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド141を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0109】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図17(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0110】
図18は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図17に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0111】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0112】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図18において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0113】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0114】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0115】
実施形態の描画装置11は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド141で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド141で行うことも可能である。
【0116】
図19は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0117】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0118】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0119】
図20は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0120】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0121】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0122】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0123】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0124】
次に、図21は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0125】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0126】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0127】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0128】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0129】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0130】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0131】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0132】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0133】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0134】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0135】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0136】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図22〜図30を参照して説明する。
この表示装置600は、図22に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0137】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図23に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図24に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0138】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド141を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0139】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図5に示した描画装置11のセットテーブル122に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0140】
図25に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド141から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図26に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0141】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0142】
そして次に、図27に示すように、各色のうちのいずれか(図27の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0143】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図28に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0144】
同様に、機能液滴吐出ヘッド141を用い、図29に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0145】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0146】
対向電極形成工程(S115)では、図30に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0147】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0148】
次に、図31は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0149】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0150】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0151】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0152】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図2等に示した描画装置11を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を描画装置11のセットテーブル122に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド141により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0153】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0154】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド141から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0155】
次に、図32は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0156】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0157】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0158】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0159】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、描画装置11を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、描画装置11を用いて形成することができる。
【0160】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図33(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図33(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(描画装置11によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(描画装置11によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0161】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した描画装置11を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】インクジェットの印刷技術による回路基板の製造工程を示す模式図である
【図2】基板移載システムの外観斜視図である。
【図3】基板移載システムの外観平面図である。
【図4】基板移載システムの外観正面図である。
【図5】基板移載システムの概念図である。
【図6】基板移載装置の外観斜視図である。
【図7】基板移載装置の外観正面図である。
【図8】基板移載装置の外観平面図である。
【図9】基板移載装置の外観側面図である。
【図10】基板を載置するパレットの平面図である。
【図11】基板移載装置の吸着ヘッドの斜視図である。
【図12】基板移載装置の吸着ヘッドの正面図である。
【図13】基板移載装置の吸着ヘッドの側面図である。
【図14】(a)は吸着ヘッドの基板吸着プレートの底面図、(b)は吸着ヘッドの基板吸着プレートの一部を拡大した底面図である。
【図15】基板の位置補正処理および位置復帰処理を示すフローチャートである。
【図16】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図17】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図18】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図19】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図20】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図21】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図22】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図23】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図24】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図25】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図26】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図27】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図28】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図29】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図30】陰極の形成を説明する工程図である。
【図31】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図32】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図33】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0163】
1…基板処理システム 11…描画装置 13…基板移載装置 16…制御装置 105…画像認識手段 102…X軸テーブル 202…給材ストッカ 203…除材ストッカ P…パレット W…基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに描画処理を行う描画装置のセットテーブルに対し、ワークの供給および除去を行うワーク移載方法、ワーク移載システム、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、回路基板の製造方法、回路基板、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、それぞれワーク(基板)を収容する給材ストッカ(給材部)および除材ストッカ(除材部)を用い、描画処理前のワークを、給材ストッカから描画装置(描画部)のセットテーブル(ステージ)に水平に移載すると共に、描画処理後のワークをセットテーブルから除材ストッカに水平に移載するワーク移載システム(液滴吐出装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−341114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この場合、給材ストッカおよび除材ストッカには、ワークが位置決め状態で載置されるパレットを互いに平行にしてそれぞれ収容し、ワークを両ストッカにそれぞれ収容されたパレットに移載するようにすることが考えられる。しかし、給材ストッカおよび除材ストッカと、描画装置とは、別体に構成されており、描画装置に対して両ストッカを精度良く位置合わせすることは困難である。このような描画装置と両ストッカとの位置精度、或いはパレットにおけるワークの位置決め精度等に起因して、給材ストッカからセットテーブルに移載した場合に、セットテーブル上でワークの位置補正を行う必要があるだけでなく、ワークをセットテーブルから除材ストッカに移載する場合にも、何らかの位置補正が必要があり、問題であった。
【0004】
本発明は、改めて位置検出を行うことなく、描画処理後のワークを除材ストッカのパレットに位置決め状態で移載することができるワーク移載方法、ワーク移載システム、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、回路基板の製造方法、回路基板、および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のワーク移載方法は、ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカを用い、描画処理前のワークを、給材ストッカに収容されたパレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後のワークを、セットテーブルから除材ストッカに収容されたパレットに水平に移載するワーク移載方法であって、描画処理に先立って、セットテーブルに移載したワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識工程と、セットテーブル上で、位置認識工程における認識結果に基づいて、描画処理前のワークの載置位置を補正する位置補正工程と、セットテーブル上で、認識結果に基づいて、描画処理後のワークを元の載置位置に戻す位置復帰工程と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、描画処理の前に、セットテーブル上でワークの載置位置を補正することで、ワークを位置精度良くセットテーブルにセットすることができる。このため、描画装置は、描画精度(位置精度)の高い描画処理を行うことができる。さらに、描画処理の後で、位置補正前に行った認識結果に基づいて、セットテーブル上でワークを元の載置位置に戻すことで、給材ストッカのパレットと平行になるようにして除材ストッカに収容されたパレットに位置決め状態でワークを移載することができる。すなわち、ワークの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカやそのパレットの位置検出を行うことなく、ワークを精度良く移載することができる。
【0007】
本発明のワーク移載システムは、ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカと、ワークをセットするセットテーブルを有し、セットされたワークに対して描画処理を行う描画装置と、描画処理前のワークを、給材ストッカに収容されたパレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後のワークを、セットテーブルから除材ストッカに収容されたパレットに水平に移載するワーク移載装置と、を備えたワーク移載システムであって、描画装置は、描画処理に先立って、セットテーブルに移載したワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識手段と、位置認識手段による認識結果に基づいて、セットテーブル上で、描画処理前のワークの載置位置を補正する位置補正手段と、位置認識手段および位置補正手段を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、描画処理の後、認識結果に基づいて、位置補正手段によりワークを元の載置位置に戻すことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、描画処理の前に、位置補正手段によりセットテーブル上でワークの載置位置を補正することで、ワークを位置精度良くセットテーブルにセットすることができる。このため、描画装置は、描画精度(位置精度)の高い描画処理を行うことができる。さらに、描画処理の後で、位置補正前に行った認識結果に基づいて、位置補正手段によりセットテーブル上でワークを元の載置位置に戻すことで、給材ストッカのパレットと平行になるようにして除材ストッカに収容されたパレットに位置決め状態でワークを移載することができる。すなわち、ワークの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカやそのパレットの位置検出を行うことなく、ワークを精度良く移載することができる。
なお、この場合、位置補正手段は、セットテーブルに組み込まれていることが好ましく、これによれば、セットテーブル上のワークを容易に位置補正することができると共に、容易に元の載置位置に戻すことができる。
【0009】
本発明の他のワーク移載方法は、ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカを用い、ワーク移載装置によって、描画処理前のワークを、給材ストッカに収容されたパレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後のワークを、セットテーブルから除材ストッカに収容されたパレットに水平に移載するワーク移載方法であって、セットテーブルへの移載に先立って、給材ストッカのパレットに載置されたワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識工程と、給材ストッカからセットテーブルへの移載中に、位置認識工程における認識結果に基づいて、ワーク移載装置にセットされた描画処理前のワークの水平面内におけるセット位置を補正する位置補正工程と、セットテーブルから除材ストッカへの移載中に、認識結果に基づいて、ワーク移載装置にセットされた描画処理後のワークを元のセット位置に戻す位置復帰工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、給材ストッカからセットテーブルへの移載中に、ワーク移載装置にセットされた描画処理前のワークのセット位置を補正することで、ワークを位置精度良くセットテーブルにセットすることができる。このため、描画精度の高い描画処理を行うことができる。さらに、セットテーブルから除材ストッカへの移載中に、位置補正前に行った認識結果に基づいて、ワーク移載装置にセットされた描画処理後のワークを元のセット位置に戻すことで、給材ストッカのパレットと平行になるようにして除材ストッカに収容されたパレットに位置決め状態でワークを移載することができる。すなわち、ワークの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカやそのパレットの位置検出を行うことなく、ワークを精度良く移載することができる。
なお、この場合、ワーク移載装置にセットされた描画処理前のワークのセット位置の補正をプレアライメントとし、セットテーブル上でさらに本アライメントを行ってもよい。
【0011】
本発明の他のワーク移載システムは、ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカと、ワークをセットするセットテーブルを有し、セットされたワークに対して描画処理を行う描画装置と、描画処理前のワークを、給材ストッカに収容されたパレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後のワークを、セットテーブルから除材ストッカに収容されたパレットに水平に移載するワーク移載装置と、を備えたワーク移載システムであって、ワーク移載装置は、給材ストッカ、セットテーブル、除材ストッカの順で、セットしたワークを移載するワーク移載手段と、セットテーブルへの移載に先立って、給材ストッカのパレットに載置されたワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識手段と、給材ストッカからセットテーブルへの移載中に、位置認識手段による認識結果に基づいて、ワーク移載手段にセットされた描画処理前のワークの水平面内におけるセット位置を補正する位置補正手段と、位置認識手段および位置補正手段を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、セットテーブルから除材ストッカへの移載中に、認識結果に基づいて、位置補正手段によりワーク移載手段にセットされた描画処理後のワークを元のセット位置に戻すことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、給材ストッカからセットテーブルへの移載中に、位置補正手段によりワーク移載装置にセットされた描画処理前のワークのセット位置を補正することで、ワークを位置精度良くセットテーブルにセットすることができる。このため、描画精度の高い描画処理を行うことができる。さらに、セットテーブルから除材ストッカへの移載中に、位置補正前に行った認識結果に基づいて、位置補正手段によりワーク移載装置にセットされた描画処理後のワークを元のセット位置に戻すことで、給材ストッカのパレットと平行になるようにして除材ストッカに収容されたパレットに位置決め状態でワークを移載することができる。すなわち、ワークの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカやそのパレットの位置検出を行うことなく、ワークを精度良く移載することができる。
なお、この場合、位置補正手段は、ワーク移載手段に組み込まれていることが好ましく、これによれば、ワーク移載手段にセットされたワークを容易に位置補正することができ、容易に元のセット位置に戻すことができる。
【0013】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記したワーク移載システムを用い、描画装置によりワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電気光学装置は、上記したワーク移載システムを用い、描画装置によりワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0015】
これらの構成によれば、描画処理前にワークの位置補正を行うことができると共に、改めて位置検出を行うことなく、描画処理後のワークを除材ストッカのパレットに位置決め状態で移載することができるため、高品質な電気光学装置を効率良く製造することが可能となる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置、例えば回路基板が考えられる。また、描画装置として、例えば、インクジェット法によるものやディスペンサ法によるものが考えられる。
【0016】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0017】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明を適用した基板処理システムについて説明する。本実施形態の基板処理システムは、いわゆるインクジェットの印刷技術により回路基板を作製するものであって、導入した基板(一部素子を作り込んだワーク)に対し、インクジェット法により銀インク(銀ナノ粒子)や絶縁体インク(紫外線硬化樹脂)等の機能液を吐出(描画)して、基板上に機能液滴による金属配線および絶縁膜(成膜部)を形成するものである。そこで、まず、インクジェット技術により作製される回路基板およびその製造工程について簡単に説明する。
【0019】
図1の基板Wは、厚さ40μm程度のシート状のポリイミド基材であって、描画処理後、切断されて複数の回路基板となるものである。本実施形態では、例えば410mm×510mmの大基板Wと、165mm×165mmの小基板Wとの2種類のサイズの基板Wが用意されている。また、基板Wの外縁部における幅10mmの箇所は、描画処理の行われない非描画しろWn(非描画領域)であり、非描画しろWnに囲まれた箇所が、描画処理の行われる描画領域Wdとなっている。
【0020】
なお、基板Wには、後述する描画装置11の画像認識手段105(図5参照)により画像認識される一対のアライメントマーク(図示省略)が形成されている。また、図1では、機能液滴吐出ヘッド141を単一のものとして模式的に表示しているが、後述するように、描画装置11には48個の機能液滴吐出ヘッド141が搭載されている。
【0021】
製造工程では、まず、後述する機能液滴吐出ヘッド141により銀インクを吐出し、基板W上に配線パターンを形成する(同図(b)参照)。続いて、焼成処理等により銀ナノ粒子を覆う有機物を除去し、粒子間の電気的結合を確保し金属配線とする。さらに、形成した金属配線上に絶縁体インクを吐出し、スルーホール部を除いて層間絶縁膜を形成する(同図(c)参照)。この繰り返しで多層化し、最終的に表面絶縁膜となる絶縁体インクを吐出して描画処理が完成する。
【0022】
続いて、図2ないし図5を参照して、本発明に係る基板処理システムについて説明する。基板処理システム1は、基板Wに対して描画処理を行う描画装置11と、描画処理前および描画処理後の基板Wを収容し、これを搬入・搬出する基板ストッカ12と、基板ストッカ12から描画処理前の基板Wを描画装置11に移載すると共に、描画装置11から描画処理後の基板Wを基板ストッカ12に移載する基板移載装置13と、を備えている。また、基板処理システム1には、各構成部品への駆動・制御用等の圧縮エアーを供給するエアー供給装置14と、真空ポンプ等で構成され、基板Wを吸着するためにエアー吸引を行うエアー吸引装置15と、パソコン等で構成され、各装置を統括制御する制御装置16等が組み込まれている(図5参照)。
【0023】
描画装置11は、それぞれ24個の機能液滴吐出ヘッド141を搭載した2個のキャリッジユニット101と、セットテーブル122(後述する)に載置した基板WをX軸方向に移動させるX軸テーブル102と、X軸テーブル102を跨ぐようにして配設され、2個のキャリッジユニット101を個々にY軸方向に移動させるY軸テーブル103と、Y軸テーブル103によるキャリッジユニット101の移動軌跡上に配設され、機能液滴吐出ヘッド141を保守するメンテナンス手段104と、基板Wに設けられたアライメントマークや基板W上に着弾した機能液滴を画像認識する画像認識手段105とを備えている。
【0024】
また、描画装置11には、2個のキャリッジユニット101に搭載された機能液滴吐出ヘッド141に機能液をそれぞれ供給する機能液供給手段(図示省略)、基板W上に吐出された銀インクにドライエアを吹き付けて乾燥させるドライア(図示省略)、基板W上に吐出された絶縁体インクをUV硬化させるUV照射装置106等が組み込まれている。
【0025】
この描画装置11では、X軸テーブル102の駆動に同期して、搭載した機能液滴吐出ヘッド141を駆動することにより、基板Wに機能液滴を吐出・着弾させ、基板Wに描画処理を行うと共に、基板交換等の非描画処理時には、Y軸テーブル103を駆動し、キャリッジユニット101をメンテナンス手段104に臨ませ、メンテナンス手段104により、機能液滴吐出ヘッド141のメンテナンス処理を行うようになっている。
【0026】
そして、X軸テーブル102による基板Wの移動軌跡と、Y軸テーブル103によるキャリッジユニット101の移動軌跡とが交わる領域が、描画処理を行う描画エリア111となっており、Y軸テーブル103によるキャリッジユニット101の移動軌跡上のX軸テーブル102から外側に外れた領域が、メンテナンス手段104によるメンテナンス処理や機能液滴吐出ヘッド141の交換を行うメンテナンスエリア112となっている。また、X軸テーブル102の一方の端部は、基板ストッカ12と描画装置11との相互間において基板Wの移載を行う基板移載エリア113となっている(図3参照)。
【0027】
X軸テーブル102は、床上に設置された石定盤121上に設けられており、吸着テーブル123および基板θ軸テーブル124等から成るセットテーブル122と、セットテーブル122をX軸方向にスライド自在に支持するX軸スライダ125と、セットテーブル122を介して基板WをX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ126,126とを有している。
【0028】
吸着テーブル123は、その上面に載置された基板Wを、上記のエアー吸引装置15からのエアー吸引により吸着セットするものであって、平面視略正方形に形成されている。その一辺の長さは、上記の大基板Wの長辺の長さに合わせて設定されており、基板Wを縦置き(基板Wの長辺をX軸方向と平行にする)および横置き(基板Wの長辺をY軸方向と平行にする)のいずれか任意の向きで、且つセンター中心でセット可能になっている。また、基板θ軸テーブル124は、θ軸モータ128を駆動することで、吸着テーブル123を介して基板Wの水平面内におけるθ位置を微調整(θ補正)するものである。
【0029】
一方、Y軸テーブル103は、描画エリア111およびメンテナンスエリア112間を掛け渡すと共に、描画エリア111と、メンテナンス手段104の各ユニットの直上部との相互間で、2個のキャリッジユニット101および後述するカメラキャリッジ151を個々に移動させるものであって、Y軸方向の駆動系を構成するモータ駆動の3組のY軸エアースライダ(図示省略)を有し、これにそれぞれブリッジプレート132を介して上記の2個のキャリッジユニット101およびカメラキャリッジ151を移動自在に搭載して、構成されている。
【0030】
Y軸テーブル103は、Y軸方向に延在する前後一対の支持スタンド136,136上に支持されており、各支持スタンド136は、石定盤121上に設けられた2本の短支柱137と、床上に設けられた1本の長支柱138とから成っている。なお、図中の符号139は、担持体カバーであって、この担持体カバー139のなかに、Y軸テーブル103に沿うようにして、各機能液滴吐出ヘッド141に至る各種配線・配管等を担持するケーブルベア(登録商標)様のケーブル担持体(図示省略)が収容されている。
【0031】
各キャリッジユニット101は、サブキャリッジ(図示省略)と、サブキャリッジに搭載した24個の機能液滴吐出ヘッド141(図1参照)とを備えている。24個の機能液滴吐出ヘッド141は、2個1組として、各組2個の機能液滴吐出ヘッド141を相互に半ノズルピッチずらすと共に、全体で連続した1の描画ラインを形成するように、12組の機能液滴吐出ヘッド141を階段状に配列させている。すなわち、本実施形態の描画装置11は、いわゆるフルライン方式のものであって、1回の吐出走査で基板Wの全域に描画処理を行うことができるようになっている。
【0032】
各機能液滴吐出ヘッド141は、図示省略したが、機能液供給手段の機能液パックから導入された機能液をインクジェット方式で吐出するものであって、列設された複数のノズルと、各ノズルに連なり、ピエゾ素子等で構成されるポンプ部とを有し、ポンプ部に駆動波形を印加することにより、各ノズルから機能液滴が吐出される。
【0033】
各機能液滴吐出ヘッド141は、機能液供給チューブ(図示省略)を介して、機能液を貯留した機能液パックに接続されている。各機能液パックは、Y軸テーブル103によるキャリッジユニット101の移動に伴ってY軸方向に移動するように、対応するブリッジプレート132に取り付けられている。
【0034】
本実施形態では、回路基板の製造ライン中に2台の描画装置11が用意されており、一方の描画装置11に設けた機能液パックには、銀インクが貯留され、他方の描画装置11に設けた機能液パックには、絶縁体インクが貯留されている。すなわち、一方の描画装置11を銀インクの描画に用い、他方の描画装置11を絶縁体インクの描画に用いるようにしている。もちろん、一台の描画装置11により、一方のキャリッジユニット101を銀インクの描画に用い、他方のキャリッジユニット101を絶縁体インクの描画に用いるようにしてもよい。
【0035】
メンテナンス手段104は、メンテナンスエリア112に配設され、機能液滴吐出ヘッド141内で増粘した機能液を除去するための吸引を行う2個の吸引ユニット146と、機能液滴吐出ヘッド141のノズル面(図示省略)を払拭するワイピングユニット147と、機能液滴吐出ヘッド141から吐出された機能液滴の飛行状態を撮像する飛行観察ユニット(図示省略)と、吐出された機能液滴の重量を測定する2台の重量測定ユニット(図示省略)とを備えている。なお、図3の符号148は、X軸移動テーブルであり、この上に、飛行観察ユニットと、これをY軸方向に挟むようにして並べた2台の重量測定ユニットとが載置されており、キャリッジユニット101の直下に適宜臨ませることができるようになっている。
【0036】
また、図示しないが、上記の吸着テーブル123の前後両側には、一対のフラッシングボックスが配設されており、この各フラッシングボックスに対し、機能液滴吐出ヘッド141の基板Wへの機能液滴の吐出の直前・直後にフラッシング(捨て吐出)が行われる。
【0037】
画像認識手段105は、上記のカメラキャリッジ151に搭載されており、セットテーブル122に移載された基板Wのアライメントを行うプリアライメントカメラ152および本アライメントカメラ153と、描画精度等を確認すべく、基板Wに吐出された機能液滴を撮像する描画確認カメラ154とを備えている。プリアライメントカメラ152は、視野角が広い(低解像度)もので構成され、本アライメントカメラ153は、高解像度(視野角が狭い)のもので構成されている。
【0038】
セットテーブル122に移載された基板Wのアライメントは、プリアライメントおよびこれに続く本アライメントの2段階で行われる。すなわち、まず、X軸テーブル102により基板Wを載置したセットテーブル122を描画エリア111のデータ上の初期位置に位置させると共に、Y軸テーブル103によりカメラキャリッジ151を描画エリア111のデータ上の初期位置に位置させておく。そして、プリアライメントカメラ152により、基板Wの一対のアライメントマークをそれぞれ撮像し、その撮像結果に基づいて、プリアライメントを行う。つまり、プリアライメントは、本アライメントカメラ153の視野内にアライメントマークが位置するように、X軸テーブル102および基板θ軸テーブル124により吸着テーブル123をX軸方向およびθ軸方向に移動させると共に、カメラキャリッジ151をY軸方向に移動させる。
【0039】
続いて、本アライメントカメラ153により、一対のアライメントマークをそれぞれ撮像する。最後に、本アライメントカメラ153による一対のアライメントマークの撮像結果に基づいて、X軸方向およびY軸方向の位置データを補正すると共に、基板θ軸テーブル124により吸着テーブル123をθ軸方向に微小移動させて、基板Wの本アライメントを完了させる。このプリアライメントおよび本アライメントにより、描画装置11は、描画精度(位置精度)の高い描画処理を行うことができる。このように、基板Wのアライメントは、吸着テーブル123の移動による基板Wの載置位置の補正(位置補正処理)と、データ補正とにより行われるが、この位置補正処理については、後ほど詳述する。
【0040】
なお、本実施形態では、2種類のサイズの基板W(大基板Wおよび小基板W)に対応させるべく、これらのカメラをY軸方向に移動可能としたが、1種類の基板Wを対象とする場合には、これらのカメラを固定的に設けてもよい。
【0041】
ここで、描画装置11による基板Wへの一連の吐出動作(描画処理)について簡単に説明する。まず、機能液滴を吐出する前の準備として、上記のようにして、セットテーブル122に吸着セットされた基板Wのアライメントを行う。続いて、描画装置11は、基板WをX軸テーブル102によりX軸方向に移動させると共に、これに同期して機能液滴吐出ヘッド141を選択的に駆動させることで、基板Wに対して機能液滴が吐出される。最後に、銀インクを描画した場合には、ドライアによりエアーを吹き付けて半乾燥させ、絶縁体インクを描画した場合には、UV照射装置106によりUVを照射して絶縁体インクを硬化させる。このようにして、基板Wに対する銀インクまたは絶縁体インクの描画が完了する。
【0042】
続いて、本発明の主要部分となる基板ストッカ12および基板移載装置13について詳細に説明する。図5ないし図9に示すように、基板ストッカ12は、描画処理前の基板WをパレットPに載置して収容する給材ストッカ202と、描画処理後の基板WをパレットPに載置して収容する除材ストッカ203とを有し、また、基板移載装置13は、描画処理前の基板Wを給材ストッカ202のパレットPから上記の描画装置11のセットテーブル122に移載し、続いて、その基板Wを載置していたパレットPを給材ストッカ202から除材ストッカ203に移載し、さらに、描画処理後の基板Wをセットテーブル122から除材ストッカ203に移載されたパレットPに移載する。
【0043】
基板ストッカ12は、床上に設置された平面視長方形の架台201と、架台201の上面に左右に並べて配設された給材ストッカ202および除材ストッカ203とを備えている。架台201は、アングル材等を方形に組んで構成され、下部の四隅に配置した4個の支持脚211を有している。また、図示しないが、各支持脚211に隣接して、上下方向に出没可能な4個のキャスタが取り付けられている。このため、基板ストッカ12に収容した基板Wを搬送する際に、架台201を容易に移動することができると共に、安定した状態で架台201を設置することができる。
【0044】
この架台201は、上記の基板移載エリア113に位置させたセットテーブル122に対し、給材ストッカ202および除材ストッカ203がY軸方向に並ぶようにして、設置される(図3参照)。このとき、搬入された基板ストッカ12(架台201)は、何らかの基準を介して、位置決めされた状態で設置される。
【0045】
なお、基板移載エリア113のセットテーブル122、給材ストッカ202および除材ストッカ203は、この順でY軸方向に並ぶが、この順序、すなわち給材ストッカ202および除材ストッカ203の設置箇所は任意であって、基板処理システム1全体のスペース効率等を考慮して、変更可能である。例えば、給材ストッカ202および除材ストッカ203を別々の架台に配設し、セットテーブル122をY軸方向に挟むようにして給材ストッカ202および除材ストッカ203を位置決めして設置してもよい。
【0046】
給材ストッカ202および除材ストッカ203は、基板Wを載置したパレットP(後述する)をそれぞれ最大15枚収容することができ、給材ストッカ202には、描画処理前の基板Wおよびそれを載置したパレットPが収容され、除材ストッカ203には、描画処理後の基板Wおよびそれを載置したパレットPが収容される。
【0047】
給材ストッカ202は、描画処理前の基板Wを水平に載置した複数のパレットPを位置決め状態で段積みして収容するものであって、架台201の上面に固定され、長辺方向に亘って2本の凸条を形成した略長方形のパレット載置プレート221と、パレット載置プレート221上に段積みされたパレットPを位置決めする5本の位置決めピン222と、段積みされたパレットPの枚数(高さ)を検知するパレット枚数センサ223,233(図5参照)とを備えている。
【0048】
パレット載置プレート221には、位置決めピン222を抜き差し自在に差し込むための10個のピン穴224が形成されている。すなわち、パレットPを縦置き(パレットPの長辺をX軸方向と平行にする)で5本の位置決めピン222により位置決めするための5個のピン穴224と、パレットPを横置き(パレットPの長辺をY軸方向と平行にする)で5本の位置決めピン222により位置決めするための5個のピン穴224とが、それぞれ4辺に分散して形成されている。これにより、給材ストッカ202は、上記のセットテーブル122に基板Wを縦置きおよび横置きで移載すべく、基板Wを載置したパレットPを縦置きおよび横置きで収容することができる。なお、図示では、給材ストッカ202は、パレットPを横置きで位置決めして収容している(除材ストッカ203も同様)。
【0049】
各位置決めピン222は、ピン穴224に差し込まれた状態で、段積みした15枚(最大収容枚数)のパレットPの高さ(75mm)より若干長く形成されている。また、パレット枚数センサ223は、パレット載置プレート221を間に挟んでY軸方向に対向する左右一対のファイバセンサで構成され、これが前後2箇所に設けられている。
【0050】
除材ストッカ203は、描画処理後の基板Wを水平に載置した複数のパレットPを位置決め状態で段積みして収容するものである。詳細は給材ストッカ202の説明に譲るが、給材ストッカ202と略同様に構成されており、パレット載置プレート231に形成したピン穴234に差し込まれた5本の位置決めピン232により、パレットPを位置決めすると共に、パレット枚数センサ233を有している。そして、給材ストッカ202と除材ストッカ203とは、それぞれ収容したパレットPが互いに平行になるように構成されている。
【0051】
図10に示すように、パレットPは、基板Wを位置決め状態で載置するものであり、大基板Wよりも一回り大きく、角部を面取りした略長方形のプレート状(5mm厚)に形成されている。そして、大基板Wを載置する場合には、パレットPの表面を用い、小基板Wを載置する場合には、パレットPの裏面を用いる。すなわち、パレットPの表面には、大基板Wを位置決め状態で載置すべく、大型浅溝部Pbが形成され、裏面には、小基板Wを位置決め状態で載置すべく、小型浅溝部Psが形成されており、大型浅溝部Pbおよび小型浅溝部Psは、同心状に設けられている。もっとも、大型浅溝部Pbおよび小型浅溝部Psは、それぞれ載置された大基板Wおよび小基板Wの僅かなガタツキを許容する寸法公差をもって、大基板Wおよび小基板Wに対して若干大きく形成されているため、大基板Wおよび小基板Wは、粗く位置決めされることになる。
【0052】
大型浅溝部Pbおよび小型浅溝部Psの深さはそれぞれ0.5mmであり、上記の基板Wの厚さ40μmよりも深くなっている。そのため、パレットPの大型浅溝部Pbまたは小型浅溝部Psに載置された基板Wの表面が、その上に積まれたパレットPの下面と接触することがない。
【0053】
なお、パレットPには、軽量化を図るため適宜、複数箇所に切抜き開口を形成してもよい。もっとも、この場合、後述するパレット吸着機構313のパレット吸着パッド381が吸着する箇所は、切り抜かないようにする。
【0054】
図5ないし図9に示すように、基板移載装置13は、基板吸着プレート341により上側から基板Wを吸着保持する基板吸着機構312、および一対のパレット吸着パッド381,381により上側からパレットPを吸着保持するパレット吸着機構313を有する吸着ヘッド301と、ブラケット311を介して基板吸着プレート341およびパレット吸着パッド381を一体として昇降させる吸着ヘッド昇降機構302と、上記の基板移載エリア113(セットテーブル122)および除材ストッカ203間に掛け渡された吸着ヘッド移動機構303と、を備えている。
【0055】
吸着ヘッド移動機構303は、基板吸着機構312により吸着した基板WをY軸方向に移動させると共に、パレット吸着機構313により吸着したパレットPをY軸方向に移動させるものである。吸着ヘッド移動機構303は、Y軸方向に水平に延在しており、移載キャリッジ331を介して吸着ヘッド昇降機構302および吸着ヘッド301をスライド自在に吊設支持するY軸スライダ(図示省略)と、Y軸スライダを案内にして移載キャリッジ331をY軸方向に移動させるY軸ボールねじ(図示省略)と、Y軸ボールねじを正逆回転させるY軸モータ332とを備えている。
【0056】
また、図示省略したが、Y軸スライダの背面側に沿って、ケーブルベアボックスが配設されており、後述するエアー吸引装置15に連なる吸引チューブ354や真空チューブ386(図5参照)等を担持するY軸ケーブルベアがその内部に収容されている。そして、吸着ヘッド移動機構303は、ケーブルベアボックスの背面に取り付けた複数個の固定金具により、上記の描画装置11の担持体カバー139(のカバーアングル)の下側に固定されている。
【0057】
吸着ヘッド昇降機構302は、移載キャリッジ331の前面に保持されており、上部に動力伝達機構321を配置したいわゆるモータ折返し式の駆動系であって、ブラケット311側に設けた雌ねじ部材(図示省略)と、これに螺合するリードねじ(図示省略)と、動力源となる昇降モータ322と、タイミングベルト等から成り、昇降モータ322の駆動力をリードねじに伝達する動力伝達機構321とから構成されている。そして、昇降モータ322の正逆回転により、ブラケット311を介して基板吸着プレート341やパレット吸着パッド381を昇降させ、これらに吸着した基板WやパレットPを昇降できるようになっている。
【0058】
吸着ヘッド昇降機構302の昇降ストローク幅は、100mmであり、段積みされた最上段(15段目)のパレットPに対しては、25mmの高さから臨むことになる。そして、上記のパレット枚数センサ223,233により検知されたパレットPの段積み枚数(高さ)に基づいて、給材ストッカ202および除材ストッカ203に対する下降距離を決定する。なお、図示しないが、吸着ヘッド昇降機構302の側方には、上記の吸引チューブ354や真空チューブ386等を担持するZ軸ケーブルベアが配設されている。
【0059】
図11ないし図14に示すように、吸着ヘッド301は、略長方形のプレート状に形成されたブラケット311と、ブラケット311の左右略中間部から垂設させた基板吸着機構312と、ブラケット311の左辺および右辺の下端からそれぞれ下方に延在するパレット吸着機構313とを有している。この基板吸着機構312およびパレット吸着機構313は、ブラケット311の前面に取り付けられ、また、ブラケット311はその背面で上記の吸着ヘッド昇降機構302に取り付けられている(図9参照)。このように、基板吸着機構312がブラケット311を介して吸着ヘッド昇降機構302に取り付けられていると共に、パレット吸着機構313がブラケット311を介して吸着ヘッド昇降機構302に取り付けられていることで、基板W用の移動手段と、パレットP用の移動手段とを別々に設ける必要がない。
【0060】
なお、図5の符号355は、基板吸着機構312の吸引力(圧力)を検知する基板圧力センサで、符号387は、パレット吸着機構313の吸引力(圧力)を検知するパレット圧力センサであるが、実際には、両センサはブラケット311の前面に取り付けられている。
【0061】
基板吸着機構312は、上側から基板Wを吸着する基板吸着プレート341と、基板吸着プレート341の上面中心部に取り付けられ、基板吸着プレート341の姿勢を制御する姿勢制御モジュール342と、姿勢制御モジュール342の上面に設けられ、姿勢制御モジュール342を介して基板吸着プレート341を昇降させるサブ昇降機構343とを有している。
【0062】
基板吸着プレート341は、アルミプレートで構成され、その下面には、基板Wの非描画しろWn(外縁部)と接する環状凸部351が突出形成されている(図14参照)。この環状凸部351の下面には、基板Wを吸引するための吸着溝部352が連続的に(環状に)形成されている。また、吸着溝部352には、その各角部および四辺の各中間部に位置して、上記のエアー吸引装置15に連なる吸引チューブ354の上流端が接続する吸引孔353が計8箇所に形成されている。
【0063】
環状凸部351の下面は、平滑に加工(例えばアルマイト処理)されているため、基板Wの非描画しろWnの上面と環状凸部351の下面とを接触させた状態で吸着溝部352から吸引すると、非描画しろWnの上面と環状凸部351の下面との間からエアーが漏れることなく、十分な吸引力を基板Wに作用させることができる。
【0064】
また、吸引チューブ354には、三方弁(図示省略)が介設され、吸引孔353に対してエアー吸引と圧縮エアー供給とを切換え可能になっている。さらに、吸引チューブ354には、上記の基板圧力センサ355が介設され、所定の圧力まで減圧されると、エアー吸引が停止されるようになっている(図5参照)。
【0065】
そして、吸引孔353からエアー吸引を行うと、吸着溝部352から基板Wの非描画しろWnに対して略均一に吸引力を作用させることができ、基板Wの平坦度を維持しつつ、基板吸着プレート341に対して基板Wを不動に吸着セットできるようになっている。一方、三方弁を切り換えて吸引孔353に圧縮エアーを供給すると、吸着溝部352の基板Wに対する真空が破壊され、自重により基板吸着プレート341から基板Wが離れるようになる。このように、基板吸着プレート341は、描画対象となる基板Wの描画領域Wdに接触することなく、基板Wを吸着保持することができる。
【0066】
また、連続的に形成された吸着溝部352により基板Wの非描画しろWnを吸着することで、基板Wの角部等が垂れ下がることなく、基板Wを適切に確実に吸着保持することができる。さらに、吸着パッド等と比べて、基板Wと吸着する部分の幅を極力狭くすることができ、基板Wの描画領域をより広く設けることができる。
【0067】
さらに、基板吸着プレート341の中心部には、上記の姿勢制御モジュール342に螺子止め固定するための螺子孔(図示省略)が複数個形成されており、姿勢制御モジュール342に対し、縦向き(基板吸着プレート341の長辺をX軸方向と平行にする)および横向き(基板吸着プレート341の長辺をY軸方向と平行にする)に取り付け可能、すなわち、水平面内で90°回転させた状態で、付替え可能に構成されている。これにより、セットテーブル122に載置する基板Wの向き(縦向きまたは横向き)に対応させて、基板吸着プレート341を取り付けることができる。なお、図示では、基板吸着プレート341は横向きに取り付けられている。
【0068】
また、基板吸着プレート341には、中心から四方に同一の距離を存した位置に、4個の円形開口356が形成されている。4個の円形開口356のうち、長辺方向に並ぶ2個のものは、基板吸着プレート341が横向きに取り付けられた際に、後述するパレット吸着パッド381を下方に向かって出没させるためのものであり、短辺方向に並ぶ2個のものは、基板吸着プレート341が縦向きに取り付けられた際に、パレット吸着パッド381を下方に向かって出没させるためのものである。このように、円形開口356を介して、パレット吸着パッド381を下方に向かって出没させるようにすることで、パレット吸着パッド381を基板吸着プレート341の投影面内に配設することが可能となる。すなわち、基板吸着プレート341とパレット吸着パッド381とを、水平面内で交換移動させる必要がなく、且つコンパクトに配設することができ、スペース効率を向上させることができる。なお、基板吸着プレート341は、大基板Wおよび小基板Wとそれぞれ略同形且つ略同サイズに形成した2種類のものが用意されている。
【0069】
姿勢制御モジュール342は、基板吸着プレート341とサブ昇降機構343との間に介設されており、略直方体形状の装置本体361と、装置本体361の下面に装着された傾動プレート362とを有しており、この傾動プレート362の下面に上記の基板吸着プレート341が螺子止めされている。
【0070】
図示省略したが、装置本体361の内部には、傾動プレート362と平行姿勢でこれに連結されると共に、X軸、Y軸、θ軸およびα軸方向に微小移動可能(三次元的に傾動可能)なインナープレートと、インナープレートを締結する締結機構と、インナープレートを装置本体361に対して位置決め(相互の中心が一致)する位置決め機構とが組み込まれている。
【0071】
締結機構および位置決め機構は、それぞれエアーシリンダ等で構成されており、上記のエアー供給装置14からのエアー供給の制御により、ON/OFFを切り替えることができる。すなわち、締結機構をONにすると、インナープレートが締結され、インナープレートに連結された傾動プレート362が固定状態となり、締結機構をOFFにすると、インナープレートの締結が解除され、傾動プレート362が微小可動状態となる。
【0072】
また、締結機構をOFFにしてインナープレートの締結を解除した状態で、位置決め機構をONにすると、傾動プレート362の中心と、装置本体361の中心とが一致した状態となり、さらにこの状態で締結機構をONにすることで、装置本体361に対し位置決めされた傾動プレート362を固定状態とすることができる。
【0073】
つまり、締結機構および位置決め機構がそれぞれON/OFF切換え可能であることにより、位置決め機構をOFFのまま締結機構をONにすることで、傾動プレート362を傾動状態で固定することができると共に、位置決め機構をONしてから締結機構をONにすることで、傾動プレート362を位置決め状態で固定することができる。もっとも、本実施形態では、傾動プレート362を位置決め状態で固定可能であれば足りるため、締結機構のみON/OFF切換え可能な構成としてもよい。
【0074】
本実施形態の姿勢制御モジュール342は、装置本体361に対し位置決めされた傾動プレート362が、上記の吸着テーブル123の上面と平行になるように、調整されている。そのため、基板吸着プレート341は、傾動プレート362を微小可動状態とすることで、押し付けた基板Wに倣うように三次元的に傾動する自由傾動状態となり、また、傾動プレート362を装置本体361に対して位置決めすると共に固定状態とすることで、吸着テーブル123の上面を基準とした基準姿勢となる。
【0075】
すなわち、姿勢制御モジュール342は、エアー供給を制御することで、基板吸着プレート341の姿勢を、基準姿勢で不動とする不動状態と、三次元的に傾動する自由傾動状態とで切り替えることができる。これにより、セットテーブル122の上面に対し、給材ストッカ202における基板Wの載置面(パレットPの上面)が平行でない場合であっても、給材ストッカ202からの基板Wの除去およびセットテーブル122への基板Wの載置を適切に行うことができる(詳細は後述する)。
【0076】
サブ昇降機構343は、姿勢制御モジュール342の上面に立設した複動エアーシリンダー(片ロッド)で構成されており(図5参照)、姿勢制御モジュール342を介して、基板吸着プレート341を、パレット吸着パッド381の下縁端よりも僅かに下降させた位置と、パレット吸着パッド381の下縁端よりも僅かに上昇させた位置との間で、上下動させるものである。
【0077】
すなわち、基板吸着プレート341により基板Wを吸着する際に、基板吸着プレート341をパレット吸着パッド381の下縁端よりも僅かに下降させ、パレット吸着パッド381によるパレットPを吸着する際に、基板吸着プレート341をパレット吸着パッド381の下縁端(後述するゴムパッド382)よりも僅かに上昇させる。このため、基板吸着プレート341およびパレット吸着パッド381は、互いに干渉することなく、それぞれ基板WおよびパレットPを安定に吸着することができる。なお、図示では、基板吸着プレート341は、パレット吸着パッド381よりも上昇させた位置にある。
【0078】
また、サブ昇降機構343を構成する複動エアーシリンダは、往動室371と復動室372とにそれぞれ供給する圧縮空気の流量を制御することで、往動室371と復動室372との圧力バランスを調整可能に構成されている。なお、往動室371および復動室372とは、ピストン373により分かれたシリンダ374内の室のことであり、往動室371に圧縮空気が供給されると、ピストン373が復動室372側に押されてピストンロッド375が前進し、復動室372に圧縮空気が供給されると、ピストン373が往動室371側に押されてピストンロッド375が後退するものとする(図5参照)。
【0079】
パレット吸着機構313は、ゴムパッド382および下端にゴムパッド382を取り付けた円柱形の吸着ロッド383をそれぞれ有する一対のパレット吸着パッド381,381と、各パレット吸着パッド381をブラケット311に固定するL字金具384と、各吸着ロッド383に内蔵され、ゴムパッド382をパレットPに押し付けた際の衝撃を吸収するためのコイルばね(図示省略)とを備えている。また、各吸着ロッド383の略中間部には、エアー吸引装置15に連なる真空チューブ386の上流端が接続する真空継手385が取り付けられており、吸着ロッド383内には、ゴムパッド382と真空継手385とを連通する真空流路(図示省略)が形成されている。
【0080】
また、基板吸着機構312と同様に、真空チューブ386には、三方弁(図示省略)が介設され、真空継手385に対してエアー吸引と圧縮エアー供給とを切換え可能になっている。さらに、上記のパレット圧力センサ387が介設されており、所定の圧力まで減圧されると、エアー吸引が停止されるようになっている(図5参照)。
【0081】
そして、一対のパレット吸着パッド381,381をパレットPに押し付けながらエアー吸引を行うと、ゴムパッド382内が真空状態となり、パレット吸着パッド381とパレットPとが強力に吸着する。一方、三方弁を切り換えてパレット吸着パッド381に圧縮エアーを供給すると、ゴムパッド382内が真空破壊され、自重によりパレット吸着パッド381からパレットPが離れるようになる。
【0082】
ここで、基板処理システム1を用いて、給材ストッカ202、セットテーブル122、除材ストッカ203の順に、基板Wを移載する一連の動作について説明する。なお、移載処理前の準備として、描画装置11において、セットテーブル122を基板移載エリア113に移動させておく。また、給材ストッカ202には、位置決め状態で基板Wを載置したパレットPを収容しておく。
【0083】
まず、はじめに、基板吸着プレート341をパレット吸着パッド381に対して下降させた吸着ヘッド301を、吸着ヘッド移動機構303により給材ストッカ202の直上部に臨ませると共に、基板吸着プレート341が基板W(の非描画しろWn)に当接する位置まで、吸着ヘッド昇降機構302により吸着ヘッド301を下降する。このとき、姿勢制御モジュール342は、基板吸着プレート341を自由傾動状態としておく。これにより、基板吸着プレート341が基板Wの上面に倣った状態で、アンバランスなリークによる基板Wの位置ずれを防止しつつ、基板Wの吸着を開始することができる。
【0084】
そして、吸着ヘッド昇降機構302により、パレットP上の基板Wに対して基板吸着プレート341を押し付けるようにした状態で、基板吸着プレート341のエアー吸引を開始する。これによれば、吸着の際のショックにより基板WがパレットPに載置された位置から位置ずれすることなく、基板吸着プレート341に基板Wを安定に吸着させることができる。また、このとき、姿勢制御モジュール342により基板吸着プレート341が自由傾動状態となっているため、押し付け時に基板吸着プレート341が上方に逃げて、押し付け時の衝撃を吸収するようになっている。なお、サブ昇降機構343(複動エアシリンダ374)の往動室371と復動室372との圧力バランスを調整することで、基板Wの押し付け時の衝撃を吸収するようにしてもよい。
【0085】
続いて、基板Wを吸着した基板吸着プレート341を吸着ヘッド昇降機構302により上昇させると共に、吸着ヘッド移動機構303によりセットテーブル122上に臨ませ、さらに、吸着ヘッド昇降機構302により基板吸着プレート341を下降して基板Wをセットテーブル122に載置する。このとき、姿勢制御モジュール342は、基板吸着プレート341を不動状態としておく。これにより、基板Wがセットテーブル122の上面を基準とした基準姿勢となった状態で、セットテーブル122に基板Wを載置することができる。
【0086】
そして、基板Wをセットテーブル122に載置する際、吸着ヘッド昇降機構302により、基板吸着プレート341を基板Wに押し付けるようにして、基板吸着プレート341の真空を解除する。これによれば、吸着解除の際のショックによりセットテーブル122に対して基板Wが位置ずれすることなく、基板吸着プレート341から基板Wを安定に離すことができる。
【0087】
このようにして、給材ストッカ202からセットテーブル122への基板Wの移載が完了すると、上述したようにして、描画装置11により基板Wに対する描画処理が行われる。なお、詳細は後述するが、描画処理の前後には、セットテーブル122上で、描画処理前の基板Wの位置補正処理と、描画処理後の基板Wの位置を元に戻す復帰処理とが行われる。
【0088】
この描画処理の間、描画処理の対象となっている基板Wを載置していたパレットPを、給材ストッカ202から除材ストッカ203に移載する。すなわち、基板Wをセットテーブル122に移載した後、基板吸着プレート341をパレット吸着パッド381に対して上昇させた吸着ヘッド301を、吸着ヘッド移動機構303により給材ストッカ202の直上部に臨ませると共に、一対のパレット吸着パッド381,381をパレットPの上面に押し当てるようにして、吸着ヘッド昇降機構302により吸着ヘッド301を下降する。そして、パレット吸着パッド381のエアー吸引を開始して、パレット吸着パッド381にパレットPを吸着させる。
【0089】
次に、パレットPを吸着したパレット吸着パッド381を吸着ヘッド昇降機構302により上昇させると共に、吸着ヘッド移動機構303により除材ストッカ203上に臨ませる。さらに、除材ストッカ203に段積み状態で収用された最上段のパレットPに対し、吸着ヘッド昇降機構302によりパレット吸着パッド381を下降すると共に、パレット吸着パッド381を真空破壊して、吸着したパレットPを載置する。このようにして、給材ストッカ202から除材ストッカ203へのパレットPの移載が完了する。
【0090】
さらに、描画処理が終了した後、セットテーブル122から除材ストッカ203へ移載されたパレットPへ基板Wを移載する。この基板Wの移載は、描画処理前の基板Wの給材ストッカ202からセットテーブル122への移載と同様にして行われる。
【0091】
すなわち、姿勢制御モジュール342により基板吸着プレート341を不動姿勢とすると共に、セットテーブル122上の基板Wに対し基板吸着プレート341を押し付けた状態で、基板吸着プレート341に描画処理後の基板Wを吸着する。そして、吸着した基板Wを除材ストッカ203に移動し、姿勢制御モジュール342により基板吸着プレート341を自由傾動状態とすると共に、基板吸着プレート341により基板Wに押し付けるようにした状態で、基板吸着プレート341を真空破壊して、基板WをパレットPに載置する。
【0092】
以上のようにして、一連の移載動作が完了する。そして、給材ストッカ202に収容された15枚のパレットPおよびそれにそれぞれ載置した描画処理前の基板Wについて、順次この移載動作が行われる。これによれば、基板吸着プレート341は、描画対象となる基板Wの描画領域Wdに接触することなく、基板Wを吸着保持することができるため、基板Wに吸着のための特別な領域を設けることなく、吸着した基板Wを移載することができる。
【0093】
また、描画処理前の基板Wを載置していたパレットPを、給材ストッカ202から除材ストッカ203に移載し、そのパレットP上に描画処理後の基板Wを載置することで、同一のパレットPを用いて、描画処理前の基板Wと描画処理後の基板Wとを、それぞれ給材ストッカ202および除材ストッカ203に収容することができる。
【0094】
ところで、上述したように、給材ストッカ202および除材ストッカ203を載置する架台201と、描画装置11とは、別体に構成されており、描画装置11に対して両ストッカ202,203を精度良く位置合わせすることは困難である。また、パレットPは単に大型浅溝部Pbまたは小型浅溝部Psで基板Wを位置決めしている。このような描画装置11と両ストッカ202,203との位置精度、パレットPにおける基板Wの位置決め精度等に起因して、給材ストッカ202のパレットPからセットテーブル122に移載された基板Wは、描画装置11の設計基準から位置ずれしてセットテーブル122に吸着セットされることになる。
【0095】
そこで、描画処理の前後には、基板Wの位置補正処理および位置復帰処理が行われる。すなわち、給材ストッカ202からセットテーブル122に描画処理前の基板Wを移載した後(図15のS11)、上記のようにして、セットテーブル122上で、プリアライメントカメラ152によりアライメントマークを画像認識し(S12)、基板Wの初期位置データを記憶する。その認識結果(初期位置データ)に基づいて、吸着テーブル123をX軸方向およびθ軸方向に移動させ、吸着テーブル123上の基板Wの水平面内における載置位置を補正する位置補正処理を行う(S13)。例えば、ここでは、吸着テーブル123をX軸方向に2mm、θ軸方向に0.5°移動させたものとする。
【0096】
続いて、本アライメントカメラ153の画像認識結果に基づいて、データ補正と共に、吸着テーブル123をθ軸方向に微小移動させ、基板Wの位置補正処理をさらに行う(S14)。ここでは、吸着テーブル123をθ軸方向にさらに0.1°移動させたものとする。プリアライメントおよび本アライメントを通じた基板Wの位置補正処理により、基板Wの載置位置は、描画装置11の設計基準と合致することになるが、他方、除材ストッカ203に対して、X軸方向2mm、θ軸方向に0.6°位置ずれしていることになる。
【0097】
基板Wのアライメントが完了すると、基板Wに対し描画処理が行われる(S15)。この後、描画処理後の基板Wを、そのままの載置位置から除材ストッカ203に移載すると、基板Wの載置位置が除材ストッカ203に対して位置ずれしていることから、除材ストッカ203に収容されたパレットPの大型浅溝部Pbまたは小型浅溝部Psに載置することができない。
【0098】
そこで、描画処理の後、S12におけるプリアライメントカメラ152の認識結果に基づいて、吸着テーブル123上の基板Wの載置位置を元に戻す位置復帰処理を行う(S17)。すなわち、記憶しておいた初期位置データに基づいて、吸着テーブル123をX軸方向に2mm戻し、θ軸方向に0.6°戻す。この位置復帰処理により、除材ストッカ203に対する基板Wの位置ずれが解消される。
【0099】
位置復帰処理の後、セットテーブル122から除材ストッカ203のパレットPに基板Wを移載する(S18)。以上のようにして、一連の移載処理を行うことで、描画処理前に基板Wの位置補正を行うことができると共に、描画処理後の基板Wを除材ストッカ203のパレットPに位置決め状態で移載することができる。すなわち、基板Wの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカ203やそのパレットPの位置検出を行うことなく、基板Wを精度良く移載することができる。
【0100】
なお、本実施形態では、吸着テーブル123を微小移動させることで、基板Wの位置補正処理および位置復帰処理を行うが、吸着テーブル123を固定とし、基板Wを吸着テーブル123に対して微小移動させる構成であってもよい(この場合、吸着テーブル123の吸引は解除しておく)。
【0101】
さらに、本実施形態では、セットテーブル122上で、描画処理前の基板Wの載置位置を補正すると共に描画処理後の基板Wを元の載置位置に戻すようにするが、基板吸着プレート341に吸着セットされた状態で、描画処理前の基板Wのセット位置を補正すると共に描画処理後の基板Wを元のセット位置に戻すようにしてもよい。
【0102】
すなわち、基板移載装置13の吸着ヘッド301に、アライメントマークを画像認識するカメラ(広視野角)と、姿勢制御モジュール342を介して基板吸着プレート341をX軸方向およびθ軸方向に移動させるための吸着ヘッドX軸テーブルおよび吸着ヘッドθ軸テーブルとを、さらに設けておく。そして、そのカメラにより、給材ストッカ202のパレットPに載置された基板Wのアライメントマークを撮像し、その画像認識結果に基づいて、給材ストッカ202からセットテーブル122への移載中に、吸着ヘッドX軸テーブルおよび吸着ヘッドθ軸テーブルにより基板吸着プレート341に吸着された描画処理前の基板Wのセット位置を補正する。描画処理の後、先程の画像認識結果に基づいて、セットテーブル122から除材ストッカ203への移載中に、吸着ヘッドX軸テーブルおよび吸着ヘッドθ軸テーブルにより基板吸着プレート341に吸着された描画処理後の基板Wのセット位置を元に戻すようにする。この場合も、基板Wの元の位置を記憶しておくだけで、除材ストッカ203やそのパレットPの位置検出を行うことなく、基板Wを精度良く移載することができる。
【0103】
なお、この場合、セットテーブル122に移載された基板Wに対し、プリアライメントカメラ152による画像認識結果に基づいて、位置補正処理(プリアライメント)を行うことを省略することができる。
【0104】
次に、本実施形態の描画装置11を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0105】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図16は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図17は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図17(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0106】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図17(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図17(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド141により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0107】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0108】
次に、着色層形成工程(S103)では、図17(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド141によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド141を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0109】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図17(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0110】
図18は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図17に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0111】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0112】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図18において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0113】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0114】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0115】
実施形態の描画装置11は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド141で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド141で行うことも可能である。
【0116】
図19は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0117】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0118】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0119】
図20は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0120】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0121】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0122】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0123】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0124】
次に、図21は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0125】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0126】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0127】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0128】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0129】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0130】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0131】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0132】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0133】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0134】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0135】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0136】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図22〜図30を参照して説明する。
この表示装置600は、図22に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0137】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図23に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図24に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0138】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド141を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0139】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図5に示した描画装置11のセットテーブル122に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0140】
図25に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド141から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図26に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0141】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0142】
そして次に、図27に示すように、各色のうちのいずれか(図27の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0143】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図28に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0144】
同様に、機能液滴吐出ヘッド141を用い、図29に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0145】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0146】
対向電極形成工程(S115)では、図30に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0147】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0148】
次に、図31は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0149】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0150】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0151】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0152】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図2等に示した描画装置11を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を描画装置11のセットテーブル122に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド141により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0153】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0154】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド141から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0155】
次に、図32は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0156】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0157】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0158】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0159】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、描画装置11を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、描画装置11を用いて形成することができる。
【0160】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図33(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図33(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(描画装置11によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(描画装置11によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0161】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した描画装置11を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】インクジェットの印刷技術による回路基板の製造工程を示す模式図である
【図2】基板移載システムの外観斜視図である。
【図3】基板移載システムの外観平面図である。
【図4】基板移載システムの外観正面図である。
【図5】基板移載システムの概念図である。
【図6】基板移載装置の外観斜視図である。
【図7】基板移載装置の外観正面図である。
【図8】基板移載装置の外観平面図である。
【図9】基板移載装置の外観側面図である。
【図10】基板を載置するパレットの平面図である。
【図11】基板移載装置の吸着ヘッドの斜視図である。
【図12】基板移載装置の吸着ヘッドの正面図である。
【図13】基板移載装置の吸着ヘッドの側面図である。
【図14】(a)は吸着ヘッドの基板吸着プレートの底面図、(b)は吸着ヘッドの基板吸着プレートの一部を拡大した底面図である。
【図15】基板の位置補正処理および位置復帰処理を示すフローチャートである。
【図16】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図17】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図18】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図19】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図20】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図21】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図22】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図23】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図24】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図25】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図26】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図27】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図28】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図29】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図30】陰極の形成を説明する工程図である。
【図31】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図32】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図33】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0163】
1…基板処理システム 11…描画装置 13…基板移載装置 16…制御装置 105…画像認識手段 102…X軸テーブル 202…給材ストッカ 203…除材ストッカ P…パレット W…基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカを用い、
描画処理前の前記ワークを、前記給材ストッカに収容された前記パレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後の前記ワークを、前記セットテーブルから前記除材ストッカに収容された前記パレットに水平に移載するワーク移載方法であって、
描画処理に先立って、前記セットテーブルに移載した前記ワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識工程と、
前記セットテーブル上で、前記位置認識工程における認識結果に基づいて、描画処理前の前記ワークの載置位置を補正する位置補正工程と、
前記セットテーブル上で、前記認識結果に基づいて、描画処理後の前記ワークを元の載置位置に戻す位置復帰工程と、
を備えたことを特徴とするワーク移載方法。
【請求項2】
ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカと、
前記ワークをセットするセットテーブルを有し、セットされた前記ワークに対して描画処理を行う描画装置と、
描画処理前の前記ワークを、前記給材ストッカに収容された前記パレットから前記描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後の前記ワークを、前記セットテーブルから前記除材ストッカに収容された前記パレットに水平に移載するワーク移載装置と、
を備えたワーク移載システムであって、
前記描画装置は、
描画処理に先立って、前記セットテーブルに移載した前記ワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識手段と、
前記位置認識手段による認識結果に基づいて、前記セットテーブル上で、描画処理前の前記ワークの載置位置を補正する位置補正手段と、
前記位置認識手段および前記位置補正手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、描画処理の後、前記認識結果に基づいて、前記位置補正手段により前記ワークを元の載置位置に戻すことを特徴とするワーク移載システム。
【請求項3】
前記位置補正手段は、前記セットテーブルに組み込まれていることを特徴とする請求項2に記載のワーク移載システム。
【請求項4】
ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカを用い、
ワーク移載装置によって、描画処理前の前記ワークを、前記給材ストッカに収容された前記パレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後の前記ワークを、前記セットテーブルから前記除材ストッカに収容された前記パレットに水平に移載するワーク移載方法であって、
前記セットテーブルへの移載に先立って、前記給材ストッカの前記パレットに載置された前記ワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識工程と、
前記給材ストッカから前記セットテーブルへの移載中に、前記位置認識工程における認識結果に基づいて、前記ワーク移載装置にセットされた描画処理前の前記ワークの水平面内におけるセット位置を補正する位置補正工程と、
前記セットテーブルから前記除材ストッカへの移載中に、前記認識結果に基づいて、前記ワーク移載装置にセットされた描画処理後の前記ワークを元のセット位置に戻す位置復帰工程と、
を備えたことを特徴とするワーク移載方法。
【請求項5】
ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカと、
前記ワークをセットするセットテーブルを有し、セットされた前記ワークに対して描画処理を行う描画装置と、
描画処理前の前記ワークを、前記給材ストッカに収容された前記パレットから前記描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後の前記ワークを、前記セットテーブルから前記除材ストッカに収容された前記パレットに水平に移載するワーク移載装置と、
を備えたワーク移載システムであって、
前記ワーク移載装置は、
前記給材ストッカ、前記セットテーブル、前記除材ストッカの順で、セットした前記ワークを移載するワーク移載手段と、
前記セットテーブルへの移載に先立って、前記給材ストッカの前記パレットに載置された前記ワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識手段と、
前記給材ストッカから前記セットテーブルへの移載中に、前記位置認識手段による認識結果に基づいて、前記ワーク移載手段にセットされた描画処理前の前記ワークの水平面内におけるセット位置を補正する位置補正手段と、
前記位置認識手段および前記位置補正手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記セットテーブルから前記除材ストッカへの移載中に、前記認識結果に基づいて、前記位置補正手段により前記ワーク移載手段にセットされた描画処理後の前記ワークを元のセット位置に戻すことを特徴とするワーク移載システム。
【請求項6】
前記位置補正手段は、前記ワーク移載手段に組み込まれていることを特徴とする請求項5に記載のワーク移載システム。
【請求項7】
請求項2、3、5および6のいずれかに記載のワーク移載システムを用い、前記描画装置により前記ワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
請求項2、3、5および6のいずれかに記載のワーク移載システムを用い、前記描画装置により前記ワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項7に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項8に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項2、3、5および6のいずれかに記載のワーク移載システムを用い、前記描画装置により前記ワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項11】
請求項2、3、5および6のいずれかに記載のワーク移載システムを用い、前記描画装置により前記ワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする回路基板。
【請求項12】
請求項10に記載の回路基板の製造方法により製造した回路基板または請求項11に記載の回路基板を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカを用い、
描画処理前の前記ワークを、前記給材ストッカに収容された前記パレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後の前記ワークを、前記セットテーブルから前記除材ストッカに収容された前記パレットに水平に移載するワーク移載方法であって、
描画処理に先立って、前記セットテーブルに移載した前記ワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識工程と、
前記セットテーブル上で、前記位置認識工程における認識結果に基づいて、描画処理前の前記ワークの載置位置を補正する位置補正工程と、
前記セットテーブル上で、前記認識結果に基づいて、描画処理後の前記ワークを元の載置位置に戻す位置復帰工程と、
を備えたことを特徴とするワーク移載方法。
【請求項2】
ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカと、
前記ワークをセットするセットテーブルを有し、セットされた前記ワークに対して描画処理を行う描画装置と、
描画処理前の前記ワークを、前記給材ストッカに収容された前記パレットから前記描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後の前記ワークを、前記セットテーブルから前記除材ストッカに収容された前記パレットに水平に移載するワーク移載装置と、
を備えたワーク移載システムであって、
前記描画装置は、
描画処理に先立って、前記セットテーブルに移載した前記ワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識手段と、
前記位置認識手段による認識結果に基づいて、前記セットテーブル上で、描画処理前の前記ワークの載置位置を補正する位置補正手段と、
前記位置認識手段および前記位置補正手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、描画処理の後、前記認識結果に基づいて、前記位置補正手段により前記ワークを元の載置位置に戻すことを特徴とするワーク移載システム。
【請求項3】
前記位置補正手段は、前記セットテーブルに組み込まれていることを特徴とする請求項2に記載のワーク移載システム。
【請求項4】
ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカを用い、
ワーク移載装置によって、描画処理前の前記ワークを、前記給材ストッカに収容された前記パレットから描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後の前記ワークを、前記セットテーブルから前記除材ストッカに収容された前記パレットに水平に移載するワーク移載方法であって、
前記セットテーブルへの移載に先立って、前記給材ストッカの前記パレットに載置された前記ワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識工程と、
前記給材ストッカから前記セットテーブルへの移載中に、前記位置認識工程における認識結果に基づいて、前記ワーク移載装置にセットされた描画処理前の前記ワークの水平面内におけるセット位置を補正する位置補正工程と、
前記セットテーブルから前記除材ストッカへの移載中に、前記認識結果に基づいて、前記ワーク移載装置にセットされた描画処理後の前記ワークを元のセット位置に戻す位置復帰工程と、
を備えたことを特徴とするワーク移載方法。
【請求項5】
ワークを位置決め状態で水平に載置したパレットを、互いに平行になるようにして、それぞれ収容する給材ストッカおよび除材ストッカと、
前記ワークをセットするセットテーブルを有し、セットされた前記ワークに対して描画処理を行う描画装置と、
描画処理前の前記ワークを、前記給材ストッカに収容された前記パレットから前記描画装置のセットテーブルに水平に移載すると共に、描画処理後の前記ワークを、前記セットテーブルから前記除材ストッカに収容された前記パレットに水平に移載するワーク移載装置と、
を備えたワーク移載システムであって、
前記ワーク移載装置は、
前記給材ストッカ、前記セットテーブル、前記除材ストッカの順で、セットした前記ワークを移載するワーク移載手段と、
前記セットテーブルへの移載に先立って、前記給材ストッカの前記パレットに載置された前記ワークの水平面内における載置位置を認識する位置認識手段と、
前記給材ストッカから前記セットテーブルへの移載中に、前記位置認識手段による認識結果に基づいて、前記ワーク移載手段にセットされた描画処理前の前記ワークの水平面内におけるセット位置を補正する位置補正手段と、
前記位置認識手段および前記位置補正手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記セットテーブルから前記除材ストッカへの移載中に、前記認識結果に基づいて、前記位置補正手段により前記ワーク移載手段にセットされた描画処理後の前記ワークを元のセット位置に戻すことを特徴とするワーク移載システム。
【請求項6】
前記位置補正手段は、前記ワーク移載手段に組み込まれていることを特徴とする請求項5に記載のワーク移載システム。
【請求項7】
請求項2、3、5および6のいずれかに記載のワーク移載システムを用い、前記描画装置により前記ワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
請求項2、3、5および6のいずれかに記載のワーク移載システムを用い、前記描画装置により前記ワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項7に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項8に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項2、3、5および6のいずれかに記載のワーク移載システムを用い、前記描画装置により前記ワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項11】
請求項2、3、5および6のいずれかに記載のワーク移載システムを用い、前記描画装置により前記ワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする回路基板。
【請求項12】
請求項10に記載の回路基板の製造方法により製造した回路基板または請求項11に記載の回路基板を搭載したことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
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【図18】
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【図28】
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【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2006−248655(P2006−248655A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66116(P2005−66116)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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