説明

ワーク組付方法およびワーク組付システム

【課題】ワークの組み付けにかかるコストを低減できるワーク組付方法を提供すること。
【解決手段】ワーク組付方法は、サイドエアバッグ20Aをサイドエアバッグ組付部12Aに組み付ける。このワーク組付方法は、そして、まず、ハンド50のピン部材55をピン挿通孔231に挿通して、ハンド50に対するサイドエアバッグ20Aの相関位置を位置決めし、次に、このハンド50でサイドエアバッグ20Aを保持して、サイドエアバッグ組付部12Aに移動し、挿通したピン部材55の先端部分をサイドエアバッグ組付部12Aのピン挿入穴101に挿入して、サイドエアバッグ20Aをサイドエアバッグ組付部12Aに位置決めし、次に、締付装置60A、60Bにより、ねじ61をサイドエアバッグ20Aのねじ挿通孔232に挿通して、サイドエアバッグ組付部12Aのねじ螺合部102に締め付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク組付方法およびワーク組付システムに関する。詳しくは、ワークを被組付部に組み付けるワーク組付方法およびワーク組付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車には、車両の衝突時に、搭乗者の頭部を保護するため、サイドカーテンエアバッグが設けられる。このサイドカーテンエアバッグは、自動車の製造工程において、ボディ内部の両側面に取り付けられる。
【0003】
このようなサイドカーテンエアバッグは、例えば、柔軟性を有する長尺形状であり、長手方向に沿って複数のブラケットが設けられている(特許文献1参照)。
これら複数のブラケットには、それぞれ、一対の貫通孔が形成されている。これら貫通孔のうちの一方には、クリップが既に取り付けられている。また、これら貫通孔のうちの他方は、締付部材用である。
一方、ボディのサイドカーテンエアバッグ取付位置には、上述のクリップが挿入される取付孔が形成されている。また、このボディの締付部材用の貫通孔に対応した位置には、締付部材が螺合する雌ねじ部が形成されている。
【0004】
以上のサイドカーテンエアバッグは、以下の手順でボディに取り付けられる。
まず、サイドカーテンエアバッグをボディの取付位置に搬送し、サイドカーテンエアバッグのブラケットをボディに位置決めする。そして、ブラケットに取り付けられたクリップをボディの取付孔に押し込んで、サイドカーテンエアバッグをボディに仮固定する。
その後、後工程で、サイドカーテンエアバッグの締付部材用の貫通孔に締付部材を挿通して雌ねじ部に締め付けることで、サイドカーテンエアバッグをボディに本固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−142881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以上の手法では、仮固定用のクリップが必要であり、このクリップを省略して、ワークの組み付けにかかるコストを低減させることが要請されている。
【0007】
本発明は、ワークの組み付けにかかるコストを低減できるワーク組付方法およびワーク組付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワーク組付方法は、ワーク(例えば、後述のサイドエアバッグ20A、20B)を被組付部(例えば、後述のサイドエアバッグ組付部12A、12B)に組み付けるワーク組付方法であって、前記被組付部に当接するブラケット(例えば、後述のブラケット23)を前記ワークに複数設けるとともに、当該ブラケットに第1貫通孔(例えば、後述のピン挿通孔231)および第2貫通孔(例えば、後述のねじ挿通孔232)を互いに近接させて設け、さらに、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の間隔と同間隔を空けて、前記被組付部に第1挿入穴(例えば、後述のピン挿入穴101)および第2挿入穴(例えば、後述のねじ螺合部102)を設けておき、まず、保持部(例えば、後述のハンド50)のピン部材(例えば、後述のピン部材55)を前記ワークの第1貫通孔に挿通して、当該保持部に対する前記ワークの相関位置を位置決めし、次に、前記保持部で前記ワークを保持して、前記ワークを前記被組付部に移動し、前記挿通したピン部材の先端部分を前記被組付部の第1挿入穴に挿入して、前記ワークを前記被組付部に位置決めし、次に、締付手段(例えば、後述の締付装置60A、60B)により、締付部材(例えば、後述のねじ61)を前記ワークの第2貫通孔に挿通して、前記被組付部の第2挿入穴に締め付けることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、被組付部に当接するブラケットをワークに複数設けるとともに、このブラケットに第1貫通孔および第2貫通孔を設け、さらに、第1貫通孔および第2貫通孔の間隔と同間隔を空けて、被組付部に第1挿入穴および第2挿入穴を設けておく。
【0010】
そして、まず、保持部のピン部材をワークの第1貫通孔に挿通して、保持部に対するワークの相関位置を位置決めする。
次に、保持部でワークを保持して被組付部に移動し、挿通したピン部材の先端部分を被組付部の第1挿入穴に挿入して、ワークを被組付部に位置決めする。
次に、締付手段により、締付部材をワークの第2貫通孔に挿通して、被組付部の第2挿入穴に締め付ける。
【0011】
以上より、保持部のピン部材により、第1貫通孔および第1挿入穴を利用して位置決めを行い、その後、締付手段により、第2貫通孔および第2挿入穴を利用して締付部材を締め付ける。よって、従来のような仮固定用のクリップを省略できるから、ワークの組み付けにかかるコストを低減できる。
【0012】
この場合、起立するピン(例えば、後述のピン322)と、前記ワークの一部が嵌合可能な受け部(例えば、後述の受け部321)と、をワーク供給位置(例えば、後述のプリセット台30A、30B)に設けておき、前記ワークを供給する場合、前記ワークのブラケットを前記ワーク供給位置に着座させて、前記ブラケットの一部を前記受け部に嵌合させるとともに、前記起立したピンを前記ブラケットの第2貫通孔に挿通することで、前記ワークと前記ワーク供給位置との相関位置を位置決めすることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、ワーク供給位置にピンおよび受け部を設けておき、ワークを供給する場合、ワークのブラケットをワーク供給位置に着座させて、ブラケットの一部を受け部に嵌合させるとともに、起立したピンをブラケットの第2貫通孔に挿通することで、ワークとワーク供給位置との相関位置を位置決めする。よって、ワークを確実にワーク供給位置に位置決めできる。
【0014】
本発明のワーク組付システム(例えば、後述のサイドエアバッグ取付システム1)は、ワークを被組付部に組み付けるワーク組付システムであって、前記ワークには、前記被組付部に当接するブラケットが複数設けられ、当該ブラケットには、第1貫通孔および第2貫通孔が互いに近接して設けられ、前記被組付部には、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の間隔と同間隔を空けて、第1挿入穴および第2挿入穴が設けられ、ピン部材を有する保持部と、当該保持部の姿勢および3次元空間における位置を変化させる移動手段(例えば、後述のロボットアーム41)と、締付部材を保持する締付手段と、前記保持部、前記移動手段、および前記締付手段を制御する制御手段(例えば、後述の制御装置70)と、を備え、当該制御手段は、前記保持部を駆動して、前記ピン部材を前記ワークの第1貫通孔に挿通して、当該保持部に対する前記ワークの相関位置を位置決めし、次に、前記保持部で前記ワークを保持し、この状態で、前記移動手段を制御して前記保持部で前記ワークを前記被組付部に移動し、前記挿通したピン部材の先端部分を前記被組付部の第1挿入穴に挿入して、前記ワークを前記被組付部に位置決めし、次に、前記締付手段を制御して、前記締付部材を前記ワークの第2貫通孔に挿通して、前記被組付部の第2挿入穴に締め付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、保持部のピン部材により、第1貫通孔および第1挿入穴を利用して位置決めを行い、その後、締付手段により、第2貫通孔および第2挿入穴を利用して締付部材を締め付ける。よって、従来のような仮固定用のクリップを省略できるから、ワークの組み付けにかかるコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムの全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより取り付けられる左サイドエアバッグの斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る左サイドエアバッグのブラケットの斜視図である。
【図4】前記実施形態に係る左サイドエアバッグが取り付けられる左サイドエアバッグ組付部を示す図である。
【図5】前記実施形態に係る左サイドエアバッグ組付部のブラケットが当接する部分の斜視図である。
【図6】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムのプリセット台の斜視図である。
【図7】前記実施形態に係るプリセット台の部分拡大斜視図である。
【図8】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムの締付装置の斜視図である。
【図9】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムのハンドの斜視図である。
【図10】前記実施形態に係るハンドのワーク保持装置の斜視図である。
【図11】前記実施形態に係るワーク保持装置の分解斜視図である。
【図12】前記実施形態に係るハンドで左サイドエアバッグを保持した状態を示す斜視図である。
【図13】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを取り付ける手順を説明するための図(その1)である。
【図14】前記実施形態に係るサイドエアバッグ取付システムにより左サイドエアバッグを取り付ける手順を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク組付システムとしてのサイドエアバッグ取付システム1の斜視図である。
サイドエアバッグ取付システム1は、自動車のボディ10の内側の被組付部としての一対のサイドエアバッグ組付部12A、12Bに、ワークとしての一対のサイドエアバッグ20A、20Bを取り付けるものである。
【0018】
具体的には、自動車のボディ10は、ボディ搬送路11に沿って搬送される。このサイドエアバッグ取付システム1は、自動車のボディ10が搬送されるボディ搬送路11の側方(図1中手前側)に設けられたワーク供給位置としてのプリセット台30Aと、このプリセット台30Aの近傍に配置されたサイドエアバッグ取付装置40Aと、ボディ搬送路11の側方(図1中手前側)に設けられた締付手段としての締付装置60Aと、ボディ搬送路11の側方(図1中手前側)かつプリセット台30Aの下流側に設けられたワーク供給位置としてのプリセット台30Bと、このプリセット台30Bの近傍に配置されたサイドエアバッグ取付装置40Bと、ボディ搬送路11を挟んでサイドエアバッグ取付装置40Bの反対側(図1中奥側)に設けられた締付手段としての締付装置60Bと、これらを制御する制御手段としての制御装置70と、で構成される。
【0019】
プリセット台30Aには、左サイドエアバッグ20Aがセットされる。プリセット台30Bには、右サイドエアバッグ20Bがセットされる。
サイドエアバッグ取付装置40Aは、プリセット台30Aにセットされた左サイドエアバッグ20Aを搬送して、フロントガラス用の開口を通して、ボディ10内部に投入し、この左サイドエアバッグ20Aを自動車のボディ10内部の左側面の左サイドエアバッグ組付部12Aに位置決めするものである。
サイドエアバッグ取付装置40Bは、プリセット台30Bにセットされた右サイドエアバッグ20Bを搬送して、フロントガラス用の開口を通してボディ10内部に投入し、この右サイドエアバッグ20Bを自動車のボディ10内部の右側面の右サイドエアバッグ組付部12Bに位置決めするものである。
【0020】
締付装置60Aは、右側ドア用の開口を通してボディ10内部に侵入し、位置決めされたサイドエアバッグ20Aを自動車のボディ10のサイドエアバッグ組付部12Aにねじで固定するものである。
締付装置60Bは、左側ドア用の開口を通してボディ10内部に侵入し、位置決めされたサイドエアバッグ20Bを自動車のボディ10のサイドエアバッグ組付部12Bにねじで固定するものである。
【0021】
図2は、左サイドエアバッグ20Aの斜視図である。
以下、左サイドエアバッグ20Aについて説明するが、右サイドエアバッグ20Bも、左サイドエアバッグ20Aと同様の構成である。
【0022】
左サイドエアバッグ20Aは、柔軟性を有する湾曲した棒状部材であり、カーテン状のエアバッグが巻かれた状態である湾曲した棒状のエアバッグ本体21と、このエアバッグ本体21に沿って延びて湾曲したカバー部材22と、このカバー部材22の一端側から他端側に向かって並んで設けられた7個のブラケット23A〜23Gと、を備える。
エアバッグ本体21は、複数のバンド24により、カバー部材22に所定箇所で固定されている。
【0023】
図3は、ブラケット23A〜23Gのうちの1つ、ここではブラケット23Fを示す斜視図である。
図3に示すように、ブラケット23Fには、所定間隔離れて一対の貫通孔が形成され、これら貫通孔は、それぞれ、第1貫通孔としてのピン挿通孔231および第2貫通孔としてのねじ挿通孔232となっている。
ブラケット23A〜23Gのうち、ブラケット23A、23B、23Dについては、ブラケット23Fと同様に、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232が1組形成されるが、ブラケット23C、23E、23Gについては、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232が2組形成される。よって、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232は、それぞれ、10箇所ずつ形成されることになる。
【0024】
図4は、左サイドエアバッグ20Aが取り付けられる左サイドエアバッグ組付部12Aを示す図である。
ボディ10の内部には、左サイドエアバッグ20Aが当接する左サイドエアバッグ組付部12Aが設けられている。ここでは、例として、左サイドエアバッグ組付部12Aについて説明するが、右サイドエアバッグ組付部12Bも同様の構成である。
【0025】
図5は、左サイドエアバッグ組付部12Aのブラケット23Aが当接する部分の斜視図である。ここでは、例として、ブラケット23Aが当接する部分について説明するが、他のブラケット23B〜23Gが当接する部分についても同様の構成である。
左サイドエアバッグ組付部12Aのブラケット23Aが当接する部分には、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232の間隔と同間隔を空けて、一対の貫通孔が形成され、これら貫通孔は、それぞれ、第1挿入穴としてのピン挿入穴101および第2挿入穴としてのねじ螺合部102となっている。このうち、ねじ螺合部102には、ナット103が溶接されている。
【0026】
図6は、プリセット台30Aの斜視図である。以下、プリセット台30Aについて説明するが、プリセット台30Bも、プリセット台30Aと同様の構成である。
プリセット台30Aは、テーブル31と、このテーブル31の上に設けられた10個の支持台32と、を備える。
【0027】
図7は、支持台32の斜視図である。ここでは、例として、1つの支持台32について説明するが、他の支持台32も同様の構成である。
支持台32は、テーブル31に設けられて左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gの一部が嵌合可能な受け部321と、この受け部321に起立して設けられて左サイドエアバッグ20Aの各ブラケット23A〜23Gのねじ挿通孔232に挿通されるピン322と、を備える。
【0028】
図8は、締付装置60A、60Bの部分拡大斜視図である。
締付装置60A、60Bは、一回の動作で6本の締付部材としてのねじ61を締め付け可能な構造であり、ナットランナ62と、このナットランナ62の姿勢および3次元空間における位置を変化させるロボットアーム63と、を備える。
ナットランナ62は、それぞれねじ61を保持する6台の締付機構621と、ステレオカメラ622と、を備えている。
【0029】
以下、サイドエアバッグ取付装置40Aについて説明するが、サイドエアバッグ取付装置40Bも、サイドエアバッグ取付装置40Aと同様の構成である。
サイドエアバッグ取付装置40Aは、保持部としてのハンド50と、このハンド50の姿勢および3次元空間における位置を変化させる移動手段としてのロボットアーム41と、を備える(図1参照)。
【0030】
図9は、ハンド50の斜視図である。
ハンド50は、ロボットアーム41のフランジ面42に設けられたハンド本体51と、このハンド本体51に設けられた10台のワーク保持装置52と、を備える。
【0031】
ハンド本体51は、ロボットアーム41のフランジ面42から湾曲して延びる角形鋼管からなる基部511と、この基部511の先端側から延びる第1支持部512と、基部511の基端側から延びる第2支持部513と、を備える。
【0032】
基部511には、4台のワーク保持装置52が取り付けられている。
第1支持部512は、基部511の延びる方向に沿って延びており、この第1支持部512には、4台のワーク保持装置52が取り付けられている。
第2支持部513は、基部511の延びる方向と反対側に向かって延びており、この第2支持部513には、2台のワーク保持装置52が取り付けられている。
【0033】
図10は、ワーク保持装置52の斜視図である。図11は、ワーク保持装置52の分解斜視図である。
ワーク保持装置52は、円筒形状のシリンダ53と、ハンド本体51に設けられてシリンダ53を支持するシリンダ支持部54と、シリンダ53のロッド先端に摺動可能に設けられた棒状のピン部材55と、このピン部材55を進退させる進退機構56と、を備える。
【0034】
ピン部材55の先端は、略円錐形のピン形状である。さらに、このピン部材55の先端よりも基端側の位置には、磁石で形成された鍔状のボス部551が設けられている。
シリンダ支持部54は、一対の互いに対向する平板状の支持片542を有する。この一対の支持片542の互いに対向する面には、それぞれ、ねじ543により、弾性部材541が取り付けられている。具体的には、ねじ543は、支持片542を貫通し、弾性部材541の所定深さにまで到達するように設けられている。
【0035】
一方、シリンダ53は、略四角柱形状の被支持部531を有しており、この被支持部531は一対の支持片542同士の間に介装される。
被支持部531の4つの外周側面のうち支持片542に対向する2つの側面には、凹部532が形成されており、各凹部532には、上述の弾性部材541が嵌合する。
以上により、シリンダ支持部54は、ウレタンからなる弾性部材541を介してシリンダ53を支持しており、これにより、ピン部材55はフローティング自在となっている。
【0036】
各シリンダ支持部54は、図12に示すように、ハンド50で左サイドエアバッグ20Aを保持した場合に、左サイドエアバッグ20Aの7個のブラケット23A〜23Gのピン挿通孔231にピン部材55が挿入可能となるように、ハンド本体51上の位置や姿勢が調整されている。
【0037】
以上のサイドエアバッグ取付システム1は、以下のように動作する。
まず、人手により、プリセット台30Aに左サイドエアバッグ20Aをセットする。具体的には、左サイドエアバッグ20Aをプリセット台30Aに着座させて、この左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gの一部を受け部321に嵌合させるとともに、図13(a)に示すように、プリセット台30Aの10個のピン322を、それぞれ、左サイドエアバッグ20Aの各ブラケット23A〜23Gのねじ挿通孔232に挿入する。
【0038】
また、制御装置70により締付装置60A、60Bを制御して、ステレオカメラ622により、ボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aを撮影して、この左サイドエアバッグ組付部12Aの位置および姿勢を検出しておく。
【0039】
次に、制御装置70により、サイドエアバッグ取付装置40Aを制御して、ハンド50のピン部材55を後退させておき、この状態で、このハンド50をプリセット台30A上の左サイドエアバッグ20Aに接近させる。
そして、ハンド50を左サイドエアバッグ20Aに接近させるか、あるいは、シリンダ53によりピン部材55を前進させて、図13(b)に示すように、左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gのピン挿通孔231に、ハンド50のピン部材55を挿通し、ボス部551を各ブラケット23A〜23Gに当接させる。これにより、ハンド50に対する左サイドエアバッグ20Aの相関位置を位置決めする。
【0040】
次に、制御装置70によりサイドエアバッグ取付装置40Aを制御して、左サイドエアバッグ20Aを上方に持ち上げることでプリセット台30Aから離脱させる。このとき、図13(c)に示すように、左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gは、ボス部551の磁力によりハンド50に保持される。
【0041】
次に、図14(a)に示すように、既に検出した左サイドエアバッグ組付部12Aの位置および姿勢に基づいてロボットアーム41を制御して、左サイドエアバッグ20Aをボディ10の左サイドエアバッグ組付部12Aの近傍まで搬送する。
【0042】
次に、制御装置70によりハンド50の進退機構56を制御して、ピン部材55をシリンダ53に対して前進させて、ピン部材55の先端部分を左サイドエアバッグ組付部12Aのピン挿入穴101に押圧しながら挿入する。このとき、各ワーク保持装置52の弾性部材541が変形することにより、ピン部材55がハンド本体51に対してフローティングするので、ピン部材55は、左サイドエアバッグ組付部12Aのピン挿入穴101に円滑に挿入される。
これにより、左サイドエアバッグ20Aのブラケット23A〜23Gを左サイドエアバッグ組付部12Aに当接させて、位置決めする。
【0043】
次に、図14(b)に示すように、制御装置70により締付装置60A、60Bを制御して、左サイドエアバッグ20Aの10箇所のねじ挿通孔232にねじ61を挿入して、ねじ螺合部102に締め付ける。これにより、左サイドエアバッグ20Aをボディ10に固定する。
その後、締付装置60A、60Bのナットランナ62を左サイドエアバッグ20Aから離脱させるとともに、ハンド50も左サイドエアバッグ20Aから離脱させる。
【0044】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)サイドエアバッグ組付部12A、12Bに当接するブラケット23をサイドエアバッグ20A、20Bに複数設けるとともに、各ブラケット23にピン挿通孔231およびねじ挿通孔232を設け、さらに、ピン挿通孔231およびねじ挿通孔232の間隔と同間隔を空けて、サイドエアバッグ組付部12A、12Bにピン挿入穴101およびねじ螺合部102を設けておく。
そして、まず、ハンド50の各ピン部材55をサイドエアバッグ20A、20Bのピン挿通孔231に挿通して、ハンド50に対するサイドエアバッグ20A、20Bの相関位置を位置決めする。
次に、ハンド50でサイドエアバッグ20A、20Bを保持し、この状態で、ハンド50でサイドエアバッグ20A、20Bをサイドエアバッグ組付部12A、12Bに移動し、ハンド50の先端部分をサイドエアバッグ組付部12A、12Bのピン挿入穴101に挿入して、サイドエアバッグ20A、20Bをサイドエアバッグ組付部12A、12Bに位置決めする。
次に、締付装置60A、60Bにより、ねじ61をサイドエアバッグ20A、20Bのねじ挿通孔232に挿通して、サイドエアバッグ組付部12A、12Bのねじ螺合部102に締め付ける。
【0045】
以上より、ハンド50のハンド50により、ピン挿通孔231およびピン挿入穴101を利用して位置決めを行い、その後、締付装置60A、60Bにより、ねじ挿通孔232およびねじ螺合部102を利用してねじ61を締め付ける。よって、従来のような仮固定用のクリップを省略できるから、サイドエアバッグ20A、20Bの組み付けにかかるコストを低減できる。
【0046】
(2)プリセット台30A、30Bにピン322および受け部321を設けておき、サイドエアバッグ20A、20Bを供給する場合、サイドエアバッグ20A、20Bのブラケット23をプリセット台30A、30Bに着座させて、ブラケット23の一部を受け部321に嵌合させるとともに、起立したピン322をブラケット23のねじ挿通孔232に挿通することで、サイドエアバッグ20A、20Bとプリセット台30A、30Bとの相関位置を位置決めする。よって、サイドエアバッグ20A、20Bを確実にプリセット台30A、30Bに位置決めできる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 サイドエアバッグ取付システム(ワーク組付システム)
12A、12B サイドエアバッグ組付部(被組付部)
20A、20B サイドエアバッグ(ワーク)
23 ブラケット
30A、30B プリセット台(ワーク供給位置)
31 受け部
32 ピン
41 ロボットアーム(移動手段)
50 ハンド(保持部)
55 ピン部材
60A、60B 締付装置(締付手段)
61 ねじ(締付部材)
70 制御装置(制御手段)
101 ピン挿入穴(第1挿入穴)
102 ねじ螺合部(第2挿入穴)
231 ピン挿通孔(第1貫通孔)
232 ねじ挿通孔(第2貫通孔)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを被組付部に組み付けるワーク組付方法であって、
前記被組付部に当接するブラケットを前記ワークに複数設けるとともに、当該ブラケットに第1貫通孔および第2貫通孔を互いに近接させて設け、さらに、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の間隔と同間隔を空けて、前記被組付部に第1挿入穴および第2挿入穴を設けておき、
まず、保持部のピン部材を前記ワークの第1貫通孔に挿通して、当該保持部に対する前記ワークの相関位置を位置決めし、
次に、前記保持部で前記ワークを保持し、この状態で、前記保持部で前記ワークを前記被組付部に移動し、前記挿通したピン部材の先端部分を前記被組付部の第1挿入穴に挿入して、前記ワークを前記被組付部に位置決めし、
次に、締付手段により、締付部材を前記ワークの第2貫通孔に挿通して、前記被組付部の第2挿入穴に締め付けることを特徴とするワーク組付方法。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク組付方法において、
起立するピンと、前記ワークの一部が嵌合可能な受け部と、をワーク供給位置に設けておき、
前記ワークを供給する場合、前記ワークのブラケットを前記ワーク供給位置に着座させて、前記ブラケットの一部を前記受け部に嵌合させるとともに、前記起立したピンを前記ブラケットの第2貫通孔に挿通することで、前記ワークと前記ワーク供給位置との相関位置を位置決めすることを特徴とするワーク組付方法。
【請求項3】
ワークを被組付部に組み付けるワーク組付システムであって、
前記ワークには、前記被組付部に当接するブラケットが複数設けられ、当該ブラケットには、第1貫通孔および第2貫通孔が互いに近接して設けられ、
前記被組付部には、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の間隔と同間隔を空けて、第1挿入穴および第2挿入穴が設けられ、
ピン部材を有する保持部と、当該保持部の姿勢および3次元空間における位置を変化させる移動手段と、締付部材を保持する締付手段と、前記保持部、前記移動手段、および前記締付手段を制御する制御手段と、を備え、
当該制御手段は、前記保持部を駆動して、前記ピン部材を前記ワークの第1貫通孔に挿通して、当該保持部に対する前記ワークの相関位置を位置決めし、
次に、前記保持部で前記ワークを保持し、この状態で、前記移動手段を制御して前記保持部で前記ワークを前記被組付部に移動し、前記挿通したピン部材の先端部分を前記被組付部の第1挿入穴に挿入して、前記ワークを前記被組付部に位置決めし、
次に、前記締付手段を制御して、前記締付部材を前記ワークの第2貫通孔に挿通して、前記被組付部の第2挿入穴に締め付けることを特徴とするワーク組付システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−194659(P2010−194659A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41309(P2009−41309)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】