説明

一酸化炭素除去用触媒およびその製造方法

【課題】高い活性を有する一酸化炭素除去用触媒を提供する。
【解決手段】金属酸化物担体に活性成分金属が担持された一酸化炭素除去用触媒であって、
触媒の基本的形状が球状または柱状(ペレット状)で、直径が0.5〜10mmの範囲にある球状担体、
または直径が0.5〜10mmの範囲にあり、長さが0.5〜30mmの範囲にある柱状担体に、
活性成分金属の80重量%以上が外表面から深さ方向に半径の50%以内に担持されており、かつ外表面から深さ方向に半径の10%以内の活性成分金属の割合が活性成分金属の80重量%以下であることを特徴とする一酸化炭素除去用触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素含有ガス中の一酸化炭素除去用触媒およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、触媒の基本的形状が球状または柱状(ペレット状)で、活性成分金属が外表面または外表面近傍に存在するために有効に作用し、このため高い活性を有する一酸化炭素除去用触媒およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池による発電は、低公害でエネルギーロスが少なことから、注目を集めており、実用化に向けた研究開発が進められている。
燃料電池には、燃料や電解質の種類あるいは作動温度等によって種々のタイプのものが知られているが、中でも水素を還元剤(活物質)とし、酸素あるいは空気等を酸化剤とする水素−酸素燃料電池(低温作動型の燃料電池)の開発が最も進んでいる。
【0003】
水素−酸素燃料電池には電解質の種類や電極等の種類によって種々のタイプのものがあり、その代表的なものとして、例えば、リン酸型燃料電池、固体高分子型燃料電池などがある。このような燃料電池には、多くの場合、電極に白金触媒が使用されている。ところが、電極に用いている白金は一酸化炭素(以下、COともいう。)によって被毒されやすいので、燃料中にCOがあるレベル以上含まれていると発電性能が低下したり、濃度によっては全く発電ができなくなってしまうという重大な問題点がある。
【0004】
このCO被毒による触媒の活性劣化は、特に低温ほど著しいので、この問題は、低温作動型の燃料電池の場合に特に深刻となる。
したがって、こうした白金系電極触媒を用いる燃料電池の燃料としては純粋な水素が好ましいが、実用的な点からは安価で貯蔵性等に優れたあるいは既に公共的な供給システムが完備されている各種の燃料、例えば、メタン、天然ガス(LNG )、プロパン、ブタ
ン等の石油ガス(LPG )、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油等の各種の炭化水素系燃料
あるいはメタノール等のアルコール系燃料、あるいは都市ガス、その他の水素製造用燃料等の水蒸気改質等によって得られる水素含有ガスを用いることが一般的になっており、このような改質設備を組み込んだ燃料電池発電システムの普及が進められている。しかしながら、こうした改質ガス中には、一般に、水素の他にかなりの濃度のCOが含まれているので、このCOを白金系電極触媒に無害なものに転化し、燃料中のCO濃度を減少させる技術の開発が強く望まれている。例えば、固体高分子型燃料電池ではCO濃度を、通常100容量ppm以下、好ましくは50容量ppm以下、更に好ましくは10容量ppm以下という低濃度にまで低減することが望ましいとされている。
【0005】
上記の問題を解決するために、燃料ガス(改質ガス中の水素含有ガス)中のCOの濃度を低減させる手段の一つとして、下記の式(1)で表されるシフト反応(水性ガスシフト反応)を利用する技術が提案されている。
【0006】
CO + H2O = CO2 + H2 (1 )
しかしながら、このシフト反応のみによる反応では、化学平衡上の制約からCO濃度の低減には限界があり、一般に、CO濃度を1%以下にするのは困難である。そこで、CO濃度をより低濃度まで低減する手段として、改質ガス中に酸素または酸素含有ガス(空気等)を導入し、COをCO2に変換する方法(以下、部分酸化反応、あるいはフロックス
反応ということがある)が提案されている。しかしながら、この場合改質ガス中には水素が多量存在しているため、COを酸化しようとすると水素も酸化されてしまい、水素がロスするとともにCOの除去が不充分となることがあった。
【0007】
ところで、最近COを水素でメタネーション(以下、メタン化ともいう。)することによりメタンに変換する方法も見直されている。例えば、特開平3−93602号公報、特開平11−86892号公報には、γ−アルミナ担体にRuを担持した触媒(Ru/γ−アルミナ触媒)と、COを含有する水素ガスを接触させる方法が開示されている。しかし、水素ガスに二酸化炭素(CO2)が含まれている場合、副反応である二酸化炭素のメタ
ン化反応も起こり、それだけ水素が消費され望ましくない。したがって、主反応であるCOのメタン化反応の活性が高く、選択率の高い(二酸化炭素のメタン化反応の少ない)触媒の開発が望まれている。
【0008】
上記問題点を解決するために無機酸化物担体にRu化合物とアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を担持した触媒が提案されている。特開2002−068707号公報。
【特許文献1】特開平3−93602号公報
【特許文献2】特開平11−86892号公報
【特許文献3】特開2002−068707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の触媒では未だ活性、選択性が不充分であり、さらに改良が求められていた。本発明者等は、活性成分を担持する担体について検討した結果、特定範囲の細孔径の細孔(メソポア)の容積が少ない担体に活性成分用金属を担持するとCO除去効果が向上することを見出して本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、一酸化炭素のシフト反応、フロックス反応あるいはメタネーション反応に用いて選択率および活性が高く、水素含有ガス中の一酸化炭素を効果的に除去できる触媒の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]金属酸化物担体に活性成分金属が担持された一酸化炭素除去用触媒であって、
触媒の基本的形状が球状または柱状(ペレット状)で、直径が0.5〜10mmの範囲にある球状担体、
または直径が0.5〜10mmの範囲にあり、長さが0.5〜30mmの範囲にある柱状担体に、
活性成分金属の80重量%以上が外表面から深さ方向に半径の50%以内に担持されており、かつ外表面から深さ方向に半径の10%以内の活性成分金属の割合が活性成分金属の80重量%以下である一酸化炭素除去用触媒。
[2] 触媒の細孔径が6nm以上の細孔容積が0.02〜0.13ml/gの範囲にある
一酸化炭素除去用触媒。
[3] 前記金属酸化物担体がNiO、CoO、CeO2、ZrO2、Al23、SiO2、TiO2、BaO、MgOから選ばれる1種以上の酸化物、または複合酸化物である[1]または[2]の一酸化炭素除去用触媒。
[4]前記活性成分金属がRuを含む[1]〜[3]の一酸化炭素除去用触媒。
[5]前記活性成分金属がさらにRu化合物以外の金属を含む[1]〜[4]の一酸化炭素除去用触媒。
[6]触媒中のRuとRu以外の金属の担持量が0.5〜15重量%の範囲にある[1]〜[5]の
一酸化炭素除去用触媒。
[7]前記Ru以外の金属が4B族、6A族、7A族および8族から選ばれる1種以上の金属であること[1]〜[6]の一酸化炭素除去用触媒。
[8]前記4B族の金属がSnであり、6A族の金属がMo、Wであり、7A族の金属がR
eであり、8族の金属がPt、Pd、Rh、NiおよびCoである[1]〜[7]の一酸化炭素除去用触媒。
[9]基本的形状が球状または柱状(ペレット状)であって、直径が0.5〜10mmの範
囲にある球状担体または直径が0.5〜10mmの範囲にあり、長さが0.5〜30mmの範囲にある金属酸化物担体に活性成分用金属塩を吸収させ、ついで乾燥し、還元処理することを特徴とする一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
[10]前記金属酸化物担体の細孔径が6nm以上の細孔容積が0.02〜0.13ml/gの範囲にある[9]の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
[11]前記乾燥工程の後、洗浄および乾燥することを特徴とする[9]または[10]の一酸化炭
素除去用触媒の製造方法。
[12]前記金属酸化物担体がNiO、CoO、CeO2、ZrO2、Al23、SiO2、T
iO2、BaO、MgOから選ばれる1種以上の酸化物、または複合酸化物である[9]〜[11]の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
[13]前記活性成分用金属塩がRu化合物を含む[9]〜[12]の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
[14]前記活性成分用金属塩がさらにRu化合物以外の化合物を含む[9]〜[13]の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
[15]得られる触媒中のRuとRu以外の金属の担持量が触媒中に0.5〜15重量%の範囲にある[9]〜[14]の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
[16]前記Ru以外の金属が4B族、6A族、7A族および8族から選ばれる1種または2
種以上の金属である[9]〜[15]の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
[17]前記4B族の金属がSnであり、6A族の金属がMo、Wであり、7A族の金属がReであり、8族の金属がPt、Pd、Rh、NiおよびCoであることを特徴とする[9]
〜[16]の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、触媒の基本的形状が球状または柱状(ペレット状)で、活性成分金属が外表面または外表面近傍に存在するために高い空間速度の運転で有効に作用し、このため高い活性を有するシフト反応、部分酸化反応あるいはメタネーション反応等一酸化炭素除去用触媒およびその製造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について、具体的に説明する。
本発明に係る一酸化炭素除去用触媒は金属酸化物担体に活性成分金属が担持された一酸化炭素除去用触媒である。
【0014】
金属酸化物担体
本発明に用いる金属酸化物担体は基本的形状が球状または柱状(ペレット状)である。
球状担体の場合は断面が円形であっても楕円形であってもよく、表面全体が丸みを帯びた球状表面を有する担体を意味している。
【0015】
このような球状担体は直径が0.5〜10mm、さらには1〜8mmの範囲にあることが好ましい。
球状担体の直径が0.5mm未満の場合は、粒径が小さいため差圧を生じることがあり、長期の運転が困難となることがある。
【0016】
球状担体の直径が10mmを超えると、触媒の充填密度が低下し、反応効率が低下する傾向にある。
また、柱状担体としては担体の断面が円形(円柱)であってもよく、多角形(角柱)であってもよく、必要に応じて、柱状担体が2個以上束なっていてもよく、さらに、前記円
形あるいは多角形の内部が空洞である管状であってもよい。
【0017】
このような柱状担体は直径が0.5〜10mm、さらには1〜8mmの範囲にあることが好ましく、長さが0.5〜30mm、1〜24mmの範囲にあることが好ましい。
柱状担体の直径および長さが0.5mm未満場合は、球状担体の場合と同様に粒径が小さいため差圧を生じることがあり、長期の運転が困難となることがある。
【0018】
柱状担体の直径が10mmを超えると、やはり球状担体の場合と同様に触媒の充填密度が低下し、反応効率が低下する傾向にある。
柱状担体の長さが30mmを超えると、担体の径にもよるが容易に折れて粉化したり、折れない場合であっても触媒の充填密度が低下し、反応効率が低下する傾向にある。
【0019】
このような金属酸化物担体はNiO、CoO、CeO2、ZrO2、Al23、SiO2
、TiO2、BaO、MgOから選ばれる1種または2種以上の酸化物、混合酸化物また
は複合酸化物であることが好ましい。複合酸化物としては、ZrO2-CoO、ZrO2-NiO、ZrO2-CeO2、ZrO2-CoO-NiO、NiO-CoO、CoO-CeO2、N
iO-CoO-CeO2、ZrO2-NiO-CoO-CeO2、Al23−Co34、Al23−CeO2−CoO、Al23−NiO、TiO2−CoO、TiO2−NiO、TiO2−SiO2−Co34、ZrO2−Al23、Al23-MgO、Al23-BaO、SiO2
−Al23、Al23-TiO2、Al23-TiO2-MgO等が挙げられる。
【0020】
特に、COメタネーション用触媒の担体としてはNiO、CoO、CeO2、ZrO2、Al23を含む複合酸化物が好ましく、COシフトあるいは部分酸化反応用触媒の担体としてはAl23、SiO2、TiO2、BaO、MgOおよびこれらを含む複合酸化物が好ましく用いられるが、なかでも、アルミナ、アルミナを含む金属酸化物担体は後述する細孔特性を有する担体が得られやすいので好適に採用することができる。特に、バイヤー法で得られるギプサイトを300℃〜700℃の温度で気流焼成して得られる結晶性アルミナは好適である。
【0021】
このような金属酸化物担体は、担体の細孔径が6nm以上の細孔容積が0.02〜0.13ml/g、さらには0.04〜0.1ml/gの範囲にあることが好ましい。
担体の細孔径が6nm以上の細孔容積が多い場合は、担体に活性成分用金属塩を吸収させる際に担体成形体の内部まで吸収され、このため内部にあって有効に機能しない活性成分金属が増加し、充分な活性が得られないことがある。
【0022】
前記細孔容積が少ない場合は活性成分用金属塩の吸収が不充分となり、充分な活性成分金属を担持できない場合があり、担持できたとしても活性成分金属が成形体の表層のみに分布し、充分な活性が得られないことがある。
【0023】
なお、本発明では細孔容積、細孔径分布は水銀圧入法によって測定することができる。[担体の調製方法]
このような金属酸化物担体の調製方法は、先ず、ジルコニウム塩、ニッケル塩、コバルト塩、セリウム塩、アルミニウム塩、チタニウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩の1種または2種以上の金属塩水溶液、混合金属塩水溶液を調製する。
【0024】
ニッケル塩としては硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル等が用いられ、コバルト塩としては硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト等が用いられる。セリウム塩としては硝酸セリウム、塩化セリウム、硫酸セリウム、等が用いられる。ジルコニウム塩としては硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニル、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、硫酸ジル
コニル、炭酸ジルコニウム等が用いられ、アルミニウム塩としては塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等が用いられ、チタニウム塩としては四塩化チタン、硫酸チタン、ペルオキソチタン酸等が用いられ、バリウム塩としては塩化バリウム、硝酸バリウム等が用いられ、マグネシウム塩として塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
【0025】
金属塩水溶液、混合塩水溶液は合計の酸化物としての濃度が概ね7.5重量%以下の範囲にあることが好ましい。
金属塩水溶液、混合塩水溶液の濃度が合計の酸化物として7.5重量%を超えると得られる担体の比表面積が小さく、十分な活性が得られないことがある。
【0026】
ついで、金属塩水溶液、混合塩水溶液に塩基性化合物の水溶液を加えて中和し、必要に応じて熟成してヒドロゲルを調製する。
塩基性化合物としてはNaOH、KOH、Na2CO3等のアルカリ金属水溶液、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等を用いることができる。また、担体の種類によっては、例えばアルミナ、アルミナを含む複合酸化物の場合にはアルミン酸アルカリを用いることもできる。
【0027】
熟成する際の温度は通常30〜100℃の範囲が好ましく、時間は通常0.5〜24時間程度である。
ついで、ヒドロゲルを濾過し、洗浄する。洗浄方法は副生する塩化ナトリウム等の塩を除去できれば特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。例えば、温水を充分掛ける方法、アンモニア水を掛ける方法、限外濾過膜法等は好適に採用することができる。
【0028】
ついで、担体を調製するが、主に2つの方法があり、1つは洗浄したゲルを乾燥し、乾燥した粉体は必要に応じて粉砕し、錠剤成型器等で成型し、焼成する方法である。
このとき、乾燥条件としては60〜200℃、さらには80〜180℃で、通常、0.5〜24時間乾燥する。
【0029】
乾燥温度が200℃を超えると、金属水酸化物あるいは金属酸化物の水和物の種類によっては酸化物となる際に粒子径の大きな酸化物粒子となることがあり、得られる成形体の強度が不充分となることがある。
【0030】
ついで行う焼成は、金属酸化物担体の種類によっても異なるが250〜600℃、さらには350〜550℃で通常、0.1〜12時間焼成する。
焼成温度が250℃未満の場合は、脱水が不充分で有効な細孔が適度に生成しないことがあり、焼成温度が600℃を超えると、酸化物の種類によっては焼結を伴い、担体の細孔容積が小さくなりすぎて所望の活性成分金属の担持が困難であったり、担持できたとしても活性成分金属が成形体の表層のみに分布し、充分な活性が得られないことがある。
【0031】
他の1つの方法は、洗浄したゲルを、あるいはゲルを乾燥した粉末を、必要に応じてセルローズ等の成型助剤を加え、水分調整、加熱濃縮、捏和、混練等した後、従来公知の方法で押出成型器等によりペレットとし、必要に応じてペレットをマルメライザー、転動造粒機等で球状(ビード)とし、ついで、乾燥し、焼成する方法である。
【0032】
この場合も、乾燥条件としては60〜200℃、さらには80〜180℃で、通常、0.5〜24時間乾燥する。
ついで行う焼成は、金属酸化物担体の種類によっても異なるが250〜600℃、さらには350〜550℃で通常、0.1〜12時間焼成する。
【0033】
焼成温度が250℃未満の場合は、脱水が不充分で有効な細孔が充分生成しないことがあり、また成形体の強度が不充分となることがあり、焼成温度が600℃を超えると、酸化物の種類によっては焼結を伴い、担体の細孔容積が小さくなりすぎて所望の活性成分金属の担持が困難であったり、担持できたとしても活性成分金属が成形体の表層のみに分布し、充分な活性が得られないことがある。
活性成分金属
本発明に用いる活性成分金属にはRuを含むことが好ましい。Ruが含まれていると、活性に優れた触媒が得られるが、これはCOおよびH2の解離吸着を促進することによると
考えられる。
【0034】
さらに、Ru以外の金属として4B族、6A族、7A族および8族から選ばれる1種または2種以上の金属を含むことが好ましく、4B族の金属がSnであり、6A族の金属がMo、Wであり、7A族の金属がReであり、8族の金属がPt、Pd、Rh、NiおよびCoであることが好ましい。
【0035】
上記した各活性金属成分の好ましい理由については必ずしも明らかではないが、Snの場合、Ruに吸着した炭素種の脱離を促進することにより活性を向上させることが考えられる。
【0036】
Mo、Wの場合、H2の解離吸着による活性水素が生成して水素化を促進することによ
り活性を向上させていることが考えられる。
Reの場合、Ruへの炭素種の吸着および脱離を促進することにより活性を向上させていることが考えられる。
【0037】
Pt、Pd、RhおよびNi、Coの場合、COおよびH2を解離吸着することにより
活性を向上させていることが考えられる。
触媒中のRuとRu以外の金属の担持量は0.5〜15重量%、さらには1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
【0038】
金属の担持量が触媒中に0.5重量%未満の場合は、活性が不充分となる。金属の担持量が触媒中に15重量%を超えると活性は高いもののメタネーション反応に用いる場合はCO2のメタネーション反応が起こり、選択性が低下し、結果としてCOの除去効果が不
充分となる。また、部分酸化反応に用いる場合はCOのメタネーション反応が起こり、選択性が低下する傾向にある。
【0039】
本発明では、前記金属がRuとRu以外の金属からなる場合、Ruの割合は20〜90重量%、さらには25〜60重量%の範囲にあることが好ましい。
Ruの割合が前記範囲にあればメタネーション反応に用いる場合、炭素種の吸着および脱離、H2の解離吸着、COの解離吸着が調和を持って促進され、反応温度が低くても高
い活性を有し、副反応を抑制することができるために高い選択性を有する触媒が得られる。
【0040】
また、部分酸化反応に用いる場合も同様に、炭素種の吸着および脱離、H2の解離吸着
、COの解離吸着が促進され、副反応であるCOのメタネーション反応を抑制することができるために高い選択性を有する触媒が得られる。
【0041】
本発明に係る一酸化炭素除去用触媒は、前記した担体と同様の形状をしており、触媒中の金属の分布に特徴を有している。
活性成分金属の80重量%以上が外表面から深さ方向に半径の50%以内に担持されて
いることが好ましい。
【0042】
外表面から深さ方向に半径の50%以内に担持されている活性成分金属の割合が80重量%未満の場合、活性成分金属が内部にまで比較的均一に分布していることを意味し、有効係数の小さい高空塔速度(SV)での反応では、触媒の内部に分布する活性成分金属が有効に活性に寄与しないため活性成分当たりの活性が低下し、所定の活性成分金属を担持しても充分な活性が得られないことがある。
【0043】
かつ、外表面から深さ方向に半径の10%以内の活性成分金属の割合が活性成分金属の80重量%以下であることが好ましい。該活性成分金属の割合が80重量%を越えると活性成分金属が実質的に触媒の表層にのみ分布していることになり、有効に活性に寄与し得る部位の活性金属成分の量が少なすぎたり、活性成分金属が粒子成長しすぎるため充分な活性が得られない。
【0044】
このような活性成分金属の分布のは、X線マイクロアナライザーにて測定し、球状触媒の場合は外表面より中心を通る断面、柱状触媒の場合も同様に外表面より中心を通る断面について測定し、活性金属のスペクトルの面積を測定することによって求めることができる。
【0045】
つぎに、本発明に係る一酸化炭素除去用触媒の製造方法について説明する。
本発明に係る一酸化炭素除去用触媒の製造方法は、基本的形状が球状または柱状(ペレット状)であって、直径が0.5〜10mmの範囲にある球状の金属酸化物担体または直径が0.5〜10mmの範囲にあり、長さが0.5〜30mmの範囲にある柱状の金属酸化物担体に活性成分用金属塩を吸収させ、ついで乾燥し、還元処理することを特徴としている。
【0046】
金属酸化物担体
金属酸化物担体としては前記したと同様の担体が用いられる。
活性成分用金属塩
本発明に用いる活性成分用金属塩としてはRu化合物が用いられる。Ru化合物としては塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム等が用いられる。
【0047】
さらに、活性成分用金属塩としてRu化合物以外の金属塩を含むことが好ましい。
Ru化合物以外の金属塩としては4B族、6A族、7A族および8族(Ruを除く)から選ばれる1種または2種以上の金属の塩であることが好ましい。
なかでも、4B族の金属としてはSn、6A族の金属としてはMo、W、7A族の金属としてはRe、8族の金属としてはPt、Pd、Rh、NiおよびCoから選ばれる1種または2種以上の金属が好適に用いられる。
具体的には、塩化スズ、酢酸スズ、硫酸スズ、シュウ酸スズ、塩化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、塩化レニウム、過レニウム酸アンモニウム、塩化白金酸、ジクロロテトラアミン白金、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸ロジウム、塩化ロジウム、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸コバルト、塩化コバルト、硫酸コバルト等が挙げられる。
【0048】
上記した活性成分用金属塩、活性成分用混合金属塩の水溶液を調製し、前記した金属酸化物担体に吸収させる。
金属塩水溶液の濃度は、通常、所定量、すなわち得られる触媒中の金属の含有量が、好ましくはRuまたはRuとRu以外の金属との合計の含有量が0.5〜15重量%となるように担持できる濃度とするが、金属塩水溶液の濃度が低い場合、あるいは担持量が多い場合は吸収および乾燥を繰り返し行うこともできる。
さらに、まず、Ru金属塩水溶液を吸収させ、乾燥した後、Ru以外の金属塩水溶液を吸収させ、乾燥することもできる。
【0049】
また、本発明に用いる一酸化炭素除去用触媒の製造方法では、活性金属成分の分布が重要であり、このため金属塩水溶液を吸収させる際に、金属酸化物担体および/または金属塩水溶液の温度を概ね常温(約20℃)〜80℃に維持することが好ましい。常温未満では冷却等の必用があり経済性が低下し、吸収温度が高いと、担体の表層部のみに活性成分金属が担持され、活性が不充分となることがある。金属塩水溶液を吸収させる際の温度は用いる担体の大きさ、細孔分布によって適宜選択することができる。
【0050】
また、金属塩水溶液の吸収を密閉容器中、減圧下(たとえば真空下)で行うこともできる。減圧下で金属塩水溶液の吸収を行うと、活性成分金属を担体の表面から内部方向に分布するように担持することができる。このときの減圧度は用いる担体の大きさ、細孔分布によって適宜選択することができる。
【0051】
吸収させる金属塩水溶液の量は金属酸化物担体の細孔容積と同程度の量であることが好ましい。
吸収後の乾燥条件は特に制限はなく、通常60〜200℃、さらに好ましくは80〜180℃で乾燥する。乾燥温度が低いと、水分の脱離あるいは金属塩の分解除去が不充分で、活性が不充分となることがある。また、塩の種類によっては必要に応じて洗浄する際に金属塩がそのまま脱落することがあり、所望量の活性金属を担持することができない場合がある。乾燥温度が高いと、活性成分用金属塩が分解して粒子径の大きな酸化物粒子となることがあり、さらに金属成分の種類によっては還元が困難となり、還元できたとしても活性金属粒子が大きくなりすぎて、活性が不充分となることがある。
【0052】
本発明では、前記乾燥工程の後、洗浄し、再度乾燥することが好ましい。
洗浄方法としては、前記吸収させた金属塩のアニオンを低減、除去できれば特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。例えば、温水、希薄なアンモニア水等を掛水する方法が挙げられる。このときのアニオンの残存量は金属塩を吸収させた際のアニオンの概ね0.5重量%以下、さらには0.2重量%以下であることが好ましい。アニオンの残存量が多いと、後述の還元工程で還元が不充分となり、充分な活性が得られないことがある。
【0053】
乾燥した後、還元ガス雰囲気下、100〜600℃、好ましくは150〜400℃で還元して一酸化炭素除去用触媒を得ることができる。
還元ガスとしては通常、水素ガスあるいは水素ガスと窒素ガス等不活性ガスとの混合ガスが用いられる。還元温度が低いと、活性金属の還元が不充分となり、充分な活性が得られないことがある。還元温度が高すぎると、金属微粒子が過度に粒子成長するために活性が低下したり、得られる触媒の比表面積が小さくなり、活性が不充分となることがある。
【0054】
還元時間は温度によっても異なるが、通常0.5〜12時間である。
還元後の金属の担持量は、触媒中に0.5〜15重量%、さらには1.0〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
【0055】
金属の担持量が少ないものは、活性が不充分となる。
金属の担持量が多くなりすぎると、活性は高いもののメタネーション反応に用いる場合はCO2のメタネーション反応が起こり選択性が低下し、結果としてCOの除去効果が不
充分となる。また、部分酸化反応に用いる場合は、COのメタネーション反応が起こり、選択性が低下する。
【0056】
本発明では、前記活性成分金属がRuとRu以外の金属からなる場合、Ruの割合は20〜90重量%、さらには25〜60重量%の範囲にあることが好ましい。
Ruの割合が前記範囲にあればメタネーション反応に用いる場合、炭素種の吸着および脱離、H2の解離吸着、COの解離吸着が調和を持って促進され、反応温度が低くても高
い活性を有し、副反応を抑制することができるために高い選択性を有する触媒が得られる。
【0057】
また、部分酸化反応に用いる場合も同様に、炭素種の吸着および脱離、H2の解離吸着
、COの解離吸着が促進され、副反応であるCOのメタネーション反応を抑制することができるために高い選択性を有する触媒が得られる。
また、得られる触媒の比表面積が30〜350m2/g、さらには60〜300m2/gの範囲にあることが好ましい。
【0058】
触媒の比表面積が30m2/g未満の場合は、活性が不充分となる。触媒の比表面積が
350m2/gを超えると、長時間運転した場合に活性、選択性の低下が大きくなる傾向
にある。
【0059】
また、得られる触媒の金属の分布は、触媒の直径が5mm未満の場合は活性成分金属の80重量%以上が外表面から深さ方向に半径の50%以内、さらには30%以内に担持されていることが好ましい。
【0060】
また、直径が5mm以上の場合は活性成分金属の80重量%以上が外表面から深さ方向に2.5mm以内に、さらには2mm以内に担持されていることが好ましい。
本発明の触媒は、細孔径が6nm以上の細孔容積が0.02〜0.13ml/g、さらには0.04〜0.1ml/gの範囲にあることが好ましい。なお、触媒の細孔容積は、使用する担体の細孔容積と実質的に同じである。
【0061】
以上のような本発明に係る一酸化炭素除去用触媒は、具体的にはCOのメタネーション反応、シフト反応、部分酸化反応に用いることができる。
以下に、具体的な反応方法について例示する。
【0062】
まず、メタネーション方法について例示する。
本発明に係る一酸化炭素除去用触媒を用いたメタネーション方法は、上記した一酸化炭素除去用触媒と一酸化炭素ガス含有水素ガスと接触させることを特徴としている。
【0063】
メタネーション用触媒としては特に、担体としてZrO2、CeO2、NiO、CoO、Co34、Al23、TiO2、SiO2から選ばれる1種または2種以上の酸化物、または複合酸化物を用い、活性成分として:Mo、W、Re、Pt、Pd、Rh、NiおよびCoを用いた触媒が好ましい。
【0064】
一酸化炭素ガス含有水素ガスとしては燃料ガス(改質ガス中の水素含有ガス)が用いられ、このガスは通常、水素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、および水蒸気等を含んでおり、メタンを含む場合もある。
【0065】
燃料ガス中の水素ガスの濃度は71〜89vol%、一酸化炭素ガス濃度は0.3〜1.0vol%、二酸化炭素ガス濃度は10〜25vol%、メタンガス濃度0〜3.0vol%(ガス組成)である。さらにその燃料ガスに対して水蒸気を20vol%〜70vol%の割合で含んでいる。
【0066】
メタネーション用触媒と一酸化炭素ガス含有水素ガスとを接触させる際の温度(以下、
反応温度という)は100〜250℃、さらには130〜190℃の範囲にあることが好ましい。
【0067】
反応温度が100℃未満の場合は、反応ガス中に含まれる水蒸気が凝縮し、継続的に反応を行うことが困難である。
反応温度が250℃を超えると、COシフト反応(CO+H2O→CO2+H2)の温度
域となり、COシフト反応により転化することのできる一酸化炭素をメタネーション反応により、メタン化するため、燃料ガス中に含まれる、水素濃度が著しく低下してしまう。
【0068】
このような、本発明に係る一酸化炭素のメタネーション方法で処理された燃料ガスは、一酸化炭素ガス濃度が20ppm以下に除去されている。
つぎに、本発明に係る一酸化炭素除去用触媒を用いた部分酸化反応(フロックス反応)、シフト反応について例示する。
【0069】
上記した一酸化炭素除去用触媒を用いた部分酸化反応、シフト反応は、上記で得られた一酸化炭素除去用触媒と一酸化炭素ガス含有水素ガスと接触させることを特徴としている。
【0070】
部分酸化反応、シフト反応用触媒としては特に、担体として、Al23、SiO2、T
iO2から選ばれる1種または2種以上の酸化物、または複合酸化物を用い、特にAl23のρアルミナおよびαアルミナ等が好適である。
【0071】
活性成分としては、Mo、W、Re、Pt、Pd、Rh、NiおよびCoを用いた触媒が好ましい。
一酸化炭素ガス含有水素ガスとしては燃料ガス(改質ガス中の水素含有ガス)が用いられ、このガスは通常、水素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、および水蒸気等を含んでおり、メタンを含む場合もある。
【0072】
部分酸化反応に用いる燃料ガス中の水素ガスの濃度は71〜89vol%、一酸化炭素ガス濃度は0.3〜1.0vol%、二酸化炭素ガス濃度は10〜25vol%、メタンガス濃度0〜3.0vol%(ガス組成)である。さらにその燃料中のガスに対して水蒸気を20vol%〜70vol%の割合で含んでいる。
【0073】
部分酸化反応の際の反応温度は100〜200℃、さらには120〜180℃の範囲にあることが好ましい。
反応温度が100℃未満の場合は、一酸化炭素は活性成分であるメタルと反応し金属カルボキシルを生成しやすくなる。
【0074】
反応温度が200℃を超えると、一酸化炭素は水素と反応しメタンを生成しやすくなる。
このような、部分酸化反応で処理された燃料ガスは、一酸化炭素ガス濃度が10ppm以下に除去されている。
つぎに、シフト反応に用いる燃料ガス中の水素ガスの濃度は71〜89vol%、一酸化炭素ガス濃度は1.0〜10.0vol%、二酸化炭素ガス濃度は10〜25vol%、メタンガス濃度0〜3.0vol%(ガス組成)である。さらにその燃料中のガスに対して水蒸気を20vol%〜70vol%の割合で含んでいる。
【0075】
シフト反応の際の反応温度は160〜280℃、さらには180〜250℃の範囲にあることが好ましい。
反応温度が160℃未満の場合は充分な活性が得られないことがある。
【0076】
反応温度が280℃を超えると、選択性が低下する傾向にある。
このような、シフト反応で処理された燃料ガスは、一酸化炭素ガス濃度が1%以下に除去されている。
[実施例]
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
一酸化炭素除去用触媒(1)の調製
アルミナ担体(1)(触媒化成工業(株)製:製品名;CSR、3mmφ球状、ρ-アルミナ、6nm以上の細孔容積0.070ml/g)250gを採取し、500mlの含浸液注入口付き含浸瓶に入れた。
【0077】
別途、金属重量比Ru:Pd=1:0.02であり、合計金属濃度が2.0重量%となるように硝酸ルテニウム水溶液(小島化学薬品製:濃度Ruとして5重量%)98.0gを採取し、さらに硝酸パラジウム(関東化学薬品製:濃度Pdとして33.9重量%)0.3gを硝酸ルテニウム水溶液に添加した後30分間撹拌して含浸溶液(1)を調製した。
【0078】
この含浸溶液(1)を含浸瓶に入れ、アルミナ担体(1)に常温で吸収させ、1時間静置
した後、取り出し、120℃にて8時間乾燥し、ついで400℃で1時間、大気中にて焼成を行い、ついで、400℃で100%水素を180cc/minの流速で供給しながら、1.5時間還元処理を行い、一酸化炭素除去用触媒(1)を調製した。なお、アルミナ担
体(1)の細孔分布を図1に示した。
【0079】
得られた一酸化炭素除去用触媒(1)の組成、比表面積(BET法)、細孔容積(水銀圧
入法)およびX線マイクロアナライザーによる活性成分金属分布を測定し、結果を表に示した。なお、活性成分金属分布図を図2(下2-1)に示した。なお、図2(上2-2)は担体成分の分布を示す。
部分酸化反応試験
一酸化炭素除去用触媒(1)30mlを内径20mm、長さ200mmのステンレス製反
応管に充填し、触媒層温度400℃で100%水素を180cc/minの流速で供給しながら、1.5時間還元処理を行った。ついで、触媒層温度を140℃の反応温度にした後、反応用混合ガス(一酸化炭素0.6Vol%、二酸化炭素18.0Vol%、酸素2.0Vol%、メタン2.0Vol%、水素51.37Vol%、水蒸気33.3Vol%)をSV=10、000h-1となるように流通させ、約1時間後の定常状態での生成ガスをガ
スクロマトグラフィーおよび赤外分光型ガス濃度計で分析し、反応管出口CO濃度およびCH4濃度を測定し、結果を表に示した
[実施例2]
一酸化炭素除去用触媒(2)の調製
実施例1において、硝酸パラジウムの代わりに硝酸レニウム(関東化学薬品製:濃度Reとして38.8重量%)を用いた以外は同様にして含浸溶液(2)を調製した。ついで、含浸溶液(2)を用いた以外は同様にして一酸化炭素除去用触媒(2)を調製した。
得られた一酸化炭素除去用触媒(2)の組成、比表面積、細孔容積および活性成分金属分布
を測定し、結果を表に示した。
部分酸化反応試験
実施例1と同様にして部分酸化反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。[実施例3]
一酸化炭素除去用触媒(3)の調製
実施例1において、含浸溶液(1)を70℃で吸収させた以外は同様にして一酸化炭素
除去用触媒(3)を調製した。
得られた一酸化炭素除去用触媒(3)の組成、比表面積、細孔容積および活性成分金属分布
を測定し、結果を表に示した。
部分酸化反応試験
実施例1と同様にして部分酸化反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。[実施例4]
一酸化炭素除去用触媒(4)の調製
実施例1において、含浸瓶にアルミナ担体(1)を入れた後、1時間真空脱気し、ついで、含浸溶液(1)を入れて吸収させた以外は同様にして一酸化炭素除去用触媒(4)を調製し
た。
【0080】
得られた一酸化炭素除去用触媒(4)の組成、比表面積、細孔容積および活性金属成分分
布を測定し、結果を表に示した。
部分酸化反応試験
実施例1と同様にして部分酸化反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。[実施例5]
一酸化炭素除去用触媒(5)の調製
酸化チタン粉末(触媒化成工業(株)製:ルチル型酸化チタン、平均粒子径;50nm)4250gとアルミナ粉末(触媒化成工業(株)製:γ−Al23、平均粒子径:6nm)750gとを混合した後、マルメライザー機で適宜水滴を滴下しながら3mmφ球状に造粒した。この造粒品を120℃で8時間乾燥後、550℃で2時間焼成してチタニア―アルミナ担体(5)を得た。担体の細孔径6nm以上の細孔容積は0.074ml/gであっ
た。
【0081】
ついで、この担体(5)を用いた以外は実施例1と同様にして一酸化炭素除去用触媒(5)を調製した。
得られた一酸化炭素除去用触媒(5)の組成、比表面積、細孔容積および活性金属成分分
布を測定し、結果を表に示した。
部分酸化反応試験
実施例1と同様にして部分酸化反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。[実施例6]
一酸化炭素除去用触媒(6)の調製
硝酸ジルコニル溶液(ZrO2濃度:25.0%)1680.0g、硝酸セリウム・6
水和物502.0g、硝酸コバルト・6水和物1008.9gおよび硝酸ニッケル・6水和物46.71gを水28000gに溶解させ、混合水溶液(1)を得た。
【0082】
水酸化ナトリウム865.1gを水32000gに溶解し、攪拌しながらこれに混合水溶液(6)を添加してヒドロゲルスラリーを調製し、ついで80℃にて2時間熟成した。
熟成したヒドロゲルを濾過し、充分な温水を掛けて洗浄し、120℃で噴霧乾燥を行い、ついで、550℃で1時間、大気中にて焼成を行い、複合酸化物粉末(6)を調製した。
【0083】
ついで、複合酸化物粉末(6)をマルメライザー機で適宜水滴を滴下しながら3mmφ球状
に造粒し、この造粒品を120℃で8時間乾燥後、550℃で2時間焼成して複合酸化物担体(6)を調製した。担体の細孔径6nm以上の細孔容積は0.062ml/gであった

【0084】
ついで、この担体(6)を用いた以外は実施例1と同様にして一酸化炭素除去用触媒(6)を調製した。
得られた一酸化炭素除去用触媒(6)の組成、比表面積、細孔容積および活性金属成分分
布を測定し、結果を表に示した。
部分酸化反応試験
実施例1と同様にして部分酸化反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。メタネーション反応試験
一酸化炭素除去用触媒(6)30mlを内径20mm、長さ200mmのステンレス製反
応管に充填し、触媒層温度400℃で100%水素を180cc/minの流速で供給しながら、1.5時間還元処理を行い、ついで、触媒層温度を140℃の反応温度にした後、反応用混合ガス(一酸化炭素0.6Vol%、二酸化炭素20.0Vol%、メタン2.0Vol%、水素51.37Vol%、水蒸気33.3Vol%)をSV=10、000h-1となるように流通させ、約1時間後の定常状態での生成ガスをガスクロマトグラフィーおよび赤外分光型ガス濃度計で分析し、反応管出口CO濃度およびCH濃度を測定した結果を表に示した。
[実施例7]
一酸化炭素除去用触媒(7)の調製
実施例6において、硝酸パラジウムの代わりに硝酸レニウム(関東化学薬品製:濃度Reとして38.8重量%)を用いた以外は同様にして含浸溶液(7)を調製した。ついで、含浸溶液(7)を用いた以外は同様にして一酸化炭素除去用触媒(7)を調製した。
得られた一酸化炭素除去用触媒(7)の組成、比表面積、細孔容積および活性金属成分分布
を測定し、結果を表に示した。
部分酸化反応試験
実施例1と同様にして部分酸化反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。メタネーション反応試験
実施例6と同様にしてメタネーション反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。
[実施例8]
アルミナ粉末(触媒化成工業(株)製:ρアルミナ)に水を加え、ニーダーで混合した
後、押し出し成型機(穴の形状が三つ葉型のダイス)で柱状に成型した。この成型品を120℃で8時間乾燥後、550℃で2時間焼成してアルミナ担体(8)を得た。担体の細孔
径6nm以上の細孔容積は0.068ml/gであった。
【0085】
ついで、この担体(8)を用いた以外は実施例1と同様にして一酸化炭素除去用触媒(8)を調製した。
得られた一酸化炭素除去用触媒(8)の組成、比表面積、細孔容積および活性金属成分分
布を測定し、結果を表に示した。
部分酸化反応試験
実施例1と同様にして部分酸化反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。メタネーション反応試験
実施例6と同様にしてメタネーション反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。
[比較例1]
一酸化炭素除去用触媒(R1)の調製
実施例1おいて、アルミナ担体(R1)(触媒化成工業(株)製:製品名;3mmφ、結晶
型;γ―アルミナ、細孔容積0.150ml/g)を用いた以外は同様にして一酸化炭素除去用触媒(R1)を調製した。なお、アルミナ担体(R1)の細孔分布を図3に示した。
【0086】
得られた一酸化炭素除去用触媒(R1)の組成、比表面積、細孔容積および活性金属成分分布を測定し、結果を表に示した。なお、活性成分金属分布図を図4に示した。
部分酸化反応試験
実施例1と同様にして部分酸化反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示した。メタネーション反応試験
実施例6と同様にしてメタネーション反応を行い、CO濃度およびCH濃度を表に示
した。
[比較例2]
一酸化炭素除去用触媒(R2)の調製
アルミナ担体(R2)(アルミナ担体(1)を1200℃で5時間焼成した担体。3mmφ球
状、α-アルミナ、細孔容積実質的に0ml/g)250gを採取し、500mlの含浸
液注入口付き含浸瓶にいれた。
【0087】
別途、硝酸ルテニウムおよび硝酸パラジウムを金属重量比でRu:Pd=1:0.02となり、合計金属濃度が2.0重量%となるように純水98.0に溶解し、含浸溶液(R2)を調製した。
【0088】
この含浸溶液(R2)の1/3を含浸瓶に入れ、アルミナ担体(R2)に常温で吸収させ、1時間静置した後、取り出し、120℃にて8時間乾燥した。同様の操作をさらに2回繰り返した後、400℃で1時間、大気中にて焼成して一酸化炭素除去用触媒(R2)を調製した。なお、アルミナ担体(R2)の細孔分布を図5に示した。
【0089】
得られた一酸化炭素除去用触媒(R2)の組成、比表面積、細孔容積および活性金属成分分布を測定し、結果を表に示した。なお、活性成分金属分布図を図6に示した。
部分酸化反応試験
実施例1と同様にして部分酸化反応を行い、CO濃度およびCH4濃度を表に示した。
メタネーション反応試験
実施例6と同様にしてメタネーション反応を行い、CO濃度およびCH4濃度を表に示
した。
【0090】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施例1で得られたアルミナ担体(1)の細孔分布を示す。
【図2】実施例1で得られた一酸化炭素除去用触媒(1)中の活性成分金属分布図を図2−2に示した。なお、図2−1は担体成分の分布を示す。
【図3】比較例1のアルミナ担体の細孔分布(γアルミナ)を示す。
【図4】比較例1の活性成分金属分布図を示す。
【図5】比較例2のアルミナ担体の細孔分布(αアルミナ)を示す。
【図6】比較例2の活性成分金属分布図(αアルミナ)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物担体に活性成分金属が担持された一酸化炭素除去用触媒であって、
触媒の基本的形状が球状または柱状(ペレット状)で、直径が0.5〜10mmの範囲にある球状担体、
または直径が0.5〜10mmの範囲にあり、長さが0.5〜30mmの範囲にある柱状担体に、
活性成分金属の80重量%以上が外表面から深さ方向に半径の50%以内に担持されており、かつ外表面から深さ方向に半径の10%以内の活性成分金属の割合が活性成分金属の80重量%以下であることを特徴とする一酸化炭素除去用触媒。
【請求項2】
触媒の細孔径が6nm以上の細孔容積が0.02〜0.13ml/gの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素除去用触媒。
【請求項3】
前記金属酸化物担体がNiO、CoO、CeO2、ZrO2、Al23、SiO2、Ti
2、BaO、MgOから選ばれる1種以上の酸化物、または複合酸化物であることを特
徴とする請求項1または2に記載の一酸化炭素除去用触媒。
【請求項4】
前記活性成分金属がRuを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の一酸
化炭素除去用触媒。
【請求項5】
前記活性成分金属がさらにRu化合物以外の金属を含むことを特徴とする請求項1〜4
のいずれかに記載の一酸化炭素除去用触媒。
【請求項6】
触媒中のRuとRu以外の金属の担持量が0.5〜15重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の一酸化炭素除去用触媒。
【請求項7】
前記Ru以外の金属が4B族、6A族、7A族および8族から選ばれる1種以上の金属
であることを特徴とする請求項項1〜6のいずれかに記載の一酸化炭素除去用触媒。
【請求項8】
前記4B族の金属がSnであり、6A族の金属がMo、Wであり、7A族の金属がReであり、8族の金属がPt、Pd、Rh、NiおよびCoであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の一酸化炭素除去用触媒。
【請求項9】
基本的形状が球状または柱状(ペレット状)であって、直径が0.5〜10mmの範囲にある球状担体または直径が0.5〜10mmの範囲にあり、長さが0.5〜30mmの範囲にある金属酸化物担体に活性成分用金属塩を吸収させ、ついで乾燥し、還元処理することを特徴とする一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
【請求項10】
前記金属酸化物担体の6nm以上の細孔容積が0.02〜0.13ml/gの範囲にあることを特徴とする請求項9に記載の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
【請求項11】
前記乾燥工程の後、洗浄および乾燥することを特徴とする請求項9または10に記載の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
【請求項12】
前記金属酸化物担体がNiO、CoO、CeO2、ZrO2、Al23、SiO2、Ti
2、BaO、MgOから選ばれる1種以上の酸化物、または複合酸化物であることを特
徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
【請求項13】
前記活性成分用金属塩がRu化合物を含むことを特徴とする請求項9〜12のいずれか
に記載の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
【請求項14】
前記活性成分用金属塩がさらにRu化合物以外の化合物を含むことを特徴とする請求項
9〜13のいずれかに記載の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
【請求項15】
得られる触媒中のRuとRu以外の金属の担持量が触媒中に0.5〜15重量%の範囲にあることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
【請求項16】
前記Ru以外の金属が4B族、6A族、7A族および8族から選ばれる1種または2種
以上の金属であることを特徴とする請求項項9〜15のいずれかに記載の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。
【請求項17】
前記4B族の金属がSnであり、6A族の金属がMo、Wであり、7A族の金属がReであり、8族の金属がPt、Pd、Rh、NiおよびCoであることを特徴とする請求項9〜16のいずれかに記載の一酸化炭素除去用触媒の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−155181(P2008−155181A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350042(P2006−350042)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000190024)触媒化成工業株式会社 (458)
【Fターム(参考)】