説明

一酸化窒素送達用局所皮膚送達装置

【解決課題】一酸化窒素(NO)を哺乳動物の治療部位へ局所送達する局所皮膚送達装置(例えばパッチ)を提供する。
【解決手段】治療部位に配置する局所一酸化窒素送達装置は一酸化窒素放出流体と(一酸化窒素放出流体は少なくとも部分的に液体である)、前記一酸化窒素放出流体を保持するリザーバと、前記治療部位に付着して前記治療部位へ一酸化窒素を効率的に輸送するために界面部分に適合された一酸化窒素透過性層とを含む。前記一酸化窒素透過性層が幾何学的に柔軟性であり、前記一酸化窒素透過性層と前記治療部分との間の界面部分の損失が実質的に回避され、これにより、前記リザーバから前記治療部位へ望ましくない種の輸送を回避して、前記リザーバから前記治療部位へ、前記装置の物理的変形下でも、所望の調節可能で一定の一酸化窒素の送達を提供するように前記装置を適合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、物質、化合物または薬剤を対象に局所送達するための不透過性局所送達装置の分野に関する。さらに詳細には、本発明は一酸化窒素(NO)を哺乳動物の部位に局所送達するための、例えば前記部位での治療または美容整形術のための局所皮膚送達装置、例えばパッチに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの疾患の局所治療のために様々な化合物および送達装置が知られている。
【0003】
本明細書においてあらゆる目的のために全体が参照により援用される、局所一酸化窒素送達システム、および様々な疾患状態を緩和または軽減するためのこれらの使用に関する、本出願と同じ出願者の国際公開公報第WO2006/084909号、国際公開公報第WO2006/100155号、国際公開公報第WO2006/084910号、または国際公開公報第WO2006/100154号において、NO送達に関与する膜システムを有する装置が開示されている。しかし、開示された装置の性能は、例えば局所送達システムの性能に関してさらに改善することができる。
【0004】
加えて、このような装置を貯蔵することが望ましいならば、貯蔵中にNOが早期に放出されないことを確実にするために、例えば無水状態、無酸素状態および暗所貯蔵を確実にすることなどによる特別な手段が必要である。多くの物質は通常、NOドナーからの早期NO放出を開始させるためにそれ自身が十分な水分を含む。したがって、このような装置の貯蔵期間は非常に限定される。
【0005】
さらなる問題は、所定量のNO送達を可能にするが、標的部位でのさらに効果的な移動を伴う改善されたパッチを有することが望ましいことである。これは、例えばNOの非常に短い半減期に対抗するために興味深い。
【0006】
さらに、パッチのあらゆる部分でのさらに効率的な表面放出が望ましい。
【0007】
不安定な薬物の長い貯蔵寿命を保証し、薬物の活性混合物を保持するための区画を含むパッチが、国際公開公報第WO2006/073520号に開示されている。活性薬物の送達により、流体をリザーバに注入して、層に浸透することができる溶液を皮膚へと向かわせることができる。しかし、開示されている装置はNOの送達には適さない。その理由は、NOが活性物質であり、反応するまでの期間が非常に短いため、すなわちNOはその活性な治療期に制限時間があるためである。したがって、国際公開公報第WO2006/073520号に開示されているような活性化薬物を、この活性薬物が放出されるまで長期貯蔵することは不可能である。さらに、開示されている装置は気体状の活性化合物の送達には適さないようである。
【0008】
R.Tawashiによる米国特許第5648101号において、数種のNO放出送達システムが開示されている。NOは、可溶性塩と亜硝酸塩との間の化学反応プロセスにおいて放出される。化学プロセスを活性化するために必要な可溶性塩の量は、米国特許第5648101号によると、50から100マイクロリットルの範囲である。この量のために一般集団に投与するのは面倒になる。米国特許第5648101号は治療される皮膚標的部分の接触寸法について何も開示していない。
【0009】
要するに、治療のためにNOを生じる既知の化合物を適用することは今まで非実際的に複雑で、時間がかかるものであった。加えて、NOを生じるシステムの多くは、タトエハ゛湿気、酸素、および光に対して非常に敏感であり、特別な条件下で貯蔵しなければならない。このことにより、有利な産業上の利用可能性を可能にする貯蔵寿命を有する製品中にNOドナーを組み入れることは非常に困難になる。
【0010】
さらに、既知の装置は、NOドナーからのNOの局所または経皮送達に関して多くの欠点を示す。実際、NOを対象に局所投与することは困難であり得る。その理由は、例えば対象の動作による機械的影響のためにNOの送達が不十分または無効になるからである。さらに、例えば装置に対する圧力による活性化は、皮膚の柔軟性のために達成が困難であり得る。
【0011】
したがって、NOの局所適用のための改善されたシステムまたは装置が有利であり、特に、例えば増大した柔軟性、費用効果、一酸化窒素貯蔵および/または治療部位への移動の効率、貯蔵期間、使用の利便性、患者に対する適合性、治療効率、および/または患者の安全性の1つ以上を可能にする局所経皮送達システムが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開公報第WO2006/084909号
【特許文献2】国際公開公報第WO2006/100155号
【特許文献3】国際公開公報第WO2006/084910号
【特許文献4】国際公開公報第WO2006/100154号
【特許文献5】国際公開公報第WO2006/073520号
【特許文献6】米国特許第5648101号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の実施形態は、好ましくは添付の特許請求の範囲にしたがって、局所皮膚一酸化窒素送達装置、キット、製造方法、治療方法、および有利な治療を可能にする美容整形方法を提供することにより、当該分野における1つ以上の欠陥、欠点または課題、例えば前記のもの単独またはいずれかの組み合わせを緩和、軽減または除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のいくつかの実施形態にしたがって、NOを治療部位に向けて溶出させる局所装置を提供する。本発明のいくつかの実施形態によると、装置中の吸収物質はNOドナー化合物を含み、装置から望ましくない成分または望ましくない種の漏出が起こるのを確実に最小にする。
【0015】
本発明の第1の態様にしたがって、請求項1に記載の局所一酸化窒素送達装置を提供する。
【0016】
本発明の第2の態様にしたがって、本発明の第1の態様の局所一酸化窒素送達装置を含むキットを提供する。このキットは、一酸化窒素ドナー化合物および活性化流体用の別個の容器をさらに含み、前記一酸化窒素ドナー化合物および前記活性化流体は取り外し可能なシールで互いに分離されているため、前記一酸化窒素ドナー化合物および前記活性化流体は、その使用に際して前記装置に移される前に混合可能である。
【0017】
本発明の別の態様にしたがって、医薬の製造における一酸化窒素の使用を提供する。
【0018】
本発明の別の態様にしたがって、一酸化窒素の局所送達方法を提供する。この方法は、本発明の第1の態様の一酸化窒素送達装置において、一酸化窒素ドナーシステムからの一酸化窒素放出を活性化することと、活性化した一酸化窒素送達装置を身体の皮膚部分と接触させて配置し、この送達装置の一酸化窒素透過性層が前記皮膚部分に向けることと、一酸化窒素を前記一酸化窒素送達装置から前記皮膚部分へと前記一酸化窒素透過性層を通して局所的に送達することとを含み、ここで前記一酸化窒素透過性層の透過性は、前記一酸化窒素ドナーシステムの毒性レベルに応じて選択的に選択される。
【0019】
本発明のさらに別の態様にしたがって、治療方法を提供し、この方法は本発明の前記態様にしたがって一酸化窒素を治療部位、例えば末梢神経障害、糖尿病性潰瘍、創傷、皮膚感染、カビによる皮膚攻撃、例えば爪甲真菌症、混合皮膚感染、および/またはウィルス攻撃、例えばいぼの部位に送達することを含む。
【0020】
本発明のさらなる態様にしたがって、化粧方法を提供する。この化粧方法は、本発明の前記態様にしたがって一酸化窒素を美容整形部位、例えば前記一酸化窒素により軽減される瘢痕部位、または前記一酸化窒素により隆起されるたるんだ皮膚もしくはシワ部位に送達することを含む。
【0021】
本発明の第2の態様およびそれに続く態様の特徴は、必要な変更を加えれば第1の態様と同様である。
【0022】
本発明のさらなる実施形態は従属請求項において定義される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、患者に優しくて便利な、皮膚部分への一酸化窒素の送達を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態において、局所送達装置と治療される隣接する皮膚部分との間の間隙を除去することができ、このようにして装置から皮膚へのNO輸送の効率を改善することができる。いくつかの実施形態において、これは、特定の層構造を有する局所送達装置、例えばパッチを改善することにより得られる。従来よりも効率的な治療部分を有する、改善された局所送達装置をこのようにして提供する。このように、送達されるNO量を効率的に維持すること、または表面積あたりの送達可能な活性NOの量を改善することがもたらされる。
【0025】
いくつかの実施形態は、比較的大きな従来型局所送達装置よりも小さな治療部分を含み得る。
【0026】
実施形態において、病気の非全身性局所治療のために局所皮膚送達装置を提供する。
【0027】
実施形態において、活性な送達システムの支援がない局所皮膚送達装置を提供する。
【0028】
「含む/含んでいる」という用語は、本明細書において用いられる場合、記載された特徴、整数、工程または成分の存在を指定すると解釈されるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、成分またはこれらの群の存在または追加を排除するものではないことが強調される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明のどの実施形態が可能であるかのこれらおよび他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の記載から明らかであり、説明される。
【図1】多層構造を有する局所パッチの概略図である。
【図2A】様々なNO透過性層を有するパッチの実施形態の断面図である。
【図2B】様々なNO透過性層を有するパッチの実施形態の断面図である。
【図2C】様々なNO透過性層を有するパッチの実施形態の断面図である。
【図2D】様々なNO透過性層を有するパッチの実施形態の断面図である。
【図3A】NO不透過性バッキング層の様々な配置を有するさらに別のパッチの実施形態の断面図である。
【図3B】NO不透過性バッキング層の様々な配置を有するさらに別のパッチの実施形態の断面図である。
【図3C】NO不透過性バッキング層の様々な配置を有するさらに別のパッチの実施形態の断面図である。
【図4A】活性化の間に流体がパッチ内部に進入することを可能にする、密閉可能なバッキングを有するパッチの斜視図である。
【図4B】図4Aに示すパッチの断面図である。
【図5】多層構造を有する局所パッチの概略図である。
【図6A】パッチシステム内部への進入口を有するパッチの斜視図である。
【図6B】図6Aに示すパッチの断面図である。
【図7A】使用中にパッチシステム成分の交換を可能にする、再密閉可能なバッキングを有するパッチの斜視図である。
【図7B】図7Aに示すパッチ、ならびにパッチシステムの交換成分を含むさらに別のパッチシステム成分の断面図である。
【図8】破壊可能なレセプタクル中にNOドナー成分および活性化流体を含むパッチシステム成分の概略図である。
【図9】多重区画配置中にNOドナー成分および活性化剤を含むパッチシステム成分の概略図である。
【図10】NOドナー成分および活性化剤をボトルの多重区画配置中に含むパッチシステム成分の概略図である。
【図11A】NOドナー成分および放出活性化流体を混合する前の、図9のパッチおよびパッチシステム成分を含むパッチシステムの斜視図である。
【図11B】NOドナー成分および放出活性化流体を混合し、パッチに活性化混合物を充填した後の、図11Aのパッチシステムの斜視図である。
【図12A】NOドナー成分および活性化剤を多重区画配置中に含む、さらに別のパッチシステムの斜視図である。
【図12B】図12Aにおいて示される線A−Aに沿ったパッチシステムの断面図である。
【図13】NOドナー成分および活性化剤を破壊可能な多重区画配置中に含む、さらに別のパッチシステムの斜視図である。
【図14】多重区画を有するパッチの斜視図である。
【図15】使用中にパッチが適用される皮膚へ、および皮膚からの流体の通路を有するパッチの斜視図である。
【図16A】パッチの実施形態の分解図である。
【図16B】パッチの斜視図である。
【図17A】パッチの製造手順の実施形態を示すフロー図である。
【図17B】パッチの製造手順の実施形態を示すフロー図である。
【図18】様々な圧力を加えて、パッチの流体保持が実質的に維持されることを示すグラフである。
【図19】様々なパッチのNO移動効率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の特定の実施形態を添付の図面を参照して説明する。しかし、本発明は多くの様々な形態で具体化でき、本明細書において記載した実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、本開示が徹底的かつ完全になるよう、そして本発明の範囲を当業者に十分に伝えるためにこれらの実施形態を提供する。添付の図面において説明される実施形態の詳細な記載において用いられる専門用語は、本発明を制限することを意図しない。図中、類似の番号は類似の要素をさす。
【0031】
以下の記載は、局所パッチ、特にNOを放出する局所パッチに適用可能な本発明の実施形態に焦点を合わせる。しかし、本発明はこの用途に限定されず、例えばラップ、包帯などをはじめとする多くの他の送達装置に適用することができると理解されるであろう。
【0032】
局所NO送達システムの基部は、吸収材コアまたはリザーバであり、ここでは、使用される送達システムの活性化により、NOドナーおよび活性化流体の活性混合物が得られる。これにより、装置上にドナーが均一に分散され、ドナーが安定に格納され、治療の間、均一な放出が保証される。
【0033】
NOドナーならびに活性化溶液を両方とも含むNOドナーシステムは、場合によっては皮膚に対して刺激性である可能性があるので、選択的膜を吸収材コアと皮膚との間に配置することができる。皮膚刺激性は患者にとって不都合であり、克服すべきである。これは例えば刺激性の望ましくない種が皮膚と接触するのを回避することにより行われる。
【0034】
いくつかの実施形態のNO送達システム成分、例えばNO透過性膜の機械的特性は、これらが柔軟性であり、したがって皮膚表面に適合して、良好な接触を確実にできることである。
【0035】
NO放出膜材料は、NOについて選択的に透過性であり、NOは皮膚への透過が可能であり、一方、望ましくない成分または望ましくない種の膜の通過は最小限に抑えられる。
【0036】
NO放出を治療部位へ向けるために、不透過性材料の上部カバー。この上部カバーはまた、気体状態におけるNOの分圧が増加するので、流体中のNO濃度を増加させる。
【0037】
図1において示されるように、局所パッチ1の実施形態は、治療される部分に向けられたパッチを利用するNO透過性層300、例えば膜と、NO不透過性層100、すなわちNOについて実質的に透過性でない層、例えば好適な不透過性膜またはフィルムとをバッキングとして含む層状構造を有する。これらの2つの層の間には、吸収またはリザーバ層200が設けられ、吸収コアとも呼ばれる。この吸収コアは、漏れを最小限に抑え、NOドナーのリザーバを提供するために流体保持システムの形態で提供することができる。
【0038】
さらに以下で、NO透過性層300、吸収層200、およびNO不透過性層100のそれぞれに関して多くの実施形態を記載する。さらに、これらの層に隣接して配置された追加の層をいくつかの実施形態に関連して記載する。
【0039】
吸収コアで提供されたNOドナーから、またはさらに具体的にはNOドナー化合物からのNOの放出または溶出を活性化する場合、放出されたNOはパッチ1内で拡散する。好適なNO化合物のいくつかの実施形態をさらに以下で記載する。NOは気体形態で提供することができるか、または液体中に溶解させることができる。拡散の方向は最低拡散抵抗の原理により制御される、すなわち拡散は最も妨害が少ない方向で起こるので、NOは実質的にNO透過性層300を通って漏出するだけである。NO透過性層300は例えば気体状NOまたは溶解したNOについて選択的に透過性である膜である。したがって、パッチの使用において、パッチの内部で放出されたNOは、NO透過性膜を通ってパッチ使用者の皮膚へと向けられる。NO放出は治療部位を効果的に目標とする。
【0040】
NO不透過性層100
加えて、NO不透過性層100は、患者から離れた方向に向けて、すなわちパッチの外面上に配置されて使用される間に、放出されたNOを皮膚に向かわせるだけでなく、パッチ内部のNOの分圧を増加させ、したがってその中に溶解したNOの濃度を増加させるのに寄与する。バッキング層としての働きをするNO不透過性層100、例えばNOについて不透過性である膜は、パッチ中でNOが生成される間の濃度の損失を制限するように配置および構成されており、少なくともNO放出の初期段階中にNO濃度または分圧を増加させる。このような方法で、バッキング層は例えばパッチ内の溶解したNO量を確実に増加させることができる。
【0041】
NO不透過性層100は使用時に液体がパッチから漏出するのを防止し、これは血液または創傷からの浸出液をはじめとする体液がNO不透過性層100を通って漏出するのを有効に防止することを含み得る。
【0042】
バッキング層100はバリア材料または層、例えば金属化ポリマーフィルム、または金属フィルム、例えばアルミニウムフィルムで作ることができる。
【0043】
加えて、バッキング層100は流入口、例えばパッチの内部に進入するためのルアーロックポートを含み得る。
【0044】
吸収層200
吸収層200、すなわち吸収コアは、パッチの使用中に複数の機能を有し、例えば図16に関して記載されるようなNOドナーと一体化させるか、またはNOドナーを含むことができる。NOドナーは流体で活性化するための不活性段階における吸収層中に含まれる。
【0045】
層200は、パッチの使用において一酸化窒素放出流体を貯蔵し、保持するように配置される。さらに、これはまたNOドナー化合物と相互作用して、パッチからのドナーの移動が最小であることを保証する。NO放出後にNOドナーが沈殿する場合、吸収材はこのような可能な残留物を効率的に捕捉し、封入する。吸収材システムのもう一つ別の有益な特性は、NOドナーが活性化システムと継続して接触することを保証し、したがって連続したNO放出を保証することである。流体は、少なくとも部分的にゲルまたは液体部分をはじめとする非固体を含み、これらは実質的に圧縮不可能であるという共通点を有し、これはいくつかの実施形態の有利な効果に貢献する。例えば一酸化窒素透過性層と治療部分との間の前記界面部分の損失が局所送達装置の使用において実質的に回避される。
【0046】
一つの実施形態において、吸収材コアは吸収システムの形態、例えば超吸収性ポリマー、例えば超吸収性粉末(SAP)および/または超吸収性繊維(SAF)または同等のゲル化物質であって、流体を吸収し、保持するものにより得られるゲルベースのシステムの形態で提供される。例えばウィッキング、機械的強度などを提供するための当業者に公知の他の物質とともに、吸収成分を組み込むことができる。パッチの貯蔵寿命を向上させるために、NOドナー化合物を使用前にNO放出に関して活性化しない。このことは、NOドナー化合物が不活性形態で配置されている場合でさえも、前記ゲルベースのシステムは貯蔵中に活性化されることを意味する。パッチ内で、使用前にNOドナー化合物を長期貯蔵の間ゲル形態で維持することはできない。従来技術にしたがってゲルならびに様々なリザーバ中で薬物を提供する場合、これは薬物を安定な形態で封入することに焦点を合わせたリザーバ中で薬物を恒久的に貯蔵するために行われる。このことは、パッチの使用に際したNO放出の必要とされる目的の活性化とは対照的である。本出願のリザーバは、実際のNO放出の間、ならびに活性化流体およびドナーの両方を流体段階中にこれらの物質を封入するリザーバ中に保存し、捕捉する場合に機能する。流体段階は、超吸収性ポリマーSAP/SAFまたはその限度内で流体を封入する同等のゲル化物質により得られるゲル構造であってよい。
【0047】
吸収コア中に保持されることは、例えば曲げ、不均一な加圧、傾斜などの物理的変形時でさえも安定なNO放出を保証する。流体封入リザーバ上に点圧力を加える場合、流体は圧力が加えられた場所から離れて移動しようとし、吸収材における保持力は、相反する力として作用し、少なくとも若干の流体をこの部分中に維持する。吸収コアなしで、流体で満たされたリザーバ上に圧力を加える場合、保持されている流体は0%である。流体で満たされた吸収材コア上に圧力を加える場合は、圧力が加えられると流体のほとんどは保持される。どれくらい保持されるかは、圧力に依存する。図18に示されるような一例において、0〜40g/cmの圧力が吸収材に加えられる場合、流体の90%超が維持され、40〜65g/cmの圧力については流体の80%超が保持される。
【0048】
前記特徴は、吸収材中の流体の分布を保証し、したがって装置を曲げ、不均一な加圧、傾斜などの環境ストレスにさらした場合でさえも、流体と一酸化窒素透過性層との間に高い界面活性面積をもたらす。
【0049】
治療される部分に対してNO透過性である膜と吸収コアが良好に接触している、すなわち、高い界面活性面積を有する場合にパッチからの有利なNO輸送が得られる。このようにして、治療部位への良好なNO輸送が保証される。これを得るための一方法は、吸収材をほぼ完全に濡らして、システム中に捕捉された流体が膜と密に接触するようにすることである。完全に濡らすことは、吸収材システムおよび/またはNOドナーシステムに依存して達成され、その60%を越える流体含量の割合で、例えば80%超、または90%超の割合で達成することができる。これらの率は、無膨張状態で測定したものをさす。もう一つの方法は、膜を吸収材上に接着することである。
【0050】
吸収材コアに基づく前記NOリザーバシステムは、パッチからのNO放出が治療全体にわたって維持され、活性化流体およびNOドナーの両方がパッチ内に安全に封入されることを保証する。
【0051】
パッチ中での有利なNO生成およびゲルの使用の結果、NOが液体段階で生じ、治療部位へ拡散するまでこの段階で維持されることを保証する。さらに、有毒である可能性があるNOドナー化合物自体をパッチ中に封入して保持し、したがってNOドナーが皮膚と接触するのを回避する。加えて、特定の場合のNOドナーがNO放出後または放出中にパッチ内に沈殿する場合、沈殿物の残留物は捕捉され、皮膚と接触することができない。
【0052】
出願者等は、局所パッチの効率が、気体状NOと比較して溶解したNOで増加することを見いだした。バッキングはパッチ内部でのNO分圧増加に寄与し、したがって、その内部に溶解したNOの濃度を増加させるが、これは気体状NOよりも効果的である。活性化前のNOドナーの分布も、局所的過飽和を最小限に抑え、これによりNOガス形成を最小限に抑えることにより、高いNO濃度の可能性を増加させる。さらに、パッチからのNO放出は、NO透過性膜と接触した流体に応じて、その流体含量の60%超、例えば80%超、または90%超の吸収材コアの流体含有物の関連で最も有効である。
【0053】
例えば米国特許第2004/0009238号に記載されているような純粋ガス治療は、送達ガス中、非常に高いNO濃度、例えば200ppm以上のNO濃度を必要とする。このような高い濃度は、例えば間違って吸入すると、使用者に危険であり得る。
【0054】
他の好適なリザーバシステムを、すなわちマトリックス物質の吸収材コアだけでない、いくつかの実施形態に関して提供することができる。あるいは、流体、粘稠流体またはゲルもいくつかの実施形態において提供することができる。
【0055】
NOドナーシステム
パッチ中でNOを生成するためのNOドナーシステムのいくつかの実施形態は、O−ニトロシル化基、例えばジアゼニウムジオラート基、S−ニトロシル化基およびO−ニトロシル化基、またはこれらの任意の組み合わせを含むポリマーを含む化合物ベースであり得る。
【0056】
一酸化窒素(NO)を溶出するポリマーは、ジアゼニウムジオラート基、S−ニトロシル化基、およびO−ニトロシル化基、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0057】
パッチ中でNOを生成するためのNOドナーシステムのいくつかの実施形態は、NONOateベースである。
【0058】
ある実施形態は、NO送達のための亜硝酸塩/酸システムに関して提供され得る。
【0059】
活性化流体はプロトンドナーを含み、制限なく、液体、例えば水、生理的緩衝液、および生理食塩水を含む。活性化流体は、局所送達用のNO送達装置1中で、前記化合物などの一酸化窒素ドナーからの一酸化窒素の放出を活性化する。
【0060】
NO透過性層300
治療される部分に向けたパッチの使用において、NO透過性層300は、NOに適合する材料、例えば膜を含み、NO、例えば溶解しているかまたは気体状NOの、パッチから皮膚への拡散を調節するように工夫されている。したがって、NO透過性層300は、パッチから使用者の皮膚へのNO透過率を調節するような構造である。
【0061】
さらに、パッチ中のNO生成システムに応じて膜を選択することができる。例えば、NO生成システムは、毒性、刺激性、もしくは非毒性であるNOドナー化合物または分解生成物を含み得る。NO透過性層300をこのレベルの皮膚適合性に応じて選択することができる。すなわち、様々な膜が好適であり得る。このようにして、患者の快適性を維持しつつ、費用効果の高い方法でパッチを提供することができる。
【0062】
NO透過性層300を越えて良好な連通、例えば従来のろ過が許容される場合、例えばNO生成システムが非毒性である場合、NO透過性層300は、流体の流れを許容するが、より大きい粒子を保持する不織または多孔性物質の膜の形態で作製することができる。この場合、NO生成システムから放出されたNOを、流体中に溶解した状態で膜を越えて皮膚へと輸送することができる。
【0063】
NO透過性層300を超えて許容される媒体連通の場合、例えばNO生成システムが刺激性である場合、および活性化流体が水である場合、高水蒸気伝達率(MVTR)物質、例えば微孔性膜、または例えば部分的に親水性のブロックコポリマー膜から構成される親水性膜をいくつかの実施形態において提供することができる。このような膜は、溶解したNOおよび他の非毒性非刺激性低分子量物質を包含する活性化流体の膜を超えた輸送を許容するが、より大きな分子、例えばNO生成システムは保持する。
【0064】
NO透過性層300を越えて低度の連通が許容される場合、例えばNO生成システムの毒性が中程度ある場合、中程度ないし大きな成分がNO透過性層300を越えて移動することを妨害する必要がある。流体が水である場合、NOおよび水の輸送を許容し、一方、有毒かつ刺激性の物質の輸送を防止するために中/低MVTR物質を選択することができる。
【0065】
NO透過性層300を越えた連通が許容されない場合、例えばNO生成システムが有毒である場合、パッチシステムの内部をNO生成システムに関して皮膚から完全に分離する必要がある。例えば寸法選択性機構を機能させ、膜を超えた液体連通を許容しないなど、NO輸送に対して高度に選択的であるように、NO透過性層の物質を選択する。
液体輸送は膜により完全に防止される。流体が水である場合、膜を越えた水の輸送を妨害するために、疎水性である少なくとも1つの層を膜中に提供する。この場合、NOは水中に溶解した状態で疎水性層まで輸送される。水を保留する疎水性層から、NOは水から疎水性層を通って皮膚へと向かって拡散する。
【0066】
好適な膜NO適合性材料は、流体または水の透過を選択的に提供するか否かについての構造および材料に応じて、シリコーン、コポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリアミド、EVA、PTFE、ならびに使用するために十分な透過性を有するPURである。膜の透過性は、NOまたはNO反応生成物の接触で低下しない。
【0067】
これまでの膜は、NOよりも大きい分子量で構成される物質に関して透過性であった。NO透過性層300は一酸化窒素分子に関して選択的に透過性であるような構造である。このようにして、NO透過性層300は、望ましくないNOドナー化合物成分がNOの輸送中にNO透過性層300を介して輸送されることを防止する有効な保護バリアを提供する。
【0068】
したがって、NO透過性層300は、パッチからのNO放出を調節するだけでなく、例えば非毒性または非刺激性である場合に、許容された場合はNOドナー化合物またはこれらの成分が皮膚と接触するだけであることを保証する。Benjamin等の米国特許第2005142218号は、皮膚と酸性化剤との直接接触を防止しながら、非気体状硝酸イオンの拡散を許容する膜からなるバリアを開示している。米国特許第2005142218号で開示されている膜は、したがって薬理学上許容される酸性化剤および薬理学上許容される亜硝酸イオン源または亜硝酸前駆体を含む。膜は、一酸化窒素イオンの通過に対して完全に透過性であってもよいし、あるいは部分的に透過性であってもよく、例えば半透性または選択的透過性であってよい。このような膜は、組成物の皮膚との直接接触を防止することができるが、一酸化窒素の皮膚中への拡散を許容し得る。このことは、米国特許第2005142218号で開示されている膜が、NOについて選択的に透過性でなく、NOドナー化合物またはその成分が皮膚と接触しないように制御しないことを意味する。さらに、NOの皮膚部位への直接的、効果的な適用は開示されていない。さらに、パッチ中への流体の進入は提供されていない。
【0069】
NO透過性層300、例えば膜の実施形態のさらなる有益な特性は、NOドナー化合物の膜を通る輸送が最小限に抑えられることである。
【0070】
皮膚接触増進剤
パッチ使用者の皮膚に向いたパッチの使用において、NOに適合性であり、かつNOに対して非分解性であるNO透過性層300は、皮膚接触増進層を含み得るか、または隣接する皮膚接触増進層を配置するか、またはその固有の好適な特性により十分な皮膚接触特性をもたらすような接触増進特性を有し得る。
【0071】
皮膚との接触は、接着層、例えばシリコーンゲル層、粘着剤(PSA)、またはヒドロゲル層により増進することができる。皮膚接触増進層は膜と皮膚との間の良好な接触をもたらす。実施形態において、接着層は連続的であり、皮膚の凹凸を埋めるように構成されている。凹凸は、例えば瘢痕組織、体毛などの様々な原因により起こりうる。さらに、皮膚接触増進層は、パッチを皮膚に貼り付けるために十分な接着能を提供する。皮膚の凸凹が埋められるので、一酸化窒素が皮膚中にではなくパッチから漏出するのが防止され、このようにしてパッチがさらに有利になり、NOの送達がより効果的になる。
【0072】
図19に示すように、本出願者等は、良好な接触特性、すなわち100%に近い界面接触を有するNO透過性膜を有するパッチを擬似皮膚膜上に適用する場合、効率的なNO透過が達成されることを見いだした。以後、この効率的な透過とは100%のNO透過を意味する。同じ擬似皮膚膜であるが、ただしパッチを遠ざけ、擬似皮膚膜との接触を最小限に抑えるためにパッチと擬似皮膚膜の間にネットを有する擬似皮膚膜上に、このような同じパッチを適用する場合、もとのNO透過の20%未満が達成される。しかし、ネットを有し、擬似皮膚膜とパッチとの間の距離を埋めるゲルを有し、したがって接触特性が改善された擬似皮膚膜上に同じパッチを適用する場合、もとのNO透過の50%超が達成される。
【0073】
皮膚接触増進層はNOについて透過性であり、NOに対して非分解性でなければならない。パッチの良好な皮膚接触および皮膚接触増進層を通るNOの十分な輸送はどちらも本明細書に記載される実施形態のパッチによりもたらされる。従来は、このような皮膚接触層を通るNO輸送が問題であることは考慮されなかった。患者に優しく、パッチから使用者の皮膚へのNOの有効な放出を提供するために、皮膚増進層はNOについて十分透過性である必要がある。この問題は、皮膚接触層を、NO透過性膜の使用中に皮膚に向けられる側に貼り付けることにより解決できる。さらに以下で、NO透過性層300を通る最適のNO輸送および/または皮膚接触増進に適した物質および他の特性をさらに詳細に記載する。
【0074】
いくつかの実施形態は、持続的療法のために繰り返し使用することができる皮膚接触層を含み、このような実施形態は、ある一定の使用時間後に、使用者の皮膚からパッチを除去せずに新しいものと交換することができる、吸収材交換システムを含む。
【0075】
流体方向付システム
パッチのいくつかの実施形態は、NOドナー化合物を含む流体方向付システムを含み得る。流体方向付システムは、活性化流体を受容し、この活性化流体をNOドナー化合物へと向かわせ、その際に、この活性化流体が吸収材コア中に適用する前にNOドナー化合物を溶解するように配列されている。いくつかの実施形態は、分散システムの形態の流体方向付システムならびに活性化流体を受容するためのパッチとの接続ポイントを含む。例えば、活性化流体を密封されたパッチ中に導入するための1つの注入ポイントを提供する。パッチ中に流体は前述のように吸収される。流体方向付システムを、例えば図16に示すような吸収材層中に組み入れることができる。加えて流体方向付システムを提供して、実施形態の構造特性を強化することができる。例えば、流体の方向付のために長手方向のスリット164を設けて、パッチの柔軟性を改善することができる。
【0076】
パッチの貯蔵
いくつかの実施形態において、パッチシステム、または少なくともそのNOドナー化合物の安全な長期貯蔵を保証するための問題を、異なる成分を個別貯蔵することにより解決する。感受性NOドナー化合物を装置内または装置から分離された別個の区画中で貯蔵することにより、必要なパラメータが確実に満たされる。NOドナーに影響を及ぼし得る環境パラメータは、例えば水分、酸素、および光である。他方で、パッチシステムのいくつかの各成分の分離は、成分の統合を、簡単で使用者に優しくかつ効率的な方法で実施できるような設計に対して高い要求が課される。いくつかの実施形態において、この課題は、再密封可能であるか、または閉鎖可能な開口部、例えばパッチのバッキング中、すなわちパッチのNO不透過性層中に設けられた活性化ウィンドウにより解決される。このような活性化ウィンドウにより、例えばNO放出が減少してしまった場合に、吸収材コアの少なくとも一部の交換が可能になる。これは、皮膚に向いた膜を変えることなく、長期にわたってパッチからのNO放出を持続させ、このことは、パッチを皮膚から取り外す回数が少ないことにより皮膚が受けるストレスが少ないので、好都合である。
【0077】
加えて、いくつかの実施形態にしたがって、例えば流体連通口により、流体は装置中へ進入する。これにより、パッチを長期間、乾燥、無酸素および/または暗所条件下で貯蔵することが可能になり、その際に、適切な流体をこのような流体連通口からパッチ中に導入することにより、パッチからのNO放出が活性化される。
【0078】
いくつかの具体的な実施形態をさらに詳細に説明する。
【0079】
局所パッチ
一酸化窒素を用いた治療または美容整形のための局所パッチシステムを、図2A〜図2D、図3A〜図3C、図4Aおよび図4B、図6Aおよび図6B、図7Aおよび図7B、図11Aおよび図11Bに示すような多くの実施形態において提供する。これらの実施形態の詳細を残りの図面により説明する。
【0080】
図2A〜図2Dは、固定されたバッキング層20および吸収材コアまたはリザーバ22(使用時に治療のためにNOがここから提供される)を有するパッチ2a〜2dの実施形態の断面図である。パッチ2a〜2dはパッチの患者側で様々な配置を有する。パッチ2a、2b、および2cはNO透過性膜層24を含む。パッチ2dはNO透過性ゲル29を含む。パッチ2bは粘着剤(PSA)皮膚接触増進層を含む。パッチ2cは皮膚接触増進層としての働きをするシリコーンゲル層28を含む。パッチ2dはゲル膜29を含む。
【0081】
パッチ層2a〜2dを単に例示目的で別々に示す。集合したパッチ2a〜2dを、有効な局所NO適用機能が得られるような方法で層に密着させて提供する。パッチ2a〜2dは、層を互いに適切に貼り付けるために接着接合部または層(不図示)も含む。例えば、バッキング層20を吸収材コアまたはリザーバ22の周りの膜24に接着させる。バッキング層20も吸収材コアまたはリザーバ22に接着させることができる。
【0082】
パッチ2a〜2dは、貯蔵中に互いに適切に分離されたNOドナー化合物および活性化システムの両方を含む。例えば、NOドナーと活性化流体と接触させるために使用時に破壊されるガラスアンプル中にNOドナー、例えば90%を超える水で飽和させたSAP/SAF吸収材コアを有することによるなど、好適な分離法を、例えば図8、9または12を参照してさらに以下で記載する。
【0083】
図3A〜図3Cはさらなるパッチの実施形態の断面図であり、この図で吸収材コアもしくはリザーバ、またはバッキング層の変形例を示す。NO透過性膜層33を有するパッチ3a〜3cを示す。図3A〜図3Dにおいて破線で示すように、パッチ3a〜3cは追加もしくは代替の皮膚強化層、または組み合わせた皮膚強化層および膜、例えば図2A〜図2Dに示されるもの、例えば透過性ゲル膜なども含み得る。図2A〜図2Dのように、パッチ層3a〜3cを例示のためだけに別々に示す。パッチ3aおよび3bはそれぞれバッキング層31、35を有し、これは吸収材コアまたはリザーバ30へ進入し、ここから使用中にNOが治療のために提供される。パッチ3a〜3cは、吸収材コアまたはリザーバ30中に組み入れられたNOドナー化合物を有してもよい。パッチの内部へ進入できるので、NOドナー化合物からのNO放出を活性化するためにパッチの内部中へ活性化流体を導入することができる。パッチ3aには、不透過性バッキング31中に、吸収材コアまたはリザーバ30を含むパッチ3aの内部中のパウチへの進入口32が設けられている。パッチ3aの内部と進入口32を通る連通がもたらされる。進入口32は、流体のみがパッチに流入し、漏れが回避されることを確実にする好適なユニット、例えば一方向フラップバルブを備えている。吸収材コア中に組み入れられているなど、その中に封入されているNOドナーからのNOの放出を活性化するために、進入口32を通って活性化流体をパッチ3a中に導入することができる。活性化され、あらかじめ調製されたNO放出流体も、進入口32を通ってパッチ3c中に導入し、ここからNOを放出させることができる。パッチ3bはバッキング層35を含み、このバッキング層は吸収材コアまたはリザーバ30へのアクセスを提供する。このようにして、進入口32を通るなど、活性化流体または活性化NO放出流体のいずれかをパッチ3b中に導入できる。流体をパッチ3b中に導入した後に、バッキング層35を密封する。例えば、蓋を閉める前に取り外される剥離ライナの下で、適切な接着剤をバッキング層35のフラップの内部表面上に提供して、蓋を閉めた後にNO不透過性バッキングが提供されるようにする。パッチ3cは、固定バッキング、ならびに分離されたNOドナー化合物および活性化流体のシステムを含み、このシステムは、NOドナー化合物および活性化流体が、例えば中間の不透過性膜を取り除くことによるなどの外部作用により接触できるようになるような配置である。この種類のパッチのさらなる詳細を以下に記載する。
【0084】
図4Aは、閉鎖可能なバッキング層40を有し、使用するためにパッチ4を準備中にパッチ内部への流体の進入を可能にするパッチ4の斜視図である。図4Bは、皮膚上に適用する前のパッチ4の様々な層および成分の配置を示すパッチ4の断面図である。
【0085】
パッチ4の使用前に外部から進入可能である、吸収材コアまたはリザーバ43への進入ウィンドウを設けてもよい。進入ウィンドウは、バッキング層40と同じ材料および特性、すなわちNO不透過性かつ柔軟性の中間層42中に配置されている。使用に際して、NOドナー化合物が吸収材コアまたはリザーバ43中に提供されているか否かによって、活性化流体または活性化NO放出流体のいずれかをパッチ4の内部に導入する。NO放出が前述の方法で開始されると、閉鎖可能なバッキング層を閉鎖する。剥離ライナ41をバッキング層40上に剥離可能に配置し、中間層42に取り付けられたバッキング層40によりウィンドウを接着して閉鎖するために取り外す。このようにして、NO不透過性配置をパッチ4のバッキング側上に提供する。その際に、第2の剥離ライナ46を皮膚接触増進層45から取り外し、パッチ4を皮膚に適用し、その際にNOがパッチ4から皮膚へ提供される。
【0086】
図5は、図4Aの実施形態の多層構造5の概略図である。NO不透過性バッキング蓋50をパッチの最上層上に配置する。剥離ライナ51をバッキング蓋50上に取り外し可能に配置する。ウィンドウ付バッキング52を吸収材層53の上面上に配置し、その下にはNO透過性膜54を配置し、続いて皮膚接触増進層55および剥離ライナ56を配置する。
【0087】
図6Aは、パッチ6の内部との流体連通を可能にする2つの進入口66、67を有するパッチ6の斜視図である。図6Bは、図6Aに示されるパッチの断面図である。バッキング層60はNOについて不透過性であり、NO透過性層62は、パッチ6の患者側上に配置されている。吸収材コアまたはリザーバ64は、進入口66および/または進入口67を通って流体を受容するために、パッチの内部に配置されている。吸収材コアまたはリザーバはエアレイド材料で作製することができる。進入口66、67は、例えばシリンジを都合よく接続するためのルアーロックシステムの形態であってよい。パッチ6中の流体の分布を制御するために、吸収材コアまたはリザーバ64中、またはこれに隣接して流体案内システムを配置することができる。
【0088】
図7Aは、パッチシステムのパッチ7aの斜視図である。図7Bは、パッチ7aならびにパッチシステムの交換成分を含むさらなるパッチシステム成分7bの断面図である。パッチ7aは、繰り返し密開閉可能なバッキングを含み、使用中のパッチシステム成分の交換が可能になる。さらに正確には、凹部75を有するパッチ7aを提供し、この凹部中には図7Bにおいて示すように、交換可能な吸収材コアまたはリザーバ83が取り外し可能に配置されている。NO不透過性バッキング層71は、NO透過性層またはその周りの辺縁部74と結合するためにその辺縁部の周りに気密性が確かな、取り外し可能な接着剤70を含む。さらなる安全確保および患者の快適性および使用者の適合性のために、マジックテープ(登録商標)72、76をパッチ7a上に設ける。パッチシステム成分7bは、その中でNOドナー化合物が交換可能な成分83の形態で提供されているパッケージである。このパッケージは最上層80を含む。最上層80は貯蔵中に気密的に最下層84に取り付けられており、最下層中には交換可能な成分83が設置されている。最上層80および最下層84はどちらもNO不透過性であり、交換可能な成分83中でのNOドナー化合物の長期貯蔵に適合させられ、例えば気密性、真空、および光について不透過性にされている。パッケージング7b上に閉鎖システム82、86が設けられている。交換可能な成分83はパッチ7a中の凹部75中に適合する。パッチ7aに新しいNOドナーを再充填するために、交換可能な成分83をパッチ7a中で新しいものと置換することができる。パッケージング7b中、またはパッチ7a中のいずれかで、流体を交換可能な成分83に添加することにより、NOドナーからのNOの放出を活性化する。次いで、NOについて不透過性となるような方法でバッキングの蓋を再度閉鎖し、パッチ7aは連続使用できる状態になっている。
【0089】
図8は、破壊可能なレセプタクル87中にNOドナー88を含む、密封されたバッグ8の形態のパッチシステム成分の概略図である。外力により、レセプタクル87、例えばガラスバイアルを破壊し、NOドナーをバッグ8中の周囲の活性化流体中に放出させる。このようにして、NOドナーを活性化し、NO放出を開始する。アウトレット89を通って、活性化した流体をパッチ、例えば図4Aまたは図11Aに示すパッチに適用することができる。
【0090】
図9は、多重区画装置9の別の区画中にNOドナー成分92および活性化流体91を含むパッチシステム成分の概略図である。装置9のハウジング90の内部で、区画を例えばこの区画に対する外圧により破壊することができる。NOドナー成分92および活性化流体91をこれらの区画からハウジング90内部の周囲混合チャンバ中に放出させる。装置9を振とうすることにより混合を増進することができる。このようにしてのドナーからのNO放出について活性化された流体を、流出口93を通ってパッチに移すことができる。
【0091】
図10は、ボトル10の多重区画配置中にNOドナー成分103および活性化剤101を含むパッチシステム成分の概略図である。ボトルは2つの区画を互いに対してねじることができるように配置され、この2つの区画間のシールが破れると、NOドナー成分103と活性化剤101がボトル101中で流体接触するようになる。ボトル10を振とうすることにより混合を増進できる。このようにして、NOドナーからのNO放出について活性化された流体を、流出口102を通ってボトルからパッチへと移すことができる。
【0092】
図11Aは、2つの区画115、116からのNOドナー成分および放出活性化流体を混合する前の、図9に示すタイプのパッチ11aおよび多重区画装置11bを含むパッチシステムの斜視図である。流出口117の矢印は、図11Bに示すように、多重区画装置11bをどのようにしてパッチ11aの流入口110と連結させるかを示す。図11Bは、前述のような、多重区画装置11b中でNOドナー成分および放出活性化流体を混合した後の図11Aのパッチシステムの斜視図である。活性化されたNO放出流体を、パッチおよび吸収材コアまたはリザーバ112中に、多重区画装置11bの流出口117およびパッチ11aの流入口110を通って導入し、図中、流れを矢印119により示す。充填中に、図11Aおよび図11Bに概略的に示すバルブ111により、漏れを軽減または回避できる。活性化された流体をパッチ11aに移し、多重区画装置11bを除去し、バルブ111を閉じると、パッチ11aは患者に適用できる状態になる。
【0093】
図12Aは、多重区画配置においてNOドナー成分および活性化剤を含む、さらに別のパッチ12の斜視図である。図12Bは、図12で線A−Aに沿って示されるパッチ12の断面図である。パッチ12は例えばアルミ箔などの不透過性フィルムにより分割された、第1区画122および第2区画123を封入する。第1区画122はNOドナー化合物を封入し、第2区画123は活性化流体を含む。不透過性フィルムに取り付けられたストリップ121を引くことにより、区画間の不透過性フィルムを除去することができる。このようにして、使用者にとって活性化は容易に達成され、パッチ12は適用できる状態になる。
【0094】
図13は、破壊可能な多重区画配置132中でNOドナー成分131および活性化剤130を含むさらに別のパッチ13の斜視図である。外力により中間に配置されたシールを破ることによって、2つの区画を互いに接続させることができる。NO放出流体をこのようにして活性化することができ、この場合、パッチ13も振とうして、2つの成分を激しく混合することができる。剥離ライナを次にパッチ13のNO透過性膜から取り外し、パッチは適用できる状態になる。
【0095】
図14は、様々な区画142a〜dに対応する様々な治療領域にパッチの活性化部分を細分する、多重区画を有するパッチ14の斜視図である。区画142a〜dのそれぞれは他の区画から分割され、それぞれ流体連通口141a〜dを通して進入可能である。このようにして、区画142a〜dがNOドナー化合物を封入するどうかによって、区画にNO放出流体または活性化流体を順次充填することにより、パッチの活性使用時間を延長することができる。区画は図示されたのと異なる幾何学的配置であってよく、例えば治療部分が区画のそれぞれで覆われるように交互配置になっていてもよい。この実施形態により、NOドナー化合物から放出されるNOの有用な量があらかじめ規定された閾値まで減少する場合、この区画を続いて活性化することによって、治療時間を向上させることができる。例えばNO放出が閾値より低い区画の表面の色を変えることによって、この閾値を表示することができる。NOが使用されたことを使用者に表示するために、パッチは、パッチの最上層上に活性インジケーターを含むことができる。
【0096】
図15は、パッチ15が適用される皮膚へ、そして皮膚からの流体の通路152を有するパッチ15の斜視図である。パッチは、互いに、そして2つのポート151、153に流体接続する隣接区画150から構成されている。前述のように、パッチ15にNO放出流体を充填するか、または活性化する。創傷に適用された場合、パッチ15は、例えばパッチの裏面上に適用される交換可能な吸収材への通路152を通る浸出液を通過させる。
【0097】
いくつかの実施形態において、例えば図16に示す実施形態において、NOドナーを吸収材(層200)中に組み入れる。パウチ中のNOドナー化合物からのNOの放出を活性化し得るすべての物質、例えば空気、酸素を、その製造の間にパウチから抽出する。これは、装置の組み立ての間、吸収材内を準大気圧にすることにより行う。
【0098】
活性化流体を吸収材の上面上のパウチ中に維持する。パウチはNOに対して不透過性であり、水に対して不透過性である。装置の活性化のために、パウチを圧搾し、破裂させて減圧された吸収材中へ入り込ませる。液体は、準大気圧により推進されて吸収材中に分布される。このように、活性化流体が吸収材中で迅速かつ有利に均一に分布される。吸収材中に組み入れられたNOドナーは、液体と接触すると、NOを放出し始める。放出されたNOは、膜を通って治療される局所部位へと浸透する。最上層はNOに対して実質的に不透過性であるので、放出は効果的に治療部位へと向けられる。
【0099】
さらに詳細には、図16に示す実施形態は局所治療パッチ16である。パッチ16は、液体活性化剤で充填されるパウチを含む。パウチはパウチ上部162とパウチ底部163とを含む。パウチ上部162およびパウチ底部163はその間にバッキング層161を挟んで互いに密着している。つまり、破壊機構に応じて、強力な密封性の162−161と、前者と比較して弱い密封性の161−163の二段階で、または一段階162−161−163で密着している。縁部162aおよび163aで、例えば超音波溶接により、縁部162a、163aの周りを密封係合させる。一実施形態において、パウチは、1620および1621により規定される小さな開口部を含み、この場合、縁部はこの開口部の部分では密封されない。第2の開口部1621は1620よりも短く、このため1621を溶接する間に1620は開いたままで、開口部1621を閉鎖させる。開口部162を通して、活性化流体の充填を行うことができる。流体充填後、開口部1620を閉鎖し、活性化流体を充填した密封パウチを得る。パウチ上部162およびパウチ底部163の材料は、NOおよび流体の両方に対して不透過性である。このようにして、流体を含有するパウチ、ひいてはパッチ16を長時間にわたって貯蔵することができる。
【0100】
層163、162および層161はそれぞれ異なる材料から製造することができるので、このことはいくつかの利点があり得る。例えば、パッチの柔軟性を様々にすることができる。層163、162は層161よりも長期間不透過性である必要がある。層161はパウチ層163、162よりも実質的に短い期間、NOに対して実質的に不透過性である必要があるだけである。
【0101】
パッチ16は、NOに対して不透過性であるバッキング161をさらに含む。バッキング161は柔軟性であり、例えば柔軟性フィルムであり、パッチ16の柔軟性を保証する。バッキング層16を層166とともに、例えば超音波シールにより密封する。密封は、準大気圧環境で行う。
【0102】
液体パウチ底部163を、場合によっては前述の開口部1620に相当する小開口部を除いて、縁部周辺で超音波シールする。この開口部により、上部開口部1620の密封を防ぐ。縁部でのシールを剥離可能に提供する。これは、圧力を加えるか、または下記の他の特性により破れるように提供することができる。
【0103】
吸収材164は活性化液体を吸収し、保持して、パッチに変形および点圧力が加えられた場合でも、層の表面全体にわたって十分に分布されるように工夫されている。吸収材層164はまた、NOドナーを貯蔵するか、またはNOドナーと一体化される。
【0104】
接着層165を提供して、吸収材層164と膜166との間の良好な接触を保証する。一つの実施形態においては、接着層をこのように吸収材層と一体化させる。このような実施形態において、NOドナーを接着層165中に配置し、依然として吸収材層164と一体化させることができる。
【0105】
膜166は、NOが局所部位へ移動するのを調節するように工夫されている。これは流体を保持するように工夫されており、NOドナーは、前述のようにその毒性に依存してパッチ中にとどまる。
【0106】
さらに、パッチ16は接触増進層167と、剥離ライナ168とを含む。膜166は空気に対して透過性であるので、吸収材層164中で準大気圧を確実に維持するために、剥離ライナ168は低いガス透過性を有するように工夫されている。患者の治療部位に適用した場合にパッチ16を所定の位置に保つために外側皮膚接着剤169を提供する。接触増進層167は、治療部分に悪影響を及ぼしたり、損傷したり、または損なったりしないような接着剤を含むことができ、したがってパッチを治療部位で定位置に保つために十分な強度を有さない。接着剤169は有利にはNOに対して実質的に不透過性であり、パッチ16使用中のNOの指向性適用をさらに増進する。接着剤169の接着力は接触増進層167よりも強力で、パッチの強固な固定を保証する。このことは、この配置による方向付けがより効率的であるので、治療部位に対するNOの方向付けにも有利に寄与し得る。
【0107】
NOドナー材料は、以下の技術により吸収材164全体にわたって分布させることができる。
・複数回注入して、均一に分散させる
・パッチ16に組み入れる前に吸収材層164の表面全体にわたって噴霧することによる
・有利な分布パターンを提供するスクリーン印刷技術
・接着剤層165中に一体化させる
流体パウチは様々な方法で破ることができる
・減圧吸収材164に対する弱いシール、すなわちこのシールは、パッチ16の包装、輸送および貯蔵中には保たれるが、外的影響、例えば力により少なくとも部分的に除去され、破れるか、破損するか、または減圧吸収材164に向かってシールが剥がれる
oシールは弱いヒートシールであってよい
oシールは弱い接着剤であってよい
oシールは、力を特定の部分に向けてシールの破壊を開始させる形状、例えばシール部分163a中に窪みを有し得る
・液体上面は、力を特定の部分に向けて、シールの破壊を開始させる形状、例えば以下を有する。
・例えばパウチ溶接中に生成した溶接部に沿ったパウチにおけるパウチ材料の局所的な脆弱性
・フィルムを折り畳んだ状態から、フィルムの製造から得られる平らな状態まで引き延ばす
・代替として、またはそれに加えて、パウチ材料は様々な厚さを有する可能性があり、パウチ材料中の構造強度が局所的に低下した1つ以上の部分を規定する。このことは、フィルムにおいて減圧吸収材方向に弱化が起こり得ることを意味する。
・活性化に際して減圧吸収材層164に向かってフィルムを貫通するために配置された鋭い針
それに加えて、または代替として、パッチ16は以下の有利な特性の1つ以上を含み得る。
・吸収材層164中のスリット164は、パッチ16の柔軟性を増大させ、また生成したチャンネル中の流体分布を増進して、長手方向の延伸に沿って連続的または非連続的であるような配置であってもよい
・良好な接触を促進するための、吸収材層と膜166との間の接着剤層165
・空隙容量を減少させるための、吸収材へのバッキング層161の固定
・パッチ16の治療部分の周りに配置された超強力接着剤層169
膜166の透過性の前記依存的選択に応じて、望ましくない種をパッチ中にカプセル封入することができる。
【0108】
一実施形態において、パッチの製造フロー17は、図17aに示すように以下の工程からなる。
【0109】
フィルム変換170:異なる製品構成部品、すなわち、流体区画を含む上部、および皮膚接着剤と、膜と、吸収材とを含む底部。これらの部分をフィルムロールからダイス切断し、変換操作の間に異なる層の積層を調製する。二次操作として、活性化の間に流体の開口部として用いられる溶接部によって、流体パウチを一段階操作または二段階操作のいずれかで溶接する1701。
【0110】
アセンブリ流体充填172:吸収材が露出したアセンブリ上に、ドナーを噴霧または注入により適用する174a。その直後、パウチを有する第2アセンブリを上面上に適用し、準大気圧チャンバ中で、2つのアセンブリを合わせて溶接し、無酸素で準大気圧の、封入された吸収材を得る174b。流体パウチを次いで充填し176a、密封する176b。
【0111】
別法として、図17b、アセンブリ流体充填172を第1アセンブリとして行うことができ、パウチを充填し176a、密封して、充填されたパウチを有するフィルムを形成するl76b。吸収材が露出したアセンブリ上に、ドナーをまず噴霧または注入により適用する174a。その直後、パウチを有する第1アセンブリを上面上に適用し、大気圧より低いチャンバ中で2つのアセンブリを一緒に溶接して、無酸素で大気圧より低くし、収容された吸収材を得る174b。
【0112】
ここで完成した製品を次にいずれかの代替経路により包装して第1パッケージにし178、大気圧より低い圧力下で溶接して178a、無酸素環境を保証し、さらに吸収材の周りの大気圧より低い圧力が保証されることを確実にする。これは、例えば長期不透過性放出層がバッキングに取り付けられている場合には省略することができる。
【0113】
さらに、製造フロー179はアセンブル製品箱としての最終パッケージング、殺菌、または他の必要または需要を含み得る179a。
【0114】
製品箱は、長期放出ライナがバッキング層に取り付けられ、したがって貯蔵中のパッチ内外の漏れが効果的に防止される実施形態においては省略することができる。
【0115】
流体システム
流体を局所パッチシステムに添加することは、例えば次の方法で行うことができる:
・上部カバー中に閉鎖可能な蓋を有することにより行い、この蓋を通してすべての流体をパッチ中に注入することができる。蓋を次に閉じ、装置を皮膚に取り付ける。図4Aおよび図4Bを参照のこと。
・これを通して流体をパッチパウチ中へ挿入できる一方向バルブを追加することにより行う。図6Aおよび図6Bを参照のこと。NOドナー化合物をパウチ中に統合する場合、パウチ中のNOドナー化合物からのNOの放出を活性化することができるすべてのもの、例えば水分、空気、酸素を、その製造中にパウチから抽出する。場合により、パウチに不活性物質を充填することができる。貯蔵後、パッチを活性化するために、バルブを通して活性化流体をパウチ中に注入し、吸収材コア中に吸収させると、NO放出が活性化され、パッチは薬物治療または美容整形について「活性」である。流体をこの部分の上に均一に塗布するために、ウィッキング層を提供するのが有利であり得る。
・パッチ中のNOドナーの一体化型第1リザーバであって、流体から離れて密封されて配置されているものを有することにより行う。流体を吸収材コアと併せて一体化することができるか、または別の第2リザーバ中に一体化することができる。使用前に、第1リザーバおよびできれば第2リザーバを操作して開放する。例えばリザーバを圧搾することにより破壊する。NOドナーは分散し、活性化流体と接触するようになり、NO放出が始まる。
・吸収材コアにpH調節機能を加えることによるか、または吸収材コア自体がこの能力を有するので、ドナーと混合される流体は不活性であり、ドナー流体が吸収材コアと接触する場合にのみ、システムは適切なpHとバランスとなり、NO放出が開始される。
【0116】
流体の混合、すなわち、例えば粉末の形態で提供される活性化流体のNOドナー化合物との混合に関して、多くの実施形態を次に記載する。混合は、パッチからNOの有効な制御放出を得るためにNOドナー化合物が均一に分散するような方法で行う。様々な実施形態は、特に次のものを含む。
・NOドナー化合物を乾燥形態で提供し、パッチとは別に前溶解流体をNOドナー化合物と混合して、NOドナーを有効に溶解させ、あらかじめ溶解させたNOドナー流体を得る。
oあらかじめ溶解させたNOドナー流体をパッチに添加し、ここでパッチ内部の成分、例えば吸収材コアにNO放出活性化流体を含浸させる。コレにより、NOの効果的な制御放出がパッチにおいて活性化される。
o別法として、あらかじめ溶解させたNOドナー流体をNO放出活性化流体に添加するか、またはその逆で、NO放出流体を得る。NO放出流体をパッチに、すなわちパッチ内部の成分、例えば吸収材コアに添加し、このようにしてNO放出流体を含浸させる。これにより、パッチからNOの効果的な制御放出が得られる。
・NOドナー化合物および固体活性化成分をパッチ中に乾燥形態で、例えば吸収材コア中に組み入れられた繊維または粉末として提供する。パッチの使用に際して乾燥パッチに流体を添加し、その結果、固体活性化成分を流体中に溶解させ、このようにしてNOドナー化合物からのNO放出を活性化させる。
・NOドナー化合物を乾燥形態で提供し、前溶解および活性化流体を含む流体と、または活性化流体のみと混合する。NOドナー化合物からのNO放出が活性化されている混合物をパッチに添加して、パッチからNOを放出させる。
【0117】
局所パッチのさらに別の特徴
局所パッチのいくつかの実施形態は、次の特徴を含むことにより強化された機能を有する。
・交換可能な吸収材物質を提供して、治療される皮膚に向いた層が治療の間安定しており、交換する必要がないようにする。これは創傷治療の部分内の特定の条件において重要な特徴である。
・吸収材コア上に流体を容易に分散するためのウィッキングシステムをパッチ中に提供する。このようなウィッキングシステムは、例えば、流体が吸収材中へと通過する前にパッチ中に流体を分散するような構造である層の形態で提供することができる。
・パウチ中への流体方向を制御するバルブを有する流体パウチの形態でパウチを提供することができ、置換ガスをパウチから流出させる。
・流体の均一な分布が得られることを保証するために、パウチに異なる区域を設ける。加えて、パッチ内の異なる治療部位を異なる区域により設けることができる。
・吸収材コアを、流体を吸収し、これを封入するように適合された様々な物質で作製することができる。このような物質の例は、超吸収物質、例えばSAPおよび/またはSAFをその中に含むもの、または親水性フォーム、またはヒドロゲルである。
【実施例】
【0118】
【実施例1】
【0119】
強化用量パッチ
パッチは、例えば0.01〜100μmol/(cm分)、例えば0.1μmol/(cm分)などの高いNO投与レベルを有する。これは短い使用期間、およそ10分から最高2時間まで、例えば1時間の使用期間を有する。用量曲線においてこの強度および長さを得るために、十分な量のNOドナー、例えば0.01〜10mg/cm、例えば0.1mg/cmを用いる必要がある。活性化流体において低いpH、pH6未満、例えばpH5が必要である。必要な緩衝液の体積は、使用されるNOドナー量に依存する。0.1mgNOドナー/cmパッチについて、緩衝液強度に応じて、0.1〜0.4mL/cmを有する必要がある。皮膚との十分な接触を保証するために、接触増進層を使用する。
【実施例2】
【0120】
大用量パッチ
パッチは中程度のNO投与レベル、例えば0.001〜10μmol/(cm分)、例えば0.05μmol/(cm分)を有する。これは6〜12時間、例えば8時間の延長された使用期間を有する。用量曲線においてこのような強度および長さを得るために、十分な量のNOドナー、例えば0.01〜10mg/cm、例えば0.2mg/cmを使用する必要がある。加えて、活性化流体において中性から若干酸性のpH、例えばpH7が必要である。必要な緩衝液の体積は、使用するNOドナー量に依存する。パッチ1cmあたり0.2mgのNOドナーについては、緩衝液強度に応じて、0.2〜0.8mL/cmである必要がある。皮膚との十分な接触を保証するために、接触増進層を使用する。
【0121】
パッチが有利である治療および療法は例えば次のものである。
【0122】
末梢神経障害の治療、
糖尿病性潰瘍の治療、
創傷の手当、例えば手術後の治癒支援、
感染予防および治療、
瘢痕軽減、皮膚の引き上げなどをはじめとする化粧用途、
例えば爪甲真菌症または混合感染症の抗真菌治療、
例えばいぼ治療のための抗ウィルス治療。
【0123】
パッチはヒトまたは獣医用医薬に適している。
【0124】
キットは、有利な方法で前述の記載事項にしたがっていくつかの成分を含み得る。
【0125】
パッチはある実施形態の医薬を考慮することができる。
【0126】
一酸化窒素の使用は、いくつかの実施形態にしたがってパッチを製造するために提供することができる。
【0127】
本明細書において用いられる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、特に別段の記載がなければ、複数の形態も包含することが意図される。「包含する」、「含む」、「包含している」および/または「含んでいる」という用語は、本明細書において用いられる場合、記載された特徴、整数、工程、操作、要素、および/または成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、成分、および/またはその群の存在または付加を除外するものではないとさらに理解されるであろう。要素が別の要素と「接続」または「結合」していると記載されている場合、これを他の要素と直接接続することができるか、または介在する要素が存在し得ると理解される。本明細書において用いられる場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された事項の1つ以上のありとあらゆる組み合わせを包含する。
【0128】
本発明を特定の実施形態に関連して記載した。しかし、前述とは別の実施形態も本発明の範囲内で等しく可能である。ハードウェアまたはソフトウェアにより方法を実施する、前述と異なる方法工程を本発明の範囲内で提供することができる。本発明の異なる特徴および工程を記載されたものと異なる組み合わせと組み合わせることができる。本発明の範囲は添付された特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療部位で配置される局所一酸化窒素送達装置であって、
前記装置の使用における一酸化窒素放出流体(ここで、前記一酸化窒素放出流体は少なくとも部分的に液体である)と、
前記一酸化窒素放出流体を保持するために配置されたリザーバ(200)と、
前記治療部位と接触するように適合され、前記一酸化窒素放出流体から前記治療部位への一酸化窒素の効率的な輸送のための界面部分を提供するように適合された一酸化窒素透過性層(300)と、
を含み、少なくとも前記一酸化窒素透過性層は、前記一酸化窒素透過性層と前記治療部分との間の前記界面部分の損失が前記装置の使用において実質的に回避されるように幾何学的に柔軟性であり、これにより、
前記リザーバから前記治療部位への望ましくない種の輸送を回避しつつ、前記装置の物理的変形下でさえも、前記リザーバから前記治療部位へ前記一酸化窒素の望ましく調節可能で一定の送達を提供するように適合された、装置。
【請求項2】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、前記治療部位での皮膚接触部分に隣接して配置されるように適合されたか、または固有の皮膚接触増進特性、すなわち一酸化窒素について透過性を有する皮膚接触増進層を含むので、その使用に際して十分な皮膚接触を提供する、および/または前記もしくは一酸化窒素透過性層を、その寸法または溶解度選択性によって前記の望ましくない種の前記リザーバから前記治療部位への輸送を妨害するように適合された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リザーバが固体媒体を含み、前記装置が、気体状一酸化窒素分圧の増加をもたらし、結果として実質的に前記治療部分の方向で一酸化窒素に関して透過性である前記一酸化窒素透過性層と接触した前記リザーバ中に封入された前記固体媒体中に分配された前記一酸化窒素放出流体中の前記一酸化窒素の濃度が増加するように適合された実質的に一酸化窒素不透過性であるバッキング層をさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記一酸化窒素放出流体が、前記一酸化窒素放出流体について高い親和性を有する前記固体媒体中に均一に分布されるので、前記装置の環境ストレス、例えば曲げ、装置への不均一な加圧、および装置の傾斜下で、前記一酸化窒素放出流体と前記一酸化窒素透過性層との間に高い界面面積がもたらされる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置の使用における一酸化窒素放出流体と、
送達装置中で前記一酸化窒素放出流体からの一酸化窒素の放出中の一酸化窒素濃度の損失を制限するように配置および構成された、一酸化窒素に対して実質的に不透過性であるバッキング層(100)と、
治療される部分に向かって配置された送達装置の使用における一酸化窒素透過性層(300)と、
その中の一酸化窒素の分圧または濃度の増加により、前記一酸化窒素放出流体から放出された一酸化窒素を送達装置内で一酸化窒素透過性層(300)を通って皮膚部分に向かわせるような方法でその中に前記一酸化窒素放出流体を保持する配置の、前記バッキング層(100)と前記一酸化窒素透過性層(300)との間の吸収層(200)と、
を含む、請求項1または2に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項6】
前記リザーバが、一酸化窒素放出流体を吸収し、保持するように構成された、例えば、超吸収性粉末(SAP)および/または超吸収性繊維(SAF)等の超吸収性ポリマーのようなゲル化物質のゲルベースの吸収システムを含む吸収層(200)である、請求項1または2に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項7】
前記一酸化窒素放出流体が、前記局所一酸化窒素送達装置に含まれる一酸化窒素ドナー化合物からの一酸化窒素の放出を活性化するための活性化流体を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項8】
前記リザーバが、その中に前記一酸化窒素放出流体および一酸化窒素ドナーを流体段階において貯蔵し、捕捉する吸収層(200)中に含まれる流体リザーバである、請求項1または2に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項9】
前記流体リザーバが、その限度内で前記一酸化窒素放出流体を封入するゲル化物質である、請求項8に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項10】
前記吸収層(200)が完全に濡れており、前記吸収層(200)が60%超、例えば80%または90%超の流体含有量を含む、請求項8または9に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項11】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、気体状一酸化窒素または溶解した一酸化窒素について選択的に透過性の膜であり、これにより前記局所一酸化窒素送達装置の内部で放出された一酸化窒素が前記皮膚部分に向けられる、請求項2に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項12】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、前記局所一酸化窒素送達装置中の一酸化窒素生成システムに応じて選択される、請求項11に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項13】
前記NO透過性層(300)が、装置から皮膚治療部位へのNO透過率を調節するように構成された、請求項1または2に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項14】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、不織または多孔性材料の膜であるので、前記一酸化窒素透過性層(300)が、その中にNOが溶解した流体の輸送のために構成されており、かつ前記一酸化窒素透過性層(300)を越える良好な連通のために構成されている、または
前記一酸化窒素透過性層(300)が、高水蒸気伝達率(MVTR)物質、例えば微孔性膜もしくは部分的に親水性のブロックコポリマー膜から成る親水性膜で作られているので、前記一酸化窒素透過性層(300)が、その中にNOが溶解した流体および他の非毒性非刺激性低分子量物質は膜を越えて輸送されるが、他のより大きな分子、例えばNO生成システムは保持されるように構成されており、
前記一酸化窒素透過性層(300)を越える媒体連通のために構成されている、または
前記一酸化窒素透過性層(300)が中または低MVTR材料で作られているので、前記一酸化窒素透過性層(300)がその中にNOが溶解した流体を輸送するための構造であり、前記一酸化窒素透過性層(300)を越える低連通のために構成されているか、または
前記一酸化窒素透過性層(300)が、NO輸送に対して高度に選択性であるように、例えば寸法選択機構により機能し、膜を越える液体連通が許容されないように選択される、請求項13に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項15】
前記皮膚接触増進層が、使用に際して前記増進層との間に良好な接触をもたらし、かつ前記一酸化窒素透過性層(300)と前記皮膚部分の間に良好な接触をもたらす接着層、例えばシリコーンゲル層、粘着剤(PSA)、またはヒドロゲル層である、前期請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項16】
前記一酸化窒素送達装置の治療部分の周りに接着層(169)を含み、前記一酸化窒素透過性層が前記接着剤層(169)の境界内で配置され、前記接着剤層が前記一酸化窒素透過性層に対するよりも前記治療部位に対して接着性が高い、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項17】
活性化流体を受容し、前記活性化流体を前記一酸化窒素ドナー化合物へと向かわせて、使用中の前記活性化流体が前記吸収材層(200)中に適用される前に、前記一酸化窒素ドナー化合物を溶解するように配置された、一酸化窒素ドナー化合物を含む流体方向付システムを含み、前記流体ディレクションシステムが前記リザーバ、たとえばその中の複数のスリット(164)と一体化されている、請求項1または2に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項18】
前記流体方向付システムが分散システムの形態であり、前記活性化流体を受容するための少なくとも1つの流体接続口をさらに含む、請求項17に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項19】
前記装置が密封的に再閉鎖可能であるか、もしくは閉鎖可能な開口部、例えば活性化ウィンドウを含むので、前記リザーバの少なくとも一部が前記開口部を通して交換可能であるか、または前記開口部もしくは流体連通口により流体進入をすることができる、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置を含むキットであって、
一酸化窒素ドナー化合物および活性化流体用の別の容器をさらに含み、前記一酸化窒素ドナー化合物および前記活性化流体が取り外し可能なシールで互いに分離されているので、前記一酸化窒素ドナー化合物および前記活性化流体を、その使用に際して前記装置へ移す前に混合可能である、キット。
【請求項21】
請求項1から18のいずれか一項に記載の装置の製造における、一酸化窒素の使用。
【請求項22】
一酸化窒素を局所送達するための方法であって、
請求項1から18のいずれか一項に記載の一酸化窒素送達装置において、一酸化窒素放出流体を提供し、前記一酸化窒素放出流体からの一酸化窒素放出を活性化させることと、
前記活性化された一酸化窒素送達装置を、送達装置の一酸化窒素透過性層(300)を前記皮膚部分に向けた状態で、身体の皮膚部分と接触させることと、(ここで、前記一酸化窒素透過性層(300)の透過性を前記一酸化窒素流体の毒性レベルに応じて選択的に選択する)、
一酸化窒素の前記一酸化窒素放出層からの放出中の一酸化窒素濃度損失を制限するバッキング層(100)と、前記一酸化窒素放出流体をその中に保持する、前記バッキング層(100)と前記一酸化窒素透過性層(300)との間の吸収層(200)とにより、一酸化窒素を前記一酸化窒素送達装置から前記皮膚部分へと前記一酸化窒素透過性層(300)を通って局所送達し、これにより、
前記一酸化窒素放出流体中の一酸化窒素の分圧または濃度を増加させることと、
一酸化窒素を前記一酸化窒素放出流体から前記送達装置内で前記一酸化窒素透過性層(300)を通って前記皮膚部分へと向けることと、
を含む、方法。
【請求項23】
一酸化窒素の前記送達のために、前記一酸化窒素送達装置中の溶解した一酸化窒素の前記分圧および濃度が増加するように、前記一酸化窒素ドナーシステムから前記一酸化窒素を放出することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
一酸化窒素について透過性である皮膚接触増進層を用いて前記皮膚部分に前記一酸化窒素送達装置を固定することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記一酸化窒素ドナーシステムが、前記一酸化窒素ドナーシステムの一酸化窒素ドナー化合物と相互作用し、前記一酸化窒素ドナー化合物がパッチから外へ移動するのを最小限に抑えることを保証し、その中で沈殿した後の前記一酸化窒素ドナー化合物の残留物を捕捉する吸収材ユニットを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記一酸化窒素ドナーシステムが、一酸化窒素を連続して放出するために一酸化窒素ドナー化合物を活性化システムと連続して接触させる吸収材ユニットを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法にしたがって一酸化窒素を送達することを含む治療方法であって、
前記皮膚部分が治療部位、例えば末梢神経障害、糖尿病性潰瘍、創傷、皮膚感染、カビによる皮膚攻撃、例えば爪甲真菌症、混合皮膚感染、および/またはウィルス攻撃、例えばいぼの部位である、方法。
【請求項28】
請求項33に記載の方法にしたがって一酸化窒素を送達することを含む美容整形の方法であって、前記皮膚部分が美容整形部位、例えば前記一酸化窒素により軽減される瘢痕の部位、または前記一酸化窒素により隆起される、たるんだ皮膚もしくはシワの部位である、方法。
【請求項29】
フィルム変換(170)と、大気圧より低い環境中でのアセンブリ流体充填(172)、または流体容器を充填し、密封し、前記充填された容器を大気圧より低い環境中で配置することによって、前記一酸化窒素放出流体を保持するために配置された、無酸素および大気圧より低くし、封入されたリザーバを作製することによって成るアセンブリ流体充填(172)とを含む、請求項1に記載の局所送達装置の製造法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2010−538682(P2010−538682A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500286(P2010−500286)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053692
【国際公開番号】WO2008/116925
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(507271798)ノーラブズ エービー (11)
【Fターム(参考)】