説明

三次元操作インターフェースのシミュレーション方法およびシステム

【課題】電子機器の操作インターフェースで三次元空間の効果をシミュレーションできる三次元操作インターフェースのシミュレーション方法を提供する。
【解決手段】スクリーンのディスプレイフレーム上に区画線を定義して、ディスプレイフレームを第1区域と第2区域に分割することと、単位格子のサイズを定義して、第1区域及び第2区域にそれぞれ第1格子平面および第2格子平面を設置し、第1格子平面及び第2格子平面によりシミュレーションした三次元格子空間を形成することとを含む。単位格子を基本単位として用いて、オブジェクトのオブジェクトサイズ及び初期格子座標を定義することを含む。初期格子座標は、第1格子平面と第2格子平面のうちの1つの上にある。シミュレーションした三次元格子空間において、初期格子座標及びオブジェクトサイズに基づいて、シミュレーションした三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の操作インターフェースに関するものであり、特に、三次元操作インターフェースのシミュレーション方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
技術の進化により、電子機器の製造業者は、製品の開発においてハードウェアの効能改善に重点を置くだけでなく、ソフトウェアの設計にもより多くの労力を費やしている。ユーザーインターフェースの操作が容易であるか否かがユーザーの電子機器に対する印象に直接影響を与えることは、想像に難くない。そのため、より優れた操作体験をユーザーに提供できるよう、市場ではユーザーインターフェースの設計改良が増えている。
【0003】
スマートフォン(smart phone)を例に挙げると、早期世代のスマートフォンは、コンピュータシステムのデスクトップの設計に類似したデスクトップが構成されていたが、現在は、ユーザーの選択に基づいてスクリーンにドラッグすることができる様々なウィジェット(widget)に進化している。ユーザーがウィジェットの位置を調整することによって、カスタマイズされたユーザーインターフェースを作ることができる。詳しく説明すると、ウィジェットとは、ソフトウェアの総称型であり、小型で且つ配置が容易であるといった特徴を有し、特定の簡単な機能を提供するものである。
【0004】
ウィジェットの普及によって、ユーザーと電子機器間の相互作用がより便利になり、且つユーザーが自分自身のユーザーインターフェースを作れるようになった。しかしながら、現在の電子製品は、システムのワークロードが増加しないように、大部分の製造業者が二次元操作インターフェースを設計しているため、ウィジェットのグラフィックデザインが二次元グラフィックに制限される。
【0005】
実際、三次元ディスプレイが必要な場合、シミュレーション方法がよくつかわれる。例えば、特許文献1において、三次元ディスプレイを用いたユーザー操作インターフェースが開示されており、主に、シミュレーションした側壁または側面にアイコンを配置することを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国出願公開第2008/0307360号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、電子機器の操作インターフェースで三次元空間の効果をシミュレーションする三次元操作インターフェースのシミュレーション方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、また、電子機器で三次元オブジェクトを有する三次元操作空間をシミュレーションする三次元操作インターフェースのシミュレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、スクリーンを有する電子機器に用いる三次元操作インターフェースのシミュレーション方法を提供する。この方法は、スクリーンのディスプレイフレーム上に区画線(partition line)を定義し、ディスプレイフレームを第1区域と第2区域に分割することを含む。単位格子(unit grid)のサイズを定義する。第1区域および第2区域にそれぞれ第1格子平面および第2格子平面を設置して、シミュレーションした三次元格子空間を形成する。この方法は、さらに、単位格子を基本単位として用いて、オブジェクトのオブジェクトサイズおよび初期格子座標を定義することを含む。オブジェクトサイズは、第1格子平面または第2格子平面に投影されたオブジェクトの射影(projection)に基づいて決定される。初期格子座標は、第1格子平面または第2格子平面上にある。シミュレーションした三次元格子空間において、初期格子座標およびオブジェクトサイズに基づいて、シミュレーションした三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示する。
【0010】
本発明の1つの実施形態中、初期格子座標およびオブジェクトサイズに基づいて、シミュレーションした三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示するステップは、区画線を用いて、初期格子座標が第1格子平面上にあるのか、それとも第2格子平面上にあるのかを判断することを含む。初期格子座標が第1格子平面上にある時、シミュレーションした三次元空間は、第1格子平面上に設置される。初期格子座標が第2格子平面上にある時、シミュレーションした三次元空間は、第2格子平面上に設置される。
【0011】
本発明の1つの実施形態中、シミュレーションした三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示するステップの後に、三次元操作インターフェースのシミュレーション方法は、さらに、オブジェクトの移動指令を受信することを含む。オブジェクトは、移動指令に基づいて、三次元格子空間で第1格子平面または第2格子平面上の格子と一直線に移動する。
【0012】
本発明の1つの実施形態中、移動指令に基づいて、三次元格子空間で第1格子平面または第2格子平面上の格子と一直線にオブジェクトを移動させるステップは、初期格子座標および移動指令に対応する変位(displacement)に基づいて、現格子座標を決定することを含む。変位は、単位格子を単位とする。区画線を用いて、現格子座標が第1格子平面上にあるのか、それとも第2格子平面上にあるのかを判断する。現格子座標およびオブジェクトサイズに基づいて、現三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示する。現格子座標が第1格子平面上にある場合、現三次元空間は、第1格子平面上に設置され、現格子座標が第2格子平面上にある場合、現三次元空間は、第2格子平面上に設置される。
【0013】
本発明の1つの実施形態中、現格子座標およびオブジェクトサイズに基づいて、現三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示するステップは、さらに、現格子座標および初期格子座標が第1格子平面と第2格子平面の異なる格子平面上にある場合に、オブジェクトを表示する時にオブジェクトの外観を変更することを含む。
【0014】
本発明の1つの実施形態中、現格子座標およびオブジェクトサイズに基づいて、現三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示するステップは、さらに、シミュレーションした三次元格子空間に他のオブジェクトが存在し、現三次元空間に表示された場合に、現三次元空間に基づいて予備の三次元空間をマッピングし、予備の三次元空間にオブジェクトを表示することを含む。
【0015】
本発明の1つの実施形態中、オブジェクトは、ウィジェット(widget)のアイコン(icon)、またはアプリケーションプログラムへのショートカットである。
【0016】
また、本発明は、空間マッピングモジュールと、オブジェクト描画モジュールとを含む三次元操作インターフェースのシミュレーションシステムを提供する。空間マッピングモジュールは、スクリーンのディスプレイフレーム上に区画線を定義して、ディスプレイフレームを第1区域と第2区域に分割するとともに、単位格子のサイズを定義して、第1区域および第2区域にそれぞれ第1格子平面および第2格子平面を設置するために使用される。第1格子平面および第2格子平面は、シミュレーションした三次元格子平面を形成する。オブジェクト描画モジュールは、空間マッピングモジュールに結合され、単位格子を基本単位として用いて、オブジェクトのオブジェクトサイズおよび初期格子座標を定義する。初期格子座標は、第1格子平面または第2格子平面上にある。オブジェクト描画モジュールは、さらに、初期格子座標およびオブジェクトサイズに基づいて、シミュレーションした三次元平面をマッピングし、オブジェクトを表示するために使用される。
【0017】
本発明の1つの実施形態中、オブジェクト描画モジュールは、区画線を用いて、初期格子座標が第1格子平面上にあるのか、それとも第2格子平面上にあるのかを判断する。初期格子座標が第1格子平面上にある時、オブジェクト描画モジュールは、シミュレーションした三次元平面を第1格子平面上に設置し、初期格子座標が第2格子平面上にある時、オブジェクト描画モジュールは、シミュレーションした三次元平面を第2格子平面上に設置する。
【0018】
本発明の1つの実施形態中、オブジェクト描画モジュールがオブジェクトの移動指令を受信した時、オブジェクト描画モジュールは、移動指令に基づいて、三次元格子空間で第1格子平面または第2格子平面上の格子と一直線にオブジェクトを移動させる。
【0019】
本発明の1つの実施形態中、オブジェクト描画モジュールは、初期格子座標および移動指令に対応する変位に基づいて、現格子座標を決定する。変位は、単位格子を単位とする。オブジェクト描画モジュールは、区画線を用いて、現格子座標が第1格子平面上にあるのか、それとも第2格子平面上にあるのかを判断するとともに、現格子座標およびオブジェクトサイズに基づいて、現三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示する。現格子座標が第1格子平面上にある時、オブジェクト描画モジュールは、現三次元空間を第1格子平面上に設置し、現格子座標が第2格子平面上にある時、オブジェクト描画モジュールは、現三次元空間を第2格子平面上に設置する。
【0020】
本発明の1つの実施形態中、オブジェクト描画モジュールは、現格子座標および初期格子座標が第1格子平面と第2格子平面の異なる格子平面上にある時、表示されるオブジェクトの外観を変更する。
【0021】
本発明の1つの実施形態中、シミュレーションした三次元格子空間に他のオブジェクトが存在し、現三次元空間に表示された場合、オブジェクト描画モジュールは、現三次元空間に基づいて予備の三次元空間をマッピングし、予備の三次元空間にオブジェクトを表示する。
【0022】
本発明の1つの実施形態中、オブジェクトは、ウィジェットのアイコン、またはアプリケーションプログラムへのショートカットである。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明は、2つの格子平面を用いてシミュレーションした三次元格子空間を定義し、三次元格子空間において、ウィジェットまたはアプリケーションプログラムを表示しているオブジェクトに厚みを持たせる。そのため、ユーザーがシミュレーションした三次元格子空間でオブジェクトを移動させた時に、オブジェクトが他のオブジェクトと重ならずに、格子と一直線に移動することができる。それによって、ユーザーは、三次元環境で操作している効果を感じることができる。
【0024】
本発明の上記及び他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る三次元操作インターフェースのシミュレーションシステムのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る三次元操作インターフェースのシミュレーション方法のフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係るスクリーンのディスプレイフレームに第1格子平面および第2格子平面を設置した概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る第1格子平面および第2格子平面にオブジェクトを表示した概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る第1格子平面および第2格子平面にオブジェクトを表示した概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係るオブジェクトを移動させた時のフローチャートである。
【図7】本発明の別の実施形態に係る第1格子平面および第2格子平面にオブジェクトを表示する概略図である。
【図8】本発明の別の実施形態に係る第1格子平面および第2格子平面にオブジェクトを表示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る三次元操作インターフェースのシミュレーションシステムのブロック図である。図1を参照すると、三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム100は、空間マッピングモジュール110と、オブジェクト描画モジュール120とを含む。空間マッピングモジュール110およびオブジェクト描画モジュール120は、互いに結合する。本実施形態において、三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム100は、携帯電話、PDA(person digital assistant)、スマートフォン、タブレットPC(tablet personal computer)、電子ブック等のように、スクリーンを有する携帯型電子機器内に設置される。
【0027】
空間マッピングモジュール110は、シミュレーションした三次元格子空間をスクリーンのディスプレイフレームに設置するために使用される。オブジェクト描画モジュール120は、電子機器上で実行可能な様々なウィジェットのアイコンまたはアプリケーションプログラムへのショートカットをシミュレーションした三次元格子空間で三次元オブジェクトとして表示するために使用され、ユーザーがシミュレーションした三次元格子空間で移動操作を行えるようにする。本実施形態において、空間マッピングモジュール110およびオブジェクト描画モジュール120は、プログラムコード、ハードウェアデバイス、またはプログラムコードとハードウェアデバイスの組み合わせを用いて実施される。
【0028】
三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム100の詳細な操作についてさらに説明するために、以下に本発明の別の実施形態を挙げて説明する。図2は、本発明の実施形態に係る三次元操作インターフェースのシミュレーション方法のフローチャートである。図1と図2を同時に参照されたい。
【0029】
まず、ステップS210において、空間マッピングモジュール110がスクリーンのディスプレイフレーム上に区画線を定義して、ディスプレイフレームを第1区域と第2区域に分割する。それから、ステップS220に示すように、空間マッピングモジュール110が単位格子のサイズを定義して、第1区域および第2区域にそれぞれ第1格子平面および第2格子平面を設置する。また、空間マッピングモジュール110は、第1格子平面および第2格子平面でシミュレーションされた三次元格子空間を形成する。
【0030】
図3は、本発明の実施形態に係るスクリーンのディスプレイフレームに第1格子平面および第2格子平面を設置した概略図である。図3を参照すると、ディスプレイフレーム300において、空間マッピングモジュール110は、定義された区画線310を用いて、ディスプレイフレーム300を第1区域32および第2区域34に分割する。本実施形態において、区画線310は、ディスプレイフレーム300上の水平線である。しかしながら、本発明は、これのみに限定されない。別の実施形態において、区画線は、ディスプレイフレーム上の任意の斜線であってもよい。
【0031】
また、空間マッピングモジュール110は、単位格子のサイズに基づいて、第1区域32と第2区域34をそれぞれ6×4の格子に分割し、さらに、第1区域32にサイズが6×4の第1格子平面36を設置するとともに、第2区域34にサイズが6×4の第2格子平面38を設置し、第1格子平面36および第2格子平面38にシミュレーションした三次元格子空間を形成する。第1格子平面36をシミュレーションした三次元格子空間の地面とし、第2格子平面38をシミュレーションした三次元格子空間の壁面とする。本実施形態において、第1格子平面36および第2格子平面38は、格子の数が同じである。しかしながら、別の実施形態において、空間マッピングモジュール110は、第1区域32と第2区域34で異なる数の格子を分割し、異なるサイズの2つの格子平面を設置してもよい。
【0032】
それから、ステップS230に示すように、オブジェクト描画モジュール120は、単位格子を基本単位として用いて、オブジェクトのオブジェクトサイズを定義する。オブジェクトは、例えば、ウィジェットのアイコンまたはアプリケーションプログラムへのショートカットであり、ユーザーがウィジェットの実行またはアプリケーションプログラムの起動を直接選択できるように提供される。オブジェクトサイズは、第1格子平面または第2格子平面に投影されたオブジェクトの射影によって決定される。オブジェクトサイズを定義することによって、シミュレーションした三次元格子空間でオブジェクトに厚みを持たせることができる。
【0033】
図4のオブジェクト40を例として挙げる。第1格子平面36に投影されたオブジェクト40の格子の数は、1×1である。そのため、本実施形態において、第1格子平面36に投影されたオブジェクト40の射影は、1×1である(第1空間パラメーターとも称す)。図5に示すように、第2格子平面38に投影されたオブジェクト40の格子の数は、1×2である。そのため、本実施形態において、第2格子平面38に投影されたオブジェクト40の射影は、1×2である(第2空間パラメーターとも称す)。
【0034】
それから、ステップS240に示すように、オブジェクト描画モジュール120は、オブジェクトの初期格子座標を定義する。本実施形態において、初期格子座標は、第1格子平面または第2格子平面上にあり、(m、n)の形式で表示される。特に言及すべきこととして、本実施形態において、三次元格子空間は、二次元ディスプレイフレーム上でシミュレーションされる。そのため、各オブジェクトの初期格子座標は、2つのパラメーターしかない。空間マッピングモジュール110によって定義された区画線は、初期格子座標が第1格子平面上にあるのか、それとも第2格子平面上にあるのかを判断するよう要求される。
【0035】
最後に、ステップS250において、オブジェクト描画モジュール120が、シミュレーションした三次元格子空間において、初期格子座標およびオブジェクトサイズに基づいて、シミュレーションした三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示する。詳しく説明すると、オブジェクト描画モジュール120は、オブジェクトサイズに基づいて、シミュレーションした三次元空間のサイズを判断し、それから、区画線を用いて、初期格子座標が第1格子空間上にあるのか、それとも第2格子空間上にあるのかを判断する。初期格子座標が第1格子平面上にある場合、オブジェクト描画モジュール120は、シミュレーションした三次元空間を第1格子平面上に設置する。初期格子座標が第2格子平面上にある場合、オブジェクト描画モジュール120は、シミュレーションした三次元空間を第2格子平面上に設置する。それから、シミュレーションした三次元空間にオブジェクトを表示する。つまり、第1格子平面をシミュレーションした三次元格子空間の地面とし、第2格子平面をシミュレーションした三次元格子空間の壁面とする場合、オブジェクト描画モジュール120は、オブジェクトを表示する時に、オブジェクトを第1格子平面上に配置させるか、あるいは、オブジェクトを第2格子平面上に貼り付けるため、オブジェクトがシミュレーションした三次元格子空間中に浮遊することはない。
【0036】
以上のように、空間マッピングモジュール110は、第1格子平面を用いて被写界深度の効果(effect of depth of field)をもたらすとともに、第2格子平面を用いてオブジェクトの異なる表示の高さを提供し、それによって、三次元格子空間をシミュレーションする。オブジェクトは、それぞれ第1格子平面と第2格子平面に投影された2つの空間パラメーター(射影)を有するため、オブジェクト描画モジュール120は、2次元オブジェクトを用いて、シミュレーションした三次元格子空間に三次元効果をもたらすことができる。
【0037】
電子機器のスクリーンがタッチスクリーンの場合、空間マッピングモジュール110がスクリーンのディスプレイフレームにシミュレーションした三次元格子空間をマッピングし、オブジェクト描画モジュール120がシミュレーションした三次元格子空間にオブジェクトを表示した後、ユーザーは、タッチスクリーンに付加されたタッチ操作を介して、シミュレーションした三次元格子空間でオブジェクトを移動させることができる。
【0038】
図6は、本発明の実施形態に係るオブジェクトを移動した時のフローチャートである。図6を参照すると、まず、ステップS610に示すように、ユーザーがタッチスクリーンのオブジェクトを選択して指または入力ペンを移動させた時、オブジェクト描画モジュール120は、オブジェクトの移動指令を受信する。
【0039】
それから、ステップS620に示すように、オブジェクト描画モジュール120が初期格子座標および移動指令に対応する変位に基づいて、現格子座標を決定する。本実施形態において、変位は、単位格子を単位とする。例えば、オブジェクト描画モジュール120は、移動指令に基づいて、ユーザーが指または入力ペンを移動させた距離を判断し、その距離を特定の方向に移動している格子の数に変換する。そのため、それに対応して初期格子座標を調整し、現格子座標を得ることができる。
【0040】
それから、ステップS630において、オブジェクト描画モジュール120が、区画線を用いて、現格子座標が第1格子平面上にあるのか、それとも第2格子平面上にあるのかを判断する。最後に、ステップS640において、オブジェクト描画モジュール120が、現格子座標およびオブジェクトサイズに基づいて、第1格子平面または第2格子平面に設置されたシミュレーションした三次元空間をマッピングし、オブジェクトを表示する。詳しく説明すると、オブジェクト描画モジュール120は、第1格子空間に投影されたオブジェクトの射影および第2格子空間に投影されたオブジェクトの射影に基づいて、現三次元空間のサイズを決定する。それから、現格子座標の位置に基づいて、どの格子平面を現三次元空間に置くべきかを決定する。現格子座標が第2格子平面上にある時、オブジェクト描画モジュール120は、現三次元空間を第1格子平面上に設置する。現格子座標が第2格子平面上にある時、オブジェクト描画モジュール120は、現三次元空間を第2格子平面上に設置する。
【0041】
オブジェクト描画モジュール120は、単位格子を用いて変位を計算するため、ユーザーがオブジェクトを移動させたい時、オブジェクト描画モジュール120は、移動指令、区画線およびオブジェクトサイズに基づいて、三次元格子空間で第1格子平面または第2格子平面上の格子と一直線にオブジェクトを移動させる。
【0042】
別の実施形態において、現格子座標および初期格子座標が第1格子平面と第2格子平面の異なる格子平面上にある場合、ユーザーがオブジェクトを1つの格子平面から別の格子平面へ移動させたことを意味する。それに応じて、オブジェクト描画モジュール120は、オブジェクトを表示している時にオブジェクトの外観を変更する。図7および図8を同時に参照されたい。オブジェクト70の初期格子座標が第1格子平面36の上にあると仮定する。図7に示すように、オブジェクト70が第1格子平面36上にある時、オブジェクト70の外観は、サポート71を有する。ユーザーが第1格子平面36上でオブジェクト70を移動させた時、オブジェクト描画モジュール120は、オブジェクト70のサポート71を表示する。しかしながら、図8に示すように、ユーザーがオブジェクト70を第2格子平面38に移動させた時、オブジェクト描画モジュール120は、オブジェクト70の外観を変更し、且つオブジェクト70のサポートを表示しない。
【0043】
また、シミュレーションした三次元格子空間に他のオブジェクトが存在し、現三次元空間に表示された場合、オブジェクト描画モジュール120は、現三次元空間に基づいて、予備の三次元空間をマッピングする。例えば、オブジェクトが存在しない現三次元空間の周囲の位置に、現三次元空間と同じサイズの予備の三次元空間を定義し、予備の三次元空間にオブジェクトを表示する。こうすることによって、シミュレーションした三次元格子空間に表示された全てのオブジェクトが重ならないため、現実の三次元空間でオブジェクトを表示するシミュレーションがより現実的になる。
【0044】
以上のように、本発明の三次元操作インターフェースのシミュレーション方法およびシステムは、スクリーンのディスプレイフレーム上の2つの格子平面を用いて、三次元格子空間をシミュレーションし、シミュレーションした三次元格子空間で格子と一直線にオブジェクトを移動させるため、重なることがない。シミュレーションした三次元格子空間に電子機器のデスクトップまたは他の操作フレームを表示すれば、より新規で且つ面白い操作体験をユーザーに提供することができる。さらに、二次元平面とオブジェクトを用いて三次元空間の効果をシミュレーションすることは、コンピュータ操作の複雑性を下げ、それによってシステムのワークロードが減少するという利点も提供する。
【0045】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【符号の説明】
【0046】
32 第1区域
34 第2区域
36 第1格子平面
38 第2格子平面
40、70 オブジェクト
71 サポート
100 三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム
110 空間マッピングモジュール
120 オブジェクト描画モジュール
210〜250 三次元操作インターフェースのシミュレーション方法の各ステップ
610〜640 オブジェクト移動の各ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを有する電子機器に用いる三次元操作インターフェースのシミュレーション方法であって、
前記スクリーンのディスプレイフレーム上に区画線を定義し、前記ディスプレイフレームを第1区域と第2区域に分割することと、
単位格子のサイズを定義することと、
前記第1区域に第1格子平面を設置し、前記第2区域に第2格子平面を設置して、前記第1格子平面および前記第2格子平面によりシミュレーションした三次元格子空間を形成することと、
前記単位格子を基本単位として用いて、オブジェクトのオブジェクトサイズおよび前記第1格子平面または前記第2格子平面に設置された初期格子座標を定義することと、
前記シミュレーションした三次元格子空間において、前記初期格子座標および前記オブジェクトサイズに基づいて、シミュレーションした三次元空間をマッピングし、前記オブジェクトを表示することと、
を含む三次元操作インターフェースのシミュレーション方法。
【請求項2】
前記初期格子座標および前記オブジェクトサイズに基づいて、前記シミュレーションした三次元空間をマッピングし、前記オブジェクトを表示する前記ステップが、
前記区画線を用いて、前記初期格子座標が前記第1格子平面上にあるのか、それとも前記第2格子平面上にあるのかを判断することと、
前記初期格子座標が前記第1格子平面上にある時、前記シミュレーションした三次元空間を前記第1格子平面上に設置することと、
前記初期格子座標が前記第2格子平面上にある時、前記シミュレーションした三次元空間を前記第2格子平面上に設置することと、
を含む請求項1記載の三次元操作インターフェースのシミュレーション方法。
【請求項3】
前記シミュレーションした三次元空間をマッピングし、前記オブジェクトを表示する前記ステップの後に、さらに、
前記オブジェクトの移動指令を受信することと、
前記移動指令に基づいて、前記三次元格子空間で前記第1格子平面または前記第2格子平面上の格子と一直線に前記オブジェクトを移動させることと、
を含む請求項1記載の三次元操作インターフェースのシミュレーション方法。
【請求項4】
前記移動指令に基づいて、前記三次元格子空間で前記第1格子平面または前記第2格子平面上の格子と一直線に前記オブジェクトを移動させる前記ステップが、
前記初期格子座標と、前記移動指令に対応し、且つ前記単位格子を単位とする変位とに基づいて、現格子座標を決定することと、
前記区画線を用いて、前記現格子座標が前記第1格子平面上にあるのか、それとも前記第2格子平面上にあるのかを判断することと、
前記現格子座標および前記オブジェクトサイズに基づいて、現三次元空間をマッピングし、前記オブジェクトを表示することと、を含み、
前記現格子座標が前記第1格子平面上にある時、前記現三次元空間が前記第1格子平面上に設置され、前記現格子座標が前記第2格子平面上にある時、前記現三次元空間が前記第2格子平面上に設置される、請求項3記載の三次元操作インターフェースのシミュレーション方法。
【請求項5】
前記現格子座標および前記オブジェクトサイズに基づいて、前記現三次元空間をマッピングし、前記オブジェクトを表示する前記ステップが、さらに、
前記現格子座標および前記初期格子座標が、前記第1格子平面と前記第2格子平面の異なる格子平面上にある場合に、前記オブジェクトを表示する時に前記オブジェクトの外観を変更すること、
を含む請求項4記載の三次元操作インターフェースのシミュレーション方法。
【請求項6】
前記現格子座標および前記オブジェクトサイズに基づいて、前記現三次元空間をマッピングし、前記オブジェクトを表示する前記ステップが、さらに、
前記シミュレーションした三次元格子空間に他のオブジェクトが存在し、前記現三次元空間に表示された場合に、前記現三次元空間に基づいて予備の三次元空間をマッピングすることと、
前記予備の三次元空間に前記オブジェクトを表示することと、
を含む請求項4記載の三次元操作インターフェースのシミュレーション方法。
【請求項7】
前記オブジェクトが、ウィジェットのアイコンまたはアプリケーションプログラムへのショートカットである請求項1記載の三次元操作インターフェースのシミュレーション方法。
【請求項8】
前記オブジェクトサイズが、前記第1格子平面または前記第2格子平面に投影された前記オブジェクトの射影によって決定される請求項1記載の三次元操作インターフェースのシミュレーション方法。
【請求項9】
スクリーンのディスプレイフレーム上に区画線を定義して、前記ディスプレイフレームを第1区域と第2区域に分割するとともに、単位格子のサイズを定義して、前記単位格子を基本単位として用いて、前記第1区域に第1格子平面および前記第2区域に第2格子平面をそれぞれ設置し、前記第1格子平面および前記第2格子平面によりシミュレーションした三次元格子平面を形成する空間マッピングモジュールと、
前記空間マッピングモジュールに結合され、前記単位格子を前記基本単位として用いて、オブジェクトのオブジェクトサイズおよび前記第1格子平面または前記第2格子平面に設置された初期格子座標を定義するとともに、前記初期格子座標および前記オブジェクトサイズに基づいて、シミュレーションした三次元平面をマッピングし、前記オブジェクトを表示するオブジェクト描画モジュールと、
を含む三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム。
【請求項10】
前記オブジェクト描画モジュールが、前記区画線を用いて、前記初期格子座標が前記第1格子平面上にあるのか、それとも前記第2格子平面上にあるのかを判断し、
前記初期格子座標が前記第1格子平面上にある時、前記オブジェクト描画モジュールが、前記シミュレーションした三次元平面を前記第1格子平面上に設置し、前記初期格子座標が前記第2格子平面上にある時、前記オブジェクト描画モジュールが、前記シミュレーションした三次元平面を前記第2格子平面上に設置する請求項9記載の三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム。
【請求項11】
前記オブジェクト描画モジュールが前記オブジェクトの移動指令を受信した時、前記オブジェクト描画モジュールが、前記移動指令に基づいて、前記三次元格子空間で前記第1格子平面または前記第2格子平面上の格子と一直線に前記オブジェクトを移動させる請求項9記載の三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム。
【請求項12】
前記オブジェクト描画モジュールが、前記初期格子座標と、前記移動指令に対応し、且つ前記単位格子を単位とする変位とに基づいて、現格子座標を決定し、前記区画線を用いて、前記現格子座標が前記第1格子平面上にあるのか、それとも前記第2格子平面上にあるのかを判断するとともに、前記現格子座標および前記オブジェクトサイズに基づいて、現三次元空間をマッピングして、前記オブジェクトを表示し、
前記現格子座標が前記第1格子平面上にある時、前記オブジェクト描画モジュールが、前記現三次元空間を前記第1格子平面上に設置し、前記現格子座標が第2格子平面上にある時、前記オブジェクト描画モジュールが、前記現三次元空間を前記第2格子平面上に設置する請求項11記載の三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム。
【請求項13】
前記現格子座標および前記初期格子座標が前記第1格子平面と前記第2格子平面の異なる格子平面上にある時に、前記オブジェクト描画モジュールが、前記オブジェクトの外観を変更する請求項12記載の三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム。
【請求項14】
前記シミュレーションした三次元格子空間に他のオブジェクトが存在し、前記現三次元空間に表示された場合、前記オブジェクト描画モジュールが、前記現三次元空間に基づいて予備の三次元空間をマッピングし、前記予備の三次元空間に前記オブジェクトを表示する請求項12記載の三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム。
【請求項15】
前記オブジェクトが、ウィジェットのアイコンまたはアプリケーションプログラムへのショートカットである請求項9記載の三次元操作インターフェースのシミュレーションシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−146278(P2012−146278A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−110355(P2011−110355)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(596032915)仁寶電腦工業股▲ふん▼有限公司 (18)
【Fターム(参考)】