説明

上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼの不可逆阻害剤ならびにその使用

上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR−TK)の新規な不可逆阻害剤、ならびに、EGFR−TKに関連づけられる疾患および障害(例えば、ガン)の処置におけるその使用が開示される。新規な放射能標識されたEGFR−TK不可逆阻害剤、ならびに、陽電子放射断層撮影法(PET)および単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)などの医学的放射線造影のためのバイオマーカーとしてのその使用、および、放射線治療のための放射性医薬品としてのその使用がさらに開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物、ならびに治療(例えば、ガン治療)および診断におけるその使用に関する。より具体的には、本発明は、上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR−TK)の新規な不可逆阻害剤、ならびに、EGFR−TKに関連づけられる疾患および障害(例えば、ガン)の処置におけるその使用に関し、また、新規な放射能標識されたEGFR−TK不可逆阻害剤、ならびに、陽電子放射断層撮影法(PET)および単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)などの医学的放射線造影のためのバイオマーカーとしてのその使用、および、放射線治療のための放射性医薬品としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている抗ガン治療はほとんどが、シスプラチン、パクリタキセル、ドキソルビシン、トポテカンおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの非特異的な細胞傷害性薬剤に基づいている。これらの細胞傷害性薬剤は主に、DNA損傷を誘導すること、またはDNA合成を阻害すること、または細胞骨格を破壊することに向けられている。これらの薬剤の毒性により、それらの投薬量が制限されており、そのため、疾患の再発がもたらされることが多い。場合により、最大許容量が、腫瘍を退縮させるための最少有効量を下回ることさえある(Ciardiello、2000;Renhowe、2001;Rowinsky、2000)。
【0003】
ガン細胞が異常なシグナル伝達において正常な細胞とは異なることを認識することは、ガン治療およびより近年にはガン診断を模索する一方で、ガン細胞を標的とすることに対して、ガン研究者に機動力を与えている。
【0004】
増殖因子、分化因子およびホルモンなどのポリペプチドは、多くの場合、固有の細胞内のタンパク質チロシンキナーゼ活性を有する細胞表面の受容体に結合し、受容体を活性化することによってその多面的作用を媒介している。
【0005】
上皮増殖因子受容体(EGFR、Erb−B1)は、正常な細胞および悪性の細胞の増殖に関与するタンパク質群に属する(Artega他、2001)。上皮増殖因子受容体(EGFR)の過剰発現がヒトのガンの少なくとも70%に存在し(Seymour、2001)、例えば、非小細胞肺ガン腫(NSCLC)、乳ガン、神経膠腫、頭頸部の扁平上皮ガン、および前立腺ガンなどにおいて存在する(Raymond他、2000;Salomon他、1995;Voldborg他、1997)。従って、EGFRは、特異的に結合することができ、および、ガン細胞におけるチロシンキナーゼ活性およびそのシグナル伝達経路を阻害することができ、従って、診断剤または治療剤としてのいずれかで役立ち得る化合物を設計および開発するための注目される標的として広く認識されている。
【0006】
例えば、EGFRチロシンキナーゼ(EGFR−TK)の可逆的阻害剤であるIressa(登録商標)(図1を参照のこと)が最近、NSCLCおよび前立腺ガンの処置のためにFDAによって承認された。また、いくつかの他の抗EGFR標的化分子、例えば、Tarceva(登録商標)(図1)および抗EGFR抗体Erbitux(登録商標)が、現在、第3相臨床試験を受けている。その結果として、様々な核医学様式によってEGFR過剰発現腫瘍を分子画像化するための放射性トレーサーとしてのEGFR−TK阻害剤の使用、および放射線治療のための放射性トレーサーとしてのEGFR−TK阻害剤の使用において関心が高まっている。
【0007】
4−アニリノキナゾリン系ファミリーに属する化合物は、本明細書中では4−(フェニルアミノ)キナゾリン系化合物とも呼ばれるが、EGFR−TKにおける内膜のATP結合部位に可逆的に結合することによってEGFR−TK活性を強力かつ選択的に阻害することが示されている(Faaland他、1991;Miyaji他、1994;Gazit他、1996;Artega他、1997;NelsonおよびFry、1997;Johnstrom他、1997;Smaill他、1999;Tsuo他、2001;Han他、1996)。そのような化合物の原型は小分子のAG1478であり、これはまたPD153035(Fry他、1994;LevitzkiおよびGazit、1995)としても知られており、これは現在、臨床開発中である。上記のFDA承認されたIressa(登録商標)もまたこのキナゾリンファミリーに属する(BaselgaおよびAverbuch、2000)。
【0008】
しかしながら、これらの可逆EGFR−TK阻害剤の効能は、それらの非特異的な結合および速い血中クリアランスによって制限されており、従って、AG1478の構造に基づく不可逆的なEGFR−TK阻害剤が提案されている(Fry他、1998;Smaill他、2000;米国特許第6153617号および同第6127374号)。PD168393およびPD160678はそのような不可逆阻害剤の代表例であり、背景技術において示される(図1)。これらの阻害剤の不可逆的な結合は、4−(アニリノ)キナゾリン誘導体のキナゾリン環の6位または7位を、EGFR−TKのATP結合部位においてCys−773に共有結合的に結合するα,β−不飽和カルボン酸基(好ましくはアクリルアミド基)で置換することによって達成された。これらの化合物の一部がインビトロ実験およびインビボ実験の両方でEGFR阻害に対して大きい効能を示した(Smaill他、2000)。しかしながら、本明細書中下記において詳しく記載されるように、より近年の研究では、これらの不可逆EGFR−TK阻害剤は、EGFRを発現する腫瘍細胞における蓄積が比較的低いことによって制限されることが示された。
【0009】
従って、強力な抗ガン剤として役立ち得る、改善された効力を有する不可逆EGFR−TK阻害剤を有することは非常に好都合である。さらに、放射能標識化に供することができ、従って、強力な放射性医薬品および放射線造影剤として役立ち得るそのような不可逆EGFR−TK阻害剤を有することは好都合である。
【0010】
医療目的における放射性核種の使用はこの分野では広く知られている。特定の細胞表面受容体に結合するか、または、他の方法で細胞機能を変化させる生物学的に活性な化合物が、放射性医薬品としての何らかの検討を受けており、従って、放射性核種で標識されたとき、そのような化合物は放射線造影および放射線治療における生物特異的な薬剤として使用される。
【0011】
陽電子放射断層撮影法(PET)は、ヒト体内における放射能分布の三次元での定量的測定を可能にする核医学造影技術であり、健康な状態および病理学的な状態の両方で、生理学的機能、生化学的機能および薬理学的機能を分子レベルで測定するためにますます重要なツールになっている。PETでは、15O、13N、11Cおよび18F(それぞれ、2分、10分、20分および110分の半減期を有する)などの陽電子放出核種(放射性トレーサー)で標識された分子を対象に投与することが要求される。
【0012】
単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)は、ガンマ線を放出する放射性核種で標識された放射性化合物からの放射線が、インビボでの放射能分布の断面画像を作製するために使用される化学的造影の1つの形態である。SPECTでは、99mTc、67Ga、111Inおよび123Iなどのガンマ線放出核種で標識された分子を対象に投与することが要求される。
【0013】
従って、単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)および陽電子放射断層撮影法(PET)などの核医学造影技術の使用は、EGFRに不可逆結合する好適な放射性トレーサーと共に、放射線治療のためのEGFR−TK生物特異的薬剤として、または、放射線造影による診断のための標識されたバイオプローブとして使用されることになるリード化学構造のインビボ薬物開発および同定をもたらす。核造影はさらに、ガンにおける受容体キナーゼのインビボでのマッピングおよび定量のために使用することができる。標識されたEGFR−TK不可逆阻害剤を使用することは、EGFRを過剰発現する腫瘍を有する患者の同定、および、治療期間中のEGFR発現レベルの変化の研究をともに可能にする。そのような診断方法は、作用の治療的経過に関してより良好な患者管理および差別化をもたらし得る。そのうえ、診断方法をEGFR標的治療の臨床的研究に組み込むための要求が増大していることは、EGFR標識阻害剤の潜在的な将来の使用を示唆している。
【0014】
4−アニリノキナゾリン系EGFR−TK阻害剤を放射能標識することがこの分野では報告されている。例えば、PD153035の放射性ヨウ素化アナログ、および、それを用いたMDA−486細胞におけるインビトロ結合研究が報告されている(Mulholland他、1995)。6,7−メトキシ基において炭素−11で標識されたPD153035が、ヒト神経膠芽細胞腫の異種移植片(SH−SY5Y)が移植されたラットにおいて評価されたが、しかし、特異的な取り込みが阻害研究では明らかにされなかった(Johnstrom他、1998)。PD153035はまた、7−メトキシ位が特異的に炭素−11で標識され、生体分布実験が正常なマウスにおいて行われたが、しかし、PD153035の酵素阻止用量の投与は、調査された組織におけるトレーサー取り込みの増大を生じさせたので、取り込み特異性を明らかにすることができなかった(Mulholland他、1997)。同じ要約には、フッ素−18による7−(2−フルオロエトキシ)PD153035アナログの標識化が報告されたが、このトレーサーを用いた生物学的実験は記載されていなかった。
【0015】
米国特許第6126917号(本発明者らに対する特許)、Mishani他(1999)およびBonasera他(2000)はすべて、フッ素−18でアニリン環が標識された4−アニリノキナゾリンファミリーのEGFR−TKの可逆阻害剤を教示する。これらの化合物は、インビトロ、インビボ、およびPET画像分析によって試験された。これらの化合物のいくつかが効果的な(可逆的)阻害活性をインビトロで示した一方で、それらは、フッ素−18FDGとこれらの放射能標識された化合物との間におけるPET比較研究によってさらに明らかにされたように、konおよびkoffならびに速い血中クリアランスなどの速度論的因子のために、EGFR−TKをインビボで画像化するためのトレーサーとしてはやや効果的でないことが見出された。有望なインビトロ結果と、そうではないインビボ結果との不一致は、化合物の結合部位におけるATPの競合に由来することが推定される。
【0016】
そのようなATP結合競合を排除し、従って、EGFR−TKを発現する腫瘍細胞においてより優秀な診断成績および放射線治療活性を潜在的にもたらす、放射能標識されたEGFR−TK阻害剤のより良好な特異性および阻害効果を得るために、Smaill他(Smaill他、2000)によって記載される阻害剤に基づく放射能標識された不可逆阻害剤が合成された。米国特許第6562319号(本発明者らに対する特許)およびBen David他(2003)において教示されるように、4−アニリノキナゾリンのアクリルアミド誘導体が合成され、11Cによって放射能標識され、EGFR−TKを過剰発現する腫瘍細胞のPET画像化について調べられた。実際に、これらの化合物は、A431細胞を用いて行われたインビトロ研究においてEGFRに対する不可逆的かつ迅速な結合効果を示した。しかしながら、インビトロではATP結合競合が除かれ、長期間の阻害効果がこれらの化合物に関して得られた一方で、腫瘍を有するラットにおけるインビボ研究は腫瘍における化合物の高い蓄積を示さなかった。さらなるインビボ研究では、速い分解およびクリアランス、ならびに、腸における化合物の高い蓄積が観測された。このことは、このクラスの化合物の成績は、インビボでの生物利用能が低いこと、および分解によって制限されることを示唆している。
【0017】
従って、上記の限界を有しない、さらには放射能標識化に供することができるEGFR−TKの新規な不可逆阻害剤に対する要求が広く認められており、従って、そのような不可逆阻害剤を有することは非常に好都合である。
【発明の開示】
【0018】
本発明によれば、EGFR−TKの不可逆阻害剤である新規な化合物、ならびに、EGFR−TKに関連づけられる疾患および障害を処置する際に前記化合物を使用する方法が提供される。さらに、本発明によれば、EGFR−TKの新規な放射能標識された不可逆阻害剤、ならびに、放射線造影および放射線治療において前記化合物を使用する方法が提供される。
【0019】
本発明の1つの態様によれば、下記の一般式Iを有する化合物が提供される:

式中、
Q1はX−W(=Y)−Zであり、および、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、または、
Q1は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、および、Q2はX−W(=Y)−Zである;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素および第1の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素および第2の誘導体化基からなる群から選択される。
【0020】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、第1の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオカルボキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される。
【0021】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、第2の誘導体化基は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオカルボキシ、チオカルボニル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択され、または、RおよびRは共に、5員環または6員環を形成する。
【0022】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、脱離基は、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、アジド、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、カルボキシおよびカルバミルからなる群から選択される。
【0023】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アルコキシはモルホリノ基を含む。
【0024】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アルキルアミノはN−ピペラジニル基を含む。
【0025】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、Q1はX−W(=Y)−Zであり、および、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択される。好ましくは、Q2は、本明細書中上記に記載されるように、水素、アルコキシまたはアルキルアミノである。さらに好ましくは、Xは−NR−であり、Yは酸素である。さらに好ましくは、R、RおよびRのそれぞれが水素である。さらに好ましくは、Rは、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される脱離基である。
【0026】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、A、B、CおよびDの少なくとも1つがフッ素である。好ましくは、Dがフッ素である。より好ましくは、Dがフッ素であり、AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cは水素である。
【0027】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、Aは臭素またはヨウ素である。好ましくは、Aが臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である。
【0028】
本発明の別の態様によれば、有効成分としての本明細書中上記に記載される化合物と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む医薬組成物が提供される。
【0029】
医薬組成物は、EGFRチロシンキナーゼに関連づけられる疾患または障害(例えば、細胞増殖障害など)の処置における使用のために、包装物に包装され、および、包装物内または包装物上において活字で同定され得る。
【0030】
細胞増殖障害は、例えば、乳頭腫、芽球神経膠腫、カポジ肉腫、黒色腫、肺ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、扁平上皮ガン、星状膠腫、頭部ガン、頸部ガン、膀胱ガン、乳ガン、肺ガン、直腸結腸ガン、甲状腺ガン、膵臓ガン、胃ガン、肝細胞ガン、白血病、リンパ腫、ホジキン病およびバーキット病であり得る。
【0031】
本発明のなお別の態様によれば、その必要性のある対象において、EGFRチロシンキナーゼに関連づけられる疾患または障害(これらは本明細書中上記に記載される)を処置する方法であって、本明細書中上記に記載される医薬組成物の治療に効果的な量を対象に投与することを含む方法が提供される。
【0032】
本発明のさらに別の態様によれば、細胞増殖を阻害する方法であって、前記細胞を本明細書中上記に記載される本発明の化合物に供することを含む方法が提供される。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の化合物を合成する方法が提供され、この方法は、(a)本明細書中上記に記載されるようなR、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン化合物を、少なくとも1つの反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;および(b)反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、本明細書中上記に記載されるようなR、RおよびRによってα位が置換された反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。
【0034】
反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物が4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンである場合において、この方法はさらに、工程(b)の前に、(c)4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン化合物を還元して、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン化合物を得るようにすることを含む。
【0035】
4−クロロキナゾリン化合物が6位および7位において第1および第2の反応性基によって置換されているとき、この方法はさらに、工程(b)の前に、(d)反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を化学的に反応性の基(例えば、モルホリノアルコキシ基またはN−ピペラジニル基など)と反応させることを含むことができる。
【0036】
反応性カルボン酸誘導体は、好ましくは、α−クロロアセチルクロリドおよびα−メトキシアセチルクロリドからなる群から選択される。
【0037】
本明細書中上記に記載される化合物は様々な放射性同位体によって放射能標識することができる。従って、さらには、本発明のさらなる態様によれば、本明細書中上記に記載される一般式を有する放射能標識された化合物が提供される:
(式中、
Q1はX−W(=Y)−Zであり、および、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、または、
Q1は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、および、Q2はX−W(=Y)−Zである;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素、第1の非放射性の誘導体化基、ならびに、放射性臭素、放射性ヨウ素および放射性フッ素から選択される第1の放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;かつ
およびRはそれぞれが独立して、水素、第2の非放射性の誘導体化基、ならびに、放射性炭素、放射性フッ素、放射性臭素および/または放射性ヨウ素を含有する第2の放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
ただし、化合物は少なくとも1つの放射性原子を含む)。
【0038】
本発明による好ましい放射能標識された化合物には、下記のように、1つまたは複数の放射性原子を有する本明細書中上記に記載される好ましい化合物が含まれる:
【0039】
1つの実施形態において、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性フッ素である。好ましくは、Dが放射性フッ素である。より好ましくは、Dが放射性フッ素であり、AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cは水素である。
【0040】
別の実施形態において、Aが放射性臭素または放射性ヨウ素である。
【0041】
従って、下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、A、B、CおよびDの少なくとも1つが、放射性フッ素、放射性臭素および放射性ヨウ素からなる群から選択される放射性原子である。
【0042】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、放射性フッ素はフッ素−18であり、放射性臭素は臭素−76または臭素−77であり、放射性ヨウ素は、ヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131であり、好ましくはヨウ素−124であり、放射性炭素は炭素−11である。
【0043】
本発明のなおさらなる態様によれば、有効成分としての本明細書中上記に記載されるような本発明の放射能標識された化合物と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む医薬組成物が提供される。
【0044】
本発明のさらなる態様によれば、患者の体内における上皮増殖因子受容体のレベルをモニターする方法が提供され、この方法は、(a)本発明の放射能標識された化合物を患者に投与すること;および(b)体内またはその一部の内部における化合物の分布をモニターするために核造影技術を用いることを含む。
【0045】
そのような技術は、好ましくは、陽電子放射断層撮影法または単光子放射型コンピューター断層撮影法である。
【0046】
放射性原子は、好ましくは、放射性ヨウ素、放射性臭素または放射性フッ素である。
【0047】
さらには、本発明のさらなる態様によれば、本発明の放射能標識された化合物の治療に効果的な量を患者に投与することを含む放射線治療方法が提供される。
【0048】
放射性原子は、好ましくは、放射性ヨウ素または放射性臭素である。
【0049】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書中上記で記載される放射能標識された化合物を合成する方法が提供される。
【0050】
A、B、CおよびDの少なくとも1つがフッ素−18である化合物については、この方法は、(a)R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識アニリン化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つがフッ素−18である)を提供すること;(b)R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識アニリン化合物を、少なくとも1つの反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;および(c)反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、R、RおよびRによってα位が置換された反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。
【0051】
または、この方法は、(a)アミンによって、Rによって、および、フッ素−18でない、A、B、CおよびDのうちの3つによって誘導体化されたアニリン化合物を、第1の反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、アミン、R、ならびに、フッ素−18でない、A、B、CおよびDのうちの3つによって誘導体化された反応性の4−(アミノ置換フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;(b)アミン、R、ならびに、フッ素−18でない、A、B、CおよびDのうちの3つによって誘導体化された反応性の4−(アミノ置換フェニルアミノ)キナゾリン化合物をその第四級アンモニウム塩に変換すること;(c)第四級アンモニウム塩をフッ素−18標識されたイオンと反応させて、その結果、R、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;および(d)反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、R、RおよびRによってα位が置換された反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。
【0052】
A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性臭素または放射性ヨウ素である化合物については、この方法は、(a)R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つがハロゲンである)を、少なくとも1つの反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つがハロゲンである)を得るようにすること;(b)A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を放射性臭素または放射性ヨウ素で放射能標識して、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識の反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性臭素または放射性ヨウ素である)を得るようにすること;および(c)放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識の反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、R、RおよびRによってα位が置換された反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。ハロゲンは好ましくは臭素である。
【0053】
およびRの少なくとも1つが、放射性フッ素、放射性臭素、放射性ヨウ素および/または放射性ヨウ素を含有する第2の放射性の誘導体化基である化合物については、この方法は、R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン化合物を、少なくとも1つの反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;および(b)反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、R、RおよびRによってα位が置換された放射能標識の反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。
【0054】
上記に記載された方法のそれぞれにおいて、反応性カルボン酸誘導体は、好ましくは、α−クロロアセチルクロリドおよびα−メトキシアセチルクロリドからなる群から選択される。
【0055】
上記に記載された方法のそれぞれはさらに、4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン化合物(非標識またはフッ素−18標識)を還元して、その結果、対応する4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン化合物を得るようにすることを含むことができる。
【0056】
4−クロロキナゾリン化合物が6位および7位において第1および第2の反応性基によって置換されている場合、上記に記載された方法のそれぞれはさらに、反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を化学的に反応性の基(例えば、モルホリノアルコキシ基またはN−ピペラジニル基など)と反応させることを含むことができる。
【0057】
本発明は、改善された生物安定性および生物利用能を有する新規な不可逆EGFR−TK阻害剤、従って、治療剤として効率的に使用することができ、および、さらには放射能標識することができ、従って、放射線造影のためのバイオマーカーとして、また、放射線治療のための放射性医薬品として役立ち得るそのような不可逆EGFR−TK阻害剤を提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
【0058】
別途定義されない場合、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と同様または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。また、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0059】
本発明は、例としてだけであるが、添付されている図面を参照して、本明細書中に記載される。次に図面を詳しく具体的に参照して、示されている細目は、例としてであり、また、本発明の好ましい実施形態の例示的な議論のためだけのものであり、従って、本発明の原理および概念的態様の最も有用かつ容易に理解された記述であると考えられるものを提供するために示されていることが強調される。これに関して、記述を図面と一緒に理解することにより、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具体化され得るかが当業者には明らかになるので、発明の構造的詳細を、発明の基本的な理解のために必要であるよりも詳細に示すことは試みられていない。
図面の簡単な記述
図1は可逆EGFR阻害剤(IrresaおよびTerceva、図1a)および不可逆EGFR阻害剤(PD168393およびPD160678、図1b)の背景技術での化学構造を示す
図2は本発明による不可逆EGFR−TK阻害剤の代表的な例(化合物1〜6)を調製するための合成経路を示すスキームである。
図3は本発明によるフッ素−18標識された不可逆EGFR−TK阻害剤の代表的な例(フッ素−18標識された化合物5および化合物6)を調製するための代表的な放射性合成経路を示すスキームである。
図4は本発明による放射性臭素標識および放射性ヨウ素標識された不可逆EGFR−TK阻害剤の代表的な例(放射性臭素標識された化合物1および化合物2、ならびに放射性ヨウ素標識された化合物3および化合物4)を調製するための代表的な放射性合成経路を示すスキームである。
図5は様々な濃度の化合物5とのインキュベーション、そして1時間のインキュベーションの後でのEGF刺激−溶解の後(図5a、黒塗り棒)、および続く8時間のポストインキュベーションの後でのEGF刺激−溶解の後(図5a、四角パターンの棒)におけるA431細胞におけるEGFR自己リン酸化レベルを示す棒グラフ(図5a)およびウエスタンブロット(図5b)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本発明は、不可逆EGFR−TK阻害剤であり、従って、EGFRに関連づけられる疾患または障害の処置において使用することができる新規な化合物、ならびに、さらには放射能標識することができ、従って、陽電子放射断層撮影法(PET)および単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)などの放射線造影のためのバイオマーカーとして、また、放射線治療のための放射性医薬品として使用することができる新規な化合物に関する。具体的には、本発明の非標識化合物または放射能標識された化合物は、EGFR−TKの増幅、変異および/または過剰発現が生じている障害または疾患(例えば、様々なガンなど)の処置における治療剤として使用することができ、それにより、本発明の放射能標識された化合物はさらに、そのようなEGFR−TK関連の疾患または障害の定量、マッピングおよび放射線治療のための不可逆的なPETバイオマーカーまたはSPECTバイオマーカーとして使用することができる。本発明はさらに、これらの化合物を含有する医薬組成物、ならびにこれらの化合物の化学合成および放射性合成に関する。
【0061】
本発明の原理および操作は、図面および付随する記述を参照してより良く理解することができる。
【0062】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明において示される細部、または実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施することが可能であり、または様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであり、限定であるとして見なしてはならないことを理解しなければならない。
【0063】
本明細書中上記で詳しく議論されているように、不可逆EGFR−TK阻害剤として作用する4−(フェニルアミノ)キナゾリンの新規なクラスが最近になって明らかにされている。このクラスの化合物は、α,β−不飽和側鎖を含む、キナゾリン環に結合したカルボン酸成分によって特徴づけられる。このα,β−不飽和側鎖は、EGFR−TKのATP結合部位においてCys−773に対して共有結合的に結合するマイケル型アクセプターとして作用し、従って、阻害剤を不可逆的にする。しかしながら、これらの化合物の一部はインビトロ実験およびインビボ実験の両方においてEGFR阻害に対する高い効能を示した(Smaill他、2000)一方で、EGFRを発現する腫瘍細胞における高い蓄積、生物利用能、および低下した生分解が要求される核造影などの適用におけるこれらの化合物の使用は制限されることが見出された。
【0064】
インビボ性能が改善されたEGFR−TK不可逆阻害剤に対する探索において、本発明者らは、その不可逆結合性に影響を及ぼすことなくその化学的反応性が低下するように上記の不可逆阻害剤の特定の構造的特徴および化学的特徴を改変することにより、低下した生分解、高まった生物利用能を有し、および、従って、診断適用および治療適用の両方のための要求されるインビボ性能を有する不可逆阻害剤がもたらされることを仮定している。より具体的には、非常に化学的な反応性基であるカルボン酸成分のα,β−不飽和側鎖を、反応性があまりない基によって置換することにより、阻害剤の生物安定性が高まることが考えられた。さらに、脱離基によるα,β−不飽和側鎖の置換は、そのような阻害剤の不可逆性が影響されないように、カルボン酸成分に対するα炭素が部分的に正に荷電し、そのために受容体結合部位においてシステイン成分による求核攻撃を十分に受けやすい側鎖をもたらし、従って、それらの間での共有結合の形成をもたらすことが考えられた。しかしながら、そのようなα炭素中心のHOMO−LUMOの電子軌道のエネルギーギャップはα,β−不飽和基におけるβ炭素のエネルギーギャップよりも大きいので、そのような化合物の生物利用能が、アクリルアミド誘導体と比較して増大することがさらに仮定された。上記を考慮して、そのような化合物の阻害能力が、上記に示される提案された構造変化によって劇的に影響されず、その結果、その有効量が(現在知られている不可逆EGFR−TK阻害剤の有効量のように)ナノモル濃度の範囲に留まるようになるならば、これらの阻害剤は、共有結合による結合を可能にするように十分に長く受容体結合部位において保持され、従って、高まった生物利用能および生物安定性によって特長づけられる効率的な不可逆EGFR−TK阻害剤として作用し得ることがさらに推定された。
【0065】
本発明を実施に移しているとき、そのような新しく設計された化合物で、キナゾリン環に結合したα−クロロアセトアミド基またはα−メトキシアセトアミド基を有する化合物は、EGFRに対する高い親和性、および、受容体に不可逆的に結合する大きい能力を示すことが実際に見出された。従って、このことは、改善されたEGFR−TK不可逆阻害剤としてのそれらの潜在的可能性、および、結果として、改善された治療剤としてのそれらの潜在的可能性を示している。様々な放射性同位体による放射能標識化にさらに供され得るそのような化合物を設計することによって、改善された診断剤および放射線治療剤として役立ち得る新規な放射能標識されたEGFR−TK不可逆阻害剤が調製されることがさらに見出された。
【0066】
従って、本発明の1つの態様によれば、下記の一般式Iを有する化合物が提供される:

式中、
Q1はX−W(=Y)−Zであり、および、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、または、Q1は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、および、Q1はX−W(=Y)−Zである;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素および第1の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;かつ
およびRはそれぞれが独立して、水素および第2の誘導体化基からなる群から選択される。
【0067】
本明細書中で使用される表現「誘導体化基」は、共有結合により別の基に結合する基の主要な部分を示す。
【0068】
用語「ハロゲン」は、本明細書中では「ハロ」としてもまた示されるが、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。
【0069】
本明細書中で使用される用語「ヒドロキシ」は−OH基を示す。
【0070】
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を示す。好ましくは、アルキル基は、1個〜10個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルである。より好ましくは、アルキル基は、1個〜6個の炭素原子を有する低級アルキルである。最も好ましくは、アルキル基は、1個〜4個の炭素原子を有するアルキルである。アルキル基の代表的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルがある。
【0071】
アルキル基は、本発明によれば、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ハロ、ペルハロ、トリハロメチル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、チオカルボキシ、カルバミル、シアノ、ニトロ、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノ、N−ヘキサヒドロアゼピン、アミノまたはNRbRc(式中、RbおよびRcはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリール、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノおよびN−ヘキサヒドロアゼピンである)であり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
【0072】
用語「ハロアルキル」は、1個または複数個のハロゲン原子によって置換されている本明細書中上記で定義されるようなアルキル基を示す。
【0073】
本明細書中で使用される用語「シクロアルキル」は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべてが炭素の単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。シクロアルキル基の非限定な例には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエンおよびアダマンタンがある。
【0074】
用語「アルコキシ」は、本明細書中上記で定義されるように、−O−アルキル基および−O−シクロアルキル基の両方を示す。アルコキシ基の代表的な例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびtert−ブトキシが含まれる。
【0075】
−O−アルキル基および−O−シクロアルキル基は、本発明によれば、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ハロ、ペルハロ、トリハロメチル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、チオカルボキシ、カルバミル、シアノ、ニトロ、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノ、N−ヘキサヒドロアゼピン、アミノまたはNRbRc(式中、RbおよびRcはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノおよびN−ヘキサヒドロアゼピンである)であり得る(これらの用語は本明細書中で定義される)。
【0076】
用語「チオヒドロキシ」は−SH基を示す。
【0077】
用語「チオアルコキシ」は、本明細書で定義されるように、−S−アルキル基および−S−シクロアルキル基の両方を示す。
【0078】
用語「アミノ」は−NH基を示す。
【0079】
用語「アルキルアミノ」は−NRbRc基(式中、RbおよびRcはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノおよびN−ヘキサヒドロアゼピン(これらの用語は本明細書中で定義される)であり、または、RbおよびRcは、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノおよびN−ヘキサヒドロアゼピン(これらに限定されない)などの環状アミノ化合物を形成するように、相互に共有結合的に結合する)を示す。
【0080】
用語「カルボキシ」は−C(=O)−OR’基(式中、R’は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール(これは環炭素を介して結合する)または複素脂環(これは環炭素を介して結合する)である)を示す(これらは本明細書中で定義される)。
【0081】
用語「アルコキシカルボニル」は、本明細書中では交換可能に「カルバルコキシ」としてもまた示されるが、R’が水素でない本明細書中上記で定義されるようなカルボキシ基を示す。
【0082】
用語「カルボニル」は−C(=O)−R’基(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を示す。
【0083】
用語「チオカルボニル」は−C(=S)−R’基(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を示す。
【0084】
「アリール」は、完全共役のπ電子系を有する、すべてが炭素の単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。アリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルがある。
【0085】
「フェニル」基は、本発明によれば、1個〜3個の置換基によって置換され得るか、または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノ、トリハロメチル、アルキルアミノまたは単環ヘテロアリールであり得る。
【0086】
用語「ヘテロアリール」基には、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基が含まれる。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが含まれる。
【0087】
「複素脂環」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有する単環基または縮合環基を示す。環はまた、1つまたは複数の二重結合を有することができる。しかしながら、環は完全共役のπ電子系を有しない。
【0088】
「アリールオキシ」基は、本明細書中で定義されるように、−O−アリール基および−O−ヘテロアリール基の両方を示す。
【0089】
「チオアリールオキシ」基は、本明細書中で定義されるように、−S−アリール基および−S−ヘテロアリール基の両方を示す。
【0090】
「トリハロメチル」基は−CX基(式中、Xは、本明細書中で定義されるようなハロゲンである)を示す。トリハロメチル基の代表的な例は−CF基である。
【0091】
「ペルハロ」基は、その水素原子のすべてがハロゲン原子によって置換されている基を示す。
【0092】
「チオカルボキシ」は−C(=S)−OR’基(式中、R’は本明細書中で定義される通りである)を示す。
【0093】
「スルフィニル」基は−S(=O)−R’基(式中、R’は本明細書中で定義される通りである)を示す。
【0094】
「スルホニル」基は−S(=O)−R’基(式中、R’は本明細書中で定義される通りである)を示す。
【0095】
「カルバミル」は−OC(=O)−NRbRc基(式中、RbおよびRcは本明細書中で定義される通りである)を示す。
【0096】
「ニトロ」基は−NO基を示す。
【0097】
「シアノ」基は−C≡N基を示す。
【0098】
用語「N−ピペラジニル」は、本明細書中では「N−ピペラジノ」としてもまた示されるが、

基を示す。
【0099】
用語「N−ピペリジニル」は、

基を示す。
【0100】
用語「N−ピペラジニル−N−アルキル」は、

(式中、R’は、本明細書中上記で定義されるようなアルキルである)
を示す。
【0101】
用語「N−ピロリジニル」は、

基を示す。
【0102】
用語「ピリジニル」は、

基を示す。
【0103】
用語「N−イミダゾイル」は、

基を示す。
【0104】
用語「N−モルホリノ」は、

基を示す。
【0105】
用語「N−チオモルホリノ」は、

基を示す。
【0106】
用語「N−ヘキサヒドロアゼピン」は、

基を示す。
【0107】
従って、本発明の化合物は、脱離基によってα位が置換されているカルボン酸基(これはまた、X−W(=Y)−Z基として本明細書中では定義される)によってキナゾリン環の6位または7位が置換された、誘導体化された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物である。
【0108】
本明細書中を通して使用され、また、この分野では広く知られているように、表現「脱離基」は、求核反応において求核成分によって容易に置換され得る化学的成分を示す。脱離基の代表的な例には、限定されないが、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、カルボキシおよびカルバミル(これらの用語は本明細書中上記で定義される)が含まれ、ハロゲンおよびアルコキシが現在最も好ましい。脱離基のさらなる例には、限定されないが、アジド、スルホンアミド、ホスホニルおよびホスフィニルが含まれる。
【0109】
本明細書中で使用される用語「アジド」は−N基を示す。
【0110】
用語「スルホンアミド」は、−S(=O)−NR’R”(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りであり、R”はR’について定義される通りである)を示す。
【0111】
用語「ホスホニル」により、−O−P(=O)(OR’)基(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)が記載される。
【0112】
用語「ホスフィニル」により、−PR’R”基(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)が記載される。
【0113】
この分野において記載されるように(例えば、米国特許第6126917号およびSmaill他(2000)を参照のこと)、4−(フェニルアミノ)キナゾリン系EGFR−TK阻害剤の生物学的活性のレベルは、可逆的または不可逆的であっても、そのアニリノ環およびキナゾリン環の両方における誘導体化基の性質によって影響を受ける。これらの誘導体化基の性質は、受容体に対する化合物の結合親和性、ならびに他の生物学的活性パラメーター(例えば、特異性、化合物の代謝、および速度論的速度など)に影響を及ぼし得る。
【0114】
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物の誘導体化基は、(第1の誘導体化基として、A、B、CおよびDによって本明細書中上記の式Iにおいて表されるように)アニリン環に結合し、これには、例えば、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオヒドロキシ、チオカルボキシ、チオアルコキシ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノ(これらの用語は本明細書中上記に定義される)が含まれる。
【0115】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、誘導体化基は、(Q1またはQ2のいずれかによって本明細書中上記の式Iにおいて表されるように)キナゾリン環に結合し、これには、例えば、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノが含まれる。好ましくは、この誘導体化基はアルコキシ基であり、より好ましくは、モルホリノ基を含むアルコキシ基であり、例えば、3−(4−モルホリニル)プロポキシ基(これに限定されない)などである。さらに好ましくは、誘導体化基は、置換または非置換のモルホリノ基、または、置換または非置換のピペラジノ基である。このクラスの化合物におけるモルホリノ基またはピペラジノ基の存在は、その生物学的利用能を増大させることが知られている(Smaill他、2000)。
【0116】
本発明の化合物の結合能力に影響を及ぼす別の要因は、カルボン酸基がキナゾリン環に結合している位置である。6位のカルボン酸基は、EGFR−TKのATP結合部位に対してより大きい結合能力を有する(Smaill他、1999;Smaill他、2000;米国特許第6153617号および同第6127374号)。従って、本発明の別の好ましい実施形態によれば、化合物のX−W(=Y)−Z基は、上記の式IにおけるQ1がX−W(=Y)−Zであるようにキナゾリン環の6位に結合する。
【0117】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、脱離基によって置換される6位のカルボン酸基はα−クロロアセトアミド基またはα−メトキシアセトアミド基である。従って、本発明による好ましい化合物は、R、A、B、CおよびD(これらの記号は上記で定義される)によって誘導体化されたN−[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]−2−クロロアセトアミドおよびN−[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]−2−メトキシアセトアミドであり、前者がより活性であり、従って、現時点ではより好ましい。これらの化合物は、Q1がX−W(=Y)−Zであり、Xが−NH−であり、Yが水素であり、Zがそれぞれ−CHClまたはCHOCHである本明細書中上記の式Iによって表される。
【0118】
例えば、米国特許第6127917号において教示されるように、フッ素によってアニリノ基の6位が誘導体化される4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物は、EGFR−TKの強力な阻害剤である。受容体に対する最も大きい親和性が、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン化合物を使用して達成される。
【0119】
従って、本発明による好ましい化合物は、Rが水素であり、AおよびBのそれぞれが塩素であり、Cが水素であり、Dがフッ素である化合物である。より好ましい化合物は、Rが水素であり、AおよびBのそれぞれが塩素であり、Cが水素であり、Dがフッ素である本明細書中上記に記載されるN−[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]−2−クロロアセトアミドおよびN−[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]−2−メトキシアセトアミドである。これらの化合物は本明細書中では化合物5および化合物6としてそれぞれ示される。
【0120】
米国特許第6562319号および米国特許出願第20020128553号において教示されるように、臭素またはヨウ素によってアニリノ基の3位が誘導体化される4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物もまた、EGFR−TKの強力な阻害剤である。これらの化合物はさらに、本明細書中下記において詳しく記載されるように、非常に強力な放射能標識された化合物である、放射性臭素または放射性ヨウ素で標識された化合物のための前駆体として役立つ。
【0121】
従って、本発明によるさらなる好ましい化合物は、Rが水素であり、Aが臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDのそれぞれが水素である化合物である。より好ましい化合物は、Rが水素であり、Aが臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDのそれぞれが水素である本明細書中上記に記載されるN−[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]−2−クロロアセトアミドおよびN−[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]−2−メトキシアセトアミドである。これらの化合物は本明細書中では化合物1〜化合物4として示される。
【0122】
本明細書中上記で議論されているように、上記で記載された好ましい化合物はそれぞれが、好都合には、キナゾリン環の7位においてアルコキシ(例えば、3−(4−モルホリノ)プロポキシ基)またはアルキルアミノ基(例えば、ピペラジノ基)によってさらに誘導体化され得る。
【0123】
脱離基によって置換されるカルボン酸基(本明細書中上記の式IにおけるX−W(=Y)−Zによって表される)はさらに、1つまたは複数の誘導体化基(第2の誘導体化基としてRおよび/またはRによって本明細書中上記の式Iにおいて表される)によって置換され得る。そのような誘導体化基は、例えば、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオカルボキシ、チオカルボニル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノ(これらの用語は本明細書中上記で定義される)であり得る。または、RおよびRは共に、5員環または6員環を形成することができ、例えば、シクロアルキル、複素脂環、フェニルまたはヘテロアリール(これらの用語は本明細書中上記で定義される)などを形成することができる。
【0124】
化学合成:
本明細書中の別の態様によれば、本発明の化合物を合成するための方法が提供される。本発明の方法は、本明細書中上記に記載されるように、本明細書中上記で記載されるR、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン化合物を、1つまたは複数の反応性基によって6位および/または7位が置換されている4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、R、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること、および、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、脱離基によってα位が置換され、また場合により誘導体化基によって置換されている反応性カルボン酸誘導体と反応することによって達成される。または、本発明の方法はさらに、反応性カルボン酸誘導体とのその反応の前に、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を化学的に反応性の基と反応して、その結果、反応性の置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすることを含む。
【0125】
本明細書中で使用される用語「反応性(の)」は、基または誘導体に関しては、新しい官能基を含む新しい化合物を生じさせるように別の基と容易に反応し得る基または誘導体を示す。反応性の基の代表的な例には、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシおよびハロゲンが含まれる。カルボン酸塩化物が反応性カルボン酸誘導体の代表例である。ヒドロキシアルキルの金属塩を含むアルコキシ基は化学的に反応性の基の代表例である。好ましくは、化学的に反応性の基は、本明細書中では3−(4−モルホリニル)プロポキシとしてもまた示される3−(4−モルホリニル)−1−プロパノールの金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩またはリチウム塩)を含む。
【0126】
その6位が1つの反応性基によって置換されるキナゾリン化合物を含む1つの具体例では、3,4−ジクロロ−6−フルオロアニリンが4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させられ、その結果、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンが得られるようにされ、次いで、これを、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液によって還元して、その結果、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンが得られるようにされる。次いで、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンをα−クロロアセチルクロリドまたはα−メトキシアセチルクロリドと反応させて、その結果、N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミド(化合物5)およびN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミド(化合物6)がそれぞれ得られるようにされる。
【0127】
別の具体例では、出発物質が3−ブロモアニリンであり、最終生成物がN−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミド(化合物1)またはN−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミド(化合物2)である。
【0128】
さらに別の具体例では、出発物質が3−ヨードアニリンであり、最終生成物がN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミド(化合物3)またはN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミド(化合物4)である。
【0129】
その6位および7位が2つの異なる反応性基によって置換されるキナゾリン化合物を含むさらに別の具体例では、上記に記載される誘導体化されたアニリン化合物のいずれかが4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンと反応させられ、その結果、誘導体化された4−[(フェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンが得られるようにされる。次いで、この誘導体化された4−[(フェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを3−(4−モルホリニル−1−プロパノール)のナトリウム塩と反応させて、その結果、誘導体化された4−[(フェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンが得られるようにされる。次いで、これを、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液によって還元して、その結果、誘導体化された6−アミノ−4−[(フェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンが得られるようにされる。その後、この生成物を2−クロロアセチルクロリドまたは2−メトキシアセチルクロリドと反応させて、その結果、本発明によるモルホリノ置換された化合物が得られるようにされる。
【0130】
または、誘導体化された4−[(フェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンは同様に、ピペラジニルのナトリウム塩と反応させることができ、その結果、本発明によるピペラジニル置換された化合物が得られるようにされる。
【0131】
生化学:
下記の実施例の節において明らかにされるように、本発明の新規な化合物の代表的な例がEGFRに対するそれらの結合について試験され、それらは、EGFRに対する高い親和性およびEGFRに対する実質的な不可逆結合を示した。従って、これらの化合物は、EGFR−TKの活性を阻害することが有益である疾患または障害を処置するために効率的に役立ち得る。
【0132】
従って、本発明の別の態様によれば、EGFR−TKに関連づけられる疾患または障害を処置する方法が提供される。本発明のこの態様によるこの方法は、その必要性のある対象に、本明細書中上記に記載されるような本発明の化合物において治療に効果的な量を、それ自体として、または、より好ましくは、例えば、本明細書中下記において詳しく記載されるような医薬的に許容され得るキャリアと混合された医薬組成物の一部として、そのいずれかであっても投与することによって達成される。
【0133】
用語「方法」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、それらには、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の分野の実施者に知られているか、または、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の分野の実施者によって、知られている様式、手段、技術および手順から容易に開発されるかのいずれかであるそのような様式、手段、技術および手順(これらに限定されない)が含まれる。
【0134】
本明細書中で使用される用語「投与する」は、本発明の化合物が、直接的に、すなわち、キナーゼ自体と相互作用することによるか、または、間接的に、すなわち、キナーゼの触媒活性が依存する別の分子と相互作用することによるかのいずれかであってもEGFR−TKの触媒活性に影響を及ぼし得るような様式で、本発明の化合物および標的のEGFRを一緒にするための方法を示す。本明細書中で使用されるように、投与は、インビトロで、すなわち、試験管内において、または、インビボで、すなわち、生きている生物の細胞もしくは組織においてのいずれかであっても達成され得る。
【0135】
本明細書中において、用語「処置する」は、疾患または障害の進行を阻止するか、または実質的に阻害するか、または遅くさせるか、または逆転させるか、または、疾患または障害の臨床的症状を実質的に改善するか、または、疾患または障害の臨床的症状の出現を実質的に妨げることを包含する。
【0136】
本明細書中において、用語「妨げる」は、生物が第一に障害または疾患を獲得することを阻むための方法を示す。
【0137】
用語「治療に効果的な量」は、処置されている疾患または障害の症状の1つまたは複数をある程度、緩和する、投与し続けられる化合物のそのような量を示す。
【0138】
本発明のこの方法において使用される任意の化合物について、治療に効果的な量は、本明細書中では治療好適な用量としてもまた示されるが、最初は細胞培養アッセイから推定することができる。例えば、用量を、細胞培養において決定されるようなIC50またはIC100を含む循環濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて定めることができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。最初の投薬量はまた、インビボデータから推定することができる。これらの最初の指針を使用して、当業者はヒトにおける効果的な投薬量を決定することができる。
【0139】
さらに、本明細書中に記載される放射能標識された化合物の毒性および治療効力を、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法によって、例えば、LD50およびED50を決定することによって明らかにすることができる。毒性作用と治療効果との用量比は治療指数であり、LD50およびED50の比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおける使用のために毒性でない投薬量範囲を定める際に使用することができる。そのような化合物の投薬量は、好ましくは、毒性をほとんど伴わない、ED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる投薬物形態および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingle他、1975、The Pharmacological Basis of Therapeutics、第1章、1頁を参照のこと)。
【0140】
投薬量および投薬間隔は、治療効果を維持するために十分である活性な化合物の血漿中レベルをもたらすために個々に調節することができる。経口投与のための有用な患者投薬量は約50mg/kg/日〜2000mg/kg/日の範囲であり、一般には約100mg/kg/日〜1000mg/kg/日の範囲であり、好ましくは約150mg/kg/日〜700mg/kg/日の範囲であり、最も好ましくは約250〜500mg/kg/日の範囲である。好ましくは、治療効果的な血清中レベルが毎日の複数回の服薬によって達成される。局所投与または選択的取り込みの場合、薬物の効果的な局所的濃度が血漿中の濃度に関連しないことがある。当業者は、過度な実験を用いることなく治療効果的な局所的投薬量を最適化することができる。
【0141】
本明細書中で使用される「EGFR−TKに関連づけられる疾患または障害」は、不適切なEGFR−TK活性またはEGFR−TKの過度な活性によって特徴づけられる疾患または障害を示す。不適切な活性は、(i)通常の場合にはEGFR−TKを発現しない細胞におけるEGFR−TK発現;(ii)望ましくない細胞増殖、分化および/または成長を生じさせる増大したEGFR−TK発現;または(iii)細胞増殖、分化および/または成長の望ましくない低下を生じさせる低下したEGFR−TK発現のいずれかを示す。EGFR−TKの過度な活性は、細胞増殖、分化および/または成長の障害と相関し得る(すなわち、EGFR−TKのレベルが増大するに従い、細胞障害の症状の1つまたは複数の重篤度が増大する)、特定のEGFR−TKをコードする遺伝子の増幅、または、そのようなレベルのEGFR−TK活性の生成のいずれかを示す。過度な活性はまた、リガンド結合に関係するEGFR−TKのフラグメントの欠失などの変異の結果としてのリガンド依存的な活性化または構成的な活性化の結果であり得る。
【0142】
本明細書中に記載される化合物が、防止、処置および研究において有用であり得る好ましい疾患または障害は、細胞増殖障害であり、例えば、乳頭腫、芽球神経膠腫、カポジ肉腫、黒色腫、肺ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、扁平上皮ガン、星状膠腫、頭部ガン、頸部ガン、膀胱ガン、乳ガン、肺ガン、直腸結腸ガン、甲状腺ガン、膵臓ガン、胃ガン、肝細胞ガン、白血病、リンパ腫、ホジキン病およびバーキット病(これらに限定されないが)などである。
【0143】
従って、さらに本発明によれば、本明細書中上記に記載される化合物のいずれかを細胞に供することによって細胞増殖を阻害する方法が提供される。本発明の好ましい実施形態において、細胞は生物(例えば、ヒト)のものであり、そのため、細胞に化合物を供することはインビボで行われる。または、細胞に化合物を供することはインビトロで行われる。
【0144】
放射能標識された化合物:
本明細書中上記で議論され、また、本明細書中下記においてさらに記載されるように、不可逆EGFR−TK阻害剤は放射線造影などの診断適用において特に有用である。従って、本発明の新規な化合物は、様々な放射性同位体による様々な位置におけるその放射能標識化を可能にするように設計された。下記の実施例の節において例示されるように、本発明による放射能標識された化合物の代表的な例が成功裏に調製された。
【0145】
従って、本発明の別の態様によれば、下記の一般式IIIを有する放射能標識された化合物が提供される:

式中、
Q1はX−W(=Y)−Zであり、および、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、または、
Q1は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、および、Q2はX−W(=Y)−Zである;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素、第1の非放射性の誘導体化基、ならびに、放射性臭素、放射性ヨウ素および放射性フッ素から選択される第1の放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;かつ
およびRはそれぞれが独立して、水素、第2の非放射性の誘導体化基、ならびに、放射性フッ素、放射性臭素、放射性ヨウ素および/または放射性炭素を含有する第2の放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
ただし、化合物は少なくとも1つの放射性原子を含む。
【0146】
本明細書中で使用される表現「放射能標識された化合物」または表現「放射性原子」(タイプが指定されているか否かによらず)は、その原子についてバックグラウンドレベルの比放射能を越える比放射能を有する1個または複数個の放射性原子を含む化合物、または、その原子についてバックグラウンドレベルの比放射能を越える比放射能を有する放射性原子を示す。これに関して、天然に存在する元素は、そのいくつかが放射性同位体である様々な同位体の形態で存在することが広く知られている。天然に存在する元素の放射能はこれらの同位体の天然の分布の結果であり、一般にはバックグラウンド放射能レベルとして示される。しかしながら、ある元素を、放射性である同位体に関して濃縮する様々な方法が知られている。そのような濃縮の結果は、その原子の天然の集団よりも高い放射能によって特徴づけられる原子の集団であり、従って、その比放射能はバックグラウンドレベルを越えている。
【0147】
従って、本発明の放射能標識された化合物は、対応する非標識化合物よりも大きい比放射能を有しており、従って、放射線造影および放射線治療のための薬剤として使用することができる。
【0148】
さらに、用語「非放射性」は、原子または誘導体化基に関して本明細書中で使用される場合、放射性原子を含まない原子または誘導体化基(この表現は本明細書中上記で定義される)を示し、従って、その比放射能はバックグラウンドレベルである。
【0149】
用語「放射性」は、原子または誘導体化基に関して本明細書中で使用される場合、放射性原子を含む原子または誘導体化基を示し、従って、その比放射能はバックグラウンドレベルを越えている。
【0150】
本発明による好ましい放射能標識された化合物には、放射性炭素、放射性フッ素、放射性臭素および放射性ヨウ素の1つまたは複数個によって放射能標識された本明細書中上記に記載される好ましい化合物が含まれる。
【0151】
放射性炭素は好ましくは炭素−11である。放射性フッ素は好ましくはフッ素−18である。放射性臭素は臭素−76または臭素−77であり得る。放射性ヨウ素は、ヨウ素−123、ヨウ素−124およびヨウ素−131であり得る。本発明の好ましい実施形態によれば、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性フッ素であり、放射性フッ素はフッ素−18である。好ましくは、Dがフッ素−18である。従って、本発明による好ましいフッ素−18標識された化合物には、フッ素−18で標識された化合物5および化合物6が含まれる。
【0152】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、放射性原子は、臭素−76および臭素−77などの放射性臭素である。好ましくは、Aが放射性臭素である。従って、本発明による好ましい放射性臭素標識された化合物には、臭素−76標識および臭素−77標識の化合物1および化合物2が含まれる。本発明の臭素−76標識された化合物はPET放射線造影のために使用することができ、一方、本発明の臭素−77標識された化合物は放射線治療のために使用することができる。
【0153】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、放射性原子は、ヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131などの放射性ヨウ素である。好ましくは、Aが放射性ヨウ素である。従って、本発明による好ましい放射性ヨウ素標識された化合物には、ヨウ素−123標識、ヨウ素−124標識およびヨウ素−131標識の化合物3および化合物4が含まれる。
【0154】
本発明のヨウ素−123標識された化合物はSPECT放射線造影のために使用することができ、本発明のヨウ素−124標識された化合物はPET放射線造影および/または放射線治療の両方のために使用することができ、本発明のヨウ素−131標識された化合物は放射線治療のために使用することができる。
【0155】
本発明による現時点で最も好ましい放射能標識された化合物は、ヨウ素−124で標識された化合物3および化合物4である。ヨウ素−124の放射性同位体はPET診断使用においてますます重要になっている。ヨウ素−124は陽電子放出(25.6%)および電子捕獲(74.4%)によって自然崩壊する(t1/2=4.2日)。短い範囲のオージエ電子(9.2個/崩壊)のその量のために、ヨウ素−124はまた、潜在的な治療用核種として議論されている。
【0156】
検討されたそれ以外の選択され得る放射性同位体と比較して、この同位体の半減期が実質的により長いことは、放射能標識された化合物を注射した後における長期間の追跡調査を可能にする。受容体の自己リン酸化の後、放射能標識された化合物は20時間の半減期で分解し、従って、画像化のための十分な受容体−リガンド結合時間を可能にする。
【0157】
上記に加えて、本発明の放射能標識された化合物は、RおよびRの一方または両方が、本明細書中上記で記載される放射性原子のいずれかを含む放射性の誘導体化(これは本明細書中では第2の放射性の誘導体化基として定義される)であるように、放射性原子をカルボン酸側鎖(これは上記の式IIIにおいてX−W(=Y)−Zによって表される)において含むことができる。第2の誘導体化基は、例えば、放射性フッ素(例えば、フッ素−18)で標識された、または放射性臭素(例えば、臭素−76または臭素−77)で標識された、または放射性ヨウ素(例えば、ヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131)で標識されたハロアルキル、(それにより置換される)シクロアルキル、または(それにより置換される)アリールであり得る。または、第2の誘導体化基は、例えば、放射性炭素(例えば、炭素−11)で標識されたアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、カルボニルおよびカルバミルであり得る。
【0158】
放射性合成:
本発明の別の態様によれば、本発明の放射能標識された化合物を合成するための方法が提供される。
【0159】
化合物の放射能標識化は、下記のような4つの代替的な方法を使用して行うことができる:
【0160】
第1の方法では、フッ素−18原子をアニリン環に取り込むことが伴い、放射能標識化が、下記の実施例の節においてさらに例示されるように、典型的には合計で4工程〜8工程の放射性合成を含む多段階放射性合成の最初の工程であることが要求される。
【0161】
第2の方法でもまた、フッ素−18原子をアニリン環に取り込むことが伴う。しかしながら、この新しく開発された方法では、図3に示されるが、放射能標識化が合成の最終工程の前の2工程で行われ、従って、これはより好都合な3工程の放射性合成である。
【0162】
本発明に従って放射能標識するための第3の方法では、合成の最終工程で行われる、炭素−11原子をα−置換カルボン酸残基に取り込むことが伴い、従って、これは好都合な1工程の放射性合成である。
【0163】
第4の方法では、放射性臭素または放射性ヨウ素を合成の最終工程の前において4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物のアニリノ環に取り込むことが伴い、これは好都合な2工程の放射性合成をもたらす。上記の方法に基づく一般的および詳細な放射性合成手順が下記の実施例の節において記載される。
【0164】
下記の実施例の節において明らかにされるように、これらの方法を使用して、本発明のフッ素−18標識化合物およびヨウ素−124標識化合物の代表的な例が放射性合成されている。
【0165】
放射線造影および放射線治療:
本明細書中に記載される放射能標識された化合物は放射線造影剤および放射線治療剤として使用することができる。本発明の炭素−11標識化合物、フッ素−18標識化合物、臭素−76標識化合物およびヨウ素−124標識化合物はPET放射線造影のためのバイオマーカーとして使用することができ、これに対して、本発明のヨウ素−123標識化合物はSPECT放射線造影のためのバイオマーカーとして使用することができる。本発明の臭素−77標識化合物、ヨウ素−124標識化合物およびヨウ素−131標識化合物は放射線治療のための放射性医薬品として使用することができる。従って、本発明の放射能標識された化合物は、体内またはその一部における化合物の分布をモニターするために、本明細書中に記載される炭素−11放射能標識化合物、フッ素−18放射能標識化合物、臭素−76放射能標識化合物、ヨウ素−123放射能標識化合物またはヨウ素−124放射能標識化合物のいずれかを患者に投与し、陽電子放射断層撮影法または単光子放射型コンピューター断層撮影法などの核造影技術を用いることによって患者の体内における上皮増殖因子受容体のレベルをモニターする方法を行うために使用することができる。
【0166】
核造影のための投薬は、その受容体に対する化合物の親和性、用いられる同位体、および標識の比活性に依存する。当業者は最適な核造影投薬量および投薬方法を容易に決定することができる。
【0167】
本明細書中に記載される臭素−77放射能標識化合物、ヨウ素−124放射能標識化合物およびヨウ素−131放射能標識化合物は、本明細書中上記に定義されるような治療に効果的な量の本明細書中に記載されるような放射能標識された化合物を、それ自体で、または、好ましくは、例えば、医薬的に許容され得るキャリアと混合された医薬組成物の形でのいずれかであっても患者に投与することによって放射線治療の方法を行うために使用することができる。
【0168】
医薬組成物:
本明細書中に記載される化合物(非標識化合物および放射能標識された化合物)はどれも、疾患または障害の治療(例えば、ガン治療)のために、あるいは疾患または障害の放射線治療のために、あるいは造影のために使用することができる医薬組成物に配合することができる。そのような配合物は、有効成分としての本明細書中に記載される化合物のいずれかと、医薬的に許容され得るキャリアとを含む。
【0169】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される化合物の1つまたは複数と、医薬的に好適なキャリアおよび賦形剤などの他の化学的成分との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
【0170】
以降、用語「医薬的に許容され得るキャリア」は、生物に対する著しい刺激を生じさせず、および、投与された化合物の生物学的な活性および性質を妨げないキャリアまたは希釈剤を示す。キャリアの非限定的な例には、ポリエチレングリコール、生理的食塩水、有機溶媒と水とのエマルションおよび混合物がある。本明細書中において、用語「賦形剤」は、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0171】
薬物の配合および投与のための様々な技術が“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出され得る。
【0172】
投与経路:好適な投与経路には、例えば、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、経皮送達、腸管送達または非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射、ならびに、クモ膜下注射、直接的な心室内(脳室内)注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射または眼内注射が含まれる)が含まれ得る。
【0173】
組成物/配合物:本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々なプロセスによって、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥の従来のプロセスによって製造することができる。
【0174】
従って、本発明に従って使用される医薬組成物は、医薬品として使用され得る調製物への活性な化合物の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の医薬的に許容され得るキャリアを使用して従来の様式で配合することできる。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。
【0175】
注射の場合、本発明の化合物は、有機溶媒(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)を伴うか、または伴うことなく、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液または生理学的な生理的食塩水緩衝液など)において配合することができる。経粘膜投与の場合、浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。
【0176】
経口投与の場合、本発明の化合物は、活性な化合物をこの分野で広く知られている医薬的に許容され得るキャリアと組み合わせることによって容易に配合することができる。そのようなキャリアは、本発明の化合物が、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤および懸濁物などとして配合されることを可能にする。経口使用される薬理学的調製物を、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、そして錠剤または糖衣錠コアを得るために、所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製することができる。好適な賦形剤には、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容され得るポリマーがある。所望する場合には、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
【0177】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または有機溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料を、活性な化合物の用量を明らかにするために、または活性な化合物の用量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
【0178】
経口使用され得る医薬組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟いシールされたカプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)、滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤との混合で有効成分を含有することができる。軟カプセルでは、活性な化合物を好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。また、安定化剤を加えることができる。経口投与されるすべての配合物は、選ばれた投与経路について好適な投薬量でなければならない。
【0179】
口内投与の場合、組成物は、従来の様式で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
【0180】
吸入による投与の場合、本発明に従って使用される化合物は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位が、計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定され得る。吸入器または吹き入れ器において使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジを、本発明の化合物および好適な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合物を含有して配合することができる。
【0181】
本明細書中に記載される化合物は、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために配合することができる。注射用配合物は、場合により保存剤が添加された、例えば、アンプルまたは多回用量容器における単位投薬形態で提供され得る。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクルにおける懸濁物または溶液剤またはエマルションであり得るし、また、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの配合剤を含有することができる。
【0182】
非経口投与される医薬組成物には、水溶性形態での活性な調製物の水溶液が含まれる。また、活性な化合物の懸濁物を適切な油性の注射用懸濁物として調製することができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルには、脂肪油(例えば、ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが含まれる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有することができる。場合により、懸濁物はまた、高濃度溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有することができる。
【0183】
または、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェン非含有水)を使用前に用いて構成される粉末形態にすることができる。
【0184】
本発明の化合物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を使用して、坐薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合することができる。
【0185】
本明細書中に記載される医薬組成物はまた、ゲル相キャリアまたはゲル相賦形剤の好適な固体を含むことができる。そのようなキャリアまたは賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなど)が含まれるが、これらに限定されない。
【0186】
本発明の医薬組成物は、所望される場合には、有効成分を含有する1つ以上の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックなどである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴い得る。この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用キャリアに配合された本発明の化合物を含む組成物はまた、適応される状態を処置するために、調製され、適切な容器に入れられ、かつ表示され得る。ラベルに示される好適な状態には、例えば、EGFR−TK活性に関連するある種のガンなどの細胞増殖疾患または細胞増殖障害の処置、および放射線造影が含まれ得る。
【0187】
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、本明細書中上記に記載される医薬組成物は、本明細書中上記に記載されるように、EGFR−TKに関連づけられる疾患または障害の処置における使用のために、包装用材料に詰められ、包装用材料の表面またはその中での活字で識別され得る。
【0188】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになる。また、本明細書中上記で規定され、また、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様はそれぞれが、下記の実施例において実験的裏付けが見出される。
【実施例】
【0189】
次に、下記の実施例が参照される。下記の実施例は、上記の説明とともに、本発明を非限定的な様式で例示する。
【0190】
材料、合成および実験方法
化学合成:
すべての化学物質が、Sigma−Aldrich、Fisher Scientific、MerckまたはJ.T.Bakerから購入された。化学物質は、下記を除き、供給時のまま使用された:DMSOは活性化された分子ふるいとともに使用前の少なくとも1日貯蔵され、THFはナトリウムおよびベンゾフェノンとともに還流され、かつ使用前に新たに蒸留され、ビニルマグネシウムは、使用前に、広く知られている手順に従って臭化ビニルおよびマグネシウム削り片を反応することによって新たに調製された。
【0191】
質量分析が、Hadassah−Hebrew大学質量分析施設において、Thermo Quest−Finnigan Trace MS質量分析計でEIモードで行われた。
【0192】
H−NMRスペクトルがBruker AMX 300MHz装置で得られた。
【0193】
元素分析がHebrew大学微量分析室において行われた。
【0194】
標識化合物および非標識化合物のHPLC分析が、Waters γ−Bondapack C18分析カラム(10μm、300x3.9mm)を、CHCN/酢酸塩緩衝液または47%CHCN/53%0.1Mギ酸アンモニウム緩衝液から構成される移動相系とともに使用する逆相系で行われた。
【0195】
6−ニトロキナゾロンが、発表された手順(Elderfield他、1947)に従って調製された。
【0196】
マイクロ波加熱が、500W(最大出力)で作動する通常型オーブン(BR740XL、Brother)において行われた。
【0197】
α位が脱離基によって置換されたN−[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アミドの合成−一般的手順:
アニリンまたは誘導体化アニリン(1当量)を極性溶媒(例えば、イソプロピルアルコールなど)中において4−クロロ−6−ニトロキナゾリン(3.5当量)と反応させる。生成物の6−ニトロ−4−(フェニルアミノ)キナゾリンがろ過後に得られる。その後、6−ニトロ−4−(フェニルアミノ)キナゾリンを含むエタノール/水および極性溶媒(例えば、イソプロピルアルコールなど)における溶液を、還流温度で、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルと反応させる。反応混合物をろ過し、エバポレーションして、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、6−アミノ−4−(フェニルアミノ)キナゾリンが得られる。その後、6−アミノ−4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、α位が脱離基によって置換され、また場合により誘導体化基によって置換された反応性カルボン酸誘導体と、THF中において0℃で、化学的に反応性の塩基(例えば、第三級アミンなど)の存在下で反応させて、最終生成物を得る。
【0198】
必要なときには、脱離基によって置換され、さらにはモルホリノ基またはピペラジノ基によってキナゾリン環が置換されたN−[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アミド化合物を下記の代表的な一般的手順に従って合成することができる。
【0199】
アニリンまたは誘導体化アニリン(1当量)を極性溶媒(例えば、イソプロピルアルコールなど)中において4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリン(3.5当量)と反応させる。生成物の6−ニトロ−7−フルオロ−4−(フェニルアミノ)キナゾリンがろ過後に得られる。ナトリウム金属(5当量)を窒素雰囲気下で3−(4−モルホリニル)−1−プロパノール(4当量)のTHF溶液に加える。得られる懸濁物を20℃で2時間撹拌し、その後、窒素雰囲気下で6−ニトロ−7−フルオロ−4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物の溶液にカニューレで移す。反応混合物を18時間環流し、その後、溶媒を減圧下で部分除去し、残渣を水で希釈して、酢酸エチルで抽出する。有機抽出液を一緒にして、乾燥し、エバポレーションして、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、6−ニトロ−4−(フェニルアミノ)−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンが得られる。その後、この6−ニトロ−4−(フェニルアミノ)−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンを、本明細書中上記に記載されるように、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルと反応させて、6−アミノ−4−(フェニルアミノ)−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンを作製し、これをさらに、脱離基によって置換された反応性カルボン酸誘導体と、THF中において0℃で、塩基の存在下で反応させて、最終的な7−モルホリノ置換された生成物を得る。
【0200】
従って、上記の一般的な経路に従って、α位が脱離基によって置換され、また場合により誘導体化基によって置換された下記のカルボン酸側鎖基によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物が合成可能である。
【0201】
アミン結合側鎖:6位または7位がニトロ基によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを対応するアミンに還元し、その後、アミンを、α位が脱離基によって置換されたカルボン酸によってカップリング剤(例えば、EIまたはACなど)の存在下でアシル化するか、または酸塩化物によってアシル化する。
【0202】
酸素結合側鎖:6位または7位がメトキシ基によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するヒドロキシル化合物を得るために切断し、その後、ヒドロキシル化合物を、α位が脱離基によって置換されたカルボン酸によってカップリング剤(例えば、EDACなど)の存在下でアシル化するか、または酸塩化物によってアシル化する。
【0203】
炭素結合側鎖:6位または7位がヨウ素によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを対応するアリール亜鉛化合物に変換し、アリール亜鉛化合物を、活性化されたハリドを含む、α位が脱離基によって置換されたカルボン酸基とカップリングする。
【0204】
ヒドラジノ結合側鎖:6位または7位がニトロ基によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを対応するアミンに還元し、その後、アミンをジアゾ化し、次いでヒドラジン化合物に還元する。その後、ヒドラジンの遠位窒素を、α位が脱離基によって置換された適切なカルボン酸誘導体によって、当業者に広く知られている方法を使用してアシル化する。
【0205】
ヒドロキシルアミノ−O−結合側鎖:6位または7位がニトロ基によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを適切な穏和な還元条件下でヒドロキシルアミン化合物に還元し、その後、ヒドロキシルアミン化合物を、α位が脱離基によって置換された適切なカルボン酸誘導体によって、当業者に広く知られている方法を使用してアシル化する。
【0206】
メチレンアミノ−N−結合側鎖:6位または7位がニトロ基によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを対応するアミンに還元し、その後、アミンをジアゾ化し、次いで、好ましくは銅塩触媒またはニッケル塩触媒の存在下でニトリルに変換する。その後、ニトリル化合物をメチルアミン化合物に還元し、メチルアミン化合物を、α位が脱離基によって置換された適切なカルボン酸誘導体によって、当業者に広く知られている方法を使用してアシル化する。
【0207】
メチレンオキシ−O−結合側鎖:6位または7位がヒドロキシメチルによって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、当業者には自明な方法を使用して作製する。例えば、ニトロ基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを対応するアミンに還元し、その後、アミンをジアゾ化し、上記に記載されるようにニトリルに変換して、アミンに部分還元し、加水分解し、対応するヒドロキシメチルに還元する。その後、ヒドロキシル基を、α位が脱離基によって置換された適切なカルボン酸誘導体によって、当業者に広く知られている方法を使用してアシル化する。
【0208】
エタノ結合側鎖:6位または7位がヨウ素によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、有機亜鉛酸塩を介して、対応する銅塩に変換する。銅塩を、α位が脱離基によって置換された適切なジビニルケトンと反応させ、その後、不飽和官能基の脱保護に供する。
【0209】
アミノメチル−C−結合側鎖:6位または7位がニトロ基によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを対応するアミンに還元し、その後、アミンを、α位が脱離基によって置換された適切な飽和ケトンの誘導体によってアルキル化する。
【0210】
ヒドロキシメチル−C−結合側鎖:6位または7位がメトキシ基によって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを対応するヒドロキシル化合物に切断し、その後、ヒドロキシル化合物を、α位が脱離基によって置換された適切な飽和ケトンによってアルキル化する。
【0211】
チオメチル−C−結合側鎖:6位または7位がハリドによって置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを対応するメルカプト化合物に変換し、その後、メルカプト化合物を、α位が脱離基によって置換された適切な飽和ケトンによってアルキル化する。
【0212】
上記の一般的な手順に基づいて、6−ニトロ−4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物およびそれらの対応する6−アミノ−4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物の代表的な例が下記のように合成された:
【0213】
4−クロロ−6−ニトロキナゾリンの合成:
6−ニトロキナゾロン(2グラム、0.01mmol)およびSOCl(20ml)を二口フラスコに入れ、DMF(100μl)を加えた。混合物を1時間環流し、その後、さらなる量のSOCl(10ml)およびDMF(50μl)を加えた。3時間の還流の後、塩化チオニルを留去し、生成物の4−クロロ−6−ニトロキナゾリンの純度を、逆相C18分析HPLCカラムを使用して決定した(96%〜98%の純度)。この化合物は0℃で保存され、次工程のための何らかのさらなる精製が行われることなく使用された。

HPLC条件:C18分析カラム、40%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/60%アセトニトリル、流速=1ml/分;R=4.95分。
【0214】
6−ニトロ−4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリンの合成:
本明細書中上記のように合成された4−クロロ−6−ニトロキナゾリン(4グラム、23mmol)および3−ヨードアニリン(12.57グラム、57mmol)をi−PrOH(40ml)に溶解して、25℃で10分間撹拌し、これにより、明黄色の沈殿物が得られた。その後、混合物を、さらに3時間、還流および撹拌して、冷却した。固体をろ過し、i−PrOH(12ml)で洗浄して、真空加熱器において80℃で乾燥して、生成物を得た(5.99グラム、78%)。

HPLC条件:C18分析カラム、45%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/55%アセトニトリル、流速=1ml/分;R=17.8分。
【0215】
6−ニトロ−4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリンの合成:
本明細書中上記のように合成された6−アミノ−4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン(620mg、1.58mmol)をフラスコに入れ、HO:EtOH:IPA(5%:45%:50%)の溶液(107ml)を加えた。混合物を95℃に加熱し、さらに50mlの溶媒を加えて、完全に溶解した。混合物を65℃に冷却し、RaNi(1/2パスツールピペット)およびヒドラジン水和物(153μl、3.16mmol)を、緑色溶液が得られるまで連続して加えた。反応液を80℃〜85℃に加熱して、さらにRaNi(1/2パスツールピペット)およびヒドラジン水和物(38μl、0.8mmol)を加えた。還流を15分間〜20分間維持した。溶液を冷却し、(EtOHにおけるスラリーとして調製された)セライト層でろ過した。混合物をエバポレーションして、生成物を得た(180mg、31.4%)。

HPLC条件:C18分析カラム、55%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/45%アセトニトリル、流速=1ml/分;R=8.3分。
【0216】
6−ニトロ−4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリンの合成:
この化合物は、4−クロロ−6−ニトロキナゾリンおよび3−ブロモアニリンを反応させることによって、対応する3−ヨードフェニルアミノキナゾリンについて本明細書中上記に記載されるように調製された。

HPLC条件:C18カラム、55%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/45%アセトニトリル、流速=1ml/分;R=7.54分。
【0217】
6−アミノ−4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリンの合成:
この化合物は、対応するヨードキナゾリンについて上記に記載されるように6−ニトロ−4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン(590mg、1.7mmol)から調製された(332mg、62%)。

HPLC条件:C18カラム、45%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/55%アセトニトリル、流速=1ml/分;R=6.41分。
【0218】
6−ニトロ−4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリンの合成:
3,4−ジクロロ−6−フルオロアニリン(1当量、これは米国特許第6126917号に記載されるように調製された)をiso−プロピルアルコール中において4−クロロ−6−ニトロキナゾリン(3.5当量、これは本明細書中上記に記載されるように調製された)と反応した。ろ過後、6−ニトロ−4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリンが60%の収率で得られた。

HPLC条件:C18カラム、55%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/45%アセトニトリル、流速=1ml/分;R=7.15分。
【0219】
6−アミノ−4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリンの合成:
6−ニトロ−4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン(709mg、2.076mmol)を含む140mlの1:9:10の水:エタノール:iso−プロピルアルコールにおける溶液を還流温度(95℃)に加熱した。さらに60mlの溶媒混合物を加えて、完全に溶解した。その後、反応混合物を65℃に冷却し、続いて、200μlのヒドラジン水和物(4.12mmol)および0.5mlのラネー(登録商標)ニッケル(水における)を反応混合物に加えた。得られた混合物を80℃〜85℃に加熱し、さらに0.5mlのラネー(登録商標)ニッケルおよび50μlのヒドラジン水和物(1.03mmol)を加え、穏やかな還流を約15分間〜20分間維持した。ろ過およびエバポレーションにより、6−アミノ−4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリンが83%の収率で得られた。

HPLC条件:C18カラム、55%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/45%アセトニトリル、流速=1ml/分;R=6.6分。
【0220】
上記の化合物は、下記のような、脱離基によって置換された[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アミド化合物の代表的な例を合成するために使用された:
【0221】
N−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミド(化合物1)の合成:
6−アミノ−4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン(120mg、0.38mmol、これは本明細書中上記に記載されるように調製された)を含む乾燥THFにおける撹拌された溶液に、0℃で窒素雰囲気下において、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(193μl、1.1mmol)を加え、その後、クロロアセチルクロリド(88μl、1.1mmol)を加えた。混合物を0℃で0.5時間撹拌し、その後、飽和NaHCOに注ぎ、EtOAcで抽出した。有機溶液を乾燥(NaSO)して、エバポレーションした。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー処理に供した。3%MeOH/97%CHCLを用いた溶出により、121mg(81%の収率)のN−{4−{(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミドが得られた。

【0222】
N−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミド(化合物2)の合成:
メトキシアセチルクロリド(37mg、0.34mmol)を、6−アミノ−4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン(63mg、0.2mmol、これは本明細書中上記に記載されるように調製された)およびトリエチルアミン(34mg、0.34mmol)を含むTHF(20ml)における撹拌された溶液に0℃で加えた。混合物を0℃で0.5時間撹拌し、その後、飽和NaHCOに注ぎ、EtOAcで抽出した。有機溶液を乾燥(NaSO)して、エバポレーションした。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー処理に供した。3%MeOH/97%CHClを用いた溶出により、53mg(69%の収率)のN−{4−{(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミドが得られた。

【0223】
N−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミド(化合物3)の合成:
6−アミノ−4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン(138mg、0.38mmol、これは本明細書中上記に記載されるように調製された)を含む乾燥THFにおける撹拌された溶液に、0℃で窒素雰囲気下において、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(166μl、0.95mmol)を加え、その後、クロロアセチルクロリド(76μl、0.94mmol)を加えた。混合物を0℃で0.5時間撹拌し、その後、飽和NaHCOに注ぎ、EtOAcで抽出した。有機溶液を乾燥(NaSO)して、エバポレーションした。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー処理に供した。3%MeOH/97%CHCLを用いた溶出により、90mg(54%の収率)のN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミドが得られた。

【0224】
N−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミド(化合物4)の合成:
4−メトキシアセチルクロリド(51mg、0.47mmol)を、6−アミノ−4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン(145mg、0.4mmol、これは本明細書中上記に記載されるように調製された)およびトリエチルアミン(47mg、0.47mmol)を含むTHF(20ml)における撹拌された溶液に0℃で加えた。混合物を0℃で0.5時間撹拌し、その後、飽和NaHCOに注ぎ、EtOAcで抽出した。有機溶液を乾燥(NaSO)して、エバポレーションした。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー処理に供した。3%MeOH/97%CHClを用いた溶出により、102mg(64%の収率)のN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミドが得られた。

【0225】
N−{4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミド(化合物5)の合成:
6−アミノ−4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン(102mg、0.315mmol、Ben David他(2003))を含む乾燥THFにおける撹拌された溶液に、0℃で窒素雰囲気下において、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(134μl、0.774mmol)を加え、その後、クロロアセチルクロリド(62μl、0.774mmol)を加えた。混合物を0℃で0.5時間撹拌し、その後、飽和NaHCOに注ぎ、EtOAcで抽出した。有機溶液を乾燥(NaSO)して、エバポレーションした。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー処理に供した。3%MeOH/97%CHCLを用いた溶出により、93mg(74%の収率)の2−クロロ−N−{4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミドが得られた。

【0226】
N−{4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミド(化合物6)の合成:
メトキシアセチルクロリド(42mg、0.39mmol)を、6−アミノ−4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン(62.4mg、0.193mmol、Ben David他(2003))およびトリエチルアミン(39mg、0.386mmol)を含む乾燥THF(20ml)における撹拌された溶液に0℃で加えた。混合物を0℃で0.5時間撹拌し、その後、飽和NaHCOに注ぎ、EtOAcで抽出した。有機溶液を乾燥(NaSO)して、エバポレーションした。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー処理に供した。4%MeOH/96%CHClを用いた溶出により、54mg(71%の収率)のN−{4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミドが得られた。

【0227】
放射性合成:
[F−18]フッ化物イオンの作製:18F−フッ化物イオンをHadassah−Hebrew大学IBA18/9サイクロトロン(ベルギー)において標的としての約350μlの18O−濃縮水(97%の同位体純度、Rotem、イスラエル)に対する18O(p,n)18F核反応によって作製した。反応性の有機18F−フッ化物イオンを、10μl〜50μlの照射された標的水を水−アセトニトリルにおけるKryptofix(登録商標)2.2.2(10mg、27μl)およびKCO(1mg)に加えることによって調製した。アセトニトリルとの水の共沸除去を窒素流下での加熱によって達成した。その後、乾燥させたKryptofix(登録商標)2.2.2−18F−フッ化カリウムを、放射能標識化において使用するために300μlの無水DMSOに溶解した。
【0228】
炭素−11COの作製:[炭素−11]−COを標的としてのN/0.5%Oの混合物に対する14N(p,α)11C核反応によって作製した。
【0229】
ヨウ素−124ヨウ化ナトリウムの作製:124I−NaIを0.02M溶液としてRitverc GmBH(ロシア)から購入した。
【0230】
124I−アミノキナゾリンをJohn他(1993)の一般的手順に従って調製した。
【0231】
HPLC分離が、Varian9012Qポンプ、254nmにおいて作動するVarian9050可変波長UV検出器、および、NaI結晶を用いたBioscan Flow−Count放射能検出器を使用して行われた。
【0232】
炭素−11標識化合物、フッ素−18標識化合物、放射性臭素標識化合物および放射性ヨウ素標識化合物は、C18逆相プレップカラムおよび下記の移動相系を使用する逆相系で精製された:48%CHCN/52%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)、15ml/分の流速。溶出分画物(2.5ml)がフラクションコレクター(FC205、Gilson)で集められた。組立てられた放射性トレーサーの分析が、溶出液として40%CHCN/60%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)を1.7ml/分の流速で使用して、C18カラムのμBondapak分析カラムで行われた。
【0233】
放射性トレーサーの組立ては下記のように行われた。生成物を、50mlの水および1mlのNaOH(1M)を含有するバイアルに集めた。溶液を、予備洗浄(10mlの水)された活性化C18カートリッジに通し、10mlの滅菌水で洗浄した。生成物を、1mlのエタノール、その後、5mlの生理的食塩水を使用して溶出した。
【0234】
α位が脱離基によって置換されたフッ素−18標識の[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アミド化合物の合成−一般的手順I:
上記のKryptofix(登録商標)2.2.2−18F−フッ化カリウム−DMSO溶液をスクリュー栓試験管(8ml、Corning)内の約10mgの事前に選択されたジニトロベンゼン化合物に加える。試験管に栓をして、試験管を振とうし、そして電子レンジにおいて3.5分間加熱する。試験管を周囲の水浴で冷却し、その内容物を10mlの水で希釈して、活性化(エタノール)および平衡化(水)されたC18Sep−Pak(クラシック、短体型、Waters)に負荷する。カートリッジを水(10ml)で洗浄し、所望の対応する中間体であるフッ素−18標識されたフルオロニトロベンゼン化合物を、エタノール(2ml)を用いて小さいガラス試験管の中に溶出する。還元反応容器を、平底ガラスバイアル(25ml)に、順次、数個のホウケイ酸ガラスビーズ、100μlの4:1のエタノール−水、250μlのラネー(登録商標)ニッケルスラリー、および60μlのヒドラジン一水和物を加えることによって準備する。(大きい直径のニードルで通気される)セプタムを備えたスクリュー栓で栓をした後、バイアルを振とうして、40℃の加熱ブロックに入れる。フッ素−18標識されたフルオロニトロベンゼン化合物のエタノール溶液を0.5mlの水で希釈して、還元反応容器にゆっくり加える。5分後、容器を周囲の水浴で冷却して、バイアルの内容物を0.45μmのフィルター(Puradisc、ポリプロピレン、Whatman)でろ過して、別の25ml平底バイアルに入れる。その後、8mlの水および10mlのエーテルをろ過された溶液に加えて、栓をし、数回ひっくり返して混合することによって、対応するフッ素−18標識されたフルオロアニリン還元生成物をエーテル層に抽出する。その後、8mlのスクリュー栓試験管に、4mg〜5mgの4−クロロ−6−ニトロキナゾリン化合物を含む300μlの2−プロパノールにおける溶液を入れる。放射能標識されたアニリン化合物のエーテル溶液を、MgSO(2グラム)および新しい0.45μmフィルターに通すことによって試験管に加える。周囲の水浴で試験管を暖めながら、エーテルをヘリウム流のもとで除く。その後、濃HCl(1μl)を加えて、栓をした試験管を110℃の油浴で15分間加熱する。試験管を周囲の水で冷却した後、酸を中和して、フリーの塩基を50μlの5M NaOHの添加によって遊離させる。ジクロロメタン(0.3ml)およびヘキサン(0.3ml)を試験管に加えて、溶液を0.2μmフィルター(Acrodisc、ナイロン、Gelman)でろ過する。フッ素−18標識された4−[(フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリン化合物をシリカSEP−PAKによって精製し、還元して、そのアミン誘導体を得る。これをさらに、本明細書中上記に記載されるように、反応性カルボン酸誘導体と反応させる。
【0235】
下記は、本明細書中上記に記載される一般的手順Iに従って調製される、α位が脱離基によって置換されたフッ素−18標識の4−[(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アミド化合物の詳細な合成である。
【0236】
フッ素−18標識されたN−{4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミド(フッ素−18標識された化合物5)の合成:
フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを本明細書中上記に記載される放射性合成手順によって得た。この場合、10mgの1,2−ジクロロ−4,5−ジニトロベンゼンを18F−フッ化物イオンとの反応([18F]KF、200μlのDMSO/200μlのCHCN、20分、120℃、kryptofix)で使用して、1,2−ジクロロ−4−18F−フルオロ−5−ニトロベンゼンを得た(80%の収率)。C18sep−packカラムでの精製および2mlのEtOHを用いた溶出の後、1,2−ジクロロ−4−18F−フルオロ−5−ニトロベンゼンを、本明細書中上記に記載されるように、ラネー(登録商標)ニッケルおよびヒドラジン水和物によって、60℃で5分間、対応するアニリン化合物に還元した。ろ過、水(4ml)の添加、エーテル抽出およびエバポレーションを行った後、フッ素−18標識されたアニリン化合物を、記載されたように、イソプロパノール中で20分間、4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させた。その後、フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを、記載されたように、ラネー(登録商標)ニッケルおよびヒドラジン水和物によって、60℃で5分間、対応するアミノキナゾリンに還元し、そしてさらに、記載されたように、THF中のα−クロロアセチルクロリドおよび触媒量のEtNと反応して、最終的なフッ素−18標識された生成物を得た(酢酸塩緩衝液/CHCNを用いたHPLC精製の後において、5%の崩壊補正された放射化学的収率)。
【0237】
フッ素−18標識されたN−{4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミド(フッ素−18標識された化合物6)の合成:
フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを本明細書中上記に記載される放射性合成手順によって得た。この場合、10mgの1,2−ジクロロ−4,5−ジニトロベンゼンを18F−フッ化物イオンとの反応([18F]KF、200μlのDMSO/200μlのCHCN、20分、120℃、kryptofix)で使用して、1,2−ジクロロ−4−18F−フルオロ−5−ニトロベンゼンを得た(80%の収率)。1,2−ジクロロ−4−18F−フルオロ−5−ニトロベンゼンを本明細書中上記に記載されるように精製し、その後、本明細書中上記に記載されるように、対応するアニリン化合物に還元し、そして、本明細書中上記に記載されるように、精製して、4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させた。フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを、記載されたように、対応するアミノキナゾリンに還元し、そしてさらに、記載されたように、THF中のα−メトキシアセチルクロリドおよび触媒量のEtNと反応して、最終的なフッ素−18標識された生成物を得た(酢酸塩緩衝液/CHCNを用いたHPLC精製の後において、5%の崩壊補正された放射化学的収率)。
【0238】
フッ素−18標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロ/2−メトキシアセトアミド(フッ素−18標識されたモルホリノ置換化合物5およびモルホリノ置換化合物6)の合成:
フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを本明細書中上記に記載される放射性合成手順によって得た。この場合、1,2−ジクロロ−4,5−ジニトロベンゼンを18F−フッ化物イオンとの反応で使用して、1,2−ジクロロ−4−18F−フルオロ−5−ニトロベンゼンを得て、これを対応するアニリン化合物に還元する。得られるアニリン化合物を、記載されるように4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンと反応させる。フッ素−18標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを、その後、本明細書中上記に記載されるように、3−(4−モルホリニル)−1−プロパノールのナトリウム塩と反応させ、フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンをさらに、記載されるように、対応するアミノキナゾリンに還元し、そして、α−クロロアセチルクロリドまたはα−メトキシアセチルクロリドと反応して、最終的なフッ素−18標識された生成物を得る。
【0239】
α位が脱離基によって置換されたフッ素−18標識の[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アミド化合物の合成−一般的手順II:
事前に選択されたジアミノベンゼン化合物を4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させて、対応する4−(アミノアニリノ)−6−ニトロキナゾリン化合物を作製し、これをさらに3当量のトリフルオロメチルスルホン酸メチルと反応して、上記4−(アミノアニリノ)−6−ニトロキナゾリン化合物の第四級アンモニウム塩を得る。その後、この第四級アンモニウム塩を上記のKryptofix(登録商標)2.2.2−18F−フッ化カリウム−DMSO溶液と反応させて、フッ素−18標識された[4−(フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリン化合物を得る。その後、これを還元して、そのアミン誘導体を得て、これをさらに、本明細書中上記に記載されるように、反応性カルボン酸誘導体と反応させる。
【0240】
本明細書中上記に記載される一般的手順IIに基づいて、フッ素−18標識されたN−{4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロアセトアミド(フッ素−18標識された化合物5)およびフッ素−18標識されたN−{4−[(4,5−ジクロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−メトキシアセトアミド(フッ素−18標識された化合物6)を合成することができる。
【0241】
α位が脱離基によって置換されたヨウ素−123標識、ヨウ素−124標識およびヨウ素−131標識のN−{4−[(ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アミド化合物の合成−一般的手順:
本明細書中上記に記載されるように、3−ブロモアニリンを4−クロロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得て、その後、これを対応する6−アミノキナゾリンに還元する。その後、この4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、反応触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムをトリエチルアミン溶液において使用してビストリブチルスズと反応させる。その後、スズ化キナゾリンを酸化剤の存在下でヨウ素−123またはヨウ素−124またはヨウ素−131と反応させて、ヨウ素−123標識またはヨウ素−124標識またはヨウ素−131標識の4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得て、これをさらに、記載されるように、反応性カルボン酸誘導体(例えば、α−クロロアセチルクロリドまたはα−メトキシアセチルクロリド)と反応させて、最終的なヨウ素−123標識またはヨウ素−124標識またはヨウ素−131標識の生成物を得る。
【0242】
ヨウ素−124標識された6−アミノ−4−[(3−ヨードフェニル]アミノ]キナゾリンの合成:
6−アミノ−4−[(3−ブロモフェニル]アミノ]キナゾリン(300mg、0.95mmol、これは本明細書中上記に記載されるように調製される)を乾燥THF(20ml)に溶解して、(SnBu(1.92ml、3.78mmol)を加え、その後、Pd(PPh(547.8mg、0.474mmol)の乾燥THF(0.5ml)における溶液を加える。混合物を16時間環流し、その後、溶媒をエバポレーションする。粗生成物を、20:80のヘキサン:ジクロロメタンの混合物、その後、100%のジクロロメタンを溶出液として使用して酸化アルミニウム90カラム(70メッシュ〜230メッシュ)で精製して、6−アミノ−4−[(3−トリブチルスズフェニル]アミノ]キナゾリンを得た(85mg、20%)。

HPLC条件:順相分析カラム、100%アセトニトリル、流速=1.0ml/分;R=13.59分。
【0243】
得られた6−アミノ−4−[(3−トリブチルスズフェニル]アミノ]キナゾリン(4mg)を円錐型バイアルに入れ、EtOH(1.2ml)を加え、その後、0.1Mの[124I]NaI(1ml)を加えた。0.1N HCl(1ml)およびクロラミン−T(1mg/ml)(1ml)を加え、バイアルをシールした。反応液を室温で15分間撹拌し、その後、メタ重亜硫酸ナトリウム(200mg/ml)(3ml)、NaHCO飽和溶液(6ml)および生理的食塩水溶液(6ml)を加えた。その後、水溶液を激しく撹拌して、C18Sep−packに負荷した。カラムを水(2.5ml)で洗浄し、窒素で10分間乾燥して、生成物を乾燥THF(4ml)で溶出した。THF溶液をNaSOで乾燥し、0.45μmのフィルターでろ過してv字型バイアルに入れ、これを、次工程のための何らかのさらなる精製を行うことなく使用した。生成物の純度を逆相C18分析カラム(10μm、300x3.9mm)によって分析し、55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリルで溶出した(流速=1.0ml/分;R=8.3分)。
【0244】
この工程の放射化学的収率を、THF溶液を200μlの体積にエバポレーションし、残った溶液を逆相C18調製用カラムに注入することによって測定した。
【0245】
生成物の平均放射化学的収率は50%(n=7)であった。
HPLC条件:C18調製用カラム、60%酢酸塩緩衝液/40%アセトニトリルによる溶出、流速=3.0ml/分;R=10.6分。
【0246】
ヨウ素−124標識されたN−{4−[(3−ヨードフェニル]アミノ]キナゾリン−6−イル)−2−メトキシアセトアミド(ヨウ素−124標識された化合物4)の合成:
ヨウ素−124標識された6−アミノ−4−[(3−ヨードフェニル]アミノ]キナゾリンのTHF溶液(これは本明細書中上記に記載されるようにして得られた)(4ml)を0℃に10分間冷却して、これに、乾燥THF(300μl)におけるメトキシアセチルクロリド(200μl)を加えた。反応混合物を0℃で30分間〜40分間撹拌した。ACN:HO(1:1)の混合物(200μl)を加え、溶液を、氷水浴で冷却しながら窒素下でエバポレーションして、400μlの体積にした。粗生成物をHPLC逆相C18調製用カラムを使用して精製して、ヨウ素−124標識された生成物を得た。全体的な放射化学的収率は28%であり、比活性は6Ci/mmol(システム検出限界)を越え、99%の放射化学的純度(n=4)であった。
HPLC条件:C18調製用カラム、60%酢酸塩緩衝液/40%アセトニトリル、流速=4.0ml/分;R=22.31分。
HPLC条件:C18分析カラム、55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリル、流速=1.0ml/分;R=10.78分。
【0247】
ヨウ素−124標識されたN−{4−[(3−ヨードフェニル]アミノ]キナゾリン−6−イル)−2−クロロアセトアミド(ヨウ素−124標識された化合物3)の合成:
ヨウ素−124標識された化合物3を、ヨウ素−124標識された6−アミノ−4−[(3−ヨードフェニル]アミノ]キナゾリンを乾燥THF(300μl)中でクロロアセチルクロリド(200μl)と反応することによって、ヨウ素−124標識された化合物4について本明細書中上記に記載されように調製した。ヨウ素−124標識された生成物が、36%の全体的な放射化学的収率、6Ci/mmol(システム検出限界)を越える比活性、および99%の放射化学的純度(n=4)で得られた。
HPLC条件:C18分析カラム、55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリル、流速=1.0ml/分;R=13.16分。
HPLC条件:C18調製用カラム、55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリル、流速=3.0ml/分;R=20.39分。
HPLC条件:C18分析カラム、55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリル、流速=1.0ml/分;R=13.16分。
【0248】
ヨウ素−123標識、ヨウ素−124標識およびヨウ素−131標識のN−{4−[(3−ヨードフェニル]アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル)−2−クロロ/2−メトキシアセトアミド(ヨウ素−123標識、ヨウ素−124標識およびヨウ素−131標識のモルホリノ置換化合物3およびモルホリノ置換化合物4)の合成:
本明細書中上記に記載されるように、3−ブロモアニリンを4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを得て、その後、これを3−(4−モルホリニル)−1−プロパノールのナトリウム塩と反応して、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンを得る。その後、モルホリノ置換された6−ニトロキナゾリンを対応する6−アミノキナゾリンに還元して、これをさらに、本明細書中上記に記載されるように、ビストリブチルスズ、ヨウ素−123またはヨウ素−124またはヨウ素−131、およびα−クロロアセチルクロリドまたはα−メトキシアセチルクロリドと反応させて、最終的なヨウ素−123標識またはヨウ素−124標識またはヨウ素−131標識の生成物を得る。
【0249】
α位が脱離基によって置換された臭素−76標識および臭素−77標識のN−{4−[(ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アミド化合物の合成−一般的手順:
本明細書中上記に記載されるように、ブロモアニリンを4−クロロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得て、その後、これを対応する6−アミノキナゾリンに還元する。その後、この4−[(ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、本明細書中上記に記載されるように、反応触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムをTHF溶液において使用してビストリブチルスズと反応させる。その後、スズ化キナゾリンを酸化剤の存在下で臭素−76または臭素−77と反応させて、臭素−76標識または臭素−77標識された4−[(ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得て、これをさらに、記載されるように、反応性カルボン酸誘導体(例えば、α−クロロアセチルクロリドまたはα−メトキシアセチルクロリド)と反応させて、最終的な臭素−76標識または臭素−77標識された生成物を得る。
【0250】
臭素−76/臭素−77標識されたN−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロ/2−メトキシアセトアミド(臭素−76/臭素−77標識された化合物1および化合物2)の合成:
本明細書中上記に記載されるように、3−ブロモアニリンを4−クロロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得て、その後、これを対応する6−アミノキナゾリンに還元した。その後、この4−[(ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、本明細書中上記に記載されるように、反応触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムをTHF溶液において使用してビストリブチルスズと反応させた。その後、スズ化キナゾリンを酸化剤の存在下で臭素−76または臭素−77と反応させて、臭素−76標識または臭素−77標識された4−[(ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得て、これをさらに、記載されるように、α−クロロアセチルクロリドまたはα−メトキシアセチルクロリドと反応させて、最終的な臭素−76標識および臭素−77標識された生成物を得る。
【0251】
臭素−76標識および臭素−77標識のN−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}−2−クロロ/2−メトキシアセトアミド(臭素−76標識および臭素−77標識のモルホリノ置換化合物1およびモルホリノ置換化合物2)の合成:
本明細書中上記に記載されるように、3−ブロモアニリンを4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを得て、その後、これを3−(4−モルホリニル)−1−プロパノールのナトリウム塩と反応して、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンを得る。モルホリノ置換された6−ニトロキナゾリンを、その後、対応する6−アミノキナゾリンに還元し、これをさらに、本明細書中上記に記載されるように、ビストリブチルスズ、臭素−76または臭素−77、およびα−クロロアセチルクロリドまたはα−メトキシアセチルクロリドと反応させて、最終的な臭素−76標識または臭素77標識された生成物を得る。
【0252】
脱離基によって置換され、および、放射性炭素、放射性フッ素、放射性臭素および/または放射性ヨウ素で標識された基によってα位が置換されたN−{4−[(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アミド化合物の合成−一般的手順:
反応性カルボン酸誘導体、例えば、α位が脱離基によって置換され、また、1個または複数個の放射能標識された基(例えば、フッ素−18、臭素−76、臭素−78、ヨウ素−123、ヨウ素−124、ヨウ素−131および/または炭素−11で標識された基)によって置換されたアセチルクロリドなどが、知られている手順に従って調製される。
【0253】
6−アミノ−4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物が、本明細書中上記に記載されるように調製され、これを、その後、放射能標識された反応性カルボン酸誘導体と、0℃でTHF中において、化学的に反応性の塩基(例えば、第三級アミンなど)の存在下で反応させて、最終生成物を得る。
【0254】
インビトロ活性アッセイ:
A431細胞溶解物における自己リン酸化阻害実験:
EGFR−TK源:A431細胞を14cmペトリ皿において約90%のコンフルエンスに成長させた。その後、ペトリ皿を、冷リン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)(pH7.4)で2回洗浄して、氷の上に置き、3.25mlの冷たい新しく調製された溶解緩衝液(50mMのN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液(pH7.4)、150mMのNaCl、1%のTritonX−100、10%のグリセロール、1mMの4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩(AEBSF)、1μg/mlのアプロチニン、300μg/mlのベンズアミジン、10μg/mlのロイペプチン、10μg/mlのダイズトリプシン阻害剤)を10分間加えた。細胞をゴムのポリスマンでプレートから掻き取り、dounceホモジナイザーでホモジネーションして、遠心分離した(Sorvall遠心分離機、ローター5、10000rpm、10分、4℃)。EGFRを含有する上清を回収し、小分けにして−70℃で凍結した。
【0255】
ELISAアッセイ:EGFR−TK自己リン酸化のIC50値をELISAアッセイによって得た。下記のインキュベーションはすべてが、絶えず振とうしながら室温で行われた。各工程の後、プレートは200μlの水(4回)および200μlのTBS緩衝液(1回)で洗浄された。各ウエルに対する最終体積は150μlであった。
【0256】
Corning96ウエルELISAプレートを、PBS(pH8.5)に希釈されたモノクローナル抗EGFR抗体mAb108(Sugen Inc.)でコーティングして、4℃で一晩保った。ウエルあたりの総mAb108含有量は0.75μgであった。非結合のmAb108を除いた後、プレートを洗浄して、5%ミルク(1%脂肪)を含有するPBSをブロッキングのために加えた(30分間)。
【0257】
A431細胞溶解物の小分け物の1つを解凍して、PBS(pH7.4)で希釈し、10μg/ウエルの最終総タンパク質濃度でプレートに加えた。
【0258】
30分後、種々の濃度の各阻害剤を加えた。それぞれの場合について、1つのウエルが無阻害コントロール(阻害剤なし)として残され、1つのウエルがゼロEGFR−TKコントロール(溶解物なし)として残された。阻害剤はTBS/DMSOに希釈され、DMSOの最終濃度は、(コントロールを含めて)各ウエルにおいて0.05%であった。
【0259】
さらに30分後に、そしてプレートを洗浄することなく、ATP/MnCl溶液をそれぞれのウエルに加えた。最終濃度は5μMのATP/5mMのMnClであった。この工程では、温度が26℃で保たれ、プレートは一定の振とう下に置かれた。ATP/MnClとのインキュベーションは5分間であった。
【0260】
その後、リン酸化反応を停止させるために、EDTAを加え(pH8、各ウエルにおける最終濃度:100mM)、10分後、プレートを洗浄した。
【0261】
その後、ポリクローナル抗ホスホチロシン血清(Sugen,Inc.)を加えた(5%ミルクを含有するTBSTにおいて抗体は希釈される)。インキュベーションは45分間であった。
【0262】
EGFR−TKにおけるホスホチロシンの比色測定法による検出のために、TAGO抗ウサギペルオキシダーゼコンジュゲート抗体(Sugen,Inc.)をTBST/5%ミルクの溶液で加えた(45分間)。
【0263】
洗浄後、比色測定反応を、クエン酸塩−リン酸塩緩衝液(pH4.0)におけるABTS/H(7.5mgの2−2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゼチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、2μLの30%H、15mμのクエン酸塩−リン酸塩緩衝液(pH4.0))をウエルあたり100μl加えることによって行った。5分後〜10分後、プレートを405nmにおいてDynaytec MR5000ELISAリーダーで読み取った。
【0264】
データの分析を、GraphPad Prism(バージョン2.01、GraphPad Software,Inc.)を使用して行った。
【0265】
無傷のA431細胞における自己リン酸化阻害実験:
A431細胞(5x10個)を6ウエルプレートに播種して、10%ウシ胎児血清(FCS)および抗生物質を含有するDMEM(高グルコース)において37℃で24時間、約90%のコンフルエンスに成長させた。その後、細胞は無血清培地に37℃で18時間さらされた。
【0266】
不可逆性アッセイ:0.05nM〜50nMの範囲での阻害剤の様々な濃度物をA431細胞に加えて、1時間インキュベーションした。その後、培地を阻害剤/FCS非含有培地と交換し、細胞を2つに群に分けた:第1群の細胞は直ちにEGF(20ng/ml)で5分間刺激され、その後、PBSで洗浄され、一方、第2群の細胞は37℃でさらに8時間インキュベーションされた。8時間の期間中に、培地を3回交換した(2時間後、4時間後および8時間後)。ポストインキュベーション期間の後、第2群の細胞はEGF(20ng/ml)で5分間刺激され、その後、PBSで洗浄された。全細胞溶解物を、0.001%ブロモフェノールブルーを含有する0.4mlのLeammli緩衝液(10%グリセロール、2%ドデシル硫酸ナトリウム、5%b−メルカプトエタノール、62.5mM Tris、pH6.8)を用いて細胞をウエル内に掻き取り、5分間煮沸することによって得た。
【0267】
ウエスタンブロット分析:
各溶解物サンプルからの同一タンパク質量をポリアクリルアミドゲル(6%または10%)に負荷し、電気泳動(Hoefer Pharmacia Biotech Inc.、San Francisco、アメリカ)によって分離して、ニトロセルロースメンブランに転写した(電源:EPS500/400、Amersham Pharmacia Biotech;ニトロセルロースエクストラブロッティングメンブラン:Sartorius AG、Goettingen、ドイツ)。標準物高分子量溶液を参照物として負荷した。分子量バンドを可視化するために、メンブランをポンソー試薬(0.05%ポンソー、5%酢酸)に数分間浸け、その後、TTN(10mMのTris(pH7.4)、0.2%のTWEEN20、170mMのNaCl)で2回、水で1回洗浄した。メンブランを、5%ミルク(1%脂肪)を含有するTTN(ブロッキングTTN)で一晩ブロッキングし、そしてブロッキングTTNに1:2000希釈されたPY20抗ホスホチロシン抗体(Santa Cruz Biotechnology Inc.、Santa Cruz、アメリカ)と90分間インキュベーションした。その後、メンブランをTTNで洗浄(5分間、3回)し、そして西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート化二次抗体(ブロッキングTTNに1:10000希釈されたヤギ抗マウスIgG H+L、Jackson ImResearch Laboratories,Inc.)と90分間インキュベーションして、最後にTTNで再び洗浄(5分間、3回)した。メンブランを、ルミノールに基づく溶液においてインキュベーション(1分間、0.1MのTris(pH8.5)、250μMのルミノール、400μMのp−クマル酸、0.033%のH)し、化学発光検出を使用して可視化した。
【0268】
得られたEGFR−P(タンパク質)バンド密度の定量を、Adobe Photoshop5.0MEプログラムおよびNIHイメージ1.16/ppcプログラムを使用して行った。
【0269】
実験結果
化学合成および放射性合成:
現在知られている阻害剤と比較して、改善されたインビボ性能を有する新規な不可逆EGFR−TK阻害剤を求めて、様々なN−{4−[(フェニルアミノ)キナゾリン−2−イル]}アセトアミド化合物(すべてがアセトアミドのα位において脱離基によって置換されている)が合成された。
【0270】
従って、化合物1〜化合物6が、1つまたは複数の脱離基によってα位が置換された他のN−{4−[(フェニルアミノ)キナゾリン−2−イル]}アセトアミド化合物に対する例示的な化合物として調製された。このクラスの化合物は、アニリン誘導体を、反応性の基によって置換された4−クロロキナゾリンと反応し、得られた反応性の生成物を、α位が脱離基によって置換された反応性カルボン酸誘導体と反応して、最終的な化合物を得ることによって調製される。
【0271】
図2に示されるように、化合物1〜化合物6が、アニリン誘導体を4−クロロ−6−ニトロキナゾリン(化合物7)と反応して、化合物8を作製し、次いで、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液を記載されるように使用して、化合物8のニトロ基をアミノ基に還元して、化合物9を作製し、次いで、化合物9をα−クロロセチルクロリドまたはα−メトキシアセチルクロリドのいずれかと0℃で記載されるように反応して、最終的な生成物を作製することによって調製された。
【0272】
本発明の化合物の生物学的利用能を高めるために、α位が脱離基によって置換されたN−{4−[(フェニルアミノ)キナゾリン−2−イル]}アセトアミド化合物の誘導体で、好ましくは7位がモルホリノ基またはピペラジノ基によってさらに置換される誘導体(例えば、7−モルホリノ置換された化合物1〜化合物6)もまた、本明細書中上記に記載されるように、知られている手順に従って調製することができる(Smaill他、2000;米国特許出願第20020128553号を参照のこと)。
【0273】
本発明の新規な不可逆EGFR−TK阻害剤は放射能標識することができ、それにより、放射線造影および放射線治療において使用される放射能標識された不可逆EGFR−TK阻害剤を製造することができる。本明細書中上記に詳しく記載されるように、適切なアニリン誘導体を選択することによって、脱離基によってα位が置換され、また場合によりモルホリノ基によってキナゾリン環が置換され、放射性ヨウ素、放射性臭素または放射性フッ素によって放射能標識されたN−{4−[(フェニルアミノ)キナゾリン−2−イル]}アセトアミド化合物を、必要に応じて使用される下記の放射能標識化方法を使用して調製することができる:
【0274】
第1の方法では、アニリン成分をその6位において標識するために、フッ素−18の使用を伴う。フッ素−18を用いた放射能標識化を、知られている手順(Mishani他、1997;米国特許第6127917号および同第6562319号)を使用して、または、テトラメチルアンモニウム塩の広く知られている求核置換に基づく新しく開発された自動化された放射性合成を使用して行うことができる。後者の代表的な例が、この場合には、フッ素−18標識された化合物5および化合物6が調製されるが、本明細書中上記に記載され、さらには図3に示される。
【0275】
第2の方法では、確立された放射性ヨウ素化化学および放射性臭素化化学を使用してアニリン成分をその3位において標識するために、放射性臭素(例えば、臭素−76および臭素−77)または放射性ヨウ素(例えば、ヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131)の使用が伴う。図4に示されるように、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンをトリブチルスズと反応させて、スズ化化合物10を作製し、その後、スズ化化合物10を放射性の酸化剤と反応させ、次いで、対応するアニリン化合物に還元し、α−クロロアセチルクロリドまたはα−メトキシアセチルクロリドと反応して、放射性臭素で標識された化合物1および化合物2、または放射性ヨウ素で標識された化合物3および化合物4が作製される。
【0276】
ヨウ素−124は、最近では、その放射性特性(T1/2=4.2日、同時での陽電子放出および電子捕獲)のために、PET診断使用および潜在的な治療用放射性核種においてますます重要になってきているので、ヨウ素−124で標識された不可逆EGFR阻害剤の調製が非常に望ましい。
【0277】
従って、放射能標識された不可逆EGFR−TK阻害剤の代表的な例として、ヨウ素−124で標識された化合物3および化合物4が調製された。
【0278】
本明細書中下記において明らかにされるように、本発明の新規な化合物を用いて行われた活性研究において、3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル誘導体化合物5は、非常に強力な不可逆EGFR−TK阻害剤であることが見出された。従って、フッ素−18で標識された化合物5および化合物6(これらもまた非常に強力な診断ツールとして役立ち得る)が調製された。
【0279】
または、適切なカルボン酸誘導体を選択することによって、α位が脱離基によって置換され、放射性ヨウ素、放射性臭素、放射性フッ素および/または放射性炭素によってカルボン酸側鎖において放射能標識されたN−{4−[(フェニルアミノ)キナゾリン−2−イル]}アセトアミド化合物もまた、本明細書中上記に記載されるように、事前に放射能標識された反応性カルボン酸誘導体の使用を伴う異なる方法を使用して調製することができる。
【0280】
インビトロ研究:
EGFR−TK自己リン酸化のIC50値が、治療剤としてのそれらの潜在的可能性を明らかにするために化合物1〜化合物6について測定された。その方法では、抗EGFR抗体に基づくELISAアッセイが用いられた。測定された化合物は不可逆的な阻害の速度論を有するので、そのIC50値は、変更可能な傾きのS字形用量応答曲線に対する非線形回帰近似を使用して計算された見かけの値である。ELISAアッセイが2回行われ、見かけのIC50平均値が4つの独立した用量応答曲線から決定された。化合物1〜化合物6について得られたIC50値が下記の表1に示され、アニリノキナゾリンファミリーの知られている不可逆EGFR−TK阻害剤のN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドおよびN−{4−[(3−ブロモ)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(メチルアミノ)−2−ブテンアミド(これらは表1において化合物Aおよび化合物Bとしてそれぞれ示される)を用いて得られたIC50値と比較される。化合物Aは、EGFRに対する高い親和性によって特徴づけられ、これに対して、化合物Bは、EGFRに対する不可逆結合を形成する大きい能力によって特徴づけられる。
【0281】
表1に示されるように、得られたIC50値は、α−クロロアセトアミド側鎖によって置換されている本発明の化合物(すなわち、化合物1、化合物3および化合物5)が、EGFRに対する高い親和性を発揮することを示している。α−メトキシアセトアミド側鎖によって置換された化合物(すなわち、化合物2、化合物4および化合物6)は、α−クロロアセトアミド置換化合物および化合物Aの両方と比較して、効力が少し弱い。しかしながら、これらの化合物について得られたIC50値は、これらの化合物が治療および診断の両方のための良好な候補物として役立ち得ることを示している。
【表1】

【0282】
化合物1〜化合物6のEGFR−TK結合の不可逆的性質が、無傷のA431細胞株におけるEGFR−TK自己リン酸化の阻害を測定することによって評価された。これらの研究で得られた結果もまた上記の表1に示される。
【0283】
受容体に対する化合物1〜化合物6の結合の不可逆性を明らかにするために、細胞を様々な阻害剤濃度と1時間インキュベーションした。インキュベーション後、培地を阻害剤/FCS非含有培地と交換して、阻害効果をその直後または8時間のポストインキュベーションの後のいずれでも測定した。以前に記載されたように(例えば、Smaill他(1999)を参照のこと)、8時間後に達成された80%以上の阻害は、化合物が不可逆的であることを示しており、一方、20%〜80%の阻害は化合物を「部分的に不可逆的」であるとして分類する。
【0284】
表1に表されるように、また、図5aおよび図5bにおいてさらに示されるように、本発明の化合物1、化合物3および化合物5(これらはα−クロロアセトアミド基によって置換されている)は、受容体に対する不可逆的な結合性を保持していた。8時間のポストインキュベーションで、50%の阻害が、約10nM〜50nMの阻害剤濃度を用いて既に達成されていた。このことは、ATP結合部位における共有結合的な結合によることが最も考えられるこれらの化合物の不可逆的な効果を反映している。
【0285】
化合物2、化合物4および化合物6(これらは、化学的により安定なα−メトキシアセトアミド基によって置換されている)は、より高い阻害剤濃度において受容体に対する部分的な不可逆結合を発揮した。
【0286】
これらの結果は、キナゾリン成分に結合した4原子の鎖が、以前に示唆されたように(Smaill他(1999および2000)を参照のこと)、不可逆結合のための必須的な特徴でないことを初めて明らかにしている。構造的には、3原子の鎖が受容体結合ポケットにおいて共有結合的な結合を達成するために十分である。
【0287】
分かりやすくするため別個の実施態様で説明されている本発明のいくつもの特徴は、組み合わせて単一の実施態様にして提供することもできることは分かるであろう。逆に簡略化するため単一の実施態様で説明されている本発明の各種特徴は、別個に又は適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0288】
本発明を、その具体的実施態様とともに説明してきたが、多くの変形と変更が当業技術者には明らかであることは明白である。したがって、本発明は、本願の特許請求の範囲の精神と広い範囲内に入っているこのような変形と変更をすべて含むものである。本明細書に記載のすべての刊行物、特許及び特許願は、あたかも、個々の刊行物、特許又は特許願各々が、本願に具体的にかつ個々に参照して示されているように、本願に援用するものである。さらに、本願における任意の文献の引用もしくは確認は、このような文献が本発明に対する従来技術として利用できるという自白とみなすべきではない。





【図面の簡単な説明】
【0289】
【図1】可逆EGFR阻害剤(IrresaおよびTerceva、図1a)および不可逆EGFR阻害剤(PD168393およびPD160678、図1b)の背景技術での化学構造を示す。
【図2】本発明による不可逆EGFR−TK阻害剤の代表的な例(化合物1〜6)を調製するための合成経路を示すスキームである。
【図3】本発明によるフッ素−18標識された不可逆EGFR−TK阻害剤の代表的な例(フッ素−18標識された化合物5および化合物6)を調製するための代表的な放射性合成経路を示すスキームである。
【図4】本発明による放射性臭素標識および放射性ヨウ素標識された不可逆EGFR−TK阻害剤の代表的な例(放射性臭素標識された化合物1および化合物2、ならびに放射性ヨウ素標識化合物3および化合物4)を調製するための代表的な放射性合成経路を示すスキームである。
【図5】様々な濃度の化合物5とのインキュベーション、そして1時間のインキュベーションの後でのEGF刺激−溶解の後(図5a、黒塗り棒)、および続く8時間のポストインキュベーションの後でのEGF刺激−溶解の後(図5a、四角パターンの棒)におけるA431細胞におけるEGFR自己リン酸化レベルを示す棒グラフ(図5a)およびウエスタンブロット(図5b)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式Iを有する化合物:

式中、Q1はX−W(=Y)−Zであり、および、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、または、
Q1は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、および、Q2はX−W(=Y)−Zである;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素および第1の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素および第2の誘導体化基からなる群から選択される。
【請求項2】
前記第1の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオカルボキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記第2の誘導体化基は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオカルボキシ、チオカルボニル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択され、または、RおよびRは共に、5員環または6員環を形成する請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記脱離基は、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、アジド、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、カルボキシおよびカルバミルからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記アルコキシはモルホリノ基を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記アルキルアミノはN−ピペラジニル基を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Q1はX−W(=Y)−Zであり、および、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Q1はX−W(=Y)−Zであり、Q2は、水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Q1はX−W(=Y)−Zであり、Q2は、アルコキシである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記アルコキシはモルホリノ基を含む請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Q1はX−W(=Y)−Zであり、Q2は、アルキルアミノである請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記アルキルアミノはN−ピペラジニル基を含む請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Xは−NR−であり、Yは酸素である請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
、RおよびRのそれぞれが水素である請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
は、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される脱離基である請求項8〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
A、B、CおよびDの少なくとも1つがフッ素である請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Dがフッ素である請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cは水素である請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Aは臭素である請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
Aはヨウ素である請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
B、CおよびDはそれぞれが水素である請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
B、CおよびDはそれぞれが水素である請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cは水素であり、Dはフッ素である請求項8〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
Aは臭素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である請求項8〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項25】
Aはヨウ素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である請求項8〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項26】
有効成分としての請求項1に記載の化合物と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む医薬組成物。
【請求項27】
EGFRチロシンキナーゼに関連づけられる疾患または障害の処置における使用のために、包装物に包装され、および、包装物内または包装物上において印刷で識別される請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記EGFRチロシンキナーゼに関連づけられる疾患または障害は細胞増殖障害である請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記細胞増殖障害は、乳頭腫、芽球神経膠腫、カポジ肉腫、黒色腫、肺ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、扁平上皮ガン、星状膠腫、頭部ガン、頸部ガン、膀胱ガン、乳ガン、肺ガン、直腸結腸ガン、甲状腺ガン、膵臓ガン、胃ガン、肝細胞ガン、白血病、リンパ腫、ホジキン病およびバーキット病からなる群から選択される請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
必要性のある対象において、EGFRチロシンキナーゼに関連づけられる疾患または障害を処置する方法であって、請求項26に記載の医薬組成物の治療に効果的な量を対象に投与することを含む方法。
【請求項31】
前記EGFRチロシンキナーゼに関連づけられる疾患または障害は細胞増殖障害である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞増殖障害は、乳頭腫、芽球神経膠腫、カポジ肉腫、黒色腫、肺ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、扁平上皮ガン、星状膠腫、頭部ガン、頸部ガン、膀胱ガン、乳ガン、肺ガン、直腸結腸ガン、甲状腺ガン、膵臓ガン、胃ガン、肝細胞ガン、白血病、リンパ腫、ホジキン病およびバーキット病からなる群から選択される請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞を請求項1に記載の化合物に供することを含む細胞増殖を阻害する方法。
【請求項34】
下記の一般式IIを有する化合物を合成する方法:

式中、X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位または7位にあり;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素および第1の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素および第2の誘導体化基からなる群から選択される;
ただし、前記方法は、(a)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン化合物を、少なくとも1つの反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;および(b)前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、前記R、RおよびRによってα位が置換された反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。
【請求項35】
前記第1の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオカルボキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の誘導体化基は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオカルボキシ、チオカルボニル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択され、または、RおよびRは共に、5員環または6員環を形成する請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記脱離基は、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、アジド、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、カルボキシおよびカルバミルからなる群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位にある請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物が4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンである請求項31に記載の方法であって、工程(b)の前に、(c)前記4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン化合物を還元して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン化合物を得るようにすることをさらに含む方法。
【請求項40】
前記4−クロロキナゾリン化合物が6位および7位において第1および第2の反応性基によって置換されている請求項31に記載の方法であって、工程(b)の前に、(d)前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を化学的に反応性の基と反応させることをさらに含む方法。
【請求項41】
前記化学的に反応性の基はモルホリノアルコキシ基を含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記化学的に反応性の基はN−ピペラジニル基を含む請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記反応性カルボン酸誘導体は、α−クロロアセチルクロリドおよびα−メトキシアセチルクロリドからなる群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項44】
下記の一般式IIIを有する放射能標識された化合物:

式中、Q1はX−W(=Y)−Zであり、および、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、または、
Q1は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、および、Q2はX−W(=Y)−Zである;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素、第1の非放射性の誘導体化基、ならびに、放射性臭素、放射性ヨウ素および放射性フッ素から選択される第1の放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;かつ
およびRはそれぞれが独立して、水素、第2の非放射性の誘導体化基、ならびに、放射性炭素、放射性フッ素、放射性臭素および/または放射性ヨウ素を含有する第2の放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
ただし、化合物は少なくとも1つの放射性原子を含む。
【請求項45】
前記第1の非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオカルボキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項46】
前記第2の非放射性の誘導体化基は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオカルボキシ、チオカルボニル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択され、または、RおよびRは共に、5員環または6員環を形成する請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項47】
前記脱離基は、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、アジド、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、カルボキシおよびカルバミルからなる群から選択される請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項48】
前記アルコキシはモルホリノ基を含む請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項49】
前記アルキルアミノはN−ピペラジニル基を含む請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項50】
Q1はX−W(=Y)−Zであり、および、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択される請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項51】
Q1はX−W(=Y)−Zであり、Q2は、水素である請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項52】
Q1はX−W(=Y)−Zであり、Q2は、アルコキシである請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項53】
前記アルコキシはモルホリノ基を含む請求項52に記載の放射能標識された化合物。
【請求項54】
Q1はX−W(=Y)−Zであり、Q2は、アルキルアミノである請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項55】
前記アルキルアミノはN−ピペラジニル基を含む請求項54に記載の放射能標識された化合物。
【請求項56】
Xは−NR−であり、Yは酸素である請求項51に記載の放射能標識された化合物。
【請求項57】
、RおよびRのそれぞれが水素である請求項56に記載の放射能標識された化合物。
【請求項58】
は、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される脱離基である請求項51〜57のいずれかに記載の放射能標識された化合物。
【請求項59】
A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性フッ素である請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項60】
Dが前記放射性フッ素である請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項61】
AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cは水素である請求項60に記載の放射能標識された化合物。
【請求項62】
A、B、CおよびDの少なくとも1つが、放射性フッ素である請求項51〜58のいずれかに記載の放射能標識された化合物。
【請求項63】
Dが放射性フッ素である請求項51〜58のいずれかに記載の放射能標識された化合物。
【請求項64】
AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cは水素である請求項63に記載の放射能標識された化合物。
【請求項65】
Aが放射性臭素である請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項66】
Aが放射性臭素である請求項51〜58のいずれかに記載の放射能標識された化合物。
【請求項67】
Aが放射性ヨウ素である請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項68】
Aが放射性ヨウ素である請求項51〜58のいずれかに記載の放射能標識された化合物。
【請求項69】
前記放射性フッ素はフッ素−18である請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項70】
前記放射性臭素は臭素−76または臭素−77である請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項71】
前記放射性ヨウ素はヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131である請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項72】
前記放射性ヨウ素はヨウ素−124である請求項71に記載の放射能標識された化合物。
【請求項73】
前記放射性炭素は炭素−11である請求項44に記載の放射能標識された化合物。
【請求項74】
A、B、CおよびDの少なくとも1つが、放射性フッ素、放射性臭素および放射性ヨウ素からなる群から選択される放射性原子である請求項51〜58のいずれかに記載の放射能標識された化合物。
【請求項75】
有効成分としての請求項44に記載の放射能標識された化合物と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む医薬組成物。
【請求項76】
患者の体内における上皮増殖因子受容体のレベルをモニターする方法であって、(a)請求項44に記載の放射能標識された化合物を患者に投与すること;および(b)体内またはその一部の内部における化合物の分布をモニターするために核造影技術を用いることを含む方法。
【請求項77】
前記技術は、陽電子放射断層撮影法である請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記技術は、単光子放射型コンピューター断層撮影法である請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記放射性原子は、放射性ヨウ素である請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記放射性原子は、放射性臭素である請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記放射性原子は、放射性フッ素である請求項78に記載の方法。
【請求項82】
請求項44に記載の放射能標識された化合物の治療に効果的な量を患者に投与することを含む放射線治療方法。
【請求項83】
前記放射性原子は、放射性ヨウ素である請求項82に記載の放射線治療方法。
【請求項84】
前記放射性原子は、放射性臭素である請求項82に記載の放射線治療方法。
【請求項85】
下記の一般式IVを有する放射能標識された化合物を合成する方法:

式中、X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位または7位にあり;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素、第1の非放射性の誘導体化基およびフッ素−18からなる群から選択され、A、B、CおよびDの少なくとも1つがフッ素−18である;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素および第2の非放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
ただし、前記方法は、(a)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識アニリン化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つが前記フッ素−18である)を提供すること;(b)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化された前記フッ素−18標識アニリン化合物を、少なくとも1つの反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;および(c)前記反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、前記R、RおよびRによってα位が置換された反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。
【請求項86】
前記第1の非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオカルボキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記第2の非放射性の誘導体化基は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオカルボキシ、チオカルボニル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択され、または、RおよびRは共に、5員環または6員環を形成する請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記脱離基は、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、アジド、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、カルボキシおよびカルバミルからなる群から選択される請求項85に記載の方法。
【請求項89】
前記X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位にある請求項85に記載の方法。
【請求項90】
前記反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物がフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン化合物である請求項85に記載の方法であって、工程(c)の前に、(d)前記フッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン化合物を還元して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン化合物を得るようにする工程をさらに含む方法。
【請求項91】
前記4−クロロキナゾリン化合物が6位および7位において第1および第2の反応性基によって置換されている請求項85に記載の方法であって、工程(c)の前に、(e)前記反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を化学的に反応性の基と反応させることをさらに含む方法。
【請求項92】
前記化学的に反応性の基はモルホリノアルコキシ基を含む請求項91記載の方法。
【請求項93】
前記化学的に反応性の基はN−ピペラジニル基を含む請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記反応性カルボン酸誘導体は、α−クロロアセチルクロリドおよびα−メトキシアセチルクロリドからなる群から選択される請求項85に記載の方法。
【請求項95】
下記の一般式Vを有する放射能標識された化合物を合成する方法:

式中、X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位または7位にあり;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは非放射性炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素および第1の非放射性の誘導体化基、ならびに放射性臭素および放射性ヨウ素から選択される放射性原子からなる群から選択され、A、B、CおよびDの少なくとも1つが前記放射性臭素または前記放射性ヨウ素である;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素および第2の非放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
ただし、前記方法は、(a)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つがハロゲンである)を、少なくとも1つの反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つがハロゲンである)を得るようにすること;(b)前記A、B、CおよびDによって誘導体化された前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を放射性臭素または放射性ヨウ素で放射能標識して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識の反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性臭素または放射性ヨウ素である)を得るようにすること;および(c)前記放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識の反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、前記R、RおよびRによってα位が置換された反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。
【請求項96】
前記放射性臭素は臭素−76または臭素−77である請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記放射性ヨウ素はヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131である請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記第1の非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオカルボキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記第2の非放射性の誘導体化基は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオカルボキシ、チオカルボニル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択され、または、RおよびRは共に、5員環または6員環を形成する請求項95に記載の方法。
【請求項100】
前記脱離基は、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、アジド、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、カルボキシおよびカルバミルからなる群から選択される請求項95に記載の方法。
【請求項101】
前記X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位にある請求項95に記載の方法。
【請求項102】
前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物が4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンである請求項95に記載の方法であって、工程(b)の前に、(d)前記4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン化合物を還元して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン化合物を得るようにする(ただし、前記A、B、CおよびDの少なくとも1つは前記ハロゲンである)ことをさらに含む方法。
【請求項103】
前記ハロゲンは臭素である請求項95に記載の方法。
【請求項104】
前記4−クロロキナゾリン化合物が6位および7位において第1および第2の反応性基によって置換されている請求項95に記載の方法であって、工程(c)の前に、(e)前記反応性の放射性臭素標識されたまたは放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を化学的に反応性の基と反応させることをさらに含む方法。
【請求項105】
前記化学的に反応性の基はモルホリノアルコキシ基を含む請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記化学的に反応性の基はN−ピペラジニル基を含む請求項104に記載の方法。
【請求項107】
前記反応性カルボン酸誘導体は、α−クロロアセチルクロリドおよびα−メトキシアセチルクロリドからなる群から選択される請求項95に記載の方法。
【請求項108】
下記の一般式IVを有する放射能標識された化合物を合成する方法:

式中、X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位または7位にあり;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素、第1の非放射性の誘導体化基およびフッ素−18からなる群から選択され、A、B、CおよびDの少なくとも1つがフッ素−18である;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素および第2の非放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
ただし、前記方法は、(a)アミンによって、前記Rによって、および、前記フッ素−18でない、前記A、B、CおよびDのうちの3つによって誘導体化されたアニリン化合物を、第1の反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、前記アミン、前記R、ならびに、前記フッ素−18でない、前記A、B、CおよびDのうちの3つによって誘導体化された反応性の4−(アミノ置換フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;(b)前記アミン、前記R、ならびに、前記フッ素−18でない、前記A、B、CおよびDのうちの3つによって誘導体化された前記反応性の4−(アミノ置換フェニルアミノ)キナゾリン化合物をその第四級アンモニウム塩に変換すること;(c)前記第四級アンモニウム塩をフッ素−18標識されたイオンと反応させて、その結果、前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;および(d)前記反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、前記R、RおよびRによってα位が置換された反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。
【請求項109】
前記第1の非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオカルボキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記第2の非放射性の誘導体化基は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオカルボキシ、チオカルボニル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択され、または、RおよびRは共に、5員環または6員環を形成する請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記脱離基は、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、アジド、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、カルボキシおよびカルバミルからなる群から選択される請求項108に記載の方法。
【請求項112】
前記X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位にある請求項108に記載の方法。
【請求項113】
前記反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物がフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン化合物である請求項108に記載の方法であって、工程(d)の前に、(e)前記フッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン化合物を還元して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン化合物を得るようにする工程をさらに含む方法。
【請求項114】
前記4−クロロキナゾリン化合物が6位および7位において第1および第2の反応性基によって置換されている請求項108に記載の方法であって、工程(d)の前に、(f)前記反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を化学的に反応性の基と反応させることをさらに含む方法。
【請求項115】
前記化学的に反応性の基はモルホリノアルコキシ基を含む請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記化学的に反応性の基はN−ピペラジニル基を含む請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記反応性カルボン酸誘導体は、α−クロロアセチルクロリドおよびα−メトキシアセチルクロリドからなる群から選択される請求項108に記載の方法。
【請求項118】
下記の一般式IVを有する放射能標識された化合物を合成する方法:

式中、X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位または7位にあり;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または非存在である;
Wは炭素である;
Yは、酸素およびイオウからなる群から選択される;
Zは−CRである;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDはそれぞれが独立して、水素および第1の非放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および、1個〜6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキルからなる群から選択される;
は脱離基である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素、第2の非放射性の誘導体化基、ならびに放射性フッ素、放射性臭素、放射性ヨウ素および/または放射性ヨウ素から選択される第2の放射性誘導体化基からなる群から選択される;
ただし、前記方法は、(a)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン化合物を、少なくとも1つの反応性基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン化合物とカップリングして、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を得るようにすること;および(b)前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を、前記R、RおよびRによってα位が置換された放射能標識された反応性カルボン酸誘導体と反応することを含む。
【請求項119】
前記第1の非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオカルボキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記第2の非放射性の誘導体化基は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオカルボキシ、チオカルボニル、スルフィニル、スルホニル、アミノ、アルキルアミノ、カルバミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択され、または、前記RおよびRは共に、5員環または6員環を形成する請求項118に記載の方法。
【請求項121】
前記脱離基は、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、アジド、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、カルボキシおよびカルバミルからなる群から選択される請求項118に記載の方法。
【請求項122】
前記X−W(=Y)−Zはキナゾリン環の6位にある請求項118に記載の方法。
【請求項123】
前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物が4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンである請求項118に記載の方法であって、工程(b)の前に、(c)前記4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン化合物を還元して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン化合物を得るようにすることをさらに含む方法。
【請求項124】
前記4−クロロキナゾリン化合物が6位および7位において第1および第2の反応性基によって置換されている請求項118に記載の方法であって、工程(b)の前に、(d)前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン化合物を化学的に反応性の基と反応させることをさらに含む方法。
【請求項125】
前記化学的に反応性の基はモルホリノアルコキシ基を含む請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記化学的に反応性の基はN−ピペラジニル基を含む請求項124に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−515871(P2006−515871A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500381(P2006−500381)
【出願日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000068
【国際公開番号】WO2004/064718
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(505279905)ティー.ケイ. シグナル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】